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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】冷凍・冷蔵ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20240513BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20240513BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240513BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A47F3/04 H
F25D17/08 321B
F25D17/08 318B
F25D11/00 101C
F25D17/06 311
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020136302
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032477
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 昌希
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-195881(JP,A)
【文献】実開昭56-092079(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
F25D 17/08
F25D 11/00
F25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口された外ケースと内ケースとの間に、第一送風機と蒸発器とが収納された第一の循環経路と、前記第一の循環経路の外側に区画されて配置され第二送風機が収納された第二の循環経路と、が形成された冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記第一の循環経路の空気は、ケース本体上部の第一吹出口から前記ケース本体の前面開口を通り、前記ケース本体下部に設けた第一吸込口から載置板により区画された前記ケース本体の底部空間を通り前記ケース本体背面側に至るように構成され、
前記第二の循環経路の空気は、前記ケース本体上部の第二吹出口から前記ケース本体の前面開口を通り、前記ケース本体下部に設けた第二吸込口から前記底部空間に設けられ前記第二送風機が収納された吸気ダクト内を通り前記ケース本体背面側に至るように構成され、
前記吸気ダクトには、前記吸気ダクト内の空間と周りの前記底部空間とを連通する開口部が形成されていることを特徴とする冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項2】
前記第二の循環経路の前記第二送風機は、上下方向に延びる回転軸を有することを特徴とする請求項1に記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項3】
前記開口部は、前記吸気ダクトの上壁部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項4】
前記開口部は、前記吸気ダクトにおける前記第二送風機の回転軸よりも後方側に設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【請求項5】
前記吸気ダクトには、前記第二送風機よりも後方に立設する背面壁部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍・冷蔵ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品や生鮮食品等を陳列するために用いられる冷凍・冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等には、冷凍食品や生鮮食品等を冷凍または冷蔵しながら陳列するために、冷凍・冷蔵ショーケースが配置されている。冷凍・冷蔵ショーケースは、外ケースと内ケースとにより構成された前面が開口されたケース本体と、外ケースと内ケースとの間に形成された通風路内に設置される蒸発器及び送風機と、を備え、蒸発器は、内部に流入する冷媒が蒸発する際の気化熱により該蒸発器周辺の空気の熱を奪って冷却できるようになっており、蒸発器で冷却された空気が前記送風機によりケース本体の庫内に送り出されて、庫内に陳列する冷凍食品や生鮮食品等を冷凍または冷蔵している。
【0003】
