(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】細胞標的化療法のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20240513BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240513BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240513BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240513BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240513BHJP
A61K 31/663 20060101ALI20240513BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240513BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240513BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240513BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240513BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240513BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240513BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20240513BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240513BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240513BHJP
C12Q 1/6858 20180101ALN20240513BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240513BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240513BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240513BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20240513BHJP
C07K 14/57 20060101ALN20240513BHJP
C07K 14/525 20060101ALN20240513BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20240513BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20240513BHJP
C12Q 1/02 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/663
A61K31/675
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K45/00
C12Q1/68
C12Q1/6827 Z
C07K14/725
C12N5/10
C12N15/12
C12Q1/6858 Z
C12Q1/6869 Z
C07K16/28
C12N5/0783
C12N5/09
C07K14/57
C07K14/525
C12N9/16 B
C12N7/01
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2019563540
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2018063210
(87)【国際公開番号】W WO2018211115
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-13
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514116305
【氏名又は名称】ユーエムセー・ユトレヒト・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クボール,ユルゲン・ヘルベルト・エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】セバスティヤン,ジョルト
(72)【発明者】
【氏名】ベリンジャー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィボロバ,アンナ
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-520223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353643(US,A1)
【文献】国際公開第2016/166544(WO,A1)
【文献】特表2016-501013(JP,A)
【文献】特表2015-513900(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125757(WO,A1)
【文献】Zsolt Sebestyen et al.,RhoB Mediates Phosphoantigen Recognition by Vγ9Vδ2 T Cell Receptor,Cell Reports,Volume 15, Issue 9,Pages 1973-1985,https://doi.org/10.1016/j.celrep.2016.04.081
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/17
A61P 35/00
A61P 35/02
A61K 39/395
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む感染又は癌の治療における使用のための医薬組成物であって、該ポリペプチド構築物はγ9δ2T細胞受容体を含有し、
該γ9δ2T細胞受容体が
(A)配列番号74~84のいずれかの全長配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するγ9-CDR3領域を形成する少なくとも13個の連続したアミノ酸残基を含むγ9サブユニットであって、
(i)該γ9-CDR3領域の最初および最後のアミノ酸残基がそれぞれシステイン(C)およびフェニルアラニン(F)であり、
(ii)該γ9-CDR3領域の6番目又は8番目の残基のいずれかがバリン(V)である、または該γ9-CDR3領域の6番目および7番目の残基がそれぞれアラニン(A)およびグリシン(G)である、γ9サブユニット;および
(B)配列番号86~101のいずれかの全長配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するδ2-CDR3領域を形成する少なくとも14個の連続したアミノ酸残基を含むδ2サブユニットであって、
(i)該δ2-CDR3領域の最初および最後のアミノ酸残基がそれぞれシステイン(C)およびフェニルアラニン(F)であり、
(ii)該δ2-CDR3領域の8番目の残基がロイシン(L)、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、アラニン(A)、グリシン(G)およびセリン(S)から選択される、δ2サブユニット
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
CD277が二量体として存在する、請求項1記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
ポリペプチド構築物がCD277のJ配置に、該J配置にはないCD277分子と比較して高い選択性で結合する、請求項1記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記癌が白血病または固形癌である、請求項1記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
前記対象がCD277陽性の癌細胞を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項6】
癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質、および、癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形を投与することを更に含み、これらの物質がアミノビスホスホネートであるメバロン酸経路インヒビターである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項7】
J配置の形成が、少なくとも、RhoBとCD277との相互作用および/またはCD277の区画化を要する、請求項6記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
J配置の形成が、RhoBとCD277との相互作用の後、細胞内リン酸化抗原とCD277との相互作用を要する、請求項7記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
前記ポリペプチド構築物が操作された細胞内で発現される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
前記操作された細胞が、幹細胞または人工多能性幹細胞から分化された免疫エフェクター細胞である、請求項9記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
前記操作された細胞が、操作されたT細胞または操作されたナチュラルキラー細胞である、請求項9または10記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
前記操作されたT細胞が、操作されたαβT細胞である、請求項11記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
前記操作されたT細胞が、操作されたCD4
+
αβT細胞またはCD8
+
αβT細胞である、請求項11記載の使用のための医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリペプチド構築物は可溶性であり、該ポリペプチド構築物はまた、細胞障害性T細胞に結合し、該細胞傷害性T細胞が標的細胞に対して細胞傷害性となるように活性化する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項15】
前記γ9δ2T細胞受容体が配列番号74~84のいずれかで表されるγ9-CDR3領域、および配列番号86~101のいずれかで表されるδ2-CDR3領域を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項16】
CD277を認識しうるポリペプチド構築物での治療、または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞での治療に対する、対象における陽性治療応答を予測する方法であって、
該ポリペプチド構築物はγ9δ2T細胞受容体を含有し、
該方法は下記工程a)およびb)
a)患者の標的細胞を、RhoBの活性に関連したヌクレオチド配列多型を有するものとして特定し、および
b)ヌクレオチド配列多型を有するものとしての標的細胞の前記特定に基づいて陽性治療応答を示す対象を予測すること
を含み、
さらに、該ヌクレオチド配列多型を欠くものとして第2の対象の標的細胞を特定することに基づいて、第2の対象における治療応答不良を予測する工程を含む、前記方法。
【請求項17】
前記ポリペプチド構築物がCD277のJ配置を認識する、請求項
16記載の方法。
【請求項18】
前記標的細胞の1つまたは複数が癌細胞である、請求項
16記載の方法。
【請求項19】
RhoBの活性が、ヌクレオチド配列多型を欠く対象におけるRhoB活性と比較して高い活性である、請求項
16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞標的化療法のための組成物および方法に関する。
【0002】
相互参照
本出願は、2017年5月18日付け出願の米国仮特許出願第62/508,272号および2017年5月19日付け出願の米国仮特許出願第62/508,833号に対する優先権を主張するものである。それらのぞれぞれの全体をあらゆる目的で参照により本明細書に組み入れることとする。
【0003】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体を参照により本明細書に組み入れることとする。2018年5月17日付けで作成された該ASCIIコピーは51887-706 601 SL.txtと称され、27,689バイトのサイズを有する。
【背景技術】
【0004】
操作された抗腫瘍特異性または抗病原体特異性を有するT細胞の養子移入が開発中である。そのような戦略においては、外因性免疫受容体、例えばアルファベータT細胞受容体またはガンマデルタT細胞受容体またはキメラ抗原受容体であって、特定の抗腫瘍特異性または特定の抗病原体特異性を有するものを、患者からの自己T患者の細胞に、あるいは、患者への同種幹細胞移植の場合には対応同種T細胞に移植する。また、例えば、血液幹細胞移植を受けている白血病患者は治療中にリンパ球枯渇状態になる。したがって、そのような患者も、例えば特異的抗白血病T細胞受容体を発現するように操作されたドナーT細胞の注入による利益を受けうる。本明細書に記載されている組成物および方法は、1以上のMHC関連遺伝子により発現されるタンパク質における特有の配置(構成)を選択的に認識する受容体を発現する細胞を含み、ここで、前記の特有の配置は1以上の病態に関連している。
【0005】
参照による援用
本明細書中に挙げられている全ての刊行物、特許および特許出願を、各個の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明は、がん(以下、癌と表記される)細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形(投与形態)、または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形、および(i)該癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、(ii)該癌細胞におけるリン酸化抗原(phosphoantigen)の活性を増強する物質の剤形との少なくとも1つを含む医薬組成物を提供する。1つの態様においては、医薬組成物は、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを含む。1つの態様においては、医薬組成物は、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを含み、ここで、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の前、同時または後に投与される。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼを癌細胞の細胞膜に維持し、癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強し、RhoB GTPアーゼの安定性を増強し、RhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強し、RhoB GTPアーゼを活性化し、RhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強し、RhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減し、癌細胞におけるGTPの量を増加させ、癌細胞におけるGTPの利用可能性(アベイラビリティ)を増加させ、あるいはそれらの任意の組合せをもたらす。1つの態様においては、CD277はJ配置で存在しうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、ここで、γ-TCRポリペプチド配列はγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片でありうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、ここで、δ-TCRポリペプチド配列はδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片でありうる。1つの態様においては、医薬組成物は、固形癌および白血病の少なくとも1つを含む対象に投与されうる。1つの態様においては、医薬組成物は、急性骨髄性白血病を含む対象に投与されうる。1つの態様においては、医薬組成物は対象に投与されうる。対象は、RhoB GTPアーゼの発現または活性と相関する遺伝子における突然変異を含みうる。1つの態様においては、医薬組成物は、RhoB GTPアーゼの発現または活性の低下と相関する遺伝子における突然変異を含む対象に投与されうる。1つの態様においては、医薬組成物は、CD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制と相関しうる遺伝子における突然変異を含む対象に投与されうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、RhoB GTPアーゼに間接的または直接的に結合することにより機能しうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、RhoB GTPアーゼに間接的または直接的に結合することにより機能しうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物の剤形は、表3または表4の配列に対して少なくとも60%の同一性を含む配列を含む。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質はメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質はアミノビスホスホネートでありうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、パミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つでありうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼを癌細胞の細胞膜に維持し、癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強し、RhoB GTPアーゼの安定性を増強し、RhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼを活性化し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減し、癌細胞におけるGTPの量を増加させ、癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させ、あるいはそれらの任意の組合せをもたらす。
【0007】
本明細書は、治療を要する対象に医薬組成物を投与することを含む治療方法を開示する。1つの態様においては、対象は、CD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制と相関する遺伝子における突然変異を含む。1つの態様においては、対象は固形癌および白血病の少なくとも1つを含む。
【0008】
本明細書は、対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質からなる群から選択される物質を含む医薬組成物、または該癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物を、治療を要する対象に投与することを含む治療方法を開示する。1つの態様においては、方法は、治療を要する対象の癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質を、治療を要する対象に投与することを更に含みうる。
【0009】
本明細書は、癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形、および(i)癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、(i)癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形との少なくとも1つを、治療を要する対象に投与することを含む治療方法を開示する。1つの態様においては、治療は、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを投与することを含む。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質はメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、アミノビスホスホネートでありうるメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質はパミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つでありうるメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、ここで、γ-TCRポリペプチド配列はγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片でありうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、ここで、δ-TCRポリペプチド配列はδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片でありうる。1つの態様においては、細胞はαβT細胞でありうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、リン酸化抗原に間接的または直接的に結合することにより機能しうる。1つの態様においては、方法は、サイトカインを含む剤形を投与することを更に含みうる。1つの態様においては、ポリペプチド構築物の剤形は、表3または表4の配列に対して少なくとも60%の同一性を含む配列を含む。
【0010】
本明細書は、対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む医薬組成物と、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現する細胞を含む医薬組成物とを、治療を要する対象に投与することを含む治療方法を開示し、ここで、対象から単離されたT細胞は、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも1倍分泌する。1つの態様においては、小さなタンパク質はサイトカインでありうる。1つの態様においては、小さなタンパク質はサイトカインであることが可能であり、IFNγである。1つの態様においては、対象から単離されたT細胞は、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも5倍分泌する。1つの態様においては、対象から単離されたT細胞は、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも10倍分泌する。
【0011】
本明細書は、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを、治療を要する対象に投与することを含む治療方法を開示する。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質はメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、アミノビスホスホネートでありうるメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、パミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つでありうるメバロン酸経路インヒビターでありうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、リン酸化抗原に間接的または直接的に結合することにより機能する。1つの態様においては、方法は、癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形、または癌細胞上のCD277に選択的に結合する前記ポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形を投与することを更に含みうる。
【0012】
本発明は、標的細胞上のCD277のJ配置またはJコンファーメーションに選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を含む組成物を提供する。幾つかの場合には、標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合する本明細書に記載されているポリペプチド構築物を提供し、ここで、該ポリペプチド構築物は、操作された細胞において発現される。また、標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合する本明細書に記載されているポリペプチド構築物を含むヌクレオチド配列も提供する。
【0013】
本発明は、標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む方法および組成物、該ポリペプチド構築物をコードするヌクレオチドを含む方法および組成物、または該ポリペプチド構築物を発現する細胞を含む方法および組成物を提供する。幾つかの実施形態においては、標的細胞上のCD277のJ配置に結合するポリペプチド構築物は少なくとも1つのγδT細胞受容体またはその断片もしくは変異体を含む。
【0014】
本発明は、癌細胞のような窮迫(distressed)細胞における代謝変化の結果として形成されるCD277の配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を含む組成物を提供し、ここで、該代謝変化は、トランスフォーメーションまたは窮迫に際してアップレギュレーションされる一般的ストレス分子の発現を引き起こす。ある実施形態においては、この配置はJ配置でありうる。幾つかの場合には、CD277のJ配置は前記窮迫細胞内でのRhoBの移行の結果として生じる。
【0015】
本発明は、標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するγδT細胞受容体(TCR)またはその断片を含むポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を提供する。ある場合においては、γδT細胞受容体(TCR)またはその断片はVγ9およびVδ2鎖の少なくとも1つおよびその断片を含む。幾つかの場合には、本明細書に記載されている操作された細胞は、哺乳類メバロン酸経路の中間体(例えば、イソペンテニルピロホスファート(IPP))および微生物2-C-メチル-D-エリチトール 4-リン酸(MEP)経路の中間体から選択される少なくとも1つの追加的な物質と共に対象に投与されうる。
【0016】
本発明は、特定の細胞、例えば腫瘍細胞における所定受容体の活性化のメディエーターを特定する不偏性ゲノムワイドスクリーニング法を提供する。不偏性ゲノムワイドスクリーニング法における使用のための系およびキットを提供する。更に、本明細書は、本明細書に記載されているスクリーニング方法により特定されたメディエーターを標的化する組成物を開示する。特定の実施形態においては、所定の受容体、例えばVγ9Vδ2 TCRの最適な活性化を増強または回復するのに有用な組成物を提供する。
【0017】
ある実施形態においては、標的細胞クリアランスから利益を受ける状態、例えば癌に対する有効な治療をもたらす方法を提供し、該方法は、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を含む、またはそれをコードするヌクレオチドを含む、またはそれを発現する細胞を含む、そして所望により、CD277のJ配置の形成または該J配置への該ポリペプチド構築物の結合を増強するのに有用な少なくとも1つの物質を含む組成物を提供することを含む。
【0018】
本発明は、標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物を提供し、ここで、該ポリペプチド構築物は、操作された細胞において発現される。幾つかの実施形態においては、該ポリペプチド構築物は、前記J配置ではないCD277分子と比較して高い選択性でCD277のJ配置に結合する。幾つかの実施形態においては、標的細胞は癌細胞である。幾つかの実施形態においては、標的細胞は白血病細胞である。
【0019】
幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、γ-TCRポリペプチド配列もしくはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つ、またはγ-TCRポリペプチド配列もしくはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体もしくは断片を含む。幾つかの実施形態においては、γ-TCRポリペプチド配列はγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である。幾つかの実施形態においては、δ-TCRポリペプチド配列はδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である。更にもう1つの実施形態においては、CD277は二量体として存在する。
【0020】
本発明は、CD277分子がJ配置にある場合の癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象における癌の治療方法を提供し、ここで、該ポリペプチド構築物は、所望により、操作された細胞において発現されてもよい。本発明は更に、CD277がJ配置にある場合の癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物の有効量または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞の有効量を対象に投与することを含む、癌細胞の除去を要する対象において癌細胞を除去する方法を提供する。
【0021】
幾つかの場合には、該ポリペプチド構築物は、J配置ではないCD277分子と比較して高い選択性でCD277のJ配置を認識する。幾つかの実施形態においては、該J配置の形成は、少なくとも、RhoBとCD277との相互作用および/またはCD277の区画化を要する。幾つかの実施形態においては、該J配置の形成は、RhoBとCD277との前記相互作用の後、細胞内リン酸化抗原とCD277との相互作用を要する。幾つかの場合には、該ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列もしくはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つ、またはγ-TCRポリペプチド配列もしくはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体もしくは断片を含む。
【0022】
幾つかの場合においては、該方法は、該癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強する物質を投与すること、またはRhoB GTPアーゼを調節する物質を投与することを含み、ここで、該物質はGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)およびグアニンヌクレオチド解離インヒビター(GDI)の少なくとも1つを標的化する。幾つかの場合には、該方法は、RhoB GTPアーゼの発現または活性と相関する突然変異に関して対象の遺伝子型を決定することを含む。幾つかの場合には、該方法は、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)およびグアニンヌクレオチド解離インヒビター(GDI)から選択されるタンパク質をコードする遺伝子から選択される遺伝子の遺伝子型を決定することを含み、ここで、該タンパク質はRhoB GTPアーゼを調節(モジュレーション)する。
【0023】
本発明は、a)少量の追加的(本有的)な共受容体を発現する免疫細胞を準備し、b)γ9-T細胞受容体鎖をコードする核酸配列およびδ2-T細胞受容体鎖をコードする核酸配列を準備し、ここで、γ9-T細胞受容体鎖およびδ2-T細胞受容体鎖は、CD277がJ配置にある場合のCD277に選択的に結合し、c)工程b)の核酸配列をT細胞に導入して、工程b)のγ9-T細胞受容体鎖と工程b)のδ2-T細胞受容体鎖とを含むγ9δ2T細胞受容体を含有する操作されたT細胞を得ることを含む、T細胞を操作する方法を提供する。
【0024】
本発明は更に、a)T細胞受容体を発現する細胞を標的細胞と接触させ、b)T細胞受容体を発現する細胞の免疫活性化のレベルを検出し、c)i)免疫活性化が閾値レベル未満である場合には、遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有するもの、またはii)免疫活性化が閾値レベルを超えている場合には、遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有さないものの1つとして、標的細胞を特定し、d)免疫活性化が閾値レベル未満である場合には、標的細胞遺伝子型を対照遺伝子型と比較して、遺伝的またはエピジェネティック変異を特定することを含む、T細胞受容体認識の欠如をもたらす遺伝的またはエピジェネティック(後成的)変異に関して標的細胞をスクリーニングする方法を提供する。
【0025】
幾つかの実施形態においては、標的細胞は癌細胞である。幾つかの場合には、T細胞受容体はVγ9Vδ2 T細胞受容体である。幾つかの場合には、免疫活性化のレベルの検出は、T細胞受容体を発現する細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む。幾つかの実施形態においては、サイトカインはインターフェロン-γおよびTNFαの少なくとも1つである。幾つかの場合には、遺伝的またはエピジェネティック変異は一塩基多型である。幾つかの場合には、標的細胞の接合性は、前記の遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有すること、または前記の遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有さないことと相関する。幾つかの場合には、該方法は更に、遺伝的またはエピジェネティック変異の近位の遺伝子を特定する工程を含む。幾つかの場合には、該遺伝子は遺伝的またはエピジェネティック変異から約300,000塩基対以内に位置する。
【0026】
幾つかの実施形態においては、該方法は更に、該遺伝子の発現を調節し、T細胞受容体発現細胞(T細胞受容体を発現する細胞)の免疫活性化の量に対する調節の効果を評価する工程を含む。幾つかの場合には、該調節は、該遺伝子をノックアウトすることを含む。幾つかの場合には、T細胞受容体発現細胞および標的細胞はT細胞である。幾つかの場合には、対照遺伝子型は対照細胞の遺伝子型であり、ここで、対照細胞は、T細胞受容体発現細胞と接触すると、T細胞受容体発現細胞の免疫活性化を引き起こす。幾つかの場合には、T細胞受容体発現細胞の前記免疫活性化はサイトカインの産生における少なくとも2倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる。幾つかの場合には、T細胞受容体発現細胞の前記免疫活性化はサイトカインの産生における少なくとも10倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる。幾つかの場合には、T細胞受容体発現細胞の前記免疫活性化はサイトカインの産生における少なくとも100倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる。幾つかの場合には、前記接触は、T細胞受容体発現細胞および対照細胞を同じ容器に加えることを含む。幾つかの場合には、接触は、T細胞受容体発現細胞および対照細胞を同じ容器に加えることを含む。
【0027】
幾つかの実施形態においては、標的細胞はB細胞白血病細胞系である。幾つかの実施形態においては、標的細胞はエプスタインバーウイルス形質転換(トランスフォーム)細胞である。幾つかの実施形態においては、遺伝的突然変異は、RhoGTPアーゼを調節するタンパク質をコードする遺伝子に位置する。幾つかの場合には、タンパク質はGTPアーゼ活性化タンパク質またはグアニンヌクレオチド交換因子である。幾つかの場合には、遺伝的突然変異はCD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制をもたらす。
【0028】
本発明は、a)タンパク質をコードする遺伝子における突然変異に関して対象をスクリーニングし、ここで、該タンパク質は対象の標的細胞においてRhoGTPアーゼを翻訳後に調節し、b)該突然変異がCD277におけるJ配置の形成を低減も抑制もしない場合には、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞媒介療法で対象を治療することを含む方法を提供する。幾つかの実施形態においては、標的細胞は癌細胞である。幾つかの実施形態においては、標的細胞は白血病細胞である。幾つかの態様においては、該タンパク質はGTPアーゼ活性化タンパク質またはグアニンヌクレオチド交換因子である。幾つかの実施形態においては、スクリーニングは、遺伝子またはその一部の遺伝子型を決定することを含む。幾つかの実施形態においては、スクリーニングは、核酸増幅、配列決定およびオリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーションから選択される方法を含む。
【0029】
本発明は、a)対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を対象に投与すること、およびb)Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現するT細胞を投与することを含む、癌細胞の除去を要する対象において癌細胞を除去する方法を提供する。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞の細胞膜にRhoB GTPアーゼを維持する。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質は、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼの安定性を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質は、RhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼを活性化する。幾つかの実施形態においては、該物質は、RhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強する。幾つかの実施形態においては、該物質は、RhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減する。
【0030】
幾つかの場合には、該物質は癌細胞におけるGTPの量を増加させる。幾つかの場合には、該物質は癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させる。幾つかの場合には、癌細胞上の細胞表面分子に結合する部分に該物質を結合させ、それにより、該物質を癌細胞に標的化する。幾つかの場合には、該部分は小分子化合物を含む。幾つかの場合には、該部分はペプチドを含む。幾つかの場合には、該部分は抗体または抗原結合性フラグメントを含む。幾つかの場合には、該物質は癌細胞における細胞内リン酸化抗原の量を増加させる。
【0031】
幾つかの場合には、該方法は、癌細胞における細胞内リン酸化抗原の量を増加させる追加的物質を投与することを含む。幾つかの場合には、該追加的物質はメバロン酸経路インヒビターである。幾つかの実施形態においては、該メバロン酸経路インヒビターはアミノビスホスホネートである。幾つかの実施形態においては、該アミノビスホスホネートはパミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つである。幾つかの場合には、対象は固形癌および白血病の少なくとも1つを有する。幾つかの場合には、白血病は急性骨髄性白血病である。幾つかの場合には、対象は、RhoB GTPアーゼの発現または活性の低下をもたらす遺伝子における突然変異を有する。
【0032】
本発明は、対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を対象に投与することを含む、癌細胞の除去を要する対象における癌細胞を除去する方法を提供する。幾つかの場合には、該方法は、T細胞を対象に投与することを含む。幾つかの場合には、該T細胞はVγ9Vδ2 T細胞受容体を発現する。幾つかの場合には、該T細胞は、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現するように操作されており、または遺伝的に修飾されている。幾つかの場合には、該T細胞は、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を過剰発現するように操作されており、または遺伝的に修飾されている。
【0033】
本発明は、ポリペプチド構築物と細胞傷害性細胞とを含む系を提供し、ここで、該ポリペプチド構築物は、CD277が標的細胞上のRhoB GTPアーゼと複合体化された場合、標的細胞上のCD277に選択的に結合し、該ポリペプチド構築物は、操作された細胞において発現される。
【0034】
更に、本発明は、標的細胞における受容体の活性化に関連した遺伝子座を特定するための方法を提供し、該方法は、a)標的細胞における受容体の前記活性化を含む表現型を誘導する細胞を特定し、b)該表現型を示す細胞の接合性を特定し、c)該細胞に関する遺伝子型情報を得、ここで、該遺伝子型情報は、種々の細胞に関する複数の遺伝子座のそれぞれにおける遺伝子型を定め、d)特定された細胞接合性を、それらの細胞にわたる複数の遺伝子座の1つにおける遺伝子型と相関させて、活性化遺伝子座を特定することを含む。
【0035】
幾つかの実施形態においては、該遺伝子型情報は複数の遺伝子座のそれぞれにおける一塩基多型を定める。幾つかの場合には、該受容体はVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片である。幾つかの場合には、標的細胞は癌細胞である。幾つかの場合には、標的細胞は白血病細胞である。幾つかの場合には、該表現型はIFNγの産生である。幾つかの場合には、遺伝子は前記の複数の遺伝子座の少なくとも1つの近位に位置する。幾つかの場合には、該受容体の前記活性化は、該細胞型の細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合する標的細胞のポリペプチド構築物を伴う。幾つかの場合には、該J配置は活性化遺伝子座と相関している。
【0036】
本発明は、a)対象からの標的細胞を得、b)該標的細胞を、外因性ポリペプチド構築物を発現する少なくとも1つの修飾エフェクター細胞と接触させ、c)該ポリペプチド構築物を発現する前記修飾エフェクター細胞の免疫活性化のレベルを検出し、d)該免疫活性化が閾値レベルを超えている場合、ヌクレオチド配列多型を有するものとして標的細胞を特定することを含む方法を提供する。
【0037】
幾つかの場合には、標的細胞の1以上は癌細胞である。幾つかの場合には、外因性ポリペプチド構築物はVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片を含む。幾つかの場合には、免疫活性化のレベルの前記検出は、外因性ポリペプチド構築物を発現する修飾エフェクター細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む。幾つかの場合には、サイトカインはインターフェロン-γである。幾つかの場合には、ヌクレオチド配列多型は一塩基多型である。
【0038】
幾つかの場合には、該方法は更に、ヌクレオチド配列多型の近位の遺伝子を特定する工程を含む。幾つかの場合には、該遺伝子はヌクレオチド配列多型から約300,000塩基対以内に位置している。幾つかの実施形態においては、該方法は更に、該外因性ポリペプチド構築物の有効量で対象を治療する工程を含む。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物を発現する修飾エフェクター細胞はT細胞である。幾つかの場合には、外因性ポリペプチド構築物を発現する少なくとも1つの修飾エフェクター細胞と標的細胞を接触させることは、該標的細胞の少なくとも1つの表面上のCD277分子を該外因性ポリペプチド構築物と接触させることを含む。幾つかの場合には、該外因性ポリペプチド構築物はCD277分子のJ配置に選択的に結合する。
【0039】
本発明は、a)CD277を発現する標的細胞を対象から得、b)CD277分子のJ配置に選択的に結合する外因性ポリペプチド構築物を発現する細胞と標的細胞を接触させ、c)該ポリペプチド構築物によるCD277分子のJ配置の認識を検出することを含む方法を提供する。幾つかの実施形態においては、標的細胞の1以上は癌細胞である。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物はVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片を含む。幾つかの場合には、CD277分子のJ配置の認識を検出することは、ポリペプチド構築物を発現する細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む。幾つかの場合には、サイトカインはインターフェロン-γである。幾つかの場合には、該方法は更に、該ポリペプチド構築物の有効量を該対象に投与することを含む。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物を発現する細胞はT細胞である。
【0040】
本発明は、CD277を認識しうるポリペプチド構築物または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞での治療に対する対象における陽性治療応答を予測する方法を提供し、該方法は、a)患者の標的細胞を、RhoBの活性に関連したヌクレオチド配列多型を有するものとして特定し、b)ヌクレオチド配列多型を有するものとしての標的細胞の前記特定に基づいて陽性治療応答を示す対象を予測することを含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はCD277のJ配置を認識し、それに直接的に、または1以上の追加的な生物学的因子を介して間接的に結合する。
【0041】
幾つかの実施形態においては、該方法は更に、ポリペプチド構築物を対象に投与することを含む。幾つかの実施形態においては、標的細胞の1以上は癌細胞である。幾つかの場合には、ヌクレオチド配列多型は一塩基多型である。幾つかの場合には、RhoBの前記活性は、該ヌクレオチド配列多型を欠く対象におけるRhoB活性と比較して高い活性である。幾つかの場合には、該方法は更に、該ヌクレオチド配列多型を欠くものとして第2の対象の標的細胞を特定することに基づいて、第2の対象における治療応答不良を予測する工程を含む。
【0042】
本発明は、a)CD277分子を発現する細胞の第1セットを第1対象から得、b)i)第2対象から得られた標的細胞の第2セットと比較して高いRhoB活性と、ii)高いRhoB活性に関連したヌクレオチド配列多型との少なくとも1つを有するものとして細胞の第1セットを特定し、c)第2群の細胞上のCD277配置と比較して第1セットの細胞上のCD277配置に対する選択的アフィニティを有するポリペプチド構築物、または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を第1対象に投与することを含む方法を提供する。
【0043】
幾つかの場合には、前記の第1群の細胞の1以上は癌細胞である。幾つかの場合には、第1群の細胞の1以上は白血病細胞である。幾つかの場合には、前記の第1セットの細胞上のCD277配置はJ配置である。幾つかの実施形態においては、ヌクレオチド配列多型は一塩基多型である。
【0044】
本発明は、CS277分子を認識しうるポリペプチド構築物または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞での治療に対する対象における陽性治療応答を予測する方法を提供し、該方法は、a)CD277分子を発現する標的細胞を対象から得、b)標的細胞において発現されたCD277分子のJ配置を特定し、c)CD277分子のJ配置の前記特定に基づいて、陽性治療応答を示す対象を予測することを含む。
【0045】
幾つかの場合には、該方法は更に、ポリペプチド構築物を対象に投与する工程を含む。幾つかの場合には、該方法は更に、第2対象の標的細胞のCD277分子をJ配置を欠くものとして特定することに基づいて、第2対象における治療応答不良を予測する工程を含む。幾つかの場合には、標的細胞の1以上は癌細胞である。幾つかの場合には、該方法は更に、標的細胞におけるRhoBの活性に関連したヌクレオチド配列多型を特定する工程を含む。幾つかの場合には、RhoBの前記活性は、ヌクレオチド配列多型を欠く対象におけるRhoB活性と比較して高い活性である。幾つかの場合には、ヌクレオチド配列多型は一塩基多型である。幾つかの実施形態においては、該予測はCD277分子のJ配置の前記特定とヌクレオチド配列多型の前記特定との両方に基づく。
【0046】
本発明は、CD277陽性である癌細胞を有する対象における癌の治療方法であって、直接的に又は1以上の追加的生物学的因子を介して間接的に該癌細胞上のCD277のJ配置またはJコンファメーションに選択的に結合する薬学的に許容される物質を含む医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む治療方法を提供する。幾つかの実施形態においては、薬学的に許容される物質は、前記癌細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む。幾つかの場合には、γ-TCRポリペプチド配列はγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である。幾つかの場合には、δ-TCRポリペプチド配列はδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である。
【0047】
幾つかの場合には、薬学的に許容される物質は、J配置ではないCD277分子と比較して高い選択性で、直接的に又は1以上の追加的生物学的因子を介して間接的に、CD277のJ配置に結合する。幾つかの実施形態においては、標的細胞は癌細胞である。幾つかの実施形態においては、標的細胞は白血病細胞である。幾つかの場合には、CD277は二量体として存在する。
【0048】
本発明の特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本開示の特徴および利点のより深い理解は、例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明(これにおいては本開示の原理が用いられる)および添付図面を参照することにより得られるであろう。
【0049】
発明の詳細な説明
1つの態様においては、本発明は、頑強(robust)な抗腫瘍応答を誘発するT細胞を提供する。抗腫瘍応答は、γ9δ2 TCRのような受容体を発現する免疫細胞と腫瘍細胞のような標的との結合によりもたらされうる。免疫細胞への腫瘍細胞の結合は受容体-標的相互作用の改善により増強されうる。1つの態様においては、本発明が提供するのは、γ9δ2 TCRを発現する免疫細胞と標的との結合を増強する組成物および方法でありうる。1つの態様においては、方法は、RhoB GTPアーゼの活性を増強することを含みうる。1つの態様においては、方法は、リン酸化抗原の活性(例えば、蓄積)を増強することを含みうる。RhoB GTPアーゼおよびリン酸化抗原は腫瘍細胞表面のCD277の発現の増強に関与し、それにより、CD277を発現する腫瘍細胞とγ9δ2 TCRを含む免疫細胞との相互作用を改善し、または可能にする。1つの態様においては、本発明が提供するのは、腫瘍細胞のインサイドアウト(inside-out)シグナル伝達を改善し、それにより、それが免疫細胞により認識されることを可能にすることを含む方法でありうる。1つの態様においては、本発明が提供するのは、表面上のCD277の発現を増強することにより、腫瘍細胞のインサイドアウト・シグナル伝達を増強する物質でありうる。物質はCD277に直接的に、または間接的に作用しうる。CD277の発現は、腫瘍細胞におけるリン酸化抗原およびRhoB GTPアーゼを刺激することにより増強されうる。1つの態様においては、物質はRhoB GTPアーゼに直接的に、または間接的に作用しうる。1つの態様においては、物質はリン酸化抗原に直接的に、または間接的に作用しうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼ、リン酸化抗原またはそれらの組合せの活性を増強しうる物質は間接的または直接的に作用しうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼ、リン酸化抗原またはそれらの組合せの活性を増強しうる物質は二次因子に結合することが可能であり、そしてこれがRhoB GTPアーゼおよび/またはリン酸化抗原の活性を増強しうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼ、リン酸化抗原またはそれらの組合せの活性を増強しうる物質は幾つかの上流因子に結合することが可能であり、そしてこれらがRhoB GTPアーゼおよび/またはリン酸化抗原の活性を増強しうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼまたはリン酸化抗原の上流の最大10個の因子が刺激されることが可能であり、そしてRhoB GTPアーゼおよび/またはリン酸化抗原の活性が増強される。
【0050】
