(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】投与量捕捉のためのスマートフォンアプリおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240513BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20240513BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G16H20/10
A61J3/00 310K
A61J7/00 L
(21)【出願番号】P 2019556960
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 US2018028322
(87)【国際公開番号】W WO2018195290
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ.リチャード ギョリー
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】安井 雅史
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/197749(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/040949(WO,A1)
【文献】特開2016-126361(JP,A)
【文献】国際公開第2016/130815(WO,A1)
【文献】特表2016-515451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0177154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
A61J1/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与量情報を決定するためのポータブルデバイスであって、
薬剤または薬剤送達デバイスを撮像するための画像捕捉デバイスと、
前記画像捕捉デバイスによって捕捉された画像を記憶するためのメモリと、
プログラム命令を実行するように適合され、前記記憶された画像を分析し、および前記画像内に捕捉された薬剤のタイプおよび投
与量を決定するように適合された、プログラマブルメモリおよびプロセッサと
を備え、
前記薬剤送達デバイスは、プランジャを有する注射器であり、
前記プログラム命令は、前記プロセッサに、
捕捉された前記注射器の画像を分析して、前記注射器の調剤端部に対する前記プランジャの位置を決定し、投与量及びタイムスタンプを計算することと
、
薬瓶
のインスリンの量を追跡し、いつ患者が前記インスリンを再注文することが必要になるかを計算し、前記薬
瓶の状態について前記患者に警告することと、
を実行させることを特徴とするポータブルデバイス。
【請求項2】
所定の期間の間の前記薬剤の合計使用量を計算するように構成され、前記薬剤の前記合計使用量を前記患者のための処方された使用量と比較し、前記合計使用量が前記処方された使用量に少なくとも等しい、または前記処方された使用量未満であるとき、前記患者に通知を送ることを特徴とする請求項
1に記載のポータブルデバイス。
【請求項3】
プロセッサによって実行され、プランジャを有する注射器による薬剤送達手順を決定する方法であって、
捕捉された前記注射器の画像を分析して、前記注射器の調剤端部に対する前記プランジャの位置を決定し、投与量及びタイムスタンプを計算するステップと
、
薬瓶
のインスリンの量を追跡し、いつ患者が前記インスリンを再注文することが必要になるかを計算し、前記薬
瓶の状態について前記患者に警告するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
所定の期間にわたる前記薬剤の合計使用量を計算し、前記薬剤の前記合計使用量を、前記患者の貯蔵に対応する処方された使用量と比較するステップと、
前記患者の前記薬剤の新たな貯蔵を提供するために、前記合計使用量が前記処方された使用量に少なくとも等しいとき、薬剤供給業者に通知を送るステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記合計使用量が前記処方された使用量未満であるとき、前記患者に通知を送るステップをさらに含むことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記合計使用量が前記処方された使用量未満であるとき、前記医療関係者に通知を送るステップをさらに含むことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤または薬剤送達デバイスは、製造業者、薬剤のタイプ、および投
