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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】画像観察装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240513BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240513BHJP
   G02B 13/16 20060101ALI20240513BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240513BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B13/00
G02B13/16
G02B13/18
H04N5/64 511A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020015848
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021124538
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】東原 正和
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169961(WO,A1)
【文献】特開2018-063852(JP,A)
【文献】特開2011-150960(JP,A)
【文献】特開2019-053151(JP,A)
【文献】特開2019-061198(JP,A)
【文献】特表2003-529795(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013864(WO,A1)
【文献】特開2015-075713(JP,A)
【文献】特表2011-501822(JP,A)
【文献】特表2010-526321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165052(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
H04N 5/64
G02B 9/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示面からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は、前記表示素子の側から前記射出瞳の側へ向かって順に配置された、第1のλ/4板、半透過反射面、レンズ、第2のλ/4板、及び偏光分離素子を含み、
前記偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、かつ該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過させる素子であり、前記表示面の中心部において、前記表示面の法線方向での輝度は該法線方向に対して前記表示面の外側へ向かって傾いた特定方向での輝度よりも高く、
前記表示面の最端部において、前記法線方向での輝度は前記特定方向での輝度よりも低く、
前記最端部における前記法線方向に対する前記特定方向の角度をφmaxとし、
前記表示面から出射して前記半透過反射面を透過し、さらに前記偏光分離素子を透過する光において、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ3とするとき、
|φmax-θ3|≧15°
なる条件を満足することを特徴とする画像観察装置。
【請求項2】
画像を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示面からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は、前記表示素子の側から前記射出瞳の側へ向かって順に配置された、第1のλ/4板、半透過反射面、レンズ、第2のλ/4板、及び偏光分離素子を含み、
前記偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、かつ該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過させる素子であり、
前記表示面の中心部において、前記表示面の法線方向での色ずれは該法線方向に対して前記表示面の外側へ向かって傾いた特定方向での色ずれよりも小さく、
前記表示面の最端部において、前記法線方向での色ずれは前記特定方向での色ずれよりも大きく、
前記最端部における前記法線方向に対する前記特定方向の角度をφmaxとし、
前記表示面から出射して前記半透過反射面を透過し、さらに前記偏光分離素子を透過する光において、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ3とするとき、
|φmax-θ3|≧15°
なる条件を満足することを特徴とする画像観察装置。
【請求項3】
画像を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示面からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は、前記表示素子の側から前記射出瞳の側へ向かって順に配置された、第1のλ/4板、半透過反射面、レンズ、第2のλ/4板、及び偏光分離素子を含み、
前記偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、かつ該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過させる素子であり、前記表示面の中心部において、前記表示面の法線方向での輝度は該法線方向に対して前記表示面の外側へ向かって傾いた特定方向での輝度よりも高く、
前記表示面の最端部において、前記法線方向での輝度は前記特定方向での輝度よりも低く、
前記表示素子は、複数の画素のそれぞれ対応する複数のカラーフィルタを有し、
前記中心部の画素の中心における法線上において、該画素に対応するカラーフィルタの中心が位置し、
前記最端部の画素の中心における法線に対して、該画素に対応するカラーフィルタの中心が前記外側にずれていることを特徴とする画像観察装置。
【請求項4】
画像を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示面からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有し、
前記接眼光学系は、前記表示素子の側から前記射出瞳の側へ向かって順に配置された、第1のλ/4板、半透過反射面、レンズ、第2のλ/4板、及び偏光分離素子を含み、
前記偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、かつ該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過させる素子であり、
前記表示面の中心部において、前記表示面の法線方向での色ずれは該法線方向に対して前記表示面の外側へ向かって傾いた特定方向での色ずれよりも小さく、
前記表示面の最端部において、前記法線方向での色ずれは前記特定方向での色ずれよりも大きく、
前記表示素子は、複数の画素のそれぞれ対応する複数のカラーフィルタを有し、
前記中心部の画素の中心における法線上において、該画素に対応するカラーフィルタの中心が位置し、
