(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】混入金属識別方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
G01N21/88 H
(21)【出願番号】P 2020181343
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】596163770
【氏名又は名称】株式会社RYODEN
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100109139
【氏名又は名称】今井 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】中尾 一成
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-062862(JP,A)
【文献】特開2016-224069(JP,A)
【文献】特開2007-240431(JP,A)
【文献】特開2019-174481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0146870(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの光源により、波長が異なる光をそれぞれ照射する工程と、
前記少なくとも2つの光源の光の照射部にそれぞれ設けられた光源用の偏光フィルタにより、互いの偏光方向を90度異ならせる工程と、
受光素子の光の受光部に設けられた受光素子用の偏光フィルタであって、前記光源用の偏光フィルタのうち、一方の偏光フィルタの偏光方向と同じ偏光方向を有する受光素子用の偏光フィルタにより、前記少なくとも2つの光源により照射した光の反射光を、前記受光素子に入射させる工程と、
前記受光素子により、前記反射光を入射する工程と、
演算装置により、前記受光素子により受光した画像データにおける画像の色に基づいて、当該画像が金属からの反射光によるものか、あるいは、非金属からの反射光によるものかを識別する工程と、
を備える混入金属識別方法。
【請求項2】
学習部により、前記画像の色と識別結果についての教師データに基づいて、機械学習を行う工程を備える、
請求項1に記載の混入金属識別方法。
【請求項3】
波長が異なる光をそれぞれ照射する少なくとも2つの光源と、
前記少なくとも2つの光源の光の照射部にそれぞれ設けられ、互いの偏光方向が90度異なる光源用の偏光フィルタと、
前記少なくとも2つの光源により照射した光の反射光を受光可能な位置に設けられた受光素子と、
前記受光素子の光の受光部に設けられ、前記光源用の偏光フィルタのうち、一方の偏光フィルタの偏光方向と同じ偏光方向を有する受光素子用の偏光フィルタと、
前記受光素子により受光した画像データにおける画像の色に基づいて、当該画像が金属からの反射光によるものか、あるいは、非金属からの反射光によるものかを識別する演算装置と、
を備える混入金属識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、碍子等に混入する金属の識別方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタ等の被検査対象物上の金属粒子と非金属粒子とを識別する方法としては、例えば、非特許文献1のように、平行配置偏光と直交配置偏光との2つの異なる状態の偏光で照らされた粒子写真を比較する方法が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】http://www.jomesa.com/japanese/filter_analysis/metal_nonmetal.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の方法では、被検査対象物を平行配置偏光と直交配置偏光との2つの異なる状態の偏光で照射する必要があり、比較する粒子写真も、それぞれの状態の偏光で照射された粒子写真を使用する必要がある。
【0005】
非特許文献1の方法では、一度の光の照射で金属粒子と非金属粒子とを識別することができず、自動判別を行うにしても、粒子像が黒くなるか否かの判別なので、正確な判別が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、一度の光の照射で金属と非金属を識別することができ、自動判別に適した混入金属の識別方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の混入金属識別方法の第1の態様は、
少なくとも2つの光源により、波長が異なる光をそれぞれ照射する工程と、
前記少なくとも2つの光源の光の照射部にそれぞれ設けられた光源用の偏光フィルタにより、互いの偏光方向を90度異ならせる工程と、
受光素子の光の受光部に設けられた受光素子用の偏光フィルタであって、前記光源用の偏光フィルタのうち、一方の偏光フィルタの偏光方向と同じ偏光方向を有する受光素子用の偏光フィルタにより、前記少なくとも2つの光源により照射した光の反射光を、前記受光素子に入射させる工程と、
前記受光素子により、前記反射光を入射する工程と、
演算装置により、前記受光素子により受光した画像データにおける画像の色に基づいて、当該画像が金属からの反射光によるものか、あるいは、非金属からの反射光によるものかを識別する工程と、
を備える。
【0008】
本発明の混入金属識別方法の第1の態様においては、例えば、第一の光源用の偏光フィルタの偏光方向と、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向とが同じ場合には、第一の光源から照射された光が金属により反射されると、その反射光は偏光方向を変えずに、受光素子用の偏光フィルタに届く。この時、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向は、第一の光源用の偏光フィルタの偏光方向と同じなので、前記反射光は受光素子に入射される。しかし、第二の光源から照射された光が金属により反射されると、その反射光は偏光方向を変えずに、受光素子用の偏光フィルタに届く。この時、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向は、第二の光源用の偏光フィルタの偏光方向とは90度異なるで、前記反射光は受光素子に入射されない。したがって、金属による反射光の画像は、第一の光源の光の色の画像となる。
