(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 23/14 20060101AFI20240513BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240513BHJP
H01H 3/04 20060101ALI20240513BHJP
H01H 23/00 20060101ALN20240513BHJP
【FI】
H01H23/14
B60H1/00 103A
H01H3/04 A
H01H23/00 M
(21)【出願番号】P 2020185169
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020093332
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 薫
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-041895(JP,A)
【文献】特開2009-214571(JP,A)
【文献】実開昭60-113926(JP,U)
【文献】特開2016-136505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/14
B60H 1/00
H01H 3/04
H01H 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように形成された操作部と、
前記操作部が前記第1方向及び前記第2方向に対して動く動作を検出する操作検出部と、
前記装置本体に対する前記操作部の操作が機器を作動させるための入力操作となるように、前記操作検出部の検出信号を処理する制御部とを備え、
前記操作部は、前記中立位置の前記操作部に載置された指で前記操作部を中立位置から前記第1方向及び前記第2方向のどちらに対しても操作可能な形状
であるとともに、前記第1方向及び前記第2方向の両方に対して交差する方向に長い形状に形成されている操作装置。
【請求項2】
前記操作部は、
操作者の指の形状に沿って凹設された指載置部と、
前記指載置部を設けることで形成され、前記操作部を前記第1方向に操作する際に指を押し当てる第1押当部と、
前記指載置部を設けることで形成され、前記操作部を前記第2方向に操作する際に指を押し当てる第2押当部とを備えた
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記第1方向及び前記第2方向の両方に対して交差する方向に延びる軸部回りに回転するように設けられ、前記第1方向として軸部の軸回り一方向に回り、前記第2方向として軸部の軸回り他方向に回る
請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作検出部は、
前記操作部の前記第1方向及び前記第2方向の一方の操作を検出する第1操作検出部と、
前記操作部の前記第1方向及び前記第2方向の他方の操作を検出する第2操作検出部とを備えた
請求項1~
3のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作部に設けられ、前記操作部へのタッチ操作を検出するタッチ検出部を備え、
前記制御部は、前記装置本体に対して前記操作部を前記第1方向又は前記第2方向へ動かす操作と、前記操作部に対する複数箇所のタッチ操作とが、前記機器を作動させるための入力操作となるように、前記操作検出部及び前記タッチ検出部の検出信号を処理する
請求項1~
4のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように形成された操作部と、
前記操作部が前記第1方向及び前記第2方向に対して動く動作を検出する操作検出部と、
前記装置本体に対する前記操作部の操作が機器を作動させるための入力操作となるように、前記操作検出部の検出信号を処理する制御部とを備え、
前記操作部は、前記中立位置の前記操作部に載置された指で前記操作部を中立位置から前記第1方向及び前記第2方向のどちらに対しても操作可能な形状に形成されて
おり、
前記操作部に設けられ、前記操作部へのタッチ操作を検出するタッチ検出部を備え、
前記制御部は、前記装置本体に対して前記操作部を前記第1方向又は前記第2方向へ動かす操作と、前記操作部に対する複数箇所のタッチ操作とが、前記機器を作動させるための入力操作となるように、前記操作検出部及び前記タッチ検出部の検出信号を処理する操作装置。
