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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/10 20090101AFI20240513BHJP
   H04W 56/00 20090101ALI20240513BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20240513BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240513BHJP
【FI】
H04W48/10
H04W56/00 130
H04W76/15
H04W84/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020048199
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150786
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】藤森 祐樹
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/099268(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数チャネル及び第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立することが可能な通信装置であって、
前記第1の周波数チャネルで通信を行うための情報である第1の周波数チャネル情報及び前記第2の周波数チャネルで通信を行うための情報である第2の周波数チャネル情報が含まれるBeaconフレームを送信する送信手段と、
前記送信手段によって、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信し、当該Beaconフレームに含まれる前記第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネル情報を識別可能な第1の他の通信装置と前記通信装置とが第1の周波数チャネルを介して接続を確立している間に、第2の他の通信装置と前記通信装置とが前記第2の周波数チャネルを介して接続を確立した場合、前記Beaconフレームを送信する周波数チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記第2の周波数チャネルに切り替える切り替え手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記送信手段によって、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信し、当該Beaconフレームに含まれる前記第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネル情報を識別不能な第3の他の通信装置と前記通信装置とが第1の周波数チャネルを介して接続を確立している間に、前記第2の他の通信装置と前記通信装置とが前記第2の周波数チャネルを介して接続を確立した場合、前記通信装置は前記第1の周波数チャネル及び前記第2の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信手段によって、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信し、前記第1の他の通信装置と前記通信装置とが第1の周波数チャネルを介して接続を確立している間に、前記第2の他の通信装置と前記通信装置とが前記第1の周波数チャネルを介して接続を確立した場合、前記切り替え手段によってBeaconフレームを送信する周波数チャネルを切り替えず、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信することを維持することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の周波数チャネル情報及び前記第2の周波数チャネル情報は、Multi-Link Capability ElementまたはMulti―BandElementに格納し、前記Beaconフレームに付与することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の周波数チャネルで通信を行うための情報は、前記他の通信装置が前記第1の周波数チャネルにおいて同期をとるための情報を含み、前記第2の周波数チャネルで通信を行うための情報は、前記他の通信装置が前記第2の周波数チャネルにおいて同期をとるための情報を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記同期をとるための情報はTSF(Timing Synchronization Function)であることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置はIEEE802.11be規格に準拠したアクセスポイントとして動作することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
第1の周波数チャネル及び第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立することが可能な通信装置の制御方法であって、
第1の周波数チャネルで通信を行うための情報である第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネルで通信を行うための情報である第2の周波数チャネル情報が含まれるBeaconフレームを送信する送信工程と、
前記送信工程において、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信し、前記第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネル情報を識別可能な第1の他の通信装置と前記通信装置とが第1の周波数チャネルを介して接続を確立している間に、第2の他の通信装置と前記通信装置とが前記第2の周波数チャネルを介して接続を確立した場合、前記Beaconフレームを送信する周波数チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記第2の周波数チャネルに切り替える切り替え工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1から7の何れか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信におけるBeaconを送信する周波数チャネルの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)技術は、無線LAN技術の標準化団体であるIEEE802.11により規格が策定されており、無線LAN技術の規格には、IEEE802.11/a/b/g/n/ac/axなどがある。ここでIEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。
