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特許7486947電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240513BHJP
   B62D 21/08 20060101ALI20240513BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240513BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240513BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B62D21/08
H01M50/244 Z
H01M50/249
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019235726
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2020117212
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102018000021235
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ ファヴァレット
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0006282(US,A1)
【文献】特開平06-032247(JP,A)
【文献】特開2018-118673(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078989(WO,A1)
【文献】特開2016-162737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 21/08
H01M 50/244
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車(1)であって、少なくとも車両フレーム(F)の構造部材(SBR)を組み込んだバッテリーパック(BT2)を備え、前記構造部材は、前記バッテリーパックと一緒の場合のみ前記車両フレーム(F)から取り外すことができ、前記バッテリーパック(BT2)は、前記車両フレーム(F)の一対の側部材(SBR)を組み込んでおり、該一対の側部材(SBR)は、該車の床に組み込まれた前記フレームの一部分を画定するように設計され、
該スポーツ車(1)は、前記床(FL)内にフレーム部分が収容され、座席(S)と制御ペダルとの間で車両の一方の側からもう一方の側まで延在する前方ビーム(TVF)と、前記車両の一方の側から他方の側まで延在し、前記座席(S)のすぐ後ろ又は下に配置される中央ビーム(TVC)とを備え、前記前方ビーム(TVF)と前記中央ビーム(TVC)との間には、前記中央ビーム(TVC)の中央領域(CTRN)に向かって収束し、前記前方ビーム(TVF)に交わるまで広がる一対の前側斜辺部材(SBF)が配置され、前記バッテリーパック(BT2)に組み込まれた前記一対の側部材は、前記中央ビームの後ろに配置され、したがって、「後側斜辺部材」として定義され、したがって、前記バッテリーパック(BT2)は、「後方バッテリーパック」として定義されることを特徴とする、
電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車。
【請求項2】
前記構造部材(SBR)は、1つ以上のバッテリーモジュールを支持する支持フレーム(TS)と、前記車の基部(2)を画定するのに寄与するプラットフォーム(L2)との間にサンドイッチ状に封入される、
請求項1に記載の車。
【請求項3】
前記車両フレーム(F)の一部分は、相補的な三角形構造の組(TVC、TVF、SBF、CR)を有し、前記一対の側部材は、前記三角形構造の組を画定する前記車の長手伸張方向(Z)に対して斜めに配置される、
請求項1又は2に記載の車。
【請求項4】
前記後側斜辺部材は、前記中央ビーム(TVC)の前記中央領域(CTRN)において合流し、前記車両から後方に進むにつれて広がる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車。
【請求項5】
前記車両フレーム(F)は、前記床(FL)を側方から囲むクレードル(CR)を備え、前記前方ビーム及び前記中央ビームは、その両端部において前記クレードル(CR)に交わる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車。
【請求項6】
