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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20240513BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240513BHJP
   G01N 21/33 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C02F1/32
G01N21/59 Z
G01N21/33
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020069994
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021164913
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
(72)【発明者】
【氏名】有村 良一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 法光
(72)【発明者】
【氏名】毛受 卓
(72)【発明者】
【氏名】城田 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小城 和高
(72)【発明者】
【氏名】金谷 道昭
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄
(72)【発明者】
【氏名】牧瀬 竜太郎
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-029821(JP,A)
【文献】実開昭51-040098(JP,U)
【文献】特開2006-337106(JP,A)
【文献】特開2006-153739(JP,A)
【文献】特開2015-054281(JP,A)
【文献】特開2019-193917(JP,A)
【文献】特開2017-049194(JP,A)
【文献】特開2018-160659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/32
B01J 19/08
G01N 21/59
G01N 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水が導入される処理槽と、
前記処理槽の内部に設けられ、前記処理槽に導入された前記処理水に対して紫外線を照射する紫外線照射部材と、
前記処理槽に導入された前記処理水の水質の変動を監視する光学モニタと、
を備え、
前記光学モニタは、
前記処理槽の内側に挿入される挿入部と、前記処理槽の外側に露出する露出部と、を有し、内部に密閉可能な空間が設けられる筐体と、
前記紫外線照射部材からの前記紫外線を前記密閉可能な空間内に通過させるように前記挿入部に設けられた窓と、
前記窓を通過した前記紫外線を検出するように前記露出部に設けられたセンサと、
前記密閉可能な空間内の空気の露点を前記処理水の温度以下に降下させるように前記露出部に設けられ、前記密閉可能な空間を冷却することで前記密閉可能な空間内の空気の露点を前記処理水の温度以下に降下させる冷却ブロックを含む露点降下構造と、
を含む、紫外線照射装置。
【請求項2】
前記冷却ブロックは、前記密閉可能な空間内の熱を前記筐体外の液体に移動させることで前記密閉可能な空間を冷却する液冷ブロックを含む、
請求項に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記冷却ブロックは、前記密閉可能な空間内の熱を前記筐体外の空気に移動させることで前記密閉可能な空間を冷却する空冷ブロックを含む、
請求項に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記冷却ブロックは、プレートと、当該プレートの表面に設けられたフィンと、を有するヒートシンクを含む、
請求項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記冷却ブロックは、前記密閉可能な空間内の熱を吸収し前記筐体外に放出する吸熱素子を含む、
請求項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
処理水が導入される処理槽と、
前記処理槽の内部に設けられ、前記処理槽に導入された前記処理水に対して紫外線を照射する紫外線照射部材と、
前記処理槽に導入された前記処理水の水質の変動を監視する光学モニタと、
を備え、
前記光学モニタは、
前記処理槽の内側に挿入される挿入部と、前記処理槽の外側に露出する露出部と、を有し、内部に密閉可能な空間が設けられる筐体と、
前記紫外線照射部材からの前記紫外線を前記密閉可能な空間内に通過させるように前記挿入部に設けられた窓と、
前記窓を通過した前記紫外線を検出するように前記露出部に設けられたセンサと、
前記密閉可能な空間内の空気の露点を前記処理水の温度以下に降下させるように前記露出部に設けられ、前記密閉可能な空間内に乾燥した空気を受け入れる吸気口と、前記密閉可能な空間内から空気を排出する排気口とを含む露点降下構造と、
を含む、紫外線照射装置。
【請求項7】
処理水が導入される処理槽と、
前記処理槽の内部に配置され、前記処理槽に導入された処理水に対して紫外線を照射する複数の紫外線ランプと、
