(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2020186946
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】シャルロッテ・アルテス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール・ヴァンデル
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0269862(US,A1)
【文献】国際公開第2015/056624(WO,A1)
【文献】特開2005-261698(JP,A)
【文献】特開2015-058233(JP,A)
【文献】特開平11-164835(JP,A)
【文献】特開2017-176584(JP,A)
【文献】特開2013-106949(JP,A)
【文献】特開2000-262527(JP,A)
【文献】特開2015-159924(JP,A)
【文献】特開2005-204995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織(44)の電気外科的治療用のプローブ(10)であって、
プローブ本体(12)を有し、前記プローブ本体(12)では、電極チャネル(15)が前記プローブ本体(12)の遠位端(13)まで延び、
ハウジング(21)を備える操作装置(20)を有し、前記操作装置(20)は、前記プローブ本体(12)の近位端(14)と接続され、前記ハウジング(21)上に、第1の位置(I)と第2の位置(II)との間で可動である電極操作要素(23)を備え、
前記電極チャネル(15)内で前記電極チャネル(15)の伸張方向(R)にシフト可能である電極(16)を有し
、前記電極(16)は
、前記電極操作要素(23)に可動に結合さ
れ、
ウォータージェットプローブ本体(60)を有し、その内部で水チャネルが前記ウォータージェットプローブ本体(60)の遠位端(62)まで延び、前記ウォータージェットプローブ本体(60)が、前記操作装置(20)の前記ハウジング(21)に対して伸張方向(R)にシフト可能であり、
前記操作装置(20)は、前記電極(16)が完全伸張位置(A)にない場合、または前記電極(16)が完全後退位置(E)にある場合に、伸張位置に向かう方向への前記ウォータージェットプローブ本体(60)の移動を可能にするように構成され、
前記操作装置(20)は、ウォータージェットプローブ操作要素(66)を備え、前記ウォータージェットプローブ操作要素(66)は、前記ウォータージェットプローブ本体(60)と可動に結合され、前記ウォータージェットプローブ本体(60)を伸張方向(R)に前記操作装置(20)の前記ハウジング(21)に対してシフトさせるように構成され、
前記第1の位置(I)にある前記電極操作要素(23)は、前記ウォータージェットプローブ操作要素(66)のためのストッパを形成する、
プローブ。
【請求項2】
前記電極操作要素(23)の進行した操作経路(b)が、当該進行によって前記電極(16)が前記電極チャネル(15)内で進行する経路(s)よりも大きくなるように、前記電極(16)は、減速ギア(25)を介して前記電極操作要素(23)に可動に結合されることを特徴とする、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記減速ギア(25)は、レバーギア(26)であり、
前記レバーギア(26)は、枢動位置(28)で前記操作装置(20)の前記ハウジング(21)上に枢動可能に支持されたレバー(27)を備え、前記レバー(27)と前記電極操作要素(23)との間の結合位置は、前記レバー(27)と前記電極(16)との間の結合位置より前記枢動位置(28)から離れていることを特徴とする、
請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記プローブ本体(12)に対する前記電極(16)の異なる位置を、それぞれ1つのラッチ位置によって規定するラッチ装置(35)が存在することを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記ラッチ装置(35)は、前記電極(16)の完全伸張位置(A)と、前記電極(16)の完全後退位置(E)と、前記完全伸張位置(A)と前記完全後退位置(E)との間の前記電極(16)の少なくとも1つの中間位置とを規定することを特徴とする、
請求項4に記載のプローブ。
【請求項6】
前記ラッチ装置(35)は、前記電極操作要素(23)に可動に結合されたラッチ要素(36)と、前記ハウジング(21)に可動に結合されたラッチカウンタ要素(37)とを備え、前記ラッチ要素(36)および前記ラッチカウンタ要素(37)によって複数の異なる相対位置における解放可能なラッチ接続を提供することを特徴とする、
請求項4または5に記載のプローブ。
【請求項7】
前記ラッチ要素(36)は少なくとも1つのラッチ突出部(38)を含み、前記ラッチカウンタ要素(37)は複数のラッチ凹部(39)を含むか、または前記ラッチ要素(36)は複数のラッチ突出部(38)を含み、前記ラッチカウンタ要素(37)は少なくとも1つのラッチ凹部(39)を含むことを特徴とする、
請求項6に記載のプローブ。
【請求項8】
伸張方向(R)に前記プローブ本体(12)に対して前記電極(16)上に付勢力(F)をかける付勢装置(48)が設けられることを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記付勢装置(48)の前記付勢力(F)は、完全伸張位置(A)に向かう方向に前記
電極(16)を付勢することを特徴とする、
請求項8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記付勢装置(48)は、前記プローブ本体(12)および/または前記ハウジング(21)内に配置されることを特徴とする、
請求項8または9に記載のプローブ。
【請求項11】
前記電極操作要素(23)は、前記電極(16)を移動させると共に、前記ウォータージェットプローブ本体(60)を移動させるように構成されることを特徴とする、
請求項
1~10のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記電極操作要素(23)は、最初に前記電極(16)の後退運動をもたらし、続いて、前記第1の位置(I)から前記第2の位置(II)に向かう方向の移動中、前記ウォータージェットプローブ本体(60)の伸張運動をもたらすように構成されることを特徴とする、
請求項
11に記載のプローブ。
【請求項13】
偏向装置(69)が、前記ハウジング(21)内に提供され、前記偏向装置(69)は、前記ウォータージェットプローブ本体(60)を前記操作装置(20)の割り当てられた操作要素(23、66)と結合させるように構成され、前記偏向装置(69)により、前記ハウジング(21)の外側に配置された前記ウォータージェットプローブ本体(60)および前記操作要素(23、66)の移動方向は、互いに相反することを特徴とする、
請求項
1~
