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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】圧電モータ及びコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/12 20060101AFI20240513BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20240513BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H02N2/12
H01R12/77
H01R43/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022154357
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2018231779の分割
【原出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2022179552
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】518287320
【氏名又は名称】株式会社Piezo Sonic
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】多田 興平
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-261562(JP,A)
【文献】特開2012-134086(JP,A)
【文献】特開平08-140371(JP,A)
【文献】特開2013-000207(JP,A)
【文献】特開平08-185911(JP,A)
【文献】特開2009-070988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/12
H01R 12/77
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続された可撓性のプリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入された第2開口部と、他のピンが挿入された位置決め穴とが形成されている、圧電モータ。
【請求項2】
前記第2開口部は、第1方向における長さが前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長く、
前記第1方向における前記位置決め穴の長さは、前記第2開口部よりも短い、請求項1に記載の圧電モータ。
【請求項3】
圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続された可撓性のプリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入された第2開口部が形成されており、
前記端子板と前記プリント基板の少なくとも一部が離間している、圧電モータ。
【請求項4】
前記端子板の前記プリント基板と対向する面の少なくとも一部が、前記プリント基板の前記端子板と対向する面と離間している、請求項3に記載の圧電モータ。
【請求項5】
前記コネクタ、前記プリント基板、及び前記端子板が、この順で重なって配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧電モータ。
【請求項6】
プリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入された第2開口部と、他のピンが挿入された位置決め穴とが形成されており、
前記ピンは、前記第1開口部及び前記第2開口部に流し込まれた接着剤によって、前記プリント基板に接着され且つ前記端子板に接着されている、コネクタ組立体。
【請求項7】
プリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入された第2開口部が形成されており、
前記ピンは、前記第1開口部及び前記第2開口部に流し込まれた接着剤によって、前記プリント基板に接着され且つ前記端子板に接着されており、
前記端子板と前記プリント基板の少なくとも一部が離間している、コネクタ組立体。
【請求項8】
プリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入され、且つ第1方向における長さが前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長い第2開口部が形成されており、
前記ピンは、前記第1開口部及び前記第2開口部に流し込まれた接着剤によって、前記プリント基板に接着され且つ前記端子板に接着されている、コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子板を備える圧電モータ、並びに圧電モータ及びコネクタ組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電素子を利用して駆動力を生じさせる圧電モータ(例えば、超音波モータ)が記載されている。この圧電モータにおいては、ステータとロータとが、一対のベースに挟まれている。そして、一対のベースのそれぞれには、外部と接続するためのコネクタと接続される端子支持板が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-000207号公報
【0004】