前記処理槽内に一部が設置され、それぞれが前記複数の紫外線ランプの一つが照射する紫外線を検出するための複数の光学モニタと、
を備え、
前記複数の光学モニタのそれぞれは、
前記一つの紫外線ランプに対向する側に設けられ、当該一つの紫外線ランプからの紫外線を内部空間に通過させるための窓と、
前記窓を通過した前記紫外線を検出するセンサと、
前記内部空間を冷却することで当該内部空間の空気の露点を前記処理水の温度以下に降下させるための露点降下構造と、
を含む、
紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置、および光学モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理水に紫外線を照射することで殺菌、消毒および脱色処理などを行う紫外線照射装置が知られている。紫外線照射装置には、処理水の水質の変動を監視するための光学モニタが設けられることがある。光学モニタは、たとえば、密閉可能な空間を内部に構成する筐体と、監視対象(処理水)からの光を密閉可能な空間内に通過させるように筐体に設けられた窓と、当該窓を通過した光を検出するように筐体に設けられたセンサと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-153739号公報
【文献】特開2001-66244号公報
【文献】特開平9-281100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光学モニタにおいては、監視対象と筐体内の空間との温度差により、結露が発生することがある。たとえば、紫外線照射装置に用いられる光学モニタにおいて、監視対象である処理水は、外気よりも温度が低いので、窓に結露が発生しやすい。窓に結露が発生すると、センサが光を正しく検出できなくなるので、光学モニタの性能が低下する。
【0005】
そこで、実施形態の課題の一つは、結露に起因する光学モニタの性能の低下を抑制することが可能な紫外線照射装置、および光学モニタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の紫外線照射装置は、処理槽と、紫外線照射部材と、光学モニタと、を備える。処理槽には、処理水が導入される。紫外線照射部材は、処理槽の内部に設けられ、処理槽に導入された処理水に対して紫外線を照射する。光学モニタは、処理槽に導入された処理水の水質の変動を監視する。光学モニタは、筐体と、窓と、センサと、露点降下構造と、を含む。筐体は、処理槽の内側に挿入される挿入部と、処理槽の外側に露出する露出部と、を有している。筐体の内部には、密閉可能な空間が設けられている。窓は、紫外線照射部材からの紫外線を密閉可能な空間内に通過させるように挿入部に設けられている。センサは、窓を通過した紫外線を検出するように露出部に設けられている。露点降下構造は、密閉可能な空間内の空気の露点を処理水の温度以下に降下させるように露出部に設けられ、密閉可能な空間を冷却することで密閉可能な空間内の空気の露点を処理水の温度以下に降下させる冷却ブロックを含む
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置を用いた水処理システムによる被処理水の処理手順の概要を示した模式的な図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置の外観を示した模式的な斜視図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置の模式的な第1の断面図である。
図4図4は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置の模式的な第2の断面図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる光学モニタの模式的な断面図である。
図6図6は、第2実施形態にかかる光学モニタの模式的な断面図である。
図7図7は、第3実施形態にかかる光学モニタの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示のいくつかの実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
<実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置100(図2など参照)を用いた水処理システムによる被処理水の処理手順の概要を示した模式的な図である。
【0010】
図1に示されるように、第1実施形態にかかる水処理システムでは、まず、S1の取水工程において、川、伏流水、湖または地下水などから、原水が取水される。そして、S2の凝集沈殿工程において、S1で取水された原水が凝集沈殿槽に導入され、導入された原水に凝集剤が添加される。そして、S3の活性炭濾過工程において、S2の凝集沈殿工程を経た原水のうちの上澄み水が抽出され、活性炭濾過槽に送られて、上澄み水から異物が濾過される。
【0011】
そして、S4のUV消毒工程において、S3の活性炭濾過工程を経た水(以下、処理水Wと表現する)が紫外線照射装置100に送られて、紫外線(UV:Ultra Violet)による殺菌、消毒および脱色処理などが行われる。そして、S5の塩素注入工程において、S4のUV消毒工程を経た処理水Wが塩素注入槽に送られ、処理水Wに塩素が注入される。そして、S6の配水工程において、S5の塩素注入工程を経た処理水Wが一般家庭および事業所などに配水される。