与量からなる群から選択された少なくとも1つに対応する表示を含み、前記表示の画像を捕捉し、前記捕捉された画像を分析し、前記製造業者、薬剤のタイプ、または投
与量を記録することを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤識別および検証を支援し、患者によってとられた薬剤投与量を追跡および記録するための、スマートフォンなどのポータブル、ハンドヘルド電子デバイスおよびアプリケーションを対象とする。本発明はさらに、デバイスを用いて薬剤を識別し、患者に送達されたまたは患者によってとられた一連の投薬量を計算および記録する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2017年4月20日に出願した米国特許仮出願第62/487,997号明細書の優先権を主張するものである。
【0003】
服薬不遵守は、特に糖尿病治療に関して、世界規模で重要な問題である。すべての患者の50%が、薬剤を処方された通りにとらない。不遵守は、数十万人の死亡、および数十億ドルの回避可能な医療的および関連コストに直接的に寄与する。
【0004】
患者が、彼等の投与量が少なくなったときに再注文するのに役立つ処方ラベルの絵を用いるスマートフォンアプリがある。しかし、これらのアプリは、患者が薬剤をとる前に薬剤または投与量を直接識別せず、注射器またはペン型インジェクタに対しては役に立たない。
【0005】
薬剤をとる時間になったときに警報を発する薬剤注意喚起アプリがあるが、これらは有用性が限られ、薬剤タイプまたは濃度を直接確認せず、患者に送達された薬剤投与量を肯定的に(affirmatively)記録しない。
【0006】
従来のデバイス、アプリ、および方法は、意図された目的に一般的に適するが、薬剤使用量を監視する方法およびデバイスが継続的に求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、薬剤および/または薬剤送達デバイスの画像を捕捉し、捕捉された画像に基づいて患者に送達された投薬量を計算することができるポータブル電子デバイスを対象とする。デバイスは、投薬量に関する情報を記憶し、処方された薬剤送達手順の順守のために、投薬量および時間の記録を生成する情報を記録する。
【0008】
本発明の実施形態は、スマートフォンアプリなどを有するスマートフォンなどの電子デバイスを提供する。デバイスは、好ましくはリモートに記憶された情報にアクセスするためのネットワーク通信インターフェースを有する、画像捕捉デバイス、およびプログラム命令を実行するためのプログラマブルメモリを含む。デバイスは、それが丸薬、インスリンペン、または注射器であるかどうかによらず、薬剤投与量の画像を捕捉する。デバイスは、画像分析を用いて薬剤のタイプおよび投与量を決定し、時間および日付スタンプと一緒に、薬剤のタイプ、および患者への薬剤送達の投与量を記録する。
【0009】
アプリおよびデバイスは、所定の期間の間、薬剤送達時間および投薬量を、監視および記録するためにネットワークに接続する。記録情報は、介護者、医師または他の医療関係者、薬剤の供給業者、または薬剤および/または送達デバイスの製造業者によってアクセスされ、またはそれらに供給されることができる。アプリは、患者への薬剤の送達を監視し、患者または供給業者に適切な使用量に関する情報を提供することができる。使用量データは、患者の薬剤の貯蔵(supply)が所定のレベル未満であるとき、薬剤および/または送達デバイスの処方の補充のために時間および量を計算するために用いられることができる。
【0010】
一実施形態において、送達デバイスは、インスリンなどの薬剤の投薬量を患者に送達するためのペンニードルである。デバイス内のアプリは、送達デバイス、および送達デバイスの設定された投薬量の画像を捕捉する。画像は投薬量を計算するために分析され、投薬量をメモリに記憶する。デバイスは、各投薬量の一連の画像を捕捉し、投薬量を記録することができる。投薬量データは、医療関係者、供給業者、または患者によるアクセスのためにデータ記憶媒体に送信される。データは、薬剤の使用の速度を計算し、患者に薬剤を再供給するための時間を計算するため、および所定の期間にわたって消費された薬剤の記録を提供するために用いられる。
【0011】
アプリおよびデバイスは、薬剤の使用量および投薬量に関するデータを監視し、記憶する方法を提供する。アプリおよびデバイスは、送達デバイスまたは薬剤の画像を捕捉し、画像を分析して特定の薬剤、製造業者、供給業者、投薬量、時間および日付を決定する。データは、デバイス内に記憶され、および/またはクラウドなどの記憶データ媒体に転送される。次いでデータは、処方された薬剤送達手順および使用量を監視するために、医療関係者によってアクセスされる。供給業者は、データにアクセスし、所定の期間にわたる薬剤の使用量に基づいて、適切な時点で薬剤を再供給することができる。デバイスは、所定の期間にわたる薬剤の合計使用量または消費量を計算し、合計使用量を所定の期間の間の処方された量と比較することができる。