特許文献1の端子支持板には、コネクタのピンを挿入するために複数の小さな穴が形成されている。そして、この端子支持板にコネクタを取り付ける際には、例えばハンダによってピンを端子支持板とプリント基板とに接着することが考えられる。この場合、ピンをプリント基板にハンダ付けした後に、プリント基板とは反対側からピンを端子支持板にハンダ付けする。そして、ピンを支持する支持部材を端子支持板に当接するまで押し込むことにより、端子支持板にコネクタが取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピンをプリント基板にハンダ付けする際には、コネクタのピンを支持する支持部材とプリント基板との間の狭い空間においてピンにハンダごてを当てる必要がある。そのため、作業性が悪く、ハンダ付けに要する作業時間が長くなってしまう。そして、作業時間が長くなってしまうと、熱によって端子板、プリント基板、又はこれらの上に配置された電子部品が損傷してしまうことがある。さらに、ハンダ付けに失敗した場合には、ハンダを除去するために、ハンダ吸い取り線又はハンダ吸い取り器を、支持部材とプリント基板との狭い空間に挿入する必要があり、ハンダの除去が困難である。そして、ハンダの除去に要する時間が長くなってしまうと、熱によって端子板、プリント基板、又はこれらの上に配置された電子部品が損傷してしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る圧電モータは、圧電素子と、前記圧電素子と電気的に接続されたプリント基板と、前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、前記ピンが接着された端子板とを備え、前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、前記端子板には、前記ピンが挿入されるとともに、第1方向における長さが前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長い第2開口部が形成されている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る圧電モータの製造方法は、第1開口部が形成されたプリント基板と、第2開口部が形成された端子板と、ピンを有するコネクタとを準備する工程と、前記第1開口部と前記第2開口部とを位置合わせする工程と、前記第1開口部を介して前記ピンを前記第2開口部に挿入する工程と、前記第2開口部を介して前記第1開口部に接着剤を流し込んで、前記ピンを前記端子板と前記プリント基板とに接着する工程とを備える。
【0008】
また、本発明の他の態様に係るコネクタ組立体の製造方法は、第1開口部が形成されたプリント基板と、第2開口部が形成された端子板と、ピンを有するコネクタとを準備する工程と、前記第1開口部と前記第2開口部とを位置合わせする工程と、前記第1開口部を介して前記ピンを前記第2開口部に挿入する工程と、前記第2開口部を介して前記第1開口部に接着剤を流し込んで、前記ピンを前記端子板と前記プリント基板とに接着する工程とを備える。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】圧電モータの概略斜視図。
図2】圧電モータの概略断面図。
図3】本発明の第1実施形態に係るコネクタ組立体の概略分解斜視図。
図4】コネクタ組立体の概略斜視図。
図5】コネクタ組立体の概略断面図。
図6】本発明の第2実施形態に係る端子板の概略斜視図。
図7】本発明の第3実施形態に係る端子板の概略斜視図。
図8】本発明の第4実施形態に係るコネクタ組立体の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、ロータ側を上側としてステータ側を下側としている。しかし、圧電モータの向きは任意であり、例えばロータ側が下側でありステータ側が上側であってもよい。
【0012】
[第1実施形態]
図1及び図2を用いて圧電モータ100について説明する。図1は、圧電モータ100の斜視図であり、ケース134側から見た外観を示している。図2は、シャフト135の長手方向に沿った概略断面図であり、シャフト135の回転軸を通る断面を示している。
【0013】
図1に示すように、圧電モータ100は、略板状のベース141と、ベース141にねじ止めされているケース134とを備えている。さらに、圧電モータ100は、ベース141及びケース134を貫通してベース141及びケース134から突出するシャフト135を備えている。また、圧電モータ100は、外部と接続するための複数の導電性のピン151を有するコネクタ150を備えている。このコネクタ150は、ベース141の側面に取り付けられている。そして、コネクタ150の側面は、略U字状の断面形状を有するコネクタカバー152によって覆われている。
【0014】
図2に示すように、圧電モータ100は、シャフト135の回転軸を中心に略回転対称の構成を備えている。この圧電モータ100は、ステータ111と、被駆動体であるロータ121とを備えている。このステータ111はベース141に固定されており、ロータ121はステータ111に対向している。また、ステータ111及びロータ121は、ケース134内の略円柱状のスペースに格納されている。
【0015】
ベース141にはシャフト135が貫通する穴が形成されており、この穴にはブッシュ137が圧入により取り付けられている。代替的に、このブッシュ137に代えてベアリングを用いてもよい。さらに、ケース134にもシャフト135が貫通する穴が形成されており、この穴に対応する位置にはベアリング138が取り付けられている。すなわち、シャフト135は、ブッシュ137及びベアリング138をそれぞれ貫通している。また、シャフト135は、それぞれ略リング状のステータ111及びロータ121の中心を貫通している。そのため、ステータ111とロータ121は、シャフト135の回転軸と同軸である。
【0016】
また、圧電モータ100は、被駆動体を駆動させるためのピエゾ素子等の圧電素子112と、圧電素子112と電気的に接続された可撓性のプリント基板115とを備えている。このプリント基板115には、コネクタ150のピン151が挿入される複数の穴が形成されている。そして、プリント基板115には、ピン151が接着によって電気的に接続されている。換言すると、コネクタ150は、プリント基板115に接着されたピン151を有している。これにより、圧電素子112には、コネクタ150及びプリント基板115を介して、外部電源から高周波電圧が印可される。
