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特許7487010基準点形成装置、衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】基準点形成装置、衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/33 20170101AFI20240513BHJP
   G01S 13/90 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G06T7/33
G01S13/90
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020091694
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021114275
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2020006366
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 智博
(72)【発明者】
【氏名】山口 範洋
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-048163(JP,A)
【文献】特開2017-156321(JP,A)
【文献】特開2001-266119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 - 7/90
G01S 13/90
G06V 40/18 - 40/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、前記第2の方向から見て前記基準線に沿うように配置された板状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項2】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記基盤部の外縁から前記電波の入射方向の前記基準点よりも手前側の位置に向かって前記交差面から離れるように形成され、前記電波を透過させるレドームと、
前記交差面に立設され、前記レドームの内側空間に収容された板状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記レドームの外表面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項3】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れ、
前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する柱状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記柱状部の側面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記第2の方向から見て前記柱状部の頂面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項4】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れ、
前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する錐状部と、
を有し、
前記錐状部は、
前記交差面に直交する直交面と、
前記交差面及び前記直交面の双方に対して傾斜する傾斜面と、
を有し、
前記電波反射部は前記直交面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記傾斜面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項5】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、前記第2の方向から見て前記基準線に沿うように配置された板状部と、
前記板状部の頂部に設けられ、前記第2の方向から見て前記頂部を中心として径方向に所定の大きさを有するとともに前記電波を透過可能な材料で形成された天板部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記天板部の表面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項6】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、前記第2の方向から見て前記基準線に沿うように配置された板状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項7】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記基盤部の外縁から前記電波の入射方向の前記基準点よりも手前側の位置に向かって前記交差面から離れるように形成され、前記電波を透過させるレドームと、
前記交差面に立設され、前記レドームの内側空間に収容された板状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記レドームの外表面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項8】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れ、
前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する柱状部と、
を有し、
前記電波反射部は前記柱状部の側面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記第2の方向から見て前記柱状部の頂面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項9】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れ、
前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する錐状部と、
を有し、
前記錐状部は、
前記交差面に直交する直交面と、
前記交差面及び前記直交面の双方に対して傾斜する傾斜面と、
を有し、
前記電波反射部は前記直交面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記傾斜面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項10】
合成開口レーダ衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、
光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、
を備え
前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れ、
前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、
前記交差面に立設され、前記第2の方向から見て前記基準線に沿うように配置された板状部と、
前記板状部の頂部に設けられ、前記第2の方向から見て前記頂部を中心として径方向に所定の大きさを有するとともに前記電波を透過可能な材料で形成された天板部と、
を有し、
前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、
前記パターン形成部は前記天板部の表面に設けられている、
基準点形成装置。
【請求項11】
前記錐状部の頂部に設けられ、前記合成開口レーダ衛星から発信された測位信号を受信可能に構成された測位信号受信アンテナをさらに備え、
前記パターン形成部は前記測位信号受信アンテナの表面と前記第2の方向から見て露出している前記傾斜面及び前記交差面に設けられている、
請求項4又は9に記載の基準点形成装置。
【請求項12】
前記基準線を境界として互いに隣り合い、光波が入射したときに反射する光量又は前記光波の波長が互いに異なる複数の領域を有する、
請求項から請求項11の何れか一項に記載の基準点形成装置。
【請求項13】
前記第2の方向から見て露出している前記交差面に太陽電池が設けられている、
請求項から12の何れか一項に記載の基準点形成装置。
【請求項14】
前記第2の方向から見たときの前記基準点パターンの大きさは前記光学衛星の地上分解能の2倍以上である、
請求項1から13の何れか一項に記載の基準点形成装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の基準点形成装置と、
前記合成開口レーダ衛星から受信したレーダ画像情報と前記光学衛星から受信した光学画像情報に基づいて作成されたレーダ画像と光学画像で互いに共通する前記基準点を照合し、前記レーダ画像と前記光学画像とを対応させる画像処理部と、
を備える、
衛星画像処理装置。
【請求項16】
請求項15に記載の衛星画像処理装置を用いた衛星画像処理方法であって、
前記合成開口レーダ衛星から受信したレーダ画像情報と前記光学衛星から受信した光学画像情報に基づいてレーダ画像と光学画像とを作成し、
前記レーダ画像と前記光学画像とで互いに共通する前記基準点を照合することによって前記レーダ画像と前記光学画像とを対応させることを含む、
衛星画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準点形成装置、衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地表面の様子や変動を広範囲且つ高分解能で捉えるために、合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar:SAR)衛星や光学衛星によって撮影された画像が用いられている。SAR衛星を用いる場合は、夜間や曇天でも地上面等の撮影対象の撮影が可能である。例えば、特許文献1には、地表に立設される柱部と、柱部の周囲の地表に敷設される平面部とを有し、SAR衛星が発信する電波を反射する材料からなる対空標識が開示されている。一方で、SAR衛星によって撮影された画像(以下、SAR画像という)から撮影対象を直感的に分かりやすくするための処理は、やや複雑である。
【0003】
