(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】レバウジオシドの高効率生成のためのエンドウ(PISUM SATIVUM)カウレンオキシダーゼ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20240513BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20240513BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240513BHJP
C12P 7/40 20060101ALI20240513BHJP
C12P 19/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N9/02
C12N1/19
C12P7/40
C12P19/00
(21)【出願番号】P 2020502289
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(86)【国際出願番号】 US2018046359
(87)【国際公開番号】W WO2019033064
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-10
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/046637
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511289736
【氏名又は名称】アミリス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィックマン,ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】カーンコージ,アディティ
(72)【発明者】
【氏名】マハデジュクル-メドーズ,ティナ
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0297722(US,A1)
【文献】Plant Physiology, 2004年,Vol.134,p. 1123-1134
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/02
C12N 1/19
C12P 7/40
C12P 19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼをコードする異種核酸を含む、1又は複数のステビオールグリコシドを生成する能力がある遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項2】
カウレンをカウレン酸に、30%、35%、40%、45%、50%、若しくは55%を超える効率で変換する能力がある、請求項1に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項3】
前記カウレンオキシダーゼが、配列番号1の配列を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項4】
前記カウレンオキシダーゼが、カウレン、カウレノール、及び/又はカウレナールのC19位を酸化する能力がある、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項5】
前記カウレンオキシダーゼが、配列番号15に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む異種核酸によってコードされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項6】
前記カウレンオキシダーゼが、配列番号15の配列を有する異種核酸によってコードされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項7】
カウレンをカウレン酸に30%、35%、40%、45%、50%、若しくは55%を超える効率で変換する能力があり、且つ前記カウレンオキシダーゼが、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項8】
カウレン酸を生成する能力がある、請求項1~7のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項9】
ステビオールを生成する能力がある、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項10】
RebDを生成する能力がある、請求項1~9のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項11】
RebMを生成する能力がある、請求項1~10のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項12】
RebM及びRebM2を、少なくとも10:1
~1000:1の比で生成する能力がある、請求項1~11のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項13】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、RebM2を検出不能なレベルで生成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項14】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオールを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項15】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオールグリコシドを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項16】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、RebAを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項17】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、RebMを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項18】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、RebEを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項19】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項20】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、コパリル二リン酸シンターゼを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項21】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、ent-カウレンシンターゼを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項22】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、カウレン酸ヒドロキシラーゼを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項23】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、チトクロムP450レダクターゼを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項24】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、1又は複数のウリジン5’-二リン酸依存性糖転移酵素を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項25】
カウレンをカウレン酸に、55%を超える効率で変換する能力がある、請求項24に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項26】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、Os_UGT_91C1(
配列番号37)、Sl_UGT_101249881(
配列番号38)、UGT40087(
配列番号39、配列番号17、18又は33)、sr.UGT_9252778(配列番号16)、Bd_UGT10840(
配列番号40)、Hv_UGT_V1(
配列番号41)、Bd_UGT10850(
配列番号42)、又はOb_UGT91B1_like(
配列番号43)を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項27】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、UGT74G1、UGT76G1、UGT85C2、UGT91D、又はUGT40087(
配列番号39、配列番号17、18又は33)を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項28】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、コパリル二リン酸シンターゼ、ent-カウレンシンターゼ、カウレンオキシダーゼ、カウレン酸ヒドロキシラーゼ、チトクロムP450レダクターゼ、Os_UGT_91C1(
配列番号37)、Sl_UGT_101249881(
配列番号38)、UGT40087(
配列番号39、配列番号17、18又は33)、sr.UGT_9252778(配列番号16)、Bd_UGT10840(
配列番号40)、Hv_UGT_V1(
配列番号41)、Bd_UGT10850(
配列番号42)、Ob_UGT91B1_like(
配列番号43)、UGT74G1、UGT76G1、UGT85C2、及びUGT91Dを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項29】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、コパリル二リン酸シンターゼ、ent-カウレンシンターゼ、カウレンオキシダーゼ、カウレン酸ヒドロキシラーゼ、チトクロムP450レダクターゼ、UGT40087(
配列番号39、配列番号17、18又は33)、UGT74G1、UGT76G1、UGT85C2、及びUGT91Dを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項30】
前記UGT40087が、配列番号17、18、又は33に記載されている、請求項26~29のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項31】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素
をコードする1又は複数の異種核酸をさらに含み、当該酵素が、二官能性コパリル二リン酸シンターゼ及びカウレンシンターゼを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項32】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする前記1又は複数の異種核酸
をさらに含み、当該核酸が、単一の転写制御因子の制御下にある、請求項1~31のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項33】
前記遺伝子組換え宿主細胞が、ステビオール、ステビオールグリコシド、RebA、RebM及び/又はRebEを作製するための経路の1又は複数の酵素をコードする前記1又は複数の異種核酸
をさらに含み、当該核酸が、複数の異種転写制御因子の制御下にある、請求項1~32のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞。
【請求項34】
カウレン酸を生成するための方法であって、
(a)請求項1~33のいずれか一項に記載の遺伝子組換え出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞の集団を、カウレン酸の作製に適した条件下の炭素源を有する培地中で培養することと;
(b)前記カウレン酸化合物を前記培地から回収することと、
を含む、方法。
【請求項35】
RebDを生成するための方法であって、
(a)請求項1~33のいずれか一項に記載の遺伝子組換え宿主細胞の集団を、RebDの作製に適した条件下の炭素源を有する培地中で培養することと;
(b)前記RebD化合物を前記培地から回収することと、
を含む、方法。
【請求項36】
RebMを生成するための方法であって、
(a)請求項1~33のいずれか一項に記載の遺伝子組換え宿主細胞の集団を、RebMの作製に適した条件下の炭素源を有する培地中で培養することと;
(b)前記RebM化合物を前記培地から回収することと、
を含む、方法。
【請求項37】
発酵組成物であって、
(a)i.カウレンをカウレン酸に変換する能力がある、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼをコードする異種核酸
を含む遺伝子組換え宿主細胞;及び
(b)前記遺伝子組換え宿主細胞から生成されるステビオールグリコシド
を含む発酵組成物。
【請求項38】
前記ステビオールグリコシドが、RebA、RebD及びRebMを、
1:7:50~1:100:1000のRebA:RebD:RebMの比で含む、請求項37に記載の発酵組成物。
【請求項39】
ステビオールグリコシドを生成するための方法であって、
(a)請求項1~33のいずれか一項に記載の遺伝子組換え宿主細胞の集団をステビオールグリコシドの作製に適した条件下の炭素源を有する培地中で培養すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願に対する交互参照
[0001] 本願は、2017年8月11日に出願された米国仮特許出願第62/544,718号、及び2017年8月11日に出願された国際出願第PCT/US2017/046637号の利益を主張し、それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される。
【0002】
2.発明の分野
[0002] 本開示は、特定のカウレンオキシダーゼ(KO)、それを含む組成物、それを含む宿主細胞、並びにレバウジオシドD及びレバウジオシドMを含むレバウジオシドの生成のためのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
[0003] 天然源に由来する0カロリー甘味料は、高糖消費の不良な効果(例えば糖尿病及び肥満)を制限するため、所望される。レバウジオシドM(RebM)、ステビア属植物(S.レバウディアナ・ベルトニ(S. rebaudiana Bertoni))によって生成される多数の甘味化合物の一つである。すべてのレバウジオシドの中で、RebMは、最高の効力を有し(スクロースよりも約200~300倍甘い)、最もクリーンな味である。しかし、RebMは、専らステビア属植物により少量で生成され、全ステビオールグリコシド含量の小画分(<1.0%)である。Ohta et al., 2010, J. Appl. Glycosci., 57, 199-209 (2010)。それ故、大量且つ高純度での生成を可能にする生物工学的経路を用いてRebMを生成することが望ましい。
【0004】
[0004] バイオテクノロジーを用いて生成物を経済的に生成するため、原料から生成物への生物変換における各ステップは、高い変換効率(理想的には>90%)を有することが必要である。RebMを生成するための我々の酵母の改変においては、我々は、ent-カウレンからカウレン酸を取り込むRebMまでの経路における早期の生合成ステップにおいて、明確な制限を同定した(
図1A及び1B)。
【0005】
[0005] KO酵素は、すべての植物中に見出され、通常は植物ホルモンのジベレリンを生成するように作用する。植物細胞内のジベレリンのレベルは、工業生産における酵母において生成されるRebMのレベルよりも数桁低く、それ故、大部分のKO酵素は、商業的生産においてRebMを生成するのに要求される高フラックスを有することが期待されない。通常的には、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)由来のKO酵素(Sr.KO)は、RebMを生成するように設計された酵母中でent-カウレンをカウレン酸に変換するため、用いられている。この植物がステビオールグリコシドを高レベルで生成することから、Sr.KO酵素が大部分の他のKO酵素よりも高い変換率を有する、又はそれらよりも高いフラックスを処理するように進化しているはずであることが従来からの信念となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] RebMまでの高い炭素フラックスを有する酵母株では、Sr.KOが、カウレン酸への低い変換効率(25.6%)を有することが見出され、また上流中間代謝産物(ent-カウレン、カウレノール及びカウレナール)が非常に高いレベルで形成された(
図1C)。
【0007】
[0007] RebMを効率的に高純度で生成するため、カウレン酸を高効率で生成する能力がある改善された酵素が要求される。本明細書に提供される組成物及び方法は、この要求に対処するとともに、それに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
4.発明の概要
[0008] カウレンのカウレン酸への改善された変換のための組成物及び方法が本明細書に提供される。これらの組成物及び方法は、一部には、特定のカウレンオキシダーゼ(KO)がカウレンをカウレン酸に著しく高い効率で変換する能力があるという驚くべき発見に基づく。新しいKOを有する株の性能における控えめな改善(例えば10パーセント)であっても、潜在的には、RebMに対する市場の需要が5000百万トン/年であると仮定すると、将来における生産コストにおいて、1,000万ドル余り節約することが可能である。
【0009】
[0009] 本明細書に記載の特定のKOはまた、残留カウレノール又はカウレナールをほとんど又は全く伴わずに、カウレン酸を生成する能力がある。そのように、特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、高収量のRebMなどのステビオールグリコシドを有する組成物を得るための下流プロセシングのコストを低減しうる。
【0010】
[0010] 一態様では、産業的に有用な化合物の生成において用いられる遺伝子組換え宿主細胞及び方法が本明細書に提供される。一態様では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼをコードする異種核酸を含む遺伝子組換え宿主細胞が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、ステビオール及び/又はステビオールグリコシドを生成する能力がある1又は複数の酵素経路をさらに含む。
【0011】
[0011] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼの配列(例えば、配列番号1)に対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼをコードする異種核酸を含む遺伝子組換え宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、若しくは98%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、酵母細胞である。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。
【0012】
[0012] 別の態様では、異種ステビオールグリコシドを生成するための方法であって、本明細書に記載のようなステビオールグリコシドを生成する能力がある、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞の集団を、前記ステビオールグリコシド化合物の作製に適した条件下で炭素源を有する培地中で培養することと;前記ステビオールグリコシドを培地から回収することと、を含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、異種ステビオールグリコシドは、RebD及びRebMからなる群から選択される。
【0013】
[0013] 別の態様では、RebDを生成するための方法であって、本明細書に記載のようなRebDを生成する能力がある、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞の集団を、前記RebDの作製に適した条件下で炭素源を有する培地中で培養することと;前記RebDを培地から回収することと、を含む、方法が本明細書に提供される。
【0014】
[0014] 別の態様では、RebMを生成するための方法であって、本明細書に記載のようなRebMを生成する能力がある、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞の集団を、前記RebMの作製に適した条件下で炭素源を有する培地中で培養することと;前記RebMを培地から回収することと、を含む、方法が本明細書に提供される。
【0015】
