(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】記録装置及び記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240513BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J11/42
(21)【出願番号】P 2020026146
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大串 卓広
(72)【発明者】
【氏名】北澤 利幸
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-276888(JP,A)
【文献】特開2016-049653(JP,A)
【文献】特開2004-269078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B41J 11/42
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送された記録用紙に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを前記搬送方向と交差する方向に移動させるキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、光を発光する発光部と前記発光部で発光した光を受光する受光部とを有し、前記受光部で受光した光量に応じた出力を出す検出手段と、
前記検出手段からの出力に応じて記録用紙の端部を検出し、前記搬送手段で搬送された記録用紙からはみ出して記録するフチなし印刷を実行する制御手段と、を備える記録装置であって、
前記制御手段は、
前記検出手段の出力を調整した後でかつ前記フチなし印刷を
開始する前に、前記検出手段からの
出力を取得して、記録用紙をはみ出して記録するはみ出し量を設定することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、所定のはみ出し量を、前記はみ出し量として設定
し、前記検出手段による記録用紙の端部の検出を行わないことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定のはみだし量を前記はみだし量として設定しなかった場合、前記検出手段からの出力によって記録用紙の端部の位置を設定することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記検出手段の出力の調整は、前記発光部の駆動電流を変更することで行うことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記搬送手段で記録用紙が搬送された後に、記録用紙上において前記検出手段からの出力が取得されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段からの出力に基づいて、外乱光の影響があるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記検出手段は、
前記発光部の発光量を制御する発光量制御部と、
前記受光部で受光した受光量を増幅する受光量増幅部と、
をさらに有することを特徴とする請求項
1ないし6の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記発光部を発光させた状態において前記受光部からの出力と、
前記発光部を消灯させた状態において前記受光部からの出力と、を用いて外乱光の影響があるか否かを判定することを特徴とする請求項
1ないし7の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
記録用紙上の所定の位置に前記発光部から発光させた光を前記受光部で受光したときに前記検出手段で得られた出力が、所定のレベルとなるように、前記発光部から発光させる光量および前記受光部で得られた出力のうちの少なくとも一方の調整を行う光量調整手段を備えることを特徴とする請求項
1ないし8の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記光量調整手段は、フチなし印刷を指示する印刷ジョブを取得した場合に前記調整を行うことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
記録用紙を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送された記録用紙に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを前記搬送方向と交差する方向に移動させるキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、光を発光する発光部と前記発光部で発光した光を受光する受光部とを有し、前記受光部で受光した光量に応じた出力を出す検出手段と、
を備える記録装置の制御方法であって、
前記検出手段からの出力に応じて記録用紙の端部を検出し、前記搬送手段で搬送された記録用紙からはみ出して記録するフチなし印刷を実行する工程と、