前記最端部の画素の中心における法線に対して、該画素に対応するカラーフィルタの中心が前記外側にずれていることを特徴とする画像観察装置。
【請求項5】
前記レンズが、樹脂レンズであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項6】
前記表示素子は、複数の画素のそれぞれ対応する複数のカラーフィルタを有し、
前記中心部の画素の中心における法線上において、該画素に対応するカラーフィルタの中心が位置し、
前記最端部の画素の中心における法線に対して、該画素に対応するカラーフィルタの中心が前記外側にずれていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像観察装置。
【請求項7】
前記中心部の画素に対応するカラーフィルタのサイズよりも、前記最端部の画素に対応するカラーフィルタのサイズの方が大きいことを特徴とする請求項3または4に記載の画像観察装置。
【請求項8】
前記法線方向に対する前記特定方向の角度をφとし、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ1とするとき、
0<φ≦θ1
なる条件を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項9】
前記接眼光学系の最大表示画角が60°以下であり、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ2とするとき、
θ2/2≦φ≦θ2
なる条件を満足することを特徴とする請求項に記載の画像観察装置。
【請求項10】
前記接眼光学系の最大表示画角が60°より大きい場合において、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ2とするとき、
θ2≦φ≦θ1
なる条件を満足することを特徴とする請求項に記載の画像観察装置。
【請求項11】
前記最端部における前記法線方向に対する前記特定方向の角度をφmaxとし、
前記表示面から出射して前記半透過反射面を透過し、さらに前記偏光分離素子を透過する光において、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ3とするとき、
|φmax-θ3|≧15°
なる条件を満足することを特徴とする請求項3または4に記載の画像観察装置。
【請求項12】
前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズのうち前記半透過反射面が設けられた面が、前記表示素子に向かって凸形状であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項13】
前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズのうち前記半透過反射面が設けられた面が非球面であることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項14】
前記接眼光学系に含まれる1以上のレンズのうち最も前記射出瞳に近いレンズは、前記表示素子に向かって凸形状の面を有する平凸レンズであることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項15】
前記半透過反射面が前記レンズに設けられており、
前記レンズの光学有効領域における偏肉比が、1.5以上、4以下であることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項16】
前記接眼光学系のアイレリーフをEとするとき、
15mm≦E≦25mm
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項17】
前記接眼光学系の光軸方向での厚さをL、前記接眼光学系のアイレリーフをEとするとき、
0.6≦L/E≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項18】
前記接眼光学系のアイレリーフをE、前記接眼光学系の最大の対角半画角をθとするとき、
8mm≦E×tanθ≦20mm
なる条件を満足することを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項19】
前記第1の直線偏光の偏光方向に対して、前記第1のλ/4板の遅相軸と前記第2のλ/4板の遅相軸とが互いに反対側に傾いていることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項20】
前記接眼光学系は、前記偏光分離素子と前記射出瞳との間に配置された、前記第2の直線偏光を透過する偏光板を含むことを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【請求項21】
前記表示素子から無偏光光が出射し、
前記接眼光学系は、前記表示素子と前記第1のλ/4板との間に配置された、前記第1の直線偏光を透過する偏光板を有することを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の画像観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子に表示された画像を接眼光学系を介して観察可能な画像観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像観察装置としては、観察者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ(HMD)がある。このようなHMDにおいて広画角での画像提示を実現するために、偏光を利用して光路を折り畳む接眼光学系が用いられることがある。ただし、このような接眼光学系では、焦点距離が短くなるため、周辺画角での表示素子からの光の出射角が大きくなり、表示素子の視野角特性(輝度や色度ずれ)が悪化し易い。また、このような接眼光学系に、軽量化のためにプラスチックレンズが使用されると、プラスチックレンズ内の複屈折によって光の偏光状態が乱れ、この結果、ゴーストが発生する。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、偏光を利用して広画角化された接眼光学系を有するHMDが開示されている。さらに特許文献2には、表示素子に設けられたカラーフィルタのサイズを中心部から周辺部にかけて大きくすることで周辺画角での視野角特性を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-053152号公報
【文献】特表2019-61198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のHMDでは、光源とカラーフィルタの中心とが揃っており、表示素子の法線方向での視野角特性が良好であるために、レンズの複屈折によるゴーストを低減することができない。
【0006】
本発明は、偏光を利用した接眼光学系の周辺画角での視野角特性を改善しつつゴーストを低減できるようにした画像観察装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての画像観察装置は、画像を表示する表示面を有する表示素子と、前記表示面からの光を射出瞳に導く接眼光学系とを有する。接眼光学系は、表示素子の側から射出瞳の側へ向かって順に配置された、第1のλ/4板、半透過反射面、レンズ、第2のλ/4板、及び偏光分離素子を含み、偏光分離素子は、第1の直線偏光を反射し、かつ該第1の直線偏光の偏光方向に直交する偏光方向の第2の直線偏光を透過させる素子であり、表示面の中心部において、該表示面の法線方向での輝度は該法線方向に対して前記表示面の外側へ向かって傾いた特定方向での輝度よりも高く、表示面の最端部において、前記法線方向での輝度は前記特定方向での輝度よりも低く、前記最端部における前記法線方向に対する前記特定方向の角度をφmaxとし、前記表示面から出射して前記半透過反射面を透過し、さらに前記偏光分離素子を透過する光において、前記最端部から前記射出瞳の中心に向かう主光線の前記表示面からの出射角をθ3とするとき、
