(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240513BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240513BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240513BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240513BHJP
G09G 5/06 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
G09G5/00 510P
G09G5/02 B
G09G5/06
(21)【出願番号】P 2020145548
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】307015301
【氏名又は名称】武藤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角野 徳重
(72)【発明者】
【氏名】枡岡 広宣
(72)【発明者】
【氏名】徳成 一博
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-234074(JP,A)
【文献】特開2018-191240(JP,A)
【文献】特開平11-088706(JP,A)
【文献】特開2013-252622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46- 1/64
G06T 1/00
G06T 5/00- 5/94
G09G 5/00- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理装置において、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成部と、
前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成部と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力部と、を備え
、
前記第2画像生成部は、前記印刷用画像データを構成する各ドットのドットサイズ及びドットの色情報であるCMYK値を、シングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成するデバイスディペンデントのRGB値に直接変換する変換テーブルを有し、前記変換テーブルを介して前記印刷用画像データを色変換して前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1画像生成部は、前記画像データの入力プロファイル及び印刷出力装置の出力プロファイルを参照して前記印刷用画像データを生
成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2画像生成部は、前記変換テーブルを参照して前記色情報の輝度
値を変換する
ことを特徴とする請求項
1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2画像生成部は、前記表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成する前記表示用画像データを縮小表示したナビゲーション画像と、前記複数の分割画像の一つを拡大表示したプルーフ画像とを生成する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理方法において、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成工程と、
前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成工程と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力工程と、を有
し、
前記第2画像生成工程は、前記印刷用画像データを構成する各ドットのドットサイズ及びドットの色情報であるCMYK値を、シングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成するデバイスディペンデントのRGB値に直接変換する変換テーブルを用い、前記変換テーブルを介して前記印刷用画像データを色変換して前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成させる第1画像生成工程と、
前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成させる第2画像生成工程と、
前記表示用画像データを前記表示装置に出力させる出力工程と、を実行させ
、