【0003】
特許文献1に記載されている、IEEE802.11axではOFDMAにより最大9.6ギガビット毎秒(Gbps)という高いピークスループットに加え、混雑状況下での通信速度向上を実現している。なお、OFDMAは、Orthogonal Frequency-Division Multiple Accessの略である。
【0004】
更なるスループット向上のために、IEEE802.11axの後継規格として、IEEE802.11beの規格策定を行うTask Groupが発足した。
【0005】
従来、IEEE802.11のAP(Access Point)は単一の周波数チャネルを介してSTA(Station)と接続を確立し、通信を行っていた。IEEE802.11be規格では、1台のAPが2.4GHz帯、5GHz帯、及び6GHz帯を含む複数の周波数チャネルを介してSTAと接続を確立し、通信する技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-50133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IEEE802.11be規格では、複数の周波数チャネルを介してSTAと接続を確立し、通信を行うことが検討されているが、APが複数の周波数チャネルにBeaconフレームを送信する場合、消費電力と処理負荷が増大してしまう。
【0008】
そのため、Beaconフレームを代表の周波数チャネルにのみ送信することが検討されている。しかし、例えば第1の周波数チャネルにのみBeaconフレームを送信し、第1の通信装置と通信が行われている際に、第2の周波数チャネルにおいて、第2の通信装置と接続した場合、第2の通信装置はBeaconフレームを受信することができない。Beaconフレームを受信することができないと、例えば同期をとるための基本情報を取得することができず、同期がとれなくなる。また、通信装置がパワーセーブ機能を利用する場合は、上述の基本情報が得られず、パワーセーブから復帰するタイミングを知ることができないという問題が発生する恐れがある。
【0009】
そこで本発明は、複数の周波数チャネルを介した通信を行う際にBeaconフレームを受信することができない通信装置の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、第1の周波数チャネル及び第2の周波数チャネルを介して他の通信装置と接続を確立することが可能な通信装置であって、
第1の周波数チャネルを示す情報である第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネルを示す情報である第2の周波数チャネル情報が含まれるBeaconフレームを送信する送信手段と、
前記送信手段によって、前記第1の周波数チャネルに前記Beaconフレームを送信し、前記第1の周波数チャネル情報及び第2の周波数チャネル情報を識別可能な第1の他の通信装置と前記通信装置が第1の周波数チャネルを介して接続を確立している間、第2の他の通信装置と前記通信装置が前記第2の周波数チャネルを介して接続を確立した場合、前記Beaconフレームを送信する周波数チャネルを前記第1の周波数チャネルから前記第2の周波数チャネルに切り替える切り替え手段、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の周波数チャネルを介した通信を行う際にBeaconフレームを受信することができない通信装置の発生を抑制して通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】通信装置102が属するネットワークの構成を示す図である。
図2】通信装置102~106の機能構成を示す図である。
図3】通信装置102~106のハードウェア構成を示す図である。
図4】通信装置102がBeaconフレームを送信する処理に係るフローチャートである。
図5】Beaconフレームを送信する周波数チャネルを決定するフローチャートである。
図6】通信装置102がBeaconフレームを送信する周波数チャネルと決定した後に、マルチリンク通信に対応した通信装置103が接続を確立した場合のシーケンス図である。
図7】マルチリンク通信に対応した通信装置103が接続を確立し、その後マルチリンク通信非対応装置の通信装置104が接続を確立した場合のシーケンス図である。
図8】マルチリンク通信非対応装置の通信装置104が接続を確立し、その後マルチリンク通信非対応装置の通信装置105が接続を確立した場合のシーケンス図である。
図9】Multi-Link Capability Elementのフレームフォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態における通信装置102が構築するネットワーク構成を示す。通信装置102はネットワーク101を構築する役割を有するアクセスポイント(Access Point、AP)である。通信装置102と通信装置103~106を含んだネットワーク101を示している。通信装置102、通信装置103,及び106は、IEEE802.11be規格に対応しており、ネットワーク101を介してIEEE802.11be規格に準拠した通信を実行することができる。
【0015】
また、通信装置102、103、106は、複数の周波数帯のいずれかの中から、複数の周波数チャネルを介して接続を確立し、通信を行うマルチリンク(Multi-link)通信を行うことができる。複数の周波数帯とは、サブGHz帯、2.4GHz帯、3.6GHz帯、4.9及び5GHz帯、60GHz帯、及び6GHz帯を指す。例えば、通信装置102は、通信装置103と2.4GHz帯の第1の周波数チャネルを介した接続と、5GHz帯の第2の周波数チャネルを介した接続とを確立し、両方の接続を介して通信することができる。この場合に、通信装置102は、第1の周波数チャネルを介した接続と並行して、第2の周波数チャネルを介した接続を維持する。また、確立される接続をリンクと呼んでもよい。また、異なる周波数帯域の接続ではなく、同じ周波数帯域の異なる周波数チャネルを介した接続を複数確立してもよい。
【0016】
また、通信装置102、103、106は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、及び320MHzの帯域幅を使用して通信することができる。
【0017】
一方、通信装置104、105はマルチリンク通信に対応していない(以下マルチリンク通信非対応装置と呼ぶ)とする。マルチリンク通信非対応装置とは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格に対応した通信装置でもよいし、11be規格に対応しているがマルチリンク通信に対応していない通信装置であってもよい。
【0018】
本実施形態では、通信装置102、103、106は1つ以上の無線LAN制御部を備え、2つ以上の無線LAN制御部を備える場合はそれぞれの複数の周波数チャネルを用いて、同時にフレームの送受信ができるものとする。この図は一例であり、例えばさらに広範な領域に多数の通信装置を含むネットワークに対して、また様々な通信装置の位置関係に対して、以下の議論に適応可能であり、これに限定されない。
