(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ポンプにおける改善およびポンプに関係する改善
(51)【国際特許分類】
F04B 1/047 20200101AFI20240513BHJP
【FI】
F04B1/047
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179748
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2020513730の分割
【原出願日】2018-09-06
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・トールビョルン・ルンディーン
(72)【発明者】
【氏名】クラス・マルテルール
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・ルンドクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・マルクストローム
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・グロノウィッツ
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02461121(US,A)
【文献】実開昭48-052101(JP,U)
【文献】特開平06-336974(JP,A)
【文献】米国特許第01647309(US,A)
【文献】米国特許第06152705(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00- 7/06
F04B 25/00-37/00
F04B 41/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセスシステムに使用される
、下側に入り口、かつ、上側に出口を備える多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)であって、複数のポンプキャビティ(122、222)を備えるポンプ本体部(120、220)を具備し、前記ポンプキャビティ(122、222)それぞれは一方向弁の少なくとも1つの連動する対を備え、前記少なくとも1つの連動する対は
、下方の入口弁(128、228)と
上方の出口弁(131、231)とを備え、それぞれの入口弁(128、228)は共通入口(124、224)と流体的に連通し、それぞれの出口弁(131、231)は共通出口(238)と流体的に連通し、
前記ポンプキャビティ(122、222)は、
上下方向に延在するポンプ軸(AR)の周りに、ならびに前記共通入口(124、224)および前記共通出口(238)の周りに配置構成され、
前記ポンプキャビティ(122、222)それぞれは
、前記ポンプ(100、200)に対して上方に増加する断面積を有することを特徴とする多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項2】
前記共通入口(124、224)は、下側ハウジング(221)内に収容された入口(223)によって供給され、前記共通出口(238)は、上側ハウジング(227)内に収容された出口(240)によって供給される請求項1に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項3】
前記ポンプキャビティの数は、3個、5個、7個、9個など奇数個である請求項1または2に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項4】
前記ポンプキャビティ(122、222)は、前記共通入口(124、224)および前記共通出口(238)の周上径方向外向きに配置構成される請求項1から3のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項5】
前記ポンプキャビティ(122、222)は、流体移送をもたらすための移動可能なダイアフラム(132、232)またはシリンダー内で往復運動可能なピストンを備える請求項1から4のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項6】
前記ポンプ本体部(120、220)は、前記共通入口(124、224)から前記ポンプキャビティ(122、222)それぞれまで延在する複数の入口流路(126、226)および/または前記ポンプキャビティ(122、222)それぞれから前記共通出口(238)まで延在する複数の出口流路(130、230)を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項7】
