(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】体腔のマップ
(51)【国際特許分類】
G06T 3/067 20240101AFI20240513BHJP
G06T 15/04 20110101ALI20240513BHJP
G06T 19/20 20110101ALI20240513BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240513BHJP
A61B 5/06 20060101ALI20240513BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240513BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20240513BHJP
【FI】
G06T3/067
G06T15/04
G06T19/20
G06T1/00 290A
A61B5/06
A61B5/00 G
A61B34/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020033086
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/130981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 3/067
G06T 15/04
G06T 19/20
G06T 1/00
A61B 5/06
A61B 5/25
A61B 5/00
A61B 34/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療分析システムであって、
ディスプレイと、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定されており、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、医療分析システム。
【請求項2】
前記処理回路が、前記部分的に平坦化された表面に異なる色を追加するように構成されており、そのため前記色が、前記それぞれの場所における前記計算されたそれぞれの上昇値を示す、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項3】
前記処理回路が、前記計算された上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加するように構成されている、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項4】
前記処理回路が、各位置に対して、前記内部表面のデカルト座標を、前記角度座標対及び前記関連する半径方向距離に変換するように構成されている、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項5】
前記処理回路が、前記原点を前記内部表面の重心として計算するように構成されている、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項6】
前記処理回路が、前記空洞の前記内部表面の前記部分的に平坦化された表面上の経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、前記計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された前記終点間の経路を計算することと、
前記終点間の前記経路を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングすることと、を行うように構成されている、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項7】
前記空洞に挿入されるように構成された医療器具と、
前記空洞内の前記医療器具の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、を更に備え、前記処理回路が、追跡された前記位置に応答して、前記医療器具の表現を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングするように構成されている、請求項6に記載の
医療分析システム。
【請求項8】
前記処理回路が、前記部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信することと、前記部分的に平坦化された表面が前記新しい配向に応答して配向されている状態で、前記部分的に平坦化された表面の前記画像を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、請求項1に記載の
医療分析システム。
【請求項9】
医療分析方法であって、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定されており、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記部分的に平坦化された表面に異なる色を追加することを更に含み、そのため前記色が、前記それぞれの場所における前記計算されたそれぞれの上昇値を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記計算された上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
各位置に対して、前記内部表面のデカルト座標を、前記角度座標対及び前記関連する半径方向距離に変換することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記原点を前記内部表面の重心として計算することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記空洞の前記内部表面の前記部分的に平坦化された表面上の経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、
前記計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された前記終点間の経路を計算することと、
前記部分的に平坦化された表面上に
前記終点間の前記経路をレンダリングすることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記空洞に挿入された医療器具の位置を追跡することと、追跡された前記位置に応答して、前記医療器具の表現を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングすることと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信することと、
前記部分的に平坦化された表面が前記新しい配向に応答して配向されている状態で、前記部分的に平坦化された表面の前記画像を、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