12のいずれか一項に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織の電気外科的治療のためのプローブに関する。プローブは、その中に可動に配置された電極を備えたプローブ本体を有する。プローブは、単一の電極を備えた単極プローブまたは複数の電極を備えた双極プローブであることができる。操作装置を用いて、電極をプローブ本体から伸張させるか、またはプローブ本体内に後退させることができる。伸張状態において、特に組織の切断のために、電圧を電極に印加することができる。
【背景技術】
【0002】
そのようなプローブは、実際に知られている。外科医にとって、プローブ本体の外に移動させる電極の遠位端セクションの長さを正確に調整する必要がある。そうすることで、組織の切断中、介入中に切断または損傷されてはならないより深い組織層に電極が侵入することを回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、外科医のための改善された取り扱いを可能にするプローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載のプローブによって解決される。
【0005】
本発明のプローブは、組織の電気外科的治療のために構成される。このプローブは、電極チャネルがプローブ本体の遠位端まで延びるプローブ本体を備える。近位端において、プローブ本体は、操作装置と接続される。プローブ本体は、剛性チューブとして、または好ましくは可撓性ホースとして構成され得る。剛性チューブとは、プローブの使用中に通常発生する力の下で曲げることができないプローブ本体を意味する。さらに、可撓性ホースとは、通常発生する力の下でプローブを正しく使用している間、最初の伸張方向に対して曲げることができるプローブ本体を意味する。プローブ本体として可撓性ホースを有するプローブが、例えば、内視鏡の内視鏡チャネルを通して案内され得る。
【0006】
操作装置は、ハウジングを有する。ハウジング上には、電極操作要素が配置される。電極操作要素は、第1の位置と第2の位置との間で可動であり、例えば線形にシフト可能である。代替として、電極操作要素はまた、第1の位置と第2の位置との間でハウジング上に枢動可能に配置され得る。
【0007】
電極が、プローブ本体の電極チャネル内に配置され、電極チャネルの伸張方向に沿って可動に支持される。電極の遠位端は、完全伸張位置と完全後退位置との間で移動され得る。完全伸張位置では、電極チャネルの外側に位置する電極の遠位端に隣接する遠位端セクションが、最も長くなる。完全後退位置では、電極の遠位端は、電極チャネルの内側に位置する。
【0008】
操作装置の電極操作要素は、電極を後退させ、伸張させる働きをする。電極操作要素は、減速ギアによって電極と可動に結合されている。減速ギアは、減速比に従って、電極操作要素の移動を電極のより短い移動に低減するように構成される。これは、電極操作要素が操作経路に沿って移動される場合、電極操作要素の操作経路が、電極が進行する経路よりも長いことを意味する。特に、第1の位置と第2の位置との間にもたらされる最大の操作経路は、電極が完全伸張位置と完全後退位置との間を移動する経路よりも長い。減速ギアの減速は好ましくは一定であり、位置または進行経路に左右されない。
【0009】
減速により、外科医は、電極操作要素の長い操作経路によって、電極の非常に正確な位置決めを達成することができる。そのようにする際、電極の遠位端を、特にサブミリメートル範囲の精度で、簡単かつ正確に配置することができる。
【0010】
減速ギアがレバーギアである場合、有利である。1つの実施形態では、レバーギアは、操作装置のハウジング上の枢動位置において枢動可能に支持されるレバーを備えることができる。好ましくは、レバーギアは、単一のレバーのみを有する。電極操作要素がレバーと結合される結合位置は、レバーが電極と結合される結合位置よりも枢動位置から離れている。このようにして、簡単に構成された減速付きレバーギアが、実現される。
【0011】
枢動位置は、レバーの一方端に配置され得る。
【0012】
1つの実施形態では、電極とレバーとの結合位置は、枢動位置と、電極操作要素がレバーと係合する結合位置との間に配置される。
【0013】
レバーギアの代わりに、偏心ギア、歯付きラックと歯付きホイールとを備えたギア、歯付きホイールギア、ベルトギア、フリクションホイールギアなどの他のギアタイプも使用することができる。記載されているギアタイプの組み合わせも可能である。減速ギアは、1つまたは複数のギア段を有することができる。
【0014】
減速ギアとは無関係に特に実現できる別の有利な構成では、プローブは、ラッチ装置を備える。ラッチ装置は、プローブ本体に対する電極の複数の異なる位置を規定することができる。特に、ラッチ装置は、それぞれの場合において、ラッチ位置によってこれらの位置を規定することができる。ラッチ装置のラッチ位置により、電極の規定された、事前指定された位置、特にプローブ本体の遠位端から電極の遠位端までの距離を正確に調整して、電極の配置を外科医にとって簡単にする。
【0015】
1つの実施形態では、ラッチ装置は、電極の完全伸張位置と、電極の完全後退位置と、完全伸張位置と完全後退位置との間の電極の少なくとも1つの中間位置とを規定する。
【0016】
好ましい実施形態では、ラッチ装置は、電極操作要素に可動に結合されたラッチ要素と、操作装置のハウジングに可動に結合されたラッチカウンタ要素とを有する。好ましくは、ラッチカウンタ要素は、電極操作要素に対して不動に配置される。好ましくは、ラッチカウンタ要素は、ハウジングに対して不動に配置される。プローブ本体に対する電極の事前指定された規定済みの各位置において、ラッチ要素およびラッチカウンタ要素は、解放可能なラッチ接続がラッチ要素とラッチカウンタ要素との間に確立されるラッチ位置をとる。
【0017】
ラッチ要素は、少なくとも1つのラッチ突出部および/または少なくとも1つのラッチ凹部を含むことができる。ラッチカウンタ要素は、ラッチ要素と協働するための少なくとも1つのラッチ凹部および/または少なくとも1つのラッチ突出部を含むことができる。例えば、電極の規定された異なる位置において、それぞれの場合に割り当てられた1つのラッチ凹部に係合する1つの単一のラッチ突出部を設けることができる。逆に、複数のラッチ要素のうちの1つが、それぞれの場合に電極の異なる規定された位置に係合する1つの単一のラッチ凹部が存在し得る。また、各ラッチ位置において、解放可能なラッチ接続が確立されたとき、複数のラッチ突出部が、割り当てられた複数のラッチ凹部に係合することもできる。
【0018】
記載された実施形態のすべてにおいて、ラッチ突出部は、例えば、ラッチ突出部が、ラッチ位置からの、操作装置のハウジングに対する電極操作要素の相対移動を可能にするように、弾性的に可動に支持され得る。例えば、弾性的にまたはばね弾性的に付勢されたボールまたは別の本体が、ラッチ突出部を形成することができ、このラッチ突出部は、ばね付勢により、ラッチ凹部を形成する窪みまたは穴と係合する。ラッチ突出部は、ばねまたは弾性的に変形可能な要素によって付勢することができ、例えば一種のフィルムヒンジによって、付勢力に抗して可動に支持され得る。
【0019】
好ましい実施形態では、プローブは、付勢装置を備える。付勢装置は、電極または電極チャネルの伸張方向に、プローブ本体に対する付勢力を電極上に加える。付勢装置は、1つまたは複数の付勢要素、特に少なくとも1つのばね、好ましくはらせんばねを有することができる。付勢力により、伸張方向における電極の運動遊びを排除することができる。
【0020】