【0019】
図2は、本実施形態における通信装置102~106の機能構成を示す。通信装置102~106は、無線LAN制御部201、208、フレーム生成部202、無線LAN管理部203、UI(User Interface)制御部204、及び無線アンテナ207、209を備える。
【0020】
無線LAN制御部201、208は、他の通信装置との間で無線信号の送受信を行うための回路、及び回路を制御するためのプログラムを含んで構成される。無線LAN制御部201、208は、IEEE802.11シリーズ規格に従って、後述のフレーム生成部202で生成されたフレームを基に無線通信の制御を行う。無線LAN制御部201、208はそれぞれ2.4GHz帯、5GHz帯、及び6GHz帯における他の通信装置との無線信号を制御する。
【0021】
無線LAN制御部の数は2つに限らず、1つもしくは3つ以上でも構わず、これに限定されない。無線LAN制御部が1つの場合は、1つの無線LAN制御部で複数周波数チャネルのフレームを送受信に対応できるように時分割して利用してもよい。無線アンテナは無線LAN制御部の数に応じて有するものとする。
【0022】
フレーム生成部202は、無線LAN制御部201、208の少なくとも1つで送信する無線LAN制御フレームを生成する。フレーム生成部が生成する無線LAN制御フレームは後述の記憶部301に記憶されている設定に基づいて生成されてもよい。また、これに加えて、あるいは代えて、ユーザによって入力されたユーザ設定に基づいて生成されてもよい。
【0023】
無線LAN管理部203では、通信装置102~106が対応している周波数チャネルを管理する。例えば無線LAN制御部201が2.4GHz帯、無線LAN制御部208が6GHz帯に対応している場合、その旨を管理し、フレーム生成部202に共有する。
【0024】
また、通信装置102は、無線LAN管理部203において、現在接続を確立している通信装置の接続状況を管理する。接続状況には、どの周波数チャネルで何台の通信装置が接続されているか、及び接続を確立している通信装置がマルチリンク通信非対応装置か否かの情報が含まれる。各無線LAN制御部がどの周波数チャネルに対応できるかは後述の通信部306、無線アンテナ307、308によって決定され、さらに記憶部301に保存されている設定によって制約を課してもよい。また、UI制御部204からのユーザの設定によって変更してもよい。
【0025】
UI制御部204は、ユーザによる通信装置に対する操作を受け付けるためのタッチパネル又はボタン等のUIに関わるハードウェア及びそれらを制御するプログラムを含んで構成される。なお、UI制御部204は、例えば、画像等の表示、又は音声出力等の情報をユーザに提示するための機能も有する。
【0026】
図3は、本実施形態における通信装置102~106のハードウェア構成を示す。通信装置102は記憶部301、制御部302、機能部303、入力部304、出力部305、通信部306、及び無線アンテナ307、308を備える。
【0027】
記憶部301は、ROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryのそれぞれ略である。なお、記憶部301として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部が複数のメモリ等を備えていてもよい。
【0028】
制御部302は、例えばCPUやMPU等のプロセッサ、ASIC、DSP、FPGA等により構成される。CPUはCentral Processing Unitの、MPUはMicro Processing Unitの、ASICはApplication Specific integrated Circuitのそれぞれ略である。また、DSPはDigital Signal Processorの、FPGAはField Programmable Gate Arrayのそれぞれ略である。
【0029】
制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムを実行することによりAP、STA全体を制御する。なお、制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムとOS(Operating System)との協働によりAP、STA全体を制御するようにしてもよい。
【0030】
また、制御部302は、機能部303を制御して、撮像や印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部303は、AP、STAが所定の処理を実行するためのハードウェアである。例えば、AP、STAがカメラである場合、機能部303は撮像部であり、撮像処理を行う。また、例えば、AP、STAがプリンタである場合、機能部303は印刷部であり、印刷処理を行う。また例えば、AP、STAがプロジェクタである場合、機能部303は投影部であり、投影処理を行う。機能部303が処理するデータは、記憶部301に記憶されているデータであってもよいし、後述する通信部306を介して他のAP、STAと通信したデータであってもよい。
【0031】
入力部304は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部305は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部305による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。なお、タッチパネルのように入力部304と出力部305の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部304及び出力部305は、それぞれ通信装置102と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0032】
通信部306は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御を行う。通信部306は、アンテナ307~308を制御して、制御部302によって生成された無線通信のための信号の送受信を行う。なお、通信装置102が、11be規格に加えて、NFC(Near Field Communication)規格やBluetooth(登録商標)規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、通信装置102が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、それぞれの通信規格に対応した通信部とアンテナを個別に有する構成であってもよい。通信装置102は通信部306を介して、画像データや文書データ、映像データ等のデータを通信装置103、104、105,106と通信する。なお、アンテナ307、308の少なくとも1つは、通信部306と一体であってもよいし、別体であってもよい。さらに、アンテナ307,308は、MIMO(Multi-Input and Multi-Output)送受信を実行するために、物理的に1本以上のアンテナで構成されてもよい。
