IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社プロスパイラの特許一覧

特許7487080防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置
<>
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図1
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図2A
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図2B
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図3
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図4A
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図4B
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図4C
  • 特許-防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/08 20060101AFI20240513BHJP
   B60G 7/02 20060101ALI20240513BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
F16F15/08 C
F16F15/08 K
B60G7/02
F16B5/07 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020196350
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084451
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 陽光
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-121150(JP,A)
【文献】実開平04-025013(JP,U)
【文献】特開2001-245427(JP,A)
【文献】実開昭61-032809(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
F16B 5/07
B60G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えている防振装置を得るための、防振装置の製造方法であって、
前記ストッパに設けられた弾性部材の一部として軸線方向一方側に延在している位置決め突起の、少なくとも膨出部に、固化の後に前記位置決め突起の変形によって剥離可能な被覆部を形成する被覆剤を塗布する工程と、
前記被覆剤の固化の後に、前記位置決め突起の前記膨出部を前記ブラケットに形成された位置決め孔に押し込んで当該膨出部を前記ブラケットに対して抜け止めさせる工程と、を含んでいる、防振装置の製造方法。
【請求項2】
前記被覆剤は、防錆剤である、請求項1に記載された、防振装置の製造方法。
【請求項3】
前記位置決め突起の全体に、前記被覆剤を塗布する、請求項1又は2に記載された、防振装置の製造方法。
【請求項4】
内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えている防振装置に用いられる、防振装置の前記ストッパであって、
前記ストッパは、開口部が形成されている剛体部材と、弾性部材と、を備えており、
前記弾性部材は、前記剛体部材を被覆しているストッパ本体と、前記ストッパ本体に連なっている位置決め突起と、を備えており、
前記位置決め突起は、前記ストッパ本体の一部として軸線方向一方側に延在しているとともに前記ブラケットに形成された位置決め孔を貫通可能な軸部と、前記軸部の先端に連なって前記ブラケットに対する抜け止めとなる膨出部と、少なくとも当該膨出部の表面に設けられているとともに前記位置決め突起の変形によって剥離可能な被覆部と、を備えている、防振装置のストッパ。
【請求項5】
前記被覆部は、防錆剤によって形成されている、請求項4に記載された、防振装置のストッパ。
【請求項6】
内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、
前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、
前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えており、
前記ブラケットには、軸線方向に貫通している位置決め孔が形成されており、
前記ストッパは、開口部が形成されている剛体部材と、弾性部材と、を備えており、
前記弾性部材は、前記剛体部材を被覆しているストッパ本体と、前記ストッパ本体に連なっている位置決め突起と、を備えており、