付勢装置の付勢力が電極を完全伸張位置に向かう方向に付勢する場合、好ましい。
【0021】
付勢力の量が、プローブの使用中、組織を切断する間に電極に加えられる反力よりも大きい場合も、特に有利である。
【0022】
好ましい実施形態では、付勢装置または付勢装置の少なくとも1つの付勢要素は、プローブ本体内または電極チャネル内に配置され、例えば、一方側ではプローブ本体において、他方側では電極において支持され得る。好ましくは、付勢装置または少なくとも1つの付勢要素は、特に、プローブ本体の遠位末端部のすぐ後ろか、または、例えば、末端部から10~15cm離れた距離に、すなわちいわゆる後方に近位に変位させて配置される。そのような距離により、付勢装置または少なくとも1つの付勢要素の締め付けを、遠位端領域内でプローブ本体または内視鏡を曲げている間、回避することができる。
【0023】
代替的または追加的に、付勢装置または付勢装置の少なくとも1つの付勢要素は、操作装置のハウジング内に配置され得る。
【0024】
プローブは、複合プローブまたはハイブリッドプローブとして構成され得る。この実施形態では、プローブは、電極に加えて、水路がウォータージェットプローブ本体の遠位端まで延びるウォータージェットプローブ本体を備える。ウォータージェットプローブ本体は、例えば、電極チャネルを有するプローブ本体に実質的に平行に延びる。電極チャネルを備え、電極プローブ本体として称される場合があるプローブ本体は、外側本体、例えば外側チューブまたは外側ホース内に、ウォータージェットプローブ本体と共に配置され得る。プローブ本体と同様に、ウォータージェットプローブ本体および/または外側本体は、それぞれ剛性チューブまたは可撓性ホースの形態で構成され得る。1つの実施形態では、電極チャネルを備えるプローブ本体はまた、ウォータージェットプローブ本体用のチャネルが設けられる外側本体を形成することもできる。
【0025】
そのような複合プローブまたはハイブリッドプローブにおいて、ウォータージェットプローブ本体は、操作装置のハウジングおよび/または外側本体に対して伸張方向に沿ってシフト可能に配置され得る。操作装置は、電極が完全伸張位置から離れて位置する場合、または電極が完全後退位置に位置する場合にのみ、伸張された位置に向かう方向へのウォータージェットプローブ本体の移動を可能にするように特に構成される。これは、ウォータージェットプローブ本体を、電極を後退させるのと同時にしか操作装置によって伸張させることができないか、または電極が部分的もしくは完全に後退したときにのみ伸張させることができるという点で達成可能である。複合プローブまたはハイブリッドプローブの構成のこの態様はまた、電極操作装置を電極に可動に結合する方法とは無関係に実施することができ、特にこれは、減速ギアの有無とは無関係であるだけでなく、ラッチ装置の存在とも無関係である。
【0026】
1つの実施形態では、操作装置は、ウォータージェットプローブ操作要素を備える。ウォータージェットプローブ操作要素は、ウォータージェットプローブ本体をハウジングに対して伸張方向に移動させるか、またはシフトさせるように構成される。ウォータージェットプローブ操作要素は、操作装置のハウジングに配置され、例えば、スライダによって形成され得る。
【0027】
電極操作要素およびウォータージェットプローブ操作要素は、第1の位置において電極操作要素がウォータージェットプローブ操作要素のためのストッパを形成するように、ハウジングで互いに隣接して配置され得る。この例によれば、電極は、電極操作要素の第1の位置において完全に伸張される。この第1の位置では、ウォータージェットプローブ操作要素を移動させることはできない。ウォータージェットプローブ操作要素の移動は、好ましくは、ハウジングによって一方の方向にブロックされ、第1の位置をとる電極操作要素によって他方の方向にブロックされる。したがって、電極が操作されると、ウォータージェットプローブ本体の伸張が、妨げられる。
【0028】
別の好ましい実施形態では、電極操作要素は、電極の移動ならびにウォータージェットプローブ本体の移動のために構成され得る。この実施形態では、電極操作要素は、電極およびウォータージェットプローブ本体と可動に結合される。
【0029】
電極操作要素が、第1の位置から第2の位置に向かう方向に移動する間に、最初に電極の後退運動をもたらすように構成される場合、有利である。後退運動の開始後、または電極の完全後退位置に達した後にのみ、ウォータージェットプローブ本体の伸張運動は、電極操作要素が第1の位置から離れるように移動し続けることによってもたらされる。したがって、電極操作要素は、第1の位置に直接隣接する第1の移動セクション内でのみ電極を移動させることができる。第2の位置に直接隣接する移動セクションでは、電極操作要素は、ウォータージェットプローブ本体の移動のみをもたらすことができる。2つの移動セクションは、空間距離を有することも、直接隣接させることも、部分的に重複させることもできる。
【0030】
また、ウォータージェットプローブ本体を操作装置の割り当てられた操作要素と結合させるように構成された偏向装置がハウジング内に存在し、それによってハウジングの外側に位置するウォータージェットプローブ本体および操作要素の移動方向が互いに相反する場合も有利である。例えば、ウォータージェットプローブ本体をハウジング内の偏向装置によって偏向させることができる。好ましくは、偏向装置は、ウォータージェットプローブ本体を偏向装置の領域内でU字形を有するように約180°偏向させる。偏向により、偏向装置に隣接するウォータージェットプローブ本体のセクションは、相反する方向に移動される。そのようにする際、ウォータージェットプローブ本体の近位端が一方向に動くことにより、ハウジングの外側に配置されたウォータージェットプローブ本体、例えばウォータージェットプローブ本体の遠位端の相反する方向の移動が達成される可能性を提供する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項、説明および図面から得られる。以下において、本発明の好ましい実施形態を添付の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】電極が延ばされ、ウォータージェットプローブ本体が後退しているプローブの1つの実施形態の概略ブロック図のような図である。
【
図2】第1の位置にある電極操作要素を有する
図1のプローブの操作装置の概略ブロック図のような基本図である。
【
図3】電極操作要素が第2の位置にある、
図2の操作装置の図である。
【
図4】電極操作要素が第1の位置にある、改変された実施形態における
図2および
図3による操作装置の図である。
【
図5】プローブのウォータージェットプローブ本体の操作または移動のための偏向装置の概略的な基本図である。
【
図6】プローブのウォータージェットプローブ本体の操作または移動のための偏向装置の概略的な別の基本図である。
【
図7】プローブのウォータージェットプローブ本体の操作または移動のための偏向装置の概略的な別の基本図である。
【
図8】ラッチ装置を有するプローブの操作装置の概略的な基本図である。
【
図9】ラッチ装置を有するプローブの操作装置のハウジングの1つの実施形態の部分斜視図である。
【
図10】ある位置における、電極ならびにウォータージェットプローブ本体の移動のために構成された電極操作要素を有する操作装置のさらなる実施形態の基本図である。