【請求項7】
前記操作部の複数箇所に割り当てられたタッチ操作式のタッチスイッチは、前記操作部においてその長手方向に沿って配列されている
請求項
5又は6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記操作部においてタッチ操作が可能なエリアを触覚的にユーザに認識させる触覚認識部を備えた
請求項
5~7のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項9】
前記操作部は、前記操作部においてタッチ操作される第1部位と、縁部の少なくとも一部に設けられた第2部位とで、外観が異なるように設けられている
請求項
5~8のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記中立位置を起点に前記第1方向及び前記第2方向の各々に1段階ずつ操作可能に設けられている
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記装置本体とは別体に設けられた表示部を備え、前記操作部の操作を通じた選択の現状態が前記表示部に表示されることにより、グラフィックインターフェースの入力系として使用される
請求項1~10のうちいずれか一項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を作動させる際に操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作装置のスイッチ種として、例えばノブを中立位置から両方向に揺動操作することでスイッチ操作するシーソースイッチが周知である(特許文献1等参照)。このシーソースイッチには、ノブに2つのノブ山があり、これらノブ山の一方を選択的に押し操作することにより、シーソースイッチのスイッチ状態を2状態間で切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種のシーソースイッチでノブ山の一方を押し操作する状態から他方のノブ山を押す状態に切り換える場合、操作する指を一方のノブ山から離して他方のノブ山に置き換える操作が必要となる。よって、シーソースイッチで指を置くノブ山を切り換える場合、操作切り替え先のノブ山を狙う必要があるので、操作性がよくない問題があった。
【0005】
本発明の目的は、高い操作性の確保を可能にした操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決する操作装置は、装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように形成された操作部と、前記操作部が前記第1方向及び前記第2方向に対して動く動作を検出する操作検出部と、前記装置本体に対する前記操作部の操作が機器を作動させるための入力操作となるように、前記操作検出部の検出信号を処理する制御部とを備え、前記操作部は、前記中立位置の前記操作部に載置された指で前記操作部を中立位置から前記第1方向及び前記第2方向のどちらに対しても操作可能な形状に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い操作性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図13】操作部が第1方向に操作された際の作動図。
【
図14】操作部が第2方向に操作された際の作動図。
【
図15】冷房機能(除湿機能)のタッチスイッチが操作された際の操作図。
【
図18】触覚認識部を溝とした場合の操作部の拡大断面図。
【
図19】触覚認識部を突起とした場合の操作部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、操作装置の第1実施形態を説明する。
図1~
図3に示すように、操作装置1は、操作装置1の本体部分をなす装置本体2と、装置本体2においてユーザが操作する箇所となる操作部3と、操作部3の操作に応じた画面(画像)を表示する表示部4とを備える。装置本体2は、装置幅方向(
図1~
図3のY軸方向)に長尺の略直方体形状に設けられている。操作装置1は、例えば車載用の場合、車載された機器5(
図5等参照)を、ユーザが所望する態様で作動させる際に操作するものである。機器5は、例えば車内を空調するエアーコンディショナー装置の一機能(例えば、空調温度選択スイッチ)であることが好ましい。
【0010】