前記共通入口(124、224)は円環状部として形成された部分を有し、前記入口流路はそれぞれの入口弁を介して概して径方向外向きおよび上方に前記ポンプキャビティ(122、222)内に貫入する請求項6に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項8】
前記出口流路(130、230)は、それぞれの前記出口弁(131、231)を介して前記ポンプキャビティ(122、222)から概して径方向内向きに、および上方に向かって前記共通出口(238)内に入る請求項
6に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項9】
全体がプラスチック材料でできており、かつ/または、ウィープダクト(480)を含んでいる請求項1から8のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項10】
前記ポンプキャビティ(122、222)の容積は各々、駆動部(110、210)を用いて循環的に変更可能である請求項1から9のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項11】
前記駆動部は、前記共通入口(124、224)または前記共通出口(238)の径方向外向きに配置構成され、前記ポンプキャビティ(122、222)の周りにある請求項10に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項12】
前記駆動部(110、210)は、前記ポンプキャビティ(122、222)ならびに前記共通入口(124、224)および/または前記共通出口(238)の周りに接する経路内で回転するフォロワドライバ(250)上に形成されたフォロワ駆動表面(254)の偏心または他の非円形運動を用いて往復運動可能な複数のフォロワ(260)を備える請求項10または11に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項13】
材料を強化するために任意に後処理された材料の層毎の堆積によって、前記ポンプ(100、200)の外部ハウジング(221)又は(227)と一体的に形成されたフランジ付きポンプ入口(223)及び/又はフランジ付きポンプ出口(240)を含む請求項1または2に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項14】
30立方cmから80立方c
mの前記共通入口(124、224)から前記共通出口(238)までの内部容積を有する請求項1から13のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項15】
前記ポンプキャビティ(122、222)及び前記共通入口(124、224)及び共通出口(238)は、処分のために前記ポンプ(100、200)の他の部分から分離されるように構成される請求項1から14のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)を備えるバイオプロセスシステム(1000)。
【請求項17】
前記ポンプ(100、200)を通る凝集流体流を引き起こすように前記ポンプキャビティ(122、222)それぞれを所定の反復パターンに従って動作させるステップであって、前記凝集流体流は前記ポンプ(100、200)の前記共通出口(238)における圧力の4%以
下の圧力変化を有する、ステップを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)の操作方法。
【請求項18】
前記ポンプ(100、200)を1時間当たり2500リットルまでの流量範囲で作動させるステップを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の多連キャビティ往復容積移送式流体ポンプ(100、200)の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多連キャビティ往復容積移送式ポンプ(multiple cavity reciprocating positive displacement pump)に関するものであり、特に、限定はしないが、より均一な圧力出力を行うために放射状構成で配置構成されている多連キャビティダイアフラムポンプ(multiple cavity diaphragm pump)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、実験室処理または生物学的処理のために、たとえば、クロマトグラフ法、または細胞培養を含む他の実験計測機器では、広範な流動が、圧力変動を最小限度に抑えた一貫した圧力とともに要求される。容積移送式ポンプは、必要な流動範囲をもたらすが、代償として出力中に圧力脈動が生じる。回転要素ポンプは、概して一貫した圧力をもたらすが、その流動範囲は制限され、多連ポンプ段がないと、高圧を達成することは困難である。多連ポンプは連携することで圧力脈動を均すことが知られているが、コスト低減のため、ポンプは1つだけであるのが望ましく、ポンプが1つであれば制御することも、きれいにしておくこともたやすい。
