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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電気化学反応器フローガイドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20240513BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/026 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/0213 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/0221 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240513BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0202
H01M8/026
H01M8/0213
H01M8/0221
H01M8/10 101
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019165460
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2020057600
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】1871024
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・サロモン
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・アメストイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・ブラショ
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・トロンブレ
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-270189(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098446(WO,A1)
【文献】国際公開第99/056333(WO,A1)
【文献】特開2007-026934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-基板(20)を提供する段階と、
-前記基板(20)の第1の面(201)に、導電性インクの層に10s -1 から80s -1 剪断応力を加えることによって前記導電性インクの層を印刷する段階であって、前記印刷されたインクの粘度が、0.1s-1の剪断速度において70から500Pa・sであり、前記印刷されたインクの粘度が、100s-1の剪断速度において2.5から7Pa・sであり、前記インクの層が印刷され、流路(32)の輪郭を描くリブ(31)を含むパターンを形成する段階と、
を含む、電気化学反応器(4)のフローガイド(2)の製造方法。
【請求項2】
前記基板(20)の第1の面(201)に前記インクの層を印刷する段階が、スクリーン印刷段階である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記スクリーン印刷段階が、前記インクをステンシルスクリーン(93)に付着させ、前記スクリーンにスキージ(94)を適用して、前記インクに剪断応力を加えて前記基板の第1の面(201)にそれを印刷する段階を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記形成されたパターンのインクの層を固化させるための乾燥段階をさらに含む、請求項1から3の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記インクの層を印刷する段階が、10s-1から80s-1の剪断速度でこの層に剪断応力を加える段階を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記印刷されたインクの層が、少なくとも150μmに等しい厚さを有する、請求項1から5の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記形成されたリブ(31)が、少なくともその幅の半分に等しい高さを有する、請求項1から6の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記印刷されたインクの固形分が、90から99重量%の割合でグラファイト粒子を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記固形分が、前記剪断応力が加えられるインクの50から75重量%を表す、請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記インクのグラファイト混合物の固形分が、1から35重量%の割合で1から6μmのD50直径を有する粒子を含み、前記インクのグラファイト混合物の固形分がさらに、少なくとも25重量%の割合で10から25μmのD50直径を有する粒子を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記剪断応力が加えられる前記インクが、ポリマーバインダーを含む、請求項1から10の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記剪断応力が加えられる前記インクが、ポリフッ化ビニリデンを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記剪断応力が加えられるインクが、0.1Hzよりも低い周波数で1%の変形振幅に対して粘性係数より高い貯蔵弾性率を有する、請求項1から12の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記剪断応力が加えられるインクが、2Hzより高い周波数で1%の変形振幅に対して粘性係数より低い貯蔵弾性率を有する、請求項1から13の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