光学衛星を用いる場合は、撮影された画像から撮影対象が直感的に分かりやすいが、一定の光学条件での撮影が難しく、条件を合わせるために手間がかかる。そこで、SAR衛星を用いて撮像する場合の利点と光学衛星を用いて撮像する場合の利点とを両方活かすために、SAR画像と光学衛星で撮影された画像(以下、光学画像という)とを組み合わせる方法が提案されている。例えば、特許文献2には、地表の物体の判別が容易になるようにSAR画像と光学画像とを合成する方法が開示されている。特許文献2に開示された方法では、取得したSAR画像を白黒パンクロマチック画像特性に基づいて近似し、近似されたレーダ画像データと光学画像との位置合わせを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-048163号公報
【文献】特開2009-047516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、SAR画像と光学画像とでは、互いに同じ測定エリアを撮影する場合であっても、撮影方向が異なる。そのため、SAR画像と光学画像との合成後の処理で少なくとも一方の画像を補正して互いにマッチングさせる必要がある。従来では、例えばSAR画像及び光学画像の所定の領域のパターンを抽出し、これらのパターンの各画像での位置を互いに一致させる手法が用いられる。
【0006】
しかしながら、SAR画像及び光学画像の各画像上に対空標識がないため、前述のように各画像での位置を一致させる精度が低下する。また、測定エリアに地表が含まれる場合、SAR画像及び光学画像には、大気や電離層等の影響による位置ずれ及び歪みに加え、地球が不均一な楕円体であるために生じるゆがみが生じる。そのことによって、SAR画像と光学画像との正確な対応付けが難しかった。
【0007】
本発明は、SAR画像と光学画像とを正確に対応させることが可能な基準点形成装置、衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基準点形成装置は、SAR衛星から発信された電波を入射した方向に対して第1の方向に反射する電波反射部と、光学衛星によって第2の方向から撮影されたときに基準点の位置を示す基準点パターンを形成するパターン形成部と、を備える。
上述の基準点形成装置によれば、SAR衛星から発信された電波は所定の方向に反射され、最終的にSAR衛星に到達する。SAR衛星から送られるSAR画像には、基準点の位置情報が含まれる。また、上述の基準点形成装置によれば、例えば太陽光等の照射光が反射された反射光に基づいて光学衛星によって撮影された光学画像には、基準点パターンが形成される。基準点パターンによって、光学画像におけるSAR画像と共通の基準点の位置が容易に判明する。したがって、共通の基準点同士の情報に基づいてSAR画像と光学画像とが正確に対応可能になる。
【0009】
本発明に係る基準点形成装置において、前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点で交差する複数の直線状の基準線が現れてもよい。
また、本発明に係る基準点形成装置において、前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の多角形状の基準線が現れてもよい。
また、本発明に係る基準点形成装置において、前記基準点パターンには、前記第2の方向から見て前記基準点を中心とする1つ以上の環状の基準線が現れてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、直線状の基準線の交点が基準点になり、光学画像の画像処理において基準点の位置が容易に判明する。また、上述の基準点形成装置によれば、多角形状の基準線又は環状の基準線の中心にある基準点の位置が容易に判明する。
【0010】
本発明に係る基準点形成装置は、前記基準線を境界として互いに隣り合い、光波が入射したときに反射する光量又は前記光波の波長が互いに異なる複数の領域を有してもよい。
上述の基準点形成装置によれば、光学衛星によって撮影された光学画像には、複数の領域の反射像を含む基準点パターンが得られ、基準点パターンに現れる基準線によって基準点の位置が容易に判明する。
【0011】
本発明に係る基準点形成装置は、前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、前記交差面に立設され、前記第2の方向から見て前記基準線に沿うように配置された板状部と、を有し、前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、前記パターン形成部は前記交差面に設けられていてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、SAR画像には、板状部の板面及び交差面で反射された電波の情報に基づいた基準点の位置情報が含まれる。また、上述の基準点形成装置によれば、光学画像には、撮像された基盤部の交差面から基準点パターンが形成され、SAR画像と共通の基準点の位置が容易に判明する。
【0012】
本発明に係る基準点形成装置は、前記基準点で前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、前記基盤部の外縁から前記基準点より前記電波の入射方向の手前側の位置に向かって前記交差面から離れるように形成され、前記電波を透過させるレドームと、前記交差面に立設され、前記レドームの内側空間に収容された板状部と、を有し、前記電波反射部は前記板状部において前記交差面に対して傾斜する板面及び前記交差面に設けられ、前記パターン形成部は前記レドームの外表面に設けられていてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、板状部がレドームの内側空間に収容されているので、板状部に風が当たる等の外的要因によって基盤部に対する板状部の傾斜角度が変更されることが防止される。
【0013】
本発明に係る基準点形成装置は、前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する柱状部と、を有し、前記電波反射部は前記柱状部の側面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、前記パターン形成部は前記第2の方向から見て前記柱状部の頂面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられていてもよい。
また、本発明に係る基準点形成装置は、前記第2の方向に交差する交差面を有する基盤部と、前記交差面に立設され、底面が前記交差面に接する錐状部と、を有し、前記錐状部は、前記交差面に直交する直交面と、前記交差面及び前記直交面の双方に対して傾斜する傾斜面と、を有し、前記電波反射部は前記直交面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられ、前記パターン形成部は前記傾斜面及び第2の方向から見て露出している前記交差面に設けられていてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、SAR画像には、柱状部の側面又は錐状部の直交面と交差面で反射された電波に基づいて基準点の位置情報が含まれる。また、上述の基準点形成装置によれば、光学画像には、撮像された柱状部の頂面又は錐上部の傾斜面と第2の方向から見て露出している交差面から基準点パターンが形成され、SAR画像と共通の基準点の位置が容易に判明する。
【0014】
本発明に係る基準点形成装置は、前記錐状部の頂部に設けられ、前記合成開口レーダ衛星から発信された測位信号を受信可能に構成された測位信号受信アンテナをさらに備え、前記パターン形成部は前記測位信号受信アンテナの表面と前記第2の方向から見て露出している前記傾斜面及び前記交差面に設けられていてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、測位信号受信アンテナが電波反射部よりも電波の入射方向の手前側に設けられるので、測位信号の受信感度が向上し、SAR画像と光学画像との対応付けの精度が向上する。
【0015】
本発明に係る基準点形成装置では、前記第2の方向から見て露出している前記交差面に太陽電池が設けられていてもよい。
上述の基準点形成装置によれば、第2の方向から見て露出している交差面に太陽光が照射されることによって、電力が発生し、基準点形成装置と電気的に接続されている機器に電力供給が可能になり、供給された電力が活用される。
【0016】
本発明に係る衛星画像処理装置は、上述の基準点形成装置と、前記合成開口レーダ衛星から受信したレーダ画像情報と前記光学衛星から受信した光学画像情報に基づいて作成されたレーダ画像と光学画像で互いに共通する前記基準点を照合し、前記レーダ画像と前記光学画像とを対応させる画像処理部と、を備える。
本発明に係る衛星画像処理方法は、上述の衛星画像処理装置を用いた衛星画像処理方法であって、前記合成開口レーダ衛星から受信したレーダ画像情報と前記光学衛星から受信した光学画像情報に基づいてレーダ画像と光学画像とを作成し、前記レーダ画像と前記光学画像とで互いに共通する前記基準点を照合することによって前記レーダ画像と前記光学画像とを対応させることを含む。
上述の衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法によれば、SAR衛星からの電波を反射する電波反射部と基準点パターンが適用されたパターン形成部とが互いに位置を共有した基準点形成装置を用いて、レーダ画像と光学画像に共通する基準点が照合され、従来に比べてSAR画像と光学画像とが正確に対応付けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、SAR画像と光学画像とを正確に対応させることが可能な衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る衛星画像処理装置の概略図である。
図2】本発明を適用した第1の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図3図2に示す基準点形成装置を第3の方向から見た平面図である。
図4図1に示す衛星画像処理装置におけるSAR画像と光学画像との対応付けについて説明する模式図である。
図5】本発明を適用した第2の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図6図5に示す基準点形成装置を第3の方向から見た平面図である。