1つの態様においては、本発明が提供するのは、γ9δ2 TCRを含む免疫細胞の組成物、ならびにRhoB GTPアーゼおよびリン酸化抗原の活性を増強する物質を含む組成物でありうる。1つの態様においては、γ9δ2 TCR媒介性応答はパミドロネートのような物質により、あるいは追加的な接着物質の発現により増強されうる。幾つかの態様においては、活性化の後、CD277を発現する癌細胞のような標的の認識が生じうる。標的の認識は、γ9δ2TCRのCDR3領域、およびCD277の配置変化によりもたらされうる。幾つかの態様においては、T細胞活性化は膜の柔軟性を利用して、T細胞と腫瘍細胞とを含むシナプスを形成しうる。幾つかの態様においては、T細胞活性化はγ9δ2TCRの相互作用による細胞膜におけるCD277のマイクロクラスタリングを含みうる。
【0051】
全ての用語は、それらが当業者により理解されるとおりに理解されると意図される。特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、本開示に関連する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0052】
本明細書中で用いる節の見出しは編成上の目的のためのものであるに過ぎず、記載されている内容を限定すると解釈されるべきではない。
【0053】
本発明の種々の特徴は単一の実施形態の文脈で記載されているかもしれないが、それらの特徴は別々に又は任意の適切な組合せでも記載されうる。逆に、本発明は、明瞭化のために、別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されているかもしれないが、本発明は単一の実施形態においても実施されうる。
【0054】
以下の定義は当技術分野におけるものを補完するものであり、本出願に関するものであり、関連する又は関連しないいずれの場合(例えば、いずれの共有特許または出願)にも帰属されるべきではない。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料が本開示の試験の実施に使用されうるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載されている。したがって、本明細書中で用いる用語は、特定の実施形態を記載することを目的としたものであるに過ぎず、限定的であるとは意図されない。
【0055】
本出願においては、特に示されていない限り、単数形の使用は複数形を含む。本明細書中で用いる単数形表現は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形対象物を含むことに留意しなければならない。本出願においては、「または」の使用は、特に示されていない限り、「および/または」を意味する。更に、「含む」なる語ならびに「含み」、「含んでいて」および「含まれる」のような他の形態の使用は限定的なものではない。
【0056】
本明細書中で用いる「自己」なる語およびその文法的等価体は、同じものに由来することを意味しうる。例えば、サンプル(例えば、細胞)を取り出し、処理し、後で同じ対象(例えば、患者)に戻すことが可能である。自己プロセスは、ドナーとレシピエントとが異なる対象である同種異系プロセスとは区別される。
【0057】
本明細書中で用いる「活性化」およびその文法的等価体は、細胞が休止状態から活性状態へと移行する過程を意味しうる。この過程は抗原に対する応答、移動および/または機能的に活性な状態への表現型変化もしくは遺伝的変化を含みうる。例えば、「活性化」なる語はT細胞活性化の段階的過程を意味しうる。例えば、T細胞は、完全に活性化されるためには少なくとも2つのシグナルを要しうる。第1のシグナルは抗原-MHC複合体によるTCRの嵌合の後に生じうる。第2のシグナルは共刺激分子の関与(嵌合)により生じうる。インビトロで抗CD3は第1のシグナルを模倣することが可能であり、抗CD28は第2のシグナルを模倣することが可能である。
【0058】
本明細書における「幾つかの実施形態」、「実施形態」、「1つの実施形態」または「他の実施形態」に対する言及は、該実施形態に関して記載されている特定の特徴、構造または特性が少なくとも幾つかの実施形態に含まれることを意味し、必ずしも本発明の全ての実施形態に含まれるわけではない。
【0059】
本明細書および特許請求の範囲において用いる「含む」(ならびに「含み」および「含まれ」のような、含むの任意の形態)、「有する」(ならびに「有し」および「有され」のような、有するの任意の形態)、「包含する」(ならびに「包含し」および「包含され」のような、包含するの任意の形態)または「含有する」(ならびに「含有し」および「含有され」のような、含有するの任意の形態)は包括的または拡張可能(オープンエンド)であり、追加的な、挙げられていない要素または方法工程を除外するものではない。本明細書に記載されている任意の実施形態は本発明の任意の方法または構成に関して実施可能であり、逆も同様であると想定される。更に、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用されうる。
【0060】
本明細書中で用いる基準数値およびその文法的等価物に関する「約」なる語は該数値自体およびその数値の上下(プラスまたはマイナス)10%の値の範囲を含みうる。例えば、「約10」なる量は10および9~11の任意の量を含む。例えば、基準数値に関する「約」なる語はその値の上下(プラスまたはマイナス)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%の値の範囲をも含みうる。
【0061】
本明細書中で用いる「細胞傷害性」なる語は、細胞の正常状態における、意図されない又は望ましくない変化を意味しうる。細胞の正常状態は、細胞傷害性組成物、物質および/または状態に細胞がさらされる前に現れる又は存在する状態を意味しうる。一般に、正常状態にある細胞は恒常性状態の細胞である。細胞の正常状態における、意図されない又は望ましくない変化は、例えば、細胞死(例えば、プログラム細胞死)、複製能の低下、細胞の完全性(例えば、膜の完全性)の低下、代謝活性の低下、発生能力の低下または本出願に開示されている細胞傷害性効果のいずれかの形態で現れうる。
【0062】
「単離(された)」は、核酸がその天然環境から取り出されることを意味する。「精製(された)」は、ある与えられた核酸が、天然状態から取り出されたもの(ゲノムDNAおよびmRNAを含む)なのか、または合成されたもの(cDNAを含む)なのか、および/または実験室条件下で増幅されたものなのかには無関係に、純度において増加していることを意味し、ここで、「純度」は「絶対純度」ではなく、相対的な用語である。しかし、核酸およびタンパク質は希釈剤またはアジュバントと共に製剤化可能であり、尚も、実際の目的には、単離可能であると理解されるべきである。例えば、核酸は、典型的には、細胞内への導入に使用される場合、許容される担体または希釈剤と混合される。
【0063】
本明細書中で用いる「同一性の割合(%)」は、配列をアライメント(整列)させ、必要に応じてギャップを導入して最大同一性(%)を得た後(すなわち、ギャップは、最適なアライメントのために候補配列および参照配列の一方または両方に導入可能であり、比較目的には非相同配列は無視されうる)、参照配列のアミノ酸(または核酸)残基と同一である候補配列のアミノ酸(または核酸)残基の割合(%)を意味する。同一性の割合を決定する目的でのアライメントは、当技術分野の技量の範囲内の種々の方法で、例えば、BLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成されうる。BLASTを使用して試験配列を比較配列とアライメントさせ、比較配列の同じ位置のアミノ酸またはヌクレオチドと同一であるアライメントされた試験配列内のアミノ酸またはヌクレオチドの数を決定し、同一アミノ酸またはヌクレオチドの数を比較配列内のアミノ酸またはヌクレオチドの数で割り算することにより、2つの配列の同一性の割合は計算されうる。
【0064】
本明細書中で用いる「末梢血リンパ球」(PBL)なる語およびその文法的等価体は、血液(例えば、末梢血)中で循環するリンパ球を意味しうる。末梢血リンパ球は、臓器に局在していないリンパ球を意味しうる。末梢血リンパ球はT細胞、NK細胞、B細胞またはそれらの任意の組合せを含みうる。
【0065】
本明細書中で用いる「表現型」なる語およびその文法的等価体は、生物の形態学的特徴、発生、生化学的または生理学的特性、生物季節学、行動および行動の結果のような、生物の観察可能な特徴または形質の複合体を意味しうる。文脈に応じて、「表現型」なる語は、時には、母集団の観察可能な特徴または形質の複合体を意味しうる。
【0066】
本明細書中で用いる「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」はリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味する。この用語は分子の一次構造のみを示す。したがって、この用語は二本鎖DNAおよび一本鎖DNA、三本鎖DNAならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNAを含む。それは、例えばメチル化および/またはキャッピングにより修飾された形態のポリヌクレオチド、ならびに非修飾形態のポリヌクレオチドをも含む。この用語は、天然に存在しないヌクレオチドまたは合成ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含む分子をも含むと意図される。
【0067】
本明細書中で用いる「末梢血リンパ球」(PBL)なる語およびその文法的等価体は、血液(例えば、末梢血)中で循環するリンパ球を意味しうる。末梢血リンパ球は、臓器に局在していないリンパ球を意味しうる。末梢血リンパ球はT細胞、NK細胞、B細胞またはそれらの任意の組合せを含みうる。
【0068】
「ポリペプチド」は「1以上のポリペプチド」および「タンパク質」なる語と互換的に用いられ、アミノ酸残基の重合体を意味する。「成熟タンパク質」は、完全長のタンパク質であって、所定の細胞環境におけるタンパク質に典型的なグリコシル化または他の修飾を含んでいてもよいタンパク質である。
【0069】
核酸および/または核酸配列が「相同」であると言えるのは、それらが、共通の祖先核酸または核酸配列から天然で又は人工的に誘導される場合である。タンパク質および/またはタンパク質配列が相同であると言えるのは、それらのコードDNAが、共通の祖先核酸または核酸配列から天然で又は人工的に誘導される場合である。相同分子はホモログと称されうる。例えば、本明細書に記載されているる天然に存在する任意のタンパク質は、利用可能な任意の突然変異誘発法により修飾されうる。この突然変異誘発された核酸は、発現されると、元の核酸によりコードされるタンパク質と相同なポリペプチドをコードする。相同性は、一般に、2以上の核酸またはタンパク質(またはそれらの配列)の間の配列同一性から推定される。相同性の確立に有用な配列間の同一性の厳密な割合は問題の核酸およびタンパク質によって異なるが、僅か25%の配列同一性が、相同性を確立するために通常用いられる。より高いレベルの配列同一性、例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは99%またはそれ以上の配列同一性も、相同性を確立するために用いられうる。
【0070】
2つの核酸配列またはポリペプチドのアミノ酸配列の場合の「同一」または「配列同一性」なる語は、特定の比較ウィンドウにわたって最大合致が得られるようにアライメントされた場合に同一である、それらの2つの配列における残基に関するものである。1つのクラスの実施形態においては、本明細書におけるポリペプチドは、例えば、デフォルトパラメータを使用してBLASTP(またはCLUSTALもしくは任意の他の利用可能なアライメントソフトウェア)により測定された場合に、参照ポリペプチドまたはその断片と少なくとも80%、85%、90%、98%、99%または100%同一である。同様に、核酸も出発核酸に基づいて記載されうる。例えば、それらは、デフォルトパラメータを使用してBLASTN(またはCLUSTALもしくは任意の他の利用可能なアライメントソフトウェア)により測定された場合に、参照核酸またはその断片と50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、98%、99%または100%同一でありうる。1つの分子が、より大きな分子に対して或る割合の配列同一性を有すると記載されている場合、それは、それらの2つの分子が最適にアライメントされた場合に、それらの2つの分子が最適にアライメントされた順序に従い、小さいほうの分子における前記割合の残基が、大きいほうの分子におけるマッチ(一致)残基において見出されることを意味する。
【0071】
本明細書中で用いる「T細胞」なる語およびその文法的等価体は、任意の起源に由来するT細胞を意味しうる。例えば、T細胞は、初代T細胞、例えば自己T細胞、細胞系などでありうる。また、T細胞はヒトT細胞または非ヒトT細胞でありうる。
【0072】
本明細書中で用いる「TIL」または腫瘍浸潤リンパ球なる語およびその文法的等価体は、腫瘍から単離された細胞を意味しうる。例えば、TILは、腫瘍へ移動した細胞でありうる。TILはまた、腫瘍に浸潤した細胞でありうる。TILは、腫瘍内で見出される任意の細胞でありうる。例えば、TILはT細胞、B細胞、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞またはそれらの任意の組合せでありうる。TILは細胞の混合集団でありうる。TILの集団は種々の表現型の細胞、種々の分化度の細胞、種々の系統の細胞またはそれらの任意の組合せを含みうる。
【0073】
「トランスポゾン」または「転位因子」(TE)は、ゲノム内の自身の位置を変化させるベクターDNA配列であって、時には突然変異を生成または逆転させ、細胞のゲノムサイズを変化させうるものである。転位は、しばしば、TEの複製をもたらす。クラスI TEは2段階でコピーされる。まず、それらはDNAからRNAへと転写され、ついで、生じたRNAはDNAへと逆転写される。このコピーされたDNAはゲノム内の新たな位置に挿入される。該逆転写段階は、TE自体によりコードされうる逆転写酵素により触媒される。レトロトランスポゾンの特徴はHIVのようなレトロウイルスに類似している。クラスII TEのカット・アンド・ペースト(cut-and-paste)転位メカニズムはRNA中間体を含まない。転位は幾つかのトランスポサーゼ酵素により触媒される。DNAにおける任意の標的部位に非特異的に結合するトランスポサーゼもあれば、特異的DNA配列標的に結合するトランスポサーゼもある。トランスポサーゼは、標的部位において、互い違いの(staggered)切断を生成して、一本鎖5’または3’DNAオーバーハング(粘着末端)を生成する。この段階はDNAトランスポゾンを切り出し、ついでこれは新たな標的部位に連結される。この過程は、ギャップを埋めるDNAポリメラーゼの活性と、糖リン酸骨格を閉じるDNAリガーゼの活性とを含む。これは標的部位の複製をもたらす。DNAトランスポゾンの挿入部位は、標的DNAにおける互い違いの切断とDNAポリメラーゼによる埋め合わせ(フィルイン)とにより生成されうる短い直列反復(ダイレクトリピート)、およびそれに続く、トランスポサーゼによるTE切除に重要な一連の逆方向反復により特定されうる。供与部位は既に複製されているが、標的部位は未だ複製されていない、細胞周期のS期において、カット・アンド・ペーストTEの転位が生じると、カット・アンド・ペーストTEが複製されうる。クラスI TEおよびクラスII TEのどちらにおいても、転位は「自律性」または「非自律性」のいずれかとして分類されうる。自律性TEは独力で移動可能であり、一方、非自律性TEは、移動するためには別のTEの存在を要する。これは、多くの場合、非自律性TEがトランスポサーゼ(クラスIIの場合)または逆転写酵素(クラスIの場合)を欠くからである。
【0074】
「トランスポサーゼ」は、トランスポゾンの末端に結合しカット・アンド・ペースト・メカニズムまたは複製転位メカニズムによりゲノムの別の部位へのトランスポゾンの移動を触媒する酵素を意味する。幾つかの実施形態においては、トランスポサーゼの触媒活性は、遺伝子をベクターからゲノムに移動させるために利用されうる。
【0075】
本明細書において開示または想定されている核酸配列およびベクターは「トランスフェクション」、「形質転換」、「ヌクレオフェクション(nucleofection)」または「形質導入」により細胞内に導入されうる。本明細書中で用いる「トランスフェクション」、「形質転換」または「形質導入」は、物理的または化学的方法を用いて1以上の外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入することを意味する。多数のトランスフェクション技術が当技術分野で公知であり、例えば、リン酸カルシウムDNA共沈(例えば、Murray E.J.(編),Methods in Molecular Biology,Vol.7,Gene Transfer and Expression Protocols,Humana Press(1991)を参照されたい)、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション、タングステン粒子促進性微粒子射撃(Johnston,Nature,346:776-777(1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brashら,Mol.Cell Biol.,7:2031-2034(1987))、およびヌクレオフェクション(Trompeterら,J.Immunol.Methods 274:245-256(2003))を包含する。適切なパッケージング細胞(それらの多くは商業的に入手可能である)における感染性粒子の増殖の後、ファージまたはウイルスベクターを宿主細胞内に導入することが可能である。
【0076】
「プロモーター」は、コード配列の転写を開始するポリヌクレオチドの領域を意味する。プロモーターは、DNA上の同じ鎖の上流(センス鎖の5’領域に対して)の、遺伝子の転写開始部位の近くに位置する。細胞におけるあらゆる状況で活性である構成的なプロモーターもあれば、特定の刺激に応答して活性になるように調節されるプロモーター、例えば誘導性プロモーターもある。
【0077】
「プロモーター活性」なる語は、活性が測定されるプロモーターに機能的に連結されたヌクレオチド配列の発現の度合を意味する。プロモーター活性は、例えばノーザンブロット分析により、産生RNA転写物の量を決定することにより直接的に、または、プロモーターに連結されたレポーター核酸配列のような連結核酸配列にコードされる産物の量を決定することにより間接的に測定されうる。
【0078】
本明細書中で用いる「誘導性プロモーター」は、転写調節因子、例えば生物的または非生物的因子の存在または非存在により活性状態へと誘導されるプロモーターを意味する。誘導性プロモーターが有用であるのは、それに機能的に連結された遺伝子の発現が生物の発生の或る段階または特定の組織において可能または不能になりうるからである。誘導性プロモーターの例としては、アルコール調節プロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター、ステロイド調節プロモーター、金属調節プロモーター、病因調節プロモーター、温度調節プロモーターおよび光調節プロモーターが挙げられる。1つの実施形態においては、誘導性プロモーターは遺伝的スイッチの一部である。
【0079】
本明細書中で用いる「エンハンサー」なる語は、例えば、それが機能的に連結されている核酸配列の転写を増強するDNA配列を意味する。エンハンサーは核酸配列のコード領域から数キロベース離れて位置することが可能であり、調節因子の結合、DNAメチル化のパターンまたはDNA構造の変化をもたらしうる。多種多様な起源に由来する多数のエンハンサーが当技術分野でよく知られており、(例えば、ATCCのような寄託機関および他の商業的または個人的な供給源から)クローン化ポリヌクレオチドとして又はクローン化ポリヌクレオチド内で入手可能である。プロモーター(例えば、一般的に使用されるCMVプロモーター)を含む多数のポリヌクレオチドもエンハンサー配列を含む。エンハンサーはコード配列の上流、内部または下流に位置しうる。「Igエンハンサー」なる語は、免疫グロブリン(Ig)遺伝子座内にマッピングされたエンハンサー領域に由来するエンハンサー要素を意味する[そのようなエンハンサーには、例えば、重鎖(ミュー)5’エンハンサー、軽鎖(カッパ)5’エンハンサー、カッパおよびミューイントロンエンハンサー、ならびに3’エンハンサーが含まれる](全般的には、Paul W.E.(編),Fundamental Immunology,3rd Edition,Raven Press,New York(1993),p.353-363;および米国特許第5,885,827号を参照されたい)。
【0080】
本明細書中で用いる「コード配列」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのセグメントを意味する。その領域または配列は、5’末端付近で開始コドンにより、そして3’末端付近で終止コドンにより、境界が定められる。コード配列はオープンリーディングフレームとも称されうる。
【0081】
本明細書中で用いる「機能的に連結(された)」は、DNAセグメントが別のDNAセグメントに物理的および/または機能的に連結されていて、それらのセグメントがそれらの意図される様態で機能するようにされていることを意味する。遺伝子産物をコードするDNA配列が調節配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが、直接的または間接的に該DNA配列の転写の調節を可能にする様態で該調節配列、例えばプロモーター、エンハンサーおよび/またはサイレンサーに連結されている場合である。例えば、DNA配列がプロモーターに機能的に連結されていると言えるのは、それが、転写開始部位に対して適切なリーディングフレームで、該プロモーターの転写開始部位の下流で該プロモーターに連結されており、該DNA配列にわたって転写伸長が進行する場合である。エンハンサーまたはサイレンサーが、遺伝子産物をコードするDNA配列に機能的に連結されていると言えるのは、それが、該DNA配列の転写をそれぞれ増強または低減するように該DNA配列に連結されている場合である。エンハンサーおよびサイレンサーはDNA配列のコード領域の上流に、または下流に、または該コード領域内に埋め込まれて位置しうる。シグナル配列のDNAが、ポリペプチドをコードするDNAに機能的に連結されていると言えるのは、該シグナル配列が、該ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合である。調節配列へのDNA配列の連結は、典型的には、適切な制限部位における、または当業者に公知の制限エンドヌクレアーゼを使用して該配列内に挿入されたアダプターもしくはリンカーを介した連結により達成される。
【0082】
「転写調節因子」なる語は、ある環境条件下でプロモーター駆動性DNA配列の転写を妨げ又は抑制するように作用する生化学的要素(例えば、リプレッサーまたは核抑制性タンパク質)、あるいは、ある環境条件下でプロモーター駆動性DNA配列の転写を許容または刺激するように作用する生化学的要素(例えば、誘導因子またはエンハンサー)を意味する。
【0083】
「誘導」なる語は、転写調節因子によりもたらされる、核酸配列の転写、プロモーター活性および/または発現の、何らかの基底転写レベルに対する増強を意味する。
【0084】
「標的」遺伝子または「異種」遺伝子または「目的の遺伝子(GOI)」は、遺伝子導入により宿主細胞内に導入される遺伝子を意味する。ある場合には、本明細書に記載されているポリペプチド構築物は、操作された細胞において、1以上の異種遺伝子としてコードされる。
【0085】
本明細書中で用いる「リコンビナーゼ」は、定められた複数の部位の間の部位特異的組換えを促進しうる一群の酵素を意味し、ここで、それらの部位は単一DNA分子上で物理的に隔てられており、あるいは、それらの部位は別々のDNA分子上に存在する。定められた組換え部位のDNA配列は必ずしも同一ではない。組換えの開始はタンパク質-DNA相互作用に依存し、該群内には、ファージ組込みおよび切除(例えば、λインテグラーゼ、.φC31)、環状プラスミドの分解(例えば、Tn3、ガンマデルタ、Cre、Flp)、代替遺伝子の発現のためのDNA逆位(例えば、Hin、Gin、Pin)、発生中の遺伝子の集合(例えば、アナベナ(Anabaena)窒素固定遺伝子)および転位(例えば、IS607トランスポゾン)を触媒する多数のタンパク質が存在する。ほとんどの部位特異的リコンビナーゼは、進化的およびメカニズム的な関連性に基づいて、2つのファミリーの1つに分類される。これらはλインテグラーゼファミリーまたはチロシンリコンビナーゼ(例、Cre、Flp、Xer D)およびレゾルバーゼ/インテグラーゼファミリーまたはセリンリコンビナーゼファミリー(例えば、φC31、TP901-1、Tn3、ガンマデルタ)である。
【0086】
「組換え付着部位」は、本明細書に記載されているリコンビナーゼ酵素により認識される特異的ポリヌクレオチド配列である。典型的には、2つの異なる部位が関与し(「相補的部位」と称される)、1つは標的核酸(例えば、真核生物または原核生物の染色体またはエピソーム)に存在し、もう1つは、標的組換え部位に組込まれる核酸上に存在する。本明細書中で用いる「attB」および「attP」なる語は、元々はそれぞれ細菌標的およびファージドナーに由来する付着(または組換え)部位を意味するが、個々の酵素の組換え部位は、異なる名称を有しうる。組換え部位は、典型的には、コアまたはスペーサー領域により隔てられた左アームおよび右アームを含む。したがって、attB組換え部位はBOB’からなり、ここで、BおよびB’は、それぞれ、左アームおよび右アームであり、Oはコア領域である。同様に、attPはPOP’であり、ここで、PおよびP’はアームであり、Oは同様にコア領域である。attB部位とattP部位との間の組換え、および標的における核酸の付随的組込みの後、組込まれたDNAに隣接する組換え部位は「attL」および「attR」と称される。したがって、前記の用語を用いると、attLおよびattR部位は、それぞれ、BOP’およびPOB’からなる。本明細書における幾つかの表現においては、「O」は省略され、例えば、attBおよびattPは、それぞれ、BB’およびPP’と称される。
【0087】
本明細書中で用いる「CRISPR」なる語は、ゲノムDNA内の認識部位にハイブリダイズすることによりカスパーゼのDNA切断を導くガイドRNA、およびCas9のようなカスパーゼを含む、カスパーゼに基づくエンドヌクレアーゼを意味する。
【0088】
本明細書中で用いる「窮迫(distressed)細胞」または「ストレス化細胞」なる語は、疾患状態または障害状態を示す細胞を意味する。窮迫(distress)の発現は、正常または非ストレス状態と比較した場合の細胞機能の任意の変化、例えば、遺伝子の転写または翻訳、転写後または翻訳後の修飾、タンパク質または酵素活性、ポリペプチドのコンホメーション、細胞接着、細胞表面特性、および他の細胞を認識する又は他の細胞により認識される能力の変化を含みうる。幾つかの実施形態においては、窮迫細胞の特定の表現型(例えば、遺伝子発現のパターンの変化)は細胞内異常、例えば遺伝的突然変異に関連している。他の実施形態においては、窮迫細胞の表現型は細胞外環境における異常またはストレッサーに関連している。窮迫細胞の一例は腫瘍細胞である。特定の実施形態においては、窮迫細胞は細胞膜へのRhoBの移行により特徴づけられうる。ある場合には、窮迫細胞は細胞表面上のCD277のJ配置の存在により特徴づけられる。
【0089】
本明細書中で用いる「エピジェネティック変化」または「エピジェネティック修飾」は、DNA配列における変化以外の、DNAの任意の共有または非共有結合修飾を意味する。ある実施形態においては、エピジェネティック変化は1以上の遺伝子の調節および/または発現に影響を及ぼし、または変化させる。エピジェネティック変化は、エピジェネティック修飾の染色体部位に対して比較的近位(例えば、1Mbp以内)にある、またはエピジェネティック修飾の部位に対して遠位(例えば、同じ染色体沿いに1Mbp超離れた又は異なる染色体上)にある遺伝子の調節に影響を及ぼしうると想定される。エピジェネティック変化の非限定的な例には、DNAメチル化およびヒドロキシメチル化、ヒストン修飾、例えばリジンアセチル化、リジンおよびアルギニンメチル化、セリンおよびスレオニンリン酸化、ならびにリジンユビキチン化およびスモイル化、ならびにクロマチン構造の変化が含まれる。
【0090】
1つの態様において提供するのは、γδT細胞を含む組成物でありうる。γδTは、γδT細胞受容体を発現する特殊なT細胞集団でありうる。γδTは、TCRにより確保された特異性と広範な非HLA制限抗腫瘍反応性とを併せ持つものであることが可能であり、そのような特徴は癌免疫療法における新たな道を切り開きうるものである。例えば、腫瘍浸潤性γδT細胞の検出は癌患者における正(positive)の臨床成績に関連づけられている。1つの態様においては、γδT細胞は早期癌免疫監視に関与しうる。1つの態様においては、γδTは機能および受容体発現に関して異種でありうる。1つの態様においては、γδTCRは免疫細胞内に導入されうる。例えば、γδTCRはαβT細胞内に導入されうる。1つの態様においては、γδTCRをαβT細胞のような免疫細胞内に導入することを含む方法は、γδTCRに基づく治療の持続性を改善しうる。1つの態様においては、γδTCRをαβT細胞のような免疫細胞内に導入することを含む方法は、γδTCRに基づく治療用物質の増殖(拡散)を改善しうる。1つの態様においては、γδTCRをαβT細胞のような免疫細胞内に導入することを含む方法は進行癌患者における腫瘍細胞のクローン不均一性を克服することが可能であり、これは、αβTCRに基づくアプローチに対する改善に相当する。1つの態様においては、この改善は、脂質代謝の変化のような、γδTCRの別個のHLA非依存的活性化刺激によるものでありうる。1つの態様においては、γδTCR治療用物質は、低い突然変異荷重を有する癌を含む対象に投与されうる。
【0091】
1つの態様においては、本発明が提供するのは、癌細胞上のCD277のような標的に結合するγδTCR治療用物質でありうる。γδTCR治療用物質の結合は、標的上で発現されたCD277における空間的変化および/またはコンホメーション変化を含みうる。1つの態様においては、結合は直接的な相互作用を意味しうる。1つの態様においては、結合は間接的な相互作用を意味しうる。結合は、CD277の上流に結合する物質を意味しうる。1つの態様においては、CD277の上流に結合する物質は、CD277から約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1ファクター(factor)離れて結合しうる。幾つかの態様においては、CD277のJ配置またはCD277Jと称される、CD277の活性化状態につながる一連の事象は、、TCR依存的γ9δ2T細胞活性化を誘導しうる。
【0092】
1つの態様においては、γ9δ2TCRのCDR3領域における多様性はγ9δ2 T細胞集団内の機能不均一性および追加的な共受容体の発現に寄与しうる。1つの態様においては、γ9δ2 T細胞集団内の機能不均一性は、異なる表現型および転写プロファイルに起因しうる。1つの態様においては、腫瘍細胞に対する多様なγ9δ2T細胞レパートリー内に含まれる異なる活性化閾値のクローンレベルが存在しうる。αβT細胞においてγδTCRを発現させることにより、γ9δ2 T細胞クローンの機能における変動が生じうる。幾つかの態様においては、この変動は、異なるγ9δ2TCRによりもたらされる機能的アビディティと相関しているだけではないかもしれない。1つの態様においては、γ9δ2TCRとCD277Jとの低いアフィニティの相互作用が存在しうる。1つの態様においては、γδTCRのその標的に対する初期スキャンモードが存在しうる。この初期スキャンはCDR3依存的であることが可能であり、γδTCRの他の接触残基を利用しうる。1つの態様においては、スキャンはパミドロネート誘導性接着分子をも利用しうる。スキャンモードの後、CDR3依存的同族体認識を行うことが可能であり、これは、CD277J配置および標的側の可能な追加的膜分子からなるナノクラスターのセンシングを可能にする、シナプス形成中の高密度リクルートメントおよびγ9δ2TCRの膜柔軟性を利用することが可能である。1つの態様においては、TCRは表4における配列に対して約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%の同一性の割合を含みうる。1つの態様においては、γ9δ2は表4における配列に対して約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%の同一性の割合を含みうる。1つの態様においては、γ9δ2は、表3に含まれる配列を使用して、あるいは表3における配列に対して約40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または最大約100%の同一性の割合を含む配列を使用して得られうる。
【0093】
1つの態様においては、ナイーブ臍帯血由来γδT細胞と健常成人の末梢血から単離されたγδT細胞との間のγδTCRレパートリー多様性の比較は、選択されたクロノタイプの優先的増殖を示しうる。1つの態様においては、少数の優勢なクロノタイプへのレパートリーの傾きは或る機能的利益を示唆している可能性がある。1つの態様においては、クロノタイプ頻度とそれぞれのクローンの抗腫瘍機能的潜在能との間に相関性は存在しないかもしれない。1つの態様においては、異なる表現型プロファイルの取得と並行して生じるレパートリー・フォーカシング(focusing)は、選択されたクローンのインビトロ効力ではなく、個体のT細胞抗原刺激履歴を反映したものでありうる。1つの態様においては、γ9δ2TCR以外の他の受容体はγ9δ2T細胞クローンの寛容性の誘導に関与している可能性がある。
【0094】
1つの態様においては、親クローンの環境の外部から得られたγ9δ2TCRは、悪性疾患に非常に効率的に標的化するために使用されうる。1つの態様においては、γ9δ2TCRのアフィニティは、同じバックグラウンドで発現された場合のαβTCRの活性化能の決定因子となりうる。1つの態様においては、親γδT細胞クローンの本質的能力と相関しない可能性があるγ9δ2TCR媒介性機能的アビディティにより測定された場合、活性化能における本質的な差異が存在しうる。
【0095】
1つの態様においては、γ9δ2TCRのアフィニティは、αβTCRのものより一層低い範囲でありうる。例えば、ビーズ表面に104個を超えるγ9δ2TCRを含有するYGビーズのサイズへの漸増価数のγ9δ2TCR多量体にのみ結合する検出可能なTCRを達成することにより行われうる。1つの態様においては、十分な相互作用アビディティが得られたら、個々のγ9δ2TCRの間の結合アフィニティの差が有意となりうる。1つの態様においては、細胞外CD277ドメインとγ9δ2TCRとの間の直接的な相互作用が生じうる。
【0096】
1つの態様においては、CD277は空間的変化およびコンホメーション変化を受けうる。1つの態様においては、γ9δ2TCRはCD277との流体細胞膜相互作用に関与することが可能であり、これは、より高い局所密度を生成し、細胞間相互作用を安定化しうる。1つの態様においては、癌細胞のパミドロネート刺激は癌細胞上の接着分子のアップレギュレーションをもたらして、細胞間接触を増強し、シナプスを安定化させ、結果としてアビディティを安定化させうる。1つの態様においては、γ9δ2TCRのCDR3領域はCD277発現癌細胞のシナプスへのリクルートメントに関与しうる。1つの態様においては、本発明が提供する物質はCD277における空間的変化およびコンホメーション変化を直接的または間接的に誘発しうる。
【0097】
1つの態様においては、BTN3A1のクラスターサイズの増加およびクラスター密度の低下が生じうる。1つの態様においては、クラスター密度の変化はBTN3Aクラスター内の追加的タンパク質のための大部分のスペースを生成する。1つの態様においては、クラスター表面の約10%、20%、30%、40%、50%、60%またはそれ以上がBTN3A二量体により占有されうる。1つの態様においては、CD277シナプスに移動する追加的因子の関与、およびRhoBを介して調整されるCD277のコンホメーション変化が生じうる。
【0098】
1つの態様においては、γ9δ2T細胞の機能的多様性および「レパートリー・フォーカシング」が生じうる。ベクター。
【0099】
直接的に又は1以上の追加的な生物学的因子を介して間接的にCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドは、本明細書に記載されているベクター内に組込まれうる。「発現ベクター」または「ベクター」は、細胞内のポリヌクレオチド複製の自律的単位として挙動する(すなわち、それ自身の制御下で複製可能である)または細胞染色体内への挿入により複製可能にされる任意の遺伝的要素、例えばプラスミド、染色体、ウイルス、トランスポゾンであり、それに別のポリヌクレオチドセグメントを結合させて、該結合セグメントの複製および/または発現を引き起こさせる。適切なベクターには、プラスミド、トランスポゾン、バクテリオファージおよびコスミドが含まれるが、これらに限定されるものではない。ベクターは、ベクターの連結または所望の宿主細胞へのベクターの挿入を行うのに、および結合セグメントの発現をもたらのに必要なポリヌクレオチド配列を含有しうる。そのような配列は宿主生物によって異なる。それらには、転写をもたらすプロモーター配列、転写を増強するエンハンサー配列、リボソーム結合部位配列、ならびに転写および翻訳終結配列が含まれる。あるいは、発現ベクターは、宿主細胞DNA配列内へのベクターの連結または組込みを伴うことなく、それにおいてコードされる核酸配列産物を直接発現することが可能でありうる。
【0100】
ベクターは「選択マーカー遺伝子」をも含みうる。本明細書中で用いる「選択マーカー遺伝子」なる語は、核酸配列を発現する細胞が対応選択因子の存在下で特異的に選択されることを可能にする核酸配列を意味する。適切な選択マーカー遺伝子は当技術分野で公知であり、例えば以下のものに記載されている:国際特許出願公開WO 1992/08796およびWO 1994/28143;Wiglerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:3567(1980);O’Hareら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:1527(1981);Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:2072(1981);Colberre-Garapinら,J.Mol.Biol.,150:1(1981);Santerreら,Gene,30:147(1984);Kentら,Science,237:901-903(1987);Wiglerら,Cell,11:223(1977);Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,48:2026(1962);Lowyら,Cell,22:817(1980);ならびに米国特許第5,122,464号および第5,770,359号。
【0101】
幾つかの実施形態においては、ベクターは「エピソーム発現ベクター」または「エピソーム」であり、これは宿主細胞内で複製可能であり、適切な選択圧の存在下、宿主細胞内のDNAの染色体外セグメントとして存続する(例えば、Coneseら,Gene Therapy,11:1735-1742(2004)を参照されたい)。代表的な商業的に入手可能なエピソーム発現ベクターには、エプスタインバー核抗原1(EBNA1)およびエプスタインバーウイルス(EBV)複製起点(oriP)を利用するエピソームプラスミドが含まれるが、これらに限定されるものではない。Invitrogen(Carlsbad,Calif.)のベクターpREP4、pCEP4、pREP7およびpcDNA3.1およびStratagene(La Jolla,Calif.)のpBK-CMVは、EBNA1およびoriPの代わりにT抗原およびSV40複製起点を使用するエピソームベクターの非限定的な例である。
【0102】
ベクター修飾
本明細書に記載されている方法および組成物に有用なポリヌクレオチドベクターは優良医薬品製造基準(GMP)適合ベクターでありうる。例えば、GMPベクターは非GMPベクターより高純度でありうる。幾つかの場合には、純度はバイオバーデンにより測定されうる。例えば、バイオバーデンはベクター組成物中の好気性菌、嫌気性菌、胞子形成菌、真菌またはそれらの組合せの存在または非存在でありうる。幾つかの場合には、純粋なベクターは低エンドトキシンまたは無エンドトキシンでありうる。純度は二本鎖プライマーウォーキング配列決定によっても測定されうる。プラスミド同一性に基づいてベクターの純度が決定されうる。本発明のGMPベクターは非GMPベクターより10%~99%高い純度を有しうる。GMPベクターは、バイオバーデン、エンドトキシンの存在、配列決定またはそれらの組合せにより測定された場合、非GMPベクターより10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%高い純度を有しうる。
【0103】
幾つかの場合には、第1の遺伝子プログラムの末端におけるターミネーター配列が使用される。ターミネーター配列は、第2の遺伝子プログラムを開始する前に転写産物が終結していることを保証しうる。例えば、発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含有しうる。そのような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’および場合によっては3’非翻訳領域から一般に入手可能である。これらの領域は、mRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有しうる。発現ベクターを含む細胞は、インビボまたはインビトロのいずれかで、所望のポリペプチドの発現をもたらす条件下で増殖される。
【0104】
幾つかの場合には、スペーサー配列は、ベクター内のポリヌクレオチドによりコードされる第1ポリペプチドの末端において使用されうる。他の場合には、スペーサー配列はベクター内の第2遺伝子の末端において使用されうる。スペーサー配列はベクター内の第1遺伝子および第2遺伝子の後でも使用されうる。
【0105】
これらのベクターは、遺伝子により、または目的の遺伝子の一部によりコードされるポリペプチドを発現させるために使用されうる。一部の遺伝子または遺伝子は、ウイルス使用またはウイルス不使用の任意の方法を用いて挿入されうる。例えば、方法は、ウイルスに基づかない技術でありうる。
【0106】
リンカー
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドにおいて、ポリヌクレオチドリンカーが使用されうる。ポリヌクレオチドリンカーは、本明細書に記載されているポリヌクレオチドを含むベクターと適合する末端構造を得るために付加されうる所望の制限部位を含有するDNAの二本鎖セグメントでありうる。幾つかの場合には、ポリヌクレオチドリンカーは、本明細書に記載されているポリヌクレオチドを含むベクターを修飾するのに有用でありうる。例えば、ポリヌクレオチドリンカーを含むベクター修飾はマルチクローニング部位における変化またはポリヒスチジンテールの付加でありうる。ポリヌクレオチドリンカーは、付着末端を有する制限酵素切断ベクターへのクローニングのために、平滑インサートDNAの末端を適合させるためにも使用されうる。ポリヌクレオチドリンカーの使用はベクター内への平滑連結より効率的であり、下流用途におけるベクターからのインサートの遊離のための方法を提供しうる。幾つかの場合には、インサートは、治療用途に有用なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列でありうる。
【0107】
ポリヌクレオチドリンカーはオリゴマーでありうる。ポリヌクレオチドリンカーはDNA二本鎖、一本鎖またはそれらの組合せでありうる。幾つかの場合には、リンカーはRNAでありうる。ポリヌクレオチドリンカーは、幾つかの場合にはT4リガーゼにより、本明細書に記載されているポリヌクレオチドを含むベクターに連結されうる。連結を促進するために、インサートとベクターとを含む組成物に過剰のポリヌクレオチドリンカーが加えられうる。幾つかの場合には、インサートおよびベクターを前処理した後、リンカーを導入する。例えば、メチラーゼによる前処理はインサートDNAの望ましくない切断を予防しうる。
【0108】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているポリヌクレオチドにおいてはリンカーが使用されうる。リンカーは柔軟なリンカー、剛性のリンカー、インビボで切断可能なリンカー、またはそれらの任意の組合せでありうる。幾つかの場合には、リンカーは(柔軟なリンカーおよび剛性のリンカーの場合のように)機能的ドメインを互いに連結し、または、インビボで切断可能なリンカーの場合のように、遊離性機能的ドメインをインビボで遊離しうる。
【0109】
リンカーは生物活性を改善し、発現収率を増加させ、望ましい薬物動態プロファイルを達成しうる。リンカーはヒドラゾン、ペプチド、ジスルフィドまたはチオエステルをも含みうる。
【0110】
幾つかの場合には、本明細書に記載されているリンカー配列は柔軟なリンカーを含みうる。柔軟なリンカーは、結合されるドメインが或る程度の移動または相互作用を要する場合に適用されうる。柔軟なリンカーは小さな無極性(例えば、Gly)または極性(例えば、SerまたはThr)アミノ酸から構成されうる。柔軟なリンカーは、主にGlyおよびSer残基の伸長からなる配列を有しうる(「GS」リンカー)。柔軟なリンカーの一例は(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)n(配列番号1)の配列を有しうる。コピー数「n」を調節することにより、この例示的なGSリンカーの長さを最適化して、機能的ドメインの適切な分離を達成し、または必要なドメイン間相互作用を維持することが可能である。GSリンカーに加えて、他の柔軟なリンカーも組換え融合タンパク質に使用されうる。幾つかの場合には、柔軟なリンカーはGlyおよびSerのような小さな又は極性のアミノ酸をも豊富に含みうるが、柔軟性を維持するためにThrおよびAlaのような追加的なアミノ酸を含有しうる。他の場合には、溶解性を改善するために、LysおよびGluのような極性アミノ酸が使用されうる。
【0111】
CD277のJ配置
本明細書においては、「CD277」は、本明細書に記載されている操作された細胞のリン酸化抗原誘導性活性化における鍵分子である膜発現タンパク質ブチロフィリンBTN3A1を意味する。CD277タンパク質は、例えば本出願の
図11に示されているとおり、複数の立体配置(「配置」)をとりうる細胞表面タンパク質である。GTP結合RhoBが、CD277のB30.2ドメイン近位連結領域に結合する形質膜における細胞骨格捕捉を促進することにより、CD277の空間的再分布を促進すると、CD277のJ配置またはJコンファメーションが促進される。GTP結合RhoBの解離とCD277のB30.2ドメインへの細胞内リン酸化抗原(pAG)の対応結合とが、本明細書においてCD277のJ配置と称される、CD277の細胞外領域のコンホメーション変化を誘発する。J配置は腫瘍細胞および他の窮迫細胞において特徴的に観察され、この場合、代謝変化が或るストレス分子の発現を引き起こして、腫瘍細胞または窮迫細胞内のRhoBの移行をもたらし、最終的にはCD277のJ配置の形成を引き起こしうる。本明細書においては、いずれかの関連特許および/または特許出願の場合と同様に、「J配置」、「Jコンホメーション」および「Jコンファメーション」なる語は互換的に用いられる。
【0112】
ある実施形態においては、本発明は、そのような腫瘍細胞および窮迫細胞の表面上のCD277のJ配置に特異的に結合するポリペプチド構築物を含む方法および組成物を提供する。ある実施形態においては、本明細書に記載されているポリペプチド構築物はガンマデルタTCRまたはその断片を含む。ある実施形態においては、本明細書に記載されているポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド、および該ポリヌクレオチドをコードするベクターを提供する。幾つかの場合には、本明細書に記載されているポリペプチド構築物をコードする操作された細胞を提供する。
【0113】
ポリペプチド構築物
幾つかの態様においては、本発明は、ポリペプチド構築物を含む医薬組成物を提供し、ここで、ポリペプチド構築物は標的細胞上のCD277のJ配置と特異的に相互作用する。ある実施形態においては、ポリペプチド構築物は、操作された細胞上で発現される。幾つかの実施形態においては、CD277はヒトCD277である。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物は、CD277の前記J配置に、CD277の他の配置より少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%高い選択性で結合する。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物は、CD277のJ配置に、CD277の他の配置と比較して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍または8倍のアフィニティで結合する。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、CD277のJ配置へのCD277のコンホメーション変化の際にCD277に結合し、このコンホメーション変化は、細胞膜へのRhoB-GTPアーゼの移行の際のCD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用により誘発される。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、CD277がRhoB GTPアーゼと相互作用した後に、CD277に結合する。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、CD277がリン酸化抗原と相互作用している際に、CD277に結合する。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、CD277がリン酸化抗原と相互作用している際、かつ、CD277がRhoB GTPアーゼと相互作用した後に、CD277に結合する。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、RhoB GTPアーゼが標的細胞の細胞膜に局在化している場合に、CD277に結合する。幾つかの態様においては、ポリペプチド構築物は、RhoB GTPアーゼが標的細胞の核から離れて局在化している場合に、CD277に結合する。
【0114】
CD277のJ配置に関して本明細書に記載されてるポリペプチド構築物の選択性またはアフィニティは当業者に公知の任意の方法により決定されうる。例えば、CD277-ポリペプチド構築物複合体形成の存在、およびCD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合の度合または強度を検出するために、リガンド結合アッセイが用いられうる。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物とCD277のJ配置との結合のアフィニティを決定するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が用いられる。FRETは、典型的には接近して配置された1組の感光性分子(例えば、フルオロフォア)間のエネルギー移動を検出し測定しうる。一方の感光性分子であるドナー分子(例えば、ドナーフルオロフォア)は最初は電子励起状態で存在し、他方の感光性分子であるアクセプター分子(例えば、アクセプターフルオロフォア)にエネルギーを移動させうる。ドナーからアクセプターへのエネルギー移動は、例えば、双極子-双極子カップリングによるものでありうる。アクセプター分子からドナー分子に移動したエネルギーの測定を行って、アクセプターとドナーとの間の距離を推定することが可能であり、これは、エネルギー移動の効率(すなわち、FRET効率)がドナーとアクセプターとの間の距離の6乗に反比例することに基づいている。FRETの測定は、例えば、蛍光検出顕微鏡(例えば、共焦点顕微鏡)または蛍光感受性細胞選別(例えば、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別)によるものでありうる。FRETを使用する蛍光の定量は、増感発光、アクセプター光退色、蛍光寿命イメージング顕微鏡法(FLIM)FRET、スペクトルイメージングならびに/またはホモFRETおよび偏光異方性イメージングを含む多数の技術の任意の1以上によるものでありうる。幾つかの実施形態においては、ドナーおよびアクセプターフルオロフォアを使用して、FRETを行う。幾つかの実施形態においては、細胞表面上の抗原に特異的な1以上の蛍光標識抗体を使用して、FRETを行う。幾つかの実施形態においては、形質膜のような疎水性細胞成分に結合しうる、疎水性である1以上の蛍光標識色素を使用して、FRETを行う。幾つかの実施形態においては、1以上の蛍光標識抗体と1以上の疎水性蛍光色素との組合せを使用して、FRETを行う。幾つかの実施形態においては、CD277タンパク質上のエピトープに特異的な蛍光標識抗体と組合せて、蛍光脂質コンジュゲートBODIPY FLを使用する。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているポリペプチド構築物の、CD277に対する選択性を検出するために、他のリガンド結合アッセイを、単独で、またはFRETと組合せて使用する。本発明において想定されるリガンド結合アッセイの非限定的な例には、蛍光に基づく他の方法、例えば、蛍光偏光、表面プラズモン共鳴を用いる細胞表面成分からの光反射角の変化の検出、放射能に基づくリガンドアッセイ、ならびに抗体標識細胞表面成分の免疫沈降およびそれに続く構造解析が含まれる。
【0115】
幾つかの実施形態においては、本明細書に開示されているポリペプチド構築物は細胞において発現される。幾つかの実施形態においては、前記ポリペプチド構築物は、細胞の細胞膜上で発現される。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は細胞と相互作用しうる。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は細胞の細胞表面タンパク質により結合されうる。幾つかの実施形態においては、細胞は細胞傷害性細胞である。細胞傷害性細胞の非限定的な例には、T細胞、T細胞受容体の少なくとも機能的部分(例えば、免疫活性を伝達するもの)を発現する細胞、およびナチュラルキラー細胞が含まれる。幾つかの実施形態においては、細胞はT細胞受容体を発現する。幾つかの実施形態においては、細胞はT細胞受容体の少なくとも一部分を発現し、ここで、該部分はT細胞機能(例えば、免疫調節)を有する。幾つかの実施形態においては、細胞は、T細胞受容体の少なくとも1つの鎖を発現するように操作されており、または遺伝的に修飾されている。前記の少なくとも1つの鎖はγ-T細胞受容体鎖でありうる。前記の少なくとも1つの鎖はδ-T細胞受容体鎖またはその断片でありうる。前記の少なくとも1つの鎖はγ9-T細胞受容体鎖またはその断片でありうる。前記の少なくとも1つの鎖はδ2-T細胞受容体鎖またはその断片でありうる。したがって、幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、少なくとも1つの鎖またはその断片(例えば、γ-T細胞受容体鎖またはその断片、δ-T細胞受容体鎖またはその断片、γ9-T細胞受容体鎖またはその断片、またはδ2-T細胞受容体鎖またはその断片)を有するTCRである。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、2以上の鎖を有するTCR(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)でありうる。
