(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】アポリポタンパク質(a)発現の調節
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7125 20060101AFI20240513BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240513BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240513BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240513BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240513BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240513BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A61K31/7125 ZNA
A61K47/02
A61K47/54
A61K48/00
A61P3/06
A61P9/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2018519962
(86)(22)【出願日】2016-11-07
(86)【国際出願番号】 US2016060816
(87)【国際公開番号】W WO2017079739
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】バイニー,ニコラス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ギアリー,リチャード・エス
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ツェンロン
(72)【発明者】
【氏名】グナワン,ルディ
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】鈴木 理文
【審判官】渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/179625(WO,A1)
【文献】Lancet,2015年 7月,Vol.386,pp.1472-1483
【文献】FASEB J.,2007,Vol.22,pp.659-661
【文献】「新医薬品の臨床評価に関する一般指針について」、平成4年6月29日、薬新薬第四三号、厚生省薬務局新医薬品課長通知、[https://www.pmda.go.jp/files/000206739.pdf]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/7088
CAPLUS/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマー化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物であって、前記オリゴマー化合物は、ISIS681257、またはその薬学的に許容される塩であり、前記医薬組成物は、ヒトのアポリポタンパク質(a)(アポ(a))
の上昇したレベル及び/またはリポタンパク質(a)(Lp(a))
の上昇したレベルに関連する疾患または病態を治療または予防するためのものであり、前記医薬組成物は、75mg~85mgの前記オリゴマー化合物を含有し、
そしてここでISIS681257は以下の構造:
【化1】
を有する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、80mgの前記オリゴマー化合物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記オリゴマー化合物が、ナトリウム塩として投与される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が、注射によるヒトへの投与用に製剤化される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ヒトへの皮下投与用に製剤化される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記オリゴマー化合物が無菌液で製剤処理される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が1mL
を超える前記無菌液を
含まない、0.8mL
を超える前記無菌液を
含まない、0.5mL
を超える前記無菌液を
含まない、0.4mL
を超える前記無菌液を
含まない、0.25mL
を超える前記無菌液を
含まない、または0.2mL
を超える前記無菌液を
含まない、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
(a)前記無菌液が水である、
(b)前記無菌液が、生理学的に適合性のある緩衝液である、
(c)前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤を含む水である、または
(d)前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤及び塩化ナトリウムを含む水である、
請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記オリゴマー化合物が、0.8mL溶液中に100mg/mLの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物のヒトへの投与が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも50%減少させる、少なくとも75%減少させる、少なくとも80%減少させる、または少なくとも85%減少させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造するための方法であって、前記オリゴマー化合物を、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体と組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項12】
(a)1つ以上の単位製剤であって、それぞれの単位製剤が、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む単位製剤と、(b)ヒトのアポリポタンパク質(a)(アポ(a))及び/またはリポタンパク質(a)(Lp(a))に関連する疾患または病態を治療または予防するための前記単位製剤の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品であって、前記単位製剤の投与が、月に1回または4週に1回である、パッケージ化された医薬製品。
【請求項13】
前記投与が、月に1回である、請求項12に記載のパッケージ化された医薬製品。
【請求項14】
前記投与が、4週に1回である、請求項12に記載のパッケージ化された医薬製品。
【請求項15】
無菌密封容器であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有し、任意に、前記容器がバイアルまたはシリンジである、前記無菌密封容器。
【請求項16】
(a)1つ以上の単位製剤であって、それぞれの単位製剤が、請求項15に記載の密封無菌容器に含まれる、単位製剤と、(b)ヒトのアポリポタンパク質(a)(アポ(a))及び/またはリポタンパク質(a)(Lp(a))に関連する疾患または病態を治療または予防するための前記単位製剤の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品であって、前記単位製剤の投与が、月に1回または4週に1回である、パッケージ化された医薬製品。
【請求項17】
前記投与が、月に1回である、請求項16に記載のパッケージ化された医薬製品。
【請求項18】
前記投与が、4週に1回である、請求項16に記載のパッケージ化された医薬製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、電子形式の配列表とともに出願される。配列表は、2016年11月3日に作成された4KbのサイズのファイルBIOL0283WOSEQ_ST25.txtとして提出される。この電子形式の配列表中の情報は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
アンチセンス技術の背後にある原理は、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズし、標的核酸の量、活性及び/または機能を調節することである。例えば、ある場合には、アンチセンス化合物は、標的の転写または翻訳に変化をもたらす。このような発現の調節は、例えば、標的mRNAの分解または占有に基づく(occupancy-based)阻害によって達成することができる。分解によるRNA標的機能の調節の一例は、DNA様アンチセンス化合物とのハイブリダイゼーションの際における標的RNAのRNase Hによる分解である。標的分解による遺伝子発現の調節の別の例は、RNA干渉(RNAi)である。RNAiは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を利用する機序を介した、アンチセンス媒介性遺伝子サイレンシングを指す。RNA標的機能の調節の更なる例は、占有に基づく機序によるものであり、microRNAによって自然に利用されている機序などである。microRNAは、タンパク質をコードしているRNAの発現を調節する、小さな非コードRNAである。アンチセンス化合物がmicroRNAに結合すると、当該microRNAのそのメッセンジャーRNA標的への結合が阻害され、それによりmicroRNAの機能が妨げられる。microRNA模倣体は、生来のmicroRNA機能を高めることができる。ある特定のアンチセンス化合物は、pre-mRNAのスプライシングを変更する。特定の機序にかかわらず、アンチセンス化合物は、その配列特異性により、標的の検証及び遺伝子の機能化のためのツールとして、また、疾患の病因に関与する遺伝子の発現を選択的に調節する治療薬として、魅力あるものとなっている。
【0003】
アンチセンス技術は、1つ以上の特定の遺伝子産物の発現を調節するための有効な手段であり、そのため、治療、診断及び研究の多数の用途において比類なく有用なものとなり得る。アンチセンス化合物には、ヌクレアーゼ耐性、薬物動態または標的核酸に対する親和性などの1つ以上の特性を高めるために、化学修飾ヌクレオシドが導入され得る。アンチセンス化合物であるVitravene(登録商標)(ホミビルセン;Isis Pharmaceuticals Inc.(Carlsbad,CA)により開発)は、1998年に米国食品医薬品局(FDA)から販売認可を得た最初のアンチセンス薬物であり、現在、AIDS患者におけるサイトメガロウイルス(CMV)誘導性網膜炎の治療薬となっている。
【0004】
新しい化学修飾により、アンチセンス化合物の効力及び有効性が改善されており、経口送達の可能性が見出され、更に、皮下投与を向上させ、副作用の可能性を減少させ、患者の利便性の改善につながっている。アンチセンス化合物の効力を増加させる化学修飾は、低用量の投与を可能にするものであり、これにより、毒性の可能性が減少し、治療費全体が削減される。分解に対する耐性を増加させる修飾は、体内からのクリアランスを遅延させることにより、投与頻度を少なくする。1つの化合物で異なる種類の化学修飾を組み合わせることで、化合物の有効性を更に最適化することができる。
【0005】
リポタンパク質は、球状のミセル様粒子であり、タンパク質、リン脂質及びコレステロールの両親媒性コーティングによって取り囲まれたアシルグリセロール及びコレステリルエステルの非極性コアからなる。リポタンパク質は、その機能的及び物理的特性に基づいて、カイロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク質(HDL)の5つの広範なカテゴリーに分類されている。カイロミクロンは、食物脂質を腸から組織に輸送する。VLDL、IDL及びLDLは全てトリアシルグリセロール及びコレステロールを肝臓から組織に輸送する。HDLは、内因性コレステロールを組織から肝臓に輸送する。
【0006】
リポタンパク質粒子は、連続的な代謝過程を経て、変動的な特性及び組成を有する。リポタンパク質の密度は、その外側のコーティングの密度が内側のコアの密度よりも小さいことから、粒径の増大を伴うことなく増加する。リポタンパク質のタンパク質構成要素は、アポリポタンパク質として知られている。種々のヒトリポタンパク質では、少なくとも9つのアポリポタンパク質がかなりの量で分布している。
【0007】
リポタンパク質(a)[Lp(a)]粒子は、約50年前に特定されており、1つのアポリポタンパク質B(アポB)タンパク質がジスルフィド結合を介して単一のアポリポタンパク質(a)[アポ(a)]タンパク質に結合されている、極めて独特なLDL粒子から構成される。アポ(a)タンパク質は、プラスミノーゲン、特にクリングルIV2型反復ドメイン内と高度の相同性を有する。循環Lp(a)のレベルは、分子中に存在するクリングルIV2型可変反復の数に反比例し、両方のアレルが個体内で共発現される場合、ヘテロ接合性血漿イソ型プロファイルを呈し得る(Kraft et al.,Eur J Hum Genet,1996;4(2):74-87)。このアポ(a)中のクリングル反復ドメインが、その血栓形成促進性及び抗線維素溶解性の要因であり得、アテローム性動脈硬化進行を高める可能性があると考えられる。
【0008】
アポ(a)は、IL-6によって転写的に制御され、IL-6阻害剤(トシリズマブ)で治療された関節リウマチ患者における研究では、血漿レベルが3ヶ月の治療後に30%低下した(Schultz et al.,PLoS One 2010;5:e14328)。
【0009】
アポ(a)は、酸化リン脂質に優先的に結合し、血管炎症を助長することが示されている(Bergmark et al.,J Lipid Res 2008;49:2230-2239;Tsimikas et al.,Circulation.2009;119(13):1711-1719)。
【0010】
更に、研究では、Lp(a)粒子が内皮透過性を刺激し、プラスミノーゲン活性化抑制因子1型の発現を誘導し、マクロファージインターロイキン8の分泌を活性化し得ることも示唆されている(Koschinsky and Marcovina,Curr Opin Lipidol 2004;15:167-174)。重要なことに、最近の遺伝子関連研究により、Lp(a)が心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患及び腹部大動脈瘤の独立した危険因子であることが明らかになった(Rifai et al.,Clin Chem 2004;50:1364-71;Erqou et al.,JAMA 2009;302:412-23;Kamstrup et al.,Circulation 2008;117:176-84)。更に、最近の早発性冠動脈疾患(PROCARDIS)研究では、Clarkeら(Clarke et al.,NEJM(2009)361;2518-2528)が、冠状動脈性心疾患と血漿Lp(a)濃度との間の強く独立した関連性について記載した。加えて、Solfrizziらは、血清Lp(a)の増加がアルツハイマー病(AD)のリスク増加に関係し得ることを示唆した(Solfrizzi et al.,J Neurol Neurosurg Psychiatry 2002,72:732-736。現在、臨床現場において、心臓血管疾患を治療するための間接的なアポ(a)阻害剤の例には、アスピリン、ナイアスパン、ミポメルセン、アナセトラピブ、エプロチローム(Epirotirome)及びロミタピドが挙げられ、これらは、血漿Lp(a)レベルをそれぞれ18%、39%、32%、36%、43%及び17%低下させる。更に、クリニックでは、アポ(a)含有Lp(a)粒子を減少させるためにLp(a)アフェレーシスが使用されている。
【0011】
これまで、アポ(a)レベルを直接標的にすることによって心臓血管疾患を治療する治療戦略は、限られてきた。リボザイムオリゴヌクレオチド(米国特許第5,877,022号)及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(WO2005/000201;WO2003/014397;WO2013/177468;US20040242516;米国特許第8,138,328号、同第8,673,632号及び同第7,259,150号;Merki et al.,J Am Coll Cardiol 2011;57:1611-1621;各公開はその全体が参照により援用される)が開発されてきたが、いずれも商業的使用が認められていない。
【0012】
WO2014/179625は、ISIS681257を含む、アポ(a)を標的にするアンチセンス化合物を開示している。
【0013】
Tsimikasら(Lancet.2015 Oct 10;386:1472-83)は、ヒトアポ(a)を標的にするアンチセンス化合物:ISIS494372(ISIS-APO(a)Rxとしても知られる)を使用した第1相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を開示している。
【0014】
アポ(a)標的化化合物を含むRNAse H依存性(ギャップマー)アンチセンス化合物の活性をin vivoで改善するために使用された1つの化学修飾は、GalNAcクラスターなどのコンジュゲート基への連結である。コンジュゲート基への連結は、非ヒト対象におけるin vivoでの効力を改善することが示されており、例えば、WO2014/179620に開示されているようなGalNAcクラスターにコンジュゲートされたRNAse H依存性(ギャップマー)アンチセンス化合物の使用を含む。本発明以前では、標的の減少を達成する、GalNAcクラスターにコンジュゲートされたRNAse H依存性(ギャップマー)アンチセンス化合物は、ヒトで試験されていない。
【0015】
血漿Lp(a)レベルの慢性的上昇に起因する心臓血管事象のリスクの高い患者を含むヒトにおいて、アポ(a)レベルを強力かつ選択的に低下させることが可能な新規薬剤に対するアンメットメディカルニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、ヒト、特に、血漿Lp(a)レベルの慢性的上昇に起因する心臓血管事象のリスクの高いヒトに、ISIS681257を投与することによって、ヒトの疾患または病態を治療する方法を提供する。ISIS681257は、次の構造を有し、その塩を含む。
【化1】
【0017】
ISIS681257の塩の例を以下に示す。
【化2】
【0018】
ISIS681257は、核酸塩基配列TGCTCCGTTGGTGCTTGTTC(配列番号1)、5-10-5ギャップマーモチーフ及びGalNAcコンジュゲートを有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。本開示で示されるように、ISIS681257は、ヒトの治療に主な利益がある。ヒトに投与した場合、ISIS681257は、その効力及びその作用持続時間の両方に関して、アポ(a)mRNA及び血漿Lp(a)を低下させるのに特に有効である。本明細書で提供されるデータによって示されるように、ISIS681257は、同じ核酸塩基配列及び同じ5-10-5ギャップマーモチーフを有するが、GalNAcコンジュゲートを欠く修飾オリゴヌクレオチドと比較して、ヒトにおいて30倍以上の増加を有する。ISIS681257は、アポ(a)mRNA及び血漿Lp(a)の優れた減少をもたらし、週に1回、月に1回、2ヶ月に1回または3ヶ月に1回の有効な投与を可能にする。
【0019】
コンジュゲートされていない化合物(核酸塩基配列TGCTCCGTTGGTGCTTGTTC(配列番号1)及び5-10-5ギャップマーモチーフを同様に有するISIS494372と、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257)の両方に関する先の実験では、GalNAcがコンジュゲートされた化合物は、本明細書で報告されるヒトの初回投与後に観察されたものよりも、ヒトにおける効力が著しく低く、かつ/または作用持続時間が著しく短いことが示唆されていたため、本明細書で示されるISIS681257の臨床結果は、驚くべきものである(例えば、WO2014/179625の実施例89、100及び108ならびにTsimikas et al.,Lancet,2015 Oct 10;386:1472-83参照)。ISIS494372とISIS681257の両方に関する先の実験は、GalNAcがコンジュゲートされた化合物のマウスにおける高いin vivo効力から利益を生じることを示していたが、これらの先の実験は、ヒトにおける予期しない30倍以上の改善を明らかにしておらず、予想もしていなかった。先の実験において、ISIS681257は、ヒトトランスジェニックアポ(a)マウスにおいて、ISIS494372と比較して、約13倍の効力の改善(ベースライン血漿Lp(a)レベルで)を示した(ISIS681257 ED50=0.8mg/kg/週;ISIS494372 ED50=11mg/kg/週)。ヒト第1相臨床試験で観察されたISIS494372とISIS681257との間の効力の改善倍率は、驚くべきことに、マウスでの同じペアの化合物について観察された改善倍率よりも2倍以上高く、これは、予想外であった。これらの驚くべき結果に照らしてみると、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257及びその塩)は、ヒトを治療する場合、GalNAcがコンジュゲートされた化合物についての先のin vivo試験に基づく予想よりも低い用量及び/または少ない頻度で投与することができる。例えば、Viney,et al.Lancet,2016,Sep 2016;388:2239-53を参照されたい。これは、ヒトの治療において1つ以上の非常に重要な改善、例えば、治療費の削減、患者コンプライアンスの改善、医薬品の投与量の減少及び/またはより低用量の投薬レジメンによる潜在的な有害事象のリスク低減の可能性をもたらすことができるものである。
【0020】
本開示は、次の非限定的な実施形態を提供する。
【0021】
実施形態1:ヒトにおける疾患または病態の治療または予防にて使用するためのオリゴマー化合物であって、当該オリゴマー化合物は、ISIS681257であり、当該治療は、投薬期間中に、500mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、オリゴマー化合物。
【0022】
実施形態2:当該治療が、投薬期間中に、250mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0023】
実施形態3:当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0024】
実施形態4:当該治療が、投薬期間中に、50mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0025】
実施形態5:当該治療が、投薬期間中に、25mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0026】
実施形態6:当該治療が、投薬期間中に、15mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0027】
実施形態7:当該投薬期間が3ヶ月である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0028】
実施形態8:当該投薬期間が2ヶ月である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0029】
実施形態9:当該投薬期間が1ヶ月である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0030】
実施形態10:当該投薬期間が4週間である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0031】
実施形態11:当該投薬期間が3週間である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0032】
実施形態12:当該投薬期間が2週間である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0033】
実施形態13:当該投薬期間が1週間である、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0034】
実施形態14:当該治療が、オリゴマー化合物を125mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0035】
実施形態15:当該治療が、オリゴマー化合物を100mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0036】
実施形態16:当該治療が、オリゴマー化合物を75mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0037】
実施形態17:当該治療が、オリゴマー化合物を50mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0038】
実施形態18:当該治療が、オリゴマー化合物を25mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0039】
実施形態19:当該治療が、オリゴマー化合物を15mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0040】
実施形態20:当該治療が、オリゴマー化合物を1mg以上含む単位用量を投与することを含む、実施形態14~19のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0041】