記提供された基板(20)が、前記印刷されたインクのレベルに起伏がない、請求項1から14の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記提供された基板が、導電性プレート、ガス拡散層又は電極層である、請求項1から15の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載の製造方法を用いて第1から第3のフローガイドを製造することを含む、バイポーラプレートの製造方法であって、前記提供された基板が、前記第1から第3のフローガイドの各々のための導電性プレートであり、導電性インクの層が、前記第1から第3のフローガイドの第1の面にのみ印刷され、バイポーラプレートが、前記第1及び第2のフローガイドの第2の面を結合し、前記第2のフローガイドに形成された前記パターンのリブを前記第3のフローガイドの第2の面に結合することによって形成され、前記第2と第3のフローガイド間の流路の輪郭を描くようになる、バイポーラプレートの製造方法。
【請求項18】
前記提供された基板が導電性プレートであり、導電性インクの層が、前記導電性プレートの第2の面のこの層に剪断応力を加えることによって印刷され、前記印刷されたインクの粘度が、0.1s-1の剪断速度において70から500Pa・sであり、前記印刷されたインクの粘度が、100s-1の剪断速度において2.5から7Pa・sであり、前記インクの層が、前記流路の輪郭を描くリブを含むパターンを形成するために印刷される、請求項1から16の何れか一項に記載のフローガイドの製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の製造方法を用いてフローガイドを製造する段階を含み、前記フローガイドの支持体に形成されたパターンのリブに対して別の導電性プレートの面を適用する段階を含む、バイポーラプレートの製造方法。
【請求項20】
-請求項1から16又は18の何れか一項に記載の製造方法を用いて第1のフローガイドを形成する段階であって、前記第1のフローガイドの基板が、第1の導電性プレートである段階と、
-請求項1から16又は18の何れか一項に記載の製造方法を用いて第2のフローガイドを形成する段階であって、前記第2のフローガイドの基板が、第2の導電性プレートである段階と、
-前記第1及び第2のプレートの間に膜/電極アセンブリを配置する段階であって、前記第1及び第2のプレートに形成されたパターンのそれぞれのリブが、膜/電極アセンブリに向けられている段階と、
を含む、燃料電池スタックの製造方法。
【請求項21】
前記形成されたパターンの前記リブの各々が、印刷された単一のインクの層からなる、請求項1から16又は18の何れか一項に記載のフローガイドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン交換膜燃料電池などの膜電極アセンブリを含む電気化学反応器に関する。本発明は、特に、燃料電池の構成部品の製造方法の最適化、及びこれらの構成部品の重量の減少に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、将来の大量生産された自動車や他の多くの用途で、燃料電池を電力源として使用することが想定されている。燃料電池スタックは、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する電気化学デバイスである。燃料電池スタックでは、二水素又はメタノールなどの可燃物が燃料として使用される。
【0003】
二水素の場合、後者は、スタックの一方の電極で酸化及びイオン化され、酸化剤は、スタックの別の電極で還元される。化学反応によりカソードで水が生成され、酸素が還元されてプロトンと反応する。燃料電池スタックの大きな利点は、発電所での大気汚染物質の放出を回避することである。
【0004】
プロトン交換膜(PEM)燃料電池スタックは、通常は250℃以下の低温で動作し、特に有利なコンパクト性を備えている。各セルは、プロトンの通過のみを可能にし、電子の通過を可能にしない電解膜を備えている。この膜は、膜電極アセンブリ(MEA)を形成するために、第1の面にアノードを、第2の面にカソードを含む。
【0005】
アノードでは、膜を通過するプロトンを生成するために、二水素がイオン化される。この反応によって生成された電子は、導電性のアノードプレートに向かって移動し、セルの外部の電気回路を通過して電流を生成する。カソードでは、酸素が還元され、プロトンと反応して水を生成し、他のいわゆるカソードプレートとの電気回路を閉じる。
【0006】
各電極には、可能な限り均一な方法で試薬を連続的に供給する必要がある。この目的のために、アノード及びカソードプレート上に流路が従来から存在している。さらに、通常、炭素繊維のネットワークによって形成されるガス拡散層(GDL)を生成するために、電子伝導性多孔質材料がプレートの流路と各電極との間に配置される。
【0007】
燃料電池スタックによって生成される電圧を増加させるために、後者は、一般に、電気的に直列に接続された複数の積み重ねられた電気化学セルを含む。次いで、燃料電池スタックは、流路を備え、互いに積み重ねられた複数のプレート(例えば、金属製であり得る)を備え得る。膜は、少なくとも1つのアノードプレートと少なくとも1つのカソードプレートとの間に配置される。フロープレートは、燃料電池スタックの出力に応じて冷却剤を案内し、様々な区画を分離するために、試薬及び製品を膜へ/膜から案内するために、フローオリフィス及び流路を備えてもよい。
【0008】
流路を備えたプレートは、試薬が消費されるので、電極の反応性表面に試薬を連続的に供給する。プレートは、反応領域への試薬の分配を保証する流路のネットワークを備えている。流路のネットワークは、通常、スタック全体に伸びる入力マニホールドと出力マニホールドとの間に接続される。各マニホールドは、スタックを流れる様々な流体の混合を防ぐために、シールで囲まれている。
【0009】
アノードで生成された電子の集電体を形成するために、プレートはまた導電性である。プレートには、スタックのクランプ力を伝達する機械的機能(高品質の電気的接触を実現するために必要)と、電気化学コアを機械的に支持する機能もある。電子伝導は、プレートを通して達成され、イオン伝導は、膜を通して得られる。
【0010】