前記第2画像生成工程は、前記印刷用画像データを構成する各ドットのドットサイズ及びドットの色情報であるCMYK値を、シングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成するデバイスディペンデントのRGB値に直接変換する変換テーブルを用い、前記変換テーブルを介して前記印刷用画像データを色変換して前記表示用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、線や文字、図形、写真などの画像等の印刷データをラスタライズして印刷用の画像を生成し、その画像を印刷出力する前に、表示装置の表示画面上でその画像の仕上がり状態を確認する色校正(ソフトプルーフ)が行われている(下記特許文献1,2参照)。このソフトプルーフによれば、実際に画像の印刷物を出力することなく表示画面上で画像の校正・確認作業を行うことができるので、印刷用紙やインク等の印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮することができる等の利点がある。また、表示装置の表示画面上で拡大した部分の確認ができる画像処理装置が存在する(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-191240号公報
【文献】特開2010-166113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプリンタでは、印刷を行う際にインクのドットサイズを使い分けて印刷を行うマルチサイズドット印刷が知られているが、上記特許文献1,2に開示された従来技術のソフトプルーフでは、マルチサイズドットによる色の変化を踏まえた画像を表示画面上に表示することは考慮されず、拡大表示した場合にインクのドットサイズによる変化等の確認ができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マルチサイズドット印刷により印刷出力される画像を正確に表示装置の表示画面上に表示することができる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理装置において、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成部と、前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成部と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記第1画像生成部は、前記画像データの入力プロファイル及び印刷出力装置の出力プロファイルを参照して前記印刷用画像データを生成し、前記第2画像生成部は、前記表示装置の表示プロファイル及び前記ドットサイズに応じて前記色情報を色変換するための変換テーブルを参照して前記表示用画像データを生成する。
【0008】
本発明の他の実施形態において、前記第2画像生成部は、前記変換テーブルを参照して前記色情報の輝度を変換する。
【0009】
本発明の更に他の実施形態において、前記第2画像生成部は、前記表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成する前記表示用画像データを縮小表示したナビゲーション画像と、前記複数の分割画像の一つを拡大表示したプルーフ画像とを生成する。
【0010】
本発明に係る画像処理方法は、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理方法において、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成する第1画像生成工程と、前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成する第2画像生成工程と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力する出力工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像処理プログラムは、入力された画像データに基づく画像を、表示装置の表示画面上に表示する画像処理プログラムであって、コンピュータに、前記画像データを入力してマルチサイズドットにより形成される印刷用画像を構成する印刷用画像データを生成させる第1画像生成工程と、前記印刷用画像データを、ドットサイズ及びドットの色情報に基づき色変換してシングルサイズドットにより形成される表示用画像を構成する表示用画像データを生成させる第2画像生成工程と、前記表示用画像データを前記表示装置に出力させる出力工程と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マルチサイズドット印刷により印刷出力される画像を正確に表示装置の表示画面上に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】同画像処理装置のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
【
図3】マルチサイズドットとそのドットサイズ及びデータ構成を説明するための図である。
