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特許7486874硬化性白色シリコーン組成物、光半導体装置用反射材、および光半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】硬化性白色シリコーン組成物、光半導体装置用反射材、および光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20240513BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240513BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20240513BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240513BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240513BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/22
C08L83/08
C08L83/05
H01L33/60
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019220401
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088678
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 壮介
【審査官】前田 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-008771(JP,A)
【文献】特開2016-124967(JP,A)
【文献】特表2016-513165(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103654(WO,A1)
【文献】特表2016-529331(JP,A)
【文献】特開2020-164678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
H01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン、
(C)白色顔料、および
(D)硬化用触媒
を含み、前記(C)白色顔料の含有量が、本組成物の全質量に対して10~80質量%である、光半導体装置用反射材の製造に有用である硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項2】
前記(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン中のセリウム原子が、本組成物の全質量に対して0.5~1,000ppmとなる量である、請求項1に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項3】
前記(C)白色顔料の平均粒径が、0.1~5μmである、請求項1または2に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項4】
前記(C)白色顔料が、シリカで表面処理されていない酸化チタンを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項5】
前記(D)硬化用触媒が、ヒドロシリル化反応用触媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項6】
前記(A)オルガノポリシロキサンが、レジン状オルガノポリシロキサンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項7】
前記レジン状オルガノポリシロキサンが、
(A-2)平均単位式:(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、fは、5~1,000の整数であり、gは、5~1,000の整数であり、Xは水素原子またはアルキル基であり、hは0~10の整数である。)で表される、請求項6に記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項8】
前記(A)オルガノポリシロキサンが、レジン状オルガノポリシロキサンと直鎖状オルガノポリシロキサンを、直鎖状オルガノポリシロキサン/レジン状オルガノポリシロキサンの含有量の比率が1以上になる量で含む、請求項1~7のいずれかに記載の硬化性白色シリコーン組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性白色シリコーン組成物の硬化物からなる、光半導体装置用反射材。
【請求項10】
請求項9に記載の光半導体装置用反射材を備える、光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性白色シリコーン組成物に関し、より具体的には、光半導体装置の反射材に好適に用いられる硬化性白色シリコーン組成物に関する。また、本発明は、こうした硬化性白色シリコーン組成物の硬化物からなる光半導体装置用反射材およびその反射材を備える光半導体装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーン組成物は、硬化して、優れた耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、透明性を有する硬化物を形成することから、幅広い産業分野で利用されている。こうした硬化性シリコーン組成物の硬化物は、他の有機材料と比較し変色しにくく、また、物理的物性の変化が小さいため、光学材料としても適している。
【0003】
例えば、特許文献1には、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する、直鎖状のオルガノポリシロキサン、(B)下記平均単位式:(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、またはこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基であり、但し、一分子中の少なくとも2個のRは前記アルケニル基であり、Xは水素原子またはアルキル基であり、aは0~0.3の数であり、bは0または正数であり、cは正数であり、dは正数であり、eは0~0.4の数であり、かつ、a+b+c+d=1であり、c/dは0~10の数であり、b/dは0~0.5の数である。)で表されるオルガノポリシロキサン、(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(D)セリウム含有オルガノポリシロキサン、および(E)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなる、硬化性シリコーン組成物が記載されている。また、同文献には、上記した硬化性シリコーン組成物が、透明性が要求される光半導体装置向けの硬化性シリコーン組成物に用いられ得ることが記載されており、具体的には、上記した硬化性シリコーン組成物が、光半導体素子を封止、被覆、または接着するための光半硬化性シリコーン組成物に用いられ得ることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、有機樹脂100質量部と無機質充填剤50~1000質量部とを含有してなり、上記無機質充填剤の10~100質量%が希土類元素酸化物であることを特徴とする樹脂組成物が記載され、また、この樹脂組成物を用いることにより、光反射率が高く、輝度の低下も少ない発光半導体素子用リフレクター及び発光半導体装置を提供できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2016-513165号公報
