(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】インダクタンス素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240513BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F17/00 B
(21)【出願番号】P 2018224211
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】柏 智男
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】山本 章裕
【審判官】小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-19033(JP,A)
【文献】特開2010-192889(JP,A)
【文献】特開2018-060909(JP,A)
【文献】特開2017-208446(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054587(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00
H01F27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に酸化膜を有する複数の金属磁性粒子を含み、前記複数の金属磁性粒子が前記酸化膜を介して結合する基体部と、
前記基体部に内蔵される内部導体と、を備え、
前記内部導体は、電気的な通電方向と垂直な面において、長手方向の幅と短手方向の厚みとを有する断面を有し、
前記断面の前記厚みは、前記長手方向における中央部の厚みに比べて前記中央部よりも外側で厚みが大き
く、
前記複数の金属磁性粒子は、鉄を主成分として70wt%以上含む軟磁性合金粒子であり、前記複数の金属磁性粒子の酸化物である前記酸化膜を介して互いに結合し、
前記内部導体は、銀又は銅を含んで形成され、前記複数の金属磁性粒子に前記酸化物を介して接している、インダクタンス素子。
【請求項2】
前記内部導体の前記断面は、前記長手方向における両端部側から前記中央部に向かって徐々に厚みの小さくなる断面である、請求項1記載のインダクタンス素子。
【請求項3】
前記内部導体の前記断面は、前記長手方向に伸びる一対の辺が重なる領域では中央の厚みが最も小さい断面である、請求項2記載のインダクタンス素子。
【請求項4】
前記内部導体の前記断面において、前記長手方向に伸びる一対の辺のうちの少なくとも一方の辺が湾曲している、請求項1から3のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項5】
前記基体部の一部分は、前記内部導体の前記中央部及び前記中央部よりも外側の部分に接しており、前記内部導体に比べて線膨張係数が小さい、請求項1から4のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項6】
前記内部導体の前記断面において、前記長手方向に伸びる一対の辺の両辺は前記中央部が前記中央部よりも外側に比べて凹んでいる、請求項1から5のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項7】
前記基体部の表面に設けられる外部電極と、
螺旋状に周回する前記内部導体と前記外部電極とを接続する引出導体と、を備える、請求項1から
6のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項8】
前記基体部の一対の対向する面に設けられる一対の外部電極を備え、
前記内部導体は、前記基体部の前記一対の対向する面の間を直線状に延在して前記一対の外部電極に接続される、請求項1から
6のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項9】
前記断面は、前記長手方向にそれぞれ伸びる第1の辺と前記第1の辺より長い第2の辺とを有し、
前記断面の前記厚みは、前記第2の辺に形成された凹みによって、前記長手方向における前記中央部の厚みに比べて前記中央部よりも外側で厚みが大きい、請求項1から
8のいずれか一項記載のインダクタンス素子。
【請求項10】
前記凹みに設けられ、前記複数の金属磁性粒子と異なる材料からなる粒子又は焼結体であって前記内部導体
および前記複数の金属磁性粒子に比べて線膨張係数が小さい前記粒子又は焼結体を備える、請求項
9記載のインダクタンス素子。
【請求項11】
前記凹みの最大深さは、前記断面の前記厚みの最大値の1/15以上かつ1/4以下である、請求項
9または
10記載のインダクタンス素子。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項記載のインダクタンス素子と、