【
図4】同画像処理装置による色変換に用いられる変換テーブルの一例を示す図である。
【
図5】変換テーブルを用いた変換例を示す図である。
【
図6】同画像処理装置による画像処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】表示装置の表示画面上への表示用画像の表示例を示す図である。
【
図8】表示用画像の一部を構成するドット群を説明するための図である。
【
図9】同画像処理装置による画像処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1の概略構成を示すブロック図であり、機能的な構成を示している。
図1に示すように、本実施形態の画像処理装置1は、例えばRIP(Raster Image Processor)装置として構成され得る。画像処理装置1は、例えばラスタイメージ変換部2と、印刷用画像データ生成部3と、表示用画像データ生成部4と、記憶部5と、操作部6と、を備える。なお、画像処理装置1には、外部に、画像データを含む印刷データを入力する印刷データ生成装置等の印刷データ入力部7、表示装置としてのディスプレイ8、及び印刷出力装置としてのインクジェットプリンタ9等が接続され得る。なお、ディスプレイ8は、画像処理装置1の操作部6に含まれていても良い。
【0016】
ラスタイメージ変換部2は、外部の印刷データ入力部7からPDF(Portable Document Format)やPS(PostScript:登録商標)等の線や文字、図形、写真などの画像データからなる印刷データを入力し、ラスタデータからなるTIFF画像等の画像データであるラスタイメージデータ(CMYKデータ)に変換する。印刷用画像データ生成部3は、色変換部3a及びハーフトーン処理部3bを有し、ラスタイメージ変換部2からの画像データ(ラスタイメージデータ)に各種変換処理を施してマルチサイズドットの印刷用画像データを生成する。
【0017】
表示用画像データ生成部4は、印刷用画像データ生成部3からの印刷用画像データから、プレビュー用の表示用画像データを生成する。そして、表示用画像データ生成部4は、画像データをディスプレイ8に出力する出力部としても機能する。
【0018】
記憶部5は、各種のプロファイル及び変換テーブル等のデータ、ディスプレイドライバ及びプリンタドライバ等のデータ、並びに各部により変換・生成された各種の画像データ等を記憶する。操作部6は、画像処理装置1のユーザによる操作入力を、入力部6aを介して受け付ける。
【0019】
上記印刷用画像データ生成部3の色変換部3aは、少なくとも画像データの入力プロファイル及びインクジェットプリンタ9の出力プロファイルを記憶部5から参照して、画像データに色変換処理を施す。色変換部3aは、具体的には、まず、カラーマネジメント処理として、記憶部5に記憶されたJapan Color(登録商標)等の入力プロファイル(ICCプロファイル)を参照して、画像データ(例えば、8-bit_CMYKデータ)を、例えばL*a*b*表色系の色空間に展開し、デバイスインディペンデントカラーのL*a*b*値に色変換する。
【0020】
そして、色変換部3aは、使用されるインクジェットプリンタ9に使用することができる出力プロファイル(ICCプロファイル)を参照して、L*a*b*値をデバイスディペンデントカラーのCMYK値(8-bit_CMYKデータ)に再度色変換する。
【0021】
その他、色変換部3aは、カラーキャリブレーション処理として、ライトインクカラー(Lc,Lm,Lk)の生成、下地色印刷及び厚盛印刷のための特色インクカラー(W:White/V:Varnish)の生成、インク量の調整(トーンカーブ調整)等を実行し得る。このように、色変換部3aは、カラーマネジメント処理及びカラーキャリブレーション処理を含む、いわゆるカラーマッチング処理全般を実行する。
【0022】
変換処理部3のハーフトーン処理部3bは、色変換部3aからのCMYK値(8-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)に基づいて、誤差拡散法等を用いてハーフトーン処理を施し、印刷用画像データであるデバイスディペンデントカラーのマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)に変換する。なお、マルチサイズドット(SML)情報20の詳細については後述する。
【0023】
印刷用画像データ生成部3から出力されたマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)は、印刷用画像のラスタイメージデータを形成するプリントデータとしてインクジェットプリンタ9に出力される。
【0024】
表示用画像データ生成部4は、ハーフトーン処理部3bから出力されたマルチサイズドットのCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)を、記憶部5に記憶された変換テーブル30(