【文献】特開2011-225828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の硬化性シリコーン組成物の硬化物を光半導体装置の反射材に用いた場合、耐光性が不十分であり、長期間の使用により反射材にクラックが発生したり、反射材が収縮したりしてしまうという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、高い光反射率を有するとともに、耐光性に優れる硬化物を形成できる、硬化性白色シリコーン組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、高い光反射率を有するとともに、耐光性に優れる光半導体装置用反射材を提供することにある。また、本発明のさらに別の目的は、本発明の光半導体装置用反射材を備える光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本件発明者は、鋭意検討した結果、驚くべきことに、セリウム含有オルガノポリシロキサンが、高い光反射率を維持しつつ、シリコーン組成物の硬化物に優れた耐光性を付与できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
したがって、本発明は、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン、
(C)白色顔料、および
(D)硬化用触媒
を含む、硬化性白色シリコーン組成物に関する。
【0011】
前記(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン中のセリウム原子は、本組成物の全質量に対して0.5~1,000ppmとなる量であり得る。
【0012】
前記(C)白色顔料の平均粒径は、0.1~5μmであってもよい。
【0013】
前記(C)白色顔料の含有量は、本組成物の全質量に対して10~80質量%であり得る。
【0014】
前記(D)硬化用触媒は、ヒドロシリル化反応用触媒を含むことが好ましい。
【0015】
前記(A)オルガノポリシロキサンは、レジン状オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。
【0016】
前記レジン状オルガノポリシロキサンは、
(A-2)平均単位式:(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、fは、5~1,000の整数であり、gは、5~1,000の整数であり、Xは水素原子またはアルキル基であり、hは0~10の整数である。)で表され得る。
【0017】
前記(A)オルガノポリシロキサンが、レジン状オルガノポリシロキサンと直鎖状オルガノポリシロキサンを、直鎖状オルガノポリシロキサン/レジン状オルガノポリシロキサンの含有量の比率が1以上になる量で含むことが好ましい。
【0018】
本発明はまた、本発明に係る硬化性シリコーン組成物の硬化物からなる、光半導体装置用反射材にも関する。
【0019】
本発明はまた、本発明に係る光半導体装置用反射材を備える、光半導体装置にも関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る硬化性白色シリコーン組成物によれば、高い光反射率を維持しつつ、優れた耐光性を有する硬化物を形成できる。また、本発明に係る光半導体装置用反射材によれば、高い光反射率を維持しつつ、優れた耐光性を有する反射材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[硬化性白色シリコーン組成物]
本発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン、
(C)白色顔料、および
(D)硬化用触媒
から少なくともなる。
【0022】
以下、本発明の硬化性白色シリコーン組成物の各成分について詳細に説明する。
【0023】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
(A)成分は、本組成物の主成分であり、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する硬化性のオルガノポリシロキサンである。本発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、1種類の(A)オルガノポリシロキサンを含んでもよいし、2種類以上の(A)オルガノポリシロキサンを含んでもよい。
【0024】
(A)成分の分子構造としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、および三次元網状構造が例示される。(A)成分は、これらの分子構造を有する1種のオルガノポリシロキサンであるか、あるいはこれらの分子構造を有する2種以上のオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。好ましくは、本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、(A)成分として直鎖状のオルガノポリシロキサンと三次元網状構造のオルガノポリシロキサンの両方を含む。
【0025】
(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、およびドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。(A)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基や、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。
【0026】
(A)成分は、好ましくは少なくとも1種のレジン状オルガノポリシロキサンを含む。本明細書において、レジン状オルガノポリシロキサンとは、分子構造中に分岐状または三次元網状構造を有するオルガノポリシロキサンを意味する。一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、その分子構造中に少なくとも1つのRSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)及び/又はSiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含む。一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、その分子構造中にQ単位を含むが、T単位は含まない。他の実施隊形態においては、(A)成分がアリール基含有レジン状オルガノポリシロキサンの場合には、(A)成分は、その分子構造中にT単位を含むが、Q単位は含まない。
【0027】