【0033】
また、通信装置102~106は外部電源または内蔵バッテリーを介して供給される電力を用いて各部を動作させる。
【0034】
図4は、通信装置102の記憶部301に記憶されているプログラムを制御部302が実行することによって行われる処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートはBeaconフレームを送信する処理の流れを示す。
【0035】
本実施形態は、通信装置102の電源をONにしたとき、または通信装置102の無線LAN機能をONにしたときなど、無線LAN機能を開始する際にこのフローチャートが開始される。
【0036】
まず、通信装置102はどの周波数チャネルでBeaconフレームを送信するかをBeaconフレーム送信チャネル決定処理(S401)で決定する。
【0037】
通信装置102の無線LAN管理部203において管理されるAPが対応している周波数チャネルの情報に基づいてBeaconフレームを送信する周波数チャネルが決定される。例えば無線LAN制御部201が2.4GHz帯、無線LAN制御部208が5GHz帯に対応している場合、通信装置102は2.4GHz帯の周波数チャネル1つと5GHz帯の周波数チャネル1つを利用することができる。また、2.4GHz帯の周波数チャネル2つ及び5GHz帯の周波数チャネル2つを利用することもできる。
【0038】
また、通信装置102は無線LAN管理部203で管理される通信装置102に接続を確立している通信装置の接続状況に応じてBeaconフレームを送信する周波数チャネルを決定することができる。これについては図5を用いて後述する。
【0039】
通信装置102は、Beaconフレーム送信する周波数チャネルを決定した後、Beaconフレーム Interval周期で、決定した周波数チャネルにBeaconフレームを送信する処理を開始する(S402)。Beaconフレーム Intervalは、ここでは100ミリ秒とするがこれに限定されない。
【0040】
S403において、通信装置102は周波数チャネルの利用状態を監視し、周波数チャネルの利用状態が変化した場合はS401の処理に戻る。周波数チャネルの利用状態が変化せず、S404において、処理を終了すると判定されない限りS403を繰り返し実行し、その間BeaconフレームはS402で送信開始した周波数チャネルにおいて送信が維持される。
【0041】
通信装置102と他の通信装置との接続状況に変化があった場合において、周波数チャネルの利用状態は変化しうる。本実施形態では、新規通信装置の接続を周波数チャネル利用状態の変化例として説明するが、既に接続が確立されていた他の通信装置との接続が切断されたことを周波数チャネル利用状態の変化としてもよい。
【0042】
また、ユーザ入力によって利用可能な周波数チャネルが変更されたとき、周囲の無線チャネルの混雑状況が変化したことが通信装置102によって検知されたときに変化しうるため、それを契機にS401の処理に戻ってもよい。
【0043】
S404において、通信装置102の電源をOFFにしたとき、または通信装置102の無線LAN機能をOFFにしたときなど、無線LAN機能を終了する際に処理が終了する。
【0044】
マルチリンク通信において、接続する複数の周波数チャネル全てにBeaconフレームを送信すると消費電力や処理負荷が増大してしまう。すなわち、通信部306に供給すべき電力が増大し、また制御部302は並行して行うべき処理が増大する。そのため、複数の周波数チャネルの中から代表チャネルを選択し、代表チャネルに代表チャネルの情報だけでなく、その他の周波数チャネル(非代表チャネル)の情報も含めてBeaconフレームを送信する。ここで、代表チャネルはPrimary CHと呼んでもよい。これにより、通信装置102と接続を確立している各通信装置は、代表チャネルのBeaconフレームから非代表チャネルの情報を併せて取得することができる。取得される情報は通信装置との同期をとるためのTSF情報や各通信装置宛の送信データが待機されているかを意味するTIM情報などが含まれるがこれに限定されない。ここで、TSFはTiming Synchronization Functionの、TIMはTraffic Indication Mapのそれぞれ略である。
【0045】
Beaconフレームに含める周波数チャネルの情報は、Beaconフレームの送信を行っている周波数チャネル以外の情報のみを含めてもよい。例えば2.4GHz帯で送信されるBeaconフレームには、5GHz帯の周波数チャネル情報のみを含め、5GHz帯で送信されるBeaconフレームには、2.4GHz帯の周波数チャネル情報のみを含めてもよい。同じ5GHz帯で複数のチャネルを利用可能とする場合には、同一の周波数帯で異なるチャネルが利用できる旨を通知するために、同一周波数帯の周波数チャネル情報を含めてもよい。
【0046】
周波数チャネル情報はBeaconフレームだけでなく、通信装置102が送信するProbe Response、Association Response、Reassociation Responseに付与してもよい。また、マルチリンク通信対応装置の通信装置103、106も自身の利用可能周波数情報をProbe Request、Association Request、Reassociation Requestに含んで通信装置102に通知してもよい。
【0047】
各周波数チャネル情報はMulti-Link Capability Elementのようなマルチリンク通信対応の情報要素に格納し、Beaconフレームに付与することができる。また、Multi―BandElementのような既存の情報要素を拡張して格納してもよく、同様の方法であればこれに限定されない。
【0048】
図9に、Multi-Link Capability Elementのフレームフォーマットの一例を示す。なお、本実施形態では、図9に示したElementの名称をMulti-Link Capability Elementとしているが、これに限らず、例えばMulti-Link Elementなど、他の名称であってもよい。
【0049】
通信装置102、103、及び106は、図9に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、自装置のマルチリンク通信における能力を示す能力情報を相手装置に通知することができる。通信装置102は受信した能力情報から通信装置がマルチリンク通信対応装置であることを検知する。
【0050】
Multi-Link Capability ElementのフレームはElement ID901、Length902、ML Capabilities903から構成される。ML Capabilities903には、Common Info904、Per Band Info905、及びPer Link Info906が含まれる。ここでCommon Info904は、すべての周波数帯とリンクに共通の情報を示すフィールドである。また、Per Band Info905は、特定の周波数帯に含まれる全リンクに共通の情報を示すフィールドで、周波数帯ごとに示される情報が含まれる。さらに、Per Link Info906は、リンクごとの情報を示すフィールドで、リンクごとに示される情報が含まれる。