【0017】
ステータ111は、圧電素子112、弾性体113及び摺動材114を有している。そして、圧電素子112及び摺動材114は、弾性体113に貼り付けられている。このステータ111は、複数のステータネジ116によってベース141に固定されている。具体的に、弾性体113のシャフト135側の縁部はネジ穴を有している。また、ベース141は、弾性体113のネジ穴に対応するネジ穴を有している。そして、ステータネジ116が両ネジ穴と螺合することにより、ステータ111がベース141に固定されている。また、ロータ121は、環状部材120を有している。そして 環状部材120は、摺動材114と当接する基体部分122と、当該基体部分122と一体的に形成されている皿バネ部分123とを有している。
【0018】
圧電素子112と、弾性体113と、摺動材114とは、ベース141からロータ121に向かって、この順に配置されている。一例として、摺動材114は、強化繊維を含む架橋フッ素樹脂により形成できる。これにより、ロータ121の基体部分122が摺動材114に押し付けられた際に、強化繊維が摺動材114の変形を抑制する。さらに、耐摩耗性を向上させて、摺動材114の寿命、ひいては圧電モータ100の寿命を長くできる。そのため、ロータ121がステータ111に押し付けられる際の押し付け力(両者の間の摩擦力)をより強くして、圧電モータ100を高トルク化できる。
【0019】
弾性体113は、鉄、鋼、ジュラルミン、銅合金及びチタン合金等の金属によって形成できる。また、弾性体113は、複数の櫛歯を備えている。そして、当該櫛歯同士の間には、弾性体113の中心から弾性体113の外周に向かって放射状に延在する矩形状の溝が形成されている。
【0020】
圧電モータ100に高周波電圧が印可されると、圧電素子112の伸縮によって弾性体113にたわみ振動が生じ、円周方向に進行波が発生する。この進行波の各頂点において、ロータ121は、摺動材114を介して弾性体113と接触している。そして、各頂点は楕円運動しており、当該楕円運動の軌跡は、進行波の進む方向とは逆方向である。そのため、ロータ121は、進行波とは反対の方向に回転する。これにより、シャフト135は、ロータ121の回転に伴い、ロータ121と同じ方向に回転する。
【0021】
ロータ121は、環状部材120の皿バネ部分123が固定される固定部の一例として、シャフト135に固定されるスタビライザー125を有している。また、環状部材120の中央には穴が形成されており、環状部材120とスタビライザー125とは別体である。そして、ロータ121は、複数の第1ロータネジ124と、スタビライザー125と、複数の第2ロータネジ126とを介して、シャフト135のフランジ136に固定されている。また、環状部材120の皿バネ部分123のシャフト135側に位置する内縁部127は、ネジ穴を有している。さらに、スタビライザー125の外縁部は、当該ネジ穴に対応するネジ穴を有している。そして、第1ロータネジ124が両ネジ穴と螺合することにより、皿バネ部分123がスタビライザー125に固定されている。
【0022】
皿バネ部分123は、ロータ121をステータ111に対して付勢するためのスプリングとして機能する。これにより、基体部分122が、ステータ111の摺動材114に押し付けられている。すなわち、皿バネ部分123が基体部分122をステータ111に対して付勢することにより、ロータ121が摺動材114に密着している。皿バネ部分123がスプリングとして機能することにより、圧電モータ100のサイズを小さくすることができる。
【0023】
また、皿バネ部分123は、圧電モータ100の半径方向において、基体部分122とスタビライザー125との間に設けられている。換言すると、スタビライザー125は、皿バネ部分123よりもシャフト135に近い位置において、シャフト135に固定されている。具体的に、スタビライザー125の内縁部及びシャフト135のフランジ136には、それぞれ対応するネジ穴が形成されている。そして、第2ロータネジ126が両ネジ穴と螺合することにより、スタビライザー125がフランジ136に固定されている。
【0024】
スタビライザー125は、皿バネ部分123の湾曲した薄肉部よりも厚く形成されている。すなわち、シャフト135の回転軸方向において、スタビライザー125は、皿バネ部分123の薄肉部よりも厚い。そして、スタビライザー125は、皿バネ部分123の振動が伝搬するように構成されている。これにより、皿バネ部分123の振動を抑制し、異音を低減することができる。また、振動を抑制する結果、圧電モータ100の寿命をより長くすることができる。なお、スタビライザー125は厚いため、皿バネ部分123から振動が伝搬しても損傷する可能性は低い。また、スタビライザー125は、環状部材120よりも質量が大きくなるように形成してもよい。
【0025】
さらに、スタビライザー125によって、皿バネ部分123の内縁部127から皿バネ部分123の外縁部128までの距離をより短くできる。換言すると、ロータ121の半径方向における皿バネ部分123の長さをより短くできる。これにより、損傷しやすい薄肉部を短くできるため、皿バネ部分123が損傷する可能性を減少させることができる。その結果、圧電モータ100の寿命をより長くすることができる。また、より強い力でロータ121をステータ111に押し付けても損傷しないため、圧電モータ100を高トルク化することができる。さらに、高精度の加工を要する薄肉部を短くできるため、皿バネ部分123の製造コストを削減できる。また、皿バネ部分123の変形量を低く抑えて、圧電モータ100を高トルク化できる。加えて、スタビライザー125より外側に位置する環状部材120の質量が低くなる結果、ロータ121の慣性モーメントを下げることができる。そのため、圧電モータ100の応答性を向上させることができる。