図7】本発明を適用した第3の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図8】本発明を適用した第4の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図9図8に示す基準点形成装置を第3の方向から見た平面図である。
図10】本発明を適用した第5の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図11】本発明を適用した第6の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図12】本発明を適用した第7の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図13】本発明を適用した第8の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図14】本発明を適用した第9の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図15】本発明を適用した第10の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図16図15に示す基準点形成装置のレドームの内側空間の構成を示す斜視図である。
図17】本発明を適用した第11の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図18図17に示す基準点形成装置のレドームの内側空間の構成を示す斜視図である。
図19】本発明を適用した第12の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図20】本発明を適用した第13の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図21】本発明を適用した第14の態様の基準点形成装置の斜視図である。
図22】本発明を適用した第15の態様の基準点形成装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る基準点形成装置、衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る衛星画像処理装置300は、地表面GDに配置されたGNSS受信部160-1、…、160-j(jは2以上の自然数)と、画像処理部310と、を備える。地表面GDの上空の軌道上には、複数の人工衛星(SAR衛星、光学衛星)50-1、50-2、…、50-n(nは2以上の自然数であり、好ましくは4以上の自然数)が周回している。
【0021】
以下では、GNSS受信部160-1、…、160-jに共通する説明において、これらのGNSS受信部をまとめてGNSS受信部160という場合がある。同様に、複数の人工衛星50-1、…、50-nに共通する説明において、これらの人工衛星をまとめて人工衛星50という場合がある。なお、自然数j、nは、それぞれ適切に設定され、特定の値に限定されない。図1には、複数のGNSS受信部160のうち、GNSS受信部160-1、160-2、160-3が例示されている。同図には、複数の人工衛星50のうち、人工衛星50-1、50-2、50-nが例示されている。
【0022】
人工衛星50の各々は、電波Eを発し、且つ発せられた電波Eが自身に反射されるまでの時間や反射された電波Eの特性の変化等に基づいてSAR画像及び光学画像(衛星画像)を作成する。即ち、人工衛星50の各々は、SAR衛星、或いは光学衛星である。人工衛星50がSAR衛星である場合、電波Eは例えば可視光よりも長い波長を有する。人工衛星50が光学衛星である場合、電波Eは例えば可視光である。
【0023】
GNSS受信部160は、全国の地表面GDの所定の位置に設けられている。GNSS受信部160の各々は、基準点形成装置400と、不図示の測位アンテナと、無線通信装置、バッテリー、及びこれらの部品の稼働に必要なヒーターや監視装置等を備える。
【0024】
基準点形成装置400は、地表面GDの所定の位置に設けられている。図2及び図3に示すように、基準点形成装置400は、電波反射部410と、パターン形成部420と、を備える。
【0025】
電波反射部410は、人工衛星50がSAR衛星であるとき、人工衛星50から発信された電波Eを入射した方向に対して平行且つ逆向きの方向(第1の方向)D1に反射する。パターン形成部420は、人工衛星50が光学衛星であるとき、人工衛星50によって所定の方向(第2の方向)D2から撮影されたときに基準点430を示す基準点パターン435を形成する。
【0026】
以下、第1の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Aと記載する。基準点形成装置400Aは、基盤部441と、錐状部461、462と、を備える。基盤部441は、板状に形成された基盤であり、交差面442を有する。交差面442は、人工衛星50が光学衛星である場合に人工衛星50から撮影対象の地表面GDを撮像した時に撮影可能に配置されている。即ち、交差面442は、方向D2に交差し、例えば方向D2に対して略直交する。方向D2から見て、基準点430は、交差面442の中心に位置している。基盤部441及び交差面442は、交差面442に直交する方向D3から見て矩形状に形成されている。
【0027】
錐状部461、462の各々は、交差面442に立設された三角錐である。錐状部461は、底面444と、2つの直交面465、466と、1つの傾斜面468と、を備える。底面444は、交差面442に接し、方向D2から見て頂角が直角である二等辺三角形状に形成されている。直交面465、466及び傾斜面468は、三角錐の側面を構成する。2つの直交面465、466は、底面444の頂角を挟む二等辺から基準点430に向かって立ち上がり、交差面442に直交する。傾斜面468は、底面444の底辺から基準点430に向かって立ち上がり、交差面442及び直交面465、466の各々に対して傾斜している。
【0028】
錐状部461、462の各々の頂点は、方向D3から見たとき、基準点430と重なっている。さらに、錐状部461、462は、基準点430を中心として互いに点対称、且つ互いに向き合っている。錐状部461、462の傾斜面468の底辺は、基盤部441及び交差面442において方向D3から見て互いに平行な外縁と重なっている。
【0029】
人工衛星50が光学衛星である場合に地表面GDを略真上から撮像するため、方向D2は、方向D3と略同じといえる。基準点形成装置400Aにおいて、電波反射部410は、直交面465、466と、方向D3(即ち、方向D2)から見て露出している交差面443に設けられている。錐状部461、462の各々の直交面465、466と、交差面443は、電波Eを反射可能に構成されている。錐状部461の直交面465と、錐状部462の直交面466と、これらの直交面の方向D2/D3における底辺同士を連結する交差面443は、コーナーリフレクタを構成し、電波反射部410として機能する。同様に、錐状部461の直交面466と、錐状部462の直交面465と、これらの直交面の底辺同士を連結する交差面443は、コーナーリフレクタを構成し、電波反射部410として機能する。
【0030】
基準点形成装置400Aにおいて、パターン形成部420は、錐状部461、462の各々の傾斜面468と、基盤部441の交差面443に設けられ、図3に示すように方向D3から見たときに互いに隣り合う傾斜面468及び交差面443で構成されている。
【0031】
錐状部461、462の各々の傾斜面468と、基盤部441の交差面443とは、同じ光波Lが入射したときに反射する光量又は波長が互いに異なる。したがって、傾斜面468及び交差面443をそれぞれ領域とすると、基準点形成装置400Aは、光波Lが入射したときに反射する光量又は波長が互いに異なる領域を有する。
【0032】
傾斜面468及び交差面443は、方向D2、D3から見たときに基準点パターン435を形成する。基準点パターン435は、基準点パターン435を撮影した画像を画像処理すると基準点430が判明するパターンであれば特に限定されないが、例えば国土交通省国土地理院が発布している対空標識(UAV)に関するマニュアル等に掲載されているパターンを参照できる。図3に示す基準点パターン435は、UAVの所謂X型のパターンである。方向D2、D3から見たときに、例えば、傾斜面468は黒色である。それに対し、交差面443は傾斜面468の黒色に対して識別力の高い白色或いは黄色である。なお、傾斜面468が白色或いは黄色であって、交差面443が黒色であっても構わない。
【0033】
基準点パターン435を方向D2から撮像すると、光学画像には基準点パターン435が含まれており、基準点パターン435には直線状の基準線481、482が現れる。基準線481は、方向D3から見たときに錐状部461、462の各々の直交面465と重なり、直交面465を境界として互いに隣り合う傾斜面468と交差面443によって光学画像に現れる。基準線482は、方向D3から見たときに錐状部461、462の各々の直交面466と重なり、直交面466を境界として互いに隣り合う傾斜面468と交差面443によって光学画像に現れる。基準線481、482は、方向D3から見て基準点430で互いに直交し、アルファベットのXを形成する。つまり、基準点パターン435から識別された基準線481、482の交点によって、基準点430が示される。
【0034】
方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星の地上分解能(Ground Sampling Distance:GSD)の2倍以上であることが好ましい。このことは、光学衛星で撮影された光学画像中の少なくとも1画素ずつに基準点パターン435の互いに識別すべき領域を割り当てることが可能であることを意味する。図3に例示する基準点パターン435では、傾斜面468の各辺及び交差面443の各辺のうち、後述する光学画像520の画素の配列に沿う辺の長さが光学衛星のGSD以上であることが好ましい。例えば、光学衛星のGSDが25cmであって、図3に示す基準線481、482が光学画像520の複数の画素の配列方向に略平行である場合は、方向D2、D3から見て二等辺三角形状を有する錐状部461の底面444及び基盤部441の交差面443の二等辺の各々が25cm以上であることが好ましい。即ち、基準線481、482の長さは25cmの2倍である50cm以上であることが好ましい。図3に示す基準線481、482が光学画像520の複数の画素の配列方向に交差する場合は、錐状部461の底面444及び基盤部441の交差面443の底辺が50cm以上であることが好ましい。
【0035】
