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特許7487089組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)処置
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  • 特許-組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)処置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)処置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020210001
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021102051
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】16/726,301
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/024123(WO,A1)
【文献】国際公開第95/018649(WO,A1)
【文献】特開2007-244857(JP,A)
【文献】特表2010-540177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/32
A61B 18/12
A61B 5/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)装置であって、
予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成するように構成された、パルス生成器と、
前記IREパルスの一部を、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換することと、前記ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされた前記IREパルスのうちのいくつかを含む出力信号を生成することと、前記出力信号を心臓組織に印加するために、前記出力信号を患者の心臓内のプローブに出力することと、を行うように構成された整形回路と、を備える、装置。
【請求項2】
前記IREパルスの前記形状及び前記繰返し率を指定することと、
前記ペーシングパルスの前記周波数及び前記振幅を指定することと、
1つ以上の前記IREパルスの数及び1つ以上の前記ペーシングパルスの数を指定することによって、インターリーブされた前記出力信号を指定することと、を行うように構成された、プロセッサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記整形回路は、前記IREパルスの予め指定された形状を修正するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記整形回路は、構成可能なプロトコルに従って、前記IREパルスを前記ペーシングパルスとインターリーブするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、アブレーションと組み合わされた電気解剖学的マッピングに関し、特に心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓組織をペーシングして不整脈の発生源を特定し、続いてその組織をアブレーションすることは、特許文献において、以前に提案された。例えば、米国特許第9,987,081号は、エレクトロポレーションアブレーション治療のためのシステム、装置、及び方法を記載しており、当該システムは、医療用アブレーション治療のためのパルス波形信号生成器を備える。医療用アブレーション治療は、組織へのアブレーションパルス送達のための少なくとも1つの電極を含むアブレーション装置に連結されてもよい。信号生成器は、予め決定されたシーケンスのパルス波形の形態で、アブレーション装置に対し、電圧パルスを生成して送達してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、使用中に心臓刺激のためのペーシング信号を生成するように構成された心臓刺激器を備えてもよい。心臓刺激器は、信号生成器に通信可能に連結されてもよく、ペーシング信号の指示を信号生成器に送信するように更に構成されてもよい。信号生成器のプロセッサは、ペーシング信号の指示に同期してパルス波形を生成するように更に構成されてもよく、この場合、同期は、予め決定されたオフセットを含んでもよい。他の実施形態では、処置の方法は、心臓を心臓刺激器で電気的にペーシングして、ペーシング捕捉が心臓サイクルの周期性及び予測性を確立することを確実にしてから、心臓サイクルの不応期中のタイムウインドウを定めることを含んでもよい。当該タイムウインドウ中に、1つ以上のパルス化されたアブレーション波形が送達されてもよい。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2018/0042674号は、多電極カテーテルの電極対のサブセットを選択することを含む方法を記載しており、多電極カテーテルは、心臓の一部分の周囲に配置されるように構成されている。ペーシング信号は、心臓に動作可能に連結されるように構成された、ペーシングリード線に伝達される。心臓の機能に関連する心電図信号は、電極コントローラのフィードバックモジュールで受信される。