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特許7487048人工芝の排水構造および人工芝排水システム
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  • 特許-人工芝の排水構造および人工芝排水システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】人工芝の排水構造および人工芝排水システム
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/02 20060101AFI20240513BHJP
   E01C 13/08 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
E01C13/02
E01C13/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020142929
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038426
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】平野 尭将
(72)【発明者】
【氏名】川口 正人
(72)【発明者】
【氏名】隅倉 光博
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0129906(US,A1)
【文献】実開平02-106080(JP,U)
【文献】特開2004-074115(JP,A)
【文献】実開昭59-167814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 13/02
E01C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工芝の周囲に設けられた人工芝の排水構造であって、
底部に透水機能を有する側溝と、
前記側溝内の底部に設置された透水性排水管と、
前記側溝内で前記透水性排水管の上方まで充填された細砂と、
前記細砂の流出を防ぐ堰の機能を有し、前記透水性排水管を通過可能に前記側溝の延在方向を仕切る仕切り板と、
を備え
前記側溝の上端と、前記人工芝の表面とが面一になるように設けられていることを特徴とする人工芝の排水構造。
【請求項2】
前記細砂は、粒度が均一であることを特徴とする請求項1に記載の人工芝の排水構造。
【請求項3】
前記仕切り板は、前記側溝の上端より低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工芝の排水構造。
【請求項4】
前記側溝の底部は、透水性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造。
【請求項5】
前記側溝は、前記人工芝寄りの第1側溝と、該第1側溝を挟んで前記人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造を備えた人工芝排水システムであって、
前記人工芝から前記側溝内に流入した小片が混在した前記細砂を吸引する吸引装置と、
前記吸引装置で吸引した気体固体混相流体を比重差により前記小片と前記細砂とに分別する分別装置と、
を備えたことを特徴とする人工芝排水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工芝の排水構造および人工芝排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば野球場、サッカー場、ラグビー場等の一般的な屋外設置の人工芝運動場に対して降り注ぐ雨水等を排水するため、運動場の四周等に側溝を設置し、この側溝に降雨水を集水している。そして、集水した雨水は、側溝に達して1か所以上の桝によりさらに集水され、暗渠管路によって運動場外に排出される。排出された雨水は、合流式下水道整備地域において下水に流されることもあるが、分流式排水の地域などでは、雨水配管を経由して河川等にそのまま放流される。
【0003】
ところで、人工芝運動場では、人工芝上で様々な運動行為等が行われている。このような行為には、単なる歩行だけでなく、スライディング等の大きなエネルギーが加わる場合もある。このような大きなエネルギーに対して耐えられるように人工芝は合成樹脂製の芝葉を植設して製造されているが、設計基準を上回る大きなエネルギーが加わったり、紫外線ばく露などの経年変化によって、樹脂体の強度の低下が発生し、細かく裁断されてしまう。
また、近年の人工芝では、運動場を利用する人の膝などへの負担を軽減するため、エネルギーを吸収するために細かな樹脂チップが人工芝の根元に充填された構成とする場合も多い。
【0004】
上述したような人工芝の破断砕片やチップ等の細片が降雨水の流れとともに側溝に流れ込むが、これらの側溝には大きな異物の落下を防止する目的であるグレーチング(目皿)が設置されている対策のみであって、上述したような細片を捕獲できるような機能にはなっていない。そのため、発生した樹脂由来の砕片はその他の排水とともに河川から海洋へ流出していくこととなる。この砕片はマイクロプラスチックと称され、近年海洋や河川等に生息する生物への環境影響のある物質として注視されている。
このような問題に対応する装置として、例えば特許文献1に示すような排水側溝内に有孔コルゲート管を内装し、このコルゲート管によって芝の小片を回収する構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-137354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の人工芝等の運動場に設けられる排水構造では、コルゲート管の濾過メッシュだけでは、直ぐに目詰まりが生じてしまううえ、目詰まりした際の雨水が運動場上に溢れ出てしまう問題があった。