このような冷凍・冷蔵ショーケースは、蒸発器で冷却された空気がケース本体の前面上部に設けられる吹出口からケース本体の前面下部に設けられる吸込口に向けて流れることで前面開口部にエアカーテンが形成され、エアカーテンにより外気が庫内に流入し難くなっているが、エアカーテンが外気と熱交換することで冷気の温度が上昇し庫内の冷却効率が低下するという問題があった。そのため、特許文献1に示されるような冷凍・冷蔵ショーケースが開発されている。
【0004】
特許文献1に示される冷凍・冷蔵ショーケースは、区画された2つの循環経路を有している。一方の循環経路は、一方の吸入口、庫内の底に設けられた載置板により区画されたケース本体の底部空間、一方の背部空間、一方の上部空間、一方の吹出口により構成されており、底部空間に送風機が配置され、背部空間に蒸発器が配置されている。また、他方の循環経路は、他方の吸入口、底部空間に配置された吸気ダクト、一方の背部空間とは区画された他方の背部空間、一方の上部空間とは区画された他方の上部空間、他方の吹出口により構成されており、吸気ダクト内に送風機が配置されている。一方の循環経路の吸入口及び吹出口は、他方の循環経路の吸入口及び吹出口よりも前側に配置されており、一方の循環経路と他方の循環経路とを流れる空気により前面開口部には前後2層のエアカーテンが形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-195881号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冷凍・冷蔵ショーケースにあっては、外側を流れる他方の循環経路のエアカーテンにより、内側を流れる一方の循環経路のエアカーテンが保護されるので、一方の循環経路のエアカーテンが直接外気と熱交換されることが抑制され、庫内の温度上昇を抑えることができるようになっている。しかしながら、他方の循環経路は、吸気ダクト内に送風機を斜めに配置することで、該送風機と吸気ダクトの上壁部との間にスペースを形成し送風機に吸い込まれる空気の流量を確保する構造であるため、ダクトの高さ及び載置板を設ける位置が高くなり、庫内の商品陳列スペースを大きく確保することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、他方の循環経路を流れる空気の流量を十分に確保でき、かつ庫内の商品陳列スペースを大きく確保できる冷凍・冷蔵ショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の冷凍・冷蔵ショーケースは、
前面が開口された外ケースと内ケースとの間に、第一送風機と蒸発器とが収納された第一の循環経路と、前記第一の循環経路の外側に区画されて配置され第二送風機が収納された第二の循環経路と、が形成された冷凍・冷蔵ショーケースであって、
前記第一の循環経路の空気は、ケース本体上部の第一吹出口から前記ケース本体の前面開口を通り、前記ケース本体下部に設けた第一吸込口から載置板により区画された前記ケース本体の底部空間を通り前記ケース本体背面側に至るように構成され、
前記第二の循環経路の空気は、前記ケース本体上部の第二吹出口から前記ケース本体の前面開口を通り、前記ケース本体下部に設けた第二吸込口から前記底部空間に設けられ前記第二送風機が収納された吸気ダクト内を通り前記ケース本体背面側に至るように構成され、
前記吸気ダクトには、前記吸気ダクト内の空間と周りの前記底部空間とを連通する開口部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、吸気ダクトに開口部を設けることで、他方の循環経路の送風機は吸気ダクト内の空気に加え、底部空間の一方の循環経路の空気の一部を吸い込むことができるので、吸気ダクトを小さく構成しても他方の循環経路を流れる空気の流量を十分に確保できる。これにより、載置板を設ける位置と吸気ダクトの高さを低くすることができ、庫内の商品陳列スペースを大きく確保することができる。
【0009】
前記第二の循環経路の前記第二送風機は、上下方向に延びる回転軸を有することを特徴としている。
この特徴によれば、吸気ダクトの高さ寸法を抑えることができるので、商品陳列スペースを大きく確保できる。
【0010】
前記開口部は、前記吸気ダクトの上壁部に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、吸気ダクト内の送風機の吸気方向に開口部が形成されるため、送風抵抗を小さくして他方の循環経路の空気の流量を確保できるので、吸気ダクトをコンパクトにできる。
【0011】
前記開口部は、前記吸気ダクトにおける前記第二送風機の回転軸よりも後方側に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、他方の循環経路の吸込口から吸気ダクト内に流入する空気と、底部空間から開口部を通って吸気ダクト内に流入する一方の循環経路の空気と、を他方の循環経路の送風機によりバランスよく吸い込むことができる。
【0012】