中央処理装置(CPU)
に、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定され、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔のマッピングに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な身体部分の医用画像を、例えば、X線撮影法、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、医療超音波検査又は超音波、内視鏡検査、エラストグラフィ、触覚イメージング、サーモグラフィ、医療用撮像技術及び核医学機能撮像技術などの様々な方法で形成することが可能である。
【0003】
コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、MRI及び超音波スキャンソフトウェアが医師向けの3次元(three-dimensional、3D)画像を生成できるようにするために、ボリュームレンダリング技術が開発されてきた。従来のCTスキャン及びMRIスキャンでは、フィルム上に2次元(two-dimensional、2D)の静的出力が生成される。3D画像を生成するために、多くのスキャンが行われ、次いでコンピュータによって結合されて3Dモデルが生成され、その後医師が操作することができる。3D超音波は、幾分似た技術を使用して生成される。
【0004】
2D画面上の心腔などの身体部の3D画像を提示しようとする際、ユーザインターフェースによる3D画像の手動回転により、ユーザによる3D画像の様々な側面の目視検査が可能になる。
【0005】
Coffeyらの米国特許公開第2015/0049081号は、特定の哺乳動物の解剖学的アイテムの3次元モデルを識別することと、解剖学的アイテムを通る3次元空間内の開放経路を自動的に識別することと、滑らかな曲線を開放経路に適合させることと、解剖学的アイテム及び滑らかな曲線の視覚的表現を3次元撮像システム上でユーザに表示することと、を含む、コンピュータ実装医療用可視化方法を記載する。
【0006】
Szirtesに対する米国特許第4,630,203号は、物体の幾何学的形状のマーカー又は既存の知識に頼ることなく、物体上の識別可能な輪郭の3次元座標を再構築するための方法及び装置を記載する。この技術は、Contour Radiographyとして定義される。好ましい実施形態では、2つのX線源は、放射線学的に識別可能な輪郭を有する物体を照射し、次いで、輪郭の2つの画像は、フィルム平面上の離間した場所においてX線フィルム上に投影される。これらの画像は、カーソル又は他の何らかの手段で画像曲線を追跡することによってデジタル化され、それによって任意の数の画像点の座標を確立する。このようにして得られたデジタルデータは、Contour Radiography(CONRAD)アルゴリズムに従って処理されて、物理的輪郭上の同じ点から生じる2つの曲線上の対応する点を識別する。X線源の空間座標は、特別な較正システムを使用して決定される。次いで、各対応する点対の座標は、X線源の空間座標で処理して、輪郭上のそれらの元の空間点の3次元座標を決定する。このようにして、輪郭の3次元座標が、決定される。次いで、3次元座標は、市販のグラフィックシステム内で処理されて、再構成された輪郭を視覚的に表示する。この技術は、放射線学的に識別可能な輪郭を有する骨などの、選択された内臓器官の歪んでいない形状、位置、サイズ、及び配向を決定するための医療における特定の用途を有する。
【0007】
Kaufmanらの米国特許公開第2002/0039400号は、ボリューム可視化技術を使用して器官などの物体の3次元可視化画像を生成し、操作者が飛行経路に沿って移動し、例えば、視覚化された器官内のポリープ、嚢胞又は他の異常な特徴を特定するために、視野を目的の画像の特定の部分に調整することを可能にするガイド付きナビゲーションシステムを使用して、画像を探索するためのシステム及び方法を記載する。電子生検はまた、視覚化された物体内の特定された腫瘍又は質量上で実行され得る。仮想内視鏡検査は、腸内準備、続いて画像セグメンテーション操作を用いることにより、結腸の画像から残留糞便、流体、及び非結腸組織を電子的に除去することによって向上させることができる。本方法はまた、画像セグメンテーション結果を使用して、結腸崩壊領域を仮想的に拡張するために用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、医療分析システムが提供され、ディスプレイと、処理回路と、を含み、処理回路は、生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップ、球面座標系内に画定されている内部表面上の位置を受信することであって、各位置が、角度座標対及び球面座標系の原点からの関連する半径方向距離によって画定される、受信することと、内部表面からのそれぞれの位置の角度座標対を、既定の座標変換で2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、それぞれの投影された角度座標対に関連付けられた半径方向距離に少なくとも基づいて、それぞれの場所における2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値に従って、部分的に平坦化された表面が2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている。
【0009】
更に、本開示の実施形態によれば、処理回路は、部分的に平坦化された表面に異なる色を追加するように構成されており、そのため色は、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値を示す。
【0010】
更に、本開示の実施形態によれば、処理回路は、上昇値が計算された部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加するように構成されている。
【0011】
加えて、本開示の実施形態によれば、処理回路は、内部表面の各位置、デカルト座標を角度座標対及び関連する半径方向距離に変換するように構成されている。
【0012】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、原点を内部表面の重心として計算するように構成されている。
【0013】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面にわたる経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して受信された終点間の経路を計算することと、部分的に平坦化された表面上に経路をレンダリングすることと、を行うように構成されている。
【0014】