[0015] 別の態様では、カウレン酸を生成するための方法であって、カウレンを、カウレンをカウレン酸に変換する能力がある本明細書に記載のカウレンオキシダーゼと、カウレン酸の形成に適した条件下で接触させることを含む、方法が本明細書に提供される。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、酵母細胞である。いくつかの実施形態では、酵母は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、RebD又はRebMを高効率で生成する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、RebD又はRebMを、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素を含まない酵母細胞と比べて増量で生成する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
5.図面の簡単な説明
【
図1A】[0017]ファルネシルピロリン酸からステビオールへの変換の略図を提供する。
【
図1B】[0018]ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)からRebMへの変換の略図を提供する。
【
図1C】[0019]ent-カウレン~カウレノール~カウレナール~カウレン酸への変換の略図を提供する。
【
図1D】[0020]メバロン酸経路の模式図を提供する。
【
図2-1】[0021]ステビオールからRebMへの例示的経路を提供する。
【
図2-2】
[0021]ステビオールからRebMへの例示的経路を提供する。
【
図2-3】
[0021]ステビオールからRebMへの例示的経路を提供する。
【
図3A】[0022]酵母におけるカウレン酸生成についてスクリーニングするため、個別のKO酵素を挿入するために用いられる「ランディングパッド」設計の模式図を提供する。
【
図3B】[0023]酵母におけるカウレン酸生成変換についてスクリーニングするためのKO遺伝子構築物の模式図を提供する。
【
図4】[0024]異なるカウレンオキシダーゼを用いてインビボで生成されたカウレン酸の相対的増加を図示するチャートを提供する。
【
図5】[0025]RebMに対する高フラックスを有する酵母株においてインビボで生成されたカウレン酸の総量に対して正規化された、ent-カウレン、カウレノール、及びカウレナールの相対的レベルを図示する棒グラフを提供する。
【
図6】[0026]Sr.KO又はPs.KOのいずれかを含有する高フラックスの株におけるRebM力価の相対的レベルを図示するチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
6.実施形態の詳細な説明
6.1 用語法
[0027] 本明細書で用いられるとき、用語「異種」は、通常は天然に見出されないものを指す。用語「異種ヌクレオチド配列」は、通常は天然における所与の細胞内で見出されないヌクレオチド配列を指す。そのようなことから、異種ヌクレオチド配列は、(a)その宿主細胞に対して外来性である(即ち、細胞に対して「外因性」である);(b)宿主細胞内で天然に見出される(即ち「内因性」)が、細胞内で非天然量(即ち、宿主細胞内に天然に見出される量よりも多い量又は少ない量)で存在する;又は(c)宿主細胞内で天然に見出されるが、その天然遺伝子座の外部に位置づけられることがある。用語「異種酵素」は、通常は天然における所与の細胞内で見出されない酵素を指す。用語は、(a)所与の細胞に対して外因性である(即ち、宿主細胞内で天然に存在しない又は宿主細胞内の所与の状況下で天然に存在しないヌクレオチド配列によってコードされる)酵素;及び(b)宿主細胞内で天然に見出される(例えば、酵素は、細胞に対して内因性であるヌクレオチド配列によってコードされる)が、宿主細胞内で非天然量(例えば、天然に見出される量よりも多い量又は少ない量)で生成される酵素を包含する。
【0019】
[0028] 他方、用語「天然」又は「内因性」は、分子に関連して本明細書で用いられるとき、特定の酵素及び核酸では、それらの由来元であるか又は天然に見出される生物内で、天然微生物における分子の発現のレベルに対してより低い、等しい、若しくはより高い可能性がある発現のレベルで独立的に発現される分子を示す。天然酵素又はポリヌクレオチドの発現が組換え微生物において修飾されてもよいことは理解される。
【0020】
[0029] 本明細書で用いられるとき、用語「親細胞」は、修飾宿主細胞に改変される1又は複数の特定の遺伝子修飾、例えば、ステビオール経路の酵素の異種発現、ステビオールグリコシド経路の酵素の異種発現、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼの異種発現、コパリル二リン酸シンターゼの異種発現、カウレンシンターゼの異種発現、カウレンオキシダーゼ(例えば、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ)の異種発現、ステビオールシンターゼ(カウレン酸ヒドロキシラーゼ)の異種発現、チトクロムP450レダクターゼの異種発現、UGT74G1の異種発現、UGT76G1の異種発現、UGT85C2の異種発現、91Dの異種発現、及びUGT40087若しくは変異体の異種発現からなる群から選択される1又は複数の修飾を含まないことを除いて、本明細書に開示される遺伝子組換え宿主細胞と同一の遺伝的バックグラウンドを有する細胞を指す。
【0021】
[0030] 本明細書で用いられるとき、用語「天然に存在する」は、天然に見出されるものを指す。例えば、天然の供給源から単離されうる生物中に存在し、且つ研究室においてヒトにより意図的に修飾されていないカウレンオキシダーゼは、天然に存在するカウレンオキシダーゼである。逆に、本明細書で用いられるとき、用語「天然に存在しない」は、天然に見出されないものを指すが、ヒト介入によって作出されない。
【0022】
[0031] 用語「媒体」は、培地及び/又は発酵培地を指す。
【0023】
[0032] 用語「発酵組成物」は、遺伝子組換え宿主細胞及び遺伝子組換え宿主細胞によって生成される生成物又は代謝産物を含む組成物を指す。発酵組成物の例が、細胞、水相、及び遺伝子組換え宿主細胞から生成される化合物を含む、容器(例えば、フラスコ、プレート、又は発酵槽)の全内容物でありうる全細胞ブロスである。
【0024】
[0033] 本明細書で用いられるとき、用語「生成」は、一般に、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞によって生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの量を指す。いくつかの実施形態では、生成は、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの収量として表される。他の実施形態では、生成は、ステビオール又はステビオールグリコシドを生成する場合の宿主細胞の生産性として表される。
【0025】
[0034] 本明細書で用いられるとき、用語「生産性」は、宿主細胞が培養される発酵ブロスの(体積基準の)量あたり、経時的に(時間あたり)生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの(重量基準の)量として表される、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの生成を指す。
【0026】
[0035] 本明細書で用いられるとき、用語「収量」は、重量基準の、宿主細胞によって消費される炭素源の量あたり生成されるステビオール又はステビオールグリコシドの量として表される、宿主細胞によるステビオール又はステビオールグリコシドの生成を指す。
【0027】
[0036] 本明細書で用いられるとき、化合物(例えば、RebM2、ステビオールグリコシド、又は他の化合物)の用語「検出不能なレベル」は、化合物を測定するための標準的技術によって測定及び/又は分析されるには低過ぎる化合物のレベルを意味する。例えば、用語は、実施例6に記載の分析法により検出可能でない化合物のレベルを含む。
【0028】
[0037] 用語「カウレン」は、カウレンの任意の立体異性体を含む化合物カウレンを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレンのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化1】
に記載の化合物を指す。
【0029】
[0038] 用語「カウレノール」は、カウレノールの任意の立体異性体を含む化合物カウレノールを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレノールのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化2】
に記載の化合物を指す。
【0030】
[0039] 用語「カウレナール」は、カウレナールの任意の立体異性体を含む化合物カウレナールを指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレナールのような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化3】
に記載の化合物を指す。
【0031】
[0040] 用語「カウレン酸」は、カウレン酸の任意の立体異性体を含む化合物カウレン酸を指す。特定の実施形態では、用語は、ent-カウレン酸のような当該技術分野で公知の鏡像異性体を指す。特定の実施形態では、用語は、以下の構造:
【化4】
に記載の化合物を指す。
【0032】
[0041] 本明細書で用いられるとき、用語「ステビオールグリコシド」は、ステビオールのグリコシド、例えば限定はされないが、天然に存在するステビオールグリコシド、例えば、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシドB、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、合成ステビオールグリコシド、例えば、酵素的にグルコシル化されたステビオールグリコシド及びそれらの組み合わせを指す。
【0033】
[0042] 本明細書で用いられるとき、用語「変異体」は、具体的に列挙される「参照」ポリペプチド(例えば野生型配列)と、アミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換の分だけ異なるポリペプチドを指すが、参照ポリペプチドに対して実質的に類似する活性を保持する。いくつかの実施形態では、変異体は、組換えDNA技術、例えば突然変異誘発により作出される。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、その参照ポリペプチドと、一方の塩基残基ともう一方との(即ち、ArgとLysとの)置換、一方の疎水性残基ともう一方との(即ち、LeuとIleとの)置換、又は一方の芳香族残基ともう一方との(即ち、PheとTyrとの)置換などの分だけ異なる。いくつかの実施形態では、変異体は、参照配列との実質的な構造的類似性をもたらす保存的置換が得られる場合の類似体を含む。かかる保存的置換の例として、限定はされないが、グルタミン酸のアスパラギン酸に対するものとその逆;グルタミンのアスパラギンに対するものとその逆;セリンのトレオニンに対するものとその逆;リジンのアルギニンに対するものとその逆;又はイソロイシン、バリン若しくはロイシンのいずれかの互いに対するものが挙げられる。
【0034】
[0043] 本明細書で用いられるとき、用語「配列同一性」又は「パーセント同一性」は、2つ以上の核酸又はタンパク質配列との関連では、同じである、又は特定の百分率で同じであるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列若しくは部分配列を指す。例えば、配列は、比較ウインドウにわたる最大対応について比較及び整列されるときの参照配列に対する特定領域、又は配列比較アルゴリズムを用いて若しくはマニュアルアライメント及び目視検査により測定されるときの指定領域にわたり、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくはより高い同一性のパーセント同一性を有しうる。例えば、同一性のパーセントは、配列内での同一ヌクレオチド(又はアミノ酸残基)の数を、全ヌクレオチド(又はアミノ酸残基)の長さから任意のギャップの長さを引いたもので除した比を計算することにより決定される。
【0035】
[0044] 便宜上、2つの配列間の同一性の程度は、当該技術分野で公知のコンピュータプログラム及び数学的アルゴリズムを用いて確認されうる。パーセント配列同一性を計算するかかるアルゴリズムは、一般に比較領域にわたる配列ギャップ及びミスマッチを説明する。Clustal W(Thompson et al., (1994) Nucleic Acids Res., 22: 4673-4680), ALIGN (Myers et al., (1988) CABIOS, 4: 11-17), FASTA (Pearson et al., (1988) PNAS, 85:2444-2448; Pearson (1990), Methods Enzymol., 183: 63-98) 及びギャップBLAST (Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402)のように配列を比較し、整列するプログラムは、この目的にとって有用である。BLAST又はBLAST2.0 (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990)は、配列分析プログラムBLASTP、BLASTN、BLASTX、TBLASTN、及びTBLASTXに関連して用いるため、国立生体情報センター(National Center for Biological Information) (NCBI)を含むいくつかのソースから、またインターネット上で入手可能である。追加的情報は、NCBIウェブサイトで見出すことができる。
【0036】
[0045] 特定の実施形態では、配列アライメント及びパーセント同一性の計算は、BLASTプログラムを用い、その標準のデフォルトパラメータを用いて決定することができる。ヌクレオチド配列アライメント及び配列同一性の計算においては、BLASTNプログラムが、そのデフォルトパラメータ(ギャップオープニングペナルティ=5、ギャップエクステンションペナルティ=2、核酸マッチ(Nucleic match)=2、核酸ミスマッチ(Nucleic mismatch)=-3、期待値=10.0、ワードサイズ=11、クエリ範囲における最大マッチ=0)とともに用いられる。ポリペプチド配列アライメント及び配列同一性の計算においては、BLASTPプログラムが、そのデフォルトパラメータ(アライメントマトリックス=BLOSUM62;ギャップコスト:イグジステンス(Existence)=11、エクステンション(Extension)=1;コンポジショナルアジャストメント(Compositional adjustment)=コンディショナルコンポジショナルスコア(Conditional compositional score)、マトリックスアジャストメント(matrix adjustment);期待値=10.0;ワードサイズ=6;クエリ範囲における最大マッチ=0)とともに用いられる。或いは、以下のプログラム及びパラメータ:Clone Manager Suite、バージョン5のAlign Plusソフトウェア(Sci-Ed Software);DNA比較:グローバル比較、標準線形スコアリングマトリックス、ミスマッチペナルティ=2、オープンギャップペナルティ=4、エクステンドギャップペナルティ=1.アミノ酸比較:グローバル比較、BLOSUM62スコアリングマトリックスが用いられる。本明細書に記載の実施形態では、配列同一性は、BLASTN又はBLASTPプログラムを用い、それらのデフォルトパラメータを用いて計算される。本明細書に記載の実施形態では、2つ以上の配列の配列アライメントが、Clustal Wを用いて、提案されたデフォルトパラメータ(デアライン(Dealign)インプット配列:なし;Mbed-likeクラスタリングガイドツリー:あり;Mbed-likeクラスタリングイタレーション:あり;組み合わされたイタレーションの数:デフォルト(0);最大ガイドツリーイタレーション:デフォルト;最大HMMイタレーション:デフォルト;オーダー:インプット)を用いて実施される。
【0037】
6.2 宿主細胞
[0046] カウレンからカウレン酸(KA)を高効率で生成する能力がある宿主細胞が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、宿主細胞は、出発物質としてのカウレンからカウレン酸を生成しうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、培地中の炭素源からカウレン酸を生成しうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、培地中の炭素源からカウレン酸を生成可能であり、カウレン酸からRebA又はRebDをさらに生成しうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、RebDからレバウジオシドM(RebM)をさらに生成しうる。
【0038】
[0047] 特定の実施形態では、宿主細胞は、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼの酵素活性を含む。エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に高効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に30%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に35%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に40%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に95%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に50%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に55%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に約58%の効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ酵素は、カウレンをカウレン酸に30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%を超える効率で変換する能力がある。
【0039】
[0048] 特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に30%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に35%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に40%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に45%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に50%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に55%を超える効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に約58%の効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンをカウレン酸に30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%を超える効率で変換する能力がある。
【0040】
[0049] 変換効率は、当業者にとって明白な任意の技術により評価可能である。特定の実施形態では、変換効率は、カウレンを酵素又は宿主細胞とカウレン酸の形成に適した条件下で接触させることにより評価可能である。効率は、生成されるカウレン酸のモル量を、得られる組成物中のカウレン及びカウレン酸の総量と比較することにより評価可能である。効率はまた、カウレン酸及びカウレン酸の下流生成物の総量を、得られる組成物中のカウレン、カウレノール、カウレナール、カウレン酸、及びカウレン酸の下流生成物の総量と比較することにより評価可能である。例えば、
図5中に示されるPs.KOを含む株の変換効率は、カウレン酸及び
図2に示されるすべての下流化合物の総量を、得られる組成物中のカウレン、カウレノール、カウレナール、カウレン酸、及び
図2に示されるすべての下流化合物(即ち、ステビオール、1グルコース+ステビオール、2グルコース+ステビオール、3グルコース+ステビオール、4グルコース+ステビオール、5グルコース+ステビオール、及び6グルコース+ステビオール)の総量と比較することにより評価された。
【0041】
[0050] 特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも99%、若しくは60%~99%の間の少なくともいずれかの百分率が同一であるアミノ酸配列を含むカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0042】
[0051] 特定の実施形態では、本明細書に記載のアミノ酸配列を含み、且つカウレンをカウレン酸に変換する能力があるカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のアミノ酸配列を含み、且つカウレン、カウレノール、及びカウレナールの各々の19位を酸化する能力があるカウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、カウレンをカウレン酸に30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える効率で変換する能力があり、且つ配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、カウレンオキシダーゼを含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0043】