一実施形態では、ペーシング信号又は心電図信号のうちの少なくとも1つに関連するタイムウインドウ中に、パルス化された電圧波形が、シーケンシャルパターンに従って電極対のサブセットに送達され、パルス化された電圧波形は、分極パルスが続くプリ分極パルスを含み、プリ分極パルスは、コンデンサバンクの放電をスイッチオンすることによって生成される電圧スパイクを利用することによって生成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一例示的実施形態は、パルス生成器及び整形回路を含む、心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)装置を提供する。パルス生成器は、予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成するように構成されている。整形回路は、IREパルスの一部を、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換することと、ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされたIREパルスのうちのいくつかを含む出力信号を生成することと、出力信号を心臓組織に印加するために、出力信号を患者の心臓内のプローブに出力することと、を行うように構成されている。
【0005】
いくつかの例示的実施形態では、装置は、(a)IREパルスの形状及び繰返し率を指定することと、(b)ペーシングパルスの周波数及び振幅を指定することと、(c)1つ以上のIREパルスの数及び1つ以上のペーシングパルスの数を指定することによって、インターリーブされた出力信号を指定することと、を行うように構成された、プロセッサを更に備える。
【0006】
いくつかの例示的実施形態では、整形回路は、IREパルスの予め指定された形状を修正するように更に構成されている。
【0007】
一例示的実施形態では、整形回路は、構成可能なプロトコルに従って、IREパルスをペーシングパルスとインターリーブするように構成されている。
【0008】
本発明の別の例示的実施形態によれば、心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)パルスを印加する方法が、更に提供され、当該方法は、予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成することを含む。IREパルスの一部は、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換されて、ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされたIREパルスのうちのいくつかを含む出力信号が生成される。出力信号を心臓組織に印加するために、出力信号は、患者の心臓内のプローブに出力される。
【0009】
いくつかの例示的実施形態では、印加する方法は、プロセッサを使用して、IREパルスの形状及び繰返し率を指定することを更に含む。ペーシングパルスの周波数及び振幅が、指定される。1つ以上のIREパルスの数及びRF信号の1つ以上の周期の数を指定することによって、インターリーブされた出力信号が、指定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示的実施形態による、組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)システムの概略描画図である。
図2】本発明の例示的実施形態による、図1のシステムの組み合わされたペーシング及びIREパルス生成器の概略ブロック図である。
図3】本発明の例示的実施形態による、図1のシステムを使用する組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)の方法を概略的に図示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
正常な心臓洞調律からの変化として定義される心不整脈は、以下「不整脈惹起性位置」と称する、心臓組織のそれぞれ異なる部分から発生する場合があるか、又はこれによって伝達される場合がある。不整脈惹起性位置を探す1つの可能な方法は、双極電気信号を使用して、患者の心臓組織表面上の選択された位置を電気的に刺激することである。カテーテル上の電極対を使用して行ってもよいこのような刺激は、刺激された位置を不整脈惹起性の病巣又は経路として特定するための1つ以上の基準を満たす、心電図(electrocardiogram、ECG)信号パターンを誘発してもよい。上記の侵襲性診断手順は、「ペーシング」と呼ばれる。
【0012】
特定された不整脈惹起性位置の処置は、例えば、当該位置を不可逆的エレクトロポレーション(IRE)することによって行われる。これは、問題の不整脈を低減又は除去すると考えられる、標的の組織細胞を死滅させる高電界を生成するものである。しかしながら、1つには心臓の動きに起因して、ペーシングをした後に正確に同じ位置にIRE処置を施すことは、困難であるおそれがある。更にその上、例えば、両方の手順のための単一のカテーテルを使用して、ペーシング及びその後のIRE処置の間に同じ位置を維持することが十分に達成される場合であっても、電圧要件が異なることが理由で、2つの異なるセットの駆動エレクトロニクス(例えば、生成器)が、依然として必要とされる。
【0013】
以下で説明される本発明の例示的実施形態は、心臓ペーシングパルスとIREパルスとの組み合わされた生成及び印加を使用して、所与の心臓組織位置において、実質的に同時にかつ/又は連続的に、不整脈の診断用ペーシング及びIRE処置を実行するための、組み合わされた技術を提供する。IREについての高電圧要件は、キロボルトの範囲となる場合があるのに対して、IREについての電力要件は、小さく、数十ミリワットの範囲である。したがって、IREパルス生成及びペーシングの両方のための回路のうちの多くは、同一であってもよく、唯一の違いは、パルスのシーケンス及び振幅であり得る。