【
図11】異なる位置における、電極ならびにウォータージェットプローブ本体の移動のために構成された電極操作要素を有する操作装置のさらなる実施形態の基本図である。
【
図12】異なる位置における、電極ならびにウォータージェットプローブ本体の移動のために構成された電極操作要素を有する操作装置のさらなる実施形態の基本図である。
【
図14】電極の近位端と接続された結合本体の概略的な基本図である。
【
図15】プローブ本体内に配置された付勢装置を備える、電極の完全伸張位置にある電極の遠位端セクションおよびプローブ本体を示す図である。
【
図16】電極が完全に後退している
図15の配置を示す図である。
【
図17】付勢装置がプローブ本体の遠位端からさらに離れて配置されている、プローブ本体の改変された実施形態の図である。
【
図18】電極の遠位端が少なくとも部分的に係合することができる例による窪みを含む、プローブ本体の末端部内の電極の遠位端用のストッパの概略基本図である。
【
図19】ウォータージェットプローブを、例えば圧力要素によって移動させることができる、操作装置の実施形態の基本的な側面図である。
【
図20】操作装置の別の実施形態の一部を切り取った斜視図である。
【
図21】操作装置の回転機構の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
プローブ10が、
図1に概略的に示され、内視鏡11と組み合わせて使用される。プローブ10は、複合プローブとして構成され、遠位端13および近位端14を有するプローブ本体12を備える。プローブ本体12の内部には、電極チャネル15(
図15~
図17)が配置され、その内部では、電極16が、電極チャネル15の伸張方向Rにシフト可能に配置される。電極16をプローブ本体12から完全伸張位置A(
図1、15、17、18)まで移動させることができ、ここで電極16の遠位端17は、完全伸張位置Aにおいてプローブ本体12の遠位端13まで最長の距離を有する。完全後退位置E(
図16)では、好ましくは電極16は、プローブ本体12内部に配置され、電極16の遠位端17は、プローブ本体12の遠位端13の領域内に配置される。改変された実施形態では、遠位端17は、完全後退位置Eにおいて、電極チャネル15またはプローブ本体12からわずかに突出することもできる。
【0034】
プローブ本体12は、剛性チューブとして、または本実施形態のように、可撓性ホースとして構成され得る。可撓性ホースの形態の構成では、プローブ本体12は、使用中に発生する通常の力で弾性的に曲がることができ、
図1に示すように、特に、内視鏡11と組み合わせて使用することができる。
【0035】
近位端14で、プローブ本体12は、操作装置20と接続される。操作装置20は、ハウジング21を有する。この例によれば、プローブ本体12は、ハウジング21に取り付け可能であり、ハウジング21の内部空間に開放可能である。電極16の近位端セクション22は、ハウジング21の内部空間において、電極チャネル15またはプローブ本体12の外に案内され得る。
【0036】
ハウジング21上には、電極操作要素が可動に、この例によればシフト可能に配置される。電極操作要素23は、この例によれば2つの係合開口部24を有し、それによって電極操作要素を2本の指で把持し、この例によればハウジング21に沿ってシフトさせられる。
【0037】
完全伸張位置Aと完全後退位置Eとの間の電極16の移動のために、電極操作要素23は、第1の位置I(
図2および
図4)と第2の位置IIとの間で移動またはシフトされ得る。電極操作要素23は、電極16と可動に結合される。第1の位置Iでは、電極16は完全伸張位置Aをとり、第2の位置IIでは、電極16は完全後退位置Eをとる。
【0038】
プローブ10または操作装置20の本発明による1つの実施形態では、電極操作要素23は、減速ギア25によって電極16に可動に結合される。減速ギア25は、電極操作要素23の進行した操作経路bが、電極16が伸張方向Rに進行する経路sよりも長くなるように構成される。
図3では、第1の位置Iと第2の位置IIとの間に設けられた最大操作経路bと、電極16がそれによって進行する経路sが、示される。
【0039】
ここで、図面は基本図にすぎず、縮尺どおりの図を形成していないことに注意されたい。特に、減速ギア25の減速比は、操作経路bおよび経路sによって
図3に概略的に表すものとは異なる減速比を有することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、減速ギア25は、レバーギア26として、特に1アームレバーギア26として構成される。レバーギア26は、枢動位置28でハウジング21上に枢動可能に配置された1つの、好ましくは正確に1つのレバー27を有する。これにより、枢動軸は、電極操作要素23の移動方向に対して直角に配置される。
【0041】
第1の溝29および第2の溝30が、枢動位置28までの距離を置いてレバー27内に設けられている。電極操作要素23に対して不動に電極操作要素23に配置された第1のスライディングブロック31が、第1の溝29内に延びる。電極16の近位端セクション22に対して不動に近位端セクション22に配置された第2のスライディングブロック32が、第2の溝30内に係合する。2つの溝29、30は、互いに平行に、この例によればそれぞれ直線で、好ましくは、枢動位置28を通って延びることができる共通の直線に沿って延びる。この例によれば、第2の溝30は、第1の溝29と枢動位置28との間に位置する。第2のスライディングブロック32は、第2の溝30に沿ってシフト可能に配置され、第1のスライディングブロック31は、第1の溝29に沿ってシフト可能に配置される。
【0042】
2つの別個の溝29、30を有するこの構成の代わりに、2つのスライディングブロック31、32のための共通の溝を設けることもできる。したがって、少なくとも1つの溝が存在する。
【0043】
第1の位置Iと第2の位置IIとの間の操作経路bに沿った電極操作要素の移動中、レバー27は、枢動位置28を中心に枢動される。第1の溝29内の第1のスライディングブロック31の位置は、電極操作要素23と減速ギア25またはレバーギア26との間の結合位置に対応する。第2の溝30内の第2のスライディングブロック32の位置は、電極16または近位端セクション22と減速ギア25またはレバーギア26との間の結合位置に対応する。この後者の結合位置は枢動位置28の近くに配置されているので、減速がレバーギア26によってもたされ、それにより以下が適用される:操作経路bは、経路sよりも長くなる。
【0044】
好ましくは、枢動位置28は、図に示すように、レバー27の一端に設けられる。これに対する改変形態では、枢動位置28はまた、第1の溝29と第2の溝30との間に配置されてもよく、ここでは、スライディングブロック31、32の距離は、電極16のシフト運動への操作運動の減速が達成されるように選択される。
【0045】
スライディングブロック31、32は、ピンまたは他の突出部によって形成することができる。レバー27はまた、
図20に概略的に示すように、レバーが枢動された場合にレバー27に沿った結合位置の移動、例えばレバーとの結合を可能にする別の方法で、電極16および電極操作要素23を結合させることができる。
【0046】