[0052] 特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列を含むエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、少なくとも60%、少なくとも99%、若しくは60%~99%の間のいずれかの百分率であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0044】
[0053] 特定の実施形態では、配列番号1の配列を有するエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼをコードする配列番号14のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施形態では、配列番号14のヌクレオチド配列に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0045】
[0054] 特定の実施形態では、宿主細胞は、上記のエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼポリペプチドの変異体を含む。特定の実施形態では、変異体は、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のアミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、変異体は、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の保存的アミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、本明細書に記載の核酸のいずれかは、宿主細胞について、例えばコドン最適化により最適化されうる。
【0046】
[0055] 本明細書に記載の実施形態では、2つのポリペプチドの対応するアミノ酸位置又は対応するループ位置を判定するため、任意の好適な方法を用いることができる。特定の実施形態では、カウレンオキシダーゼの配列及び参照配列の配列番号1は、Clustal(W)を用い、そのデフォルトパラメータを用いて整列されうる。他の実施形態では、カウレンオキシダーゼの配列及び参照配列の配列番号1は、ExPASyウェブサーバー経由で、又はプログラムDeepView (Swiss Pdb-Viewer)からアクセス可能である、タンパク質構造相同性のモデリングサーバーであるSWISS-MODELなどの構造的アライメントを用いて整列されうる。
【0047】
[0056] 特定の実施形態では、カウレンは、
図1Cに示される通りである。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又はエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、C-19でカウレンの酸化を触媒し、カウレノールを形成する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又はエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、C-19でカウレノールの酸化を触媒し、カウレナールを形成する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼは、C-19でカウレナールの酸化を触媒し、カウレン酸を形成する能力がある。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又はエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、C-19でカウレンの酸化を触媒し、カウレノールを形成し、C-19でカウレノールの酸化を触媒し、カウレナールを形成し、またC-19でカウレナールの酸化を触媒し、カウレン酸を形成する能力がある。
【0048】
[0057] 特定の実施形態では、RebDは、
図2に示される通りである。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレン酸をステビオールに変換する能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、ステビオールを1又は複数のステビオールグリコシドに変換する能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、RebAをRebDに変換する能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、RebDをRebMに変換する能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。
【0049】
[0058] 宿主細胞のエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又は任意のエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体がカウレンを基質として受け取る一方で、カウレンの供給源は、当業者にとって好適と見なされる任意の供給源でありうる。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又は任意のエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、カウレンと接触されうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、カウレンと接触されうる。特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ又はエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼの任意の変異体は、カウレン、カウレノール、及びカウレナールの1又は複数を含む組成物と接触されうる。特定の実施形態では、組成物は、カウレンを含む。特定の実施形態では、組成物は、カウレノールを含む。特定の実施形態では、組成物は、カウレナールを含む。特定の実施形態では、組成物は、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)葉から単離された天然生成物に由来する。特定の実施形態では、組成物は、微生物に由来する。特定の実施形態では、宿主細胞は、1又は複数の炭素源を含む組成物と接触されうる。
【0050】
[0059] 特定の実施形態では、所望される反応を触媒するのに適した任意のエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法についてスクリーニング可能である。例えば、好適なエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体をコードする異種核酸を発現させ、基質の所望される位置(例えば、カウレン、カウレノール、及び/又はカウレナールのC-19位)で酸化を触媒する能力があるエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼの機能的変異体を生成する細胞をスクリーニングすることにより、インビボでアッセイ可能である。例示的なスクリーニング方法は、下の実施例に記載される。別の例では、好適なエンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体をカウレン、カウレノール、及び/又はカウレナールなどの基質と接触させることにより、インビトロでスクリーニング可能である。この例では、カウレン酸、ステビオール、又はステビオールグリコシド、例えばRebDの存在についてのアッセイは、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体が好適な酵素であるか否かを判定するための試験として使用可能である。反応は、LC-MS又は他の当該技術分野で公知の方法により分析可能である。例えば、国際公開第2013/022989号を参照のこと。
【0051】
[0060] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、それがインビボでカウレンをカウレン酸に30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える効率で変換する能力がある場合、カウレンをカウレン酸に変換するのに適すると考えられる。
【0052】
[0061] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、それがインビボでカウレンをカウレノールに30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える効率で変換する能力がある場合、カウレンをカウレノールに変換するのに適すると考えられる。
【0053】
[0062] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、それがインビボでカウレノールをカウレナールに30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える効率で変換する能力がある場合、カウレノールをカウレナールに変換するのに適すると考えられる。
【0054】
[0063] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、それがインビボでカウレナールをカウレン酸に30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える効率で変換する能力がある場合、カウレナールをカウレン酸に変換するのに適すると考えられる。
【0055】
[0064] 特定の実施形態では、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ変異体は、変換効率がインビボで30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、若しくは97%を超える場合、カウレンをカウレン酸に変換するのに適すると考えられ、ここで変換効率は、カウレン酸及び
図2に示されるすべての下流化合物の総量を、得られる組成物中のカウレン、カウレノール、カウレナール、カウレン酸、及び
図2に示されるすべての下流化合物の総量で除すること(×100パーセント)により算出される。
【0056】
[0065] 有利な実施形態では、宿主細胞は、カウレンを作る能力がある1又は複数の酵素経路であって、個別に又は一緒に利用される経路を含みうる。特定の実施形態では、宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸をカウレンに変換する能力がある1又は複数の酵素を含む。有用な酵素及び酵素をコードする核酸は、当業者に公知である。特定の実施形態では、宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸をカウレンに変換する能力がある1又は複数の酵素を含む。さらに有利な実施形態では、宿主細胞は、カウレン酸をステビオール及び/又はステビオールグリコシドに変換する能力がある1又は複数の酵素であって、個別に又は一緒に利用される経路を含みうる。有用な酵素及び酵素をコードする核酸は、当業者に公知である。特に有用な酵素及び核酸は、下記セクション中に記載され、例えば、米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号、国際公開第2016/038095A2号、及び米国特許出願公開第2016/0198748A1号にさらに記載される。
【0057】
[0066] さらなる実施形態では、宿主細胞は、炭素源からゲラニルゲラニル二リン酸を作る能力がある1又は複数の酵素をさらに含む。これらは、DXP経路の酵素及びMEV経路の酵素を含む。有用な酵素及び酵素をコードする核酸は、当業者に公知である。各経路の例示的な酵素は、以下に記載され、例えば、米国特許出願公開第2016/0177341A1号にさらに記載される。MEV経路はまた、
図1Dに示される。
【0058】
[0067] 特定の実施形態では、追加的な酵素は、天然である。有利な実施形態では、追加的な酵素は、異種である。特定の実施形態では、2つの酵素は、1つのポリペプチドにおいて組み合わせ可能である。
【0059】
6.3 天然に存在しないカウレンオキシダーゼポリペプチド及び核酸
[0068] 別の態様では、参照配列(例えば配列番号1)と比べてのアミノ酸残基の修飾を含むが、カウレンをカウレン酸に、カウレンをカウレノールに、カウレノールをカウレナールに、及び/又はカウレナールをカウレン酸に変換するためのカウレンオキシダーゼとしての活性をさらに保持する、天然に存在しないカウレンオキシダーゼ変異体が本明細書に提供される。特定の実施形態では、天然に存在しないカウレンオキシダーゼ変異体は、最大20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、若しくは1のアミノ酸置換、欠失、付加、及び/又は挿入を、特定のアミノ酸位置又は参照配列(例えば配列番号1)と比べた位置に含みうる。特定の実施形態では、天然に存在しないカウレンオキシダーゼ変異体は、本明細書に記載のカウレンオキシダーゼ変異体のいずれかを含む。
【0060】
[0069] 別の態様では、参照配列(例えば配列番号15)と比べての核酸残基の修飾を含むが、タンパク質に翻訳されるとき、タンパク質は、カウレンをカウレン酸に、カウレンをカウレノールに、カウレノールをカウレナールに、及び/又はカウレナールをカウレン酸に変換するためのカウレンオキシダーゼとしての活性を保持する、天然に存在しないカウレンオキシダーゼ変異体が本明細書に提供される。特定の実施形態では、天然に存在しないカウレンオキシダーゼ変異体は、本明細書に記載のカウレンオキシダーゼ変異体のいずれかをコードしうる。
【0061】
6.4 細胞株
[0070] 本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な宿主細胞は、古細菌、原核細胞、又は真核細胞を含む。
【0062】
[0071] 好適な原核宿主は、限定はされないが、種々のグラム陽性、グラム陰性、又はグラム不定細菌のいずれかを含む。例として、限定はされないが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、アナベナ(Anabaena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アゾバクター(Azobacter)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、クロマチウム(Chromatium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エシェリキア(Escherichia)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、メソリゾビウム(Mesorhizobium)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリラム(Rhodospirillum)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、サルモネラ(Salmonella)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、セラチア(Serratia)属、シゲラ(Shigella)属、スタフロコッカス(Staphlococcus)属、ストレプロマイセス(Strepromyces)属、シネココッカス(Synnecoccus)属、及びザイモモナス(Zymomonas)属に属する細胞が挙げられる。原核生物株の例として、限定はされないが、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefacines)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・インマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)、クロストリジウム・ベイエリンキイ(Clostridium beigerinckii)、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、メソリゾビウムロティ(Mesorhizobium loti)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、シュードモナス・プディカ(Pseudomonas pudica)、ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、サルモネラ菌(Salmonella enterica)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が挙げられる。特定の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞である。
【0063】
[0072] 好適な古細菌宿主は、限定はされないが、アエロピルム(Aeropyrum)属、アーケオグロブス(Archaeoglobus)属、ハロバクテリウム(Halobacterium)属、メタノコッカス(Methanococcus)属、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、パイロコッカス(Pyrococcus)属、スルホロブス(Sulfolobus)属、及びサーモプラズマ(Thermoplasma)属に属する細胞を含む。古細菌株の例として、限定はされないが、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、ハロバクテリウム種(Halobacterium sp.)、メタノコックス・ヤンナスキイ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、サーモプラズマ・アシドフィラム(Thermoplasma acidophilum)、サーモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)、パイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)、及びアエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)が挙げられる。
【0064】
[0073] 好適な真核生物宿主は、限定はされないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞、及び植物細胞を含む。いくつかの実施形態では、本方法において有用な酵母は、微生物保管所(例えば、IFO、ATCCなど)に寄託されている酵母を含み、特に、アシクロコニジウム(Aciculoconidium)属、アムブロシオジマ(Ambrosiozyma)属、アルスロアスカス(Arthroascus)属、アルキシオジマ(Arxiozyma)属、アシュビア(Ashbya)属、バブジェビア(Babjevia)属、ベンシングトニア(Bensingtonia)属、ボトリオアスカス(Botryoascus)属、ボツリオザイマ(Botryozyma)属、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属、ブレラ(Bullera)属、ブレロマイセス(Bulleromyces)属、カンジダ(Candida)属、シテロマイセス(Citeromyces)属、クラビスポラ(Clavispora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、シストフィロバシディウム(Cystofilobasidium)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、デッカラ(Dekkara)属、ディポダスコプシス(Dipodascopsis)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、エニエラ(Eeniella)属、エンドマイコプセラ(Endomycopsella)属、エレマスカス(Eremascus)属、エレモテシウム(Eremothecium)属、エリスロバシディウム(Erythrobasidium)属、フェロマイセス(Fellomyces)属、フィロバシディウム(Filobasidium)属、ガラクトミセス(Galactomyces)属、ゲオトリクム(Geotrichum)属、ガイラーモンデラ(Guilliermondella)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ハセガワエア(Hasegawaea)属、ホルターマニア(Holtermannia)属、ホルモアスカス(Hormoascus)属、ハイフォピキア(Hyphopichia)属、イッサトチェンキア(Issatchenkia)属、クロエケラ(Kloeckera)属、クロエケラスポラ(Kloeckeraspora)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、コンドア(Kondoa)属、クライシア(Kuraishia)属、クルツマノマイセス(Kurtzmanomyces)属、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)属、リポマイセス(Lipomyces)属、ロッデロマイセス(Lodderomyces)属、マラセジア(Malassezia)属、メチニコビア(Metschnikowia)属、ムラキア(Mrakia)属、ミキソザイマ(Myxozyma)属、ナドソニア(Nadsonia)属、ナカザワエワ(Nakazawaea)属、ネマトスポラ(Nematospora)属、オガタエア(Ogataea)属、オースポリディウム(Oosporidium)属、パキソレン(Pachysolen)属、ファチコスポラ(Phachytichospora)属、ファフィア(Phaffia)属、ピキア(Pichia)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、サッカロマイコーデス(Saccharomycodes)属、サッカロマイコプシス(Saccharomycopsis)属、サイトエラ(Saitoella)属、サカグチア(Sakaguchia)属、サターノスポラ(Saturnospora)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、スポロパキデルミア(Sporopachydermia)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、ステリグマトマイセス(Sterigmatomyces)属、ステリグマトスポリジウム(Sterigmatosporidium)属、シンビオタフリナ(Symbiotaphrina)属、シンポディオマイセス(Sympodiomyces)属、シンポディオマイコプシス(Sympodiomycopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、トリコスポリエラ(Trichosporiella)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ツチヤエア(Tsuchiyaea)属、ウデニオマイセス(Udeniomyces)属、ワルトマイセス(Waltomyces)属、ヴィッカーハミア(Wickerhamia)属、ヴィッケルハミエラ(Wickerhamiella)属、ウィリオプシス(Williopsis)属、ヤマダザイマ(Yamadazyma)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ジゴアスカス(Zygoascus)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、ザイゴウィリオプシス(Zygowilliopsis)属、及びザイゴザイマ(Zygozyma)属に属する。
