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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】パウダー容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A45D33/00 615F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020183299
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073356
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-125369(JP,A)
【文献】特開昭48-100283(JP,A)
【文献】特開2005-21213(JP,A)
【文献】特開平9-220117(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0840589(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00-33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁と、底壁と、上蓋と、前記周壁の内側で、前記底壁に面するパウダー収容空間と前記上蓋に面する塗布具収容空間とを隔てる隔壁と、を有し、
前記底壁が、押し込み操作によって上昇する一方、前記押し込み操作の解除によって下降するボタン部を有し、
前記隔壁が、前記ボタン部の上昇に連動して開く一方、前記ボタン部の下降に連動して閉じるパウダー通過口を有し、
前記隔壁が、第1切り欠き部を備える第1壁と、第2切り欠き部を備えるとともに前記ボタン部の前記上昇に連動して前記第1壁に対して周方向一方側に相対回転する一方、前記ボタン部の前記下降に連動して前記第1壁に対して周方向他方側に相対回転する第2壁と、を有し、
前記パウダー通過口が、前記第1切り欠き部と前記第2切り欠き部との重なりで形成されることを特徴とするパウダー容器。
【請求項2】
前記パウダー通過口が閉じるまで前記第2壁を前記第1壁に対して前記周方向他方側に相対回転させる付勢力を生じる付勢部材を有する、請求項に記載のパウダー容器。
【請求項3】
前記付勢力に抗する前記押し込み操作によって前記ボタン部に押し上げられて前記第2壁を周方向一方側に押圧するロッド部材を有する、請求項に記載のパウダー容器。
【請求項4】
前記ロッド部材の押圧部と、前記ロッド部材の上昇によって前記押圧部に押圧される前記第2壁の被押圧部との少なくとも一方が、下方に向けて周方向一方側に傾く傾斜面を有する、請求項に記載のパウダー容器。
【請求項5】
前記第1壁を備えるとともに前記周壁に固定される第1隔壁部材と、
前記第1隔壁部材に回転可能に取り付けられる第2壁と前記第2壁の外周縁に連なり前記第1隔壁部材に固定される前記付勢部材とを備える第2隔壁部材と、
前記第1隔壁部材に固定されるとともに前記ロッド部材を昇降可能に保持する保持部材と前記ロッド部材とを備える伝達部材と、を有する、請求項またはに記載のパウダー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウダー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ルースパウダー、ベビーパウダー等のパウダーを収容する一般的なパウダー容器として、周壁と、底壁と、開閉可能な上蓋と、周壁の内側で、底壁に面するパウダー収容空間と上蓋に面する塗布具収容空間とを隔てる隔壁と、を有するものが知られている(例えば、特許文献1の図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-201530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のパウダー容器は、鞄などに入れて持ち運ぶと、パウダーが塗布具収容空間内に沢山侵入してしまうことがある。その状態で使用すると、蓋を開ける際又は塗布具を取出す際にパウダーがこぼれてしまい、周りを汚してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、使用時にパウダーがこぼれにくいパウダー容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパウダー容器は、周壁と、底壁と、上蓋と、前記周壁の内側で、前記底壁に面するパウダー収容空間と前記上蓋に面する塗布具収容空間とを隔てる隔壁と、を有し、前記底壁が、押し込み操作によって上昇する一方、前記押し込み操作の解除によって下降するボタン部を有し、前記隔壁が、前記ボタン部の上昇に連動して開く一方、前記ボタン部の下降に連動して閉じるパウダー通過口を有し、前記隔壁が、第1切り欠き部を備える第1壁と、第2切り欠き部を備えるとともに前記ボタン部の前記上昇に連動して前記第1壁に対して周方向一方側に相対回転する一方、前記ボタン部の前記下降に連動して前記第1壁に対して周方向他方側に相対回転する第2壁と、を有し、前記パウダー通過口が、前記第1切り欠き部と前記第2切り欠き部との重なりで形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記パウダー通過口が閉じるまで前記第2壁を前記第1壁に対して前記周方向他方側に相対回転させる付勢力を生じる付勢部材を有するのが好ましい。