前記検出手段の出力を調整した後でかつ前記フチなし印刷を
開始する前に、前記検出手段からの
出力を取得して、記録用紙をはみ出して記録するはみ出し量を設定する工程と、
を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項12】
前記設定する工程において、所定のはみ出し量が、前記はみ出し量として設定され、
前記実行する工程において、前記検出手段による記録用紙の端部の検出を行わないことを特徴とする請求項
11に記載の記録装置の制御方法。
【請求項13】
前記設定する工程において、前記所定のはみだし量が前記はみだし量として設定されなかった場合、前記実行する工程において、前記検出手段からの出力によって記録用紙の端部の位置を設定することを特徴とする請求項1
2に記載の記録装置の制御方法。
【請求項14】
前記検出手段の出力の調整は、前記発光部の駆動電流を変更することで行われることを特徴とする請求項11ないし13の何れか1項に記載の記録装置の制御方法。
【請求項15】
前記搬送手段で記録用紙が搬送された後に、記録用紙上において前記検出手段からの出力が取得されることを特徴とする請求項
11ないし
14の何れか1項に記載の記録装置の制御方法。
【請求項16】
前記検出手段からの出力に基づいて、外乱光の影響があるか否かを判定する工程を有することを特徴とする請求項
11ないし
15の何れか1項に記載の記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の中には、フチなし印刷時のインク消費量低減および廃インク回収機構の長寿命化などのために、記録用紙の端部位置を検出し、記録用紙外に吐出されるインクの量を最小限に抑える装置がある。
【0003】
特許文献1には、記録用紙端部位置を検出可能な反射型光学センサを備えたキャリッジユニットを有する記録装置が開示されている。この記録装置では、キャリッジユニットに搭載されたヘッドを用いて用紙に画像を印刷しているときに、センサによる用紙端部位置の検出が実施される。また、この記録装置では、センサ特性のばらつき及び取付位置のばらつき等を考慮し、記録紙上において、反射型光学センサの受光部から目標の出力レベルが得られるように発光量の調整が行われている。この発光量の調整は、実際に用紙端部検出を行う印刷動作に先立って行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、用紙の排紙口などから外乱光が入り、センサの受光部が、発光部からの光以外にも外乱光を受光する場合がある。このため、発光量を調整した時と、用紙端部検出を行っている印刷動作時とで、外乱光の光量が変化することがあり、用紙端部の検出精度が低下してしまう場合がある。この結果、用紙端部の書き出し位置および書き終わり位置がずれてしまい、所望とする画像が記録されない虞がある。
【0006】
本発明は、外乱光変化があっても、所望とする画像を記録することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る記録装置は、記録用紙を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送された記録用紙に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドを前記搬送方向と交差する方向に移動させるキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、光を発光する発光部と前記発光部で発光した光を受光する受光部とを有し、前記受光部で受光した光量に応じた出力を出す検出手段と、前記検出手段からの出力に応じて記録用紙の端部を検出し、前記搬送手段で搬送された記録用紙からはみ出して記録するフチなし印刷を実行する制御手段と、を備える記録装置であって、前記制御手段は、前記検出手段の出力を調整した後でかつ前記フチなし印刷を開始する前に、前記検出手段からの出力を取得して、記録用紙をはみ出して記録するはみ出し量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外乱光変化があっても、所望とする画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】記録装置における制御系のブロック構成を示す図である。
【
図4】用紙端部検出センサの光学素子配置を説明するための側面図である。
【
図5】フチなし印刷時の処理のフローチャートの例を示す図である。
【
図6】光量調整処理の詳細の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】記録用紙の端部を検出する方法を概念的に説明する図である。
【
図8】外乱光が変化した場合のセンサ出力値の変化を概念的に説明する図である。
【
図9】外乱光影響があるか否かの判定を行うためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る記録装置について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、本実施形態においては、記録装置として、インクジェット記録装置を、その一例として説明する。