好ましいレバーギア26の代わりに、他の減速ギア25、例えばラックピニオンギア、歯付きホイールギア、平歯車、摩擦ホイールギア、ベルトギアなどを使用することもできる。ここに図示するレバーギア26は、単純な構成のために好ましい。
【0047】
ラッチ装置35を備えた操作装置20の構成が、
図8および
図9に概略的に示されている。ラッチ装置35は、複数の異なるラッチ位置によって、プローブ本体12に対する電極16の規定された位置を予め指定するように構成される。減速ギア25を介した電極操作要素23と電極16との運動結合により、ラッチ装置35は、電極16の近位端セクション22とハウジング21との間、またはこの実施形態のように電極操作要素23とハウジング21との間に直接作用することができる。あるいは、ラッチ装置35は、一方では減速ギア25の他の構成要素と、他方ではハウジング21と協働することもできる。
【0048】
この実施形態では、ラッチ装置35は、電極操作要素23に対して不動に電極操作要素23に配置されたラッチ要素36を備える。ラッチ要素36は、電極16の規定された位置に従って異なるラッチ位置を予め指定するために、ラッチカウンタ要素37と協働する。この例によれば、ラッチカウンタ要素は、ハウジング21に対して不動にハウジング21に配置される。
【0049】
この実施形態では、ラッチ要素36は、少なくとも1つのラッチ突出部38を含み、ラッチカウンタ要素37は、ラッチ凹部39を含む。これとは逆に、ラッチ要素36は、少なくとも1つのラッチ凹部39を含むこともでき、ラッチカウンタ要素37は、ラッチ突出部38を含むことができる。
【0050】
ここに示す実施形態では、ラッチ要素36は、1つの単一のラッチ突出部38によって形成される。ラッチ突出部38は、ラッチ本体40、例えば、ラッチボールと、ラッチ本体40のための弾性支持体41とを備える。例えば、ばね、特にらせんばねは、一方では電極操作要素23で支持され、他方ではラッチ本体40またはラッチボールを支持する弾性支持体41として使用され得る。弾性支持体41により、ラッチ本体40は、弾性付勢力の下でラッチ凹部39内に係合することができ、ラッチ要素36とラッチカウンタ要素37との間の相対運動中、弾性支持体41の弾性力に抗してラッチ凹部39から外に移動することができる。したがって、ラッチ位置は解放可能であり、ハウジング21に対する電極操作要素23の相対運動は、ラッチ装置35によって過度に妨害またはブロックされない。このため、ラッチ凹部39の形状および深さは、それに応じて選択することができる。
【0051】
ここに示すラッチ装置35の実施形態では、1つのラッチ位置が電極16の完全伸張位置Aを規定し、一方で別のラッチ位置が電極16の完全後退位置Eを特徴付ける。これらの2つのラッチ位置の間には、完全伸張位置Aと完全後退位置Eとの間の電極16の中間位置をそれぞれ特徴付ける少なくとも1つの追加のラッチ位置が規定される。例えば、3つ、4つ、またはそれ以上のラッチ位置が、ラッチ装置35、したがって電極16のそれぞれの数の位置によって規定され得る。
【0052】
ラッチ装置35は、プローブ10の取り扱い中、電極16の遠位端17をプローブ本体12からどれだけ出すかについての触覚フィードバックを外科医に与える。この情報は、いくつかの外科的用途において外科医にとって少なくとも重要なものである。加えて、または代替として、1つまたは複数のマークを例えばハウジング21に設けることができ、このマークは、操作要素23の位置、したがって電極16の遠位端17がプローブ本体12の外にどれだけ突出しているかを外科医に示す。
【0053】
図1に概略的に示すように、プローブ10は、電極16を使用した組織44の電気外科的治療のために構成され、それによって、特に、規定された外側組織層45が電極16によって分離されるこうした距離だけを組織44内で前進するものとする。これにより、電極16は、切断器具として働く。電極16の遠位端17は、外科医には見えず、組織44内に位置する。このため、プローブ本体12の遠位端13から電極16の遠位端17までの距離を知っていれば、外科医にとって重要かつ有利である。これにより、規定されたラッチ位置が役立つ。
【0054】
図9に概略的に示すように、ラッチカウンタ要素37は、例えば、それぞれの場合にラッチ凹部39を形成する規定された寸法の穴を有するストリップ形状要素であることができる。
【0055】
プローブ10の1つの実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49を有する付勢装置48が、電極16上に伸張方向Rの付勢力Fを加えるために存在することができる(
図15~
図18)。少なくとも1つの付勢要素49は、例えば、ばね、特にらせんばねであることができる。
図15~
図17に示す実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49は、プローブ本体12の電極チャネル15の内側に配置される。これらの実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49は、電極16を完全伸張位置Aに付勢する力Fを電極16上にかける。このため、少なくとも1つの付勢要素49、この例によればらせんばねは、一方の側では第1の支持部50上に、他方の側では第2の支持部51に支持される。第1の支持部50は、電極16に対して不動に電極16に配置され、例えば、フランジ、リング本体などによって形成され得る。第2の支持部51は、プローブ本体12に対して不動にプローブ本体12に配置され、例えば、内部に電極16のための貫通チャネルを提供し、プローブ本体12の電極チャネル15内に配置される中空円筒本体であることができる。したがって、少なくとも1つの付勢要素49は、2つの支持部50、51間を延び、プローブ本体12と電極16との間に付勢力Fをもたらすことができる。
【0056】
図15および
図16に示すように、少なくとも1つの付勢要素49は、プローブ本体12の末端部52に直接隣接して配置され得る。末端部52は、例えば、電極16に電圧が印加されると、火花および光の生成からプローブ本体12を保護するセラミックの末端部であることができる。電極16の完全伸張位置Aでは、第1の支持部50は、末端部52の内端に当接することができる。しかし、このような当接は、
図17の例に基づいて示すように、必ずしも必要とはされない。
【0057】
図15および
図16に示す実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49は、末端部52に直接隣接して、好ましくは電極チャネル15内側で末端部52に隣接する長さが10mmから20mmの領域内に配置される。
図17に示す実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49は、
図15および
図16による実施形態よりも長い、末端部52またはプローブ本体の遠位端13までの距離を置いて配置される。例えば、少なくとも1つの付勢要素49は、末端部52またはプローブ本体12の遠位端13から10~15cmの距離を有することができる。基本的に、少なくとも1つの付勢要素49は、プローブ本体12内側の任意の場所に配置することができる一方で、少なくとも1つの付勢要素49または第2の支持部51をプローブ本体12内側にできるだけ簡単に配置できるように、近位端14または遠位端13に近い領域が好ましい。
