(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 651
A63F5/04 671
(21)【出願番号】P 2020012285
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2021-02-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】塩原 弘節
(72)【発明者】
【氏名】末岡 直也
【合議体】
【審判長】長井 真一
【審判官】藤田 年彦
【審判官】太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-202193(JP,A)
【文献】特開2019-146734(JP,A)
【文献】特開2016-101200(JP,A)
【文献】「シンデレラブレイド」,パチスロ攻略マガジン2012年9月号,株式会社双葉社,2012年8月7日,p.99-102
【文献】「戦律のストラタス」,パチスロ攻略マガジン2014年11月号,株式会社プラントピア,2014年10月7日,p.76-79
【文献】「他メーカー ―――――――――――― OTHERS 201」,パチスロ必勝ガイド2015攻略年鑑,株式会社ガイドワークス,2015年2月1日,p.201-212
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者による操作に基づいて、通常遊技、および、前記通常遊技よりも前記遊技者にとって有利な有利遊技、のいずれかにて遊技を進行させる遊技進行制御部と、
前記通常遊技が行われている間、一周期が複数のゲーム数から成る周期毎に、遊技の進行に応じて、前記有利遊技の当せんに関連するポイントの決定と累積とを行うポイント累積部と、
前記通常遊技が行われている間、消化ゲーム数が滞在中の前記周期の最終ゲーム数に到達するよりも前に、前記ポイントの累積値が所定ポイントに到達した場合、前記有利遊技の当せん期待度を上昇させる期待度演算部と、
を備え、
前記通常遊技が行われている間であって、前記周期の最終ゲーム数に到達する前に前記ポイントの累積値が前記所定ポイントに到達した以降には、
前記ポイント累積部は、前記ポイントの累積を停止することが可能であり、
前記期待度演算部は、前記ポイントの累積が停止された以降も、前記周期の最終ゲーム数までの残りゲーム数の間、前記有利遊技の当せん期待度をさらに上昇させることが可能であり、
前記遊技進行制御部は、前記有利遊技の当せん期待度に基づいて前記有利遊技状態が行われる状態への移行抽せんを行わず、
前記期待度演算部は、前記通常遊技が行われている間、前記移行抽せんが実行されるまでは、前記有利遊技の当せん期待度を次の周期に引き継がせることが可能であり、
前記遊技進行制御部は、前記通常遊技が行われている間であって、前記ポイントの累積値が前記所定ポイントに到達せずに消化ゲーム数が滞在中の前記周期の最終ゲーム数に到達した場合、前記有利遊技の当せん期待度に基づいて前記移行抽せんを行
うことが可能であり、
前記期待度演算部は、前記移行抽せんが実行された場合、前記有利遊技の当せん期待度をリセットすることが可能である、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、遊技機(スロットマシン)には、通常遊技と、遊技者にとって通常遊技よりも有利な有利遊技と、のいずれかによって遊技が進行されるものがある。有利遊技としては、AT、ART、ボーナスなどが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有利遊技中、遊技者はある程度まとまった出玉を得ることができるため、途中でやめることなく遊技を継続する。一方、通常遊技では、基本的には遊技者はメダルをベットし続けるため、遊技者のメダルの所持数は減少していく。そのため、通常遊技のゲーム性に物足りなさを感じると、遊技者は遊技をやめてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、通常遊技のゲーム性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
遊技者による操作に基づいて、通常遊技、および、前記通常遊技よりも前記遊技者にとって遊技な有利遊技、のいずれかにて遊技を進行させる遊技進行制御部と、
前記通常遊技が行われている間、一周期が複数のゲーム数から成る周期毎に、遊技の進行に応じて、前記有利遊技の当せんに関連するポイントの決定と累積とを行うポイント累積部と、
前記通常遊技が行われている間、消化ゲーム数が滞在中の前記周期の最終ゲーム数に到達するよりも前に、前記ポイントの累積値が所定ポイント以上となった場合、前記有利遊技の当せん期待度を上昇させる期待度演算部と、
を備え、
前記遊技進行制御部は、前記通常遊技が行われている間、前記ポイントの累積値が前記所定ポイント以上となるよりも前に消化ゲーム数が滞在中の前記周期の最終ゲーム数に到達した場合、前記有利遊技の当せん期待度に基づいて前記有利遊技が行われる状態への移行抽せんを行う
ことを特徴とする遊技機である。
【0007】
また、第1の発明では、
複数の回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる内部抽せん部と、
複数の前記回転リールそれぞれに対応して設けられ、前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付けるストップスイッチと、
を更に備え、
前記有利遊技では、当せんした前記役が前記ストップスイッチの正解押し順を有する押し順役である場合に前記正解押し順を報知部に報知させるアシスト機能、が実行される
ことができる。
【0008】
また、第1の発明では、
前記有利遊技の当せん期待度を示唆する期待度情報を報知部に報知させる報知制御部、
を更に備える
ことができる。
【0009】
また、第1の発明では、
前記有利遊技の当せん期待度が高いほど、
前記有利遊技の当せん確率は高く、かつ
前記有利遊技が行われる状態への移行抽せんに当せんした場合に、前記有利遊技中に前記遊技者に払い出される遊技媒体の払い出し枚数に対する期待値は高くなる
ことができる。
【0010】
また、第1の発明では、
前記通常遊技での消化ゲーム数が、前記有利遊技の開始が強制的に決定される天井ゲーム数に到達した場合、前記遊技進行制御部は、前記有利遊技の当せん期待度に関係なく前記有利遊技の開始を強制的に決定する
ことができる。
【0011】
また、第1の発明では、
前記通常遊技での消化ゲーム数が前記天井ゲーム数に到達するよりも前に、所定度以上となった前記有利遊技の当せん期待度に基づいて前記有利遊技が行われる状態への移行抽せんが行われた結果、前記有利遊技が行われる状態への移行が当せんしなかった条件が成立した場合、前記遊技進行制御部は、前記天井ゲーム数を、前記条件が非成立の場合よりも現時点における消化ゲーム数に近づける
ことができる。
【0012】
また、第1の発明では、
現在時刻よりも前の遊技に関する、前記有利遊技の当せん期待度に対応する前記有利遊技が行われる状態への移行抽せん結果、を報知部に報知させる報知制御部、
を更に備える
ことができる。
【0013】
また、第1の発明では、
前記期待度演算部は、
前記通常遊技が行われている間、前記有利遊技が行われる状態への移行抽せんが実行されるまでは、前記有利遊技の当せん期待度を次の周期に引き継がせ、
前記有利遊技が行われる状態への移行抽せんが実行された場合、前記有利遊技の当せん期待度をリセットする、
ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通常遊技のゲーム性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図8】消化ゲーム数が周期の最終ゲームに到達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイン以上となった場合のゲーム性を説明する図である。
【
図11】ポイントの累積値が所定ポイント以上となるよりも前に、消化ゲーム数が周期の最終ゲームに到達した場合のゲーム性を説明する図である。
【
図13】AT当せん期待度とATの当せん確率との関係を表すグラフである。
【
図14】AT当せん期待度とメダルの最低払出枚数との関係を表すグラフである。
【
図15】これまでの遊技に関するAT当せん期待度と対応するATの抽せん結果とが並べて表示された戦歴表の一例である。
【
図16】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【
図17】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0017】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0018】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0019】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。液晶画面3、スピーカ102および電飾部は、報知部に相当する。
【0020】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0021】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0022】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0023】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0024】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0025】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を制御部6に出力する。
【0026】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0027】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0028】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることを告知する。
【0029】
有利区間であることが表示される際の特定の条件としては、有利区間中に押し順役が当せんし、その押し順役の押し順を表示部3に表示させる場合、出率が100%を超える場合、などが挙げられる。
【0030】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0031】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0032】
また、演出ボタン46は、遊技中であるか否かに関わらず、後述する戦歴表の画面sc4(
図15)の表示指示を、遊技者による入力操作を介して受け付けることができる。
【0033】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0034】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図2参照)。
【0035】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0036】
回転リールユニット2は、
図1および
図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、
図3に示すように、複数の図柄が、当該リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0037】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0038】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0039】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0040】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
【0041】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン46を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0042】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技の開始が可能となる。
【0043】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0044】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。特定の役には、以下に述べる特別役も含まれる。
【0045】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0046】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0047】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0048】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間の種類および遊技状態の種類が設定される。設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、
図4および
図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0049】
第1遊技状態は、
図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する。
【0050】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち、所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0051】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0052】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。一種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置であって、例えば2枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0053】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に、特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(すなわち特別役持ち越し状態)に移行する。
【0054】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0055】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。