【0011】
<記録装置の内部構成について>
図1は、インクジェット記録装置100(以下、記録装置100)の内部構成図である。記録装置100は、自動給送部101と、搬送部103と、回復部108とを含む。
【0012】
自動給送部101は、記録用紙などの記録媒体を装置本体内へと自動的に給送する。搬送部103は、自動給送部101から1枚ずつ送出される記録媒体を所定の記録位置へと導くとともに、記録媒体を記録位置から排出部102へと導く。回復部108は、記録位置に搬送された記録媒体に所望の記録を行う記録部の回復処理を行う。記録部は、キャリッジ軸104によって矢印Xの主走査方向に移動可能に支持されたキャリッジ105と、キャリッジ105に着脱可能に搭載される記録ヘッド10(
図2参照)とを含む。主走査方向は、記録媒体が搬送される搬送方向に交差する方向である。
【0013】
キャリッジ105には、キャリッジ105と係合して、記録ヘッドをキャリッジ105上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバー106と、ヘッドセットレバー107とが設けられている。ヘッドセットレバー107は、記録ヘッド10のタンクホルダー113と係合して、記録ヘッド10を所定の装着位置にセットさせるよう押圧する。記録ヘッド10との係合部に対してばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が、キャリッジ105の上部においてヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられている。そのばね力によって、ヘッドセットレバー107は、記録ヘッド10を押圧しながらキャリッジ105に装着する構成となっている。尚、
図1には示してないが、キャリッジ105には、用紙端部検出センサ401(後述する
図4で説明する)が備えられている。用紙端部検出センサ401は、用紙の光反射レベルを測定して用紙端部位置の検出を行うセンサである。
【0014】
図2は、本実施形態に適用可能な記録ヘッド10の構成を示す図である。記録ヘッド10は、ヒータ基板の略垂直方向に液滴を吐出するサイドシュータ型の記録ヘッドである。記録ヘッド10は、記録素子ユニット111とインク供給ユニット112とタンクホルダー113とを含んで構成される。また、記録素子ユニット111は、第1の記録素子114、第2の記録素子115、第1のプレート116、電気コンタクト基板119、および第2のプレート117を含んで構成されている。
【0015】
液滴の吐出方向に影響するため平面精度を要求される第1のプレート116は、厚さ0.5~10mmのアルミナ(Al2O3)材料で構成されている。第2のプレート117は、厚さ0.5~1mmの1枚の板状部材であり、第1のプレート116に接着剤を介して積層固定される。第1の記録素子114と第2の記録素子115とは、第1のプレート116の表面に接着固定される。
【0016】
<記録装置の制御構成について>
図3は、記録装置100における制御系のブロック構成を示す図である。CPU301は、更新可能な制御プログラムまたは処理プログラムを格納したフラッシュROM303、および、各種定数データなどを格納したEEPROM304にアクセスすることができる。またCPU301は、USB制御部316及びネットワーク制御部317を介してホストPC(不図示)から受信したコマンド信号および画像情報を格納するためのRAM302にアクセスすることができる。CPU301は、これらのメモリに格納された情報および入出力ポート305に接続された記録装置の状態を検出するための各種センサの検出結果に基づいて記録動作を制御する。
【0017】
CPU301は、入出力ポート305及びキャリッジモータ制御回路307を介してキャリッジモータ309を動作させることにより、キャリッジ105を移動させる。また、CPU301は、入出力ポート305及び紙搬送モータ制御回路306を介して紙送りモータ308を動作させることにより、搬送ローラなどの紙搬送機構310を動作させる。さらにCPU301は、RAM302に格納されている各種情報に基づきバンドメモリ制御ブロック312および記録ヘッド制御ブロック314を制御して記録ヘッド10を駆動することにより、記録媒体上に所望の画像を記録することができる。バンドメモリ制御ブロック312は、記録ヘッド10を用いて画像をバンド単位で記録する際に使用するメモリ313の読み出し及び書き込みなどを制御する。操作パネル319のキーから入力される指示情報は、操作パネル制御部318を介してCPU301に伝達される。同様に、CPU301からの命令により、操作パネル制御部318を介して操作パネル319のLED点灯およびLCD表示が制御される。
【0018】