前記インダクタンス素子が実装される回路基板と、を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタンス素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内部導体を有するインダクタンス素子の大電流化が進んでいる。大電流化のためには、内部導体の抵抗値を低減させることが望ましい。そこで、基体部の内部に複数の内部導体を並列に配置する構造が知られている(例えば、特許文献1)。また、複数の内部導体の断面形状を楕円形状とすることで、磁気飽和によるインダクタンス値の低下を抑制することが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-170446号公報
【文献】特開2014-175349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内部導体を内蔵する基体部に金属磁性粒子が用いられることが増えている。金属磁性粒子は表面に形成される酸化膜を介して互いに結合し、これにより基体部が形成される。また、この酸化膜は基体部の絶縁性を維持するためのものでもあり、金属磁性粒子の表面から酸化膜が剥がれたり又は酸化膜が傷ついたりすることは、基体部の絶縁性の低下につながってしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基体部の絶縁性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面に酸化膜を有する複数の金属磁性粒子を含み、前記複数の金属磁性粒子が前記酸化膜を介して結合する基体部と、前記基体部に内蔵される内部導体と、を備え、前記内部導体は、電気的な通電方向と垂直な面において、長手方向の幅と短手方向の厚みとを有する断面を有し、前記断面の前記厚みは、前記長手方向における中央部の厚みに比べて前記中央部よりも外側で厚みが大きく、前記複数の金属磁性粒子は、鉄を主成分として70wt%以上含む軟磁性合金粒子であり、前記複数の金属磁性粒子の酸化物である前記酸化膜を介して互いに結合し、前記内部導体は、銀又は銅を含んで形成され、前記複数の金属磁性粒子に前記酸化物を介して接している、インダクタンス素子である。
【0007】
上記構成において、前記内部導体の前記断面は、前記長手方向における両端部側から前記中央部に向かって徐々に厚みの小さくなる断面である構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記内部導体の前記断面は、前記長手方向に伸びる一対の辺が重なる領域では中央の厚みが最も小さい断面である構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記内部導体の前記断面において、前記長手方向に伸びる一対の辺のうちの少なくとも一方の辺が湾曲している構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記基体部の一部分は、前記内部導体の前記中央部及び前記中央部よりも外側の部分に接しており、前記内部導体に比べて線膨張係数が小さい構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記内部導体の前記断面において、前記長手方向に伸びる一対の辺の両辺は前記中央部が前記中央部よりも外側に比べて凹んでいる構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記基体部の表面に設けられる外部電極と、螺旋状に周回する前記内部導体と前記外部電極とを接続する引出導体と、を備える構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記基体部の一対の対向する面に設けられる一対の外部電極を備え、前記内部導体は、前記基体部の前記一対の対向する面の間を直線状に延在して前記一対の外部電極に接続される構成とすることができる。また、上記構成において、前記断面は、前記長手方向にそれぞれ伸びる第1の辺と前記第1の辺より長い第2の辺とを有し、前記断面の前記厚みは、前記第2の辺に形成された凹みによって、前記長手方向における中央部の厚みに比べて前記中央部よりも外側で厚みが大きい構成とすることができる。また、上記構成において、前記凹みに設けられ、前記複数の金属磁性粒子と異なる材料からなる粒子又は焼結体であって前記内部導体および前記複数の金属磁性粒子に比べて線膨張係数が小さい前記粒子又は焼結体を備える構成とすることができる。また、上記構成において、前記凹みの最大深さは、前記断面の前記厚みの最大値の1/15以上かつ1/4以下である構成とすることができる。
【0015】
本発明は、上記記載のインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子が実装される回路基板と、を備える電子機器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基体部の絶縁性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係るインダクタンス素子の斜視図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A間の断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1における基体部の分解平面図である。
【
図3】