【0056】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、
図5に示すように、通常遊技状態およびAT状態(有利遊技状態に相当)を含む。通常遊技状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0057】
通常遊技状態とは、AT状態でない場合であって、通常遊技が進行する状態である。通常遊技状態の下では、後述するアシスト機能も発生しない。通常遊技状態の下での出玉率は、100%を下回る。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は通常遊技状態に設定される。
【0058】
AT抽せんとは、第2遊技状態をAT状態に移行させるか否かの抽せんであって、当せんした場合はATが開始される。本実施形態では、AT抽せんは、遊技区間が有利区間であって且つ内部抽せんによりレア役が当せんした場合の他、遊技区間が有利区間であって且つ以下に述べる周期の最終ゲームに到達した場合、に行われる。周期の最終ゲーム到達時のAT抽せんは、AT当せん期待度に基づいて行われる。
【0059】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした押し順役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。AT状態では、通常遊技によりも遊技者にとって有利な有利遊技(AT)が進行される。AT状態の下での出玉率は、100%を上回る。そのため、AT中、遊技者は、通常遊技よりも多いメダルの払い出しを受けることができる。
【0060】
遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした場合、第2遊技状態は、通常遊技状態からAT状態へと移行される。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからのメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合、第2遊技状態は、AT状態から通常遊技状態へと移行する。これにより、ATは終了する。
【0061】
また、AT状態の間、更にATを行う権利が内部的に当せんして遊技者に付与されることにより、現在遊技中のATが終了したとしても引き続きATが継続したり、ATゲーム数が上乗せされたりすることもある。
【0062】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための状態である。
図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0063】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が通常遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0064】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が通常遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0065】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン46が押下されたことに基づく、演出に関する制御を行う。
【0066】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態および区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0067】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614、区間制御部615、遊技状態制御部616、ポイント累積部617および期待度演算部618として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630(報知制御部に相当)として機能する。
【0068】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つを当せんフラグとして当せんさせる。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時の第1および第2遊技状態と遊技区間とに基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびレバー43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611などに送信される。
【0069】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー43操作時のRT状態、特定役(ボーナス)中か否か、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役が含まれる。
【0070】
AT消化中、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにもかかわらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0071】
なお、押し順役は、AT消化中でない場合にも当せんしている。通常遊技状態中に押し順役が当せんした場合、正解押し順の報知はされないため、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。
【0072】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0073】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0074】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作(押下)に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0075】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール20の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0076】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて、遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果である。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0077】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0078】
具体的に、媒体管理部613は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0079】
内部抽せんによって当せんした役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0080】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0081】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0082】