|φmax-θ3|≧15°
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、偏光を利用した接眼光学系の周辺画角での視野角特性を改善しつつゴーストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1であるHMDの構成を示す図。
図2】実施例1における接眼光学系の構成を示す図。
図3】実施例1のHMDの外観図。
図4】実施例1における接眼光学系の光路図。
図5】実施例1における表示面中心部での視野角特性を示す図。
図6】実施例1におけるカラーフィルタを示す図。
図7】実施例1における表示面の水平端部での視野角特性を示す図。
図8】実施例1における表示画角と画像面からの出射角との関係を示す図。
図9】実施例1におけるカラーフィルタを示す別の図。
図10】実施例1におけるゴースト光路を示す図。
図11】本発明の実施例2であるHMDの構成を示す図。
図12】実施例2における接眼光学系の構成を示す図。
図13】実施例2における接眼光学系の光路図。
図14】実施例2におけるカラーフィルタを示す図。
図15】実施例2における表示面中心部での視野角特性を示す図。
図16】実施例2におけるゴースト光路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1である画像観察装置としてのHMD101の構成を示している。HMD101は、観察者の頭部に装着される。102は観察者の右眼、103は観察者の左眼である。表示レンズ104,105は右眼用接眼光学系OR1を構成し、表示レンズ106,107は左眼用接眼光学系OL1を構成する。各接眼光学系は、複数(2つ)表示レンズにより構成された共軸の光学系である。右眼用接眼光学系OR1の射出瞳ER1には観察者の右眼102が配置され、左眼用接眼光学系OL1の射出瞳EL1には観察者の左眼103が配置される。
【0012】
108は右眼用表示素子、109は左眼用表示素子である。各表示素子は、平板型の表示素子であり、本実施例では有機ELディスプレイパネルを用いている。図3は、HMD101とこれに接続されたパーソナルコンピュータ150の外観を示している。各表示素子は、パーソナルコンピュータ150から出力された画像信号に対応する表示画像(原画像)を表示する。
【0013】
接眼光学系OR1,OL1はそれぞれ、表示素子108,109からの光を射出瞳ER1,EL1に導くことで、表示画像の拡大虚像を観察者の右眼102と左眼103に投影する。これにより、観察者は、表示素子108,109に表示された表示画像(の虚像)を接眼光学系OR1,OL1を通して観察することができる。
【0014】
本実施例において、各接眼光学系の焦点距離は12mm、水平表示画角は45°、垂直表示画角は34°、対角表示画角は54°である。各接眼光学系における最も射出瞳側の面(後述する偏光分離素子114の射出瞳側の面)と各接眼光学系の射出瞳との距離であるアイレリーフE1は、18mmである。
【0015】
本実施例における右眼用および左眼用接眼光学系ОR1,OL1は偏光を利用して光路を折り畳む光学系であり、その構成について右眼用接眼光学系ОR1を用いて説明する。図2に示すように、右眼用接眼光学系ОR1は、右眼用表示素子108から射出瞳ER1に向かって順に配置された偏光板110、第1のλ/4板(第1の位相板)111、表示レンズ105、表示レンズ104、第2のλ/4板(第2の位相板)113および偏光分離素子(以下、PBSという)114を有する。表示レンズ104における表示素子側の凸面には、半透過反射面としてのハーフミラー112が蒸着により形成されている。また第2のλ/4板113とPBS114は、表示レンズ104における射出瞳側の面上に積層されるように設けられている。
【0016】
偏光板110、第1のλ/4板111、第2のλ/4板113およびPBS114はいずれも平板状に形成されている。偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第1のλ/4板111の遅相軸とは45°傾いており、偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第2のλ/4板113の遅相軸とは-45°(すなわち第1の直線偏光の偏光方向に対して第1のλ/4板111の遅相軸とは反対側に同角度だけ)傾いている。また偏光板110を透過する第1の直線偏光の偏光方向とPBS114を透過する第2の直線偏光の偏光方向とは互いに直交している。
【0017】
右眼用表示素子108から出射した無偏光光は、偏光板110を透過して直線偏光となり、第1のλ/4板111を透過して円偏光となって表示レンズ105を透過する。さらに円偏光は、ハーフミラー112を透過した後、表示レンズ104を透過し、第2のλ/4板113を透過して第1の直線偏光になる。この第1の直線偏光は、PBS114を透過する偏光方向に対して直交する偏光方向を有するため、PBS114で反射して第2のλ/4板113を透過して円偏光となる。この円偏光は、表示レンズ104を透過した後、ハーフミラー112で反射し、再度、表示レンズ104を透過し、第2のλ/4板113を透過して第2の直線偏光になる。この第2の直線偏光は、PBS114を透過する偏光方向と一致する偏光方向を有するため、PBS114を透過して射出瞳ER1(右眼102)に導かれる。左眼用表示素子109から出射した光も、同様に左眼用接眼光学系OL1により射出瞳EL1(左眼103)に導かれる。
【0018】
このように各接眼光学系を偏光を利用して光路を折り畳むように構成することで、各接眼光学系を光軸方向において薄型化することができ、かつ各接眼光学系の焦点距離を短くして広画角な画像の観察を可能とする。
【0019】
HMDは、観察者が頭部に装着するために軽量であることが望ましい。このため、接眼光学系を構成する表示レンズは硝子よりも比重が小さい樹脂により製作することが望ましい。このため、本実施例でも、表示レンズ104~107は樹脂レンズとしている。また最も射出瞳側の表示レンズ104,106を表示素子側に向かって凸面を有する平凸レンズとして、該凸面にハーフミラー112を設けることで、接眼光学系を薄型化しつつ広画角化を実現している。さらに表示レンズ104,106の凸面を非球面形状とすることで、収差補正効果を高めている。また、表示レンズ105,107を樹脂製の両面非球面レンズとして、収差補正効果を高めている。
【0020】
ただし、表示レンズ105,107は外径が小さく、重量への影響が小さいため、ガラスレンズとしてもよい。またHMD101の全体の重量が許容範囲であれば、表示レンズ104,106もガラスレンズとしてもよい。
【0021】
本実施例のHMD101では、眼鏡を掛けている観察者でも装着できるように、アイレリーフは15mm以上であることが望ましい。一方、アイレリーフが長すぎると、表示レンズの外形が大きくなりHMDも大型化するため、アイレリーフは25mm以下であることが望ましい。すなわち、アイレリーフE1は、
15mm≦E1≦25mm (1)
なる条件を満足するとよい。
【0022】