【0026】
第2ロータネジ126のねじ止め方向は、第1ロータネジ124のねじ止め方向とは反対方向である。すなわち、第1ロータネジ124は、ケース134側からベース141側に向かってねじ込まれている。これに対して、第2ロータネジ126は、ベース141側からケース134側に向かってねじ込まれている。ただし、スタビライザー125をシャフト135に固定するときのねじ止め方向は、皿バネ部分123をスタビライザー125に固定するときのねじ止め方向と同一方向であってもよい。すなわち、第2ロータネジ126をケース134側からベース141側に向かってねじ込めるように、スタビライザー125及びフランジ136にネジ穴を形成してもよい。第2ロータネジ126及び第1ロータネジ124を同一方向にねじ込むことにより、両ネジによる締め付け方向が一致する。そのため、ロータ121をシャフト135により強固に固定できる。
【0027】
一例として、スタビライザー125は、5000系アルミニウム合金(例えばA5052)によって形成できる。これにより、ケース134をベース141に取り付ける際に、スタビライザー125の変形量を低く抑えることができる。そのため、ロータ121がステータ111に押し付けられる際の押し付け力(両者の間の摩擦力)をより強くして、圧電モータ100を高トルク化することができる。さらに、両者の間の押し付け力がばらつくことも抑制できる。すなわち、ケース134を取り付ける際に、スタビライザー125は、ベース141(ステータ111)側に押し付けられる。これにより、ロータ121がステータ111に押し付けられるが、その際にスタビライザー125の大きな変形に起因して、押し付け力がばらつくことを抑制できる。なお、環状部材120は、一例として、7000系アルミニウム合金(例えばA7075)によって形成できる。
【0028】
また、スタビライザー125は、環状部材120よりも低剛性となるように(縦弾性係数が低くなるように)構成してもよい。これにより、スタビライザー125が振動を吸収することによって、皿バネ部分123の振動をより抑制することができる。そのために、スタビライザー125は、シャフト135の回転軸を中心とする環状溝129を有している。この環状溝129は、断面略U字状の形状を有しており、環状溝129の底はスタビライザー125の他の部分よりも薄い。この環状溝129により、スタビライザー125の剛性をより低くできる。その結果、皿バネ部分123の振動をより抑制することができる。このようにスタビライザー125を低剛性に構成することにより、ロータ121をステータ111に押し付ける際にスタビライザー125がわずかに変形する。その結果、ロータ121をステータ111に押し付ける力を均等に分散させることができる。なお、二つ以上の環状溝129を形成してもよい。
【0029】
略リング状のスタビライザー125の半径方向における幅は、同じく略リング状の皿バネ部分123の半径方向における幅よりも長く設定されている。これにより、皿バネ部分123の全周に渡って、スタビライザー125の質量を、皿バネ部分123の対応する部分よりも大きくできる。そのため、皿バネ部分123の全周に渡って、スタビライザー125の剛性を、皿バネ部分123よりも低くできる。ただし、スタビライザー125の形状はリング状には限定されず、多角形等の他の形状であってもよい。
【0030】
ベアリング138とスタビライザー125との間には、スペーサーを配置してもよい。これにより、ケース134をベース141に取り付ける際に、ロータ121がステータ111に押し付けられる際の押し付け力を調整することができる。さらに、このスペーサーに代えてまたはスペーサーに加えて、ベアリング138とスタビライザー125との間にスプリング、例えば皿バネを配置してもよい。これにより、ロータ121がステータ111に押し付けられる際の押し付け力をより強くして、圧電モータ100を高トルク化することができる。具体的には、スタビライザー125に向かって凸状の皿バネを配置することによって、ロータ121をステータ111に押し付けることができる。
【0031】
なお、圧電モータ100は、非磁性体材料を用いて構成できる。非磁性体材料の一例として、弾性体113の材料はリン青銅であり、シャフト135、第2ロータネジ126、第1ロータネジ124、及びステータネジ116の材料は真鍮である。また、ケース134、ベース141、皿バネ部分123、及びスタビライザー125の材料はアルミニウムであり、ブッシュ137の材料はフッ素樹脂である。
【0032】
[コネクタ組立体]
図3を参照して、圧電モータ100が備えるコネクタ組立体10について説明する。このコネクタ組立体10は、ピン151が接着される端子板160及びプリント基板115と、端子板160及びプリント基板115に取り付けられるコネクタ150とを有している。また、コネクタ組立体10は、端子板160が固定されるベース141を有していてもよい。このコネクタ組立体10においては、コネクタ150、プリント基板115、及び端子板160が、ベース141に向かってこの順で重なって配置されている。なお、図3に示すベース141は、説明の便宜上、一部のネジ穴の図示を省略している。
【0033】
ベース141には段差部142が形成されており、この段差部142上にプリント基板115が載置される。さらに、ベース141には、端子板160を収容する溝部143が形成されており、この溝部143は段差部142を横断するように伸びている。第1実施形態の溝部143の深さは端子板160の厚さと一致しており、溝部143内に配置された端子板160の上面と段差部142の上面とが略一致している。段差部142の内側には、弾性体113のシャフト135側の縁部を受け入れるように略リング状の環状溝部144が形成されている。そして、端子板160を収容する溝部143は、当該環状溝部144と連通している。代替的に、環状溝部144と溝部143との境界部分に突出部を形成してもよい。これにより、当該突出部に端子板160が当接するため、ベース141の内側方向への端子板160の位置ずれを規制することができる。