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数およびレンジ(MY)は、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジ(MY)をリセットする。
【0083】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に従って、且つ、遊技者の遊技操作に基づいて、遊技を進行させる制御を行う。具体的には、遊技進行制御部614は、通常遊技状態にて進行される「通常遊技」と、有利遊技状態であるAT状態にて進行される「AT(有利遊技に相当)」とのいずれかにて遊技を進行させる。
【0084】
特に、通常遊技状態では、遊技進行制御部614は、遊技者によるレバー43およびストップスイッチ40の操作に伴う、本実施形態特有のゲーム性にて通常遊技を展開させる。これについては、<通常遊技におけるゲーム性について>にて詳述する。
【0085】
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0086】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0087】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なっている。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率自体が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる、区間移行抽せんの当せん確率が異なっている。
【0088】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から通常遊技状態に移行したか否かを判定する。通常遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0089】
また、区間制御部615は、有利区間の状態でのゲーム数が1500ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0090】
また、区間制御部615は、RAMクリアボタン71の押下によってRAMがクリアされた場合や、設定変更ボタン72が押下された場合、ボタン71,72が押下される直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0091】
なお、区間制御部615は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0092】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0093】
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、通常遊技状態またはAT状態に設定する。
【0094】
一例として、
図4に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0095】
また、
図5に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にATが当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆にATが当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を通常遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から通常遊技状態に移行させる。
【0096】
-ポイント累積部-
ポイント累積部617は、通常遊技が行われている間、遊技の進行に応じて、ATの当せんに関するポイントをどの程度増加させるかを決定する。ポイント累積部617は、後述する周期期間ごとにポイントを累積していく。
【0097】
-期待度演算部-
期待度演算部618は、AT当せん期待度の維持、変更、リセットを行う。これらの処理は、ポイントの累積値および消化されたゲーム数に応じて行われるが、詳細は<通常遊技におけるゲーム性について>にて説明する。
【0098】
-演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、通常遊技での遊技進行に応じた通常演出データを選択し、当該通常演出データに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0099】
演出制御部630は、ATが当せんした際、その旨を表す演出を液晶画面3およびスピーカ102に出力させる。演出制御部630は、AT中、逐次当せんする役の正解押し順を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに報知させる(アシスト機能)。
【0100】
演出制御部630は、遊技中に報知条件が満たされた場合、設定値を示唆するための演出を液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに報知させる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、所定のレア役のフラグが内部当せんした場合、遊技状態が有利遊技状態に移行した時、AT終了時、などが挙げられる。
【0101】
特に、本実施形態の演出制御部630は、通常遊技が行われている間(即ち、第2遊技状態が通常遊技状態である時)、AT当せん期待度を示唆する期待度情報inf1などを報知する。
【0102】
<通常遊技におけるゲーム性について>
以下、本実施形態にかかる通常遊技のゲーム性と、当該ゲーム性に関し実行される処理とについて説明する。
【0103】
図7に示すように、通常遊技では、複数のゲーム数を一周期の周期期間として遊技が進行する。この周期期間のカウントは、遊技区間が有利区間に設定されるまでは開始されないが、遊技区間が有利区間に設定された後から開始される。
【0104】
AT抽せんにてATが当せんすることなく通常遊技でのゲームが複数周期にわたり続けて進行された結果、通常遊技での消化ゲーム数が天井ゲーム数に達すると、遊技進行制御部614は、AT当せん期待度に関係なくATの開始を強制的に決定する。
図7では、周期期間が50ゲームであって、天井ゲーム数が1000ゲームである場合を例示する。
【0105】
本実施形態にかかる通常遊技時に行われるAT抽せんは、ATの当せんに関するポイントに基づいて行われる。そのポイントに関して、
図8に示すように、ポイント累積部617は、通常遊技が行われている間、周期毎に、遊技進行に応じてポイントの決定と累積とを行う。
図8では、3周期目にポイントが累積される様子を表している。
【0106】
具体的に、周囲期間内では、演出制御部630は、原則、演出Aを、液晶画面3およびスピーカ102に報知させる。この周期期間内では、ポイント累積部617は、通常遊技が1ゲームずつ消化(進行)されることに伴って、演出Aに登場するメインキャラクタに対して付与するべきポイントの値を決定する。
【0107】
付与されるポイントの値は、1ゲームあたり1ポイント以上であって、内部抽せんによって当せんした役の種類に応じて決定される。例えば、リプレイや押し順ベルが当せんした場合に付与されるポイントの値は“1ポイント”であるが、弱スイカが当せんした場合に付与されるポイントの値は“10ポイント”であり、強チェリーが当せんした場合に付与されるポイントの値は“60ポイント”である。
【0108】
そして、ポイント累積部617は、決定したポイントの値を、前ゲームまでに付与してきたポイントの値に加算することで、ポイントを累積していく(
図8の累積ポイント参照)。ポイント累積部617は、この処理を、周期期間を一単位として繰り返す。