また本実施例のHMD101では、図4に示すように、右眼102の眼球(瞳)が右眼用表示素子108の表示面の左右の端部を向いている(見ている)状態での右眼用接眼光学系OR1の射出瞳ER1′の位置、すなわちアイレリーフE1′を、図1に示すように眼球が表示面の中心部を向いている状態でのアイレリーフE1=18mmに眼球の回転半径10mmを加えた28mmに設定し、射出瞳径を6mmに設定している。左眼用接眼光学系OL1の射出瞳についても同様である。このように設定することで、表示面の左右の端部(同様に上下の端部)を観察するために眼球が回転した場合でも、眼球が向いた方向からの光が眼球に入射させることができる。
【0023】
本実施例の接眼光学系のようにアイレリーフが長く、焦点距離が短く、かつ薄い接眼光学系においては、表示画角のうち周辺画角において表示素子(表示面)からの光の出射角が大きくなる。表示面からの光の出射角が大きいと、表示輝度や表示色度としての視野角特性が低下して、観察される画像が暗くなったり正しい色の画像を観察できなくなったりする。
【0024】
右眼用接眼光学系OR1において、右眼用表示素子(表示面)108から出射して該接眼光学系OR1の射出瞳ER1(ER1′)の中心を通る光線を主光線とする。このとき、本実施例では、図1に示すように眼球が表示面の中心部を向いているときの左右方向(水平方向)の最大周辺画角22.5°の主光線が表示面から出射するときの出射角は18°である。一方、図4に示すように眼球が表示面の水平方向の端部を向いているときの水平方向の最大周辺画角22.5°の主光線が表示面から出射するときの出射角は37°である。
【0025】
このとき、一般的な構成を有する表示素子の視野角特性、すなわち輝度(明るさ)と色度のずれ(色ずれ:ΔE)は、図5に示すようになっている。表示面からの光の出射角が大きくなるほど、明るさは低下し、色ずれは増加する。
【0026】
これに対して、本実施例では、表示素子108,109を図6(a)~(c)に示すように構成している。ここでは、右眼用表示素子108の水平方向での構成について説明するが、左眼用表示素子109についても同様である。本実施例における表示素子108は、その表示面の面内方向(水平方向および垂直方向)に赤、緑および青用の複数のサブ画素とこれらに対応する赤、緑および青の複数のカラーフィルタがストライプ状に周期的に配置されている。なお、表示面の面内方向において正方形状や六角形状にサブ画素およびカラーフィルタが配置されていてもよい。また、表示素子108の表示面に立てた法線が延びる方向(以下、法線方向という)を0°の方向とし、右眼102で見て右側を正とし、左側を負とする。
【0027】
図6(a)に示すように、表示素子108の中心部では、一般的な表示素子と同様に、赤カラーフィルタ118の中心を、赤用サブ画素115の中心から法線方向に位置させている。すなわち、水平方向において、赤カラーフィルタ118の中心の位置を赤用サブ画素115の中心の位置に一致させている。同様に、水平方向において、緑カラーフィルタ119の中心の位置を緑用サブ画素116の中心の位置に一致させ、青カラーフィルタ120の中心の位置を青用サブ画素117の中心の位置に一致させている。
【0028】
これに対して、図6(b)に示すように、右眼102で見たときの表示素子108の左端部では、赤カラーフィルタ118の中心を赤用サブ画素115の中心に対して左側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素115の中心に対する赤カラーフィルタ118の中心のずらし量は、赤用サブ画素115の中心と赤カラーフィルタ118の中心を通る直線が法線方向に対して左側に10°傾くずらし量であり、以下の説明では、左側へのカラーフィルタずらし量が10°であるという。緑カラーフィルタ119と青カラーフィルタ120についても同様である。
【0029】
一方、図6(c)に示すように、右眼102で見たときの表示素子108の右端部では、赤カラーフィルタ118の中心を赤用サブ画素115の中心に対して右側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素115の中心に対する赤カラーフィルタ118の中心のずらし量は、赤用サブ画素115の中心と赤カラーフィルタ118の中心を通る直線が法線方向に対して右側に10°(すなわち-10°)傾くずらし量であり、以下の説明では、右側へのカラーフィルタずらし量が10°であるという。緑カラーフィルタ119と青カラーフィルタ120についても同様である。
【0030】
このような構成の表示素子108の明るさおよび色ずれはそれぞれ、図7(a)および図7(b)に示すようになり、-10°の方向(特定方向)で最も良好となる。
【0031】
表示素子(表示面)108の左端部からの接眼光学系OR1への主光線の出射角は、右眼102の眼球が表示面の中心部を向いているとき(以下、正面視状態という)では-18°であり、表示面の左端部を向いているとき(以下、左端視状態という)では-37°である。
【0032】
正面視状態において表示面の左端部にてサブ画素に対してカラーフィルタをずらさないと、図5(a)、(b)から分かるように明るさが10%低下し、ΔEは3増加する。しかし、カラーフィルタをずらすと、図7(a)、(b)から分かるように明るさが2%低下するにすぎず、ΔEも1増加するにすぎない。すなわち視野角特性が改善する。一方、左端視状態において表示面の左端部にてカラーフィルタをずらさないと、図5(a)、(b)から分かるように明るさが36%低下し、ΔEは12増加する。しかし、カラーフィルタをずらすと、図7(a)、(b)から分かるように明るさが21%低下するにすぎず、ΔEも7増加するにすぎない。すなわち視野角特性が改善する。
【0033】
また、右眼102の眼球が表示面の右端部を向いている右端視状態でも、左端視状態と同様に、図7(c)および図7(d)に示すようにサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことにより、サブ画素に対してカラーフィルタをずらさない場合に比べて明るさと色ずれが改善する。
【0034】
ここまでは、水平方向における端部におけるサブ画素に対するカラーフィルタずらしについて説明したが、本実施例では、垂直方向の端部(上端部と下端部)でも同様にサブ画素に対してカラーフィルタをずらしている。本実施例では、正面視状態における垂直方向での最大周辺画角17°の主光線の表示素子(表示面)108からの出射角は14°であり、眼球が垂直方向の上端部や下端部を向いているとき(以下、上端視状態、下端視状態という)における垂直方向での最大周辺画角17°の主光線の表示面からの出射角は29°である。
【0035】
表示面の上端部では、赤カラーフィルタの中心を赤用サブ画素の中心に対して上側(外側)にずれた位置に配置している。このときの赤用サブ画素115の中心に対する赤カラーフィルタ118の中心のずらし量は、赤用サブ画素115の中心と赤カラーフィルタ118の中心を通る直線が法線方向に対して上側に7.5°傾くずらし量であり、以下の説明では、上側へのカラーフィルタずらし量が7.5°であるという。また、表示面の下端部では、赤カラーフィルタの中心を赤用サブ画素の中心に対して下側(外側)にずれた位置に配置している。このときの赤用サブ画素115の中心に対する赤カラーフィルタ118の中心のずらし量は、赤用サブ画素115の中心と赤カラーフィルタ118の中心を通る直線が法線方向に対して下側に7.5°傾くずらし量であり、以下の説明では、下側へのカラーフィルタずらし量が7.5°であるという。これらのことは、緑カラーフィルタと青カラーフィルタについても同様である。このようにサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことで、表示面の上端部や下端部の明るさや色ずれが改善する。