表示部4は、装置本体2の上面に配置されたディスプレイであって、液晶や有機EL等が使用されている。表示部4には、操作部3によって選択操作された現在温度として表示温度6が画面表示されている。このように、表示部4は、操作装置1(操作部3)によって選択操作された機器5の現在状態を表示する。
【0011】
図4に示すように、操作部3は、操作装置1の装置幅方向(
図1~
図3のY軸方向)に沿って長尺の断面略L字形状に形成されている。本例の操作部3の盤面は、ユーザの指の形状に沿った曲面状に形成されている。本例の操作部3は、中立位置の操作部3に載置された指で操作部3を中立位置から第1方向(以降、「A1」と記す)及び第2方向(以降、「A2」と記す)のどちらに対しても操作可能な形状に形成されている。具体的には、操作部3は、指載置部9、第1押当部10及び第2押当部11を備える。指載置部9は、操作者の指の形状に沿って凹設されている。第1押当部10は、指載置部9を設けることで形成され、操作部3の盤面において指載置部9の手前側に配置されている。第2押当部11は、指載置部9を設けることで形成され、操作部3の盤面において指載置部9の奥側に配置されている。
【0012】
操作部3は、装置幅方向(
図1~
図3のY軸方向)に延びる軸部12回り(
図4の矢印B方向)に回転可能に装置本体2の座部13に軸支されている。操作部3は、中立位置を基点に両方向(第1方向A1及び第2方向A2)に各々1段階ずつ操作可能に形成されている。操作部3は、中立位置から各方向に操作された後に手が離されると、自動で元の中立位置に復帰するモーメンタリスイッチである。
【0013】
装置本体2の内部には、操作部3の軸部12回りの操作を検知する操作検出部14が複数設けられている。操作検出部14は、操作部3の第1方向A1及び第2方向A2の一方の操作を検出する第1操作検出部14aと、操作部3の第1方向A1及び第2方向A2の他方の操作を検出する第2操作検出部14bとを備える。第1操作検出部14a及び第2操作検出部14bは、装置本体2の奥行き方向(
図4のX軸方向)に沿って並び配置されている。本例の操作検出部14は、装置本体2内に収納された基板15に実装されたタクトスイッチ16である。タクトスイッチ16は、スイッチ本体17と、スイッチ本体17の内部の接点をオンオフするプッシュロッド18とを備える。タクトスイッチ16は、操作部3に押されてプッシュロッド18が下がると、スイッチ本体17内の接点がオンに切り換わる。
【0014】
操作部3の軸部12回りの回転操作は、温度変更の切り換え操作として割り当てられている。本例の場合、操作部3の軸部12回りの矢印B1方向の回転が1段階アップの切り換え操作に割り当てられ、操作部3の軸部12回りの矢印B2方向の回転が1段階ダウンの切り換え操作に割り当てられている。
【0015】
図5に示すように、操作装置1は、操作装置1の作動を制御する制御部21を備える。制御部21は、装置本体2に対して操作部3を動かす操作を、機器5を作動させるための入力操作とするように、操作検出部14の検出信号Sk(操作検出信号Skt)を処理する。具体的には、制御部21は、第1操作検出部14aから操作検出信号Sktとしてオン信号を入力すると、操作部3が第2方向A2に操作されたことを検出し、第2操作検出部14bから操作検出信号Sktを入力すると、操作部3が第1方向A1に操作されたことを検出する。また、制御部21は、第1操作検出部14a及び第2操作検出部14bのどちらからもオン信号を入力していなければ、操作部3が中立位置に位置することを検出する。
【0016】
操作部3は、第1操作検出部14a及び第2操作検出部14bの操作検出信号Sktに基づく操作信号Stを、機器5のECU(Electronic Control Unit)等に出力する。また、制御部21は、認識した操作部3の操作状態を基に、表示部4の表示状態を制御する。
【0017】
次に、本実施形態の操作装置1の作用について説明する。
図6に示すように、操作装置1の表示部4には、画面上の表示温度6として、操作部3の操作によって設定された現在の空調温度が表示されている。
図6の場合、空調温度が「24℃」に設定されているとし、表示部4に「TEMP24℃」と表示されている。
【0018】
図7に示すように、車内の空調温度を下げる場合には、操作部3の盤面に指を載せた状態で、操作部3の第1押当部10に対して第1方向A1に操作負荷をかけて、操作部3を軸部12回りの矢印B1方向に回し操作する。操作部3が軸部12回りの矢印B1方向に回ると、操作部3の裏面の当て面25によって第2操作検出部14bのプッシュロッド18が下がり、第2操作検出部14bのスイッチ本体17内の接点がオンする。これにより、操作部3の矢印B1方向への回転が第2操作検出部14bによって検出される。