【0009】
一方、第一の光源および第二の光源から照射された光が非金属により反射されると、その反射光は散乱され偏光方向はバラバラになる。そのため、受光素子には、第一の光源からの光の反射光の一部と、第二の光源からの光の反射光の一部との両方が受光素子に入射される。したがって、非金属による反射光の画像は、第一の光源の光の色および第二の光源の光の色が混じり合った色の画像となる。
【0010】
以上のように、本発明の混入金属識別方法の前記第1の態様によれば、一度の光の照射で金属と非金属を識別することができ、画像の色の違いにより金属と非金属とを識別するという、自動判別に適した混入金属の識別方法を提供する。
【0011】
本発明の混入金属の識別方法の他の態様においては、学習部により、前記画像の色と識別結果についての教師データに基づいて、機械学習を行う工程を備える。
【0012】
本態様によれば、例えばディープラーニングによる機械学習により、前記画像の色に基づいて、高い精度で金属と非金属とを識別することができる。
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明の混入金属識別装置の第1の態様は、
波長が異なる光をそれぞれ照射する少なくとも2つの光源と、
前記少なくとも2つの光源の光の照射部にそれぞれ設けられ、互いの偏光方向が90度異なる光源用の偏光フィルタと、
前記少なくとも2つの光源により照射した光の反射光を受光可能な位置に設けられた受光素子と、
前記受光素子の光の受光部に設けられ、前記光源用の偏光フィルタのうち、一方の偏光フィルタの偏光方向と同じ偏光方向を有する受光素子用の偏光フィルタと、
前記受光素子により受光した画像データにおける画像の色に基づいて、当該画像が金属からの反射光によるものか、あるいは、非金属からの反射光によるものかを識別する演算装置と、
を備える。
【0014】
本発明の混入金属識別装置の第1の態様によれば、例えば、第一の光源用の偏光フィルタの偏光方向と、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向とが同じ場合には、第一の光源から照射された光が金属により反射されると、その反射光は偏光方向を変えずに、受光素子用の偏光フィルタに届く。この時、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向は、第一の光源用の偏光フィルタの偏光方向と同じなので、前記反射光は受光素子に入射される。しかし、第二の光源から照射された光が金属により反射されると、その反射光は偏光方向を変えずに、受光素子用の偏光フィルタに届く。この時、受光素子用の偏光フィルタの偏光方向は、第二の光源用の偏光フィルタの偏光方向とは90度異なるで、前記反射光は受光素子に入射されない。したがって、金属による反射光の画像は、第一の光源の光の色の画像となる。
【0015】
以上のように、本発明の混入金属識別装置の前記第1の態様によれば、一度の光の照射で金属と非金属を識別することができ、画像の色の違いにより金属と非金属とを識別するという、自動判別に適した混入金属の識別装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一度の光の照射で金属と非金属を識別することができ、画像の色の違いにより金属と非金属とを識別するという、自動判別に適した混入金属の識別方法と識別装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る一実施形態の混入金属識別装置の概略構成を示す図である。
【
図2】一実施形態の混入金属識別装置における動作を示すフローチャートである。
【
図4】非金属粒子による反射光の例を示す図である。
【
図5】一実施形態の混入金属識別装置による出力データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る混入金属識別装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
[概略構成]
図1は、本実施形態に係る混入金属識別装置100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の混入金属識別装置100は、光源1と、偏光フィルタ2と、光源3と、偏光フィルタ4と、受光素子としてのカラーカメラ5と、偏光フィルタ6と、演算装置7と、照明コントローラ9とを備えている。
【0020】
光源1は、波長Aの青色光を照射する光源であり、本実施形態においては、一例としてLED光源を用いている。但し、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、光源1として、レーザ光源等の他の光源を用いても良い。また、光源1から照射される光の色は、青色光である必要はなく、他の色であっても良い。
【0021】
偏光フィルタ2は、光源1の照射部に取り付けられており、光源1の青色光を、軸方向に対して垂直方向に偏光させる機能を有する。
【0022】
光源3は、波長Bの赤色光を照射する光源であり、本実施形態においては、一例としてLED光源を用いている。但し、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、光源3として、レーザ光源等の他の光源を用いても良い。また、光源3から照射される光の色は、赤色光である必要はなく、他の色であっても良い。
【0023】
偏光フィルタ4は、光源3の照射部に取り付けられており、光源3の赤色光を、軸方向に対して平行方向に偏光させる機能を有する。
【0024】
カラーカメラ5は、受光素子の一例であり、本実施形態では、波長Aと波長Bとを共に撮像できるカメラを用いている。本実施形態の混入金属識別装置100に用いられる受光素子は、必ずしもカラーカメラでなくとも良く、他の受光素子であっても良い。