【0014】
開示される技術では、1つ以上のペーシングパルスを1つ以上のIREパルスとインターリーブすることによって、ペーシングパルス及びIREパルスのシーケンスが、実質的に同時に、同じ組織位置に印加される。いくつかの例示的実施形態では、パルス生成器及び整形回路を備える、心臓ペーシング及びIRE処置装置が提供される。パルス生成器は、予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成するように構成されている。整形回路は、IREパルスの一部を、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換することと、ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされたIREパルスのうちのいくつかを含む出力信号を生成することと、出力信号を心臓組織に印加するために、出力信号を患者の心臓内のプローブに出力することと、を行うように構成されている。プロセッサは、ペーシングパルスのみ、IREパルスのみ、又は、M≧1、N≧1でインターリーブされたM個のIREペーシングパルス及びN個のIREパルスRFAを印加するように、出力波形を変化させてもよい。カテーテルは、患者の心臓に挿入されて、出力信号を心臓組織に印加するように構成されている。
【0015】
シーケンスの他の特性は、生成器を、例えば、IREパルスの形状及び繰返し率、並びにペーシング周波数などのペーシングパラメータを制御するプロセッサを介して構成することができる。例えば、IREについては、生成器は、マイクロ秒オーダーの典型的なパルス幅の、最大4kVのピーク・ツー・ピーク電圧を有する二相パルスを生成することができる。ペーシングについては、生成器は、毎分数百サイクルの範囲で、最大数ボルトのピーク電圧を有するパルスを生成することができる。
【0016】
典型的には、プロセッサは、プロセッサが、上で概略を述べたプロセッサ関連ステップ及び機能の各々を実施することを可能にする、特定のアルゴリズムを含むソフトウェアにプログラム化されている。
【0017】
開示される組み合わされたペーシング及びIRE技術は、不整脈の侵襲的処置の臨床結果を改善し得、同時に、手順を実行する医師が経験する作業負荷を低減し得る。
【0018】
システムの説明
図1は、本発明の例示的実施形態による、組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)システム20の概略描画図である。システム20は、実質的に任意の電気生理学的(electrophysiological、EP)パラメータ又はそのようなパラメータの組み合わせを刺激し、かつ解析するように構成されてもよい。この目的のために、システム20のコンソール46は、プローブ24を介して患者26の心臓34内の心臓組織に織り交ぜられたペーシング/IRE波形を生成し、かつ印加する、組み合わされたペーシング/IREパルス生成器33を含む。
【0019】
本明細書において、例として、解析される信号は、心内及び/又は心外(体表面)ECGの電位-時間関係であると想定される。そのような関係を完全に特性化するために、様々な位置において、時間内に相互に信号を参照する(例えば、局所活性化時間(local activation time、LAT)マップを生成する間に行われるなどの)必要がある。時間参照は、ECG基準信号のそれぞれのQRS群の最初(すなわち、心拍毎の最初)などの、基準時間(例えば、インスタンス)と比較して行われる測定によって実現される。LATマップを生成するための方法は、前述の米国特許第9,050,011号に記載されている。
【0020】
以下の説明では、システム20は、ペーシング及びIREプローブ24を使用して心臓34を刺激する(すなわち、ペーシングする)。システム20は、プローブ24自体及び/又は追加のプローブ14を使用して、心臓34の得られた電気的活動を測定する。プローブ24の遠位端32は、電極22を有すると想定される。測定した信号は、特に、心臓34の壁組織の少なくとも一部のLATマップを作成するために使用される。
【0021】
典型的には、プローブ24は、システム20を使用する医師28によって実施されるマッピング手順の間に患者26の身体内に挿入されるマッピングカテーテルを備える。インセット25において見られるように、図1で具象化される手順は、組み合わされたペーシング及びIREパルス生成器33を使用する、ペーシングのため(すなわち、EP刺激のため)、及び不整脈惹起性として見出される組織部位のIRE処置のために、プローブ24のM1-M2双極電極対の構成を使用する。一例示的実施形態では、カテーテルは、心臓内電気生理学的信号を取得するように更に構成されている。
【0022】
手順中、患者26は、接地電極(すなわち、接地パッチ)23に取り付けられると想定される。加えて、電極29が、心臓34の領域にて患者26の皮膚に取り付けられると想定される。
【0023】
システム20は、メモリ44と通信する処理ユニット42を備える、システムプロセッサ40によって制御される。いくつかの例示的実施形態では、システムプロセッサ40に含まれているメモリ44が、患者26の心臓34の壁組織の少なくとも一部のEPマップ62を記憶する。プロセッサ40は、典型的にはコンソール46内に載置されており、コンソール46は、(a)全てのカテーテルが接続する患者インターフェースユニット43と、(b)プロセッサと相互作用するために医師28によって使用される、典型的にはマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイス39を含む操作制御部38を有するワークステーションと、を備える。