【0034】
プリント基板115上には、圧電モータ100を駆動する駆動電圧としてのsin波又はcos波を圧電素子112に印加するための信号ラインとして機能する第1導電層115A及び第2導電層115Bが形成されている。さらに、プリント基板115上には、コネクタ150を介して外部のグランドに接続される第3導電層115Cと、圧電素子112からのフィードバック信号を出力するための第4導電層115Dとが形成されている。なお、第1導電層115A、第2導電層115B、第3導電層115C及び第4導電層115Dの配列は任意である。例えば、第1導電層115A及び第2導電層115Bを、四つの導電層の中央側に配置してもよい。
【0035】
また、プリント基板115には、コネクタ150のピン151が挿入される第1開口部として、略円状の穴115Hが複数形成されている。具体的に、第1導電層115A、第2導電層115B、第3導電層115C及び第4導電層115Dのそれぞれに穴115Hが形成されている。代替的に、フィードバック信号の出力が不要である場合には、第4導電層115Dに形成する穴115Hを省略できる。
【0036】
端子板160には、コネクタ150のピン151が挿入される第2開口部として、複数のスリット161が形成されている。このスリット161は、第1実施形態においては切り欠きとして形成されており、その一端が外部に開放している。スリット161の最も内側の縁部(シャフト135側の縁部)は略円弧状の形状を有している。代替的に、当該縁部が矩形の形状を有していてもよい。ただし、当該縁部がピン151の周囲を三方から囲む形状を有していることにより、ピン151の外周面とスリット161の内面との間で、接着される領域の面積を大きくすることができる。一例として、コネクタ150は四つのピン151を有しており、プリント基板115には四つの穴115Hが形成されており、端子板160には四つのスリット161が形成されている。
【0037】
端子板160のスリット161の第1方向である長手方向における長さL1は、第1方向に直交する第2方向である短手方向における長さL2よりも長い。一例として、長さL1は、長さL2の1.5倍から2倍の長さを有する。ここで、L2は、第2方向における最も長い部分の長さであり、好ましくはスリット161における端子板160の内側(シャフト135側)に位置する部分の長さである。このように、長さが異なることによって、コネクタ150を接着する際に接着剤がスリット161内に流れ込む。そのため、表面張力によって接着剤が端子板160上に溜まってしまうことを抑制して、ピン151を端子板160及びプリント基板115に確実に接着できる。一方、プリント基板115の穴115Hは、直径が略等しい円形の形状を有している。すなわち、第1方向に平行な方向において、プリント基板115の穴115Hは端子板160のスリット161よりも短く形成されている。
【0038】
端子板160上には、第1導電層115A、第2導電層115B、第3導電層115C及び第4導電層115Dのそれぞれに対応する導電層(不図示)が形成されている。一例として、第3導電層115Cに対応するグランド導電層162(図4)は、端子板160の下面上においてスリット161の周囲からベース141に向かって延びるように形成されている。さらに、グランド導電層162は、スリット161の内面上にも形成されている。このグランド導電層162は、端子板160の下面においてベース141と接触しており、両者が電気的に接続されている。
【0039】
ベース141はステータ111の弾性体113と接触しており、両者が電気的に接続されている。すなわち、弾性体113のグランド側は、ベース141、端子板160のグランド導電層162、及びプリント基板115の第3導電層115Cを介してコネクタ150のピン151に電気的に接続される。なお、図4に示されるように、端子板160にはフィードバック端子用の導電層に端子穴165が形成されている。当該端子穴165は、第2開口部と同様の形状を有していてもよい。
【0040】
[圧電モータ100の製造方法]
コネクタ組立体10を製造するために、穴115Hが形成されたプリント基板115、スリット161が形成された端子板160、ピン151を有するコネクタ150、及びベース141を準備する。そして、端子板160をベース141の溝部143内に配置し、ネジ163によって端子板160をベース141に固定する。代替的に、コネクタ150を接着剤によってベース141に固定してもよい。次に、ベース141の段差部142上にプリント基板115を載置して、プリント基板115の穴115Hと端子板160のスリット161とを位置合わせする。ここで、段差部142の周囲には略リング状の突出部145が形成されている。そのため、当該突出部145の内側にプリント基板115を配置することによって、穴115Hをスリット161に位置合わせすることができる。
【0041】
次に、プリント基板115の穴115Hを介してコネクタ150のピン151を端子板160のスリット161に挿入して、プリント基板115側からコネクタ150を取り付ける。そして、端子板160のプリント基板115が重力方向において下に位置するように、コネクタ組立体10を裏返す。このとき、ピン151はまだ、プリント基板115及び端子板160に接着されていない。図4は、ピン151を接着する前のコネクタ組立体10を示す概略斜視図であり、コネクタ150の下面側が上を向いた状態を示している。なお、図4に示すベース141は、説明の便宜上、一部のネジ穴の図示を省略している。
【0042】
