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  • 特許-混合給湯システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】混合給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 19/10 20060101AFI20240513BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20240513BHJP
【FI】
F24D19/10 A
F24D17/00 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020126998
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024416
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】林 宗和
(72)【発明者】
【氏名】江川 凌太
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05358177(US,A)
【文献】特開2020-038030(JP,A)
【文献】実開昭61-013250(JP,U)
【文献】特開平07-198518(JP,A)
【文献】特開2015-209983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 19/10
F24D 17/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水管から給水される上水と給湯装置から出湯される温水とを混合槽で混合して所定の温度に調温して出湯する混合給湯システムにおいて、上記上水を混合槽に供給する上水供給経路と、上記給湯装置から混合槽に温水を供給する温水供給経路との双方に、経路の開口面積を調節するサーボ装置を設けると共に、少なくとも上記上水供給経路内の流量を検知する流量センサを設け、上記混合槽の出口側を大気側に開放した状態で上記上水経路に設けたサーボ装置を作動させて調節した上水経路の開口面積と流量センサが検知する上記上水経路内の流量とから上記上水の供給圧力を推定する水圧推定手段を設けたことを特徴とする混合給湯システム。
【請求項2】
上記水圧推定手段は、上記上水経路の開口面積を変化させ、互いに相違する複数の開口面積で各々上水の供給圧力を推定し、各開口面積での供給圧力を比較して上記上水管の水圧変動状態を推定することを特徴とする請求項1に記載の混合給湯システム。
【請求項3】
上記温水供給経路に流量センサを設け、上記水圧推定手段は温水供給経路の開口面積と温水供給経路内の流量とから、給湯装置から出湯される出湯圧力を推定することを特徴とする請求項1に記載の混合給水システム。
【請求項4】
上記混合槽内の湯水を排水する排水経路を設け、上記水圧推定手段が上記上水の供給圧力を推定する際に、この排水経路を開口して混合槽の出口側を大気側に開放することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の混合給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水供給経路と上水供給経路とに各々流量調節用のサーボ装置を備えた混合給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上水管から供給される常温の上水と、この上水管からの上水を加熱して温水として給湯する給湯装置からの温水とを、所定に比率で混合して所望する湯温の温水を吐出させる装置が従来より広く知られている。上水と温水との比率を変更するため、各々の供給経路にモータによって開度が変更されるサーボ装置を設けて、最終的に出湯すべき湯温が変更されると、上記サーボ装置を駆動して上水と温水との混合比率を変更するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような混合式の水栓では、上水や給湯装置から給湯される温水の水圧が高すぎると適切に制御することができないため、予め元圧の範囲が設定されており、特に元圧が設定されている水圧より高い場合には、施工時に施工業者が減圧装置等を設置するように設置マニュアルに指示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平1-92578号公報(第1図)
【非特許文献】
【0005】
【文献】https://www.kvk.co.jp/products/parent/category/item/download.html?key=264061595140299&file_name=FTB100K_S.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように混合水栓を設置する際に、施工業者が上水等の水圧を測定し、その水圧が規定値を超えている場合には減圧装置を施工業者が設置しなければならない。ところが、施工業者が水圧の測定や減圧装置を設置しない場合には、施工工事後の混合水栓が正常に機能しない場合が生じる。そして、この正常に機能しない原因が元圧に起因することを突き止めるためには多くの検査工数を費やす場合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、圧力センサを用いることなく少なくとも上水の元圧を自動的に測定することのできる混合給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による混合給湯システムは、上水管から給水される上水と給湯装置から出湯される温水とを混合槽で混合して所定の温度に調温して出湯する混合給湯システムにおいて、上記上水を混合槽に供給する上水供給経路と、上記給湯装置から混合槽に温水を供給する温水供給経路との双方に、経路の開口面積を調節するサーボ装置を設けると共に、少なくとも上記上水供給経路内の流量を検知する流量センサを設け、上記混合槽の出口側を大気側に開放した状態で上記上水経路に設けたサーボ装置を作動させて調節した上水経路の開口面積と流量センサが検知する上記上水経路内の流量とから上記上水の供給圧力を推定する水圧推定手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