LED駆動回路323は、CPU301からの命令によって用紙端部検出センサ401に組み込まれたLED325の点灯および消灯動作を行う。さらにLED駆動回路323は、CPU301からの命令によってLED325への供給電流量の制御が可能になっている。即ち、LED駆動回路323は、LED325の発光量を制御する発光量制御部である。I/V変換回路322は、フォトトランジスタ324が受光する光の強度によって変動する電流出力を電圧に変換する。増幅回路321は、電圧値に変換されたフォトトランジスタ324の出力を、A/D変換を行うのに最適な電圧レベルとなるように増幅する働きをもっている。即ち、増幅回路321は、フォトトランジスタ324で受光した受光量を増幅する受光量増幅部である。A/D変換回路320は、増幅されたフォトトランジスタ324の出力(増幅回路321の出力)を10bitのデジタル信号に変換する。増幅回路321においてゲインレベルは調整可能になっており、増幅回路出力電圧レベルをCPU301が監視し、最適な電圧レベルになるようにゲインまたはLEDへの供給電流量の調整を行う(以降、光量調整と呼ぶ)ことができる。
【0019】
CPUとその周辺回路は、コスト低減、低消費電力、および高速化といった目的からSoC(System on a Chip)として集積化されることが一般的となっている。本実施形態では、CPU301、USB制御部316、バンドメモリ制御ブロック312、および入出力ポート305が、SoCとして一つのICに集積された構成である。
【0020】
<用紙端部検出センサの構成について>
図4は、用紙端部検出センサ401の光学素子配置を説明するための側面図である。用紙端部検出センサ401は、キャリッジ105における主走査方向の一方側の端部に設けられている。本例の用紙端部検出センサ401は、1つの発光素子と1つの受光素子とによって構成される。受光素子は、フォトトランジスタ324である。発光素子は、可視光のLED325である。フォトトランジスタ324は、LED325の45度角の拡散反射光を受光するように配置される。フォトトランジスタ324の受光領域は、用紙端部検出センサ401のカバー部材によって形成される開口部によって調整されており、記録用紙402上で約2mm四方の反射光を受光するように構成されている。LED325の照射領域は、フォトトランジスタ324の受光領域よりも広くなるように最適化される。用紙端部検出センサ401は、記録ヘッド10に対して記録用紙402の搬送方向(Y方向)の上流側に位置する。これは印刷時の用紙端部検出時に、用紙上の非印刷領域で端部を検出できるようにするためである。つまり、印刷領域では反射光が減少してしまい、検出感度が低下してしまうためである。
【0021】
<フチなし印刷の処理について>
本実施形態の記録装置100は、フナなし画像の印刷を実行する際に、用紙端部検出センサ401によって用紙端部を検出可能に構成されている。フチなし印刷時のインク消費量低減および廃インク回収機構の長寿命化のためである。また、センサ特性のばらつき及び取付位置のばらつき等を考慮し、用紙端部検出センサ401の光量調整処理を行う。本実施形態では、光量調整処理の際に、外乱光による影響を判定し、外乱光による影響がある場合には、用紙端部検出センサ401を用いた用紙端部検出を行わない。一方、外乱光による影響がない場合には、記録ヘッド10による記録を行う際に用紙端部検出センサ401を用いた用紙端部検出を行う。そして、検出結果に応じて書き出し位置および書き終わり位置を適切な位置に設定することで、はみ出し量を最小限にしつつ、フチなし印刷の実行を行う。
【0022】
図5は、本実施形態におけるフチなし印刷時の処理のフローチャートの例を示す図である。
図5のフローチャートには、印刷及び用紙端部検出前に実行される光量調整処理、並びに、外乱光判定処理が含まれる。本例では、光量調整処理が行われた後に、外乱光による影響を判定する外乱光判定処理が行われる。即ち、光量調整処理が行われた後であり、かつ用紙端部検出処理の実行前に、外乱光判定処理が行われる。
図5のフローチャートは、例えばCPU301がフラッシュメモリ303に記憶されているプログラムを実行することで行われる。即ち、
図5の処理は、CPU301の制御によって実施される。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
【0023】
図5の処理は、記録装置100がホストPCからフチなし画像の印刷データ(印刷ジョブ)を受信した場合に行われる。尚、ここではホストPCから印刷ジョブを受信する例を用いて説明するが、RAM302などに記憶されている印刷ジョブをCPU301が取得した場合に
図5に示す処理が行われてもよい。また、記録装置100では、光量調整処理を実行するか否かは、ユーザー設定によりON/OFFの切り替えが可能であり、
図5に示す処理は、光量調整処理を実行するとユーザーによって設定されている場合に行われるものとする。
【0024】
記録装置100がホストPCからフチなし画像の印刷データを受信すると、S501において紙搬送モータ制御回路306は、用紙端部検出センサ401の光量調整のために、記録用紙402を光量調整位置まで搬送する。用紙の搬送が完了したら、S502においてキャリッジモータ制御回路307は、用紙端部検出センサ401が、搬送された記録用紙402上の光量調整位置に到達するように、キャリッジ105を移動させる。尚、S501とS502は、逆の順序で行われてもよいし、並行して行われてもよい。
【0025】