前記位置決め突起は、前記ストッパ本体の一部として軸線方向一方側に延在しているとともに前記位置決め孔を貫通している軸部と、前記軸部の先端に連なって前記ブラケットに対して抜け止めされている膨出部と、当該膨出部の表面のうちの一部のみに設けられているとともに前記位置決め突起の変形によって剥離可能な被覆部と、を備えている、防振装置。
【請求項7】
前記被覆部は、防錆剤によって形成されている、請求項6に記載された防振装置。
【請求項8】
前記被覆部は、前記膨出部の軸線方向一方側表面上に位置している、請求項6又は7に記載された防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防振装置には、ブラケットに形成された位置決め孔(組付孔)に、ストッパ本体(ゴムストッパ)に設けた位置決め突起(挿通部)を押し込んで、当該位置決め突起の膨出部(鍔部)がブラケットに対して抜け止めされることによって、ストッパ本体と、ブラケットと、が組み付けられた防振マウントがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-121150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の防振装置は、位置決め突起がゴムであるため、当該ゴムの硬度が低く柔らかすぎる場合には、変形が大きく、位置決め突起の膨出部を前記位置決め孔に押し込んで圧入するときの圧入性(挿入性)が悪化することが懸念される。その一方で、位置決め突起に潤滑剤を塗布すれば、挿入性は改善される。ところが、潤滑剤を用いた場合、位置決め突起を引き抜くために必要となる力(以下、「抜け力」ともいう。)も低下することが懸念される。即ち、従来の防振装置には、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さを抑制するものではなかった。
【0005】
本発明の目的は、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された防振装置を得るための、防振装置の製造方法、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された、防振装置のストッパ、及び、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された、防振装置、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、防振装置の製造方法は、内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えている防振装置を得るための、防振装置の製造方法であって、前記ストッパに設けられた弾性部材の一部として軸線方向一方側に延在している位置決め突起の、少なくとも膨出部に、固化の後に剥離可能な被覆剤を塗布する工程と、前記被覆剤の固化の後に、前記位置決め突起の前記膨出部を前記ブラケットに形成された位置決め孔に押し込んで当該膨出部を前記ブラケットに対して抜け止めさせる工程と、を含んでいる。本発明に係る、防振装置の製造方法によれば、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された防振装置を得ることができる。
【0007】
本発明に係る、防振装置の製造方法において、前記被覆剤は、防錆剤であることが好ましい。この場合、作業性及びコスト性に優れた防振装置の製造方法となる。
【0008】
本発明に係る、防振装置の製造方法は、前記位置決め突起の全体に、前記被覆剤を塗布することが好ましい。この場合、作業性及びコスト性により優れた防振装置の製造方法となる。
【0009】
本発明に係る、防振装置のストッパは、内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えている防振装置に用いられる、防振装置の前記ストッパであって、前記ストッパは、開口部が形成されている剛体部材と、弾性部材と、を備えており、前記弾性部材は、前記剛体部材を被覆しているストッパ本体と、前記ストッパ本体に連なっている位置決め突起と、を備えており、前記位置決め突起は、前記ストッパ本体の一部として軸線方向一方側に延在しているとともに前記ブラケットに形成された位置決め孔を貫通可能な軸部と、前記軸部の先端に連なって前記ブラケットに対する抜け止めとなる膨出部と、少なくとも当該膨出部の表面に設けられているとともに剥離可能な被覆部と、を備えている。本発明に係る、防振装置のストッパは、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制される。
【0010】
本発明に係る、防振装置のストッパにおいて、前記被覆部は、防錆剤によって形成されていることが好ましい。この場合、製造性及びコスト性に優れた防振装置のストッパとなる。
【0011】