図1に示すGNSS受信部160の各々における測位アンテナと、無線通信装置、バッテリー、及びヒーターや監視装置等は、例えば基準点形成装置400より下方に設けられた支持部に収容されている。測位アンテナを含む周辺機器は、基準点形成装置400の電波反射部410における電波Eの反射及びパターン形成部420のイメージを遮らないように配置されている。
【0036】
画像処理部310は、人工衛星50から不図示の中央局や基準局等を介してSAR画像に関する情報(レーダ画像情報)と光学画像に関する情報(光学画像情報)を受信し、図4に示すように各情報に基づいてSAR画像(レーダ画像)510と光学画像520とを作成する。SAR画像510によって、SAR衛星から発せられた電波Eが自身に反射されるまでの時間や反射された電波Eの特性の変化等に基づいて基準点430-k(kは任意の自然数)の緯度・経度・高度等の位置情報が判明している。
【0037】
一方、光学画像520によって、光学衛星で撮影された基準点パターン435の中心位置である基準点430-kの相対位置が判明している。画像処理部310は、SAR画像510と光学画像520に共通する基準点430-kを照合し、SAR画像510と光学画像520とを対応付け、SAR画像510と光学画像520との位置合わせを行う。
【0038】
本発明に係る衛星画像処理方法は、衛星画像処理装置300を用いてSAR画像510と光学画像520とを対応させる方法である。本発明に係る衛星画像処理方法は、SAR衛星から受信したSAR画像に関する情報と光学衛星から受信した光学画像に関する情報に基づいてSAR画像510と光学画像520とを作成し、少なくともSAR画像510と光学画像520とで互いに共通する基準点430-kを照合する。以下、衛星画像処理方法の各工程について簡単に説明する。
【0039】
先ず、人工衛星50がSAR衛星である場合、人工衛星50から基準点形成装置400Aを含む地表面GDの所定の測定領域に電波Eが発せられる。人工衛星50は、基準点形成装置400の電波反射部410で反射される電波Eに関する情報に基づき、SAR画像に関する情報を基準点形成装置400の測位アンテナに向けて発する。
【0040】
人工衛星50が光学衛星である場合、人工衛星50によって、方向D2から上述したSAR衛星が用いられる場合と同様の地表面GDの所定の測定領域が撮影される。人工衛星50は、撮影した画像情報を光学画像に関する情報として基準点形成装置400の測位アンテナに向けて発する。SAR画像及び光学画像に関する情報は、測位アンテナから基地局等を介して、画像処理部310に送信される。
【0041】
画像処理部310は、SAR画像に関する情報からSAR画像510を作成し、SAR画像510に含まれる基準点430-1、…、430-kの各々の正確な位置情報を算出する。基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報の算出には、例えば基地局等のデータベースが用いられる。また、画像処理部310は、光学画像に関する情報から光学画像520を作成し、基準点パターン435-1、…、435-kの各々から基準点430-1、…、430-kの各々の位置を算出する。
【0042】
続いて、SAR画像510と光学画像520とのマッチング処理を行い、SAR画像510と光学画像520とで互いに対応する基準点430-1、…、430-k同士を照合する。このことによって、共通の基準点430-1、…、430-kに基づき、SAR画像510と光学画像520とを対応させる。SAR画像510と光学画像520とのマッチング処理の方法としては、例えば公知の座標変換法、アースエッジ検出法、歪補正情報決定処理等が挙げられるが、特に限定されない。なお、SAR画像510と光学画像520とをそれぞれオルソ補正してから前述のマッチング処理を行うことが好ましい。
【0043】
互いに対応付けされたSAR画像510と光学画像520とを合成し、合成した衛星画像を必要に応じて補正できる。その後、合成された衛星画像に基づいて、例えば測定領域の地表面GDの変動を検出できる。
【0044】
以上説明した第1の態様の基準点形成装置400Aは、上述の電波反射部410と、パターン形成部420と、を備える。基準点形成装置400Aによれば、SAR衛星から発信された電波Eは電波反射部410によって所定の方向D1に反射され、最終的にSAR衛星に到達する。SAR画像510における430-1、…、430-kの各々の位置情報が正確に算出される。また、基準点形成装置400Aによれば、太陽光が基準点形成装置400Aに照射されたときの反射された反射光に基づいて光学衛星によって光学画像が撮影される。光学画像520には、基準点パターン435-1、…、435-kが現れる。基準点パターン435-1、…、435-kによって、SAR画像510と光学画像520に共通する基準点430-1、…、430-kの位置情報を容易に知ることができる。互いに共通の基準点430-1、…、430-k同士を照合し、基準点430-1、…、430-kの情報に基づいてSAR画像510と光学画像520とを正確に対応させることができる。
【0045】
また、第1の態様の基準点形成装置400Aでは、基準点パターン435-1、…、435-kには、方向D2から見て基準点430-1、…、430-kで交差する複数の直線状の基準線481、482が現れる。基準点形成装置400Aによれば、基準線481、482の交点が基準点430であるため、画像処理等を用いて基準点430-1、…、430-kの位置を容易に知ることができる。
【0046】
また、第1の態様の基準点形成装置400Aは、基準線481、482を境界として方向D2、D3から見たときに互いに隣り合い、光波Lが入射したときに反射する光波Lの波長が互いに異なる複数の領域として、錐状部461、462の各々の傾斜面468と基盤部441の交差面443とを有する。
【0047】
基準点形成装置400Aによれば、光学画像520には、光波Lに対して互いに色の異なる傾斜面468と交差面443の画像、つまり複数の領域の反射像を含む基準点パターン435が得られ、基準点パターン435に現れる基準線481、482によって基準点430の位置を容易に知ることができる。
【0048】
また、第1の態様の基準点形成装置400Aは、上述した基盤部441と、錐状部461、462と、を備える。基準点形成装置400Aにおいて、電波反射部410は、錐状部461、462の各々の直交面465、466と基盤部441において直交面465、466に接する交差面443に設けられている。パターン形成部420は、錐状部461、462の各々の傾斜面468と基盤部441に交差面443に設けられている。そのため、基準点形成装置400Aによれば、SAR衛星からの電波Eは、コーナーリフレクタを構成する直交面465、466及び交差面443によって方向D1に反射され、SAR衛星に到達する。SAR画像510において、直交面465、466及び交差面443によって反射された電波Eに基づいて基準点430の位置情報を知ることができる。また、基準点形成装置400Aによれば、方向D2から撮影された光学画像520には、傾斜面468と交差面443からなる基準点パターン435が現れるので、SAR画像510と共通の基準点430-1、…、430-kの位置を容易に知ることができる。
【0049】
また、第1の態様の基準点形成装置400Aにおいて、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上である。このことによって、光学衛星によって撮影された光学画像520において基準点パターン435-1、…、435-kの各々の互いに識別すべきパターンを少なくとも1以上の画素に割り当て、画像処理によって基準点パターン435を正しく識別し、光学画像520中の基準点430-1、…、430-kの位置を正確に検出できる。
【0050】
本発明に係る衛星画像処理装置300は、上述の第1の態様の基準点形成装置400Aと、SAR画像510及び光学画像520で互いに共通する基準点430-1、…、430-kを照合してSAR画像510と光学画像520とを対応させる画像処理部310と、を備える。
【0051】
本発明に係る衛星画像処理方法では、上述の衛星画像処理装置300を含む地表面GDの測定領域を人工衛星50で撮像し、人工衛星50からSAR画像510に関する情報と光学画像520に関する情報を受信し、これらの情報に基づいてSAR画像510及び光学画像520を作成する。また、本発明に係る衛星画像処理方法では、SAR画像510と光学画像520に共通する基準点430-1、…、430-kを照合してSAR画像510と光学画像520とを対応させる。
【0052】
上述の衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法では、方向D2、D3から見て基準点形成装置400Aにおいて2つの電波反射部410の接続点に基準点430があり、基準点430と電波反射部410との相対位置関係が明確である。このことによって、SAR画像510の情報に基づいて基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報が明確にわかる。さらに、基準点形成装置400Aが電波反射部410と共にパターン形成部420を備え、基準点形成装置400Aに基準点パターン435が適用されることによって、基準点430とパターン形成部420との相対位置関係が明確になる。基準点パターン435の画像処理によって、光学画像520における基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報が明確にわかる。したがって、上述の衛星画像処理装置及び衛星画像処理方法によれば、SAR画像510と光学画像520に共通の基準点430-1、…、430-kに基づいて、従来よりもSAR画像510と光学画像520とを正確且つ簡便に対応させることができる。
【0053】
次いで、第1の態様の基準点形成装置400Aの変形例として、他の態様の基準点形成装置400について説明する。なお、以下の各態様の基準点形成装置400の構成要素において、それより前述の基準点形成装置400と共通するものには、前述の基準点形成装置400と同一の符号を付し、その説明を省略する。また、以下の態様の基準点形成装置400を備えた衛星画像処理装置及びその衛星画像処理装置を用いた衛星画像処理方法は、上述の基準点形成装置400及び衛星画像処理方法と同様である。
【0054】