【0116】
幾つかの実施形態においては、本明細書に開示されているポリペプチド構築物は細胞によって発現されない。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は合成物である(例えば、細胞によって産生されない)。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はインビトロで産生される。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、本明細書に開示されている標的細胞および細胞傷害性細胞に結合しうる。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、本明細書に開示されている標的細胞および細胞傷害性細胞に結合可能であり、それにより、細胞傷害性細胞が標的細胞に対して細胞傷害性となるのに十分な程度に、標的細胞を細胞傷害性細胞の近傍に配置する。
【0117】
本明細書に開示されているポリペプチドおよびタンパク質(その機能的部分および機能的変異体を含む)は1以上の天然アミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含みうる。そのような合成アミノ酸は当技術分野で公知であり、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノ n-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-およびトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリンβ-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニンおよびα-tert-ブチルグリシンを包含する。
【0118】
本明細書中で用いる「抗体」はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を意味する。全抗体は、典型的には、4つのポリペプチド、すなわち、重(H)鎖ポリペプチドの2つの同一コピーおよび軽(L)鎖ポリペプチドの2つの同一コピーからなる。重鎖のそれぞれは1つのN末端可変(VH)領域および3つのC末端定常(CH1、CH2およびCH3)領域を含有し、各軽鎖は1つのN末端可変(VL)領域および1つのC末端定常(CL)領域を含有する。軽鎖および重鎖の各ペアの可変領域は抗体の抗原結合部位を形成する。VH領域およびVL領域は類似した一般的構造を有し、各領域は4つのフレームワーク領域を含有し、それらの配列は比較的保存されている。フレームワーク領域は3つの相補性決定領域(CDR)により連結されている。CDR1、CDR2およびCDR3として公知の3つのCDRは、抗原結合をもたらす、抗体の「超可変領域」を形成する。
【0119】
「抗原認識部分またはドメイン」は、抗原に特異的に結合する分子または分子の一部分を意味する。1つの実施形態においては、抗原認識部分は抗体、抗体様分子またはその断片であり、抗原は腫瘍抗原である。
【0120】
「抗体様分子」は、例えば、相手に選択的に結合しうるIgスーパーファミリーのメンバーであるタンパク質でありうる。MHC分子およびT細胞受容体はそのような分子である。1つの実施形態においては、抗体様分子はTCRである。
【0121】
「抗体のフラグメント」、「抗体フラグメント」、「抗体の機能的フラグメント」および「抗原結合性部分」は本明細書においては互換的に用いられ、抗原に特異的に結合する能力を保有する、抗体のフラグメントまたは部分の1以上を意味する(全般的には、Holligerら,Nat.Biotech.,23(9):1126-1129(2005)を参照されたい)。抗体フラグメントは、望ましくは、例えば、1以上のCDR、可変領域(またはその一部)、定常領域(またはその一部)またはそれらの組合せを含む。抗体フラグメントの例には以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価断片であるFabフラグメント;(ii)ストーク(stalk)領域においてジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)2つのドメインが単一ポリペプチド鎖として合成されることを可能にする合成リンカーにより連結されたFvフラグメントの2つのドメイン(すなわち、VLおよびVH)からなる1価分子である一本鎖Fv(scFv)(例えば、Birdら,Science,242:423-426(1988);Hustonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879-5883(1988);およびOsbournら,Nat.Biotechnol.,16:778(1998)を参照されたい);および(v)ポリペプチド鎖の二量体であるジアボディ;ここで、各ポリペプチド鎖は、ペプチドリンカーによりVLに連結されたVHを含み、該ペプチドリンカーは、同一ポリペプチド鎖上でVHとVLとのペア形成を可能にするには短すぎるため、異なるVH-VLポリペプチド鎖上の相補的ドメイン間のペア形成を導いて、2つの機能的抗原結合部位を有する二量体分子を与える。抗体フラグメントは当技術分野で公知であり、例えば米国特許第8,603,950号に更に詳細に記載されている。
【0122】
操作されたT細胞受容体(TCR)
幾つかの実施形態においては、CD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物はT細胞受容体(TCR)、操作されたTCRまたはその断片を含む。幾つかの実施形態においては、T細胞受容体(TCR)は、T細胞の表面上でペア形成してヘテロ二量体受容体を形成する2つの鎖(αβまたはγδ)から構成される。αβTCRは体内のほとんどのT細胞で発現され、特異的MHC制限抗原の認識に関与することが公知である。それぞれのαおよびβ鎖は2つのドメインから構成され、すなわち、タンパク質を細胞膜に固定しCD3シグナル伝達装置の不変サブユニットに結合する定常ドメイン(C)と、相補性決定領域(CDR)と称される6つのループにより抗原認識をもたらす可変ドメイン(V)とから構成される。Vドメインのそれぞれは3つのCDR、例えばCDR1、CDR2およびCDR3を含むことが可能であり、CDR3を超可変領域として含有する。これらのCDRは、主要組織適合複合体(pepMHC)(例:HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRAまたはHLA-DRB1複合体)によりコードされるタンパク質に結合した抗原ペプチドの間で形成された複合体と相互作用する。幾つかの場合には、定常ドメインは、定常ドメインを可変ドメインに連結する連結領域を更に含む。幾つかの場合には、ベータ鎖は、結合領域の一部を構成する短い多様性領域を更に含む。
【0123】
幾つかの場合には、そのようなTCRは、特定の腫瘍抗原、例えばNY-ESO、Mage A3、Titinに対して反応性である。他の場合には、そのようなTCRは、患者の腫瘍内で発現される特定のネオ抗原(すなわち、腫瘍により発現される患者特異的、体細胞性、非同義突然変異)に対して反応性である。幾つかの場合には、操作されたTCRは、アフィニティが増強されうる。
【0124】
幾つかの実施形態においては、TCRは、国際免疫遺伝学(IMGT)TCR命名法を用いて示され、TCR配列のIMGT公共データベースにリンクする。例えば、フレームワーク、CDR1、CDR2およびCDR3配列により区別される幾つかのタイプのアルファ鎖可変(Vα)領域および幾つかのタイプのベータ鎖可変(Vβ)領域が存在しうる。したがって、IMGT命名法では、Vαタイプは特有(ユニーク)のTRAV番号により言及されうる。例えば、「TRAV21」は、特有のフレームワークならびにCDR1およびCDR2配列と、TCR間で保存されたアミノ酸配列により部分的に定められるがTCR間で変動するアミノ酸配列をも含むCDR3配列とを有するTCR Vα領域を定める。同様に、「TRBV5-1」は、唯一のフレームワークならびにCDR1およびCDR2配列を有するTCR Vβ領域を定めるが、CDR3配列は部分的に定められているに過ぎない。
【0125】
幾つかの場合には、ベータ鎖多様性領域はIMGT命名法ではTRBDなる略語により言及される。
【0126】
幾つかの場合には、IMGT命名法により定められる特有の配列は広く知られており、TCR分野の当業者には理解されうる。例えば、それらはIMGT公共データベースおよび“T cell Receptor Factsbook”,(2001)LeFranc and LeFranc,Academic Press,ISBN 0-12-441352-8において見出されうる。
【0127】
幾つかの態様においては、αβヘテロ二量体TCRは、例えば、細胞質ドメインと膜貫通ドメインとの両方を有する完全長鎖としてトランスフェクトされる。幾つかの場合には、TCRは、例えばWO 2006/000830に記載されているとおり、それぞれの定常ドメインの残基間に、導入されたジスルフィド結合を含有する。
【0128】
幾つかの場合には、本明細書に記載されているTCRは一本鎖形態である。例えば、WO 2004/033685を参照されたい。一本鎖形態には、Vα-L-Vβ、Vβ-L-Vα、Vα-Cα-L-Vβ、Vα-L-Vβ-Cβ、Vα-Cα-L-Vβ-Cβタイプのαβ TCRポリペプチドが含まれ、ここで、VαおよびVβは、それぞれ、TCRαおよびβ可変領域であり、CαおよびCβは、それぞれ、TCRαおよびβ定常領域であり、Lはリンカー配列である。ある実施形態においては、本開示の一本鎖TCRは、WO 2004/033685に記載されているとおり、それぞれの定常ドメインの残基間に、導入されたジスルフィド結合を有しうる。
【0129】
αβTCRとは対照的に、γδTCRは1つのγ鎖および1つのδ鎖から構成される。γδT細胞は、αβT細胞より遥かに少量しか体内に存在しないが、強力な抗腫瘍エフェクター機能と、広範に発現される腫瘍関連分子の認識とを併せ持ち、したがって、癌免疫療法における臨床応用の有力な候補である。γδT細胞の大部分はMHC非依存的に活性化され、抗原プロセシングを要さず、これはMHC制限αβT細胞とは対照的である。その代わりに、γδT細胞は抗原提示細胞との細胞間接触に依存し、無傷タンパク質または非ペプチド化合物の形態の抗原を直接的に認識する。この相互作用では、可変領域のCDR3ドメインが特に重要である。この相互作用では、可変領域のCDR3ドメインが特に重要である。γδTCRの可変領域(V)および定常(C)領域の配向は、αβTCRまたは抗体と比較して独特であり、VγドメインとCγドメインと間の小さな角度から生じる。γδTCR Vドメインの構造はαβTCRのものに類似しているが、γδTCR Cドメインは顕著に異なる。CγおよびCδ(それらの間のジスルフィド結合の位置を含む)における構造的差異は、αβTCRとは異なる認識/シグナル伝達複合体をγδTCRが形成することを可能にしうる(Allisonら,“Structure of a human γδ T-cell antigen receptor,”Nature,411:820-824)。標的細胞上のTCR媒介性抗原認識によるγδT細胞の活性化はサイトカインおよびケモカインの産生ならびに標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の細胞溶解をもたらしうる。
【0130】
ヒト末梢血における主要γδT細胞サブセットであるVγ9Vδ2T細胞は、Vγ9およびVδ2鎖から構成されるγδTCRを発現し、哺乳類メバロン酸経路の中間体、例えばイソペンテニルピロリン酸(IPP)、または微生物2-C-メチル-D-エリトリトール 4-リン酸(MEP)経路の中間体によって特異的に活性化される。細胞内リン酸化抗原(pAg)レベルは、メバロン酸経路の調節不全により、または微生物感染の際に腫瘍細胞において上昇して、Vγ9Vδ2細胞による形質転換細胞または感染細胞の標的化を可能にする。同様に、メバロン酸経路インヒビター、例えばアミノビスホスホネート(ABP)で細胞を処理し、それによりVγ9Vδ2 T細胞による認識に対して細胞を感作することにより、細胞内pAgレベルを薬学的に上昇させることが可能である。
【0131】
幾つかの実施形態においては、Vγ9Vδ2T細胞により内因的に発現されるTCRは、1以上のVγ9Vδ2 TCRを発現することによりαβT細胞を再プログラミングするように操作されたαβT細胞において発現されうる。例えば、1つの定められたVγ9Vδ2 TCRを発現するように操作されたCD4+ αβT細胞を使用して、T細胞認識に重要なタンパク質に関して腫瘍細胞を機能的にスクリーニングして、多様なγδTCRレパートリーによる認識における変動を排除することが可能である。
【0132】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているVγ9Vδ2 TCRは、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)により発現されるCD277(BTN3A1)タンパク質を認識する。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているVγ9Vδ2 TCRは、標的細胞の表面上で発現されるCD277タンパク質のJ配置を含むエピトープを認識する。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されているVγ9Vδ2 TCRは、標的細胞の表面上で発現されるCD277タンパク質のJ配置に限定されたエピトープを認識する。
【0133】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている医薬組成物は、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の細胞表面上のCD277タンパク質を認識しうるγ-TCRアミノ酸配列またはδ-TCRアミノ酸配列の少なくとも1つを含むVγ9Vδ2 TCRを含むポリペプチド構築物を含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物は、標的細胞の細胞表面上のCD277タンパク質を認識しうるγ-TCRアミノ酸配列またはδ-TCRアミノ酸配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む。本開示は、CD277細胞表面分子を介して標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を認識しうるγδTCRの任意の部分または断片または変異体を含むポリペプチド構築物を想定している。幾つかの態様において、ポリペプチド構築物はCγまたはCδ領域の少なくとも一部およびγδTCRのVγまたはVδ領域の少なくとも一部を含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はCγまたはCδ領域の少なくとも一部およびγδTCRのVγまたはVδドメインの少なくともCDR3ドメインを含む。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物はVγ9Vδ2 TCRの全CDR領域を含み、該CDR領域の全ては標的細胞の表面上の細胞表面分子(例えば、CD277分子)への結合に関与しうる(例えば、Wangら,“V{gamma}2V{delta}2 T cell receptor recognition of prenyl pyrophosphates is dependent on all CDRs,”J Immunol,184,6209-6222(2010)を参照されたい)。
【0134】
本明細書に記載されているTCRは、検出可能な標識、治療用物質またはPK修飾部分に結合されうる。
【0135】
診断目的のための例示的な検出可能な標識には、蛍光標識、放射能標識、酵素、核酸プローブおよびコントラスト試薬が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
エフェクター細胞
本明細書に開示されているポリペプチド構築物をコードする1以上の遺伝子または異種遺伝子を発現するように修飾されたエフェクター細胞を提供し、ここで、該ポリペプチド構築物はCD277のJ配置に選択的に結合する。
【0137】
「αβT細胞」または「アルファベータT細胞」は、種々の細胞の表面上で発現されるMHC分子(主要組織適合複合体)に結合したペプチドを認識するαβTCRを発現するTリンパ球の機能に関して定義されうる。MHCは、細胞のタンパク質に由来するペプチドを提示する。例えば、細胞がウイルスに感染すると、MHCはウイルスペプチドを提示し、αβTCRとMHC複合体との相互作用が特定のタイプのT細胞を活性化し、これは、感染細胞を排除する免疫応答を始動させる。したがって、αβT細胞は、MHC分子に結合したペプチドを認識しうる細胞として機能的に定義されうる。αβT細胞は、例えば後記のようなαβT細胞受容体に特異的な抗体(例えば、ヒトαβTCRに特異的なBW242抗体)を使用して特定されうる。T細胞の大部分はαβTCRを有するため、αβT細胞は、例えばCD3抗原を介して末梢血から選択されうる。そのような選択はγδT細胞をも含むであろう。そのような選択された細胞から、αT細胞受容体鎖およびβT細胞受容体鎖に対応する核酸(またはアミノ酸)配列が決定されうる。したがって、αβT細胞は、αT細胞受容体鎖および/またはβT細胞受容体鎖に対応する核酸(またはアミノ酸)配列を含む細胞としても定義されうる。
【0138】
「γδT細胞」または「ガンマデルタT細胞」は、それらの活性化を誘発する抗原分子がほとんど知られていないT細胞の小さなサブセットを表す。ガンマデルタT細胞は、それがTCR遺伝子を再構成して接合部多様性を生み出し記憶表現型を発生させるという点で、適応免疫の成分とみなされうる。しかし、また、制限されたTCRがパターン認識受容体として使用される場合、種々のサブセットが自然免疫の一部とみなされうる。γδT細胞は、γδT細胞受容体に特異的な抗体を使用して特定されうる。FACSに適した抗体は広く入手可能である。陰性および/または陽性細胞の選択を可能にする、抗体製造業者により提供されるような条件が選択される。適切でありうる抗体の具体例は、BD Pharmingen(BD,1 Becton Drive,Franklin Lakes,NJ USA)、TCR-APC(クローンB1,#555718)から入手可能であり、あるいはBeckman Coulter,pan-TCR-PE(クローンI MMU510,#I M1418U)から入手可能である。また、そのような選択された細胞から、γT細胞受容体鎖および/またはδT細胞受容体鎖に対応する核酸(またはアミノ酸配列)配列が決定されうる。したがって、γδT細胞は、γT細胞受容体鎖に対応する核酸(またはアミノ酸)配列を含む細胞としても定義されうる。
【0139】
1つの態様においては、本明細書に開示されている組成物は細胞を利用することが可能である。細胞は初代細胞でありうる。細胞は組換え細胞でありうる。細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む多数の非限定的な供給源から入手可能である。例えば、任意のT細胞系が使用されうる。あるいは、細胞は、健常ドナー、癌と診断された患者、または感染症と診断された患者に由来しうる。もう1つの実施形態においては、細胞は、異なる表現型特性を示す細胞の混合集団の一部でありうる。細胞は細胞治療バンクからも入手可能である。免疫抑制治療に耐性である破壊細胞が入手可能である。望ましい細胞集団は修飾前にも選択されうる。選択は磁気分離、フローサイトメトリー選択、抗生物質選択の少なくとも1つを含みうる。前記の1以上の細胞は、任意の血液細胞、例えば末梢血単核細胞(PBMC)、リンパ球、単球またはマクロファージでありうる。前記の1以上の細胞は任意の免疫細胞、例えばリンパ球、B細胞またはT細胞である。細胞はホールフード、アフェレーシス、または対象の腫瘍サンプルからも入手可能である。細胞は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)でありうる。幾つかの場合には、アフェレーシスは白血球アフェレーシスでありうる。白血球アフェレーシスは、血液から血液細胞を単離する操作である。白血球アフェレーシス中に、対象の腕における針から血液を取り出し、赤血球、血漿およびリンパ球に全血を分離する装置内で循環させ、ついで血漿および赤血球を他方の腕における針を介して対象に戻すことが可能である。幾つかの場合には、治療レジメおよび細胞療法の実施の後で細胞を単離する。例えば、アフェレーシスは細胞投与と連続的または同時に行われうる。幾つかの場合には、アフェレーシスは細胞製品の投与前および投与後約6週間まで行われる。幾つかの場合には、アフェレーシスは、細胞製品の投与の-3週間、-2週間、-1週間、0、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年または最大約10年後に行われる。幾つかの場合には、アフェレーシスにより得られた細胞は、特異的細胞溶解、サイトカイン放出、メタボロミクス研究、生体エネルギー研究、サイトカイン産生の細胞内FAC、ELISAスポットアッセイおよびリンパ球サブセット分析のための試験に付されうる。幾つかの場合には、細胞製品またはアフェレーシス産物のサンプルは注入細胞表現型および機能の遡及的分析のために凍結保存されうる。
【0140】
1つの態様においては、本発明が提供する組成物はTILを含みうる。TILは、癌に罹患した器官から単離されうる。脳、心臓、肺、眼、胃、膵臓、腎臓、肝臓、腸、子宮、膀胱、皮膚、毛、爪、耳、腺、鼻、口、唇、脾臓、歯茎、歯、舌、唾液腺、扁桃、咽頭、食道、大腸、小腸、直腸、肛門、甲状腺、胸腺、骨、軟骨、腱、靭帯、腎上体、骨格筋、平滑筋、血管、血液、脊髄、気管、尿管、尿道、視床下部、下垂体、幽門、副腎、卵巣、卵管、子宮、膣、乳腺、精巣、精嚢、陰茎、リンパ、リンパ節またはリンパ管でありうる、癌を有する器官から、1以上の細胞が単離されうる。1以上のTILは脳、心臓、肝臓、皮膚、腸、肺、腎臓、眼、小腸または膵臓に由来しうる。TILは膵臓、腎臓、眼、肝臓、小腸、肺または心臓に由来しうる。TILは膵臓に由来しうる。前記の1以上の細胞は膵島細胞、例えば膵β細胞でありうる。幾つかの場合には、TILは胃腸癌に由来しうる。TIL培養は多数の方法で調製されうる。例えば、腫瘍は非癌性組織または壊死領域から切り取られうる。ついで腫瘍は約2~3mmの長さに断片化されうる。幾つかの場合には、腫瘍は約0.5mm~約5mm、約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mm、または約4mm~約5mmのサイズで断片化されうる。ついで腫瘍断片は、培地および細胞刺激剤、例えばサイトカインを使用して、インビトロで培養されうる。幾つかの場合には、腫瘍断片からTILを増殖させるために、IL-2が使用されうる。
【0141】
幾つかの実施形態においては、修飾エフェクター細胞は、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現させるために特定の核酸配列をコードするように修飾されたT細胞および/またはナチュラルキラー細胞を含む修飾免疫細胞である。
【0142】
本明細書に記載されている外因性免疫受容体を含有する操作されたT細胞は、例えばCD277のJ配置に特異的に結合するポリペプチド構築物のような外因性受容体を発現するように操作されたT細胞である。外因性受容体は内因性遺伝子座からではなくトランスジーン構築物から発現されうる。外因性受容体は、異なる起源に由来することが可能であり、すなわち、外因性受容体を含有する操作されたT細胞を得るために操作されたT細胞の起源とは別の種に由来することが可能である。外因性受容体は、同じ起源に由来することが可能であり、すなわち、外因性受容体を含有する操作されたT細胞を得るために操作されたT細胞の起源と同じ種に由来することが可能である。外因性受容体はまた、操作されたγδT細胞受容体、または操作されたαβT細胞受容体であることが可能であり、それらは、CD277のJ配置に選択的に結合するように操作されている。
【0143】
幾つかの場合には、操作されたT細胞受容体は、修飾されたアミノ酸配列を有するT細胞受容体であり、それは、内因性T細胞受容体の対応アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する。
【0144】
ヘルパーT細胞(TH細胞)は、形質細胞および記憶B細胞へのB細胞の成熟ならびに細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化を含む免疫学的過程において他の白血球を補助する。幾つかの場合には、TH細胞は、細胞表面上でCD4糖タンパク質を発現することから、CD4+ T細胞として公知である。抗原提示細胞(APC)の表面上で発現されるMHCクラスII分子がペプチド抗原でヘルパーT細胞に提示すると、ヘルパーT細胞は活性化される。ヘルパーT細胞は、活性化されると、急速に分裂し、サイトカイン(これは能動的免疫応答を調節または補助する)と称される小さなタンパク質を分泌する。これらの細胞は、TH1、TH2、TH3、TH17、Th9またはTFHを含む幾つかのサブタイプの1つに分化することが可能であり、それらは異なるサイトカインを分泌して、異なるタイプの免疫応答を促進する。
【0145】
細胞傷害性T細胞(TC細胞またはCTL)はウイルス感染細胞および腫瘍細胞を破壊し、移植拒絶にも関与する。これらの細胞は、それらの表面上でCD8糖タンパク質を発現することから、CD8+ T細胞としても公知である。これらの細胞は、全ての有核細胞の表面上に存在するMHCクラスI分子に関連した抗原に結合することにより、それらの標的を認識する。IL-10、アデノシン、および調節性T細胞により分泌される他の分子を介して、CD8+ 細胞はアネルギー状態へと不活性化され、これは自己免疫疾患を予防する。
【0146】
記憶T細胞は、感染が消散した後も長期間存続する抗原特異的T細胞のサブセットである。それらは、同種抗原に再曝露されると、多数のエフェクターT細胞へと急速に増殖して、過去の感染に対する「記憶」を免疫系に付与する。記憶T細胞は幾つかのサブタイプ、すなわち、幹記憶T細胞(TSCM)、中央記憶T細胞(TCM細胞)および2種類のエフェクター記憶T細胞(TEM細胞およびTEMRA細胞)を含む。記憶細胞はCD4+またはCD8+のいずれかでありうる。記憶T細胞は細胞表面タンパク質CD45RO、CD45RAおよび/またはCCR7を発現しうる。
【0147】
サプレッサーT細胞として以前公知であった調節性T細胞(Treg細胞)は免疫寛容の維持において或る役割を果たす。それらの主な役割は、免疫反応の終了に向けてT細胞媒介性免疫を遮断すること、および胸腺における負の選択の過程を逃れた自己反応性T細胞を抑制することである。
【0148】
ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)は適応免疫系と自然免疫系との橋渡しをする。主要組織適合複合体(MHC)分子により提示されるペプチド抗原を認識する通常のT細胞とは異なり、NKT細胞は、CD1dと称される分子により提示される糖脂質抗原を認識しる。これらの細胞は、活性化されると、Th細胞とTc細胞との両方に起因する機能(すなわち、サイトカイン産生および細胞溶解性/細胞殺傷性分子の放出)を果たしうる。また、それらは幾つかの腫瘍細胞およびヘルペスウイルス感染細胞を認識し除去しうる。
【0149】
ナチュラルキラー(NK)細胞は自然免疫系の細胞傷害性リンパ球の一種である。幾つかの場合には、NK細胞はウイルス感染および/または腫瘍形成に対する第一線の防御をもたらす。NK細胞は、感染細胞または癌細胞上に提示されたMHCを検出し、サイトカインの放出を引き起こし、ついで細胞溶解およびアポトーシスを誘導しうる。更に、NK細胞は抗体および/またはMHCの非存在下でストレス化細胞を見出すことが可能であり、それにより、迅速な免疫応答を可能にする。
【0150】
幾つかの場合には、細胞療法において使用されうる細胞、または本発明で提供される方法において使用されうる細胞は、所定の因子に関して陽性または陰性でありうる。幾つかの実施形態においては、細胞はCD3+ 細胞、CD3- 細胞、CD5+ 細胞、CD5- 細胞、CD7+ 細胞、CD7- 細胞、CD14+ 細胞、CD14- 細胞、CD8+ 細胞、CD8- 細胞、CD103+ 細胞、CD103- 細胞、CD11b+ 細胞、CD11b- 細胞、BDCA1+ 細胞、BDCA1- 細胞、L-セレクチン+ 細胞、L-セレクチン- 細胞、CD25+、CD25- 細胞、CD27+、CD27- 細胞、CD28+ 細胞、CD28- 細胞、CD44+ 細胞、CD44- 細胞、CD56+ 細胞、CD56- 細胞、CD57+ 細胞、CD57- 細胞、CD62L+ 細胞、CD62L- 細胞、CD69+ 細胞、 CD69- 細胞、CD45RO+ 細胞、CD45RO- 細胞、CD127+ 細胞、CD127- 細胞、CD132+ 細胞、CD132- 細胞、IL-7+ 細胞、IL-7- 細胞、IL-15+ 細胞、IL-15- 細胞、レクチン様受容体G1陽性細胞、レクチン様受容体G1陰性細胞、またはその分化もしくは脱分化細胞でありうる。細胞により発現される因子の例は限定的であるとは意図されず、当業者は、細胞が、当技術分野で公知の任意の因子に関して陽性または陰性でありうると理解するであろう。幾つかの実施形態においては、細胞は2以上の因子に関して陽性でありうる。例えば、細胞はCD4+かつCD8+でありうる。幾つかの実施形態においては、細胞は2以上の因子に関して陰性でありうる。例えば、細胞はCD25-かつCD44-かつCD69-でありうる。幾つかの実施形態においては、細胞は1以上の因子に関して陽性であり、かつ、1以上の因子に関して陰性でありうる。例えば、細胞はCD4+かつCD8-でありうる。ついで、選択された細胞は対象の体内に注入されうる。幾つかの実施形態においては、細胞は、1以上の所定因子を有する又は有さないことに関して選択されうる(例えば、細胞は、1以上の因子の存在または非存在に基づいて分離されうる)。幾つかの実施形態においては、選択された細胞はインビトロでも増殖されうる。選択された細胞は注入前にインビトロで増殖されうる。本明細書に開示されている方法のいずれかにおいて使用される細胞は、本明細書に開示されている細胞のいずれかの混合物(例えば、2以上の異なる細胞)でありうると理解されるべきである。例えば、本開示の方法は、CD4+ 細胞とCD8+ 細胞との混合物である細胞を含みうる。もう1つの例では、本開示の方法は、CD4+ 細胞とナイーブ細胞との混合物である細胞を含みうる。幾つかの場合には、細胞は、CD45RO(-)、CCR7(+)、CD45RA(+)、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+およびIL-7Rα+から構成される幹記憶TSCM細胞であることが可能であり、幹記憶細胞はCD95、IL-2Rβ、CXCR3およびLFA-1をも発現することが可能であり、幹記憶細胞に特有の多数の機能的属性を示しうる。操作された細胞はまた、L-セレクチンとCCR7とを含む中央記憶TCM細胞であることが可能であり、該中央記憶細胞は例えばIL-2を分泌しうるが、IFNγまたはIL-4を分泌できない。操作された細胞はまた、L-セレクチンまたはCCR7を含むエフェクター記憶TEM細胞であることが可能であり、例えばIFNγおよびIL-4のようなエフェクターサイトカインを産生しうる。幾つかの場合には、細胞の集団が対象に導入されうる。例えば、細胞の集団はT細胞とNK細胞との組合せでありうる。他の場合では、集団はナイーブ細胞とエフェクター細胞との組合せでありうる。細胞の集団はTILでありうる。
【0151】
特に、T細胞集団は、例えば、表面上に固定化された抗CD2抗体または抗CD3抗体またはその抗原結合性フラグメントとの接触により、あるいはカルシウムイオノフォアと組合されることもあるプロテインキナーゼCアクチベーター(例えば、ブリオスタチン)との接触により、インビトロで刺激されうる。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激には、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用されうる。例えば、T細胞の増殖を刺激しうる条件下、T細胞の集団を抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることが可能である。幾つかの場合には、細胞を刺激するために、4-1BBが使用されうる。例えば、細胞は4-1BBおよびIL-21または別のサイトカインで刺激されうる。CD4 T細胞またはCD8 T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体が使用されうる。例えば、シグナルを与える物質は溶液中に存在し、または表面に結合されうる。細胞に対する粒子の比は標的細胞に対する粒子サイズに左右されうる。他の実施形態においては、T細胞のような細胞を物質被覆ビーズと組合せることが可能であり、ここで、該ビーズおよび該細胞は次いで分離され、所望により培養されうる。各ビーズは抗CD3抗体または抗CD28抗体のいずれかで、あるいは幾つかの場合にはそれらの2つの組合せで被覆されうる。もう1つの実施形態においては、培養前に、物質被覆ビーズおよび細胞は分離されず、一緒に培養される。抗CD3および抗CD28が結合しうる常磁性ビーズ(3×28ビーズ)をT細胞と接触させることにより、細胞表面タンパク質が連結されうる。幾つかの場合には、細胞およびビーズ(例えば、1:1の比のDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ)をバッファー、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)中(例えば、カルシウムおよびマグネシウムのような2価カチオンの非存在下)で一緒にする。任意の細胞濃度が用いられうる。該混合物は数時間(例えば、約3時間)~約14日間またはその間の任意の整数の時間にわたって培養されうる。もう1つの実施形態においては、該混合物は約21日間または約21日間まで培養されうる。T細胞培養に適した条件は、増殖および生存に必要な因子を含有しうる適切な培地(例えば、基礎培地またはRPMI培地1640またはX-vivo 5(Lonza))を含むことが可能であり、それらは、血清(例えば、ウシ胎児またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-g、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-21、IL-15、TGFベータおよびTNFアルファまたは細胞の成長のための任意の他の添加物を含みうる。細胞の成長のための他の添加物には、界面活性剤、プラスマネート、および還元剤、例えばN-アセチルシステインおよび2-メルカプトエタノールが含まれるが、これらに限定されるものではない。培地には、RPMI 1640、A1 MV、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 1およびX-Vivo 20、オプティマイザー(Optimizer)が含まれることが可能であり、それらにアミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンが添加されることが可能であり、無血清であり、または適量の血清(または血漿)もしくは所定の組合せのホルモン、ならびに/またはT細胞の成長および増殖に十分な量のサイトカインで補足されていることが可能である。幾つかの場合には、865mLのRPMIボトルは100mLのヒト血清、25mLのHepes 1M、10mLの10,000U/mLおよび10,000μg/mLのペニシリン/ストレプトマイシン、ならびに0.2mLの50mg/mLのゲンタマイシンを含有しうる。添加物の添加後、RPMI培地は、0.2μm×1Lフィルターを使用して濾過され、4℃で保存されうる。幾つかの実施形態においては、抗生物質、例えばペニシリンおよびストレプトマイシンは実験培養においてのみ配合されるが、対象の体内に注入される細胞の培養には配合されない。幾つかの場合には、ヒト血清は37℃の水浴内で解凍され、ついで熱で不活性化されうる(例えば、100mLボトルの場合には56℃で30分間)。血清は培地の添加の前に0.8μmおよび0.45μmのフィルターで濾過されうる。
【0152】
1つの態様においては、細胞は、成長を支持するのに必要な条件[例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)]下で維持されうる。幾つかの場合には、種々の刺激時間にさらされたT細胞は種々の特性を示しうる。幾つかの場合には、ヒトCD3、CD28、CD2またはそれらの任意の組合せに対する可溶性単一特異性四量体抗体が使用されうる。
【0153】
修飾エフェクター細胞の用量
本発明は、細胞表面CD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物をコードする修飾エフェクター細胞を提供する。幾つかの実施形態においては、修飾エフェクター細胞の或る量が、それを要する対象に投与され、その量は、サイトカイン関連毒性を誘発する可能性および有効性に基づいて決定される。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約103~約1010 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約104~約108 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は、約105~約107 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約106~約109 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約106~約108 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は、約107~約108 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約105~約106 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約106~約107 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約107~約108 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約108~約109 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約109 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は、約108修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約107 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約106 修飾エフェクター細胞/kgを含む。幾つかの場合には、修飾エフェクター細胞の量は約105 修飾エフェクター細胞/kgを含む。
【0154】
幾つかの実施形態においては、修飾エフェクター細胞は、CD277のJ配置に選択的に結合するガンマデルタTCRまたはその断片をコードする修飾T細胞である。幾つかの場合には、操作されたガンマデルタTCR T細胞の量は約105~約109 ガンマデルタTCR細胞/kgを含む。幾つかの場合には、操作されたガンマデルタTCR細胞の量は約105~約108 ガンマデルタTCR細胞/kgを含む。幾つかの場合には、操作されたガンマデルタTCR細胞の量は約107~約109 ガンマデルタTCR細胞/kgを含む。幾つかの場合には、操作されたガンマデルタTCR細胞の量は約105~約106 ガンマデルタTCR細胞/kgを含む。
【0155】
サイトカイン
本発明は、本明細書に記載されているポリペプチド構築物およびサイトカインまたはその変異体もしくは誘導体をコードするポリヌクレオチド、ならびにそれを含む方法および系を提供する。サイトカインは、細胞シグナル伝達に関与する約5~20kDaの小さなタンパク質の一種である。幾つかの場合には、サイトカインにはケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子または腫瘍壊死因子が含まれる。幾つかの実施形態においては、ケモカインは、細胞の遊走を導く化学誘引物質としての役割を果たし、4つのサブファミリー、すなわち、CXC、CC、CX3CおよびXCに分類される。例示的なケモカインには、CCサブファミリー:CCL1、CCL2(MCP-1)、CCL3、CCL4、CCL5(RANTES)、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9(またはCCL10)、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27およびCCL28;CXCサブファミリー:CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16およびCXCL17;XCサブファミリー:XCL1およびXCL2;ならびにCX3CサブファミリーCX3CL1からのケモカインが含まれる
インターフェロン(IFN)はインターフェロンI型(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κおよびIFN-ω)、インターフェロンII型(例えば、IFN-γ)およびインターフェロンIII型を含む。幾つかの実施形態においては、IFN-αは更に、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17およびIFNA21を含む約13個のサブタイプに分類される。
【0156】
インターロイキンは白血球により発現され、それはTおよびびBリンパ球ならびに造血細胞の発生および分化を促進する。例示的なインターロイカインには、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8(CXCL8)、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35およびIL-36が含まれる。
【0157】
腫瘍壊死因子(TNF)は、アポトーシスを調節するサイトカインの一群である。幾つかの場合には、TNFファミリー内には、TNFα、リンホトキシン-アルファ(LT-アルファ)、リンホトキシン-ベータ(LT-ベータ)、T細胞抗原gp39(CD40L)、CD27L、CD30L、FASL、4-1BBL、OX40LおよびTNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)(これらに限定されるものではない)を含む約19個のメンバーが存在する。
【0158】
コロニー刺激因子(CSF)は、造血幹細胞の表面上の受容体タンパク質と相互作用する分泌糖タンパク質であり、ついでこれは細胞増殖および特定の種類の血液細胞への分化を調節する。幾つかの場合には、CSFはマクロファージコロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)またはプロメガポエチンを含む。
【0159】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている1以上の方法はサイトカインの投与を更に含む。幾つかの場合には、サイトカインはケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子または腫瘍壊死因子を含む。幾つかの場合には、本明細書に記載されている1以上の方法は、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子または腫瘍壊死因子から選択されるサイトカインの投与を更に含む。
【0160】
適応症
幾つかの実施形態においては、本明細書は、本明細書に記載されているポリヌクレオチドをコードする修飾エフェクター細胞を、障害、例えば癌を有する対象に投与する方法を開示する。幾つかの場合には、癌は転移癌である。他の場合には、癌は再発性癌または難治性癌である。
【0161】
幾つかの場合には、癌は固形腫瘍または血液悪性疾患である。幾つかの場合には、癌は固形腫瘍である。他の場合には、癌は血液悪性疾患である。
【0162】
幾つかの場合には、癌は固形腫瘍である。例示的な固形腫瘍には、肛門癌、虫垂癌、胆管癌(すなわち、胆管細胞癌)、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、原発不明癌(CUP)、食道癌、眼癌、卵管癌、消化器癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、髄芽腫、黒色腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺疾患、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、直腸癌、皮膚癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌または外陰癌が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
幾つかの場合には、癌は血液悪性疾患である。幾つかの場合には、血液悪性疾患には、リンパ腫、白血病、骨髄腫またはB細胞悪性疾患が含まれる。幾つかの場合には、血液悪性疾患には、リンパ腫、白血病または骨髄腫が含まれる。幾つかの場合には、例示的な血液悪性疾患には、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、高リスクCLL、非CLL/SLLリンパ腫、前リンパ球性白血病(PLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、節外辺縁帯B細胞リンパ腫、節辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発滲出性リンパ腫またはリンパ腫様肉芽腫症が含まれる。幾つかの実施形態においては、血液悪性疾患は骨髄性白血病を含む。幾つかの実施形態においては、血液悪性疾患は急性骨髄性白血病(AML)または慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0164】
幾つかの場合には、本明細書は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、高リスクCLL、非CLL/SLLリンパ腫、前リンパ球性白血病(PLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、節外辺縁帯B細胞リンパ腫、節辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発滲出性リンパ腫またはリンパ腫様肉芽腫症から選択される血液悪性腫瘍を有する対象に、本明細書に記載されている修飾エフェクター細胞を投与する方法を開示する。。幾つかの場合には、本明細書は、AMLまたはCMLから選択される血液悪性疾患を有する対象に修飾エフェクター細胞を投与する方法を開示する。
【0165】
免疫エフェクター細胞源
ある態様においては、本明細書に記載されている実施形態は、細胞表面CD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチドをコードするDNA(またはRNA)構築物を含有する発現ベクターで細胞をトランスフェクトし、ついで、所望により、フィーダー細胞、組換え抗原、または受容体に対する抗体で細胞を刺激して細胞を増殖させることを含む、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞またはNK T細胞)の製造方法および/または増殖方法を含む。ある態様においては、細胞表面CD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチドを発現するように操作される細胞(または細胞集団)は幹細胞、iPS細胞、免疫エフェクター細胞またはこれらの細胞の前駆体である。
【0166】
免疫エフェクター細胞の供給源は同種供給源および自己供給源の両方を含みうる。幾つかの場合には、免疫エフェクター細胞は幹細胞または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されうる。したがって、本実施形態による操作のための細胞は臍帯血、末梢血、ヒト胚性幹細胞またはiPSCから単離されうる。例えば、同種T細胞は、キメラ抗原受容体を含むように(および所望により、機能的TCRを欠くように)修飾されうる。幾つかの態様では、免疫エフェクター細胞は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)に由来するT細胞のような初代ヒトT細胞である。PBMCは、末梢血から、または骨髄もしくは臍帯血からのG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)での刺激の後で集められうる。トランスフェクションまたは形質導入(例えば、CAR発現構築物を使用)の後、細胞は直ちに注入されることが可能であり、あるいは凍結保存されることが可能である。ある態様においては、トランスフェクション後、細胞内への遺伝子導入後約1、2、3、4、5日以内またはそれ以上の期間以内に、細胞は、バルク集団としてエクスビボで数日間、数週間または数ヶ月間増殖されうる。もう1つの態様においては、トランスフェクション後、トランスフェクタントをクローニングし、組込まれた又はエピソーム的に維持された単一の発現カセットまたはプラスミドの存在およびキメラ抗原受容体の発現を示すクローンをエクスビボで増殖させる。増殖のために選択されたクローンは、抗原発現標的細胞を特異的に認識し細胞溶解する能力を示す。該組換えT細胞は、IL-2、または共通のガンマ鎖に結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21など)での刺激により増殖されうる。該組換えT細胞は、人工抗原提示細胞での刺激により増殖されうる。該組換えT細胞は人工抗原提示細胞上で増殖可能であり、あるいはT細胞表面上のCD3を架橋するOKT3のような抗体を使用して増殖可能である。該組換えT細胞のサブセットは、磁気ビーズに基づく単離方法および/または蛍光活性化細胞選別技術を用いて更に選択可能であり、AaPCの存在下で更に培養可能である。もう1つの態様においては、遺伝的に修飾された細胞は凍結保存されうる。
【0167】
T細胞は、末梢血、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍(腫瘍浸潤リンパ球)を含む多数の起源からも入手可能である。本開示の或る実施形態においては、当技術分野で利用可能な多数のT細胞系が使用されうる。本開示の特定の実施形態においては、T細胞は、Ficoll(登録商標)分離のような当業者に公知の多数の技術を用いて、対象から集められた血液のユニットから得られうる。幾つかの実施形態においては、個体の循環血液からの細胞はアフェレーシスにより得られる。アフェレーシス製品は、典型的には、リンパ球、例えばT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および血小板を含有する。1つの実施形態においては、アフェレーシスにより集められた細胞を洗浄して、血漿画分を取り出し、後の処理ステップのために適切なバッファーまたは培地内に細胞を配置することが可能である。本開示の1つの実施形態においては、細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。もう1つの実施形態においては、洗浄溶液はカルシウムを欠き、マグネシウムを欠くことが可能であり、あるいは、全てでなくとも多数の2価カチオンを欠くことが可能である。カルシウムの非存在下の初期活性化工程は活性化の増強をもたらす。当業者が容易に理解するとおり、洗浄工程は、当業者に公知の方法により、例えば半自動化「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー,Baxter CytoMate、またはHaemonetics Cell Saver 5)を製造業者の説明に従い使用することにより達成されうる。洗浄後、細胞は、例えば種々の生体適合性バッファー、例えばCa2+非含有、Mg2非含有PBS、PlasmaLyte A、またはバッファーを含有する若しくは含有しない他の塩類溶液中に再懸濁されうる。あるいは、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培地内に直接的に再懸濁させることが可能である。
【0168】
もう1つの実施形態においては、例えば、PERCOLL(登録商標)勾配による遠心分離により、または向流遠心溶出法により、赤血球を細胞溶解し、単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球からT細胞が単離される。T細胞の特定の亜集団、例えばCD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+およびCD45RO+ T細胞はポジティブまたはネガティブ選択技術により更に単離されうる。
【0169】
ネガティブ選択によるT細胞集団の富化は、ネガティブ選択細胞に特有の表面マーカーに対する抗体の組合せにより達成されうる。1つの方法は、ネガティブ選択される細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用するネガティブ磁気免疫付着またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。例えば、ネガティブ選択によりCD4+ 細胞を富化させる場合、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。ある実施形態においては、CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+およびFoxP3+を典型的に発現する調節性T細胞を富化させ、またはポジティブ選択することが望ましいことがある。あるいは、ある実施形態においては、T調節性細胞は抗CD25結合ビーズまたは他の類似選択方法により枯渇される。
【0170】