既知の設計の第1のタイプによれば、流路を備えたプレートは、これらの流路を画定するために固体ブロックを機械加工することにより製造され得る。機械加工されたブロックは、一般にグラファイトで作られる。
【0011】
既知の設計の第2のタイプによれば、一組のプレートは、溶接によって接合され、一般に冷却剤のための流路をそれらの間に形成する2枚の金属シートから形成される。次いで、流路の形状は、シートを形成又は変形することにより、例えば金属シートを打ち抜くことにより規定される。そのような設計は、それでも良好なレベルの性能を維持しながら、プレートのコストと体積を減らすため、一般に好まれる。
【0012】
使用されるシートの厚さは、流路が打ち抜かれるか機械加工されるかに応じて、一般的に0.1から4mmの厚さになる。典型的な厚さ0.1mmのシートを打ち抜くことによって生成される流路は、通常、幅が0.4から2mmで、深さが0.2から0.4mmになる。
【0013】
シート金属のカソード及びアノードプレートの設計及び製造は、複雑で比較的高価である。これは、燃料電池スタックのプレートが一緒になって最も高価な構成部品の1つであるため、燃料電池スタックのコスト価格に実質的に影響する。さらに、打ち抜き操作により平面性が失われ、シールの堆積が複雑になる。さらに、このようにして得られたプレートのセットは、比較的重くて嵩張り、これは、車載燃料電池スタックの用途では特に歓迎されない。さらに、使用される薄いシートは、全体的に非平面形状のアセンブリの製造を可能にするのに十分な柔軟性を維持する。
【0014】
打ち抜きプロセスによって生じる制約を回避するために、中国特許出願公開第107394228号明細書は、リブを形成するために炭素含有インクの1つ以上の層を平面金属シートに堆積させ、これらのリブの間に流路が描かれることを提案している。
【0015】
そのような製造方法は、比較的長い時間が掛かり、実装が複雑であり、下に堆積されたインクの層が既に固化するために、インクの層をスクリーン印刷することが必要である。そのようなプロセスは、特に、リブの高さと幅の比が0.5よりも大きい場合、複数のパスを必要とする。単一層に厚い堆積物を生成する満足のいく方法は記載されていない。さらに、乾燥中のリブの形状の制御は、比較的不十分である。さらに、そのようなリブは、不十分な導電性及び不十分な機械的強度を有し得る。
【0016】
さらに、米国特許出願公開第2018/190998号明細書は、電気化学反応器用のフローガイドの製造方法を記載しており、以下のステップを含む:
-基板を提供する段階、
-前記基板の第1の面に、この層に剪断応力を加えることによって導電性インクの層を印刷する段階であって、前記インクの層は、流路の輪郭を描くリブを含むパターンを形成するように印刷される。使用されるインクは、大きな厚さのリブを実現するために複数の層の重ね合わせを必要とする。
【0017】
米国特許出願公開第2003/198860号明細書は、膜又はキャリアガス拡散層への非ニュートン挙動を有するペーストの形態の電極の適用を記載している。ここでの問題は、ノズルで、正しい粘度のペーストを付けること、すなわち、このノズル内の流れがあまり流動的ではなく、支持体上でペーストの良好な分布が達成されるような粘度のペーストを付けることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】中国特許出願公開第107394228号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/190998号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/198860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、これらの欠点の1つ以上を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、電気化学反応器用のフローガイドを製造する方法に関し、以下の段階を含む:
-基板を提供する段階、
-前記基板の第1の面に、この層に剪断応力を加えることによって導電性インクの層を印刷する段階であって、前記印刷されたインクの粘度が、0.1s-1の剪断速度(剪断勾配)において70から500Pa・sであり、前記印刷されたインクの粘度が、100s-1の剪断速度において2.5から7Pa・sであり、前記インクの層が印刷され、流路の輪郭を描くリブを含むパターンを形成する段階。
【0021】
特に指定のない限り、粘度と剪断速度の量は、20℃の温度に対応する。
【0022】
本発明はまた、以下の変形例に関する。当業者は、中間の一般化を形成することなく、以下の変形例の特徴の各々を上記の特徴と独立して組み合わせることができることを理解するであろう。
【0023】
一変形例によれば、前記基板の第1の面に前記インクの層を印刷する段階は、スクリーン印刷段階である。
【0024】
別の変形例によれば、前記スクリーン印刷段階は、前記インクをステンシルスクリーンに付着させ、前記スクリーンにスキージを適用して、前記インクに剪断力を加えて前記基板の第1の面にそれを印刷する段階を含む。
【0025】
別の変形例によれば、前記方法は、前記形成されたパターンのインクの層を固化させるための乾燥段階をさらに含む。
【0026】
別の変形例によれば、前記インクの層を印刷する段階は、10s-1から80s-1の剪断速度でこの層に剪断応力を加える段階を含む。
【0027】
さらに別の変形例によれば、前記印刷されたインクの層は、少なくとも150μmに等しい厚さを有する。
【0028】
一変形例によれば、前記形成されたリブは、少なくともその幅の半分に等しい高さを有する。
【0029】
別の変形例によれば、前記印刷されたインクの固形分は、90から99%の割合でグラファイト粒子を含む。
【0030】
別の変形例によれば、前記固形分は、剪断力が加えられるインクの50から75重量%を表す。
【0031】
一変形例によれば、前記インクのグラファイト混合物の固形分は、1から35重量%の割合で1から6μmのD50直径を有する粒子を含み、前記インクのグラファイト混合物の固形分はさらに、少なくとも25重量%の割合で10から25μmのD50直径を有する粒子を含む。
【0032】
さらに別の変形例によれば、前記剪断力が加えられる前記インクは、ポリマーバインダーを含む。
【0033】
一変形例によれば、前記剪断力が加えられる前記インクは、ポリフッ化ビニリデンを含む。
【0034】
