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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】コードレスアイロン
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/18 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
D06F75/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018101224
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019205512
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 正人
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸久
(72)【発明者】
【氏名】高木 均
(72)【発明者】
【氏名】笠原 浩文
(72)【発明者】
【氏名】庭山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】石渡 隆
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】柿崎 拓
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-110329(JP,A)
【文献】特開2010-162218(JP,A)
【文献】特表2004-514482(JP,A)
【文献】特開平8-131697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F75/14-75/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段と、
液体を貯留するタンクと、
前記加熱手段により加熱されるベースと、
前記ベースに設けられ、前記タンクからの液体供給を受けてスチームを発生させる気化室と、
前記加熱手段を通断電制御する制御手段と、
前記ベースに被せるように形成される第1カバーと、
前記第1カバーにさらに被せるように形成される第2カバーと、
前記第2カバーの上部に設けられるハンドルと、を備え、
前記加熱手段と前記制御手段とで主電源回路を形成するコードレスアイロンにおいて、
前記タンクの液体を前記気化室に送り込む電動ポンプと、当該電動ポンプを駆動させる電池と、前記タンクと前記気化室とを連通する導水路と、をさらに備え、
前記電動ポンプおよび前記電池で形成される電動ポンプ回路は、前記主電源回路とは別に構成され、
前記電動ポンプが前記導水路に連通し、
前記ハンドルは、その後部に開口部を形成して開放した形状を有し、
前記ハンドルと空洞を介して対向する前記第2カバーの腹部内に前記電池が配置され、当該電池の下方に前記電動ポンプが配置されることを特徴とするコードレスアイロン。
【請求項2】
水平姿勢または垂直姿勢のときに、前記電動ポンプは、前記気化室に連続して前記液体を送り込むことを特徴とする請求項1記載のコードレスアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクからの液体供給を受けてスチームを発生させる気化室を備えるコードレスアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコードレスアイロンは多数報告されており、例えば特許文献1では、ヒータと、水を貯留するカセットタンクと、ヒータに加熱されるベースと、ベースに設けられ、カセットタンクからの水の供給を受けてスチームを発生させる気化室と、ヒータを通断電制御する温度制御装置と、を備え、ヒータと温度制御装置とで主電源回路を形成しているものが報告されている。しかし特許文献1のコードレスアイロンは、カセットタンクから自然滴下で気化室に水を連続的に供給し、連続的にスチームを発生させる構造であるため、アイロン本体が垂直状態のときは水が気化室に滴下されず、スチームを発生させることができなかった。そのため特許文献1のコードレスアイロンでは、例えばハンガーに掛けた衣類に連続的にスチームを噴出させることができなかった。そこで特許文献2には、水タンク内の水を気化室に送り込む電磁ポンプを備えたコード付きアイロンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-185351号公報
【文献】特開2009-22631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2のコード付きアイロンは、例えばハンガーに掛けた衣類にスチームを噴出させるために、ハンドルを手で握ってアイロン本体を垂直状態にすると、アイロンのコードが使用者に干渉してしまい、コードが邪魔になって使い勝手が悪くなる虞があった。その一方で特許文献1のコードレスアイロンでは、載置台に載置しているときに給電されてベースを加熱する構成を採用しているため、この載置台から離脱させたコードレスの状態だと主電源回路に電力が供給されず、特許文献1のコードレスアイロンに電動ポンプを搭載してもコードレスの状態で駆動させることができなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、載置台から離脱させたコードレスの状態でも電動ポンプを駆動させることができるコードレスアイロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコードレスアイロンは、加熱手段と、液体を貯留するタンクと、