一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、分子構造中のQ単位の割合が、0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.4以上である。好適な実施形態において、本発明のレジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のQ単位の割合が、0.9以下であり、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のT単位の割合が0.2以下であり、好ましくは0.1以下であり、さらに好ましくはT単位を含まない。なお、上記T単位およびQ単位の割合は、レジン状オルガノポリシロキサンの一般式:RSiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)、一般式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)、一般式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)、および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)の量に基づいて計算できる。
【0028】
他の実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンがアリール基含有レジン状オルガノポリシロキサンである場合、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、分子構造中のT単位の割合が、0.1以上であり、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.5以上であり、特に好ましくは0.7以上である。好適な実施形態において、本発明のアリール基含有レジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のT単位の割合が、0.95以下であり、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.85以下であり、さらに好ましくは0.8以下である。一実施形態において、(A)成分のアリール基含有レジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のQ単位の割合が0.2以下であり、好ましくは0.1以下であり、さらに好ましくはQ単位を含まない。
【0029】
また、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、分子構造中のM単位の割合が0.1以上であり、より好ましくは0.2以上である。好適な実施形態において、本発明のレジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のM単位の割合が0.9以下であり、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.7以下であり、特に0.6以下である。一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、分子構造中のD単位の割合が0.2以下であり、好ましくは0.1以下であり、さらに好ましくはD単位を含まない。なお、上記M単位およびD単位の割合は、レジン状オルガノポリシロキサンの一般式:RSiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)、一般式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)、一般式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)、および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)の量に基づいて計算できる。
【0030】
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサン中に含まれるアルケニル基の含有量(レジン状オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、0.5モル%以上、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上、優先的には4モル%以上、特に好ましくは5モル%以上、または6モル%以上であってよく、30モル%以下、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、優先的には18モル%以下であり得る。なお、アルケニル基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、
(A-1)平均単位式:(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(XO1/2
(式中、Rは同じかまたは異なるハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、Xは水素原子またはアルキル基であり、a、b、c、d、およびeは、0≦a≦1.0、0≦b≦1.0、0≦c<0.9、0≦d<0.5、0≦e<0.4であり、a+b+c+d=1.0であり、かつ、c+d>0を満たす数である。)で表され得る。
【0032】
上記式中のRのハロゲン置換または非置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。Rは、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であってもよい。Rは、好ましくは、フェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基もしくはシクロアルキル基、または炭素原子数2~6のアルケニル基から選択され、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基又はフェニル基である。
【0033】
平均単位式(A-1)において、Xは水素原子またはアルキル基である。Xのアルキル基としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、およびプロピル基が例示される。
【0034】
平均単位式(A-1)において、aは、好ましくは、0.1≦a≦0.9の範囲であり、より好ましくは0.15≦a≦0.8の範囲であり、さらに好ましくは0.2≦a≦0.7の範囲であり、特に0.25≦a≦0.6の範囲である。平均単位式(A-1)において、bは、好ましくは、0≦b≦0.3の範囲であり、より好ましくは0≦b≦0.2の範囲であり、特に0≦b≦0.1の範囲である。平均単位式(A-1)において、cは、好ましくは、0≦c≦0.9の範囲であり、より好ましくは0≦c≦0.85の範囲であり、特に0≦c≦0.8の範囲である。平均単位式(A-1)において、dは、好ましくは、0.1≦d≦0.9の範囲であり、より好ましくは0.2≦d≦0.8の範囲であり、さらに好ましくは0.3≦d≦0.7の範囲であり、特に0.4≦d≦0.6の範囲である。平均単位式(A-1)において、eは、好ましくは、0≦e≦0.3の範囲であり、より好ましくは0≦e≦0.2の範囲であり、特に0≦e≦0.1の範囲である。
【0035】
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、好ましくはM単位およびQ単位を含み、より好ましくはM単位およびQ単位のみからなる。M単位とQ単位の比率は特に限定されないが、Q単位に対するM単位の比が0.5~3の範囲内であることが好ましく、さらには、0.8~2の範囲内であることが好ましい。これは、Q単位に対するM単位の比が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、(A)成分に対する相溶性が向上するからである。
【0036】
そのため、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、