また、コルゲート管の下部の隙間の清掃が困難であることから、その点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片を容易にかつ確実に回収できる人工芝の排水構造および人工芝排水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る人工芝の排水構造は、人工芝の周囲に設けられた人工芝の排水構造であって、底部に透水機能を有する側溝と、前記側溝内の底部に設置された透水性排水管と、前記側溝内で前記透水性排水管の上方まで充填された細砂と、前記細砂の流出を防ぐ堰の機能を有し、前記透水性排水管を通過可能に前記側溝の延在方向を仕切る仕切り板と、を備え、前記側溝の上端と、前記人工芝の表面とが面一になるように設けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明では、人工芝から発生する樹脂小片やチップ等の小片が雨水とともに側溝内に流入した際、その小片混入雨水は細砂を浸透し、雨水のみが透水性排水管を通じて主排水溝に排水され、また透水性排水管に流入しない雨水は側溝の底部を通じて主排水溝に排水される。このとき、側溝内に流入した小片は透水性排水管まで到達することがなく、細砂の表層部で多くの小片を回収することができる。
このように、細砂に小片に対するフィルター効果をもたせることができ、従来のような透水性排水管の濾過メッシュでの小片の回収量を大幅に低減することができる。したがって、小片が雨水とともに透水性排水管や底部から主排水溝へ排出されることを抑制でき、小片が人口芝の敷地外に流出することを防止できる。
【0010】
また、側溝内に流れ込んだ小片を回収する際には、細砂上に堆積した小片を取り除く作業と、必要に応じて細砂を入れ替える作業で済む。そのため、従来のように透水性排水管の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃する作業を少なくできるので、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができる。
しかも、本発明では、上述したように透水性排水管の濾過メッシュの目詰まりの発生を抑制できることから、側溝に流入した雨水は透水性排水管及び底部より確実に排水することができる。そのため、雨水や小片が側溝から人工芝へ溢れ出してしまうことを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記細砂は、粒度が均一であることを特徴としてもよい。
【0012】
この場合には、細砂の粒度を揃えることで粒間に空隙を確保することができ、強い降雨時であっても雨水を十分に透水させることができる。
【0013】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記仕切り板は、前記側溝の上端より低い位置に設けられていることを特徴としてもよい。
【0014】
この場合には、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合には、仕切り板によって仕切られた細砂を有する領域から仕切り板の上方を通過させて隣接する細砂のない側溝内領域に流出させることができる。
【0015】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記側溝の底部は、透水性を有することを特徴としてもよい。
【0016】
この場合には、側溝内に流入した雨水のうち透水性排水管に流入しない雨水を、側溝の透水性を有する底部から地中に浸透させて排水することができる。そのため、地中に浸透した雨水に小片が混じっていた場合であっても、その小片が人工芝下の地中に留まることから、小片の敷地外への流出を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記側溝は、前記人工芝寄りの第1側溝と、該第1側溝を挟んで前記人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられていることを特徴としてもよい。
【0018】
この場合には、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合において、側溝が二重に設けられているので、人工芝の排水が不十分となって洪水や周辺への浸水等を防止することができる。
【0019】
また、本発明に係る人工芝排水システムは、上述した人工芝の排水構造を備えた人工芝排水システムであって、前記人工芝から前記側溝内に流入した小片が混在した前記細砂を吸引する吸引装置と、前記吸引装置で吸引した気体固体混相流体を比重差により前記小片と前記細砂とに分別する分別装置と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
本発明では、雨水の側溝内への流入に伴って細砂に堆積または混入した小片を清掃する際には、吸引装置を使用して細砂を吸引して側溝内から取り出し、取り出した細砂と小片が混在する気体固体混相流体をその比重差を利用した分別機能を有する分別装置によって小片と細砂とを分離する。そして、分別装置によって回収した細砂は再度充填材として側溝内に戻して再利用することができる。