図4に示すように、コネクタ150のピン151はスリット161から下方に(図4においては上方に)突出している。また、プリント基板115の穴115Hによって位置決めされるため、コネクタ150のピン151は、スリット161の奥側の内壁に近接した位置に挿入されている。この状態で、端子板160側からコネクタ150を、プリント基板115に接着剤によって接着する。この接着剤は導電性接着剤であり、一例として、ハンダの他に、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、及び紫外線硬化型樹脂等を用いることができる。以下の説明では、ハンダを用いて接着する例について説明する。
【0043】
ピン151を接着する場合、スリット161を介してハンダを穴115Hに流し込み、ピン151を端子板160とプリント基板115とに接着する。これにより、ピン151は、端子板160側からプリント基板115に接着される。具体的に、スリット161の内面上の導電層と、穴115Hの内面上の導電層とに、ピン151をハンダによって接着する。これにより、ピン151と両導電層とが電気的に接続される。なお、図4においては図示されていないが、コネクタ150の脱落を防止する冶具を用いて、ベース141に対してコネクタ150を支持した状態でピン151を接着してもよい。
【0044】
図5図4のV-V線に沿った概略断面図であり、スリット161の第1方向(長手方向)に沿って第3導電層115Cに対応するピン151の中央を横切る断面を示している。図5に示すように、溶融ハンダSによって接着されたピン151は、端子板160の下面上及びスリット161の内面上においてグランド導電層162に電気的に接続されている。さらに、ピン151は、穴115Hの内面上において、第3導電層115Cに電気的に接続されている。また、スリット161内においては、スリット161の内面と三方向において対向するピン151の各部が、スリット161の内面と接着され得る。
【0045】
すなわち、スリット161に流れ込んだ溶融ハンダSは、端子板160の下面上に溜まることなくスリット161内に流れ込む。その結果、ピン151の外周面のうち、外方に面する部分を除いた残部が、スリット161の内面上のグランド導電層162と接着される。ただし、ピン151は、スリット161の内面のうち、少なくとも図5に示された最も内側の部分と接着されていればよい。同様に、スリット161を介して穴115Hに流れ込んだ溶融ハンダSが、ピン151の外周面と穴115Hの内面上の第3導電層115Cとを接着する。
【0046】
コネクタ組立体10を組み立てた後に、プリント基板115をステータ111に接着する。具体的には、接着剤によって摺動材114を弾性体113に接着し、接着剤によって圧電素子112を弾性体113に接着して、ステータ111を構成する。代替的に、圧電素子112を弾性体113に接着した後に、摺動材114を弾性体113に接着してもよい。その後、ステータ111の圧電素子112に、接着剤によってプリント基板115を貼り付ける。そして、ステータ111をベース141に固定する。具体的には、ステータ111の弾性体113をベース141にねじ止めする。
【0047】
次に、ステータ111と対向するようにロータ121を固定する。具体的には、ロータ121を構成する環状部材120の皿バネ部分123を、第1ロータネジ124によってスタビライザー125に固定する。その後、ロータ121を構成するスタビライザー125を、第2ロータネジ126によってシャフト135のフランジ136に固定する。続いて、シャフト135をベース141のブッシュ137に挿入する。そして、シャフト135がベアリング138を貫通するように、ケース134をベース141に取り付けて加圧する。このようにして、圧電モータ100を製造することができる。なお、コネクタ150にコネクタカバー152を取り付ける工程は、コネクタ組立体10の組立後の任意のタイミングにおいて行うことができる。
【0048】
図5においては、グランド導電層162及び第3導電層115Cとこれらに対応する及びピン151について説明した。しかし、他の導電層及びピン151も、同様に溶融ハンダSによって接着される。また、図5においては、ハンダSがプリント基板115の上面(図5においては下面)に到達していない。しかし、溶融ハンダSがプリント基板115の上面に到達するまで、穴115Hに溶融ハンダSを流し込んでもよい。ただし、ハンダSがプリント基板115の上面に到達しない場合には、溶融ハンダSを除去して端子板160からプリント基板115を取り外すことが容易となる。
【0049】
上記第1実施形態に係る発明によれば、以下の効果を奏する。すなわち、第2開口部をスリット161によって構成することによって、接着剤がスリット161を通過してプリント基板115の穴115Hに到達する。これにより、穴115Hの中に流れ込んだ接着材がピン151と穴115Hの内面上の導電層とを電気的に接続する。その結果、プリント基板115側からの接着を省略して、圧電モータ100の製造工数を削減するとともに、製造時間を短縮できる。そのため、端子板160、プリント基板115及びこれらに配置された電子部品が、熱によって損傷することを抑制できる。一方、端子板160の小さい穴にピン151を挿入する場合、プリント基板115の穴115Hに到達するまえに、接着剤が端子板160上に溜まってしまう。このように接着剤が通過できないため、端子板160側とプリント基板115側の両側からピン151を接着する必要がある。そのため、作業効率が悪く且つ作業時間が長くなってしまう。
【0050】
さらに、第1実施形態に係る発明によれば、ハンダ付けに失敗した場合には、ハンダ吸い取り線又はハンダ吸い取り器を、スリット161内に挿入してハンダを容易に除去することができる。これにより、ハンダの除去に要する時間を短縮できる。そのため、端子板160、プリント基板115及びこれらに配置された電子部品が、熱によって損傷することを抑制できる。また、不具合が生じたプリント基板115を、端子板160から容易に取り外して交換できる。
【0051】