【0065】
[0074] いくつかの実施形態では、宿主微生物は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、デッケラ・ブルクセレンシス(Dekkera bruxellensis)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)(以前は、サッカロマイセス・ラクティス(Saccharomyces lactis)と称された)、クルベロマイセス・マルキシアヌス(Kluveromyces marxianus)、アルクスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)、又はハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(現在、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)として公知)である。いくつかの実施形態では、宿主微生物は、カンジダ(Candida)属、例えば、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、又はトルラ酵母(Candida utilis)の株である。
【0066】
[0075] 特定の実施形態では、宿主微生物は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)である。いくつかの実施形態では、宿主は、パン酵母、CBS7959、CBS7960、CBS7961、CBS7962、CBS7963、CBS7964、IZ-1904、TA、BG-1、CR-1、SA-1、M-26、Y-904、PE-2、PE-5、VR-1、BR-1、BR-2、ME-2、VR-2、MA-3、MA-4、CAT-1、CB-1、NR-1、BT-1、及びAL-1からなる群から選択される出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株である。いくつかの実施形態では、宿主微生物は、PE-2、CAT-1、VR-1、BG-1、CR-1、及びSA-1からなる群から選択される出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株である。特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、PE-2である。別の特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、CAT-1である。別の特定の実施形態では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株は、BG-1である。
【0067】
[0076] いくつかの実施形態では、宿主微生物は、工業的発酵に適した微生物である。特定の実施形態では、微生物は、工業的発酵環境の認められたストレス条件である、高い溶媒濃度、高温、拡大された基質利用、栄養制限、糖及び塩に起因する浸透圧ストレス、酸性度、亜硫酸及び細菌汚染、又はそれらの組み合わせの下で生存するように条件づけられる。
【0068】
6.5 ステビオール及びステビオールグリコシドの生合成経路
[0077] いくつかの実施形態では、ステビオール生合成経路及び/又はステビオールグリコシド生合成経路は、経路の1又は複数の酵素をコードするポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドを発現するように細胞を改変することにより、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞内で活性化される。
図1Bは、例示的なステビオール生合成経路を図示する。
図2は、ゲラニルゲラニルピロリン酸から開始して様々なステビオールグリコシドに至る、例示的なステビオールグリコシド生合成経路を図示する。
【0069】
[0078] したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、コパリル二リン酸シンターゼ又はent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CDPS;ent-コパリルピロリン酸シンターゼ又はCPSとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、カウレンシンターゼ(KS;ent-カウレンシンターゼとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、本明細書に記載のようなカウレンオキシダーゼ活性(KO;ent-カウレン19-オキシダーゼとも称される)を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、ステビオールシンターゼ(ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ又はKAHとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、チトクロムP450レダクターゼ(CPR)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0070】
[0079] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT74G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT76G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT85C2活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UGT91D活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、UDP糖転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0071】
[0080] 特定の実施形態では、宿主細胞は、変異体を含む。特定の実施形態では、変異体は、関連ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のアミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、変異体は、参照ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の保存的アミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、本明細書に記載の核酸のいずれかは、宿主細胞について、例えばコドン最適化により最適化されうる。
【0072】
[0081] ステビオール生合成経路及び/又はステビオールグリコシド生合成経路の例示的な核酸及び酵素は、以下に記載される。
【0073】
6.5.1 ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)
[0082] ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(EC2.5.1.29)は、ファルネシルピロリン酸のゲラニルゲラニル二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ABD92926)、ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号CAA75568)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)(受入番号AAH69913)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(受入番号XP_002288339)、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(受入番号ZP_05004570)、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfulobus acidocaldarius)(受入番号BAA43200)、シネココッカス種(Synechococcus sp.)(受入番号ABC98596)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_195399)、ブラケスレア・トリスポーラ(Blakeslea trispora)(受入番号AFC92798.1)及び米国特許出願公開第2014/0329281A1号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのGGPPS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのGGPPS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0074】
6.5.2 コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)
[0083] コパリル二リン酸シンターゼ(EC5.5.1.13)は、ファルネシルピロリン酸のゲラニルゲラニル二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号AAB87091)、ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)(受入番号EDY51667)、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)(受入番号AAC28895.1)、トウモロコシ(Zea mays)(受入番号AY562490)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NM_116512)、アジアイネ(Oryza sativa)(受入番号Q5MQ85.1)及び米国特許出願公開第2014/0329281A1号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCDPS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCDPS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、95%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0075】
6.5.3 カウレンシンターゼ(KS)
[0084] カウレンシンターゼ(EC4.2.3.19)は、コパリル二リン酸のカウレン及び二リン酸への変換を触媒する。酵素の実例として、ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)(受入番号AAC28895.1)、ファエオスファエリア種(Phaeosphaeria sp.)(受入番号O13284)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号Q9SAK2)、ピセア・グラウカ(Picea glauca)(受入番号ADB55711.1)及び米国特許出願公開第2014/0329281A1号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのKS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのKS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0076】
6.5.4 二官能性コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)及びカウレンシンターゼ(KS)
[0085] CDPS-KS二官能性酵素(EC5.5.1.13及びEC4.2.3.19)も使用可能である。酵素の実例として、モモ枝折病菌(Phomopsis amygdali)(受入番号BAG30962)、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)(受入番号BAF61135)、ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号Q9UVY5.1)、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号、及び国際公開第2016/038095A2号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCDPS-KS核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCDPS-KS酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0077】
6.5.5 Ent-カウレンオキシダーゼ(KO)
[0086] Ent-カウレンオキシダーゼ(EC1.14.13.78;カウレンオキシダーゼとも称される)が本明細書に記載される。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのカウレンオキシダーゼ核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのカウレンオキシダーゼ酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0078】
6.5.6 ステビオールシンターゼ(KAH)
[0087] ステビオールシンターゼ、又はカウレン酸ヒドロキシラーゼ(KAH)、(EC1.14.13)は、カウレン酸のステビオールへの変換を触媒する。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ACD93722)、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(配列番号10)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_197872)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)(受入番号XP_002282091)、タルウマゴヤシ(Medicago trunculata)(受入番号ABC59076)、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号、及び国際公開第2016/038095A2号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのKAH核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのKAH酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0079】
6.5.7 チトクロムP450レダクターゼ(CPR)
[0088] チトクロムP450レダクターゼ(EC1.6.2.4)は、上記KO及び/又はKAHの活性を補助又は促進する能力がある。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)(受入番号ABB88839)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(受入番号NP_194183)、ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(受入番号CAE09055)、クソニンジン(Artemisia annua)(受入番号ABC47946.1)、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号、米国特許出願公開第2014/0357588A1号、米国特許出願公開第2015/0159188号、及び国際公開第2016/038095A2号の場合が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのCPR核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのCPR酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0080】
6.5.8 UDP糖転移酵素74G1(UGT74G1)
[0089] UGT74G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール19-COOHトランスフェラーゼとして、またウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシド19-COOHトランスフェラーゼとして機能する能力がある。
図2に示される通り、UGT74G1は、ステビオールを19-グリコシドに変換する能力がある。UGT74G1はまた、ステビオールモノシドをルブソシドに変換する能力がある。UGT74G1はまた、ステビオールビオシドをステビオシドに変換する能力があってもよい。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06920.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT74G1核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT74G1酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0081】
6.5.9 UDP糖転移酵素76G1(UGT76G1)
[0090] UGT76G1は、グルコース部分をアクセプター分子ステビオール1,2グリコシドのC-13-O-グルコースのC-3’に移す能力がある。したがって、UGT76G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-O-1,2グルコシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼ及びウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコース、13-O-1,2ビオシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼとして機能する能力がある。
図2に示される通り、UGT76G1は、ステビオールビオシドをRebBに変換する能力がある。UGT76G1はまた、ステビオシドをRebAに変換する能力がある。UGT76G1はまた、RebDをRebMに変換する能力がある。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06912.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT76G1核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT76G1酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0082】
6.5.10 UDP糖転移酵素85C2(UGT85C2)
[0091] UGT85C2は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-OHトランスフェラーゼ、及びウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコシド13-OHトランスフェラーゼとして機能する能力がある。したがって、
図2に示される通り、UGT85C2は、ステビオールをステビオールモノシドに変換する能力があり、19-グリコシドをルブソシドに変換する能力もある。酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67、並びに米国特許出願公開第2014/0329281A1号及び国際公開第2016/038095A2号及び受入番号AAR06916.1の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT85C2核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT85C2酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0083】
6.5.11 UDP糖転移酵素91D(UGT91D)