【0109】
図9の画面sc1は、ポイントが累積される間に液晶画面3に表示される演出Aの画面例である。画面sc1では、主人公のキャラクタch1が、他のキャラクタch2と歩いている場面を表している。画面sc1の左下には、主人公のキャラクタch1の小さなオブジェクトの周囲に、現在のAT当せん期待度を示唆する期待度情報inf1「60%」が表示されている。
【0110】
また、画面sc1の左上には、「スケット」「勝率UP」「救済」と称されたアイコンinf2~inf4が並べられている。これらのアイコンinf2~inf4は、のちに主人公のキャラクタch1が敵キャラクタch3(
図12)と対戦する際に、主人公のキャラクタch1にとって有利に働く機能を表したものである。これらの機能は、通常遊技での遊技展開に応じて、抽せんによって付与される。
【0111】
説明の参照図を
図8に戻す。期待度演算部618は、消化ゲーム数が、滞在中の周期の最終ゲーム数に達したか否か、および、ポイントの累積値が所定ポイント(例えば100ポイント)に到達したか否か、を判断する。
図8に示すように、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム(150ゲーム)に達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイント(100ポイント)以上となった場合、期待度演算部618は、AT当せん期待度を、ポイントの累積値が所定ポイントを下回っている状態時から上昇させる。
【0112】
図8では、一例として、消化ゲーム数が150ゲームに未だ到達しておらずかつポイントの累積値が100ポイントを下回っている間、AT当せん期待度は60%であって、この間、演出Aが報知される。消化ゲーム数が132ゲームに達した時点でポイントの累積値は100ポイントに達しており、この際、AT当せん期待度は60%から65%へと上昇している。
【0113】
図8の場合、ポイントの累積値が所定ポイントに達してから消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達するまでには、18ゲーム残っている。ポイントの累積値が所定ポイントに到達したとしても、滞在中の周期の進行が途中でキャンセルされることなく、消化ゲーム数が周期の最終ゲーム数に到達するまで、遊技進行制御部614は、通常遊技にてゲームを消化(進行)させていく。つまり、遊技者は、残り18ゲーム分を消化させていく。
【0114】
この残りゲームが消化される間も、内部抽せん部610は、レバー43が操作されるごとに(ゲームが消化されるごとに)内部抽せんを行う。残りゲームが消化される間、ポイント累積処理は行われないが、当せん役の種類に応じたAT当せん期待度の上昇処理が期待度演算部618により行われる。
【0115】
具体的に、期待度演算部618は、残りゲーム消化中にリプレイが当せんした場合、AT当せん期待度を0.1%上昇させる。期待度演算部618は、残りゲーム消化中にスイカやチェリーなどのレア役が当せんした場合、AT当せん期待度を1%~3%上昇させる。
図8では、132ゲームから150ゲームまでの残りゲーム消化の間に当せんした役の種類に応じて、AT当せん期待度が“65%”から“67%”へと2%上昇した例を示している。従って、本実施形態では、残りゲーム消化中に当せんした役は、無駄引きとはならず、その後のATの抽せんに寄与される。
【0116】
そして、演出制御部630は、
図8に示すように、ポイントの累積値が所定ポイントに到達した時、報知させる演出を、演出Aから演出Bに切り替える。上述した残りゲームが消化される間、演出制御部630は、演出Bを、液晶画面3およびスピーカ102に報知させる。
【0117】
図10の画面sc2は、演出Bの画面例である。画面sc2では、主人公のキャラクタch1が、他のキャラクタch2と目的地に到着した場面を表している。画面sc2の左下には、主人公のキャラクタch1の小さなオブジェクトの周囲に、期待度情報inf1が上昇する様子が表示されている。
【0118】
一方、
図11に示すように、ポイントの累積値が所定ポイント(100ポイント)以上となるよりも前に、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数(
図11では200ゲーム)に達した場合、AT当せん期待度の上昇処理ではなく、遊技進行制御部614によるAT抽せんが行われる。このAT抽せんは、現時点におけるAT当せん期待度に基づいて行われる。
図11の場合、遊技進行制御部614は、周期到達時点でのAT当せん期待度“67%”に基づいてAT抽せんが行われる。
【0119】
ポイントの累積値が所定ポイント以上となるよりも前に消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達した場合、演出制御部630は、液晶画面3およびスピーカ1002に報知させる演出を、演出Aから演出Cに切り替える。
図12の画面sc3は、演出Cの画面例である。画面sc3では、主人公のキャラクタch1が、敵キャラクタch3と対戦する場面を表している。画面sc3の左下には、主人公のキャラクタch1の小さいオブジェクトの周囲に、期待度情報inf1が表示されている。
【0120】
期待度情報inf1には、現在のAT当せん期待度を示唆する“69%”に加えて、“+2%”が含まれている。この“+2%”は、画面sc1,sc2において「勝率UP」と称されたアイコンinf3に応じて、AT当せん期待度が上昇されたことを表したものである。従って、
図12の場合、遊技進行制御部614は、期待度情報inf1が示唆するAT当せん期待度“71%(=69%+2%)”に基づいて、AT抽せんを行う。
【0121】
なお、
図12の画面sc3には、主人公のキャラクタch1のオブジェクトおよび敵キャラクタch3のオブジェクトの下方に、主人公側のチームAにて対戦に参加するキャラクタそれぞれの容姿と、敵側のチームBにて対戦に参加するキャラクタそれぞれの容姿とが、並べて描写されている。主人公側のキャラクタと敵側のキャラクタ同士が任意の組み合わせとなり対戦を繰り返す。その対戦の結果、主人公側のチームAが敵側のチームBに勝利した場合、ATが当せんしたことを意味する。その場合、第2有利遊技状態は、通常遊技状態からAT状態に移行する。
【0122】
消化ゲームが周期の最終ゲームに到達した時、AT抽せんが行われたか否かにかかわらず、ポイントの累積値は0にリセットされ、次の周期が開始される。次の周期では、再度0からポイントが累積されていく。一方、AT当せん期待度は、周期到達によるAT抽せんが実行されればリセットされるが、AT抽せんが実行されない限り、期待度演算部618により次の周期に引き継がれる。従って、AT当せん期待度は、周期到達によるAT抽せん行われない限り、周期が繰り返されて上昇していく。
【0123】
図13に示すように、AT当せん期待度は、ATの当せん確率に相関する。AT当せん期待度が高いほど、ATの当せん確率は高くなりATに当せんし易くなる。例えば、AT当せん期待度が“30%”の場合、ATの当せん確率は“30%”であり、AT当せん期待度が“80%”の場合、ATの当せん確率は“80%”である。このように、
図13では、AT当せん期待度が30%~80%の場合、AT当せん期待度とATの当せん確率とは比例関係にある。
【0124】
更に、
図13では、AT当せん期待度が80%を超えると、AT当せん確率の上昇幅は、当せん期待度が80%以下の場合よりも上昇している場合を例示している。
【0125】
更に、AT当せん期待度は、その期待度にて当せんしたAT中に遊技者に払い出されるメダルの払い出し枚数、に対する期待度にも相関する。
図14では、メダルの払い出し枚数に対する期待度を、メダルの最低払出枚数(補償枚数)として表している。