【0019】
制御部21は、操作部3の軸部12回りの矢印B1方向への回し操作を第2操作検出部14bで検出すると、その旨を通知する操作信号Stをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階下げられた状態に変更される。
【0020】
また、制御部21は、表示部4に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示態様に切り換える。具体的には、操作部3の矢印B1方向への1回の操作で設定温度が「1℃」下げられる場合、制御部21は、現状の設定温度が「24℃」のときに、操作部3において温度下降の操作が1回実行されたことを検出すると、表示部4の表示態様を、それまでの「24℃」から「1℃」下げた「23℃」に変更する。
【0021】
図8に示すように、車内の空調温度を上げる場合には、操作部3の盤面に指を載せた状態で、操作部3の第2押当部11に対して第2方向A2に操作負荷をかけて、操作部3を軸部12回りの矢印B2方向に回し操作する。操作部3が軸部12回りの矢印B2方向に回ると、操作部3の裏面の当て面26によって第1操作検出部14aのプッシュロッド18が下がり、第1操作検出部14aのスイッチ本体17内の接点がオンする。これにより、操作部3の矢印B2方向への回転が第1操作検出部14aによって検出される。
【0022】
制御部21は、操作部3の軸部12回りの矢印B2方向への回し操作を第1操作検出部14aで検出すると、その旨を通知する操作信号Stをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階上げられた状態に変更される。
【0023】
また、制御部21は、表示部4に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示態様に切り換える。具体的には、操作部3の矢印B2方向の1回の操作で設定温度が「1℃」上げられる場合、制御部21は、現状の設定温度が「24℃」のときに、操作部3において温度上昇の操作が1回実行されたことを検出すると、表示部4の表示態様を、それまでの「24℃」から「1℃」上げた「25℃」に変更する。
【0024】
上記実施形態の操作装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)操作装置1の操作部3は、装置本体2に対して中立位置から第1方向A1及び第2方向A2の各々に動くように形成されている。操作装置1の操作検出部14は、操作部3が第1方向A1及び第2方向A2に対して動く動作を検出する。操作装置1の制御部21は、装置本体2に対する操作部3の操作が機器5を作動させるための入力操作となるように、操作検出部14の操作検出信号Sktを処理する。操作部3は、中立位置の操作部3に載置された指で操作部3を中立位置から第1方向A1及び第2方向A2のどちらに対しても操作可能な形状に形成されている。
【0025】
本例の構成によれば、操作部3を中立位置から第1方向A1や第2方向A2に操作する場合、操作部3に載置した指で操作部3を中立位置から第1方向A1及び第2方向A2のいずれにも操作することが可能となる。このため、操作部3に載置した指を置き換えることなく、操作部3を第1方向A1及び第2方向A2のいずれにも操作することが可能となる。よって、高い操作性を確保することができる。
【0026】
(2)操作部3は、指載置部9、第1押当部10及び第2押当部11を備える。指載置部9は、操作部3において操作者の指の形状に沿って凹設されている。第1押当部10は、操作部3において指載置部9を設けることにより形成され、操作部3を第1方向A1に操作する際に指が押し当てられる。第2押当部11は、操作部3において指載置部9を設けることにより形成され、操作部3を第2方向A2に操作する際に指が押し当てられる。この構成によれば、操作部3を第1方向A1に操作するときには、指で第1押当部10を押し、操作部3を第2方向A2に操作するときには、指で第2押当部11を押す。このように、操作部3を操作し易い形状とすることができる。
【0027】
(3)操作部3は、第1方向A1及び第2方向A2の両方向に対して交差する方向に延びる軸部12回りに回転するように設けられ、第1方向A1として軸部12の軸回り一方向に回り、第2方向A2として軸部12の軸回り他方向に回る。この場合、操作部3の構造を、軸部12回りに回転する簡素な構造とすることができる。