前記吸気ダクトには、前記第二送風機よりも後方に立設する背面壁部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、背面壁部により吸気ダクト内の空気が他方の循環経路の送風機に誘導されるので該送風機に吸い込まれやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における冷凍・冷蔵ショーケースを示す側断面図である。
図2】載置板を取外した状態であって、ケース本体の底部空間の前方を視た斜視図である。
図3】載置板を取外した状態であって、ケース本体の底部空間の後方を視た斜視図である。
図4】ケース本体の底部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る冷凍・冷蔵ショーケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0015】
実施例に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、図1から図4を参照して説明する。以下、図1の紙面左側を冷凍・冷蔵ショーケースの正面側(前方側)とし、正面側から見た左右を冷凍・冷蔵ショーケースの左右側として説明する。
【0016】
図1に示されるように、冷凍・冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置されるものであり、商品陳列用空間部6を有するケース本体1Aと、ケース本体1Aに設けられた循環経路4,5にそれぞれ設置される送風機19,20,21と、循環経路4(一方の循環経路)に配置される蒸発器Rと、循環経路5(他方の循環経路)に配置される図示しない蒸発器と、から主に構成されている。
【0017】
ケース本体1Aは、前面が開放された断面略コ字形をなす断熱構造の外ケース2と、その内側に配置され前面が開放された断面略逆L字形の内ケース3とからなる。具体的には、外ケース2は、水平方向に延びる上板部2aと、上板部2aの後端から下方に延びる背板部2bと、背板部2bの下端から前方に延びる底板部2cと、底板部2cの前端から上方に立ち上がる前板部2dと、から構成されている。また、内ケース3は、上板部2aの下方で略平行に延びる上板部3aと、背板部2bの前方で略平行に延びる背板部3bと、から構成され、背板部3bは底板部2cまで延びている。
【0018】
内ケース3の内側には、庫内としての商品陳列用空間部6が設けられており、この商品陳列用空間部6には内ケース3の背板部3bの前面に取付けられる図示しない複数の陳列棚により商品を多段に陳列できるようになっている。
【0019】
また、外ケース2の前板部2dと内ケース3の背板部3bの前後間かつ商品陳列用空間部6の下端には商品を載置可能な載置板11が略水平に取付けられており、ケース本体1Aにおいて、前板部2d、底板部2c、背板部3b、及び載置板11により囲まれた部分、すなわち載置板11よりも下方側の空間は、商品陳列用空間部6と区画されたケース本体1Aの底部空間41となっている。この底部空間41には送風機19,21が設置されている(図3参照)。
【0020】
また、外ケース2の背板部2bと内ケース3の背板部3bとの間に形成される空間は、仕切背板7により前面側の背部空間42と背面側の背部空間52とに区画されている。この前面側の背部空間42には蒸発器Rが設置されている。
【0021】
また、外ケース2の上板部2aと内ケース3の上板部3aとの間に形成される空間は、仕切上板8により下側の上部空間43と上側の上部空間53とに区画されている。
【0022】
ケース本体1Aの上部前端には、各上部空間43,53に連通する吹出口9、10が設けられるとともに、ケース本体1Aの下部前端には、これら上方の吹出口9、10から吹出される空気を取り込むための吸込口14、15が設けられている。吸込口14は底部空間41に連通し、吸込口15は底部空間41に配置される吸気ダクト12のダクト内空間51に連通している。このダクト内空間51には送風機20が設置されている(図3参照)。
【0023】
一方の循環経路4は、ケース本体1Aにおける底部空間41、背部空間42、上部空間43、吹出口9、吸込口14により構成されており、他方の循環経路5は、ケース本体1Aにおけるダクト内空間51、背部空間42よりも背面側の背部空間52、上部空間43よりも上側の上部空間53、吹出口10、吸込口15により構成されている。すなわち、循環経路4は、循環経路5の内側に配置されている。
【0024】
各送風機19,20,21をそれぞれ駆動させることにより、各循環経路4,5を空気が循環する。循環経路4,5を流れる空気は蒸発器Rと図示しない蒸発器により冷却された冷気である。循環経路5に配置される図示しない蒸発器は蒸発器Rよりも容量が小さい。すなわち、循環経路4,5を流れる空気は温度差を有する冷気である。尚、循環経路5には蒸発器が配置されなくてもよいし、蒸発器Rと同容量の蒸発器が配置されてもよい。また以下、循環経路4,5を流れる空気を冷気と称する。
【0025】