【0003】
ダイアフラムポンプには、生物学的処理分野での用途においていくつかの利点があり、たとえば、これはポンプで送られる流体に対して大きな剪断力を加えることもなく、たとえば、細胞およびタンパク質を含む流体をポンプで送るために好ましい。そのようなポンプは、妥当な範囲の流量、および圧力も有する。たとえば、平行キャビティがスウォシュプレートによって駆動されるQuattroflow(商標)のブランドで市販されているような多連キャビティダイアフラムポンプが提案されている。
図1は、ウェブページ:
http://www.globalspec.com/learnmore/flow_transfer_control/pumps/piston_plunger_pumps
から引用した別の多連キャビティポンプ(multiple cavity pump)を示している。
その放射状設計では、複数の入口および出口が放射状パターンで配置構成され、これは、まとめて清掃するのに時間がかかり、空気トラッピングが生じる可能性があるため不利点である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、上で述べた不利点を克服し、きれいにしておくことが容易であり、空気をトラップする傾向を低減し、比較的良好な範囲の流動および圧力を有する、低コストの多目的ポンプを提供することを求める。
【0005】
請求項1に従属する請求項によって定義される好ましい特徴を有する請求項1に記載のポンプを提供する。本発明の他の特徴は、請求項1の後の請求項に提供される。
【0006】
しかしながら、本発明は、本明細書において開示されている特徴の任意の組合せに、そのような組合せが本明細書において明示的に説明または請求されているかどうかに関係なく拡大適用される。さらに、2つまたはそれ以上の特徴が本明細書において組合せで言及されている場合、そのような特徴は、本発明の範囲を拡張することなく別に請求され得ることが意図されている。
【0007】
本発明は、多数の方法で実現することができ、それらの例示的な実施形態は、図面を参照しつつ以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図2に示されているポンプのキャビティ部分の拡大断面図である。
【
図6】
図2に示されているポンプの、ポンプ本体部サブアセンブリの斜視図である。
【
図7】
図6に示されているサブアセンブリの本体部コンポーネントの斜視図である。
【
図9】2つの異なる修正されたダイアフラム駆動カムのプロファイルを表すグラフを示す図である。
【
図10】2つの異なる修正されたダイアフラム駆動カムのプロファイルを表すグラフを示す図である。
【
図11】別の代替的ポンプ配置構成を示す断面図である。
【
図13】さらに別のポンプ配置構成を示す図である。
【
図14】使い捨て型ポンプ配置構成を示す図である。
【
図15】ポンプを採用する典型的なバイオプロセス処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、その目的およびその利点と併せて、添付図面とともに示される次の説明を参照することでよく理解され得る。
【0010】
図1を参照すると、多連容積移送式ポンプキャビティ2を有する、知られているポンプ1が図示されている。各キャビティ2は、2つの対向する逆止め弁4および5を有し、中心カム3によって駆動される往復運動要素6に応答して流体を弁4に通し、弁5を介して排出することを可能にする。
図1に示されている配置構成が知られている。入口4および出口5は分離しており、キャビティ2はその行き止まりで空気を保持しがちである。しかしながら、2つの対向する一方向弁(またはそれと同等のもの)を使用することによるキャビティからの流体の吸引および排出の交互動作を行う、往復運動動作の原理は、本発明でも使用される。
【0011】
図2は、改善されたポンプ配置構成100の概略断面図であり、これはポンプ本体部120を備え、その中に、複数の、この場合には5つの、ポンプキャビティ122が形成され、この場合、隆起部125の周りに形成された共通中心円環状入口124の形態の、共通入口と、それぞれのポンプキャビティ入口126を介して、すべて流体的に連通する。各ポンプキャビティ入口126は、流体がポンプキャビティ122内に入ることを許すが、その中から出ることを許さない一方向入口弁128を備える。各ポンプキャビティ122は、共通出口(この図には示されていない)と、ポンプキャビティ出口130を介してさらに流体的に連通しているが、中心入口124に隣接して配置される。この場合、共通出口は、共通入口124の上、すなわち、