実施形態21:当該治療が、オリゴマー化合物を2.5mg以上含む単位用量を投与することを含む、実施形態20に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0042】
実施形態22:当該治療が、オリゴマー化合物を5mg以上含む単位用量を投与することを含む、実施形態20に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0043】
実施形態23:当該治療が、75mg~85mgの単位用量、任意に80mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0044】
実施形態24:当該治療が、55mg~65mgの単位用量、任意に60mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0045】
実施形態25:当該治療が、35mg~45mgの単位用量、任意に40mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0046】
実施形態26:当該治療が、25mg~35mgの単位用量、任意に30mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0047】
実施形態27:当該治療が、15mg~25mgの単位用量、任意に20mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0048】
実施形態28:当該治療が、5mg~15mgの単位用量、任意に10mgの単位用量を投与することを含む、実施形態14~22のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0049】
実施形態29:当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0050】
実施形態30:当該治療が、投薬期間中に、2を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0051】
実施形態31:当該治療が、投薬期間中に、3を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0052】
実施形態32:当該治療が、投薬期間中に、4を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0053】
実施形態33:当該治療が、投薬期間中に、5を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0054】
実施形態34:当該治療が、投薬期間中に、6を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態14~28のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0055】
実施形態35:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が3ヶ月である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0056】
実施形態36:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、(ii)当該投薬期間が3ヶ月であり、かつ(iii)当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態35に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0057】
実施形態37:当該治療が、投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態35または実施形態36に記載のオリゴマー化合物。
【0058】
実施形態38:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が2ヶ月である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0059】
実施形態39:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、(ii)当該投薬期間が2ヶ月であり、かつ(iii)当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態38に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0060】
実施形態40:当該治療が、投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態38または実施形態39に記載のオリゴマー化合物。
【0061】
実施形態41:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が1ヶ月である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0062】
実施形態42:(i)当該治療が、投薬期間中に、100mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、(ii)当該投薬期間が1ヶ月であり、かつ(iii)当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態41に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0063】
実施形態43:当該治療が、投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態41または実施形態42に記載のオリゴマー化合物。
【0064】
実施形態44:(i)当該治療が、投薬期間中に、75mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が1ヶ月である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0065】
実施形態45:(i)当該治療が、投薬期間中に、75mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、(ii)当該投薬期間が1ヶ月であり、かつ(iii)当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態44に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0066】
実施形態46:当該治療が、投薬期間中に、55mg~65mg、任意に60mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態44または実施形態45に記載のオリゴマー化合物。
【0067】
実施形態47:(i)当該治療が、投薬期間中に、50mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が1週間である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0068】
実施形態48:(i)当該治療が、投薬期間中に、50mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、(ii)当該投薬期間が1週間であり、かつ(iii)当該治療が、投薬期間中に、1を越えない単位用量をヒトに投与することを含む、実施形態47に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0069】
実施形態49:当該治療が、投薬期間中に、35mg~45mg、任意に40mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態47または実施形態48に記載のオリゴマー化合物。
【0070】
実施形態50:当該治療が、投薬期間中に、25mg~35mg、任意に30mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態47または実施形態48に記載のオリゴマー化合物。
【0071】
実施形態51:当該治療が、投薬期間中に、15mg~25mg、任意に20mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態47または実施形態48に記載のオリゴマー化合物。
【0072】
実施形態52:当該治療が、投薬期間中に、5mg~15mg、任意に10mgのオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む、実施形態47または実施形態48に記載のオリゴマー化合物。
【0073】
実施形態53:(i)当該治療が、投薬期間中に、250mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、かつ(ii)当該投薬期間が4週間である、実施形態1~34いずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0074】
実施形態54:当該治療が、投薬期間中に、40mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含む、実施形態53に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0075】
実施形態55:(i)当該治療が、投薬期間中に、40mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、実施形態53または実施形態54に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0076】
実施形態56:当該治療が、投薬期間中に、30mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含む、実施形態53に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0077】
実施形態57:(i)当該治療が、投薬期間中に、30mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、実施形態53または実施形態56に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0078】
実施形態58:当該治療が、投薬期間中に、20mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含む、実施形態53に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0079】
実施形態59:(i)当該治療が、投薬期間中に、20mgのオリゴマー化合物を6回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、実施形態53または実施形態58に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0080】
実施形態60:当該ヒトが、血漿Lp(a)レベルの上昇に起因する心臓血管事象のリスクが高い、実施形態1~59のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0081】
実施形態61:当該疾患または病態が、Lp(a)上昇に伴う石灰化大動脈弁狭窄症、Lp(a)上昇に伴う心臓血管リスクの上昇、及びLp(a)上昇に伴う心臓血管事象の再発から選択される、実施形態1~59のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0082】
実施形態62:当該オリゴマー化合物が注射によってヒトに投与される、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0083】
実施形態63:当該オリゴマー化合物が皮下注射によってヒトに投与される、実施形態62に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0084】
実施形態64:当該オリゴマー化合物が無菌液で製剤処理され、かつ任意に、当該オリゴマー化合物の各単位用量が1mLの無菌液を越えない、実施形態62または実施形態63に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0085】
実施形態65:当該オリゴマー化合物の各単位用量が0.8mLの無菌液を越えない、実施形態64に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0086】
実施形態66:当該オリゴマー化合物の各単位用量が0.5mLの無菌液を越えない、実施形態64に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0087】
実施形態67:当該オリゴマー化合物の各単位用量が0.4mLの無菌液を越えない、実施形態64に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0088】
実施形態68:当該オリゴマー化合物の各単位用量が0.25mLの無菌液を越えない、実施形態64に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0089】
実施形態69:当該オリゴマー化合物の各単位用量が0.2mLの無菌液を越えない、実施形態64に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0090】
実施形態70:当該無菌液が水である、実施形態64~69のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0091】
実施形態71:当該無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤を含む水である、実施形態64~69のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0092】
実施形態72:当該無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤及び塩化ナトリウムを含む水である、実施形態64~69のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0093】
実施形態73:当該治療が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも50%減少させる、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0094】
実施形態74:当該治療が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも75%減少させる、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0095】
実施形態75:当該治療が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも80%減少させる、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0096】
実施形態76:当該治療が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも85%減少させる、先行実施形態のいずれかに記載の使用のためのオリゴマー化合物。
【0097】
実施形態77:オリゴマー化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物であって、当該オリゴマー化合物は、ISIS681257であり、当該医薬組成物は、125mg以下のオリゴマー化合物を含有する、医薬組成物。
【0098】
実施形態78:当該医薬組成物が100mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0099】
実施形態79:当該医薬組成物が75mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0100】
実施形態80:当該医薬組成物が50mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0101】
実施形態81:当該医薬組成物が25mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0102】
実施形態82:当該医薬組成物が15mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0103】
実施形態83:当該医薬組成物が10mg以下のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0104】
実施形態84:当該医薬組成物が1mg以上のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0105】
実施形態85:当該医薬組成物が2.5mg以上のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0106】
実施形態86:当該医薬組成物が5mg以上のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0107】
実施形態87:当該医薬組成物が10mg以上のオリゴマー化合物を含有する、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0108】
実施形態88:当該組成物が、75mg~85mg、任意に80mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0109】
実施形態89:当該組成物が、55mg~65mg、任意に60mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0110】
実施形態90:当該組成物が、35mg~45mg、任意に40mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0111】
実施形態91:当該組成物が、25mg~35mg、任意に30mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0112】
実施形態92:当該組成物が、15mg~25mg、任意に20mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0113】
実施形態93:当該組成物が、5mg~15mg、任意に10mgのオリゴマー化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
【0114】
実施形態94:当該組成物が、注射によるヒトへの投与用に製剤化される、実施形態77~93のいずれかに記載の医薬組成物。
【0115】
実施形態95:当該オリゴマー化合物が無菌液で製剤処理され、かつ任意に当該組成物が1mLの無菌液を越えない、実施形態94に記載の医薬組成物。
【0116】
実施形態96:当該医薬組成物が0.8mLの無菌液を越えない、実施形態95に記載の医薬組成物。
【0117】
実施形態97:当該医薬組成物が0.5mLの無菌液を越えない、実施形態95に記載の医薬組成物。
【0118】
実施形態98:当該医薬組成物が0.4mLの無菌液を越えない、実施形態95に記載の医薬組成物。
【0119】
実施形態99:当該医薬組成物が0.25mLの無菌液を越えない、実施形態95に記載の医薬組成物。
【0120】
実施形態100:当該医薬組成物が0.2mLの無菌液を越えない、実施形態95に記載の医薬組成物。
【0121】
実施形態101:当該無菌液が水である、実施形態95~100のいずれかに記載の医薬組成物。
【0122】
実施形態102:当該無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤を含む水である、実施形態95~100のいずれかに記載の医薬組成物。
【0123】
実施形態103:当該無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤及び塩化ナトリウムを含む水である、実施形態95~100のいずれかに記載の医薬組成物。
【0124】
実施形態104:当該組成物のヒトへの投与が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも50%減少させる、実施形態77~103のいずれかに記載の医薬組成物。
【0125】
実施形態105:当該組成物のヒトへの投与が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも75%減少させる、実施形態77~103のいずれかに記載の医薬組成物。
【0126】
実施形態106:当該組成物のヒトへの投与が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも80%減少させる、実施形態77~103のいずれかに記載の医薬組成物。
【0127】
実施形態107:当該組成物のヒトへの投与が、投薬期間の開始時及び終了時にヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、当該ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも85%減少させる、実施形態77~103のいずれかに記載の医薬組成物。
【0128】
実施形態108:実施形態77~107のいずれかに記載の医薬組成物を製造するための方法であって、125mg以下のオリゴマー化合物を、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体と組み合わせることを含む、方法。
【0129】
実施形態109:(a)実施形態77~107のいずれかに記載の医薬組成物をそれぞれ含む複数の単位剤形と、(b)実施形態1~76のいずれかに記載の治療のための単位剤形の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品。
【0130】
実施形態110:実施形態77~107のいずれかに記載の医薬組成物を含有する、無菌密封容器。
【0131】
実施形態111:当該容器がバイアルである、実施形態110に記載の無菌容器。
【0132】
実施形態112:当該容器がシリンジである、実施形態110に記載の無菌容器。
【0133】
実施形態113:(a)実施形態110~112のいずれかに記載の密封無菌容器にそれぞれ含まれる複数の単位剤形と、(b)実施形態1~76のいずれかに記載の治療のための単位剤形の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品。
【0134】
実施形態114:ヒトにおける疾患または病態を治療する方法であって、投薬期間中に、500mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、当該オリゴマー化合物はISIS681257である、方法。
【0135】
実施形態115:当該方法が、実施形態1~76のいずれかに記載の治療を含む、実施形態114に記載の方法。
【0136】
実施形態116:実施形態77~107のいずれかに記載の医薬組成物、実施形態109もしくは113に記載のパッケージ化された医薬組成物、または実施形態110~112のいずれかに記載の無菌密封容器の製造における、ISIS681257の使用。
【0137】
実施形態117:ISIS681257の単位用量を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0138】
実施形態118:当該単位用量が120mgである、実施形態117に記載の方法。
【0139】
実施形態119:当該単位用量が100mgである、実施形態117に記載の方法。
【0140】
実施形態120:当該単位用量が80mgである、実施形態117に記載の方法。
【0141】
実施形態121:当該単位用量が60mgである、実施形態117に記載の方法。
【0142】
実施形態122:当該単位用量が40mgである、実施形態117に記載の方法。
【0143】
実施形態123:当該単位用量が30mgである、実施形態117に記載の方法。
【0144】
実施形態124:当該単位用量が20mgである、実施形態117に記載の方法。
【0145】
実施形態125:当該単位用量が15mgである、実施形態117に記載の方法。
【0146】
実施形態126:当該単位用量が10mgである、実施形態117に記載の方法。
【0147】
実施形態127:当該単位用量が週に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0148】
実施形態128:当該単位用量が2週に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0149】
実施形態129:当該単位用量が3週に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0150】
実施形態130:当該単位用量が4週に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0151】
実施形態131:当該単位用量が月に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0152】
実施形態132:当該単位用量が2ヶ月に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0153】
実施形態133:当該単位用量が3ヶ月に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施形態134:当該単位用量が1、3、5、8、15、22日目に投与され、その後は週に1回投与される、実施形態117~126のいずれかに記載の方法。
【0155】
実施形態135:当該対象が、心臓血管の疾患または障害の症状を1つ以上有する、実施形態117~134のいずれかに記載の方法。