また更に、本開示の実施形態によれば、システムは、空洞内に挿入されるように構成された医療器具と、空洞内の医療器具の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、を含み、処理回路が、追跡された位置に応答して、部分的に平坦化された表面上に医療器具の表現をレンダリングするように構成されている。
【0015】
加えて、本開示の実施形態によれば、処理回路は、部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信し、部分的に平坦化された表面が新しい配向に応答して配向されている部分的に平坦化された表面の画像を、ディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0016】
本開示の更なる別の実施形態によれば、医療分析方法もまた提供され、生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、内部表面上の位置が、球面座標系内に画定され、各位置が、角度座標対と、球面座標系の原点からの関連する半径方向距離と、によって画定される、受信することと、内部表面からのそれぞれの位置の角度座標対を、既定の座標変換で2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、それぞれの投影された角度座標対と関連付けられた半径方向距離に少なくとも基づいて、それぞれの場所における2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、部分的に平坦化された表面が、2D平面、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む。
【0017】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、部分的に平坦化された表面に異なる色を追加することを含み、そのため色は、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値を示す。
【0018】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、上昇値が計算された部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加することを含む。
【0019】
また更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、各位置に関して、内部表面のデカルト座標を角度座標対及び関連する半径方向距離に変換することを含む。
【0020】
加えて、本開示の一実施形態によれば、本方法は、原点を内部表面の重心として計算することを含む。
【0021】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面にわたる経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された終点間の経路を計算することと、部分的に平坦化された表面上に経路をレンダリングすることと、を含む。
【0022】
更に、本開示の実施形態によれば、本方法は、空洞に挿入された医療器具の位置を追跡することと、追跡された位置に応答して、部分的に平坦化された表面上に医療器具の表現をレンダリングすることと、を含む。
【0023】
また更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信することと、部分的に平坦化された表面が新しい配向に応答して配向されている部分的に平坦化された表面の画像を、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む。
【0024】
本開示の更に別の実施形態によれば、プログラム命令が記憶されている非過渡性コンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品も提供され、この命令は、中央処理装置(central processing unit、CPU)によって読み取られるとき、CPUに、生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップ、球面座標系内に画定されている内部表面上の位置を受信することであって、各位置が、角度座標対及び球面座標系の原点からの関連する半径方向距離によって画定される、受信することと、内部表面からのそれぞれの位置の角度座標対を、既定の座標変換で2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、それぞれの投影された角度座標対に関連付けられた半径方向距離に少なくとも基づいて、それぞれの場所における2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値に従って、部分的に平坦化された表面が2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の一実施形態による、装置を使用した侵襲的医療処置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1の装置で使用されるプローブの遠位端の概略図である。
【
図3】
図1の装置によって受信された生存している対象の身体内の空洞の内部表面の画像の切欠図である。
【
図4】
図3の空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面の側面図である。
【
図5】
図4の部分的に平坦化された表面の平面図である。
【
図6】終点を含む、
図4の部分的に平坦化された表面の平面図である。
【
図7】
図6の終点間の経路を示す、部分的に平坦化された表面の平面図である。
【
図8】
図7の経路上の医療器具の表現を示す、部分的に平坦化された表面の平面図である。
【
図9】
図1の装置の第1の動作方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図10】
図1の装置の第2の動作方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
概論
上述のように、2D画面上の心腔などの身体部の3D画像を提示しようとする際、ユーザインターフェースによる3D画像の手動回転により、ユーザによる3D画像の様々な側面の目視検査が可能になる。このタイプの検査は、室の全ての表面が概して同時に見えないため制限され、医師が身体部の特徴を見つけることを困難にし、また医師が身体部全体を状況内で認識することを困難にする。上記の欠点は、より遅い医療処置又は更には医療的な誤りをもたらす場合があり、これは、心臓又は同様の医療処置において致死的であり得る。
【0027】
本発明の実施形態は、生存している対象の身体内の3D空洞の内部表面の3Dマップを部分的に平坦化し、直感的な部分的に平坦化された表面を生み出す。部分的に平坦化された表面は、空洞の内部表面の様々な突出部、押し込み、並びに一般形状を表す、上昇部及び凹部を有する平面に近似する。部分的に平坦化された表面は、空洞の内部表面の反対側が、部分的に平坦化された表面の画像を回転させる必要なく、同時に視認されることを可能にする。したがって、部分的に平坦化された表面は、医師が、部分的に平坦化された表面を回転させることなく、状況内の空洞全体を理解することを可能にする。加えて、部分的に平坦化された表面は、医師が、空洞の特徴をより容易に見出すことを可能にする。