以下、第2の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Bと記載する。図5に示すように、基準点形成装置400Bは、基盤部441と、錐状部461、462に加えて測位信号受信アンテナ470を備える。測位信号受信アンテナ470は、錐状部461、462の頂部463に設けられている。測位信号受信アンテナ470は、人工衛星50がSAR衛星である場合に、SAR衛星から発信された測位信号、即ちSAR画像510の情報を受信可能に構成されている。
【0055】
測位信号受信アンテナ470の形状は、前述のように測位信号を受信可能であれば特に限定されないが、例えば円錐状に形成されている。円錐状の測位信号受信アンテナ470の底面471は、錐状部461、462の頂部463に接している。図6に示すように、円錐状の測位信号受信アンテナ470の頂点472は、方向D3から見て基準点430と重なる。方向D3から見たとき、測位信号受信アンテナ470の底面471の大きさは、基盤部441よりも小さく、電波反射部410への電波Eへの入射と電波反射部410からの電波Eの反射を妨げない程度の大きさである。
【0056】
基準点形成装置400Bにおいて、パターン形成部420は、方向D2、D3から見たときの測位信号受信アンテナ470の表面、即ち円錐状の測位信号受信アンテナ470の側面473と、錐状部461、462の各々の傾斜面469と、基盤部441の交差面445に設けられている。傾斜面469は、方向D2、D3から見たときに傾斜面468のうち測位信号受信アンテナ470の側面473と重ならずに露出している部分である。交差面445は、方向D2、D3から見たときに交差面443のうち側面473と重ならずに露出している部分である。
【0057】
測位信号受信アンテナ470の側面473において、方向D2、D3から見たときに傾斜面468と重なる側面473-1は、少なくとも交差面445とは異なる色であり、例えば傾斜面469と同じ黒色である。測位信号受信アンテナ470の側面473において、方向D2、D3から見たときに交差面443と重なる側面473-2は、少なくとも側面473-1とも傾斜面469とも異なる色であり、例えば交差面445と同じ白色或いは黄色である。このように側面473-1、473-2のそれぞれが配色されることによって、基準点形成装置400Bを方向D2、D3から撮像すると、基準点パターン435が形成され、基準点パターン435に基準線481、482が現れる。
【0058】
上述説明した基準点形成装置400Bによれば、測位信号受信アンテナ470が電波反射部410における電波Eの反射を遮らない位置で基準点形成装置400Aに比べて電波反射部410よりも電波Eの入射方向の手前側に設けられているので、測位信号の受信感度を基準点形成装置400Aよりも高め、SAR画像510と光学画像520との対応付けの精度を向上させることができる。
【0059】
以下、第3の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Cと記載する。図7に示すように、基準点形成装置400Cは、基盤部441と、4つの板状部475、476、477、478と、を備える。板状部475-478の各々は、交差面442に立設されている。なお、以下の各態様の基準点形成装置400の各々の図面では方向D1、D2、D3の図示は、省略されている。
【0060】
板状部475-478の各々は、交差面442において方向D3から見て基準点430と重なる中心点448と交差面442の各四隅とを結ぶ第1辺、中心点448と基準点430とを結んで交差面442に略直交する第2辺、及び基準点430と交差面442の各四隅とを結ぶ第3辺を有する三角形状に形成されている。方向D2、D3から見て、板状部475-478が基準点430を中心として放射状に配置されている。板状部475-478の各々の三角形状の板面は、交差面442に直交し、直交面465、466をなす。板状部475-478の各々は、電波Eを反射可能に構成されている。
【0061】
基準点形成装置400Cでは、方向D2、D3から見て、板状部475、477が基準線481に沿って設けられ、板状部476、478が基準線482に沿って設けられている。また、方向D2、D3から見て交差面442の略全面が露出しているため、基準線481、482を境界として交差面442上で交差面443-1と隣り合う交差面443-2は、方向D2、D3から見て露出している。
【0062】
板状部475の直交面465と、板状部478の直交面466と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面443-1は、第1のコーナーリフレクタを構成する。同様に、板状部476の直交面466と、板状部477の直交面465と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面443-1は、第2のコーナーリフレクタを構成する。また、板状部475の直交面466と、板状部476の直交面465と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面443-2は、第3のコーナーリフレクタを構成する。同様に、板状部477の直交面466と、板状部478の直交面465と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面443-2は、第4のコーナーリフレクタを構成する。つまり、基準点形成装置400Cは、4つのコーナーリフレクタで構成される電波反射部410を備える。
【0063】
基準点形成装置400Cでは、交差面443-1、443-2によって基準点パターン435が構成される。2つの交差面443-1と2つの交差面443-2では、互いに光波Lが照射されたときに反射する反射光の光量又は波長が互いに異なる。例えば、交差面443-1は白色又は黄色であり、交差面443-2は赤色または緑色である。このように交差面443-1、443-2が配色されていることによって、方向D2、D3から見たとき、及び方向D2から光学衛星で撮像された際に、基準点パターン435が形成される。光学画像520に現れる基準点パターン435において、交差面443-1、443-2の境界としての基準線481、482から基準点430-1、…、430-kの位置が示される。
【0064】
上述説明した基準点形成装置400Cによれば、SAR画像510には、4つのコーナーリフレクタのいずれかで反射された電波Eの情報が含まれる。その情報に基づいて、SAR画像510の基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報が示される。また、光学画像520には、撮像された交差面443-1、443-2から基準点パターン435-1、…、435-kが形成され、基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報が示される。SAR画像510と光学画像520とに共通する基準点430-1、…、430-kの各々との照合によって、SAR画像510と光学画像520とを従来よりも正確に対応させることができる。
【0065】
また、基準点形成装置400Cにおいて、交差面443-1及び交差面443-2の一方に太陽電池550が設けられてもよい。公知の太陽電池の材料等を考慮すると、通常の太陽電池は可視光の元で黒色に近いので、交差面443-1及び交差面443-2のうち黒色としたい面に太陽電池550が設けられることが好ましい。交差面443-1又は交差面443-2に太陽電池550が設けられることによって、基準点形成装置400Cによれば、太陽電池550に光波Lや太陽光が照射されることで電力を発生させ、自身及び自身と電気的に接続されている機器に電力を供給できる。
【0066】
以下、第4の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Dと記載する。図8に示すように、基準点形成装置400Dは、基盤部441と、4つの板状部475、476、477、478と、を備える。但し、基準点形成装置400Dでは、方向D2、D3から見た基盤部441の形状は、多角形状であり、略円形状である。板状部475-478の各々は、方向D3から見て交差面442において基準点430と重なる中心点448と交差面442の外縁で互いに周方向に90°の間隔をあけた4つの位置とを結ぶ第1辺、中心点448と基準点430とを結んで交差面442に略直交する第2辺、及び基準点430と交差面442の外縁の4つの各位置とを結ぶ円弧とを有する扇形状に形成されている。
【0067】
基準点形成装置400Dでは、図9に示すように、交差面443-2は、方向D2、D3から見て基準点430(即ち、中心点448)を中心として径方向に所定の幅を有し、周方向の全体に亘って環状に設けられている。交差面443-1は、交差面442の径方向における中心点448から交差面443-2の内周縁に至るまでの領域と、径方向における交差面443-2の外周縁から交差面442の周縁に至るまでの領域に設けられている。このような相対配置の交差面443-1、443-2が方向D2、D3から撮像されると、光学画像520に径方向に所定の幅を有する多角形環状の交差面443-2による基準点パターン435が光学画像520に現れる。
【0068】
図9に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、方向D2、D3から見て四角よりも角数の多い多角形状を有する基準線483の各辺が光学衛星のGSD以上になるように基準点パターン435及び基盤部441の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。後述するいくつかの態様でも説明するように、基準点パターン435の方向D2、D3から見た形状に応じて、光学衛星で撮影される光学画像中の少なくとも1画素に基準点パターン435の検知すべき領域が割り当てられ、基準点パターン435の有無を互いに隣り合う2画素で識別できるように、光学衛星のGSDを勘案し、基準点パターン435の大きさが設定されている。
【0069】
上述説明したように、基準点形成装置400Dでは、基準点パターン435には、方向D2、D3から見て基準点230を中心とする2つの多角形状の基準線483、484が現れる。図示していないが、基準点形成装置400Dを備えた衛星画像処理装置300の画像処理部310では、光学画像520に現れた基準線483、484の中心点を画像処理によって求めることによって基準点430の位置を算出できる。基準点形成装置400Dによれば、光学画像520における基準線483、484の中心を基準点430-1、…、430-kとして求めることで、SAR画像510と共通の基準点430-1、…、430-kを算出できる。したがって、基準点形成装置400Dによれば、基準点形成装置400Cと同様に、SAR画像510と光学画像520とを従来よりも正確に対応させることができる。