ポジティブまたはネガティブ選択によって所望の細胞集団を単離するために、細胞および表面(例えば、ビーズのような粒子)の濃度を変化させることが可能である。ある実施形態においては、細胞とビーズとの最大接触を確保するために、ビーズと細胞とが一緒に混合される体積を有意に減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましいことがある。例えば、1つの実施形態においては、20億細胞/mlの濃度が使用される。1つの実施形態においては、10億細胞/mlの濃度が使用される。もう1つの実施形態においては、1億細胞/mlを超える濃度が使用される。もう1つの実施形態においては、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞濃度が使用される。更にもう1つの実施形態においては、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億細胞/mlの細胞濃度が使用される。もう1つの実施形態においては、1億2500万または1億5000万細胞/mlの濃度を使用されうる。高濃度の使用は細胞収量、細胞活性化および細胞増殖の増加をもたらしうる。更に、高い細胞濃度の使用は、目的標的抗原を弱く発現しうる細胞、例えばCD28陰性T細胞の、より効率的な捕捉を可能にし、あるいは多数の腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)からの、より効率的な捕捉を可能にする。そのような細胞集団は治療的価値を有し、得ることが望ましいであろう。例えば、高濃度の細胞の使用は、より弱いCD28発現を通常示すCD8+ T細胞の、より効率的な選択を可能にする。
【0171】
関連実施形態においては、より低い細胞濃度を使用することが望ましいかもしれない。T細胞と表面(例えば、ビーズのような粒子)との混合物を有意に希釈することにより、粒子と細胞との相互作用が最小限に抑えられる。これにより、粒子に結合する所望の抗原を大量に発現する細胞が選択される。例えば、CD4+ T細胞はCD8+ T細胞の場合より高いレベルのCD28を発現し、薄い濃度では、より効率的に捕捉される。1つの実施形態においては、使用される細胞濃度は5×106/mlである。他の実施形態においては、使用される濃度は約1×105/ml~1×106/mlおよびその間の任意の整数値でありうる。
【0172】
他の実施形態においては、細胞は、2~10℃または室温で、種々の長さの時間にわたって、種々の速度の回転装置上でインキュベートされうる。
【0173】
また、刺激のためのT細胞は洗浄工程後に凍結されうる。血漿および血小板を除去する洗浄工程の後、細胞は凍結溶液に懸濁されうる。多数の凍結溶液およびパラメーターが当技術分野で公知であり、この場合に有用であるが、1つの方法は、20% DMSOおよび8% ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または以下のものを含有する培地:10% デキストラン40および5% デキストロース、20% ヒト血清アルブミンおよび7.5% DMSO、または31.25% Plasmalyte-A、31.25% デキストロース5%、0.45% NaCl、10% デキストラン40および5% デキストロース、20% ヒト血清アルブミン、および7.5% DMSO、または例えばHespanおよびPlasmaLyte Aを含有する他の適切な細胞凍結培地を使用することを含み、ついで該細胞は1℃/分の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存される。制御凍結の他の方法、および直ちに-20℃にする又は液体窒素中での無制御凍結も用いられうる。
【0174】
ある実施形態においては、凍結保存細胞は、本明細書に記載されているとおりに解凍され、洗浄され、本開示の方法を使用する活性化の前に室温で1時間静置される。
【0175】
また、本明細書に記載されている増殖細胞が必要とされうる前の時期の対象からの血液サンプルまたはアフェレーシス産物のコレクション(収集物)も本開示の場合に想定される。したがって、増殖される細胞の供給源は、必要な任意の時点で収集可能であり、T細胞のような所望の細胞は単離され、例えば本明細書に記載されているもののようなT細胞療法から利益を受ける多数の疾患または状態に対するT細胞療法における後の使用のために凍結される。1つの実施形態においては、血液サンプルまたはアフェレーシスは一般に健康な対象から採取される。ある実施形態においては、血液サンプルまたはアフェレーシスは、疾患を発生するリスクを有するが疾患を未だ発生していない一般に健康な対象から採取され、目的の細胞は単離され、後の使用のために凍結される。ある実施形態においては、T細胞を増殖され、凍結され、後に使用されうる。ある実施形態においては、サンプルは、本明細書に記載されている個々の疾患の診断の直後かつ治療前に、患者から収集される。もう1つの実施形態においては、薬剤、例えばナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えばクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノラートおよびFK506、抗体、または他の免疫切除(immunoablative)剤、例えばCAMPATH、抗CD3抗体、サイトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、および照射での治療(これらに限定されるものではない)を含む多数の関連治療法の前に、対象からの血液サンプルまたはアフェレーシスから細胞を単離する。これらの薬物はカルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリンを阻害し(シクロスポリンおよびFK506)、または成長因子誘導性シグナル伝達に重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Liuら,Cell 66:807-815,(1991);Hendersonら,Immun 73:316-321,(1991);Biererら,Curr.Opin.Immun 5:763-773,(1993))。もう1つの実施形態においては、細胞を患者のために単離し、骨髄または幹細胞移植、フルダラビンのような化学療法剤を使用するT細胞切除療法、体外照射療法(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3もしくはCAMPATHのような抗体と共に後に使用するために凍結する。もう1つの実施形態においては、細胞を単離し、CD20と反応する物質、例えばリツキサンでのB細胞除去療法の後の治療のための後の使用のために凍結することが可能である。
【0176】
本開示のもう1つの実施形態においては、T細胞は治療直後の患者から得られる。これに関しては、ある癌治療、特に、免疫系を損傷する薬物での治療の後、患者が治療から正常に回復している期間中の治療の直後に、得られるT細胞の品質は、そのエクスビボ増殖能に関して最適でありうる又は改善したものでありうる。同様に、本明細書に記載されている方法を用いるエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着およびインビボ増殖の増強のための好ましい状態となりうる。したがって、この回復段階において、T細胞、樹状細胞または造血系の他の細胞を含む血液細胞を収集することが、本開示の場合に想定される。更に、ある実施形態においては、動員(例えば、GM-CSFによる動員)および条件付けレジメンを使用して、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生および/または増殖が特に治療後の一定の時間ウィンドウ中に好ましい対象者における状態を生成させることが可能である。例示的な細胞型には、T細胞、B細胞、樹状細胞、および免疫系の他の細胞が含まれる。
【0177】
T細胞の活性化および増殖
ある実施形態においては、CD277のJ配置に選択的に結合する本明細書に記載されているポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドを含むT細胞を提供する。所望のポリペプチド構築物を発現させるためのT細胞の遺伝的修飾の前であるか後であるかには無関係に、T細胞は、一般に、例えば以下のものに記載されている方法を用いて活性化され、増殖されうる:米国特許第6,352,694号、第6,534,055号、第6,905,680号、第6,692,964号、第5,858,358号、第6,887,466号、第6,905,681号、第7,144,575号、第7,067,318号、第7,172,869号、第7,232,566号、第7,175,843号、第5,883,223号、第6,905,874号、第6,797,514号、第6,867,041号および米国特許出願公開第20060121005号。
【0178】
「養子T細胞移入」は、ワクチン接種のみ又は患者の自然腫瘍応答により得られうるものより多数のT細胞を得るための、腫瘍特異的T細胞の単離およびエクスビボ増殖を意味する。現在の開示に関しては、腫瘍特異的T細胞は、例えば、細胞表面CD277のJ配置に選択的に結合する本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現するようにT細胞を操作することにより得られうる。ついで、癌を攻撃し殺しうるT細胞により残存腫瘍に打ち勝つ能力を癌患者の免疫系に付与するために、腫瘍特異的T細胞を癌患者に注入することが可能である。多数の形態の養子T細胞療法が癌治療に用いられており、それらにおいては、腫瘍浸潤リンパ球またはTILを培養し、1つの特定のT細胞またはクローンを単離し増殖させ、更に、腫瘍を強力に認識し攻撃するように操作されたT細胞を使用する。
【0179】
医薬組成物および剤形
幾つかの実施形態においては、本明細書は、対象における投与のための、本明細書に開示されているポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチドまたはそれを発現する操作された細胞を含む組成物を開示する。幾つかの場合には、本明細書に開示されているポリヌクレオチドまたはポリペプチドをコードする、そして所望により、サイトカインおよび/または追加的治療用物質、例えば、哺乳類メバロン酸経路の中間体、例えばイソペンテニルピロホスファート(IPP)、および微生物2-C-メチル-D-エリトリトール 4-リン酸(MEP)経路の中間体を含む修飾エフェクター細胞組成物を提供する。幾つかの実施形態においては、医薬組成物は、対象の標的細胞(例えば、癌細胞)におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含みうる。幾つかの実施形態においては、該物質は、癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増加させうる。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞の細胞膜においてRhoB GTPアーゼを維持しうる。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増加させうる。幾つかの態様においては、該物質は、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強しうる。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼの安定性を増強しうる。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼとBNT3タンパク質との相互作用を増強しうる。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼを活性化しうる。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強しうる。幾つかの実施形態においては、該物質はRhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減しうる。幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞におけるGTPの量を増加させうる。幾つかの実施形態においては、該物質は、癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させうる。幾つかの実施形態においては、該物質は、癌細胞上の細胞表面分子に結合する部分に結合されることが可能であり、それにより、該物質を癌細胞に標的化する。幾つかの実施形態においては、該部分は小分子化合物、ペプチド、または抗体もしくは抗原結合性フラグメントを含む。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、RhoB GTPアーゼの活性を刺激する二次因子に結合することにより間接的にそれを行う。二次因子はRhoB GTPアーゼ活性化カスケードに関与しうる。1つの態様においては、二次因子はシグナル伝達、構造変化、コンホメーション変化、立体配置変化などに関与しうる。1つの態様においては、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、RhoB GTPアーゼの刺激経路の上流の任意の部位において活性を増強しうる。例えば、物質は「A」であり、これが次に「B」を刺激し、これが次に「C」を刺激し、これが次にRhoB GTPアーゼを刺激しうる。1つの態様においては、物質は、二次因子のいずれの関与も無しに、RhoB GTPアーゼを直接的に刺激する。物質は、RhoB GTPアーゼ刺激物質を伴わない同等の方法または組成物と比較して、RhoB GTPアーゼの活性を約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または最大約100%増加させうる。
【0180】
幾つかの実施形態においては、該物質は癌細胞内の細胞内リン酸化抗原の量を増加させうる。幾つかの実施形態においては、追加的物質はメバロン酸経路インヒビターである。メバロン酸経路のインヒビターは、メバロナートの生成に関与する因子を阻害しうる。1つの態様においては、メバロン酸経路のインヒビターは、メバロン酸経路に関与する反応を阻害しうる。1つの態様においては、メバロン酸インヒビターは、アセトアセチル-CoA、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸-5-リン酸、ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)、メバロン酸-5-キナーゼ、メバロン酸-3-リン酸-5-キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、メバロン酸-5-ピロリン酸デカルボキシラーゼ、イソペンテニルピロリン酸イソメラーゼ、ATPのような酵素およびそれらの組合せを阻害しうる。幾つかの実施形態においては、メバロン酸経路インヒビターはアミノビスホスホネートである。1つの態様においては、物質は硫化水素(H2S)でありうる。1つの態様においては、物質はDM-22でありうる。幾つかの実施形態においては、アミノビスホスホネートはゾレドロネートである。1つの態様においては、物質はスタチンでありうる。1つの態様においては、スタチンはメバロン酸経路を阻害しうる。1つの態様においては、物質は、骨疾患、多発性骨髄腫またはそれらの組合せを治療するために使用されうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質はリン酸化抗原に直接的に結合して、その活性を刺激しうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、腫瘍細胞の細胞質におけるリン酸化抗原の活性または蓄積を刺激する二次因子に結合することにより間接的にそれを行う。二次因子はリン酸化抗原産生カスケードに関与しうる。1つの態様においては、二次因子は翻訳、シグナル伝達、構造変化、コンホメーション変化、立体配置変化などに関与しうる。1つの態様においては、リン酸化抗原の活性を増強する物質は、リン酸化抗原の経路の上流の任意の部位において活性を増強しうる。例えば、物質は「A」であり、これが次に「B」を刺激し、これが次に「C」を刺激し、これが次にリン酸化抗原を刺激して細胞質における蓄積をもたらす。1つの態様においては、物質は、二次因子のいずれの関与も無しに、リン酸化抗原の蓄積を直接的に刺激する。物質は、リン酸化抗原刺激物質を伴わない同等の方法または組成物と比較して、リン酸化抗原の活性、例えばリン酸化抗原蓄積を約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または最大約100%増加させうる。
【0181】
1つの態様においては、腫瘍細胞傷害のための相乗的方法が本発明で提供されうる。1つの態様においては、治療方法は、細胞表面上のCD277の発現を増強する1以上の物質を投与することを含みうる。CD277の発現を増強しうる物質は、腫瘍細胞の細胞質におけるRhoB GTPアーゼおよび/またはリン酸化抗原の活性を増強することにより作用しうる。1つの態様においては、腫瘍の細胞傷害性は、リン酸化抗原刺激物質またはRhoGTPアーゼ刺激物質またはそれらの組合せを伴わない同等の方法または組成物と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または最大約100%増加されうる。
【0182】
1つの態様においては、CD277の内側部分に結合する細胞内因子の活性を増強することを含む、腫瘍細胞表面上のCD277の発現を増強する方法が提供されうる。
【0183】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されている種々の薬学的に活性な成分が、同じ医薬組成物において、それを要する対象に投与されうる。例えば、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチドまたはそれを発現する操作された細胞として、同じ医薬組成物において投与されうる。したがって、複数の薬学的に活性な成分を含有するそのような医薬組成物においては、複数の薬学的に活性な成分は、それを要する対象に、同時に投与される。他の実施形態においては、本明細書に記載されている異なる薬学的に活性な成分は、異なる医薬組成物において、それを要する対象に投与されうる。例えば、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質は、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチドまたはそれを発現する操作された細胞として、異なる医薬組成物において投与されうる。そのような組成物においては、第1の薬学的に活性な成分を含む第1の組成物は、第2の薬学的に活性な成分を含む第2の組成物の前、後またはそれと同時に投与されうる。例えば、幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチド構築物またはそれを発現する操作された細胞を含む第1の組成物は、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む第2の組成物の投与の前に、それを要する対象に投与される。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチド構築物またはそれを発現する操作された細胞を含む第1の組成物は、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む第2の組成物の投与の後で、それを要する対象に投与される。幾つかの実施形態においては、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチド構築物またはそれを発現する操作された細胞を含む第1の組成物は、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む第2の組成物の投与と同時に、それを要する対象に投与される。幾つかの場合には、第1の薬学的に活性な分を含む第1の組成物は、第2の薬学的に活性な成分を含む第2の組成物に対する所定の時間間隔で投与されうる。幾つかの場合には、ポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチド構築物またはそれを発現する操作された細胞を含む第1の組成物は、1日1回、単一用量で対象に投与され、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む第2の組成物は、日中の種々の時点で、複数用量で投与される。幾つかの場合には、標的細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む組成物は所定期間にわたる徐放のための制御放出製剤として投与され、本明細書に記載されているポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチド構築物または操作された細胞を含む第2の組成物は前記の所定期間中に種々の間隔で投与される。
【0184】
1つの態様においては、細胞を含む組成物は細胞の剤形を含みうる。本出願を手にすれば、当業者であれば、投与のための細胞の治療的有効量を決定することが可能である。幾つかの場合には、約5×1010細胞が対象に投与される。幾つかの場合には、約5×1010細胞は、対象に投与される細胞の中央値を表す。幾つかの実施形態においては、約5×1010細胞を対象に導入されうる。幾つかの実施形態においては、少なくとも約1×106細胞、少なくとも約2×106細胞、少なくとも約3×106細胞、少なくとも約4×106細胞、少なくとも約5×106細胞、少なくとも約6×106細胞、少なくとも約6×106細胞、少なくとも約8×106細胞、少なくとも約9×106細胞、1×107細胞、少なくとも約2×107細胞、少なくとも約3×107細胞、少なくとも約4×107細胞、少なくとも約5×107細胞、少なくとも約6×107細胞、少なくとも約6×107細胞、少なくとも約8×107細胞、少なくとも約9×107細胞、少なくとも約1×108細胞、少なくとも約2×108細胞、少なくとも約3×108細胞、少なくとも約4×108細胞、少なくとも約5×108細胞、少なくとも約6×108細胞、少なくとも約6×108細胞、少なくとも約8×108細胞、少なくとも約9×108細胞、少なくとも約1×109細胞、少なくとも約2×109細胞、少なくとも約3×109細胞、少なくとも約4×109細胞、少なくとも約5×109細胞、少なくとも約6×109細胞、少なくとも約6×109細胞、少なくとも約8×109細胞、少なくとも約9×109細胞、少なくとも約1×1010細胞、少なくとも約2×1010細胞、少なくとも約3×1010細胞、少なくとも約4×1010細胞、少なくとも約5×1010細胞、少なくとも約6×1010細胞、少なくとも約6×1010細胞、少なくとも約8×1010細胞、少なくとも約9×1010細胞、少なくとも約1×1011細胞、少なくとも約2×1011細胞、少なくとも約3×1011細胞、少なくとも約4×1011細胞、少なくとも約5×1011細胞、少なくとも約6×1011細胞、少なくとも約6×1011細胞、少なくとも約8×1011細胞、少なくとも約9×1011細胞、または少なくとも約1×1012細胞が対象に投与される。
【0185】
1つの態様においては、対象は追加的な治療または治療用物質の投与を受けうる。本明細書に開示されている組成物および方法は他の物質の投与を含みうる。例えば、追加的な物質は細胞毒性/抗腫瘍物質および抗血管新生物質を含みうる。細胞毒性/抗腫瘍物質は、癌細胞を攻撃し殺す物質として定義されうる。幾つかの細胞毒性/抗腫瘍物質は、腫瘍細胞における遺伝物質をアルキル化するアルキル化剤であることが可能であり、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、トリメチレンチオホスホラミド、カルムスチン、ブスルファン、クロラムブシル、ベルスチン、ウラシルマスタード、クロマファジンおよびダカバジンでありうる。他の細胞毒性/抗腫瘍物質は腫瘍細胞に対する代謝拮抗物質、例えばシトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン、アザチオプライムおよびプロカルバジンでありうる。他の細胞毒性/抗腫瘍物質は、抗生物質、例えばドキソルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、マイトマイシンCおよびダウノマイシンでありうる。これらの化合物に関しては、商業的に入手可能な多数のリポソーム製剤が存在する。更に他の細胞毒性/抗腫瘍物質は有糸分裂インヒビター(ビンカアルカロイド)でありうる。これらには、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびエトポシドが含まれる。他の細胞毒性/抗腫瘍物質には、タキソールおよびその誘導体、L-アスパラギナーゼ、抗腫瘍抗体、ダカルバジン、アザシチジン、アムサクリン、メルファラン、VM-26、イホスファミド、ミトキサントロンおよびビンデシンが含まれる。
【0186】
幾つかの場合には、物質は免疫刺激物質を含みうる。免疫刺激物質は特異的または非特異的でありうる。特異的免疫刺激物質は、ワクチンまたは抗原のように、抗原特異性をもたらしうる。非特異的免疫刺激物質は免疫応答を増強し、または免疫応答を刺激しうる。非特異的免疫刺激物質はアジュバントでありうる。免疫刺激物質はワクチン、コロニー刺激物質、インターフェロン、インターロイキン、ウイルス、抗原、共刺激物質、免疫原性物質、免疫調節物質または免疫療法物質でありうる。免疫刺激物質はサイトカイン、例えばインターロイキンでありうる。1以上のサイトカインが本発明の細胞に導入されうる。サイトカインは、細胞傷害性Tリンパ球(養子移植腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球を含む)を増強して腫瘍微小環境内で増殖させるために使用されうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されている細胞の増殖を促進するために、IL-2が使用されうる。IL-15のようなサイトカインも使用されうる。免疫療法の分野における他の関連サイトカイン、例えばIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21またはそれらの任意の組合せも使用されうる。幾つかの場合には、本発明の細胞を培養するために、IL-2、IL-7およびIL-15が使用される。インターロイキンはIL-2またはアルデスコイキンでありうる。アルデスロイキンは低用量または高用量で投与されうる。高用量のアルデスロイキン療法は、忍容性に応じて、8時間ごとに約0.037mg/kg(600,000 IU/kg)で最大約14用量のアルデスロイキンを静脈内投与することを含みうる。免疫刺激物質(例えば、アルデスロイキン)は細胞投与後24時間以内に投与されうる。免疫刺激物質(例えば、アルデスロイキン)は、細胞注入後約4日までの間、約8時間ごとに約15分にわたって注入として投与されうる。免疫刺激物質(例、アルデスロイキン)は約100,000 IU/kgから、200,000 IU/kg、300,000 IU/kg、400,000 IU/kg、500,000 IU/kg、600,000 IU/kg、700,000 IU/kg、800,000 IU/kg、900,000 IU/kgまたは約1,000,000 IU/kgまでの用量で投与されうる。幾つかの場合には、アルデスロイキンは約100,000 IU/kg~300,000 IU/kg、300,000 IU/kg~500,000 IU/kg、500,000 IU/kg~700,000 IU/kg、700,000 IU/kg~約1,000,000 IU/kgの用量で投与されうる。免疫刺激物質(例えば、アルデスロイキン)は1用量~約14用量で投与されうる。
【0187】
幾つかの場合には、追加的物質は治療レジメの一部としての免疫抑制物質を含みうる。免疫抑制物質は放射線治療薬、生物製剤または化学物質を指す。幾つかの場合には、免疫抑制物質は化学物質を含みうる。例えば、化学物質は、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、フルダラビン、ニトロソウレア、白金、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミトラマイシンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含みうる。化学物質はシクロホスファミドまたはフルダラビンでありうる。
【0188】
また、免疫抑制物質には、グルココルチコイド、細胞増殖抑制物質、抗体、抗イムノフィリンまたはそれらの任意の誘導体が含まれうる。グルココルチコイドはアレルギー反応、炎症および自己免疫状態を抑制しうる。グルココルチコイドはプレドニゾン、デキサメタゾンおよびヒドロコルチゾンでありうる。免疫抑制療法は、免疫系を抑制する任意の治療を含みうる。免疫抑制療法は、レシピエントにおける移植拒絶を緩和、最小化または排除するのに役立ちる。例えば、免疫抑制療法は免疫抑制薬を含みうる。移植の前、途中および/または後に使用されうる免疫抑制薬には、MMF(ミコフェノール酸モフェチル(Cellcept))、ATG(抗胸腺細胞グロブリン)、抗CD154(CD4OL)、抗CD40(2C10、ASKP1240、CCFZ533X2201)、アレムツズマブ(Campath)、抗CD20(リツキシマブ)、抗IL-6R抗体(トシリズマブ、Actemra)、抗IL-6抗体(サリルマブ、オロキズマブ)、CTLA4-Ig(Abatacept/Orencia)、ベラタセプト(LEA29Y)、シロリムス(Rapimune)、エベロリムス、タクロリムス(Prograf)、ダクリズマブ(Ze-napax)、バシリキシマブ(Simulect)、インフリキシマブ(Remicade)、シクロスポリン、デオキシスペルグアリン、可溶性補体受容体1、コブラ毒因子、コンプスタチン、抗C5抗体(エクリズマブ/Soliris)、メチルプレドニゾロン、FTY720、エベロリムス、レフルノミド、抗IL-2R-Ab、ラパマイシン、抗CXCR3抗体、抗ICOS抗体、抗OX40抗体および抗CD122抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。更に、1以上の免疫抑制物質/薬が一緒に又は連続的に使用されうる。1以上の免疫抑制物質/薬が導入療法または維持療法に使用されうる。導入および維持段階では、同じまたは異なる薬物が使用されうる。幾つかの場合には、ダクリズマブ(Zenapax)が導入療法に使用され、タクロリムス(Prograf)およびシロリムス(Rapimune)が維持療法に使用されうる。ダクリズマブ(Zenapax)は導入療法にも使用可能であり、低用量タクロリムス(Prograf)および低用量シロリムス(Rapimune)は維持療法に使用可能である。免疫抑制は、全身照射、胸腺照射ならびに脾臓全摘および/または部分摘除(これらに限定されるものではない)を含む非薬物レジメンを用いても達成されうる。
【0189】
幾つかの場合には、医薬組成物は、薬学的に使用されうる製剤への活性化合物の加工を容易にする補助物質および賦形剤を含む1以上の生理的に許容される担体を使用して、通常の方法で製剤化(処方)される。適切な製剤は、選択される投与経路に左右される。本明細書に記載されている医薬組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth編(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.およびLachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)において見出される。
【0190】
医薬組成物は、所望により、従来の方法で、例えば単なる例示としては、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスにより製造される。
【0191】
ある実施形態においては、組成物はまた、1以上のpH調節剤またはバッファー、例えば酸、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸;塩基、例えば水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリス-ヒドロキシメチルアミノメタン;ならびにバッファー、例えばシトラート/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムを含みうる。そのような酸、塩基およびバッファーは、組成物のpHを許容範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0192】
他の実施形態においては、組成物は、組成物の浸透圧を許容範囲内にするのに必要な量の1以上の塩を含みうる。そのような塩には、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよびクロリド、シトラート、アスコルバート、ボラート、ホスファート、ビカルボナート、スルファート、チオスルファートまたはビスルフィットアニオンを含有するものが含まれ、適切な塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが含まれる。
【0193】
本明細書に記載されている医薬組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内または頭蓋内)、鼻腔内、頬側、舌下または直腸投与経路(これらに限定されるものではない)を含む任意の適切な投与経路により投与される。幾つかの場合には、医薬組成物は非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内、関節内、腹腔内または頭蓋内)投与用に製剤化される。
【0194】
本明細書に記載されている医薬組成物は、治療される個体による経口摂取のための水性経口分散剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤など、固体経口剤形、エアロゾル剤、制御放出製剤、急速溶解製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、拍動放出製剤、多粒子製剤ならびに混合即時放出および制御放出製剤(これらに限定されるものではない)を含む任意の適切な剤形に製剤化される。幾つかの実施形態においては、医薬組成物はカプセル剤に製剤化される。幾つかの実施形態においては、医薬組成物は溶液(例えば、IV投与用)に製剤化される。幾つかの場合には、医薬組成物は輸液(注入剤)として製剤化される。幾つかの場合には、医薬組成物は注射剤として製剤化される。
【0195】
本明細書に記載されている医薬固体剤形は、所望により、本明細書に記載されている化合物、および1以上の薬学的に許容される添加物、例えば適合性担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、加湿剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤またはそれらの1以上の組合せを含んでいてもよい。
【0196】
更に他の態様においては、標準的なコーティング(被覆)法、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Edition(2000)に記載されている方法を用いて、組成物の周囲にフィルムコーティングが施される。幾つかの実施形態においては、組成物は粒子(例えば、カプセル剤による投与用)に製剤化され、粒子の一部または全部がコーティングされる。幾つかの実施形態においては、組成物は粒子(例えば、カプセル剤による投与用)に製剤化され、粒子の一部または全部はマイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0197】
ある実施形態においては、本発明で提供される組成物は、微生物活性を抑制するための1以上の保存剤を含みうる。適切な保存剤には、水銀含有物質、例えばメルフェンおよびチオメルサール、安定化二酸化塩素、ならびに四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムが含まれる。
【0198】
本明細書中で言及される「増殖性疾患」は、過剰な細胞増殖および細胞マトリックスの代謝回転が、癌を含む幾つかの疾患の病因に有意に寄与することを示す統一概念を意味する。
【0199】
本明細書中で用いる「対象」または「患者」は、例えば癌または自己免疫状態または感染のような生理学的状態を有する若しくは発生している又はその疑いがあると診断された哺乳動物対象を意味する。幾つかの実施形態においては、「患者」または「対象」なる語は、癌を発生する可能性が平均より高い哺乳動物類対象を意味する。例示的な患者はヒト、類人猿、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類および本明細書に開示されてい治療から利益を受けうる他の哺乳動物でありうる。例示的なヒト対象は男性および/または女性でありうる。
【0200】
「投与」は、本明細書においては、本開示の組成物を患者に与えることを意味する。限定的でない例示として示すと、組成物の投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射または筋肉内(i.m.)注射により行われうる。1以上のそのような経路が用いられうる。非経口投与は、例えば、ボーラス注射により、または時間をかけて徐々に灌流することにより行われうる。代替的または同時に、投与は経口経路によるものでありうる。また、投与は細胞のボーラスもしくはペレットの外科的沈着または医療装置の配置によるものでありうる。
【0201】
「それを要する対象」または「それを要する患者」は、本明細書においては、疾患または障害、限定的なものではないが例えば増殖障害、例えば癌を有する又はその疑いがあると診断された対象または患者を意味する。1つの実施形態においては、対象または患者は固形腫瘍または白血病を有する又はそれを発生する可能性が高い。幾つかの実施形態においては、白血病は例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML)でありうる。
【0202】
本開示の組成物は、CD277のJ配置に結合するポリペプチド構築物をコードする核酸配列を発現する操作された細胞または該核酸配列を含むベクターを、増殖性疾患を治療または予防するのに有効な量で含みうる。本明細書中で用いる「治療」、「治療する」などの語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。幾つかの実施形態においては、効果は治療的である。すなわち、効果は、疾患および/または疾患に起因する有害な症状を部分的または完全に治癒させる。この目的のために、本発明の方法は、本発明の核酸配列を発現する宿主細胞または本発明の核酸配列を含むベクターを含む「治療的有効量」の組成物を投与することを含む。
【0203】
「治療的有効量」は、必要な用量および期間で、所望の治療結果を達成するのに有効な量を意味する。治療的有効量は、個体の病態、年齢、性別および体重ならびに個体において所望の応答を誘発する本発明の核酸配列の能力のような要因によって異なりうる。
【0204】
あるいは、薬理学的および/または生理学的効果は「予防的」であることが可能であり、すなわち、該効果が疾患またはその症状を完全または部分的に予防することが可能である。
【0205】
「予防的有効量」は、必要な用量および期間で、所望の予防結果(例えば、疾患開始の予防)を達成するのに有効な量を意味する。
【0206】
「消泡剤」は、水性分散液の凝固、最終被膜における気泡をもたらしたり又は一般に加工を損ないうる、加工中の発泡を低減する。例示的な消泡剤には、シリコンエマルジョンまたはセスキオレイン酸ソルビタンが含まれる。
【0207】
「抗酸化剤」には、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびトコフェロールが含まれる。ある実施形態においては、抗酸化剤は、必要に応じて化学的安定性を増強する。
【0208】
本明細書に記載されている製剤は抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物および他の一般的な安定化剤から利益を受けうる。そのような安定化剤の例には、(a)約0.5%~約2% w/v グリセロール、(b)約0.1%~約1% w/v メチオニン、(c)約0.1%~約2% w/v モノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mM EDTA、(e)約0.01%~約2% w/v アスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02% w/v ポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05% w/v ポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ポリ硫酸ペントサンおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛のような二価カチオン、または(n)それらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0209】
「結合剤」は凝集性を付与し、例えば以下のものを包含する:アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))および微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標));微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガカント、デキストリン、糖、例えばスクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))およびラクトース;天然または合成ガム、例えばアカシア、トラガカント、ガッティガム、イサポール殻の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラボガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなど。
【0210】
「担体」または「担体物質」は、医薬における任意の一般に使用される賦形剤を包含し、イブルチニブおよび抗癌剤の化合物のような本明細書に開示されている化合物に対する適合性および所望の剤形の放出プロファイル特性に基づいて選択されるべきである。例示的な担体物質には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれる。「薬学的に適合性のある担体物質」には、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼインナトリウム、ダイズレシチン、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、セルロースおよびセルロースコンジュゲート、糖ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどが含まれうるが、これらに限定されるものではない。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.およびLachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照されたい。
【0211】
「分散剤」および/または「粘度調節剤」には、造粒方法もしくはブレンド方法または液体媒体にわたる薬物の拡散および均質性を制御する物質が含まれる。幾つかの実施形態においては、これらの物質はコーティングまたは侵食マトリックスの有効性をも促進する。例示的な拡散促進剤/分散剤には、例えば以下のものが含まれる:親水性高分子、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;Plasdone(登録商標)として商業的に公知)、および炭水化物に基づく分散剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えば、HPC、HPC-SLおよびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアラート(HPMCAS)、非結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール重合体(チロキサポールとしても公知)、ポロキサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)、F88(登録商標)およびF108(登録商標);これらはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体である);ならびにポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標);Poloxamine 908(登録商標)としても公知;これは、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの逐次付加から誘導される四官能性ブロック共重合体である(BASF Corporation,Parsippany,NJ))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S-630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000または約3350~約4000または約7000~約5400の分子量を有しうる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えばトラガカントガムおよびアカシアガム、グアーガム、キサンタン、例えばキサンタンガム、糖、セルロース系物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウラート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウラート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギナート、キトサンおよびそれらの組合せ。セルロースまたはトリエチルセルロースのような可塑剤も分散剤として使用されうる。リポソーム分散液および自己乳化分散液において特に有用な分散剤としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵由来天然ホスファチジルコリン、卵由来天然ホスファチジルグリセロール、コレステロールおよびミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。
【0212】
1以上の拡散促進剤との1以上の浸食促進剤の組合せも本組成物において使用されうる。
【0213】
「希釈剤」なる語は、送達前に目的化合物を希釈するために使用される化学物質を意味する。希釈剤は、より安定な環境をもたらしうるため、化合物を安定化するためにも使用されうる。緩衝溶液中に溶解した塩(これはpHの制御または維持をももたらしうる)は、リン酸緩衝食塩水(これに限定されるものではない)を含む当技術分野における希釈剤として使用される。ある実施形態においては、希釈剤は組成物の体積を増加させて、圧縮を促進し、またはカプセル充填のための均質混合のための十分な体積を生成する。そのような化合物には、例えば以下のものが含まれる:ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標);二塩基性リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;アルファ化デンプン、圧縮性糖、例えばDi-Pac(登録商標)(Amstar);マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ステアリン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースに基づく希釈剤、製菓用糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストラート;加水分解穀物固体、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなど。
【0214】
「充填剤」は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのような化合物が含まれる。
【0215】
「潤滑剤」および「流動促進剤」は、物質の接着または摩擦を予防、低減または抑制する化合物である。例示的な潤滑剤には、例えば以下のものが含まれる:ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、炭化水素、例えば鉱油、または硬化植物油、例えば硬化大豆油(Sterotex(登録商標))、高級脂肪酸ならびにそれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000)またはメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、グリセリルベヘナート、ポリエチレングリコール、マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、コロイドシリカ、例えばSyloid(商標)、Cab-O-Sil(登録商標)、デンプン、例えばコーンスターチ、シリコーンオイル、界面活性物質など。
【0216】
「可塑剤」は、マイクロカプセル化材料またはフィルムコーティングを軟化してそれらの脆弱性を低下させるために使用される化合物である。適切な可塑剤には、例えばポリエチレングリコール、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350およびPEG800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロースならびにトリアセチンが含まれる。幾つかの実施形態においては、可塑剤は分散剤または湿潤剤としても機能しうる。
【0217】
「可溶化剤」には、例えば以下のような化合物が含まれる:トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクサート、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール200-600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルビド。
【0218】
「安定剤」には、任意の抗酸化剤、バッファー、酸、保存剤のような化合物が含まれる。
【0219】
「懸濁化剤」には、例えば以下のような化合物が含まれる:ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000または約3350~約4000または約7000~約5400の分子量を有しうる)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ステアリン酸ヒドロキシメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えばトラガカントガムおよびアカシアガム、グアーガム、キサンタン、例えばキサンタンガム、糖、セルロース系物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウラート、ポビドンなど。
【0220】
「界面活性剤」には、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドキュサート、ツイーン(Tween)60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルベート、ポラキソマー、胆汁酸塩、グリセリルモノステアラート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などのような化合物が含まれる。幾つかの他の界面活性物質には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、および植物油、例えばポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40が含まれる。幾つかの実施形態においては、物理的安定性を増強するために、または他の目的のために、界面活性剤が配合されうる。
【0221】
「粘度増強剤」には、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギナート、アカシア、キトサンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0222】
「湿潤剤」には、例えばオレイン酸、グリセリルモノステアラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ナトリウムドキュサート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムナトリウムドキュサート、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などのような化合物が含まれる。
【0223】
キット/製造品
ある実施形態においては、本明細書は、本明細書に記載されている1以上の方法で使用するためのキットおよび製造品を開示する。そのようなキットは、担体、パッケージ、または1以上の容器を収容するために区画化された容器(例えば、バイアル、チューブなど)を含み、該容器のそれぞれは、本明細書に記載されている方法で使用される別々の要素の1つを含む。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジおよび試験管が含まれる。1つの実施形態においては、容器は、種々の材質、例えばガラスまたはプラスチックから形成される。
【0224】
本発明で提供される製造品は包装(パッケージング)材を含有する。医薬品包装材の例には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、ならびに選択された製剤と意図される投与および治療方法とに適した任意の包装材が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0225】
例えば、容器は、CD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を含み、そして所望により更に、本明細書に開示されているサイトカインおよび/または化学療法剤および/または追加的な物質、例えば、哺乳類メバロン酸経路の中間体、例えばイソペンテニルピロホスファート(IPP)、および微生物の2-C-メチル-D-エリチトール 4-リン酸(MEP)経路の中間体を含んでいてもよい。そのようなキットは、所望により、識別表示もしくはラベル、または本明細書に記載されている方法におけるその使用に関する説明を含んでいてもよい。
【0226】
キットは、典型的には、内容物および/または使用説明を示すラベル、ならびに使用説明付きの添付文書を含む。典型的には、一組の説明書も含まれる。
【0227】
幾つかの実施形態においては、ラベルは容器の表面に存在し、または容器に添付される。1つの実施形態においては、ラベルが容器の表面に存在するのは、ラベルを構成する文字、数字もしくは他の符号が容器自体に貼られ、成形され、またはエッチングされている場合であり、ラベルが容器に添付されるのは、それが、例えば添付文書として、容器を収容する受容器または担体内に存在する場合である。1つの実施形態においては、ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されることを示すために使用される。ラベルはまた、例えば本明細書に記載されている方法における内容物の使用説明を示す。
【0228】
認識表現型