(A-2)平均単位式:(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2
(式中、Rは前記と同じであり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、fは、5~1,000の整数であり、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは20~100の整数であり、さらに好ましくは25~75の整数であり、gは、5~1,000の整数であり、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは20~100の整数であり、さらに好ましくは25~75の整数であり、Xは前記と同じであり、hは0~10の整数である。)で表され得る。
【0037】
別の実施形態において、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、好ましくはM単位およびT単位を含み、より好ましくはM単位およびT単位のみからなる。M単位とT単位の比率は特に限定されないが、T単位に対するM単位の比が0.1~1の範囲内であることが好ましく、さらには、0.2~0.5の範囲内であることが好ましい。これは、T単位に対するM単位の比が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的特性が良好となるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、(A)成分に対する相溶性が向上するからである。
【0038】
そのため、(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンは、
(A-3)平均単位式:(R SiO1/2(RSiO3/2(XO1/2
(式中、Rは前記と同じであり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、Rは前記Rと同じであり、iは、5~1,000の整数であり、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは20~100の整数であり、さらに好ましくは25~75の整数であり、jは、5~1,000の整数であり、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは20~100の整数であり、さらに好ましくは25~75の整数であり、Xは前記と同じであり、kは0~10の整数である。)で表され得る。
【0039】
(A)成分のレジン状オルガノポリシロキサンがアリール基を含有する場合、その含有量(レジン状オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、所望により設計可能であるが、5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、優先的には35モル%以上、特に好ましくは40モル%以上、または45モル%以上であってよく、75モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、優先的には60モル%以下であり得る。なお、アリール基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0040】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、好ましくは、(A)成分として直鎖状オルガノポリシロキサンを含む。
【0041】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、および分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が例示される。
【0042】
(A)成分の直鎖状オルガノポリシロキサン中に含まれるアルケニル基の含有量(直鎖状オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合官能基全体に占めるアルケニル基のモル%)は、所望により設計可能であるが、0.1モル%以上、好ましくは0.2モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.4モル%以上、優先的には0.5モル%以上であってよく、10モル%以下、好ましくは8モル%以下、より好ましくは6モル%以下、優先的には5モル%以下であり得る。なお、アルケニル基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0043】
(A)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンは、
(A-3)一般式:R SiO(R SiO)OSiR
(式中、Rは前記と同じであり、ただし、少なくとも2個のRはアルケニル基であり、mは5~1,000の整数であり、好ましくは10~500の整数であり、より好ましくは25~300の整数であり、さらに好ましくは50~250の整数である。)で表され得る。
【0044】
(A)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンがアリール基を含む場合、アリール基の含有量(直鎖状オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、所望により設計可能であるが、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは35モル%以上、優先的には40モル%以上であってよく、70モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、優先的には50モル%以下であり得る。なお、アリール基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0045】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、好ましくは、(A)成分としてレジン状オルガノポリシロキサンと直鎖状オルガノポリシロキサンの両方を含む。レジン状オルガノポリシロキサンと直鎖状オルガノポリシロキサンの含有量の比率は、特に限定されないが、好ましくは、直鎖状オルガノポリシロキサン/レジン状オルガノポリシロキサンの含有量の割合は、0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、特に1.5以上である。また、(A)成分としての直鎖状オルガノポリシロキサン/レジン状オルガノポリシロキサンの含有量の比率は、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは3以下である。
【0046】
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、硬化性白色シリコーン組成物の総質量に基づいて、10質量%以上で含まれ、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上で含まれる。好適な実施形態において、(A)成分は、硬化性白色シリコーン組成物の総質量に基づいて、80質量%以下で含まれ、好ましくは70質量%以下で含まれ、より好ましくは60質量%以下で含まれる。
【0047】
(A)成分は、目的に応じてアリール基を含有していても良い。アリール基を含有することで、アリール基を有しない場合よりも耐光性には劣るものの、硬さ・強度が高く、取り扱いやすい白色硬化物を得ることができる。(A)成分全体のアリール基の含有量(オルガノポリシロキサンのケイ素原子結合官能基全体に占めるアリール基のモル%)としては、(A)成分全体の20モル%以上、より好ましくは40モル%以上とすることができる。