別の変形例によれば、前記剪断力が加えられるインクは、0.1Hzよりも低い周波数で1%の変形振幅に対して前記粘性係数よりも高い貯蔵弾性率を有する。
【0035】
別の変形例によれば、前記剪断力が加えられるインクは、2Hzより高い周波数で1%の変形振幅に対して前記粘性係数より低い貯蔵弾性率を有する。
【0036】
さらに別の変形形態によれば、前記提供された基板は、前記印刷されたインクによる起伏レベルが免除される。
【0037】
一変形例によれば、前記提供された基板は、導電性プレート、ガス拡散層又は電極層である。
【0038】
本発明はまた、上記で定義されたような製造方法を用いて第1から第3のフローガイドを製造することを含む、バイポーラプレートの製造方法であって、前記提供された基板が、前記第1から第3のフローガイドの各々のための導電性プレートであり、導電性インクの層が、前記第1から第3のフローガイドの第1の面にのみ印刷され、バイポーラプレートが、前記第1及び第2のフローガイドの第2の面を結合し、前記第2のフローガイドに形成された前記パターンのリブを前記第3のフローガイドの第2の面に結合することによって形成され、前記第2と第3のフローガイド間の流路の輪郭を描くようになる、バイポーラプレートの製造方法に関する。
【0039】
一変形例によれば、前記提供された基板は、導電性プレートであり、導電性インクの層は、前記導電性プレートの第2の面のこの層に剪断力を加えることによって印刷され、前記印刷されたインクの粘度は、0.1s-1の剪断速度において70から500Pa・sであり、前記印刷されたインクの粘度は、100s-1の剪断速度において2.5から7Pa・sであり、前記インクの層は、前記流路の輪郭を描くリブを含むパターンを形成するために印刷される。
【0040】
バイポーラプレートの製造方法において、フローガイドは、上記で定義したような製造方法を用いて生成でき、フローガイドの支持体に形成されたパターンのリブに対して別の導電性プレートの面を適用する段階を含む。
【0041】
本発明はまた、燃料電池スタックの製造方法に関し、以下を含む:
-上で定義されたような製造方法を用いて第1のフローガイドを形成する段階であって、前記第1のガイドの基板が、第1の導電性プレートである段階、
-上で定義されたような製造方法を用いて第2のフローガイドを形成する段階であって、前記第2のガイドの基板が、第2の導電性プレートである段階、
-前記第1及び第2のプレートの間に膜/電極アセンブリを配置する段階であって、前記第1及び第2のフロープレートに形成されたパターンのそれぞれのリブが、膜/電極アセンブリに向けられている段階。
【0042】
一変形例によれば、前記形成されたパターンの前記リブの各々は、印刷された単一のインクの層からなる。
【0043】
一変形例によれば、前記プレートは、上記方法を用いて製造される。
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、完全に非限定的な指示として、添付の図面を参照して、以下に与えられる説明からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】燃料電池スタックの一例の分解概略斜視図である。
図2】フローガイドプレートの一例の上面図である。
図3】本発明によるガイドプレートを形成するためのスクリーン印刷段階の概略側断面図である。
図4】第1の実施形態によるガイドプレートの構成の一例の概略断面図である。
図5】ガイドプレートの構成の別の例の概略断面図である。
図6】2つの交差した隣接する流れのためのガイドプレートの構成の別の例の概略断面図である。
図7】バイポーラプレートを形成するためのガイドプレートの関連の一例の概略断面図である。
図8】バイポーラプレートを形成するためのガイドプレートの関連の別の例の概略断面図である。
図9】本発明によるプロセスを実施するのに使用可能なインクの一例のずり減粘流動学的挙動を示すグラフである。
図10】本発明によるプロセスの実施のためのインクの有利な流動学的挙動の別の例を示すグラフである。
図11】比較のために、本発明によるフローガイドプレートを含む燃料電池スタック及び従来技術によるフローガイドプレートを含む燃料電池スタックのバイアス曲線を示す。
図12】本発明による製造方法を使用して生成されたリブ及び流路のプロファイルの例を示す。
図13】第2の実施形態によるガイドプレートの構成の一例の概略断面図である。
図14図13のガイドプレートと他の構成要素との関連を示す。
図15】第3の実施形態によるガイドプレートの構成の一例の概略断面図を示す。
図16図15のガイドプレートと他の構成要素の関連を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
方向又は位置を記載する「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内部」及び「外部」という用語の使用は、添付図面に示されている方向又は位置を参照する。これらの用語は、特定の位置又は方向を有すると説明された要素が、この特定の位置又は方向で必然的に生成又は実装されなければならないことを示すのではなく、本発明の詳細な説明の理解を容易にするために使用される。
【0047】
図1は、燃料電池4のセル1のスタックの分解概略斜視図である。燃料電池4は、スタックを形成するために複数のセル1を重ね合わせたものを含む。セル1は、プロトン交換膜又はポリマー電解質膜セルである。本発明は、燃料電池スタック内の試薬、生成物又は熱伝達媒体を案内するためのフローガイドの製造に関してここで説明されるが、他のタイプの電気化学反応器、例えば電解槽用のフローガイドを製造するためにも同様に使用できる。
【0048】
燃料電池スタック4は、燃料源40を含む。燃料源40は、ここでは二水素を各セル1の入口に供給する。燃料電池スタック4はまた、酸化剤源42を含む。酸化剤源42は、ここでは空気を各セル1の入口に供給し、空気の酸化は、酸化剤として使用される。各セル1は、排気流路も備えている。1つ以上のセル1は、反応領域を冷却するための回路も含む。
【0049】
各セル1は、膜/電極アセンブリ110又はMEA110を含む。膜/電極アセンブリ110は、固体電解質113、カソード(図示せず)、及び電解質の両側に配置され、この電解質113に固定されるアノード111を含む。電解質層113は、セル内に存在するガスを透過させずにプロトン伝導を可能にする半透膜を形成する。電解質層はまた、アノード111とカソードとの間の電子の通過を防ぐ。電解質113は、例えば、リン酸がドープされたポリベンズイミダゾール(PBI)で作られているか、プロトン伝導性イオノマーで作られている。