【0028】
(4)操作部3は、第1方向A1及び第2方向A2の両方に対して交差する方向に長い形状に形成されている。この場合、操作部3において指を載せる操作箇所を大きくとることが可能となるので、操作性の確保に一層寄与する。
【0029】
(5)操作検出部14は、操作部3の第1方向A1及び第2方向A2の一方の操作を検出する第1操作検出部14aと、操作部3の第1方向A1及び第2方向A2の他方の操作を検出する第2操作検出部14bとを備える。この場合、操作部3の第1方向A1の操作と第2方向A2の操作とを、各々個別の操作検出部14で精度よく検出することができる。
【0030】
(6)操作部3は、中立位置を起点に第1方向A1及び第2方向A2の各々に1段階ずつ操作可能に設けられている。この場合、例えば操作部3を中立位置から第1方向A1に操作すると数値がデクリメントされ、操作部3を中立位置から第2方向A2に操作すると数値がインクリメントされるような、感覚的な操作が可能な操作部3とすることができる。よって、高い操作性の確保に一層寄与する。
【0031】
(7)操作装置1は、装置本体2とは別体に設けられた表示部4を備え、操作部3の操作を通じた選択の現状態が表示部4に表示されることにより、グラフィックインターフェースの入力系として使用されている。この場合、表示部4の表示状態から、現在の操作の選択状態(決定状態)を容易に認識することができる。また、操作部3の操作状態をグラフィック的に表示する表示部4を備えた操作装置1とすることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の操作部3にタッチ操作機能を割り付けた実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0033】
図9に示すように、表示部4には、操作部3によって選択操作される操作機能ごとにアイコン31が表示されている。本例のアイコン31には、例えばフロントガラス曇り取りアイコン31a、バックドア曇り取りアイコン31b、空調温度アイコン31c、空調モード選択アイコン31d、空調風量選択アイコン31e、冷房機能(除湿機能)のオンオフ切換アイコン31f、内外気切換アイコン31gなどがある。このように、表示部4は、操作装置1(操作部3)によって選択操作された機器5の現在状態を表示する。
【0034】
操作部3の盤面には、操作部3に対するタッチ操作を検出するタッチ検出部32が設けられている。タッチ検出部32は、例えば静電容量センサ33であって、本例の場合、盤面において長尺方向一帯に形成された静電容量式のタッチセンサ(タッチパッド)である。表示部4に表示されたアイコン31の選択状態の切り換えは、操作部3の盤面を指等で操作して、この操作をタッチ検出部32で検出することによって実行する。
【0035】
図10及び
図11に示すように、操作部3の盤面は、タッチ操作の各操作箇所(タッチセンサ上の各座標)に応じたタッチスイッチ34として割り振られている。すなわち、操作部3の盤面には、操作装置1で操作することが可能な操作機能として種々のタッチスイッチ34が割り当てられている。このように、本例の操作装置1は、タッチスイッチ34のタッチ操作が操作機能の選択操作として割り当てられている。本例の場合、タッチスイッチ34には、
図10及び
図11の左側から順に、フロントガラス曇り取りタッチスイッチ34a、バックドア曇り取りタッチスイッチ34b、空調温度選択タッチスイッチ34c、空調モード選択タッチスイッチ34d、空調風量選択タッチスイッチ34e、冷房機能(除湿機能)オンオフ切換タッチスイッチ34f、内外気切換タッチスイッチ34gが各々割り当てられている。
【0036】
操作部3の軸部12回りの回転操作は、タッチスイッチ34で選択された操作機能の決定操作として割り当てられている。本例の場合、各タッチスイッチ34の34a、34b、34f、34gは、軸部12回りの矢印B1方向の操作が決定操作となっている。また、各タッチスイッチ34の34a~34gは、軸部12回りの矢印B1方向の操作が1段階ダウンの決定操作に割り当てられ、矢印B2方向の操作が1段階アップの決定操作に割り当てられている。
【0037】