【0012】
一実施形態において、デバイスは、投与量情報を決定するためのポータブルデバイスであって、画像捕捉デバイスと、画像捕捉デバイスによって捕捉された画像を記憶するためのメモリと、プログラム命令を実行するように適合され、記憶された画像を分析し、画像内に捕捉された薬剤のタイプおよび量を決定するように適合された、プログラマブルメモリおよびプロセッサとを備える。
【0013】
特徴はまた、薬剤送達手順を記録する方法によって達成され、方法は、ポータブル電子デバイスの画像捕捉デバイスを用いて、薬剤または薬剤送達デバイスの画像を捕捉するステップと、捕捉された画像を分析し、薬剤、投薬量、および送達情報を計算するステップと、薬剤、投薬量、および送達情報を記憶するステップとを含む。薬剤、投薬量、および送達デバイスの記憶された情報は、処方された薬剤の記憶された情報と比較され、投薬量が処方された薬剤を順守しているかどうかを決定する。
【0014】
様々な実施形態の好ましいまたは任意選択の特徴のそれぞれは、他の特徴と組み合わされることができ、1つまたは複数の特定の特徴との組み合わせにおいて述べられる特徴はまた、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わされることができることが理解されるであろう。
【0015】
本発明のこれらおよび他の特徴は、図面と共に本発明の様々な実施形態を開示する以下の本発明の詳しい説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下は図面の簡単な説明である。
【0017】
【
図1】患者、支払人、介護者、医療関係者、および医薬品供給施設に接続され、それらにデータを伝達するデバイスを示すフローチャートである。
【
図2】送達デバイスおよび薬剤の画像を捕捉するデバイスおよびアプリを示すフローチャートである。
【
図3】データ記憶媒体、および記憶されたデータへのアクセスを示す図である。
【
図4】データおよび情報を提供するアプリを示すフローチャートである。
【
図5】ペンニードル送達デバイスなどの医療用送達デバイス、および薬剤、供給業者、および投薬量を識別するための表示を示す図である。
【
図6】一実施形態における、注射器である医療用送達デバイスを示す図である。
【
図7】錠剤または丸薬としての薬剤および識別表示を示す図である。
【
図8】アプリおよびデバイスのステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面全体を通して、参照番号は同じ部分、構成要素、および構造体を指すことが理解されるべきである。
【0019】
本発明は、画像を捕捉し、画像を分析し、薬剤のタイプ、薬剤の投与量、および患者に送達された時間に関する情報を計算するためのデバイス、アプリ、および方法に関する。デバイスおよびアプリは、薬剤タイプおよび送達の時間の記録および履歴を提供する、患者に送達された投与量に対応するデータを、デバイスおよび/またはデータ記憶媒体に記憶する。アプリは、薬剤の補充のための、患者に対する将来の貯蔵の必要性および時点を監視する。情報は、患者が薬剤投薬量および送達時間を監視するのを支援するために患者に提供される。アプリは、所定の期間にわたる薬剤の合計使用量を計算し、合計使用量を所定の期間の間に処方された使用量と比較し、実際の使用量が処方された量より多いか少ないかを決定し、それによって処方された薬剤の適切な順守のインジケーションを提供する。
【0020】
デバイスは、所定の期間にわたって患者に送達される薬剤の投与量に関する情報を処理するためのアプリケーション(「アプリ」)を含む、スマートフォンなどのハンドヘルド、ポータブル電子デバイスである。電子デバイスは、画像捕捉デバイスと、プログラム命令を実行するためのプログラマブルメモリとを含む。デバイスは、リモートに記憶された情報にアクセスし、薬剤および/または薬剤送達デバイスの分析された画像に対応する情報を方向付けるためのネットワーク通信インターフェースを有する。
【0021】
アプリは、薬剤、または薬剤のための送達デバイスの画像を捕捉および分析するように構成される。デバイスまたは薬剤の画像は、薬剤を識別し、および患者への送達の時点における投与量を識別するために分析される。特定の薬剤および投与量は、患者への薬剤の送達の投与量および時間の記録を提供するために記録される。データはデバイス内に記憶され、および/またはネットワーク通信インターフェースによって適切な外部記憶媒体に届けられる。一実施形態において、データはクラウドに記憶される。データは、薬剤送達手順および使用量の順守を計算するため、ならびに患者に薬剤手順の順守のための薬剤および/または送達デバイスの補給された貯蔵を供給するための情報を提供する。
【0022】