図2に示されている断面の平面より上にある。各ポンプキャビティ出口130は、流体がポンプキャビティ122から出ることを許すが、その中に入ることを許さない一方向出口弁131を備える。各ポンプキャビティ122は、駆動手段(図示せず)によって、たとえば、機械的インターフェース134に接続されている機械的手段によって、矢印Rの方向での往復運動で移動することができる可撓性材料ダイアフラム132をさらに備える。他の種類の駆動手段の例は、空気圧変動、油圧変動、またはモーターもしくは電気ソレノイドによって引き起こされる機械的運動、および同様のものを含む。ダイアフラム132は、衛生上の理由から好ましいものの、シリンダー内で往復運動可能なピストンと置き換えることも可能であることは理解されるであろう。
【0012】
図3は、駆動モーター50と一緒に、上の段落で説明されている方式で動作可能な、改善されたポンプ配置構成200の断面を示している。
図2に関して説明されている部分に、形態および機能の点で類似する
図3に示されているポンプの部分は、それぞれの参照番号の同じ下二桁を有する。それによって、フランジ付き入口223によって供給される、各々が共通円環状入口224の周りに配設される複数のポンプキャビティ222を備える本体部分220を有する、改善されたポンプ200が図示されている。このポンプは5つのキャビティ222を有しているので、
図3に例示されている中間セクションは、1つのキャビティ222だけを断面で示している。キャビティ222は、中心隆起部225の周りの円環状部224内に分岐する共通フランジ付き入口223を介して供給を受け、円環状部224は、キャビティ222に対する、および断面で図示されていない他の4つのキャビティの各々に対する、複数のキャビティ入口226(そのうちの1つのみが断面で示されている)を提供する。複数のキャビティ入口226は、すべて、この場合には曲がって流体がキャビティ内に入るのを許すが、流体圧力の力によってキャビティ入口226の上に被されて入口226からの流体漏出を防ぐように閉じる単純な弾性カップ228の形態の一方向入口弁228によって閉鎖される。ポンプキャビティ222は、機械的インターフェース234によって駆動される、矢印Rの方向に往復運動で出し入れするための可撓性ダイアフラム232を備える。ポンプキャビティ222は、キャビティ入口弁228に構造上類似し、流体がキャビティ222から出ることを許すがキャビティ222に戻ることを許さないキャビティ出口弁231をさらに備える。ポンプで送られる流体は、それぞれのキャビティ出口230を介して各キャビティ222から出て共通出口チャンバー238内に入りフランジ付きポンプ出口240で終了するものとしてよい。上で述べたポンプの作動コンポーネントは、入口223および出口240とそれぞれ一体形成された、下側ハウジング221および上側ハウジング227内に収納される。
【0013】
電気モーター50は回転可能出力軸52を有し、この回転可能出力軸52に歯付き駆動プーリー54が固定され、次いでこれは歯付きベルト56を駆動し、次いでこれは概してポンプの中心にある軸ARの周りに回転可能な歯付き受けプーリー58を駆動する。受けプーリーは、この場合に軸ARと同心のシリンダー外面252を有するドラム250の形態の、外側ダイアフラム駆動部210と、この場合に、円筒形であるが、軸ARに対して偏心している、内側ドラム面254とに非回転可能に固定され、これはそれぞれ軸ARの左および右のドラムの異なる断面厚さ「T」および「t」からわかる。内側ドラム面は、対応する内部対向表面256を有する。表面254および256は、フォロワローラー260(この場合、キャビティ毎に3つのフォロワボールレース(follower ball race)がある)が保持される偏心円環状溝258を形成し、モーターがドラム250を駆動したときに軸ARに関して径方向内向きおよび外向きに往復運動する。フォロワ260は、以下でより詳しく説明されているように往復運動Rをもたらすようにインターフェース234に接続される。
【0014】
図4は、