図14に示すように、AT当せん期待度が高いほど、メダルの最低払出枚数は増加している。例えば、AT当せん期待度が“30%”の場合、この期待度にて当せんしたATにて得られるメダルの最低払出枚数は“50枚”であるが、AT当せん期待度が“80%”の場合、この期待度にて当せんしたATで得られるメダルの最低払出枚数は“300枚”である。
【0126】
このように、AT当せん期待度が高いほど、周期到達時のAT抽せんにてATが当せんする可能性は高まる。但し、抽せんのため、ATが必ずしも当せんするとは限らない。通常遊技にてゲームが消化され続ければ、消化ゲーム数は天井ゲーム数に近づき、その分AT当せん時のメダルの最低払出枚数は増加する。しかしながら、遊技者がベットしたメダルの総枚数は増加する。
【0127】
そこで、本実施形態では、周期を繰り返すことで“80%”以上となったAT当せん期待度に基づいてAT抽せんが行われた結果ATが当せんしなかった条件、の成立時、遊技進行制御部614は、天井ゲーム数を、当該条件の非成立時よりも現時点における消化ゲーム数に近づける(天井短縮)。例えば、AT当せん期待度が82%の状態でAT抽せんが行われたが、AT非当せんだった場合、遊技進行制御部614は、天井ゲーム数を“1000ゲーム”から“777ゲーム”に短くする。
【0128】
つまり、AT当せん期待度が比較的高いにもかかわらずATが当せんしなかったことへの救済措置として、天井が短縮される。これにより、AT状態での遊技を確実に楽しむことのできる時期が近くなるため、遊技者は、通常遊技を継続する意思を持つようになる。
【0129】
また、何らかの理由により、天井ゲーム数を迎えることなく途中で通常遊技をやめる遊技者も存在する。通常遊技がやめられたスロットマシン1に対する他の遊技者への遊技を促すべく、演出制御部630は、演出ボタン46が押下された際に、
図15の画面sc4を液晶画面3に表示させる制御を行う。画面sc4は、演出ボタン46が押下されたスロットマシン1についての、現在時刻よりも前の遊技に関するAT当せん期待度と、これに対応するATの抽せん結果とが並べて表示された「戦歴表」である。
【0130】
具体的に、画面sc4では、ATの抽せんが行われた回ごとに(1回前、2回前など)、AT抽せんが行われた時のゲーム数、その際のAT当せん期待度、および、抽せん結果である勝敗とが、1レコードとして対応付けられている。この画面sc4により、現在よりも前の遊技にてAT当せん期待度がどの程度であったか、その結果ATが当せんしたか否かを、遊技者は把握することができる。特に、AT当せん期待度と勝敗との組み合わせにより、現在のスロットマシン1が、天井ゲーム数が短縮されている状態か否かを、遊技者は把握することができる。これにより、遊技者の遊技への意欲が増す。
【0131】
<スロットマシン1の動作処理の流れ>
図16および
図17を用いて、本実施形態にかかるスロットマシン1の動作処理の流れについて説明する。
【0132】
はじめに、遊技区間は通常区間から有利区間に設定され、第2遊技状態は通常遊技状態に設定されたとする。遊技者は、1周期から通常遊技を開始する(ステップst1)。遊技開始時、期待度演算部618は、周期のカウントを開始し、AT当せん期待度をデフォルト値(例えば30%)に設定する。ポイント累積部617は、ポイントの値を一旦リセットしたあと、ポイントの決定および累積を開始する。
【0133】
なお、遊技区間が有利区間に設定されるまで、期待度演算部618は、周期のカウントを開始しない。期待度演算部618は、遊技区間が有利区間に設定された後から、周期のカウントを開始する。
【0134】
遊技者が通常遊技で1ゲームを消化するごとに、内部抽せん部610は、内部抽せんを行う。ポイント累積部617は、内部抽せんにより当せんした役の種類に応じて、付与するべきポイントの値を決定し、累積していく(ステップst2)。この間、演出制御部630は、演出Aを報知させる制御を行う。
【0135】
滞在中の周期の最終ゲームに到達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイント以上となった場合(ステップst3のYes)、ポイント累積部617は、ポイントの累積処理を停止し(ステップs4)、期待度演算部618は、AT当せん期待度を上昇させる(ステップst5)。
【0136】
更に、遊技者は、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に至るまでの残りゲーム数を、引き続き通常遊技状態にて続けて遊技する。この間、演出制御部630は、演出Bを報知させる制御を行う。期待度演算部618は、当該ゲームの消化に応じて、AT当せん期待度を上昇させる(ステップst6)。この残りゲーム数の消化の間も、内部抽せん部610は内部抽せんを行うため、期待度演算部618は、内部抽せんにより当せんした役の種類に応じて、AT当せん期待度の上昇幅を決定させつつ上昇させる。
【0137】
一方、ポイント累積部617は、所定ポイントに達したポイントの累積値をリセットする(ステップst7)。やがて消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達すると、期待度演算部618は、AT当せん期待度の上昇処理を終了させて、上昇後のAT当せん期待度を次の周期に引き継がせる(ステップst8)。これにより、前回の周期の開始時よりもAT当せん期待度が高い状態にて、次の周期が開始される。次の周期においても、ステップst2以降の処理が繰り返される。
【0138】
一方、ポイントの累積値が所定ポイント以上となるよりも前に、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲームに到達した場合(ステップst3のNo,ステップst9のYes)、遊技進行制御部614は、現在のAT当せん期待度に基づいてAT抽せんを行う(ステップst10)。演出制御部630は、演出Cを報知させる制御を行う。ステップst10のAT抽せんにてATが当せんした場合(ステップst11のYes)、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を通常遊技状態からAT状態に切り替える(ステップst12)。これにより、ATでの遊技が開始される。
【0139】
AT状態に切り替えられた際、ポイント累積部617はポイントの累積値をリセットし、期待度演算部618はAT当せん期待度をリセットする。
【0140】
ステップst10にてATが当せんしなかった場合(ステップst11のNo)、ATは開始されない。ポイント累積部617は、ポイント累積値をリセットし、期待度演算部618は、AT当せん期待度をリセットする(ステップst13)。
【0141】
遊技進行制御部614は、ステップst13にてリセットした直前のAT当せん期待度が所定値(例えば80%)以上であったか否かを判定する(ステップst14)。直前のAT当せん期待度が所定値以上の場合(ステップst14のYes)、遊技進行制御部614は、現在の天井ゲーム数を短縮させる(ステップst15)。直前のAT当せん期待度が所定値以上でない場合(ステップst14のNo)、ステップst15における現在の天井ゲーム数の短縮は行われない。
【0142】
なお、消化ゲーム数が天井ゲーム数に到達した場合(ステップst16のYes)、遊技進行制御部614は、第2遊技状態を通常遊技状態からAT状態に強制的に切り替える(ステップst17)。これにより、ATでの遊技が開始される。
【0143】
なお、ステップst17の場合も、ポイント累積部617はポイントの累積値をリセットし、期待度演算部618はAT当せん期待度をリセットする。
【0144】