一実施形態におけるアプリは、患者の、彼等の薬剤の保有における、現在の貯蔵を整合させることができ、患者による投薬量取得を、患者の医師、薬局、介護者、および支払人または保険会社と整合させる。アプリは、患者によってとられた投薬量を監視および記録し、とられた投薬量を処方された投薬量と比較し、処方された投薬量の順守を決定することができる。アプリは、患者の薬剤の現在の貯蔵を計算し、および供給業者と整合させ、患者が新鮮な薬剤および/または薬剤送達デバイスの適切な貯蔵を有することを確実にするように、適切な時点で患者へ薬剤を届けるように用意することができる。
【0023】
図1に示される一実施形態において、デバイス10は、患者によってとられた薬剤および投薬量の識別に関するデータおよび情報を捕捉し、記憶し、およびアクセス可能な記憶媒体に送信することができる。様々な医療関係者または業者が、記憶された情報にアクセスすることができる。電子デバイス10は、画像を捕捉し、画像を分析して患者に送達されている投薬量を決定し、
図1でブロック12によって示される患者にデータを送信する。一実施形態において電子デバイス10は、捕捉された画像によって薬剤を識別し、患者に対する処方手順についての記憶された情報にアクセスし、処方された手順の順守のために、処方手順を現在の投薬量および時間と比較する。情報およびデータは患者に提供され、とられた特定の薬剤、および画像が捕捉された時点の時間および日付スタンプによっていつ薬剤がとられたかについて患者に助言する。データは、所定の手順の順守のために、その後の投薬量の時間について患者に通知することができる。アプリおよびデバイスは、薬剤の処方された送達時間および投薬量の適切な順守に関する情報を提供する。情報およびデータは、とられた薬剤についての即時の、および連続する知識を提供する方式で患者に伝達され、処方された方式で薬剤をとるように患者にインセンティブを提供する。
【0024】
デバイス10によって収集され、計算された情報およびデータは、
図1のブロック14によって示される介護者、およびブロック16によって示される医師に伝達され、患者に対する薬剤、投薬量および送達の時間の現在の記録を提供する。伝達された情報およびデータは、投薬量、投薬時間、および薬剤のタイプを調整するまたは変更することにおいて、介護者および/または医師を支援する。収集された情報は、使用量、および処方薬剤、医薬品、または送達デバイスの補充の期待される時間を決定するために、ブロック18によって示される薬局もしくは供給業者、またはブロック20によって示される支払人または保険会社に伝達されることができる。次いで支払人は、薬剤および/または送達デバイスの出荷を承認し、供給業者への支払いを認可することができる。
【0025】
アプリは、処方された手順および投薬量送達の順守の計算の後すぐに、患者にインセンティブまたは報酬を提供することができる。報酬は例えば、薬剤または送達デバイスのサンプル、またはその後の購入のためのクレジットとすることができる。薬局または供給業者に伝達される情報は、薬剤の消費量の監視を支援し、適切な時点で薬剤の補充を自動的に処理する。薬剤は、患者によるピックアップのために準備される、または患者に直接出荷されることができる。次いで支払人または保険会社は、薬剤使用量を監視し、供給業者に直接支払いを提供することができる。
【0026】
図2および
図3示されるアプリは、分析されたデータおよび情報を、承認された個人によって情報がアクセス可能であるクラウド21などの、外部データ記憶媒体に伝達する。
図3に示されるように、情報は、薬剤容器のキャップの画像を捕捉し、キャップ上の情報表示を記録するためのブロック22によって示されるキャップトラッカと、ブロック24によって示される組織とに提供するようにアクセス可能である。情報は、薬剤および貯蔵の再注文を支援するように、時間および投薬量、過去の投薬量、薬剤の使用量の記録を患者に喚起するために、ブロック26によって示される実行記録および薬剤の記録、ブロック28によって示される処方補充率、ブロック30によって示される薬剤送達方法、ブロック32によって示される他のアプリケーションを提供するためにアクセス可能である。
【0027】
デバイスおよびアプリの機能および動作は、
図4に示される。デバイス10は、送達デバイスおよび/または薬剤の画像を捕捉することができる
図4に示された撮像デバイス11を有するスマートフォンなどの、ポータブルハンドヘルド電子デバイスである。撮像は、通常はデバイス10に組み込まれることが理解される。デバイス10は、薬剤および/または送達デバイスの画像を捕捉し、画像を分析および処理し、患者に送達されている投薬量を計算する。時間、日付、および投薬量は、デバイス10に記憶され、および/または外部データ記憶媒体に送信され、記憶される。
【0028】
図4および
図5に示される本発明の実施形態に従って、デバイス10は、
図8のフローチャートに示されるブロック52によって示される送達デバイスの画像を捕捉し、ブロック54によって示される投与量情報を計算するために用いられるスマートフォンである。計算された投与量は、ブロック56によって示されるデータ記憶媒体に送信され、記憶され、そこで情報は