前記床は、基部(2)を備え、該基部(2)は、前記後方バッテリーパック(BT2)と一体に形成された、前記床(FL)の取外し可能な部分を画定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の車。
【請求項7】
前記床内に、三角形構造の組の各三角形に対して相補的な基部を有する直角柱状の前方バッテリーパック(BT1)が収容される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の車。
【請求項8】
前記前方バッテリーパック(BT1)は、複数の円筒形バッテリーを含み、該複数の円筒形バッテリーは、自身の回転軸が前記床の平面に対して垂直になるように配置され、少なくとも1つの三角形構造内の利用可能な空間全体を占めるようになっている、
請求項7に記載の車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連技術の相互参照]
本特許出願は、2018年12月27日に出願されたイタリア国特許出願第102018000021235号の優先権を主張するものであり、このイタリア国特許出願の開示全体は、引用することによって本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車に関し、特に、車両用バッテリーパックを取り付けるのに用いられるシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最も一般的に用いられるバッテリーには、円筒形バッテリー、角柱形バッテリー、及びパウチ型バッテリーがある。これらのバッテリーは、まとめてグループ化され、互いに電気的に接続され、車両と安定的に連係しなければならない。
【0004】
バッテリーは、通常、車両の床に固定される。いくつかの場合では、バッテリーは、床自体に収容される。他の場合では、従来の熱機関アセンブリが通常占める場所に配置される。
【0005】
非常な高性能を生み出すことを必要とするスポーツ車は、車両フレームの下部に、所定の機械的要件を満たすような適合形態を有することが必要である。
【0006】
したがって、剛性の要件と、車両下に設置されるバッテリーの好適な保護との双方を確実に満たすことは非常に困難である。
【0007】
特許文献1には、車両の基部に組み込まれた中央トンネル内に配置されているバッテリー区画とは別個のメインバッテリー区画に挿入される駆動用バッテリーを含む、電気駆動車両における一組のバッテリーが記載されている。
【0008】
特許文献2には、少なくとも互いに接続される前方横部材及び後方横部材を備えるベースプラットフォームを形成する中央モジュールを含む、車両のモジュール式フレームが記載されている。
【0009】
特許文献3には、車両下に取り付けられたバッテリーパックのハウジング内に収容されるバッテリーパックの横部材に、座席が機械的に連結される、車両が記載されている。
【0010】
特許文献4には、車両の前方基部下に配置されるバッテリーが記載されている。このバッテリーのモジュールは、長手方向に配置される。
【0011】
後述の詳細な説明によって明確に除外されない場合、この部に含まれる情報は、その詳細な説明自体の一体部とみなすものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許第102015213860号
【文献】仏国特許第2972169号
【文献】米国特許出願公開第2012/161429号
【文献】米国特許出願公開第2011/297469号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特に剛性が高く頑丈なフレームを備えると同時に、収容能力も有する電気スポーツ車又はハイブリッドスポーツ車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、車両フレームの少なくとも1つの構造部材を組み込んでおり、その構造部材がバッテリーパックとともに取外し可能である、バッテリーパックを提供するという構想に基づく。
【0015】
上記構造部材は、1つ以上のバッテリーモジュールを支持するフレームと、車の基部を画定するのに役立つプラットフォームとの間に、サンドイッチ状に封入されることが好ましい。
【0016】
上記バッテリーパックは、車の床に組み込まれたフレームの一部分を画定するように設計された、フレームの一対の側部材を組み込んでいることが好ましい。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、床は、前方ビーム及び中央ビームを含むフレームに対する固定部分からなり、上記側部材が収容される、上記バッテリーパックとともに取外し可能な基部を備える。上記側部材は、上記中央ビームの後ろに斜めに配置され、したがって、後側斜辺部材として画定される。動作状態では、後側斜辺部材は、車のフレームの他の部分と協働し、フレームの一体部を形成する。上記後側斜辺部材は、中央ビームの中央部分で収束し、後部において広がり、したがって、床の後方部分は、互いに相補的な三角形構造の組をなす。