【0156】
実施形態136:当該心臓血管の疾患または障害の1つ以上の症状が改善される、実施形態135に記載の方法。
【0157】
特定の実施形態において、本開示は、オリゴマー化合物を提供し、当該オリゴマー化合物は、ヒトにおけるLp(a)の上昇に関連した疾患または病態の治療または予防にて使用するためのISIS681257であり、当該治療は、(a)負荷期または導入期及び(b)維持期に1以上の用量のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む。特定の実施形態において、ある用量のオリゴマー化合物が、維持期間中、週1回、2週に1回、月1回、2ヶ月に1回または3ヶ月に1回、必要性、有効性及び/または忍容性がある限り、ヒトに投与される。
【0158】
いくつかの実施形態において、治療は、投薬期間中に、450mg以下、400mg以下、350mg以下、300mg以下、250mg以下、200mg以下、150mg以下、100mg以下、75mg以下、50mg以下、40mg以下、30mg以下、25mg以下、20mg以下、または15mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含む。
【0159】
本開示は、ISIS681257を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、それを必要とする患者は、アポ(a)レベルが上昇したヒト、例えば、≧30mg/dL、≧35mg/dL、≧40mg/dL、≧50mg/dL、≧60mg/dL、≧70mg/dL、≧80mg/dL、≧90mg/dL、≧100mg/dL、≧110mg/dL、≧120mg/dL、≧130mg/dL、≧140mg/dL、≧150mg/dL、≧160mg/dL、≧170mg/dL、≧175mg/dL、≧180mg/dL、≧190mg/dL、≧200mg/dLのアポ(a)レベルを有するヒトである。Lp(a)はまた、ナノモル/リットルの単位で表すことができる。例えば、≧75ナノモル/リットル(nmol/L)または≧30mg/dLであるヒト対象は、心臓血管の疾患または障害の1つ以上の症状に対するリスクがあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【
図1A】
図1A~Cは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。20mg(
図1A)、30mg(
図1B)または40mg(
図1C)の用量は、≧80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図1B】
図1A~Cは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。20mg(
図1A)、30mg(
図1B)または40mg(
図1C)の用量は、≧80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図1C】
図1A~Cは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。20mg(
図1A)、30mg(
図1B)または40mg(
図1C)の用量は、≧80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図2A】
図2A~Bは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。60mg(
図2A)及び80mg(
図2B)Lp(a)の用量は、約80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図2B】
図2A~Bは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。60mg(
図2A)及び80mg(
図2B)Lp(a)の用量は、約80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図3】2ヶ月の投薬レジメン(例えば、2ヶ月ごとに1回投与)の結果として予想されるLp(a)レベルを示す。2ヶ月ごとの80mg用量は、約80%のLp(a)の定常状態での減少を示す。
【
図4】3ヶ月の投薬レジメンの結果として予想されるLp(a)レベルを示す。3ヶ月ごとの80mg用量は、80%のLp(a)の定常状態での減少及び90%を超えるLp(a)の最大減少を示す。
【
図5A】
図5A~Dは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。ISIS681257を用量20mg(
図5A)、40mg(
図5B)、60mg(
図5C)及び80mg(
図5D)で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化した図を示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図5B】
図5A~Dは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。ISIS681257を用量20mg(
図5A)、40mg(
図5B)、60mg(
図5C)及び80mg(
図5D)で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化した図を示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図5C】
図5A~Dは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。ISIS681257を用量20mg(
図5A)、40mg(
図5B)、60mg(
図5C)及び80mg(
図5D)で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化した図を示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図5D】
図5A~Dは、種々の月1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。ISIS681257を用量20mg(
図5A)、40mg(
図5B)、60mg(
図5C)及び80mg(
図5D)で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化した図を示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図6A】
図6A~Dは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。
図6A~Dは、ISIS681257を5mg(
図6A)、10mg(
図6B)、20mg(
図6C)及び30mg(
図6D)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用のモデリングを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図6B】
図6A~Dは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。
図6A~Dは、ISIS681257を5mg(
図6A)、10mg(
図6B)、20mg(
図6C)及び30mg(
図6D)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用のモデリングを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図6C】
図6A~Dは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。
図6A~Dは、ISIS681257を5mg(
図6A)、10mg(
図6B)、20mg(
図6C)及び30mg(
図6D)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用のモデリングを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【
図6D】
図6A~Dは、種々の週1回の投薬レジメンの結果として予測されるLp(a)レベルを示す。
図6A~Dは、ISIS681257を5mg(
図6A)、10mg(
図6B)、20mg(
図6C)及び30mg(
図6D)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用のモデリングを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0161】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、どちらも例示的かつ説明的なものにすぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。本明細書中、単数形の使用は、特に明記しない限り、複数を含む。本明細書で使用されるとき、「or(または)」の使用は、別の記載がない限り、「and/or(及び/または)」を意味する。更に、「including(含む)」という用語ならびに「includes(含む)」及び「included(含む)」などの他の形の使用は、限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの用語は、特に明記しない限り、1単位を含む要素及び成分と、1つを超える下位単位を含む要素及び成分との両方を包含する。
【0162】
本明細書で使用される段落見出しは、単に構成上の目的であり、記載される主題の限定を意図するものではない。限定するものではないが、特許、特許出願、記事、書籍及び論文を含む、本出願に引用する全ての文献または文献の一部は、あらゆる目的のために、その全体が参照により明示的に本明細書に援用される。
【0163】
A.定義
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学及び医薬製薬化学に関して使用される用語ならびにこれらの手順及び技術は、当該技術分野においてよく知られており、一般的に使用されるものである。化学合成及び化学分析には、標準的技術を使用することができる。このような特定の技術及び手順は、例えば、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research” Edited by Sangvi and Cook,American Chemical Society,Washington D.C.,1994;“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,21st edition,2005;及び“Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications” Edited by Stanley T.Crooke,CRC Press,Boca Raton,Florida;及びSambrook et al.,“Molecular Cloning,A laboratory Manual,” 2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989に見出すことができ、これらは、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。許容される場合、本開示を通して参照される全ての特許、出願、公開出願ならびに他の公開物及び他のデータは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0164】
特に指示がない限り、次の用語は、次の意味を有する。
【0165】
本明細書で使用されるとき、「投薬期間」とは、ヒト対象が最初の投与を受けてからヒト対象が最後の投与を受けるまでの期間を意味する。患者の投薬は、最初の投薬期間に続いて、同一または異なる投薬レジメンが使用される1つ以上の更なる投薬期間が続くように、投薬期間の終了後に継続してもよいことが想定される。例えば、ヒト対象は、最初の投薬期間中に6回の投与を受けることができ、この場合、最初の投与と最後の投与は4週間離れている。その後に、ヒト対象は、次いで第2の投薬期間を開始し、ヒト対象は、一定間隔での投与を受ける(例えば、1週間につき1単位用量、1ヶ月につき1単位用量または3ヶ月につき1単位用量)。
【0166】
本明細書で使用されるとき、「単位用量」という用語は、特定の時点でヒトに投与されるオリゴマー化合物の特定量(例えば、単回皮下注射でヒトに投与されるオリゴマー化合物の特定量)を指す。各単位用量は、本明細書に記載されるように、反復投与レジメンの一部を形成する。
【0167】
本明細書で使用されるとき、「単位剤形」という用語は、各単位用量を投与用にした物理的形態を指す。
【0168】
本明細書で使用される場合、「無菌液」という用語は、ヒト対象への投与に適した液体を意味する。特定の実施形態において、無菌液は、生育可能な微生物または細菌を実質的に含まない液体を含む。特定の実施形態において、無菌液は、USP等級の水またはUSP等級の生理食塩水を含む。
【0169】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド」とは、核酸塩基部分及び糖部分を含む化合物を意味する。ヌクレオシドには、限定するものではないが、天然に生じるヌクレオシド(DNA及びRNAに認められるもの)及び修飾ヌクレオシドが含まれる。ヌクレオシドは、リン酸部分に結合され得る。
【0170】
本明細書で使用されるとき、「化学修飾」とは、天然に生じる同等物と比較したときの化合物における化学的相違を意味する。オリゴヌクレオチドの化学修飾には、ヌクレオシド修飾(糖部分の修飾及び核酸塩基の修飾を含む)及びヌクレオシド間結合修飾が含まれる。オリゴヌクレオチドに関して、核酸塩基配列のみの相違は化学修飾に含まれない。
【0171】
本明細書で使用されるとき、「フラノシル」とは、4つの炭素原子と1つの酸素原子とを含む5員環を含む構造を意味する。
【0172】
本明細書で使用されるとき、「天然に生じる糖部分」とは、天然に生じるRNAに認められるリボフラノシルまたは天然に生じるDNAみられるデオキシリボフラノシルを意味する。
【0173】
本明細書で使用されるとき、「糖部分」とは、天然に生じる糖部分またはヌクレオシドの修飾糖部分を意味する。
【0174】
本明細書で使用されるとき、「修飾糖部分(修飾された糖部分)」とは、置換糖部分または糖代替物を意味する。
【0175】
本明細書で使用されるとき、「置換糖部分(置換された糖部分)」とは、天然に生じる糖部分ではないフラノシルを意味する。置換糖部分には、限定するものではないが、2’位、3’位、5’位及び/または4’位に置換基を含むフラノシルが含まれる。特定の置換糖部分は、二環式糖部分である。
【0176】
本明細書で使用されるとき、「2’-置換糖部分」とは、2’位にHまたはOH以外の置換基を含むフラノシルを意味する。特に指定のない限り、2’-置換糖部分は、二環式糖部分ではない(すなわち、2’-置換糖部分の2’-置換基は、フラノシル環の別の原子への架橋を形成していない。
【0177】
本明細書で使用されるとき、「MOE」は、-OCH2CH2OCH3を意味する。
【0178】
本明細書で使用されるとき、「核酸」は、ヌクレオチドモノマーからなる分子を指す。核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸(ssDNA)、二本鎖核酸(dsDNA)、低分子干渉リボ核酸(siRNA)及びmicroRNA(miRNA)が含まれる。核酸はまた、単一分子中に、これらの要素の任意の組み合わせを含み得る。
【0179】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオチド」とは、リン酸結合基を更に含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用されるとき、「結合されたヌクレオシド」は、リン酸結合によって結合されていても結合されていなくてもよく、したがって、「結合されたヌクレオチド」を含むが、これに限定されない。本明細書で使用されるとき、「結合されたヌクレオシド」は、連続した配列で接続されたヌクレオシドである(すなわち、結合されたヌクレオシド間に追加のヌクレオシドが存在しない)。
【0180】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基」とは、糖部分に結合して、オリゴヌクレオチドへの組み込みが可能なヌクレオシドを形成し得る原子団であって、別のオリゴヌクレオチドまたは核酸の相補的な天然核酸塩基と結合することが可能な原子団を意味する。核酸塩基は、天然に生じるものであっても、修飾されているものでもよい。本明細書で使用されるとき、「核酸塩基配列」とは、任意の糖、結合または核酸塩基の修飾に関係なく、連続した核酸塩基の順序を意味する。
【0181】
本明細書で使用されるとき、「非修飾核酸塩基」または「天然に生じる核酸塩基」という用語は、天然に生じるRNAまたはDNAの複素環式核酸塩基、すなわち、プリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(G)と、ピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)(5-メチルCを含む)及びウラシル(U)とを意味する。
【0182】
本明細書で使用されるとき、「修飾核酸塩基」とは、天然に生じる核酸塩基ではない任意の核酸塩基を意味する。
【0183】
本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオシド」とは、天然に生じるRNAまたはDNAヌクレオシドと比較して少なくとも1つの化学修飾を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含む。
【0184】
本明細書で使用されるとき、「2’-置換ヌクレオシド」とは、2’位にHまたはOH以外の置換基を含むヌクレオシドを意味する。特に指定のない限り、2’-置換ヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドではない。
【0185】
本明細書で使用されるとき、「デオキシヌクレオシド」とは、天然に生じるデオキシリボヌクレオシド(DNA)に認められる、2’-Hフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。特定の実施形態において、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含み得、あるいはRNA核酸塩基(例えば、ウラシル)を含み得る。
【0186】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオチド」とは、複数の結合されたヌクレオシドを含む化合物を意味する。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の非修飾リボヌクレオシド(RNA)及び/もしくは非修飾デオキシリボヌクレオシド(DNA)ならびに/または1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。
【0187】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオシド」とは、ヌクレオシド間結合がいずれもリン原子を含有しないオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオシドを含む。
【0188】
本明細書で使用されるとき、「修飾オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド及び/または少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0189】
本明細書で使用されるとき、「結合」または「結合基」とは、2つ以上の他の原子団を結合させる原子団を意味する。
【0190】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間結合」とは、オリゴヌクレオチドにおける、隣接するヌクレオシド間の共有結合を意味する。
【0191】
本明細書で使用されるとき、「天然に生じるヌクレオシド間結合」とは、3’-5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0192】
本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオシド間結合(修飾されたヌクレオシド間結合)」とは、天然に生じるヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。
【0193】
本明細書で使用されるとき、「末端ヌクレオシド間結合」とは、オリゴヌクレオチドまたはその定義領域の最後の2つのヌクレオシド間の結合を意味する。
【0194】
本明細書で使用されるとき、「リン結合基」とは、リン原子を含む結合基を意味する。リン結合基には、限定するものではないが、次式を有する基が含まれる。
【化3】
式中:
R
a及びR
dは、それぞれ独立して、O、S、CH
2、NHまたはNJ
1(式中、J
1は、C
1~C
6アルキルまたは置換C
1~C
6アルキルである)であり、
R
bは、OまたはSであり、
R
cは、OH、SH、C
1~C
6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、置換C
1~C
6アルコキシ、アミノまたは置換アミノであり、
J
1は、R
bは、OまたはSである。
【0195】
リン結合基には、限定するものではないが、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホネ-ト、ホスホロアミデート、ホスホロチオアミデート、チオノアルキルホスホネート、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル及びボラノホスフェートが含まれる。
【0196】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間リン結合基」とは、2つのヌクレオシドを直接的に結合するリン結合基を意味する。
【0197】
本明細書で使用されるとき、「非ヌクレオシド間リン結合基」とは、2つのヌクレオシドを直接的に結合しないリン結合基を意味する。特定の実施形態において、非ヌクレオシド間リン結合基は、ヌクレオシドをヌクレオシド以外の基に結合する。特定の実施形態において、非ヌクレオシド間リン結合基は、どちらもヌクレオシドではない2つの基を結合する。
【0198】
本明細書で使用されるとき、「中性結合基」とは、荷電のない結合基を意味する。中性結合基には、限定するものではないが、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(-CH2-N(CH3)-O-)、アミド-3(-CH2-C(=O)-N(H)-)、アミド-4(-CH2-N(H)-C(=O)-)、ホルムアセタール(-O-CH2-O-)及びチオホルムアセタール(-S-CH2-O-)が含まれる。更なる中性結合基には、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホン酸エステル及びアミドを含む非イオン性結合が含まれる(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook Eds.ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4(pp.40-65)参照)。更なる中性結合基には、N、O、S及びCH2の混合構成部分を含む非イオン性結合が含まれる。
【0199】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間中性結合基」とは、2つのヌクレオシドを直接的に結合する中性結合基を意味する。
【0200】
本明細書で使用されるとき、「オリゴマー化合物」とは、2つ以上の下位構造を含む高分子構造を意味する。特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基を含む。特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドからなる。オリゴマー化合物はまた、天然に生じる核酸を含む。特定の実施形態において、オリゴマー化合物は、1つ以上の結合されたモノマーサブユニットの主鎖を含み、結合されたモノマーサブユニットのそれぞれは、複素環式塩基部分に直接的または間接的に結合している。特定の実施形態において、オリゴマー化合物はまた、複素環式塩基部分に結合していないモノマーサブユニットを含み得、これにより、脱塩基部位を提供する。特定の実施形態において、モノマーサブユニット、糖部分または糖代替物及び複素環式塩基部分を連結する結合は、独立して修飾され得る。特定の実施形態において、結合-糖単位は、複素環式塩基を含んでも含まなくてもよく、ペプチド核酸のモノマーなどの模倣物で置換され得る。
【0201】
本明細書で使用されるとき、「末端基」とは、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端のいずれか、またはその両方に結合した1つ以上の原子を意味する。特定の実施形態において、末端基は、コンジュゲート基である。特定の実施形態において、末端基は、1つ以上の末端基ヌクレオシドを含む。
【0202】
本明細書で使用されるとき、「コンジュゲート」または「コンジュゲート基」とは、オリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物に結合した原子または原子団を意味する。一般に、コンジュゲート基は、結合される化合物の1つ以上の特性、限定するものではないが、薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞取込み、電荷及び/またはクリアランスなどの特性を変更する。
【0203】
本明細書で使用されるとき、コンジュゲート基との関係における「コンジュゲートリンカー」または「リンカー」とは、任意の原子または原子団を含み、かつ(1)オリゴヌクレオチドをコンジュゲート基の別の部分に共有結合させるか、(2)コンジュゲート基の2つ以上の部分に共有結合させる、コンジュゲート基の一部を意味する。