前記加熱手段により加熱されるベースと、前記ベースに設けられ、前記タンクからの液体供給を受けてスチームを発生させる気化室と、前記加熱手段を通断電制御する制御手段と、前記ベースに被せるように形成される第1カバーと、前記第1カバーにさらに被せるように形成される第2カバーと、前記第2カバーの上部に設けられるハンドルと、を備え、前記加熱手段と前記制御手段とで主電源回路を形成し、前記タンクの液体を前記気化室に送り込む電動ポンプと、当該電動ポンプを駆動させる電池と、前記タンクと前記気化室とを連通する導水路と、をさらに備え、前記電動ポンプおよび前記電池で形成される電動ポンプ回路は、前記主電源回路とは別に構成され、前記電動ポンプが前記導水路に連通し、前記ハンドルは、その後部に開口部を形成して開放した形状を有し、前記ハンドルと空洞を介して対向する前記第2カバーの腹部内に前記電池が配置され、当該電池の下方に前記電動ポンプが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、コードレスアイロンにおいて主電源が断たれても電動ポンプが駆動でき、コードレスアイロンが載置台から離脱させたコードレスの状態でも電動ポンプを駆動させることができる。また電動ポンプにより導水路に水を送り込み、いわゆる自動滴下により気化室に水を滴下することができるため、コードレスアイロンが水平姿勢のときはもちろん、垂直姿勢のときでも連続して気化室8内に水を送り込むことができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、コードレスアイロンが垂直姿勢のときでも、連続的にスチームを噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施例におけるアイロン本体の縦断面図である。
図2】同上、アイロン本体の底面図である。
図3】本発明の第2実施例におけるアイロン本体の縦断面図である。
図4】同上、アイロン本体のスチーム量と掛け面温度の関係を示したグラフである。
図5】本発明の第3実施例におけるアイロン本体の正面図である。
図6】同上、アイロン本体の縦断面図である。
図7】本発明の第4実施例におけるアイロン本体の上面図である。
図8】同上、アイロン本体の側面図である。
図9】同上、アイロン本体の底面図である。
図10】同上、図7におけるA-A断面図である。
図11】同上、ミスト噴霧装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好ましいコードレスアイロンの実施例について説明する。また、ここでいうスチームアイロンとは、衣類などの繊維製品に向けてスチームを噴出できるあらゆるアイロン製品を含む。
【実施例1】
【0011】
図1および図2は、本発明の第1実施例のスチームアイロンとしてのコードレスアイロンを示している。先ずコードレスアイロンの全体構成から説明すると、1はアイロン本体であり、このアイロン本体1は図示しない載置台に着脱自在にに載置される。アイロン本体1の後部には凹状の受電部2が設けられ、アイロン本体1を載置台に載置して、受電部2を載置台の図示しない給電部に嵌合させたときに、載置台からの電源電圧が受電部2を通してアイロン本体1に供給される構成となっている。
【0012】
アイロン本体1は、加熱手段としてのヒータ3を埋設した金属製のベース4を下部に備えている。ベース4は、ダイキャスト成形品による基体5の底面に、プレート状の掛け面部材6が具備された構成を有し、締結部材7により、掛け面部材6が基体5に密着固定している。ベース4の内部にはヒータ3の近傍に位置して、蒸気室としての気化室8が形成され、当該気化室8に連通する噴出孔9がベース4下面をなす掛け面部材6に開口形成されている。またベース4は、金属板状の気化室蓋10を備え、基体5に取付固定された気化室蓋10により、気化室8の上面が形成されている。
【0013】
11は、ベース4に被せるように形成される耐熱プラスチック製の遮熱カバーであり、12は、遮熱カバー11にさらに被せるように形成される耐熱プラスチック製の外カバーであり、アイロン本体1は、ベース4、遮熱カバー11および外カバー12で外面部が構成されている。13は、外カバー12上部に設けられ、側面から見て後端を開放した略U字状に形成された把手である。把手13の後述する連結部13b前方には液体を貯留するタンクとなる、例えば合成樹脂製の水タンク14が外カバー11内に設けられる。なお貯留する液体は水だけでなく、他のスチーム用の液体でもよい。
【0014】
15は、水タンク14の前部に相当する外カバー11前面に取付自在に設けられた注水口蓋であり、ここから水タンク14内に水を収容したり、水タンク14内の不要水を廃棄したりすることができる。水タンク14の前面には、注液口としての注水口21が開口形成され、この注水口21に臨んで、取付可能な注水口蓋15が設けられる。注水口蓋15の下端部と外カバー12の前面との間には、注水口蓋15を指で取り外しやすくするのに、凹状の指掛け部22が形成される。そして、この指掛け部22に指を差し入れて、注水口蓋15の上端部を支点として注水口蓋15の下端部に力を加えることで注水口蓋15を取り外すと、開放した注水口21から水タンク14の内部に水を適宜注入することができ、その後で注水口蓋15を注水口21に嵌合させると、注水口蓋15が注水口21を密着状態で塞ぐことにより、注水口21からの水の漏出を防止する構成となっている。
【0015】