【0058】
これまでに示した
図15~
図17による実施形態の改変形態では、
図19では例として非常に概略的にしか示していないが、付勢装置48または少なくとも1つの付勢要素49は、プローブ本体12の外側、特にハウジング21の内側に配置することもできる。これにより、少なくとも1つの付勢要素49が支持される第2の支持部51は、この配置では、ハウジング21に対して不動にハウジング21と接続される。
【0059】
これまでに示した実施形態の改変形態では、付勢装置48は、
図18に例として示すように、電極16をその完全後退位置Eに向かう方向に付勢する付勢力Fを電極16上にもたらすこともできる。この実施形態では、少なくとも1つの付勢要素49は、電極16の遠位端17をプローブ本体12の遠位端13に向かう方向に付勢することができる(プッシュまたはプル)。また、ばねまたはらせんばねおよび配置を、
図15~
図17または
図19による図と同様にここで使用することができ、ここでは例えば、第2の支持部51は、電極16の遠位端17により近い第1の支持部50の側に配置され得る。あるいは、これまで説明した実施形態のように、少なくとも1つの付勢要素49を支持部50、51に取り付け、2つの支持部50、51を互いに向けてかつ互いに離れないように付勢するという点で引張力をもたらすこともできる。
【0060】
本実施形態によるプローブ10は、電気外科的治療のための電極16に加えて、近位端61から遠位端62まで延びるウォータージェットプローブ本体60を備える、複合プローブまたはハイブリッドプローブである。この実施形態では、ウォータージェットプローブ本体60および電極16を共通の外側本体63内に配置することもでき、この外側本体は、例えばプローブ本体12によって形成することができ、ウォータージェットプローブ本体60および電極16それぞれのための管腔またはチャネルを提供することができる。
【0061】
ウォータージェットプローブ本体60は、遠位端62まで延びる水チャネルを含む。水チャネルは、水リザーバまたは水圧源と、例えば供給ライン64を介して流体的に接続可能である。ウォータージェットプローブ本体60の遠位端62において、水噴射を放出することができる。水噴射により、例えば外側組織層45を副噴射することができ、それにより、液体クッション65が外側組織層45の下方に形成され、この液体クッションは、組織44の下側組織層から外側組織層45を分離し、特に外側組織層45(
図1)の病理学的に修正された領域の切開を簡単にする。
【0062】
ウォータージェットプローブ本体は、操作装置20によって、伸張方向Rにハウジング21に対してシフト可能に配置される。電極16と同様に、ウォータージェットプローブ本体60の遠位端62の位置は、伸張方向Rで変化させることができる。この実施形態では、電極16の伸張方向Rおよびウォータージェットプローブ本体60の伸張方向Rは、それぞれの遠位端17または62に隣接するセクション内で少なくとも実質的に平行である。
【0063】
他の発明の態様とは無関係に実現できる1つの発明の態様では、操作装置20は、電極16が完全伸張位置Aにない場合のみ、好ましくは電極16が完全後退位置Eにある場合に、ウォータージェットプローブ本体60を伸張方向Rに伸張位置に向けて移動できるように構成される。
【0064】
図2および
図3に示す実施形態では、操作装置20は、ウォータージェットプローブ本体60をシフトさせるためのウォータージェットプローブ操作要素66を備える。ウォータージェットプローブ操作要素66は、電極操作要素23に隣接して配置される。ウォータージェットプローブ本体60が後退位置にある場合(
図1)、ウォータージェットプローブ操作要素66は初期位置IIIをとる。ウォータージェットプローブ操作要素66の初期位置IIIは、
図2および3に示されている。
【0065】
この実施形態では、ウォータージェットプローブ操作要素66は、電極操作要素23のシフト方向に平行な方向に、直線的にシフト可能にハウジング21上に支持される。電極操作要素23は、その第1の位置Iをとる場合、初期位置IIIにあるウォータージェットプローブ操作要素66のためのストッパを形成する。したがって電極16がその完全伸張位置Aにある場合、ウォータージェットプローブ操作要素66は、初期位置IIIから移動することができない。この状況を
図2に示す。
【0066】
電極操作要素23が第1の位置Iから外れた場合、例えば第2の位置IIにある場合にのみ、ウォータージェットプローブ操作要素66のための移動クリアランスが提供され、それによってウォータージェットプローブ操作要素を初期位置IIIから、したがってウォータージェットプローブ本体60を後退位置から伸張位置に移動させる(
図3)。したがって、
図2および
図3に示す操作装置20の実施形態では、ウォータージェットプローブ本体60は、電極16の後退と同時に、または電極16の後退の後に伸張され得る。
【0067】
本出願では、「後退する」および「伸張する」という表現は、(電極16に関連する)プローブ本体12、およびウォータージェットプローブ本体60に関連する共通の外側本体63またはハウジング21のことを言う。
【0068】
図4に示す代替実施形態では、ウォータージェットプローブ操作要素66は、ウォータージェットプローブ本体60を伸張させるか、または後退させるために、ウォータージェットプローブ本体60を電極操作要素23の位置とは無関係に移動させることができるように、第1の位置Iにある電極操作要素23まで十分な距離をとって初期位置IIIをとる。
【0069】
図5~
図7の図に基づいて、偏向装置69を実現するための異なる可能性が示されている。ハウジング21内に配置された偏向装置69は、ウォータージェットプローブ本体60を操作装置20の割り当てられた操作要素と結合するように構成され、それにより、ハウジング21の外部に配置されたウォータージェットプローブ本体60および操作要素の移動方向は、相反する。
【0070】
図5および
図6による実施形態では、偏向装置69は、ハウジング21の内部に配置されたウォータージェットプローブ本体60の近位端セクション70を約180°偏向するか、または曲げるように構成される。このために、偏向装置69は、例えば、内側半径で湾曲した内側偏向本体71と、外側半径で湾曲した外側偏向本体72とを備えることができ、これらの偏向本体間を、ウォータージェットプローブ本体60の近位端セクション70が湾曲案内式に延びる(
図5)。あるいは、偏向装置69は、例えば、近位端セクション70がそれを通って延びる、湾曲して延びる偏向チューブ73を備えることができる(
図6)。
【0071】
ハウジング21の内側に位置する近位端61において、ウォータージェットプローブ本体60は、ウォータージェットプローブ操作要素66に可動に結合され、この例によれば、不動にまたは剛性に接続される。したがって、ウォータージェットプローブ操作要素66の移動は、ウォータージェットプローブ本体60のシフトにつながる。これにより、偏向装置69に隣接して延びる近位端セクション70の各セクションは、反対方向に移動する。したがって、初期位置IIIからのウォータージェットプローブ操作要素66の移動により、例えば、ウォータージェットプローブ本体60の伸張運動を開始することができ、これとは逆に、ウォータージェットプローブ操作要素66の初期位置IIIに向かう方向に戻る移動により、ウォータージェットプローブ本体60の後退運動を開始することができる。