【0018】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を記載しており、したがって、本明細書の一体部を形成する。
【0019】
本発明の更なる目的及び利点は、単に非限定的な例を示している添付図面を参照して、本発明の一実施形態(及び関連する変形形態)の以下の詳細な説明を熟読することで、最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車体部分が透明で、バッテリーパックが固定される床が強調された、スポーツ用自動車の側面図である。
図2】バッテリーパックのカバーを示す、図1の床の側面図である。
図3】車室の座席の後ろに収容される異なる層からなるバッテリーパックの支持フレームを示す、図1の床の側面図である。
図4】車両の後輪を参照して図3の支持フレームの細部を示す図である。
図4a】支持フレームの構造の細部を示す図である。
図4b】支持フレームの構造の細部を示す図である。
図5図3の床の側面図である。
図6図3の床の上面図である。
図6a】車の床内に利用可能な空間の最大充填率が得られるように円筒形化学電池が収容されている、図6のA部分の詳細図である。
図7図3の床の分解図の斜視図に対応する分解図である。
図8図2に示すようなバッテリーパックのカバーが設けられた床の斜視図である。
図9a】先行の図面に従った床の製造時の詳細を示す図である。
図9b】先行の図面に従った床の製造時の詳細を示す図である。
図9c】先行の図面に従った床の製造時の詳細を示す図である。
図9d】先行の図面に従った床の一部分の分解図である。
図10】関連するフレームを特に参照して、関連する床を挿入又は取り出す間の先行の図の車を示す側面図である。
図11図10の状態における車の上面斜視図である。
図12】床が車のフレームに連結された、図11と同じ斜視図である。
図13】床が取り除かれている、先行の図と同じ車の底面図である。
図14】床が車両フレームに連結されている、先行の図と同じ車の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面において、同じ数字及び同じ参照記号は、同じ部材又は構成要素を示している。
【0022】
本発明に関して、「第2の」構成要素という用語は、「第1の」構成要素が存在することを意味してはいない。実際のところ、これらの用語は、明確さを向上させるためのラベルとして用いられているにすぎず、限定的に解釈すべきではない。
【0023】
図面を含む、異なる好ましい実施形態に含まれる部材及び特徴は、互いに組み合わせることができ、これによって、後述する本特許出願の保護範囲を超えることはない。
【0024】
図1は、電気車又はハイブリッド車1を、側面図において、一部が透明な状態で示している。車の長手伸張方向(longitudinal development)Zに従うと、車の前方部1Fは、図面の右側に配置され、後方部1Rの反対側にある。
【0025】
したがって、前車軸の前輪WFと後車軸の後輪WRとを識別することができる。車の床FLは、概ね前車軸と後車軸との間に延在する。
【0026】
床は、取外し可能な基部2と、車のフレームの一体部である固定部分とを含む。以降、混乱が生じないように、基部2は、床の取外し可能な部分を意味するようにし、「フレームの床」は、床から取り外すことができない床の固定部分を意味するようにする。
【0027】
基部2は、前方部21及び後方部22を有する。
【0028】
前方部21の上には、車の乗員を収容する座席Sが支持されている。
【0029】
車1の基部2は、電池(図1には示されていない)を収容する。
【0030】
図2及び図3は、車体の他の部分から取り外された車の基部2を詳細に示している。
【0031】
基部の後方部22が支持する後方バッテリーパックBT2は、基部2の前方部21に組み込まれたバッテリーパックBT1の高さ又は厚さHよりもはるかに大きな高さを有する。これは、基部の前方部は、車両の乗員の生存空間が得られるとともに、関連する座席Sが収容されるような車室Cの下にあるためである。
【0032】
添付図面には熱機関は示されていないが、熱機関は、車の前方部か、又は後方バッテリーパックBT2の後ろに収容することができ、それにより、後方バッテリーパックが熱機関と車の座席との間に挟まれる構成を画定する。
【0033】