25は、前記把手13と、この把手13の上部に配置される把手カバー26との2部品からなるハンドルとしての握り部である。把手部に相当する棒状の握り部25は、アイロン本体1の腹部27との間に空洞28を有しており、握り部25の後部には、アイロン本体1の後部から空洞28に手を差し入れて、握り部25を手で握ることができるように、空洞28に連通する開口部29が開口形成される。前記握り部25は、その後部がアイロン本体1のどの部位にも連結せずに、開口部29を形成して開放した形状を有する。また、前記腹部27は、握り部25に対向したアイロン本体1の平坦状の中央上面部を指すものであり、本実施例では把手13の基部13aとして形成される。把手13は、この基部13aに加えて、基部13aの前側でU次状に立ち上がる連結部13bと、連結部13bより後側に延び、握り部25の下面部を形成する延設部13cとからなり、延設部13cを把手カバー26で覆うことで、スチーマー本体1の握り部25が構成される。
【0016】
31はアイロン本体1の上部に設けられた操作部で、これはスチーム/ドライ切替レバー31aや、霧吹き用のミスト釦31b、温度設定/切釦31cなどにより構成される。また握り部25の上部前側には表示部として複数のLED32が設けられており、温度設定/切釦31cによる設定温度や、図示しない温度検知手段で検知されるベース4の温度などがこれらのLED32で表示される。また握り部25の内部には、ヒータ3を適宜通断電制御することにより、ベース4を所定の温度に維持するように制御する温度制御装置33が設けられ、そのためヒータ3と温度制御装置33とで主電源回路を形成している。
【0017】
温度制御装置33は、温度設定/切釦31cを構成する設定釦34のスイッチ部35や、LED32の他にも、現在の設定温度を記憶保持し、設定釦34の設定を可能にするコンデンサなどの蓄電装置36などを、パターン配線を施した基板37の上面に実装して構成される。LED32の光は、握り部25上面に貼付されたシート状の温度表示銘板38を透過し、現在の設定温度を表示する構成となっている。
【0018】
次に水タンク14の内部構造を説明すると、41は、スチーム/ドライ切替レバー31Aに連動する弁装置、42は、ミスト釦31Bに連動するミスト噴霧装置である。注水口21の下方には、このミスト噴霧装置42の噴霧口43が設けられ、水タンク14内の水が霧状のミストとして噴霧口43から噴出される。
【0019】
水タンク14の上方には、スチーム/ドライ切替レバー31aおよびミスト釦31bやその可動機構を収容する機構可動室44が形成され、水タンク14と機構可動室44とを上下に区画する仕切部材45が設けられる。弁装置41は、スチーム/ドライ切替レバー31aの操作に伴い、仕切部材45を水密状態で貫通して水タンク14の内部で鉛直方向に可動するニードル機構46と、このニードル機構46の下端に位置して、水タンク14の底部に配置される弁体47とを主な構成要素とする。ニードル機構46は、仕切部材45に形成された筒状の支持体48により、直立状態で摺動自在に支持されたスチーム開閉体としてのスチーム開閉棒49を備えて構成される。弁体47は弾性を有する部材からなり、水タンク14の底部に形成した流出孔50の中心部に臨んで設けられている。
【0020】
弁装置41の下部には、気化室8に連通する導水路51を設けた遮熱板52が設けられ、この導水路51の一端が弁装置41に連通している。遮熱板52は水タンク14とベース4との間に介在し、ベース4からの熱を遮断している。この遮熱板52の下方には、気化室8の上面開口部を覆う気化室蓋10が配置されており、遮熱板52下部に設けられた滴下口53を介して、導水路51と気化室8が連通している。54は、導水路51を開閉する開閉弁であり、遮熱板52に設けられた開口部55より、ベース4の凹部となるバイメタル収納部56に向けて下方に突出し、図示しないスプリングにより下方に付勢している。バイメタル収納部56には、感熱応動体に相当する反転式のバイメタル57が収容され、バイメタル収納部56の近傍にある気化室8、すなわち基体5が所定温度に達すると、バイメタル57がバイメタル収容体56の内部で反転し、スプリングの付勢力に抗して開閉弁54を押し上げることにより、導水路51を開く構成となっている。
【0021】
61は、導水路51に連通しており、水タンク14内の水を取り込み、また導水路51に水を送り込んで滴下口53から滴下させる電動ポンプである。電動ポンプ61は、電動ポンプ本体61aと、取り込んだ水を収容する収容部61bと、収容部61bに水を取り込む際や収容部61bから水を送り込む際に経由するノズル部61cとを有しており、このノズル部61cにパイプ62の一端が接続し、パイプ62の他端が導水路51の他端と接続して、導水路51およびパイプ62を介して、電動ポンプ61と水タンク14が連通する構成となっている。なお導水路51において、開閉弁54を設けた箇所と滴下口53との間に逆止弁などの弁体を設け、電動ポンプ61が収容部61bから水を送り込む際に、滴下口53から開閉弁54方向に水が逆流しないように構成してもよい。
【0022】
63は、電動ポンプ61の駆動電源としての電池であり、腹部27に配置されている。本実施形態のアイロン本体1は開口部29を有する、いわゆるオープンハンドルであるので、このように構成することで電池の交換作業を容易にすることができる。なお電池63は充電式であってよく、この場合、載置台からの電源電圧により電池63を充電する構成にしてもよい。
【0023】