また循環経路4,5を冷気が循環した状態にあっては、商品陳列用空間部6の前面、すなわちケース本体1Aの前面開口1aにエアカーテンが作り出されるため、商品陳列用空間部6内の冷気の拡散や外部からの熱進入が防止され、商品陳列用空間部6内の温度が一定に保持されるようになっている。また、商品陳列用空間部6内を低温に保つための循環経路4の冷気は、その前面側を流れる循環経路5の冷気により外気と熱交換することが抑制されている。
【0026】
図1及び図2に示されるように、各吸込口14、15から吸い込まれた2層の冷気は、吸気ダクト12外側と内側の底部空間41とダクト内空間51とに分離されてケース本体1Aの背面の各背部空間42,52に個別に連通されるようになっている。
【0027】
図2に示されるように、吸気ダクト12は、外ケース2の前板部2dよりも若干後方側に離間した位置から立ち上がり左右方向に延びる仕切板22と、仕切板22の中央下部に設けられた貫通孔22aに接続され前後方向に延びる下向きコ字状のダクト部材23と、吸込口14,15を被覆する左右方向に延びる保護カバー24と、から構成されている。
【0028】
外ケース2の前板部2dと仕切板22との間には、前後方向に間隔が形成されており、その上端には循環経路5を構成する吸込口15が形成されている。
【0029】
保護カバー24は、その上板部24aと背板部24bとにそれぞれ複数のスリット25が設けられている。上板部24aの前端部は外ケース2の前板部2dの上端に支持され、上板部24aの後端部は仕切板22よりも後方に配置されており、背板部24bは仕切板22の背面に取付けた間隔片16に支持されている。
【0030】
このようにして、保護カバー24が外ケース2の前板部2dの上端と仕切板22の上端とに跨って装着されると、間隔片16により保護カバー24の背板部24bと仕切板22との間には前後方向に間隔が形成され、循環経路4を構成する吸込口14が形成される。尚、吸込口14,15には、保護カバー24のスリット25を通じて冷気が吸い込まれるようになっている。
【0031】
次に、図3に示すように、底部空間41の後方には、左右方向に延びる区画板13が外ケース2の底板部2cに固定されている。この区画板13は、前側下方に傾斜する傾斜板部131と、傾斜板部131の後端から後方に向けて水平に延びる水平板部132と、傾斜板部131と水平板部132との左右端部から底板部2cに延びる側板部133(右方の側板部133のみ図示)と、を備えている。
【0032】
水平板部132の下方は、前後方向に延びる筒状部材17により左方の下方空間Z1、中央の下方空間Z2、右方の下方空間Z3に区画されている。水平板部132には、下方に開口する3つの貫通孔132a,132b,132cが左右方向に離間して設けられており、ダクト部材32の外側の底部空間41は水平板部132の各下方空間Z1~Z3に連通している。
【0033】
また、水平板部132における貫通孔132a,132b,132cには送風機19,20,21が取付けられている。これら送風機19、20、21は、各回転軸19a,20a,21aが上下方向を向いて配置されている。
【0034】
また、水平板部132の左右の下方空間Z1,Z3は、背部空間42の下端に連通しており、水平板部132の中央の下方空間Z2は、筒状部材17により背部空間52の下端に連通している。
【0035】
また、区画板13における中央の貫通孔132bは、ダクト部材23によりその上方が被覆されている。
【0036】
ダクト部材23の後方には、その上壁部231に左右方向に延びる開口部231aが形成されている。具体的には、図4に示されるように、開口部231aは、送風機20の回転軸20aよりも後方側に設けられている。
【0037】
また、図3及び図4に示すように、ダクト部材23の後方には、その上壁部231と左右の側壁部232とを繋ぐ背面壁部233が形成されている。
【0038】
次に、ダクト内空間51の冷気の流れを具体的に説明する。図4に示されるように、ダクト内空間51では、送風機20により吸込口15から冷気が吸い込まれるとともに、底部空間41内の冷気の一部が開口部231aを通じて吸い込まれる。尚、開口部231aの面積は、ダクト内空間51の流路断面積よりも小さく形成されているため、送風機20には主に吸込口15からの冷気が吸い込まれる。
【0039】
このように、底部空間41内の冷気の一部を開口部231aを通じてダクト内空間51に吸い込むことができるので、吸気ダクト12を小さく構成しても循環経路5を流れる冷気の流量を十分に確保できるようになっている。すなわち、ダクト部材23の上壁部231を送風機20の直上に近付けて配置しても循環経路5を流れる冷気の流量を十分に確保できるため、ダクト部材23の高さを低くできるとともに、それに伴って載置板11を設ける位置を低くすることができ、商品陳列用空間部6を大きく確保することができる。
【0040】