[0092] UGT91Dは、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシドトランスフェラーゼとして機能し、グルコース部分をアクセプター分子ステビオール-13-O-グルコシド(ステビオールモノシド)の13-O-グルコースのC-2’に移し、ステビオシドを生成する能力がある。UGT91Dはまた、
図2に示される通り、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとして機能し、グルコース部分をアクセプター分子ルブソシドの13-O-グルコースのC-2’に移し、ステビオシドをもたらす能力がある。UGT91Dは、UGT91D2、UGT91D2e、又はUGT91D-like3とも称される。UGT91D酵素の実例として、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の場合(例えば、受入番号ACE87855.1、米国特許出願公開第2014/0329281A1号、国際公開第2016/038095A2号、及び配列番号7を有するUGT配列の場合)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、これらのUGT91D核酸の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGT91D酵素の少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。
【0084】
6.5.12 RebAをRebD(UGT
AD)に変換する能力があるウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ
[0093] ウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGT
AD)は、
図2に示される通り、グルコース部分をRebAの19-O-グルコースのC-2’位に移し、RebDを生成する能力がある。UGT
ADはまた、グルコース部分をステビオシドの19-O-グルコースのC-2’位に移し、RebEを生成する能力がある。UGTの有用例として、アジアイネ(Oryza sativa)由来のOs_UGT_91C1(Houghton-Larsen et al.、国際公開第2013/022989A2号においてEUGT11とも称される;XP_015629141.1)及びトマト(Solanum lycopersicum)由来のSl_UGT_101249881(Markosyan et al.、国際公開第2014/193888A1号においてUGTSL2とも称される;XP_004250485.1)が挙げられる。さらに有用なUGTとして、UGT40087(XP_004982059.1)、sr.UGT_9252778(配列番号16)、Bd_UGT10840(XP_003560669.1)、Hv_UGT_V1(BAJ94055.1)、Bd_UGT10850(XP_010230871.1)、及びOb_UGT91B1_like(XP_006650455.1)が挙げられる。任意のUGT又はUGT変異体は、本明細書に記載の組成物及び方法において使用可能である。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書に提供される細胞及び方法において有用である。特定の実施形態では、UGTの少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有する核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、これらのUGTの少なくとも1つに対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いる細胞及び方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載のUGT変異体をコードする核酸が本明細書に提供される。
【0085】
[0094] 特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、UGT40087の配列(例えば、配列番号17又は配列番号18)に対して少なくとも80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素をコードする異種核酸を含む。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、RebAをRebDに90%、95%、96%、若しくは97%よりも大きい効率で変換する能力がある。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、糖アクセプタードメインを含むUDP糖転移酵素を含み、ここで糖アクセプタードメインのアミノ酸配列は、配列番号17又は配列番号18の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、ループ1アミノ酸配列、ループ1変異体アミノ酸配列、ループ2アミノ酸配列、ループ2変異体アミノ酸配列、ループ3_1アミノ酸配列、ループ3_1変異体アミノ酸配列、ループ3_2アミノ酸配列、ループ3_2変異体アミノ酸配列、ループ4_1アミノ酸配列、ループ4_1変異体アミノ酸配列、ループ4_2アミノ酸配列、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むUDP糖転移酵素を含む。特定の実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、配列番号17又は配列番号18の糖アクセプタードメインに対して少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含み、配列番号17又は配列番号18のループ4_1アミノ酸配列をさらに含む。
【0086】
[0095] 本明細書で用いられるとき、用語「ループ1変異体」アミノ酸配列は、配列番号17又は18の参照ループ1アミノ酸配列(又は配列番号28の配列を有するUGT40087の修飾ループ1配列)と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なるが、配列番号17又は18のループ1アミノ酸配列位置に対応する位置に各々挿入された、ループ1変異体アミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素が、RebAのRebDへの変換及び/又はステビオシドのRebEへの変換を触媒することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0087】
[0096] 本明細書で用いられるとき、用語「ループ2変異体」アミノ酸配列は、配列番号17又は18の参照ループ2アミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なるが、配列番号17又は18のループ2アミノ酸配列位置に対応する位置に各々挿入された、ループ2変異体アミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素が、RebAのRebDへの変換及び/又はステビオシドのRebEへの変換を触媒することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0088】
[0097] 本明細書で用いられるとき、用語「ループ3_1変異体」アミノ酸配列は、配列番号17又は18の参照ループ3_1アミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なるが、配列番号17又は18のループ3_1アミノ酸配列位置に対応する位置に挿入された、ループ3_1変異体アミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素が、RebAのRebDへの変換及び/又はステビオシドのRebEへの変換を触媒することを可能にするアミノ酸配列を指す。本明細書で用いられるとき、用語「ループ3_2変異体」アミノ酸配列は、配列番号17又は18の参照ループ3_2アミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なるが、配列番号17又は18のループ3_2アミノ酸配列位置に対応する位置に各々挿入された、ループ3_2変異体アミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素が、RebAのRebDへの変換及び/又はステビオシドのRebEへの変換を触媒することを可能にするアミノ酸配列を指す。特定の実施形態では、ループ3_2変異体アミノ酸配列は、参照ループ3_2アミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくは最大30のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なる。
【0089】
[0098] 本明細書で用いられるとき、用語「ループ4_1変異体」アミノ酸配列は、配列番号17又は18の参照ループ4_1アミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくは最大30のアミノ酸挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換だけ異なるが、配列番号17又は18のループ4_1アミノ酸位置に対応する位置に挿入された、ループ4_1変異体配列を含むUDP糖転移酵素が、RebAのRebDへの変換及び/又はステビオシドのRebEへの変換を触媒することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0090】
[0099] 特定の実施形態では、宿主細胞は、UGT40087の機能ドメインを含み、ここでUGT40087は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むUGT40087のN末端糖アクセプタードメインを含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むUGT40087のC末端糖ドナードメインを含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖アクセプタードメインは、(配列番号17のアミノ酸1~215位に対応する)配列番号18のアミノ酸の約1~214位を含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖ドナードメインは、(配列番号17のアミノ酸216~436位に対応する)配列番号18のアミノ酸の約215~435位を含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖アクセプタードメインは、配列番号17のアミノ酸の約1~215位を含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖ドナードメインは、配列番号17の216~436のおよそのアミノ酸位置を含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖アクセプタードメイン及び糖ドナードメインは各々、配列番号18に関して、1~214又は215又は435よりも狭い範囲のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態では、UGT40087の糖アクセプタードメイン及び糖ドナードメインは各々、配列番号17に関して、1~215又は216~436よりも狭い範囲のアミノ酸残基を含む。
【0091】
[00100] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも99%、若しくは60%~99%の間のいずれかの百分率が同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書に提供される。
【0092】
[00101] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列を含むUGT40087をコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。
【0093】
[00102] 特定の実施形態では、UGT40087と別のUDP糖転移酵素との三次元モデル構造が比較及び分析されたとき、それらはN末端糖アクセプタードメインで有意な立体構造的差異を有する4つのループ(即ち、ループ1、ループ2、ループ3、及びループ4)を示した。2つのUGT間での対応するループ配列の交換からの実験的結果は、UGT40087のループ1、ループ2、ループ3_1、ループ3_2、及びループ4_1が、それら各々の、RebAからRebDに変換する能力がある他のUDP糖転移酵素からの対応するループ配列と置換可能であることを示した。これらの実施形態では、ループ3の2バージョン(即ち、ループ3_1及びループ3_2)及びループ_4の2バージョン(即ち、ループ4_1及びループ4_2)は、2つの可能なループ長に相当するように設計された。
【0094】
[00103] したがって、特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素をコードする異種核酸を含む。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ1アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のループ1アミノ酸配列は、配列番号30のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、ループ1アミノ酸配列は、配列番号28の配列を有する。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、ループ1変異体アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。ループ1変異体アミノ酸配列は、配列番号17若しくは18の参照ループ1アミノ酸配列又は配列番号28を有するループ1アミノ酸配列と異なるが、ループ1アミノ酸変異体を含むUDP糖転移酵素が、RebAをRebDに変換し、及び/又はステビオシドをRebEに変換するためのその活性を保持することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0095】
[00104] 特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ2アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のループ2アミノ酸配列は、配列番号24のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、ループ2変異体アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。ループ2変異体アミノ酸配列は、配列番号17若しくは18の参照ループ2アミノ酸配列と異なるが、ループ2アミノ酸変異体を含むUDP糖転移酵素が、RebAをRebDに変換し、及び/又はステビオシドをRebEに変換するためのその活性を保持することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0096】
[00105] 特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ3_1アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ3_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のループ3_1アミノ酸配列は、配列番号25のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、ループ3_1変異体アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ3_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。ループ3_1変異体アミノ酸配列は、配列番号17若しくは18の参照ループ3_1アミノ酸配列と異なるが、ループ3_1アミノ酸変異体を含むUDP糖転移酵素が、RebAをRebDに変換し、及び/又はステビオシドをRebEに変換するためのその活性を保持することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0097】
[00106] 特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ3_2アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ3_2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のループ3_2アミノ酸配列は、配列番号26のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、ループ3_2変異体アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ3_2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。ループ3_2変異体アミノ酸配列は、配列番号17若しくは18の参照ループ3_2アミノ酸配列と異なるが、ループ3_2アミノ酸変異体を含むUDP糖転移酵素が、RebAをRebDに変換し、及び/又はステビオシドをRebEに変換するためのその活性を保持することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0098】
[00107] 特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ4_1アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ4_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18のループ4_1アミノ酸配列は、配列番号27のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、ループ4_1変異体アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ4_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。ループ4_1変異体アミノ酸配列は、配列番号17若しくは18の参照ループ4_1アミノ酸配列と異なるが、ループ4_1アミノ酸変異体を含むUDP糖転移酵素が、RebAをRebDに変換し、及び/又はステビオシドをRebEに変換するためのその活性を保持することを可能にするアミノ酸配列を指す。
【0099】
[00108] 特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、UGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ4_2アミノ酸配列を、配列番号17又は18のループ4_2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置に各々、さらに含む。配列番号17又は18のループ4_2アミノ酸配列は、配列番号28のアミノ酸配列を有する。
【0100】
[00109] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素、又はそのUDP糖転移酵素をコードする異種核酸を含み、且つ以下:
(a)配列番号17若しくは18のループ1アミノ酸配列、配列番号30のアミノ酸配列、又は配列番号17若しくは18のループ1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々でのループ1変異体アミノ酸配列;
(b)配列番号17若しくは18のループ2アミノ酸配列、又は配列番号17若しくは18のループ2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々でのループ2変異体アミノ酸配列;
(c)配列番号17若しくは18のループ3_1アミノ酸配列、又は配列番号17若しくは18のループ3_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々でのループ3_1変異体アミノ酸配列;
(d)配列番号17若しくは18のループ3_2アミノ酸配列、又は配列番号17若しくは18のループ3_2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々でのループ3_2変異体アミノ酸配列;
(e)配列番号17若しくは18のループ4_1アミノ酸配列、又は配列番号17若しくは18のループ4_1位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々でのループ4_1変異体アミノ酸配列;及び
(f)配列番号17若しくは18のループ4_2位置に対応するUDP糖転移酵素の位置各々での配列番号17若しくは18のループ4_2アミノ酸配列、
のいずれかの組み合わせをさらに含む。
【0101】
[00110] 特定の実施形態では、RebAをRebDに変換する能力があるUDP糖転移酵素の三次元モデル構造が比較及び分析されたとき、UGT40087のループ4_1が、別のUDP糖転移酵素の対応するループ4_1位置に組み込まれる(且つその天然ループ4_1アミノ酸配列を置換する)とき、UDP糖転移酵素変異体の、RebAをRebDに変換するその能力の観点での優れた活性をもたらすことが発見された。実施例12を参照のこと。これらの結果は、RebAをRebDに変換するため、いずれかの好適なUDP糖転移酵素のループ4_1アミノ酸配列が配列番号17又は18のループ4_1アミノ酸配列と置換されうることを示す。
【0102】