一方、基部の後方部22は、上方に突出していることができる。これにより、異なる構造支持足場LB2、LB3、及びLB4が形成され、それによって電池(図示せず)の同数の層を支持する。
【0034】
基部の下部は、金属又は高抵抗の複合材料で作製されたプレートからなる、いわゆるプラットフォームLからなる。プラットフォームは、外部に露出し、車が置かれる地面に面する。
【0035】
車のプラットフォームLは平坦でないことが好ましい。前方部L1は、実質的に平坦である。後方部L2は、実質的に平坦であるが、2つの部分L1及びL2の間の境界部1F2の領域には角部があり、この角部は、同じく符号1F2で示され、長手伸張方向Zに対して横断方向に延在する。
【0036】
存在する角部がより小さい又はより大きいことは、本明細書に関しては重要でないことが明らかである。
【0037】
境界部は地面に面し、いくらか丸みを帯びていることができる。したがって、プラットフォームは、境界部1F2から車両の後方部1Rに向かうにつれて、地面から次第に離れるようになっている。これにより、車の空気力学的負荷が改善される。
【0038】
プラットフォームの前方部分L1と後方部分L2との間に形成される角度は、好ましくは1度~5度の範囲であり、好ましくは3度に等しい。
【0039】
異なる構造層LB2、LB3等は、プラットフォームLの後方部分L2に対して全て平行である。したがって、プラットフォームLの後方部分L2は、いくつかの電池を支持する第1の構造層を画定する。
【0040】
本発明の好ましい一態様によれば、構造柱CLは、車両の正常動作時には鉛直となる。これは、構造柱CLとプラットフォームLの後方部L2との間には垂直でない角度が形成されることを意味する。
【0041】
上記柱は、鉛直位置において機能するように設計することができ、ひいては、プラットフォームLの後方部分L2等の水平でないプラットフォームに連結された場合であっても鉛直を保つことから、使用時に非常に有利であることがわかっている。
【0042】
基部2の組立て中、プラットフォームLは、相補的な治具の上に置かれ、この治具は、プラットフォームLを支持し、車両のフレームに動作的に連結されている場合と同じ動作条件で空間内に方向付けられた状態に保つ。柱は、鉛直の向きVで取り付けなければならず、これにより、柱の組立て中、概してバッテリーの支持フレームTSの組立て中に明白な利点を伴うことが有利である。
【0043】
図4は、後方バッテリーパックBT2を画定する支持フレームTSの細部を示している。
【0044】
支持フレームTSは、略円筒形状を有する基部固定部材C1を備える。基部固定部材C1は、回転軸に対して垂直である上側基部と、回転軸に対して略垂直な或る角度を形成する下側基部とを有する回転体(rotation solids)である。換言すれば、基部固定部材C1の下側基部は、プラットフォームLの後方部分L2の水平でない構成を補償する。
【0045】
上記部分がプラットフォームLの第1の部分L1に対して3度の角度を形成する場合、下側基部は、その回転軸に対して3度未満の垂直であり、すなわち、図4bに示す角度α及びβに対応する93度の角度及び87度の角度が形成される。
【0046】
柱CLは、固定部材C1に取り付けられる。
【0047】
異なる層LB2、LB3等は、金属材料製のプレートFL2、FL3、FL4からなることが好ましい。このプレートにおいて、好適な機械加工作業が行われるか、又は鋳造によって、好適な座部CXが得られる。座部CXには、柱CLの両端部CL1及びCL2が挿入される。上記座部は、層LB2、LB3等をプラットフォームLの後方部分L2に対して平行にし、力の分布を最適化し、熱交換をより良好にするように設計される。
【0048】
したがって、鉛直位置において機能する柱CLを有する異なる支持層LB2、LB3が得られ、また、異なる足場FL2、FL3が、プラットフォームの後方部分L2に対して常に平行な横断部材となる。
【0049】
換言すれば、各柱は、雄側の第1の端部CL1と、第1の端部とは反対側にある雌側の第2の端部CL2とを有する。
【0050】
図4bを参照すると、柱の雄側端部は、別の柱の雌側端部、又は図4aを参照すると基部固定部材C1に、例えば螺合によって挿入される。
【0051】
柱の雄側端部が別の柱の雌側端部に挿入される場合、プレートFL2、FL3等がサンドイッチ状の構成でクランプされ、したがって、2つの柱及びプレートを含む1つの単一の本体を画定する。
【0052】
プレートは、対向する水平面、すなわち、プレートの平面に対してそれぞれ+3度及び-3度の角度を形成する面を有する座部CXを有する。
【0053】
換言すれば、補角α及びβは、絶対値において、水平の平面に対してプラットフォームの後方部の傾きの2倍だけ異なる。
【0054】