図3は、金属磁性粒子が酸化膜を介して結合した状態を説明する図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(e)は、実施例1に係るインダクタンス素子の製造方法を示す断面図である。
【
図6】
図6は、比較例1に係るインダクタンス素子の断面図である。
【
図7】
図7は、比較例1に係るインダクタンス素子で生じる課題を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施例1に係るインダクタンス素子の効果を説明する図である。
【
図9】
図9(a)から
図9(g)は、実施例1における内部導体の他の例を示す断面図である。
【
図10】
図10(a)は、実施例2に係るインダクタンス素子の断面図、
図10(b)は、
図10(a)における領域Aの拡大図である。
【
図11】
図11(a)から
図11(d)は、実施例2に係るインダクタンス素子の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1(a)は、実施例1に係るインダクタンス素子の斜視図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A間の断面図である。なお、
図1(b)は、インダクタンス素子100の中央部分の断面であり、この図では、内部導体30は電気的に導通する方向に垂直な面の断面が示されている。
図2は、実施例1における基体部の分解平面図である。
図1(a)、
図1(b)、及び
図2のように、実施例1のインダクタンス素子100は、基体部10と、内部導体30と、引出導体50a及び50bと、外部電極60a及び60bと、を備える。
【0020】
基体部10は、上面12と、下面14と、1対の端面16a及び16bと、1対の側面18a及び18bと、を有する直方体形状をしている。下面14は実装面であり、上面12は下面14とは反対側の面である。端面16a及び16bは、上面12及び下面14の短辺に接続された面である。側面18a及び18bは、上面12及び下面14の長辺に接続された面である。基体部10は、完全な直方体形状をしている場合に限られず、例えば各頂点が丸みを帯びている場合、各稜(各面の境界部)が丸みを帯びている場合、又は各面が曲面を有している場合などであってもよい。すなわち、直方体形状をした基体部10には、このような略直方体形状を有する基体部10も含まれるものである。
【0021】
基体部10は、複数の鉄系軟磁性粒子が互いに結合した集合体である。鉄系軟磁性粒子には、その周囲の少なくとも一部、好ましくは鉄系軟磁性粒子の酸化により形成されて粒子表面の全体にわたって、酸化膜が形成されている。基体部10の絶縁性は、この酸化膜によって確保されている。隣接する金属磁性粒子は、主として、それぞれの金属磁性粒子の周囲にある酸化膜を介して結合している。これにより、一定の形状を有する基体部10が形成されている。なお、部分的には、隣接する鉄系軟磁性粒子は、鉄系軟磁性粒子の酸化による酸化膜以外の絶縁層を介して結合していてもよいし、酸化膜を介する結合と絶縁層を介する結合の両方が行われていてもよい。絶縁層は、Siを主成分とする酸化物であれば、機械的強度と絶縁性を向上させることができる。
【0022】
図3は、金属磁性粒子が酸化膜を介して結合した状態を説明する図である。
図3のように、金属磁性粒子20は、周囲に酸化膜22が形成されている。隣接する金属磁性粒子20は、酸化膜22を介して互いに結合する。酸化膜22は、好ましくは、金属磁性粒子20自体の酸化物からなる。例えば、成形後の金属磁性粒子20に酸素を含む雰囲気下で熱処理を施して基体部10を得るときに、金属磁性粒子20の表面が酸化して酸化膜22が形成され、この酸化膜22を介して複数の金属磁性粒子20が結合することが好ましい。酸化膜22の存在は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の撮影像においてコントラスト(明度)の違いとして認識できる。また、隣接する鉄系軟磁性粒子を結合する上述の絶縁層は、酸化膜22の外側に存在していてもよく、酸化膜22の外側の全体を覆っていてもよいし、部分的に覆っていてもよい。
【0023】
金属磁性粒子20は、例えば鉄(Fe)を主成分とする軟磁性を呈する粒子であって、合金粒子、又は不純物を除き鉄(Fe)以外の金属成分を含まない鉄(Fe)粒子でもよく、また種類の異なる粒子を組み合わせて含んでいてもよい。主成分に含むとは、例えば鉄(Fe)を50wt%より多く含む場合であり、70wt%以上含む場合でもよいし、80wt%以上含む場合でもよいし、90wt%以上含む場合でもよい。金属磁性粒子20は、好ましくは、鉄(Fe)と、少なくとも1種類以上の鉄(Fe)よりも酸化し易い金属元素(以下、金属元素Mと称す場合がある)と、を含む合金からなる。金属元素Mとして、例えばクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びチタン(Ti)などが挙げられ、好ましくはクロム(Cr)又はアルミニウム(Al)である。金属磁性粒子20はケイ素(Si)を含んでいてもよい。基体部10は、好適には、鉄(Fe)、金属元素M、ケイ素(Si)、及び酸素(O)を含んで構成される。また、基体部10には、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、リン(P)、又は炭素(C)などが含まれていてもよい。なお、基体部10の化学組成については、例えば、基体部10の断面をSEMで撮影し、エネルギー分散型X線分析(EDS:Energy dispersive X-ray spectrometry)によるZAF法で求めることができる。