【0009】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記付勢力に抗する前記押し込み操作によって前記ボタン部に押し上げられて前記第2壁を周方向一方側に押圧するロッド部材を有するのが好ましい。
【0010】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記ロッド部材の押圧部と、前記ロッド部材の上昇によって前記押圧部に押圧される前記第2壁の被押圧部との少なくとも一方が、下方に向けて周方向一方側に傾く傾斜面を有するのが好ましい。
【0011】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記第1壁を備えるとともに前記周壁に固定される第1隔壁部材と、前記第1隔壁部材に回転可能に取り付けられる第2壁と前記第2壁の外周縁に連なり前記第1隔壁部材に固定される前記付勢部材とを備える第2隔壁部材と、前記第1隔壁部材に固定されるとともに前記ロッド部材を昇降可能に保持する保持部材と前記ロッド部材とを備える伝達部材と、を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用時にパウダーがこぼれにくいパウダー容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態であるパウダー容器の非操作状態を示す縦断面図である。
図2図1に示す状態の第2隔壁部材の上面図である。
図3図2のA-A線に沿って示す断面図である。
図4図1に示す状態の第1隔壁部材及び第2隔壁部材を示す上面図である。
図5図4に示す状態からボタン部を押し込み操作した時の状態を示す図である。
図6図1に示す状態からボタン部を押し込み操作し、そのままパウダー容器を振っている時の状態を示す図である。
図7図1に示す状態から上蓋を開き、塗布具とボタン部とを挟み持ってパウダー容器を振っている時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態を例示説明する。
【0015】
なお、以下に説明する実施形態において、上下方向とはボタン部22が動作する方向を意味しており、上下方向は第2壁17の回転中心である中心軸線Oに沿う方向に一致しており、上方とは底壁3から上蓋5に向かう方向を意味しており、下方とはその反対方向を意味しており、周方向とは中心軸線Oを周回する方向を意味しており、径方向とは中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を意味しており、縦断面とは中心軸線Oを含む断面を意味している。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施の形態であるパウダー容器1は、円筒状の周壁2と周壁2の下端に連なる底壁3とを備える容器本体4と、周壁2に着脱可能な上蓋5と、周壁2に固定される皿状の第1隔壁部材6と、第1隔壁部材6に取り付けられる第2隔壁部材7と、第1隔壁部材6に取り付けられる伝達部材8と、を有している。第1隔壁部材6の第1壁14と第2隔壁部材7の第2壁17とで、底壁3に面するパウダー収容空間S1と上蓋5に面する塗布具収容空間S2とを隔てる隔壁9が構成されている。底壁3は、中心軸線Oを中心とする円環形板状の底壁本体3aと、底壁本体3aに取り付けられる底蓋部材3bと、で構成されている。容器本体4は、周壁2と底壁本体3aとで構成される本体部材4aと、底蓋部材3bと、で構成されている。
【0017】
パウダー収容空間S1には、パウダー10が収容されている。パウダー10は例えば、ルースパウダー、ベビーパウダー等である。塗布具収容空間S2には、パフである塗布具11が収容されている。なお、塗布具11はパフに限らない。
【0018】
本体部材4a、上蓋5、第1隔壁部材6、第2隔壁部材7及び伝達部材8はそれぞれ、合成樹脂の射出成形によって形成されている。また、底蓋部材3bは、軟質の合成樹脂、エラストマー又はゴムの射出成形によって形成されている。なお、これら部材の材料及び形成方法はこれに限らない。例えば、本体部材4a及び上蓋5を合成樹脂に代えて、例えばガラス又は金属等で形成してもよい。
【0019】
上蓋5は、中心軸線Oを中心とする円筒状の筒壁5aと、筒壁5aの上端を閉塞する天壁5bと、を有している。筒壁5aの内周面は、周壁2の上端の外周面に螺合部12を介して取り付けられている。なお、上蓋5は、螺合部12以外の嵌合部を介して周壁2に着脱可能な構成であってもよい。また、上蓋5は、塗布具収容空間S2を開閉可能であれば、周壁2に着脱可能な構成に限らない。