柱は、長細い形状、好ましくは円筒形状を有する。したがって、端部CL1及びCL2は、座部CXによって、周縁が座部に理想的に結合し、それにより、ヒンジ結節点(hinge nodes)の形成が回避される。
【0055】
この技術的解決策によって、鉛直柱と座部CXとの間に大きな接触表面積が画定され、それにより、特に剛性の高い支持フレームTSが可能になり、さらに、バッテリーの異なる層、柱CL、及びプラットフォームの後方部L2の間の熱交換が最適化される。
【0056】
本発明の好ましい一変形形態によれば、柱CLは、押出成形された管状(好ましくは円筒形)型材(section bar)から得られ、その両端部には、柱CLの上述の両端部CL1及びCL2と実質的に一致する雄プラグ及び雌プラグが挿入される。
【0057】
図5は、前車軸WF及び後車軸WRに関連して、本発明に係る電気車又はハイブリッド車の基部2が示されている。図6は、図5に示されているアセンブリの頂部VIから見た図を示している。
【0058】
この部分の理解をより容易にするために、層LB2、LB3等は、透明に描かれている。代替的には、バッテリーが、関連する筐体を備える自律モジュールからなる場合、層LB2、LB3等は、プレートではなく、支持フレームTSの全体的な軽量化を伴う周縁フレームとすることができる。
【0059】
図は、保護フレームBF1及びBF2、すなわち、プラットフォームLの前方部分L1及び後方部分L2の上面にそれぞれ連結されている前方保護フレーム及び後方保護フレームを示している。
【0060】
このフレームは、基部2の周縁を囲んでいる。フレームは、プラットフォームLの前方部分及び後方部分の周囲を辿るような適切な形状である矩形断面を有する箱形部材から得られることが好ましい。
【0061】
後方部分L2は、車両の後方部から中央部分CTRNに向かって収束する2つの側斜辺部材SBRを収容する。中央部分CTRNは、後述の記載によれば、車両フレームの様々な構造部材が収束する中央結節点である。
【0062】
「斜辺」という用語は、車の長手伸張方向の軸Zを考慮すると明らかである。
【0063】
本明細書に記載の全ての側部材は、長手方向形状が、好ましくは、正方形又は矩形の断面を有し、高抵抗の材料から作製される管状部材によって得られることが好ましい。
【0064】
後述する中央結節点CTRNにおいて収束する他の構造部材とは異なり、側斜辺部材SBRは、基部2とともに1つの単一片として製造される。
【0065】
換言すれば、基部2は、図7の分解図によると、基本的に、上面に保護フレームBF1及びBF2が付加されたプラットフォームL(L1、L2)と、側斜辺部材SBRと、バッテリー支持フレームTSとを備える。基部2が完全なものとなるには、後述の適切なカバーも備える。
【0066】
そのため、図10に従って基部2が車両のフレームFの他の部分に下方から連結される場合、後側斜辺部材は、好適なフランジを用いてフレームの他の部分に選択的に接続される。特に、後方フランジFLR及び前方フランジFLFが存在する。
【0067】
異なる側斜辺部材、すなわち前側斜辺部材及び後側斜辺部材の双方は、矩形断面を有する箱形部材から得られることが好ましい。
【0068】
後方フランジは、「後方タワー」、すなわち、後方サスペンション(図示せず)が固定される後方タワーTRRとして一般に知られる、フレームの特に剛性の高い部分の近くに固定されることになる。
【0069】
タワーは、通常、鉛直方向に延在する頑丈な金属部品であり、この理由からタワーと呼ばれる。
【0070】
一方、前方フランジは、上述の中央結節点に固定されることになる。
【0071】
フレームBF1及びBF2も、上記中央結節点で収束することが好ましく、それにより、構造の強固さが増す。
【0072】
図6及び図7は、プラットフォームLの前方部L1に連結される内側フレームBF11も示している。これらのフレームは、基部が車に取り付けられると、前側斜辺部材SBFを囲むように使用される。前側斜辺部材SBFは、後側斜辺部材SBRとは異なり、車両のフレームFとともに1つの単一片として製造される。
【0073】
図6は、関連するフレームを備えるプラットフォームを平面図で示している。図6aは、円筒形バッテリーBTCを表す図6の一部分を示している。これらのバッテリーは、関連する対称軸がプラットフォーム、すなわち車の床が存在する平面に対して垂直となるように配置される。
【0074】
図示されていないが、支持部材が設けられ、支持部材は、例えばプラスチック材料から作製され、側部材及びビーム等の構造部材の交差によって画定される体積全体を占める。構造部材は、互いに交差することによって、車の床に挿入される三角形構造のうちの1つを画定するのに役立つ。
【0075】
単一のセルの円筒形状は、利用可能な空間全体を占めるのに特に有利である。
【0076】