【0051】
Common Info904に含まれるPrimary CH907は,マルチリンク通信に関するマネジメントフレームの送受信を行う周波数チャネルを示す情報が含まれるフィールドである。マネジメントフレームにはBeaconフレーム、Probe Requestフレーム/Responseフレーム、Association Requestフレーム/Responseフレーム、Actionフレームなどを指す。
【0052】
該Elementによって能力情報を示す場合、Per Link Info906は、該Elementの送信装置がマルチリンク通信をサポートしている周波数チャネルについての情報を示す。この場合、Per Link Info906のセットは、該Elementの送信装置がマルチリンク通信をサポートしているチャネルの数分含まれることになる。本実施形態において、例えば通信装置102が2.4GHz帯の1CHと5GHz帯の3CHと対応している場合、Per Link Info906には2.4GHz帯の1CHのフィールドと5GHz帯の3CHのフィールドの2つのフィールドが含まれる。また、Beaconフレームに含まれる周波数チャネル情報は、Per Link Info906に含まれる情報であり、Beaconフレームに含まれる周波数チャネル情報で示される周波数チャネルにおいて通信を行うための情報を示す。マルチリンク通信対応装置はPer Link Info906に含まれる情報を識別可能だが、マルチリンク通信非対応装置は識別不能である。
【0053】
Per Link Info906に含まれる Link ID908は、リンクを識別するための識別子を含むフィールドである。
【0054】
また、Per Link Info906に含まれるBand ID909は、周波数帯を識別する情報を含むフィールドである。例えばBand ID909に値として0、1、2と、それに対応する周波数帯として2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯が含まれていたとする。このとき例えばBand ID909に値として0が示された際は、Band ID909を含むPer Link Info906は2.4GHz帯におけるマルチリンク通信のLinkに共通の情報を示す情報であることになる。なお、Band ID908に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。また、Band ID908のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯を示せるようにしてもよい。
【0055】
Bandwidth910は、Link ID908で示されたリンクにおける帯域幅を示す情報を含むフィールドである。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID908で示されたリンクにおいてサポートする帯域幅を示す。Bandwidth910は、Band ID909で示された周波数帯において、通信装置がサポートする帯域幅を示す能力情報を含むフィールドである。例えば、Bandwidth910に値として0、1、2が含まれており、それに対応する周波数帯域幅が20MHz幅、40MHz幅、80MHz幅が含まれていたとする。このとき例えば、Band ID909に値として0が示された際は、Multi-Link Capability Elementの送信装置が、Band ID909が示された周波数帯においてサポートする帯域幅は20MHzであることが示される。なお、Bandwidth910の値が1以上の場合、Multi-Link Capability Elementの送信装置は、マルチリンク通信のリンクを確立する際に、その値以下の帯域幅の何れもサポートすることができる。例えばBandwidth910の値として2が示された際は、送信装置は、リンクの帯域幅として、20MHz、40MHz、および80MHzの何れもサポートする。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのリンクのみの通信においてサポートする帯域幅と、マルチリンク通信においてサポートする帯域幅が異なってもよい。
【0056】
CH911は、Link ID908で示されたリンクの周波数チャネルを示す情報を含むフィールドである。本フィールドには、チャネルを示す数がそのまま含まれてもよい。あるいは、CH911に値として0、1、2が含まれ、それに対応するCHとして1CH、2CH、3CHのようにチャネルが表示されてもよい。例えばCH911に値として0が示された際は、1CHに対応していることを示す。なお、CH911に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。
【0057】
図5を用いて、通信装置102の記憶部301に記憶されているプログラムを制御部302が実行することによってS401のBeaconフレームを送信する周波数チャネルを決定する際の処理の流れについて説明する。
【0058】
まずS501で通信装置102は、通信装置102と接続を確立している通信装置の有無を判定する。なお、通信装置の接続状況は無線LAN管理部203において管理される。S501で接続を確立している通信装置がないと判定された場合、S502においてBeaconフレームを送信する周波数チャネルを決定する。ここでは、通信装置102のデフォルト設定もしくはユーザ入力による設定、周囲の無線環境に応じた設定を行うことができる。S502でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを決定したら終了する。
【0059】
また、S502において、通信装置102はユーザの設定に応じて、ユーザが設定した複数の周波数チャネルのみでBeaconフレームを送信するように変更したり、各リンクで使用するチャネルを決定したりしてもよい。ユーザの入力がない場合は記憶部301に保持されたデフォルトの設定を利用する。
【0060】
さらに、周囲の無線環境の混雑状況によってBeaconフレームを送信する周波数チャネルを決定してもよい。混雑状況を調査する方法として、周波数帯において、Probe Requestを送信して応答のあるProbe Responseの数を集計する方法や、一定期間に受信されるBeaconフレームの数を集計することが考えられる。また、一定期間のキャリアセンスの回数を集計する方法や、他の通信装置と情報交換する方法など考えられるが、これに限定されない。
【0061】
S501で接続を確立している通信装置があると判定された場合、S503で接続を確立している通信装置が1台のみかを判定する。なお、通信装置の接続台数も無線LAN管理部203において管理される。
【0062】