図3に示されているキャビティ222の拡大図を示しており、キャビティコンポーネントはより明確になっている。可撓性ダイアフラム232は、この実施形態では、弾性材料から形成された円盤状モールディングであり、可撓性を改善するための円環状廃棄部分235と、ダイアフラム232をポンプ本体部220に対して流体密封方式で固定して保持するためのリテーナ233とを有する。カップ形キャビティ入口弁228は、キャビティに面している凹状部分と、本体部220上の適所に保持するための中心ニップル229とを有するものとして見ることができる。凹状部分は可撓性であり、押されると、ダイアフラムがキャビティ入口弁の方へ押されるとキャビティ入口226(複数のキャビティに使用されるように、複数が示されている)を閉じる。キャビティ出口弁231は類似の、ただし反対の仕方で作動し、固定ニップル237も備える。特に注意すべきは、キャビティ222の断面形状である。動作時に、キャビティは、キャビティの頂部が紙の頂部の方へ向くようにして、またキャビティの寸法がキャビティの頂部の方へ向かうにつれ、したがって出口弁231の方へ向かうにつれ大きくなるように配向されることが意図されている。ダイアフラムがチャンバー内で流体を圧縮するように移動されると、流動の方向は、キャビティ内の容積が大きくなる方へ、すなわち、この場合には上方に向かい、ポンプキャビティ内の最低流量および最高圧力は、キャビティの底部にかかり、キャビティ入口弁228を閉じるように働く。ポンプ通路の継続的に上に向かう配向、およびポンプ内の流体の意図された上方への流動は、ポンプ内の滑らかな移動とともに、使用中のトラップされたエアポケットの低減を助ける。
【0015】
図5は、
図3において直線V-Vで切った断面を示しており、ダイアフラム駆動部210をより明確に示している。ドラム254および256の面の間の偏心円環状溝258にトラップされたフォロワ260は、より明確に見ることができ、フォロワ260はロッカーアーム262で支持され、次いで、ポンプ本体部220から延在する脚部264で枢動可能に支持される。動作時に、フォロワは、円環状溝258に従った結果としてインターフェース234を移動させるように強制され、脚部264およびアーム262によって周上の適所に保持され、矢印Rの方向にインターフェース234の往復運動だけを行う。
【0016】
図6は、ダイアフラム駆動部210のコンポーネントをより詳しく示しており、そこでは、各キャビティに対する3つのフォロワレース260は、機械的インターフェース234を通り、次いで、本体部220の一部として成形されている、それぞれの脚部264上で枢動する二叉アーム262内に移動する軸xも有するアクスル上に直線配列で配置構成される。この図面には、ネジで適所に保持されているリテーナ233も見えている。
【0017】
図7はむき出しのポンプ本体部220を示しており、これは複数の入口流路226(弁カップニップル229を保持するための、流体移動のためではない中心孔)と、ここでもまた出口弁ニップル137のための中心孔がある、複数の流体放出流路230とを有する、露出されているキャビティ222のうちの1つをより明確に示している。ポンプ本体部の形態は単純でなく、製造するのが困難であると考えられる可能性もあることに留意されたい。しかしながら、球根形を有し、さまざまな部分、すなわち、共通入口224、複数の入口流路226、複数のキャビティ222、出口流路230、および共通出口238の間の滑らかな移動があるように図示されているポンプ本体部は、層毎の形成、たとえば、いわゆる3Dプリンティングまたは付加製造法を用いることで、一体品として製造されることが提案されている。したがって、プラスチック製構造物が作られるか、または強化された金属ポンプ本体部を作るために金属化形成が行われ、後処理され得る。ポンプの他のコンポーネント、たとえば、駆動ドラム250ならびに/またはハウジング211および227も同様の方法で作ることができる。
【0018】
他のダイアフラム駆動手段も提供することが可能であることは理解され、そのような1つの代替的駆動部310が
図8に示されており、フォロワ360は駆動ドラム350の偏心内面354によって内向きに連続的に押され機械的インターフェース334を移動し、次いで、ダイアフラム332を移動する。径方向外向きの復帰運動は、伸縮バネ368によってもたされる。他の代替的形態において、任意の数の機械的インターフェースの運動は、形状が不規則である、または規則的であるが複数のローブ、たとえば、2つ、4つ、または6つのローブを有するカム形状表面によってもたらされ得るが、圧力脈動を低減するために、ポンプキャビティの数が奇数、たとえば、3、5、7、または9個のキャビティである場合にはローブは偶数個であるのが好ましい。
【0019】
他のダイアフラム駆動部では、低い出力圧力脈動に対するチューニングを行うために凸凹の表面を有するカムプロファイルが提供され得る。
図9および
図10は、カムが複数のダイアフラムおよびそれらに関連する駆動機構の周りに回転できるときに、それらのダイアフラム、この場合、5個のダイアフラムを移動するための2つの異なる修正されたダイアフラム駆動カムのプロファイルを表すグラフを示す。各グラフの縦軸は、各駆動カムの真の偏心円形プロファイルから離れるmm単位の逸脱を示し、横軸はその逸脱が生じるであろう度数単位のカムの角度である。両方の場合において、図示されている形状を有するカムプロファイルは、出力脈動を著しく、たとえば、純粋に円形のカムプロファイルでの約4%から