【0012】
以下、図2図4を参照して、S4のUV消毒工程において用いられる紫外線照射装置100の構造についてより具体的に説明する。
【0013】
図2は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置100の外観を示した模式的な斜視図である。
【0014】
図2に示されるように、紫外線照射装置100は、処理対象の処理水W(図3および図4も参照)を一時的に貯めるための処理槽(反応槽、リアクタ)10を備えている。処理槽10は、処理水Wを矢印A201方向から受け入れる給水口21と、処理水Wを矢印A202方向に排出する排出口22と、を含んでいる。また、処理槽10は、円筒形状を有している。以下では、処理水Wの流れに沿った方向をX方向、円筒形状の処理槽10が延びる方向をY方向、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向として説明する。
【0015】
処理槽10のY方向の両端には、遮光機能、感電防止機能、電磁シールド機能、および結露抑制機能などを有するカバー部材20および30が取り付けられている(下記の図3も参照)。また、処理槽10には、処理槽10内の処理水の水質の変動を監視する光学モニタ50が設けられている(下記の図4も参照)。
【0016】
図3は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置100の模式的な第1の断面図である。より具体的には、図3は、図2に示された紫外線照射装置100をY-Z平面に沿って切断した状態を示した図である。
図4は、第1実施形態にかかる紫外線照射装置100の模式的な第2の断面図である。より具体的には、図4は、図2に示された紫外線照射装置100をX-Z平面に沿って切断した状態を示した図である。
【0017】
図3および図4に示されるように、紫外線照射装置100は、処理槽10に導入された処理水Wに対して紫外線を照射する複数(図示の例では4つ)の紫外線照射部材60を備えている。各紫外線照射部材60は、紫外線を照射する紫外線ランプ61と、当該紫外線ランプ61を覆う管状の保護管62と、を含んでいる。
【0018】
図3に示されるように、保護管62は、Y方向に沿って延びている。保護管62の一端(図3の紙面左側の端部)は、処理槽10とカバー部材20との間で処理槽10を塞ぐように設けられた蓋40の外側に突出しており、保護管62の他端(図3の紙面右側の端部)は、処理槽10の外側に突出している。なお、保護管62は、紫外線を透過する透明な誘電体により構成されている。
【0019】
また、図3に示されるように、紫外線ランプ61も、保護管62の内側でY方向に延びている。紫外線ランプ61のY方向の両端部は、配線70を介して、処理槽10の外部に設けられた電子安定器80に接続されている。なお、電子安定器80は、紫外線ランプ61に電力を供給するとともに放電の安定性を維持する機器である。
【0020】
また、図4に示されるように、紫外線照射部材60は、互いに離間するように配置されている。たとえば、紫外線照射部材60は、Y方向の視点で矩形の頂点をなすように配置されている。
【0021】
ここで、図4に示されるように、光学モニタ50は、紫外線照射部材60と1対1で対応するように複数(図示の例では4つ)設けられている。つまり、光学モニタ50は、対応する紫外線照射部材60以外の他の紫外線照射部材60からの紫外線の影響を受けないように設けられている。
【0022】
より具体的に、図4の紙面左上の光学モニタ50は、図4の紙面右上の紫外線照射部材60からの紫外線のみをモニタリング可能な位置および姿勢で設けられている。図4の紙面右上の光学モニタ50は、図4の紙面左上の紫外線照射部材60からの紫外線のみをモニタリング可能な位置および姿勢で設けられている。また、図4の紙面左下の光学モニタ50は、図4の紙面右下の紫外線照射部材60からの紫外線のみをモニタリング可能な位置および姿勢で設けられている。図4の紙面右下の光学モニタ50は、図4の紙面左下の紫外線照射部材60からの紫外線のみをモニタリング可能な位置および姿勢で設けられている。
【0023】
また、光学モニタ50は、筐体51と、キャップ52と、露点降下構造53と、を含んでいる。筐体51は、処理槽10の内側に挿入される挿入部51aと、処理槽10の外側に露出する露出部51bと、を含んでいる。光学モニタ50の各部のより具体的な構造は、次の図5に示される通りである。
【0024】
図5は、第1実施形態にかかる光学モニタ50の模式的な断面図である。
【0025】
図5に示されるように、筐体51の内部には、密閉可能な空間Sが設けられる。筐体51には、紫外線照射部材60からの紫外線(破線の矢印参照)を空間S内に通過させる窓501と、当該窓501を通過した紫外線を検出するセンサ502と、が設けられている。
【0026】
窓501は、たとえば石英ガラスまたはPFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂
)などのような透明材料により構成される。窓501は、筐体51の挿入部51aにおける紫外線照射部材60側の端部、つまり挿入部51aの端部に設けられる。
【0027】