【0020】
第1隔壁部材6は、第1切り欠き部13を備える第1壁14と、第1壁14から下方に延びる中心軸線Oを中心とする円筒状の取り付け筒15と、を有している。
【0021】
第1壁14は、第1切り欠き部13を備える中心軸線Oを中心とする円環形平板状の皿底壁14aと、皿底壁14aの外周縁から上方に延び、周壁2の上端に嵌合によって固定される皿周壁14bと、皿底壁14aの内周縁から下方に延びる中心軸線Oを中心とする円筒状の被嵌合筒14cと、を有している。
【0022】
皿周壁14bは、中心軸線Oを中心とする円筒状をなすとともに上部が周壁2の内周面に接する皿周壁本体14dと、皿周壁本体14dの上端から径方向外側に延び、周壁2の上端面上に配置されるフランジ14eと、を有している。
【0023】
図4に示すように、第1切り欠き部13は、複数の開口である開口群で構成されている。この開口群は、径方向に沿って並ぶ3つの開口である第1開口列13aが、周方向に所定角度間隔(本実施の形態では45°)で並べて設けられた構成とされている。
【0024】
図1図3に示すように、第2隔壁部材7は、第2切り欠き部16を備える第2壁17と、付勢部材18と、を有している。
【0025】
第2壁17は、第2切り欠き部16を備える中心軸線Oを中心とする円環形平板状の環状板部17aと、環状板部17aの内周縁に一体に連なり、被嵌合筒14cに中心軸線Oを中心に回転可能に嵌合する嵌合部17bと、を有する。
【0026】
嵌合部17bは、中心軸線Oを中心とする円環状をなしており、その上面には、被嵌合筒14cが挿入される円形の環状溝17cが設けられている。嵌合部17bは、被嵌合筒14cに回転可能に保持されるように、環状溝17c内で凹凸形状を介して嵌合している。嵌合部17bの外周面の上端に環状板部17aの内周縁が一体に連なっている。また、嵌合部17bの内周面には、周方向に間隔を開けて並べて設けられた複数の縦リブ19aで構成される被押圧部19が設けられている。なお、被押圧部19を構成する縦リブ19aの数は、本実施の形態では3つであるが、後述する押圧部20を構成する押圧片20aの数と併せて適宜変更可能である。被押圧部19を単数の縦リブ19aで構成し、押圧部20を単数の押圧片20aで構成してもよい。
【0027】
第2切り欠き部16は、複数の開口である開口群で構成されている。この開口群は、径方向に沿って並ぶ3つの開口である第2開口列16aが、周方向に所定角度間隔(本実施の形態では45°)で並べて設けられた構成とされている。
【0028】
付勢部材18は、第2壁17よりも径方向外側に配置される中心軸線Oを中心とする円環状をなす枠18aと、枠18aと第2壁17の外周縁とを連ねるばね部18bと、を有している。
【0029】
枠18aは、取り付け筒15の内周面に伝達部材8の保持部材8aとともに嵌合によって固定されている。枠18aは、第1壁14に対する周方向の位置決めのために第1壁14に嵌合する位置決め部18cを有している。位置決め部18cは、枠18aの上面に周方向に間隔を開けて並べて設けられた複数の位置決め凹部18dで構成されている。第1壁14の下面には、複数の位置決め凹部18dに1つずつ嵌合する位置決め凸部14fが設けられている。位置決め部18cを構成する位置決め凹部18dの数は、位置決め凸部14fの数と併せて適宜変更可能である。位置決め部18cを単数の位置決め凹部18dで構成してもよい。位置決め凹部18d及び位置決め凸部14fの形状、配置等も適宜変更可能である。位置決め部18cを少なくとも1つの凸部で構成し、これに嵌合する少なくとも1つの凹部を第1壁14に設けてもよい。
【0030】
ばね部18bは、周方向に間隔を開けて並べて設けられた複数の弾性片18eで構成されている。なお、ばね部18bを構成する弾性片18eの数は、本実施の形態では3つであるが、適宜変更可能である。ばね部18bを単数の弾性片18eで構成してもよい。各々の弾性片18eは、枠18aに対して第2壁17が周方向に相対回転した時に、第2壁17を復帰させる付勢力を生じるように構成されている。各々の弾性片18eは、周方向に屈曲する屈曲片である。しかし、弾性片18eの形状、配置等は適宜変更可能である。
【0031】
図1及び図4に示すように、被押圧部19が押圧部20によって押圧されない自由状態(つまり、後述する非操作状態)において、第2切り欠き部16は、第1切り欠き部13に重ならない位置に復帰するように、付勢部材18の付勢力によって回転方向の位置が規制される。より具体的には、自由状態において、第2開口列16aは、第1開口列13aに対して周方向に所定角度間隔の半分(本実施の形態では22.5°)だけずらした位置に復帰するように、付勢部材18の付勢力によって回転方向の位置が規制される。
【0032】
図1に示すように、伝達部材8は、ロッド部材8bと、第1隔壁部材6に固定されるとともにロッド部材8bを昇降可能に保持する保持部材8aと、を有している。
【0033】