【0070】
なお、図8及び図9には、方向D2、D3から見て略十二角形状の交差面443-2及び基準線483、484が例示されているが、交差面443-2及び基準線483、484は、角数が3以上の任意の多角形状に形成されてもよく、真円状又は楕円状に形成されてもよく、光学画像520における基準点パターン435の画像処理で基準点430を算出可能であれば任意の形状で形成されてもよい。例えば交差面443-2及び基準線483、484が方向D2、D3から見て正三角形状或いは正五角形状に形成されていれば、基準点パターン435の重心を求めることで基準点430の位置情報を算出できる。
【0071】
また、方向D2、D3から見たときに、基準線483と基準線484とは、互いに共通の基準点430との相対関係を有すれば互いに異なる形状に形成されてもよい。即ち、交差面433-2の内周縁と外周縁は、方向D2、D3から見たときに、前述の相対関係を有して互いに異なる形状に形成されてもよい。例えば、基準線483(即ち、交差面433-2の内周縁)が基準点430を中心とする所定の大きさの正六角形状に形成され、基準線484(即ち、交差面433-2の外周縁)が方向D2、D3から見て基準線483よりも大きい内接円を有する正十二角形状に形成されてもよい。この場合も、上述の基準点形成装置400Dと同様の作用効果が得られる。
【0072】
以下、第5の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Eと記載する。図10に示すように、基準点形成装置400Eは、基盤部441と、4つの板状部475、476、477、478と、を備え、基準点形成装置400Cと同様の基本構成を備える。
【0073】
但し、基準点形成装置400Eでは、板状部475-478の各々は、四角形状の交差面442において方向D3から見て中心点448と交差面442の各四辺の中央とを結ぶ第1辺、中心点448と基準点430とを結んで交差面442に略直交する第2辺、基準点430と交差面442の各四辺の中央から基準点430と同じ高さに上昇した位置とを結ぶ第3辺と、交差面442の各四辺の中央から前述のように上昇した位置から各四辺の中央に下降する第4辺を有する四角形状に形成されている。
【0074】
基準点形成装置400Eでは、交差面443-1、443-2の相対配置から、基準点形成装置400Aに関して説明したUAVの所謂+型に似た基準点パターン435が形成され、基準線481、482が現れる。
【0075】
図10に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上であることが好ましい。例えば、基準線481、482が光学画像520の複数の画素の配列方向に略平行である場合は、方向D2、D3から見て四角形状を有する交差面443-1、443-2の各々の各四辺の長さがGSD以上であることが好ましい。即ち、基準線481、482の長さは50cm以上であることが好ましい。
【0076】
上述説明した基準点形成装置400Eによれば、基準点形成装置400A、400C等と同様の作用効果が得られ、光学画像520には交差面443-1、443-2から基準点パターン435-1、…、435-kが形成されるので、基準点430-1、…、430-kの各々の位置情報が示される。SAR画像510と光学画像520とに共通する基準点430-1、…、430-kの各々との照合によって、SAR画像510と光学画像520とを従来よりも正確に対応させることができる。
【0077】
基準点形成装置400Eの変形例として、図11に示す第6の態様の基準点形成装置400Fが挙げられる。基準点形成装置400Fでは、交差面442において、方向D3から見て基準点430を中心とする略十二角形状の基準線483を境界として径方向中心側の交差面442と径方向外側の交差面442とが、光波Lが入射したときに反射する光量又は波長が互いに異なる交差面443-1、443-2になっている。例えば、方向D3から見て板状部475、478との間に位置する交差面442及び板状部476、477との間に位置する交差面442では、径方向において基準点430から基準線483にあたる領域までが交差面443-2であり、基準線483から交差面442の周縁までの領域が交差面443-1である。一方、方向D3から見て板状部475、476との間に位置する交差面442及び板状部477、478との間に位置する交差面442では、径方向において基準点430から基準線483にあたる領域までが交差面443-2であり、基準線483から交差面442の周縁までの領域が交差面443-1である。
【0078】
基準点形成装置400Fでは、交差面443-1、443-2の相対配置から、基準点形成装置400Aに関して説明したUAVの所謂+型と〇型とを組み合わせたような基準点パターン435が形成され、基準線481、482に加えて基準線483が現れる。
【0079】
図11に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、基準線481、482が光学画像520の複数の画素の配列方向に略平行である場合は、方向D2、D3から見て略扇形状を有する交差面443-1、443-2の各々において基準線481、482に沿う各辺の長さがGSD以上になるように基準点パターン435及び基盤部441の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。
【0080】
上述説明した基準点形成装置400Fによれば、基準点形成装置400Eと同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Fによれば、基準線481、482に加えて基準線483が現れることで基準点形成装置400Eに比べて複雑な基準点パターン435が形成されるが、光学画像520において基準点パターン435の周囲の地形パターンに対する基準点パターン435の識別度が高まる。このことによって、基準点430の位置情報の算出精度を高めることができる。
【0081】
基準点形成装置400Eの基準点形成装置400Fとは別の変形例として、図12に示す第7の態様の基準点形成装置400Gが挙げられる。基準点形成装置400Gでは、交差面442において、方向D3から見て基準点430を中心とする略円形状(環状)の基準線483、484、485の各々を境界として径方向中心側の交差面442と径方向外側の交差面442とが、光波Lが入射したときに反射する光量又は波長が互いに異なる交差面443-1、443-2になっている。一例として、方向D3から見て板状部475、478との間に位置する交差面442では、径方向において基準点430から基準線483にあたる領域までが交差面443-2であり、基準線483、484の間の領域が443-1であり、基準線484、485の間の領域が443-2であり、基準線485から交差面442の周縁までの領域が交差面443-1である。
【0082】
図12に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、方向D2、D3から見て四角より角数の多い多角形状を有する交差面443-2の最も長い対角線の長さがGSD以上、且つ径方向において交差面443-2同士の間隔がGSD以上になるように基準点パターン435及び基盤部441の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。
【0083】
上述説明した基準点形成装置400Gによれば、基準点形成装置400Eと同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Gによれば、基準線481-485が現れることで基準点形成装置400Fに比べてさらに複雑な基準点パターン435が形成される。そのため、光学画像520において周囲の地形パターンに対する基準点パターン435の識別度が高まり、基準点430の位置情報の算出精度を高めることができる。
【0084】
なお、交差面442において方向D3から見て基準点430(即ち、中心点448)から径方向で基準線484、485との間の環状の交差面443-2は、図12に破線で示されるように周方向で部分的に欠損して交差面443-1であってもよい。
【0085】
以下、第8の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Hと記載する。図13に示すように、基準点形成装置400Hは、基盤部441と、柱状部490と、を備える。柱状部490は、交差面442に立設されている。柱状部490は、円柱状に近い多角柱状に形成され、頂面491と、底面492と、頂面491及び底面492を方向D3に連結する側面493と、を備える。柱状部490の頂面491の中心は、方向D3から見て基準点430と重なる。柱状部490の底面492の中心は、方向D3から見て交差面442の中心と重なる。
【0086】
基準点形成装置400Hでは、少なくとも柱状部490の側面493と、交差面442のうち方向D3から見て露出している交差面443は、電波Eを反射可能に構成されている。基準点形成装置400Hの電波反射部410は、側面493及び交差面443に設けられている。つまり、側面493及び交差面443は、方向D2、D3から見て全方位型のコーナーリフレクタとして機能する。
【0087】
基準点形成装置400Hでは、柱状部490の頂面491に所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長は、基盤部441の交差面443とは異なる。例えば、交差面443が白色或いは黄色であり、頂面491は黒色である。交差面443及び頂面491のそれぞれが前述のように配色又は構成されることによって、基準点形成装置400Hを方向D2から撮像すると、基準点パターン435が形成され、基準点パターン435に基準線483が現れる。つまり、パターン形成部420は、交差面443及び頂面491の全体に設けられている。
【0088】
基準点形成装置400Hでは、交差面443及び頂面491の相対配置から、基準点形成装置400Aに関して説明したUAVの所謂〇型の基準点パターン435が形成される。光学画像520において、形成された基準点パターン435で交差面443に対して画像処理等で識別された頂面491及び基準線483の中心を求めることによって、基準点430が算出される。
【0089】
図13に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、方向D2、D3から見て四角より角数の多い多角形状を有する交差面443-2の最も長い対角線の長さがGSD以上になるように基準点パターン435及び柱状部490の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。