【0024】
プロセッサ40(具体的には処理ユニット42)は、プローブ追跡モジュール30と、不整脈分析モジュールを含むECGモジュール36と、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)35と、を備えるソフトウェアを実行して、例えば、不整脈の発生源を特定してそれらをIREで処置するために、システム20を操作し、かつ/又は図3に記載される開示される心臓ペーシング及びIRE処置のワークフローからの結果を(メモリ44に記憶されているEPマップ62を使用して)グラフィカルに分析し、かつ提示する。
【0025】
一例示的実施形態では、ECGモジュール36は、電極22及び電極29からの電気信号を受信するように連結されている。モジュールは、電気信号を分析するように構成され、ディスプレイ48上に、標準的なECG形式で、典型的には、時間と共に変動するグラフ式表現で、分析の結果を提示することができる。
【0026】
プローブ追跡モジュール30は、典型的には、患者26の心臓内で、プローブ24の遠位端32の位置を追跡する。追跡モジュールは、当該技術分野において既知であるいかなるプローブ位置追跡方法を使用してもよい。例えば、モジュール30は、磁場に基づく位置追跡サブシステムを操作し得る。(簡潔性のために、このようなサブシステムの構成要素は図1には示していない)。
【0027】
代替的に又は追加的に、追跡モジュール30は、電極23と電極22との間のインピーダンス、並びに、プローブ上に位置し得る他の電極に対するインピーダンスを測定することによって、プローブ24を追跡してもよい。(この場合には、電極22は、ECG信号及び位置追跡信号の両方を提供してもよい。)Biosense Webster(Irvine,California)により製造されるCarto3(登録商標)システムは、磁場位置追跡及びインピーダンス測定の両方を位置追跡に使用する。
【0028】
プロセッサ40は、追跡モジュール30を使用して遠位端32の位置を測定することができる。加えて、追跡モジュール30及びECGモジュール36の両方を使用することによって、プロセッサは、遠位端の位置だけでなく、これらの特定の位置において検出される電気信号のLATも測定することができる。
【0029】
プロセッサ40によって実行される操作の結果は、ディスプレイ48上で医師28に提示され、ディスプレイ48は、典型的には、医師に対するグラフィックユーザインターフェース、電極22によって検知されるECG信号の視覚的表現、及び/又は調査されている間の心臓34の画像若しくはマップを提示する。一実施形態では、GUI 35は、特定された不整脈が発生したか又は伝播したマップ上の1つ以上の位置で更新されたEPマップを、医師に提示する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、プロセッサ40に電子形態でダウンロードすることができるか、又は、ソフトウェアは、代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体で提供し、かつ/又は記憶できる。
【0030】
心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)の、組み合わされた生成
図2は、本発明の例示的実施形態による、図1のシステムの組み合わされたペーシング及びIREパルス生成器33の概略ブロック図である。図示される例示的実施形態では、生成器33は、両方ともプロセッサ40によって構成可能であり、かつ制御される、IREパルス生成器50と、ペーシング/IRE波形整形器及びインターリーブ器55と、を備える。
【0031】
見られるように、IREパルス生成器50は、IREのための予め定められた波形の高電圧二相パルスのシーケンス52を生成する。
【0032】
以下「ペーシング/IRE波形整形器及びインターリーブ器55」とも称する、整形回路55は、入力シーケンス52を、例えば、N=10のペーシングパルスでインターリーブされたM=2のIRE形状パルスを含む、出力波形のインターリーブされたペーシング/IREシーケンス57に変換する。
【0033】
ペーシング/IRE波形整形器及びパルスインターリーブ器55は、パルス整形器回路及び波形インターリーブ回路を含む。二相パルス整形器回路は、シーケンス52のIREパルスを、ペーシングパルスに必要な形状及び繰返し率に修正するように構成されている。典型的には、生成器33は、波形電圧をIREパルスの高電圧領域からペーシングパルスの低電圧領域に変換するための、強化絶縁型増幅器などの電気素子を備える。
【0034】
パルス整形器は、パルスのそれぞれ異なる立ち上がり時間及び立ち下がり時間を生成し得る、コンデンサのアレイを含んでもよい。最終的に、波形インターリーブ器は、カテーテル24に送達されるIRE入力とペーシングパルスとの間でスイッチングするためのスイッチング回路を含む。
【0035】
図2で示される例示的な構成は、単純に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。代替的な実施形態では、開示される技術は、任意の他の好適なパルス生成及び整形スキームを使用してもよい。
【0036】
組み合わされた心臓ペーシング及びIRE処置
図3は、本発明の例示的実施形態による、図1のシステムを使用する組み合わされた心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)の方法を概略的に図示したフロー図である。