S503において接続を確立している通信装置が1台のみと判定された場合は、S504ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルによる接続かを判定する。S504ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルでの接続と判定された場合、S505でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを維持し終了する。S504ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルでの接続ではないと判定された場合、S506でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを通信装置が接続を確立した周波数チャネルに切り替えて終了する。Beaconフレームを送信している周波数チャネルによる接続でない場合は、例えば、通信装置102が5GHz帯でBeaconフレームを送信している際に、通信装置103が2.4GHz帯において接続が確立した場合を示す。この場合、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを2.4GHz帯に決定する。なお、S506でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを通信装置103が接続を確立した周波数チャネルに切り替える際に、もともとBeaconフレームを送信していた周波数チャネルでのBeaconフレーム送信を維持してもよい。この場合、2つの周波数チャネルでBeaconフレーム送信が行われる。
【0063】
S503で接続を確立している通信装置が2台以上であると判定された場合、S507ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルによる接続かを判定する。S507ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルでの接続と判定された場合、S508でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを維持し終了する。S507ですでにBeaconフレームを送信している周波数チャネルでの接続ではないと判定された場合、S509でBeaconフレームを送信している周波数チャネルを介してマルチリンク通信非対応装置が接続を確立しているかどうかを判定する。なお、接続を確立している通信装置がマルチリンク通信非対応装置であるか否かも無線LAN管理部203において管理される。S509でマルチリンク通信非対応装置を含むと判定された場合S510でBeaconフレームを送信する周波数チャネルを両方の周波数チャネルに切り替えて終了する。例えば通信装置102が2.4GHzにおいてBeaconフレームを送信している際に、2.4GHzにおいてマルチリンク通信非対応装置と接続を確立した場合を示す。このとき、5GHzにおいてもマルチリンク通信非対応装置が接続を確立した場合は、両方の周波数チャネルでBeaconフレームを送信する。さらに、5GHzにおいてマルチリンク通信に対応している機器と接続を確立した場合も同様である。
【0064】
S509でマルチリンク通信非対応装置を含まないと判定された場合、S511で周波数チャネルを2台目以降の通信装置が接続を確立した周波数チャネルに切り替えて終了する。例えば通信装置102が2.4GHz帯においてBeaconフレームを送信している際に、2.4GHz帯においてマルチリンク通信に対応している機器と接続を確立した場合について示す。このとき、5GHz帯においてマルチリンク通信非対応装置が接続を確立した場合は、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを2.4GHz帯から5GHz帯に切り替える。また、5GHz帯において接続を確立した通信装置がマルチリンク通信に対応している機器であっても同様である。
【0065】
このように、片方の周波数チャネルにBeaconフレームを送信する場合は、通信装置の消費電力を低減しつつ、Beaconフレームを受信することができない通信装置が発生しないように通信を行うことができる。すなわち、通信部306へは一方の周波数チャネルにBeaconフレームを送信するために必要な電力を供給すればよいので複数の周波数チャネルにBeaconフレームを送信する場合に比べ消費電力を低減させることができる。また制御部302は並行して複数の周波数チャネルにBeaconフレームを送信するための処理を行う必要がないため処理負荷が軽減される。そしてこの状況下においてマルチリンク通信非対応装置がBeaconフレームを受信できるようになるので、このような機器がこのBeaconフレームに従って適切に通信を行い、Beaconフレームに従った処理を実行可能になる。
【0066】
以下の図6図8を用いて、図5のフローチャートの処理の具体例を説明する。
【0067】
図6は、通信装置102が2.4GHz帯の周波数チャネルを、Beaconフレームを送信する周波数チャネルと決定した後に、マルチリンク通信に対応した通信装置103が5GHzにおいて接続を確立する場合のシーケンス図である。
【0068】
通信装置102は起動後にS502において、2.4GHz帯を、Beaconフレームを送信する周波数チャネルとして決定し、S402においてBeaconフレームの送信を開始する(M6011)。これにより通信装置103は、2.4GHz帯でBeaconフレームを受信し始める。このBeaconフレームには2.4GHz帯の周波数チャネル情報だけでなく5GHz帯の周波数チャネルに関する情報も含まれている。そのため、通信装置103は通信装置102が、2.4GHz帯及び5GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うことが可能であることを識別することができる。すなわち、通信装置103は、2.4GHz帯において、Beaconフレームを受信することで、通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うことが可能であることを検知する。通信装置103は、5GHz帯において、Probe Requestフレームをブロードキャスト送信する(M6021)と、通信装置102は5GHz帯の周波数チャネルにおいて、Probe Requestフレームを受信することができる。通信装置102は受信したProbe Requestフレームに対してProbe Responseフレームを送信する(M6022)。これにより、通信装置103は通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うことが可能であることを検知する。ここで、Beaconフレームを受信することで通信可能な周波数チャネル情報を十分に受信できている場合は、Probe Requestフレーム及びProbe Responseフレームを省略することもできる。
【0069】
通信装置103は、5GHz帯で通信装置102と接続を確立する場合、Association Requestフレームを送信する(M6023)。通信装置102は受信したAssociation Requestフレームに対して、Association Responseフレームを送信する(M6024)。これにより、通信装置103と通信装置102は5GHz帯の周波数チャネルを介して接続が確立される。
