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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】保護素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/76 20060101AFI20240513BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240513BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H01H37/76 F
H01H37/76 K
H02H7/18
H02J7/00 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020219150
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104131
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】氷見山 潤平
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057492(JP,A)
【文献】特開2016-062649(JP,A)
【文献】特許第4095426(JP,B2)
【文献】特開2017-073288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 87/00
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
前記第1端子にそれぞれ接続する第2端子及び第3端子と、を備え、
前記第1端子と前記第3端子とを接続するヒューズエレメントの少なくとも一部は、前記第1端子と前記第2端子とを接続するヒューズエレメントよりも電気抵抗が高く、
前記第1端子は、充放電可能な電源と接続し、
前記第2端子は、充電ラインと接続し、
前記第3端子は、放電ラインと接続する、保護素子。
【請求項2】
さらに、中間電極を備え、
前記第1端子と前記中間電極とを接続する第1ヒューズエレメントと、
前記第2端子と前記中間電極とを接続する第2ヒューズエレメントと、
前記第3端子と前記中間電極とを接続する第3ヒューズエレメントと、を有し、
前記第3ヒューズエレメントは、前記第2ヒューズエレメントよりも電気抵抗が高い、請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
さらに、中間電極を備え、
前記第2端子と前記中間電極は直結し、
前記第1端子と前記中間電極とを接続する第1ヒューズエレメントと、
前記第3端子と前記中間電極とを接続する第3ヒューズエレメントと、を有し、
前記第3ヒューズエレメントは、前記第1ヒューズエレメントよりも電気抵抗が高い、請求項1に記載の保護素子。
【請求項4】
さらに、第4端子を備え、前記第4端子は、発熱体を介して前記中間電極と接続している、請求項2または3に記載の保護素子。
【請求項5】
電源と、
前記電源に接続された請求項1~のいずれか一項に記載の保護素子を備える、電子機器。
【請求項6】
前記電源の電圧を検出する制御デバイスと、
前記検出された電圧に基づいて、前記電源に過充電が発生した場合に作動するスイッチを備える、請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電源は、リチウムイオン二次電池又はキャパシタである、請求項またはに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
保護素子として、回路基板に定格を超える過電流が通電したときにヒューズエレメント自体が発熱して溶断することによって電流経路を遮断させる構成のものが知られている。また、保護素子として、内部に発熱体(ヒーター)を有し、過電流の発生以外の異常時には、発熱体に電流を通電させることによって、発熱体を発熱させ、その熱を利用してヒューズエレメントを溶断させる構成のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、直列接続された第1ヒューズエレメントおよび第2ヒューズエレメントと、第1ヒューズエレメントと第2ヒューズエレメントとの間に接続された発熱体とを有する保護素子が開示されている。この保護素子は、第1ヒューズエレメントおよび第2ヒューズエレメントに過電流が流れたときに、第1ヒューズエレメントが第2ヒューズエレメントよりも先に遮断されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-92085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モバイル機器のような出力電圧が20V以下の機器の電源において、ヒューズを使用して、例えば、UL2054(バッテリーパックの規格)規定されている制限電源(LPS:Limited Power Source)の要件に適合させるためには、放電側に定格電流値が5A以下のヒューズを使用する必要があり、そのためにはヒューズの抵抗値を高く(5.0mΩ以上)する必要がある。一方、昨今のモバイル機器では、急速充電のニーズも増えてきており、急速充電の場合には充電電流値が5A以上と高い電流を流すので、ヒューズの抵抗値を1.0mΩ以下にする必要がある。すなわち、LPSの要件への適合と急速充電のニーズに対応するためには、相反する保護素子の特性が要求される。この相反する要求を両立する方法としては、充電端子と放電端子を分離して、充電時は相対的に低抵抗のヒューズエレメントを用いた発熱体付き保護素子を使用し、放電時は相対的に高抵抗のヒューズエレメントを用いた保護素子を使用すること、すなわち二種類以上の保護素子を使用する方法がある。しかしながら二種類以上の保護素子を使用することは、回路のサイズが大きくなるなどの問題はあった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電時には相対的に低い電流値でも電流経路を遮断でき、充電時には相対的に高い電流値でも電流経路を遮断せずに急速充電が可能となる保護素子を提供することにある。また、そのような保護素子と電源を備えたモバイル機器に代表される電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0008】