【0036】
このように本実施例では、表示面の中心部において該表示面の法線方向での視野角特性を法線方向から外側に傾いた特定方向での視野角特性より高くし、表示面の端部において法線方向での視野角特性を特定方向での視野角特性より低くすることができる。
【0037】
図8は、本実施例における正面視状態での接眼光学系OR1の表示画角と表示素子(表示面)108からの主光線の出射角との関係を示している。この図から分かるように、表示面からの出射角は、表示画角が大きくなるにつれて大きくなる。このため、表示面の中心部から端部にかけて、サブ画素に対するカラーフィルタずらし量を大きくする必要がある。
【0038】
この場合、サブ画素のピッチは、図9(a)に示すように(赤、緑および青用サブ画素をまとめて1つの枠で示している)、表示面の中心部から端部にかけて一定である。これに対して、カラーフィルタのピッチは、図9(b)に示すように、中心部から端部にかけて大きくなる。このため、カラーフィルタのサイズをピッチの増加に合わせて大きくしてもよい。カラーフィルタのサイズが大きくなると、サブ画素から出射して該カラーフィルタを透過する光の角度が大きくなるため、視野角特性がさらに改善する。
【0039】
次に、本実施例の接眼光学系OR1,OL1における不要光としてのゴースト光の発生について、図10を用いて説明する。ここでも、右眼用接眼光学系OR1を用いて説明するが、左眼用接眼光学系OL1についても同様である。
【0040】
本実施例のように偏光を利用した接眼光学系OR1では、表示レンズ104,105内での複屈折や偏光板110、λ/4板111,113およびPBS114の偏光特性により、表示素子108から出射した光が、図1図4に示す正規の光路ではなく、図10に示すようにPBS114で反射することなくそのまま観察者の右眼102に導かれることがある。この光がゴースト光となる。このゴースト光は、第1のλ/4板111を透過した円偏光の光が表示レンズ105,104内の複屈折によって楕円偏光になり、第2のλ/4板113を透過した後の直線偏光の偏光方向が本来の方向に対して傾き、PBS114を透過して右眼102に導かれることで発生する。また、表示レンズ104,105内の複屈折がなくても、偏光板110、λ/4板111,113およびPBS114の偏光特性が良好でないとゴースト光が発生する。
【0041】
図10に示したゴースト光では、正面視状態における水平方向の最大周辺画角22.5°の主光線の表示素子(表示面)108からの出射角は11°であり、図1および図4に示した正規の主光線の出射角とは、表示面の法線に対して反対側に傾いている。このため、上述したように正規の主光線の出射角に合わせてサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことにより、視野角特性を改善するだけでなく、表示面の端部を含む周辺部からのゴースト光の明るさを低減することができる。
【0042】
レンズ内の複屈折は、一般に、該レンズの中心部から周辺部にかけて大きくなるため、レンズ内の複屈折によるゴースト光の強度も中心部から周辺部にかけて大きくなる。このため、レンズの周辺部を通過するゴースト光を低減するために、表示面の周辺部からの光の明るさを下げることが効果的である。具体的には、サブ画素に対してカラーフィルタをずらさない場合における表示面の水平方向の端部からのゴースト光の明るさは96%であるのに対して、カラーフィルタをずらした場合の明るさを87%に低減することができる。垂直方向についても同様である。
【0043】
本実施例では、表示画角22.5°の主光線に対する表示面の水平方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量は10°、表示画角17°の主光線に対する表示面の垂直方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量は7.5°であり、これらの方向の視野角特性が法線方向の視野角特性よりも良好である。
【0044】
表示面の中心部以外のサブ画素(以下、単に画素という)Aに対する外側へのカラーフィルタずらし量(法線方向に対する特定方向の傾き角度)φは、以下の式(2)の条件を満足することが望ましい。
0<φ≦θ1 (2)
ここで、θ1は眼球が画素Aに対応する表示画角の方向を向いているときにその方向の主光線の表示面からの出射角であり、表示面の外側に向かう方向を+とする。本実施例では、表示画角22.5°でのθ1は37°であり、表示画角17°でのθ1は29°である。このため、それぞれの表示画角に対応する画素Aにおける外側へのカラーフィルタずらし量φ=10°,7.5°は式(2)の条件を満足している。
【0045】
外側へのカラーフィルタずらし量φが0°以下、すなわち法線方向もしくは内側の方向における視野角特性が良い場合には、表示面の周辺部からの主光線の出射角と視野角特性が良い方向との差が大きく、観察される画像の周辺部での輝度の低下や色ずれが大きくなり、自然な画像の観察ができない。また、ゴースト光の表示面からの出射角と視野角特性が良い方向とが近くなり、ゴースト光の強度が増加する。一方、外側へのカラーフィルタずらし量φがθ1よりも大きい場合には、正面視状態での表示面の周辺部からの主光線の出射角と視野角特性が良い方向との差が大きく、正面視における画像の周辺部での輝度の低下や色ずれが大きくなる。
【0046】
本実施例のように最大表示画角が60°以下(54°)である場合においては、さらに以下の式(3)の条件を満足するとよい。
θ2/2≦φ≦θ2 (3)
ここで、θ2は正面視状態での画素Aに対応する表示画角の方向の主光線の表示面からの出射角であり、表示面の外側に向かう方向を+とする。本実施例では、表示画角22.5°でのθ2は18°であり、表示画角17°でのθ2は14°である。このため、それぞれの表示画角に対応する画素での外側へのカラーフィルタずらし量φは式(3)の条件を満足している。最大表示画角が60°以下である場合には、観察者は正面視状態において画像の周辺部も認識できるため、正面視状態を想定してカラーフィルタずらし量を決めることが好ましい。
【0047】
さらに、表示面の水平方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量φmaxは、以下の式(4)の条件を満足することが望ましい。
|φmax-θ3|≧15° (4)
ここで、θ3はゴースト光のうち正面視状態での水平方向における最大周辺画角の主光線の表示面からの出射角であり、表示面の外側に向かう方向を+、中心部に向かう方向を-とする。本実施例では、φmaxは10°で、θ3は-11°となり、式(4)の条件を満足する。
|φmax-θ3|が15°未満の場合には、ゴースト光の表示素子からの出射角と視野角特性が良い方向とが近くなり、ゴースト光の強度が増加する。
【0048】
本実施例では、画素に対してカラーフィルタをずらした構成が表示素子からの光の出射角を制御する構成となり、この構成により、観察される画像の周辺部での輝度や色ずれといった視野角特性を改善しつつ、ゴースト光を低減することができる。
【0049】
レンズ内の複屈折は、該レンズを樹脂材料を用いて金型成形により製造した際に発生し易く、該レンズの偏肉比が大きいほど金型成形後の冷却時にレンズの薄い部分と厚い部分との冷え方の差が大きくなることで複屈折が大きくなる。
【0050】