【0070】
この接続を契機に通信装置102において、S403で周波数チャネルの利用状態が変化したと判定され、S401の処理に戻る。通信装置102は、2.4GHz帯の周波数チャネルでBeaconフレームを送信していたが、5GHz帯に通信装置が接続されたことを検知し、S506において5GHz帯の周波数チャネルでBeaconフレームを送信するように切り替える。
【0071】
この切り替えによって、通信装置103は5GHz帯の周波数チャネルでのみBeaconフレームを監視すればよい。そのため、2.4GHz帯の周波数チャネルでBeaconフレームを受信しつつ、5GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うよりも低消費電力、低処理負荷で通信を維持することができる。また、通信装置102においても、2.4GHz帯及び5GHz帯の周波数チャネルにBeaconフレームを送信する場合と比較して、低消費電力、低処理負荷で通信を維持することができる。
【0072】
通信装置102はBeaconフレームを送信する周波数チャネルの切り替えを通知するために、Beaconを送信している周波数チャネルでActionフレーム(M6012)を送信してもよい。また、通信装置102はM6022を送信する際、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを2.4GHz帯と設定していたが、M6024を送信する際に、周波数チャネルを5GHz帯に切り替えて通信装置103に通知してもよい。この場合、M6023受信時点で、S403で周波数チャネルの利用状態の変化を検出したとし、S401の処理に戻りBeaconフレームを送信する周波数チャネルを5GHz帯に変更する。M6024フレームの周波数チャネル情報を2.4GHz帯から5GHz帯に更新することができる。
【0073】
Beaconフレームを送信する周波数チャネルを切り替えた通信装置102は、切り替えた周波数チャネルにおいて、Beaconフレームの送信を維持する(M6025)。
【0074】
なお、本実施形態では通信装置103はマルチリンク通信に対応している通信装置であるが、マルチリンク通信非対応装置である通信装置104と接続が確立した場合も同様の処理で対応が可能である。
【0075】
図7は、通信装置102とマルチリンク通信に対応した通信装置103が接続を確立し、その後通信装置102とマルチリンク通信非対応装置の通信装置104が接続を確立した場合のシーケンス図である。例として、通信装置102が、2.4GHz帯の周波数チャネルを、Beaconフレームを送信する周波数チャネルと決定した後に、通信装置103が2.4GHz帯で接続を確立し、その後通信装置104が5GHz帯で接続を確立した場合を示す。
【0076】
通信装置102は起動後にS502において、2.4GHz帯を、Beaconフレームを送信する周波数チャネルとして決定し、S402においてBeaconフレームの送信を開始する(M7011)。通信装置103は、2.4GHz帯の周波数チャネルでBeaconを受信し始める。このBeaconフレームには5GHz帯の周波数チャネル情報も含まれているため、通信装置103は通信装置102が、2.4GHz帯及び5GHz帯の周波数チャネルを介して通信することが可能であることを識別できる。すなわち、通信装置103は、2.4GHz帯において、Beaconフレームを受信することで、通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うことが可能であることを検知する。通信装置103は、2.4GHz帯において、Probe Requestフレームをブロードキャスト送信する(M7012)と、通信装置102は2.4GHz帯の周波数チャネルにおいてProbe Requestフレームを受信することができる。通信装置102は受信したProbe Requestフレームに対してProbe Responseフレームを送信する(M7013)。これにより、通信装置103は2.4GHz帯において通信装置102のBeaconフレームを受信することで、通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルにおいて通信を行うことが可能であることを検知する。
【0077】
通信装置103は、2.4GHz帯で通信装置102と接続を確立する場合、Association Requestフレームを送信する(M7014)。通信装置102は受信したAssociation Requestフレームに対して、Association Responseフレームを送信する(M7015)。これにより、通信装置103と通信装置102が2.4GHz帯の周波数チャネルを介して接続が確立される。
【0078】
この接続を契機に通信装置102において、S403で周波数チャネル利用状態が変化したと判定され、S401処理に戻る。通信装置102は、2.4GHz帯に通信装置が接続を確立したことを検知するが、S505において継続的に2.4GHz帯の周波数チャネルにおいてBeaconフレームを送信してよいと判断し、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを維持する。
【0079】
一方、マルチリンク通信非対応装置である通信装置104は、5GHz帯においてProbe Requestフレームをブロードキャスト送信する(M7021)。このとき、通信装置102は5GHz帯の周波数チャネルにおいてProbe Requestフレームを受信することができる。通信装置102は受信したProbe Requestフレームに対してProbe Responseフレームを送信する(M7022)。これにより、通信装置104は通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルにおいて通信を行うことが可能であることを検知する。
【0080】
通信装置104は5GHz帯において通信装置102と接続を確立する場合、Association Requestフレームを送信する(M7023)。通信装置102は受信したAssociation Requestフレームに対して、Association Responseフレームを送信する(M7024)。これにより、通信装置104は通信装置102と5GHz帯の周波数チャネルを介して接続が確立される。
【0081】
この接続を契機に通信装置102において、S403で周波数チャネル利用状態が変化したと判定され、S401処理に戻る。通信装置102は、2.4GHz帯の周波数チャネルにおいてBeaconフレームを送信していたが、5GHz帯に1台の通信装置が接続を確立したことに基づき、5GHz帯の周波数チャネルにおいてBeaconフレームを送信するように切り替える。
【0082】
この切り替えによって、通信装置104は接続を確立した5GHz帯の周波数チャネルでのみBeaconフレームを監視すればよい。
【0083】