また、センサ502は、たとえばO/E(Optical/Electronic)変換器により構成される。センサ502は、筐体51の露出部51bにおける紫外線照射部材60とは反対側の端部に設けられる。センサ502は、フランジ502aを有しており、当該フランジ502aが筐体51の露出部51bにおける紫外線照射部材60とは反対側の端部とキャップ52とに挟み込まれることで、センサ502が固定されている。なお、筐体51の露出部51bにおける紫外線照射部材60とは反対側の端部の外周面と、当該外周面に接するキャップ52の内周面とは、互いに螺合するネジ部511および521によって固定されている。
【0028】
ところで、上記のような光学モニタ50において、監視対象である処理水は、外気よりも温度が低いので、窓501に結露が発生しやすい。窓501に結露が発生すると、センサ502が紫外線を正しく検出できなくなるので、光学モニタ50の性能が低下する。
【0029】
そこで、第1実施形態では、空間S内の空気の露点を処理水Wの温度よりも降下させる露点降下構造53が筐体51の露出部51bに設けられている。これにより、第1実施形態では、窓501の結露が抑制され、結果として、光学モニタ50の性能の低下が抑制される。
【0030】
第1実施形態において、露点降下構造53は、空間Sを冷却することで空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させる冷却ブロックとして構成されている。より具体的に、露点降下構造53は、空間S内の熱を筐体51外の液体に移動させることで空間Sを冷却する液冷ブロックとして構成されている。
【0031】
より詳細に、露点降下構造53は、ヒートシンク531と、流路構成部532と、吸熱素子533と、を備えている。
【0032】
ヒートシンク531は、金属のプレートとして構成されている。ヒートシンク531は、空間Sの内側に突出するように設けられている。
【0033】
流路構成部532は、冷却液の流路を構成する。当該流路は、冷却液を矢印A501に沿って受け入れる配管としての流入管534と、冷却液を矢印A502に沿って排出する配管としての流出管535と、に接続される。
【0034】
吸熱素子533は、ヒートシンク531と流路構成部532との間に挟まれている。吸熱素子533は、たとえばペルチェ素子により構成されている。
【0035】
このような構成により、空間S内の熱は、ヒートシンク531および吸熱素子533を介して、流路構成部532内の流路を流れる冷却液に吸収される。その結果、空間S内の空気の露点が処理水Wの温度以下に保たれる。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態にかかる紫外線照射装置100は、処理槽10と、紫外線照射部材60と、光学モニタ50と、を備えている。処理槽10には、処理水Wが導入される。紫外線照射部材60は、処理槽10の内部に設けられ、処理槽10に導入された処理水Wに対して紫外線を照射する。光学モニタ50は、処理槽10に導入された処理水Wの水質の変動を監視する。
【0037】
ここで、第1実施形態において、光学モニタ50は、筐体51と、窓501と、センサ502と、露点降下構造53と、を含んでいる。筐体51は、処理槽10の内側に挿入される挿入部51aと、処理槽10の外側に露出する露出部51bと、を有している。筐体51の内部には、密閉可能な空間Sが設けられている。窓501は、紫外線照射部材60からの紫外線を密閉可能な空間S内に通過させるように挿入部51aに設けられている。センサ502は、窓501を通過した紫外線を検出するように露出部52bに設けられている。露点降下構造53は、密閉可能な空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させるように露出部51bに設けられている。
【0038】
上記のような構成によれば、露点降下構造53により、空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させることができる。これにより、窓501に結露が発生するのを抑制し、センサ502が紫外線を正しく検出できなくなるのを抑制することができるので、光学モニタ50の性能が低下するのを抑制することができる。
【0039】
なお、第1実施形態において、露点降下構造53は、密閉可能な空間Sを冷却することで密閉可能な空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させる冷却ブロック、より具体的には、空間S内の熱を筐体51外の液体(冷却液)に移動させることで空間Sを冷却する液冷ブロックとして構成されている。このような構成によれば、空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させることを容易に実現することができる。
【0040】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、窓501の結露を抑制するために、液冷ブロックとして構成された露点降下構造53により空間Sを冷却する構成が例示されている。しかしながら、空間Sの冷却方法は、液冷に限られるものではない。たとえば、第2実施形態として、次の図6に示されるような、空冷ブロックとして構成された露点降下構造253により空間Sを冷却する構成が考えられる。
【0041】
図6は、第2実施形態にかかる光学モニタ250の模式的な断面図である。なお、以下では、第2実施形態と第1実施形態とで共通する構成については適宜説明を省略する。
【0042】