【0050】
アノード及びカソードプレート5のセットは、隣接するMEAの各ペアの間に配置される。この実施形態について示される例では、MEAの各側に、流路を備えた一組のプレート5が試薬フローガイドを形成する。ここで、プレート5の各セットは、その反対側の外面にアノード流路及びカソード流路を画定している。フロープレート5のセットはまた、2つの連続する膜/電極アセンブリ間に冷却剤流路を有利に規定する。プレート5のセットはそれぞれ、例えばステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、ニッケル合金又はタンタル合金で作られた2つの接合された導電性金属シートから、それ自体既知の方法で形成されてもよい。次に、各シートは、それぞれの外面を規定する。プレート5のセットは、他の任意のプロセス、例えば、炭素ポリマー複合材料からの成形又は射出成形によって得られてもよい。したがって、プレート5のこれらのセットは、一体構造の一体部品であってもよい。次いで、プレート5のセットの外面は、一体構造のそのような一体部品によって規定される。各膜/電極アセンブリ110は、アノードと燃料流路との間に配置された1つのガス拡散層(図示せず)と、カソードと他の酸化剤流路との間に配置された別のガス拡散層をさらに備えてもよい。膜/電極アセンブリ110は、補強材(ここでは図示せず)を備えてもよい。この実施形態では、想定される流路は、プレート上に生成される。
【0051】
それ自体が知られているように、燃料電池スタック4の動作中、空気は、MEA110と一組のプレート5との間を流れ、二水素は、このMEA110と他の組のプレート5との間を流れる。プレート5のセットの機能は、特に、MEA110の両側の試薬の流れを案内することである。アノードでは、MEA110を通過するプロトンを生成するために二水素がイオン化される。この反応により生成される電子は、プレート5のセットによって収集される。次いで、生成された電子は、電流を生成するために、燃料電池スタック4に接続された電気負荷に移される。カソードでは、酸素が還元され、プロトンと反応して水を生成する。
【0052】
その動作中、燃料電池スタック4のセル1は、通常、ガスフロー条件に応じて、アノードとカソードとの間に、0.5から1Vの間のDC電圧を生成する。
【0053】
酸化剤源42は、典型的には、セル1の入口に所定の圧力で空気を注入するためのコンプレッサーを含む。そのようなコンプレッサーは、例えば、空気圧設定点を受け取り、この空気圧は、コンプレッサーの可変回転速度を介して、おそらく調整される。
【0054】
プレート5のセット及び膜/電極アセンブリ110のスタックは、複数のフローマニホールドを形成することを意図している。この目的のために、プレート5のセット及び膜/電極アセンブリ110を介してそれぞれのオリフィスが生成される。プレート5のセットのオリフィス及び膜/電極アセンブリ110のオリフィスは、様々なフローマニホールドを形成するために互いに向かい合って配置される。
【0055】
図2は、フローガイドプレート2の例の上面図である。図2は、その中央部分に位置する反応領域に試薬を案内することを目的とするガイドプレート2の一面を示す。したがって、ガイドプレート2は、その中央部に流路211を含む反応領域21を有する。ガイドプレート2はまた、入口試薬マニホールド24及び出口試薬マニホールド25を含み、それらのマニホールドは、反応領域21の両側に位置する。均質化領域22は、反応領域21と入口マニホールド24との間に形成される。ここで、均質化領域22は、均質化流路221を含む。例えば注入器を含む連結領域241は、入口マニホールド24と均質化領域22との間に配置される。均質化領域23は、反応領域21と出口マニホールド25との間に形成される。ここで、均質化領域23は、均質化流路231を含む。例えば注入器を含む連結領域は、出口マニホールド25と均質化領域23との間に形成される。
【0056】
ここで、図3を参照して、ガイドプレート2の製造方法の一例を説明する。一般に、電気化学反応器用のフローガイドプレート2の製造方法は、以下の段階を含む:
-基板(例えば、導電性プレート、ガス拡散層又は電極層)を提供する段階;
-この基板の第1の面に、十分な剪断速度(例えば、10s-1から80s-1の剪断速度)を適用して、インク又は導電性ペーストの層を印刷する段階。剪断が適用されるインクの粘度は、0.1s-1の剪断速度では70から500Pa・sであり、この印刷されたインクの粘度は、100s-1の剪断速度では2.5から7Pa・sである。図9は、本発明による製造方法における印刷操作に使用可能なインクの一例の流動学的挙動を示すグラフである。x軸は、インクに適用される剪断速度を表し、y軸は、インクの粘度を表す。インク層の印刷中、剪断応力は、10s-1から80s-1の間の剪断速度でそれに有利に適用される。このグラフは、Malvern社によって参照コードCVOで販売されているタイプのレオメーターを使用して描かれた。全体として、堆積されたインクは、ずり減粘特性を有し、すなわち、それに適用される剪断速度が増加するにつれて、その粘度が低下する。インクの層は、リブと輪郭を描く流路とを含むパターンで印刷される。リブは、連続的でも不連続的でもよい。
【0057】
このようなインクの特性は、プロセスの実装中に次の動作を取得するのに適している:
-適用前の剪断が、印刷前の堆積中に流れの閾値を下回った場合に流れないインク、
-パターンで支持体に転写されるように、スクリーンを取って流れることを可能にする、剪断の適用中に流れるインク、
-プレートへの転写後に、適用された剪断が流れの閾値を下回った場合、それが流れない状態に再び戻るインク。
【0058】
このような製造方法により、単一の印刷段階で比較的高いリブを生成でき、最終形状が適切に制御される。このような製造方法により、例えば、流路の最終的な高さを規定するリブを単一の印刷段階で生成することができる。実際には、印刷中に形成されるリブの形状の満足な制御を維持するために、導電性プレートの表面の形状に密接に一致し、所望の印刷パターン、次いで、剪断の適用が停止された後の非常に高い粘性に従うために、剪断の適用中にそのようなずり減粘特性を有するインクを非常に流動的にすることができる。形成されたリブが固定される前の流れに関連する影響のリスクは、特に制限される。