消化ゲーム数が天井ゲーム数に到達していない場合(ステップst16のNo)、通常遊技状態からAT状態への強制的な切り替えは行われず、ステップst3以降の処理が繰り返される。つまりこの場合、ATは開始されず、引き続き通常遊技にてゲームが消化されていく。
【0145】
また、ステップst3,st9において、ポイントの累積値が所定ポイントに未だ到達せず、且つ、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達していない状態下では(ステップst9のNo)、滞在中の周期にて、通常遊技でのゲームが消化されている状態にある。この場合、ステップst16以降の処理が行われる。
【0146】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、遊技者による操作に基づいて、通常遊技、および、通常遊技よりも遊技者にとって遊技なAT(有利遊技)、のいずれかにて遊技を進行させる遊技進行制御部614と、通常遊技が行われている間、一周期が複数のゲーム数から成る周期毎に、遊技の進行に応じて、AT(有利遊技)の当せんに関連するポイントの決定と累積とを行うポイント累積部617と、通常遊技が行われている間、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイント以上となった場合、AT(有利遊技)の当せん期待度を上昇させる期待度演算部618と、を備え、遊技進行制御部614は、通常遊技が行われている間、ポイントの累積値が所定ポイント以上となるよりも前に消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達した場合、AT(有利遊技)の当せん期待度に基づいてAT状態への移行の抽せんを行う。
【0147】
<発明の効果>
本実施形態によれば、通常遊技時に周期を繰り返すことでポイントが累積される。通常遊技の間、そのポイントの累積値と滞在中の周期の最終ゲーム数との兼ね合いにより、AT当せん期待度を高めるか、AT当せん期待度を用いたAT抽せんがなされる。これにより、通常遊技のゲーム性が向上する。
【0148】
また、AT当せん期待度を示唆する期待度情報inf1が報知されるため、遊技者は、AT当せん期待度がどの程度かを把握することができる。従って、通常遊技状態であっても、遊技者は、遊技をやめにくくなる。
【0149】
また、AT当せん期待度が高いほど、AT当せん確率は高く、かつAT中のメダルの払い出し枚数に対する期待値も高くなる。つまり、AT当せん期待度を上昇させることは、そのAT当せん期待度にてATに突入した際に得られるであろうメダルの枚数が増加することと同義である。これにより、より多くのメダル獲得に期待しつつ、遊技者は、通常遊技を継続することができる。
【0150】
また、消化ゲーム数が天井ゲーム数に到達した場合、AT当せん期待度に関係なくATの開始が強制的に決定される。従って、周期を繰り返してもATに当せんしなかったとしても、天井ゲーム数への到達により、救済措置として、遊技者はメダルを得ることができる。
【0151】
また、例えば80%以上のAT当せん期待度に基づいてAT抽せんが行われたにもかからず、ATが当せんしなかった場合、天井ゲーム数が短縮される。これにより、AT状態での遊技を確実に楽しむことのできる時期が近くなるため、遊技者は、通常遊技を継続することに、より意欲的になる。
【0152】
また、
図15の画面sc4に示すように、現在時刻よりも前の遊技に関する、AT当せん期待度に対応するATの抽せん結果が報知される。これにより、現在よりも前の遊技にてAT当せん期待度がどの程度であったか、その結果ATが当せんしたか否かを、遊技者は把握することができる。特に、例えば80%以上のAT当せん期待度に基づいて行われたAT抽せんが非当せんであった場合に、天井ゲーム数を短縮する仕様のため、画面sc4のAT当せん期待度から、現在のスロットマシン1が、天井ゲーム数が短縮されている状態か否かを、遊技者は把握することができる。これにより、遊技者の遊技への意欲が増す。
【0153】
また、通常遊技時に周期を繰り返すことで、遊技者がベットするメダルの総数は増えるが、その代わりにAT当せん期待度を高めていくことができる。通常遊技が行われている間、AT抽せんが実行されるまでは、AT当せん期待度が引き継がれるためである。これにより、通常遊技のゲーム性がより向上し、遊技者はATが当せんするまで遊技を継続させることに意欲的になる。従って、遊技者による遊技への興趣性が高まる。
【0154】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0155】
前記実施形態では、有利遊技がATである場合を例示した。しかし、有利遊技は、遊技者にとって遊技が通常遊技よりも有利となるものであればよく、ボーナス、チャンスゾーン、ARTなどであってもよい。ARTは、リプレイ確率が通常遊技状態時よりも高いとともに、押順役の正解押し順を報知する遊技状態である。
【0156】
前記実施形態では、
図9の画面sc1などに示した期待度情報inf1が、AT抽せんで用いられるAT当せん期待度そのものを数値にて表す場合を例示した。しかし、期待度情報inf1は、AT当せん期待度そのものの数値ではなく、例えば当該数値を変更や補正した値であってもよい。また、期待度情報inf1は、数値ではなく、AT当せん期待度をエフェクトで表したもの、AT当せん期待度をキャラクタの動作や表情で表したもの、であってもよい。また、期待度情報のinf1の報知態様は、表示ではなく、音の出力によって表されてもよいし、表示と音との組み合わせや、液晶画面3ではなく筐体1のパネルをフラッシュさせたりすることで表現されてもよい。
【0157】
また、期待度情報inf1の報知は必須ではないため、期待度情報inf1の報知はされなくてもよい。
【0158】
前記実施形態では、演出ボタン46が押下された場合に、画面sc4の戦歴表が表示されると説明した。しかし、画面sc4の報知タイミングは、演出ボタン46の押下に限定されず、例えば遊技者がメダルをベットせずにレバー43をオンさせたタイミング、遊技者がスロットマシン1の前に着席したタイミングなどであってもよい。スロットマシン1の盤面にセンサを設けておき、当該センサが人の存在を検知したことにより、遊技者がスロットマシン1の前に着席したタイミングを把握することができる。
【0159】
また、画面sc4の報知は、必須ではないため、現在時刻よりも前の遊技に関する、AT当せん期待度に対応するAT当せん結果は、報知されなくてもよい。
【0160】
前記実施形態では、
図14に示すように、AT当せん期待度が高いほど、AT当せん時のメダルの最低払出枚数が高くなると説明したが、これは必須ではない。また、AT当せん期待度が高いほど、ATに突入した場合にそのATの継続率が高くてもよい。
【0161】
前記実施形態では、AT当せん期待度が比較的高い状態でAT抽せんが行われたにもかかわらずATが非当せんであった場合、天井ゲーム数が短縮されると説明したが、これは必須ではない。また、天井ゲーム数を短縮する場合、遊技進行制御部614は、天井ゲーム数がどの程度短縮するかを、ATが外れた場合のAT当せん期待度の高さに応じて決定してもよい。つまり、天井ゲーム数がどの程度短縮されるかは、固定であってもよいし、可変であってもよい。
【0162】
また、周期の最終ゲームに到達するよりも前に、消化ゲーム数が天井ゲーム数に到達した場合、遊技状態制御部616は、直ちに第2遊技状態をAT状態に切り替えてもよい。つまり、周期の途中で天井ゲーム数に到達した場合は、直ちにATが開始されてもよい。
【0163】
また、周期の途中で天井ゲーム数に到達した場合、遊技状態制御部616は、周期の最終ゲーム数に到達した後に第2遊技状態をAT状態に切り替えてもよい。この場合、周期の途中で天井ゲーム数に到達したとしても、ATは、その周期の終了を待ってから開始される。