ロッド部材8bは、中心軸線O上で上下方向に沿って延びている。ロッド部材8bは、中心軸線Oを中心とする円盤状の基部8cと、基部8cから下方に延びる中心軸線Oを中心とする柱状をなす柱部8dと、基部8cから上方に延び、自然状態においてそれぞれ縦リブ19aの直下に位置する複数の押圧片20aと、を有している。押圧片20aの数は縦リブ19aの数と同じである。したがって、本実施の形態では押圧片20aの数は、3つである。各々の押圧片20aの上端は、下方に向けて周方向一方側(本実施形態では上面視で反時計回り)に傾く傾斜面21を有している。したがって、各々の押圧片20aは、傾斜面21を介して縦リブ19aを押し上げることで、縦リブ19aを周方向一方側に押圧することができる。複数の押圧片20aで押圧部20が構成されている。押圧部20を構成する押圧片20aの数は、上述したとおり、縦リブ19aの数と合わせて適宜変更可能である。
【0034】
保持部材8aは、ロッド部材8bの基部8cの外周面に一体に連なる内周縁を有する円環形板状をなしており、外周縁が取り付け筒15の内周面に枠18aとともに嵌合によって固定されている。したがって、保持部材8aは、ロッド部材8bが周方向に回転することを阻止している。また、保持部材8aは、周方向に間欠状に並べて設けられた複数の開口8eを有している。各々の開口8eは、パウダー10を通過させることができる。
【0035】
底蓋部材3bは、中心軸線Oを中心とする下向きドーム状のボタン部22と、ボタン部22の外周縁を底壁本体3aに嵌合によって固定する底蓋外周部23と、を有している。底蓋部材3bは、底壁本体3aを閉塞している。
【0036】
ボタン部22は、上下方向に弾性変形によって昇降可能である。ボタン部22の下面は、下方から押し込み操作を受ける被操作面22aとなっている。ボタン部22の上面の上面視中央は、押し込み操作によってロッド部材8bの柱部8dの下端を押し上げる接触部22bを有している。
【0037】
したがって、ボタン部22と上蓋5とを挟み持つ動作により、ボタン部22を付勢部材18の付勢力に抗して押し込み操作することができる。また、その押し込み操作により、ボタン部22でロッド部材8bを押し上げ、それにより、押圧部20で被押圧部19を周方向一方側に押圧して第2壁17を第1壁14に対して相対的に周方向一方側に回転させ、図4に示すように第1切り欠き部13と第2切り欠き部16とが重ならない状態から、図5に示すようにこれらが重なった状態にすることができる。したがって、図6に示すように、そのままパウダー容器1を振ることで、パウダー収容空間S1内のパウダー10を、第1切り欠き部13と第2切り欠き部16との重なりで形成されるパウダー通過口24を通して塗布具11の下面に付着させることができる。このようにして塗布具11の下面に付着させたパウダー10は、上蓋5を取り外して塗布具収容空間S2内から塗布具11を取り出すことで使用することができる。
【0038】
また、図7に示すように、このような押し込み操作は、上蓋5を取り外した状態でボタン部22と塗布具収容空間S2内の塗布具11とを挟み持つ動作によっても行うことができる。この場合も、そのままパウダー容器1を振ることで、パウダー10をパウダー通過口24を通して塗布具11の下面に付着させさせることができる。このようにして塗布具11の下面に付着させたパウダー10は、そのまま塗布具収容空間S2内から塗布具11を取り出すことで使用することができる。
【0039】
ボタン部22を放すと、付勢部材18の付勢力により、第2壁17が周方向他方側に回転してパウダー通過口24が閉じ、押圧部20が被押圧部19に押し下げられ、それによりロッド部材8bが下降し、ボタン部22がロッド部材8bに押し下げられ、或いは弾性による自己復元力により下降する。このように、ボタン部22への押し込み操作がされていない非操作状態においてはパウダー通過口24が閉じた状態となるので、鞄などに入れて持ち運んだときなどにパウダー10が塗布具収容空間S2内に侵入してしまうことを抑制することができる。したがって、上蓋5を開ける際又は塗布具11を取出す際にパウダー10がこぼれてしまうことを抑制することができる。
【0040】
このように、本実施の形態では、隔壁9が、ボタン部22の上昇に連動して開く一方、ボタン部22の下降に連動して閉じるパウダー通過口24を有している。したがって、本実施の形態によれば、使用時にパウダー10をこぼれにくくすることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、パウダー通過口24が、第1切り欠き部13と第2切り欠き部16との重なりで形成されている。したがって、本実施の形態によれば、簡単な構造によってパウダー通過口24を実現することができる。
【0042】