本発明で提供される或る実施形態においては、ポリペプチド構築物、それをコードするヌクレオチドおよび/またはそれを含有する操作された細胞は標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を認識しうる。幾つかの実施形態においては、操作されたT細胞は、標的細胞の表面上で発現される特定の抗原(例えば、CD277)に特異的なVγ9Vδ2 TCRを発現しうる。標的細胞上の特定の抗原を認識しうる1以上のT細胞を特定するための方法を本明細書に記載する。特定の抗原を認識しうるT細胞またはT細胞集団は、T細胞のTCR(例えば、Vγ9Vδ2 TCR)と、標的細胞の表面上で発現されるタンパク質、抗原、リガンドまたは細胞表面分子(例えば、CD277)との間の物理的相互作用の結果として生じる認識表現型に関してアッセイすることにより特定されうる。幾つかの実施形態においては、認識表現型は、Vγ9Vδ2 TCRによる標的細胞の認識の結果としてT細胞において生じる細胞状態の変化でありうる。例えば、細胞状態の変化には、T細胞のVγ9Vδ2 TCR媒介性活性化により生じるインターフェロン(IFN)γ産生レベルの変化が含まれることが可能であり、これは、当技術分野で公知の方法(例えば、IFN-γELISPOT分析)により検出可能である。他の例においては、認識表現型を示す細胞状態の変化は、標的細胞のVγ9Vδ2 TCR媒介性認識から生じる遺伝子発現(例えば、qRT-PCRまたはマイクロアレイ分析により特定される)および/またはタンパク質発現(例えば、ウエスタンブロットまたは免疫細胞化学アッセイにより特定される)の定性的または定量的変化を含む分子変化を伴いうる。他の実施形態においては、認識表現型はT細胞のTCRと標的細胞の細胞表面タンパク質、リガンドまたは抗原との間の相互作用の物理的発現を含みうる。例えば、認識表現型は、T細胞のVγ9Vδ2 TCRと標的細胞の細胞表面タンパク質、リガンドまたは抗原との物理的結合を伴いうる。ある実施形態においては、認識表現型は、標的細胞の表面上のCD277分子のJ配置とVγ9Vδ2 TCRとを含む物理的複合体の形成を伴う。認識表現型が受容体とリガンドとを含む複合体の形成を伴う場合、表現型は、免疫沈降、細胞選別または免疫細胞化学法を含む公知方法により特定されうる。
【0229】
本明細書に記載されている実施形態においては、認識表現型は、異なる対象間および/または異なる対象から得られた細胞の間で様々でありうる。例えば、幾つかの実施形態においては、異なる対象から得られた標的細胞は、操作された細胞において発現されたVγ9Vδ2 TCRが(例えば、標的細胞の表面で発現されたCD277を介して)標的細胞を認識する度合において様々でありうる。幾つかの対象から得られた標的細胞の表面分子は、操作された細胞において発現されたVγ9Vδ2 TCRによって、高いアフィニティで認識されうる。他の対象から得られた標的細胞の場合、標的細胞の表面分子は低いアフィニティで認識可能であり、または全く認識されない。異なる対象の標的細胞間のVγ9Vδ2 TCRによる認識の変動は、それらの細胞により発現される認識表現型の変動において現れる。例えば、Vγ9Vδ2 TCRを発現するT細胞への曝露の後、異なる対象の標的細胞は、IFN-γの産生の量、遺伝子もしくはタンパク質の発現レベルもしくはパターン、および/またはT細胞のVγ9Vδ2 TCRと標的細胞の細胞表面タンパク質(例えば、CD277)との間の物理的相互作用の度合において変動しうる。
【0230】
本明細書に記載されているポリペプチド構築物、それをコードするポリヌクレオチドおよびそれを含有する操作された細胞は、それを要する対象を治療するために使用された場合に、種々の治療効果を示しうる。本明細書は、患者または患者の細胞により示される個々の表現型の強度に基づく、複数の治療群への患者集団(例えば、癌患者集団)の層別化を含む方法を開示する。幾つかの実施形態においては、患者を治療群に層別化するために使用される表現型は認識表現型である。例えば、IFN-γの産生レベルまたは遺伝子発現の定量的もしくは定性的パターンを含む、Vγ9Vδ2 TCRを発現するT細胞への曝露の後に患者から得られた標的細胞における認識表現型の存在、非存在または度合に基づいて、幾つかの群に患者集団が層別化されうる。幾つかの実施形態においては、患者を治療群に層別化するために使用される表現型は、Vγ9Vδ2 TCRを発現するT細胞と標的細胞との間の認識の度合に基づく認識表現型ではない。その代わりに、層別化の基礎として使用される表現型は、T細胞への曝露の前に標的細胞に存在するマーカー(すなわち、バイオマーカー)でありうる。例えば、細胞表面発現CD277分子におけるJ配置の存在または非存在は、患者の標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の間で変動する表現型であることが可能であり、したがってそれは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物が投与された場合に治療成功の種々の可能性を有する種々の群に患者を分離または層別化するための基礎として使用されうる。
【0231】
幾つかの実施形態においては、患者は、陽性(良好な)治療予後を有する層別化群と不良治療予後を有する層別化群とを含む少なくとも2つの治療群に層別化される。幾つかの実施形態においては、陽性治療予後の層別化群に分類される患者は、IFN-γ産生のような認識表現型およびVγ9Vδ2 TCRと標的細胞のCD277分子との間の物理的相互作用を(例えば、該TCRと該CD277分子との両方を含む複合体の形態で)示す標的細胞を有する。幾つかの実施形態においては、陽性治療予後の層別化群に分類される患者は、Vγ9Vδ2 T細胞との接触の前にJ配置を有するCD277細胞表面分子を示す標的細胞を有する。幾つかの実施形態においては、陽性治療予後の層別群に分類される患者は、1以上の認識表現型(例えば、IFN-γ産生)の発現を欠く若しくは該発現の低下を示す標的細胞、またはJ配置を有するCD277細胞表面分子を示さない標的細胞を有する。
【0232】
多型変異および遺伝的関連
「ヌクレオチド多型」、「遺伝的多型」および「ヌクレオチド配列多型」なる語は本明細書において互換的に用いられ、単一個体における又は個体間のゲノムの特定の位置(すなわち、「遺伝子座」)におけるヌクレオチド配列の変動を意味する。幾つかの場合には、遺伝的多型は個体の細胞内の遺伝子座に存在する(すなわち、該個体は特定のヌクレオチド配列に関する遺伝子座においてヘテロ接合である)。他の場合には、個体の特定の遺伝子座におけるヌクレオチド配列は不変である(すなわち、該個体は特定の遺伝子座にけるヌクレオチド配列に関してホモ接合である)が、該遺伝子座におけるヌクレオチド配列は、第2の個体のDNAと比較した場合に多型である。ある実施形態においては、ヌクレオチド多型には、遺伝子座における単一ヌクレオチドにおける変異が含まれる。そのような場合には、ヌクレオチド多型は一塩基多型またはSNPと称される。他の実施形態においては、ヌクレオチド多型は、SNPの代わりに又はそれに加えて、他のタイプのDNA変異を含みうる。本明細書においては、「多型」なる語は、一塩基多型、ならびに構造的変異、例えば挿入、欠失、逆位および重複を含む、任意の形態のDNA変異を想定している。
【0233】
ある実施形態においては、ヌクレオチド多型(例えば、SNP)は、該多型の種々の形態を含有する細胞、組織または生物の間の表現型差異を引き起こす機能的変異でありうる。例えば、SNPは遺伝子のオープンリーディングフレーム内に位置し、それにより、該遺伝子によりコードされるタンパク質に組込まれたアミノ酸の配列に直接的な影響を及ぼしうる。他の非限定的な例では、多型は、遺伝子から転写されるmRNAのスプライシングを改変することにより(例えば、SNPがスプライス部位に位置する場合)、または遺伝子の発現のレベルを改変することにより(例えば、SNPが遺伝子のプロモーター内に位置する場合)、またはタンパク質の翻訳後修飾に影響を及ぼすことにより(例えば、SNPが、別のタンパク質の翻訳後修飾をもたらす因子の発現または機能に影響を及ぼす場合)、個体間の表現型差異をもたらしうる。ある他の実施形態においては、ヌクレオチド多型は、該多型の種々の形態を含有する個体の間の表現型差異に直接的につながらない非機能的または中立的変異でありうる。
【0234】
ある実施形態においては、遺伝的多型は(機能的または非機能的のいずれの場合も)、特定の形質(例えば、細胞、組織または生物表現型)と関連するものとして関連解析において特定されうる。本明細書においては、「遺伝的関連性」が存在すると言えるのは、個体の集団内または異なる個体に由来する細胞の集団内の1以上の遺伝子型が、偶発的事象だと予想されるものより頻繁に表現型形質と共に生じる場合である。幾つかの実施形態においては、表現型形質は、Vγ9Vδ2 TCRを発現するT細胞による標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の認識の結果として現れる認識表現型を含みうる。幾つかの実施形態においては、表現型形質は、標的細胞の、1以上の細胞表面分子ののコンホメーションを含みうる。幾つかの実施形態においては、表現型形質は、標的細胞の細胞表面CD277分子におけるJ配置の存在または非存在を含みうる。幾つかの実施形態においては、表現型形質は特定の遺伝子座における特定の個体の接合性を含みうる。幾つかの実施形態においては、表現型形質は標的細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるRhoBの活性を含みうる。本明細書においては、「活性」なる語は、タンパク質(例えば、RhoB)に関して用いられる場合、タンパク質の細胞機能を意味する。タンパク質の活性は、該タンパク質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列(例えば、遺伝子が突然変異している場合)、遺伝子の転写のレベルおよび時機、転写されるmRNAのスプライシングのパターン、該タンパク質の翻訳後修飾、細胞における該タンパク質または該タンパク質をコードするmRNAの移行のパターン、ならびにその機能に影響を及ぼす細胞因子との該タンパク質の適切な相互作用[これは、例えば、そのコンホメーションおよび/または活性を変化させることにより、あるいは細胞の適切な位置(例えば、細胞表面)に該タンパク質を配置してその機能を発現させることによりもたらされる]を含む多数の細胞事象および因子により影響される。したがって、タンパク質の活性の変化(例えば、タンパク質活性の増加または減少)は、細胞内で果たされるタンパク質の機能の変化をもたらしうる任意の細胞メカニズムを想定している。例えば、RhoBに関しては、幾つかの実施形態においては、癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行に影響を及ぼすことにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、RhoB GTPアーゼが癌細胞の細胞膜に維持されるかどうかに影響を及ぼすことにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行の増加または減少をもたらすことにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増加または減少させることにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、転写産物の修飾を変化させることにより(例えば、選択的スプライシング)、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、細胞内のRhoB GTPアーゼの安定性を増加または減少させることにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、RhoB GTPアーゼと第2のタンパク質(例えば、BNT3タンパク質)との相互作用を増加または減少させることにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、RhoB GTPアーゼを活性化または非活性化することにより、活性が変化されうる。幾つかの実施形態においては、RhoB GTPアーゼと非タンパク質小分子(例えば、GTP)との相互作用を増加または減少させることにより、活性が変化されうる。
【0235】
幾つかの実施形態においては、1以上のヌクレオチド配列多型の存在または非存在は、治療群に患者を層別化するために用いられ、それらは、本明細書に開示されているポリペプチド構築物での治療に対する患者らの治療応答において異なりうる。例えば、SNPの特定の形態の存在は、治療の成功を予測することが知られている表現型形質(例えば、J配置の存在/非存在または比較的高い若しくは低いRhoB活性)に関連していることが見出されうる。特定された遺伝的関連に基づいて、本明細書に開示されている特定の治療を受ける候補である患者は、表現型形質と相関する多型の存在または非存在に関してスクリーニング(すなわち、遺伝子型決定)されうる。ついで、スクリーニングされた患者は、多型の存在または非存在に基づいて複数の患者集団または群に分類されうる。各患者集団は層別化群を表すことが可能であり、該層別化群は、該層別化群内の特定の患者が特定の治療的介入に陽性応答または不良応答で応答する確率を表しうる(すなわち、異なる階層化群における患者は、治療に陽性応答する、異なる確率に割り当てられる)。本明細書においては、「陽性」なる語は、治療応答または層別化群に関して用いられる場合、治療が適用される目的を達成または部分達成する治療結果を意味する。例えば、幾つかの実施形態においては、治療に対する患者の陽性応答は、本明細書に記載されている組成物への曝露による少なくとも幾つかの癌細胞の除去を伴う。本明細書においては、「陽性」応答は「不良」応答と比較して用いられ、これは、幾つかの実施形態においては、陽性応答を示す第2層別化群の応答より低い層別化群の治療応答である。幾つかの実施形態においては、患者は少なくとも2つの患者群に層別化されることが可能であり、第1の患者群は治療に対する陽性応答を示すと予測され(すなわち、陽性治療予後層別化群)、一方、第2の患者群は比較的不良な治療応答を示すと予測される(すなわち、不良治療予後層別化群)。
【0236】
患者の標的細胞のヌクレオチド配列多型および/または或る表現型形質(例えば、CD277のJ配置、RhoB活性)は、本明細書に開示されている組成物の投与を含む治療に対する患者の治療応答を予測または予後判定する1以上のバイオマーカーを表しうることが、前記説明から理解されるであろう。幾つかの実施形態においては、患者は、患者の標的細胞におけるバイオマーカーの存在または非存在に基づいて、異なる層別化群に層別化されうる。幾つかの実施形態においては、バイオマーカーはヌクレオチド配列多型(例えば、SNP)またはエピジェネティック修飾であり、ヌクレオチド配列多型またはエピジェネティック修飾を有する患者は陽性層別化群に層別化され、一方、ヌクレオチド配列多型またはエピジェネティック修飾を欠く患者は不良層別化群に層別化される。幾つかの実施形態においては、バイオマーカーはヌクレオチド配列多型(例えば、SNP)またはエピジェネティック修飾であり、ヌクレオチド配列多型またはエピジェネティック修飾を欠く患者は陽性層別化群に層別化され、一方、ヌクレオチド配列多型またはエピジェネティック修飾を有する患者は不良層別化群に層別化される。幾つかの実施形態においては、前記のとおり、バイオマーカーは、不良または陽性治療応答に関連した認識表現型(例えば、IFN-γの産生)または標的細胞表現型(例えば、細胞表面CD277分子におけるJ配置の存在)である。幾つかの実施形態においては、1つのバイオマーカーは、患者を異なる層別化群に層別化するために使用される。他の実施形態においては、複数のバイオマーカーは、患者を層別化するために使用される。例えば、患者の標的細胞が特定のヌクレオチド配列多型またはエピジェネティック修飾と特定の認識表現型または標的細胞表現型との両方を示す場合に、患者は陽性層別化群に層別化されうる。
【0237】
本開示は、ヌクレオチド配列、多型の存在および同一性ならびに特定の遺伝子座における接合性を含むゲノム情報をアーカイブしたデータコレクションの使用を想定している。データコレクションの一例は、Centre d’Etude du Polymorphisms Huain(CEPH)からの細胞系のライブラリであり、これは、幾つかの家系から得られ数百万個のSNPに関して遺伝子型決定されたエプスタインバールウイルス(EBV)形質転換B細胞系(EBV-LCL)の大規模コレクションを含む。データコレクションのもう1つの例は、International HapMapプロジェクトにより作成されたハプロタイプ地図である。幾つかの実施形態においては、データコレクションは仮定的または予測ゲノムパラメータをアーカイブしうる。例えば、候補遺伝子座に関する仮定的接合性は、家系内からの古典的メンデル遺伝パターンを使用して推定されうる。
【0238】
更に、本明細書は、個々の治療応答を予測または予後判定する、対象の標的細胞における遺伝的およびエピジェネティック変異を特定するための方法を開示する。例えば、患者の標的細胞(例えば、腫瘍細胞)は以下のとおりにスクリーニングされうる。T細胞受容体を発現する操作された細胞(例えば、T細胞)を含む組成物と該細胞を接触させ、ついで、該組成物への曝露の結果としての該細胞の免疫活性化のレベル(例えば、IFN-γのレベルまたは活性)のような認識表現型を検出することが可能である。該組成物への曝露に対する標的細胞の応答に応じて、対象は特定(例えば、陽性)の層別化群に分類されうる。例えば、該組成物への標的細胞の曝露がT細胞における免疫活性化を誘発する場合、患者は陽性層別化群に分類されうる。幾つかの実施形態においては、標的細胞における免疫活性化の存在または非存在は標的細胞における遺伝的および/またはエピジェネティック変異と関連づけられうる。幾つかの実施形態においては、標的細胞の特定の表現型形質(例えば、認識表現型)を遺伝的またはエピジェネティック変異体と関連づけるために、標的細胞に関する遺伝子型またはエピジェネティック情報が(例えば、データコレクションから)得られる。本開示は、遺伝的またはエピジェネティック変異を特定の認識表現型および/または予測治療応答と関連づけるために、別の患者の細胞と比較して患者の標的細胞における遺伝的またはエピジェネティック変異を特定するための任意の方法を想定している。例えば、特定の遺伝的変異体(例えば、SNP)が標的細胞の表現型形質(例えば、認識表現型)に関連しているかどうかを決定するために、ゲノムワイド関連研究(GWAS)が行われうる。他の場合には、認識表現型および/または治療応答に関連づけられうる候補エピジェネティックマークを特定するために、種々の対象の標的細胞からのDNAのエピジェネティックデータ(例えば、メチル化状態)が比較される。更に他の例では、特定の表現型形質に関連づけられうる候補遺伝子座を特定するために、家系からのデータを使用して特定の遺伝子座における接合性が仮定されうる。
【0239】
特定の実施形態においては、複数の遺伝子座における予測接合性はCEPH個体のSNP遺伝子型と相関し、例えばssSNPerのようなソフトウェアツールを使用して計算されうる。例えば、連鎖不平衡に関する閾値としてr2=0.8を使用して、SNP注釈およびプロキシ検索(SNP Annotation and Proxy Search)(SNAP)ツールに照会することにより、y ssSNPerにより生成されたSNPの500kb以内のプロキシSNPが収集されうる。ssSNPer SNPおよびそれらのプロキシのeQTL分析が、Genevar(GENe Expression VARiation)ツールを使用して行われうる。
【0240】
SAPPHIRE(サファイア)
本明細書は、SAPPHIRE(SNP-associated computational pathway hunt including shRNA evaluation)と称される技術を用いて、受容体媒介性標的細胞認識に関連した遺伝子座を特定する方法を開示する。例えば、腫瘍細胞の遺伝的バックグラウンドにおける差異はVγ9Vδ2 TCR操作T細胞(例えば、本明細書に記載されている細胞)によるこれらの細胞の認識に影響を及ぼしうる。幾つかの実施形態においては、幾つかの家系から得られ数百万個のSNPに関して遺伝子型決定されたEBV形質転換B細胞系(EBV-LCL)の大規模コレクションを含む細胞系のライブラリーが使用されうる(Daussetら,Centre d’etude dupolymorphisme humain (CEPH):collaborative genetic mapping of the human genome.Genomics.1990;6:575-7;INTERNATIONAL HAPMAP,C.The International HapMap Project.Nature.2003;426:789-96)。Vγ9Vδ2 TCR T細胞によるEBV-LCLの認識表現型はIFNγ産生により評価されうる。CD4+またはCD8+ Vγ9Vδ2 T細胞のいずれかを使用して、表現型分析に対するNK様受容体の効果が低減または増強されうる。CD4+ T細胞は少量のNK様受容体を発現して分析を容易にする。候補遺伝子座に関する仮定的接合性は、CEPHファミリートリオ内の古典的メンデル遺伝パターンを使用して推定可能であり、この場合、受容体媒介性認識、例えばVγ9Vδ2 TCR媒介性認識に対する候補対立遺伝子の影響が支配的であると仮定されうる。1つの実施形態においては、IFNγ産生により評価されるVγ9Vδ2 TCR T細胞によるEBV-LCLの認識表現型はEBV-LCLのサブセットに関する活性化表現型およびEBV-LCLの別のサブセットに関する非活性化表現型を示しうる。ついで、CEPH細胞系の家系と組合された認識表現型を使用して、活性化および非活性化EBV-LCLサブセットの接合性が予測されうる。ついで、仮定的遺伝子座接合性が研究集団内のSNPの利用可能な遺伝子型情報と相関されて、予測接合性に対する強い相関性を示す遺伝子型を有するSNPの特定をもたらしうる。本明細書における「強い相関性」は、幾つかの実施形態においては、80%超、85%超、90%超、95%超または99%超を意味しうる。
【0241】
幾つかの実施形態においては、特定されたSNPは、T細胞受容体を発現する細胞(例えば、Vγ9Vδ2 TCR T細胞)の免疫活性化に(例えば、遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションにより)影響を及ぼしうる対応遺伝子に近位の染色体上に位置しうる。幾つかの実施形態においては、「近位」は10,000bp超、50,000bp超、100,000bp超、200,000bp超、300,000bp超、500,000bp超または1Mbp超を意味する。他の実施形態においては、特定されたSNPは、T細胞受容体を発現する細胞(例えば、Vγ9Vδ2 TCR T細胞)の免疫活性化に(例えば、遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションにより)影響を及ぼしうる対応遺伝子とは異なる染色体上に位置しうる。
【0242】
本明細書および実施例は本発明の実施形態を詳細に例示している。本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって変動可能であると理解されるべきである。本発明の範囲内に含まれる、本発明の多数の変形および修飾が存在する、と当業者は認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【
図1A】
図1A~1Bは、所定の受容体(例えば、Vγ9Vδ2 TCR媒介性認識)を発現する操作された細胞に関連した遺伝子座を特定するために使用されるCEPH EBV-LCL系を示す。
図1Aは、3つの独立した実験においてVγ9Vδ2 TCR+ T細胞によりEBV-LCL系が認識される(+)か又は認識されない(-)かを示す認識表現型を示す。
図1Bは、EBV-LCLの認識表現型がIFNγ-ELIスポットアッセイにより評価されたことを示し(黒色棒グラフ:活性化無し;灰色棒グラフ:活性化)、この場合、EBV-LCLを、ABPパミドロネートの存在下、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞に対する標的として使用した。図は代表的な実験のIFNγスポットの数を示す。
【
図1B】
図1A~1Bは、所定の受容体(例えば、Vγ9Vδ2 TCR媒介性認識)を発現する操作された細胞に関連した遺伝子座を特定するために使用されるCEPH EBV-LCL系を示す。
図1Aは、3つの独立した実験においてVγ9Vδ2 TCR+ T細胞によりEBV-LCL系が認識される(+)か又は認識されない(-)かを示す認識表現型を示す。
図1Bは、EBV-LCLの認識表現型がIFNγ-ELIスポットアッセイにより評価されたことを示し(黒色棒グラフ:活性化無し;灰色棒グラフ:活性化)、この場合、EBV-LCLを、ABPパミドロネートの存在下、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞に対する標的として使用した。図は代表的な実験のIFNγスポットの数を示す。
【
図2A】
図2A~2Cは、特定の細胞における所定の受容体の活性化に関連した遺伝子座を特定するためのSAPPHIRE(
SNP-
Associated com
Putational
Pathway
Hunt Including sh
RNA
Evaluation)を示す。
図2Aは、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞によるCEPH EBV-LCL系の認識が、各細胞系における候補遺伝子座の仮定的接合性を推定するための基礎をもたらしたことを示している(黒色:認識された;白色:認識されなかった;正方形:男性;円形:女性;+/-:ヘテロ接合体;/-:ホモ接合陰性;+/:未決定)。2つのCEPHファミリーのメンバーが例示として示されている。細胞系のCEPH ID番号に関しては、
図1Aを参照されたい。
図2Bは、遺伝子関連解析が、細胞系の予想接合性と100%(r
2=1)相関した遺伝子型を有する17個のSNPを示したことを示している。SNPの位置および最も近い隣接遺伝子が示されている。Vγ9Vδ2 TCRクローンG115またはHLA-A*0201-制限WT1
126
134特異的aβTCRのいずれかが導入されたT細胞によるEBV-LCL 48の認識に対する候補遺伝子のノックダウンの効果が黒丸(T細胞活性化に対する有意な効果)および白丸(効果無し)で示されている。WT1 aβTCR+ T細胞による認識を試験するために、EBV-LCL 48系にWT1
126
134ペプチドを添加した。
図2Cは、関連解析から得られたSNPの、候補遺伝子に対する関連付けを示す。RhoBに隣接するSNPの遺伝的領域が一例として示されている。各棒グラフ(バー)は1つのSNPを表し、r
2値は予想接合性とSNP遺伝子型との相関性を表す。
【
図2B】
図2A~2Cは、特定の細胞における所定の受容体の活性化に関連した遺伝子座を特定するためのSAPPHIRE(
SNP-
Associated com
Putational
Pathway
Hunt Including sh
RNA
Evaluation)を示す。
図2Aは、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞によるCEPH EBV-LCL系の認識が、各細胞系における候補遺伝子座の仮定的接合性を推定するための基礎をもたらしたことを示している(黒色:認識された;白色:認識されなかった;正方形:男性;円形:女性;+/-:ヘテロ接合体;/-:ホモ接合陰性;+/:未決定)。2つのCEPHファミリーのメンバーが例示として示されている。細胞系のCEPH ID番号に関しては、
図1Aを参照されたい。
図2Bは、遺伝子関連解析が、細胞系の予想接合性と100%(r
2=1)相関した遺伝子型を有する17個のSNPを示したことを示している。SNPの位置および最も近い隣接遺伝子が示されている。Vγ9Vδ2 TCRクローンG115またはHLA-A*0201-制限WT1
126
134特異的aβTCRのいずれかが導入されたT細胞によるEBV-LCL 48の認識に対する候補遺伝子のノックダウンの効果が黒丸(T細胞活性化に対する有意な効果)および白丸(効果無し)で示されている。WT1 aβTCR+ T細胞による認識を試験するために、EBV-LCL 48系にWT1
126
134ペプチドを添加した。
図2Cは、関連解析から得られたSNPの、候補遺伝子に対する関連付けを示す。RhoBに隣接するSNPの遺伝的領域が一例として示されている。各棒グラフ(バー)は1つのSNPを表し、r
2値は予想接合性とSNP遺伝子型との相関性を表す。
【
図2C】
図2A~2Cは、特定の細胞における所定の受容体の活性化に関連した遺伝子座を特定するためのSAPPHIRE(
SNP-
Associated com
Putational
Pathway
Hunt Including sh
RNA
Evaluation)を示す。
図2Aは、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞によるCEPH EBV-LCL系の認識が、各細胞系における候補遺伝子座の仮定的接合性を推定するための基礎をもたらしたことを示している(黒色:認識された;白色:認識されなかった;正方形:男性;円形:女性;+/-:ヘテロ接合体;/-:ホモ接合陰性;+/:未決定)。2つのCEPHファミリーのメンバーが例示として示されている。細胞系のCEPH ID番号に関しては、
図1Aを参照されたい。
図2Bは、遺伝子関連解析が、細胞系の予想接合性と100%(r
2=1)相関した遺伝子型を有する17個のSNPを示したことを示している。SNPの位置および最も近い隣接遺伝子が示されている。Vγ9Vδ2 TCRクローンG115またはHLA-A*0201-制限WT1
126
134特異的aβTCRのいずれかが導入されたT細胞によるEBV-LCL 48の認識に対する候補遺伝子のノックダウンの効果が黒丸(T細胞活性化に対する有意な効果)および白丸(効果無し)で示されている。WT1 aβTCR+ T細胞による認識を試験するために、EBV-LCL 48系にWT1
126
134ペプチドを添加した。
図2Cは、関連解析から得られたSNPの、候補遺伝子に対する関連付けを示す。RhoBに隣接するSNPの遺伝的領域が一例として示されている。各棒グラフ(バー)は1つのSNPを表し、r
2値は予想接合性とSNP遺伝子型との相関性を表す。
【
図3A】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図3B】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図3C】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図3D】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図3E】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図3F】
図3Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用してRhoBを293HEK細胞においてノックアウトし、単細胞クローンを安定な完全ノックアウト表現型として選択し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識に対する完全ノックアウトの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、細胞内フローサイトメトリーを用いて決定した(右パネル)。データは重複(duplicate)サンプルにおける2つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図3Bが示しているのは、RhoBを標的化するshRNAをレンチウイルスによりDaudi(ダウディ)細胞に導入し、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による表面CD277発現細胞の認識に対するRhoBノックダウンの効果をIFNγの測定により評価したことである(左パネル)。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均±S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。無関係なshRNAをコードするベクターを陰性対照として用いた。RhoBのノックダウンレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した(右パネル)。
図3Cが示しているのは、293 HEK細胞においてCRISPR/Cas系を使用してRhoA、BおよびCをノックアウトしたことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。ノックアウトのレベルを、qPCRを用いて決定した。図は代表的実験を示す。
図3Dが示しているのは、認識(すなわち、認識される)EBV-LCL系48および91ならびに非認識(すなわち、認識されない)系22および93においてウェスタンブロット分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。β-チューブリンをローディング対照として用いた。図は代表的実験を示す。
図3Eが示しているのは、認識EBV-LCL系6、12、48、69、70および99ならびに非認識系22、83、93および37において細胞内フローサイトメトリー分析によりRhoBタンパク質レベルを測定したことである。データは少なくとも3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。
図3Fが示しているのは、C3トランスフェラーゼ処理後の293HEK細胞のRho抑制を、G-Lisaを使用して測定したことである。図は、未処理サンプルと比較した場合のRhoA活性の相対的抑制の代表的実験を示す。
【
図4A】
図4A~4Eは、CD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合に基づいて、RhoB活性が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞認識と相関することを示す。
図4Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用して腎癌細胞系MZ1851RCにおいてRhoBを部分的にノックアウトしたことである。MZ1851RC細胞をパミドロネートまたはHLA-A
*0201制限WT1
I 26 +134ペプチドのいずれかで処理し、それぞれ、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞およびWT1 o43TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する効果をIFNγ産生の測定により決定した。無関係な配列を標的化するガイドRNAをノックアウトに関する対照として使用し、一方、中程度または無関係なペプチドがローデイングされた腫瘍細胞をT細胞刺激に関する対照として使用した。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。ノックアウトのレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した。
図4Bが示しているのは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による認識に対する293HEK細胞におけるRhoA、BおよびCのノックアウトの効果をIFNγ産生の測定により評価したことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。図は、重複サンプルにおける3回の独立した実験の、無関係なノックアウトサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。
図4Cが示しているのは、非認識(黒色棒グラフ)または認識(白色棒グラフ)EBV-LCLおよび腫瘍細胞系のいずれかにおいて、RhoBのRNA発現をqPCRにより測定したことである。データは2つの反復実験の代表例である。
図4Dが示しているのは、非認識EBV-LCL系93または認識EBV-LCL 48を、パミドロネートまたはIPPと組合されたカルペプチンまたはC3トランスフェラーゼのいずれかで前処理し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の刺激に対する効果をIFNγの測定により評価したことである。WT1 aβTCR+ T細胞によるWT1
I 26+134ペプチド添加EBV-LCL48細胞の認識に対するRho調節性化合物の効果を並行して測定した。データは少なくとも3つの独立した実験の平均-1(4S.E.Mを示す。
図4Eが示しているのは、ドミナントネガティブRhoB(RhoB-DN)、構成的に活性なRhoB(RhoB-CA)または野生型RhoB(RhoB-WT)でHEK293細胞をトランスフェクトし、パミドロネートの存在下のVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する活性変異体の効果をIFNγの測定により決定したことである。図は3つの独立した実験の野生型RhoBサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。データの有意性は、
図4A、BおよびDに関してはマン-ホイットニー検定により、
図4Eに関してはクニスルタル-ワリス(Knisltal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析されている。
【
図4B】
図4A~4Eは、CD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合に基づいて、RhoB活性が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞認識と相関することを示す。
図4Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用して腎癌細胞系MZ1851RCにおいてRhoBを部分的にノックアウトしたことである。MZ1851RC細胞をパミドロネートまたはHLA-A
*0201制限WT1
I 26 +134ペプチドのいずれかで処理し、それぞれ、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞およびWT1 o43TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する効果をIFNγ産生の測定により決定した。無関係な配列を標的化するガイドRNAをノックアウトに関する対照として使用し、一方、中程度または無関係なペプチドがローデイングされた腫瘍細胞をT細胞刺激に関する対照として使用した。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。ノックアウトのレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した。
図4Bが示しているのは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による認識に対する293HEK細胞におけるRhoA、BおよびCのノックアウトの効果をIFNγ産生の測定により評価したことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。図は、重複サンプルにおける3回の独立した実験の、無関係なノックアウトサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。
図4Cが示しているのは、非認識(黒色棒グラフ)または認識(白色棒グラフ)EBV-LCLおよび腫瘍細胞系のいずれかにおいて、RhoBのRNA発現をqPCRにより測定したことである。データは2つの反復実験の代表例である。
図4Dが示しているのは、非認識EBV-LCL系93または認識EBV-LCL 48を、パミドロネートまたはIPPと組合されたカルペプチンまたはC3トランスフェラーゼのいずれかで前処理し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の刺激に対する効果をIFNγの測定により評価したことである。WT1 aβTCR+ T細胞によるWT1
I 26+134ペプチド添加EBV-LCL48細胞の認識に対するRho調節性化合物の効果を並行して測定した。データは少なくとも3つの独立した実験の平均-1(4S.E.Mを示す。
図4Eが示しているのは、ドミナントネガティブRhoB(RhoB-DN)、構成的に活性なRhoB(RhoB-CA)または野生型RhoB(RhoB-WT)でHEK293細胞をトランスフェクトし、パミドロネートの存在下のVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する活性変異体の効果をIFNγの測定により決定したことである。図は3つの独立した実験の野生型RhoBサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。データの有意性は、
図4A、BおよびDに関してはマン-ホイットニー検定により、
図4Eに関してはクニスルタル-ワリス(Knisltal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析されている。
【
図4C】
図4A~4Eは、CD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合に基づいて、RhoB活性が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞認識と相関することを示す。
図4Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用して腎癌細胞系MZ1851RCにおいてRhoBを部分的にノックアウトしたことである。MZ1851RC細胞をパミドロネートまたはHLA-A
*0201制限WT1
I 26 +134ペプチドのいずれかで処理し、それぞれ、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞およびWT1 o43TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する効果をIFNγ産生の測定により決定した。無関係な配列を標的化するガイドRNAをノックアウトに関する対照として使用し、一方、中程度または無関係なペプチドがローデイングされた腫瘍細胞をT細胞刺激に関する対照として使用した。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。ノックアウトのレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した。
図4Bが示しているのは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による認識に対する293HEK細胞におけるRhoA、BおよびCのノックアウトの効果をIFNγ産生の測定により評価したことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。図は、重複サンプルにおける3回の独立した実験の、無関係なノックアウトサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。
図4Cが示しているのは、非認識(黒色棒グラフ)または認識(白色棒グラフ)EBV-LCLおよび腫瘍細胞系のいずれかにおいて、RhoBのRNA発現をqPCRにより測定したことである。データは2つの反復実験の代表例である。
図4Dが示しているのは、非認識EBV-LCL系93または認識EBV-LCL 48を、パミドロネートまたはIPPと組合されたカルペプチンまたはC3トランスフェラーゼのいずれかで前処理し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の刺激に対する効果をIFNγの測定により評価したことである。WT1 aβTCR+ T細胞によるWT1
I 26+134ペプチド添加EBV-LCL48細胞の認識に対するRho調節性化合物の効果を並行して測定した。データは少なくとも3つの独立した実験の平均-1(4S.E.Mを示す。
図4Eが示しているのは、ドミナントネガティブRhoB(RhoB-DN)、構成的に活性なRhoB(RhoB-CA)または野生型RhoB(RhoB-WT)でHEK293細胞をトランスフェクトし、パミドロネートの存在下のVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する活性変異体の効果をIFNγの測定により決定したことである。図は3つの独立した実験の野生型RhoBサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。データの有意性は、
図4A、BおよびDに関してはマン-ホイットニー検定により、
図4Eに関してはクニスルタル-ワリス(Knisltal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析されている。
【
図4D】
図4A~4Eは、CD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合に基づいて、RhoB活性が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞認識と相関することを示す。
図4Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用して腎癌細胞系MZ1851RCにおいてRhoBを部分的にノックアウトしたことである。MZ1851RC細胞をパミドロネートまたはHLA-A
*0201制限WT1
I 26 +134ペプチドのいずれかで処理し、それぞれ、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞およびWT1 o43TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する効果をIFNγ産生の測定により決定した。無関係な配列を標的化するガイドRNAをノックアウトに関する対照として使用し、一方、中程度または無関係なペプチドがローデイングされた腫瘍細胞をT細胞刺激に関する対照として使用した。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。ノックアウトのレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した。
図4Bが示しているのは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による認識に対する293HEK細胞におけるRhoA、BおよびCのノックアウトの効果をIFNγ産生の測定により評価したことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。図は、重複サンプルにおける3回の独立した実験の、無関係なノックアウトサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。
図4Cが示しているのは、非認識(黒色棒グラフ)または認識(白色棒グラフ)EBV-LCLおよび腫瘍細胞系のいずれかにおいて、RhoBのRNA発現をqPCRにより測定したことである。データは2つの反復実験の代表例である。
図4Dが示しているのは、非認識EBV-LCL系93または認識EBV-LCL 48を、パミドロネートまたはIPPと組合されたカルペプチンまたはC3トランスフェラーゼのいずれかで前処理し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の刺激に対する効果をIFNγの測定により評価したことである。WT1 aβTCR+ T細胞によるWT1
I 26+134ペプチド添加EBV-LCL48細胞の認識に対するRho調節性化合物の効果を並行して測定した。データは少なくとも3つの独立した実験の平均-1(4S.E.Mを示す。
図4Eが示しているのは、ドミナントネガティブRhoB(RhoB-DN)、構成的に活性なRhoB(RhoB-CA)または野生型RhoB(RhoB-WT)でHEK293細胞をトランスフェクトし、パミドロネートの存在下のVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する活性変異体の効果をIFNγの測定により決定したことである。図は3つの独立した実験の野生型RhoBサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。データの有意性は、
図4A、BおよびDに関してはマン-ホイットニー検定により、
図4Eに関してはクニスルタル-ワリス(Knisltal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析されている。
【
図4E】
図4A~4Eは、CD277のJ配置へのポリペプチド構築物の結合に基づいて、RhoB活性が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞認識と相関することを示す。
図4Aが示しているのは、CRISPR/Cas系を使用して腎癌細胞系MZ1851RCにおいてRhoBを部分的にノックアウトしたことである。MZ1851RC細胞をパミドロネートまたはHLA-A
*0201制限WT1
I 26 +134ペプチドのいずれかで処理し、それぞれ、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞およびWT1 o43TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する効果をIFNγ産生の測定により決定した。無関係な配列を標的化するガイドRNAをノックアウトに関する対照として使用し、一方、中程度または無関係なペプチドがローデイングされた腫瘍細胞をT細胞刺激に関する対照として使用した。データは重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均値±S.E.Mを示す。ノックアウトのレベルを細胞内フローサイトメトリーにより決定した。
図4Bが示しているのは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による認識に対する293HEK細胞におけるRhoA、BおよびCのノックアウトの効果をIFNγ産生の測定により評価したことである。無関係な配列を標的化するガイドRNAを対照として使用した。図は、重複サンプルにおける3回の独立した実験の、無関係なノックアウトサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。
図4Cが示しているのは、非認識(黒色棒グラフ)または認識(白色棒グラフ)EBV-LCLおよび腫瘍細胞系のいずれかにおいて、RhoBのRNA発現をqPCRにより測定したことである。データは2つの反復実験の代表例である。
図4Dが示しているのは、非認識EBV-LCL系93または認識EBV-LCL 48を、パミドロネートまたはIPPと組合されたカルペプチンまたはC3トランスフェラーゼのいずれかで前処理し、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の刺激に対する効果をIFNγの測定により評価したことである。WT1 aβTCR+ T細胞によるWT1
I 26+134ペプチド添加EBV-LCL48細胞の認識に対するRho調節性化合物の効果を並行して測定した。データは少なくとも3つの独立した実験の平均-1(4S.E.Mを示す。
図4Eが示しているのは、ドミナントネガティブRhoB(RhoB-DN)、構成的に活性なRhoB(RhoB-CA)または野生型RhoB(RhoB-WT)でHEK293細胞をトランスフェクトし、パミドロネートの存在下のVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的細胞認識に対する活性変異体の効果をIFNγの測定により決定したことである。図は3つの独立した実験の野生型RhoBサンプルに対して正規化されたIFNγ産生を示す。データの有意性は、
図4A、BおよびDに関してはマン-ホイットニー検定により、
図4Eに関してはクニスルタル-ワリス(Knisltal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析されている。
【
図5A】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図5B】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図5C】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図5D】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図5E】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図5F】
図5は、RhoBの細胞内分布が、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞による標的細胞におけるCD277のJ配置の認識と相関することを示す。
図5Aが示しているのは、非認識健常T細胞、白血病細胞系ML-1およびEBV-LCL 93細胞、ならびに認識白血病細胞系K562、結腸癌細胞系SW480、EBV-LCL 48およびEBV-LCL 70細胞をパミドロネートで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングしたことである。付着細胞を固定し、透過処理し、RhoB特異的抗体を使用して染色し、ついでAlexa Fluor 488結合二次抗体を使用して染色した。ついでRhoB分布を共焦点顕微鏡検査で分析した。代表的なイメージが示されている(白色:RhoB、暗色:核[DAPI])。
図5Bが示しているのは、健常ドナーからのT細胞、EBV-LCL系93、48および70、腫瘍細胞系ML-1、K562、SW480、Raji、原発性AML芽球AML2913、AML2907、AML2889、AML2905ならびにマウスおよびヒトDCをパミドロネートで処理し、共焦点顕微鏡検査でRhoBの細胞内分布に関して分析したことである。白色棒グラフは、非活性化表現型を有する標的細胞を表し、黒色棒グラフは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を活性化しうる標的細胞を示す。ImageJ画像解析ソフトウェアを使用して、核区画と核外区画とのRhoBシグナル比を測定した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。PBLと比較した統計的有意性をクラスカル-ワリス検定およびダンの多重比較検定を用いて決定した。
図5Cは細胞内RhoB分布を示す。
図5Dは核外/核RhoBシグナル比を示し、この場合、AおよびBと同様にして、認識ABP/IPP感受性EBV-LCL 48のABPパミドロネートおよび可溶性IPP感作を分析した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。未処理EBV-LCL 48と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