図8のフローチャートに示される患者58、薬局60、支払人62、および/または介護者64に送られる。示される実施形態において、送達デバイスは、参照番号32によって示されるインスリン送達ペンである。実施形態におけるインスリン送達ペン32は、貯蔵区画、および投薬量を選択するための投与量ノブを有する標準の送達ペンである。送達ペン32は、患者への送達のための投薬量を識別および設定するためのダイヤル33または他の表示を含む。
図4および5に示されるように、投薬量は当技術分野で知られている単位で記録される。患者は最初にアプリを開き、インスリン送達ペン32上の投与量においてダイヤル調整されたものの絵を捕捉またはスナップ撮影する。捕捉された画像は読み取られ、参照番号34によって示される時間および日付スタンプが付けられ、デバイス10に記憶される。データは好ましくは、情報が医療提供者によってアクセスされることができるクラウドなどの、外部記憶媒体に送られる。一実施形態における送達ペン32は、インスリン溶液を含む。インスリンの例は、商品名HumalogおよびLovologのもとで販売される。
【0029】
デバイスは、患者に送達された各投薬量に対して、送達ペン32または他の送達デバイスの画像を捕捉し、例えば1ヶ月など、所定の期間にわたる薬剤および投薬量を記録する。薬剤の合計の消費量または使用量は、薬剤および送達の完全および正確な記録を提供するように所定の期間の間に記録される。デバイス10は、所定の期間の間の処方された薬剤量に関する記憶された情報にアクセスし、合計の消費量を処方された量と比較することができる。デバイス10は、処方された薬剤の再供給を支援するために、合計の消費された量が処方された量に少なくとも等しいとき、患者および/または供給業者に通知を送ることができる。デバイス10は、消費された薬剤の合計量が、処方された量未満であるとき、薬剤の不適切な投与について患者および医療提供者に助言するように、患者および/または医療提供者に通知を送ることができる。
【0030】
アプリはマシンビジョンを用いて、
図5に示されるペン32上にダイヤル設定された投与量を識別する。有利には、製造業者およびインスリンのタイプは、
図5に示される送達ペン上のラベル、バーコード、QRコード、または他の機械可読表示、形状、色、または他の識別表示36によって識別される。この方式において、適切な薬剤は、捕捉された画像および計算されたデータを、所定の薬剤送達手順またはデバイスと比較することによって検証されることができる。薬剤、送達デバイス、または処方された手順に関する情報は、デバイス10に記憶される、または外部データ記憶媒体から取り出されることができる。短時間作用型インスリンまたは薬剤投与量が処方されたまたは期待されるときに、またはすでに長時間作用型インスリンが送達されているときに、患者が誤って、商品名Lantusのもとで販売されるものなどの長時間作用型インスリンペンを取り上げた場合、アプリは好ましくは期待されていないアクションを認識し、患者に通知または警告を提供し、正しい薬剤および正しい投薬量を投与するように患者に是正措置をとる機会を提供する。
【0031】
投与量を記録し、分析することによって、アプリは、好ましくはその送達ペンに対して用いられるインスリンの量を追跡し、いつペンが空になるまたはほとんど空になるかを予測するために計算を行い、送達ペンまたは他の送達デバイスの状態についてユーザに注意を喚起する。次いで患者は、インスリンまたは薬剤の新鮮な貯蔵を取得し、送達手順の順守を医療関係者と確認することができる。
【0032】
図4および
図6に示される注射器38の場合、患者はアプリを開き、すぐに使える注射器36の絵を捕捉またはスナップ撮影する。注射器は、当技術分野で知られている予め充填された注射器とすることができる。マシンビジョンは注射器38の画像を分析して、注射器の調剤端部に対する注射器のプランジャ位置40を決定し、42によって示される投与量、タイムスタンプを計算し、および好ましくはデータをクラウドなどの外部記憶媒体送る。アプリは好ましくはマシンビジョンを用いて、表示、サイズ、色などを識別することによって、注射器38の製造業者または供給業者を識別する。アプリは、
図6に示されるように製造業者、および注射器32内に含まれる製品を識別するために、注射器上の表示44読み取ることができる。アプリは、注射器の底部からのプランジャおよびストッパの距離を認識し、計算し、それによって、送達されることになる投与量を計算する。アプリは好ましくは投与量を患者に報告し、患者が適切な投薬量を送達するように、適切に注射器を充填することを助ける。インスリンのタイプに関連付ける視覚的マーキングまたは表示が使用できない場合、アプリは好ましくは、その患者に何が処方されているかを知って、どのようなインスリンが用いられたかを推論する。アプリは好ましくは、所与の薬瓶に対して用いられるインスリンの量を追跡し、いつ患者がインスリンを再注文することが必要になるかを計算し、薬瓶または他のインスリン容器の状態について患者に警告する。