記録用紙402およびキャリッジ105の光量調整位置への移動が完了すると、S503においてCPU301は、光量調整処理を実施する。光量調整処理において、受光部であるフォトトランジスタ324に接続される増幅回路321から出力される電圧レベル(以降、受光レベルとする)が最適な電圧レベルになるように、光量の調整が行われる。光量の調整は、増幅回路321のゲインレベルの調整、及び、発光部であるLED325への供給電流量の調整のうちの少なくとも一方を含むものである。詳細な調整方法は後述する。
【0026】
S503の光量調整処理に続き、S504においてCPU301は、S503の光量調整が成功したかを判定する。光量調整が成功した場合、S505に進み、光量調整が成功していない場合、S512に進む。
【0027】
S505においてCPU301は、光量調整完了後にRAM302に記憶されている記録用紙402上での受光レベルを取得する。次に、S506においてCPU301は、外乱光判定処理を行う。外乱光判定処理では、S505で取得した受光レベル(増幅回路321からの出力)と、用紙端部検出センサ401のLED325を消灯した際の受光レベルと、を比較して外乱光影響の判定を行う。外乱光判定方法の詳細は後述するが、本実施形態では、外乱光判定を光量調整後に実施する。その理由は、LED325の点灯状態での受光レベルを適切に調整した後、その点灯時に調整したものと同じ設定で消灯時の受光レベルを取得しないと、外乱光影響を適切に判定できないためである。S506の外乱光判定処理の結果、外乱光の影響があるか否かが決定されている。
【0028】
S507においてCPU301は、外乱光の影響があるか否かを判定する。外乱光の影響がない場合、S508に進む。一方、外乱光の影響がある場合、S512に進む。S512においてCPU301は、印刷中の紙端検出を実施しない設定をする。即ち、所定のはみ出し量でフチなし印刷を実施する設定をする。S512は、外乱光の影響がある場合、または、光量調整処理に失敗した場合の処理である。これらの場合、印刷中に紙端検出処理を行うことができないか、または、紙端検出処理の精度が低下している虞がある。フチなし印刷時のインク消費量低減および廃インク回収機構の長寿命化よりも、所望とする画像が記録される方が、ユーザーニーズに合致する。よって、所望とする画像を記録するために、所定のはみ出し量(本例では、予め定められた最大のはみ出し量)を設定する。
【0029】
外乱光の影響がない場合には、印刷中の紙端検出を実施する制御が行われる。S508においてキャリッジモータ制御回路307は、用紙端部検出センサ401が記録用紙外の所定位置に位置するように、キャリッジ105を移動させる。S509においてCPU301は、LED325を点灯させ、記録用紙402の用紙外における受光レベルを取得する。S510においてCPU301は、S505で取得した記録用紙402の用紙上での受光レベルと、S509で取得した用紙外の受光レベルとに基づいて、用紙端部検出用の閾値を決定する。本例においては、閾値は、S505で取得した用紙上での受光レベルとS509で取得した用紙外の受光レベルとの中間の値とする。尚、閾値はこの例に限られず、S505で取得した受光レベルとS509で取得した受光レベルとの間の値であればよく、好ましくは中間の値とすることができる。S511においてCPU301は、S510で決定した閾値を用いて、印刷中の紙端検出を実施する設定を行う。
【0030】
S513においてCPU301は、S511またはS512で設定した設定に従って印刷を実施する。
【0031】
<光量調整について>
図6は、S503の光量調整処理の詳細の処理の一例を示すフローチャートである。光量調整は、用紙端部検出センサ401の発光部および受光部のバラつき、取付位置精度のバラつき、並びに、記録用紙の反射率のバラつき等を補正し、安定した用紙端部位置の検出を行うために実施される。
図6の光量調整処理は、CPU301がLED駆動回路323または増幅回路321を制御することで行われる。尚、
図6で説明する各数値は一例に過ぎず、この例に限定されるものではない。
【0032】
最初に、CPU301は、フォトトランジスタ324に接続される増幅回路321のゲイン設定値Gを25.1倍に初期化し、LED駆動回路323のLED駆動電流値IFの設定を10mAに初期化する(S601)。本実施形態における増幅回路321は、0.1倍から99.7倍のゲイン設定値Gを8bitデジタル信号で設定可能である(即ち、1LSB=0.39倍である)。また、本実施形態におけるLED駆動回路323は、1mA、2mA、5mA、10mA、20mA、および30mAから選択して段階的に駆動電流値IFを設定可能である。
【0033】
ゲイン設定値Gおよび駆動電流値IFの初期化が完了したら、CPU301は、用紙上での受光レベルA_Medを取得する(S602)。CPU301は、受光レベルA_Medと基準電圧Staとの比較を行い(S603)、受光レベルA_Medが基準電圧Staと等しければ、調整完了となる。
【0034】
S603で受光レベルA_Medが基準電圧Staより低い(暗い)場合、CPU301は、ゲイン設定値Gを一段階上げ(S604)、受光レベルA_Medを取得する(S605)。本実施形態における基準電圧Staは、2.6Vとしている。そして、CPU301は、ゲイン設定値Gを確認し(S606)、所定の範囲外(本例では、2.4倍から87.6倍の範囲外)にある場合は、後述する駆動電流値IF調整を実施する。ゲイン設定値Gがこのような所定の範囲外である場合には、ゲイン設定値Gの調整では十分な調整が行えないので、駆動電流値IF調整が実施されることになる。一方、ゲイン設定値Gが、所定の範囲内(本例では、2.4倍から87.6倍の範囲内)の場合は、受光レベルA_Medと基準電圧Staとを比較する(S607)。そして、受光レベルA_Medが基準電圧Sta以上であれば、調整完了である。一方、受光レベルA_Medが基準電圧Staより小さい場合は、S604に戻って調整を繰り返す。