本発明に係る防振装置は、内筒と、外筒と、前記内筒と前記外筒とを連結する弾性本体と、を備える防振本体と、前記防振本体の軸線方向一方側に配置されているブラケットと、前記防振本体と前記ブラケットとの間に配置されているストッパと、を備えており、前記ブラケットには、軸線方向に貫通している位置決め孔が形成されており、前記ストッパは、開口部が形成されている剛体部材と、弾性部材と、を備えており、前記弾性部材は、前記剛体部材を被覆しているストッパ本体と、前記ストッパ本体に連なっている位置決め突起と、を備えており、前記位置決め突起は、前記ストッパ本体の一部として軸線方向一方側に延在しているとともに前記位置決め孔を貫通している軸部と、前記軸部の先端に連なって前記ブラケットに対して抜け止めされている膨出部と、少なくとも当該膨出部の表面に設けられているとともに剥離可能な被覆部と、を備えている。本発明に係る防振装置によれば、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制される。
【0012】
本発明に係る防振装置において、前記被覆部は、防錆剤によって形成されていることが好ましい。この場合、製造性及びコスト性に優れた防振装置となる。
【0013】
本発明に係る防振装置において、前記被覆部は、前記膨出部の軸線方向一方側表面上に位置していることが好ましい。この場合、被覆部を、例えば、位置決め突起がブラケットに対して抜け止めされた状態のままで取り扱っても、ブラケットとストッパとは容易に分離することがないことの、目印として視認させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された防振装置を得るための、防振装置の製造方法と、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された、防振装置のストッパ、及び、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された、防振装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る防振装置を示す断面図であって、当該防振装置の内筒を車両のボディに取り付ける一方、当該防振装置の外筒をサスペンションメンバに取り付けた状態で示す断面図である。
図2A図1の防振装置に用いられたストッパを下側から示す斜視図である。
図2B図2Aのストッパを上側から示す斜視図である。
図3図1の防振装置に用いられているブラケットを上側から示す斜視図である。
図4A図1のブラケット及びストッパを固定するための工程を説明する拡大断面図であって、ストッパに設けた位置決め突起をブラケットに形成した位置決め孔に挿入する直前の状態を示す断面図である。
図4B図1のブラケット及びストッパを固定するための工程を説明する拡大断面図であって、ストッパに設けた位置決め突起がブラケットに形成した位置決め孔に押し込まれている状態を示す断面図である。
図4C図1のブラケット及びストッパを固定するための工程を説明する拡大断面図であって、ストッパに設けた位置決め突起の膨出部がブラケットによって抜け止めされた状態を示す断面図である。
図5図1の防振装置に用いられている、ストッパブラケットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、防振装置の製造方法、防振装置のストッパ及び防振装置について説明をする。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係る防振装置1を示す。この例では、防振装置1は、車両用のサスペンションブッシュである。サスペンションメンバ30は、防振装置1を介して車両のボディ40に取り付けられる。
【0018】
図1は、防振装置1の軸線Оを含む平面を断面として示している。以下の説明では、軸線Оが延在する方向を軸線方向という。また、以下の説明では、周方向とは、軸線Oの周りに延在している方向をいう。
【0019】
また、本発明において、軸線方向一方側とは、図1における、軸線方向に沿った図面上側及び図面下側のいずれか一方側をいうが、以下の説明では、軸線方向に沿って図面下側に向かう側(以下、「下側」ともいう。)を軸線方向一方側とし、軸線方向に沿って図面上側に向かう側(以下、「上側」ともいう。)を軸線方向他方側とする。
【0020】
さらに、以下の説明では、軸線方向に対して直交する方向を軸直方向という。また、以下の説明では、軸線Oに向かう側を軸直方向内側とし、軸線Oから離れる側を軸直方向外側とする。
【0021】
図1を参照すれば、防振装置1は、防振本体1Aを備えている。防振本体1Aは、内筒2と、外筒3と、内筒2と外筒3とを連結する弾性本体4と、を備えている。
【0022】
内筒2は、軸線方向に延在する貫通孔A2を有している。貫通孔A2には、後述するように、ボルトシャフト15aを貫通させることができる。本実施形態において、内筒2は、貫通孔A2が形成された筒状部材である。本実施形態では、内筒2は、円筒部材である。ただし、内筒2は、貫通孔A2が形成された筒状部材であれば、円筒部材に限定されない。
【0023】
外筒3は、内筒2の少なくとも一部を周方向に取り囲むように配置されている。本実施形態において、外筒3は、軸線方向に延在している胴部3aを備えている。胴部3aの内側には、軸線方向に延在している貫通孔が形成されている。前記貫通孔には、軸線Oを同軸として、内筒2を配置することができる。また、本実施形態では、外筒3は、軸直方向外側に延在する上側端部3bを備えている。本実施形態では、上側端部3bは、胴部3aの上端部を形成しており、周方向に全周にわたって環状に延在している。
【0024】