【0024】
図2は、上述したように、実施例1における基体部10の分解平面図である。
図2のように、基体部10は、内部導体30が形成された複数の磁性体層24と、複数のカバー層26と、が積層されている。内部導体30は、平面導体32と、磁性体層24を貫通する貫通導体34と、を含む。磁性体層24及びカバー層26は、複数の金属磁性粒子20がその周囲にある酸化膜22を介して互いに結合している。隣接する磁性体層24に形成された平面導体32が貫通導体34によって接続されることで、内部導体30は螺旋状に接続されてコイル状の導体を構成している。内部導体30は、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、又はこれらを主成分とする合金などの導電材料で形成されている。
【0025】
複数の磁性体層24のうちの2つの磁性体層24には内部導体30に接続する引出導体50a及び50bが形成されている。引出導体50a及び50bは、螺旋状に伸びた内部導体30の両端と基体部10の表面に設けられた外部電極60a及び60b(
図1(a)参照)とを接続する。引出導体50a及び50bは、例えば内部導体30と同じ導電材料で形成されているが、異なる導電材料で形成されていてもよい。
【0026】
外部電極60a及び60bは、表面実装用の外部端子である。
図1(a)のように、外部電極60a及び60bは、基体部10の下面14から端面16a又は16bを経由して上面12まで延在し且つ側面18a及び18bの一部を覆っている。すなわち、外部電極60a及び60bは、基体部10の5面を覆う5面電極である。なお、外部電極60a及び60bは、基体部10の下面14から端面16a又は16bを経由して上面12まで延在する3面電極の場合でもよいし、基体部10の下面14から端面16a又は16bに延在する2面電極の場合でもよい。
【0027】
外部電極60a及び60bは、例えば複数の金属層から形成されている。外部電極60a及び60bは、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、又はパラジウム(Pd)などの金属材料、又はこれらを含む合金金属材料で形成された下層、銀(Ag)又は銀(Ag)を含む導電性樹脂で形成された中層、ニッケル(Ni)及び/又は錫(Sn)のめっき層である上層の複層構造をしている。各層の間に中間層がある場合又は上層の上に最上層がある場合など、外部電極60a及び60bの層構成は例示された層のみには限定されない。
【0028】
図4は、
図1(b)の領域Bを拡大した図である。
図4では、内部導体30は電気的に導通する方向に垂直な方向の断面が示されている。
図4のように、内部導体30は、電気的な導通方向と垂直な断面において長手方向と短手方向を有する。長手方向が内部導体30の幅方向、短手方向が内部導体30の厚み方向となる。内部導体30は、内部導体30の断面において、内部導体30の外周として長手方向である幅方向に伸びる一対の上辺36及び下辺38と、上辺36及び下辺38を接続する一対の側辺40及び42と、を有する略台形形状をしている。内部導体30の角部は後述の製造方法によって丸みを帯びた形状となっていてもよい。下辺38は上辺36よりも長く、側辺40及び42は上辺36から下辺38に向かって広がるように傾斜している。上辺36は直線状に伸びている。下辺38は両端部側から内側(例えば中央部)に向かって内部導体30の厚みが徐々に薄くなるような湾曲をしている。したがって、内部導体30は、内部導体30の断面において、下辺38側に凹み44が形成されている。
【0029】
凹み44は、例えば下辺38の側辺40及び42に接続する両端部から内側に向かって徐々に深さが深くなっている。凹み44は、例えば下辺38の中央部で最も深さが深くなっている。したがって、内部導体30の長手方向である幅方向において、上辺36と下辺38が重なる領域48における内部導体30の厚みは領域48の中央部では端部に比べて薄くなっている。すなわち、短手方向の内部導体30の厚みは、長手方向である幅方向における両外側から内側に向かって徐々に薄くなっている。つまり、内部導体30は、長手方向である幅方向の中央部の厚みに比べて中央部よりも外側で厚みが大きく、更には中央部よりも外側に凸部を有しているとも言える。
【0030】
次に、実施例1に係るインダクタンス素子の製造方法について説明する。
図5(a)から
図5(e)は、実施例1に係るインダクタンス素子の製造方法を示す断面図である。
図5(a)のように、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)などのフィルム70上に例えばドクターブレード法などによって金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布して磁性体膜72を形成する。