(1)本発明の一態様に係る保護素子は、第1端子と、前記第1端子にそれぞれ接続する第2端子及び第3端子と、を備え、前記第1端子と前記第3端子とを接続するヒューズエレメントの少なくとも一部は、前記第1端子と前記第2端子とを接続するヒューズエレメントよりも電気抵抗が高い。
【0009】
(2)上記(1)に記載の態様において、さらに、中間電極を備え、前記第1端子と前記中間電極とを接続する第1ヒューズエレメントと、前記第2端子と前記中間電極とを接続する第2ヒューズエレメントと、前記第3端子と前記中間電極とを接続する第3ヒューズエレメントと、を有し、前記第3ヒューズエレメントは、前記第2ヒューズエレメントよりも電気抵抗が高い構成としてもよい。
(3)上記(1)に記載の態様において、さらに、中間電極を備え、前記第2端子と前記中間電極は直結し、前記第1端子と前記中間電極とを接続する第1ヒューズエレメントと、前記第3端子と前記中間電極とを接続する第3ヒューズエレメントと、を有し、前記第3ヒューズエレメントは、前記第1ヒューズエレメントよりも電気抵抗が高い構成としてもよい。
(4)上記(2)または(3)に記載の態様において、さらに、第4端子を備え、前記第4端子は、発熱体を介して前記中間電極と接続している構成としてもよい。
(5)上記(1)~(4)に記載の態様において、前記第1端子は、充放電可能な電源と接続し、前記第2端子は、充電ラインと接続し、前記第3端子は、放電ラインと接続する構成としてもよい。
【0010】
(6)本発明の一態様に係る電子機器は、電源と、前記電源に接続された上記(1)~(5)に記載の保護素子を備える。
(7)上記(6)記載の態様において、前記電源の電圧を検出する制御デバイスと、前記検出された電圧に基づいて、前記電源に過充電が発生した場合に作動するスイッチを備える構成としてもよい。
(8)上記(6)または(7)に記載の態様において、前記電源は、リチウムイオン二次電池又はキャパシタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放電時には相対的に低い電流値でも電流経路を遮断でき、充電時には相対的に高い電流値でも電流経路を遮断せずに急速充電が可能となる保護素子を提供することが可能となる。また、本発明によれば、上記の保護素子と電源を備えたモバイル機器に代表される電子機器を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る保護素子を備えた電子機器の電源部の回路図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る保護素子の一例を示す平面図である。
図3図2に示す保護素子の底面図である。
図4図2に示す保護素子のIV-IV線断面図である。
図5図2に示す保護素子のV-V線断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る保護素子の別の一例を示す平面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る保護素子を備えた電子機器の電源部の回路図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る保護素子の一例を示す平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る保護素子の別の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る保護素子の実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、位置、数、比率、種類、大きさ、形状等について、変更、省略、追加、置換、その他の変更が可能である。特に問題のない限り、各例における好ましい特徴や条件を、互いに共有してもよい。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る保護素子を備えた電子機器の電源部の回路図である。電子機器は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータなどのモバイル機器やデジタルカメである。
図1に示すように、保護素子1は第1端子10と、第2端子20と、第3端子30と、第4端子40と、中間電極50と、を備える。第1端子10、第2端子20、第3端子30及び第4端子40は、第1端子10と第3端子30とが対向し、第2端子20と第4端子40とが対向するように配置されている。
【0015】
第1端子10は、第1ヒューズエレメントを介して中間電極50と接続している。また、第1端子10は、電子機器に備えられた電源60と接続している。電源60は、充放電可能とされている。電源60としては、例えば、二次電池、キャパシタを用いてもよい。本実施形態では、電源60としては、リチウムイオン二次電池を用いている。
【0016】
第2端子20は、中間電極50と直結している。よって、第1端子10と第2端子20とを接続するヒューズエレメントは、第1ヒューズエレメント15となる。第1ヒューズエレメント15は、定格電流値が10A以上であることが好ましく、15A以上30A以下の範囲内にあることがより好ましい。また、第1ヒューズエレメント15は、抵抗値が1.0mΩ以下であることが好ましく、0.15mΩ以上0.6mΩ以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0017】