【0048】
(B)セリウム含有オルガノポリシロキサン
発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、(B)成分としてセリウム含有オルガノポリシロキサンを含む。(B)セリウム含有オルガノポリシロキサンは、例えば、塩化セリウムまたはカルボン酸のセリウム塩と、シラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩との反応により調製され得る。そのため、本明細書において、用語「セリウム含有オルガノポリシロキサン」とは、シラノール基含有オルガノポリシロキサンとセリウム塩とを反応することにより得られるものであり、オルガノポリシロキサンのシラノール基とセリウム原子とが化学的に結合したものを意味し得る。
【0049】
上記のカルボン酸のセリウム塩としては、2-エチルヘキサン酸セリウム、ナフテン酸セリウム、オレイン酸セリウム、ラウリン酸セリウム、およびステアリン酸セリウムが例示される。塩化セリウムとしては、三塩化セリウムが例示される。
【0050】
また、上記のシラノール基含有オルガノポリシロキサンのアルカリ金属塩としては、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのカリウム塩、および分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、一方の分子鎖片末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンのナトリウム塩が例示される。なお、このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、およびナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、およびフェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;ならびにこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。
【0051】
上記の反応は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール等のアルコール;トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、およびヘプタン等の脂肪族炭化水素;ミネラルスプリット、リグロイン、および石油エーテル等の有機溶媒中で、室温もしくは加熱することにより行われる。また、得られる反応生成物は、必要に応じて有機溶媒や低沸点成分を留去したり、沈析物をろ過することが好ましい。また、この反応を促進するために、ジアルキルホルムアミド、ヘキサアルキルホスホアミド等を添加してもよい。このようにして調製されるセリウム含有オルガノポリシロキサン中のセリウム原子の含有量は、0.1~15質量%の範囲内であるものが好ましい。
【0052】
本件発明者は、(B)セリウム含有オルガノポリシロキサンを含む硬化性白色シリコーン組成物の硬化物が、高い光反射率を維持しつつ、優れた耐光性を示すことができることを見出し、本発明を完成させた。(B)セリウム含有オルガノポリシロキサンが硬化性白色シリコーン組成物の硬化物の耐光性を向上できる理由は、現段階では明らかになっていないが、(B)セリウム含有オルガノポリシロキサンが白色顔料による光触媒活性を阻害する作用を有するためであると考えられる。
【0053】
(B)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、本組成物の全質量中、セリウム原子が質量単位で0.5~1,000ppmの範囲内となる量であり、より好ましくは、1~500ppmの範囲内となる量である。
【0054】
(C)白色顔料
発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、(C)成分として白色顔料を含む。(C)白色顔料は、1種類の(C)白色顔料を含んでもよいし、2種類以上の(C)白色顔料を含んでもよい。
【0055】
(C)白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物;ガラスバルーン、ガラスビーズ等の中空フィラー;その他、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化アンチモンが例示される。光反射率と隠蔽性が高いことから、酸化チタンが好ましい。また、UV領域の光反射率が高いことから、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムが好ましい。
【0056】
白色顔料は、反射率・白色度・耐光性を高める目的で、さらに表面処理を施しても良い。表面処理の種類としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、有機化合物、シロキサン処理など、公知の表面処理が挙げられる。有機化合物としては、特に限定されないが、多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機シロキサン等の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。表面処理の方法としては、公知の方法であれば特に限定されず、(1)あらかじめ表面処理された白色顔料をシリコーン組成物中に混合させる方法、(2)白色顔料とは別に表面処理剤をシリコーン組成物中に添加し、組成物中で白色顔料とを反応させる方法、などを用いることができる。
【0057】
白色顔料の表面処理は、公知の種類のものであれば特に限定されないが、シリカを含まないものが、得られる白色硬化物の耐光性が特に優れる点で、特に好ましい。さらに、有機物処理を含まないものの方が、得られる白色硬化物の耐熱試験後の反射率を高く維持できる点で、特に好ましい。白色顔料の表面処理は、エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)や、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)などの分析方法を用いて分析することができる。
【0058】
(C)成分の平均粒径や形状は限定されないが、平均粒径は0.05~10μmの範囲内であることが好ましく、0.1~5μmの範囲内であることがより好ましく、特に0.15~3μmの範囲内であることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0059】
本組成物において、(C)成分の含有量は、特に限定されないが、本組成物の全質量に対して、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。これは、(C)成分の含有量が上記下限以上であると、得られる硬化物の光反射率が良好であるからである。また、好適な実施形態において、(C)成分は、本組成物の総質量に基づいて、80質量%以下で含まれ、好ましくは70質量%以下で含まれ、より好ましくは60質量%以下で含まれる。
【0060】
(D)硬化用触媒
(D)成分の硬化用触媒は、(A)成分のオルガノポリシロキサンを硬化するための触媒成分である。発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、1種類の(D)硬化用触媒を含んでもよいし、2種類以上の(D)硬化用触媒を含んでもよい。