弾性本体4は、弾性材料によって形成されている。弾性本体4は、内筒2と外筒3との間に配置されている。弾性本体4は、内筒2と外筒3とを連結している。
【0025】
また、防振装置1は、ブラケット5を備えている。ブラケット5は、防振本体1Aの軸線方向一方側に配置されている。
【0026】
また、防振装置1は、ストッパ6を備えている。ストッパ6は、防振本体1Aとブラケット5との間に配置されている。
【0027】
本実施形態では、ボディ40が防振装置1よりも上側に配置されるものであり、後述するとおり、下側から上側に向かってねじ付ける構成であることから、ブラケット5は、防振本体1Aの下側に配置されている。ただし、例えば、ボディ40が防振装置1よりも下側に配置されるものであり、本実施形態とは反対に、上側から下側に向かってねじ付ける構成である場合、ブラケット5は、防振本体1Aの上側に配置することができる。
【0028】
また、ブラケット5には、軸線方向に貫通している位置決め孔A1が形成されている。
【0029】
ブラケット5にはさらに、開口部A5が形成されている。開口部A5には、後述するように、ボルトシャフト15aを貫通させることができる。本実施形態において、ブラケット5は、プレート部材である。ブラケット5は、車両のフレームとすることができる。
【0030】
一方、ストッパ6は、開口部A6が形成されている剛体部材7と、弾性部材8と、を備えている。
【0031】
剛体部材7は、剛性材料によって形成された部材である。ここで、剛性材料とは、力の作用によって変形し難い材料をいう。本実施形態では、前記剛性材料は、金属材料である。金属材料の具体例としては、アルミニウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼などの鋼が挙げられる。開口部A6には、後述するように、ボルトシャフト15aを貫通させることができる。
【0032】
弾性部材8は、剛体部材7を被覆しているストッパ本体9と、ストッパ本体9に連なっている位置決め突起10と、を備えている。
【0033】
位置決め突起10は、ストッパ本体9の一部として軸線方向一方側に延在しているとともに位置決め孔A1を貫通している軸部11と、軸部11の先端に連なってブラケット5に対して抜け止めされている膨出部12と、少なくとも当該膨出部12の表面に設けられているとともに剥離可能な被覆部13と、を備えている。
【0034】
弾性部材8は、弾性材料によって形成されている。本実施形態では、ストッパ本体9と位置決め突起10とは、前記弾性材料によって一体的に成形されている。具体的には、ストッパ本体9は、剛体部材7の上下両面に形成されている。位置決め突起10は、ストッパ本体9の、剛体部材7の下面に形成された部分に連なっている。本実施形態では、前記弾性材料は、ゴムである。
【0035】
本実施形態では、ストッパ6は、ブラケット5に対して固定されている。本実施形態では、ストッパ6の位置決め突起10をブラケット5の位置決め孔A1に圧入することによって、ストッパ6をブラケット5に対して固定している。本実施形態では、ブラケット5と、ストッパ6とは、後述するように、ブラケット5とストッパ6とを備えている、ストッパブラケット1Bとして構成されている。
【0036】
本実施形態に係る防振装置1は、上述のとおり、サスペンションメンバ30を車両のボディ40に連結させる。
【0037】
本実施形態では、防振装置1は、外筒3によってサスペンションメンバ30に取り付けられる。本実施形態では、防振本体1Aは、サスペンションメンバ30の取付部31を貫通する。本実施形態では、外筒3は、取付部31に対する押込みによって圧入される。さらに、本実施形態では、防振本体1Aは、外筒3の上側端部3bによって取付部31に対して抜け止めされる。
【0038】
また、本実施形態では、防振装置1は、ボルト15によってボディ40に取り付けられる。ボルト15は、ボルトシャフト15aと、ボルトヘッド15bと、下側押えフランジ15cとを備えている。
【0039】
ボルトシャフト15aは、防振装置1を貫通している。ボルトシャフト15aには、ねじが形成されている(図示省略)。本実施形態では、ボルトシャフト15aは、ボディ40に対して上側にねじ込むことができる。また、本実施形態では、ボルトヘッド15bは、下側押えフランジ15cを介してボルトシャフト15aの後端に連なっている。本実施形態では、ボルト15の下側押えフランジ15cは、ブラケット5の開口部A5よりも大きい。これによって、ブラケット5は、ボルト15の下側押えフランジ15cによって軸線方向上側に押さえられている。
【0040】
本実施形態では、ストッパ6は、ブラケット5上に固定されていることから、ボルト15を上側にねじ込むことによって、ブラケット5とともに上側に移動させることができる。さらに本実施形態では、ストッパ6は、防振本体1Aとブラケット5との間に配置されていることから、ボルト15を上側にねじ込むことによって、防振本体1Aの下端部に接触させることができる。本実施形態では、ストッパ6の剛体部材7は、防振本体1Aの内筒2の下端2e2と接触させることができる。
【0041】
一方、本実施形態では、防振本体1Aの上端部は、ボディ40に設けられた位置決め部41に接触させることができる。本実施形態では、位置決め部41には、内筒2の上端2e1を接触させることができる。