このように、本発明の人工芝排水システムでは、必要に応じて細砂を回収して小片を分別により簡単に取り除くことができる。そして、小片が細砂に留まらせる割合を増やすことができるので、透水性排水管の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃する作業を少なくすることができる。したがって、清掃等のメンテナンスを効率よく行うことができ、そのメンテナンスにかかる作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の人工芝の排水構造および人工芝排水システムによれば、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片を容易にかつ確実に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態による人工芝の排水構造を上方から見た平面図である。
図2図1に示すA-A線断面図である。
図3図1に示すB-B線断面図である。
図4図1に示すC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態による人工芝の排水構造および人工芝排水システムについて、図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施形態による人工芝の排水構造1は、図1及び図2に示すように、人工芝の周囲に設けられている。本実施形態の排水構造1は、人工芝排水システムに適用される。
図中符号Sは、人工芝を示している。人工芝グランドは、人工芝Sを敷設した構造である。人工芝Sは、芝上に砂やゴムチップ等を混合した粒状物(以下、小片F)が充填されている。
【0025】
排水構造1は、底部に透水機能を有する側溝2と、側溝2内の底部に設置された透水性排水管3と、側溝2内で透水性排水管3の上方まで充填された細砂4と、細砂4の流出を防ぐ堰の機能を有し、透水性排水管3を通過可能に側溝2の延在方向を仕切る仕切り板5と、を備えている。
【0026】
側溝2は、下流端部において不図示の主排水溝に接続されている。なお、主排水溝は、暗渠であってもかまわない。側溝2は、人工芝グラウンドの周囲の一部又は全周にわたって地面に埋設された状態で配置されている。図3及び図4に示すように、側溝2は、底壁21(底部)と、底壁21の幅方向両端部から立ち上がる一対の側壁22、22と、から断面U字型に形成されている。側溝2の上部開口2aは、コンクリート製、あるいは溶融亜鉛メッキされた金属製の蓋体23で覆われている。側壁22は、側溝2の上端22aとグランドの人工芝Sの表面とが面一になるように設けられている。また、側溝2は、排水方向に沿って若干の下り勾配を形成して設けられている。
側溝2の底壁21は、透水性を有し、側溝2内で透水性排水管3内に流入しない雨水が底壁21から下面側の地盤に排水されるようになっている。
【0027】
透水性排水管3は、例えば透水性コルゲート管が用いられ、本実施形態では2本を横方向に配列させて側溝2の底壁21上に載置された状態で設置されている。透水性排水管3は、延長方向に連結されている。透水性排水管3は、側溝2内に充填される細砂4に埋められた状態で設けられている。透水性コルゲート管としては、例えばメッシュ状の透水面を螺旋状の合成樹脂補強材で保持した構造のものや、多数の小孔を有する筒部を螺旋状の合成樹脂補強材で保持した構造のものを採用することができる。ここで、メッシュ状の透水面や筒部の小孔は、雨水に混在している小片Fが通過しない程度の開口寸法とされる。
【0028】
側溝2内に充填される細砂4は、例えば珪砂などで粒度が均一である。細砂4は粒度を揃えることで粒間に空隙を確保でき、強い降雨時であっても十分な透水が可能に設定されている。細砂4の粒径としては、0.5~5mm程度のものが用いられる。細砂4は、細砂4の上面4aが透水性排水管3の上端より十分に高い位置となるように充填されている。
【0029】
仕切り板5は、図2及び図4に示すように、例えばコンクリート製やステンレス製の材料により形成され、側溝2内で側溝2の延長方向で上流側と下流側に間隔あけて配置されている。仕切り板5の下端5aが側溝2の底壁21の上面21aに当接され、仕切り板5の上端5bが側壁22の上端22aより低い位置に設けられている。仕切り板5には、透水性排水管3、3が挿通可能な一対の円形の挿通孔51、51が形成されている。仕切り板5、5同士で区画された領域内に充填された細砂4のこの領域外への流出が防止されている。
【0030】
なお、仕切り板5には、側溝2の内面との間にシール材(図示省略)が介在され液密な状態で止水されている。また、挿通孔51には、通過する透水性排水管3との間にシール材(図示省略)が介在され液密な状態で止水されている。つまり、仕切り板5、5同士で区画された領域内に流入した雨水が仕切り板5の外方に漏れ出すことが防止されている。
【0031】
次に、上述した排水構造1を備えた人工芝排水システムについて図1図4に基づいて説明する。
人工芝排水システムは、人工芝Sから側溝2内に流入した小片Fが混在した細砂4を吸引する吸引装置と、吸引装置で吸引した気体固体混相流体を比重差により小片Fと4細砂とに分別する分別装置と、を備えている。分別装置としては、比重分離や遠心分離(サクロン等)による装置を採用することができる。なお、大粒径の礫等も混入する場合もあるため、礫と砂の分離には、例えば0.5-2.0mm程度の篩を用いて分級することが好ましい。
【0032】
人工芝排水システムでは、雨水の側溝2内への流入に伴って細砂4に堆積または混入した小片Fを清掃する際には、吸引装置を使用して細砂4を吸引して側溝2内から取り出し、取り出した細砂4と小片Fが混在する気体固体混相流体をその比重差を利用した分別機能を有する分別装置によって小片Fと細砂4とを分離する。そして、分別装置によって回収した細砂4は再度充填材として側溝2内に戻して再利用することができる。
【0033】
なお、細砂4の入れ替えの他、必要に応じて、透水性排水管3及び透水性排水管3の周辺部の不織布や中粒度の小礫(砂利)(20mm以下)等を交換するようにしてもよい。
【0034】