【0204】
コンジュゲート基は、本明細書において、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴマー化合物への共有結合を形成するための結合を提供する基として示される。特定の実施形態において、オリゴマー化合物の結合点は、オリゴマー化合物の3’末端ヌクレオシドの3’-ヒドロキシル基の3’-酸素原子である。特定の実施形態において、オリゴマー化合物の結合点は、オリゴマー化合物の5’末端ヌクレオシドの5’-ヒドロキシル基の5’-酸素原子である。特定の実施形態において、オリゴマー化合物への結合を形成するための結合は、切断可能な結合である。このような特定の実施形態において、かかる切断可能な結合は、切断可能部分の全てまたは一部を構成する。
【0205】
特定の実施形態において、コンジュゲート基は、切断可能部分(例えば、切断可能な結合または切断可能なヌクレオシド)と、GalNAcクラスター部分などの炭水化物クラスター部分とを含む。かかる炭水化物クラスター部分は、標的化部分と、任意にコンジュゲートリンカーとを含む。特定の実施形態において、炭水化物クラスター部分は、リガンドの数及び性質によって特定される。例えば、特定の実施形態において、炭水化物クラスター部分は、3つのGalNAc基を含み、「GalNAc3」と表記される。特定の炭水化物クラスター部分(特定のテザー、分岐基及びコンジュゲートリンカー基を有するもの)が本明細書に記載され、ローマ数字に続いて下付き文字「a」で表記される。したがって、「GalNac3-1a」は、3つのGalNac基と、具体的に特定されたテザー、分岐基及び結合基とを有するコンジュゲート基の特定の炭水化物クラスター部分を指す。このような炭水化物クラスター断片は、切断可能な結合または切断可能なヌクレオシドなどの切断可能部分を介して、オリゴマー化合物に結合される。
【0206】
本明細書で使用されるとき、「切断可能部分」とは、生理学的条件下で分裂することが可能な結合または基を意味する。特定の実施形態において、切断可能部分は、細胞内部またはリソソームなどの細胞内区画内部で切断される。特定の実施形態において、切断可能部分は、ヌクレアーゼなどの内因性酵素によって分解される。特定の実施形態において、切断可能部分は、1、2、3、4または4つ以上の切断可能な結合を有する原子団を含む。
【0207】
本明細書で使用されるとき、「切断可能な結合」とは、開裂が可能な任意の化学結合を意味する。特定の実施形態において、切断可能な結合は、アミド、ポリアミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、ジスルフィドまたはペプチドのうちから選択される。
【0208】
本明細書で使用されるとき、「炭水化物クラスター」とは、スカフォールド基または結合基に結合した1つ以上の炭水化物残基を有する化合物を意味する。(例えば、炭水化物コンジュゲートクラスターの例については、Maier et al.,“Synthesis of Antisense Oligonucleotides Conjugated to a Multivalent Carbohydrate Cluster for Cellular Targeting,” Bioconjugate Chemistry,2003,(14):18-29(その全体を参照により本明細書に援用する)またはRensen et al.,“Design and Synthesis of Novel N-Acetylgalactosamine-Terminated Glycolipids for Targeting of Lipoproteins to the Hepatic Asiaglycoprotein Receptor,” J.Med.Chem.2004,(47):5798-5808を参照されたい)。
【0209】
本明細書で使用されるとき、「一本鎖」とは、その相補体にハイブリダイズせず、かつ安定した自己二本鎖を形成するのに十分な自己相補性に欠くオリゴマー化合物を意味する。
【0210】
本明細書で使用されるとき、「二本鎖」とは、互いにハイブリダイズした一対のオリゴマー化合物またはヘアピン構造を形成する単一の自己相補性オリゴマー化合物を意味する。特定の実施形態において、二本鎖オリゴマー化合物は、第1及び第2のオリゴマー化合物を含む。
【0211】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス化合物」とは、オリゴヌクレオチドを含む化合物またはオリゴヌクレオチドからなる化合物を意味し、少なくともその一部は、標的核酸に対して相補的であり、その標的核酸にハイブリダイズすることができ、その結果、少なくとも1つのアンチセンス活性が生じるものである。
【0212】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに帰する何らかの検出可能及び/または測定可能な変化を意味する。特定の実施形態において、アンチセンス活性は、標的核酸転写物(例えば、mRNA)の量または活性の調節を含む。特定の実施形態において、アンチセンス活性は、pre-mRNAのスプライシングの調節を含む。
【0213】
本明細書で使用されるとき、「RNase Hに基づくアンチセンス化合物」とは、アンチセンス化合物のアンチセンス活性のうちの少なくとも一部が、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションと、それに続くRNase Hによる標的核酸の切断に起因する、アンチセンス化合物を意味する。
【0214】
本明細書で使用されるとき、「検出すること」または「測定すること」とは、検出または測定のための試験またはアッセイが実施されることを意味する。このような検出及び/または測定は、値がゼロになることもある。したがって、検出または測定のための試験が活性なし(活性ゼロ)という結果になる場合であっても、その活性を検出または測定するためのステップは実施されている。
【0215】
本明細書で使用されるとき、「検出可能及び/または測定可能な活性」とは、ゼロではない統計的に有意な活性を意味する。
【0216】
本明細書で使用されるとき、「本質的に不変」とは、特定のパラメーターの変化が、特に、変化のより大きい別のパラメーターと比較して、ほとんどないか、全くないことを意味する。特定の実施形態において、あるパラメーターの変化が5%未満である場合、そのパラメーターは、本質的に不変である。特定の実施形態において、あるパラメーターの変化が2倍未満であり、かつ別のパラメーターの変化が少なくとも10倍である場合、そのパラメーターは、本質的に不変である。例えば、特定の実施形態において、アンチセンス活性は、標的核酸の量の変化である。このような特定の実施形態において、非標的核酸の量は、その変化が標的核酸の変化よりもはるかに小さい場合、本質的に不変であるが、その変化はゼロである必要はない。
【0217】
本明細書で使用されるとき、「発現」とは、遺伝子が最終的にタンパク質をもたらすプロセスを意味する。発現には、転写、転写後修飾(例えば、スプライシング、ポリアデニル化、5’-キャップ付加)及び翻訳が含まれるが、これらに限定されない。
【0218】
本明細書で使用されるとき、「標的核酸」とは、アンチセンス化合物がハイブリダイズして所望のアンチセンス活性をもたらすように意図された核酸分子を意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その標的核酸に対して、生理学的条件下でのハイブリダイゼーションを可能にする十分な相補性を有する。
【0219】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基相補性」または「相補性」は、核酸塩基に関する場合、別の核酸塩基と塩基対合することができる核酸塩基を意味する。例えば、DNAにおいて、アデニン(A)は、チミン(T)に相補的である。例えば、RNAにおいて、アデニン(A)は、ウラシル(U)に相補的である。特定の実施形態において、相補的な核酸塩基とは、その標的核酸の核酸塩基と塩基対合することができる、アンチセンス化合物の核酸塩基を意味する。例えば、アンチセンス化合物のある特定の位置の核酸塩基が、標的核酸のある特定の位置の核酸塩基と水素結合できる場合、そのオリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は、当該核酸塩基対において相補的であるとみなされる。特定の修飾を含む核酸塩基は、相対する核酸塩基と対合する能力を維持することができるため、依然として、核酸塩基相補性を有することができる。
【0220】
本明細書で使用されるとき、核酸塩基に関する「非相補的」とは、互いに水素結合を形成しない核酸塩基の対を意味する。
【0221】
本明細書で使用されるとき、オリゴマー化合物(例えば、結合されたヌクレオシド、オリゴヌクレオチドまたは核酸)に関する「相補的」とは、かかるオリゴマー化合物またはその領域が核酸塩基相補性により別のオリゴマー化合物またはその領域にハイブリダイズする能力を意味する。相補的なオリゴマー化合物は、各ヌクレオシドで核酸塩基相補性を有する必要はない。むしろ、いくつかのミスマッチが許容される。特定の実施形態において、相補的なオリゴマー化合物または領域は、核酸塩基のうちの70%が相補的である(70%相補的)。特定の実施形態において、相補的なオリゴマー化合物または領域は、80%相補的である。特定の実施形態において、相補的なオリゴマー化合物または領域は、90%相補的である。特定の実施形態において、相補的なオリゴマー化合物または領域は、95%相補的である。特定の実施形態において、相補的なオリゴマー化合物または領域は、100%相補的である。
【0222】
本明細書で使用されるとき、「ミスマッチ」とは、第1のオリゴマー化合物と第2のオリゴマー化合物を整列させたとき、第1のオリゴマー化合物の核酸塩基が第2のオリゴマー化合物の対応する位置の核酸塩基と対合できないことを意味する。第1及び第2のオリゴマー化合物のいずれかまたは両方がオリゴヌクレオチドであってよい。
【0223】
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的なオリゴマー化合物(例えば、アンチセンス化合物とその標的核酸)の対合を意味する。特定の機序に限定されるものではないが、最も一般的な対合の機序には、ワトソン・クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の水素結合であり得る、相補的な核酸塩基間での水素結合が関与する。
【0224】
本明細書で使用されるとき、「特異的にハイブリダイズ」とは、オリゴマー化合物が、ある核酸部位に対して、別の核酸部位へのハイブリダイズよりも大きい親和性をもってハイブリダイズする能力を意味する。
【0225】
本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドまたはその部分に関する「完全に相補的」とは、当該オリゴヌクレオチドまたはその部分の各核酸塩基が、相補的な核酸またはその連続した部分の核酸塩基と対合できることを意味する。したがって、完全に相補的な領域は、いずれの鎖においても、ミスマッチまたはハイブリダイズしない核酸塩基を含まない。
【0226】
本明細書で使用されるとき、「相補性パーセント」とは、オリゴマー化合物の核酸塩基のうち、標的核酸の等長部分に相補的な核酸塩基のパーセンテージを意味する。相補性パーセントは、標的核酸の対応する位置の核酸塩基に相補的なオリゴマー化合物の核酸塩基の数をオリゴマー化合物の全長で割ることによって算出される。
【0227】
本明細書で使用されるとき、「同一性パーセント」とは、第1の核酸の核酸塩基の総数で割った、第2の核酸の対応する位置の核酸塩基と種類が(化学修飾に関係なく)同じである第1の核酸の核酸塩基の数を意味する。
【0228】
本明細書で使用されるとき、「調節」とは、ある分子、機能または活性の調節前の量または質と比較したときのその分子、機能または活性の量または質の変化を意味する。例えば、調節は、遺伝子発現における増加(刺激または誘導)または減少(阻害または低下)のいずれかの変化を含む。更なる例として、発現の調節は、pre-mRNAプロセシングのスプライス部位選択の変化を含み得、これにより、調節がない場合の量と比較して、特定のスプライスバリアントの絶対量または相対量に変化が生じる。
【0229】
本明細書で使用されるとき、「化学モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドまたはその領域における化学修飾のパターンを意味する。モチーフは、オリゴヌクレオチドの特定のヌクレオシド及び/または特定の結合基における修飾によって定義することができる。
【0230】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシドモチーフ」とは、オリゴヌクレオチドまたはその領域におけるヌクレオシド修飾のパターンを意味する。かかるオリゴヌクレオチドの結合は、修飾されていても修飾されていなくてもよい。特に指定のない限り、本明細書でヌクレオシドのみを記載しているモチーフは、ヌクレオシドモチーフであることが意図される。したがって、このような場合、結合は限定されない。
【0231】
本明細書で使用されるとき、「糖モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドまたはその領域における糖修飾のパターンを意味する。
【0232】
本明細書で使用されるとき、「結合モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドまたはその領域における結合修飾のパターンを意味する。かかるオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、修飾されていても修飾されていなくてもよい。特に指定のない限り、本明細書で結合のみを記載しているモチーフは、結合モチーフであることが意図される。したがって、このような場合、ヌクレオシドは限定されない。
【0233】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基修飾モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドに沿った核酸塩基への修飾のパターンを意味する。特に指定のない限り、核酸塩基修飾モチーフは、核酸塩基配列に依存しない。
【0234】
本明細書で使用されるとき、「配列モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドまたはその部分に沿って配置された核酸塩基のパターンを意味する。特に指定のない限り、配列モチーフは、化学修飾に依存せず、そのため、化学修飾なしを含む、化学修飾の任意の組み合わせを有し得る。
【0235】
本明細書で使用されるとき、ヌクレオシドに関する「修飾の種類」またはヌクレオシドの「種類」とは、ヌクレオシドの化学修飾を意味し、修飾ヌクレオシド及び非修飾ヌクレオシドを含む。したがって、特に指定のない限り、「第1の種類の修飾を有するヌクレオシド」は、非修飾ヌクレオシドであり得る。
【0236】
本明細書で使用されるとき、「異なる修飾」とは、互いに異なる化学修飾または化学置換基を意味し、修飾の不在を含む。したがって、例えば、MOEヌクレオシドと非修飾DNAヌクレオシドは、DNAヌクレオシドが非修飾であっても、「異なる修飾」である。同様に、DNA及びRNAは、その両方が天然に生じる非修飾ヌクレオシドであっても、「異なる修飾」である。異なる核酸塩基を含む点を除いて同じであるヌクレオシドは、異なる修飾ではない。例えば、2’-OMe修飾糖及び非修飾アデニン核酸塩基を含むヌクレオシドと、2’-OMe修飾糖及び非修飾チミン核酸塩基を含むヌクレオシドは、異なる修飾ではない。
【0237】
本明細書で使用されるとき、「同じ種類の修飾」は、互いに同一である修飾を指し、修飾の不在を含む。したがって、例えば、2つの非修飾DNAヌクレオシドは、DNAヌクレオシドが非修飾であっても、「同じ種類の修飾」を有する。このような同じ種類の修飾を有するヌクレオシドは、異なる核酸塩基を含み得る。
【0238】
本明細書で使用されるとき、「別々の領域」とは、任意の隣接する部分の化学修飾または化学修飾のモチーフが、その別々の領域を互いに区別することを可能にする少なくとも1つの相違を含む、オリゴヌクレオチドの部分を意味する。
【0239】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体または希釈剤」とは、動物への投与に使用するのに好適な任意の物質を意味する。特定の実施形態において、薬学的に許容される担体または希釈剤は、滅菌生理食塩水である。特定の実施形態において、かかる滅菌生理食塩水は、医薬品等級の生理食塩水である。
【0240】
本明細書で使用されるとき、「代謝性障害」という用語は、主に代謝(食物を分解してエネルギーを生成することに関連する一連の複雑な化学反応)の調節異常を特徴とする疾患または病態を意味する。
【0241】
本明細書で使用されるとき、「心血管障害」という用語は、主に心臓または血管の機能不全を特徴とする疾患または病態を意味する。
【0242】
本明細書で使用されるとき、「プロドラッグ」とは、対象に投与されると、代謝されて活性化合物またはより活性のある化合物(例えば、薬物)を形成する、化合物の不活性形態または活性の低い形態を意味する。
【0243】
本明細書で使用されるとき、特に指定のない限り、または修正のない限り、「二本鎖」という用語は、互いにハイブリダイズする2つの別個のオリゴマー化合物を指す。このような二本鎖化合物は、生理学的に相当する条件下でのハイブリダイゼーションを維持するのに十分な相補性があるという前提で、片方の鎖もしくは両方の鎖の一端もしくは両端に1つ以上のヌクレオシドもしくはハイブリダイズしないヌクレオシド(オーバーハング)を有し得、かつ/または1つ以上のハイブリダイズしない内部ヌクレオシド(ミスマッチ)を有し得る。
【0244】
本明細書で使用されるとき、「5’標的部位」は、特定のアンチセンス化合物の最も5’側のヌクレオチドに相補的である標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0245】
本明細書で使用されるとき、「約」は、値の±10%以内を意味する。例えば、「マーカーが約50%増加し得る」と記載される場合、それは、そのマーカーが45%~55%増加し得ることを意味する。
【0246】
本明細書で使用されるとき、「同時に投与される」は、患者において2つの剤の両方の薬理作用が同時に顕在化される任意の方法での2つの剤の共投与を指す。同時投与は、両方の剤が、単一の医薬組成物、同じ剤形または同じ投与経路で投与されることを必要としない。両方の剤の作用が同時に顕在化される必要はない。作用は、ある期間にわたって重複しているだけでよく、同じ時間幅を有する必要はない。
【0247】
本明細書で使用されるとき、「投与すること」または「投与」とは、個体に薬剤を提供することを意味し、医療専門家による投与及び自己投与を含むが、これらに限定されない。個体への薬剤の投与は、連続的、長期的、短期的または断続的であり得る。投与は、非経口投与または非経口以外の投与であり得る。
【0248】
本明細書で使用されるとき、「剤」とは、動物に投与したときに治療上の利益をもたらすことができる活性物質を意味する。「第1の剤」とは、本発明の治療用化合物を意味する。例えば、第1の剤は、アポ(a)を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。「第2の剤」とは、本発明の第2の治療用化合物(例えば、アポ(a)を標的にする第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド)及び/または非アポ(a)治療用化合物を意味する。
【0249】
本明細書で使用されるとき、「改善」または「改善する」または「改善すること」は、関連する疾患、障害または病態の少なくとも1つの指標、徴候または症状の軽減を指す。指標の重症度は、当業者に知られている、主観的または客観的尺度によって決定することができる。
【0250】
本明細書で使用されるとき、「アポ(a)」とは、アポ(a)をコードする任意の核酸またはタンパク質の配列を意味する。例えば、特定の実施形態において、アポ(a)には、アポ(a)をコードするDNA配列、アポ(a)をコードするDNAから転写されたRNA配列(イントロン及びエクソンを含むゲノムDNAを含む)、アポ(a)をコードするmRNA配列、またはアポ(a)をコードするペプチド配列が含まれる。
【0251】
本明細書で使用されるとき、「アポ(a)核酸」とは、アポ(a)をコードする任意の核酸を意味する。例えば、特定の実施形態において、アポ(a)核酸には、アポ(a)をコードするDNA配列、アポ(a)をコードするDNAから転写されたRNA配列(イントロン及びエクソンを含むゲノムDNAを含む)、及びアポ(a)をコードするmRNA配列が含まれる。
【0252】
本明細書で使用されるとき、「アポ(a)mRNA」とは、アポ(a)タンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0253】
本明細書で使用されるとき、「アポ(a)タンパク質」とは、アポ(a)をコードする任意のタンパク質配列を意味する。
【0254】
本明細書で使用されるとき、「アポ(a)特異的阻害剤」は、アポ(a)核酸及び/またはアポ(a)タンパク質の発現を特異的に阻害することができる任意の剤を指す。例えば、アポ(a)特異的阻害剤には、アポ(a)核酸及び/またはアポ(a)タンパク質の発現を阻害することができる、核酸(アンチセンス化合物を含む)、ペプチド、抗体、小分子及び他の剤が含まれる。特定の実施形態において、アポ(a)特異的阻害剤は、アポ(a)核酸発現及び/またはアポ(a)タンパク質発現を特異的に調節することによって、下流成分を含む脂質輸送系の他の成分に影響を与えることができる。同様に、特定の実施形態において、アポ(a)特異的阻害剤は、動物における他の分子プロセスに影響を与えることができる。
【0255】
本明細書で使用されるとき、「アテローム性動脈硬化症」とは、大動脈及び中動脈を冒す動脈の硬化を意味し、脂肪沈着の存在を特徴とする。脂肪沈着は、「アテローム」または「プラーク」と呼ばれ、主にコレステロールと他の脂肪、カルシウム及び瘢痕組織からなり、動脈内膜に損傷を与える。
【0256】
本明細書で使用されるとき、「冠状動脈性心疾患(CHD)」とは、血液と酸素を心臓に供給する小さな血管が狭くなることを意味し、アテローム性動脈硬化症の帰結であることが多い。
【0257】
本明細書で使用されるとき、「真性糖尿病」または「糖尿病」は、不十分なインスリンレベルまたはインスリン感受性の低下に起因する代謝障害及び異常高血糖(高血糖症)を特徴とする症候群である。特徴的な症状は、血糖レベルが高いことによる過剰な尿生成(多尿症)、排尿の増加を補償しようとする多渇と水分摂取の増加(多渇症)、眼の光学系に対する高血糖の影響による霧視、原因不明の体重減少及び無気力である。
【0258】
本明細書で使用されるとき、「糖尿病性脂質異常症」または「脂質異常症を伴う2型糖尿病」とは、2型糖尿病、HDL-Cの低下、トリグリセリド(TG)の上昇及び小型高密度LDL粒子の上昇を特徴とする病態を意味する。
【0259】
本明細書で使用されるとき、「希釈剤」とは、薬理活性はないが、薬学的に必要であるか、望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注射組成物中の希釈剤は、液体、例えば、生理食塩液であり得る。
【0260】
本明細書で使用されるとき、「脂質異常症」は、脂質及び/またはリポタンパク質の過剰産生または不足を含む、脂質及び/またはリポタンパク質の代謝障害を指す。脂質異常症は、カイロミクロン、コレステロール及びトリグリセリドなどの脂質ならびに低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールなどのリポタンパク質の増加が徴候として現れ得る。
【0261】
本明細書で使用されるとき、「用量」とは、1回の投与または指定された期間内に提供される薬剤の指定量を意味する。特定の実施形態において、ある用量は、1回、2回またはそれ以上のボーラス、錠剤または注射で投与することができる。例えば、皮下投与が望ましい特定の実施形態において、所望の用量は、1回の注射では容易に対応できない体積を必要とし、そのため、2回以上の注射を使用して所望の用量を達成することができる。特定の実施形態において、薬剤は、長期間にわたる注入または持続注入により投与される。用量は、時間、日、週または月あたりの薬剤の量として示すことができる。用量はまた、mg/kgまたはg/kgで記述することもできる。
【0262】
本明細書で使用されるとき、「有効な量」または「治療上有効な量」とは、活性薬剤を必要とする個体において所望の生理学的結果をもたらすのに十分な活性薬剤の量を意味する。有効な量は、治療される個体の健康状態及び身体状態、治療される個体の分類群、組成物の処方、個体の医学的状態の評価、ならびに他の関連因子に応じて、個体間で変動し得る。
【0263】
本明細書で使用されるとき、「完全に相補的」または「100%相補的」とは、第1の核酸の核酸塩基配列の各核酸塩基が、第2の核酸の第2の核酸塩基配列中に相補的な核酸塩基を有することを意味する。特定の実施形態において、第1の核酸はアンチセンス化合物であり、第2の核酸は標的核酸である。
【0264】
本明細書で使用されるとき、「グルコース」は、エネルギー源及び炎症性中間体として細胞によって使用される単糖である。「血漿グルコース」は、血漿中に存在するグルコースを指す。
【0265】
本明細書で使用されるとき、「高密度リポタンパク質-C」または「HDL-C」とは、高密度リポタンパク質粒子に伴うコレステロールを意味する。血清(または血漿)中のHDL-Cの濃度は、典型的に、mg/dLまたはnmol/L単位で定量される。「血清HDL-C」及び「血漿HDL-C」とは、血清中及び血漿中のHDL-Cをそれぞれ意味する。
【0266】
本明細書で使用されるとき、「HMG-CoA還元酵素阻害剤」とは、酵素であるHMG-CoA還元酵素の阻害により作用する剤、例えば、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン及びシムバスタチンなどを意味する。
【0267】