【0031】
図5(b)のように、磁性体膜72上に例えばスクリーン印刷などの印刷法によって金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布してドーム形状をした形状制御膜74を形成する。形状制御膜74の形成に用いる磁性体ペーストの粘性を調整することで、ドーム形状をした形状制御膜74を形成できる。粘性は、例えばバインダーの量、溶剤の量、及び/又は金属磁性粒子20の粒径などによって調整することができる。なお、形状制御膜74は、金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布する他に、非磁性材料を塗布して絶縁膜を形成してもよい。
【0032】
磁性体膜72及び形状制御膜74を重ね、所定の位置にレーザを用いてスルーホールを形成した後、
図5(c)のように、形状制御膜74上に例えばスクリーン印刷などの印刷法によって導体ペーストを塗布して形状制御膜74を覆う内部導体30の前駆体を形成する。内部導体30は、形状制御膜74によって下辺38が湾曲して凹み44が形成される。なお、内部導体30の形成の際に引出導体50a及び50bの前駆体も形成されるがここでは図示を省略する。また、所定の位置に形成したスルーホールに導体ペーストが充填されて貫通導体34が形成されるがここでは図示を省略する。
【0033】
図5(d)のように、磁性体膜72上に例えばスクリーン印刷などの印刷法によって金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布して内部導体30の周りに磁性体膜76を形成する。
【0034】
図5(e)のように、フィルム70を剥離する。これにより、
図2における磁性体層24が形成される。
【0035】
図2におけるカバー層26は、PETフィルムなどのフィルム上に、例えばドクターブレード法などによって金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布して磁性体膜を形成した後、フィルムを剥離することで形成される。
【0036】
作製した磁性体層24及びカバー層26を所定の順序で積層して圧着する。圧着した磁性体層24及びカバー層26をチップ単位に切断した後、金属磁性粒子20の組成に応じて酸素濃度の調整がなされた雰囲気下で所定温度(例えば600℃~900℃程度)にて熱処理を行う。この熱処理によって、磁性体層24及びカバー層26を構成する複数の金属磁性粒子20の表面に酸化膜22が形成され、且つ、複数の金属磁性粒子20が酸化膜22を介して互いに結合する。これにより、磁性体層24及びカバー層26が積層され、内部導体30を内蔵する基体部10が形成される。続いて、基体部10の表面に外部電極60a及び60bを形成する。外部電極60a及び60bは、ペースト印刷、めっき、又はスパッタリングなどの薄膜プロセスで用いられる方法によって形成される。
【0037】
図6は、比較例1に係るインダクタンス素子の断面図である。
図6のように、比較例1のインダクタンス素子1000は、内部導体130の断面は矩形形状であり、外周に凹みを持たない。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0038】
図7は、比較例1に係るインダクタンス素子で生じる課題を説明する図である。なお、
図7では、内部導体130の角部が丸みを帯びている点については図の明瞭化のために図示を省略している。
図7のように、内部導体130と金属磁性粒子20は酸化膜22を介して接している。内部導体130と金属磁性粒子20は、異なる材料からなり、線膨張係数が異なる。内部導体130が銀(Ag)で形成され、金属磁性粒子20が鉄(Fe)粒子である場合では、線膨張係数は金属磁性粒子20より内部導体130の方が大きくなる。内部導体130と金属磁性粒子20の線膨張係数が異なることで、例えば上述の製造方法における熱処理工程において、内部導体130と金属磁性粒子20とは線膨張係数の差による応力が残った状態で焼結される。このため、基体部10の温度が下がる過程で、内部導体130は
図7の矢印のように縮む方向に動こうとし、これによって、金属磁性粒子20の表面から酸化膜22を剥がす方向の力が生じる。なお、内部導体130の縮む方向の動きは、内部導体130の断面の寸法の大きい長手方向である幅方向で大きくなる。このようなことから、内部導体130と基体部10との間では内部導体130が縮むことで隙間が生じるようになり、内部導体130の側辺140及び142に酸化膜22を介して接している金属磁性粒子20の表面の酸化膜22を剥がす方向の力が生じることになる。このことで、金属磁性粒子20の表面が露出及び/又は酸化膜22に欠陥が生じ、基体部10の絶縁性の低下の発生原因となってしまう。
【0039】
一方、実施例1によれば、
図4のように、内部導体30は、内部導体30の長手方向である幅方向に伸びる下辺38側に凹み44を有する形状をしていて、長手方向の中央部よりも外側が中央部よりも厚みの大きい断面形状をしている。
図8は、実施例1に係るインダクタンス素子の効果を説明する図である。なお、