図12に示すように、本例の制御部21は、装置本体2に対して操作部3を動かす操作と、操作部3に対する複数箇所のタッチ操作とが、機器5を作動させるための入力操作となるように、操作検出部14及びタッチ検出部32の検出信号Sk(操作検出信号Skt及びタッチ検出信号Sku)を処理する。制御部21は、タッチ検出信号Skuを基に操作部3の盤面上のタッチ操作の座標位置を判定して、ユーザによってタッチ操作されたタッチスイッチ34を認識する。制御部21は、タッチ操作したタッチスイッチ34を認識する状態で、操作検出信号Sktから操作部3の第1方向A1又は第2方向A2の操作を検出すると、これら一連の操作に基づく操作信号Stを、機器5のECU(Electronic Control Unit)等に出力する。また、制御部21は、認識した操作部3の操作状態を基に、表示部4の表示状態を制御する。
【0038】
次に、本実施形態の操作装置1の作用について説明する。
図13に示すように、空調温度が「24℃」に設定されているとし、表示部4に「TEMP24℃」と表示されている。操作装置1で空調温度を調整する場合には、まず操作部3において空調温度選択タッチスイッチ34cを指でタッチする。すなわち、操作部3の空調温度選択タッチスイッチ34cの上に指を載せた状態にする。このとき、表示部4上の空調温度アイコン31cは、例えば画像の色が変化したり、画像サイズが大きくなったりすることによって、選択状態にあることを操作者に通知することが好ましい。
【0039】
車内の空調温度を下げる場合には、空調温度選択タッチスイッチ34cに指を載せた状態で、操作部3に第1方向A1に操作負荷をかけて、操作部3を軸部12回りの矢印B1方向に回し操作する。このように、空調温度選択タッチスイッチ34cに指で触れる操作が温度変更の選択操作となり、その操作状態で操作部3を軸部12回りに矢印B1方向へ押し込む操作が決定操作となる。操作部3の軸部12回りの矢印B1方向への操作は、基板15上の第2操作検出部14bで検出される。
【0040】
制御部21は、空調温度選択タッチスイッチ34cがタッチ操作されたことをタッチ検出部32で検出しつつ、操作部3の軸部12回りの矢印B1方向への回し操作を第2操作検出部14bで検出すると、その旨を通知する操作信号Stをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階下げられた状態に変更される。
【0041】
また、制御部21は、表示部4に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示態様に切り換える。具体的には、操作部3の矢印B1方向の1回の決定操作で設定温度が「1℃」下げられる場合、制御部21は、現状の設定温度が「24℃」のときに、操作部3において温度下降の操作が1回実行されたことを検出すると、表示部4の表示態様を、それまでの「24℃」から「1℃」下げた「23℃」に変更する。
【0042】
図14に示すように、車内の空調温度を上げる場合には、空調温度選択タッチスイッチ34cに指を載せた状態で、操作部3に第2方向A2に操作負荷をかけて、操作部3を軸部12回りの矢印B2方向に回し操作する。このように、空調温度選択タッチスイッチ34cに指で触れる操作が温度変更の選択操作となり、その操作状態で操作部3を軸部12回りに矢印B2方向へ押し込む操作が決定操作となる。操作部3の軸部12回りの矢印B2方向への操作は、基板15上の第1操作検出部14aで検出される。
【0043】
制御部21は、空調温度選択タッチスイッチ34cがタッチ操作されたことをタッチ検出部32で検出しつつ、操作部3の軸部12回りの矢印B2方向への回し操作を第1操作検出部14aで検出すると、その旨を通知する操作信号Stをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階上げられた状態に変更される。
【0044】
また、制御部21は、表示部4に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示態様に切り換える。具体的には、操作部3の矢印B2方向の1回の決定操作で設定温度が「1℃」上げられる場合、制御部21は、現状の設定温度が「24℃」のときに、操作部3において温度上昇の操作が1回実行されたことを検出すると、表示部4の表示態様を、それまでの「24℃」から「1℃」上げた「25℃」に変更する。
【0045】
図15に示すように、例えば冷房機能(除湿機能)オンオフ切換タッチスイッチ34fを操作する場合には、このタッチスイッチ上に指を載せ、その指で操作部3を第1方向A1に押し込むことにより、操作部3を軸部12回りの矢印B1方向に回す。このように、冷房機能(除湿機能)オンオフ切換タッチスイッチ34fに指で触れる操作が同機能のオンオフ切り換えの選択操作となり、その操作状態で操作部3自体を軸部12回りに矢印B1方向へ1段階押し込む操作が決定操作となる。