【0035】
S603で受光レベルA_Medが基準電圧Staより高い(明るい)場合、CPU301は、ゲイン設定値Gを一段階下げ(S608)、受光レベルA_Medを取得する(S609)。そして、CPU301は、ゲイン設定値Gを確認し(S610)、所定の範囲外(2.4倍から87.6倍の範囲外)にある場合は、駆動電流値IF調整を実施する。所定の範囲内(2.4倍から87.6倍の範囲内)の場合、CPU301は、受光レベルA_Medと基準電圧Staとを比較(S611)する。そして、受光レベルA_Medが基準電圧Sta以下であれば、調整完了である。受光レベルA_Medが基準電圧Staより大きい場合は、S608に戻って調整を繰り返す。
【0036】
S606またはS610でゲイン設定値の確認の結果、所定の範囲外(2.4倍から87.6倍の範囲外)にある場合は、S651に進み、CPU301は、駆動電流値IF設定を行う。
【0037】
S651ではCPU301は、ゲイン設定値Gを確認し、ゲイン設定値Gが2.4倍以下であれば、S652に進み、現在設定されている駆動電流値I
Fを確認する。駆動電流値I
Fが、設定可能な最小値である1mAの設定になっている場合は、これ以上受光レベルを小さくすることができないため、S658に進み、調整失敗で終了となる。調整失敗の場合は、印刷中の紙端検出は行わず、最大はみ出し量で印刷が行われることになる(
図5のS504でNoとなり、S512に進むことになる)。現在設定されている駆動電流値I
Fが1mAでない場合は、CPU301は、S653で電流値設定を一段階下げ、LED駆動回路323に駆動電流値I
Fの設定を行う(S654)。
【0038】
一方、S651でのゲイン設定値の確認の結果、ゲイン設定値Gが87.6倍以上に設定されている場合、S656に進み、CPU301は、現在設定されている駆動電流値IFを確認する。駆動電流値IFが、設定可能な最大値である30mAの設定になっている場合は、これ以上受光レベルを大きくすることができないため、S658に進み、調整失敗で終了となる。調整失敗の場合は、印刷中の紙端検出は行わず、最大はみ出し量で印刷が行われる。現在設定されている駆動電流値IFが30mAでない場合は、S657で電流値設定を一段階上げ、LED駆動回路323に駆動電流値IFの設定を行う(S654)。
【0039】
S654において駆動電流値IF設定を実施した後、CPU301は、ゲイン設定値Gを25.1倍に初期化し、S602に戻って光量調整を継続する。以上が光量調整処理の説明である。
【0040】
<紙端検出と外乱光影響について>
図7は、記録媒体である記録用紙402の端部を検出する方法を概念的に説明する図である。
図7では、キャリッジ105の紙面右側(-X方向側)に用紙端部検出センサ401が備えられている。また、
図7では、キャリッジ105の主走査方向の位置(CR位置)と、そのCR位置において用紙端部検出センサ401で受光する受光レベルとを示している。
【0041】
用紙端部検出センサ401のLED325を点灯し、キャリッジ105を記録用紙402上から記録用紙402端部に向けて移動させる。すると、用紙端部702の位置に用紙端部検出センサ401の受光領域中央が重なったとき、センサの出力は、記録用紙402上の受光レベルと記録用紙外であるプラテン701上の受光レベルとの和の1/2になる。そこで、記録用紙上受光レベルと記録用紙外受光レベルとの和の1/2を閾値として決定して記憶しておき(S510)、CPU301は、その値を横切った位置のキャリッジ位置を記録用紙端部として設定する。尚、閾値決定の際に用いられる記録用紙上受光レベルは、
図6で説明した光量調整で調整した結果の値となっている。理想的には、このように決定した閾値を用いて記録用紙402の端部を検出することで、適切な記録用紙の端部位置が決定される。しかしながら、光量調整時においては、排紙口などから外乱光が入り、用紙端部検出センサ401の受光部が、発光部からの光以外にも外乱光を受光する場合がある。つまり、光量調整を実施した時と、用紙端部検出を行っている印刷動作時とで、外乱光の光量が変化することがある。この場合、用紙端部の検出精度が低下する場合がある。この結果、用紙端部の書き出し位置および書き終わり位置がずれてしまい、画質が低下してしまう虞がある。以下、
図8を用いて説明する。
【0042】
図8は、光量調整を行い、閾値決定後に外乱光が変化した場合のセンサ出力値(受光レベル)の変化を概念的に説明する図である。センサ出力aは、光量調整時と用紙端部検出時とで外乱光の変化がない場合のセンサ出力であり、
図7で示したものと同等である。
【0043】
センサ出力bは、光量調整を行い、閾値決定後に、光量調整時よりも外乱光のレベルが小さくなった場合のセンサ出力である。この場合、用紙端部検出時の受光レベルが小さくなる。閾値は、外乱光のレベルが小さくなる前に決定されているため、センサ出力が閾値を横切るのは、