本明細書で使用されるとき、成人における高コレステロールの検出、治療評価に関する全米コレステロール教育プログラム(NCEP)の専門家パネル報告のガイドライン(Arch.Int.Med.(1988)148,36-39参照)に従えば、「高コレステロール血症」とは、コレステロール、すなわち、循環(血漿)コレステロール、LDL-コレステロール及びVLDL-コレステロールの上昇を特徴とする病態を意味する。
【0268】
本明細書で使用されるとき、「高脂血症」または「脂肪過剰血症」は、血清脂質または循環(血漿)脂質の上昇を特徴とする病態である。この病態は、異常に高濃度の脂肪を示す。循環血液中の脂質分画は、コレステロール、低密度リポタンパク質、超低密度リポタンパク質、カイロミクロン及びトリグリセリドである。高脂血症のフレドリクソン分類は、電気泳動または超遠心分離によって測定したTGとコレステロール高含有リポタンパク質粒子のパターンに基づくものであり、高トリグリセリド血症などの高脂血症の主因を特徴付けるものとして一般に使用されている(Fredrickson and Lee,Circulation,1965,31:321-327;Fredrickson et al.,New Eng J Med,1967,276(1):34-42)。
【0269】
本明細書で使用されるとき、「高トリグリセリド血症」とは、トリグリセリドレベルの上昇を特徴とする病態を意味する。その病因は、一時的要因(すなわち、遺伝的原因)及び二次的要因(糖尿病、メタボリックシンドローム/インスリン抵抗性、肥満、運動不足、喫煙、過剰なアルコール及び炭水化物が非常に高い食事などの他の遠因)または、最も多いが、この両方の組み合わせを含む(Yuan et al.CMAJ,2007,176:1113-1120)。
【0270】
本明細書で使用されるとき、「代謝性疾患または心臓血管疾患を有する動物を特定すること」または「選択すること」とは、代謝性疾患、心臓血管疾患もしくはメタボリックシンドロームにかかりやすい対象、または代謝性疾患、心臓血管疾患もしくはメタボリックシンドロームと診断された対象を特定もしくは選択すること、あるいは、代謝性疾患、心臓血管疾患またはメタボリックシンドロームの何らかの症状、限定するものではないが、高コレステロール血症、高血糖症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高血圧、インスリン抵抗性の上昇、インスリン感受性の低下、正常値を超える体重及び/もしくは正常値を超える体脂肪量またはこれらの任意の組み合わせを含む症状を有する対象を特定または選択することを意味する。このような特定は、限定するものではないが、血清または循環(血漿)コレステロールの測定、血清または循環(血漿)血糖の測定、血清または循環(血漿)トリグリセリドの測定、血圧の測定、体脂肪量の測定、体重の測定などの標準的な臨床検査または臨床評価を含む、任意の方法によって達成することができる。
【0271】
本明細書で使用されるとき、「心臓血管転帰の改善」とは、有害な心臓血管事象の発生またはそのリスクの低下を意味する。有害な心臓血管事象の例には、限定するものではないが、死亡、再梗塞、脳卒中、心臓性ショック、肺水腫、心停止及び心房不整脈が挙げられる。
【0272】
本明細書で使用されるとき、「HDLの増加」または「HDLの上昇」とは、いかなる化合物も投与されていない動物におけるHDLレベルと比較した、本発明の少なくとも1つの化合物の投与後の動物におけるHDLレベルの増加を意味する。
【0273】
本明細書で使用されるとき、「個体」または「対象」とは、処置または治療のために選択されるヒトを意味する。
【0274】
本明細書で使用されるとき、「その必要のある個体」は、処置または治療のために選択される、かかる処置または治療を必要とするヒトまたはヒト以外の動物を指す。
【0275】
本明細書で使用されるとき、「誘導する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、「増加させる」、「低下させる」、「減少させる」などは、2つの状態の間の定量的な差異を表す。例えば、「アポ(a)の活性または発現を阻害するのに有効な量」とは、処置を行った試料におけるアポ(a)の活性または発現レベルが、処置を行っていない試料におけるアポ(a)の活性または発現レベルとは異なることを意味する。かかる用語は、例えば、発現レベル及び活性レベルに適用される。
【0276】
本明細書で使用されるとき、「炎症性病態」は、炎症をもたらす疾患、疾患状態、症候群または他の病態を指す。例えば、関節リウマチ及び肝線維症は、炎症性病態である。炎症性病態の他の例には、敗血症、心筋虚血/再灌流傷害、成人呼吸窮迫症候群、腎炎、移植片拒絶反応、炎症性腸疾患、多発性硬化症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症及び血管炎が挙げられる。
【0277】
本明細書で使用されるとき、「発現または活性を阻害する」は、RNAまたはタンパク質の発現または活性の低下または遮断を指し、必ずしも発現または活性の完全な排除を示すものではない。
【0278】
本明細書で使用されるとき、「インスリン抵抗性」は、正常量のインスリンであるが、脂肪、筋肉及び肝細胞から正常なインスリン応答をもたらすことができない病態として定義される。脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は、貯蔵されたトリグリセリドの加水分解を引き起こし、これにより血漿中の遊離脂肪酸が上昇する。筋肉でのインスリン抵抗性はグルコース取込みを減少させるのに対し、肝臓でのインスリン抵抗性はグルコース貯蔵を減少させ、この両方の作用により血糖が上昇する。インスリン抵抗性に起因するインスリン及びグルコースの高血漿レベルは、多くの場合、メタボリックシンドローム及び2型糖尿病を引き起こす。
【0279】
本明細書で使用されるとき、「インスリン感受性」は、個体がどれだけ効率的にグルコースを処理するかの尺度である。高インスリン感受性を有する個体は、グルコースを効率的に処理するが、低インスリン感受性の個体は、グルコースを効率的に処理しない。
【0280】
本明細書で使用されるとき、「脂質低下」とは、対象における1種以上の脂質(例えば、LDL、VLDL)の減少を意味する。「脂質上昇」とは、対象における脂質(例えば、HDL)の増加を意味する。脂質低下または脂質上昇は、経時的な1回以上の投薬により生じ得る。
【0281】
本明細書で使用されるとき、「脂質低下療法」または「脂質低下剤」とは、対象において1種以上の脂質を減少させるために対象に提供される治療レジメンを意味する。特定の実施形態において、脂質低下療法は、対象において、アポ(a)、CETP、アポB、総コレステロール、LDL-C、VLDL-C、IDL-C、非HDL-C、トリグリセリド、小型高密度LDL粒子及びLp(a)のうちの1つ以上を減少させるために提供される。脂質低下療法の例には、アポB阻害剤、スタチン、フィブラート及びMTP阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0282】
本明細書で使用されるとき、VLDL、LDL及びHDLなどの「リポタンパク質」は、血清、血漿及びリンパ液に認められるタンパク質群を指し、脂質輸送にとって重要である。各リポタンパク質の化学組成は、例えば、HDLでは脂質に対してタンパク質の割合がより高く、一方、VLDLでは、脂質に対してタンパク質の割合がより低いという点で異なる。
【0283】
本明細書で使用されるとき、「Lp(a)」は、アポ(a)と、アポBを含有するLDL様粒子とを含む。アポ(a)は、ジスルフィド結合によってアポBに結合している。
【0284】
本明細書で使用されるとき、「低密度リポタンパク質-コレステロール(LDL-C)」とは、低密度リポタンパク質粒子で運搬されるコレステロールを意味する。血清(または血漿)中のLDL-Cの濃度は、典型的に、mg/dLまたはnmol/L単位で定量される。「血清LDL-C」及び「血漿LDL-C」とは、血清中及び血漿中のLDL-Cをそれぞれ意味する。
【0285】
本明細書で使用されるとき、「主要危険因子」は、特定の疾患または病態の高リスクに寄与する因子を指す。特定の実施形態において、冠状動脈性心疾患の主要危険因子には、限定するものではないが、喫煙、高血圧、高LDL、低HDL-C、冠状動脈性心疾患の家族歴、年齢及び本明細書で開示される他の因子が含まれる。
【0286】
本明細書で使用されるとき、「代謝性障害」または「代謝性疾患」は、代謝機能の変化または障害を特徴とする病態を指す。「代謝性」及び「代謝」は、当該技術分野においてよく知られている用語であり、一般に、生体内で生じる生化学的プロセスの全範囲を包含する。代謝性障害には、高血糖症、前糖尿病、糖尿病(1型及び2型)、肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム及び2型糖尿病による脂質異常症が含まれるが、これらに限定されない。
【0287】
本明細書で使用されるとき、「メタボリックシンドローム」とは、代謝を起源にする脂質及び脂質以外の心臓血管危険因子の集積を特徴とする病態を意味する。特定の実施形態において、メタボリックシンドロームは、次の因子:男性の場合102cmまたは女性の場合88cmを越える腹囲;150mg/dL以上の血清トリグリセリド;男性の場合40mg/dL未満または女性の場合50mg/dL未満のHDL-C;130/85mmHg以上の血圧;及び110mg/dL以上の空腹時グルコースのうちのいずれか3つの存在によって特定される。これらの決定因子は、診療時に容易に測定することができる(JAMA,2001,285:2486-2497)。
【0288】
「非経口投与」とは、注射または注入による投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与または頭蓋内投与、例えば、髄腔内もしくは脳室内投与が含まれる。投与は、連続的、長期的、短期的または断続的であり得る。
【0289】
本明細書で使用されるとき、「薬剤」とは、個体に投与されたときに治療上の利益をもたらす物質を意味する。例えば、特定の実施形態において、アポ(a)に対して標的化されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬剤である。
【0290】
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」または「組成物」とは、個体への投与に好適な物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、1つ以上の活性剤及び薬学的担体、例えば、無菌水溶液を含み得る。
【0291】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される誘導体」は、本明細書に記載の化合物の誘導体、例えば、溶媒和物、水和物、エステル、プロドラッグ、多形体、異性体、同位体標識された変形体、薬学的に許容される塩、及び当該技術分野において周知の他の誘導体などを包含する。
【0292】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」とは、アンチセンス化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩、すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ望ましくない毒性作用を付与しない塩を意味する。「薬学的に許容される塩」または「塩」という用語は、無機または有機の酸及び塩基を含む、薬学的に許容される無毒性の酸または塩基から調製された塩を含む。本明細書に記載の化合物の「薬学的に許容される塩」は、当該技術分野においてよく知られている方法によって調製することができる。薬学的に許容される塩の概説については、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照されたい。ヒトへの治療用投与には、アンチセンスオリゴヌクレオチドのナトリウム塩が有用であり、十分な認容性を示す。したがって、一実施形態において、本明細書に記載の化合物は、ナトリウム塩の形態である。
【0293】
本明細書で使用されるとき、「部分(portion)」とは、核酸のある所定数の連続した(すなわち、結合された)核酸塩基を意味する。特定の実施形態において、部分は、標的核酸のある所定数の連続した核酸塩基である。特定の実施形態において、部分は、アンチセンス化合物のある所定数の連続した核酸塩基である。
【0294】
本明細書で使用されるとき、「予防する」または「予防すること」は、疾患、障害または病態の発症または発現を、数分から無期限までの期間、遅延させ、または未然に防ぐことを指す。また、予防するとは、疾患、障害または病態を発症するリスクを低減することも意味する。
【0295】
本明細書で使用されるとき、「上昇させる」とは、量の増加を意味する。例えば、血漿HDLレベルを上昇させるとは、血漿中のHDLの量が増加することを意味する。
【0296】
本明細書で使用されるとき、「低下させる」とは、より小さい程度、サイズ、量または数に減少させることを意味する。例えば、血漿トリグリセリドレベルを低下させるとは、血漿中のトリグリセリドの量が減少することを意味する。
【0297】
本明細書で使用されるとき、「領域」または「標的領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能または特徴を有する標的核酸の部分として定義される。例えば、標的領域は、3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン境界、コード領域、翻訳開始領域、翻訳終止領域または他の確定された核酸領域を包含し得る。アポ(a)について構造的に確定される領域は、NCBIなどの配列データベースからアクセッション番号によって得ることができ、そのような情報は、参照により本明細書に援用される。特定の実施形態において、標的領域は、当該標的領域内のある標的セグメントの5’標的部位から当該標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含し得る。
【0298】
本明細書で使用されるとき、「第2の剤」または「第2の治療薬」とは、「第1の剤」と併用することができる剤を意味する。第2の治療薬には、アポ(a)またはアポBを標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれ得るが、これらに限定されない。第2の剤には、抗アポ(a)抗体、アポ(a)ペプチド阻害剤、コレステロール低下剤、脂質低下剤、グルコース低下剤及び抗炎症剤も含まれ得る。
【0299】
本明細書で使用されるとき、「セグメント」は、核酸内の領域のより小さな下位部分として定義される。例えば、「標的セグメント」とは、標的核酸のうち、1つ以上のアンチセンス化合物が標的とするヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」とは、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」とは、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。あるいは、「開始部位」は、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指し得、「終止部位」は、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。標的セグメントはまた、ある配列の「開始部位」から始まり、別の配列の「終止部位」で終わり得る。
【0300】
本明細書で使用されるとき、「スタチン」とは、HMG-CoA還元酵素の活性を阻害する剤を意味する。
【0301】
本明細書で使用されるとき、「皮下投与」とは、皮膚のすぐ下への投与を意味する。
【0302】
本明細書で使用されるとき、「対象」とは、処置または治療のために選択されるヒトを意味する。
【0303】
本明細書で使用されるとき、「心臓血管疾患または心臓血管障害の症状」とは、心臓血管疾患または心臓血管障害に起因し、かつ心臓血管疾患または心臓血管障害に付随し、またその指標となる現象を意味する。例えば、狭心症;胸痛;息切れ;動悸;虚弱;眩暈;悪心;発汗;頻脈;徐脈;不整脈;心房細動;足のむくみ;チアノーゼ;疲労;失神;顔面麻痺;手足の麻痺;筋肉の跛行もしくは痙攣;腹部膨満;または発熱が心臓血管疾患または心臓血管障害の症状である。
【0304】
本明細書で使用されるとき、「標的にする」または「標的化された」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、所望の作用を誘導するアンチセンス化合物の設計及び選定のプロセスを意味する。
【0305】
本明細書で使用されるとき、「治療上有効な量」とは、個体に治療上の利益をもたらす薬剤の量を意味する。
【0306】
本明細書で使用されるとき、「治療のための生活習慣の変更」とは、脂肪/脂肪組織質量及び/またはコレステロールの低下を目的にした食事及び生活習慣の変更を意味する。このような変更は、心疾患を発症するリスクを低減することができ、1日の総カロリー、総脂肪、飽和脂肪、多価不飽和脂肪、一価不飽和脂肪、炭水化物、タンパク質、コレステロール、不溶性繊維の食事による摂取量に対する助言、ならびに身体活動に対する助言を含み得る。
【0307】
本明細書で使用されるとき、「治療する」または「治療すること」は、疾患、障害または病態の変化または改善を達成するために、本明細書に記載の化合物を投与することを指す。
【0308】
本明細書で使用されるとき、「予防する」または「予防すること」は、本明細書に記載される疾患、障害または病態の1つ以上の症状を阻害し、または遅延させることを指す。例えば、特定の実施形態において、ISIS681257の対象への投与は、心血管障害の1つ以上の症状を予防する。例えば、ISIS681257の対象への投与は、心血管障害に伴う1つ以上の症状を阻害し、または遅延させる。
【0309】
本明細書で使用されるとき、「トリグリセリド」または「TG」とは、3つの脂肪酸分子が結合したグリセロールからなる脂質または中性脂肪を意味する。
【0310】
本明細書で使用されるとき、「2型糖尿病」(「2型真性糖尿病」、「真性糖尿病2型」、「非インスリン依存性糖尿病」、「NIDDM」、「肥満関連糖尿病」または「成人発症型糖尿病」としても知られる)は、インスリン抵抗性、相対的インスリン不足及び高血糖症を主な特徴とする代謝性障害である。
【0311】
特定の実施形態
本開示は、アポ(a)及び/またはLp(a)に関連する疾患の1つ以上を治療、改善、遅延または予防するための薬剤の製造におけるISIS681257の使用を提供する。ISIS681257は、次の構造を有し、その塩を含む。
【化4】
【0312】
本開示は、本明細書に記載の疾患、障害または病態を治療、予防または改善するためのキットを提供し、当該キットは、(i)ISIS681257;及び任意に(ii)本明細書に記載の第2の剤または療法を含む。
【0313】
本発明のキットは、本明細書に記載の併用療法によって、本明細書に記載の疾患、障害または病態を治療、予防または改善するキットを使用するための説明書を更に含み得る。
【0314】
B.アポリポタンパク質(a)(アポ(a))
1つのアポ(a)タンパク質は、ジスルフィド結合を介して単一のアポリポタンパク質B(アポB)タンパク質に結合して、リポタンパク質(a)(Lp(a))粒子を形成する。アポ(a)タンパク質は、プラスミノーゲン、特にクリングルIV2型反復ドメイン内と高度の相同性を有する。アポ(a)中のクリングル反復ドメインが、その血栓形成促進性及び抗線維素溶解性の要因であり得、アテローム性動脈硬化進行を高める可能性があると考えられる。アポ(a)は、IL-6によって転写的に制御され、IL-6阻害剤(トシリズマブ)で治療された関節リウマチ患者における研究では、血漿レベルが3ヶ月の治療後に30%低下した。アポ(a)は、酸化リン脂質に優先的に結合し、血管炎症を助長することが示されている。更に、研究では、Lp(a)粒子が内皮透過性を刺激し、プラスミノーゲン活性化抑制因子1型の発現を誘導し、マクロファージインターロイキン8の分泌を活性化し得ることも示唆されている。重要なことに、最近の遺伝子関連研究により、Lp(a)が心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患及び腹部大動脈瘤の独立した危険因子であることが明らかになった。更に、早発性冠動脈疾患(PROCARDIS)研究では、Clarkeらが、冠状動脈性心疾患と血漿Lp(a)濃度との間の強く独立した関連性について記載した。加えて、Solfrizziらは、血清Lp(a)の増加がアルツハイマー病(AD)のリスク増加に関係し得ることを示唆した。アポ(a)を標的にするアンチセンス化合物は、WO2005/000201及びUS2010-0331390に以前に開示されており、その全体を参照により本明細書に援用する。アポ(a)を標的にするアンチセンスオリゴ核酸塩基ISIS-APOARxを、その安全性プロファイルを調べるために第I相臨床試験で評価した。
【0315】
アポ(a)治療適応症
本開示は、アポ(a)核酸に対して標的化したコンジュゲートアンチセンス化合物であるISIS681257を使用して、対象におけるアポ(a)の発現を調節するための方法を提供する。ISIS681257は、ヒトに投与すると、アポ(a)の発現を低下させる。
【0316】
特定の実施形態において、本発明は、対象を治療するための医薬組成物にISIS681257を使用する方法を提供する。特定の実施形態において、個体は、アポ(a)関連疾患を有する。特定の実施形態において、個体は、Lp(a)関連疾患を有する。特定の実施形態において、個体は、炎症性、心臓血管及び/または代謝性の疾患、障害または病態を有する。特定の実施形態において、対象は、炎症性、心臓血管及び/または代謝性の疾患、障害または病態を有する。
【0317】
特定の実施形態において、心臓血管の疾患、障害または病態(CVD)には、Lp(a)関連CVDリスクの上昇、Lp(a)上昇に伴う心臓血管事象の再発、大動脈弁狭窄症(例えば、高Lp(a)に関連した石灰化大動脈弁狭窄症)、動脈瘤(例えば、腹部大動脈瘤)、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、脂質異常症、高コレステロール血症、高脂血症、高血圧、高トリグリセリド血症、心筋梗塞、末梢血管疾患(例えば、末梢動脈疾患)、脳卒中などが含まれるが、これらに限定されない。
【0318】
特定の実施形態において、ISIS681257は、心臓血管の疾患、障害または病態の生理学的マーカーまたは表現型を調節する。例えば、ISIS681257をヒトに投与すると、未治療の対象と比較して、Lp(a)、LDL及びコレステロールレベルが低下し得る。特定の実施形態において、生理学的マーカーまたは表現型の調節は、ISIS681257によるアポ(a)の阻害に関連し得る。
【0319】
特定の実施形態において、心臓血管の疾患、障害または病態の生理学的マーカーは、定量化可能である。例えば、Lp(a)、LDLまたはコレステロールレベルは、例えば、標準的な脂質検査によって測定及び定量することができる。このようなマーカーについて、当該マーカーは、特定の実施形態において、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、減少し得る。
【0320】
また、心臓血管の疾患、障害または病態に伴う症状を、それを必要とする対象において予防、治療または改善するための方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、心臓血管の疾患、障害または病態に伴う症状の発症速度を低下させるための方法が提供される。特定の実施形態において、心臓血管の疾患、障害または病態に伴う症状の重症度を軽減するための方法が提供される。このような実施形態において、方法は、治療上有効な量のISIS681257を、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0321】
心臓血管の疾患、障害または病態は、多数の身体症状を特徴とし得る。心臓血管の疾患、障害または病態に関連することが当業者に知られている任意の症状は、本明細書に記載される化合物及び方法により予防、治療、改善またはそうでなければ調節することができる。特定の実施形態において、症状は、限定するものではないが、狭心症;胸痛;息切れ;動悸;虚弱;眩暈;悪心;発汗;頻脈;徐脈;不整脈;心房細動;足のむくみ;チアノーゼ;疲労;失神;顔面麻痺;手足の麻痺;筋肉の跛行もしくは痙攣;腹部膨満;または発熱のいずれかであり得る。
【0322】
特定の実施形態において、代謝性の疾患、障害または病態には、高血糖症、前糖尿病、糖尿病(I型及びII型)、肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム及び糖尿病性脂質異常症が含まれるが、これらに限定されない。
【0323】
特定の実施形態において、ISIS681257は、代謝性の疾患、障害または病態の生理学的マーカーまたは表現型を調節する。例えば、ISIS681257をヒトに投与すると、未治療の対象と比較して、対象のグルコース及びインスリン抵抗性レベルが低下し得る。特定の実施形態において、生理学的マーカーまたは表現型の調節は、ISIS681257によるアポ(a)の阻害に関連し得る。
【0324】
特定の実施形態において、代謝性の疾患、障害または病態の生理学的マーカーは、定量化可能である。例えば、グルコースレベルまたはインスリン抵抗性は、当該技術分野において知られている標準的な検査によって測定及び定量することができる。このようなマーカーについて、当該マーカーは、特定の実施形態において、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、減少し得る。別の例では、インスリン感受性は、当該技術分野において知られている標準的な検査によって測定及び定量することができる。このようなマーカーについて、当該マーカーは、特定の実施形態において、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、増加し得る。
【0325】