【0046】
制御部21は、冷房機能(除湿機能)オンオフ切換タッチスイッチ34fがタッチ操作されたことをタッチ検出部32で検出しつつ、操作部3の軸部12回りの矢印B1方向への回し操作を第2操作検出部14bで検出すると、その旨を通知する操作信号Stをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、エアーコンディショナー装置の冷房機能(除湿機能)のオンオフが切り換えられる。
【0047】
また、制御部21は、表示部4に表示された冷房機能(除湿機能)のオンオフ切換アイコン31fの表示を変更する。例えば、冷房機能(除湿機能)がオンに切り換わる場合、「A/C」の文字表示の近傍のインジケータ35を点灯状態に切り換えて表示する。
【0048】
図16に示すように、本例の操作部3の場合、盤面上に複数のタッチスイッチ34が長手方向に配列されているので、盤面上を指で左右方向になぞるスライド操作を通じて、選択状態を切り換えることもできる。このため、指でタッチ操作するタッチスイッチ34を切り換える場合に、指を操作部3の盤面上に載せたまま指をスライド操作するのみで、所望のタッチスイッチ34に行き着くことができる。よって、スイッチノブの持ち替え等を行わない形式でのスイッチ切り換えが可能となる。
【0049】
上記実施形態の操作装置1によれば、第1実施形態に記載の(1)~(7)に加え、以下のような効果を得ることができる。
(8)操作装置1のタッチ検出部32は、操作部3に設けられ、操作部3へのタッチ操作を検出する。制御部21は、装置本体2に対して操作部3を第1方向A1又は第2方向A2へ動かす操作と、操作部3に対する複数箇所のタッチ操作とが、機器5を作動させるための入力操作となるように、操作検出部14及びタッチ検出部32の検出信号を処理する。この場合、操作部3自体を動かして操作することと、操作部3をタッチ操作することとの両方の操作態様を通じて、機器5の作動に係る選択状態を適宜切り換えることが可能となる。よって、機器5の作動の切り換えにあたり、ノブ等における指の置き換えや持ち換えが不要となるので、高い操作性を確保するのに一層有利となる。
【0050】
(9)操作部3の複数箇所に割り当てられたタッチ操作式のタッチスイッチ34は、操作部3において長手方向に沿って配列されている。この場合、操作部3に複数設けられたタッチスイッチ34を操作する際、操作部3の盤面をなぞる操作によって、操作するタッチスイッチ34を切り換えることが可能となる。よって、タッチスイッチ34の切り換えの際、指の置き換えが不要となるので、この点で高い操作性を確保することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態も、第1実施形態及び第2実施形態に対して異なる部分についてのみ詳述する。
【0052】
図17に示すように、操作部3の表面には、操作部3においてタッチ操作が可能なエリアを触覚的にユーザに認識させる触覚認識部40が設けられている。触覚認識部40は、ユーザが操作部3をタッチ操作した際に、操作部3におけるタッチ検出部32のエリア(タッチ検知エリア)を、指等の触覚を通じてユーザに通知する。触覚認識部40は、例えば、操作部3の長手方向に沿って設けられた溝である。
【0053】
図18は、触覚認識部40を溝とした場合の操作部3の拡大断面図である。同図に示すように、触覚認識部40としての溝は、例えば、指先で凹状を確認することが可能な小さな溝である。触覚認識部40を溝とした場合、溝という簡素な形状により触覚認識部40を設けることが可能である。
【0054】
図19は、触覚認識部40を突起とした場合の操作部3の拡大断面図である。同図に示すようい、触覚認識部40としての突起は、例えば、指先で突状を確認することが可能な小さな突である。触覚認識部40を突起とした場合、指等に突起の引っ掛かりを感じることが可能となるので、操作部3の表面に指を置いていることが分かり易い。
【0055】
図20に示すように、触覚認識部40は、操作部3において指載置部9に配置されている。触覚認識部40は、操作部3において長手方向に一帯に延びるように設けられている。なお、触覚認識部40は、複数の溝が操作部3の長手方向に並んで配置された形状でもよい。すなわち、触覚認識部40は、操作部3のタッチ検出エリアの端を認識できるように、少なくとも操作部3の両端に配置されることが好ましい。