本実施例のように広画角で薄型の接眼光学系OR1では、最も光学パワーが大きい反射面(ハーフミラー112)を有する表示レンズ104の偏肉比が大きくなる。表示レンズ104の光学有効領域における偏肉比は2.0であり、偏肉比は1.5以上、4.0以下であることが望ましい。偏肉比が1.5未満である場合には、表示レンズ104の光学パワーを小さくして該表示レンズ104の曲率半径が大きくなるか厚みが大きくなる。表示レンズ104の光学パワーを小さくすると広画角化を実現できなくなったり、光学パワーが大きいレンズを追加する必要が生じて接眼光学系OR1の薄型化が不可能となったりする。また表示レンズ104の厚みが大きくなると、接眼光学系OR1の薄型化を実現できない。一方、偏肉比が4.0より大きい場合には、表示レンズ104の複屈折が大きくなり過ぎて、ゴースト光の強度が増す。
【0051】
接眼光学系OR1の厚さL1を、PBS114における射出瞳側の面から表示素子108までの距離とすると、厚さL1は13mmであり、厚さL1とアイレリーフE1=18mmとの比L1/E1は0.72である。この値はアイレリーフの長さと接眼光学系の薄型化とを両立するために、
0.60≦L1/E1≦1.00 (5)
なる条件を満足することが望ましい。L1/E1が0.60より小さいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズの外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。一方、L1/E1が1.00より大きいと、接眼光学系が厚くなってHMD101が大型化するとともに、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。
【0052】
また本実施例において、接眼光学系OR1の最大対角半画角θ1は27°である。このとき、E1×tanθ1=9.2mmである。この値はアイレリーフの長さと接眼光学系の広画角化を両立するために、
8mm≦E1×tanθ1≦20mm (6)
なる条件を満足することが望ましい。E1×tanθ1が8mmより小さいと、アイレリーフが短すぎて観察者に圧迫感を与えたり眼鏡を掛けている観察者が装着できなくなったりするため、好ましくない。また接眼光学系の表示画角が狭すぎて、臨場感のある自然な画像の観察ができない。一方、E1×tanθ1が20mmより大きいと、アイレリーフが長くなりすぎて表示レンズ104の外径が大きくなり、HMD101も大型化するので、好ましくない。しかも、外径が大きいほど表示レンズ104の複屈折が大きくなるため、ゴースト光の強度が増す。さらに、表示画角が広くなりすぎて、周辺画角の主光線の表示面からの出射角が大きくなり、視野角特性が悪化する。
【0053】
また、外光によるゴースト光を低減して観察する画像のコントラストを高めるために、PBS114と各接眼光学系の射出瞳との間に偏光板を配置してもよい。
【0054】
さらに本実施例では、図2に示すように、第2のλ/4板113とPBS114が積層されるように形成された表示レンズ104の射出瞳側の面を平面としている。これはアイレリーフを長くすることと、接眼光学系を薄型化することを両立するためである。この面が射出瞳に向かって凹形状を有すると、その周辺部でのアイレリーフを確保するために表示レンズ104が厚くなる。また、この面が射出瞳に向かって凸形状を有すると、表示レンズ104のレンズコバ部の厚さを確保するためにレンズが厚くなる。
【0055】
本実施例で説明した式(1)~(6)で示した条件については、後述する実施例2において同様である。また、本実施例で説明した好ましいレンズの材料や形状等についても、実施例2おいて同様である。
【0056】
なお、表示素子として、直線偏光を出射する液晶ディスプレイパネルを用いてもよい。この場合、偏光板110が不要となり、接眼光学系およびHDのさらなる薄型化が可能となる。これについても、実施例2において同様である。
【実施例2】
【0057】
図11は、本発明の実施例2であるHMD201の構成を示している。202は観察者の右眼、203は観察者の左眼である。表示レンズ204,205は右眼用接眼光学系OR2を構成し、表示レンズ206,207は左眼用接眼光学系OL2を構成する。各接眼光学系は、2つの表示レンズにより構成された共軸の光学系である。右眼用接眼光学系OR2の射出瞳ER2には観察者の右眼202が配置され、左眼用接眼光学系OL2の射出瞳EL2には観察者の左眼203が配置される。
【0058】
208は右眼用表示素子、209は左眼用表示素子である。各表示素子は、平板型の表示素子であり、本実施例では有機ELディスプレイパネルを用いている。
【0059】
接眼光学系OR2,OL2はそれぞれ、表示素子208,209からの光を射出瞳ER2,EL2に導くことで、表示素子208,209に表示された表示画像(原画像)の拡大虚像を観察者の右眼202と左眼203に投影する。これにより、観察者は、表示素子208,209に表示された表示画像(の虚像)を接眼光学系OR2,OL2を通して観察することができる。
【0060】
本実施例において、各接眼光学系の焦点距離は13mm、水平表示画角は60°、垂直表示画角は60°、対角表示画角は78°である。各接眼光学系における最も射出瞳側の面(後述する偏光分離素子214の射出瞳側の面)と各接眼光学系の射出瞳との距離であるアイレリーフE2は、20mmである。
【0061】
本実施例における右眼用および左眼用接眼光学系ОR2,OL2も、実施例1と同様に、偏光を利用して光路を折り畳む光学系であり、その構成について右眼用接眼光学系ОR2を用いて説明する。図12に示すように、右眼用接眼光学系ОR2は、右眼用表示素子208から射出瞳ER2に向かって順に配置された偏光板210、第1のλ/4板211、表示レンズ205、表示レンズ204、第2のλ/4板213およびPBS214を有する。表示レンズ204における表示素子側の凸面には、半透過反射面としてのハーフミラー212が蒸着により形成されている。また第2のλ/4板213とPBS214は、表示レンズ204における射出瞳側の面上に積層されるように設けられている。
【0062】
偏光板210、第1のλ/4板211、第2のλ/4板213およびPBS214はいずれも平板状に形成されている。偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第1のλ/4板211の遅相軸とは45°傾いており、偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向と第2のλ/4板213の遅相軸とは-45°傾いている。また偏光板210を透過する第1の直線偏光の偏光方向とPBS214を透過する第2の直線偏光の偏光方向とは互いに直交している。
【0063】
右眼用表示素子208から出射した無偏光光は、偏光板210を透過して直線偏光となり、第1のλ/4板211を透過して円偏光となって表示レンズ205を透過する。さらに円偏光は、ハーフミラー212を透過した後、表示レンズ204を透過し、第2のλ/4板213を透過して第1の直線偏光になる。この第1の直線偏光は、PBS214を透過する偏光方向に対して直交する偏光方向を有するため、PBS214で反射して第2のλ/4板213を透過して円偏光となる。この円偏光は、表示レンズ204を透過した後、ハーフミラー212で反射し、再度、表示レンズ204を透過し、第2のλ/4板213を透過して第2の直線偏光になる。この第2の直線偏光は、PBS214を透過する偏光方向と一致する偏光方向を有するため、PBS214を透過して射出瞳ER2(右眼202)に導かれる。左眼用表示素子209から出射した光も、同様に左眼用接眼光学系OL2により射出瞳EL2(左眼203)に導かれる。
【0064】
本実施例でも、実施例1と同様に、各接眼光学系を偏光を利用して光路を折り畳むように構成することで、各接眼光学系を薄型化することができ、かつ各接眼光学系の焦点距離を短くして広画角な画像の観察を可能とする。