【0042】
本実施形態では、ボルト15を上側にねじ込むことによって、ストッパブラケット1Bを上側に移動させることができる。ストッパブラケット1Bが上側に移動することによって、ストッパ6の剛体部材7は、内筒2の下端2e2と接触させることができる。これによって、防振本体1Aは、ストッパブラケット1Bとともに上側に移動させることができる。一方、本実施形態では、ストッパブラケット1Bがさらに上側に移動することによって、内筒2の上端2e1は、ボディ40に設けられた位置決め部41に接触させることができる。これによって、本実施形態において、防振装置1Aは、ボルト15のねじ込みによって、ボディ40とストッパブラケット1Bとの間に固定することができる。
【0043】
つぎに、本発明の一実施形態に係る、防振装置の製造方法について説明をする。
【0044】
本実施形態に係る、防振装置の製造方法は、図1の防振装置1を得るための、防振装置の製造方法である。本実施形態に係る製造方法は、ストッパ6に設けられた弾性部材8の一部として軸線方向一方側に延在している位置決め突起10の、少なくとも膨出部12に、固化の後に剥離可能な被覆剤Cを塗布する工程と、被覆剤Cの固化の後に、位置決め突起10の膨出部12をブラケット5に形成された位置決め孔A1に押し込んで当該膨出部12をブラケット5に対して抜け止めさせる工程と、を含んでいる。
【0045】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、防振装置の製造方法について、さらに詳細に説明をする。
【0046】
本実施形態に係る、防振装置の製造方法は、防振装置1を得るための製造方法である。防振装置1は、ボルト15によって各部材がサスペンションメンバ30とともにボディ40に固定されることによって形成されている。本実施形態に係る、防振装置の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程との、3つの工程を含む。さらに、第1工程は、第1工程Aと、第1工程Bとの、2つの工程をさらに含む。
【0047】
[第1工程]
本実施形態において、第1工程は、ストッパブラケット組付工程である。第1工程では、ストッパ6をブラケット5に固定してストッパブラケット1Bを形成する。本実施形態では、第1工程はさらに、第1工程Aと、第1工程Bとの、2つの工程を含む。
【0048】
(第1工程A)
第1工程Aは、位置決め突起10に被覆部13を設ける被覆処理工程(被覆剤塗布工程)である。第1工程Aでは、ストッパ6に設けられた弾性部材8の一部として軸線方向一方側に延在している位置決め突起10の、少なくとも膨出部12に、固化の後に剥離可能な被覆剤Cを塗布する。
【0049】
被覆剤Cは、固化によって位置決め突起10に被覆部13を形成する。被覆部13は、位置決め突起10の変形によって剥離させることができる。
【0050】
具体的には、被覆剤Cとして、固化の後に、位置決め突起10を形成している弾性材料に対して追従性が乏しく、当該弾性材料の変形によって剥離可能な被覆剤を用いる。本実施形態では、位置決め突起10は、ゴムによって形成されていることから、被覆剤Cとして、固化の後に、ゴムに対して追従性が乏しく、当該ゴムの変形によって剥離可能な被覆剤を用いている。
【0051】
本実施形態に係る、防振装置の製造方法では、被覆剤Cは、防錆剤が好ましい。こうした防錆剤としては、例えば、水溶性防錆塗料がある。本実施形態に係る、第1工程Aでは、被覆剤Cとして、水溶性防錆塗料を用いている。これによって、本実施形態では、被覆部13は、水溶性防錆塗料を、例えば、スプレー塗装することによって形成することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る、防振装置の製造方法では、位置決め突起10の全体に、被覆剤Cを塗布することが好ましい。
【0053】
ここで、図2Aは、ストッパ6を下側から示す斜視図である。また、図2Bは、ストッパ6を上側から示す斜視図である。ストッパ6は、本発明の一実施形態に係る、防振装置のストッパである。図2A及び図2Bのドットハッチング(ドット模様)で示すように、第1工程Aでは、被覆剤Cは、ストッパ6の外表面の全体に塗布されている。
【0054】
(第1工程B)
第1工程Bは、位置決め突起10を位置決め孔A1に固定するための組付け工程(抜け止め工程)である。第1工程Bでは、第1工程Aが終了した、被覆剤Cの固化の後に、位置決め突起10をブラケット5に形成された位置決め孔A1に押し込んで当該膨出部12をブラケット5に対して抜け止めさせる。
【0055】
図3は、ブラケット5を上側から示す斜視図である。本実施形態では、ブラケット5は、ディスク状のプレートである。本実施形態では、ブラケット5は、2つの位置決め孔A1を有している。2つの位置決め孔A1は、ストッパ6の位置決め突起10に対応する位置に形成されている。本実施形態では、2つの位置決め突起10は、ブラケット5の中央に形成された開口部A5を挟んで軸直方向に対向する位置に形成されている。
【0056】
ここで、図4Aは、位置決め突起10を位置決め孔A1に挿入する直前の状態を示す。図4Aに示すように、位置決め突起10を挿入する前は、位置決め突起10は、被覆部13を備えている。