【0059】
図3は、スクリーン印刷プロセスを用いて導電性インクの層を印刷する特定のケースを示している。このプロセスは、ここでは、導電性プレートの例への適用で示されるが、ガス拡散層又は電極にも適用できる。図3は、本発明の一実施形態によるガイドプレートを形成するためのスクリーン印刷段階の概略側断面図である。スクリーン印刷は、例えば、スクリーン印刷速度が回転式スクリーン印刷技術の場合に15から25メートル/分で構成される高い生産速度を可能にするため、有利である。
【0060】
ここでは、導電性プレート20は、コンベヤートレイなどの支持体91上の適所に配置され、保持される。フレーム92は、プレート20の上方に配置される。マスク93は、フレーム92に固定され、フレーム92の中央開口部を横切って延びる。マスク93は、フレーム92のこの中央開口部においてプレート20に沿って垂直に配置される。マスク93は、スクリーン印刷段階の実施を可能にする、それ自体既知の構造を有することができる。マスク93は、例えば、メッシュスクリーンの形態をとっても、ステンシルスクリーンの形態をとってもよい。ステンシルスクリーンは、インク30をより多く、又はより厚く堆積するために、おそらく好ましい。上記のずり減粘特性を有するインク30の層が、プレート20に垂直にマスク93上に堆積される。堆積されたインク層30は、非常に粘性のある状態になり、流れない。次に、マスク93をプレート20と接触させるために、スキージ94をインク30に押し付ける。次いで、インク30に剪断応力を加えるために、スキージ94をプレート20の表面上を移動させる。スキージ94によってインク30に加えられる剪断速度は、例えば50s-1に達することがある。インク30に剪断力を加えると、インクが流動化し、マスク93を通過して、マスクのパターンを再現するようにプレート20に転写される。スキージ94の通過後、インクに対する剪断応力が停止するため、プレート20に転写されたインクは、再び非常に粘性になり、マスク93によって形成されたパターンを保持するために流動しない。プレート20に転写されたインクは、リブ31を含むパターンを形成し、それらの間の流路32の輪郭を描く。リブ31は、特に、流路20を形成するために、プレート20の一次元に延びる側面を有する。形成されたリブ31は、連続的又は不連続的であり、任意に、流れの全範囲にわたって同じ寸法である。
【0061】
スキージ94を適用する段階の後、すなわち、インク30を転写してプレート20上にリブ31を形成した後、インク30に存在する溶媒を除去するために、インクを乾燥する段階が有利に実行される。乾燥は、自然蒸発によって達成されるか、人工照射によって加速される。加速乾燥は、形成されたリブ31の形状のより良い制御を促進し得る。加速乾燥は、例えば、コンベヤーオーブン又は静的オーブンで実施され得る。複数のシートは、それらが接合された後に同時に乾燥されてもよい。
【0062】
リブ31は、例えば、リブの頂部の平面性の欠陥を制限するために、又はその構造を緻密化し、その電子伝導性を高めるために、乾燥後にカレンダー圧延することができる。
【0063】
一般に、プレート20上のリブ31の形成により、特に薄いプレート20を使用することが可能になる。薄いプレートは、所与の重量の燃料電池スタック4に対して生成される電力密度を増加させること、及び燃料電池スタック4の製造コストを削減することの両方を可能にする。非平面形状の燃料電池スタック4を製造するために、曲率半径は、プレート20に適用され得る。プレート20が曲がったり湾曲したりすることを可能にするために、インクの層の印刷領域には起伏がないことが有利である。
【0064】
反応領域の流路32を通る試薬の流れには、主に3つのモードがある:
-曲がりくねった流路:複数回の往復で活性領域全体を走る1つ又は複数の流路。
-平行流路:活性領域全体に平行に走る並列貫通流路の配列。
-インターデジタル流路:活性領域全体に走る並列及び塞がれた流路の配列。各流路は、流体の入口側又は流体の出口側で塞がれている。流路に進入する流体は、隣接する流路に合流し、この隣接する流路の流体出口に到達するために、ガス拡散層を局所的に通過する必要がある。
【0065】
形成されたリブ31は、例えば、前述の試薬流動モードの1つが形成されることを可能にするために、流路32を画定する。リブ31は、均質化領域内の流路の輪郭を描くために形成されてもよい。
【0066】
剪断力が適用される堆積されたインク30の配合は、以下の特性を達成するように、さらに有利に構成される:0.1s-1の剪断速度に対して200から400Pa・sのインク粘度、100s-1の剪断速度に対して4.5から6Pa・sのインク粘度。
【0067】
使用されるインクは、他の有利な特性を有し得る。特に以下の特性を有するインクは、剪断力の適用中の良好な流動性、及びそれらのパターンでのリブ31の形成後の良好な安定性を促進することを可能にする。1%の変形振幅での周波数スキャンによる振動の測定によるインクのテストでは、インクは、典型的には0.1Hz未満の低周波数で、有利には、損失弾性率G”(又はより一般的な用語を使用するための粘性係数)より大きい貯蔵弾性率G’(より一般的な用語を使用する弾性率)を有する。この特性は、インクが安定しており、静止状態では流れないことを示し、従って、インクが沈殿したり流れたりするリスクはほとんどない。振動測定によるインクの同じテストでは、このインクは、より高い周波数、典型的には2Hzより高い周波数で、損失弾性率G”よりも低い貯蔵弾性率G’を有利には有する。図10のグラフは、X軸に変形周波数、Y軸に弾性率の値を使用して、このような挙動を有するインクの値G’とG”を示す。貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の値は、好ましくは、0.1Hzの周波数で1から200Paの間に含まれ、より好ましくは10から100Paの間に含まれる。
【0068】
例えば電子導電性ペーストの形態で堆積されたインク30は、ここでは、導電性材料、ポリマーバインダー、及び溶媒を含む。導電性材料、バインダー及び溶媒の比率により、インク30のレオロジーを調整することができる。
【0069】
インク30の導電性材料は、例えばグラファイトである。グラファイトの使用は、その疎水性のために有利であり、燃料電池スタックのような非常に湿潤な環境での使用に適している。インク中のグラファイトの固形分は、例えば50重量%よりも高い。