64は、アイロン本体1下面に配置されている噴出孔9からスチーム噴出を行なうためのスチーム釦であり、連結部13b近傍の延設部13cに配設される。このスチーム釦64を操作することで、基板37下面に搭載されるマイクロスイッチ65がONになり、マイクロスイッチ65からのON信号を受けて、電動ポンプ61が駆動するように構成される。本実施形態では、電動ポンプ61、電池63およびマイクロスイッチ65が電気的に直列に接続された電動ポンプ回路として構成され、主電源回路の温度制御装置33とは別に構成される。そのため電動ポンプ61は電池63の電池駆動であり、温度制御装置33やヒータ3とは独立して駆動させることができ、アイロン本体1において主電源が断たれても電動ポンプ61が駆動できるようになっている。
【0024】
次に上記構成において、特にスチーム機能に関する作用を説明すると、スチーム/ドライ切替レバー31aが「ドライ」側になっているアイロン本体1の注水口蓋15を開けて、所定量の水を水タンク14に収容し、注水口蓋15を閉める。続いて、アイロン本体1を載置台に載置して、受電部2を載置台の給電部に嵌合させると、載置台からの電源電圧が受電部2を通してアイロン本体1に供給され、アイロン本体1の内部では、図示しない温度検知手段で検知される基体5の温度が、温度設定/切釦31cの設定釦34で設定された所定の温度となるように、温度制御装置33がヒータ3を通断電制御して、気化室を含む基体5を加熱させる。その後、基体5が所定の温度に達すると、バイメタル57がバイメタル収容体56の内部で反転し、スプリングの付勢力に抗して開閉弁54を押し上げて導水路51を開く。その一方で、基体5の温度が所定の温度に達したことを温度検知手段で検知すると、温度制御装置35はLED32を制御して現在の設定温度を表示させる。そのため、ユーザーはアイロン本体1の使用可否の目安を一目で理解することができる。
【0025】
次にアイロン本体1の使用に関する作用を説明する。握り部25を手で握ってアイロン本体1を載置台から離脱させ、スチーム/ドライ切替レバー31aを「スチーム」側に切替え操作すると、それに連動して弁装置41のスチーム開閉棒49が上昇し、弁体47が流出孔50を開く。これにより、流出孔50および導水路51が開かれた状態になるので、電動ポンプ61と水タンク14が導通している状態となる。
【0026】
この時、スチーム噴出の対象物となる布地に掛け面部材6を向けてスチーム釦64を押動操作するとマイクロスイッチ65がONになり、このON信号を受けて電動ポンプ61が駆動し、先ず水タンク14内の水を導水路51、パイプ62およびノズル部61cを経由して電動ポンプ61の収容部61b内に取り込む。本実施形態では主電源回路としての温度制御装置33とは別に、電動ポンプ61、電池63およびマイクロスイッチ65が電気的に直列に接続された電動ポンプ回路として構成され、電動ポンプ61は電池63の電池駆動である。そのため、アイロン本体1が載置台から離脱させたコードレスの状態でも電動ポンプ61を駆動させることができる。
【0027】
続いて、電動ポンプ61が取り込んだ収容部61b内の水をノズル部61cおよびパイプ62経由で導水路51に送り込むことで、送り込まれた水が滴下口53を経由して、一定速度で気化室8に水が滴下する。ここで、基体5の温度が所定の温度に達している場合は、加熱した気化室8で水が気化されてスチームが発生し、気化室8と連通した噴出孔9を通過して、布地に所定量のスチームを噴出させることができる。したがって、気化室8およびヒータ3を有する基体5は、液体としての水を気化させるスチーム発生装置として作用している。また電動ポンプ61により導水路51に水を送り込み、いわゆる自動滴下により滴下口53から気化室に水を滴下することができるため、アイロン本体1が水平姿勢のときはもちろん、垂直姿勢のときでも連続して気化室8内に水を送り込むことができる。したがって、アイロン本体1が垂直姿勢のときでも、連続的にスチームを噴射させることができる。
【0028】
以上のように、本実施例のコードレスアイロンとしてのアイロン本体1は、加熱手段としてのヒータ3と、液体としての水を貯留するタンクとしての水タンク14と、ヒータ3により加熱されるベース4と、ベース4に設けられ、水タンク14からの水の供給を受けてスチームを発生させる気化室8と、ヒータ3を通断電制御する制御手段としての温度制御装置33と、を備え、ヒータ3と温度制御装置33とで主電源回路を形成しており、水タンク14の水を気化室8に送り込む電動ポンプ61と、当該電動ポンプ61を駆動させる電池63とをさらに備え、電動ポンプ61および電池63で形成される電動ポンプ回路は、前記主電源回路とは別に構成されている。そのため、アイロン本体1において主電源が断たれても電動ポンプ61が駆動でき、アイロン本体1が載置台から離脱させたコードレスの状態でも電動ポンプ61を駆動させることができる。
【0029】
また本実施例のアイロン本体1は、水平姿勢または垂直姿勢のときに、電動ポンプ61は、気化室8に連続して水を送り込むように構成され、アイロン本体1が垂直姿勢のときでも、連続的にスチームを噴射させることができる。
【実施例2】
【0030】
図3は、本発明の第2実施例のスチームアイロンを示している。なお、第1実施例のスチームアイロンと共通する構成には、同一の符号を付し、同一の説明は重複を避けるため極力省略する。本実施例では、スチーム掛けの際のスチーム量を掛け面の温度とリンクさせて、一定温度のスチームの供給を自動で行なっている。
【0031】
従来、アイロンのスチーム構造において一定量のスチームを発生させるために、水を送り込むための自動式のポンプが設けられていた。この自動式のポンプは、掛け面の温度に関わらず一定量の水を気化室に供給するため、掛け面部材6の温度、すなわち基体5の温度が低い際は湯滴が発生する虞があった。そこで第1実施例のように、スチーム発生装置としての基体5にバイメタル57を設けることにより、湯滴を防止する構成が提案されている。