なお、第1切り欠き部13と第2切り欠き部16を構成する開口の数、形状及び配置等は、上記の構成に限らず種々変更が可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、パウダー容器1が、パウダー通過口24が閉じるまで第2壁17を第1壁14に対して周方向他方側に相対回転させる付勢力を生じる付勢部材18を有している。したがって、本実施の形態によれば、付勢部材18により、パウダー通過口24をより確実にボタン部22の昇降に連動して開閉することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、パウダー容器1が、付勢部材18の付勢力に抗する押し込み操作によってボタン部22に押し上げられて第2壁17を周方向一方側に押圧するロッド部材8bを有している。したがって、本実施の形態によれば、ロッド部材8bにより、パウダー通過口24をより確実にボタン部22の昇降に連動して開閉することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、ロッド部材8bの押圧部20が、下方に向けて周方向一方側に傾く傾斜面21を有している。したがって、本実施の形態によれば、傾斜面21により、パウダー通過口24をより確実にボタン部22の昇降に連動して開閉することができる。
【0046】
なお、このような下方に向けて周方向一方側に傾く傾斜面21は、ロッド部材8bの押圧部20に代えて、或いは加えて、第2壁17の被押圧部19に設けても、同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、パウダー容器1が、第1隔壁部材6、第2隔壁部材7及び伝達部材8とを有している。したがって、本実施の形態によれば、簡単な構造によってパウダー通過口24を有するパウダー容器1を実現することができる。
【0048】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0049】
したがって、前記実施の形態のパウダー容器1は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0050】
パウダー容器1は、周壁2と、底壁3と、上蓋5と、周壁2の内側で、底壁3に面するパウダー収容空間S1と上蓋5に面する塗布具収容空間S2とを隔てる隔壁9と、を有し、底壁3が、押し込み操作によって上昇する一方、押し込み操作の解除によって下降するボタン部22を有し、隔壁9が、ボタン部22の上昇に連動して開く一方、ボタン部22の下降に連動して閉じるパウダー通過口24を有する限り、種々変更可能である。
【0051】
しかし、隔壁9は、第1切り欠き部13を備える第1壁14と、第2切り欠き部16を備えるとともにボタン部22の上昇に連動して第1壁14に対して周方向一方側に相対回転する一方、ボタン部22の下降に連動して第1壁14に対して周方向他方側に相対回転する第2壁17と、を有し、パウダー通過口24は、第1切り欠き部13と第2切り欠き部16との重なりで形成されるのが好ましい。
【0052】
また、パウダー容器1は、パウダー通過口24が閉じるまで第2壁17を第1壁14に対して周方向他方側に相対回転させる付勢力を生じる付勢部材18を有するのが好ましい。
【0053】
また、パウダー容器1は、付勢力に抗する押し込み操作によってボタン部22に押し上げられて第2壁17を周方向一方側に押圧するロッド部材8bを有するのが好ましい。
【0054】
また、ロッド部材8bの押圧部20と、ロッド部材8bの上昇によって押圧部20に押圧される第2壁17の被押圧部19との少なくとも一方は、下方に向けて周方向一方側に傾く傾斜面21を有するのが好ましい。
【0055】
また、パウダー容器1は、第1壁14を備えるとともに周壁2に固定される第1隔壁部材6と、第1隔壁部材6に回転可能に取り付けられる第2壁17と第2壁17の外周縁に連なり第1隔壁部材6に固定される付勢部材18とを備える第2隔壁部材7と、第1隔壁部材6に固定されるとともにロッド部材8bを昇降可能に保持する保持部材8aとロッド部材8bとを備える伝達部材8と、を有するのが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 パウダー容器
2 周壁
3 底壁
3a 底壁本体
3b 底蓋部材
4 容器本体
4a 本体部材
5 上蓋
5a 筒壁
5b 天壁
6 第1隔壁部材
7 第2隔壁部材
8 伝達部材
8a 保持部材
8b ロッド部材
8c 基部
8d 柱部
8e 開口
9 隔壁
10 パウダー
11 塗布具
12 螺合部
13 第1切り欠き部
13a 第1開口列
14 第1壁
14a 皿底壁
14b 皿周壁
14c 被嵌合筒
14d 皿周壁本体
14e フランジ
14f 位置決め凸部
15 取り付け筒
16 第2切り欠き部
16a 第2開口列
17 第2壁
17a 環状板部
17b 嵌合部
17c 環状溝
18 付勢部材
18a 枠
18b ばね部
18c 位置決め部
18d 位置決め凹部
18e 弾性片
19 被押圧部
19a 縦リブ
20 押圧部
20a 押圧片
21 傾斜面
22 ボタン部
22a 被操作面
22b 接触部
23 底蓋外周部
24 パウダー通過口
O 中心軸線
S1 パウダー収容空間
S2 塗布具収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7