【0061】
(D)成分の硬化用触媒は、好ましくは、(d1)ヒドロシリル化反応触媒、(d2)過酸化物および(d3)高エネルギー線硬化触媒から選ばれ得る。発明に係る硬化性白色シリコーン組成物は、これらの1種類のみを含んでもよいし、これらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
(d1)ヒドロシリル化反応用触媒は、ヒドロシリル化反応硬化型のシリコーン組成物の硬化を促進するための触媒である。このような(d1)成分としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンの錯体、白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの錯体、白金を担持した粉体等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム、パラジウム黒、トリフェニルフォスフィンとの混合物等のパラジウム系触媒;さらに、ロジウム系触媒が挙げられ、特に、白金系触媒であることが好ましい。
【0063】
(d1)成分の配合量は、(A)成分の硬化に必要な触媒量であり、特に制限されるものではないが、例えば白金系触媒を用いた場合、この白金系触媒に含まれる白金金属量は、シリコーン組成物中に重量単位で0.01~1000ppmの範囲内となる量であることが実用上好ましく、特に、0.1~500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
【0064】
(d2)過酸化物としては、例えば、過酸化アルキル類、過酸化ジアシル類、過酸化エステル類、または過酸化カーボネート類が挙げられる。
【0065】
過酸化アルキル類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキソナン等が挙げられる。
【0066】
過酸化ジアシル類としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等が挙げられる。過酸化エステル類としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルパーオキシル-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、tert-アミルパーオキシ3,5,5―トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ3,5,5―トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-ブチルパーオキシトリメチルアディペート等が挙げられる。
【0067】
過酸化カーボネート類としては、例えば、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0068】
(d2)成分の配合量は、(A)成分の硬化に必要な触媒量であり、特に制限されるものではないが、(A)成分のオルガノポリシロキサン成分100質量部に対して、0.05~10質量部の範囲であってよく、0.10~5.0質量部の範囲が好ましい。
【0069】
(d3)高エネルギー線硬化触媒としては、従来紫外線を含む高エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物として公知のもの、例えばカルボニル化合物、有機硫黄化合物、アゾ化合物などの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、4-メチルアセトフェノン、3-ペンチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、3-ブロモアセトフェノン、4-アリルアセトフェノン、p-ジアセチルベンゼン、3-メトキシベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4-クロロ-4’-ベンジルベンゾフェノン、3-クロロキサントーン、3,9-ジクロロキサントーン、3-クロロ-8-ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4 -ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2-クロロチオキサントーン、ジエチルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル〔4-(メチルチオ)フェニル〕2-モルフォリノ-1- プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどが例示される。
【0070】
(d3)成分の配合量は、(A)成分の硬化に必要な触媒量であり、特に制限されるものではないが、(A)成分のオルガノポリシロキサン成分100質量部に対して、0.05~10質量部の範囲であってよく、0.10~5.0質量部の範囲が好ましい。
【0071】
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(D)成分の硬化用触媒が(a1)ヒドロシリル化反応用触媒を含む場合、すなわち、本発明に係る硬化性白色シリコーン組成物の硬化がヒドロシリル化反応を含む場合、本発明の組成物は、架橋剤として、(E)成分の一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含み得る。(E)成分は1種のみのオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いてもよく、2種以上のオルガノハイドロゲンポリシロキサンを組み合わせて用いてもよい。
【0072】
(E)成分の分子構造としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、および三次元網状構造が例示され、好ましくは、直鎖状構造である。(E)成分は1種のみの構造のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いてもよく、2種以上の構造のオルガノハイドロゲンポリシロキサンを組み合わせて用いてもよい。
【0073】
(E)成分のケイ素原子結合水素原子は、分子鎖両末端か、または、分子鎖の両末端以外の側鎖にケイ素原子結合水素原子が含有されていてもよい。(E)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~20個のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。なお、(E)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよい。
【0074】
このような(E)成分としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、H(CHSiO1/2単位およびSiO4/2単位からなるオルガノポリシロキサン、ならびにH(CHSiO1/2単位、(CHSiO1/2単位およびSiO4/2単位からなるオルガノポリシロキサンが例示される。
【0075】
好ましい実施形態において、(E)成分は、
一般式(E-1):R SiO(HRSiO)OSiR
(式中、RはRと同じであり、nは1~100、好ましくは10~90、より好ましくは20~80、さらに好ましくは30~70の範囲の数である。)で表され得る。
【0076】
別の好ましい実施形態において、(E)成分は、
平均単位式(E-2):(HR SiO1/2(RSiO3/2