【0037】
提示される例示的実施形態によるアルゴリズムは、医師28がカテーテル挿入ステップ70において心臓34にカテーテル24を挿入すること、で開始するプロセスを実行する。次に、医師28は、プロトコル選択ステップ72において、例えば、組織に与えられることとなる組み合わされたペーシング/IRE波形を有する、予め定められたプロトコルを選択する。上述のように、医師28は、例えば、予備的診断を開始するために、ペーシング信号のみで始まるように選択してもよい。
【0038】
予備的診断セッションが終了したことと、医師28が図2の波形57で示されるものなどのペーシング及びIREパルスの混合したものを印加するように選択することと、を前提として、医師28は、インターリーブされたシーケンスの選択ステップ74において、例えば、選択されたプロトコルによって指定される通りの、IRE/RFA波形のインターリーブされたシーケンスを指定する。例えば、医師30は、上記で定めたように、{M=15,N=3}シーケンスを選択してもよい。
【0039】
次に、カテーテル位置決めステップ76において、医師30は、カテーテル24を操作して、カテーテル24の電極M1-M2と、肺静脈口の組織などの組織との間の接触を確立する。次に、医師28は、ペーシング/IRE印加ステップ78において、ペーシング/IREパルスの選択されたインターリーブされたシーケンスを組織に印加する。
【0040】
処置の直後、ペーシング/IRE印加後診断ステップ80において、カテーテル24の電極M1-M2を診断用電極として使用して、医師28は、処置ステップ78が分離をどの程度達成したかチェックするために、電位図を取得する。医師が、チェックステップ82において、十分な分離が達成されたと認める場合、医師30は、カテーテル引戻しステップ84において、患者の身体からカテーテルを除去する。分離が十分ではない場合、医師28は、ステップ76に折り返して、カテーテルを再位置決めしてセッションを継続してもよい。
【0041】
本明細書に記載された例示的実施形態は、主として心臓用途に対処するものであるが、本明細書に記載された方法及びシステムはまた、様々な他の医療用途において用いることができる。
【0042】
したがって、上で説明される実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上で具体的に図示及び説明されるものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれる文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)装置であって、
予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成するように構成された、パルス生成器と、
前記IREパルスの一部を、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換することと、前記ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされた前記IREパルスのうちのいくつかを含む出力信号を生成することと、前記出力信号を心臓組織に印加するために、前記出力信号を患者の心臓内のプローブに出力することと、を行うように構成された整形回路と、を備える、装置。
(2) 前記IREパルスの前記形状及び前記繰返し率を指定することと、
前記ペーシングパルスの前記周波数及び前記振幅を指定することと、
1つ以上の前記IREパルスの数及び1つ以上の前記ペーシングパルスの数を指定することによって、インターリーブされた前記出力信号を指定することと、を行うように構成された、プロセッサを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記整形回路は、前記IREパルスの予め指定された形状を修正するように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記整形回路は、構成可能なプロトコルに従って、前記IREパルスを前記ペーシングパルスとインターリーブするように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 心臓ペーシング及び不可逆的エレクトロポレーション(IRE)パルスを印加する方法であって、前記方法は、
予め指定された形状及び繰返し率のIREパルスを生成することと、
前記IREパルスの一部を、予め指定された周波数及び振幅のペーシングパルスに変換して、前記ペーシングパルスのうちのいくつかとインターリーブされた前記IREパルスのうちのいくつかを含む出力信号を生成することと、
前記出力信号を心臓組織に印加するために、前記出力信号を患者の心臓内のプローブに出力することと、を含む、方法。
【0044】
(6) プロセッサを使用して、
前記IREパルスの前記形状及び前記繰返し率を指定することと、
前記ペーシングパルスの前記周波数及び前記振幅を指定することと、
1つ以上の前記IREパルスの数及びRF信号の1つ以上の周期の数を指定することによって、インターリーブされた前記出力信号を指定することと、を行うことを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記IREパルスの前記予め指定された形状を修正することによって、前記IREパルスを整形することを含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記IREパルスを前記ペーシングパルスとインターリーブすることは、構成可能なプロトコルに従って実行される、実施態様5に記載の方法。
図1
図2
図3