[00111] したがって、特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含み、且つUGT40087(即ち、配列番号17又は18)のループ4_1アミノ酸配列(即ち、配列番号27)をさらに含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素をコードする異種核酸を含み、且つ配列番号17又は18のループ4_1アミノ酸配列(例えば配列番号27)をさらに含む。特定の実施形態では、配列番号17又は18に対して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%であるアミノ酸配列を含むいずれかの好適なUDP糖転移酵素は、配列番号17又は18からのループ4_1アミノ酸配列をその対応するループ4_1位置で組み込む(その天然ループ4_1アミノ酸配列を置換する)のに使用可能である。例えば、Ob_UGT91B_like、Hv_UGT_V1、Sl_UGT_101249881、Sr.UGT_g252778、Os_UGT_91C1、Bd_UGT10840、Bd_UGT10850、又はSi91Dlikeは、配列番号17又は18からのループ4_1アミノ酸配列をその対応するループ4_1位置に組み込むための基盤として使用可能である。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、配列番号33のアミノ酸配列を含む。
【0103】
[00112] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0104】
[00113] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列を含むUGT40087をコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。
【0105】
[00114] したがって、特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号17又は18のC末端糖ドナードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素をコードする異種核酸を含む。特定の実施形態では、UDP糖転移酵素は、他のUDP糖転移酵素からのC末端糖ドナードメインをさらに含む。好適なC末端糖ドナードメインを有する他のUDP糖転移酵素の例として、Ob_UGT91B_like、Hv_UGT_V1、SI_UGT_101249881、Sr.UGT_g252778、Os_UGT_91C1、Bd_UGT10840、Bd_UGT10850、又はSi91Dlikeが挙げられる。
【0106】
[00115] 特定の実施形態では、N末端糖アクセプタードメイン内の特定のアミノ酸残基が、非機能的な推定上のUDP糖転移酵素の活性のあるUDP糖転移酵素への触媒活性を回復しうることが発見された。したがって、宿主細胞は、配列番号17又は18のN末端糖アクセプタードメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含み、且つ以下のアミノ酸残基:
(a)配列番号18のアミノ酸位置11に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのバリン;
(b)配列番号18のアミノ酸位置12に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのイソロイシン;
(c)配列番号18のアミノ酸位置55に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのプロリン;
(d)配列番号18のアミノ酸位置90に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのグルタミン酸;
(e)配列番号18のアミノ酸位置203に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのセリン;
(f)配列番号18のアミノ酸位置223に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのグルタミン酸;又は
(g)配列番号18のアミノ酸位置413に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置でのバリン、
の1又は複数をさらに含み、ここで配列番号18のアミノ酸位置に対応するUDP糖転移酵素のアミノ酸位置は、配列アライメントによって決定される。
【0107】
[00116] 特定の実施形態では、宿主細胞は、配列番号32のアミノ酸配列を含むUDP糖転移酵素を含む。
【0108】
[00117] 特定の実施形態では、宿主細胞は、上記のUGT40087ポリペプチドの変異体を含む。特定の実施形態では、変異体は、UGT40087ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のアミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、変異体は、UGT40087ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の保存的アミノ酸置換を含みうる。特定の実施形態では、本明細書に記載の核酸のいずれかは、宿主細胞について、例えばコドン最適化により最適化されうる。有用な核酸は、配列番号35及び36を含む。
【0109】
6.6 MEV経路FPP及び/又はGGPPの生成
[00118] いくつかの実施形態では、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞は、FPP及び/又はGGPPの形成にとって有用なMEV経路の1又は複数の異種酵素を含む。
図1Dを参照のこと。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、アセトアセチルCoAを形成するため、アセチルCoAをマロニルCoAと縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、アセトアセチルCoAを形成するため、アセチルCoAの2分子を縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、HMG-CoAを形成するため、アセトアセチルCoAをアセチルCoAと縮合する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する酵素を含む。いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む。
【0110】
[00119] いくつかの実施形態では、MEV経路の1又は複数の酵素は、アセチルCoAチオラーゼ、アセトアセチルCoAシンテターゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ及びメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アセトアセチルCoAの形成を触媒する能力があるMEV経路の酵素に関しては、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチルCoAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセチルCoAチオラーゼを形成する酵素;又はアセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセトアセチルCoAシンターゼを形成する酵素のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチルCoAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセチルCoAチオラーゼを形成する酵素;及びアセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoA、例えばアセトアセチルCoAシンターゼを形成する酵素の双方を含む。
【0111】
[00120] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の2つ以上の酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の2つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換しうる酵素及びメバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換しうる酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の3つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の4つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の5つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の6つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の7つの酵素をコードする1又は複数の異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路の酵素のすべてをコードする複数の異種核酸を含む。
【0112】
[00121] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、IPP及び/又はDMAPP分子を縮合し、ポリプレニル化合物を形成しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、IPP又はポリプレニルを修飾し、FPPなどのイソプレノイド化合物を形成しうる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。
【0113】
6.6.1 アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換
[00122] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、アセチル-コエンザイムAの2分子を縮合し、アセトアセチルCoAを形成しうる酵素、例えばアセチルCoAチオラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913領域:2324131.2325315;大腸菌(Escherichia coli))、(D49362;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans))、及び(L20428;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0114】
[00123] アセチルCoAチオラーゼは、アセチルCoAの2分子の可逆的縮合を触媒し、アセトアセチルCoAを生成するが、この反応は熱力学的に好ましくなく、アセトアセチルCoA合成にわたり、アセトアセチルCoAチオリシスが好ましい。アセトアセチルCoAシンターゼ(AACS)(或いはアセチルCoA:マロニルCoAアシルトランスフェラーゼと称される;EC2.3.1.194)は、アセチルCoAをマロニルCoAと縮合し、アセトアセチルCoAを形成する。アセチルCoAチオラーゼと対照的に、AACSによって触媒されるアセトアセチルCoA合成は、それに伴うマロニルCoAの脱炭酸に起因し、本質的にエネルギー的に好ましい反応(energy-favored reaction)である。さらに、AACSは、アセトアセチルCoAに対してチオリシス活性を示さず、それ故、反応は不可逆的である。
【0115】
[00124] アセチルCoAチオラーゼ及び異種ADA及び/又はホスホトランスアセチラーゼ(PTA)を含む宿主細胞では、アセトアセチルCoAチオリシスを支持する、アセチルCoAチオラーゼによって触媒される可逆反応は、大規模なアセチルCoAプールを生じることがある。ADAの可逆的活性を考慮すると、このアセチルCoAプールは、次第にアセチルCoAをアセトアルデヒドに変換する可逆反応の方にADAを駆動し、それにより、アセチルCoAの生成に向けて、ADAによってもたらされる利点が減少することがある。同様に、PTAの活性は可逆的であり、それ故、大規模なアセチルCoAプールが、アセチルCoAをアセチルリン酸に変換する可逆反応の方にPTAを駆動することがある。したがって、いくつかの実施形態では、アセチルCoAに対する強力な引力をもたらし、ADA及びPTAの正反応を駆動するため、本明細書に提供される遺伝子組換え宿主細胞のMEV経路は、アセトアセチルCoAシンターゼを利用し、アセトアセチルCoAをアセチルCoA及びマロニルCoAから形成する。
【0116】
[00125] いくつかの実施形態では、AACSは、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190に由来する(Okamura et al., Proc Natl Acad Sci USA 107(25):11265-70 (2010))。ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190の代表的なAACSヌクレオチド配列は、受入番号AB540131.1を含む。ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)株CL190の代表的なAACSタンパク質配列は、受入番号D7URV0、BAJ10048を含む。本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な他のアセトアセチルCoAシンターゼとして、限定はされないが、ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)(AB183750;KO-3988BAD86806);S.アヌラツス(S. anulatus)株9663(FN178498;CAX48662);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)KO-3988(AB212624;BAE78983);アクチノプラネス種(Actinoplanes sp.)A40644(AB113568;BAD07381);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)C(NZ_ACEW010000640;ZP_05511702);ノカルジオプシス・ダッソンビエイ(Nocardiopsis dassonvillei)DSM43111(NZ_ABUI01000023;ZP_04335288);マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)Agy99(NC_008611;YP_907152);マイコバクテリウム・マリナム(Mycobacterium marinum)M(NC_010612;YP_001851502);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)Mg1(NZ_DS570501;ZP_05002626);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)AA4(NZ_ACEV01000037;ZP_05478992);S.ロゼオスポラス(S. roseosporus)NRRL15998(NZ_ABYB01000295;ZP_04696763);ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)ACTE(NZ_ADFD01000030;ZP_06275834);S.ビリドクロモゲネス(S. viridochromogenes)DSM40736(NZ_ACEZ01000031;ZP_05529691);フランキア種(Frankia sp.)CcI3(NC_007777;YP_480101);ノカルジア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)(NC_018681;YP_006812440.1);及びオーストウィッキア・ケロネ(Austwickia chelonae)(NZ_BAGZ01000005;ZP_10950493.1)が挙げられる。さらなる好適なアセトアセチルCoAシンターゼとして、米国特許出願公開第2010/0285549号及び米国特許出願公開第2011/0281315号(それらの内容は、それら全体が参照により援用される)に記載のものが挙げられる。
【0117】
[00126] 本明細書に提供される組成物及び方法においても有用なアセトアセチルCoAシンターゼは、本明細書に記載のアセトアセチルCoAシンターゼのいずれかの「誘導体」であると言われる分子を含む。かかる「誘導体」は、(1)本明細書に記載のアセトアセチルCoAシンターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;及び(2)アセチルCoAとマロニルCoAとの不可逆的縮合を触媒し、アセトアセチルCoAを形成する能力がある、という特徴を有する。アセトアセチルCoAシンターゼの誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、アセトアセチルCoAシンターゼの場合と同様、少なくとも80%、またより好ましくは少なくとも90%、また最も好ましくは少なくとも95%である場合、アセトアセチルCoAシンターゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。
【0118】
6.6.2 アセトアセチルCoAのHMG-CoAへの変換
[00127] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、アセトアセチルCoAをアセチルCoAのもう一つの分子と縮合し、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)を形成しうる酵素、例えばHMG-CoAシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_001145.相補体19061.20536;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(X96617;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(BT007302;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_002758、遺伝子座タグSAV2546、GeneID1122571;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))が挙げられる。
【0119】
6.6.3 HMG-CoAのメバロン酸への変換
[00128] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換しうる酵素、例えばHMG-CoAレダクターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、HMG-CoAレダクターゼは、NADHを用いるヒドロキシメチルグルタリル-CoAレダクターゼ-CoAレダクターゼである。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.34;EC1.1.1.88)は、(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸の還元的脱アシル化を触媒し、且つクラスI及びクラスII HMGrsの2つのクラスに分類されうる。クラスIは、真核生物及び大部分の古細菌からの酵素を含み、またクラスIIは、特定の原核生物及び古細菌のHMG-CoAレダクターゼを含む。配列における分岐に加えて、2クラスの酵素はまた、それらの補助因子特異性に関して異なる。NADPHを排他的に利用するクラスI酵素と異なり、クラスIIのHMG-CoAレダクターゼは、NADPHとNADHとの間を識別する能力が変化する。例えば、Hedl et al., Journal of Bacteriology 186 (7): 1927-1932 (2004)を参照のこと。クラスIIのHMG-CoAレダクターゼを選択するための補助因子特異性は、以下に提供される。
【0120】
【0121】
[00129] 本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用なHMG-CoAレダクターゼは、NADHを補助因子として利用することができるHMG-CoAレダクターゼ、例えばP.メバロニイ(P. mevalonii)、A.フルギドゥス(A. fulgidus)又は黄色ブドウ球菌(S. aureus)に由来するHMG-CoAレダクターゼを含む。特定の実施形態では、HMG-CoAレダクターゼは、専らNADHを補助因子として用いる能力があり、例えば、P.メバロニイ(P. mevalonii)、S.ポメロイ(S. pomeroyi)又はD.アシドボランス(D. acidovorans)に由来するHMG-CoAレダクターゼが挙げられる。
【0122】
[00130] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)に由来する。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.88)をコードするシュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の野生型mvaA遺伝子の配列については前述されている。Beach and Rodwell, J. Bacteriol. 171:2994-3001 (1989)を参照のこと。シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の代表的なmvaAヌクレオチド配列は、受入番号M24015を含む。シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号AAA25837、P13702、MVAA_PSEMVを含む。
【0123】