図4参照)に基づいて、シングルサイズ(統一サイズ)ドットにより形成される表示用画像を構成するデバイスディペンデントカラーのRGB値(8-bit_RGBデータ)に変換する。表示用画像データ生成部4は、この8-bit_RGBデータからなる表示用画像データをディスプレイ8に出力する。なお、変換テーブル30の詳細については後述する。
【0025】
本実施形態の画像処理装置1は、このように構成されることにより、インクジェットプリンタ9にてマルチサイズドット印刷により印刷出力される印刷用画像(CMYKデータ)を、ディスプレイ8の表示画面上に表示される表示用画像(RGBデータ)に適切に変換することができるので、例えば実際の印刷出力前に、印刷用画像を正確にディスプレイ8上に表示することが可能となる。これにより、印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮することが可能となる。なお、上記印刷用画像データ生成部3及び表示用画像データ生成部4は、それぞれ印刷用画像データを生成する第1画像生成部及び表示用画像データを生成する第2画像生成部として機能する。
【0026】
図2は、画像処理装置1のハードウェア構成を概略的に示す構成図である。
図2に示すように、画像処理装置1は、ハードウェア構成として、CPU11と、RAM12と、ROM13と、HDD(ハードディスクドライブ)14と、SSD(ソリッドステートドライブ)15と、を備える。また、画像処理装置1は、入力I/F(インタフェース)16と、出力I/F(インタフェース)17と、通信I/F(インタフェース)27と、を備える。各構成部11~17,27は、それぞれバス10によって接続されている。
【0027】
CPU11は、RAM12、ROM13、HDD14、SSD15等に記憶された各種プログラムを実行することで画像処理装置1の全体を制御すると共に、画像処理プログラムを実行することで上記ラスタイメージ変換部2、印刷用画像データ生成部3、表示用画像データ生成部4の機能を実現する。RAM12は、CPU11の作業領域として使用され得る。ROM13は、上記各種プログラムを格納する。HDD14及びSSD15は、各種のデータを読み書き可能に記憶し、上記記憶部5の機能を実現する。
【0028】
入力I/F16には、上記操作部6の入力部6aとして機能するキーボード18やマウス19が接続され、ユーザからの操作入力に伴う情報を受け付ける。出力I/F17には、上記ディスプレイ8やインクジェットプリンタ9が接続され、プリントデータやモニタデータが出力される。なお、画像処理装置1は、通信I/F27により、ネットワーク28を介して外部機器29に接続され得る。外部機器29は、遠隔地の他の画像処理装置等を含む。
【0029】
図3は、マルチサイズドットとそのドットサイズ及びデータ構成を説明するための図である。
図3(a)に示すように、マルチサイズドット印刷における印刷用画像は、ドット径が異なる複数のドットサイズのドットにより構成され得る。マルチサイズドットは、例えば小滴(Sドット)21と、中滴(Mドット)22と、大滴(Lドット)23と、により構成され、例えばCMYKの4色による色表現をシングルサイズドットによるものと比較して、最大限に引き出して高品質な印刷用画像を形成することが可能である。
【0030】
マルチサイズドット(SML)情報20は、
図3(b)に示すように、このマルチサイズドットを構成するSドット21、Mドット22及びLドットを、例えば2ビットのデータ表現により規定するもので、Sドット21を「01」、Mドット22を「10」、及びLドット23を「11」と表すことができる。なお、ドットなしの場合は、「00」と表される。上述したハーフトーン処理後に変換されたCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)は、インクカラー(CMYK)、ライトインクカラー(LcLmLk)、及び特色インクカラー(WV)を、このようなマルチサイズドットにより表現するものである。
【0031】
図4は、画像処理装置1の表示用画像データ生成部4による色変換に用いられる変換テーブル30の一例を示す図である。
図4に示すように、変換テーブル30には、印刷用画像のマルチサイズドットのドットサイズ及び色情報を表すCMYK値(2-bit_CMYKLcLmLkWVデータ)と、これを表現するシングルサイズドットの表示用画像のRGB値(8-bit_RGBデータ)との対応関係が格納されている。
【0032】
変換テーブル30には、例えばシアン(C)テーブル31、マゼンタ(M)テーブル32、イエロー(Y)テーブル33、ブラック(K)テーブル34、ライトシアン(Lc)テーブル35、ライトマゼンタ(Lm)テーブル36の各色テーブルが含まれている。なお、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)、バーニッシュ(V)の各色テーブルに関しては、図示は省略しているが変換テーブル30に含まれていても良い。ただし、ホワイト(W)及びバーニッシュ(V)は他のインクカラーと一緒に使用しないで単独の色として使用をされることも多く、例えばその場合は全体がすべて同じ色(W,V)となり、またバーニッシュ(V)はクリア(透明、ワニス)なインクであるため、ディスプレイ8で色表現を行っても確認がしにくい特色インクカラーであるため、代替色(例えば、ブラック)テーブル(図示せず)により対応付けするようにして、どの位置にドットがあるのかを確認しやすくしても良い。