この完全な相補性は、図8から明らかである。
【0077】
欧州特許出願公開第3264497号は、複数の円筒形セルの上側端部及び下側端部をそれぞれ覆う2つの半殻を用いて詰め合わされた複数の円筒形バッテリーの支持及び電気接続システムを示している。
【0078】
これらの半殻は、フレームBF1内に完全に囲われ、特に図6aに示すように利用可能な空間全体を充填するような形状となっていることが好ましい。
【0079】
床内に収容されるバッテリーが円筒形であることは、後方バッテリーパックBT2も円筒形バッテリーからなるということを意味しない。実際、図7によれば、後方バッテリーパックが占める体積は、より規則的であり、したがって、バッテリーモジュールは、平行六面体の形状を有することができ、さらに、全てのタイプのセル、すなわち円筒形セル、角柱形セル、又はパウチ型セルを採用することができる。このことは、異なる容量及び異なるCレートを有する2つのバッテリーパックが必要である場合に特に有利である。ここで、Cレートは、各セルの供給可能な電力と貯蔵容量との間の比によって与えられる。
【0080】
これに関して、図11は、下方で分解された基部と、前側斜辺部材SBFとを備える車両のフレームFを示している。
【0081】
図8は、図7と同じ角度に従って、完全な基部2を示している。
【0082】
後方バッテリーパックBT2は、適切な材料で作製されたカバーによって覆われ、このカバーは、バッテリーパックBT2全体を内部に封入し、後方保護フレームBF2に当たる。
【0083】
前方バッテリーパックは、実質的に3つの部分、すなわち中央部分及び2つの側方部分からなり、これらの部分は、それぞれのカバーCV11、CV12、及びCV13内に封入される。
【0084】
この場合も、前方バッテリーパックの3つのカバーは、プラットフォームの前方部の周縁を囲む前方保護フレームBF1に当たる。したがって、車両の前方部から上述の中央結節点CTRNに向かって収束する2つの斜めの長手方向溝COが画定される。
【0085】
前方バッテリーパックBT1と後方バッテリーパックとの間に更なる長手方向溝が画定される。
【0086】
これらの溝は、フレームの部材に対して相補的であり、これらの部材の中には、図11に示されている前側斜辺部材SBFがある。
【0087】
図9aは、プラットフォームLの後方部分L2と前方部分L1とを強調して基部2の一部分を示している。
【0088】
後方フレームBF2は、図面をよりよく理解するために図示していない。この図は、中央結節点が、少なくとも部分的に、後側斜辺部材SBRと、後方部分L2と、プラットフォームLの前方部分L1とに直接接続する中央接続部材CMBからなることを示している。前方保護フレームBF1及び後方保護フレームBF2も、上記部材に向かって収束する。
【0089】
図9bは、基部2の中央領域の分解図を示している。
【0090】
図9bは、中央接続部材CMBが、例えばボルト及びねじを用いて基部2を自動車のフレームFの他の部分に接続するフランジのように機能する様子を示している。上から見ると、中央接続部材CMBは、実質的にπのような形状をしており、後側斜辺部材SBR及び後方保護フレームBF2は、πの上部に向かって収束し、一方、前方保護フレームBF1は、πの脚部に接続される。
【0091】
図9cは、基部2の分解された部分の細部を示している。中央部材CMBと同様の2つの接続部材RNも、後部の保持のために設けられるが、接続部材RNは、後側斜辺部材の後方端部の領域に配置される。この場合、後方接続部材RNは、後方保護フレームBF2、後側斜辺部材、及びプラットフォームの後方部分L2とともに組み付けられることになる。
【0092】
中央接続部材CMBと全く同様に、後方接続部材RNは、ボルトによって基部をフレームの他の部分に固定するフランジを画定する。
【0093】
基部2の縁部が好適なねじを用いてフレームの他の部分に接続されることになることは明らかであるが、後側斜辺部材SBRは、基部2がフレームの他の部分に連結されるとフレームの一部であるために、フレームと相互作用する必要があることから、図14の車両の底部から見てわかるように、大きなサイズのねじ及びボルトが必要となることも明らかである。
【0094】
図9dは、基部2の分解されたアセンブリを示している。ここでは、保護フレームを画定する部材と取付け部材CMB及びRNとの間、並びに取付け部材CMB及びRNと後側斜辺部材との間に多数の接合部が形成されることがよりよく理解されるように、支持フレームTSは図示していない。
【0095】