また、既存の側溝を活用する場合で透水型の側溝になっていない場合には、底部に排水マットを敷設し、その排水マット上に透水性排水管3を設置することにより、側溝に排水性を確保することが好ましい。
【0035】
次に、上述した人工芝の排水構造1および人工芝排水システムの作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図1乃至図4に示すように、人工芝から発生する樹脂小片やチップ等の小片Fが雨水とともに側溝2内に流入した際、その小片混入雨水は細砂4を浸透し、雨水のみが透水性排水管3を通じて主排水溝に排水され、また透水性排水管3に流入しない雨水は側溝2の底壁21を通じて主排水溝に排水される。このとき、側溝2内に流入した小片Fは透水性排水管3まで到達することがなく、細砂4の表層部で多くの小片Fを回収することができる。
【0036】
このように、細砂4に小片Fに対するフィルター効果をもたせることができ、従来のような透水性排水管の濾過メッシュでの小片の回収量を大幅に低減することができる。したがって、小片Fが雨水とともに透水性排水管3や底壁21から主排水溝へ排出されることを抑制でき、小片Fが人工芝Sの敷地外に流出することを防止できる。
【0037】
また、本実施形態では、側溝2内に流れ込んだ小片Fを回収する際には、細砂4上に堆積した小片Fを取り除く作業と、必要に応じて細砂4を入れ替える作業で済む。そのため、従来のように透水性排水管3の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃する作業を少なくできるので、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができる。
【0038】
しかも、本実施形態では、上述したように透水性排水管3の濾過メッシュの目詰まりの発生を抑制できることから、側溝2に流入した雨水は透水性排水管3及び底壁21より確実に排水することができる。そのため、雨水や小片Fが側溝から人工芝へ溢れ出してしまうことを防ぐことができる。
【0039】
また、本実施形態では、細砂4の粒度が均一であり、細砂4の粒度を揃えることで粒間に空隙を確保することができ、強い降雨時であっても雨水を十分に透水させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、仕切り板が側溝2の上端22aより低い位置に設けられていることから、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合には、仕切り板5によって仕切られた細砂4を有する領域から仕切り板5の上方を通過させて隣接する細砂4のない側溝2内領域に流出させることができる。
【0041】
また、側溝2の底壁21が透水性を有しているので、側溝2内に流入した雨水のうち透水性排水管3に流入しない雨水を、側溝2の透水性を有する底壁21から地中に浸透させて排水することができる。そのため、地中に浸透した雨水に小片Fが混じっていた場合であっても、その小片Fが人工芝下の地中に留まることから、小片Fの敷地外への流出を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態による人工芝排水システムでは、必要に応じて細砂4を回収して小片Fを分別により簡単に取り除くことができる。そして、小片Fが細砂4に留まらせる割合を増やすことができるので、透水性排水管3の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃する作業を少なくすることができる。
したがって、清掃等のメンテナンスを効率よく行うことができ、そのメンテナンスにかかる作業負担を軽減することができる。
【0043】
上述のように本実施形態による人工芝の排水構造1および人工芝排水システムでは、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片Fを容易にかつ確実に回収できる。
【0044】
以上、本発明による人工芝の排水構造および人工芝排水システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
例えば、本実施形態の排水構造1の側溝2、透水性排水管3の形状、延長長さ、寸法等の構成は、適用する排水能力を考慮して適宜設定することができる。例えば、本実施形態では側溝2内に2本の透水性排水管3が配置されているが、設置本数はとくに限定されることはなく例えば1本であってもかまわない。
【0046】
また、側溝2は、人工芝寄りの第1側溝と、第1側溝を挟んで人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられるように構成することも可能である。
この場合には、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合において、側溝(第1側溝、第2側溝)が二重に設けられているので、人工芝の排水が不十分となって洪水や周辺への浸水等を防止することができる。
【0047】
また、側溝2内に充填される細砂4の粒度が均一であることに限定されることはない。
【0048】
さらに、本実施形態では、側溝2内が一対の仕切り板5、5によって区画された構成としているが、このような仕切り板5を省略することも可能である。また、仕切り板5の上端5bの位置が側溝2の上端(側壁22の上端22a)よりも低い位置に設けられているが、これに限定されず、仕切り板5の上端5bと側溝2の上端22aの位置が面一であってもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 排水構造
2 側溝
3 透水性排水管
4 細砂
5 仕切り板
5b 上端
21 底壁(底部)
F 小片
S 人工芝
図1
図2
図3
図4