【0057】
次いで、図4Bは、位置決め突起10が位置決め孔A1に押し込まれている状態を示す。図4Bに示すように、位置決め突起10の膨出部12を位置決め孔A1に押し込むとき、被覆部13は、ブラケット5と接触する。これによって、位置決め突起10の膨出部12は、被覆部13を介して位置決め孔A1に対して滑らかに圧入させることができる。即ち、本実施形態において、被覆部13は、潤滑剤として機能する。このため、位置決め突起10に被覆部13を設けて位置決め孔A1に挿入すれば、位置決め突起10を、被覆部13を介することなく、直接位置決め孔A1に圧入する場合に比べて、ブラケット5とストッパ6との組み付け易さを向上させることができる。
【0058】
また、図4Cは、位置決め突起10の膨出部12がブラケット5によって抜け止めされた状態を示す。図4Cに示すように、位置決め突起10の膨出部12が位置決め孔A1に圧入されると、膨出部12は、位置決め孔A1を貫通してブラケット5の下側から突出(露出)する。これによって、位置決め突起10の膨出部12は、ブラケット5に対して抜け止めされる。
【0059】
したがって、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、ストッパ6がブラケット5に固定(仮組み)されることによって、図5に示すように、ストッパ6とブラケット5とを備えるストッパブラケット1Bを形成することができる。ストッパブラケット1Bは、防振装置1として組付けられる前の、ストッパ6とブラケット5とが仮組みされた1つの部材として取り扱うことができる。
【0060】
特に、被覆部13は、図4Bに示すように、位置決め突起10の膨出部12を位置決め孔A1に押し込んで圧入するときに、位置決め突起10の変形によって剥離させることができる。このため、図4Cに示すように、膨出部12がブラケット5に抜け止めされた後には、圧入中には潤滑剤と同様の機能をしていた被覆部13は、圧入中に生じる位置決め突起10の変形によって当該位置決め突起10から剥がれた状態となる。したがって、位置決め突起10の圧入が完了した後には、位置決め突起10に潤滑剤を塗布した場合に比べて、位置決め突起10はブラケット5に対して強固に抜け止めされる。即ち、本実施形態に係る製造方法によれば、位置決め突起10を引き抜くために必要な抜け力は、潤滑剤を塗布した場合に比べて大きくなる。このため、位置決め突起10の膨出部12がブラケット5に対して抜け止めされれば、ストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制される。
【0061】
したがって、本実施形態に係る、第1工程によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制された、ストッパブラケット1Bを容易に得ることができる。
【0062】
[第2工程]
本実施形態において、第2工程は、サスペンション側組付工程である。第2工程では、防振本体1Aをサスペンションメンバ30に取り付ける。本実施形態では、例えば、上述のとおり、防振本体1Aをサスペンションメンバ30の取付部31に押し込んで圧入する。これによって、図1に示すように防振本体1Aをサスペンションメンバ30に取り付けることができる。
【0063】
[第3工程]
本実施形態において、第3工程は、ボディ側組付工程である。第3工程では、図1に示すように、防振本体1Aをストッパブラケット1Bとともにボディ40に取り付ける。本実施形態では、第3工程は、例えば、サスペンションメンバ30に取り付けられた防振本体1Aをボディ40の位置決め部41に位置合わせる工程と、ストッパブラケット1Bを防振本体1Aの下端部(弾性本体4)に当てて、ボルトシャフト15aを防振本体1Aに通す工程と、ボルト15を締めて、防振装置1をサスペンションメンバ30とともにボディに固定する工程を含むことができる。
【0064】
本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、ブラケット5とストッパ6とを固定するとき、ストッパ6に設けられた位置決め突起10に、固化の後に剥離可能な被覆剤Cを塗布し、当該被覆剤Cの固化の後に、位置決め突起10の膨出部12をブラケット5に形成された位置決め孔A1に押し込んで当該膨出部12をブラケット5に対して抜け止めするだけの容易な作業によって、ストッパ6をブラケット5に固定させることができる。また、被覆部13は、圧入中に生じる位置決め突起10の変形によって当該位置決め突起10から剥がれるため、ストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制される。このため、ストッパブラケット1Bのように、ブラケット5とストッパ6とを固定したままで取り扱っても、ブラケット5とストッパ6とは容易に分離することがない。
【0065】
即ち、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制されるように、ブラケット5とストッパ6とを組付けることができる。したがって、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制されるように、防振装置1を製造することができる。このように、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制された防振装置を得ることができる。