【0025】
偏光フィルタ6は、カラーカメラ5の撮像部に取り付けられており、軸方向に対して垂直方向に偏光された光を透過させる偏光フィルタである。
【0026】
演算装置7は、CPUおよびメモリ等から構成されており、主に、カラーカメラ5により撮像した画像データに基づいて、金属と非金属の判別処理と、金属と非金属の判別結果とそれぞれの座標を出力する処理と、照明コントローラ9を制御する処理とを行う。また、演算装置7は、ディープラーニングによる機械学習を行う学習部8を備えている。
【0027】
照明コントローラ9は、演算装置7の制御により、光源1と光源3における光の照射のオン/オフをコントロールする機能を有する。
【0028】
光源1と光源3からの光が照射される領域には、被検査物10が備えられており、被検査物10には、非金属粒子11と金属粒子12とが含まれている。被検査物10の一例としては、例えば、碍子が挙げられる。
【0029】
次に、
図2のフローチャートを参照して、本実施形態の混入金属識別装置100における動作について説明する。
【0030】
まず、演算装置7は、測定開始の指示があったか否かを判断する(
図2:S1)。測定開始の指示は、例えば、演算装置7に設けられたスイッチをオンしたり、あるいは、リモートコントロール等により、測定開始の指示のボタンをオンまたはクリックしたりすることが考えられる。
【0031】
次に、演算装置7は、測定開始の指示があったと判断すると(
図2:S1;YES)、照明コントローラ9を制御して、光源1と光源3による光の照射を開始する(
図2:S2)。また、演算装置7は、受光素子としてのカラーカメラ5を作動させる(
図2:S2)。
【0032】
以上の処理により、被検査物10に対して、光源1による青色光と、光源3による赤色光の照射が行われ、被検査物10に混入している非金属粒子11および金属粒子12による反射光がカラーカメラ5に入射して、画像データの撮像が行われる。
【0033】
この時、光源1から照射される青色光は、垂直方向に偏光されているが、金属粒子12で反射した青色光は偏光方向を変えずにカラーカメラ5に届く。そして、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、金属粒子12による青色光の反射光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0034】
また、光源3から照射される赤色光は、水平方向に偏光されているが、金属粒子12で反射した赤色は偏光方向を変えずにカラーカメラ5に届く。そして、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、金属粒子12による赤色の反射光がカラーカメラ5に入射しない。
【0035】
その結果、金属粒子12による反射光は、青色光のみがカラーカメラ5に入射することになり、青色の画像データが得られる。
【0036】
一方、光源1から照射される青色光は、垂直方向に偏光されているが、非金属粒子11で反射した青色光は散乱され、偏光方向がバラバラになる。そして、そのような青色光の反射光がカラーカメラ5に届く。カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、非金属粒子11により反射され、偏向方向がバラバラにされた青色光のうち、垂直方向に偏光成分を有する一部の青色光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0037】
また、光源3から照射される赤色光は、水平方向に偏光されているが、非金属粒子11で反射した赤色光は散乱され、偏光方向がバラバラになる。そして、そのような赤色光の反射光がカラーカメラ5に届く。カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、非金属粒子11により反射され、偏向方向がバラバラにされた赤色光のうち、垂直方向に偏光成分を有する一部の赤色光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0038】
その結果、非金属粒子11による反射光は、青色光による像と、赤色光による像の両方がカラーカメラ5に入射することになり、紫色の画像データが得られる。
【0039】
演算装置7は、以上のようにして、カラーカメラ5により撮像した画像データを受信したかどうかを判断する(
図2:S3)。カラーカメラ5からの画像データ受信のタイミングは、カラーカメラ5において撮像が完了したタイミングでも良いし、カラーカメラ5において撮像が完了し、画像データがある程度蓄積された後であってもよい。
【0040】
演算装置7は、カラーカメラ5により撮像した画像データを受信したと判断した場合には(
図2:S3;YES)、学習部8によるディープラーニングにより、画像データのうち、青色の像と、紫色の像との有無を判断することにより、金属と非金属との判別処理を行う(
図2:S4)。また、この時、演算装置7は、それぞれの像の座標位置についても算出する。
【0041】
次に、演算装置7は、金属と非金属との判断処理を行い(
図2:S5)、画像データにおける像が金属の像であると判断した場合、その判断結果を出力すると共に、金属の座標を出力する(
図2:S6)。判断結果の出力は、数値データ等として出力しても良いし、画像データとして出力を行ってもよい。
【0042】
また、演算装置7は、金属と非金属との判断処理の結果(
図2:S5)、画像データにおける像が非金属の像であると判断した場合、その判断結果を出力すると共に、非金属の座標を出力する(
図2:S7)。この場合も、判断結果の出力は、数値データ等として出力しても良いし、画像データとして出力を行ってもよい。
【0043】
そして、演算装置7は、測定終了の指示があったかどうかを判断する(
図2:S8)。測定終了の指示は、例えば、演算装置7に設けられたスイッチをオフしたり、あるいは、リモートコントロール等により、測定終了の指示のボタンをオンまたはクリックしたりすることが考えられる。
【0044】
なお、
図2のフローチャートでは、演算装置7が、測定終了の指示はないと判断した際(