【0065】
本実施例では、各接眼光学系において2つの表示レンズを接合して、その光軸方向の厚さを13.5mmと薄型化している。そして、前述したように接眼光学系のアイレリーフE2として20mmを確保している。2つの表示レンズを接合レンズとすることで、HMD201の本体によって表示レンズを保持しやすくなる。
【0066】
本実施例でも、表示レンズ204~207は樹脂レンズであり、さらに表示レンズ204~207を非球面レンズとして収差補正効果を高めている。
【0067】
また表示レンズ204,205を接合レンズとしているため、ハーフミラー212を表示レンズ205のうち射出瞳側の面に設けてもよい。この場合でも、ハーフミラーが設けられた面は表示素子208に向かって凸面である。
【0068】
また本実施例のHMD201では、図13に示すように、右眼202の眼球(瞳)が表示素子208の表示面の左右の端部を向いている(見ている)状態での右眼用接眼光学系OR2の射出瞳ER2′の位置、すなわちアイレリーフE2′を、図11に示すように眼球が表示面の中心部を向いている状態でのアイレリーフE2=20mmに眼球の回転半径10mmを加えた30mmに設定し、射出瞳径を6mmに設定している。左眼用接眼光学系OL2の射出瞳についても同様である。このように設定することで、表示面の左右の端部(同様に上下の端部)を観察するために眼球が回転した場合でも、眼球が向いた方向からの光が眼球に入射させることができる。
【0069】
本実施例でも、実施例1と同様に、表示素子(表示面)208,209における画素に対するカラーフィルタずらしを行っている。右眼用接眼光学系OR2において、右眼用表示素子(表示面)208から出射して該接眼光学系OR2の射出瞳ER2(ER2′)の中心を通る光線を主光線とする。このとき、本実施例では、図11に示すように眼球が表示面の中心部を向いているときの左右方向(水平方向)の最大周辺画角30°の主光線が表示面から出射するときの出射角は23°である。一方、図13に示すように眼球が表示面の水平方向の端部を向いているときの水平方向の最大周辺画角30°の主光線が表示面から出射するときの出射角は47°である。
【0070】
一般的な構成の表示素子の視野角特性(明るさと色ずれΔE)は、図5(a)、(b)に示した通りである。本実施例では、表示素子208,209を図14(a)~(c)に示すように構成している。ここでは、右眼用表示素子208の水平方向での構成について説明するが、左眼用表示素子209についても同様である。本実施例における表示素子208も、実施例1と同様に、その表示面の面内方向(水平方向および垂直方向)に赤、緑および青用のサブ画素とこれらに対応する赤、緑および青のカラーフィルタがストライプ状に周期的に配置されている。また本実施例でも、表示素子208の表示面に立てた法線が延びる法線方向を0°の方向とし、右眼202で見て右側を正とし、左側を負とする。
【0071】
図14(a)に示すように、表示素子208の中心部では、一般的な表示素子と同様に、赤カラーフィルタ218の中心を、赤用サブ画素215の中心から法線方向に位置させている。すなわち、水平方向において、赤カラーフィルタ218の中心の位置を赤用サブ画素215の中心の位置に一致させている。同様に、水平方向において、緑カラーフィルタ219の中心の位置を緑用サブ画素216の中心の位置を一致させ、青カラーフィルタ220の中心の位置を青用サブ画素217の中心の位置に一致させている。
【0072】
これに対して、図14(b)に示すように、右眼202で見たときの表示素子208の左端部では、赤カラーフィルタ218の中心を赤用サブ画素215の中心に対して左側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素215の中心に対する赤カラーフィルタ218の中心のずらし量は、赤用サブ画素215の中心と赤カラーフィルタ218の中心を通る直線が法線方向に対して左側に45°傾くずれ量であり、以下の説明では、左側へのカラーフィルタずらし量が45°であるという。緑カラーフィルタ219と青カラーフィルタ220についても同様である。
【0073】
一方、図14(c)に示すように、右眼202で見たときの表示素子208の右端部では、赤カラーフィルタ218の中心を赤用サブ画素215の中心に対して右側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素215の中心に対する赤カラーフィルタ218の中心のずらし量は、赤用サブ画素215の中心と赤カラーフィルタ218の中心を通る直線が法線方向に対して右側に45°傾くずれ量であり、以下の説明では、右側へのカラーフィルタずらし量が45°であるという。緑カラーフィルタ219と青カラーフィルタ220についても同様である。
【0074】
このような構成の表示素子208の明るさおよび色ずれはそれぞれ、図15(a)および図15(b)に示すようになり、-45°の方向(特定方向)で最も良好となる。
【0075】
表示素子(表示面)208の左端部からの接眼光学系OR1への主光線の出射角は、右眼202の眼球が表示面の中心部を向いている正面視状態では-23°であり、表示面の左端部を向いている左端視状態では-47°である。
【0076】
正面視状態において表示面の左端部にてサブ画素に対してカラーフィルタをずらさないと、図5(a)、(b)から分かるように明るさが15%低下し、ΔEは5増加する。しかし、カラーフィルタをずらすと、図15(a)、(b)から分かるように明るさが14%低下するにすぎず、ΔEも4増加するにすぎない。すなわち視野角特性が改善する。一方、左端視状態において表示面の左端部にてカラーフィルタをずらさないと、図5(a)、(b)から分かるように明るさが53%低下し、ΔEは17増加する。しかし、カラーフィルタをずらすと、図15(a)、(b)から分かるように明るさが1%低下するにすぎず、ΔEも1増加するにすぎない。すなわち視野角特性が大きく改善する。
【0077】
また、右眼202の眼球が表示面の右端部を向いている右端視状態でも、左端視状態と同様に、図15(c)および図15(d)に示すようにサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことにより、サブ画素に対してカラーフィルタをずらさない場合に比べて明るさと色ずれが改善する。
【0078】
ここまでは、水平方向における端部におけるサブ画素に対するカラーフィルタずらしについて説明したが、本実施例では、垂直方向の端部(上端部と下端部)でも同様にサブ画素に対してカラーフィルタをずらしている。本実施例では、正面視状態における垂直方向での最大周辺画角30°の主光線の表示素子(表示面)208からの出射角は23°であり、眼球が垂直方向の上端部や下端部を向いている上端視状態や下端視状態における垂直方向での最大周辺画角30°の主光線の表示面からの出射角は47°である。
【0079】
表示面の上端部では、赤カラーフィルタ218の中心を赤用サブ画素215の中心に対して上側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素215の中心に対する赤カラーフィルタ218の中心のずらし量は、赤用サブ画素215の中心と赤カラーフィルタ218の中心を通る直線が法線方向に対して上側に45°傾くずらし量であり、以下の説明では、上側へのカラーフィルタずらし量が45°であるという。
【0080】