【0028】
3Dマップの空洞の内部表面の位置は、球面座標系内に画定される。各位置は、球面座標系の原点からの角度座標対(θ、φ)及び関連する半径方向距離rによって画定される。球面座標系の原点は、空洞の重心として計算されてもよく、又はいくつかの他の好適な場所として画定されてもよい。いくつかの実施形態では、3Dマップは、最初に、デカルト、又は他の座標系によって画定されてもよく、これは次いで球面座標系に変換される。
【0029】
内部表面からのそれぞれの位置の角度座標対(θ、φ)は、既定の座標変換に従って2D平面内のそれぞれの場所(x、y)に投影される。したがって、例えば、角度座標対(θ1、φ1)は、2D平面内の場所(x1、y1)にマッピングされてもよい。投影は、任意の好適な座標変換に従って実行されてもよい。投影及び好適な座標変換は、以下のシステムの説明においてより詳細に説明される。
【0030】
それぞれの場所(x、y)における2D平面からのそれぞれの上昇値は、それぞれの投影された角度座標対(θ、φ)と関連付けられた半径方向距離rに少なくとも基づいて計算される。そのため、例えば、2D平面内の場所x1、y1における上昇値は、投影された角度座標対(θ1、φ1)と関連付けられた半径方向距離r1に基づいて計算される。場所における上昇値は、Rを、所与の因数により乗じることによって計算され得、式中、Rは、一例として、関連する半径方向距離r、又は空洞の内部表面上の位置の平均半径方向距離未満の関連する半径方向距離r、若しくは空洞の内部表面上の位置の最小半径方向距離未満の関連する半径方向距離r、と同等である。上昇部は、それぞれの上昇値がそれぞれの半径方向距離から計算される方法に応じて、2D平面(すなわち、上昇部又は凹部)の上方及び/又は下方に延在してもよい。
【0031】
空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面の画像は、部分的に平坦化された表面がそれぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値に従って、2D平面(上及び/又は下)から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングされる。
【0032】
加えて、又は代替的に、異なる色が、部分的に平坦化された表面に追加されてもよく、そのため色は、それぞれの場所における、計算されたそれぞれの上昇値範囲を示す。色は、特に部分的に平坦化された表面を上から直接視認するとき(例えば、平面図)、医師が、部分的に平坦化された表面の異なる上昇部及び凹部を知覚することを援助する。
【0033】
加えて、又は代替的に、輪郭線は、計算された上昇値に従って、部分的に平坦化された表面に追加されてもよい。輪郭線はまた、特に部分的に平坦化された表面を上から直接視認するとき(例えば、平面図)、医師が、部分的に平坦化された表面の異なる上昇部及び凹部を知覚することを援助する。
【0034】
部分的に平坦化された表面は、表面が様々な異なる配向で視認可能であるように、医師によって操作され得る。具体的には、いくつかの配向により、医師は、表面内のより多くの上昇部(及び/又は凹部)を見ることが可能になる。この点に関して、ユーザ入力は、ユーザが部分的に平坦化された表面の新しい配向を選択したことを示し、受信され得る。次いで、部分的に平坦化された表面の画像が、処理され、新しい配向に応答して、部分的に平坦化された表面が配向されるようにレンダリングされる。
【0035】
部分的に平坦化された表面は、医療器具を内部表面にわたって移動させる、及び/又は内部表面に対する医療器具の位置を視認するためのより良好な経路計画を可能にし得る。
【0036】
色及び/又は輪郭線はまた、医師が、上昇部及び凹部を回避しながら、2つの終点間の経路を計画することを可能にし得る。
【0037】
加えて、又は代替的に、ユーザ入力は、ユーザから受信されてもよく、空洞の内部表面の部分的に平坦化された表面にわたる経路を計算するための終点を示す。次いで、受信された終点間の経路が、計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して計算され得、そのため計算された経路は、所与の限度を上回る上昇部における逸脱を回避する。次いで、経路は、部分的に平坦化された表面上にレンダリングされ得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、空洞内の医療器具の位置は、任意の好適な位置追跡技術を使用して追跡され得る。次いで、医療器具の表現は、追跡された位置に応答して、部分的に平坦化された表面上にレンダリングされてもよい。
【0039】
システムの説明
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態による、医療分析サブシステムを含む、装置12を使用した侵襲的医療処置の概略図である、
図1を参照する。また、本発明の一実施形態による、装置12で用いられるプローブ20の遠位端22の概略図である
図2も参照する。この処置は、医師14によって行われ、これ以降の説明において、この処置は、ヒトの患者18の心臓の心筋16の組織15の一部のアブレーションを含むと想定されている。
【0041】
検査を行うために、医師14は、プローブ20が心室に挿入されるように、患者18の内腔内に予め位置決めされているシース21内にプローブ20を挿入する。シース21は、プローブ20の遠位端22が患者18の心臓に入るように位置決めされている。遠位端22は、遠位端22の場所及び配向を追跡することを可能にする位置センサ24、遠位端22が心筋16に接触するときに遠位端22によって印加される力を測定する力センサ26、及び遠位端22のそれぞれの場所での温度を測定する1つ又は2つ以上の温度センサ28を含む。遠位端22は更に、心室内で心筋16に高周波電力を加えて心筋16をアブレーションするために使用される1つ又は2つ以上の電極30を備える。電極(複数可)30は、心筋16から電極電位を取得するためにも使用され得る。
【0042】
装置12は、装置の操作コンソール48内に位置するシステムプロセッサ46により制御される。操作コンソール48は、医師14がプロセッサ46と通信するために使用される、少なくとも1つのユーザ入力デバイス49の制御用つまみ類を含む。プロセッサ46用のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的方式でプロセッサ46にダウンロードすることができる。代替的に又は更に、ソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記憶媒体などの非一過性有形媒体で提供され得る。