図10図12を参照すると、本発明に係る車のフレームFは、フレームの床を特に参照して描かれている。既に上述したように、フレームの床は、取り外すことのできないフレームの固定部分からなる。固定部分は、クレードルCRを備え、クレードルCRは、車室Cの床FLを側方から囲み、運転席と車両の制御ペダルとの間で車両の一方の側から他方の側まで延在する前方ビームTVFと、車両の一方の側から他方の側まで延在し、座席Sのすぐ後ろ又は下に配置される中央ビームTVCとを備える。
【0096】
上記前方ビーム及び中央ビームは、その両端部においてクレードルCRに交わる。
【0097】
中央ビームは、衝突試験、特にポール衝撃試験を見事に通過するために特に有用である。
【0098】
クレードルCR並びにビームTVF及びTVCによって境界を定められる領域において、中央ビームTVCの中央領域に向かって収束する一対の前側斜辺部材SBFが存在する。
【0099】
したがって、床において得られるフレーム部分は、三角形構造の組を有する。
【0100】
上記に開示したように、床FLの取外し可能な部分を表す基部2は、一対の後側斜辺部材SBRを備え、後側斜辺部材SBRは、全体が基部に組み込まれているため、基部と一緒に取り外すことができる。
【0101】
上記後側斜辺部材SBRは、フレームFの他の部分に連結されると、車両の床FLに組み込まれたフレーム部分が、平坦な三角形構造の組となる。既知のように、三角形構造は、自然界に存在する中で最も剛性が高く安定的な構造である。したがって、床は、可能な限り剛性が高く安定的になる。
【0102】
図面によれば、中央ビームTVCは、後側斜辺部材に対する前側斜辺部材の対称軸をなすことが好ましい。
【0103】
したがって、床に組み込まれたフレーム部分全体は、通常、固定された取外し不可能な部分と、床の後方の取外し可能な部分、すなわち基部2との双方において、略平坦な三角形構造の組からなる。
【0104】
後側斜辺部材は、サスペンションと外部物体に対して生じ得る衝撃との双方によってフレームに伝達される応力を吸収するために、フレームと協働することから、フレームの一部である。
【0105】
したがって、コンピューターによってフレームのサイズを決める場合、後側斜辺部材は、フレームによって支持される単なる付加部材ではなく、フレームの一体部とみなされる。
【0106】
図13は、電気自動車1の底部から見た図を示している。これは、図1に比べて、長手伸張方向及び横断伸張方向に対して低くなっていることから、スポーツ車であることが明らかである。
【0107】
この場合、車室は、特に細長くなっている。したがって、床の前方拡張部が存在することができ、前方拡張部は、更なる前方ビームTVF2を備える。
【0108】
上記更なる前方ビームTVF2の中心線は、更なる側斜辺部材SBF2によって前方ビームTVFと相互接続される。更なる側斜辺部材SBF2は、上記中心線を始点として、概ね前側斜辺部材SBFの接続点において前方ビームTVFに接続される。
【0109】
上記更なる前方ビームTVF2は、その両端部において、前方サスペンションを支持する前方タワーTRFに接続される。
【0110】
車室Cに対して後部にあるフレームの部分に関して、クレードルCRは、車両の両側に配置された中間タワーTRMによって中央ビームTVCの領域において閉鎖する。
【0111】
これらのタワーは、車室を強固にするのに役立つだけでなく、更なる構造部材の支持も行う。
【0112】
特に、中間タワーの上部は、上側中央ビームTVCSと相互接続し、上側中央ビームTVCSは、中央ビームTVCに対して平行であり、床FLの平面上に配置されることが明らかである。
【0113】
トラス構造は、中間タワーTRMと、車両の後方サスペンションが固定される後方タワーTRRとの間に形成される。上記トラス構造は、常に、三角形構造の組であり、以降、ステージングCSTと呼ばれる。
【0114】
上記トラス構造は、平面図において、四辺形の形状を有し、空間的には、基部2を車両フレームの他の部分に接続する操作を簡略化するように、可能であれば直角柱の形状を有する。
【0115】
したがって、開放した下側基部及び上側基部が存在し、そこには、中間タワーを互いに接続する2つの対角線が配置される。
【0116】
したがって、床FL及び概して車両フレーム全体は、非常に剛性が高く安全となる。
【0117】
上述した非限定的な例には、変更を加えることができ、これによって本発明の保護範囲を超えることはない。本発明は、当業者にとって特許請求の範囲の内容と等価である全ての実施形態を含む。
【0118】
当業者であれば、上述の記載を読めば、更なる製造上の詳細を紹介することなく本発明の主題を実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図4a
図4b
図5
図6
図6a
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
図11
図12
図13
図14