【0090】
上述説明した基準点形成装置400Hによれば、基盤部441と柱状部490とを備えた簡易な構成で、上述の基準点形成装置400と同様の作用効果が得られ。SAR画像510及び光学画像520において、基準点パターン435-1、…、435-kが形成されるので、各画像に共通する基準点430-1、…、430-kの各々との照合によって、SAR画像510と光学画像520とを従来よりも正確に対応させることができる。
【0091】
基準点形成装置400Hの変形例として、図14に示す第9の態様の基準点形成装置400Iが挙げられる。基準点形成装置400Iでは、基盤部441の交差面442は、中心点448から周方向に90°ごとに区画されている。2つの交差面443-1、443-2を含む4つの領域において、周方向に隣り合う領域同士では、所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長が異なる。つまり、交差面442のうち方向D2、D3から見て露出している領域には、周方向で90°ごとに交差面443-1、443-2が交互に設けられている。
【0092】
基準点形成装置400Iでは、柱状部490の頂面491は、基準点430から周方向に90°ごとに区画されている。2つの頂面491-1、492-2を含む4つの領域において、周方向に隣り合う領域同士では、所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長が異なる。方向D2,D3から見たとき、頂面491の4つの区画と交差面442の4つの区画の各境界線は、周方向で互いに重なる。交差面443-1及び頂面491-1は、例えば白色又は黄色である。交差面443-2及び頂面491-2は、例えば赤色又は緑色である。このことによって、基準点形成装置400Iでは、方向D2から見たとき、基準点パターン435に、基準点形成装置400Iの基準線483に替えて、基準点430で交差する複数の直線状の基準線481、482が現れる。
【0093】
図14に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、方向D2、D3から見て90°の中心角の扇形状を有する交差面443-1、443-2の径の長さがGSD以上になるように基準点パターン435、基盤部441及び柱状部490の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。
【0094】
上述説明した基準点形成装置400Iによれば、基準点形成装置400Hと同様の作用効果が得られる。
【0095】
なお、図14には、交差面443-1及び頂面491-1と交差面443-2及び頂面491-2の各々同士は互いに同色である例が示されているが、例えば交差面443-1及び頂面491-2が白色又は黄色であり、交差面443-2及び頂面491-1が赤色又は緑色であってもよい。このように交差面443-1、443-2及び頂面491-1、491-2がそれぞれ配色された場合、基準点パターン435に、基準線481、482に加えて基準線483が現れる。このことによって、光学画像520において周囲の地形パターンに対する基準点パターン435の識別度が高まり、基準点430の位置情報の算出精度を高めることができる。つまり、発現させたい基準線に合わせて、交差面443及び頂面491をそれぞれ区画することができ、各領域を配色すればよい。
【0096】
以下、第10の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Jと記載する。図15及び図16に示すように、基準点形成装置400Jは、基盤部441と、4つの板状部475-478と、レドーム504を備える。レドーム504は、基盤部441の外縁から電波Eの入射方向の基準点430よりも手前側の頂点(位置)431に向かって交差面442から離れるように形成されている。基盤部441は、方向D2、D3から見て円形状に形成されている。つまり、レドーム504は頂点431を有する円錐体の側面で構成され、基盤部441は前述の円錐体の底面に相当する。レドーム504は、電波Eを透過させ、電波Eを透過可能な素材で形成されている。頂点431は、方向D2、D3から見て基準点430と重なる。
【0097】
基準点形成装置400Jの板状部475-478は、基準点形成装置400Cの板状部475-478と同様に、三角形状に形成されている。但し、基盤部441が円形状に形成されているため、板状部475-478の各々の第1辺は、図16に示すように中心点448と交差面442の外縁で互いに周方向に90°の間隔をあけた4つの位置の各々とを結ぶ。板状部475-478の各々の第3辺は、基準点430と交差面442の外縁の前述の4つの位置の各々とを結ぶ。
【0098】
基準点形成装置400Jにおいて、交差面442の全体が電波Eを反射可能に構成されている。板状部475-478は、レドーム504の内側空間495に収容されている。板状部475の直交面465と、板状部478の直交面466と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面442は、第1のコーナーリフレクタを構成する。同様に、基準点形成装置400Jでは、基準点形成装置400Cにおける交差面443-1、443-2を交差面442に替えた第2から第4のコーナーリフレクタが構成されている。つまり、基準点形成装置400Jでは、電波反射部410は、上述の第1から第4のコーナーリフレクタを備える。
【0099】
基準点形成装置400Jにおいて、パターン形成部420は、レドーム504の側面506の外表面507に設けられている。図15に示すように、方向D2、D3から見たとき、外表面507は、周方向に所定の角度で複数の領域に区画されている。レドーム504の外表面507の複数の領域において、周方向に隣り合う領域同士では、所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長が異なる。例えば、外表面507の複数の領域のうち、周方向で互いに隣り合う外表面507-1、507-2については、外表面507-1が白色又は黄色であり、外表面507-2が赤色又は緑色である。このことによって、基準点形成装置400Jでは、方向D2から見たとき、基準点パターン435に、基準点430で交差する複数の直線状の基準線481、482、483等が現れる。なお、基準点形成装置400Jでは、方向D2、D3から見たときに、基準線481、482、483等は、板状部475-478と重なってもよく、重ならなくてもよい。
【0100】
上述説明した基準点形成装置400Jによれば、基準点形成装置400Cと同様の作用効果が得られる。また、外表面507-1、507-2で構成されるパターン形成部420を有するレドーム504を備えることで、基準点形成装置400Jによれば、板状部475-478がレドーム504の内側空間495に収容されるので、板状部475-478を保護できる。また、板状部475-478に風が当たったとき等の外的要因によって基盤部441及び交差面442に対する角度や姿勢が変わる事態を防止できる。
【0101】
基準点形成装置400Jの変形例として、図17及び図18に示す第11の態様の基準点形成装置400Kが挙げられる。基準点形成装置400Kの基盤部441は、方向D2、D3から見て四角形状に形成されている。また、基準点形成装置400Kのレドーム504は、基盤部441が四角形状を有することに伴い、四角錘の側面にあたる部分で構成されている。基準点形成装置400Kは、上述の基準点形成装置400Jの基盤部441の形状を円形状から四角形状に変更したものであり、上述の基準点形成装置400Cにレドーム504を設けたものともいえる。
【0102】
基準点形成装置400Kでは、レドーム504の外表面507は、4つの二等辺三角形状の領域に区画され、周方向で交互に外表面507-1、507-2に区画されている。つまり、4つの領域では、周方向において隣り合う領域同士で所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長が異なる。このことによって、基準点形成装置400Kでは、基準点形成装置400A、400Cと同様に、方向D2、D3から見たとき、及び方向D2から光学衛星で撮像された際に、UAVの所謂X型の基準点パターン435が形成される。
【0103】
上述説明した基準点形成装置400Kによれば、基準点形成装置400Jと同様の作用効果が得られる。
【0104】
以上説明した基準点形成装置400では、主に、方向D2が地表面GDよりも上空から地表面GDに向かい且つ基準点430を中心として四方或いは略全方位にわたる方向であった。しかしながら、方向D2は自由に選択可能であり、方向D2の数や向き、基準点形成装置400の指向性に合わせて上述の基準点形成装置400の構成を変更できる。また、基準点形成装置400における基準点パターン435は、基準点430を示すことができれば自由に且つ部分的に適宜変更可能である。
【0105】
例えば、第12の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Lと記載する。図19に示すように、基準点形成装置400Lは、基準点形成装置400Dと略同様の基盤部441と、2つの板状部476、478と、を備える。実際には、板状部476、478とは、1枚の板状部材として構成されている。基準点形成装置400Lにおける交差面442は、基準点形成装置400Iの交差面442と同様に、中心点448から周方向に90°ごとに区画されている。基準点形成装置400Lにおける交差面442には、周方向で基準線481、482を境界として交差面443-1、443-2が交互に設けられている。
【0106】
基準点形成装置400Lにおいて、板状部476の直交面465と、板状部478の直交面466と、これらの直交面に向き合う交差面443-1、443-2は、第1のコーナーリフレクタを構成する。板状部476の直交面466と、板状部478の直交面465と、これらの直交面に向き合う交差面443-1、443-2は、第2のコーナーリフレクタを構成する。つまり、基準点形成装置400Lは、2つのコーナーリフレクタで構成される電波反射部410を備える。
【0107】
上述の基準点形成装置400Lによれば、基準点形成装置400D、400I等と同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Lによれば、方向D2を二方向とし、UAVの所謂X型の基準点パターン435を形成できる。なお、基準点形成装置400Lは、2つの板状部476、478に替えて2つの板状部475、477を備えてもよい。