【0043】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成されるリアルタイムノイズ低減回路45、続いてアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)信号変換集積回路47を備え得る。このプロセッサ46は、信号をA/D信号変換集積回路47から別のプロセッサに伝えることができ、かつ/又は、本明細書において開示されている少なくとも1つのアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、このアルゴリズムは、本明細書において以下に説明されているステップを含む。このプロセッサ46は、アルゴリズムを実行するために、ノイズ低減回路45及びA/D信号変換集積回路47、並びに以下でより詳細に説明されているモジュールの機能部を使用する。
【0044】
装置12を操作するために、プロセッサ46のアルゴリズムは、装置12を操作するためにプロセッサ46により使用される多数のモジュールを有するモジュールバンク50と通信する。したがって、モジュールバンク50は、ECG信号をプロセッサ46に提供するために、身体表面電極31及び/又は電極30から信号を受信するように連結された心電図(electrocardiograph、ECG)モジュール56を備える。身体表面電極31及び/又は電極(複数可)30は、対象(例えば、患者18)の身体に適用されるように構成されており、かつ対象の心臓の電気的活動に応答して信号を出力するように構成されている。電極(複数可)30は、プローブ20を介して身体の心臓に適用される。モジュールバンク50は更に、位置センサ24からの信号を受信して分析し、信号分析を使用して遠位端22の位置及び配向を生成する追跡モジュール58を含む。いくつかの実施形態では、位置センサ24は、コイルを横切る磁界に応じてセンサ信号を提供する、1つ又は2つ以上のコイルを含む。これらの実施形態では、追跡モジュール58は、位置センサ24から信号を受信及び解析することに加えて、位置センサ24を横切る磁界を放射する放射器32、34、及び36を制御する。放射器32、34、及び36は、心筋16に近接して配置されており、心筋16に近接する領域内に交番磁界を放射するように構成されている。複数のワイヤ接続部35は、操作コンソール48を身体表面電極(body the surface electrodes)31及び他の構成要素(放射器32、34、36、及びセンサ24など)と連結して、追跡モジュール58がプローブ20の場所及び配向座標を測定することを可能にする。いくつかの実施形態では、追跡モジュール58は、プローブ20の、心臓に対する相対的な場所及び相対的な配向を計算するように構成されている。磁気による場所及び配向追跡については、米国特許第7,756,576号及び同第7,536,218号(参照により本明細書に援用される)に記載されている。Biosense Webster(33 Technology Drive,Irvine,CA92618 USA)製のCartoシステムは、このような磁気追跡システムを使用する。追跡モジュール58は、磁気ベースの場所及び配向追跡を使用することに限定されない。インピーダンスに基づく追跡又は画像に基づく追跡など、任意の好適な場所及び配向追跡を使用することができる。
【0045】
装置12は、MRIユニット、CTユニットなどのような外部の画像診断モダリティからの画像データを受信することができ、画像を生成及び表示するために、プロセッサ46に組み込まれ得る又はプロセッサ46によって呼び出され得る画像プロセッサを含む。画像データは追跡モジュール58に登録されてもよく、受信されたデータとプローブ20の位置とを組み合わせるユーザインターフェース画面70が、医師14に向けてディスプレイ61上に表示されてもよい。例えば、プローブ20の遠位端22の軌跡が、ディスプレイ61上に表示される患者18の心臓の3次元(3D)表現上に示されてもよい。いくつかの実施形態では、心臓の3D表現は、プローブ20によって実行されたマッピングに基づいて少なくとも部分的に計算されてもよい。
【0046】
電極(複数可)30及び身体表面電極31は、参照により本明細書に援用される、Govariらに発行された米国特許第7,536,218号に教示されるように、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定するために使用され得る。
【0047】
モジュールバンク50はまた、力モジュール60、電源モジュール62、灌注モジュール64、及び温度モジュール66を含む。これらモジュールの機能を、以下に説明する。モジュールバンク50におけるモジュール、及びプロセッサ46は、本明細書においては、処理回路51と呼ばれる。
【0048】
力モジュール60は、力センサ26からの信号を受信し、その信号から、遠位端部22によって組織15に及ぼされる接触力の大きさ(本明細書ではグラム単位で測定されることを前提とする)を生成する。いくつかの実施形態では、力センサ26は、力センサ26が力モジュール60に提供する信号によって、力モジュール60が、遠位端22により組織15に及ぼされる力の方向を評価することができるように構成されている。
【0049】
電源モジュール62は、心筋16の組織15をアブレーションするために電極(複数可)30によって印加される高周波電力を発生させる高周波(radiofrequency、RF)信号発生器63を備える。プロセッサ46及び電源モジュール62は、電極(複数可)30によって送達される電力レベル(本明細書ではワット単位で測定されることを前提とする)、及び秒単位で測定される、電力が送達されている間の時間の長さを調節することが可能である。
【0050】
灌注モジュール64は、操作コンソール48内に配設されたポンプ65によって遠位端22に供給される、典型的には生理食塩水である灌注流体の流量(本明細書ではmL/分で測定されることを前提とする)を制御する。プローブ20は、内部を通じて心筋16を灌注する潅注チャネルを含む。灌注流体は、遠位端22内の灌注孔69から放出される。ポンプ65は、アブレーション処置の状態に従って、アイドル速度で、かつ1つ又は2つ以上の非アイドル速度(アイドル速度よりも高速度)で灌注流体を選択的に、灌注チャネル内に送り込むように構成されている。
【0051】
温度モジュール66は、温度センサ28によって(又は各温度センサ28によって)提供される温度信号を受信する。温度信号は、複数の異なる時点における心筋の温度を示す。温度モジュール66は、各センサ28によって登録された温度を決定する。通常、複数のセンサ28の場合、温度モジュール66は、遠位端22の平均温度を判定する。更に、複数のセンサが存在する場合、温度モジュール66は、遠位端22の温度分布のマップを作成することができる。
【0052】
ここで、生存している対象の身体内の空洞の内部表面72(
図3に示される)の部分的に平坦化された表面80(
図4~
図8に示される)の生成、操作、及び使用を示す、
図3~
図10を参照する。空洞は、生存している対象の身体内の任意の好適な空洞、例えば、限定されるものではないが、心室又は副鼻腔の空洞であり得る。部分的に平坦化された表面80の画像は、ディスプレイ61上の装置12によってレンダリングされてもよく、又は任意の好適な処理及びディスプレイシステムを使用してレンダリングされてもよく、及びディスプレイ61上の装置12によってレンダリングされることに限定されない。