第3端子30は、第3ヒューズエレメント35を介して中間電極50と直結している。よって、第1端子10と第2端子20とを接続するヒューズエレメントは、第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35となる。第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とを直列で接続したときの電気抵抗は、第1ヒューズエレメント15よりも高くなるように設定されている。また、第3ヒューズエレメント35は、第1ヒューズエレメント15よりも電気抵抗が高くなるように設定されている。第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とを直列で接続したときの定格電流値は、5A以下であることが好ましく、1A以上5A以下の範囲内にあることが好ましい。また、第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とを直列で接続したときの電気抵抗値は、5mΩ以上20Ω以下の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
第2端子20は、電子機器の充電ラインと接続している。電源60の充電時は、第1端子10、第1ヒューズエレメント15、中間電極50、第2端子20を通って電流が流れる。よって、電源60の充電時において過電流が通電したときは、第1ヒューズエレメント15が発熱して溶断することによって電流経路が遮断される。一方、第3端子30は、電子機器の放電ラインと接続している。電源60の放電時は、第1端子10、第1ヒューズエレメント15、中間電極50、第3ヒューズエレメント35、第3端子30を通って電流が流れる。よって、電源60の放電時において過電流が通電したときは、第3ヒューズエレメント35が発熱して溶断することによって電流経路が遮断される。
【0019】
また、第4端子40は、発熱体45を介して中間電極50と接続されている。第4端子40は、放電ラインと接続されている。第4端子は、電子機器に備えられたスイッチ61と接続されている。スイッチ61は制御デバイス62と接続されている。制御デバイス62は、電源60の電圧を検出し、検出された電圧に基づいて、例えば電源60に過充電などの異常が生じた場合には、スイッチ61を作動させる。これにより、第4端子に電流が供給され、発熱体45が発熱する。発熱体45の熱が中間電極50に伝わることによって、第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とが溶断される。
【0020】
保護素子1では、第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とを直列で接続したときの電気抵抗は、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなるように設定されている。このため、放電時の定格電流値を充電時の定格電流値よりも相対的に低くできるので、放電時の安全性を確保できる。一方、充電時の定格電流値を放電時の定格電流値よりも相対的に高くできるので、充電時には相対的に放電時よりも高い電流値で電源60を充電でき、急速充電が可能となる。また、過電流の発生以外の異常時においては、発熱体45を発熱させることによって電流経路を遮断できるので、より高い安全性を確保することができる。
【0021】
次に、図2~5を参照して、本実施形態に係る保護素子1の構成例を説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る保護素子の一例を示す平面図である。図3は、図2に示す保護素子の底面図である。図4は、図2に示す保護素子のIV-IV線断面図である。図5は、図2に示す保護素子のV-V線断面図である。
【0022】
図2図5に示す保護素子1aは、基板70と、基板70に備えられた第1端子10と、第2端子20と、第3端子30と、第4端子40と、中間電極50と、を有する。基板70は平面視で四角形であり、第1端子10と第3端子30とが対向し、第2端子20と第4端子40とが対向するように、それぞれ基板70の各辺に備えられている。
【0023】
第1端子10は、基板表面70aに備えられている第1表面電極11aと、基板裏面70bに備えられている第1裏面電極11bと、第1表面電極11aと第1裏面電極11bとを接続する第1スルーホール12とから構成されている。同様に、第2端子20は、第2表面電極21aと、第2裏面電極21bと、第2スルーホール22とから構成されている。第3端子30は、第3表面電極31aと、第3裏面電極31bと、第3スルーホール32とから構成されている。第4端子40は、第4表面電極41aと、第4裏面電極41bと、第4スルーホール42とから構成されている。なお、第4端子は、第4裏面電極41b単体として、第4表面電極41aと第4スルーホール42は省略することが可能である。
【0024】
中間電極50は、基板70の基板表面70aに備えられている。中間電極50は、第2端子20の第2表面電極21aと直結している。中間電極50は、第1端子10と第3端子30との間を通るように延長されている。中間電極50は、第3端子30と中間電極50との間の距離Lが、第1端子10と中間電極50との間の距離Lよりも長くなる位置に配置されている。
【0025】
第1端子10と中間電極50とを接続する第1ヒューズエレメント15と、第3端子30と中間電極50とを接続する第3ヒューズエレメント35とは連結して、一つのヒューズ連結体71を構成している。ヒューズ連結体71は導電性接続材料72で接続されている。
【0026】
第4端子40の第4裏面電極41bは発熱体45の一方の端部と接続されている。発熱体の他方の端部は、第2端子20の第2裏面電極21bと接続されている。発熱体45は、絶縁層46で被覆されている。
【0027】
基板70の材料としては、絶縁性を有するものであれば特に制限されず、例えば、セラミックス基板やガラスエポキシ基板のようなプリント配線基板に用いられる基板の他、ガラス基板、樹脂基板、絶縁処理金属基板等を用いることができる。なお、これらの中で、耐熱性に優れ、熱良伝導性の絶縁基板であるセラミックス基板が好適である。
【0028】
第1端子10、第2端子20、第3端子30、第4端子40及び中間電極50の材料としては、例えば、銀、銅、タングステン、またはこれらの金属を含む合金などを用いることができる。ヒューズ連結体71の材料としては、従来からヒューズ材料として使用されている種々の低融点金属を用いることができる。低融点金属の例としては、SnSb合金、BiSnPb合金、BiPbSn合金、BiPb合金、BiSn合金、SnPb合金、SnAg合金、PbIn合金、ZnAl合金、InSn合金、PbAgSn合金等を挙げることができる。導電性接続材料72としては、例えば、はんだ材を用いることができる。