図8では、内部導体30の角部が丸みを帯びている点については図の明瞭化のために図示を省略している。
図8のように、内部導体30は下辺38側に凹み44を有する形状、つまり、内部導体30は長手方向である幅方向における中央部の厚みに比べて中央部よりも外側で厚みが大きい断面形状をしている。これにより、温度変化によって内部導体30が縮む方向に動こうとしても、凹み44によって長手方向である幅方向の縮みが抑制される。よって、内部導体30の側辺40及び42と酸化膜22を介して接している金属磁性粒子20表面の酸化膜22が剥離されることが抑制される。このことで、基体部10の絶縁性の低下や錆の発生などを抑制することができる。また、例えば、上辺36より下辺38が長く、下辺38に凹み44が設けられている場合、内部導体30の幅方向に対し、凸部の位置を中央部から外側に配置でき、結果として凸部の間隔を大きくできる。凸部の間隔を大きくすることで、内部導体30の縮みを効果的に抑制できる。
【0040】
内部導体30の凹み44に接する部材は、金属磁性粒子20でも、金属磁性粒子20より更に線膨張係数の小さい部材であってもよい。内部導体30の凹み44に接する部材は、内部導体30に比べて線膨張係数の小さい部材が好ましい。金属磁性粒子20と異なる部材は、磁性材料に限られず、非磁性材料など、その他の材料でもよい。凹み44に接する部材は線膨張係数が小さいほど、内部導体30の縮みが抑制される。したがって、凹み44と接する部材は、線膨張係数として金属磁性粒子20の1/2以下がより好ましく、更に1/3以下が更に好ましい。更には、凹み44と接する部材は、金属磁性粒子20より比抵抗の高い材料である方が好ましい。これらから、凹み44と接する部材として、ジルコニア、アルミナ、ケイ素、フェライトなどの無機材料もしくは酸化物材料が挙げられる。また、凹み44と接する部材は、粒子又は焼結体である。粒子としては平均粒径で2μm以下、また焼結体としては表面粗さRaで1μm以下の場合が好ましい。このようにすること、内部導体30の平滑性を高めることができ、表面粗さRaで1μm以下、又は0.5μm以下とすることができる。この平滑性により、凹み44の深さが小さくとも絶縁低下防止などの同様の効果を得ることができる。更には、凹み44と接する部材が、ジルコニア、アルミナ、ケイ素、フェライトなどの絶縁性の高い材質であれば、内部導体間の距離を小さくすることにもつがなる。
【0041】
図4のように、好適には、凹み44は下辺38の両端部側から内側に向かって徐々に深さが深くなっている。すなわち、内部導体30の断面は、長手方向である幅方向における両端部側から中央部に向かって徐々に厚みが小さくなっている。これにより、内部導体30の長手方向である幅方向の縮みを分散して抑制でき、内部導体30から基体部10に掛かる応力が部分的に集中するようなことを防ぐことになり、凹み44の深さが小さくても絶縁低下防止などの同様の効果を得ることができる。つまり、内部導体30の厚みを薄くでき、部品の小型化を可能とする。なお、下辺38の両端部側から内側に向かって凹み44の深さが深くなるとは、下辺38の両端から内側に向かって深さが深くなる場合に加え、下辺38の両端近傍から内側に向かって深さが深くなる場合を含むものである。
【0042】
凹み44は、好適には、下辺38の中央部で最も深さが深くなっている。すなわち、内部導体30の断面は、長手方向である幅方向に伸びる一対の上辺36及び下辺38が重なる領域では中央の厚みが最も小さくなっている。これにより、内部導体30の両側面からの縮みを両側に分散して抑制でき、内部導体30から基体部10に掛かる応力を両側で均等にすることができる。
【0043】
なお、凹み44の深さは、内部導体30の長手方向である幅方向の縮みを抑制する点では深い方が好ましい。一方で、内部導体30の断面積は大きい方が好ましいことから、凹み44の最大深さは、内部導体30の最大厚さの1/15以上且つ1/4以下が好ましく、1/10以上且つ1/5以下がより好ましく、1/8以上且つ1/6以下が更に好ましい。例えば、凹み44の最大深さは、10μm以上の場合が好ましく、15μm以上の場合がより好ましく、20μm以上の場合が更に好ましい、また、凹み44は、凹み44に接する部材が5粒子以上接する深さを有する場合が好ましく、8粒子以上接する深さを有する場合がより好ましく、10粒子以上接する深さを有する場合が更に好ましい。
【0044】
凹み44は、好適には、上辺36より下辺38が長く、下辺38の全体にわたって湾曲することで形成されている。すなわち、内部導体30の断面において、長手方向である幅方向の少なくとも一方の辺は湾曲している。これにより、凹み44で内部導体30の長手方向である幅方向の縮みが幅方向の全体で抑制され、内部導体30によって幅方向に生じる応力が幅方向の全体に分散され、特定の部位に集中することが抑制される。特に、凹み44と接する部材に対して掛かる応力が分散され、凹み44の深さが小さくとも絶縁低下防止などの同様の効果を得ることができる。つまり、内部導体30の厚みを薄くでき、部品の小型化が可能となる。
【0045】
図9(a)から
図9(g)は、実施例1における内部導体の他の例を示す断面図である。なお、
図9(a)から
図9(g)では、内部導体30の角部が丸みを帯びている点については図の明瞭化のために図示を省略している。