図5Eが示しているのは、2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において、ABPパミドロネートの存在下または非存在下、細胞内RhoB分布を決定したことである。骨髄由来マウス樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。LPS処理ヒトDCと比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いることにより決定した。
図5Fが示しているのは、4名の患者、すなわち、白血病芽細胞が認識された患者(AML 2889、AML 1665、AML 2575)および白血病芽細胞が認識されなかった患者(AML 2907)からCD34+ CD38- 白血病幹細胞を選別し、核外RhoBシグナルと核RhoBシグナルとの比を測定したことである。グラフは少なくとも10個の異なる細胞の平均比+S.E.Mを示す。CD34+ CD38- 健常幹細胞と比較した統計的有意性を、マン-ホイットニー検定を用いて決定した。
【
図6A】
図6Aは認識および非認識原発性AMLサンプルにおけるRhoBの細胞内分布に関する代表的イメージを示す。
図6Bが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoA分布をEBV-LCL48における共焦点顕微鏡検査により測定したことである。
図6Cが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoB分布を2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において決定したことである。マウス骨髄由来樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。
図6Dは細胞内RhoB分布と腫瘍標的細胞のVγ9Vδ2 TCR T細胞活性化能との相関性を示す。腫瘍細胞における核外:核RhoB強度比を、同じ腫瘍細胞を、本明細書記載のポリペプチド構築物を発現する操作された細胞と共培養した場合のIFNgスポットの数に対してプロットした。
【
図6B】
図6Aは認識および非認識原発性AMLサンプルにおけるRhoBの細胞内分布に関する代表的イメージを示す。
図6Bが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoA分布をEBV-LCL48における共焦点顕微鏡検査により測定したことである。
図6Cが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoB分布を2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において決定したことである。マウス骨髄由来樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。
図6Dは細胞内RhoB分布と腫瘍標的細胞のVγ9Vδ2 TCR T細胞活性化能との相関性を示す。腫瘍細胞における核外:核RhoB強度比を、同じ腫瘍細胞を、本明細書記載のポリペプチド構築物を発現する操作された細胞と共培養した場合のIFNgスポットの数に対してプロットした。
【
図6C】
図6Aは認識および非認識原発性AMLサンプルにおけるRhoBの細胞内分布に関する代表的イメージを示す。
図6Bが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoA分布をEBV-LCL48における共焦点顕微鏡検査により測定したことである。
図6Cが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoB分布を2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において決定したことである。マウス骨髄由来樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。
図6Dは細胞内RhoB分布と腫瘍標的細胞のVγ9Vδ2 TCR T細胞活性化能との相関性を示す。腫瘍細胞における核外:核RhoB強度比を、同じ腫瘍細胞を、本明細書記載のポリペプチド構築物を発現する操作された細胞と共培養した場合のIFNgスポットの数に対してプロットした。
【
図6D】
図6Aは認識および非認識原発性AMLサンプルにおけるRhoBの細胞内分布に関する代表的イメージを示す。
図6Bが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoA分布をEBV-LCL48における共焦点顕微鏡検査により測定したことである。
図6Cが示しているのは、ABPパミドロネートの存在下または非存在下の細胞内RhoB分布を2名の異なるドナーからの単球由来ヒト樹状細胞において決定したことである。マウス骨髄由来樹状細胞(>95% CD11c+)をABPパミドロネートで処理し、RhoBの細胞内標識に使用した。
図6Dは細胞内RhoB分布と腫瘍標的細胞のVγ9Vδ2 TCR T細胞活性化能との相関性を示す。腫瘍細胞における核外:核RhoB強度比を、同じ腫瘍細胞を、本明細書記載のポリペプチド構築物を発現する操作された細胞と共培養した場合のIFNgスポットの数に対してプロットした。
【
図7A】
図7A~7Bは、RhoB活性がCD277膜移動性およびアクチン細胞骨格とのその会合を調節し、それによりCD277のJ配置の形成を調節することを示している。
図7Aが示しているのは、HEK 293細胞をCD277-emGFP融合構築物でトランスフェクトし、培地、ABPゾレドロネートまたはカルペプチンで処理したことである。また、RhoBがCRISPR/CasによりノックアウトされたHEK 293 CD277-emGFP
+ 細胞、またはC3-トランスフェラーゼによっても処理された細胞において、ゾレドロネート処理を適用した。図は、処理を行った際(+)のCD277固定画分の割合を示す。記号は2回の実験の単一細胞測定を表す。
図7Bが示しているのは、HEK 293細胞をパミドロネートで又はカルペプチンおよびBTN3分子で前処理し、繊維状アクチン(Fアクチン)を、それぞれ蛍光標識抗CD277抗体および蛍光ファロイジンを使用して染色したことである。ついでCD277とF-アクチンとの共局在を、両方のシグナルの局在相関性を決定することにより評価した。記号は1回の実験の単一細胞測定を表す。中心線およびエラーバーは平均およびSEMを表し、p値は、マン-ホイットニー検定を用いて分析された有意性を示す。
【
図7B】
図7A~7Bは、RhoB活性がCD277膜移動性およびアクチン細胞骨格とのその会合を調節し、それによりCD277のJ配置の形成を調節することを示している。
図7Aが示しているのは、HEK 293細胞をCD277-emGFP融合構築物でトランスフェクトし、培地、ABPゾレドロネートまたはカルペプチンで処理したことである。また、RhoBがCRISPR/CasによりノックアウトされたHEK 293 CD277-emGFP
+ 細胞、またはC3-トランスフェラーゼによっても処理された細胞において、ゾレドロネート処理を適用した。図は、処理を行った際(+)のCD277固定画分の割合を示す。記号は2回の実験の単一細胞測定を表す。
図7Bが示しているのは、HEK 293細胞をパミドロネートで又はカルペプチンおよびBTN3分子で前処理し、繊維状アクチン(Fアクチン)を、それぞれ蛍光標識抗CD277抗体および蛍光ファロイジンを使用して染色したことである。ついでCD277とF-アクチンとの共局在を、両方のシグナルの局在相関性を決定することにより評価した。記号は1回の実験の単一細胞測定を表す。中心線およびエラーバーは平均およびSEMを表し、p値は、マン-ホイットニー検定を用いて分析された有意性を示す。
【
図8A】
図8A~8Eは、RhoBがCD277分子と相互作用してCD277のJ配置を形成し、リン酸化抗原処理後に解離することを示している。
図8Aが示しているのは、EBV-LCL 48細胞を培地またはABPパミドロネートのいずれかで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングし、透過処理したことである。ついで、RhoBとCD277との相互作用を、抗RhoBおよび抗CD277抗体を使用するDuolink PLAにより評価した。RhoBおよびBTN3に対する抗体の非存在下のDuolink PLAを陰性対照として用いた(赤色:PLAシグナル;青色:核[DAPI];点線:細胞膜)。図は2つの独立した実験の代表例である。
図8Bが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで処理し、等量の抗CD277-PE(ドナー)および抗CD277-DyLight 680(アクセプター)抗体で共染色し、細胞におけるFRET効率を、「材料および方法」に記載されているとおりに測定したことである。示されているデータは三重重複(triplicate)サンプルにおける3つの独立した実験の平均 S.E.Mであり、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Cが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで前処理し、トリプシン処理し、透過処理し、抗RhoB-Alexa Fluor 488(FRETドナー)および抗CD277-DyLight 680(FRETアクセプター)抗体で染色したことである。ついで、「材料と方法」に記載されているとおりに、フローサイトメトリーによりFRET効率を測定した。データは三重重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均+S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Dは、リン酸化抗原cHDMAPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示している。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、cHDMAPPの非存在下(左パネル)またはcHDMAPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BM)を用いて測定した。上パネルに示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている6.25、12.5、25、50、および100μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。
図8Eは、同じ実験設定を示しているが、この場合、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを含む。左パネルにおいては、cHDMAPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているBTN3A1 B30.2の濃度は、灰色で示されている12.5、25、50、100および200μMであった。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、cHDMAPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。示されているB30.2ドメインの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。
【
図8B】
図8A~8Eは、RhoBがCD277分子と相互作用してCD277のJ配置を形成し、リン酸化抗原処理後に解離することを示している。
図8Aが示しているのは、EBV-LCL 48細胞を培地またはABPパミドロネートのいずれかで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングし、透過処理したことである。ついで、RhoBとCD277との相互作用を、抗RhoBおよび抗CD277抗体を使用するDuolink PLAにより評価した。RhoBおよびBTN3に対する抗体の非存在下のDuolink PLAを陰性対照として用いた(赤色:PLAシグナル;青色:核[DAPI];点線:細胞膜)。図は2つの独立した実験の代表例である。
図8Bが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで処理し、等量の抗CD277-PE(ドナー)および抗CD277-DyLight 680(アクセプター)抗体で共染色し、細胞におけるFRET効率を、「材料および方法」に記載されているとおりに測定したことである。示されているデータは三重重複(triplicate)サンプルにおける3つの独立した実験の平均 S.E.Mであり、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Cが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで前処理し、トリプシン処理し、透過処理し、抗RhoB-Alexa Fluor 488(FRETドナー)および抗CD277-DyLight 680(FRETアクセプター)抗体で染色したことである。ついで、「材料と方法」に記載されているとおりに、フローサイトメトリーによりFRET効率を測定した。データは三重重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均+S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Dは、リン酸化抗原cHDMAPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示している。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、cHDMAPPの非存在下(左パネル)またはcHDMAPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BM)を用いて測定した。上パネルに示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている6.25、12.5、25、50、および100μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。
図8Eは、同じ実験設定を示しているが、この場合、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを含む。左パネルにおいては、cHDMAPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているBTN3A1 B30.2の濃度は、灰色で示されている12.5、25、50、100および200μMであった。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、cHDMAPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。示されているB30.2ドメインの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。
【
図8C】
図8A~8Eは、RhoBがCD277分子と相互作用してCD277のJ配置を形成し、リン酸化抗原処理後に解離することを示している。
図8Aが示しているのは、EBV-LCL 48細胞を培地またはABPパミドロネートのいずれかで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングし、透過処理したことである。ついで、RhoBとCD277との相互作用を、抗RhoBおよび抗CD277抗体を使用するDuolink PLAにより評価した。RhoBおよびBTN3に対する抗体の非存在下のDuolink PLAを陰性対照として用いた(赤色:PLAシグナル;青色:核[DAPI];点線:細胞膜)。図は2つの独立した実験の代表例である。
図8Bが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで処理し、等量の抗CD277-PE(ドナー)および抗CD277-DyLight 680(アクセプター)抗体で共染色し、細胞におけるFRET効率を、「材料および方法」に記載されているとおりに測定したことである。示されているデータは三重重複(triplicate)サンプルにおける3つの独立した実験の平均 S.E.Mであり、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Cが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで前処理し、トリプシン処理し、透過処理し、抗RhoB-Alexa Fluor 488(FRETドナー)および抗CD277-DyLight 680(FRETアクセプター)抗体で染色したことである。ついで、「材料と方法」に記載されているとおりに、フローサイトメトリーによりFRET効率を測定した。データは三重重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均+S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Dは、リン酸化抗原cHDMAPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示している。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、cHDMAPPの非存在下(左パネル)またはcHDMAPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BM)を用いて測定した。上パネルに示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている6.25、12.5、25、50、および100μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。
図8Eは、同じ実験設定を示しているが、この場合、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを含む。左パネルにおいては、cHDMAPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているBTN3A1 B30.2の濃度は、灰色で示されている12.5、25、50、100および200μMであった。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、cHDMAPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。示されているB30.2ドメインの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。
【
図8D】
図8A~8Eは、RhoBがCD277分子と相互作用してCD277のJ配置を形成し、リン酸化抗原処理後に解離することを示している。
図8Aが示しているのは、EBV-LCL 48細胞を培地またはABPパミドロネートのいずれかで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングし、透過処理したことである。ついで、RhoBとCD277との相互作用を、抗RhoBおよび抗CD277抗体を使用するDuolink PLAにより評価した。RhoBおよびBTN3に対する抗体の非存在下のDuolink PLAを陰性対照として用いた(赤色:PLAシグナル;青色:核[DAPI];点線:細胞膜)。図は2つの独立した実験の代表例である。
図8Bが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで処理し、等量の抗CD277-PE(ドナー)および抗CD277-DyLight 680(アクセプター)抗体で共染色し、細胞におけるFRET効率を、「材料および方法」に記載されているとおりに測定したことである。示されているデータは三重重複(triplicate)サンプルにおける3つの独立した実験の平均 S.E.Mであり、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Cが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで前処理し、トリプシン処理し、透過処理し、抗RhoB-Alexa Fluor 488(FRETドナー)および抗CD277-DyLight 680(FRETアクセプター)抗体で染色したことである。ついで、「材料と方法」に記載されているとおりに、フローサイトメトリーによりFRET効率を測定した。データは三重重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均+S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Dは、リン酸化抗原cHDMAPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示している。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、cHDMAPPの非存在下(左パネル)またはcHDMAPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BM)を用いて測定した。上パネルに示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている6.25、12.5、25、50、および100μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。
図8Eは、同じ実験設定を示しているが、この場合、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを含む。左パネルにおいては、cHDMAPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているBTN3A1 B30.2の濃度は、灰色で示されている12.5、25、50、100および200μMであった。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、cHDMAPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。示されているB30.2ドメインの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。
【
図8E】
図8A~8Eは、RhoBがCD277分子と相互作用してCD277のJ配置を形成し、リン酸化抗原処理後に解離することを示している。
図8Aが示しているのは、EBV-LCL 48細胞を培地またはABPパミドロネートのいずれかで処理し、ポリ-L-リジン被覆カバーガラス上にローディングし、透過処理したことである。ついで、RhoBとCD277との相互作用を、抗RhoBおよび抗CD277抗体を使用するDuolink PLAにより評価した。RhoBおよびBTN3に対する抗体の非存在下のDuolink PLAを陰性対照として用いた(赤色:PLAシグナル;青色:核[DAPI];点線:細胞膜)。図は2つの独立した実験の代表例である。
図8Bが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで処理し、等量の抗CD277-PE(ドナー)および抗CD277-DyLight 680(アクセプター)抗体で共染色し、細胞におけるFRET効率を、「材料および方法」に記載されているとおりに測定したことである。示されているデータは三重重複(triplicate)サンプルにおける3つの独立した実験の平均 S.E.Mであり、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Cが示しているのは、HEK 293細胞を培地またはパミドロネートのいずれかで前処理し、トリプシン処理し、透過処理し、抗RhoB-Alexa Fluor 488(FRETドナー)および抗CD277-DyLight 680(FRETアクセプター)抗体で染色したことである。ついで、「材料と方法」に記載されているとおりに、フローサイトメトリーによりFRET効率を測定した。データは三重重複サンプルにおける3つの独立した実験の平均+S.E.Mを示し、この場合、マン-ホイットニー検定を用いて統計的有意性を分析した。
図8Dは、リン酸化抗原cHDMAPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示している。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、cHDMAPPの非存在下(左パネル)またはcHDMAPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BM)を用いて測定した。上パネルに示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている6.25、12.5、25、50、および100μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。
図8Eは、同じ実験設定を示しているが、この場合、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを含む。左パネルにおいては、cHDMAPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているBTN3A1 B30.2の濃度は、灰色で示されている12.5、25、50、100および200μMであった。動力学フィッティング曲線が黒色で示されている。下パネルにおいては、cHDMAPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。示されているB30.2ドメインの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。
【
図9A】
図9A:大腸菌(E.coli)において発現されたRhoB GTPアーゼのゲル濾過プロファイル。17.8mlから19.2mlまでのピークは精製RhoB GTPアーゼ単量体を含有していた。
図9Bは、該ゲル濾過実験から収集されたRhoB GTPアーゼを含有する画分(17.5~19.5ml、0.5ml/画分)を示すSDS-PAGEを示す。
図9Cはリン酸化抗原IPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示す(上パネル)。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、IPPの非存在下(左パネル)またはIPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて測定した。示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。同じ実験設定を用いたが、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを使用した(下パネル)。左パネルにおいては、IPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているCD277 B30.2の濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMであった。右パネルにおいては、IPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。
【
図9B】
図9A:大腸菌(E.coli)において発現されたRhoB GTPアーゼのゲル濾過プロファイル。17.8mlから19.2mlまでのピークは精製RhoB GTPアーゼ単量体を含有していた。
図9Bは、該ゲル濾過実験から収集されたRhoB GTPアーゼを含有する画分(17.5~19.5ml、0.5ml/画分)を示すSDS-PAGEを示す。
図9Cはリン酸化抗原IPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示す(上パネル)。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、IPPの非存在下(左パネル)またはIPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて測定した。示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。同じ実験設定を用いたが、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを使用した(下パネル)。左パネルにおいては、IPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているCD277 B30.2の濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMであった。右パネルにおいては、IPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。
【
図9C】
図9A:大腸菌(E.coli)において発現されたRhoB GTPアーゼのゲル濾過プロファイル。17.8mlから19.2mlまでのピークは精製RhoB GTPアーゼ単量体を含有していた。
図9Bは、該ゲル濾過実験から収集されたRhoB GTPアーゼを含有する画分(17.5~19.5ml、0.5ml/画分)を示すSDS-PAGEを示す。
図9Cはリン酸化抗原IPPの存在下または非存在下のRhoGTPアーゼへの完全長CD277細胞内ドメイン(BFI)の濃度依存的結合を示す(上パネル)。RhoGTPアーゼへのBFIの結合を、IPPの非存在下(左パネル)またはIPP(1:1)の存在下(右パネル)、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて測定した。示されているCD277 BFIの濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMである。同じ実験設定を用いたが、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを使用した(下パネル)。左パネルにおいては、IPPの非存在下で相互作用を測定した。示されているCD277 B30.2の濃度は、灰色で示されている3.75、7.5、15、30および60μMであった。右パネルにおいては、IPP(1:1)の存在下で相互作用を測定した。
【
図10A】
図10は、細胞内リン酸化抗原の蓄積がCD277の細胞外コンホメーション変化を誘導して、CD277のJ配置の形成をもたらすことを示している。HEK 293細胞を培地、C3トランスフェラーゼおよび/またはパミドロネートで前処理し、ついで細胞の表面膜を蛍光脂質コンジュゲートBODIPY FL(FRETドナー)で染色し、BTN3分子をクローン20.1由来またはクローン103.2由来のマウス抗CD277 mAbで標識し、ついで二次Alexa Fluor 594結合Fabフラグメント(GaM)(FRETアクセプター)で染色した。FRET効率をフローサイトメトリーで測定した。データは三重重複サンプルにおける少なくとも3つの独立した実験の平均±S.E.Mを表す。データの統計的有意性を、マン-ホイットニー検定により分析した。
【
図10B】
図10は、細胞内リン酸化抗原の蓄積がCD277の細胞外コンホメーション変化を誘導して、CD277のJ配置の形成をもたらすことを示している。HEK 293細胞を培地、C3トランスフェラーゼおよび/またはパミドロネートで前処理し、ついで細胞の表面膜を蛍光脂質コンジュゲートBODIPY FL(FRETドナー)で染色し、BTN3分子をクローン20.1由来またはクローン103.2由来のマウス抗CD277 mAbで標識し、ついで二次Alexa Fluor 594結合Fabフラグメント(GaM)(FRETアクセプター)で染色した。FRET効率をフローサイトメトリーで測定した。データは三重重複サンプルにおける少なくとも3つの独立した実験の平均±S.E.Mを表す。データの統計的有意性を、マン-ホイットニー検定により分析した。
【
図11】
図11は、本明細書に記載されているポリペプチド構築物TCRを発現する操作された細胞によるCD277のJ配置の認識をもたらす、腫瘍細胞における2成分メカニズムのモデルを示す。非活性化段階:リン酸化抗原(pAg、黄色星印)の蓄積無し。これは核外領域からのGDP結合RhoB(赤丸+GDP)を維持する。活性化段階成分I:リン酸化抗原の蓄積の後、より多くのGTP結合RhoB形成(赤丸+GTP)が生じる。GTP結合RhoBは細胞内再区画化(黒矢印)を受けて核外領域に蓄積し、CD277(青色六角形)のB30.2ドメイン近位連結領域(CR)に結合する形質膜における細胞骨格捕捉(膜から伸びる線)の促進によりCD277の空間的再分布を促進する。活性化段階成分II:GTP結合RhoBが解離し(黒矢印)、pAgがCD277のB30.2ドメインに結合し、これはCD277の細胞外領域(ER)のコンホメーション変化を誘発して、本明細書に記載されているポリペプチド構築物の結合をもたらす。
【
図12】
図12A~Bは種々の細胞型におけるRhoB分布および細胞ストレスの際のその変化を示す。
図12Aにおいては、EBV-LCL系93、CLM細胞系K562ならびに末梢血から新たに単離された健常ドナー由来CD3+ T細胞、CD19+ B細胞およびCD14+ 細胞を100μM パミドロネートと共にインキュベートし、ついで共焦点顕微鏡検査によりRhoBの細胞内分布に関して分析した。核領域の外側と内側とで検出されたRhoBシグナルの比が示されている。
図12Bにおいては、3500cGyで照射され100μM パミドロネートで前処理された細胞をついで、
図12Aの場合と同様にして、細胞内RhoBに関して分析した。比は、非照射細胞と比較した場合のRhoB分布の変化を示す。
【
図13A】
図13AはIFNγ産生による単離クローンの抗腫瘍反応性を示す。T細胞を標的細胞系Daudi(ダウディ)と共に1:1のE:T比で一晩コインキュベートした。100μM PAMの非存在下(上プロット)および存在下(下プロット)、刺激アッセイを行った。棒グラフは1つまたは2つ(この場合、エラーバーが存在する)の実験の代表例である。エラーバーは2つの生物学的重複実験のSEMを表す。矢印は、既知TCR配列を有するクローンを示す。
図13Bは100μM PAMの非存在下または存在下のDaudi対HEK293FT細胞系に対するIFNγ産生の散布図を示す。
図13Cは、標的としてHEK293FT細胞を使用する刺激アッセイを示す。
【
図13B】
図13AはIFNγ産生による単離クローンの抗腫瘍反応性を示す。T細胞を標的細胞系Daudi(ダウディ)と共に1:1のE:T比で一晩コインキュベートした。100μM PAMの非存在下(上プロット)および存在下(下プロット)、刺激アッセイを行った。棒グラフは1つまたは2つ(この場合、エラーバーが存在する)の実験の代表例である。エラーバーは2つの生物学的重複実験のSEMを表す。矢印は、既知TCR配列を有するクローンを示す。
図13Bは100μM PAMの非存在下または存在下のDaudi対HEK293FT細胞系に対するIFNγ産生の散布図を示す。
図13Cは、標的としてHEK293FT細胞を使用する刺激アッセイを示す。
【
図13C】
図13AはIFNγ産生による単離クローンの抗腫瘍反応性を示す。T細胞を標的細胞系Daudi(ダウディ)と共に1:1のE:T比で一晩コインキュベートした。100μM PAMの非存在下(上プロット)および存在下(下プロット)、刺激アッセイを行った。棒グラフは1つまたは2つ(この場合、エラーバーが存在する)の実験の代表例である。エラーバーは2つの生物学的重複実験のSEMを表す。矢印は、既知TCR配列を有するクローンを示す。
図13Bは100μM PAMの非存在下または存在下のDaudi対HEK293FT細胞系に対するIFNγ産生の散布図を示す。
図13Cは、標的としてHEK293FT細胞を使用する刺激アッセイを示す。
【
図14A】
図14AはドナーCの完全なTRDVレパートリーを示す。割合はクロノタイプの保有率を示す。1リード(read;読取り)/クロノタイプの頻度を有する配列は分析から除外される。
図14Bは、PBMC内への導入および選択操作の後の、選択されたTCR(n=7)のγδTCR発現のMFIを、対照TCRのものと共に示している。
図14Cは、細胞系Daudiに対するTEG形態の選択されたTCRの機能的アビディティを、対照TCRのものと共に示している。TEGは、同等のγδTCR発現に基づいてグラフに示されている。
【
図14B】
図14AはドナーCの完全なTRDVレパートリーを示す。割合はクロノタイプの保有率を示す。1リード(read;読取り)/クロノタイプの頻度を有する配列は分析から除外される。
図14Bは、PBMC内への導入および選択操作の後の、選択されたTCR(n=7)のγδTCR発現のMFIを、対照TCRのものと共に示している。
図14Cは、細胞系Daudiに対するTEG形態の選択されたTCRの機能的アビディティを、対照TCRのものと共に示している。TEGは、同等のγδTCR発現に基づいてグラフに示されている。
【
図14C】
図14AはドナーCの完全なTRDVレパートリーを示す。割合はクロノタイプの保有率を示す。1リード(read;読取り)/クロノタイプの頻度を有する配列は分析から除外される。
図14Bは、PBMC内への導入および選択操作の後の、選択されたTCR(n=7)のγδTCR発現のMFIを、対照TCRのものと共に示している。
図14Cは、細胞系Daudiに対するTEG形態の選択されたTCRの機能的アビディティを、対照TCRのものと共に示している。TEGは、同等のγδTCR発現に基づいてグラフに示されている。
【
図15A】
図15Aは、TCR四量体を使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5(1×10
5)個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR LM1もしくはCL5を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能(viability)な色素で染色した。細胞を100μM パミドロネート(+PAM条件)と共に2時間インキュベートした後、染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図15Bは、TCRデキストラマーを使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Cは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個の細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR LM1、CTE-CL3もしくはCTE-CL5に結合しているもの、または結合していないもの)で染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Dは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。2つの抗CD277モノクローナル抗体(20.1および103.2)を使用する結合競合アッセイ。7.5 10
4個のDaudi細胞(n=2)を該抗体と共にプレインキュベートし、CL5ビーズと共に室温で30分間インキュベートした。FACSデータの全ての分析をBD FACS Divaで行い、グラフをGraphpad Prismで作成した。
【
図15B】
図15Aは、TCR四量体を使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5(1×10
5)個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR LM1もしくはCL5を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能(viability)な色素で染色した。細胞を100μM パミドロネート(+PAM条件)と共に2時間インキュベートした後、染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図15Bは、TCRデキストラマーを使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Cは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個の細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR LM1、CTE-CL3もしくはCTE-CL5に結合しているもの、または結合していないもの)で染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Dは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。2つの抗CD277モノクローナル抗体(20.1および103.2)を使用する結合競合アッセイ。7.5 10
4個のDaudi細胞(n=2)を該抗体と共にプレインキュベートし、CL5ビーズと共に室温で30分間インキュベートした。FACSデータの全ての分析をBD FACS Divaで行い、グラフをGraphpad Prismで作成した。
【
図15C】
図15Aは、TCR四量体を使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5(1×10
5)個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR LM1もしくはCL5を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能(viability)な色素で染色した。細胞を100μM パミドロネート(+PAM条件)と共に2時間インキュベートした後、染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図15Bは、TCRデキストラマーを使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Cは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個の細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR LM1、CTE-CL3もしくはCTE-CL5に結合しているもの、または結合していないもの)で染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Dは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。2つの抗CD277モノクローナル抗体(20.1および103.2)を使用する結合競合アッセイ。7.5 10
4個のDaudi細胞(n=2)を該抗体と共にプレインキュベートし、CL5ビーズと共に室温で30分間インキュベートした。FACSデータの全ての分析をBD FACS Divaで行い、グラフをGraphpad Prismで作成した。
【
図15D】
図15Aは、TCR四量体を使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5(1×10
5)個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR LM1もしくはCL5を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能(viability)な色素で染色した。細胞を100μM パミドロネート(+PAM条件)と共に2時間インキュベートした後、染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図15Bは、TCRデキストラマーを使用するDaudi細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のDaudi細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Cは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個の細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR LM1、CTE-CL3もしくはCTE-CL5に結合しているもの、または結合していないもの)で染色し、
図15Aの場合と同様にして分析した。
図15Dは、YGビーズを使用するDaudi細胞の染色を示す。2つの抗CD277モノクローナル抗体(20.1および103.2)を使用する結合競合アッセイ。7.5 10
4個のDaudi細胞(n=2)を該抗体と共にプレインキュベートし、CL5ビーズと共に室温で30分間インキュベートした。FACSデータの全ての分析をBD FACS Divaで行い、グラフをGraphpad Prismで作成した。
【
図16】
図16が示しているのは、非機能的TCR LM1、中アフィニティCTE-CL3または高アフィニティCTE-CL5のいずれかを発現するTEGをHEK293FT細胞(これは100μM パミドロネートまたは培地と共にプレインキュベートされた)と共にコインキュベートしたことである。コインキュベーションは最大120分間行い、ついで非結合細胞を洗い落とした。サンプルを抗CD3e抗体およびDAPIで免疫染色し、共焦点顕微鏡分析に使用した。イメージをDAPI+ 細胞(全細胞)およびCD3陽性細胞(TEG)の数に関して定量した。その比率が示されている。少なくとも10個の独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果は、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
【
図17A】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図17B】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図17C】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図17D】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図17E】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図17F】
図17Aは免疫シナプスおよび定量方法を示す。
図17Bが示しているのは、シナプス領域の内側と外側とのTCRシグナル強度の比を計算することにより、ISにおけるTCRの富化を測定したことである。少なくとも7つの独立したイメージに関して分析を行い、ノンパラメトリックANOVAにより有意性を決定した。結果には、平均値とSD値とを含む個々の測定値を示している。
図17Cおよび
図17Dが示しているのは、クラスターサイズの標的HEK-293FT腫瘍細胞を100μM パミドロネートまたは培地で処理し、CD277-AF647で免疫染色したことである。ついでサンプルを超高分解能顕微鏡検査による分析に使用した。イメージをクラスターアルゴリズムDBSCANで分析した。
図17Eは免疫シナプスのクラスターコンパクト性を示す。
図17FはROI当たりのクラスター数を示す。
【
図18A】
図18Aは、TCR四量体を使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR 「LM1」もしくは「CL5」を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能な色素で染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図18Bは、デキストラマーを使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色した。
図18Cおよび
図18Dは、YGビーズを使用するML1細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個のML1細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR「LM1」、「CTE-CL3」もしくは「CTE-CL5」に結合しているもの、または結合していないもの)で染色した。
【
図18B】
図18Aは、TCR四量体を使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR 「LM1」もしくは「CL5」を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能な色素で染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図18Bは、デキストラマーを使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色した。
図18Cおよび
図18Dは、YGビーズを使用するML1細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個のML1細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR「LM1」、「CTE-CL3」もしくは「CTE-CL5」に結合しているもの、または結合していないもの)で染色した。
【
図18C】
図18Aは、TCR四量体を使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR 「LM1」もしくは「CL5」を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能な色素で染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図18Bは、デキストラマーを使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色した。
図18Cおよび
図18Dは、YGビーズを使用するML1細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個のML1細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR「LM1」、「CTE-CL3」もしくは「CTE-CL5」に結合しているもの、または結合していないもの)で染色した。
【
図18D】
図18Aは、TCR四量体を使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PE四量体(ビオチン対照またはγδTCR 「LM1」もしくは「CL5」を含有するもの)で室温で30分間染色し、ついで固定可能な生存可能な色素で染色した。染色された細胞をBD FACSCanto II(BD Bioscience)で分析した。
図18Bは、デキストラマーを使用するML1細胞の染色を示す。1
*10
Λ5個のML1細胞(n=4)を100nM SA-PEデキストラマーで染色した。
図18Cおよび
図18Dは、YGビーズを使用するML1細胞の染色を示す。7.5
*10
Λ4個のML1細胞(n=3)を0.33mg/ml YGビーズ(γδTCR「LM1」、「CTE-CL3」もしくは「CTE-CL5」に結合しているもの、または結合していないもの)で染色した。
【
図19】
図19は、sTCR結合ビーズで染色されたDaudiおよびML1細胞の代表的なフローサイトメトリードットプロットを示す。
【0244】
実施例
これらの実施例は単なる例示目的で記載されているに過ぎず、本出願に記載されている特許請求の範囲を限定するものではない。
【0245】
実施例1.SAPPHIRE(SNP-Associated computational Pathway Hunt Including shRNA Evaluation)によるVγ9Vδ2 TCR媒介性標的細胞認識に関連する遺伝子座の特定
腫瘍細胞の遺伝的バックグラウンドにおける差異はVγ9Vδ2 TCR操作T細胞(例えば、本明細書に記載されている細胞)によるこれらの細胞の認識に影響を及ぼす。したがって、幾つかの家系(Daussetら,1990)から得られ数百万個のSNP(International HapMap,2003)に関して遺伝子型決定されたEBV形質転換B細胞系(EBV-LCL)の大規模コレクションを含むCentre d’Etude du Polymorphisme Humain (CEPH)からの細胞系のライブラリーを使用した。1つの定められたVγ9Vδ2 TCRを発現するように操作されたCD4+ αβT細胞を機能的スクリーニングに使用して、多様なγδTCRレパートリーおよびNK受容体の種々の発現による認識の変動を排除した。Vγ9Vδ2 TCR T細胞によるEBV-LCLの認識表現型をIFNγ産生により評価し、それは33個のEBV-LCLの活性化表現型を示したが、7個は非活性であった(
図1Aおよび1B)。接合性分析は、非活性化表現型を有するEBV-LCLが、SAPPHIREによる分析で、活性化表現型を有するものより強力であることを示した。候補遺伝子座に関する仮定的接合性を、CEPHファミリートリオ内の古典的メンデル遺伝パターンを使用して推定し、この場合、Vγ9Vδ2 TCR媒介性認識に対する候補対立遺伝子の影響が支配的であると仮定された。CEPH細胞系の家系と組合された得られた認識表現型は、多数のLCL系をスクリーニングする必要性を回避し、12名のCEPH個体の候補遺伝子座の接合性の正確な予測を可能にした(
図2A)。ついで仮定的遺伝子座接合性を、研究集団内のSNPの利用可能な遺伝子型情報と相関させて、予測接合性と完全に(100%)相関する遺伝子型を有する17個のSNPを特定した(
図2B)。これらの17個のSNPはいずれも、また、高い連鎖不平衡(r
2>0.8)内のそれらのプロキシSNPも、タンパク質コード配列における変化を引き起こすことによっては遺伝子に直接的な影響を及ぼさなかったため、特定されたSNPは、直接的な役割を果たしているのではなく、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞認識に対する感受性に関連した遺伝的領域に関する代替マーカーに相当しうると推定された。また、それらの17個のSNPのゲノム近傍を隣接候補遺伝子に関して照会した(
図2C)。
【0246】
Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞媒介性標的認識に関するこれらの遺伝子の関連性を試験するために、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞活性化EBV-LCL系48における17個のSNP隣接遺伝子の全てをノックダウンした。ついで、IFNγ産生を測定することにより、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の活性化に対するノックダウンの効果を評価した。IFNγ産生は3つの遺伝子(RAB4A、RHOBおよびUBE3C)のノックダウンにより低下した(