【0029】
発熱体45の材料としては、例えば、高抵抗導電性材料を用いることができる。高抵抗導電性材料としては、ニクロム、W、Mo、Ru等又はこれら金属を含む材料を用いることができる。絶縁層46の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。
【0030】
保護素子1aにおいて、放電時に過電流が通電したときは、ヒューズ連結体71の第3ヒューズエレメント35が発熱して溶断することによって電流経路を遮断させる。また、充電時に過電流が通電したときは、ヒューズ連結体71の第1ヒューズエレメント15が発熱して溶断することによって電流経路を遮断させる。さらに、過電流の発生以外の異常時には、第4端子に電流が供給され、発熱体45が発熱する。発熱体45の熱が第2端子20の第2裏面電極21bに伝わって、その熱が第2スルーホール22と第2表面電極21aを介して中間電極50に伝わることによって、第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とが溶断される。
【0031】
保護素子1aでは、ヒューズ連結体71の第3端子30と中間電極50との間の距離Lが、第1端子10と中間電極50との間の距離Lよりも長いので、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗は、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子1aは、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0032】
図6は、本発明の第1実施形態に係る保護素子の別の一例を示す平面図である。
図6に示す保護素子1bは、上記の保護素子1aと以下の点において相違し、その他の点において共通する。このため、保護素子1bと保護素子1aとで共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
(1)第1端子10と中間電極50とを接続する第1ヒューズエレメント15と、第3端子30と中間電極50とを接続する第3ヒューズエレメント35とが分離している点。
(2)中間電極50が第1端子10と第3端子30の中間の位置に配置されている点。
(3)第3ヒューズエレメント35の幅Wが、第1ヒューズエレメント15の幅Wよりも狭い点。
【0033】
保護素子1bでは、第3ヒューズエレメント35の幅Wが、第1ヒューズエレメント15の幅Wよりも狭いことによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗が、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子1bは、保護素子1aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0034】
図7は、本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図7に示す保護素子1cは、上記の保護素子1aと以下の点において相違し、その他の点において共通する。このため、保護素子1cと保護素子1aとで共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
(1)第1端子10と中間電極50とを接続する第1ヒューズエレメント15と、第3端子30と中間電極50とを接続する第3ヒューズエレメント35とが分離している点。
(2)中間電極50が第1端子10と第3端子30の中間の位置に配置されている点。
(3)第1ヒューズエレメント15及び第3ヒューズエレメント35がそれぞれヒューズエレメント片73から形成されていて、第1ヒューズエレメント15は、複数(図7においては3個)のヒューズエレメント片73で構成されているのに対して、第3ヒューズエレメント35は、1つのヒューズエレメント片73で構成されている点。
【0035】
保護素子1cでは、第3ヒューズエレメント35を構成するヒューズエレメント片73の数が、第1ヒューズエレメント15を構成するヒューズエレメント片73の数よりも少ないことによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗を、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くしている。このため、保護素子1cは、保護素子1aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。なお、図7においては、第1ヒューズエレメント15を構成するヒューズエレメント片73の数が3個であるが、ヒューズエレメント片73の数には特に制限はない。ヒューズエレメント片73の数は、2個以上の複数個であればよく、例えば、2~20個の範囲内にある。
【0036】
図8は、本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図8に示す保護素子1dは、上記の保護素子1aと以下の点において相違し、その他の点において共通する。このため、保護素子1dと保護素子1aとで共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
(1)中間電極50が第1端子10と第3端子30の中間の位置に配置されている点。
(2)ヒューズ連結体71のうち、第3端子30と中間電極50とを接続する第3ヒューズエレメント35の幅Wが、第1端子10と中間電極50とを接続する第1ヒューズエレメント15の幅Wよりも狭い点。
【0037】
保護素子1dでは、第3ヒューズエレメント35の幅Wが、第1ヒューズエレメント15の幅Wよりも狭いことによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗が、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子1dは、保護素子1aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0038】
図9は、本発明の第1実施形態に係る保護素子の更に別の一例を示す平面図である。