また、代謝性の疾患、障害または病態に伴う症状を、それを必要とする対象において予防、治療または改善するための方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、代謝性の疾患、障害または病態に伴う症状の発症速度を低下させるための方法が提供される。特定の実施形態において、代謝性の疾患、障害または病態に伴う症状の重症度を軽減するための方法が提供される。このような実施形態において、方法は、治療上有効な量のISIS681257を、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0326】
代謝性の疾患、障害または病態は、多数の身体症状を特徴とし得る。代謝性の疾患、障害または病態に関連することが当業者に知られている任意の症状は、本明細書に記載される化合物及び方法により予防、治療、改善またはそうでなければ調節することができる。特定の実施形態において、症状は、限定するものではないが、過剰な尿生成(多尿症)、多渇と水分摂取の増加(多渇症)、霧視、原因不明の体重減少及び無気力のうちのいずれかであり得る。
【0327】
特定の実施形態において、炎症性の疾患、障害または病態には、Lp(a)関連CVDリスクの上昇、Lp(a)上昇に伴う心臓血管事象の再発、大動脈弁狭窄症(例えば、高Lp(a)に関連した石灰化大動脈弁狭窄症)、冠状動脈疾患(CAD)、アルツハイマー病及び血栓塞栓性の疾患、障害または病態が含まれるが、これらに限定されない。特定の血栓塞栓性の疾患、障害または病態には、脳卒中、血栓症、心筋梗塞及び末梢血管疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0328】
特定の実施形態において、ISIS681257は、炎症性の疾患、障害または病態の生理学的マーカーまたは表現型を調節する。例えば、ISIS681257をヒトに投与すると、未治療の対象と比較して、炎症性サイトカインまたは他の炎症性マーカーレベルが低下し得る。特定の実施形態において、生理学的マーカーまたは表現型の調節は、ISIS681257によるアポ(a)の阻害に関連し得る。
【0329】
特定の実施形態において、炎症性の疾患、障害または病態の生理学的マーカーは、定量化可能である。例えば、サイトカインレベルは、当該技術分野において知られている標準的な検査によって測定及び定量することができる。このようなマーカーについて、当該マーカーは、特定の実施形態において、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、減少し得る。
【0330】
また、炎症性の疾患、障害または病態に伴う症状を、それを必要とする対象において予防、治療または改善するための方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、炎症性の疾患、障害または病態に伴う症状の発症速度を低下させるための方法が提供される。特定の実施形態において、炎症性の疾患、障害または病態に伴う症状の重症度を軽減するための方法が提供される。このような実施形態において、方法は、治療上有効な量のISIS681257を、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0331】
特定の実施形態において、治療上有効な量の本明細書に記載される1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、アポ(a)に関連する疾患、障害または病態を有する個体を治療する方法が提供される。特定の実施形態において、個体は、アポ(a)レベルが上昇している。特定の実施形態において、治療上有効な量の本明細書に記載される1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、Lp(a)に関連する疾患、障害または病態を有する個体を治療する方法が提供される。特定の実施形態において、個体は、Lp(a)レベルが上昇している。特定の実施形態において、個体は、炎症性、心臓血管及び/または代謝性の疾患、障害または病態を有する。特定の実施形態において、治療上有効な量のISIS681257の投与は、アポ(a)またはLp(a)レベルのモニタリングを伴う。特定の実施形態において、治療上有効な量のISIS681257の投与は、ISIS681257に対する個体の応答を決定するために、炎症性、心臓血管及び/もしくは代謝性の疾患またはアポ(a)の発現に伴う他の疾患プロセスのマーカーをモニタリングすることを伴う。医師は、ISIS681257の投与に対する個体の応答を使用して、ISIS681257による治療介入の量及び期間を決定する。
【0332】
特定の実施形態において、ISIS681257の投与により、アポ(a)発現が少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、減少する。特定の実施形態において、アポ(a)発現は、少なくとも≦100mg/dL、≦90mg/dL、≦80mg/dL、≦70mg/dL、≦60mg/dL、≦50mg/dL、≦40mg/dL、≦30mg/dL、≦20mg/dLまたは≦10mg/dLに減少する。
【0333】
特定の実施形態において、ISIS681257の投与により、Lp(a)発現が少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは99%、またはこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲の分、減少する。特定の実施形態において、Lp(a)発現は、少なくとも≦200mg/dL、≦190mg/dL、≦180mg/dL、≦175mg/dL、≦170mg/dL、≦160mg/dL、≦150mg/dL、≦140mg/dL、≦130mg/dL、≦120mg/dL、≦110mg/dL、≦100mg/dL、≦90mg/dL、≦80mg/dL、≦70mg/dL、≦60mg/dL、≦55mg/dL、≦50mg/dL、≦45mg/dL、≦40mg/dL、≦35mg/dL、≦30mg/dL、≦25mg/dL、≦20mg/dL、≦15mg/dLまたは≦10mg/dLに減少する。
【0334】
特定の実施形態において、本発明は、ISIS681257を薬剤の調製において使用するための方法を提供する。特定の実施形態において、ISIS681257を含む医薬組成物は、炎症性、心臓血管及び/もしくは代謝性の疾患、障害もしくは病態を患う患者、またはそれらに罹りやすい患者を治療するための薬剤の調製に使用される。
【0335】
アポ(a)治療集団
Lp(a)レベルが高い特定の対象は、様々な疾患に対して重大なリスクがある(Lippi et al.,Clinica Chimica Acta,2011,412:797-801;Solfrizz et al.)。例えば、対象のLp(a)レベルが≧75ナノモル/リットル(nmol/L)または≧30mg/dLを上回る場合、種々の疾患に対するリスクが高いとみなされる。Lp(a)レベルが高い対象の多くにおいて、現在の治療では、Lp(a)レベルを安全なレベルにまで低下させることができない。アポ(a)がLp(a)の形成に重要な役割を果たしていることから、アポ(a)を減らすことにより、Lp(a)を減らすことができ、Lp(a)関連疾患を予防、治療または改善することができる。
【0336】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物及び方法による治療は、アポ(a)レベル及び/またはLp(a)レベルが上昇したヒトに適応がある。特定の実施形態において、ヒトは、≧10mg/dL、≧20mg/dL、≧30mg/dL、≧40mg/dL、≧50mg/dL、≧60mg/dL、≧70mg/dL、≧80mg/dL、≧90mg/dLまたは≧100mg/dLのアポ(a)レベルを有する。特定の実施形態において、ヒトは、≧10mg/dL、≧15mg/dL、≧20mg/dL、≧25mg/dL、≧30mg/dL、≧35mg/dL、≧40mg/dL、≧50mg/dL、≧60mg/dL、≧70mg/dL、≧80mg/dL、≧90mg/dL、≧100mg/dL、≧110mg/dL、≧120mg/dL、≧130mg/dL、≧140mg/dL、≧150mg/dL、≧160mg/dL、≧170mg/dL、≧175mg/dL、≧180mg/dL、≧190mg/dL、≧200mg/dLのLp(a)レベルを有する。
【0337】
特定の実施形態において、ヒトは、正常値上限を上回るアポ(a)レベルを有し、例えば、ヒトは、≧30mg/dL、≧35mg/dL、≧40mg/dL、≧50mg/dL、≧60mg/dL、≧70mg/dL、≧80mg/dL、≧90mg/dL、≧100mg/dL、≧110mg/dL、≧120mg/dL、≧130mg/dL、≧140mg/dL、≧150mg/dL、≧160mg/dL、≧170mg/dL、≧175mg/dL、≧180mg/dL、≧190mg/dL、≧200mg/dLのアポ(a)レベルを有する。
【0338】
特定のアポ(a)投薬レジメン
特定の実施形態において、ISIS681257は、それを必要とする対象に投与される。特定の実施形態において、5mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、10mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、15mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、25mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。
【0339】
特定の実施形態において、ISIS681257は、それを必要とする対象に投与される。特定の実施形態において、40mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、50mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、60mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、70mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、80mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、90mgのISIS681257がヒト対象に投与される。
【0340】
特定の実施形態において、ISIS681257は、それを必要とする対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、5mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、10mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、15mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、25mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間は1週間である。特定の実施形態において、投薬期間中、投与は1回のみ行われる。
【0341】
特定の実施形態において、毎週、5mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、10mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、15mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、25mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、40mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、50mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、60mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、70mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、毎週、80mgのISIS681257がヒト対象に投与される。
【0342】
特定の実施形態において、ISIS681257は、それを必要とする対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、40mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、50mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、60mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、70mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間中、80mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、投薬期間は1ヶ月である。特定の実施形態において、投薬期間は4週間である。特定の実施形態において、投薬期間中、投与は1回のみ行われる。
【0343】
特定の実施形態において、4週に1回、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、40mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、50mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、60mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、70mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、4週に1回、80mgのISIS681257がヒト対象に投与される。
【0344】
特定の実施形態において、月に1回、20mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、30mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、40mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、50mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、60mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、70mgのISIS681257がヒト対象に投与される。特定の実施形態において、月に1回、80mgのISIS681257がヒト対象に投与される。
【0345】
C.特定の医薬組成物
特定の実施形態において、本開示は、1つ以上のアンチセンス化合物を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、かかる医薬組成物は、好適な薬学的に許容される希釈剤または担体を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、滅菌生理食塩液及び1つ以上のアンチセンス化合物を含む。特定の実施形態において、かかる医薬組成物は、滅菌生理食塩液及び1つ以上のアンチセンス化合物からなる。特定の実施形態において、滅菌生理食塩水は、医薬品等級の生理食塩水である。特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のアンチセンス化合物及び滅菌水を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のアンチセンス化合物及び滅菌水からなる。特定の実施形態において、滅菌生理食塩水は、医薬品等級の水である。特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のアンチセンス化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上のアンチセンス化合物及び滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)からなる。特定の実施形態において、滅菌生理食塩水は、医薬品等級のPBSである。
【0346】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、医薬組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容される活性物質及び/または不活性物質と混合され得る。医薬組成物を製するための組成物及び方法は、限定するものではないが、投与経路、疾患の程度または投与される用量を含む、多くの基準に依存する。
【0347】
特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、1つ以上の修飾オリゴヌクレオチド及び1つ以上の賦形剤を含む。このような特定の実施形態において、賦形剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0348】
特定の実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、送達系を含む。送達系の例には、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の送達系は、疎水性化合物を含む医薬組成物などの特定の医薬組成物を調製するのに有用である。特定の実施形態において、ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒が使用される。
【0349】
特定の実施形態において、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与用に調製される。このような特定の実施形態において、医薬組成物は、担体を含み、水などの水溶液、またはハンクス液、リンゲル液もしくは生理食塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液で製剤化される。特定の実施形態において、他の成分が含まれる(例えば、溶解を助ける成分または防腐剤の役目を果たす成分)。特定の実施形態において、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用して、注射可能な懸濁液が調製される。特定の注射用医薬組成物は、単位剤形、例えば、アンプルで提供されるか、多回投与容器で提供される。特定の注射用医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液であり、懸濁化剤、安定化剤及び/または分散剤などの調合剤を含有し得る。注射用医薬組成物における使用に好適な特定の溶媒には、親油性溶媒及びゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、及びリポソームが含まれるが、これらに限定されない。注射用水性懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。必要に応じて、かかる懸濁液は、好適な安定剤、または高濃度溶液の調製を可能にするための薬剤の溶解性を増大させる剤も含有し得る。
【0350】
特定の実施形態において、本開示は、本開示のオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を対象に投与する方法を提供する。好適な投与経路には、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、髄内及び皮下)が含まれる。
【0351】
非限定的な開示と参照による援用
本明細書に記載される特定の化合物、組成物及び方法について、特定の実施形態に従って具体的に説明してきたが、以下の実施例は、本明細書に記載の化合物を例示するためにのみ提供するものであり、同化合物を限定するものではない。本出願で言及される参照文献及びGenBankアクセッション番号などの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0352】
本出願に添付する配列表は、必要に応じて、各配列を「RNA」または「DNA」のいずれかとして特定するが、実際には、これらの配列は、任意の組み合わせの化学修飾で修飾され得る。当業者であれば、修飾オリゴヌクレオチドを記述するための「RNA」または「DNA」という名称は、場合により、任意的であることを容易に認識するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖(DNAの天然2’-Hに対して2’-OH)を有するDNAまたは修飾塩基(RNAの天然ウラシルに対してチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAと記述することができる。
【0353】
したがって、本明細書に記載される核酸配列は、限定するものではないが、配列表中のものを含め、天然または修飾RNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含有する核酸、例えば、限定するものではないが、修飾核酸塩基を有する核酸などを包含することが意図される。更なる例として、限定するものではないが、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有するオリゴヌクレオチドは、修飾または非修飾にかかわらず、当該核酸塩基配列を有するあらゆるオリゴヌクレオチドを包含し、限定するものではないが、RNA塩基を含む化合物、例えば配列「AUCGAUCG」を有するもの及び「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基といくつかのRNA塩基を有するものならびに「ATmeCGAUCG」(配列中、meCは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す)などの他の修飾塩基を有するオリゴヌクレオチドを含む。
【実施例】
【0354】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を例示するものであり、限定するものではない。更に、具体的な実施形態が提供される場合、本発明者らは、その具体的な実施形態の一般的な適用を企図している。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示は、それと同一または類似のモチーフを有する更なるオリゴヌクレオチドについての合理的な支持を提供する。また、例えば、特定の高親和性修飾が特定の位置に現れる場合、同一位置での他の高親和性修飾も、特に指定のない限り、好適であるとみなされる。
【0355】
実施例1:ISIS681257の臨床試験
本明細書に記載されるように、Lp(a)の高い健康な志願者において二重盲検プラセボ対照用量漸増第1相試験を実施し、ISIS681257の単回投与及び反復投与後の安全性、忍容性、薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を評価した。ISIS681257は、WO2014/179625に以前に開示されており、上にも記載されている。ISIS681257は、ヒト以外の対象に投与したとき、Lp(a)を阻害する効力があり、忍容性があることが示されている。これに続く研究では、ヒト被験者に投与したとき、ISIS681257の特性が予想外に改善したことが判明した。
【0356】
スクリーニング
治療の28日前までに、本試験への参加適格性について、被験者をスクリーニングした。本試験の組み入れ基準は、以下を含む。
1.インフォームドコンセント時に体重が50kg以上である、18歳以上65歳以下の健康な男女。
2.BMI<35.0kg/m2
3.被験者は、スクリーニング時に、≧75ナノモル/リットル(nmol/L)(≧30mg/dL)のLp(a)を有していなければならない。Lp(a)プレスクリーニングプロトコルによって得たLp(a)値は、投薬6ヶ月以内に測定される場合、本基準を満たすために使用することもできる。
【0357】
試験薬
栓付きガラスバイアル中に入れた試験薬ISIS681257の溶液(100mg/mL、0.8mL)を使用した。バイアルは、使い捨て用のものであった。複数用量のISIS681257溶液及びプラセボ(0.9%滅菌生理食塩水)は、非盲検の薬剤師(または資格のある代行者)が調製した。各投与日に、訓練を受けた専門家が、ISIS681257またはプラセボを皮下(sc)注射(複数可)として、腹部、大腿部または上腕の外側領域に盲検投与した。
【0358】
治療及び治療後評価
試験に登録された被験者を2つの治療群:単回漸増投与(SAD)または反復漸増投与(MAD)に分けた。
【0359】
実施例1A:単回漸増投与(SAD)
被験者約28名を本試験のSAD群に登録し、ISIS681257とプラセボを3:1で無作為化し、4名または8名の被験者のコホートに群分けした。被験者は、表1に記載する用量のプラセボまたはISIS681257の投与を受けた。
【表1】
【0360】
ISIS681257またはプラセボの単回投与による治療後、被験者を最大90日間追跡して、薬物の安全性、忍容性、PK及びPDを監視した。追跡期間中、被験者は、治療後2、3、8、15及び30日目(コホートC、D及びEについては、更に治療後50、70及び90日目)の試験日に、安全性及び臨床検査の評価(採血)、モニタリング、併用薬の使用記録及び有害事象(AE)の収集に関する訪問のために試験施設に戻る。特定の日に尿及び便の採取も行った。治療後評価のための被験者による訪問は全て最大±1日の訪問期間を有した。
【0361】
血清試料の分析は、ISIS681257の単回投与後、治療後2日、4日、8日、15日及び30日に測定したとき、Lp(a)レベルの用量依存的低下を示した(コホートC、D及びEは、治療後約50日、70日及び90日にも評価した)。ベースラインからのLp(a)の平均変化率(%)として表す結果を表2に示す。
【表2】
【0362】
更に、アポ(a)のアイソフォーム、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp-PLA2)、分泌型ホスホリパーゼA2(sPLA2)、アポリポタンパク質B関連酸化リン脂質(OxPL-apoB)及びアポリポタンパク質(a)関連酸化リン脂質(OxPL-apo(a))の分析を実施した。
【0363】