[00131] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)に由来する。シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)の代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列は、受入番号NC_006569.1を含む。シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号YP_164994を含む。
【0124】
[00132] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)に由来する。デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)の代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列は、NC_010002REGION:相補体(319980..321269)を含む。デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)の代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列は、受入番号YP_001561318を含む。
【0125】
[00133] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、ジャガイモ(Solanum tuberosum)に由来する(Crane et al., J. Plant Physiol. 159:1301-1307 (2002))。
【0126】
[00134] 本明細書に提供される組成物及び方法においても有用なNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、本明細書に記載のNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼのいずれかの「誘導体」と言われる分子を含み、例えば、P.メバロニイ(P. mevalonii)、S.ポメロイ(S. pomeroyi)及びD.アシドボランス(D. acidovorans)に由来する。かかる「誘導体」は、(1)本明細書に記載のNADHを用いるHMG-CoAレダクターゼのいずれかと実質的相同性を共有する;及び(2)(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸への還元的脱アシル化を触媒する一方で、優先的には補助因子としてNADHを用いる能力がある、という特徴を有する。NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼの誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼの場合と同様、少なくとも80%、またより好ましくは少なくとも90%、また最も好ましくは少なくとも95%である場合、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼと「実質的相同性」を共有すると言われる。
【0127】
[00135] 本明細書で用いられるとき、語句「NADHを用いる」は、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼが、例えばNADHに対する比活性がNADPHに対する比活性よりも高いことを示すことにより、補助因子としてNADPHよりもNADHについて選択的であることを意味する。いくつかの実施形態では、補助因子としてのNADHについての選択性は、kcat
(NADH)/kcat
(NADPH)比として表される。いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、少なくとも5、10、15、20、25の、又は25よりも大きいkcat
(NADH)/kcat
(NADPH)比を有する。いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、NADHを排他的に用いる。例えば、NADHを排他的に用いる、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、インビトロで唯一の補助因子として供されるNADHによりいくつかの活性を呈し、またNADPHが唯一の補助因子として供されるとき、検出可能な活性を呈しない。当該技術分野で公知の、補助因子特異性を決定するためのいずれかの方法を用いて、補助因子としてNADHに対する優先度を有するHMG-CoAレダクターゼ、例えば、Kim et al., Protein Science 9:1226-1234 (2000);及びWilding et al., J. Bacteriol. 182(18):5147-52(2000)(それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される)によって記載のものを同定することができる。
【0128】
[00136] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、NAPDHよりもNADHについて選択的であるように、例えば補助因子結合ポケットの部位特異的変異誘発を通じて改変される。NADHの選択性を改変するための方法は、Watanabe et al., Microbiology 153:3044-3054 (2007)に記載されており、またHMG-CoAレダクターゼの補助因子特異性を決定するための方法は、Kim et al., Protein Sci. 9:1226-1234 (2000)に記載されており、それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される。
【0129】
[00137] いくつかの実施形態では、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼは、天然にメバロン酸分解経路を含む宿主種、例えばメバロン酸をその唯一の炭素源として異化する宿主種に由来する。これらの実施形態の中で、通常は内在化された(R)-メバロン酸のその天然宿主細胞内の(S)-HMG-CoAへの酸化的アシル化を触媒する、NADHを用いるHMG-CoAレダクターゼが、メバロン酸生合成経路を含む遺伝子組換え宿主細胞内での、可逆反応、即ち(S)-HMG-CoAの(R)-メバロン酸への還元的脱アシル化を触媒するため、利用される。唯一の炭素源としてのメバロン酸で増殖可能な原核生物については、Anderson et al., J. Bacteriol, 171(12):6468-6472 (1989); Beach et al., J. Bacteriol. 171:2994-3001 (1989); Bensch et al., J. Biol. Chem. 245:3755-3762; Fimongnari et al., Biochemistry 4:2086-2090 (1965); Siddiqi et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 8:110-113 (1962); Siddiqi et al., J. Bacteriol. 93:207-214 (1967);及びTakatsuji et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.110:187-193 (1983)(それらの内容は、それら全体がここで参照により援用される)により記載されている。
【0130】
[00138] 本明細書に提供される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、宿主細胞は、NADHを用いるHMGrとNADPHを用いるHMG-CoAレダクターゼの双方を含む。NADPHを用いるHMG-CoAレダクターゼをコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NM_206548;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、(NC_002758、遺伝子座タグSAV2545、GeneID1122570;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、(AB015627;ストレプトマイセス種(Streptomyces sp.)KO3988)、(AX128213、切断されたHMG-CoAレダクターゼをコードする配列を提供する;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、及び(NC_001145:相補体(115734.118898;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0131】
6.6.4 メバロン酸のメバロン酸-5-リン酸への変換
[00139] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換しうる酵素、例えばメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(L77688;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、及び(X55875;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0132】
6.6.5 メバロン酸-5-リン酸のメバロン酸-5-ピロリン酸への変換
[00140] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換しうる酵素、例えばホスホメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(NM_006556;ヒト(Homo sapiens))、及び(NC_001145.相補体712315.713670;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が挙げられる。
【0133】
6.6.6 メバロン酸-5-ピロリン酸のIPPへの変換
[00141] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換しうる酵素、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(X97557;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(AF290095;フェシウム菌(Enterococcus faecium))、及び(U49260;ヒト(Homo sapiens))が挙げられる。
【0134】
6.6.7 IPPのDMAPPへの変換
[00142] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、MEV経路を介して生成されたIPPをジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換しうる酵素、例えばIPPイソメラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(NC_000913、3031087.3031635;大腸菌(Escherichia coli))、及び(AF082326;ヘマトコッカス藻(Haematococcus pluvialis))が挙げられる。
【0135】
6.6.8 ポリプレニルシンターゼ
[00143] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPP及び/又はDMAPP分子を縮合し、6つ以上の炭素を含有するポリプレニル化合物を形成しうるポリプレニルシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0136】
[00144] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPの1分子をDMAPPの1分子と縮合し、ゲラニルピロリン酸(「GPP」)の1分子を形成しうる酵素、例えばGPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(AF513111;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513112;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AF513113;アメリカオオモミ(Abies grandis))、(AY534686;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(AY534687;キンギョソウ(Antirrhinum majus))、(Y17376;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AE016877、遺伝子座AP11092;セレウス菌(Bacillus cereus);ATCC14579)、(AJ243739;スイートオレンジ(Citrus sinensis))、(AY534745;クラルキア・ブレウェリ(Clarkia breweri))、(AY953508;イプス・ピニ(Ips pini))、(DQ286930;トマト(Lycopersicon esculentum))、(AF182828;ペパーミント(Mentha x piperita))、(AF182827;ペパーミント(Mentha x piperita))、(MPI249453;ペパーミント(Mentha x piperita))、(PZE431697、遺伝子座CAD24425;パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens))、(AY866498;ピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurrooa))、(AY351862;ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera))、及び(AF203881、遺伝子座AAF12843;ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis))が挙げられる。
【0137】
[00145] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPの2分子をDMAPPの1分子と縮合するか又はIPPの分子をGPPの分子に付加し、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)の分子を形成しうる酵素、例えばFPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATU80605;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ATHFPS2R;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AAU36376;クソニンジン(Artemisia annua))、(AF461050;ウシ(Bos taurus))、(D00694;大腸菌(Escherichia coli)K-12)、(AE009951、遺伝子座AAL95523;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum subsp. nucleatum)ATCC25586)、(GFFPPSGEN;ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(CP000009、遺伝子座AAW60034;グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)621H)、(AF019892;ヒマワリ(Helianthus annuus))、(HUMFAPS;ヒト(Homo sapiens))、(KLPFPSQCR;クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis))、(LAU15777;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(LAU20771;シロバナハウチワマメ(Lupinus albus))、(AF309508;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(NCFPPSGEN;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(PAFPS1;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(PAFPS2;グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum))、(RATFAPS;ラット(Rattus norvegicus))、(YSCFPP;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(D89104;分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe))、(CP000003、遺伝子座AAT87386;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(CP000017、遺伝子座AAZ51849;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes))、(NC_008022、遺伝子座YP_598856;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10270)、(NC_008023、遺伝子座YP_600845;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS2096)、(NC_008024、遺伝子座YP_602832;化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)MGAS10750)、(MZEFPS;トウモロコシ(Zea mays))、(AE000657、遺伝子座AAC06913;超好熱性真正細菌(Aquifex aeolicus)VF5)、(NM_202836;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(D84432、遺伝子座BAA12575;枯草菌(Bacillus subtilis))、(U12678、遺伝子座AAC28894;ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)USDA110)、(BACFDPS;ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus))、(NC_002940、遺伝子座NP_873754;軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)35000HP)、(L42023、遺伝子座AAC23087;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)RdKW20)、(J05262;ヒト(Homo sapiens))、(YP_395294;ラクトバチルス・サケイ亜種サケイ(Lactobacillus sakei subsp. sakei)23K)、(NC_005823、遺伝子座YP_000273;レプトスピラ・インテロガンス血清型コペンハーゲンstr.(Leptospira interrogans serovar Copenhageni str.)Fiocruz L1-130)、(AB003187;ルテウス菌(Micrococcus luteus))、(NC_002946、遺伝子座YP_208768;淋菌(Neisseria gonorrhoeae)FA1090)、(U00090、遺伝子座AAB91752;根粒菌(Rhizobium sp.)NGR234)、(J05091;出芽酵母(Saccharomyces cerevisae))、(CP000031、遺伝子座AAV93568;シリシバクター・ポメロイ(Silicibacter pomeroyi)DSS-3)、(AE008481、遺伝子座AAK99890;肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)R6)、及び(NC_004556、遺伝子座NP779706;ピアス病菌(Xylella fastidiosa)Temecula1)が挙げられる。
【0138】