(式中、RはRと同じであり、p、qは1~100、好ましくは10~90、より好ましくは20~80、さらに好ましくは30~70の範囲の数である。)で表され得る。
【0077】
(E)成分はアリール基、好ましくはフェニル基を含むことができる。この場合、アリール基の含有量((E)成分のケイ素原子結合官能基全体に占めるアリール基のモル%)は、所望により設計可能であるが、1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であってよく、40モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、優先的には20モル%以下であり得る。なお、アリール基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0078】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物が(E)成分を含む場合、(E)成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1~10モルとなる量であり、好ましくは、0.5~5モルとなり、特に、0.8~1.2モルとなる量であり得る。なお、(E)成分中のケイ素原子結合水素原子の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析によって求めることができる。
【0079】
また、別の実施形態において、本発明の硬化性白色シリコーン組成物が(E)成分を含む場合、(E)成分の含有量は、本発明の組成物の総質量に対して、0.1~20質量%の範囲であり、好ましくは0.5~15質量%の範囲である。
【0080】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、アセチレン化合物、有機リン化合物、ビニル基含有シロキサン化合物、ヒドロシリル化反応抑制剤;白色顔料以外の無機充填剤、または、無機充填剤の表面を有機ケイ素化合物により疎水処理してなる無機充填剤、ケイ素原子結合水素原子およびケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、粘着性付与剤、耐熱性付与剤、耐寒性付与剤、熱伝導性充填剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、蛍光体、溶剤等が挙げられる。
【0081】
ヒドロシリル化反応抑制剤は、シリコーン組成物のヒドロシリル化反応を抑制するための成分であって、具体的には、例えば、エチニルシクロヘキサノールのようなアセチレン系、アミン系、カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等の反応抑制剤が挙げられる。反応抑制剤の添加量は、通常、本組成物全体の0.001~5質量%である。
【0082】
無機充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、シルセスキオキサン、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で表面疎水化処理した充填剤等が挙げられる。また、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。但し、無機充填剤の配合量は、本組成物の40質量%以下であってよく、30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、特に10質量%以下の量であるのが好ましい。
【0083】
蛍光体としては、発光ダイオード(LED)に広く利用されている、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体等からなる黄色、赤色、緑色、青色発光蛍光体、およびこれらの少なくとも2種の混合物が例示される。酸化物系蛍光体としては、セリウムイオンを包含するイットリウム、アルミニウム、ガーネット系のYAG系緑色~黄色発光蛍光体、セリウムイオンを包含するテルビウム、アルミニウム、ガーネット系のTAG系黄色発光蛍光体、および、セリウムやユーロピウムイオンを包含するシリケート系緑色~黄色発光蛍光体が例示される。酸窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するケイ素、アルミニウム、酸素、窒素系のサイアロン系赤色~緑色発光蛍光体が例示される。窒化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、ケイ素、窒素系のカズン系赤色発光蛍光体が例示される。硫化物系蛍光体としては、銅イオンやアルミニウムイオンを包含するZnS系緑色発色蛍光体が例示される。酸硫化物系蛍光体としては、ユーロピウムイオンを包含するYS系赤色発光蛍光体が例示される。フッ化物系蛍光体としては、KSF蛍光体(KSiF:Mn4+)などが挙げられる。
【0084】
接着付与剤としては、例えば、エポキシ基含有アルコキシシラン、アクリル基含有アルコキシシラン、アミノ基含有アルコキシシラン、シランカップリング剤の反応縮合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、および、エチルポリシリケート[平均分子式Si(m-1)(OC2(m+1)(式中のmは平均で5である)等を挙げることができる。中でも、前記の有機チタン化合物、シランカップリング剤の反応縮合物、エチルポリシリケート[平均分子式Si(m-1)(OC2(m+1)(式中のmは平均で5である)、SiO含有量40重量%、粘度5mPa・s]またはこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
【0085】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、各成分を混合することにより調製できる。各成分の混合方法は、従来公知の方法でよく特に限定されないが、通常、単純な攪拌により均一な混合物となる。また、任意成分として無機充填剤等の固体成分を含む場合は、混合装置を用いた混合がより好ましい。こうした混合装置としては特に限定がなく、一軸または二軸の連続混合機、二本ロール、ロスミキサー、ホバートミキサー、デンタルミキサー、プラネタリミキサー、ニーダーミキサー、ヘンシェルミキサー等が例示される。
【0086】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、硬化して可視光領域における高い分光反射率を有する硬化物を与えるものであり、好ましくは、250μmの厚みにおいて、可視波長領域の光反射率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
【0087】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物を硬化して得られる硬化物は、高い光反射率を有し、耐光性に優れるため、本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、光反射材、特に、光半導体装置の光反射材用に好適に利用することができる。
【0088】
[光半導体装置用反射材]
本発明はまた、本発明の硬化性白色シリコーン組成物を硬化して得られる光半導体装置用反射材に関する。本発明の光半導体装置用反射材は、本発明の硬化性白色シリコーン組成物を硬化して得られるため、高い光反射率を有し、耐光性に優れる。光半導体装置としては、特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体が例示され、特に、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