図2:S8;NO)、測定終了の指示があるまで待機する態様となっているが、本発明はこのような態様に限定される訳ではない。例えば、演算装置7が、測定終了の指示はないと判断した際には(
図2:S8;NO)、
図2のステップS3から処理を繰り返すようにしても良い。
【0045】
そして、演算装置7は、測定終了の指示があったと判断すると(
図2:S8;YES)、照明コントローラ9を制御して、光源1と光源3による光の照射を停止する(
図2:S9)。また、演算装置7は、受光素子としてのカラーカメラ5の作動を停止させる(
図2:S9)。
【0046】
ここで、金属粒子の場合と非金属粒子の場合とで、カラーカメラ5による光の入射がどのように異なるのかを、
図3および
図4を参照しつつ再度説明する。
【0047】
図3は、金属粒子12による反射光の例を示している。光源1から照射される青色光は、偏向フィルタ2により垂直方向に偏光されているが、金属粒子12で反射した青色光は偏光方向を変えずにカラーカメラ5に届く。そして、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、金属粒子12による青色光の反射光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0048】
また、光源3から照射される赤色光は、偏向フィルタ4により水平方向に偏光されているが、金属粒子12で反射した赤色光は偏光方向を変えずにカラーカメラ5に届く。しかし、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、金属粒子12による赤色の反射光はカラーカメラ5に入射しない。
【0049】
その結果、金属粒子12による反射光は、青色光のみがカラーカメラ5に入射することになり、青色の画像データが得られる。
【0050】
図4は、非金属粒子11による反射光の例を示している。光源1から照射される青色光は、偏向フィルタ2により垂直方向に偏光されているが、非金属粒子11で反射した青色光は散乱され、偏光方向がバラバラになる。したがって、カラーカメラ5に届く反射光の一部には、垂直方向に偏光された青色光が含まれている。そして、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、非金属粒子12による青色光の反射光のうち、垂直方向に偏光された一部の青色光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0051】
その結果、金属粒子12による反射光は、青色光のみがカラーカメラ5に入射することになり、青色の画像データが得られる。
【0052】
また、光源3から照射される赤色光は、偏向フィルタ4により水平方向に偏光されているが、金属粒子12で反射した赤色光は散乱され、偏光方向がバラバラになる。したがって、カラーカメラ5に届く反射光の一部には、垂直方向に偏光された赤色光が含まれている。そして、カラーカメラ5の撮像部には、垂直方向の光を透過させる偏光フィルタ6が取り付けられているので、非金属粒子12による赤色光の反射光のうち、垂直方向に偏光された一部の赤色光がカラーカメラ5に入射されることになる。
【0053】
その結果、非金属粒子11による反射光は、青色光による像と、赤色光による像の両方がカラーカメラ5に入射することになり、紫色の画像データが得られる。
【0054】
図5は、混入金属識別装置100による出力データの一例を示している。
図5に示す例では、金属と判断された像には、実線の丸印が示され、非金属と判断された像には、点線の丸印が示される。
【0055】
以上のように本実施形態によれば、波長と異なり、かつ、偏向方向が90度異なる2つの光を非検査物に照射し、カラーカメラにより撮像した画像データにおける像の色に基づいて混入物が金属であるのか、非金属であるのかを判別するようにした。したがって、一度の光の照射で金属と非金属とを確実に識別することができ、画像の色の違いにより、自動判別に適した混入金属の識別を行うことができる。
【0056】
(変形例)
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。
【0057】
光源1と光源3とから照射した光は、赤色光と青色光を用いたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、赤外線を用いても良い。また、上述した実施形態では、2つ光源を使用する態様について説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、2つ以上の光源を使用することができる。2つ以上の光源を使用する場合には、受光素子に用いる偏光フィルタの偏光方向と同じ偏光方向の偏光フィルタを、特定の光源に用いる。そして、受光素子に用いる偏光フィルタの偏光方向とは90度偏光方向が異なる偏光フィルタを、残りの光源に用いる。このようにすることで、金属からの反射光を、前記特定の光源から光にすることができる。
【0058】
上述した実施形態では、一つの装置として本発明を具現化した例について説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではない。例えば、混入金属識別方法として実現することができる。この場合には、カラーカメラ5により撮像した画像データを、後ほど、別の場所等に設置された演算装置7により解析し、金属と非金属の識別を行うようにしてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、学習部8における機械学習は、ディープラーニングを用いる態様について説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではない。機械学習としては、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等の各種のアルゴリズムを用いても良い。
【0060】
以上、本発明の実施形態に係る混入金属識別方法および装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,3 光源
2,4,6 偏光フィルタ
5 カラーカメラ
7 演算装置
100 混入金属識別装置