【0033】
各色テーブル31~36において、ドットなしの場合のRGB値は、例えば「255,255,255」の値で表現されている。シアン(C)テーブル31においては、Sドット21のRGB値は「170,255,255」の値で表現され、Mドット22のRGB値は「85,255,255」の値で表現され、Lドット23のRGB値は「0,255,255」で表現されている。
【0034】
同様に、Sドット21、Mドット22及びLドット23の各RGB値は、マゼンタ(M)テーブル32においては、それぞれ「255,170,255」、「255,85,255」、「255,0,255」の値で表現され、イエロー(Y)テーブル33においては、それぞれ「255,255,170」、「255,255,85」、「255,255,0」の値で表現され、ブラック(K)テーブル34においては、それぞれ「170,170,170」、「85,85,85」、「0,0,0」の値で表現されている。
【0035】
また、ライトシアン(Lc)テーブル35においては、それぞれ「234,255,255」、「213,255,255」、「191,255,255」の値で表現され、ライトマゼンタ(Lm)テーブル36においては、それぞれ「255,234,255」、「255,213,255」、「255,191,255」の値で表現されている。
【0036】
このように構成された変換テーブル30を参照することによって、表示用画像データ生成部4は、出力用画像を適切に変換した表示用画像をRGB値(8-bit_RGBデータ)で表すモニタデータを生成する。なお、上述した変換テーブル30は、色情報としてのRGB値の色濃度を変更して、各色のマルチサイズドットに対応させたものを例として挙げたが、例えば、
図5に示すように、RGBの輝度値を変更して各色のマルチサイズドットに対応させるもの等であっても良い。
【0037】
具体的には、例えば各色テーブル31~36のうち、シアン(C)テーブル31を例に挙げると、Sドット21のRGB値「170,255,255」を、RGB輝度「67%,100%,100%」で表現し、Mドット22のRGB値「85,255,255」を、RGB輝度「33%,100%,100%」で表現し、Lドット23のRGB値「0,255,255」を、RGB輝度「0%,100%,100%」で表現することも可能である。ディスプレイ8では、このようなRGB値をRGBの輝度信号として読み替えて色を表現し得る。
【0038】
図6は、画像処理装置1による画像処理手順の一例を示すフローチャートであり、
図7はディスプレイ8の表示画面上への表示用画像の表示例を示す図である。なお、
図6の画像処理は、画像処理装置1によるソフトプルーフにおける表示・印刷処理例を表している。
【0039】
図6に示すように、画像処理装置1は、印刷データ入力部7から印刷データを入力する(ステップS100)。次に、画像処理装置1のラスタイメージ変換部2は、入力された印刷データをラスタイメージデータに変換するラスタライズ処理を実行する(ステップS101)。次に、印刷用画像データ生成部3は、上述したように各種変換処理及びハーフトーン処理を施して、Sドット21、Mドット22及びLドット23に対応するマルチサイズドットの印刷用画像データを生成する(ステップS102)。
【0040】
その後、操作部6を介したユーザからの操作入力による指示を受け付け(ステップS103)、受け付けられた指示が印刷実行を示す場合(ステップS103の「印刷」)は、インクジェットプリンタ9により印刷用画像を印刷出力し(ステップS107)、一連の処理を終了する。
【0041】
一方、受け付けられた指示が表示を示す場合(ステップS103の「表示」)は、表示用画像データ生成部4は、印刷用画像データ生成部3からの印刷用画像データに基づいて、Sドット21、Mドット22及びLドット23のマルチサイズドットに応じた拡大表示並びに縮小分割表示に対応する表示用画像データを生成する(ステップS104)。なお、上記ステップS104において生成される表示用画像データは、例えば、表示用画像を所定領域毎に分割した複数の分割画像を構成するものであっても良い。このようにすれば、画像処理(例えば、演算や描画に関する処理)の高速化及び処理負担の軽減を図ることが可能である。
【0042】
その後、ディスプレイ8の表示画面上に、表示用画像を表示する(ステップS105)。ここで、表示用画像データが上記のような複数の分割画像により形成される表示用画像を構成するものである場合、更に表示用画像データは、上述したようにマルチサイズドットに対応する表示用画像を拡大表示したり、複数の分割画像を縮小表示(すなわち、縮小分割表示)したりするものであっても良い。例えば上記ステップS105にてディスプレイ8に表示される表示用画像は、