【0066】
特に、本実施形態に係る、第1工程によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制されるように、ブラケット5とストッパ6とを組付けることができる。したがって、本実施形態に係る、第1工程によれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制されるように、ストッパブラケット1Bを製造することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、被覆剤Cは、防錆剤である。この場合、ストッパ6の製造にあたり、被覆部13は、剛体部材7に、水溶性防錆塗料などの既存の防錆剤を塗布するのに併せて、当該防錆剤を位置決め突起10に塗布することによって形成することができる。これによって、被覆部13を形成する作業工程を製造時における既存の作業工程に含めることができる。また、これによって、被覆部13を形成する材料と製造時に用いられる既存の材料との共通化を図ることができる。したがって、この場合、作業性及びコスト性に優れた製造方法となる。
【0068】
また、本実施形態に係る、防振装置の製造方法によれば、図2A等を参照して説明をしたとおり、位置決め突起10の全体に、被覆剤Cを塗布する。この場合、例えば、被覆剤Cとして防錆剤を使用する場合、剛体部材7に被覆剤Cを塗布すると同時に当該被覆剤Cを位置決め突起10に塗布することによって、剛体部材7の防錆部と位置決め突起10の被覆部13とを一連の作業で一括に形成することができる。また、この場合、位置決め突起10に対して被覆剤Cを塗り分ける必要がない。さらに、この場合、被覆剤Cを塗り分ける必要がないことで、マスキングテープなどが不要となる。したがって、この場合、作業性及びコスト性により優れた製造方法となる。
【0069】
また、図2A等に示すように、ストッパ6は、開口部A6が形成されている剛体部材7と、弾性部材8と、を備えている。弾性部材8は、剛体部材7を被覆しているストッパ本体9と、ストッパ本体9に連なっている位置決め突起10と、を備えている。位置決め突起10は、ストッパ本体9の一部として軸線方向一方側に延在しているとともにブラケット5に形成された位置決め孔A5を貫通可能な軸部11と、軸部11の先端に連なってブラケット5に対する抜け止めとなる膨出部12と、少なくとも当該膨出部12の表面に設けられているとともに剥離可能な被覆部13と、を備えている。
【0070】
上述のように、本実施形態に係るストッパ6によれば、容易な作業によってストッパ6をブラケット5に固定させることができるとともに、位置決め突起10がブラケット5に対して抜け止めされた状態のままで、ストッパブラケット1Bとして取り扱っても、ブラケット5とストッパ6とは容易に分離することがない。即ち、ストッパ6を用いてブラケット5に固定すれば、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制される。したがって、ストッパ6は、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制されるように、防振装置を製造するときの使用に適している。このように、本実施形態に係る、防振装置のストッパによれば、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された防振装置を得ることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、剛体部材7の少なくとも一部、より具体的には、剛体部材7の外周寄りの部分を被覆している。具体的には、ストッパ本体9は、剛体部材7の中央に形成された開口部A6を周方向に全周にわたって取り囲むように環状に設けられている。ただし、ストッパ本体9の形状は、適宜変更することができる。
【0072】
また、ストッパ6において、被覆部13は、防錆剤によって形成されている。この場合、水溶性防錆塗料などの既存の防錆剤を用いることができることによって、製造性及びコスト性に優れた防振装置のストッパとなる。
【0073】
また、ストッパ6において、被覆部13は、位置決め突起10の全体に形成されている。この場合、製造性及びコスト性により優れた防振装置のストッパとなる。
【0074】