流量は流速に比例するので、流量とその通路の開度とが分かればサーボ装置を挟んだ差圧を求めることができる。ここでサーボ装置の下流側の圧力を大気圧とすれば、サーボ装置の上流側の水圧、すなわち上水の供給圧力を知ることができる。
【0010】
ただし、上流側に管路抵抗がなければサーボ装置の開度を広げて流量を増大させても元圧は低下しないが、実際には上流側に管路抵抗が存在するため、流量を増加させると元圧が低下する。上流側の管路抵抗が大きいとこの圧力低下の度合いが大きくなる。そこで、上記水圧推定手段は、上記上水経路の開口面積を変化させ、互いに相違する複数の開口面積で各々上水の供給圧力を推定し、各開口面積での供給圧力を比較して上記上水管の水圧変動状態を推定することが望ましい。
【0011】
なお、上記温水供給経路に流量センサを設け、上記水圧推定手段は温水供給経路の開口面積と温水供給経路内の流量とから、給湯装置から出湯される出湯圧力を推定するように構成してもよい。
【0012】
なお、元圧を推定する際には実際に湯水を流す必要があるが、その湯水を浴室内のカラン等から吐出させると不都合が生じる場合がある。そこで、上記混合槽内の湯水を排水する排水経路を設け、上記水圧推定手段が上記上水の供給圧力を推定する際に、この排水経路を開口して混合槽の出口側を大気側に開放することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、水圧センサを別途追加することなく、元圧を推定することができ、仮に元圧が規定の水圧より高い場合にはそのことを報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は上水が流れてくる上水管であり、この上水管1から分岐する上水供給経路11には第1水量サーボと流量センサ31とが配設されている。この第1水量サーボ3はサーボモータを内蔵しており、図外の制御装置からの制御信号によってサーボモータが駆動して上水供給経路11の上水の流量を増減するものである。そして、増減された流量は流量センサ31によってフィードバックされる。
【0016】
上記上水管1には給湯装置2が接続されており、上水管1内の常温の上水を加熱して温水として温水供給経路21に出湯する。この温水供給経路21には第2水量サーボ4と流量センサ41とが配設されている。この第2水量サーボは上記第1水量サーボ3と同様の構造及び機能であり、流量センサ41についても流量センサ31と同じである。
【0017】
第1水量サーボ3を通過した上水および第2水量サーボ4を通過した温水はともに混合槽5内で混合され均一な湯温の温水となる。その混合された温水は混合供給経路51に設けられた第3水量サーボ6によって適正な流量に絞られて、その後分岐管52を通ってカランやシャワーといった各吐出部71に供給される。各吐出部71への流量は流量センサ61によってフィードバックされる。なお、各吐出部71に連なる分岐管52には開閉弁71aが直列に接続されており、いずれの吐出部71から吐出するかが決定されると、他の吐出しない吐出部71の開閉弁71aが閉弁してその吐出部71から湯水が吐出しないように構成されている。
【0018】
72は排水口であり、この排水口72に湯水を供給する排水経路53には同じく開閉弁72aが設けられている。
【0019】
上記構成において、設置工事が完了すると所定の操作によって上水管1の供給圧力、すなわち元圧を推定する。この元圧の推定モードに切り替わると、第1水量サーボ3の開度を50%に設定すると共に、第2水量サーボ4の開度を0%、すなわち全閉状態にする。更に、第3水量サーボ6を100%、すなわち全開状態にして、全ての開閉弁71aを閉弁すると共に、開閉弁72aを開弁する。すると、上水供給経路11のみに上水が流れ、その流量の湯水が排水口72から排水される。そして、その流量は少なくとも流量センサ31によって検知することができる。そして、第1水量サーボ3の開度(50%)とその流量が流量センサ31によって検知できるので、ベルヌーイの定理から上水管1の元圧を推定することができる。例えばこの状態での流量が7L/minであるとして、第1水量サーボ3の開度を100%、すなわち全開状態にすると、流量は増加して15L/minであったとする。ところが、別の設置現場では第1水量サーボ3の開度が50%状態の時の流量が上記と同じく7L/minであるにもかかわらず、第1水量サーボ3の開度を100%にしても10L/minしか得られない場合が生じる。この場合には、上水供給経路11の流路抵抗が大きいと考えられる。
【0020】
いずれにせよ、第1サーボ3の開度が50%の状態で推定される元圧が規定の元圧の上限値を超えている場合には、例えばその旨を報知する。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、第2水量サーボ4を全閉状態にして第1水量サーボ3の開度のみを変更したが、合わせて第1水量サーボ3を全閉状態にして第2水量サーボ4の開度を増減し、流量センサ41が検知する水量から温水供給経路21側の元圧を合わせて推定するようにしてもよい。
【0022】
また、上記実施の形態では浴室内に湯水を供給する電子水栓に関して説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば貯水タンクを備えた給湯装置などに適用することができる。すなわち、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0023】
1 上水管
2 給湯装置
3 サーボ
3 第1水量サーボ
4 第2水量サーボ
5 混合槽
6 第3水量サーボ
7L/min 流量が
11 上水供給経路
21 温水供給経路
31 流量センサ
41 流量センサ
51 混合供給経路
52 分岐管
53 排水経路
61 流量センサ
71 吐出部
72 排水口
図1