【0032】
しかし、このような構成のスチームアイロンでは、バイメタル57による湯滴防止構造を設ける必要があり、また使用者の使い勝手の点で難があった。そこで本実施例では、掛け面部材6の温度を制御するアイロン温度調節機構としての温度制御装置33IIが、自動ポンプ61IIとリンクして、気化室8に送り込む水の供給量を調節する構成としている。
【0033】
本実施例の構成を、図3を参照しながら説明すると、1IIはアイロン本体であり、このアイロン本体1IIは、第1実施例の電動ポンプ61に対応している、DCモータからなる自動ポンプ61IIを備えている。この自動ポンプ61IIは、主電源回路としての温度制御装置33IIに組み込まれており、吸水側のノズル部61IIeと、水を送り出す吐出側のノズル部61IIcとを備え、吸水側のノズル部61IIeが導水路51を介して水タンク14に接続され、ノズル部61IIcがパイプ62を介して滴下口53と連通するように構成される。そのため自動ポンプ61IIが駆動すると、水タンク14から導水路51および吸水側のノズル部61IIeを通って自動ポンプ61IIに水が取り込まれ、この自動ポンプ61IIから吐出側のノズル部61IIc、パイプ62および滴下口53を経由して気化室8に水が送り込まれる。
【0034】
71は、気化室8、すなわちベース4の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタである。本実施例では、サーミスタ71で検知される信号が温度制御装置33IIに送られ、温度制御装置33IIはこの信号を基に、ベース4の温度がLED32で表示されるように制御している。また温度制御装置33IIは、この信号を基に自動ポンプ61IIの回転数、すなわち水の供給量を調節するように制御している。このように構成することで、スチームの温度を一定に保ち、かつ水を継続して気化室8に送り込むことによりスチーム量を安定させることができる。またサーミスタ71がベース4の温度を検知することで、温度制御装置33IIがベース4の温度により自動ポンプ61IIの水の供給量を調節する制御ができるので、第1実施例のバイメタル57のような湯滴防止構造を設けなくても過剰な水の供給を防止することができる。
【0035】
図4は、本実施例のアイロン本体1IIのスチーム量と掛け面温度の関係をグラフで示したものである。同図を参照しながら説明すると、温度制御装置33IIは、サーミスタ71で検知されるベース4の温度の信号を基に自動ポンプ61IIの水の供給量を調節するように制御しており、掛け面部材6の温度が225℃のときは気化室8も高温であるため、温度制御装置33IIは自動ポンプ61IIの水の供給量を多めに制御して、スチームの量を50ccと多めに発生させている。また掛け面部材6の温度が200℃のときはスチームの量を40cc、掛け面部材6の温度が150℃のときはスチーム量が20ccと、掛け面部材6の温度に比例してスチームの量を減少させるように、温度制御装置33IIは自動ポンプ61IIの水の供給量を制御しており、掛け面部材6の温度が100℃以下の際は、気化室8も100℃以下となり水を気化できなくなってしまうため、ベース4、すなわち気化室8に水の供給が行なわれないように、温度制御装置33IIは自動ポンプ61IIの水の供給量を制御している。
【0036】
以上のように、本実施例のアイロン本体1IIでは、加熱手段としてのヒータ3およびスチームの噴出孔9を有し、加熱されるベース4と、液体としての水を貯蓄する水タンク14と、この水タンク14からの水を気化させる気化室8と、水タンク14から気化室8に水を送り出す自動ポンプ61IIと、気化室8の温度を検知するサーミスタ71と、ヒータ3を通断電制御し、かつ自動ポンプ61IIの回転数、すなわち水の供給量を制御する温度制御装置33IIと、を備え、温度制御装置33IIは気化室8の温度にリンクさせて自動ポンプ61IIの水の供給量を制御するように構成している。そのため、気化室8の温度によって自動ポンプ61IIの水の供給量が変化し、スチームの温度を一定に保ち、かつ水を継続して気化室8に送り込むことでスチーム量を安定させることができる。
【0037】
また本実施例のアイロン本体1IIでは、サーミスタ71がベース4の温度を検知することで、温度制御装置33IIがベース4の温度により自動ポンプ61IIの水の供給量を調節する制御ができるため、湯滴防止構造を設けなくても過剰な水の供給を防止することができる。
【実施例3】
【0038】
図5および図6は、本発明の第3実施例のスチームアイロンを示している。なお、第1実施例および第2実施例のスチームアイロンと共通する構成には、同一の符号を付し、同一の説明は重複を避けるため極力省略する。本実施例では、霧状のミストを、電動式の自動ポンプ61IIIによりミスト孔としての噴霧口43から噴出させて、操作を容易にしている。
【0039】
従来、アイロン掛けを行なう際に頑固な皺に対しては対象の衣類にミストを吹き掛け、衣類を湿らすことにより繊維の変形を促すようにしていた。スチームアイロンにおけるミストに関して衣類に適度な湿り気を与えるために、第1実施例のスチームアイロンでは、付加機能としてミスト噴霧装置42を備えることにより、衣類を容易に湿らせることができる構成を採用している。
【0040】
しかし、このような構成のスチームアイロンでは、プッシュ式の釦であるミスト釦31bを押動操作することにより、噴霧口43からミストを噴出させて衣類に湿気を与えているため、皺をのばす際に使用者の手間がかかる傾向がある。そこで本実施例では、気化室8に水を送り込む電動式の自動ポンプ61IIIによりミストも噴出させ、ミストの吹き掛け操作を自動化させることにより、容易に衣類に湿気を与えると共に、衣類の仕上がりを向上させている。