【0070】
印刷されるインク30に含まれるグラファイトは、例えば、天然若しくは合成グラファイト、表面改質グラファイト、又は球状若しくはポテト形状のグラファイト(またはフレーク)である。例えば、印刷されるインク30に含まれるグラファイトは、1から30μmの間に含まれるD50粒径分布を有し、より好ましくは、3から15μmの間に含まれるD50粒径分布を有する。
【0071】
インク30は、リブ31の機械的強度及び導電性を改善するために、少なくとも2つの異なるサイズのグラファイト粒子を含むことが有利である。形成されたリブ31の(従って流路32の)幾何学的分散も低い。
【0072】
インク30のグラファイト混合物の固形分は、有利には、重量で1から35%(好ましくは15から27%、有利には25%)の割合で1から6μmのD50直径を有するグラファイト粒子を含み、インク30のグラファイト混合物の固形分は、少なくとも25重量%の割合で10から25μmの間に含まれるD50直径を有するグラファイト粒子をさらに含む。
【0073】
インク30中の固形分の割合は、好ましくは50から75%、より好ましくは58から62%に含まれる。
【0074】
インク30の固形分の固体塊は、有利には90から99%のグラファイトの重量割合を含み、好ましくはインク30の固形分は、96から98%のグラファイトの重量割合を含む。このような比率では、乾燥中のリブ31の収縮が少なく、印刷後の幾何学的安定性が優れている。
【0075】
電子伝導性を向上させるために、インクに添加剤を追加することができる:例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、又は、カーボンナノチューブなどの電子伝導体、又は、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、その他の導電性金属のナノワイヤなどの金属繊維である。
【0076】
インク30のポリマーバインダーとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はその誘導体、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシエチレン(POE)又はその誘導体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸又はその誘導体、ポリイミド又はその誘導体、ポリエーテルエーテルケトン又はその誘導体、ポリエーテルスルホン又はその誘導体、ポリオレフィン、ポリエチレン、セルロース、特に、カルボキシメチルセルロース又はセルロース繊維など、コポリマー、特に、PVDF-HFP(ヘキサフルオロプロピレン)又はPVDF-POEなど、アクリルラテックス又はSBRタイプ(スチレンブタジエンゴムを表すSBR)又はNBRタイプ(ニトリルブタジエンゴムを表すNBR)のラテックスを想定することが可能である。
【0077】
好ましくは、使用されるインク30のポリマーバインダーは、PVDFである。具体的には、それは、水に不溶性であり、燃料電池スタックでは水が大量に生成されるため、これは、燃料電池スタックの動作にとって大きな利点である。さらに、PVDFは疎水性であるため、反応領域の流路をきれいにする目的で、燃料電池スタックから生成された水を除去するのに役立つ。
【0078】
溶媒の割合は、好ましくは、インク30の総重量の30から50%に含まれ、より好ましくは、インク30の総重量の38から42%に含まれる。
【0079】
インクの溶媒として、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)又はその誘導体、ジオキサン又はテトラヒドロフラン(THF)などの環状エーテル、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタクレゾール、アセトンなどのケトン、メチルエチルケトン(MEK)又はその誘導体、水又は水性塩基を使用することが可能である。NMPは、PVDFの非常に優れた溶媒であるため、使用することが好ましい。
【0080】
界面活性剤、分散剤、解膠剤などの他の添加剤を使用して、インク(コロイド懸濁液としても知られている)を均質化することもできる。
【0081】
プレート20は、例えば、カーボンで覆われた金属、又は金属フィラーが充填された複合材料で作られていてもよい。プレート20は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はチタンを含み得る。プレート20を腐食から保護するため、又は接触抵抗を減少させるために、金属は、例えば、金属又は炭素含有堆積物によって、又は金属含有層を含む電子伝導性複合ポリマーによって保護されてもよい。プレート20は、可撓性又は剛性であってもよく、好ましくは0.01から1mmの間、より好ましくは0.02から0.1mmの間の厚さを有する。
【0082】
この製造方法は、インクの単一の印刷層から少なくとも120μmに等しい高さ、又は少なくとも200μmに等しい高さ、又は少なくとも250μmに等しい高さのリブ31を形成するのに特に適している。インクの単一の印刷層から形成されたリブ31の高さは、例えば、140から200μmの間に含まれる可能性がある。本発明は、少なくともその幅の半分に等しい高さのリブ31を形成するのに特に有利であり、その高さが少なくともその幅に等しい場合にさらに有利である。流路32の幅を規定するリブ31間の間隔は、例えば、200から400μm、好ましくは250から300μm(リブ31の中間で測定される間隔)に含まれる値を有する。
【0083】
図11は、比較のために、本発明の製造方法を使用して製造されたフローガイドプレートを含む燃料電池スタックと、グラファイトブロックの機械加工によって製造されたフローガイドプレートを含む燃料電池スタックのバイアス曲線を示す。これらの燃料電池スタックの性能の非常に大きな類似性が見られ、これは、本発明によるプロセスを使用して製造されたフローガイドプレートが燃料電池スタックの動作を劣化させないことを実証する。
【0084】