【0108】
基準点形成装置400Lの変形例として、図20に示す第13の態様の基準点形成装置400Mが挙げられる。基準点形成装置400Mは、基準点形成装置400Dにおける板状部475、478を1枚の板状部材としたとき、図20に示すように、方向D2、D3から見て円形状の基盤部441と、2つの板状部材479-1、479-2と、を備える。
【0109】
2つの板状部材479-1、479-2は、交差面442の中心点448を通る直径530の径方向の一方の端530aを共有し、端530aから直径530の径方向の他方の端530bに向かうに従って径方向で互いに離れる。基準点形成装置400Mにおいて、板状部材479-1の直交面465と、直交面465に向き合う交差面442によって、入射した電波Eが方向D1に反射される。同様に、板状部材479-2の直交面466と、直交面466に向き合う交差面442によって、入射した電波Eが方向D1に反射される。つまり、基準点形成装置400Mの電波反射部410は、少なくとも板状部材479-1の直交面465、交差面442及び板状部材479-2の直交面466に設けられている。
【0110】
基準点形成装置400Mにおいて、基盤部441の交差面442は、中心点448から径方向の所定の長さまでの領域である交差面443-2と、前述の所定の長さから外縁までの領域である交差面443-1に区画されている。基準点形成装置400Mで形成される基準点パターン435は、図示していないが方向D2、D3から見てUAVの所謂〇型のパターンである。基準点パターン435には、交差面442の2つの領域を区画する境界線として基準線483が現れる。
【0111】
上述の基準点形成装置400Mによれば、基準点形成装置400D、400I等と同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Mによれば、方向D2を二方向とし、UAVの所謂〇型の基準点パターン435を形成できる。また、基準点形成装置400Mによれば、直径530の端530bを中心として交差面442の外縁に沿った板状部材479-1、479-2同士が離れている距離を調整することによって、方向D2を容易に変更及び調整できる。
【0112】
以下、第14の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Nと記載する。図21に示すように、基準点形成装置400Jは、方向D2、D3から見て円形状の基盤部441と、2つの板状部材479-3、479-4と、を備える。板状部材479-3、479-4は、方向D3から見て基盤部441の一隅で互いに接続され、一隅で互いに接続された基盤部441の二辺から交差面442に対して直交する。基準点形成装置400Nにおいて、板状部材479-3の直交面466と、板状部479-4の直交面465と、これらの直交面に向き合う交差面442は、コーナーリフレクタを構成する。基準点形成装置400Nは、1つのコーナーリフレクタで構成される電波反射部410を備える。
【0113】
基準点形成装置400Nにおいて、基盤部441の交差面442は、基準点形成装置400Eと同様に、中心点448から外縁の四辺の各中央までの境界線によって4つの領域に区画されている。交差面442には、周方向で前述の境界線を境界として交差面443-1、443-2が交互に設けられている。基準点形成装置400Nで形成される基準点パターン435は、UAVの所謂+型のパターンである。基準点パターン435には、交差面443-1、443-2の境界線として互いに基準点430で直交する基準線486、487が現れる。
【0114】
上述の基準点形成装置400Nによれば、基準点形成装置400E等と同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Nによれば、方向D2を一方向とし、UAVの所謂+型の基準点パターン435を形成できる。
【0115】
以下、第15の態様の基準点形成装置400を、基準点形成装置400Pと記載する。図22に示すように、基準点形成装置400Pは、基準点形成装置400Cと同様の基盤部441と、4つの板状部475、476、477、478と、を備え、板状部475、476、477、478の頂部463に設けられた天板部500をさらに備える。天板部500は、方向D2、D3から見て頂部463を中心とする円形状を有する板状部材で形成されている。天板部500の板状部材は、SAR衛星から発信される電波Eを透過可能な材料で形成されている。前述の材料としては、例えばグラスファイバー、ポリテトラフルオロエチレン、或いはレドーム504や公知のレドームと同じ材料が挙げられる。
【0116】
基準点形成装置400Pでは、交差面442の全体が電波Eを反射可能に構成されている。板状部475の直交面465と、板状部478の直交面466と、これらの直交面の第1辺同士を連結する交差面442は、第1のコーナーリフレクタを構成する。同様に、基準点形成装置400Pでは、基準点形成装置400Cにおける交差面443-1、443-2を交差面442に替えた第2から第4のコーナーリフレクタが構成されている。つまり、基準点形成装置400Pは、4つのコーナーリフレクタで構成される電波反射部410を備える。前述のように、天板部500はSAR衛星から発信される電波Eを透過可能な材料で形成されているので、方向D2、D3に沿って天板部500に入射する電波Eは天板部500を透過して4つのコーナーリフレクタの各々に入射する。4つのコーナーリフレクタの各々で反射された電波Eは天板部500を透過し、方向D2、D3に沿ってSAR衛星に向かって進む。
【0117】
基準点形成装置400Pでは、パターン形成部420は、天板部500の表面502、即ち天板部500において方向D2、D3から見て光学衛星の方を向く面に設けられている。方向D2、D3から見たとき、表面502は、天板部500の中心に対して周方向に90°間隔で4つの領域に区画されている。基準点形成装置400Pでは、天板部500の表面502の中心は、基準点430であり、頂部463と上下で略重なっている。天板部500の表面502の4つの領域において、周方向に隣り合う領域511、512同士では、所定の方向から光波Lが入射したときに方向D2に反射する光量又は波長が異なる。例えば、領域511が白色又は黄色であり、領域512が赤色又は緑色である。このことによって、基準点形成装置400Pでは、方向D2から見たとき、基準点パターン435に、基準点430で交差する複数の直線状の基準線481、482が現れる。但し、領域511、512同士の色或いは光波Lの反射率を異ならせるために領域511、512に設けられる塗料或いは材料は、電波Eを透過可能である。
【0118】
図22に例示する基準点パターン435においても、方向D2、D3から見たときの基準点パターン435の大きさは、光学衛星のGSDの2倍以上で適宜設定されることが好ましい。例えば、方向D2、D3から見て90°の中心角の扇形状を有する天板部500の表面502の領域511、512の径の長さがGSD以上になるように基準点パターン435及び天板部500の方向D2、D3から見たときの大きさが設定されていることが好ましい。天板部500の方向D2、D3から見たときの大きさは、図22に示すように同方向から見たときの基盤部441の大きさよりも小さくてもよく、同方向から見たときの基盤部441の大きさと略同等、或いは同方向から見たときの基盤部441の大きさよりも大きくてもよい。言い換えれば、天板部500の方向D2、D3から見たときの大きさは、電波反射部410の大きさに依存せず、光学衛星のGSD及び光学画像520の取得時の条件をふまえて適宜設定可能である。
【0119】
上述の基準点形成装置400Pによれば、基準点形成装置400C等と同様の作用効果が得られる。また、基準点形成装置400Pによれば、パターン形成部420を天板部500に設けて電波反射部410から分離できるため、基準点パターン435の形状等の自由度が高まる。
【0120】
なお、図22には円盤状の天板部500を例示しているが、天板部500は、電波Eを透過可能な材料で形成されていれば、ある程度の厚みを持った円柱形状を有してもよく、方向D2、D3から見て円形状以外の形状(例えば、四角形状を含む多角形状、楕円形状等)で形成されてもよい。また、基準点形成装置400Pにおいて、基準点パターン435の形状は、図22に例示した形状に限定されず、光学衛星で撮影した後に光学画像520で基準点430を検知可能とする形状であればよい。
【0121】
基準点形成装置400Pの天板部500は、例えば他の態様で例えば基準点形成装置400Nの板状部材479-3、479-4の角部に天板部500の表面502の中心を合わせて板状部材479-3、479-4の上に設けられてもよい。その場合は、基盤部441の交差面442は、複数の交差面443-1、443-2に区画されていなくてよい。つまり、基準点形成装置400Pの変形例として、天板部500の下方に配置される電波反射部410の形状は、電波Eを再帰反射できれば、自在に変更可能である。
【0122】
以上、本発明の好ましい実施形態及び基準点形成装置の複数の態様について詳述したが、本発明は特定の実施形態及び態様に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、変更可能である。
【0123】
上述した各態様では、光学画像520として光学衛星で撮影した画像を例示した。しかしながら、本発明における光学画像520は、例えば航空機やドローン等の無人航空機(UAV)によって撮影した画像であってもよい。
【0124】
上述した複数の態様の基準点形成装置400のうち、複数の態様の基準点形成装置400の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0125】
また、上述のいくつかの基盤部と板状部とを備える基準点形成装置400やレドームと板状部、柱状部又は錐状部とを備える基準点形成装置400において、UAVの所謂星型の基準点パターン435、或いは基準点430を示す任意の基準点パターンを形成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
400、400A-400N、400P 基準点形成装置
410 電波反射部
420 パターン形成部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
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図11
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図22