図2B)。潜在的なノックダウン効果が、Vγ9Vδ2 TCR依存的活性化に選択的に影響を及ぼす遺伝子に対するものであったことを確認するために、EBV-LCL系48のそれらの3つのノックダウン変異体にウィルムス腫瘍1(WT1)ペプチドを添加し、同族WT1特異的αβTCRを発現するように操作されたT細胞での認識を試験した(Kubanら,2007)。小さなGTPアーゼ RhoBの選択的ノックダウンはVγ9Vδ2 TCRの活性化に有意な影響を及ぼしたが、aβTCRが操作されたT細胞には影響を及ぼさなかった(
図2B)。原型Vγ9Vδ2T細胞標的細胞系DaudiにおけるRhoBの部分的ノックダウンの後(
図3B)、および腎癌細胞系MZ1851RCにおけるCRISPR/Cas媒介性部分的RhoBノックアウトの後(
図4A)、類似したデータが認められた。興味深いことに、293 HEK細胞におけるRhoBの完全なノックアウトでさえ、標的細胞媒介性Vγ9Vδ2 TCR T細胞活性化の部分的枯渇をもたらしたに過ぎなかった(
図3A)。また、293 HEK細胞におけるRhoAまたはRhoC遺伝子のノックアウトは、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞を活性化するそれらの能力に有意な影響を与えず(
図4Bおよび
図3C)、このことは、RhoBが、非重複的役割において、一定のVγ9Vδ2 TCによる腫瘍細胞の認識を調節することを強調している。
【0247】
実施例2.本明細書に記載されているポリペプチド構築物による標的細胞上のCD277のJ配置の認識はRho GTPアーゼ活性に依存的である
Rho GTPアーゼアクチベーターであるカルペプチンまたはインヒビターC3トランスフェラーゼの存在下、種々の腫瘍細胞系を予熱することにより、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞の活性化に対するRhoB GTPアーゼ活性の影響を評価した。カルペプチンでの前処理はVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による認識のためにEBV-LCL 93細胞を有意に感作したが、逆に、C3トランスフェラーゼでのRho GTPアーゼの阻害は、LCL 48細胞によるVγ9Vδ2 TCR+ T細胞の活性化を著しく低下させた(
図4D)。Rho GTPアーゼ活性の調節はWT1aβTCR導入T細胞によるWT1ペプチド添加EBV-LCL 48細胞の認識に影響を及ぼさなかった。RhoBの酵素活性がVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による腫瘍細胞認識を調節することを確認するために、GDP結合状態に対応する野生型もしくはドミナントネガティブ形態(RhoB-DN)で、またはRhoBのGTP結合形態に対応する構成的活性形態(RhoB-CA)(Kamonら,2006)で、HEK 293細胞をトランスフェクトし、それらをVγ9Vδ2 TCR+ T細胞の標的細胞として使用した(
図4E)。RhoB-CA突然変異体を過剰発現するHEK細胞は、野生型RhoBを発現する細胞よりも有意に強いVγ9Vδ2 TCR特異的応答を誘発することが可能であり、一方、RhoB-DNトランスフェクト化HEK細胞は、野生型RhoBを発現する細胞と比較して、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞を刺激する有意に低下した能力を示した。これらの結果は、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの生化学的活性の調節が、CD277のJ配置またはJコンファメーションに選択的に結合するポリペプチドを発現する操作された細胞、例えばVγ9Vδ2 TCR+ 細胞によるそれらの癌細胞の認識に有用であることを示唆している。
【0248】
実施例3.標的細胞上のCD277のJ配置の認識はRhoBの細胞内分布に依存的である
RhoBは、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞を活性化しうる細胞内の核領域から選択的に排除された(
図5A、
図5B、
図6Aおよび
図6D)。核からの又は核膜から核外部位へのRhoBの再局在化は、ABPにより、および可溶性リン酸化抗原IPPにより、細胞系において誘導された(
図5Cおよび
図5D)。このことは、この過程が細胞内リン酸化抗原の蓄積に依存的であることを強調している。RhoAのような他のGTPアーゼの均一な細胞内分布はABP処理に際して変化しなかった(
図6B)。このことは、RhoAのノックダウンがVγ9Vδ2 TCR媒介性認識に影響を及ぼさなかったという観察を支持している(
図4B)。RhoBはヒトにおいては核から除外されたが、ABPで選択的に処理されたマウス樹状細胞においては除外されなかった。RhoBタンパク質配列が両方の種において同一であるにもかかわらず、それが生じたのである(
図5Eおよび
図6C)。RhoBの再分布が白血病癌幹細胞においてもABP処理に際して生じるかどうかを試験するために、白血病芽細胞、癌幹細胞および健常幹細胞を、フローマーカーに基づいて、全く同じドナーから選別し、RhoBの分布を定量した。実際、急性骨髄性白血病患者ドナーからの初代芽細胞においては、RhoBの局在化は、白血病幹細胞を含むVγ9Vδ2 TCR操作T細胞による認識と相関したが(
図5Bおよび
図6A)、同じドナーからの健常幹細胞の場合には相関しなかった(
図5F)。総合すると、これらの結果は、腫瘍細胞における小さなGTPアーゼRhoBの細胞内分布の調節(例えば、核からのRhoBの排除)がVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的化に対するそれらの感受性を増強することを示唆している。
【0249】
実施例4.RhoBはCD277の膜移動性および癌細胞上のCD277のJ配置の形成を調節する
細胞骨格再構成およびアクチンストレスファイバーの形成における重要な作用因子であるABPおよびRhoBの、CD277の移動性への影響を試験した。ABPゾレドロネートでの293 HEK細胞の処理はCD277膜の移動性の低下をもたらした。顕著なことに、カルペプチンでの処理は、CD277の固定化を、ABP処理単独の場合に類似したレベルまで誘導し、一方、C3トランスフェラーゼはこのABP効果を相殺した(
図7A)。これは、Rho GTPアーゼ活性がメバロン酸経路の上流のCD277膜固定化に作用する可能性を示している。CRISPR/CasによるRhoBの選択的枯渇はCD277のABP誘導性固定化を培地対照と同等のレベルまで抑制し、このことは、CD277の移動性におけるABP媒介性変化がRhoBに依存的であることを示唆した。
【0250】
次に、観察されたCD277移動度変化およびJ配置形成の媒介におけるRhoB誘導性細胞骨格再構成の役割を評価するために、CD277分子とFアクチンとの関係をタンタライゼーション(tantalization)実験により調べた。HEK 293細胞を蛍光標識抗CD277およびファロイジンで染色し、ABPおよびカルペプチンでの処理に応じたタンタライゼーション係数を決定した。培地内の細胞においては、CD277とF-アクチンとの、可変性であるが相当な共局在化が観察され、ABP処理により著しく低減した(
図7B)。顕著なことに、そしてCD277膜移動性に対するその効果に類似して、カルペプチンはCD277とFアクチンとの間のタンタライゼーションを、ABP処理で観察されたものと同等のレベルまで減少させた。この減少は、リン酸化抗原の蓄積およびRhoの活性化の両方が、細胞骨格に包囲された膜ドメインの形成を誘導し、ここで、CD277分子が捕捉され固定化されてCD277のJ配置を形成しうることを示唆している。重要なことに、C3-トランスフェラーゼはABP誘導性CD277-アクチン分離を妨げ、このことは、再び、この過程における活性Rhoの重要な関与を示している。総合すると、これらのデータは、細胞骨格再構成およびCD277のJ配置の形成によるCD277膜移動性の調節が、J配置に特異的に結合するポリペプチドを発現する操作された細胞、例えばVγ9Vδ2 TCR+ T細胞による標的認識に寄与することを示唆している。
【0251】
実施例5.RhoBは、本明細書に記載されているポリペプチド構築物、例えばVγ9Vδ2 TCRにより認識される癌細胞におけるCD277ホモ二量体と相互作用する
J配置を形成するためにはCD277の膜固定化におけるRhbB活性が強く要求されることを考慮して、CD277の調節がRhoBとの直接的な相互作用を伴うかどうかを試験した。インシトゥ/近接ライゲーションアッセイ(PLA)を用いて、RhoBおよびCD277は、ABPで前処理された場合にのみ、認識EBV-LCL細胞において接近していることが観察された(
図8A 図5A)。重要なことに、PLAシグナルは、典型的には、核領域から排除され、形質膜付近に分布していた。これは、RhoBが、発現CD277のJ配置の形成を調節することにより、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞認識に関与するという、本発明者らのデータに合致している。
【0252】
CD277が細胞状況で発現された場合にホモ二量体として存在するかどうかを決定するために、およびより一層高い分解能でRhoB-CD277相互作用を研究するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いて近接相互作用を調べた。FRET適合性融合タンパク質を過剰発現させることにより、またはFRET適合性蛍光色素に結合した抗体で内因性タンパク質を標識することにより、ABP感受性HEK 293細胞においてフローサイトメトリーFRET測定を行った。これらの実験は、CD277分子が癌細胞の細胞表面上でホモ二量体として発現されることを示したが(
図8B)、CD277分子のペア形成はABP誘導性リン酸化抗原蓄積に対して非感受性であった。RhoBとCD277との近接結合はABP未処理HEK細胞においては検出不能であったが、細胞をABPで処理した後には著しく増加した(
図8C)。D277の細胞内ドメイン上のRhoBに対する可能なドッキング部位を形式的に定めるために、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いた。RhoB結合は組換え全長BTN3A1細胞内ドメイン(BFI)では検出されたが(
図8D;左パネルおよび表1)、膜貫通ドメインへのN末端領域連結を欠く組換えCD277 B30.2ドメインを使用した場合には有意に低減した(
図8E;左パネル)。これらのデータは、RhoB GTPアーゼへの結合におけるCD277細胞内ドメインの膜近位領域の重要な役割を示している。興味深いことに、BFIへのRhoBの結合は、可溶性リン酸化抗原cHDMAPPの存在下、ほぼ完全に消失した(
図8D;右パネル)。同じ実験で、生理学的にはより関連しているが遥かに低いアフィニティのpAg IPPを適用した場合、BLIはBFIからのRhoBのpAg誘導性解離を解明できなかった(
図9C)。これは、おそらく、該アッセイの技術的限界によるものであろう。要約すると、これらのデータは、表面膜におけるRhoBとCD277分子との近接相互作用を促進するように設計された方法および組成がJ配置の形成およびVγ9Vδ2 TCRによるその認識を促進することを示している。
【表1】
【0253】
実施例6.リン酸化抗原の蓄積はCD277二量体からJ配置へのコンホメーション変化に関連している
リン酸化抗原レベルの増加に応答したJ配置へのCD277のコンホメーション変化を調べるために、未刺激またはABP刺激HEK293細胞の表面膜を蛍光脂質コンジュゲートBODIPY FL(ドナー)で標識し、ついでアクセプター色素標識BTN3特異的抗体で氷上で染色して、生理学的状況下でこれらの抗体により引き起こされうるコンホメーション変化を防いだ。ABP刺激の非存在下では、染色膜と両抗体との間の強力なFRET効率が観察された(
図10B)。このことは、CD277 Ig-Vドメインが細胞膜に接近していることを示唆している。しかし、顕著なことに、ABPでの細胞の処理はFRETシグナルの著しい減少をもたらした(
図10B)。このことは、細胞内リン酸化抗原の蓄積がBTN3分子のコンホメーション変化に関連していることを示している。この変化は、細胞膜からIg-Vドメインが顕著に離れることを含む。重要なことに、細胞のRhoインヒビターC3-トランスフェラーゼ処理(
図3F)はCD277ホモ二量体のABP駆動性コンホメーション変化を妨げず(
図10B)、このことは、このコンホメーション変化がRhoBの酵素活性に非依存的であることを示している。これらのデータは、CD277の二量体化を促進する方法および組成物が、Vγ9Vδ2 TCRにより認識される分子シグネチャー、すなわち、CD277のJ配置として作用し、または該分子シグネチャーに寄与することを示している。
【0254】
図11は、本明細書に示されているデータに基づくVγ9Vδ2 TCR T細胞活性化のモデルを示す。非活性化段階では、核外領域からのGDP結合RhoB(丸+GDP)を保持するリン酸化抗原(pAg、黄色星印)の蓄積は存在しない。活性化段階成分Iにおいては、リン酸化抗原の蓄積の後、より多くのGTP結合RhoB形成(丸+GTP)が生じる。GTP結合RhoBは細胞内再区画化(黒矢印)を受けて核外領域に蓄積し、CD277(青色六角形)のB30.2ドメイン近位連結領域(CR)に結合する形質膜における細胞骨格捕捉(膜から伸びる線)の促進によりJ配置へのCD277の空間的再分布を促進する。活性化段階成分IIにおいては、GTP結合RhoBが解離し(黒矢印)、pAgがCD277のB30.2ドメインに結合し、これはCD277の細胞外領域(ER)のコンホメーション変化を誘発して、CD277のJ配置の形成をもたらし、Vγ9Vδ2 TCR T細胞の活性化を招く。
【0255】
実施例7.特定されたSNPはLCL系の認識だけでなく、固形腫瘍細胞系を含む他の腫瘍細胞系の認識をも予測する。
【0256】
SNP A/GまたはG/Gの陽性予測値はA/Aの陰性予測値より強力であり、TCRのアフィニティに依存的である(表2を参照されたい)。表2においては、クローン5は、クローン115によりコードされるγ9δ2 TCRより高いアフィニティを有するγ9δ2 TCRをコードしている(Marcu-Mallnaら,“Redirecting αβ T cells against cancer cells by transfer of a broadly tumor-reactive γδ T-cell receptor,”Blood,118:50-59(2011))。したがって、このデータに基づけば、TCRアフィニティが高ければ高いほど、
1)陽性予測値は良好になる(つまり、含まれている患者は、応答者である可能性が高い)。
【0257】
2)陰性予測値は不良になる(つまり、応答者である患者が除外されうる)。
【0258】
表2のデータに関しては、異なる腫瘍細胞の遺伝子型を配列決定により評価した。腫瘍細胞の認識をIFNα-ELIspotアッセイまたはELISAにより評価し、この場合、示されている腫瘍細胞系を、G115またはクローン5鎖を発現するVγ9Vδ2 TCR+ T細胞に対する標的として使用した。0は、認識されないことを示す。1は有意な認識を示す。示されたSNPに関する偽陰性および真性陽性認識が計算される。
【0259】
これらのデータは、RhoBが、定められたγδTCRを発現するように操作されたT細胞(すなわち、「TEG細胞」)による腫瘍細胞の認識の重要な調節因子であること、およびγ9δ2TCRのアフィニティの増強がこのメカニズムを部分的に克服しうることを示している。また、照射のようなストレスはメカニズム(細胞膜近傍へのRhoBの再配置)を誘導せず、また、認識も誘導しない(
図12を参照されたい)。
【表2】
【0260】
実施例8.Rho-GTPアーゼの外に位置するSNPはRho-GTPアーゼに影響を及ぼしうる
幾つかの場合には、目的遺伝子内に位置する定められたSNPは、遺伝子によりコードされるタンパク質の発現または機能に直接的な影響を及ぼす。しかし、幾つかの場合には、特定されたSNPはこれらの領域内に直接的には位置せず、スプライス変異体は検出されないかもしれない。
【0261】
1つの仮説は、Rho-GTPアーゼの外に位置するSNPがRho-GTPアーゼの活性に影響を及ぼしうるということである。SAPPHIRE戦略に使用されるデータベースは完全ではない可能性があり、したがって、全てのSNPを網羅しているとは限らない。マーカーSNPの遺伝子型と相関する遺伝的変異を更に特定するために、主にRho-GTPアーゼのプロモーター領域に焦点を合せた拡張ゲノム配列決定を行う。Rho-GTPアーゼプロモーター領域はマウスとヒトとで異なるが、Rho-GTPアーゼ自体の配列は同一である。この観察は、γδ2 T細胞がマウスにおいて観察されない理由を潜在的に説明しうるであろう。また、最近公開されたSAPPHIREの次世代データベースが使用され、これは、Rho-GTPアーゼのゲノム領域内に位置するSNPを検出するためのより重要なSNP分析を可能にする。SAPPHIREの改良2.0バージョンは、プロキシSNP(すなわち、SNPヒットを有する高LDにおけるSNP;www.broadinstitute.org/mpg/snap/ldsearch.php)を含めること、および(プロキシ)SNP(例えば、ミスセンス、プロモーター、調節領域など;例えば、http://fastsnp.ibms.sinica.edu.tw/)の機能を予測することにより開発される。また、SNPは、発現量的形質遺伝子座(eQTL)分析(http://www.sanger.ac.uk/resources/software/genevar/)を用いて差次的遺伝子発現と相関され、候補遺伝子間の共通の細胞過程または経路がNCBI Gene Ontology(GO)用語により推定される。特に、GEF(グアニンヌクレオチド交換因子)、GAP(GTPアーゼ活性化タンパク質)およびGDI(グアニンヌクレオチド交換インヒビター)分子ファミリーに属する約130個の遺伝子を含む、Rho調節タンパク質をコードする遺伝子が標的化される。したがって、遺伝子はRho-GTPアーゼと同じ染色体領域に頻繁に位置し、したがって、マーカーSNPにも近い。そのような遺伝子は更なる計算解析および配列解析の対象となる。
【0262】
予測結果:例えばマーカーSNPに関連したRho-GTPアーゼのプロモーター領域または調節遺伝子内のSNPが特定されうる。フォローアップ研究は、定められたSNPによるRho-GTPアーゼの差次的調節に関する機能データを得るためのプロモーター研究、またはRho-GTPアーゼの調節タンパク質の過剰発現もしくは阻害の研究を含みうる。
【0263】
実施例9.実験手順
細胞および試薬
細胞および試薬 CEPH EBV-LCL系(CEU集団パネル)はTuna Mutis(UMC Utrecht,The Netherlands)からの親切な贈り物であった。Daudi(ダウディ)、K562、SW480、HEK293、HEK293FTおよびPhoenix-Ampho細胞系はATCCから入手した。LCL-TM(CEPHパネルとは別のEBV-LCL系)はPhil Greenberg(Seattle,U.S.A.)によって快く提供された。MZ1851RCはBarbara Seliger(University of Halle,Germany)によって快く提供された。Hek293、Phoenix-Ampho、SW480、MZ1851RC細胞を、1% Pen/Strep(Invitrogen)および10% FCS(Bodinco)で補足されたDMEM内で培養し、全ての他の細胞系を、1% Pen/Strepおよび10% FCSを含有するRPMI内で培養した。新鮮な初代PBMCを、Sanquin Blood Bank(Amsterdam,The Netherlands)により供給されたバフィーコートからFicoll-Paque(GE Healthcare)により単離した。凍結原発性急性骨髄性白血病(AML)サンプルはMatthias Theobald(Mainz,Germany)によって快く提供され、GCPおよびヘルシンキの規制に準拠して収集された。
【0264】
以下の試薬を使用した:パミドロネート(Calbiochem)、ゾレドロン酸一水和物(zolidronate,Sigma-Aldrich)、イソペンテニルピロリン酸(IPP)(Sigma-Aldrich)、カルペプチン(Rho活性化因子II CN03,Cytoskeleton Inc)、C3トランスフェラーゼを(RhoインヒビターI CT04、Cytoskeleton Inc)、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター(FTI)(Sigma-Aldrich)およびゲラニルゲラニルトランスフェラーゼインヒビター(GGTI)(Sigma-Aldrich)。
【0265】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーのために使用した抗体には、以下のものが含まれた:パン-γδTCR-PE(クローンIMMU510,Beckman Coulter)、CD4-FITC(eBioscience)、CD8-APC(BD)、非コンジュゲート化ウサギポリクローナルRhoB(Abcam社)、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor 488(Jackson ImmunoResearch)。マウスa-CD277 mAb(クローン#20.1および103.2)はD.Oliver(INSERM U891,Marseille,France)によって快く提供された。サンプルをFACSCaliburおよびFACSCanto-IIフローサイトメーター(BD)で処理し、FACSDivaソフトウェア(BD)で分析した。初代白血病幹細胞および健常前駆細胞を、既に記載されているとおりに(Terwijnら,2014)、表現型マーカーに従い選別した。
【0266】
FACS Aria SORP(赤色、青色および紫色固体レーザー(BD Biosciences)を使用)を使用して、細胞を選別した。全手順の間、細胞を氷上で維持した。細胞をAnti-CD45RA Alexa Fluor 700、Anti-CD38APC、Anti-CD34 Horizon BV421、Anti-CD45 Horizon V500(全て、BD Biosciences,San Jose,CA,USA)で標識した。CD34+ CD38- 幹細胞を、CD45RA発現に基づいて選別した。CD45RA陽性細胞は腫瘍性であり、CD45RA陰性細胞は正常造血幹細胞である。更に、CD34+ CD38+ 前駆細胞を選別した。
【0267】
TCRのレトロウイルス形質導入
TCRのレトロウイルス形質導入: Vγ9Vδ2-TCRクローンG115(Allisonら,2001)およびHLA-A*0201拘束性WT1126-134特異的αβTCR(Kuballら,2007)を、記載されているとおりに(Marcu-Malinaら,2011,Stanislawskiら,2001)、αβT細胞内に導入した。簡潔に説明すると、Fugene6(Promega)を使用して、Phoenix-Amphoパッケージング細胞をgag-pol(pHIT60)、env(pCOLT-GALV)、およびTCRγ/β鎖-IRES-ネイマイシンまたはTCRδ/α鎖-IRES-ピューロマイシンを含有するpBulletレトロウイルス構築物でトランスフェクトした。αCD3(30ng/ml)(クローンOKT3,Janssen-Cilag)およびIL-2(50U/ml)で前活性化されたPBMCに、50U/ml IL-2および4μg/ml ポリブレン(Sigma-Aldrich)の存在下、48時間以内にウイルス上清を2回形質導入した。形質導入されたT細胞をαCD3/CD28 Dynabeads(0.5×106ビーズ/106細胞)(Invitrogen)およびIL-2(50U/ml)での刺激により増殖させ、800μg/ml ジェネティシン(Gibco)および5μg/ml ピューロマイシン(Sigma-Aldrich)で1週間選択した。CD4+ TCR形質導入T細胞を、CD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用するMACS選別により単離した。
【0268】
形質導入後、形質導入されたT細胞を1μg/ml PHA-L(Sigma-Aldrich)、50U/ml IL-2(Novartis Pharma)、5ng/ml IL-15(R&D Systems)ならびに照射同種PBMC、DaudiおよびLCL-TM細胞で隔週で刺激した。新鮮なIL-2を週2回添加した。CD4+ 集団のトランスジェニックTCR発現および純度をフローサイトメトリーによって常套的に評価した。
【0269】
機能性T細胞アッセイ
既に記載されているとおりに(Scheperら,2013,Marcu-Malinaら,2011)、IFNγELISPOTを行った。簡潔に説明すると、15,000個のVγ9Vδ2 TCR形質導入または模擬形質導入T細胞および50,000個の標的細胞(比0.3:1)を、抗IFNγ抗体(クローン1-D1K)(Mabtech)で予めコーティング(被覆)されたニトロセルロース底96ウェルプレート(Millipore)内で24時間共培養した。プレートを洗浄し、二次ビオチン化抗IFNγ抗体(クローン7-B6-1)(Mabtech)と共にインキュベートし、ついでストレプトアビジン-HRP(Mabtech)と共にインキュベートした。IFNγスポットをTMB基質(Sanquin)で可視化し、ELISPOT解析ソフトウェア(Aelvis)を使用してスポットの数を定量した。
【0270】
あるいは、Vγ9Vδ2 TCR形質導入T細胞および標的細胞を丸底96ウェルプレート内で前記のとおりに共培養し、上清中のIFNγレベルをELISAにより測定した。示されている場合には、標的細胞をパミドロネート(100μM)、IPP(15μM)、FTI(10μM)、GGTI(50μM)、カルペプチン(2μg/ml)またはC3トランスフェラーゼ(20μg/ml)で前処理した後、コインキュベーションを行った。WT1αβTCR形質導入T細胞の刺激を試験するために、HLA-A2+ 細胞系EBV-LCL48およびMZ1851RCに10μM WT1126-134 ペプチドを添加した。
【0271】
接合性/SNP相関分析
Vγ9Vδ2 TCR形質導入CD4+ T細胞によるCEPH EBV-LCL系[培地、パミドロネート(100μM)またはIPP(15μM)のいずれかで前処理されたもの]の認識をELISPOTにより決定した。模擬形質導入T細胞をエフェクター対照として含めた。模擬形質導入細胞によるIFNγ産生を誘発した任意のEBV-LCL系を該分析から除外した。単一アッセイにおけるVγ9Vδ2 TCR+ T細胞によるEBV-LCL系の認識は、EBV-LCL前処理(すなわち、培地、パミドロネートまたはIPP)に無関係に、健常対照標的細胞の応答において生じたものと比較して、IFNγスポットにおける少なくとも2倍の増加として定義された。EBV-LCL系は、5つの独立した実験のうちの少なくとも3つにおいて認識された場合に活性化するものとして定義された。CEPH家系内の古典的メンデル遺伝パターンを使用して、候補遺伝子座に関する仮定的接合性を推定した。その場合、Vγ9Vδ2 TCR媒介性認識に対する候補対立遺伝子の影響が支配的であると仮定された。ついで、既に記載されているとおりに(Spaapenら,2008)、ソフトウェアツールssSNPerを使用して、CEPH個体のHapmap SNP遺伝子型との推定接合性の相関性を計算した。連鎖不平衡に関する閾値としてr2=0.8を使用して、ssSNPerにより生成されたSNPの500kb以内のプロキシSNPを、SNP注釈およびプロキシ検索(SNAP)ツール(Johnsonら,2008)を照会することにより収集した。ssSNPer SNPおよびそれらのプロキシのeQTL分析を、Genevar(GENe Expression VARiation)ツール(Yangら,2010)を使用して行った。
【0272】
shRNAおよびCRISPR/Casゲノム編集
目的の候補遺伝子に対して、レンチウイルスヘルパー構築物VSVGおよびpspax2と共にshRNAを含有するレンチウイルス構築物(Sigma-Aldrich)と共にFugene 6(Promega)を使用して、HEK293FT細胞をトランスフェクトした。機能的T細胞アッセイの4日前に、EBV-LCL 48細胞にウイルス上清を導入した。標的化遺伝子のノックダウンを、リアルタイムQ-PCRを用いて、またはRhoBの場合はフローサイトメトリーにより確認した。
【0273】
CRISPR/Cas9系(van de Weijerら,2014)を使用して、MZ1851RC細胞からRHOA、RHOBまたはRHOCをノックアウトした。このために、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9、PuroR、および抗RHOAガイドRNA(gRNA)の発現を促進するヒトU6プロモーターを共発現するレンチウイルスCRISPR/Cas9ベクター(Ref Weijerら)を使用した。gRNA配列の遺伝子特異的領域をZhang labのCRISPR設計ツール(http://crispr.mit.edu/)により設計した。それらの配列はGAACTATGTGGCAGATATCG(RHOA)(配列番号2)、GTGGTGGGCGACGGCGCGTG(RHOB)(配列番号3)およびGAAAGAAGCTGGTGATCGT(RHOC)(配列番号4)であった。対照gRNAとして、GTGAACCGCATCGAGCTGAA(配列番号5)を含有するeGFP遺伝子を標的化した。
【0274】
293T細胞において標準的第3世代パッケージングベクターを使用してレンチウイルスを作製した。MZ1851RC細胞に、示されているCRISPR/Cas9レンチウイルスを導入し、細胞を2μgml-1のピューロマイシンで選択した。RhoBノックアウトの効率を、フローサイトメトリーを用いて評価した。
【0275】
ウエスタンブロット分析
EBV-LCL系22、48、91および93をパミドロネートで一晩処理し、NP-40を含有する細胞溶解バッファーにより細胞溶解した。ライセートを遠心分離して細胞破片を除去し、上清をSDS-PAGEにより分離した。タンパク質含有物をPVDFメンブレン(Millipore)に移し、ブロッキングバッファー(5%ミルク)中で1時間ブロッキングし、RhoB(LifeSpan Biosciences)またはβ-チューブリン(クローンDM1A)(Sigma)に対するウサギポリクローナル抗体と共に一晩インキュベートした。ついでブロットをHRP結合二次抗体と共にインキュベートし、Pierce ECL基質(Thermpo Scientific)を使用してバンドを可視化した。
【0276】
共焦点顕微鏡検査およびデータ分析
RhoBの細胞内免疫染色のため、細胞をパミドロネートで一晩処理し(示されている場合)、ポリ-L-リシンで予め被覆されたカバースリップ(Sigma-Aldrich)上に付着させた。ついで細胞を透過処理液2(BD)で透過処理し、ブロッキング血清(PBS中の50% プール化正常ヒト血清)でブロッキングし、ウサギポリクローナル抗RhoB抗体(AbCam)で染色し、ついで二次ヤギ抗ウサギIgG Alexa Fluor 488結合抗体(Jackson ImmunoResearch)で染色した。細胞をブロッキング血清で洗浄し、4% パラホルムアルデヒドで固定し、DAPIで染色し(示されている場合)、Mowiolを使用して顕微鏡スライド上にマウントした。Zeiss共焦点レーザー走査顕微鏡LSM 700を使用してイメージを取得した。RhoBの核シグナルと核外シグナルとの比を、Volocityソフトウェア(PerkinElmer)またはImage Jソフトウェアを使用して決定し、この場合、核を標識するために、利用可能な場合にはDAPI染色を用いた。
【0277】
BTN3分子とアクチン細胞骨格との共局在を判定するために、HEK293細胞をポリ-L-リシン被覆カバースリップ上で増殖させ、カルペプチン(2μg/ml)またはC3トランスフェラーゼ(20μg/ml)のいずれかで前処理した後、サンプルをパミドロネートで処理した。サンプルを固定、透過処理し、BTN3およびF-アクチンを、それぞれ、DyLight 680結合BTN3抗体(クローンBT3.1、Novus Biologicals)およびフルオレセイン結合ファロイジン(Sigma)で染色した。BTN3とF-アクチンシグナルとの相関係数を、Volocityソフトウェアを使用して、共局在の尺度として決定した。
【0278】
FRAP顕微鏡検査
既に記載されているとおりに(Harlyら,2012,Sandstromら,2014)、FRAP分析を行った。簡潔に説明すると、EmGFP融合CD277を発現するHEK293FT細胞をmスライド(Ibidi)上に配置し、Nikon A1 RS共焦点顕微鏡(60×NA 1.40油浸対物レンズ)を使用して分析した。選択された長方形領域を、レーザー強度の全出力(90%超の蛍光損失)を用いて、500ミリ秒間、光退色した。低レーザー強度を用いて、退色の前(30秒)および後(120秒)に、5秒ごとにイメージを収集した。Metamorph 7.5(Molecular Devices,Universal Imaging)およびNIS(Nikon)イメージングソフトウェアを使用してイメージを分析した。得られた曲線を、1相指数方程式を用いてフィットさせた。
【0279】
フローサイトメトリーFRET
RhoBとBTN3分子との関連性(結合)を調べるために、細胞を、透過処理溶液2(BD)を使用して透過処理し、ついで、50% ヒト血清を含有するPBSでブロッキングし、ウサギポリクローナル抗RhoB抗体(Abcam)で標識した。PBSで洗浄した後、サンプルを、それぞれ、Alexa594結合ヤギ抗ウサギIgG(アクセプター)(Jackson ImmunoResearch)およびCD277-PE(ドナー)(BT3.1、Biollegend)で標識した。FACS Canto-IIフローサイトメーター(BD)を使用してドナー蛍光を測定し、この場合、二重標識サンプルのドナー蛍光を、ドナー抗体のみで標識されたサンプルの蛍光と比較した。アクセプターの存在下のドナー蛍光の僅かな減少から、FRET効率を計算した。
【0280】
CD277分子のホモ二量体化を決定するために、細胞を等量のPE結合抗CD277(ドナー)およびDyligth680結合抗CD277(アクセプター)で共染色し、FACS Canto-IIフローサイトメーター(BD)を使用してサンプルを測定した。Sebestyenら(Sebestyenら,2002)による式を用いて、FRET効率を計算し、この場合、ドナー蛍光を488nmで励起し、576±26nmで検出し、アクセプター蛍光を635nmで励起し、780±60nmで検出し、一方、FRET強度を488nmで励起し、780±60nmで検出した。異なる蛍光チャンネル間のスペクトル重複に関する補正係数を、非標識細胞および単一標識細胞上で測定されたデータから得た。
【0281】
BTN3分子のコンホメーション変化を、記載されている方法(Gasparら,2001)と同様にして決定した。細胞を5μg/ml BODIPY-FL DPHE(ドナー)(Life Technologies)で氷上で10分間標識し、ついで37℃で10分間標識し、ついで氷冷PBSで十分に洗浄した。ついで細胞をマウス抗CD277 mAbs(クローン#20.1または#103.2のいずれか)およびAlexa594結合ヤギ抗マウスFabフラグメント(Jackson ImmunoResearch)で標識した。洗浄後、細胞を氷冷PBSに再懸濁させ、FACS Canto-IIフローサイトメーター(BD)を使用して直ちに測定した。アクセプターの存在下のドナー蛍光の僅かな減少から、FRET効率を計算した。
【0282】
近接ライゲーションアッセイ
HEK 293FT細胞をポリ-L-リジン被覆カバースリップ上で増殖させ、100μM パミドロネートで一晩、前処理した後、固定し、透過処理バッファー2(BD)で15分間透過処理した。ついで細胞をPBSで3回洗浄し、50% ヒト血清を含むPBS中で22℃で30分間ブロッキングした。ブロッキング後、50% ヒト血清を含有するPBS中、ウサギ抗RhoB(AbCam)およびマウス抗CD277(Novus Biologicals)と共に細胞を22℃で60分間インキュベートした。細胞をPBST(0.05% Tween)で3回洗浄し、二次マウスPLUS抗体およびウサギMINUS抗体と共に37℃で暗所で1.5時間インキュベートした。細胞をPBST中で3回洗浄した後、インシトゥ(in situ)PLA検出キット(Abnova)でプローブの検出を行った。Zeiss LSM 710蛍光顕微鏡上の63倍対物レンズで細胞を分析した。
【0283】
インビトロタンパク質発現および精製
制限酵素部位NdelおよびXhoI(5’プライマー:CGCCATATGATGGCCGCCATCCG(配列番号7);3’プライマー:CGCCTCGAGTTAGCAGCAGTTGATGCAGC(配列番号8))を使用して、C末端6-Hisタグ(配列番号6)およびそれに続くトロンビン切断部位を含有するPET 28Aベクター内に全長RhoBのタンパク質をクローニングした。大腸菌(Escherichia coli)における不適切なプレニル化を防ぐためにRhoBのC末端CKVL(配列番号9)モチーフを欠失させた。該構築物をBL21株大腸菌内で発現させた。細胞をTerific Broth(TB)内で37℃でOD600=0.6まで増殖させ、ついで室温(25℃)に移した。15分間の回復後、培養液1リットル当たり1mlの1M イソプロピル β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)で12~16時間にわたり細胞を誘導した。タンパク質を集め、20mM Tris pH8.0、400mM NaCl、20mM イミダゾール、5mM MgCl
2および4mM 2-メルカプトエタノール(BME)中でNi-NTA(Qiagen)IMACクロマトグラフィーを使用して精製し、まず、潜在的シャペロンをRhoBから解離させるために、前記バッファー中で補足された1mM ATPで洗浄し、ついでATP非含有バッファーで洗浄し、最後に、20mM Tris pH8.0、400mM NaCl、250mM イミダゾール、5mM MgCl
2および4mM BMEで溶出した。Econo-Pac 10DGカラム(Biorad)を使用して、10mM Hepes 7.2、150mM NaCl、0.02% アジド、5mM MgCl
2および4mM BME中に溶出画分を脱塩させた。10mM Hepes pH7.2、150mM NaCl、0.02% アジド、5mM MgCl
2および4mM BME中のSuperdex 200カラム(GE Healthcare)でのゲル濾過によりタンパク質を更に精製した。BCA試験と、理論吸光係数を用いるND-1000分光光度計(NanoDrop Technologies,Inc.)を使用するA280シグナルの測定との両方により、タンパク質濃度を測定した。既に記載されているとおりに(Sandstromら,2014))、BTN3A1 B30.2ドメインを発現させ、精製した。NcoIおよびXhoI(5’プライマー:GCGCCATGGGGCAACAGCAGGAGGAAAAA(配列番号10);3’プライマー:CGCTCGAGGGGCCCCTGGAACAGAACTTCCAGACCACCAGACGCTGGACAAATAGTC(配列番号11))を使用して、3Cプロテアーゼ部位およびそれに続くカルボキシル末端6HISタグ(配列番号6)を含有するpET28a内に、BTN3A1全長細胞内ドメインをクローニングした。該構築物をBL21株大腸菌内発現させた。細胞をLysogeny Broth(LB)中で37℃でOD600=0.6まで増殖させ、培養液1リットル当たり1mlの1M IPTGで室温で4時間誘導した。タンパク質を回収し、20mM Tris pH8.0、400mM NaCl、20mM イミダゾール、4mM BME中でNi-NTA(Qiagen)IMACクロマトグラフィーを使用して精製し、20mM Tris pH8.0、400mM NaCl、250mM イミダゾール、4mM BMEで溶出し、Econo-Pac 10DGカラム(Biorad)を使用して10mM Hepes pH7.2、150mM NaCl、0.02% アジド、4mM BME中に脱塩させた。4℃で3Cプロテアーゼを使用してタンパク質を一晩切断した。前記のとおりに、タンパク質濃度を測定した(
図S4AおよびS4B)。
【0284】
バイオレイヤー干渉法(BLI)
RhoBとBTN3A1全長細胞内ドメイン(BFI)またはBTN3A1 B30.2ドメインとの間の相互作用を、バイオレイヤー干渉法(BLItz,ForteBio)を使用して測定した。ベースライン平衡化および解離工程で使用するBLIバッファーを、10mM Hepes pH7.2、150mM NaCl、0.02% アジド、5mM MgCl2、4mM BMEを使用して調製した。以下のパラメーターを用いる基本的な速度論法を用いて、2mg/mlの濃度のRhoBを、BLIバッファーで水和されたNi-NTAバイオセンサー上に固定化した:ベースラインに関しては30秒、結合に関しては300秒、および解離に関しては300秒。ついでRhoB配置バイオセンサーを1mg/ml BSAによりブロッキングし、以下のパラメーターを用いる同様の方法を用いてBLIバッファーで平衡化した:ベースラインに関しては30秒、結合に関しては120秒、および解離に関しては120秒。バッファーでの実施を後続実験のための基準として用いた。RhoBと種々の濃度のBFI(6.25、12.5、25、50および100μM)またはB30.2ドメイン(12.5、25、50、100および200μM)との相互作用を、前記と同じ方法を用いて測定した。(2E)-1-ヒドロキシ-2-メチルペンタ-2-エニル-ピロホスホナート(cHDAMPP)の存在下のRhoBと種々の濃度のBFI(3.75、7.5、15、30および60μM)またはB30.2ドメイン(3.75、7.5、15、30および60μM)との相互作用も、前記と同じ方法で測定した。これらの測定では、cHDMAPPとBFIまたはB30.2ドメインとの比を1:1に維持した。結合相互作用に関する速度定数および結合定数はBiaevulation(Biacore Life Sciences)により分析された。データを180秒に切除し、ドリフトベースラインモデルと共に1:1結合を用いて、kaおよびkdを同時にフィットさせた。
【0285】
G-Lisa分析
G-LISA RhoA Activation Assay Biochemキット(カタログ番号BK124;Cytoskeleton,Inc.,Denver,CO,USA)を製造業者の説明に従い使用して、RhoAの活性をアッセイした。簡潔に説明すると、細胞を、プロテアーゼインヒビターカクテルを含有する氷冷細胞溶解バッファー中で細胞溶解し、ついで10000×gで4℃で1分間遠心分離した。上清を回収し、Precision Red Advanced Protein Assay Reagentを使用してタンパク質濃度を測定し、最終的に氷冷細胞溶解バッファーで1.0mg/mlに平衡化した。平衡化タンパク質抽出物をRho-GTP結合タンパク質プレレコートプレートに移した。プレートを0.72×gのオービタルマイクロプレートシェーカー上に4℃で30分間配置し、ついでモノクローナルマウス抗ヒト抗RhoA一次抗体(カタログ番号GL01A;1:250;Cytoskeleton,Inc.)と共に、ついでポリクローナルヤギ抗マウスホースラディッシュ結合二次抗体(カタログ番号GL02;1:62.5;Cytoskeleton,Inc.)と共に、0.72×gのオービタルマイクロプレートシェーカー(SSM1;Bibby Scientific Limited Group)上で室温で各45分間インキュベートした。ついでプレートをHRP検出試薬と共に37℃で15分間インキュベートした。HRP停止バッファーの添加の後、マイクロプレートリーダーを使用して490nmで吸光度を読み取った。
【0286】
統計分析
特に示されていない限り、全ての実験は、独立して少なくとも3回繰り返した。全てのデータは平均±SEMとして示されている。統計的有意性は、マン-ホイットニー(Mann-Whitney)またはクラスカル-ワリス(Kruskal-Wallis)検定およびダン(Dunn)の多重比較検定により分析した。
【0287】
本明細書には本開示の好ましい実施形態が示され記載されているが、そのような実施形態は単なる例示として記載されているに過ぎないことは当業者に明らかであろう。したがって、多数の変形、変更および置換が、本開示から逸脱することなく、当業者において見出されるであろう。本開示の実施においては、本明細書に記載されている実施形態の種々の代替物または本明細書に記載されているこれらの実施形態もしくは態様の1以上の組合せが使用されうると理解されるべきである。後記の特許請求の範囲は本開示の範囲を定め、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物が本発明に含まれると意図される。
【0288】
実施例10:実験方法
細胞系
細胞系Daudi(ダウディ)、LCL-TM、ML-1、JurMAおよびJurkat-76を、10% FCSおよび1% pen/strep(ペニシリン/ストレプトマイシン)(Gibco)を補足されたRPMI(Gibco)内で培養した。HEK293FT細胞系を、10% FCSおよび1% pen/strepで補足されたDMEM(Gibco)内で培養した。ヒト初代T細胞クローンを、10% プール化ヒト血清および1% pen/strepで補足されたRPMI内で培養した。レトロウイルス形質導入に使用するヒトバルク初代T細胞を、2,5% プール化ヒト血清および1% pen/strepで補足されたRPMI内で培養した。全てのヒト初代T細胞を、2週間の急速増殖プロトコル[REP;照射フィーダー細胞(Daudi、LCL-TMおよび同種PBMC)+PHA+IL-15+IL-2を含む]に従い培養した。
【0289】
γ9δ2 T細胞クローンの作製、増殖および機能試験
PBMCをVδ2に対するモノクローナル抗体(Vδ2-FITCクローンB6)(mAb)で染色した。mAb陽性画分はバルクにおいて選別し、REP上で増殖させ、ついで制限希釈(ドナーA)によりクローニングし、または96ウェルプレート内の単細胞の収集を含むFACS選別(ドナーB、C)を用いて単細胞選別した。全てのFACS選別をARIAII(BD)で行った。機能試験の前にREP上で8~12ラウンドの増殖を行った。細胞が十分な数まで増殖したらすぐに、機能試験を行った。5*10Λ4 T細胞を、100μM パミドロネート二ナトリウム塩(Calbiochem Cat#506600)の存在下または非存在下、10% FCSおよび1% pen/strepで補足されたDMEM内で1:1のE:T比で標的細胞と共に一晩インキュベートし、翌日、上清を回収し、ELISA(eBioscience Ready-Set-Go!ELISAキット,Invitrogen Cat#88731688)を使用してIFNy濃度を測定した。
【0290】
TCRの配列決定およびベクターの作製
Qiagen RNeasy Minikitを製造業者の説明に従い使用して、初代T細胞クローンからRNAを単離した。3’定常領域における特異的プライマー(TRDCRev TTCACCAGACAAGCGACA(配列番号12))を使用し、Superscript(登録商標)II逆転写酵素(Thermofisher)を使用して、cDNAを合成した。NucleoSpin GelおよびPCR Clean-UP(Machery-Nagel)を使用してcDNAを精製した。T100サーマルサイクラー(Thermal Cycler)(Biorad)におけるQ5(登録商標)高忠実度(High Fidelity)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)および以下のサイクリングパラメーターを使用して、定常領域における同じリバースプライマー(TRDCRev TTCACCAGACAAGCGACA(配列番号12))および特異的Vδ2フォワードプライマー(TRDV2Fw TCTCTTCTGGGCAGGAGTC(配列番号13))を使用するPCR増幅において、cDNAを増幅した。
【0291】
可変遺伝子セグメントおよび定常遺伝子セグメントに特異的なプライマー[TRDV2Fw TCTCTTCTGGGCAGGAGTC(配列番号13)、TRDCRev TTCACCAGACAAGCGACA(配列番号12)、TRGV9Fw TCCTTGGGGCTCTGTGTGT(配列番号14)、TRGCRev GGGGAAACATCTGCATCA(配列番号15)]を使用して、TCRガンマおよびデルタ鎖を配列決定した。サンガー配列決定をMacrogenにおいて行った。
【0292】
新たなCDR3配列を導入するために重複伸長PCRを用いて、特定されたγδT細胞クローンの選択のTCRδおよびTCRγ鎖をレトロウイルス発現ベクターにおいて再構成させた。簡潔に説明すると、G115のγまたはδ鎖のいずれかをコードするコドン最適化構築物のCDR3領域に隣接する不変配列に基づいてプライマーのセットを作製し、クローン特異的ヌクレオチドでプライマーを伸長させた。オーバーハング(突出部)内の15~20bpの伸長を、そのペアプライマーに対する逆相補体となるように設計した(表3を参照されたい)。
【表3】
【0293】
PCR「R1」において、制限部位を含みレトロウイルスpBulletベクター内にクローニングされた鋳型鎖δおよびγTCRG115に結合するフォワードプライマー[G115δFwd:CTGCCATGGAGCGGATCAGC(配列番号70),G115γFwd:GCCATGGTGTCCCTGCTG(配列番号71);NcoI制限部位がイタリック体で示されている]およびクローン特異的リバースプライマーRev R1(表3)を使用して、V-(D)-J部分(可変ドメインおよびCDR3領域の一部)を増幅した。同様に、PCR「R2」において、一定のリバースプライマー[G115δRev:ATGCGGATCCTCACAGG(配列番号72),G115γRev:TAGTGGATCCTCAGCTCTTCTC(配列番号73);BamHI制限部位がイタリックで示されている]およびクローン特異的フォワードプライマーFwd R2を使用して、TCR鎖の(D)-J-C部分を増幅した。NucleoSpin GelおよびPCR Clean-UPキット(Machery-Nagel)を使用するゲルベースのサイズ選択および精製の後、G115δFwd/G115δRevおよびG115γFwd/G115γRevプライマーペアを使用するPCR「R3」において、該PCR産物の2つ(R1およびR2)を融合および増幅して、クローン特異的CDR3領域を含有するTCR鎖を得た。全ての反応は、T100サーマルサイクラー(Biorad)におけるPhusion High-Fidelity DNAポリメラーゼ(Thermo Fisher Scientific)および以下のパラメーターを使用して行った:R1-R2の場合:98℃で120秒、98℃で20秒、59℃で20秒および72℃で25秒の30サイクル、ならびにそれに続く72℃で600秒;R3の場合:98℃で120秒、98℃で20秒、56℃で20秒および72℃で40秒の30サイクル、ならびにそれに続く72℃で600秒。
【0294】
別のゲルベースのサイズ選択工程の後、新たに合成さTCR鎖を精製し、NcoIおよびBamHIクローニング部位を使用してレトロウイルスpBulletベクター内にクローニングした。TCRδ遺伝子をpBullet-IRES-ピューロマイシン内にクローニングし、TCRγ遺伝子をpBullet-IRES-neo内にクローニングした。配列同一性をサンガー配列決定(Macrogen)で確認した。
【0295】
プラスミドのレトロウイルス形質導入
目的のTCR鎖を含有するベクターペアを初代ヒトT細胞内に導入した。TEG形態のTCRの機能試験を初代クローンの機能試験と同じ方法で行った。
【0296】
TCRδ鎖のハイスループット配列決定
Qiagen RNeasy Microkitを製造業者の説明に従い使用して、RNAを単離した。3’定常領域における特異的プライマー(TRDCRev TTCACCAGACAAGCGACA(配列番号12))を使用し、Superscript(登録商標)II逆転写酵素(Thermofisher)を使用して、cDNAを合成した。NucleoSpin GelおよびPCR Clean-UP(Machery-Nagel)を使用してcDNAを精製した。T100サーマルサイクラー(Biorad)におけるQ5(登録商標)High Fidelity DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)および以下のサイクリングパラメーターを使用し、定常領域における同じリバースプライマー(TRDCRev TTCACCAGACAAGCGACA(配列番号12))および特異的Vδ2フォワードプライマー(TRDV2Fw TCTCTTCTGGGCAGGAGTC(配列番号13))を使用するPCR増幅において、cDNAを増幅した:92℃で300秒、92℃で30秒、63℃で30秒および72℃で45秒の30サイクル、ならびにそれに続く72℃で420秒。NucleoSpin GelおよびPCR Clean-UPで精製した後、GendxのHTSgo-IndXインデックスと共にHTSgo-LibrXキットを製造業者の推奨に従い使用して、HTSのライブラリー調製を行った。サンプルのクリーンアップを、GC BiotechのHighPrep PCRビーズを使用して行った。ハイスループット配列決定をIllumina MiSeqシステム500(2×250bp)(Illumina)で行った。TCR配列アライメント、集合(アセンブリ)およびクロノタイプ抽出を、MiXCR(バージョンv2.1.1)プログラムを使用して行った。TCRδレパートリー分析には社内Rスクリプトを使用し、データをフィルタリングして、1リード/クロノタイプの頻度でクロノタイプを除外した。
【0297】
可溶性TCRのクローニング、発現および精製
TCR鎖の細胞外ドメインは、全長TCRをコードする合成DNAから増幅した。ドメイン境界は、Vγ9Vδ2 TCR G115に関して以前公開されたものに基づいていた。構築物の5’末端におけるμ-ホスファターゼシグナルペプチドと3’末端におけるfos(フォス)ジッパーとを含有する修飾pBulletベクター内にTCRδ鎖を連結した。5’末端におけるμ-ホスファターゼシグナルペプチドおよび3’jun(ジュン)ジッパーならびにそれに続くビオチンアクセプターペプチドおよびポリヒスチジンタグを含有する修飾pBulletベクター内にTCRγ鎖を連結した。また、細菌ビオチンリガーゼBirAをコードする合成DNAを、シグナルペプチドを含有するpBulletベクター内に連結した。可溶性γδTCRの発現をFreestyle(フリースタイル)293-F細胞(ThermoFisher)において行った。簡潔に説明すると、TCRδ、TCRγおよびBirAを含有するプラスミドを45:45:10の比で混合し、ポリエチレンイミン(PEI)と2:3の比で一緒にし、室温で15分間インキュベートした。DNA:PEI混合物を1~1.5μgプラスミド/10Λ6細胞の濃度で細胞に添加し、6時間後、培地をPen/Strep(Gibco)および100μM ビオチンで補足した。トランスフェクションの5日後、培地を回収し、それぞれ20mMおよび300mMの最終濃度のリン酸バッファー(pH7.5)およびNaClで補足し、1ml HisTrap Excelカラム(GEヘルスケア)上にローディングした。イミダゾールの濃度を増加させる多段階勾配を用いて、可溶性TCRを洗浄し、カラムから溶出した。溶出した可溶性TCRを20mM Tris(pH8.2)および20mM NaCl中で1ml HiTrapQカラム(GEヘルスケア)上にローディングした。直線勾配を用いて可溶性TCRを溶出した。可溶性TCRを含有する画分をプールし、濃縮した。四量体およびデキストラマーを調製した。簡潔に説明すると、20分間にわたって4工程でSA-PEの1当量(1μM)をsTCRの6当量(6μM)に加えることにより、単量体から四量体を調製した。SA-PEおよびsTCRを1:3のモル比で15分間プレインキュベートし、ついで、生じた三量体にビオチン化デキストラン(分子量500kDa;NanoCS)を1:8(デキストラン:SA-PE)のモル比で添加することにより、デキストラマーを調製した。ビーズの調製では、完全被覆ビーズの10μg sTCR/mgミクロスフェアが確実に得られるように、該ビオチン化可溶性TCRをストレプトアビジン結合蛍光黄緑色ミクロスフィア(6μm;Polysciences,Inc.)と過剰に混合した。