【0041】
本実施例の構成を、図5および図6を参照しながら説明すると、1IIIはアイロン本体であり、このアイロン本体1IIIは、第2実施例の自動ポンプ61IIに対応している自動ポンプ61IIIを備えている。この自動ポンプ61IIIは、第2実施例の自動ポンプ61IIの機能に加えて、滴下口53に水を送り出すノズル部61IIIcとは別に、独立してミスト孔としての噴霧口43に水を送り出す第2のノズル部61IIIdを備えており、この第2のノズル部61IIIdが第2のパイプ81を介して噴霧口43と連通させるように構成されている。この第2のパイプ81はパイプ62とは導通しておらず、パイプ62および第2のパイプ81のそれぞれが、ノズル部61IIIcや第2のノズル部61IIIdを介して直接自動ポンプ61IIIと接続されている。またノズル部61IIIcや第2のノズル部61IIIdは、それぞれが独自に水を送り出すことができ、そのため本実施例のアイロン本体1IIIは、ミスト噴霧とは独立してスチームを噴出させることができ、またスチーム噴出とは独立してミスト噴霧を行なうことができる。
【0042】
82は、アイロン本体1IIIの移動方向を検知する方向検知センサである。本実施例では、方向検知センサ82で検知される信号が第2実施例の温度制御装置33IIに対応している温度制御装置33IIIに送られ、温度制御装置33IIIはこの信号を基に、自動ポンプ61IIIの第2のノズル部61IIIdからの水の供給を制御しており、したがって、ミストの噴出タイミングがアイロン本体1IIIの移動方向にリンクして制御されている。具体的には、温度制御装置33IIIが、アイロン本体1IIIが前方に移動した信号を受信したとき、第2のノズル部61IIIdから水を供給するように自動ポンプ61IIIを制御し、その一方で、アイロン本体1IIIが後方に移動した信号を受信したとき、第2のノズル部61IIIdから水を供給しないように自動ポンプ61IIIを制御している。
【0043】
次にアイロン本体1IIIの使用に関する作用を説明する。先ず対象の衣類の上にアイロン本体1IIIを載置する。ここで、アイロン本体1IIIを前方に滑らせると、アイロン本体1IIIが前方に移動したことを方向検知センサ82が検知して温度制御装置33IIIに送信する。温度制御装置33IIIはこの信号を基に、自動ポンプ61IIIの第2のノズル部61IIIdから水を供給するように自動ポンプ61IIIを制御し、第2のノズル部61IIIdおよび第2のパイプ81を経由して、噴霧口43に水を送り出す。そして送り込まれた水が噴霧口43で霧状のミストになり、衣類にこのミストを噴出させている。このようにアイロン本体1IIIはミストを自動的に噴出させるように構成されるため、衣類を容易に湿らせることができ、かつ、ミストを噴出させるために、例えば第1実施例のミスト釦31bのような釦の押動操作を省略させることができる。
【0044】
その一方で、アイロン本体1IIIを後方に滑らせると、アイロン本体1IIIが後方に移動したことを方向検知センサ82が検知して温度制御装置33IIIに送信する。温度制御装置33IIIはこの信号を基に、第2のノズル部61IIIdから水を供給しないように自動ポンプ61IIIを制御し、噴霧口43に水が供給されず、ミストが発生しない。このようにミストの噴出タイミングがアイロン本体1IIIの移動方向にリンクして制御されているため、アイロン掛けのミストを噴出させる毎に、例えば第1実施例のミスト釦31bのような釦の押動操作を行なう必要がなく、ミストを自動的に噴出させる自動ミストの有効な使用が可能となる。
【0045】
以上のように、本実施例のアイロン本体1IIIでは、液体としての水を貯蓄する水タンク14と、水を霧状のミストにして噴出するミスト孔としての噴霧口43と、水タンク14から噴霧口43に水を送り出す自動ポンプ61IIIと、自動ポンプ61IIIの水の供給を制御する温度制御装置33IIIと、を備え、噴霧口43からミストを自動的に噴出させるように構成している。そのため、衣類を容易に湿らせることができ、かつ、ミストを噴出させるために、例えば第1実施例のミスト釦31bのような釦の押動操作を省略させることができる。
【0046】
また本実施例のアイロン本体1IIIでは、アイロン本体1IIIの移動方向を検知する方向検知センサ82をさらに備え、温度制御装置33IIIはミストの噴出タイミングをアイロン本体1IIIの移動方向にリンクして制御しており、アイロン本体1IIIを前方に滑らせる進行時に噴霧口43からミストを噴出させている。そのため、アイロン掛けのミストを噴出させる毎に釦の押動操作を行なう必要がなく、ミストを自動的に噴出させる自動ミストの有効な使用が可能となる。
【実施例4】
【0047】
図7図11は、本発明の第4実施例のスチームアイロンを示している。なお、第1実施例~第3実施例のスチームアイロンと共通する構成には、同一の符号を付し、同一の説明は重複を避けるため極力省略する。本実施例では、ミスト噴霧用の電動ポンプ61IVを外カバー後方に備え、使用者の指や手首への負担を軽減させている。
【0048】
従来、麻や綿といった天然繊維の衣類は頑固な皺をつくりやすく、この皺をのばすため十分な量の水分をこの衣類に与える必要があった。衣類に水分を与える方法として、例えば第1実施例のスチームアイロンではミスト噴霧装置42を搭載し、シリンダーとピストンで構成されるポンプ装置により水タンク14内の水をシリンダー内に集め、ピストンに連結したミスト釦31bを押動操作することによりシリンダー内の水を噴霧口43に送り出してミストを噴霧させている。
【0049】