【0056】
図21に示すように、操作部3は、例えば、操作部3においてタッチ操作される第1部位41と、縁部43の少なくとも一部に設けられた第2部位42とで、外観が異なるように設けてもよい。第1部位41は、例えば、操作部3において縁部43を除いた部位である。具体的には、第1部位41は、操作部3において少なくともタッチ検出部32が設けられた部位を含む。第2部位42は、例えば、操作部3の縁周囲全域に形成されている。本例の場合、操作部3は、第1部位41及び第2部位42の各々で色調が異なるように形成されている。
【0057】
第1部位41及び第2部位42の外観の異ならせ方は、色調を変える方法に限らず、例えば、樹脂製の操作部3の表面に形状加工を施す方法を用いてもよい。形状加工は、例えば、シボ加工がある。この場合、例えば、第1部位41の表面をシボ無しとし、第2部位42の表面をシボ有りとすることにより、操作部3の表面の外観を変える。なお、表面の形状加工は、シボ加工に限らず、例えば、柄を形成する加工でもよい。
【0058】
上記実施形態の操作装置1によれば、第1実施形態及び第2実施形態に記載の(1)~(9)に加え、以下のような効果を得ることができる。
(10)操作部3は、操作部3においてタッチ操作が可能なエリアを視覚的にユーザに認識させる触覚認識部40を備えている。このため、操作部3でタッチ操作可能なエリアを、操作部3に設けられた触覚認識部40によって触覚的に認識することが可能となる。よって、操作部3の操作のし易さの確保や、操作間違い防止などに寄与するので、操作部3の操作性を向上することができる。
【0059】
(11)操作部3は、操作部3においてタッチ操作される第1部位41と、縁部43の少なくとも一部に設けられた第2部位42とで、外観が異なるように設けられている。よって、操作部3でタッチ操作できる部位とそれ以外とを視覚的に認識することが可能となる。よって、操作部3の操作性向上に寄与する。
【0060】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・各実施形態において、操作部3は、軸回りに回る回転式に限定されず、例えばスライド操作によって状態が切り換えられるスライド式など、他の操作形式のものに変更してもよい。
【0061】
・各実施形態において、操作部3は、装置幅方向において長く形成された形状に限定されず、例えば装置幅方向において短く形成された形状としてもよい。
・各実施形態において、操作部3は、第1方向A1や第2方向A2において複数段で操作される構造としてもよい。
【0062】
・各実施形態において、操作部3の形状は、断面略L字状に限定されず、置いた指で第1方向A1及び第2方向A2のどちらの方向にも操作可能な形状であればよい。
・各実施形態において、操作検出部14は、タクトスイッチ16に限定されず、他のメカスイッチを使用してもよい。また、操作検出部14は、スイッチに限定されず、センサとしてもよい。
【0063】
・各実施形態において、第1操作検出部14a及び第2操作検出部14bとで同じ種類の部材ではなく、互いに異なる部材としてもよい。
・各実施形態において、タッチスイッチ34は、押す度にオンとオフとが交互に切り換わるスイッチとしてもよい。
【0064】
・各実施形態において、タッチスイッチ34は、操作部3の長手方向に一列に配置されることに限定されず、例えば複数列配置されてもよい。
・各実施形態において、タッチスイッチ34、操作部3の表面のみならず裏面にも形成されてもよい。
【0065】
・各実施形態において、タッチ検出部32は、静電容量方式に限定されず、例えば抵抗膜方式を使用してもよい。
・各実施形態において、第1方向A1及び第2方向A2は、互いに直交する方向に限定されず、交差する方向であればよい。
【0066】
・各実施形態において、操作装置1から表示部4が省略されてもよい。
・各実施形態において、操作装置1は、車載用に限定されず、他の機器や装置に使用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…操作装置、2…装置本体、3…操作部、4…表示部、5…機器、9…指載置部、10…第1押当部、11…第2押当部、12…軸部、14…操作検出部、14a…第1操作検出部、14b…第2操作検出部、21…制御部、32…タッチ検出部、40…触覚認識部、41…第1部位、42…第2部位、A1…第1方向、A2…第2方向、Sk…検出信号、Skt…操作検出信号、Sku…タッチ検出信号、St…操作信号。