図4では、凹み44は下辺38の両端から内側に向かって深さが深くなる場合を例に示したが、
図9(a)のように、凹み44は下辺38の両端部近傍から内側に向かって深さが深くなる場合でもよい。
図9(b)のように、側辺40及び42は内部導体30の厚さ方向に略平行に直線状に伸びていてもよいし、
図9(c)のように、湾曲していてもよい。
図9(d)のように、凹み44は下辺38が両端部側から内側に向かって内部導体30の厚みが薄くなるように直線状に伸びることで形成されていてもよい。
図9(e)のように、凹み44は下辺38が階段状となって形成されてもよいし、
図9(f)のように、凹み44は下辺38の中央部にのみ形成されてもよい。
図9(g)のように、側辺40及び42は両端部側から内側に向かって内部導体30の幅が広くなるように直線状に伸びていてもよい。いずれの内部導体30においても、短手方向の内部導体30の厚みは、長手方向である幅方向の中央部より外側で中央部より厚みの大きい断面を有することになる。この厚みの大きな部分は、内部導体30の長手方向である幅方向の中央部から両外側にあり、内部導体30の幅方向の長さの半分以上にわたって形成されることが好ましい。これにより、例えば、内部導体30の凸部から外側の部分の幅方向の長さを小さくでき、この部分の内部導体30の幅方向に生じる応力を小さくすることができる。
【0046】
なお、実施例1では、内部導体30は下辺38側に凹み44を有する形状をしている場合を例に示したが、上辺36側に上述したような凹みを有する形状をしている場合でもよい。
【実施例2】
【0047】
図10(a)は、実施例2に係るインダクタンス素子の断面図、
図10(b)は、
図10(a)における領域Aの拡大図である。
図10(a)及び
図10(b)は、インダクタンス素子200の中央部分の断面であり、この図では、内部導体30aは電気的に導通する方向に垂直な方向の断面が示されている。
図10(a)及び
図10(b)のように、実施例2のインダクタンス素子200では、内部導体30aは下辺38が両端部側から内側(例えば中央部)に向かって内部導体30aの厚みが徐々に薄くなるような湾曲をしていることに加え、上辺36も両端部側から内側(例えば中央部)に向かって内部導体30aの厚みが徐々に薄くなるような湾曲をしている。したがって、内部導体30aは、内部導体30aの断面において、下辺38側に凹み44が形成されていることに加え、上辺36側に凹み46が形成されている。
【0048】
凹み46は、例えば上辺36の側辺40及び42に接続する両端部から内側に向かって徐々に深さが深くなっている。凹み46は、例えば上辺36の中央部で最も深さが深くなっている。すなわち、短手方向の内部導体30aの厚みは、長手方向である幅方向における両外側から内側に向かって徐々に薄くなっている。つまり、内部導体30aは、長手方向である幅方向の中央部の厚みに比べて中央部よりも外側で厚みが大きく、更には中央部より外側に凸部を有しているとも言える。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0049】
図11(a)から
図11(d)は、実施例2に係るインダクタンス素子の製造方法を示す断面図である。まず、実施例1の
図5(a)から
図5(d)で説明した製造工程を行って
図11(a)に示す構造を得る。なお、
図11(a)の段階では、内部導体30aの下辺38は湾曲しているが、上辺36は未だ湾曲していない。
【0050】
図11(b)のように、内部導体30a上に例えばスクリーン印刷などの印刷法によって金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布してドーム形状をした形状制御膜78を形成する。形状制御膜78の形成には形状制御膜74の形成で用いた磁性体ペーストを用いることができる。なお、形状制御膜78は、金属磁性粒子20を含む磁性体ペーストを塗布する他に、非磁性材料を塗布して絶縁膜を形成してもよい。
【0051】
図11(c)のように、フィルム70を剥離する。これにより、磁性体層24aが形成される。
【0052】
図11(d)のように、複数の磁性体層24aと複数のカバー層26とを所定の順序で積層して圧着する。これにより、内部導体30aの上面が形状制御膜78で押されて、上辺36が湾曲する。その後、圧着した磁性体層24a及びカバー層26をチップ単位に切断する工程を行うが、これ以降の工程は実施例1で説明した工程と同じであるため説明を省略する。
【0053】
実施例2によれば、内部導体30aは、上辺36及び下辺38の両辺側に凹み44及び46を有する形状をしている。すなわち、内部導体30aの断面において、長手方向である幅方向に伸びる上辺36及び下辺38の両辺は中央部が中央部よりも外側に比べて凹んでいる。更には、上辺36及び下辺38の両辺は、中央部より外側に凸部を有しているとも言える。上辺36及び下辺38の両辺に凸部を設けることで、内部導体30aの長手方向である幅方向の縮みを上辺36側及び下辺38側で抑制できる。また、凹み44及び46には、基体部10を構成する部材であって内部導体30よりも線膨張係数の小さい金属磁性粒子20が接している。これらにより、内部導体30aの上辺36側及び下辺38側の両側において内部導体30aの長手方向である幅方向の縮みを効果的に抑制でき、金属磁性粒子20の表面から酸化膜22が剥離して基体部10の絶縁性が低下することを効果的に抑制できる。