被験者におけるISIS681257の安全性及び忍容性は、試験施設への予定訪問時に、臨床的に評価された。臨床スタッフは、次の事項:有害事象(AE)、生活の質の評価、併用薬/処置の情報、バイタルサイン、身体検査結果(例えば、注射部位反応(ISR)または風邪様症状(FLS))、腹囲、皮下脂肪厚測定、DEXAスキャン、心電図(ECG)、肝臓MRI及び心エコー図のうちの1つ以上を取得及び/または測定することによって、安全性及び忍容性を評価した。
【0364】
血清化学(例えば、ALT、AST、ビリルビン、クレアチニン、BUN)、尿分析、凝固(例えば、aPTT(sec)、PT(sec)、INR、プラスミノーゲン)、補体(例えば、C5a、Bb)、血液(例えば、ヘマトクリット、白血球、血小板)、免疫機能、甲状腺機能、炎症(hsCRP)、脂質パネル(例えば、総コレステロール、HDL、LDL、TG、アポB、VLDL)、ISIS681257血漿トラフ濃度及び/または免疫原性試験などの臨床検査測定を被験者試料に対して実施し、各被験者の健康及び安全性ならびに薬物のPDを評価した。
【0365】
被験者試料の臨床検査測定は、薬物のPKプロファイリングにも使用した。例えば、ISIS681257及び/もしくはその代謝産物の量及び安定性の測定、薬物結合タンパク質の評価、ならびに/またはISIS681257と血漿成分との他の作用の評価を行うために各試料を使用した。
【0366】
ISIS681257による単回投与治療と反復投与治療は、両方とも、臨床的に重要な試験用量のいずれにおいても、安全性または忍容性のいかなる問題も生じなかった。ISRは観察されず、いずれの臨床検査でも副作用は認められず、肝臓酵素ALT及びASTは上昇しなかった。
【0367】
コンジュゲートされていない化合物(ISIS494372)と、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257)の両方に関する先の実験では、GalNAcがコンジュゲートされた化合物は、本明細書で報告されるヒトの初回投与後に観察されたものよりも、ヒトにおける効力が著しく低く、かつ/または作用持続時間が著しく短いことが示唆されていたため、上記の結果は、驚くべきものである(例えば、WO2014/179625の実施例89、100及び108ならびにTsimikas et al.,Lancet,2015 Oct 10;386:1472-83参照)。これらの驚くべき結果に照らしてみると、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257及びその塩)は、ヒトを治療する場合、GalNAcがコンジュゲートされた化合物についての先のin vivo試験に基づく予想よりも低い用量及び/または少ない頻度で投与することができる。これは、ヒトの治療において1つ以上の非常に重要な改善、例えば、治療費の削減、患者コンプライアンスの改善、医薬品の投与量の減少及び/またはより低用量の投薬レジメンによる潜在的な有害事象のリスク低減の可能性をもたらすことができるものである。
【0368】
実施例1B:反復漸増投与(MAD)
被験者30名を本試験のMAD群に登録し、ISIS681257とプラセボを4:1で無作為化し、10名のコホートに群分けした。被験者は、表3に記載する用量のプラセボまたはISIS681257の投与を受けた。合計6回の薬物またはプラセボを各被験者に投与した。最初の週に試験日1(初回投与)、3、5及び8日目に負荷投与量を投与し、次いで、週1回、試験日15及び22日目に維持用量を投与した。
【表3】
【0369】
ISIS681257またはプラセボによる治療中、及び治療後最大13週間、薬物の安全性、忍容性、PK及びPDについて被験者を監視した。治療期間及び追跡期間中、被験者は、5、8、15、22、29、36、50、64、85及び113日目の試験日に、安全性及び臨床検査の評価(採血)、モニタリング、併用薬の使用記録及びAE事象の収集に関する訪問のために試験施設に戻る。特定の日に尿及び便の採取も行った。治療後評価のための被験者による訪問は全て最大±1日の訪問期間を有した。
【0370】
血清試料の分析は、ISIS681257の反復投与後、治療開始後5日、8日、15日、22日、29日及び36日目に測定したとき、Lp(a)レベルの低下を示した。ベースラインからのLp(a)の平均変化率(%)として表す結果を表4に示す。驚くべきことに、Lp(a)レベルは、ISIS681257の単回投与後、降下し続け、AAコホートでは約50日目に最低値に達する。これは、ISIS681257の有効半減期が予想よりもはるかに長いようであることを示している。更に、コホートBB及びCCは、ISIS681257の投与後36日にわたって、Lp(a)の継続的な低下を示した。
【表4】
【表5】
【0371】
ヒト被験者において、ISIS681257は、用量に依存した長く継続する統計的に有意なLp(a)の低下を示し、ED50は4.5mgであった。ISIS681257は、予想外にも、ISIS494372(同じ核酸塩基配列及び長さのコンジュゲートされていないアンチセンス化合物;WO2013/177468に以前に記載されたもの)よりも30倍以上強力であることが判明した。ISIS494372とISIS681257(WO2014/179625に報告されたもの)の両方に関する先の実験は、GalNAcがコンジュゲートされた化合物のマウスにおける高いin vivo効力から利益を生じることを示していたが、これらの先の実験は、ヒトにおける予期しない30倍以上の改善を明らかにしておらず、予想もしていなかった。更に、10mgの反復投与コホートでは、36日目以降のデータポイントにより、患者8名のうち6名のLp(a)レベルの最低値が約50日目まで到達しなかったことを示しており、これは、ヒトにおいて、ISIS681257が、ISIS494372(Tsimikas et al.,Lancet,2015 Oct 10;386:1472-83)と比較して予想以上の長い半減期(T1/2)を呈することを示しており、また同様に、これは、ISIS494372とISIS681257の両方に関する先のマウス実験では明らかにされず、予想もされなかったことである。
【0372】
更に、アポ(a)のアイソフォーム、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(Lp-PLA2)、分泌型ホスホリパーゼA2(sPLA2)、アポリポタンパク質B関連酸化リン脂質(OxPL-apoB)及びアポリポタンパク質(a)関連酸化リン脂質(OxPL-apo(a))の分析を実施した。結果は、LDLコレステロール、アポリポタンパク質B(アポB)ならびにアポB及びアポ(a)に関連する酸化リン脂質(OxPL)の著しい減少を示した。したがって、Lp(a)の低下は、LDL-C及びapoB-100の減少だけでなく、炎症促進性OxPLの著しい減少と同時に起こり、これは、心臓血管疾患及び石灰化大動脈弁狭窄症を媒介するいくつかの原因経路に対する有益な作用と一致している。Viney,et al.Lancet,2016,Sep 2016;388:2239-53を参照されたい。
【0373】
被験者におけるISIS681257の安全性及び忍容性は、試験施設への予定訪問時に、臨床的に評価された。臨床スタッフは、次の事項:有害事象(AE)、生活の質の評価、併用薬/処置の情報、バイタルサイン、身体検査結果(例えば、注射部位反応(ISR)または風邪様症状(FLS))、腹囲、皮下脂肪厚測定、DEXAスキャン、心電図(ECG)、肝臓MRI及び心エコー図のうちの1つ以上を取得及び/または測定することによって、安全性及び忍容性を評価した。
【0374】
血清化学(例えば、ALT、AST、ビリルビン、クレアチニン、BUN)、尿分析、凝固(例えば、aPTT(sec)、PT(sec)、INR、プラスミノーゲン)、補体(例えば、C5a、Bb)、血液(例えば、ヘマトクリット、白血球、血小板)、免疫機能、甲状腺機能、炎症(hsCRP)、脂質パネル(例えば、総コレステロール、HDL、LDL、TG、アポB、VLDL)、ISIS681257血漿トラフ濃度及び/または免疫原性試験などの臨床検査測定を被験者試料に対して実施し、各被験者の健康及び安全性ならびに薬物のPDを評価した。
【0375】
被験者試料の臨床検査測定は、薬物のPKプロファイリングにも使用した。例えば、ISIS681257及び/もしくはその代謝産物の量及び安定性の測定、薬物結合タンパク質の評価、ならびに/またはISIS681257と血漿成分との他の作用の評価を行うために各試料を使用した。
【0376】
ISIS681257による反復投与治療は、安全性または忍容性のいかなる問題も生じなかった。ISRもFLSも観察されなかった。肝臓酵素ALT及びASTは、上昇しなかった。
【0377】
ヒトにおける30倍以上の効力改善は、予想よりもはるかに大きかった。コンジュゲートされていない化合物(ISIS494372)と、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257)の両方に関する先の実験では、GalNAcがコンジュゲートされた化合物は、本明細書で報告されるヒトの初回投与後に観察されたものよりも、ヒトにおける効力が著しく低く、かつ/または作用持続時間が著しく短いことが示唆されていたため、上記の結果は、驚くべきものである(例えば、WO2014/179625の実施例89、100及び108ならびにTsimikas et al.,Lancet,2015 Oct 10;386:1472-83参照)。これらの驚くべき結果に照らしてみると、GalNAcがコンジュゲートされた化合物(ISIS681257及びその塩)は、ヒトを治療する場合、GalNAcがコンジュゲートされた化合物についての先のin vivo試験に基づく予想よりも低い用量及び/または少ない頻度で投与することができる。これは、ヒトの治療において1つ以上の非常に重要な改善、例えば、治療費の削減、患者コンプライアンスの改善、医薬品の投与量の減少及び/またはより低用量の投薬レジメンによる潜在的な有害事象のリスク低減の可能性をもたらすことができるものである。
【0378】
実施例2:投薬レジメン
進行中の第1相臨床試験の結果に基づくモデリングを実施して、ISIS681257の最適な臨床投薬レジメンを評価した。
【0379】
週1回投与
図1A~C.予想される週1回の投薬レジメン。ISIS681257を20mg(
図1A)、30mg(
図1B)または40mg(
図1C)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。Lp(a)は、≧80%の定常状態での減少を示す。
【0380】
月1回投与
図2A~B.予想される月1回の投薬レジメン。ISIS681257を60mg(
図2A)及び80mg(
図2B)の用量で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。Lp(a)は、約80%の定常状態での減少を示す。
【0381】
2ヶ月に1回の投与
図3.予想される2ヶ月の投薬レジメン。ISIS681257を80mg用量で2ヶ月ごとに投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。Lp(a)は、約80%の定常状態での減少を示す。
【0382】
3ヶ月に1回の投与
図4.予想される3ヶ月の投薬レジメン。ISIS681257を80mg用量で3ヶ月ごとに投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。Lp(a)は、80%の定常状態での減少及び90%を超える最大減少を示す。
【0383】
実施例3:投薬レジメン
上述の第1相試験の終了後、更なるモデリングを実施して、ISIS681257の最適な臨床投薬レジメンを評価した。
【0384】
週1回投与
図6A~D.予想される週1回の投薬レジメン。ISIS681257を5mg(
図6A)、10mg(
図6B)、20mg(
図6C)及び30mg(
図6D)の用量で週1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【0385】
月1回投与
図5A~D.予想される月1回の投薬レジメン。ISIS681257を20mg(
図5A)、40mg(
図5B)、60mg(
図5C)及び80mg(
図5D)の用量で月1回投与することによるLp(a)への作用をモデル化したチャートを示す。中央の濃い線が予想量を表し、最上と最下の線は90%信頼区間を表す。
【0386】
実施例4:高リポタンパク(a)血症及び診断確定された心臓血管疾患(CVD)を有する患者に皮下投与されるISIS681257の無作為化二重盲検プラセボ対照用量漸増第2相試験
本明細書に記載される試験は、ISIS681257の忍容性を含む安全性を評価し、高リポタンパク(a)血症及び診断確定された心臓血管疾患(CVD)を有する患者の血漿Lp(a)レベルを低下させるためのISIS681257の種々の用量及び投薬レジメンの有効性を評価するものである。CVDは、確認された冠動脈疾患、脳卒中または末梢動脈疾患として定義される。患者はまた、≧60mg/dLのLp(a)血漿レベルを有していなければならない。ISIS681257は、高リポタンパク(a)血症及び診断確定されたCVDを有する患者に治療上の利益をもたらすことができる。
【0387】
患者投与は、最大52週間、皮下注射によって週1回投与される、10mgまたは20mgのいずれかのISIS681257であり得る。更なる患者投与は、最大13回の投与で、皮下注射によって4週に1回投与される、20mg、40mgまたは60mgのいずれかであり得る。主要エンドポイントは、主要分析時点における、プラセボと比較したISIS681257治療群のベースラインからの血漿Lp(a)変化率(%)である。主要分析時点は、4週ごとの投与を受ける患者では25週目であり、1週ごとの投与を受ける患者では27週目である。副次エンドポイントは、主要分析時点における、プラセボと比較した次のうちのいずれか1つに対するISIS681257の作用を含み得る。
・LDL-Cのベースラインからの変化率(%)
・血漿Lp(a)≦50mg/dLを達成した患者の割合
・血漿Lp(a)≦30mg/dLを達成した患者の割合
・アポBのベースラインからの変化率(%)
・OxPL-apo(a)のベースラインからの変化率(%)及び/または
・OxPL-apoBのベースラインからの変化率(%)
【0388】
本研究は、高リポタンパク(a)血症及び診断確定された心臓血管疾患(CVD)を有するヒト被験者に投与したとき、ISIS681257の特性が予想外に改善されることを明らかにし得る。ISIS681257による治療は、高リポタンパク(a)血症及び診断確定された心臓血管疾患(CVD)を有する患者において、Lp(a)の減少をもたらし得る。ISIS681257による治療は、ベースラインLDL-C、ベースラインアポB、ベースラインOxPL-apo(a)及び/またはベースラインOxPL-apoBの減少をもたらし得る。
一態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1] ヒトにおける疾患または病態の治療または予防にて使用するためのオリゴマー化合物であって、前記オリゴマー化合物は、ISIS681257であり、前記治療は、投薬期間中に、500mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、前記オリゴマー化合物。
[態様2] 前記治療が、前記投薬期間中に、250mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様3] 前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様4] 前記治療が、前記投薬期間中に、50mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様5] 前記治療が、前記投薬期間中に、25mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様6] 前記治療が、前記投薬期間中に、15mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様7] 前記治療が、前記投薬期間中に、60mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様8] 前記治療が、前記投薬期間中に、40mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様9] 前記治療が、前記投薬期間中に、30mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様10] 前記治療が、前記投薬期間中に、20mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様11] 前記治療が、前記投薬期間中に、10mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様12] 前記治療が、前記投薬期間中に、5mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様1に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様13] 前記投薬期間が3ヶ月である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様14] 前記投薬期間が2ヶ月である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様15] 前記投薬期間が1ヶ月である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様16] 前記投薬期間が4週間である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様17] 前記投薬期間が3週間である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様18] 前記投薬期間が2週間である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様19] 前記投薬期間が1週間である、態様1~12のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様20] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を125mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様21] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を100mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様22] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を75mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様23] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を50mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様24] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を25mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様25] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を15mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様26] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を60mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様27] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を40mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様28] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を30mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様29] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を20mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様30] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を10mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様31] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を5mg以下含む単位用量を投与することを含む、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様32] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を1mg以上含む単位用量を投与することを含む、態様14~19のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様33] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を2.5mg以上含む単位用量を投与することを含む、態様32に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様34] 前記治療が、前記オリゴマー化合物を5mg以上含む単位用量を投与することを含む、態様32に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様35] 前記治療が、75mg~85mgの単位用量、任意に80mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様36] 前記治療が、55mg~65mgの単位用量、任意に60mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様37] 前記治療が、35mg~45mgの単位用量、任意に40mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様38] 前記治療が、25mg~35mgの単位用量、任意に30mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様39] 前記治療が、15mg~25mgの単位用量、任意に20mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様40] 前記治療が、5mg~15mgの単位用量、任意に10mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様41] 前記治療が、1mg~10mgの単位用量、任意に5mgの単位用量を投与することを含む、態様20~34のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様42] 前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様43] 前記治療が、前記投薬期間中に、2を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様44] 前記治療が、前記投薬期間中に、3を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様45] 前記治療が、前記投薬期間中に、4を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様46] 前記治療が、前記投薬期間中に、5を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様47] 前記治療が、前記投薬期間中に、6を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様20~41のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様48] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が3ヶ月である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様49] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が3ヶ月であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様48に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様50] 前記治療が、前記投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様48または態様49に記載のオリゴマー化合物。
[態様51] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が2ヶ月である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様52] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が2ヶ月であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様51に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様53] 前記治療が、前記投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様51または態様52に記載のオリゴマー化合物。