図9および
図10に示されている2つのプロファイルのうちのいずれか一方での約0.75%まで低減する。実際、グラフによって定義されている修正された円形プロファイルは、平均直径約125mmおよびトラック幅約22mmの、溝258に類似する、円環状溝の同心の内縁および外縁内に形成され得る。したがって、出口での凝集流体圧力偏差は、この配置構成では出口の圧力の4%未満であり、いくつかのカムプロファイルでは、約0.75%となり得る。
【0020】
図11は、同軸の入口223および出口440と、それらの間の、同じ径方向に配置構成された、各々がそれぞれ入口弁428および出口弁431と連動して動作可能なダイアフラム432の動作によって上で説明されているように流体を吸い込み、流体を押し出す、複数のポンプキャビティ422とを有する、大半の点で上述されているポンプ200に構造上類似するポンプ400を示している。しかしながら、この配置構成では、ポンプ400は、ポンプの軸ARと概して同心であるように配置構成された駆動モーター450を有する。モーターのステーター451は、ポンプのハウジング421の下側部分に剛体的に収納し、モーターのローター452は、ベアリング453上で支持され、次いで、ハウジング412上に保持される。ローター452は、
図6に関して上で説明されているのと同じ方式で、ダイアフラム432を移動するための機構410を動作させる偏心ドラム460に剛体的に固定される。この実施形態では、機構410は、ドラム460の内面に従う、ただ1つのローラーベアリング460を備える。内向き圧力ストロークからこの機構が回復する速度を高めるために伸縮バネ425が使用される。ポンプは、さらなる上側ハウジング部分427を有する。
【0021】
この実施形態では、ウィープダクト(weep duct)480が見えており、これらは、たとえば、割れた、または漏れのあるダイアフラム432からの漏出を、圧力センサまたは伝導度センサ(図示せず)などの流体センサを用いて検出するために使用される。
【0022】
図12は、ポンプ400の分解図であり、ポンプキャビティ422(図示せず)を備えるポンプの内側部分475、およびポンプ機構410が、モーターハウジング421および上側ハウジング427から取り外せることを例示している。
【0023】
図13は、上で説明されているのと同じポンプ機構とともに使用することができる、ポンプ500に対する入口および出口配置構成の代替的形態を示している。ここで、ポンプは、ポンプの、出口540と同じ側に入口523を有する。これを達成するために、出口540は、別個の入口/出口内に分岐する前にその長さの一部に対して入口の内側に形成される。ポンプ内では、入口および出口は各々、上で説明されている方式で複数のポンプキャビティ522に接続され、流路Fは弁部分とともに例示され、これは上で説明されているものと同じであり、わかりやすくするため省かれている。
【0024】
図14は、上で述べたのと同じ特徴を有する簡素化されたポンプ600の概略を示している。この場合、ポンプ600は、ポンプ600がその駆動機構Dから分離可能であるので、使い捨て可能であることを意図されている。したがって、低コストポンプ600は全体をプラスチック材料から作ることができ、駆動部Dは、たとえば、ポンプのダイアフラム632を押し、引くように配置構成されているポンプキャビティ622の周りに接続されている油圧または空気圧流体圧力管路であってよい。等しい効果があれば、他の容易に切り離し可能であるか、または取り外し可能であるポンプ駆動手段も使用可能であり、したがって、ポンプはその駆動部から切り離すことができる。同じ分離可能で使い捨て可能な性質は、
図13に示されているポンプのバージョンに対して使用することが可能である。
【0025】
図15は、典型的なバイオプロセス処理システムを示しており、この場合、クロマトグラフ分離システム1000が図示されており、これは選択可能な流体入口弁11を有し、流体中の特定の成分を分離するクロマトグラフィーカラム12を提供する。センサ14は、ポンプ10が分離プロセスを駆動するときに分離の状態を決定するために使用される。この場合、ポンプ10は、
図2から
図12に関して上で述べられているポンプのうちのどれか1つであってよい。代替的に、上で述べられているポンプは、細胞もしくは他の生物培養などの他のバイオプロセス処理システム、または生物由来物質の移送で使用することが可能である。
【0026】
本発明のポンプは、たとえば、約10バールゲージ圧力の最大出口圧力がおよび大気入口圧力で1時間あたり5から2500リットルの高い範囲の流動をもたらす。そのような流動および圧力は複数の平行な、知られているポンプで達成可能な場合もあるが、多連ポンプを使用すると、必要とされる流体の量が増え、それは、たとえば