また、ダクト部材23の高さを低くすることで、ダクト部材23内の流路断面積が小さくなっても、開口部231aによりダクト内空間51の圧力を低下させることができるので、ダクト内空間51の送風抵抗を小さくして、送風機20に吸い込まれる冷気の流量を確保できる。
【0041】
また、循環経路5を流れる冷気よりも低温である底部空間41内の冷気、すなわち循環経路4を流れる冷気の一部が開口部231aを通じてダクト内空間51に流入して混合されるので、循環経路5を流れる冷気が低温な状態を維持できる。
【0042】
また、送風機20の回転軸20aは上下方向を向いているので、ダクト部材23の高さ寸法を抑えることができ、商品陳列用空間部6を大きく確保することができる。
【0043】
また、ダクト部材23の上壁部231に底部空間41内と連通する開口部231aが設けられている。言い換えれば、送風機20の吸気方向に開口部231aが設けられるので、送風抵抗を小さくして循環経路5の冷気の流量を確保できるので、吸気ダクト12をコンパクトにできる。
【0044】
また、開口部231aは、ダクト部材23における送風機20の回転軸20aよりも後方側に設けられている。これによれば、循環経路5の吸込口15から吸気ダクト12内に流入する冷気と、底部空間41から開口部231aを通って吸気ダクト12内に流入する循環経路4の冷気と、を送風機20によりバランスよく吸い込むことができる。
【0045】
具体的には、循環経路5の吸込口15から吸気ダクト12内に流入する冷気は送風機20の前方側から吸い込まれ、底部空間41から開口部231aを通って吸気ダクト12内に流入する循環経路4の冷気は送風機20の後方側から吸い込まれる。これによれば、送風機20の吸気力が循環経路5の吸込口15から吸気ダクト12内に流入する冷気、または底部空間41から開口部231aを通って吸気ダクト12内に流入する循環経路4の冷気の一方に偏って作用することが抑制される。
【0046】
また、循環経路5の吸込口15から吸気ダクト12内に流入する冷気と、底部空間41から開口部231aを通って吸気ダクト12内に流入する循環経路4の冷気とが、送風機20の前方側で干渉し、吸気ダクト12内に乱流や渦流が発生することを防止できる。
【0047】
また、ダクト部材23には、送風機20よりも後方に立設する背面壁部233が形成されている。これによれば、吸込口15または開口部231aから吸気ダクト12内に流入する冷気が、背面壁部233により送風機20に誘導されるので該送風機20に吸い込まれやすい。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例では、開口部231aがダクト部材23の上壁部231における送風機20の上方近傍に設けられる形態を例示したが、これに限られず、ダクト部材23の上壁部231における送風機20の前方、または後方に離間した位置に設けられていてもよい。また、開口部231aは、ダクト部材23の側壁部232に設けられていてもよい。
【0050】
また、前記実施例では、吸気ダクト12に1つの開口部231aが形成される形態を例示したが、複数設けられていてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、開口部231aは左右方向に延びる長孔である形態を例示したが、これに限られず、丸形や楕円形、正方形等の孔であってもよい。
【0052】
また、開口部231aの面積は、ダクト内空間51の流路断面積よりも大きく形成してもよいが、循環経路4の冷気の流量を確保するために、開口部231aの面積はダクト内空間51の断面積よりも小さいことが好ましい。
【0053】
また、前記実施例では、送風機19,20,21の回転軸19a,20a,21aが上下方向を向く形態を例示したが、回転軸19a,20a,21aが斜めまたは前後を向くように配置されていてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、送風機19,20,21が3つ設けられる形態を例示したが、送風機は、両方の循環経路に少なくとも1つずつ設けられていればよく、送風機の数量は自由に変更してもよい。さらに、送風機が配置される位置は、背部空間42,52であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 冷蔵ショーケース
1A ケース本体
1a 前面開口
2 外ケース
3 内ケース
4 循環経路(一方の循環経路)
5 循環経路(他方の循環経路)
6 商品陳列用空間部(庫内)
9 吹出口(一方の吹出口)
10 吹出口(他方の吹出口)
11 載置板
12 吸気ダクト
14 吸込口(一方の吸込口)
15 吸込口(他方の吸込口)
19~21 送風機
19a~21a 回転軸
23 ダクト部材
24 保護カバー
41 底部空間
42 背部空間(一方の背部空間)
43 上部空間(一方の上部空間)
51 ダクト内空間
52 背部空間(他方の背部空間)
53 上部空間(他方の上部空間)
231 上壁部
231a 開口部
233 背面壁部
R 蒸発器
図1
図2
図3
図4