図8に示すように、実際の用紙端部702より用紙内側方向となる。このため、書き出し位置設定および書き終わり位置設定が、用紙内側方向にずれてしまう。
【0044】
センサ出力cは、光量調整を行い、閾値決定後に、光量調整時よりも外乱光のレベルが大きくなった場合のセンサ出力である。センサ出力cの場合、用紙端部検出時の受光レベルが大きくなる。このため、センサ出力が閾値を横切るのは、
図8に示すように、実際の用紙端部702より用紙外側方向となる。従って、書き出し位置設定および書き終わり位置設定が、用紙外側方向にずれてしまう。
【0045】
ここで、書き出し位置および書き終わり位置が、実際の用紙端部より外側にずれる場合は、はみ出し量が大きくなる。つまり、用紙端部検出を行っているにも関わらず、インク消費量等の低減を行うことができないものの、記録用紙402でのフチなし印刷自体は実施されているので、画像影響は小さい。一方で、書き出し位置および書き終わり位置が、実際の用紙端部より内側にずれると、その結果、フチなし画像を記録しているにも関わらず、結果としてフチが形成されてしまうことになる。このため、所望とする画像が記録されず、画像影響が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、外乱光によって画像への影響が大きくなる場合に、外乱光の影響があると判定し、所定のはみ出し量でフチなし印刷が実施される。
【0046】
つまり、光量調整を行った時点よりも外乱光の入射量が減少した状態で用紙端部検出処理を行った場合に、検出される用紙端部の位置が、実際の用紙端部より内側にずれる可能性があるか否かを判定する処理が行われる。内側にずれる可能性がある場合、外乱光の影響があると判定し、所定のはみ出し量でフチなし印刷が実施される。
【0047】
<外乱光判定処理について>
次に、外乱光の影響があるかを判定する処理を説明する。外乱光の影響は、LED325を消灯した場合の受光レベルと、LED325を点灯した場合の受光レベルとを用いることで評価できる。尚、このときのLED325を点灯した場合の受光レベルとは、光量調整が実施済みの受光レベルを指す。つまり、用紙上での適切な受光レベルとなるように、LED325を点灯して光量調整が行われた際における受光レベルである。
【0048】
光量調整時において外乱光の入射量が所定量よりも大きい場合は、LED325を消灯しても、受光レベルが、ある所定レベルよりも大きい値となる。外乱光の入射量が所定量よりも大きいということは、光量調整によってLED325の駆動電流値または増幅回路321のゲイン設定値Gが、外乱光入射量が所定量よりも小さい場合に比べて、低い値に設定される。このため、LED325を消灯しても受光レベルが相対的に大きい値に維持される。つまり、LED325を点灯した場合の受光レベルに対する、LED325を消灯した場合の受光レベルが一定値以上であれば、光量調整時の外乱光の入射量が所定量よりも大きいことになる。この場合、用紙端部検出を行いながらフチなし印刷を実施している最中に外乱光の入射量が低下すると、前述したように、書き出し位置および書き終わり位置が、実際の用紙端部より内側にずれてしまう。
【0049】
また、光量調整の結果、LED325の駆動電流値が所定値よりも大きい場合を想定する。このような場合は、光量調整時には外乱光の入射量が比較的少ないために、LED325の駆動電流値が、所定値よりも大きく設定されている状態であると推定される。このため、光量調整時に入射されている外乱光の入射量が、その後のフチなし印刷を実施している最中にさらに低下したとしても、光量調整時の影響度合いが小さいので、画像への影響は小さい。また、光量調整時に入射されている外乱光の入射量が、その後のフチなし印刷を実施している最中に増加したとしても、書き出し位置および書き終わり位置が、実際の用紙端部より外側にずれて、はみ出し量が大きくなるに過ぎない。即ち、画像への影響は小さい。
【0050】
以上の点を鑑みて、本実施形態では、LED325を点灯した場合の受光レベルを受光レベルPONとし、LED325を消灯した場合の受光レベルを受光レベルPOFFとした場合、POFF/PONの値を求める。そして、CPU301は、POFF/PONが、一定値より大きければ外乱光影響ありと判定し、一定値以下であれば外乱光影響なしと判定する。
【0051】
図9は、S506において行われる、外乱光影響があるか否かの判定を行うためのフローチャートを示す図である。
【0052】
CPU301は、用紙端部検出センサ401のLED325を点灯する(S901)。そして、LED325を点灯した状態の受光レベルPONを取得する(S902)。尚、CPU301は、S505で取得した、光量調整済みの受光レベルを取得してもよい。次にCPU301は、用紙端部検出センサ401のLED325を消灯(S903)する。そして、LED325を消灯した状態の受光レベルPOFFを取得する(S904)。
【0053】