【0054】
なお、凹み44及び46に接する部材は、実施例1と同様に、基体部10を構成する部材であって内部導体30aよりも線膨張係数の小さい部材が好ましく、金属磁性粒子20の場合に限られずその他の部材の場合でもよい。
【0055】
図10(b)では、凹み46は、上辺36の両端から内側に向かって深さが深くなる場合を例に示したが、実施例1の
図9(a)から
図9(g)に示した凹み44と同様の形状をしている場合でもよい。
【実施例3】
【0056】
図12(a)は、実施例3に係るインダクタンス素子の斜視図、
図12(b)は、
図12(a)のA-A間の断面図、
図12(c)は、
図12(a)のB-B間の断面図である。
図12(a)から
図12(c)のように、実施例3のインダクタンス素子300では、内部導体30bは基体部10の端面16aと端面16bの間を直線状に伸びている。内部導体30bは、基体部10の端面16aで外部電極60aに接続し、基体部10の端面16bで外部電極60bに接続している。内部導体30bの断面は、実施例1の内部導体30と同じ形状をしている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。実施例3において、実施例1と共通な部分については、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
実施例1及び実施例2では、内部導体を備えるインダクタンス素子として、内部導体が螺旋状に周回するコイル部品の場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、実施例3のように、内部導体30bが基体部10の端面16aと端面16bの間を直線状に延在して外部電極60a及び60bに接続するインダクタンス素子の場合でもよい。また、インダクタンス素子は、トランス又は電源用コモンモードフィルタなど、その他の場合でもよい。
【0058】
なお、実施例3では、基体部10内に1本の内部導体30bが設けられている場合を例に示したが、複数本の内部導体30bが互いに並列に設けられていてもよい。また、内部導体30bは、必ずしも直線状である必要はなく、湾曲していたり、蛇行したりしていてもよく、内部導体30bが端面16aと端面16bの間に形成されていればよい。インダクタンス素子300としては、内部導体30bが直線状であれば外部電極間の抵抗を低くでき、複数本であれば外部電極間の抵抗を更に低くでき、湾曲などがあれば応力を更に分散させることができる。
【実施例4】
【0059】
図13(a)は、実施例4に係るインダクタンス素子の斜視図、
図13(b)は、
図13(a)のA-A間の断面図、
図13(c)は、
図13(a)のB-B間の断面図である。
図13(a)から
図13(c)のように、実施例4のインダクタンス素子400では、内部導体30bの両端が基体部10の下面14で基体部10から露出している。内部導体30bは、一端が基体部10の下面14で外部電極60aに接続し、他端が基体部10の下面14で外部電極60bに接続している。このように、外部電極60a及び60bは、少なくとも基体部10の下面14に設けられている。
【0060】
実施例3では、内部導体30bは基体部10の端面16a及び16bで外部電極60a及び60bに接続する場合を例に示したが、実施例4のように、内部導体30bは基体部10の下面14で外部電極60a及び60bに接続する場合でもよい。なお、図示は省略するが、内部導体30bは基体部10のその他の面で外部電極60a及び60bに接続する場合でもよい。
【実施例5】
【0061】
図14は、実施例5に係る電子機器の側面図である。
図14のように、実施例5の電子機器500は、回路基板80と、回路基板80に実装された実施例1のインダクタンス素子100と、を備える。インダクタンス素子100は、外部電極60a及び60bが半田84によって回路基板80のランド電極82に接合されることで、回路基板80に実装されている。
【0062】
実施例5の電子機器500によれば、インダクタンス素子100が回路基板80に実装されている。これにより、基体部10の絶縁性の低下が生じ難いインダクタンス素子100を有する電子機器500を得ることができる。なお、実施例5では、回路基板80に実施例1のインダクタンス素子100が実装されている場合を例に示したが、実施例2から実施例4のインダクタンス素子が実装されている場合でもよい。
【0063】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 基体部
20 金属磁性粒子
22 酸化膜
24、24a 磁性体層
26 カバー層
30、30a、30b、130 内部導体
32 平面導体
34 貫通導体
36 上辺
38 下辺
40、42、140、142 側辺
44、46 凹み
50a、50b 引出導体
60a、60b 外部電極
80 回路基板
82 ランド電極
84 半田
100、200、300、400、1000 インダクタンス素子
500 電子機器