【0053】
ここで、
図1の装置12によって受信された生存している対象の体内の空洞の内部表面72の画像70の切欠図である、
図3を参照する。いくつかの実施形態において、画像70は、装置12によって生成され得る。区分74は、位置76(簡略化のために1つのみ示されている)がどのように画定されるかを示すために、内部表面72から切り取られている。内部表面72上の位置76は、球面座標系内に画定されてもよく、各位置76は、球面座標系の原点78からの角度座標対(θ、φ)及び関連する半径方向距離、r、を含む、座標(r、θ、φ)によって定義される。極角θは、固定された天頂方向(
図3内のz
0軸)から測定され、方位角φは、原点78を通過する基準面(x
0軸及びy
0軸によって画定される)上で測定され、その平面上の(x
0軸からの)固定された基準方向から測定される、天頂と直交する。便宜上、極角θは、0~180度の値を有し、方位角φは、0~360度の値を有する。角度θ、φによって対象とされる範囲の定義は、任意の好適な範囲に変更されてもよい。例えば、θは、0~360であってもよく、φは、-90~+90度であってもよい。角度はまた、ラジアン又は任意の好適な単位で測定されてもよい。他の実施形態では、位置76は、任意の好適な座標系に従って定義されてもよい。
【0054】
ここで、
図3の空洞の内部表面72の部分的に平坦化された表面80の側面図である、
図4を参照する。部分的に平坦化された表面80は、凹部82及び上昇部84を含む。凹部82及び上昇部84の計算は、ここでより詳細に説明される。
【0055】
それぞれの位置76(
図3)の角度座標対(θ、φ)は、既定の座標変換に従って、内部表面72から2D平面85内のそれぞれの場所に投影される。2D平面85は、座標系88、例えば、デカルト座標系のx軸及びy軸によって画定されてもよい。したがって、例えば、半径方向距離r
1を有する角度座標対(θ
1、φ
1)は、2D平面85内の場所(x
1、y
1)(座標系88に従い、また
図4内の場所Pとしてもマークされる)に投影されてもよい。
【0056】
投影は、任意の好適な座標変換に従って実行されてもよい。例えば、極角θが、0~180度の値を有し、方位角φが、0~360度の値を有するとき、角度座標対は、0~180のx軸値及び0~360のy軸値を有する矩形2D平面に投影されてもよい。X軸及び/又はy軸のスケールは、線形又は非線形であってもよい。各角度座標対(θ、φ)に関して、極角θは、x軸の対応する値に投影されてもよく、方位角φは、y軸の対応する値に投影されてもよい。例えば、(95°、280°)の角度座標対は、2D平面85の座標(x=95、y=280)に投影される。
【0057】
内部表面72上の位置76を、2D平面85上に投影するための他の投影方法が、使用されてもよい。投影は、選択された投影表面(例えば、円筒又は円錐上への投影)、突出部の態様(内部表面72が選択された投影面に対してどのように配向されるか)、使用されるスケーリング、及び内部表面72(例えば、球体又は楕円体)の形状に対するモデルの選択、に応じて異なってもよい。他の可能な投影方法としては、単なる例として、Equirectangular、Cassini、Mercator、Miller、Behrmann、Sinusoidal、Eckert、Van der Grintenが挙げられる。
【0058】
それぞれの場所(x、y)における2D平面85からのそれぞれの上昇値は、それぞれの投影された角度座標対(θ、φ)と関連付けられた半径方向距離rに少なくとも基づいて計算される。したがって、例えば、2D平面85内の座標x1、y1を有する場所Pにおける上昇値は、投影された角度座標ペア(θ1、φ1)と関連付けられた半径方向距離r1に基づいて計算される。
【0059】
場所における上昇値は、Rに所与の倍率を乗じることによって計算されてもよく、式中、Rは、単なる例としての以下のうちの1つと同等である:(a)関連する半径方向距離r、(b)空洞の内部表面上の位置の平均半径方向距離未満の関連する半径方向距離r、又は(c)空洞の内部表面上の位置の最小半径方向距離未満の関連する半径方向距離r。上昇値計算方法によって、上昇値は、それぞれ、(座標系88のz軸に平行な)2D平面85を上回る上昇部、若しくは2D平面85を下回る凹部と関連付けられた、正又は負の値をもたらすことができる。
【0060】
例えば、半径方向距離がr1である場合、平均半径方向距離は、ravであり、最小半径方向距離は、rminであり、倍率は、0.5に等しく、上昇値は、以下の方法のいずれかによって計算され得る:
1.0.5×r1、
2.0.5×(r1-rav)、若しくは
3.0.5×(r1-rmin)。
【0061】
部分的に平坦化された表面80は、計算された上昇値に従って、凹部82及び上昇部84でレンダリングされる。具体的には、部分的に平坦化された表面80は、その表面上の位置が、それぞれの場所の計算されたそれぞれの上昇値に等しい、2D平面85上のそれぞれの場所から、(座標系88のz軸に平行に測定される)ある距離で配設されるようにレンダリングされる。例えば、座標系88内の場所(x1、y1)にマッピングされた半径方向距離r1を有し、計算された上昇値E1を有する角度座標対(θ1、φ1)に関して、部分的に平坦化された表面80の対応する位置の座標は、座標系88内の(x1、y1、E1)によって与えられる。
【0062】
輪郭線86もまた部分的に平坦化された表面80に追加されて、同等の上昇値の線をハイライトし、医師14による、凹部82、及び上昇部84、並びに凹部82及び上昇部84の急峻性によって、より容易な識別を可能にする。輪郭線の粒度は、ユーザ定義可能であり得る。いくつかの実施形態では、輪郭線の粒度は、プロセッサ46によって計算されてもよく、そのため上昇値の範囲が所与の数の輪郭線によって分割される。例えば、最小及び最大上昇値が、それぞれ5cm及び8cmであり、6の輪郭線の所与の数は、上昇値における0.5cmのジャンプを表す。
【0063】
色がまた、部分的に平坦化された表面80に加えられて、異なる色で異なる上昇値範囲を示す。色はまた、医師14により、凹部82及び上昇部84のより容易な識別を可能にする。異なる色と関連付けられた上昇値範囲は、ユーザ構成可能であり得る。いくつかの実施形態では、色は、異なる上昇値範囲に自動的に割り当てられてもよい。加えて、又は代替的に、上昇値範囲の数及び/又はサイズは、ユーザ構成可能であってもよい。
【0064】
部分的に平坦化された表面80は、表面80が様々な異なる配向で視認可能であるように、医師14によって操作され得る。具体的には、いくつかの配向により、医師は、表面内のより多くの上昇部(及び/又は凹部)を見ることが可能になる。例えば、
図4の部分的に平坦化された表面80の図は、
図5に示される部分的に平坦化された表面80の平面図よりも、より明確に凹部82及び上昇部84を示す。
【0065】
ここで、
図4の部分的に平坦化された表面80の平面図である、