通信装置102はBeaconフレームを送信する周波数チャネルの切り替えを通知するために、Beaconフレームを送信していた周波数チャネルでActionフレーム(M7016)を送信してもよい。通信装置102は、Beaconフレームを送信する周波数チャネルにおいてBeaconフレームの送信を維持する(M7025)。Actionフレーム(M7016)を受信した通信装置103は、Beaconフレームの監視を2.4GHz帯から5GHz帯に切り替えることで通信装置102との通信を継続することができる。
【0084】
また、通信装置103がマルチリンク通信に対応しているが、2.4GHz帯を介してのみ接続を確立している場合、2.4GHz帯から5GHz帯にBeaconフレームを送信する周波数チャネルを切り替えるので、通信装置103の通信は切断される。しかし、通信装置103は、Beaconフレームの周波数チャネル情報から通信装置102が5GHz帯においても接続を確立することが可能であることを検知しているので、通信装置103は、5GHz帯において接続要求をすることもできる。
【0085】
図8は、通信装置102とマルチリンク通信非対応装置の通信装置104が接続を確立し、その後通信装置102とマルチリンク通信非対応装置の通信装置105が接続を確立した場合のシーケンス図である。例として、通信装置102が、2.4GHz帯の周波数チャネルを、Beaconフレームを送信する周波数チャネルとして決定した後に、通信装置104が2.4GHz帯で接続を確立し、その後通信装置105が5GHz帯で接続を確立した場合を示す。
【0086】
通信装置102は起動後にS502処理で2.4GHz帯を、Beaconフレームを送信する周波数チャネルとして決定し、S402においてBeaconフレームの送信を開始する(M8011)。通信装置104は、2.4GHz帯の周波数チャネルでBeaconフレームを受信し始める。このBeaconフレームには2.4GHz帯の周波数チャネル情報だけでなく5GHz帯の周波数チャネル情報も含まれる。しかし、通信装置104はマルチリンク通信非対応装置であるため、通信装置102が2.4GHz帯及び5GHz帯の周波数チャネルを介して通信することを識別することができない。この状況下で通信装置104が2.4GHz帯においてProbe Requestフレームをブロードキャスト送信する(M8012)。通信装置102は2.4GHz帯の周波数チャネルにおいて、Probe Requestフレームを受信することができる。通信装置102は受信したProbe Requestフレームに対してProbe Responseフレームを送信する(M8013)。これにより、通信装置104は通信装置102が2.4GHz帯の周波数チャネルを介して通信を行うことが可能であることを検知する。
【0087】
通信装置104は2.4GHz帯で通信装置102と接続を確立する場合、Association Requestフレームを送信する(M8014)。通信装置102は受信したAssociation Requestフレームに対してAssociation Responseフレームを送信する(M8015)。これにより、通信装置104は通信装置102と2.4GHz帯の周波数チャネルを介して接続が確立される。
【0088】
この接続を契機に通信装置102において、S403で周波数チャネルの利用状態が変化したと判定され、S401処理に戻る。通信装置102は2.4GHz帯に通信装置が接続を確立したことを検知するが、S505において継続的に2.4GHz帯の周波数チャネルにおいてBeaconフレームを送信してよいと判断し、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを維持する。
【0089】
一方、通信装置105は5GHz帯においてProbe Requestフレームをブロードキャスト送信する(M8021)と、通信装置102は5GHz帯の周波数チャネルにおいてProbe Requestフレームを受信することができる。通信装置102は受信したProbe Requestフレームに対してProbe Responseフレームを送信する(M8022)。これにより、通信装置105は通信装置102が5GHz帯の周波数チャネルにおいて通信を行うことが可能であることを検知する。
【0090】
通信装置105は5GHz帯で通信装置102と接続を確立する場合Association Requestフレームを送信する(M8023)。通信装置102は受信したAssociation Requestフレームに対してAssociation Responseフレームを送信する(M8024)。これにより、通信装置105は通信装置102と5GHz帯の周波数チャネルを介して接続が確立される。
【0091】
この接続を契機に通信装置102において、S403で周波数チャネル状態が変化したと判定され、S401処理に戻る。通信装置102は、2.4GHz帯及び5GHz帯の周波数チャネルにおいて、マルチリンク通信非対応装置と接続が確立されたことを検知する。これにより、S510において2.4GHz帯の周波数チャネル及び5GHz帯の周波数チャネルにおいてBeaconフレームを送信するように切り替える。
【0092】
この切り替えによって、通信装置104、105は接続を確立したそれぞれの周波数チャネルでのみBeaconフレームを監視すればよい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の通信装置102は、Beaconフレームを送信する周波数チャネルを切り替えることにより、Beaconフレームを受信することができない通信装置の発生を抑制することが可能になる。
【0094】
尚、上述の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置のコンピュータ(CPU、MPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行するようにしてもよい。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述の実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は上述の装置を構成することになる。
【0095】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0096】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行い、上述の機能を実現してもよい。OSとは、Operating Systemの略である。
【0097】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込む。そして、そのプログラムコードの指示に基づき、機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUが実際の処理の一部または全部を行い、上述の機能を実現してもよい。
【0098】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0099】
301 記憶部
302 制御部
303 機能部
304 入力部
305 出力部
306 通信部
307 無線アンテナ
308 無線アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9