【0164】
また、遊技進行制御部614は、ATが開始されるまでに、天井ゲーム数を短縮させる処理を複数回行ってもよい。例えば、AT当せん期待度“80%”での対戦結果が「負け」の場合、遊技進行制御部614は、天井ゲーム数を“1000G”から“777G”に短縮させる。その後更に高まったAT当せん期待度“82%”での対戦結果が再び「負け」の場合、遊技進行制御部614は、天井ゲーム数を“777G”から“666G”に短縮させる。このように、天井ゲーム数の短縮処理の効果は、累積されてもよい。
【0165】
前記実施形態では、消化ゲーム数が周期の最終ゲームに到達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイント以上となった場合、周期の最終ゲームまでの残りのゲーム消化時に当せんする役に応じて、AT当せん期待度が上昇されると説明した。しかし、これは必須ではない。また、前記実施形態では、ポイントが所定ポイント以上となる前と後とで、報知される演出が異なる場合を例示したが、これも必須ではない。
【0166】
また、消化ゲーム数が周期の最終ゲーム数に到達するよりも前に、ポイントの累積値が所定ポイント以上となった場合、最終ゲームまでの残りのゲーム消化を行うことなく、直ちに次の周期が開始されてもよい。その際、期待度演算部618は、直前の周期にて残っていたゲーム数に応じて、AT当せん期待度を上昇させたり、または、次の周期でのAT当せん期待度の上昇度合いを前の周期よりも高めたりすることができる。または、ポイント累積部617は、次の周期で付与させるポイントの値を前の周期よりも高めることができる。これにより、開始された次の周期でのAT当せんがより有利になる。
【0167】
前記実施形態では、所定ポイントが常に100ポイントで固定である場合を例示した。しかし、所定ポイントは、滞在中の周期や、これまでの消化ゲーム数、滞在中のモード、スロットマシン1の設定値などに応じて、適宜異なっていてもよい。
【0168】
前記実施形態では、通常遊技における各周期の周期期間が、50ゲームで一定である場合を例示した。しかし、周期期間は、1周期目は100ゲームで2周期目は25ゲームのように、周期に応じて異なっていてもよい。また、周期期間は、これまでの消化ゲーム数、滞在中のモード、スロットマシン1の設定値などに応じて、適宜変化してもよい。また、周期期間は、レア役が当せんした場合に短縮されるなどしてもよい。
【0169】
前記実施形態では、周期期間内に通常遊技が毎ゲーム消化されるのに伴って、メインキャラクタにポイントが必ず付与される場合を例示した。しかし、毎ゲーム消化ごとにポイントが付与されるのではなく、ポイントが付与されない場合があってもよい。
【0170】
消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲームに到達したタイミングと、ポイントの累積値が所定ポイントに達したタイミングとが同時の場合、AT抽せん期待度が上昇しない代わりにAT抽せんされてもよいし、AT抽せんが行われない代わりにAT抽せん期待度が上昇してもよいし、これら両方が行われてもよい。両方を行う場合、先ずは、AT抽せん期待度が上昇され、その上昇後のAT抽せん期待度に応じてAT抽せんが行われてもよい。また、遊技進行制御部614は、AT抽せん期待度を上昇させるか、AT抽せんを行うか、それともこれらの両方を行うかを、設定値や滞在モードに基づく抽せんにより決定してもよい。
【0171】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
【0172】
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、特別役が当せんしたが入賞していない状態の下でATでの遊技が行われるものであり、その状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、特別役が持ち越されていない状態の下では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
【0173】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大1500ゲームに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0174】
前記実施形態では、
図12に示すように、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達した際の演出Cでは、複数のキャラクタ同士がチームに分かれて対戦する仕様である場合を例示した。しかし、演出Cは、この仕様に限定されない。例えば、演出Cは、複数のキャラクタによる勝ち抜き戦で勝敗が決まる仕様、総当たり戦にて勝敗数が決まる仕様、などであってもよい。
【0175】
また、参戦する各キャラクタには、個別に勝利期待度が固定値に設定されていてもよいし、対戦相手ごとに異なった勝利期待度が設定されていてもよい。対戦結果は、対戦中の内部抽せんにより当せんした役の種類(レア役など)に応じて、書き換えられてもよい。
【0176】
また、対戦中の演出Cでは、どちらかのチームに加わって参戦するキャラクタが登場したり、一旦負けたキャラクタが復活して対戦に加わったりして、個別のキャラクタまたはチーム全体としての勝利期待度が変化してもよい。
【0177】
前記実施形態において、消化ゲーム数が滞在中の周期の最終ゲーム数に到達するよりも前に、AT当せん期待度が規定値(例えば100%)を超えた場合、次の周期が始まることなくATが開始(第2遊技状態がAT状態に移行)されてもよい。または、AT当せん期待度が規定値に到達した時点で、周期滞在中の状態を解除してATが開始されてもよいし、滞在中の周期の最終ゲーム数までゲームが消化されてから、ATが開始されてもよい。
【0178】
前記実施形態では、通常遊技で1ゲームを消化するごとに当せんした役の種類に応じて、ポイントが決定され付与されると説明した。しかし、ポイントは、役の種類に応じて決定されなくてもよい。例えば、ポイントは、役の種類に応じてではなく、消化されたゲーム数や、滞在中のモードに応じて決定されてもよい。
【0179】
前記実施形態では、AT状態に切り替えられた際(つまりAT当せん時)、AT当せん期待度およびポイントの累積値がリセットされると説明したが、これに限定されない。例えば、ATでの継続ゲーム数が所定値未満やATでの獲得枚数が所定数未満のように、突入したATの遊技結果が所定の期待値未満であった場合、AT当せん期待度およびポイントの累積値は、AT終了後も引き継がれてもよい。
【0180】
また、AT抽せんが行われるまで、AT当せん期待度が周期をまたいで引き継がれることは、必須ではない。例えば、AT抽せんが行われないまま特定周期に到達した場合、AT当せん期待度は所定割合だけ減算されてもよい。
【0181】
また、AT当せん期待度は、AT抽せんが行われたり消化ゲーム数が天井ゲーム数に到達したりした場合に必ずしもリセットされるのではなく、特定の条件が成立した際にリセットされてもよい。特定の条件としては、例えば、AT抽せんは行わないが、周期が特定周期(10周期)に到達した場合、などが挙げられる。また、AT当せん期待度は、リセットされるのではなく、例えばAT抽せん時にATが当せんしなかった場合に所定割合だけ減算されてもよい。
【符号の説明】
【0182】
1 スロットマシン(遊技機)
3 液晶画面(報知部)
40 ストップスイッチ
43 レバー(スタートスイッチ)
102 スピーカ(報知部)
610 内部抽せん部
614 遊技進行制御部
617 ポイント累積部
618 期待度演算部
630 演出制御部(報知制御部)