図5を参照する。上部から視認されるとき、凹部82及び上昇部84は、色及び/又は輪郭線86を使用することなく明らかでなくてもよい。色及び/又は輪郭線86は、特に部分的に平坦化された表面を上から直接視認するとき(例えば、平面図)、医師14が部分的に平坦化された表面80の異なる上昇部を知覚することを援助する。
【0066】
ここで、終点90、92を含む、
図4の部分的に平坦化された表面80の平面図である、
図6を参照する。終点90、92は、空洞の内部表面72にわたる所望の経路の開始及び終了を画定するために、ユーザによって指定されてもよい。ユーザは、同じ上昇値範囲内に維持することに基づいて、終点90、92間の計算された経路を見ることを望む場合があり、これは、例えば、以下のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る:輪郭線86のうちの1つを交差しない、輪郭線86などのうちの2つを交差しない、及び/又は計算された経路の間の所与の正並びに/若しくは負の上昇値を、全体として、又は更に計算された経路の所与の区分又は複数の区分であっても、超えない。終点90、92は、部分的に平坦化された表面80を示す好適なユーザインターフェース画面を使用して、ユーザによって入力されてもよく、一例として、ユーザが、マウス又はスタイラスなどの好適なポインティングデバイスを使用して、終点90、92を部分的に平坦化された表面80に追加することを可能にする。終点90、92は、部分的に平坦化された表面80が現在どちらの配向で表示されているかにおいて、ユーザによって部分的に平坦化された表面80に追加されてもよい。
【0067】
ここで、
図6の端点90、92間の経路94を示す部分的に平坦化された表面80の平面図である、
図7を参照する。経路94は、経路94を同じ上昇値範囲内に維持することに基づいて、終点90、92間で計算され、これは、例えば、以下のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る:輪郭線86のうちの1つを交差しない、輪郭線86などのうちの2つを交差しない、及び/又は計算された経路の間の所与の正並びに/若しくは負の上昇値を、全体として、又は更に計算された経路の所与の区分又は複数の区分であっても、超えない。
【0068】
ここで、
図7の経路94上の医療用器具の表現96を示す部分的に平坦化された表面80の平面図である、
図8を参照する。医療器具の位置は、追跡されてもよく、部分的に平坦化された表面80に対する医療器具の追跡された位置が、表現96を使用して示されてもよい。表現96は、概して、医療器具の追跡された位置が移動するにつれて、移動する。
【0069】
図1及び
図2のプローブ20は、医療器具の一例である。しかしながら、医療器具としては、単なる例として、身体部位に挿入するための非アブレーションプローブ、内視鏡、及び/又はENTツール、吸引ツール、マイクロデブリーダ、若しくはシェーバなどの外科用ツールなどの任意の好適な医療器具が挙げられ得る。
【0070】
ここで、
図1の装置12の第1の操作方法における例示的なステップを含むフローチャート100である、
図9を参照する。プロセッサ46(
図1)は、生存している対象の身体内の空洞の内部表面72(
図3)の3Dマップを受信するように構成されている(ブロック102)。プロセッサ46は、原点78(
図3)を内部表面72の重心として計算するように構成されている(ブロック104)。いくつかの実施形態では、原点78は、内部表面72内、又は内部表面72上、若しくは更に内部表面72の外側にある任意の好適な点であってもよい。
【0071】
内部表面72が球面座標系によってまだ画定されていない場合、プロセッサ46は、内部表面72上の位置76(
図3)に関する座標(例えば、デカルト座標)を、各位置76が角度座標対(θ、φ)、及び関連する原点78からの半径方向距離rによって画定されている球面座標に変換するように構成されている(ブロック106)。プロセッサ46は、既定の座標変換に従って、内部表面72からのそれぞれの位置76の角度座標対(θ、φ)を、2D平面85(
図4)内のそれぞれの場所(x、y)に投影するように構成されている(ブロック108)。プロセッサ46は、それぞれの投影された角度座標対(θ、φ)と関連付けられた、半径方向距離rに少なくとも基づいて、それぞれの場所における2D平面85からのそれぞれの上昇値を計算するように構成されている(ブロック110)。
【0072】
プロセッサ46は、部分的に平坦化された表面80が、それぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値に従って、2D平面から上昇している状態で、空洞の内部表面72の部分的に平坦化された表面80の画像(
図4、
図5)をディスプレイ61にレンダリングするように構成されている(ブロック112)。ブロック112のレンダリングステップの一部として、ブロック114及び/又はブロック116のサブステップが実行されてもよい。プロセッサ46は、計算された上昇値に従って、輪郭線86(
図4及び
図5)を部分的に平坦化された表面80に追加するように構成され得る(ブロック114)。プロセッサ46は、色がそれぞれの場所における計算されたそれぞれの上昇値を示すように、部分的に平坦化された表面80に異なる色を追加するように構成され得る(ブロック116)。
【0073】
プロセッサ46は、部分的に平坦化された表面80の新しい配向を示すユーザ入力を受信するように構成されている(ブロック118)。プロセッサ46は、部分的に平坦化された表面80が新しい配向に応答して配向されている状態で、部分的に平坦化された表面80の画像をディスプレイ61にレンダリングするように構成されている(ブロック120)。
【0074】
ここで、
図1の装置12の第2の操作方法における例示的なステップを含むフローチャート130である、
図10を参照する。
図6~
図8もまた参照する。
【0075】
プロセッサ46(
図1)は、空洞の内部表面72の部分的に平坦化された表面80にわたる経路を計算するために、終点90、92を示すユーザ入力を受信するように構成されている(ブロック132)。プロセッサ46は、計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された終点90、92間の経路94を計算するように構成されている(ブロック134)。いくつかの実施形態では、経路94は、経路94を同じ上昇値範囲内に維持することに基づいて、終点90、92間で計算され、これは、例えば、以下のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る:輪郭線86のうちの1つを交差しない、輪郭線86などのうちの2つを交差しない、及び/又は計算された経路の間の所与の正並びに/若しくは負の上昇値を、全体として、又は更に計算された経路94の区分内であっても、超えない。プロセッサ46は、部分的に平坦化された表面80上に経路94をレンダリングするように構成されている(ブロック136)。
【0076】