加えて、熱による損傷を抑制できるため、コネクタ組立体10(又はコネクタ組立体10を備える圧電モータ100)に不具合が生じた場合に、ハンダを除去して不具合が生じた原因を正確に解析できる。例えば、ハンダの除去に長時間を要する場合、ハンダ除去後の解析によって、端子板160又はプリント基板115に不具合が発見されたとしても、これが当初からの不具合であるのか熱による損傷に起因する不具合であるのか区別することは困難である。一方、第1実施形態に係るコネクタ組立体10によれば、熱による損傷を抑制できる。そのため、熱による損傷に起因する不具合を考慮しなくともよいため、不具合が生じた原因を正確に解析できる。
【0052】
[第2実施形態]
図6を参照して第2実施形態に係る端子板260について説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0053】
第2実施形態に係る端子板260は、第2開口部として略楕円状の貫通孔261が形成されている点で第1実施形態と異なる。すなわち、貫通孔261は、その全周において閉塞されており、端子板260の上面及び下面を除いて外方に開放されていない。この貫通孔261においても、第1方向である長手方向における長さL1は、第1方向に直交する第2方向である短手方向における長さL2よりも長い。一例として、長さL1は、長さL2の1.5倍から2倍の長さを有する。このように、長さが異なることによって、コネクタ150を接着する際に接着剤が貫通孔261を通過してプリント基板115の穴115Hの中に流れ込む。そのため、表面張力によって接着剤が端子板260上に溜まってしまうことを抑制して、ピン151を端子板260及びプリント基板115に接着することができる。
【0054】
上記第2実施形態に係る発明によれば、接着剤が貫通孔261を通過してプリント基板115の穴115Hに到達する。これにより、穴115Hの中に流れ込んだ接着材がピン151と穴115Hの内面上の導電層とを電気的に接続できる。その結果、プリント基板115側からの接着を省略して、圧電モータ100の製造工数を削減するとともに、製造時間を短縮できる。さらに、ハンダの除去に要する時間を短縮できる。また、第2実施形態に係る発明によれば、端子板260を固定するネジが螺合するネジ穴265の形成と同時に貫通孔261を形成できる。そのため、端子板260の製造コストを削減できる。また、貫通孔261の内面の全域に渡って導電層を形成できるため、ピン151と導電層との接着面積を大きくできる。
【0055】
なお、図6においては貫通孔261が端子板260の長手方向に延在している。しかし、貫通孔261が延びる方向は、端子板260の長手方向には限定されない。例えば、端子板260の長手方向に直交する幅方向に延びるように、貫通孔261を形成してもよい。この場合、一列に並ぶように貫通孔261を形成してもよく、互い違いに貫通孔261を形成してもよい。そして、コネクタ150のピン151は、貫通孔261の形成位置に対応するように配置される。また、貫通孔261は、矩形状等の多角形状を有していてもよい。
【0056】
[第3実施形態]
図7を参照して第3実施形態に係る端子板360について説明する。なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0057】
第3実施形態に係る端子板360は、第2開口部としてのスリット361に加えてピン151が挿入される穴366が形成されている点で、第1実施形態と異なる。すなわち、端子板360には、プリント基板115の第4導電層115Dに対応する位置に位置決め穴366が形成されている。フィードバック信号が不要である場合には、ピン151と第4導電層115Dとの接着が不十分であっても、圧電モータ100の機能に問題は生じない。そこで、第4導電層115Dに対応する位置に位置決め穴366を形成して、ピン151がスリット361内で移動してしまうことを抑制することができる。
【0058】
具体的に、位置決め穴366は、第1方向においてスリット361よりも短くなるように形成されている。そして、位置決め穴366に挿入されたピン151が位置決め穴366の内壁に当接することによって、コネクタ150の移動が規制される。そのため、他のピン151がスリット361内で移動することを防止できる。これにより、ピン151をスリット361の内周面のうち最も内側の部分に近接する位置に位置決めできる。その結果、ピン151をスリット361内面上の導電層と確実に接続することができる。
【0059】
上記第3実施形態に係る発明によれば、プリント基板115の穴115Hの中に流れ込んだ接着材がピン151と穴115Hの内面上の導電層とを電気的に接続する。その結果、プリント基板115側からの接着を省略して、圧電モータ100の製造工数を削減するとともに、製造時間を短縮できる。さらに、ハンダの除去に要する時間を短縮できる。また、第3実施形態に係る発明によれば、コネクタ150の移動を規制して、ピン151をスリット361の内周面のうち最も内側の部分に近接する位置に位置決めできる。その結果、ピン151をスリット361の内面上の導電層と確実に接続することができる。
【0060】
なお、ピン151は、プリント基板115の穴115Hによっても位置決めされる。ただし、可撓性のプリント基板115の穴115Hに加えて、剛性の端子板360の穴366を用いることによって、より確実にピン151を位置決めすることができる。
【0061】
[第4実施形態]
図8を参照して第4実施形態に係るコネクタ組立体40について説明する。なお、第4実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0062】
第4実施形態に係るコネクタ組立体40は、端子板160とプリント基板115との間に隙間が形成されている点で、第1実施形態と異なる。すなわち、端子板160の上面とプリント基板115の下面とがわずかに離間している。例えば、端子板160を収容するステータ111の溝部443を端子板160の厚みよりも深く形成することによって、段差部142上に載置されたプリント基板115と端子板160とを離間させることができる。