しかし、このような構成のスチームアイロンは、ばねなどの弾性体が取付けられたピストンがシリンダー内を摺動するため、ミストを噴出させる際の操作力が重く、すなわちプッシュ式の釦であるミスト釦31bを押動操作する際に所定の力を必要とし、使用者の指に負担がかかってしまう虞があった。また噴霧口43は外カバー11前面に配設されているため、ミストの噴霧方向が掛け面である掛け面部材6の底面と平行になってしまい、衣類に向けてミストを噴霧させる際に、使用者がアイロン本体1を持ち上げて斜め下方向に向ける必要があり、使用者の手首に負担がかかってしまう虞があった。そこで本実施例では、電動ポンプ61IVを外カバー後方に備えて、この電動ポンプ61IVのノズル部61IVcと噴霧口43を連通させ、ミスト噴霧装置42IVを電動ポンプ61IVの下部に設けて、このミスト噴霧装置42IVの噴霧口43を下向きに配設するように構成し、アイロン本体1IVを斜めに傾けることなく簡単な操作でミストの噴霧を可能にしている。
【0050】
本実施例の全体構成を図7図10を参照しながら説明すると、42IVは、供給された水をミスト状態で発生させるミスト機構としてのミスト噴霧装置であり、61IVは、水タンク14内の水をミスト噴霧装置42IVに送り出す電動ポンプである。電動ポンプ61IVは外カバー12の後部、ハンドルとしての握り部25の後方に配設され、この電動ポンプ61IVの下部にミスト噴霧装置42IVを配設し、電動ポンプ61IVの吐出側のノズル部としての第2のノズル部61IVdが第2のパイプ81を介してミスト噴霧装置42IVと連通している。またミスト噴霧装置42IVのミストノズル93が外カバー12の後部の持ち上がった底面を貫通し、ミストノズル93に設けられた噴霧口43がアイロン本体1IVに対して下方に向けられて配設されており、アイロン本体1IVを持ち上げることなくミスト噴霧を行なうことができるように構成される。そして電動ポンプ61IVの吸水側のノズル部61IVeがパイプ62IVを介して導水路51と連通しており、水タンク14の底部に形成されるノズル部としての流出孔50、および流出孔50の下方に設けられた開口91を経由して導水路51に流出する水を、電動ポンプ61IVにより取り込んでいる。
【0051】
31IVbは操作部31に配設され、例えばタクトスイッチなどで構成されるミスト釦であり、第2実施例の温度制御装置33IIや第3実施例の温度制御装置33IIIに対応している温度制御装置33IVと電気的に接続され、ミスト釦31IVbが押動操作されると温度制御装置33IVに信号が送信されるように構成される。また92は、ミスト噴霧装置42IVの近傍に配設される光照射手段としてのLEDであり、ミストノズル93と同様に、外カバー12の後部の持ち上がった底面を貫通し、アイロン本体1IVに対して下方に向けられて設けられている。このLED92は温度制御装置33IVと電気的に接続しており、この温度制御装置33IVにより、ミスト釦31bを押動操作すると、先ずLED92が点灯して光を照射し、その後一定時間をおいて電動ポンプ61IVが駆動するように制御される。下方に向けられた噴霧口43の周辺はアイロン本体1IVの陰になってしまうため、手元が暗くなり皺を見逃してしまう可能性が高くなるが、本実施例ではミスト噴霧装置42IVの出口である噴霧口43の近傍に、LED92を下方に向けて配置する構成を採用しており、このLED92により皺の部分を照射でき、皺を見逃す虞を低減できる。また電動ポンプ61IVを駆動させるミスト釦31IVbがLED92の光を照射させるスイッチと兼用することで、ミスト釦31IVbを押動するワンタッチで電動ポンプ61IVおよびLED92を操作できる。そしてLED92が照射し、その後電動ポンプ61IVが駆動することで、衣類の皺の位置を確認してからミスト噴霧を行なうことができ、いずれもアイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0052】
続いて、図11を参照してミスト噴霧装置42IVの構成を詳しく説明する。ミスト噴霧装置42IVは、中心にミスト噴出用の小さな孔である噴霧口43を設けたミストノズル93と、このミストノズル93を先端に接続している筒状の第1ノズル継手94と、この第1ノズル継手94の筒部内面95に内設し、かつ、その平坦な先端面97が、噴霧口43を設けたミストノズル93のノズル面96に当接する第2ノズル継手98と、を備えて構成している。このノズル面96には、その外周から中心の孔である噴霧口43に向かう渦巻状の第1水通路99が溝状に形成されている。また筒部内面95に接している第2ノズル継手98の外周筒面すなわち内接面100には、第1水通路99の外周側端部と連通している螺旋状の第2水通路101が形成されており、この第2水通路101の回転方向は、第1水通路99の渦巻の方向とは逆になるように構成されている。第2ノズル継手98は金属、好ましくは黄銅から形成され、第2水通路101を螺旋状に形成する際の挽物加工を行ないやすくしている。
【0053】
ミストノズル93は第1ノズル継手94の先端部と密着するように、円環状のパッキン102を介して螺着される。また第2ノズル継手98は、ミストノズル93とは別体で、第1ノズル継手94の筒部内面95に沿って摺動自在に設けられており、第1ノズル継手94の内部に設けられた弾性部材としてのスプリング103により、噴霧口43を設けたミストノズル93の方向に常時付勢されるように構成される。
【0054】