【0089】
[光半導体装置]
本発明の光半導体装置は、本発明の光半導体装置用反射材を備える。こうした光半導体装置としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体が例示され、特に、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。本発明の光半導体装置は、反射率および耐光性に優れる本発明の光半導体装置用反射材を備えるので、発光効率および信頼性に優れる。
【実施例
【0090】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物を以下の実施例および比較例により詳細に説明する。
【0091】
以下の実施例および比較例において、下記に示す原料成分を用いた。以下でMeはメチル基を表し、Viはビニル基を表し、Phはフェニル基を表す。
成分a-1:平均構造式(ViMeSiO1/210(MeSiO1/240(SiO4/250で表されるレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
成分a-2:一般式ViMeSiO(MeSiO)150OSiViMeで表される直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
成分a-3:平均構造式(ViMeSiO1/225(PhSiO3/275で表されるレジン状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
成分a-4:一般式ViMeSiO(PhMeSiO2/220SiOMeViで表される直鎖状アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
成分b-1:セリウムの含有率が0.5質量%であるセリウム含有ジメチルポリシロキサン
成分c-1:酸化チタン(平均粒径0.25μm、PX3788、堺化学工業社製)
成分c-2:酸化亜鉛(平均粒径0.6μm、堺化学工業社製)
成分c-3:酸化チタン(平均粒径0.21μm、CR-63、石原産業社製)
成分c-4:酸化チタン(平均粒径0.3μm、KRONOS2360、KRONOS社製)
成分c-5:酸化チタン(平均粒径0.25μm、CR-90、石原産業社製)
成分c-6:酸化チタン(平均粒径0.21μm、PF-691、石原産業社製)
成分c-7:酸化チタン(平均粒径0.21μm、CR-60、石原産業社製)
成分c-8:酸化チタン(平均粒径0.21μm、CR-60-2、石原産業社製)
成分c-9:酸化チタン(平均粒径0.25μm、CR-97、石原産業社製)
成分c-10:酸化チタン(平均粒径0.21μm、JR-405、テイカ社製)
成分c-11:酸化チタン(平均粒径0.21μm、JR-405S、テイカ社製)
成分c-12:酸化チタン(平均粒径0.26μm、TCR-10、堺化学工業社製)
成分c-13:酸化ジルコニウム(平均粒径1.5~2.5μm、SPZ、第一稀元素化学社製)
成分d:白金濃度が4.0質量%である白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの錯体
成分e-1:一般式MeSiO(HMeSiO)50OSiMeで表される、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分e-2:平均構造式(HMeSiO1/260(PhSiO3/240で表される、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分f:エチニルシクロヘキサノール
【0092】
[実施例1および比較例1]
各成分を表1に示す組成(質量%)で混合し、硬化性白色シリコーン組成物を調製した。
【0093】
[クラックの有無]
実施例1および比較例1の硬化性白色シリコーン組成物をガラス基板上に塗布し、150℃で2時間加熱することにより硬化させ、厚さ250μmの硬化物を得た。得られた硬化物に高圧水銀ランプを使用して140mW/cmのUV照度で紫外光を10時間照射した後に外観を確認してクラックの有無を確認した。結果を以下の表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
[実施例2~3および比較例2~3]
各成分を表2に示す組成(質量%)で混合し、硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0096】
[反射率]
実施例2~3および比較例2~3の硬化性白色シリコーン組成物をガラス基板上塗布し、150℃で2時間加熱することにより硬化させ、厚さ250μmの硬化物を得た。得られた硬化物に(色差CM-5、コニカミノルタ社製)を使用して光の反射率を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0097】
[耐光性試験]
実施例2~3および比較例2~3の硬化性白色シリコーン組成物をガラス基板上塗布し、150℃で2時間加熱することにより硬化させ、厚さ250μmの硬化物を得た。得られた硬化物に高圧水銀ランプを使用して140mW/cmのUV照度で紫外光を照射し、硬化物にクラックが発生するまでの時間を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
[実施例4~15]
実施例1に記載のC成分を、下記表3に記載の白色顔料に変更した以外は、実施例1と同様に硬化物を作成し、同様に反射率及び耐光性を評価した。その結果を表3に示す。表中、酸化チタンの表面処理について、Alとは、水酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム(アルミナ)で酸化チタンが表面処理されていることを示し、Siとは、シリカで酸化チタンが表面処理されていることを示し、Zrとは、酸化ジルコニウムで酸化チタンが表面処理されていることを示す。
【0100】
【表3】
【0101】
[実施例16、比較例4]
セリウム含有フェニルシリコーンb-2の調製
平均式:HO(PhMeSiO)5.4Hで表される分子鎖両末端シラノール基封鎖フェニルメチルオリゴシロキサンにシラノール基と当量のナトリウムメトキシド/メタノール溶液(28質量%)、および上記両末端シラノール基封鎖フェニルメチルオリゴシロキサンと等量のトルエンを投入し、常圧で110℃まで加熱してメタノールを留去し、対応するナトリウムシラノレートのトルエン溶液を得た。次いで、室温でシラノール基に対して1/2当量のトリメチルクロロシランを滴下し、平均式: MeSiO(PhMeSiO)5.4Naで表されるナトリウムシラノレートのトルエン溶液を得た。
【0102】
次に、三塩化セリウム、トルエン及びメトキシイソプロパノールの混合物に攪拌しながら前記ナトリウムシラノレートのトルエン溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した後、塩を濾別した。濾液を加熱減圧留去し、蛍光X線分析によるセリウム含有率が9.5質量%であるセリウム含有フェニルシリコーン(b-2)を調製した。
【0103】
各成分を表4に示す組成(質量%)で混合し、硬化性シリコーン組成物を調製した。上記した実施例及び比較例と同様に反射率及び耐光性を評価した。結果を以下の表4に示す。
【0104】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の硬化性白色シリコーン組成物は、光半導体装置用反射材、特に、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体等の光半導体装置用の反射材として有用である。