[態様54] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が1ヶ月である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様55] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、100mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が1ヶ月であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様54に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様56] 前記治療が、前記投薬期間中に、75mg~85mg、任意に80mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様54または態様55に記載のオリゴマー化合物。
[態様57] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、75mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が1ヶ月である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様58] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、75mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が1ヶ月であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様57に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様59] 前記治療が、前記投薬期間中に、55mg~65mg、任意に60mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様57または態様58に記載のオリゴマー化合物。
[態様60] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、60mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が1ヶ月である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様61] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、60mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が1ヶ月であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様60に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様62] 前記治療が、前記投薬期間中に、55mg~65mg、任意に60mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様60または態様61に記載のオリゴマー化合物。
[態様63] 前記治療が、前記投薬期間中に、60mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様61または態様62に記載のオリゴマー化合物。
[態様64] 前記治療が、前記投薬期間中に、40mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様61または態様62に記載のオリゴマー化合物。
[態様65] 前記治療が、前記投薬期間中に、20mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様61または態様62に記載のオリゴマー化合物。
[態様66] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、50mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が1週間である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様67] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、50mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が1週間であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様66に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様68] 前記治療が、前記投薬期間中に、35mg~45mg、任意に40mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様66または態様67に記載のオリゴマー化合物。
[態様69] 前記治療が、前記投薬期間中に、25mg~35mg、任意に30mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様66または態様67に記載のオリゴマー化合物。
[態様70] 前記治療が、前記投薬期間中に、15mg~25mg、任意に20mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様66または態様67に記載のオリゴマー化合物。
[態様71] 前記治療が、前記投薬期間中に、5mg~15mg、任意に10mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様66または態様67に記載のオリゴマー化合物。
[態様72] 前記治療が、前記投薬期間中に、1mg~10mg、任意に5mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様66または態様67に記載のオリゴマー化合物。
[態様73] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、80mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が4週間である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様74] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、80mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が4週間であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様73に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様75] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、60mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、(ii)前記投薬期間が4週間であり、かつ(iii)前記治療が、前記投薬期間中に、1を越えない単位用量を前記ヒトに投与することを含む、態様73に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様76] 前記治療が、前記投薬期間中に、35mg~45mg、任意に40mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様73~75のいずれか一項に記載の化合物。
[態様77] 前記治療が、前記投薬期間中に、25mg~35mg、任意に30mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様73~75のいずれか一項に記載の化合物。
[態様78] 前記治療が、前記投薬期間中に、15mg~25mg、任意に20mgの前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含む、態様73~75のいずれか一項に記載の化合物。
[態様79] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、250mg以下の前記オリゴマー化合物を前記ヒトに投与することを含み、かつ(ii)前記投薬期間が4週間である、態様1~47のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様80] 前記治療が、前記投薬期間中に、40mgの前記オリゴマー化合物を6回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様81] 前記治療が、前記投薬期間中に、40mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様82] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、40mgの前記オリゴマー化合物を6回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79または態様80に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様83] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、40mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79または態様80に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様84] 前記治療が、前記投薬期間中に、30mgの前記オリゴマー化合物を6回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様85] 前記治療が、前記投薬期間中に、30mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様86] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、30mgの前記オリゴマー化合物を6回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様87] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、30mgの前記オリゴマー化合物を4回投与すことを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79に記載の使用のための
オリゴマー化合物。
[態様88] 前記治療が、前記投薬期間中に、20mgの前記オリゴマー化合物を6回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様89] 前記治療が、前記投薬期間中に、20mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様90] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、20mgの前記オリゴマー化合物を6回投与すことを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様91] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、20mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79または態様89に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様92] 前記治療が、前記投薬期間中に、10mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様93] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、10mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79または態様92に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様94] 前記治療が、前記投薬期間中に、5mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含む、態様79に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様95] (i)前記治療が、前記投薬期間中に、5mgの前記オリゴマー化合物を4回投与することを含み、かつ(ii)その後は週に1回である、態様79または態様94に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様96] 前記ヒトが、血漿Lp(a)レベルの慢性的上昇に起因する心臓血管事象のリスクが高い、態様1~95のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様97] 前記疾患または病態が、Lp(a)上昇に伴う石灰化大動脈弁狭窄症、Lp(a)上昇に伴う心臓血管リスクの上昇、Lp(a)上昇に伴う心臓血管事象の再発またはLp(a)上昇に関連した心臓血管疾患もしくは心臓血管障害の1つ以上の症状から選択される、態様1~95のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様98] 前記オリゴマー化合物が注射によって前記ヒトに投与される、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様99] 前記オリゴマー化合物が皮下注射によって前記ヒトに投与される、態様98に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様100] 前記オリゴマー化合物が無菌液で製剤処理され、かつ任意に、前記オリゴマー化合物の各単位用量が1mLの前記無菌液を越えない、態様98または態様99に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様101] 前記オリゴマー化合物の各単位用量が0.8mLの前記無菌液を越えない、態様100に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様102] 前記オリゴマー化合物の各単位用量が0.5mLの前記無菌液を越えない、態様100に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様103] 前記オリゴマー化合物の各単位用量が0.4mLの前記無菌液を越えない、態様100に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様104] 前記オリゴマー化合物の各単位用量が0.25mLの前記無菌液を越えない、態様100に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様105] 前記オリゴマー化合物の各単位用量が0.2mLの前記無菌液を越えない、態様100に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様106] 前記無菌液が水である、態様100~105のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様107] 前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤を含む水である、態様100~105のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様108] 前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤及び塩化ナトリウムを含む水である、態様100~105のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様109] 前記治療が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも50%減少させる、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様110] 前記治療が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも75%減少させる、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様111] 前記治療が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも80%減少させる、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様112] 前記治療が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも85%減少させる、先行態様のいずれか一項に記載の使用のためのオリゴマー化合物。
[態様113] オリゴマー化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物であって、前記オリゴマー化合物は、ISIS681257であり、前記医薬組成物は、125mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、前記医薬組成物。
[態様114] 前記医薬組成物が100mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様115] 前記医薬組成物が75mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様116] 前記医薬組成物が60mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様117] 前記医薬組成物が50mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様118] 前記医薬組成物が40mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様119] 前記医薬組成物が30mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様120] 前記医薬組成物が25mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様121] 前記医薬組成物が20mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様122] 前記医薬組成物が15mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様123] 前記医薬組成物が10mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様124] 前記医薬組成物が5mg以下の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様125] 前記医薬組成物が1mg以上の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様126] 前記医薬組成物が2.5mg以上の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様127] 前記医薬組成物が5mg以上の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様128] 前記医薬組成物が10mg以上の前記オリゴマー化合物を含有する、態様113に記載の医薬組成物。
[態様129] 前記組成物が、75mg~85mg、任意に80mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様130] 前記組成物が、55mg~65mg、任意に60mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様131] 前記組成物が、35mg~45mg、任意に40mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様132] 前記組成物が、25mg~35mg、任意に30mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様133] 前記組成物が、15mg~25mg、任意に20mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様134] 前記組成物が、5mg~15mg、任意に10mgの前記オリゴマー化合物を含む、態様113に記載の医薬組成物。
[態様135] 前記組成物が、注射によるヒトへの投与用に製剤化される、態様113~134のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様136] 前記オリゴマー化合物が無菌液で製剤処理され、かつ任意に前記組成物が1mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様137] 前記医薬組成物が0.8mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様138] 前記医薬組成物が0.5mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様139] 前記医薬組成物が0.4mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様140] 前記医薬組成物が0.25mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様141] 前記医薬組成物が0.2mLの前記無菌液を越えない、態様135に記載の医薬組成物。
[態様142] 前記無菌液が水である、態様135~141のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様143] 前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤を含む水である、態様135~141のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様144]
前記無菌液が、リン酸ナトリウム緩衝剤及び塩化ナトリウムを含む水である、態様135~141のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様145] 前記組成物のヒトへの投与が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも50%減少させる、態様113~144のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様146] 前記組成物のヒトへの投与が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも75%減少させる、態様113~144のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様147] 前記組成物のヒトへの投与が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも80%減少させる、態様113~144のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様148] 前記組成物のヒトへの投与が、前記投薬期間の開始時及び終了時に前記ヒトの空腹時血漿Lp(a)濃度を測定したとき、前記ヒトの前記空腹時血漿Lp(a)濃度を少なくとも85%減少させる、態様113~144のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様149] 態様113~148のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造するための方法であって、125mg以下の前記オリゴマー化合物を、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体と組み合わせることを含む、前記方法。
[態様150] (a)態様113~148のいずれか一項に記載の医薬組成物をそれぞれ含む複数の単位剤形と、(b)態様1~112のいずれか一項に記載の治療のための前記単位剤形の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品。
[態様151] 態様113~148のいずれか一項に記載の医薬組成物を含有する、無菌密封容器。
[態様152] 前記容器がバイアルである、態様151に記載の無菌容器。
[態様153] 前記容器がシリンジである、態様151に記載の無菌容器。
[態様154] (a)態様151~153のいずれか一項に記載の密封無菌容器にそれぞれ含まれる複数の単位剤形と、(b)態様1~112のいずれか一項に記載の治療のための前記単位剤形の投与について説明する、印刷された説明書とを含む、パッケージ化された医薬製品。
[態様155] ヒトにおける疾患または病態を治療する方法であって、投薬期間中に、500mg以下のオリゴマー化合物をヒトに投与することを含み、前記オリゴマー化合物はISIS681257である、前記方法。
[態様156] 態様1~112のいずれか一項に記載の治療を含む、態様114に記載の方法。
[態様157] 態様113~148のいずれか一項に記載の医薬組成物、態様150もしくは154に記載のパッケージ化された医薬組成物、または態様151~153のいずれか一項に記載の無菌密封容器の製造における、ISIS681257の使用。
【配列表】