【0298】
sTCR多量体細胞結合アッセイ
四量体およびデキストラマー染色のために、1.0*10Λ5細胞を30μlのテトラマーまたはデキストラマー溶液(SA-PEに対しては100nM)と共に室温で30分間インキュベートした。ビーズの染色のために、7.5*104 細胞を20μlのsTCR-YGビーズ(ビーズ0.33mg/ml)と共に30の時間にわたってインキュベートした。ついで細胞を固定可能生存可能色素eFluor780(eBiosciences)で更に30分間染色した。抗CD277抗体20.1または103.2(Daniel Olive,Marseille,Franceからの親切な贈り物)を使用する阻害アッセイのために、Daudi細胞を抗体と共に室温で15分間プレインキュベートした後、sTCR-YGビーズを加えた。該混合物を、40μlの2% ホルムアルデヒドを加えることにより、15分間固定した。サンプルを1% ホルムアルデヒドで1回洗浄し、BD FACSCanto II(BD)で分析した。
【0299】
シナプスへのγδTCR富化およびコンジュゲート形成
HEK293FT細胞をμスライドポリ-L-リジンプレコートチャンバー(Ibidi)内に播いて一晩付着させた。翌日、細胞を100μM PAMで37℃で1時間処理した。TEGをHEK293FT細胞上に添加し、37℃で30~120分間インキュベートした。コインキュベーション後、チャンバーを直ちに氷上に配置し、4% PFAで30分間固定した。サンプルを1% BSA/FCSでブロッキングし、2μg/mLのCD3ε-AlexaFluor 647(BD Biosciences)で室温で2時間標識し、最後に1% PFA+DAPIで固定した。サンプルをZeiss LSM-710でイメージングし、Volocityソフトウェア(PerkinElmer)で分析した。HEK293FTとTEG細胞とのコンジュゲートの数を定量するために、撮影したイメージ上でCD3ε陽性物とDAPI陽性物との比を計算した。免疫学的シナプスへのガンマデルタTCRの富化を分析するために、63倍の拡大イメージ上で標的細胞およびエフェクター細胞の接触領域の内側と接触領域の外側とのCD3εシグナル富化の比を計算した。
【0300】
超分解能イメージング
HEK293FT細胞を8ウェルLab-Tekチャンバー内でプレーティングして付着させ、100μM パミドロネートで一晩処理した。超分解能イメージングのために、細胞をAF647-CD277で室温で標識した。標識後、細胞をPBSで洗浄し、4% PFAおよび0.2% グルタルアルデヒドで1~2時間固定した。超分解能イメージングの前に、200μLの新鮮なSRB(超分解能バッファー:50mM トリス、10mM NaCl、10% グルコース、168.8U/mL グルコースオキシダーゼ、1404U/mL カタラーゼ、10mM 塩酸システアミン、pH8.0)を該ウェルに加えた。油浸対物レンズ1.45-NA全内部反射蛍光対物レンズ(U-APO 150×;Olympus America)を備えた倒立顕微鏡(IX71;Olympus America)を使用して、dSTORMイメージングを行った。637nmダイオードレーザー(HL63133DG;Thorlabs)をAF647励起に使用した。サンプルの照明および放射のために、クワッドバンドのダイクロイックおよび放射フィルターセット(LF405/488/561/635-A;Semrock)を使用した。585nmダイクロイック(Semrock)および追加的な放射フィルター(692/40nmおよび600/37)と共に注文製2チャネルスプリッターを使用して、AndorIxon 897電子増倍電荷結合デバイス(EM CCD)カメラ(Andor Technologies,South Windsor,CT)の異なる象限に放出光を分離した。倒立顕微鏡(IX71;Olympus America,Center Valley,PA)のサンプルチャンバーを、xyz軸に沿った0.2nmの分解能を有する3次元ピエゾステージ(Nano-LPS;Mad City Labs,Madison,WI)に取り付けた。注文製ステージ安定化ルーチンを使用して、イメージング手順の全体にわたってサンプルドリフトを補正した。TIRFにおいて57フレーム/秒でイメージを取得し、各イメージ再構成ごとに10,000~20,000フレームを収集した。
【0301】
超分解能イメージ再構成およびデータ分析
既に記載されているとおりに(Smithら,2010,Nat Methods:Huangら,2011,Biomed Opt Express)、dSTORMイメージを分析し、特製MATLAB関数で再構築した。各イメージフレームに関して、局所最大強度に基づいて部分領域を選択した。ついで最尤推定量を使用して、各部分領域をピクセル化ガウス強度分布にフィットさせた。各パラメーターのCramer-Rao下限値ならびに強度およびバックグラウンドカットオフを使用して推定されたフィット精度および対数尤度比に基づいて、フィットの結果を棄却(拒否)した。ローカルクラスタリングツール(http://stmc.health.unm.edu)のパッケージの一部として密度ベースのDBSCANアルゴリズムを使用して、dSTORM CD277クラスターデータの分析を行った。選択したパラメーターは、イプシロン=50nmの隣接クラスター点間の最大距離、および6つの観測値の最小クラスターサイズであった。凸包と該点を囲む最大密集表面との中間の等高線を生成するデフォルト方法論を用い、MATLAB「境界」関数でクラスター境界を生成させた。ついで、これらの境界内のクラスター領域を、より直感的な解釈のために、同等面積の円の半径に変換した。2μm×2μmのサイズの関心領域(ROI)を、ROIごとに同等半径の統計が収集されたイメージのセットから選択した。
【0302】
実施例11:γ9δ2T細胞の機能的プロファイリング
個々のγ92δT細胞クローンの機能活性に対する個々のγ9δ2TCRの影響を、より広範囲で評価するために、限界希釈またはFACS選別によりγδT細胞クローンを単離した。腫瘍細胞系Daudi(ダウディ)に対するIFNγ産生によりインビトロ抗腫瘍活性を決定した。4名の健常ドナーから単離されたγ9δ2T細胞クローン(N=57)の間で相当な抗腫瘍機能的不均一性が観察され、IFNy濃度の信頼可能な測定のために30pg/mlのカットオフを選択した場合、該クローンの約60%は腫瘍細胞系Daudiに対して反応性であった(
図13A)。パミドロネート(PAM)のようなビスホスホネートは、RhoBにより促進されγ9δ2TCRにより感知されるCD277Jの誘導によりγ9δ2T細胞の活性を増強しうる。100μM PAMの存在下、調べたγ9δ2T細胞クローンの反応性は平均10倍増強され(範囲0,7~37,3;中央値8,1)、95%を超える該クローンが、PAMを添加した場合、閾値を超える反応性を示した(
図13A)。活性プロファイルが専らDaudi細胞に関して観察されたのか他の標的に関しても有効なのかどうかを評価するために、十分に特徴づけられた追加的なγδT細胞標的である細胞系HEK293FTを、単離されたγδT細胞クローンと共にコインキュベートした。HEK293FT細胞系は、PAMの非存在下では、遥かに低いサイトカイン分泌を誘発するに過ぎず、γ9δ2T細胞クローンの約30%しか、カットオフを上回るIFNyの分泌をもたらさない。しかし、PAMの存在下では、全く同じクローンをDaudiまたはHEK293FTに対して試験した場合にIFNγ分泌の強い相関性により証明されるとおり、個々のクローンの反応性はDaudiに対するそれらの反応性に匹敵した(スピアマンのr=0,893、p<0.0001(n=54)、
図13Bおよび
図13C)。
【表4】
【0303】
実施例12:γ9δ2T細胞のクローン頻度
個々のγ9δ2T細胞クローンのインビトロ抗腫瘍活性におけるγ9δ2TCRの役割を更に研究するために、γ9δ2TCR配列決定のための57個のクローンのうちの20個を選択した。これらのクローンは、
図13Aに示されているとおり、クローン活性の全範囲を含んでいた。幾つかのクローンペア(B2およびB5、C4およびC14、C7およびC11)は同一TCRを発現することが判明し、合計17個のユニーク(唯一)クロノタイプが最終的に得られらた。個々のクロノタイプのなかで、全てのδ鎖はユニークであったが、γ鎖においては、CDR3領域配列に関して、ドナー内およびドナー間の両方で幾らかの重複が存在していた(
図14A)。
【0304】
単細胞選別に使用したのと同じドナーの完全なγ9δ2TCRレパートリーのハイスループット配列決定(HTS)を行った。ドナーCの例で示されているとおり、ドナーのレパートリー内の或るクロノタイプの頻度(保有率)は、DaudiまたはHEK293FTに対するそれぞれのクローンの機能活性と相関しなかった。最も高い頻度のクローンC6は、このドナーから単離された最も反応性であるγ9δ2T細胞クローンの1つに属し、一方、他の3つの高頻度クロノタイプ(C2、C4、C11)はより低い範囲の反応性を示したが(
図14B)、本発明者らは、示されているδ鎖が、他のγ鎖と組合された場合に、より高い活性を示すことを排除できない。逆に、ドナーAからの非常に活性なγ9δ2T細胞クローンは元のドナーにおいては高頻度ではなかった。したがって、クローン頻度は個々のγ9δ2T細胞の機能活性と相関しなかった。
【0305】
実施例13:親γ9δ2T細胞の機能活性
配列決定されたγおよびδTCR遺伝子の選択物を合成し、レトロウイルスpBulletベクター内にクローニングし、初代αβT細胞において発現させて、γδT細胞の他の共受容体の非存在下の個々のγδTCRの分析を可能にした。まず、CDR3領域内の変異がTCR表面発現に影響を及ぼすかどうかを評価した。
図14Cに示されているとおり、TCRクローンA1~A6により並びにクローン13(Cl13)、G115、クローン3(Cl3)およびクローン5(Cl5)において例示されているとおり、作製した全てのTEGは、類似したレベルのγδTCRを発現した。
図14Dに示されているとおり、弱いTCRを含有するように操作されたTEG(例えば、人工的に設計されたCTE-C13)と、強力なTCRを含有するように操作されたTEG(CTE-Cl5)との間で、活性における相当な差異が観察されることが可能であった。同様に、天然レパートリーからのγ9δ2TCRは、TEG形態でIFNγ分泌を誘導するそれらの能力において実質的に異なっていた。しかし、TEG形態で十分には活性化されないTCRを有する高反応性クローンA4、A5およびCl13により示されているとおり、機能活性は親クローンの機能活性と相関しなかった(
図14D)。このことは、追加的な共受容体またはエピジェネティック調節のような他の要因がγ9δ2T細胞クローンの機能的応答に寄与していることを示唆している。
【0306】
実施例14:γ9δ2TCR標的相互作用
γδTCRクローン5のγ9およびδ2TCR鎖と非機能的な長さの突然変異体LM1とを含む四量体およびデキストラマーを設計した。CD277J配置を感知するために使用されるγ9δ2TCRとそのリガンドとの低いアフィニティの相互作用に合致して、γ9δ2TCR四量体もデキストラマーも古典的標的Daudiには結合しなかった(
図15Aおよび
図15B)。次に、より高い相互作用アビディティを得るために、多量体上のγδTCRの数を増加させた。非機能的な長さの突然変異体LM1の細胞外ドメイン、ならびにTEG形態で低および高機能的アビディティをもたらすγδTCR CTE-Cl3およびCTE-Cl5を、ストレプトアビジン結合黄緑色蛍光ビーズ(本明細書においてはYGビーズと称される)に結合させた。これは少なくとも10
4個のγδTCRがYGビーズの表面に付着することを可能にした。γ9δ2TCRを発現するYGビーズを使用して、既知陰性標的細胞系ML1および陽性標的細胞系Daudiを染色した。TCR被覆ビーズのいずれの場合にも、ML1細胞へのYGビーズ結合は観察できなかった(
図19A~
図19D)。一方、Daudi細胞へのYGビーズ結合の量は、ビーズのコーティング(被覆)に使用されるTCRに依存的であった(
図15Cおよび
図20)。非機能的γ9δ2TCRであるLM1は、低機能的アビディティー(TEG形態の場合)TCR CTE-Cl3と全く同様に、Daudi細胞への結合をほとんど示さなかった。高機能的アビディティγ9δ2TCRであるCTE-Cl5はDaudi細胞への著しく高い結合を示し、このことは、γ9δ2TCRの機能的アビディティがγ9δ2TCRリガンドアフィニティに実際に関連していることを示している。γδTCRクローン5に結合したビーズはCTE-CL5ビーズと同じ染色パターンを示した(
図19D)。興味深いことに、YGビーズは腫瘍細胞の一部にのみ結合した(
図20)。これは標的集団自体内のリガンドの不均一性よりもむしろビーズ対細胞比の技術的限界を反映している可能性が高い。γ9δ2TCRはCD277J配置を検知する。
【0307】
Daudi細胞へのCTE-Cl5 YGビーズの結合は、CD277Jがγ9δ2TCRと直接相互作用しているかどうかの評価を可能にした。CD277に対する2つの一般的に使用されるモノクローナル抗体、すなわち、20.1および103.2の存在下、CTE-Cl5 YGビーズをDaudi細胞と共にインキュベートした。DaudiへのCTE-Cl5 YGビーズの結合は両方のモノクローナル抗体により阻害された。このことは、CD277がVγ9Vδ2TCRと直接相互作用していることを示している(
図15D)。また、静的YGビーズが、PAMにより誘導されたCD277Jを感知しうるかどうかも判定した。PAMの添加はDaudi細胞へのTCR-YG-ビーズの結合の強度を変化させなかった(
図15C)。このことは、静的TCR-YG-ビーズがCD277に対する種々のアフィニティのγ9δ2TCRを捕捉しうるが、細胞膜内で発現されたγ9δ2TCRの作用様態を完全には模倣できないことを示している。
【0308】
実施例15:γ9δ2TCRとその対応物との動的相互作用
TEG形態で発現された場合のγ9δ2TCRの異なる機能的アビディティが、腫瘍細胞標的へのTEGの結合を媒介する能力により調節されるかどうかを更に評価するために、より動的なモデルを利用した。したがって、同等レベルの種々のγδTCRを発現するJurma細胞をHEK293FT腫瘍細胞と共にインキュベートした。付着性HEK293FT細胞の使用は、インキュベーション後120分以内に腫瘍細胞に結合していないTEGの、洗浄による廃棄を可能にし、ついでDAPIおよび抗CD3抗体での染色を行った。腫瘍細胞-T細胞コンジュゲートの数を評価した。YGビーズ染色とは対照的に、PAMの非存在下、使用されるγ9δ2TCRのアフィニティとコンジュゲート形成が相関するだけでなく、特に低アフィニティγ9δ2TCRの場合に、そして驚くべきことに非機能的突然変異体LM1の場合にも、PAM処理はコンジュゲートの数を増加させた(
図16)。この知見は、腫瘍細胞上で発現された一定のタンパク質への異なるγ9δ2TCRの物理的結合が、γ9δ2TCRを発現するT細胞と腫瘍細胞との連続的コンジュゲート形成を促進することを示唆している。しかし、コンジュゲート形成はγ9δ2TCRのCDR3領域に非依存的でありうる。したがって、PAMは、γ9δ2TCRに依存的であるがCDR3には非依存的なコンジュゲート形成を誘発する可能性があるが、これは、T細胞を完全に活性化するには不十分である。完全なT細胞活性化の誘導には追加的な工程が関与する必要がある。
【0309】
γ9δ2TCRを発現するT細胞の活性化に必須であると報告されている追加的な工程は腫瘍細胞の細胞膜におけるCD277J配置でありうる。CD277JがT細胞側のγ9δ2TCRのクラスター化の増加にも関連しているかどうか、およびそのような過程がγ9δ2TCRのCDR3領域に依存的であるのかどうかを調べるために、異なるγδTCRアフィニティの状況での形質膜における空間的変化を分析した。非機能的TCR LM1、低アフィニティCTE-Cl3および高アフィニティCTE-Cl5を発現するように操作されたJurma T細胞間で形成された後期免疫学的シナプスの共焦点イメージングを判定した。免疫学的シナプスから離れたT細胞膜領域と比較して、腫瘍標的とT細胞との間の接触領域に蓄積したγδTCRの量を
図17Aおよびず17Bに示す。γδTCRのシナプス富化は、PAM未処理腫瘍細胞に対するCTE-Cl3およびLM1 TCRと比較した場合、CTE-Cl5に関しては有意に高かった(低いリン酸化抗原レベルにおいて)(
図17B)。非活性TCR LM1を発現するT細胞は有意な腫瘍細胞結合を示したが(
図16)、腫瘍細胞をPAMで前処理した場合には、高いリン酸化抗原レベルにおいてもLM1 TCRは免疫学的シナプスにリクルートしなかった(
図17B)。PAM前処理は免疫シナプスへの高アフィニティCTE-Cl5 TCRのリクルートメントに影響を及ぼさなかった。しかし、それはシナプスにおける低アフィニティのCTE-Cl3 TCRの蓄積を有意に増加させた。これが示唆するところによると、γ9δ2TCRのCDR3領域は腫瘍細胞とT細胞との近接に影響を及ぼさず、一方、それは、より低いアフィニティを有するγ9δ2TCRの、シナプスへのリクルートメントを支持するのに有用である。この知見は、γ9δ2TCRのアフィニティが免疫学的シナプスへのそのリクルートメントを決定すること、および完全なシナプス形成がPAMによって更に増強されうることを示唆している。
【0310】
最後に、シナプスにおける低アフィニティCTE-Cl3 TCRのリクルートメントの増強がPAM処理によるCD277クラスタリングの変化の結果であったのかどうかを理解するために、約20nmの分解能をもたらす局在化ベース超分解能イメージング技術である直接確率的光学再構築顕微鏡法(dSTORM)を行った。BTN3A分子をAF647-CD277抗体で標識し、HEK293FT細胞の基底膜において超分解能イメージングを取得した。イメージを定量化するために、密度ベース空間クラスタリングアプリケーション(DBSCAN)を用いた。DBSCANは、それらの相対的局所空間密度に基づいて、局在化をクラスターに分類する。個々のクラスターを特定し、種々の条件にわたるクラスターの分布を比較した。PAMでの処理は局在化クラスターのサイズ、密度または数を劇的には変化させなかった(
図17C、
図17D、
図17Eおよび
図17F)。Getis-GまたはHierarchalクラスター分析法を用いた場合、結果は類似していた。30、40または50nmのイプシロンまでの隣接クラスター点の間の最大距離の選択は、類似したBTN3Aナノクラスタリング結果を与えた。
本発明は一態様において、下記を提供する。
[項目1]
標的細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物であって、該ポリペプチド構築物が細胞において発現される、医薬組成物。
[項目2]
ポリペプチド構築物がCD277のJ配置に、該J配置にはないCD277分子と比較して高い選択性で結合する、項目1記載の医薬組成物。
[項目3]
標的細胞が癌細胞である、項目1記載の医薬組成物。
[項目4]
標的細胞が白血病細胞である、項目1記載の医薬組成物。
[項目5]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む、項目1記載の医薬組成物。
[項目6]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む、項目1記載の医薬組成物。
[項目7]
γ-TCRポリペプチド配列がγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目5記載の医薬組成物。
[項目8]
δ-TCRポリペプチド配列がδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目5記載の医薬組成物。
[項目9]
CD277が二量体として存在する、項目1記載の医薬組成物。
[項目10]
癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象における癌の治療方法であって、該CD277分子がJ配置で存在し、該ポリペプチド構築物が、所望により、細胞において発現されてもよい、治療方法。
[項目11]
CD277がJ配置にある場合の癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物の有効量または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞の有効量を対象に投与することを含む、癌細胞の除去を要する対象において癌細胞を除去する方法。
[項目12]
ポリペプチド構築物がCD277のJ配置を、該J配置にはないCD277分子と比較して高い選択性で認識する、項目10または11記載の方法。
[項目13]
該J配置の形成が、少なくとも、RhoBとCD277との相互作用および/またはCD277の区画化を要する、項目10または11記載の方法。
[項目14]
該J配置の形成が、RhoBとCD277との相互作用の後、細胞内リン酸化抗原とCD277との相互作用を要する、項目13記載の方法。
[項目15]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む、項目10または11記載の方法。
[項目16]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む、項目10または11記載の方法。
[項目17]
癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強する物質を投与することを含む、項目10または11記載の方法。
[項目18]
該方法が、RhoB GTPアーゼを調節する物質を投与することを含み、該物質がGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)およびグアニンヌクレオチド解離インヒビター(GDI)の少なくとも1つを標的化する、項目10または11記載の方法。
[項目19]
RhoB GTPアーゼの発現または活性と相関する突然変異に関して対象の遺伝子型を決定することを更に含む、項目10または11記載の方法。
[項目20]
該方法が、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)およびグアニンヌクレオチド解離インヒビター(GDI)から選択されるタンパク質をコードする遺伝子から選択される遺伝子の遺伝子型を決定することを更に含み、該タンパク質がRhoB GTPアーゼを調節する、項目10または11記載の方法。[項目21]
a)少量の追加的(本有的)な共受容体を発現する免疫細胞を準備し、
b)γ9-T細胞受容体鎖をコードする核酸配列およびδ2-T細胞受容体鎖をコードする核酸配列を準備し、ここで、γ9-T細胞受容体鎖およびδ2-T細胞受容体鎖は、CD277がJ配置にある場合のCD277に選択的に結合し、
c)工程b)の核酸配列をT細胞内に導入して、工程b)のγ9-T細胞受容体鎖と工程b)のδ2-T細胞受容体鎖とを含むγ9δ2T細胞受容体を含有する操作された細胞を得ること
を含む、細胞を操作する方法。
[項目22]
a)T細胞受容体を発現する細胞を標的細胞と接触させ、
b)T細胞受容体を発現する細胞の免疫活性化のレベルを検出し、
c)i)免疫活性化が閾値レベル未満である場合には、遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有するもの、または
ii)免疫活性化が閾値レベルを超えている場合には、遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有さないもの
の1つとして、標的細胞を特定し、
d)免疫活性化が閾値レベル未満である場合には、標的細胞遺伝子型を対照遺伝子型と比較して、遺伝的またはエピジェネティック変異を特定すること
を含む、T細胞受容体認識の欠如をもたらす遺伝的またはエピジェネティック変異に関して標的細胞をスクリーニングする方法。
[項目23]
標的細胞が癌細胞である、項目22記載の方法。
[項目24]
T細胞受容体がVγ9Vδ2 T細胞受容体である、項目22記載の方法。
[項目25]
免疫活性化のレベルの検出が、T細胞受容体を発現する細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む、項目22記載の方法。
[項目26]
サイトカインがインターフェロン-γおよびTNFαの少なくとも1つである、項目22記載の方法。
[項目27]
遺伝的またはエピジェネティック変異が一塩基多型である、項目22記載の方法。
[項目28]
標的細胞の接合性が、前記の遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有すること、または前記の遺伝的もしくはエピジェネティック変異を有さないことと相関する、項目22記載の方法。
[項目29]
遺伝的またはエピジェネティック変異の近位の遺伝子を特定する工程を更に含む、項目22記載の方法。
[項目30]
遺伝子が遺伝的またはエピジェネティック変異から約300,000塩基対以内に位置する、項目29記載の方法。
[項目31]
遺伝子の発現を調節し、T細胞受容体発現細胞の免疫活性化の量に対する調節の効果を評価する工程を更に含む、項目29記載の方法。
[項目32]
該調節が、遺伝子をノックアウトすることを含む、項目28記載の方法。
[項目33]
T細胞受容体発現細胞がαβT細胞またはγδT細胞の少なくとも1つである、項目22記載の方法。
[項目34]
対照遺伝子型が対照細胞の遺伝子型であり、ここで、対照細胞は、T細胞受容体発現細胞と接触すると、T細胞受容体発現細胞の免疫活性化を引き起こす、項目22記載の方法。
[項目35]
T細胞受容体発現細胞の免疫活性化がサイトカインの産生における少なくとも2倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる、項目22記載の方法。
[項目36]
T細胞受容体発現細胞の免疫活性化がサイトカインの産生における少なくとも10倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる、項目22記載の方法。
[項目37]
T細胞受容体発現細胞の免疫活性化がサイトカインの産生における少なくとも100倍の増加または類似した機能的読取り情報により特徴づけられる、項目22記載の方法。[項目38]
該接触が、T細胞受容体発現細胞および対照細胞を同じ容器に加えることを含む、項目22記載の方法。
[項目39]
該接触が、T細胞受容体発現細胞および対照細胞を同じ容器に加えることを含む、項目22記載の方法。
[項目40]
標的細胞がB細胞白血病細胞系である、項目22記載の方法。
[項目41]
標的細胞がエプスタインバーウイルス形質転換細胞である、項目22記載の方法。
[項目42]
遺伝的突然変異が、RhoGTPアーゼを調節するタンパク質をコードする遺伝子に位置する、項目22記載の方法。
[項目43]
タンパク質がGTPアーゼ活性化タンパク質またはグアニンヌクレオチド交換因子である、項目42記載の方法。
[項目44]
遺伝的突然変異がCD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制をもたらす、項目22記載の方法。
[項目45]
a)タンパク質をコードする遺伝子における突然変異に関して対象をスクリーニングし、ここで、該タンパク質は対象の標的細胞においてRhoGTPアーゼを翻訳後に調節し、
b)該突然変異がCD277におけるJ配置の形成を低減も抑制もしない場合には、Vγ9Vδ2 TCR+ T細胞媒介療法で対象を治療すること
を含む方法。
[項目46]
標的細胞が癌細胞である、項目45記載の方法。
[項目47]
標的細胞が白血病細胞である、項目45記載の方法。
[項目48]
タンパク質がGTPアーゼ活性化タンパク質またはグアニンヌクレオチド交換因子である、項目45記載の方法。
[項目49]
スクリーニングが、遺伝子またはその一部の遺伝子型を決定することを含む、項目45記載の方法。
[項目50]
スクリーニングが、核酸増幅、配列決定およびオリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーションから選択される方法を含む、項目45記載の方法。
[項目51]
a)対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を対象に投与すること、および
b)Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現するT細胞を投与すること
を含む、癌細胞の除去を要する対象において癌細胞を除去する方法。
[項目52]
該物質が癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強する、項目51記載の方法。
[項目53]
該物質が癌細胞の細胞膜にRhoB GTPアーゼを維持する、項目51記載の方法。
[項目54]
該物質が癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強する、項目51記載の方法。
[項目55]
該物質が、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強する、項目51記載の方法。
[項目56]
該物質がRhoB GTPアーゼの安定性を増強する、項目51記載の方法。
[項目57]
該物質がRhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強する、項目51記載の方法。
[項目58]
該物質がRhoB GTPアーゼを活性化する、項目51記載の方法。
[項目59]
該物質がRhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強する、項目51記載の方法。
[項目60]
該物質がRhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減する、項目51記載の方法。
[項目61]
該物質が癌細胞におけるGTPの量を増加させる、項目51記載の方法。
[項目62]
該物質が癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させる、項目51記載の方法。
[項目63]
癌細胞上の細胞表面分子に結合する部分に該物質を結合させ、それにより、該物質を癌細胞に標的化する、項目51記載の方法。
[項目64]
該部分が小分子化合物を含む、項目63記載の方法。
[項目65]
該部分がペプチドを含む、項目63記載の方法。
[項目66]
該部分が抗体または抗原結合性フラグメントを含む、項目63記載の方法。
[項目67]
該物質が癌細胞における細胞内リン酸化抗原の量を増加させる、項目51記載の方法。
[項目68]
癌細胞における細胞内リン酸化抗原の量を増加させる追加的物質を投与することを含む、項目51記載の方法。
[項目69]
該追加的物質はメバロン酸経路インヒビターである、項目68記載の方法。
[項目70]
メバロン酸経路インヒビターがアミノビスホスホネートである、項目69記載の方法。
[項目71]
アミノビスホスホネートがパミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つである、項目70記載の方法。
[項目72]
対象が固形癌および白血病の少なくとも1つを有する、項目71記載の方法。
[項目73]
白血病は急性骨髄性白血病である、項目72記載の方法。
[項目74]
対象が、RhoB GTPアーゼの発現または活性の低下をもたらす遺伝子における突然変異を有する、項目51記載の方法。
[項目75]
対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を対象に投与することを含む、癌細胞の除去を要する対象において癌細胞を除去する方法。
[項目76]
T細胞を対象に投与することを含む、項目75記載の方法。
[項目77]
T細胞がVγ9Vδ2 T細胞受容体を発現する、項目76記載の方法。
[項目78]
T細胞が、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現するように操作されており、または遺伝的に修飾されている、項目76記載の方法。
[項目79]
T細胞が、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を過剰発現するように操作されており、または遺伝的に修飾されている、項目76記載の方法。
[項目80]
サイトカインの剤形を投与することを更に含む、項目51記載の方法。
[項目81]
a)標的細胞における受容体の活性化を含む表現型を誘導する細胞を特定し、
b)該表現型を示す細胞の接合性を特定し、
c)該細胞に関する遺伝子型情報を得、ここで、該遺伝子型情報は、種々の細胞に関する複数の遺伝子座のそれぞれにおける遺伝子型を定め、
d)特定された細胞接合性を、それらの細胞にわたる複数の遺伝子座の1つにおける遺伝子型と相関させて、活性化遺伝子座を特定すること
を含む、標的細胞における受容体の活性化に関連した遺伝子座を特定するための方法。
[項目82]
遺伝子型情報が複数の遺伝子座のそれぞれにおける一塩基多型を定める、項目81記載の方法。
[項目83]
受容体がVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片である、項目81記載の方法。[項目84]
標的細胞が癌細胞である、項目81記載の方法。
[項目85]
標的細胞が白血病細胞である、項目81記載の方法。
[項目86]
表現型がIFNγの産生である、項目81記載の方法。
[項目87]
遺伝子が前記の複数の遺伝子座の少なくとも1つの近位に位置する、項目81記載の方法。
[項目88]
受容体の活性化が、細胞型の細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合する標的細胞のポリペプチド構築物を伴う、項目81記載の方法。
[項目89]
J配置が活性化遺伝子座と相関している、項目81記載の方法。
[項目90]
a)対象からの標的細胞を得、
b)該標的細胞を、外因性ポリペプチド構築物を発現する少なくとも1つの修飾エフェクター細胞と接触させ、
c)該ポリペプチド構築物を発現する前記修飾エフェクター細胞の免疫活性化のレベルを検出し、
d)該免疫活性化が閾値レベルを超えている場合、ヌクレオチド配列多型を有するものとして標的細胞を特定すること
を含む方法。
[項目91]
標的細胞の1以上が癌細胞である、項目90記載の方法。
[項目92]
外因性ポリペプチド構築物がVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片を含む、項目90記載の方法。
[項目93]
免疫活性化のレベルの前記検出が、外因性ポリペプチド構築物を発現する修飾エフェクター細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む、項目90記載の方法。
[項目94]
サイトカインがインターフェロン-γである、項目93記載の方法。
[項目95]
ヌクレオチド配列多型が一塩基多型である、項目90記載の方法。
[項目96]
ヌクレオチド配列多型の近位の遺伝子を特定する工程を更に含む、項目90記載の方法。
[項目97]
遺伝子がヌクレオチド配列多型から約300,000塩基対以内に位置する、項目90記載の方法。
[項目98]
外因性ポリペプチド構築物の有効量で対象を治療する工程を更に含む、項目90記載の方法。
[項目99]
ポリペプチド構築物を発現する修飾エフェクター細胞がT細胞である、項目90記載の方法。
[項目100]
外因性ポリペプチド構築物を発現する少なくとも1つの修飾エフェクター細胞と標的細胞を接触させることが、該標的細胞の少なくとも1つの表面上のCD277分子を該外因性ポリペプチド構築物と接触させることを含む、項目90記載の方法。
[項目101]
外因性ポリペプチド構築物がCD277分子のJ配置に選択的に結合する、項目90記載の方法。
[項目102]
a)CD277を発現する標的細胞を対象から得、
b)CD277分子のJ配置に選択的に結合する外因性ポリペプチド構築物を発現する細胞と標的細胞を接触させ、
c)該ポリペプチド構築物によるCD277分子のJ配置の認識を検出することを含む方法。
[項目103]
標的細胞の1以上が癌細胞である、項目102記載の方法。
[項目104]
ポリペプチド構築物がVγ9Vδ2 T細胞受容体またはその断片を含む、項目102記載の方法。
[項目105]
CD277分子のJ配置の認識を検出することが、該ポリペプチド構築物を発現する細胞による少なくとも1つのサイトカインの産生を定量することを含む、項目102記載の方法。
[項目106]
サイトカインがインターフェロン-γである、項目105記載の方法。
[項目107]
ポリペプチド構築物の有効量を対象に投与することを含む、項目102記載の方法。[項目108]
ポリペプチド構築物を発現する細胞がT細胞である、項目102記載の方法。
[項目109]
a)患者の標的細胞を、RhoBの活性に関連したヌクレオチド配列多型を有するものとして特定し、
b)ヌクレオチド配列多型を有するものとしての標的細胞の前記特定に基づいて陽性治療応答を示す対象を予測すること
を含む、CD277を認識しうるポリペプチド構築物または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞での治療に対する対象における陽性治療応答を予測する方法。
[項目110]
ポリペプチド構築物がCD277のJ配置を認識する、項目109記載の方法。
[項目111]
ポリペプチド構築物を対象に投与することを更に含む、項目109記載の方法。
[項目112]
標的細胞の1以上が癌細胞である、項目109記載の方法。
[項目113]
ヌクレオチド配列多型が一塩基多型である、項目109記載の方法。
[項目114]
RhoBの活性が、ヌクレオチド配列多型を欠く対象におけるRhoB活性と比較して高い活性である、項目109記載の方法。
[項目115]
ヌクレオチド配列多型を欠くものとして第2の対象の標的細胞を特定することに基づいて、第2の対象における治療応答不良を予測する工程を更に含む、項目109記載の方法。
[項目116]
a)CD277分子を発現する細胞の第1セットを第1対象から得、
b)i)第2対象から得られた標的細胞の第2セットと比較して高いRhoB活性、および、
ii)高いRhoB活性に関連したヌクレオチド配列多型
の少なくとも1つを有するものとして、細胞の第1セットを特定し、
c)第2群の細胞上のCD277配置と比較して第1セットの細胞上のCD277配置に対する選択的アフィニティを有するポリペプチド構築物、または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞を、第1対象に投与することを含む方法。
[項目117]
第1群の細胞の1以上が癌細胞である、項目116記載の方法。
[項目118]
第1群の細胞の1以上が白血病細胞である、項目116記載の方法。
[項目119]
第1セットの細胞上のCD277配置がJ配置である、項目116記載の方法。
[項目120]
ヌクレオチド配列多型が一塩基多型である、項目116記載の方法。
[項目121]
a)CD277分子を発現する標的細胞を対象から得、
b)標的細胞において発現されたCD277分子のJ配置を特定し、
c)CD277分子のJ配置の前記特定に基づいて、陽性治療応答を示す対象を予測すること
を含む、CS277分子を認識しうるポリペプチド構築物または該ポリペプチド構築物を発現する操作された細胞での治療に対する対象における陽性治療応答を予測する方法。
[項目122]
ポリペプチド構築物を対象に投与する工程を更に含む、項目121記載の方法。
[項目123]
第2対象の標的細胞のCD277分子をJ配置を欠くものとして特定することに基づいて、第2対象における治療応答不良を予測する工程を更に含む、項目121記載の方法。
[項目124]
標的細胞の1以上が癌細胞である、項目121記載の方法。
[項目125]
標的細胞におけるRhoBの活性に関連したヌクレオチド配列多型を特定する工程を更に含む、項目121記載の方法。
[項目126]
RhoBの活性が、ヌクレオチド配列多型を欠く対象におけるRhoB活性と比較して高い活性である、項目125記載の方法。
[項目127]
ヌクレオチド配列多型が一塩基多型である、項目125または126記載の方法。
[項目128]
該予測がCD277分子のJ配置の特定とヌクレオチド配列多型の特定との両方に基づく、項目125または126記載の方法。
[項目129]
CD277陽性である癌細胞を有する対象における癌の治療方法であって、該癌細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合する薬学的に許容される物質を含む医薬組成物の有効量を該対象に投与することを含む治療方法。
[項目130]
薬学的に許容される物質が、該癌細胞上のCD277のJ配置に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む、項目129記載の方法。
[項目131]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む、項目130記載の方法。
[項目132]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む、項目130記載の方法。
[項目133]
γ-TCRポリペプチド配列がγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目132記載の方法。
[項目134]
δ-TCRポリペプチド配列がδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目132記載の方法。
[項目135]
薬学的に許容される物質が、J配置ではないCD277分子と比較して高い選択性でCD277のJ配置に結合する、項目129記載の方法。
[項目136]
標的細胞が癌細胞である、項目129記載の方法。
[項目137]
標的細胞が白血病細胞である、項目129記載の方法。
[項目138]
CD277が二量体として存在する、項目129記載の方法。
[項目139]
a.癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形、または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形、および b.i.癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、
ii.癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形との少なくとも1つ
を含む医薬組成物。
[項目140]
医薬組成物が、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目141]
医薬組成物が、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを含み、ここで、リン酸化抗原の活性を増強する物質が、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の前、同時または後に投与される、項目139記載の医薬組成物。
[項目142]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼを癌細胞の細胞膜に維持し、癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強し、RhoB GTPアーゼの安定性を増強し、RhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強し、RhoB GTPアーゼを活性化し、RhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強し、RhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減し、癌細胞におけるGTPの量を増加させ、癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させ、あるいはそれらの任意の組合せをもたらす、項目139記載の医薬組成物。
[項目143]
CD277がJ配置で存在する、項目139記載の医薬組成物。
[項目144]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つを含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目145]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目146]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、γ-TCRポリペプチド配列がγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目139記載の医薬組成物。
[項目147]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、δ-TCRポリペプチド配列がδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目139記載の医薬組成物。
[項目148]
医薬組成物が、固形癌および白血病の少なくとも1つを含む対象に投与される、項目139記載の医薬組成物。
[項目149]
医薬組成物が、急性骨髄性白血病を含む対象に投与される、項目139記載の医薬組成物。
[項目150]
医薬組成物が対象に投与され、対象が、RhoB GTPアーゼの発現または活性と相関する遺伝子における突然変異を含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目151]
医薬組成物が対象に投与され、対象が、RhoB GTPアーゼの発現または活性の低下と相関する遺伝子における突然変異を含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目152]
医薬組成物が対象に投与され、対象が、CD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制と相関する遺伝子における突然変異を含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目153]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が、RhoB GTPアーゼに間接的または直接的に結合することにより機能する、項目139記載の医薬組成物。
[項目154]
リン酸化抗原の活性を増強する物質が、RhoB GTPアーゼに間接的または直接的に結合することにより機能する、項目139記載の医薬組成物。
[項目155]
ポリペプチド構築物の剤形は、表3または表4の配列に対して少なくとも60%の同一性を含む配列を含む、項目139記載の医薬組成物。
[項目156]
リン酸化抗原の活性を増強する物質がメバロン酸経路インヒビターである、項目139記載の医薬組成物。
[項目157]
リン酸化抗原の活性を増強する物質がアミノビスホスホネートである、項目139記載の医薬組成物。
[項目158]
リン酸化抗原の活性を増強する物質が、パミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つである、項目139記載の医薬組成物。
[項目159]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が癌細胞の細胞膜へのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、RhoB GTPアーゼを癌細胞の細胞膜に維持し、癌細胞の核からのRhoB GTPアーゼの移行を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼをコードする遺伝子または転写産物の発現を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの安定性を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼとCD277との相互作用を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼを活性化し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼとGTPとの相互作用を増強し、癌細胞におけるRhoB GTPアーゼとGDPとの相互作用を低減し、癌細胞におけるGTPの量を増加させ、癌細胞におけるGTPの利用可能性を増加させ、あるいはそれらの任意の組合せをもたらす、項目139記載の医薬組成物。
[項目160]
治療を要する対象に項目139~159のいずれか1項記載の医薬組成物を投与することを含む治療方法。
[項目161]
対象が、CD277とRhoB GTPアーゼとの相互作用の低減または抑制と相関する遺伝子における突然変異を含む、項目160記載の治療方法。
[項目162]
対象が固形癌および白血病の少なくとも1つを含む、項目160記載の治療方法。
[項目163]
対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質からなる群から選択される物質を含む医薬組成物、または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を含む医薬組成物を、治療を要する対象に投与することを含む治療方法。
[項目164]
治療を要する対象の癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質を、治療を要する対象に投与することを更に含む、項目166記載の方法。
[項目165]
a.癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形、および
b.i.癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、
ii.癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形との少なくとも1つ
を、治療を要する対象に投与することを含む治療方法。
[項目166]
治療が、RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、リン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを投与することを含む、項目165記載の方法。
[項目167]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質がメバロン酸経路インヒビターである、項目165記載の方法。
[項目168]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が、アミノビスホスホネートであるメバロン酸経路インヒビターである、項目165記載の方法。
[項目169]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が、パミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つであるメバロン酸経路インヒビターである、項目165記載の方法。
[項目170]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含む、項目165記載の方法。
[項目171]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、γ-TCRポリペプチド配列がγ9-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目165記載の方法。
[項目172]
ポリペプチド構築物がγ-TCRポリペプチド配列またはδ-TCRポリペプチド配列の少なくとも1つの変異体または断片を含み、δ-TCRポリペプチド配列がδ2-TCRポリペプチド配列またはその断片である、項目165記載の方法。
[項目173]
細胞がαβT細胞である、項目165記載の方法。
[項目174]
リン酸化抗原の活性を増強する物質が、リン酸化抗原に間接的または直接的に結合することにより機能する、項目165記載の方法。
[項目175]
サイトカインを含む剤形を投与することを更に含む、項目165記載の方法。
[項目176]
ポリペプチド構築物の剤形が、表3または表4の配列に対して少なくとも60%の同一性を含む配列を含む、項目165記載の方法。
[項目177]
対象の癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質を含む医薬組成物と、Vγ9Vδ2 T細胞受容体を発現する細胞を含む医薬組成物とを、治療を要する対象に投与することを含む治療方法であって、対象から単離されたT細胞が、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも1倍分泌する、治療方法。
[項目178]
小さなタンパク質がサイトカインである、項目177記載の方法。
[項目179]
小さなタンパク質がサイトカインであり、IFNγである、項目177記載の方法。[項目180]
対象から単離されたT細胞が、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも5倍分泌する、項目177記載の方法。
[項目181]
対象から単離されたT細胞が、該投与を受けていない同等の対象から単離された同等のT細胞と比較して、小さなタンパク質を少なくとも10倍分泌する、項目177記載の方法。
[項目182]
癌細胞におけるRhoB GTPアーゼの活性を増強する物質の剤形と、癌細胞におけるリン酸化抗原の活性を増強する物質の剤形とを、治療を要する対象に投与することを含む治療方法。
[項目183]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質がメバロン酸経路インヒビターである、項目185記載の方法。
[項目184]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が、アミノビスホスホネートであるメバロン酸経路インヒビターである、項目185記載の方法。
[項目185]
RhoB GTPアーゼの活性を増強する物質が、パミドロネートおよびゾレドロネートの少なくとも1つであるメバロン酸経路インヒビターである、項目185記載の方法。
[項目186]
リン酸化抗原の活性を増強する物質が、リン酸化抗原に間接的または直接的に結合することにより機能する、項目185記載の方法。
[項目187]
癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物の剤形、または癌細胞上のCD277に選択的に結合するポリペプチド構築物を発現する細胞の剤形を投与することを更に含む、項目182記載の方法。
【配列表】