図6に示されるように、第2実施形態にかかる露点降下構造253は、空間Sを冷却する冷却ブロックとして構成されているという点で、第1実施形態と共通している。しかしながら、第2実施形態にかかる露点降下構造253は、第1実施形態のような液冷ブロックではなく、空間S内の熱を筐体51外の空気に移動させることで空間Sを冷却する空冷ブロックとして構成されている。
【0043】
より具体的に、露点降下構造253は、空気の流れを作るファン601と、筐体51の外に露出するように設けられたヒートシンク610と、を備えている。
【0044】
ヒートシンク610は、金属のプレート611と、当該プレート611の表面に一体的に設けられたフィン612と、を有している。ヒートシンク610は、吸熱素子533に対してヒートシンク531とは反対側に配置されている。つまり、吸熱素子533は、ヒートシンク531とプレート611との間に挟まれている。
【0045】
上記のような構成により、空間S内の熱は、ヒートシンク531、吸熱素子533、およびヒートシンク610へと移動し、ヒートシンク610の熱は、ファン601により作り出された空気の流れに沿って筐体51外に排出される。
【0046】
以上説明したように、第2実施形態において、露点降下構造253は、密閉可能な空間S内の熱を筐体51外の空気に移動させることで空間Sを冷却する液冷ブロックとして構成されている。このような構成によっても、上述した第1実施形態と同様に、空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させることを容易に実現することができる。
【0047】
<第3実施形態>
上述した第1および第2実施形態では、空間Sを冷却することで空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させる構成が例示されている。しかしながら、空間Sを冷却する以外の方法でも、空間S内の空気の露点を降下させることは可能である。たとえば、第3実施形態として、次の図7に示されるような、空間S内に乾燥した空気を流し続けることで空間S内の露点を降下させる構成が考えられる。
【0048】
図7は、第3実施形態にかかる光学モニタ350の模式的な断面図である。なお、以下では、第3実施形態と第1実施形態(または第2実施形態)とで共通する構成については適宜説明を省略する。
【0049】
図7に示されるように、第3実施形態では、挿入部351aおよび露出部351bを備えた筐体351に設けられた吸気口801および排気口802が、露点降下構造800に該当する。
【0050】
吸気口801は、空間S内に乾燥した空気を矢印A801方向から受け入れる。乾燥した空気としては、たとえば除湿された圧縮空気などが用いられる。排気口802は、空間S内から空気を矢印A802方向に排出する。これにより、空間Sが常に乾燥した空気で満たされるので、空間S内の空気の露点が処理水Wの温度以下に保たれる。
【0051】
以上説明したように、第3実施形態において、露点降下構造800は、密閉可能な空間S内に乾燥した空気を受け入れる吸気口801と、密閉可能な空間S内から空気を排出する排気口802と、を含んでいる。このような構成によっても、上述した第1および第2実施形態と同様に、空間S内の空気の露点を処理水Wの温度以下に降下させることを容易に実現することができる。
【0052】
<変形例>
なお、上述した第1~第3実施形態の構成は、任意に組み合わせることが可能である。つまり、本開示の技術は、液冷と空冷とを組み合わせた構成と、液冷と乾燥した空気とを組み合わせた構成と、空冷と乾燥した空気とを組み合わせた構成と、液冷と空冷と乾燥した空気とを組み合わせた構成と、のいずれも含んでいる。
【0053】
また、上述した第1および第2実施形態におけるヒートシンク352および吸熱素子533は、必須の構成ではない。つまり、液冷または空冷を用いれば、ヒートシンク352および吸熱素子533が設けられていなくても、筐体51内の空間S内の空気の露点を降下させることは可能である。
【0054】
また、上述した第1~第3実施形態とは異なるさらに別の露点降下構造として、筐体内に設けられる密閉可能な空間に対する脱気を実行することで当該空間内を実質的に真空に保つ構造も考えられる。このような構造によっても、密閉可能な空間内の空気の露点を降下させることができる。
【0055】
また、本開示の技術は、紫外線照射部材からの紫外線量をモニタリングする光学モニタのみならず、画像などを用いて監視対象をモニタリングする一般的な光学モニタにも利用することができる。つまり、本開示の技術は、下記のような構成も想定している。
「内部に密閉可能な空間が設けられる筐体と、
監視対象からの光を前記密閉可能な空間内に通過させるように前記筐体に設けられた窓と、
前記窓を通過した前記光を検出するように前記筐体に設けられたセンサと、
前記密閉可能な空間内の空気の露点を前記監視対象の温度以下に降下させるように前記筐体に設けられた露点降下構造と、
を備えた、光学モニタ。」
【0056】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
10 処理槽
50、250、350 光学モニタ
51 筐体
51a 挿入部
52b 露出部
53 露点降下構造(冷却ブロック、液冷ブロック)
253 露点降下構造(冷却ブロック、空冷ブロック)
533 吸熱素子
60 紫外線照射部材
501 窓
502 センサ
610 ヒートシンク
611 プレート
612 フィン
800 露点降下構造
801 吸気口
802 排気口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7