図13に示されている種類のクロマトグラフィーシステムに十分でない量の分離可能な流体が供給されるときに望ましくない。本発明では、ポンプを動作させるために必要な流体の量は、取得可能なポンプ流動に対して比較的少ない。たとえば、ポンプ200に対して、内部体積は約55立方cmであるが、キャビティおよび入口設計の変動を含むように30から80立方cmの入口から出口までの体積の範囲が使用され得る。約50から60立方cmの体積が好ましいが、本質的ではない。そのような体積は、ポンプ内に保持される液体の体積が可能な潜在的流量と比較して低いので非常に有利である。
【0027】
他の駆動配置構成も当業者には明らかであり、たとえば、電気ソレノイドが駆動手段として使用される場合、その動作は、たとえば、ポンプで送られる流体の粘度の変化に応答して、望ましい流動および/または圧力出力に適合するように変換させることができる。
【0028】
図示されているこの改善された配置構成は、従来技術に関連するさまざまな問題を解決し、特に、改善された配置構成は、共通の入口および出口を共有するのでよりコンパクトであり、空気をトラップする可能性が低くなり、清掃のしやすさが改善され、比較的広い流動および圧力範囲にわたって流動の脈動を減らす。
【0029】
2つの実施形態が説明され例示されているが、当業者にとっては、追加、省略、および修正は、請求されている発明の範囲から逸脱することなくそれらの実施形態に対して行うことが可能であることは明らかである。たとえば、ポンプは、直立して、すなわち、出口240(
図3)を上方に向けて動作させることを意図されており、本明細書の説明および請求項はその規約に従うが、出口240は入口223より上にあり、動作角度は重要でないと想定され、したがって説明上の規約はしかるべく解釈されるべきである。別個のモーター50が例示され説明されているが、一実施形態において、電気機械的駆動部は、ドラム250がモーターローターとなり、モーターステーターがその周りに組み付けられ、したがって駆動ベルト56を回避するようにドラム250内に組み込まれ得る。
【符号の説明】
【0030】
1 ポンプ
2 多連容積移送式ポンプキャビティ
3 中心カム
4 逆止め弁、入口
5 逆止め弁、出口
10 ポンプ
11 選択可能な流体入口弁
12 クロマトグラフィーカラム
14 センサ
50 駆動モーター、電気モーター
52 回転可能出力軸
54 歯付き駆動プーリー
56 歯付きベルト、駆動ベルト
58 歯付き受けプーリー
100 改善されたポンプ配置構成
120 ポンプ本体部
122 ポンプキャビティ
124 共通入口、共通中心円環状入口、中心入口
125 隆起部
126 ポンプキャビティ入口
128 一方向入口弁
130 ポンプキャビティ出口
131 一方向出口弁
132 可撓性材料ダイアフラム
134 機械的インターフェース
137 出口弁ニップル
200 改善されたポンプ配置構成、ポンプ、
210 外側ダイアフラム駆動部
211および227 ハウジング
220 本体部分、ポンプ本体部
221 下側ハウジング
222 ポンプキャビティ
223 フランジ付き入口
224 共通円環状入口、円環状部、共通入口
225 中心隆起部
226 キャビティ入口、入口流路
227 上側ハウジング
228 弾性カップ、一方向入口弁、カップ形キャビティ入口弁
229 中心ニップル、弁カップニップル
230 キャビティ出口、流体放出流路、出口流路
231 キャビティ出口弁
232 可撓性ダイアフラム
233 リテーナ
234 機械的インターフェース
235 円環状廃棄部分
237 固定ニップル
238 共通出口チャンバー、共通出口
240 フランジ付きポンプ出口
250 ドラム、駆動ドラム
252 シリンダー外面
254 内側ドラム面、表面
256 対応する内部対向表面、表面
258 偏心円環状溝
260 フォロワローラー、フォロワ、フォロワレース
262 ロッカーアーム
264 脚部
310 駆動部
332 ダイアフラム
334 機械的インターフェース
350 駆動ドラム
354 偏心内面
360 フォロワ
368 伸縮バネ
400 ポンプ
410 機構、ポンプ機構
412 ハウジング
421 ハウジング、モーターハウジング
422 ポンプキャビティ
425 伸縮バネ
427 上側ハウジング部分、上側ハウジング
428 入口弁
431 出口弁
432 ダイアフラム
440 出口
450 駆動モーター
451 モーターのステーター
452 ローター
453 ベアリング
460 偏心ドラム、ローラーベアリング
475 内側部分
480 ウィープダクト
500 ポンプ
522 ポンプキャビティ
523 入口
540 出口
600 ポンプ、低コストポンプ
622 ポンプキャビティ
632 ダイアフラム
1000 クロマトグラフ分離システム
AR 軸
D 駆動機構、駆動部
F 流路
R 往復運動
T 断面厚さ
t 断面厚さ
x 軸