【0072】
そのような相反する移動は、例えば
図7に示すように、別のタイプの偏向装置69によってももたらされ得る。ここでは、偏向装置69は、2アームレバー74を備え、この2アームレバーは、その2つのアームの接続位置においてハウジング21上に枢動可能に支持され、一方のアームでウォータージェットプローブ操作要素66上に、他方のアームでウォータージェットプローブ本体60の近位端セクション70において支持される。2アームレバー74またはウォータージェットプローブ操作要素66は、初期位置IIIにおいて、ばねまたは別の弾性もしくはばね弾性ユニット77によって付勢され得る。2アームレバー74とウォータージェットプローブ本体60との間の接続は、2アームレバー74内の第3の溝75によって確立され、この第3の溝75内に、ウォータージェットプローブ本体60またはその近位端セクション70に不動にまたは剛性に配置された第3のスライディングブロック76が、係合する。また、この2アームレバー74により、相反する運動を実現することができ、それにより、ウォータージェットプローブ操作要素66の初期位置IIIからの移動は、ウォータージェットプローブ本体60の伸張運動につながり、逆の形では、初期位置IIIに戻る移動は、ウォータージェットプローブ本体60の後退運動をもたらす。
【0073】
ウォータージェットプローブ操作要素66の移動とウォータージェットプローブ本体60の移動との間の
図7による偏向装置69の伝達比は、1に等しくてもよく、あるいは選択的に1より小さくても1より大きくてもよい。例えば、伝達比は、2アームレバー74の2本のアームの長さによって選択することができる。
【0074】
図7による偏向装置69の実施形態では、別個のウォータージェットプローブ操作要素66を省略できる操作装置20の実施形態が、実現され得る。それにより、1つの単一の操作要素、およびこの例によれば電極操作要素23は、電極16を移動させると共にウォータージェットプローブ本体60を移動させるように構成され得る。
【0075】
図10~
図12に示す実施形態では、結合装置80が提供され、この結合装置によって、電極操作要素23と電極16との間の運動結合を確立し、接続解除することができる。結合装置80は、手動作動に合わせて構成され得る。結合位置Cでは、電極16と電極操作要素23との間に運動結合が存在し(
図10)、結合解除位置Dでは、電極操作要素23と電極16との間の運動結合が、無効にされる(
図11および
図12)。結合位置Cでは、操作可能な結合部材81と、電極16に不動にまたは剛性に接続された結合本体82との間に、圧力嵌めおよび/または形状嵌合接続を確立することができる一方で、この圧力嵌めおよび/または形状嵌合接続は、例えば結合部材81の位置変更により、結合解除位置Dでは中断される。弾性またはばね弾性要素83によって、結合部材81は、結合位置Cに付勢され得る。ばね弾性要素83は、例えば、一方の側で結合部材81上に、他方の側で電極操作要素23上に支持されたらせんばねであることができる。
【0076】
電極操作要素23により、電極16は、最初に、電極操作要素23が第1の位置Iから第2の位置IIに向かう方向に移動されるという点で、伸張位置Aから後退位置Eに向かう方向に移動され得る(
図10)。この移動の間、電極16は後退される。好ましくは、電極16は、電極操作要素23が偏向装置69、この例によれば2アームレバー74と接触する前に、完全後退位置Eに到達している。こうして、電極操作要素23は、ウォータージェットプローブ本体60の伸張運動が偏向装置69によってもたらされる前に、第2の位置IIをとることができる。電極16は既に完全に後退しているので、結合装置80は、電極操作要素23の第2の位置IIにおいて結合解除位置Dに切り替えられ、それによって電極操作要素23のさらなる移動が可能となる。第1の位置Iから離れ第2の位置IIを超えるこの継続的な移動中、電極操作要素23は、偏向装置69、この例によれば2アームレバー74と接触し、そうする際、ウォータージェットプローブ本体60の伸張運動を開始する(
図12)。
【0077】
ウォータージェットプローブ本体60の後退運動または電極16の伸張運動は、状況に応じて逆の順序で実施される。この実施形態では、ウォータージェットプローブ本体60は、偏向装置69の弾性またはばね弾性ユニット77によって後退位置に付勢され、電極操作要素23が偏向装置69と接触しなくなるか、または第2の位置IIに到達するとすぐにその後退位置をとる(
図11)。続いて、結合装置80を介した電極16と電極操作要素23との間の運動連結を再確立することができ、それによって第2の位置IIから第1の位置Iへの継続的な移動中に電極16の伸張が可能となる。
【0078】
この例によれば、結合装置80または結合本体82の実施形態が
図13および
図14に示されており、この実施形態では、結合部材81と結合本体82との間に形状嵌合接続を確立することができる。このため、結合部材81は、第1のセクション84および第2のセクション85を備えた貫通開口部を有する。第1のセクション84の寸法は大きく、それによって結合本体82と結合部材81との間に圧力嵌めまたは形状嵌合接続は確立されない。第2のセクション85は、第1のセクション84よりも狭く、2つのフィン86間または結合本体82の拡大セクション間に係合することができ、これらの2つのフィン86間では、結合装置80が結合位置Cをとると、結合部材81と結合本体82との間に形状嵌合接続が生成される。
【0079】
図13に示す断面では、結合本体82は、貫通穴の第1のセクション84内にあり、それにより、結合装置80は結合解除位置Dをとる。結合部材81の移動により、第2のセクション85を結合本体82のレベル(
図13では上部)にもっていき、形状嵌合および/または圧力嵌め結合を生成するために結合位置Cに切り替えることができる。
【0080】
図19は、ウォータージェットプローブ操作要素66が偏向装置69を介してウォータージェットプローブ本体60に可動に結合されている操作装置20の実施形態を示している。偏向装置69は、
図7の実施形態に従って構成され得る。電極操作要素23は、減速ギア25、この例によれば、
図2~
図4によるレバーギアを介して電極16と結合される。
【0081】
操作装置20のさらなる実施形態が
図20に示されており、この実施形態では、電極操作要素23は、電極16を移動させるだけでなく、ウォータージェットプローブ本体60を移動させるように構成される。電圧または電流を供給するために、電線91を介して電圧および/または電流源と電気的と接続することができる接触ばね90が、電極16の近位端セクション22に当接する。このような接触は、プローブ10の他のすべての実施形態でも使用することができる。
【0082】
電極操作要素23は、弾性またはばね弾性接続要素92を介して電極16の近位端セクション22に可動に結合される。このために、電極操作要素23は、接続要素92に、例えばハウジング21内に延びる横断部材88によって当接し、ここでは、接続要素92は、その反対側では、電極16の近位端セクション22に動かないように接続されたストッパ部材89上に支持される。接続要素92は、らせんばねなどによって形成され得る。
【0083】