【0033】
デバイスおよびアプリはまた、
図4および
図7に示される錠剤または丸薬44の画像を分析するために適し、薬剤および投薬量を識別し、薬剤および投薬量を記録する。示される実施形態おいて、異なるサイズおよび形状を有する様々な薬剤が示される。薬剤および/または包装は、薬剤および投薬量を識別するために用いられることができる表示46を含むことができる。薬剤の例は、イブプロフェン、Atorvastatin、商品名Onglyzaのもとで販売されるものなどの抗糖尿病薬剤、および商品名VerapamilおよびLosartanのもとで販売される抗高血圧薬剤とすることができる。
【0034】
患者はアプリを開き、直前にとられた丸薬または丸薬のグループの画像または絵を捕捉する。アプリは好ましくは、糖尿病に対する薬剤だけでなく、患者がとっているすべての処方された薬剤を追跡する。アプリは有利には、製造業者、供給業者、薬剤、および投薬量によって丸薬を視覚的に識別する。アプリは、丸薬の識別表示、形状および色に基づいて、薬剤および投与量識別情報を取り出す。アプリは好ましくは、処方された時刻(朝か、昼頃か、夜かなど)に対して、期待される丸薬および数があるかどうかを識別する。好ましくは画像がとられた丸薬の摂取の前に、アプリは、患者にすべてが良好である場合はインジケーションを、または何かが間違っている場合は警告を提供する。
【0035】
投与量はタイムスタンプがとられ、薬剤または送達デバイスの情報は好ましくはクラウドなどの外部記憶媒体に記憶される。記憶された情報は、適切な投薬量および手順を検証するためにアクセスされることができる。
【0036】
アプリは好ましくは、例えば一般開業医と専門医が、患者がすでにどのような他の薬物を用いているかを知らずに薬物を処方していた場合、2つの薬物が不適合であるどうかを認識する。絵は、何がなされたかおよびタイムスタンプの証拠を提供する。マシンビジョンは好ましくは投与量を読み取り、投与量が正しいかどうかを決定する。デバイス10およびアプリは、データ記憶媒体と通信して、薬剤に対する関連のある情報を取り出し、薬剤の他の薬剤との適合性の分析、および推奨される投薬量を提供する。
【0037】
上述の実施形態から、ビジネス方法が導き出されることができる。会社は、保険会社からの料金と引き換えに患者を管理するためのデバイスおよび/またはソフトウェアを提供することができ、改善された順守を実現させ、従ってより少ない入院および合併症により保険会社に対するコストを低減する。
【0038】
本発明の実施形態は、いくつかの利点をもたらす。システムは、タイムスタンプを用いて患者に送達されたインスリン投与量を捕捉し、いつ薬剤がとられたかおよび投薬量を患者がチェックすることを可能にする。本発明の実施形態は、他の処方された薬剤に加えて、インスリン療法の順守の検証を可能にする。本発明の実施形態は、患者が他の合併症を管理し、正しい投薬量を識別し、およびカウンタ表示された薬剤を識別する。本発明の実施形態は、正しい薬剤が投与されたことの確証を提供し、投薬の誤りをそれが起きる前に識別する。
【0039】
他のビジネス方法実施形態において、アプリが薬剤が少なくなっていることを決定したときに、料金と引き換えに、自動補充のために患者が特定の薬局に提供される。
【0040】
本発明の実施形態は有利には、非限定的に肺高血圧症、MS、および他の病気など、非順守が合併症または入院における支払人に対する増加されたコストに繋がる、任意の治療分野での順守を向上させる。
【0041】
本発明の他の実施形態は、患者に与えられた薬剤の記録を提供する。これは費用のかかる訴訟を避けることができ、または少なくとも単なるカルテを超えた決定的な証拠を提供する。本発明の実施形態は好ましくは、正しい薬剤が調剤されていることの追加の保証を提供する電子的医療記録(EMR)に結び付けられる。本発明の実施形態は好ましくは、薬剤が患者に調剤される前に、薬剤が医療記録に示されるものと投与量またはタイプにおいて異なる場合、警告を提供する。マシンビジョンは柔軟性があるので、アプリの使用をさらに強化するためにバーコードまたは他の記号が用いられることができる。
【0042】
好ましい実施形態の上記の説明は本発明を限定するものと見なされるべきではなく、本発明は添付の「特許請求の範囲」によって定義される。本開示は、本発明の範囲から逸脱せずに当業者が述べられた本発明の変形形態を実施することを可能にするためのものである。ここで数値的限定は、本明細書および特許請求の範囲において、修飾語「約」によって限定されるものと理解され、従って等価な結果を生じる小さな逸脱は本発明の範囲内である。一実施形態または独立項に関連して開示される特徴または従属請求項は、本発明の範囲から逸脱せずに他の実施形態において、または異なる独立請求項と組み合わされることができる。