また、本実施形態に係る防振装置1によれば、位置決め突起10が被覆部13を介して位置決め孔A1に押し込まれることでストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつ、その押込みによって被覆部13が位置決め突起10から剥がれることでストッパ6とブラケット5との分離し易さが抑制される。特に、本実施形態では、位置決め突起10には、例えば、被覆部13の一部が残存している。この場合、被覆部13は、例えば、上述のように、位置決め突起10がブラケット5に対して抜け止めされた状態のままで、ストッパブラケット1Bとして取り扱っても、ブラケット5とストッパ6とは容易に分離することがないことの、目印として視認させることができる。また、この場合、位置決め突起10に残存する被覆部13は、位置決め突起10の全体に対して僅かであるため、当該被覆部13が一部残存していても、位置決め突起10に潤滑剤を塗布した場合に比べて、潤滑剤として機能する影響は小さい。したがって、被覆部13が一部残存している防振装置1において、ブラケット5とストッパ6とを仮組みした状態から分解し、再度組み付けを行った場合でも、ストッパ6とブラケット5との組み付けが容易で、位置決め突起10の圧入が完了した後には、位置決め突起10に潤滑剤を塗布した場合に比べて、位置決め突起10はブラケット5に対して強固に抜け止めされる。このように、本実施形態に係る、防振装置のストッパによれば、ストッパとブラケットとの組み付け易さを向上させつつストッパとブラケットとの分離し易さが抑制された防振装置を得ることができる。
【0075】
また、被覆部13が残存する場合、被覆部13は、膨出部12の軸線方向一方側表面上に位置していることが好ましい。
【0076】
図4Cを参照すれば、本実施形態に係る防振装置1において、膨出部12の表面f2は、下側表面f21と、上側表面f22と、によって形成されている。本実施形態では、膨出部12の軸直方向寸法は、下側表面f21と上側表面f22との間で最大である。本実施形態では、被覆部13は、下側表面f21に残存している。
【0077】
下側表面f21は、下側に向かうにしたがって軸直方向内側に縮小させることができる。本実施形態では、下側表面f21は、下側端面f21aと、当該下側端面f21aに向かうにしたがって先細りしている第1傾斜面f21bとによって形成されている。この場合、被覆部13は、下側端面f21aと第1傾斜面f21bとの、少なくとも一方に残存させていてもよい。好ましくは、図4Cに示すように、被覆部13は、膨出部12の下側端面f21aに残存させる。この場合、被覆部13は、例えば、下側端面f21aに設けられた装飾として視認させることができる。これによって、被覆部13を目立たなくすることができる。また、下側端面f21aは、面ではなく、点(下側端点)とすることができる。さらに、下側表面f21は、下側に向かって突出しているドーム状表面とすることができる。
【0078】
上側表面f22は、下側に向かうにしたがって軸直方向外側に拡大させることができる。図4Cを参照すれば、本実施形態では、上側表面f22は、下側に向かうにしたがって先太りしている第2傾斜面によって形成されている。また、上側表面f22は、軸直方向に対して平行に軸直方向外側に延在させることができる。この場合、上側表面f22は、ブラケット5に面接触することによって、下側表面f21の裏に隠すことができる。
【0079】
本実施形態では、被覆部13は、位置決め突起10を押し込むときにブラケット5に対して最初に接触する膨出部12の下側表面f21に残存していることから、位置決め突起10を位置決め孔A1に対して滑らかに圧入させることができている。また、被覆部13は、膨出部12の下側表面f21以外に残存していないことから、位置決め突起10はブラケット5に対してより強固に抜け止めされている。したがって、本実施形態では、被覆部13を、膨出部12の下側表面f21に残存させたことによって、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつ、ストッパ6とブラケット5との分離し易さがより抑制される。
【0080】
また、本実施形態に係る防振装置1において、被覆部13は、防錆剤によって形成されている。この場合、製造性及びコスト性に優れた防振装置となる。
【0081】
また、本実施形態に係る防振装置1において、被覆部13は、膨出部12の下側表面f21上に位置している。この場合、ストッパ6とブラケット5との組み付け易さを向上させつつ、ストッパ6とブラケット5との分離し易さがより抑制される。
【0082】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、上述の実施形態では、防振装置1は、ボルト15によって車両のボディ40に固定するが、ボディ40に固定する方法は、これに限定されるものではない。防振装置1は、例えば、ボディ40に設けたねじシャフトを貫通孔A2に通し、当該ねじシャフトにねじ付けられたナットによって、ボディ40に固定することができる。また、防振装置1は、その軸線方向一方側端がボルト15を通してボディ40に固定されることによって形成されるものに限定されてない。例えば、防振装置1は、ボディ40を他のブラケットに代えて、ボディ40と別体に構成することができる。
【符号の説明】
【0083】
1:防止装置, 1A:防振本体, 1B:ストッパブラケット, 2:内筒, 3:外筒, 4:弾性本体, 5:ブラケット, 6:ストッパ, 7:剛体部材, 8:弾性部材, 9:ストッパ本体, 10:位置決め突起, 11:軸部, 12:膨出部, 13:被覆部, 15:ボルト, 30:サスペンションメンバ, 40:ボディ, A1:位置決め孔, C:被覆剤, O:防振装置の軸線
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5