図9に示す保護素子1eは、上記の保護素子1aと以下の点において相違し、その他の点において共通する。このため、保護素子1eと保護素子1aとで共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
(1)第1ヒューズエレメント15と第3ヒューズエレメント35とが分離されている点。
(2)中間電極50が第1端子10と第3端子30の中間の位置に配置されている点。
(3)第3ヒューズエレメント35が印刷法で形成された細線状のパターンヒューズエレメントとされている点。
【0039】
保護素子1eでは、第3ヒューズエレメント35が印刷法で形成された細線状のパターンヒューズエレメントとされていることによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗が、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子1eは、保護素子1aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0040】
図10は、本発明の第2実施形態に係る保護素子を備えた電子機器の電源部の回路図である。
図10に示す保護素子2は、第1端子10と第2端子20とが対向し、第3端子30と第4端子40とが対向するように配置されている点と、第2端子20と中間電極50とが第2ヒューズエレメント25を介して接続されている点において、第1実施形態の保護素子1と相違し、その他の点において共通する。このため、保護素子2と保護素子1とで共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
保護素子2では、第1端子10と第2端子20とを接続するヒューズエレメントは、第1ヒューズエレメント15となる。第1ヒューズエレメント15と第2ヒューズエレメント25とを直列で接続したときの定格電流値は、10A以上であることが好ましく、15A以上30A以下の範囲内にあることがより好ましい。また、第1ヒューズエレメント15と第2ヒューズエレメント25とを直列で接続したときの電気抵抗値は、1.0mΩ以下であることが好ましく、0.15mΩ以上0.6mΩ以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0042】
保護素子2では、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗は、第2ヒューズエレメント25の電気抵抗よりも高くなるように設定されている。このため、放電時の定格電流値を充電時の定格電流値よりも相対的に低くできるので、放電時の安全性を確保できる。一方、充電時の定格電流値を放電時の定格電流値よりも相対的に高くできるので、充電時には相対的に放電時よりも高い電流値で電源60を充電でき、急速充電が可能となる。
【0043】
図11は、本発明の第2実施形態に係る保護素子の一例を示す平面図である。
図11に示す保護素子2aは、第1ヒューズエレメント15と第2ヒューズエレメント25とが幅の大きいヒューズ連結体71とされ、第3ヒューズエレメント35はヒューズ連結体71と比較して幅が狭くなっている。
【0044】
保護素子2aでは、第1端子10と中間電極50とを接続する第1ヒューズエレメント15は共通するが、第3ヒューズエレメント35の幅が、第2ヒューズエレメント25の幅よりも狭いことによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗が、第1ヒューズエレメント15の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子2aは、保護素子1aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0045】
図12は、本発明の第2実施形態に係る保護素子の別の一例を示す平面図である。
図12に示す保護素子2bは、第3ヒューズエレメント35が印刷法で形成された細線状のパターンヒューズエレメントとされている点において共通する。
【0046】
保護素子2bでは、第3ヒューズエレメント35が印刷法で形成された細線状のパターンヒューズエレメントとされていることによって、第3ヒューズエレメント35の電気抵抗が、第2ヒューズエレメント25の電気抵抗よりも高くなる。このため、保護素子2bは、保護素子2aと同様に、放電時の安全性を確保し、かつ充電時には急速充電が可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0048】
例えば、第2実施形態に係る保護素子2において、第1端子10と中間電極50を直結し、第2端子20と中間電極50とを接続する第2ヒューズエレメント25と、第3端子30と中間電極50とを接続する第3ヒューズエレメント35と、を有し、第3ヒューズエレメント35は、第2ヒューズエレメント25よりも電気抵抗が高い構成としてもよい。この構成の保護素子では、発熱体45が発熱して第2ヒューズエレメント25と第3ヒューズエレメント35が溶断したときに、発熱体45への通電を止めることをできるように制御デバイス62でスイッチ61を制御することが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1、1a、1b、1c、1d、1e、2、2a、2b 保護素子
10 第1端子
11a 第1表面電極
11b 第1裏面電極
12 第1スルーホール
15 第1ヒューズエレメント
20 第2端子
21a 第2表面電極
21b 第2裏面電極
22 第2スルーホール
25 第2ヒューズエレメント
30 第3端子
31a 第3表面電極
31b 第3裏面電極
32 第3スルーホール
35 第3ヒューズエレメント
40 第4端子
41a 第4表面電極
41b 第4裏面電極
42 第4スルーホール
45 発熱体
46 絶縁層
50 中間電極
60 電源
61 スイッチ
62 制御デバイス
70 基板
70a 基板表面
70b 基板裏面
71 ヒューズ連結体
72 導電性接続材料
73 ヒューズエレメント片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12