医療器具が、空洞に挿入されることに応じて、追跡モジュール58は、空洞内の医療器具の位置を追跡するように構成されている(ブロック138)。プロセッサ46は、追跡された位置に応答して、部分的に平坦化された表面80上に医療用器具の表現96をレンダリングするように構成されている(ブロック140)。
【0077】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の適切な部分的組み合わせとして提供されてもよい。
【0078】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上に特に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0079】
〔実施の態様〕
(1) 医療分析システムであって、
ディスプレイと、
処理回路と、を備え、前記処理回路が、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定されており、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、医療分析システム。
(2) 前記処理回路が、前記部分的に平坦化された表面に異なる色を追加するように構成されており、そのため前記色が、前記それぞれの場所における前記計算されたそれぞれの上昇値を示す、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理回路が、前記計算された上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記処理回路が、各位置に対して、前記内部表面のデカルト座標を、前記角度座標対及び前記関連する半径方向距離に変換するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記処理回路が、前記原点を前記内部表面の重心として計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0080】
(6) 前記処理回路が、前記空洞の前記内部表面の前記部分的に平坦化された表面上の経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、前記計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された前記終点間の経路を計算することと、前記経路を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングすることと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記空洞に挿入されるように構成された医療器具と、
前記空洞内の前記医療器具の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、を更に備え、前記処理回路が、追跡された前記位置に応答して、前記医療器具の表現を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングするように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記処理回路が、前記部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信することと、前記部分的に平坦化された表面が前記新しい配向に応答して配向されている状態で、前記部分的に平坦化された表面の前記画像を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 医療分析方法であって、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定されており、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、方法。
(10) 前記部分的に平坦化された表面に異なる色を追加することを更に含み、そのため前記色が、前記それぞれの場所における前記計算されたそれぞれの上昇値を示す、実施態様9に記載の方法。
【0081】
(11) 前記計算された上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面に輪郭線を追加することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 各位置に対して、前記内部表面のデカルト座標を、前記角度座標対及び前記関連する半径方向距離に変換することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記原点を前記内部表面の重心として計算することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記空洞の前記内部表面の前記部分的に平坦化された表面上の経路を計算するための終点を示すユーザ入力を受信することと、
前記計算された上昇値のうちの少なくともいくつかに応答して、受信された前記終点間の経路を計算することと、
前記部分的に平坦化された表面上に前記経路をレンダリングすることと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記空洞に挿入された医療器具の位置を追跡することと、追跡された前記位置に応答して、前記医療器具の表現を前記部分的に平坦化された表面上にレンダリングすることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0082】
(16) 前記部分的に平坦化された表面の新しい配向を示すユーザ入力を受信することと、
前記部分的に平坦化された表面が前記新しい配向に応答して配向されている状態で、前記部分的に平坦化された表面の前記画像を、前記ディスプレイにレンダリングすることと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(17) ソフトウェア製品であって、プログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、前記命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
生存している対象の身体内の空洞の内部表面の3次元(3D)マップを受信することであって、前記内部表面上の位置が、球面座標系内に画定され、各位置が、前記球面座標系の原点からの角度座標対及び関連する半径方向距離によって画定されている、受信することと、
既定の座標変換に従って、前記内部表面からのそれぞれの位置の前記角度座標対を、2次元(2D)平面内のそれぞれの場所に投影することと、
それぞれの投影された前記角度座標対と関連付けられた前記半径方向距離に少なくとも基づいて、前記それぞれの場所における前記2D平面からのそれぞれの上昇値を計算することと、
前記空洞の前記内部表面の部分的に平坦化された表面の画像を、前記それぞれの場所における計算された前記それぞれの上昇値に従って、前記部分的に平坦化された表面が前記2D平面から上昇している状態で、ディスプレイにレンダリングすることと、を行わせる、ソフトウェア製品。