加えて、偏向装置69は、電極操作要素23の運動をウォータージェットプローブ本体60の運動に伝えるために、ハウジング21の内部に存在する。偏向装置69および電極操作要素23によるウォータージェットプローブ本体60の操作は、
図10~
図12による実施形態に対応するため、上記の説明を参照することができる。また、
図20による実施形態では、電極16が最初に後退してから、ウォータージェットプローブ本体60の伸張運動が起こり、またはその逆も成立する。
【0084】
第3の溝75および第3のスライディングブロック76の代わりに、レバー74は、
図20による実施形態においてスリットを含み、このスリットを通って、ウォータージェットプローブ本体60の近位端セクション70は延びる。スリットに隣接して、ストッパ本体93が近位端セクション70に対して不動に近位端セクション70と接続され、ここでは、ストッパ本体93の寸法は、2アームレバー74内のスリットの寸法よりも大きい。また、この構成では、2アームレバー74は、ストッパ本体93を介してウォータージェットプローブ本体60の運動を開始することができる。
【0085】
図20による実施形態では、弾性的に変形可能な接続要素92が、結合装置80の代わりに存在する。電極操作要素23が、電極16が完全に後退する第2の位置IIをとるとすぐに、接続要素92は弾性的に変形され、それによって、電極操作要素23の継続的な移動を可能にして、偏向装置69との接触により、ウォータージェットプローブ本体60の移動を実施する。電極16は、例えば、ハウジング21もしくはプローブ本体12の一部に当接することができ、例えば、ストッパ部材89は、カウンタストッパ94に当接することができ、および/または拡大遠位端17が、末端部52に当接することができる(
図18)。電極16のさらなる後退運動は停止され、電極操作要素23の継続的な移動は、接続要素92の弾性変形につながる。電極操作要素23の第1の位置Iと第2の位置IIとの間の移動範囲内では、ウォータージェットプローブ本体60は後退位置に留まり、電極16のみが後退または伸張される。
【0086】
任意選択として、電極16の構成に応じて、調節可能なカウンタストッパ94をストッパ部材89に対して設けることができる。カウンタストッパ94の位置により、第2の位置IIを規定することができる。電極16がストッパに、例えばカウンタストッパ94にあるストッパ部材89および/または末端部52にある拡大遠位端17に当接するとすぐに(
図18)、電極16のさらなる後退運動は停止され、電極操作要素23の継続的な移動が、接続要素92の弾性変形につながる。カウンタストッパ94の位置を調整するために、例えば、回転可能な調整ねじ95を設けることができ、この調整ねじは、ねじ接続を介してカウンタストッパ94と結合され、回転中、電極操作要素23の移動方向に平行にカウンタストッパ94の位置を変える。
【0087】
図21は、操作装置20の別の任意選択の構成を示し、この構成は、回転機構99をさらに示し、この回転機構は、例えば電極16の遠位端17が非回転対称に構成される場合、電極16をそれ自体の長手方向軸または伸張軸周りで回転させることができるようにする。回転機構99は、回転軸X周りで回転可能な、好ましくは非円形の回転部材100、例えば非円形の内側断面を有するチューブと、好ましくは非円形の伸縮部材101、例えば挿入部材とを備えることができる。回転部材100および伸縮部材101は、伸縮自在にシフト可能であり、相互に耐トルク接続されている。例えば、伸縮部材101は、非円形の回転部材100に挿入可能であり、ここでは、伸縮部材101の断面は、チューブ形状の回転部材100の内部断面に実質的に対応することができる。チューブ形状回転部材100が回転軸Xを中心に回転する間、伸縮部材101も回転軸X周りで回転する。伸縮部材101は、さらに、電極16または近位端セクション22と耐トルク接続されている。
【0088】
回転部材100および/または伸縮部材101は、電極16を伸張し、後退させることができるように、回転軸Xに平行に、または回転軸Xに沿って伸縮自在にシフト可能に配置され得る。回転部材100は、ハウジング21上の操作要素と接続することができ、この操作要素は、外部から耐トルク式または操作式にアクセス可能である。
【0089】
第1の態様によれば、本発明は、組織44の電気外科的治療のためのプローブ10に言及する。プローブ本体12には、電極16が、電極チャネル15の伸張方向Rに可動に配置されている。プローブ本体12は、近位端14で操作装置20と接続される。プローブ本体12は、電極16を電極チャネル15に沿ってシフトさせるための電極操作要素23を備える。電極操作要素23と電極16との間の運動結合は、減速ギア25、例えばレバーギア26を介して確立される。本発明の別の独立した態様では、ラッチ装置35が提供され、このラッチ装置は、それぞれの場合においてプローブ本体12に対する電極16の所定の位置に対応する2つ、3つ、またはそれ以上の解放可能なラッチ位置を規定する。別の独立した発明の態様は、プローブ10が複合プローブまたはハイブリッドプローブとして構成され、プローブ本体12に実質的に平行に延び、操作装置20によって伸張方向Rに可動でありまたはシフト可能であるウォータージェットプローブ本体60を備えることである。そのようにする際、操作装置20は、電極16が後退されるか、既に完全後退位置Eをとる場合にのみ、ウォータージェットプローブ本体の伸張運動が可能であるように構成され得る。
【符号の説明】
【0090】
10 プローブ
11 内視鏡
12 プローブ本体
13 プローブ本体の遠位端
14 プローブ本体の近位端
15 電極チャネル
16 電極
17 電極の遠位端
20 操作装置
21 ハウジング
22 電極の近位端セクション
23 電極操作要素
24 係合開口部
25 減速ギア
26 レバーギア
27 レバー
28 枢動位置
29 第1の溝
30 第2の溝
31 第1のスライディングブロック
32 第2のスライディングブロック
35 ラッチ装置
36 ラッチ要素
37 ラッチカウンタ要素
38 ラッチ突出部
39 ラッチ凹部
40 ラッチ本体
41 弾性支持体
44 組織
45 外側組織層
48 付勢装置
49 付勢要素
50 第1の支持部
51 第2の支持部
52 末端部
60 ウォータージェットプローブ本体
61 ウォータージェットプローブ本体の近位端
62 ウォータージェットプローブ本体の遠位端
63 外側本体
64 供給ライン
65 液体クッション
66 ウォータージェットプローブ操作要素
69 偏向装置
70 ウォータージェットプローブ本体の近位端セクション
71 内側偏向本体
72 外側偏向本体
73 偏向チューブ
74 2アームレバー
75 第3の溝
76 第3のスライディングブロック
77 弾性またはばね弾性ユニット
80 結合装置
81 結合部材
82 結合本体
83 弾性またはばね弾性要素
84 貫通開口部の第1のセクション
85 貫通開口部の第2のセクション
86 フィン
88 横断部材
89 ストッパ部材
90 接触ばね
91 電線
92 接続要素
93 ストッパ本体
94 調整可能なカウンタストッパ
95 調整ねじ
99 回転機構
100 回転部材
101 伸縮部材
I 第1の位置
II 第2の位置
III 初期位置
A 完全伸張位置
b 操作経路
C 結合位置
D 結合解除位置
E 完全後退位置
F 付勢力
R 伸張方向
S 経路
X 回転軸