次に、CPU301は、POFF/PONの値と外乱光判定閾値(前述した一定値)とを比較し、外乱光判定閾値より大きければ、外乱光の入射が低減された場合に画像影響が出ると判定する。この場合、印刷中の紙端検出を実施せず、最大はみ出し量での印刷を行う設定がされることになる(S512参照)。一方、POFF/PONの値が、外乱光判定閾値以下であれば、外乱光の入射が低減されても画像影響が出ないと判定する。この場合、印刷中紙端検出を実施して、最小限のはみ出し量での印刷を行う設定がされることになる(S511参照)。尚、最大はみ出し量および最小限のはみ出し量は、操作パネル319上においてユーザー設定が可能である。また、外乱光判定閾値は、先に説明した用紙端部検出用の閾値とは別の閾値である。
【0054】
<用紙端部検出処理について>
次に、S511において印刷中紙端検出の実施設定がされている場合における用紙端部検出処理を、
図7を再度参照しながら説明する。用紙端部検出処理では、基本的に、走査毎に用紙端部を用紙端部検出センサ401によって検出する処理が行われる。そして、その検出した結果得られる書き出し位置および書き終わり位置は、検出時の走査の次の走査において適用される。また、前述したように、用紙上から用紙外にキャリッジ105が移動する際に用紙端部検出が実施される。つまり、
図7の例では、キャリッジ105が用紙上から紙面右側に移動する場合の検出(右端部の検出)と、用紙上から紙面左側に移動する場合の検出(左端部の検出)とが行われる。検出値が安定している用紙上からの変化を検出する方が、検出値の検出精度が高まるからである。尚、初回の走査時、または、用紙サイズに起因して一方の書き出し位置が検出できないような場合には、当該部分は、最大はみ出し量でフチなし印刷が実施される。
【0055】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る記録装置によれば、フチなし印刷の印刷データ(印刷ジョブ)に基づいて記録動作が行われる場合、用紙端部検出センサ401の光量調整後に、外乱光判定処理が実施される。外乱光判定処理では、光量調整を行い、閾値を決定した後に外乱光の入射量が減った場合に画像影響が出るかどうかを判定する。外乱光の入射量が減った場合に画像影響が出ると判定された場合には、フチなし印刷時のはみ出し量を所定の量(例えば最大量)に設定して印刷する。これにより、画像影響を低減させ、所望の画像を記録することができる。
【0056】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、フチなし印刷を指示する印刷データ(印刷ジョブ)を受信した場合に、光量調整処理および外乱光判定処理が行われる例を説明した。ここで、フチなし画像を記録するページが複数ある印刷ジョブを受信した場合には、最初のページの記録に先立って光量調整処理および外乱光判定処理が行われ、その後に続くページの記録時には、再度の光量調整処理等を行わなくてもよい。印刷時間を短縮するためである。
【0057】
上述した実施形態では、記録用紙402上でのLED325の点灯時の受光レベルと消灯時の受光レベルとに基づいて外乱光影響を判定する例を説明した。ここで、さらに記録用紙外でのLED325の点灯時の受光レベルと消灯時の受光レベルとも合わせて取得してもよい。用紙端部を検出する閾値は、用紙上での受光レベルと用紙外での受光レベルとによって求められるからである。このため、用紙外でのLED325の点灯時の受光レベルに対する消灯時の受光レベルの比が、所定の値を超えている場合には、用紙内での比が外乱光判定閾値を超えていなくても、外乱光の影響があると判定してもよい。このように、用紙上の点灯時および消灯時の受光レベルと用紙外の点灯時および消灯時の受光レベルとを用いることで、外乱光が低減した際の端部検出誤差をより正確に求めることが可能である。
【0058】
また、上述した実施形態では、外乱光影響があると判定された場合、印刷中紙端検出を実行せず最大はみ出し量でのフチなし印刷を実行する例を説明したが、外乱光の影響度に応じてはみ出し量を変化させてもよい。つまり、比較的外乱光の影響が少ない場合には、最大はみ出し量に比べて少ないはみ出し量を設定してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、記録ヘッド10がキャリッジ105に搭載され、記録ヘッド10を走査しながら画像を記録する際に、用紙端部検出センサ401で用紙端部を検出する例を説明したが、これに限られない。記録用紙の幅方向に吐出口が延在して配されている、いわゆるライン型の記録ヘッド10を用いる記録装置において、用紙端部検出用のキャリッジを備え、上述した実施形態と同様に、用紙端部を検出してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、最大はみ出し量でフチなし印刷を実行する場合には、用紙端部検出センサ401による検出を行わない例を説明した。即ち、最大はみ出し量でフチなし印刷を実行する場合には、LED325を発光させずにキャリッジ105の走査が行われるが、この例に限られない。最大はみ出し量でフチなし印刷を実行する場合にLED325を発光させてもよく、受光した受光レベルを用いて用紙端部の検出処理を行わない態様としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 記録ヘッド
100 記録装置
105 キャリッジ
324 フォトトランジスタ
325 LED
401 用紙端部検出センサ
402 記録用紙