【0063】
これにより、スリット161から流れ込んだ溶融ハンダSを、端子板160とプリント基板115との間にも流れ込ませることができる。そのため、端子板160及びプリント基板115と溶融ハンダSとの接触面積を広くして、より強固にピン151を端子板160及びプリント基板115に接着させることができる。その結果、より確実にピン151を端子板160及びプリント基板115に接続することができる。また、プリント基板115の下面(図8においては上面)に導電層を形成する場合には、当該導電層とピン151とを電気的に接続することができる。
【0064】
上記第4実施形態に係る発明によれば、プリント基板115の穴115Hに流れ込んだ接着材がピン151と穴115Hの内面上の導電層とを電気的に接続できる。その結果、プリント基板115側からの接着を省略して、圧電モータ100の製造工数を削減するとともに、製造時間を短縮できる。さらに、ハンダの除去に要する時間を短縮できる。また、第4実施形態に係る発明によれば、より強固にピン151を端子板160及びプリント基板115に接着できるとともに、より確実にピン151を端子板160及びプリント基板115に接続できる。
【0065】
なお、端子板160の上面とプリント基板115の下面とを離間する構成は、溝部443以外によっても実現できる。例えば、可撓性のプリント基板115が重力によって重力方向において下方に撓むように構成して、端子板160の上面とプリント基板115の下面とを離間させてもよい。また、端子板160の上面に突起を設けて、端子板160の上面とプリント基板115の下面とを離間させてもよい。さらに、端子板160の上面とプリント基板115の下面とは、第1開口部及び第2開口部の周辺のみにおいて離間していてもよい。すなわち、第4実施形態において、端子板160の上面とプリント基板115の下面の一部が当接していてもよい。
【0066】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0067】
例えば、プリント基板115の第1開口部は、プリント基板115の端部に形成された切り欠きからなるスリットであってもよい。ただし、第1開口部を小さい穴によって形成することによって、第1開口部に流れ込むハンダの量を抑制できる。そのため、ハンダを容易に除去できるため、プリント基板115を容易に分離できるという作用効果を奏する。また、第1開口部内への接着剤の流し込みは、重力による方法の他、第2開口部側から気体を吹き付ける方法、又は第1開口部側から吸い込む方法等を用いてもよい。
【0068】
また、第2開口部は、楕円、矩形、多角形等の形状を有していてもよい。さらに、第2開口部は、台形、三角形又は涙形等、端子板160の内側に位置する部分が拡径されている形状を有していてもよい。すなわち、第2開口部を介して第1開口部に接着剤を流し込むことができれば、第2開口部の形状及びサイズは適宜変更できる。さらに、圧電素子112が駆動する被駆動体は、ロータ121に限定されない。すなわち、コネクタ組立体10は、被駆動体であるスライダを直線的に移動させるリニア型の圧電モータ100に用いることもできる。
【0069】
また、圧電モータ100は、複数のロータ121又は複数のステータ111を備えていてもよい。また、シャフト135には、スタビライザー125の数に対応する複数のフランジ136を形成できる。また、皿バネ部分123の固定と、スタビライザー125の固定は、ねじ止めには限定されず、それぞれ溶接等の他の固定方法を用いることもできる。また、環状溝129に代えて、格子状、放射状、又は同心円状に配列されるように複数の穴又は凹部を形成してもよい。さらに、多数の穴又は凹部を等間隔で形成してもよく、スタビライザー125内に多数の中空の空間又はリング状の空間を形成してもよい。この場合、金属材料を使用した三次元造形によってスタビライザー125を形成できる。
【0070】
さらに、ロータ121は、スタビライザー125を備えていなくともよい。この場合、皿バネ部分123は、シャフト135まで延在し、フランジ136に直接固定される。ただし、スタビライザー125を備える構成によれば、振動を抑制できるという効果を奏する。
【0071】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0072】
(付記1)圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入されるとともに、第1方向における長さが前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長い第2開口部と、前記ピンが挿入された位置決め穴とが形成されている、圧電モータ。
【0073】
(付記2)圧電素子と、
前記圧電素子と電気的に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板に接着されたピンを有するコネクタと、
前記ピンが接着された端子板とを備え、
前記プリント基板には、前記ピンが挿入された第1開口部が形成されており、
前記端子板には、前記ピンが挿入されるとともに、第1方向における長さが前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長い第2開口部が形成されており、
前記端子板と前記プリント基板の少なくとも一部が離間している、圧電モータ。
【符号の説明】
【0074】
10:コネクタ組立体、40:コネクタ組立体、100:圧電モータ、111:ステータ、112:圧電素子、115:プリント基板、115H:第1開口部、121:ロータ、141:ベース、150:コネクタ、151:ピン、160:端子板、161:第2開口部、260:端子板、261:第2開口部、360:端子板、361:第2開口部、S:接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8