図12は、本発明による製造方法を使用して製造されたフローガイドプレート2のリブ31及び均質化流路32の測定されたプロファイルの一例を示している。このようにして得られたリブ31は、非常に均一な構造を有し、互いに関して低い幾何学的分散を有する。特に、様々なリブ31の高さの間の低い分散に注意することができる。以下は、このようなリブの形成を可能にするプロセスのパラメータである:モデル参照番号248でDEK社から販売されているタイプのスクリーン印刷機を使用した。0.05mmの厚さの金でコーティングされたステンレス鋼製の平板20が使用された。ステンレス鋼で作られ、フレームの端にウェブで固定された24インチ×24インチのステンシルスクリーンが使用された。印刷パターンは、幅0.4mm、長さ50mmの開口で構成され、これらの開口は、幅方向に0.4mm間隔で配置されていた。使用したステンシルスクリーンの厚さは、0.2mmであった。剪断力は、4kgの力を用いて50mm/sの速度で加えられた。次に、印刷されたパターンを、換気オーブン内で80℃の温度で1時間乾燥させた。使用したインクは、2つの異なる直径のグラファイト粒子(13μmのD50直径を有する75%グラファイト、4μmのD50直径を有する25%グラファイト)の混合物を56.6重量%、PVDFを2.4重量%、及びNMP41重量%を含んでいた。
【0085】
この製造方法は、同じインク及び印刷パラメータで、プレート20の反対面に適用されてもよい。図4から図6は、ガイドプレート2の様々な構成(概略的な断面図)を示しており、ガイドプレート2の対向する2つの面に印刷によってリブが形成されている。
【0086】
図4の例では、リブ31は、プレート20の上面201に形成され、他のリブ31は、プレート20の下面202に形成されている。流路32は、リブ31の間に形成されている。この例では、2つの対向する面のリブ31は、平行に延びている。この例では、2つの面201と202のリブは、同じ寸法を有し、重ねられている:2つの面のリブは、プレート20に関して互いに対称である。
【0087】
図5の例では、リブ31は、プレート20の上面201に形成され、他のリブ31は、プレート20の下面202に形成されている。リブ31の間には流路32が形成されている。この例では、2つの対向する面のリブ31は、長手方向に平行に延びている。この例では、2つの面201及び202のリブは、同じ寸法を有し、横方向にオフセットしている。
【0088】
図6の例では、リブ31は、プレート20の上面201に形成され、他のリブ33は、プレート20の下面202に形成されている。リブ31の間には流路32が形成されている。流路(図示されない)はまた、リブ33の間に形成されている。この例では、リブ31及びリブ33は、垂直方向に延びている。
【0089】
図7は、本発明による製造方法を使用して得られたフローガイドプレートを重ね合わせることにより形成されたバイポーラプレートを示している。この例では、3つのフローガイドプレートが重ねられている。これら3つのフローガイドプレートは、単一の面にリブ31を備えている。上部ガイドプレートは、その上面から突出するリブ31を有する。中間ガイドプレート及び下部ガイドプレートは、それらの下面から突出するリブ31を有する。これら3つのガイドプレートを重ね合わせると、1つの試薬の流路32が上部プレートのリブの間に形成され、冷却剤の流路34が中間ガイドプレートのリブの間に形成され、別の試薬の流路35が下部プレートのリブの間に形成される。
【0090】
図8は、本発明による製造方法を使用して得られたフローガイドプレートを重ね合わせることにより形成されたバイポーラプレートを示している。この例では、2つのフローガイドプレートが重ねられている。上部ガイドプレートは、図4に示す構成に対応する。したがって、このガイドプレートは、その両面から突出するリブ31を備える。下部ガイドプレートは、単一の面から突出するリブ31を備える。下部ガイドプレートは、その下面から突出するリブ31を有する。これら2つのガイドプレートを重ね合わせると、1つの試薬の流路32が上部プレートの上部リブの間に形成され、冷却剤の流路34がこの上部ガイドプレートの下部リブの間に形成され、別の試薬の流路35が下部プレートのリブの間に形成される。
【0091】
図13は、本発明の第2の実施形態によるガイドプレートの概略断面図である。導電性インクの層がスクリーン印刷される基板は、ここではガス拡散層60である。インクは、ガス拡散層60の一方の面601に、第1の実施形態について説明したパラメータと同様のパラメータで印刷することができる。次いで、この印刷は、それらの間の流路32の輪郭を描くリブ31を形成する。
【0092】
図14は、電気化学反応器の他の構成要素に関連する、そのようなガイドプレートの概略断面図である。第1の実施形態で説明したような平面導電性プレート20は、リブ31の頂部に押し付けられてもよい。膜113、アノード111及びカソード112を含む膜電極アセンブリは、ガス拡散層の一方の面602に押し付けられる。
【0093】
図15は、本発明の第3の実施形態によるガイドプレートの概略断面図である。導電性インクの層がスクリーン印刷される基板は、ここでは電極111である。この場合、電極111は、アノードであるが、カソード上で印刷を行うこともできる。この例では、印刷は、膜電極アセンブリのプロトン交換膜113に事前に固定された電極111で実行される。印刷は、膜に固定されていない電極111上で実行することもできるだろう。インクは、第1の実施形態について説明したパラメータと同様のパラメータで、電極111の一方の面に印刷することができる。次いで、印刷は、それらの間に流路32の輪郭を描くリブ31を形成する。
【0094】
図16は、電気化学反応器の他の構成要素に関連する、そのようなガイドプレートの概略断面図である。第1の実施形態で説明したような平面導電性プレート20は、リブ31の上部に押し付けられてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 セル
2 フローガイドプレート
4 燃料電池
5 カソードプレート
20 導電性プレート
21 反応領域
22 均質化領域
23 均質化領域
24 入口マニホールド
25 出口マニホールド
30 インク
31 リブ
32 流路
33 流路
34 流路
35 流路
40 燃料源
42 酸化剤源
60 ガス拡散層
91 支持体
92 フレーム
93 マスク
94 スキージ
110 膜/電極アセンブリ
111 アノード
112 スキージ
113 固体電解質
201 上面
202 下面
211 流路
221 均質化流路
231 均質化流路
241 連結領域
601 面
602 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16