図7に示すように表示され得る。すなわち、ディスプレイ8の表示画面上には、表示用画像を表示するためのプレビューウィンドウ40が表示される。
【0043】
プレビューウィンドウ40は、メイン表示領域41と、サブ表示領域42と、を有する。サブ表示領域42には、表示画像全体を複数に分割し、縮小したナビゲーション画像43が表示される。このナビゲーション画像43で表示された複数の分割画像のうち、例えば操作部6を介したユーザの操作によって、任意の分割画像を選択フレーム44で選択すると、メイン表示領域41にその選択された分割画像を拡大表示したプルーフ画像(図示せず)45が表示され得る。ユーザは、更に、必要な部分を拡大フレーム46で選択指定し、拡大メニュー47を操作して拡大率表示窓48に表示される拡大率を変更することによって、メイン表示領域41に指定部分を拡大表示した拡大プルーフ画像45が表示され(ステップS106)、拡大プルーフ画像45を確認して、一連の処理を終了する。
なお、大型のインクジェットプリンタにより印刷を行う画像などは、画像のデータ量も非常に大きくなるため、本実施形態の画像処理装置1では画像に適した分割数を自動で計算して決定を行い、その決定した分割数により分割の縮小表示を行うことで、対象となる画像データを取り扱いがしやすい大きさにして処理を高速化している。例えば印刷サイズが1,615mm×1,142.2mmの画像を印刷解像度720dpi×720dpiにて印刷を行う場合に画像全体のピクセルサイズは16,838×11,906となるため、分割数を108個(12×9)に設定すると分割1枚当たりのピクセルサイズは1,403×1,322となる。
また、分割データ表示の有無に関係なく全画面分のデータを作成しておくことで、選択部分の画像の拡大表示などもスムーズに行え、また拡大率を大きくすることにより、選択部分のドットの表示も容易に行える。
【0044】
拡大プルーフ画像45においては、ディスプレイ8の表示画面におけるドットサイズは一定であるが、上述したようにRGB輝度を各色毎に変更すること、すなわち、例えば
図8に示すように、Sドット21群は比較的明るく、Lドット23群は比較的暗く、更にMドット22群はこれらの中間の明るさで表示することによって、印刷用画像におけるドットサイズの相違を適切に表現している。ユーザは、このように表示される拡大プルーフ画像45を視認することによって、例えばインクのドットサイズによる変化に伴い、印刷用画像で意図した色表現等が実際に再現されているか否かを容易且つ簡単に確認することが可能となる。
【0045】
本実施形態の画像処理装置1によれば、マルチサイズドット印刷の印刷用画像を、このような表示用画像を用いたソフトプルーフによって正確に確認することができるので、マルチドット印刷の印刷用画像の色表現やレイアウト等の細部に亘って正確なシミュレーションを実現することができ、印刷資源の無駄を省き作業時間を短縮するのみならず、ユーザの負担軽減を図ることも可能となる。
【0046】
図9は、画像処理装置1による画像処理手順の他の例を示すフローチャートである。
図9に示すように、画像処理装置1は、印刷データ入力部7から印刷データを入力し(ステップS200)、画像処理装置1のラスタイメージ変換部2は、入力された印刷データをラスタイメージデータに変換するラスタライズ処理を実行する(ステップS201)。
【0047】
次に、画像処理装置1の印刷用画像データ生成部3は、上述したように各種変換処理及びハーフトーン処理を施してマルチサイズドットの印刷用画像データを生成し(ステップS202)、画像処理装置1の表示用画像データ生成部4は、印刷用画像データ生成部3からの印刷用画像データに基づいて、表示用画像データを生成する(ステップS203)。
【0048】
その後、表示用画像データ生成部4は、インクジェットプリンタ9による印刷用画像の出力前に、ディスプレイ8に表示用画像データを出力して、表示用画像をディスプレイ8に上述したように表示する(ステップS204)。そして、ユーザは、上記拡大プルーフ画像45を視認することによって、印刷用画像で意図した色表現等が実際に再現されているか否かを容易且つ簡単に確認し、例えば画像の修正が必要ない場合(ステップS205のNO)は、操作部6を介して印刷実行を指示することにより、インクジェットプリンタ9によって印刷用画像を印刷出力し(ステップS207)、一連の処理を終了する。
【0049】
一方、画像の修正が必要なことが確認された場合(ステップS205のYES)は、操作部6を介して各種の修正操作(ステップS206)を行った後、上記ステップS202に移行して修正を反映させた印刷用画像データを生成し(ステップS202)、更に表示用画像データを再度生成した上で(ステップS203)、以降の処理を繰り返す。マルチサイズドット印刷の印刷用画像を、このようなソフトプルーフによって正確に確認して修正等することも可能である。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 画像処理装置
2 ラスタイメージ変換部
3 印刷用画像データ生成部
3a 色変換部
3b ハーフトーン処理部
4 表示用画像データ生成部
5 記憶部
6 操作部
6a 入力部