次にアイロン本体1IVの使用に関する作用を説明する。スチーム機能に関する作用は第1実施例と同様であるので、説明を省略する。先ず握り部25を手で握ってアイロン本体1IVを載置台から離脱させる。このとき水タンク14内の水は、流出孔50および開口91を経由して導水路51に流出しており、例えば第1実施例におけるスチーム釦64を押動操作すると、図示しない弁体が開いて、滴下口50から気化室8に水が滴下されてスチームが発生する。
【0055】
続いて、掛け面部材6の底面を対象の衣類に当接させることにより、アイロン本体1IVを衣類に載置する。ここでミスト釦31IVbを押動操作すると、温度制御装置33IVはミスト釦31IVbからの信号を受けてLED92を制御し、アイロン本体1IVの下方に向けて光を照射させる。このLED92の光により、対象の衣類の皺の位置を容易に確認できる。
【0056】
その後、温度制御装置33IVは、一定時間をおいて電動ポンプ61IVを駆動させるように制御する。電動ポンプ61IVが駆動すると、導水路51に流出している水を吸水側のノズル部61IVeから取り込み、第2のノズル部61IVdから第2のパイプ81を経由してミスト噴霧装置42IVへと送り込む。そして送り込まれた水が、第2水通路101を通って螺旋状に流れて第1水通路99の外周側端部に流れ込み、第1水通路99を通って渦巻状に流れて噴霧口43で霧状のミストになり、アイロン本体1IVの下方の衣類に向けてこのミストを噴出させている。このように電動ポンプ61IVにミスト噴霧装置42IVを連結させる構成により、ミスト釦31IVbとしてタクトスイッチなどの操作荷重の少ないスイッチを採用でき、指への負担を軽減させることができ、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0057】
以上のように、本実施例のアイロン本体1IVでは、加熱手段としてのヒータ3を有し、加熱されるベース4と、ベース4に被せるように形成される外カバー12と、外カバー12内に設けられ、液体としての水を貯蓄する水タンク14と、水を霧状のミストにして噴出させるミスト噴霧装置42IVと、を備えており、さらにミスト噴霧装置42IVと連結し、水タンク14からミスト噴霧装置42IVに水を送り出す電動ポンプ61IVと、電動ポンプ61IVの駆動を制御する制御装置としての温度制御装置33IVと、を備えて構成される。そのため、温度制御装置33IVに信号を送出するミスト釦31IVbとしてタクトスイッチなどの操作荷重の少ないスイッチを採用でき、指への負担を軽減させることができ、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0058】
また本実施例のアイロン本体1IVでは、ミスト噴霧装置42IVを電動ポンプ61IVの下部に設け、ミスト噴霧装置42IVのミストノズル93が外カバー12の後部の持ち上がった底面を貫通し、ミスト噴霧装置42IVの出口としての噴霧口43をアイロン本体1IVに対して下向きに配設するように構成しており、アイロン本体1IVを持ち上げることなくミスト噴霧を行なうことができるため、使用者の手首への負担を軽減させることができ、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0059】
また本実施例のアイロン本体1IVでは、LED92が、ミスト噴霧装置42IVの近傍に、外カバー12の後部の持ち上がった底面を貫通して、アイロン本体1IVに対して下方に向けられて配設される。下方に向けられた噴霧口43の周辺はアイロン本体1IVの陰になってしまうため、手元が暗くなり皺を見逃してしまう可能性が高くなるが、このLED92により皺の部分を照射でき、皺を見逃す虞を低減でき、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0060】
また本実施例のアイロン本体1IVでは、ミスト釦31bを押動操作すると、温度制御装置33IVが、ミスト噴霧装置42IVの近傍に配設されたLED92を点灯させるように制御するとともに、電動ポンプ61IVを駆動させてミストを噴霧させるように制御しており、電動ポンプ61IVを駆動させるミスト釦31IVbがLED92の光を照射させるスイッチと兼用することで、ミスト釦31IVbを押動するワンタッチで電動ポンプ61IVおよびLED92を操作でき、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0061】
また本実施例のアイロン本体1IVでは、ミスト釦31bを押動操作すると、温度制御装置33IVにより、先ずLED92が点灯して光を照射し、その後一定時間をおいて電動ポンプ61IVが駆動するように制御される。そのため、LED92が照射し、その後電動ポンプ61IVが駆動することで、衣類の皺の位置を確認してからミスト噴霧を行なうことができ、アイロン本体1IVの使い勝手を向上させることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第1実施例~第4実施例の構成を組み合わせて構成してもよい。また第2実施例および第3実施例の自動ポンプ61IIおよび61III、第4実施例の電動ポンプ61IVの駆動電源を、第1実施例と同様に電池にしてもよい。そして第1実施例~第4実施例の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 アイロン本体(コードレスアイロン)
3 ヒータ(加熱手段)
4 ベース
8 気化室
11 遮熱カバー(第1カバー)
12 外カバー(第2カバー)
14 水タンク(タンク)
25 握り部(ハンドル)
27 腹部
29 開口部
33 温度制御装置(制御手段)
51 導水路
61 電動ポンプ
63 電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11