また、表示面の下端部では、赤カラーフィルタ218の中心を赤用サブ画素215の中心に対して下側(外側)にずらして配置している。このときの赤用サブ画素215の中心に対する赤カラーフィルタ218の中心のずらし量は、赤用サブ画素215の中心と赤カラーフィルタ218の中心を通る直線が法線方向に対して下側に45°傾くずらし量であり、以下の説明では、下側へのカラーフィルタずらし量が45°であるという。これらのことは、緑カラーフィルタと青カラーフィルタについても同様である。
【0081】
このようにサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことで、表示面の上端部や下端部の明るさや色ずれが改善する。
【0082】
本実施例でも、表示面の中心部において該表示面の法線方向での視野角特性を法線方向から外側に傾いた特定方向での視野角特性より高くし、表示面の端部において法線方向での視野角特性を特定方向での視野角特性より低くすることができる。
【0083】
また本実施例でも、図9(a)に示したように表示面におけるサブ画素のピッチは表示面の中心部から端部にかけて一定である。これに対して、カラーフィルタのピッチは、図9(b)に示したように中心部から端部にかけて大きくなるため、カラーフィルタのサイズをピッチの増加に合わせて大きくしている。
【0084】
本実施例の接眼光学系OR2,OL2においても、実施例1と同様の理由によってゴースト光が発生する。図16に示すように、正面視状態における水平方向の最大周辺画角30°の主光線の表示素子(表示面)208からの出射角は15°であり、図11および図13に示した正規の主光線の出射角とは、表示面の法線に対して反対側に傾いている。このため、上述したように正規の主光線の出射角に合わせてサブ画素に対してカラーフィルタをずらすことにより、視野角特性を改善するだけでなく、表示面の端部を含む周辺部からのゴースト光の明るさを低減することができる。
【0085】
具体的には、サブ画素に対してカラーフィルタをずらさない場合における表示面の水平方向の端部からのゴースト光の明るさは93%であるのに対して、カラーフィルタをずらした場合の明るさを25%に低減することができる。垂直方向についても同様である。
【0086】
本実施例では、表示画角30°の主光線に対する表示面の水平および垂直方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量は45°であり、これらの方向の視野角特性が法線方向の視野角特性よりも良好である。
【0087】
また、θ1が実施例1と同じ出射角を意味するとき、本実施例における表示画角30°でのθ1は47°であるため、外側へのカラーフィルタずらし量φ=45°は式(2)の条件を満足している。また本実施例のように最大表示画角が60°より大きい(78°)である場合においては、以下の式(7)の条件を満足するとさらによい。θ2は実施例1と同じ出射角を示す。
θ2≦φ≦θ1 (7)
本実施例では、表示画角30°でのθ2は23°であるため、カラーフィルタずらし量φは式(7)の条件を満足する。
【0088】
最大表示画角が60°より大きい場合には、画角が広いために観察者は正面視状態において画像の周辺部を認識しにくい。このため、正面視状態ではなく、画像の周辺部を見ている状態において、その見ている方向の主光線の表示面からの出射角を想定してカラーフィルタずらし量を決めることが好ましい。
【0089】
さらに、表示面の水平方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量φmaxは45°であり、θ3は-15°となるため、式(3)の条件を満足する。この結果、ゴースト光を低減することができる。
【0090】
本実施例では、上端視状態と下端視状態においてゴースト光を低減することを優先して、表示画角30°の水平および垂直方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量を45°と大きく設定している。しかし、表示画角が大きくても正面視状態での周辺部の視野角特性を向上させたい場合には、表示画角30°の水平および垂直方向の端部での外側へのカラーフィルタずらし量を正面視状態での水平方向の最大周辺画角30°の主光線の表示面からの出射角23°に合わせてもよい。
【0091】
また、カラーフィルタずらし量を、正面視状態での水平方向の最大周辺画角30°の主光線の表示面からの出射角23°と左端視および右端視状態での水平方向の最大周辺画角30°の主光線の表示面からの出射角47°との平均である35°に設定してもよい。この場合、正面視状態において表示面の左端部にてカラーフィルタをずらさないと明るさは15%低下し、ΔEは5増加するが、カラーフィルタをずらすと明るさは4%低下するにすぎず、ΔEも2増加するにすぎない。すなわち視野角特性が改善する。一方、左端視状態において表示面の左端部にてカラーフィルタをずらさないと明るさは53%低下し、ΔEは17増加するが、カラーフィルタをずらすと明るさは4%低下するにすぎず、ΔEも2増加するにすぎない。すなわち視野角特性が大きく改善する。
【0092】
また、カラーフィルタをずらさないと、表示面の水平方向の端部からのゴースト光の明るさは93%であるのに対して、カラーフィルタをずらすとゴースト光の明るさは41%となり、大幅に低減することができる。このように、本実施例では、正面視状態と左端視および右端視状態での正規の光の視野角特性をバランスよく改善し、ゴースト光も低減することができる。
【0093】
本実施例でも、画素に対してカラーフィルタをずらした構成が表示素子からの光の出射角を制御する構成となり、この構成により、観察される画像の周辺部での輝度や色ずれといった視野角特性を改善しつつ、ゴースト光を低減することができる。
【0094】
本実施例でも、右眼用接眼光学系OR2は広画角で薄型であるため、最も光学パワーが大きい反射面(ハーフミラー212)を有する表示レンズ204の偏肉比が大きくなる。表示レンズ204,205を接合しているため、表示レンズ205における表示レンズ204との接合面の曲率半径が短く、表示レンズ205の偏肉比も大きくなる。本実施例では、表示レンズ204の光学有効領域における偏肉比は3.6であり、表示レンズ205の光学有効領域における偏肉比は2.8である。
【0095】
また右眼用接眼光学系OR2の厚さL2をPBS214の観察者の右眼202側の面から右眼用表示素子208までの距離とすると、右眼用接眼光学系OR2のアイレリーフE2は20mmであり、厚さL2は13.5mmであり、厚さL2とアイレリーフE2の比、L2/E2は0.68である
【0096】
本実施例において、右眼用接眼光学系OR2の最大対角半画角θ2は39°である。このとき、E2×tanθ2=16.2mmであり、式(6)の条件を満足している。上記肉比、L2/E2およびE2×tanθ2については左眼用接眼光学系OL2についても同じである。
【0097】
また、本実施例でも、外光によるゴースト光を低減して観察する画像のコントラストを高めるために、PBS214と各接眼光学系の射出瞳との間に偏光板を配置してもよい。
【0098】
上述した各実施例では、表示素子からの光の出射角を制御する構成として、画素に対してカラーフィルタをずらした構成について説明したが、表示素子からの光の出射角を制御する構成であれば、マイクロレンズアレイを配置する等の他の構成を用いてもよい。
【0099】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
101,201 HMD
108,208 右眼用表示素子
109,209 左眼用表示素子
OR1,2 右眼用接眼光学系
OL1,2 左眼用接眼光学系
図1
図2
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図16