[00146] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、IPPとDMAPP又はIPPとFPPを組み合わせることで、ゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)を形成しうる酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。かかる酵素をコードするヌクレオチド配列の実例として、限定はされないが、(ATHGERPYRS;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(BT005328;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NM_119845;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NZ_AAJM01000380、遺伝子座ZP_00743052;バチルス・チューリンゲンシス・セロバー・イスラエレンシス(Bacillus thuringiensis serovar israelensis)、ATCC35646 sq1563)、(CRGGPPS;ニチニチソウ(Catharanthus roseus))、(NZ_AABF02000074、遺伝子座ZP_00144509;フソバクテリウム・ヌクレアタム亜種ビンセンティ(Fusobacterium nucleatum subsp. vincentii)、ATCC49256)、(GFGGPPSGN;ギベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、(AY371321;イチョウ(Ginkgo biloba))、(AB055496;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis))、(AB017971;ヒト(Homo sapiens))、(MCI276129;ムコール・シルシネロイデス・エフ・ルシタニコス(Mucor circinelloides f. lusitanicus))、(AB016044;ムス・ムスクルス(Mus musculus))、(AABX01000298、遺伝子座NCU01427;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(NCU20940;アカパンカビ(Neurospora crassa))、(NZ_AAKL01000008、遺伝子座ZP_00943566;青枯病菌(Ralstonia solanacearum)UW551)、(AB118238;ラット(Rattus norvegicus))、(SCU31632;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))、(AB016095;シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongates))、(SAGGPS;シナピス・アルバ(Sinapis alba))、(SSOGDS;スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius))、(NC_007759、遺伝子座YP_461832;シントロファス・アシディトロフィクス(Syntrophus aciditrophicus)SB)、(NC_006840、遺伝子座YP_204095;ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri)ES114)、(NM_112315;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(ERWCRTE;パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans))、(D90087、遺伝子座BAA14124;パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis))、(X52291、遺伝子座CAA36538;ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus))、(AF195122、遺伝子座AAF24294;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides))、及び(NC_004350、遺伝子座NP_721015;ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)UA159)が挙げられる。
【0139】
[00147] メバロン酸経路の酵素の例が上に示される一方、特定の実施形態では、本明細書に記載の宿主細胞、組成物及び方法においてDMAPP及びIPPを生成するための代替的又は追加的経路として、DXP経路の酵素が使用可能である。DXP経路の酵素及び酵素をコードする核酸は、当該技術分野で周知であり、特徴づけられている(国際公開第2012/135591A2号)。
【0140】
6.7 ステビオールグリコシドを生成する方法
[00148] 別の態様では、ステビオールグリコシドを生成するための方法であって、
(a)炭素源を有する培地中でのステビオールグリコシドを生成する能力がある本明細書に記載の遺伝子組換え宿主細胞のいずれかの集団をステビオールグリコシド化合物の作製に適した条件下で培養するステップと;(b)前記ステビオールグリコシド化合物を培地から回収するステップと、を含む、方法が本明細書に提供される。
【0141】
[00149] いくつかの実施形態では、遺伝子組換え宿主細胞は、遺伝子組換え宿主細胞の1又は複数の修飾を含まない親細胞、又は1又は複数の修飾のサブセットのみを含む親細胞と比べて増量のステビオールグリコシドを生成するが、それ以外では遺伝的に同一である。いくつかの実施形態では、増量は、例えば、収量、生成、生産性において、g/L細胞培養物、mg/g乾燥細胞重量で、細胞培養物の単位体積あたりを基準に、単位乾燥細胞重量あたりを基準に、単位時間あたりで細胞培養物の単位体積あたりを基準に、又は単位時間あたりで単位乾燥細胞重量あたりを基準に測定されるとき、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%であるか、又は100%を超える。
【0142】
[00150] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、発酵培地1リットルあたり約10グラムを超える、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。いくつかのかかる実施形態では、ステビオールグリコシドは、細胞培養物1リットルあたり約10~約50グラム、約15グラム超、約20グラム超、約25グラム超、又は約30グラム超の量で生成される。
【0143】
[00151] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、約50mg超/g乾燥細胞重量の上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。いくつかのかかる実施形態では、ステビオールグリコシドは、約50~約1500mg、約100mg超、約150mg超、約200mg超、約250mg超、約500mg超、約750mg超、又は約1000mg超/g乾燥細胞重量の量で生成される。
【0144】
[00152] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、細胞培養物の単位体積あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルよりも、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0145】
[00153] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位乾燥細胞重量あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0146】
[00154] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位時間あたりで細胞培養物の単位体積あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0147】
[00155] いくつかの実施形態では、宿主細胞は、単位時間あたりで単位乾燥細胞重量あたりを基準に、親細胞によって生成されるステビオールグリコシドのレベルより、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1,000倍、又はそれ以上高い、上昇レベルのステビオールグリコシドを生成する。
【0148】
[00156] ほとんどの実施形態では、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成は、誘導化合物により誘導可能である。かかる宿主細胞は、誘導化合物の不在下で容易に操作可能である。次に、誘導化合物が添加され、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成が誘導される。他の実施形態では、宿主細胞による上昇レベルのステビオールグリコシドの生成は、培養条件、例えば増殖温度、培地成分などを変更することにより誘導可能である。
【0149】
6.8 培地及び条件
[00157] 微生物培養物の維持及び増殖のための材料及び方法は、微生物学又は発酵科学の当業者にとって周知である(例えば、Bailey et al., Biochemical Engineering Fundamentals, second edition, McGraw Hill, New York, 1986を参照)。適切な培地、pH、温度、及び好気性、微好気性、又は嫌気性条件に対する要件に対して、宿主細胞、発酵、及びプロセスの具体的要件に応じて検討がなされる必要がある。
【0150】
[00158] 本明細書に提供されるステビオールグリコシドを生成する方法は、限定はされないが、細胞培養プレート、フラスコ、又は発酵槽を含む好適な容器内の好適な培地(例えば、パントテン酸補充の存在下又は不在下)中で実施されてもよい。さらに、方法は、微生物産物の工業生産を支持するため、当該技術分野で公知の発酵のいずれかの規模で実施されうる。撹拌タンク発酵槽、エアリフト発酵槽、バブル発酵槽、又はそれらのいずれかの組み合わせを含む任意の好適な発酵槽が用いられてもよい。宿主細胞として出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いる特定の実施形態では、Kosaric, et al, in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Volume 12, pages 398-473, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KDaA, Weinheim, Germanyで詳述の通り、株は発酵槽内で増殖されうる。
【0151】
[00159] いくつかの実施形態では、培地は、ステビオールグリコシドを生成する能力がある遺伝子組換え微生物が存続しうる、即ち増殖及び生存度を維持しうるような任意の培地である。いくつかの実施形態では、培地は、同化可能な炭素源、窒素源及びリン酸源を含む水性培地である。かかる培地はまた、適切な塩、ミネラル、金属及び他の栄養素を含みうる。いくつかの実施形態では、炭素源及び必須細胞栄養素の各々は、発酵培地に増加的又は継続的に添加され、また必要とされる各栄養素は、例えば炭素源をバイオマスに変換する細胞の代謝又は呼吸機能に基づく所定の細胞増殖曲線に従い、増殖細胞による効率的同化にとって必要とされる本質的に最小レベルで維持される。
【0152】
[00160] 微生物を培養するための好適な条件及び好適な培地は、当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、好適な培地は、例えば、インデューサー(例えば、遺伝子産物をコードする1又は複数のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にあるとき)、リプレッサー(例えば、遺伝子産物をコードする1又は複数のヌクレオチド配列が抑制可能なプロモーターの制御下にあるとき)、又は選択剤(例えば、遺伝子修飾を含む微生物について選択するための抗生物質)などの1又は複数の追加的な作用物質が添加される。
【0153】
[00161] いくつかの実施形態では、炭素源は、単糖(単糖類)、二糖、多糖、非発酵性炭素源、又はそれらの1又は複数の組み合わせである。好適な単糖の非限定例として、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、リボース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な二糖の非限定例として、スクロース、ラクトース、麦芽糖、トレハロース、セロビオース、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な多糖の非限定例として、デンプン、グリコゲン、セルロース、キチン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な非発酵性炭素源の非限定例として、酢酸塩及びグリセロールが挙げられる。
【0154】
[00162] 培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、細胞増殖を促進しても、使用微生物の増殖を抑制するほどに高い必要がない。典型的には、培養は、検出不能なレベル(検出限界は約<0.1g/lである)であるが、増殖及びバイオマスの所望されるレベルを達成するためのレベルで添加されている炭素源、例えばグルコースを用いて実施される。他の実施形態では、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、約1g/Lより大きい、好ましくは約2g/Lより大きい、またより好ましくは約5g/Lより大きい。さらに、培地中の炭素源、例えばグルコースの濃度は、典型的には約100g/Lより少ない、好ましくは約50g/Lより少ない、またより好ましくは約20g/Lより少ない。培養成分濃度に関しては、初期及び/又は進行中の両成分濃度を指すことは注目されるべきである。場合によっては、培養中、培地において炭素源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0155】
[00163] 好適な培地中で使用可能である同化可能な窒素の供給源として、限定はされないが、単純な窒素源、有機窒素源及び複合窒素源が挙げられる。かかる窒素源は、無水アンモニア、アンモニウム塩、並びに動物、野菜及び/又は微生物起源の物質を含む。好適な窒素源として、限定はされないが、タンパク質加水分解物、微生物バイオマス加水分解物、ペプトン、酵母抽出物、硫酸アンモニウム、尿素、及びアミノ酸が挙げられる。典型的には、培地中の窒素源の濃度は、約0.1g/Lより大きい、好ましくは約0.25g/Lより大きい、またより好ましくは約1.0g/Lより大きい。しかし、窒素源の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。結果として、培地中の窒素源の濃度は、約20g/Lより小さい、好ましくは約10g/Lより小さい、またより好ましくは約5g/Lより小さい。さらに、場合によっては、培養中、培地において窒素源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0156】
[00164] 有効な培地は、無機塩類、ビタミン、微量金属又は増殖プロモーターなどの他の化合物を含有しうる。かかる他の化合物はまた、有効な培地中の炭素源、窒素源又はミネラル源の中に存在しうる、又は専ら培地に添加されうる。
【0157】
[00165] 培地はまた、好適なリン酸源を含有しうる。かかるリン酸源は、無機及び有機双方のリン酸源を含む。好ましいリン酸源として、限定はされないが、一塩基性又は二塩基性のリン酸ナトリウム及びリン酸カリウム、リン酸アンモニウム並びにそれらの混合物などのリン酸塩が挙げられる。典型的には、培地中のリン酸塩の濃度は、約1.0g/Lより大きい、好ましくは約2.0g/Lより大きい、またより好ましくは約5.0g/Lより大きい。しかし、リン酸塩の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のリン酸塩の濃度は、典型的には約20g/Lより少ない、好ましくは約15g/Lより少ない、またより好ましくは約10g/Lより少ない。
【0158】
[00166] 好適な培地はまた、マグネシウムの供給源を、好ましくは生理学的に許容できる塩、例えば硫酸マグネシウム七水和物の形態で含みうるが、類似量のマグネシウムに寄与する濃度の他のマグネシウム源が使用可能である。典型的には、培地中のマグネシウムの濃度は、約0.5g/Lより大きい、好ましくは約1.0g/Lより大きい、またより好ましくは約2.0g/Lより大きい。しかし、マグネシウムの培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のマグネシウムの濃度は、典型的には約10g/Lより少ない、好ましくは約5g/Lより少ない、またより好ましくは約3g/Lより少ない。さらに、場合によっては、培養中、培地においてマグネシウム源を枯渇させておくことが望ましいことがある。
【0159】
[00167] いくつかの実施形態では、培地はまた、生物学的に許容できるキレート剤、例えばクエン酸三ナトリウムの二水和物を含みうる。かかる例では、培地中のキレート剤の濃度は、約0.2g/Lより大きい、好ましくは約0.5g/Lより大きい、またより好ましくは約1g/Lより大きい。しかし、キレート剤の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地中のキレート剤の濃度は、典型的には約10g/Lより少ない、好ましくは約5g/Lより少ない、またより好ましくは約2g/Lより少ない。
【0160】
[00168] 培地はまた、最初に、培地の所望されるpHを維持するための生物学的に許容できる酸又は塩基を含みうる。生物学的に許容できる酸として、限定はされないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸及びそれらの混合物が挙げられる。生物学的に許容できる塩基として、限定はされないが、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、使用塩基は、水酸化アンモニウムである。
【0161】
[00169] 培地はまた、生物学的に許容できるカルシウム源、例えば限定はされないが、塩化カルシウムを含みうる。典型的には、培地中のカルシウム源、例えば塩化カルシウム二水和物の濃度は、約5mg/L~約2000mg/Lの範囲内、好ましくは約20mg/L~約1000mg/Lの範囲内、またより好ましくは約50mg/L~約500mg/Lの範囲内である。
【0162】
[00170] 培地はまた、塩化ナトリウムを含みうる。典型的には、培地中の塩化ナトリウムの濃度は、約0.1g/L~約5g/Lの範囲内、好ましくは約1g/L~約4g/Lの範囲内、またより好ましくは約2g/L~約4g/Lの範囲内である。
【0163】
[00171] いくつかの実施形態では、培地はまた、微量金属を含みうる。かかる微量金属は、便宜上、培地の残りとは別に調製可能である保存液としての培地に添加されうる。典型的には、培地に添加されるかかる微量金属溶液の量は、約1mL/Lより多い、好ましくは約5mL/Lより多い、またより好ましくは約10mL/Lより多い。しかし、微量金属の培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。したがって、培地に添加されるかかる微量金属溶液の量は、典型的には約100mL/Lより少ない、好ましくは約50mL/Lより少ない、またより好ましくは約30mL/Lより少ない。微量金属を保存液に添加することに加えて、個別成分が別々に添加可能であり、各々が微量金属溶液の上記範囲によって指定される成分の量に依存せずに対応する範囲内にありうることは注目されるべきである。
【0164】
[00172] 培地は、他のビタミン、例えば、パントテン酸、ビオチン、カルシウム、パントテン酸、イノシトール、ピリドキシン-HCl、及びチアミン-HClを含みうる。かかるビタミンは、便宜上、培地の残りとは別に調製可能である保存液としての培地に添加されうる。しかし、ビタミンの培地への特定濃度を超えての添加は、微生物の増殖にとって有利でない。
【0165】
[00173] 本明細書に記載の発酵方法は、限定はされないが、バッチ、フェドバッチ、細胞リサイクル、連続式及び半連続式を含む、通常の培養方法で実施されうる。いくつかの実施形態では、発酵は、フェドバッチモードで実施される。かかる場合、培地の成分の一部が培養中に、例えばパントテン酸が発酵の生成段階中に枯渇される。いくつかの実施形態では、例えば生成段階の開始時に、培養物に比較的高濃度のかかる成分が添加されてもよく、それにより、添加が必要になるまでの期間、増殖及び/又はステビオールグリコシドの生成が支持される。培養全体を通じて、これら成分は、好ましい範囲で、培養によりレベルが激減すると添加を行うことにより、維持される。培地中の成分のレベルは、例えば、培地を定期的にサンプリングし、濃度についてアッセイすることにより、監視されうる。或いは、一旦標準的な培養手順が開発されると、培養全体を通じて、特定の時点での既知のレベルに対応する時間間隔で添加がなされうる。当業者によって理解されるであろうが、栄養素の消費の速度は、培養中、培地の細胞密度が増加するにつれて増加する。さらに、外来微生物の培地への導入を回避するため、当該技術分野で公知の通り、無菌添加方法を用いて添加が実施される。さらに、培養中、少量の抗発泡剤が添加されてもよい。
【0166】
[00174] 培地の温度は、遺伝子組換え細胞の増殖及び/又はステビオールグリコシドの生成に適した任意の温度でありうる。例えば、培地への接種材料の接種前、培地は、約20℃~約45℃の範囲内の温度、好ましくは約25℃~約40℃の範囲内の温度、またより好ましくは約28℃~約32℃の範囲内の温度に導かれ、且つそこで維持されうる。
【0167】
[00175] 培地のpHは、酸又は塩基の培地への添加により制御されうる。かかる場合、pHを制御するためにアンモニアが用いられるとき、それは便宜上、培地における窒素源としても役立つ。好ましくは、pHは、約3.0~約8.0、より好ましくは約3.5~約7.0、また最も好ましくは約4.0~約6.5で維持される。
【0168】
[00176] いくつかの実施形態では、培養中、培地の炭素源濃度、例えばグルコース濃度が監視される。培地のグルコース濃度は、上清、例えば培地の無細胞成分中のグルコース濃度を監視するために使用可能である、公知の技術を用いて、例えばグルコースオキシダーゼ酵素試験又は高圧液体クロマトグラフィーを用いて監視されうる。上述の通り、炭素源濃度は、細胞増殖阻害が生じるレベル未満で保持されるべきである。炭素源としてのグルコースにおいて、かかる濃度は生物間で変動してもよいが、細胞増殖阻害は、約60g/Lより大きいグルコース濃度で生じ、試験により容易に測定可能である。したがって、グルコースが炭素源として用いられるとき、グルコースは、好ましくは発酵槽に供され、検出限界未満で維持される。或いは、培地中のグルコース濃度は、約1g/L~約100g/Lの範囲内、より好ましくは約2g/L~約50g/Lの範囲内、またさらにより好ましくは約5g/L~約20g/Lの範囲内で維持される。炭素源濃度は、例えば実質的に純粋なグルコース溶液の添加により、所望されるレベル内で維持されうるが、培地の炭素源濃度を一定分量の元の培地の添加により維持することが許容可能であり、且つ好ましいことがある。一定分量の元の培地の使用は、培地中の他の栄養素(例えば、窒素源及びリン酸源)の濃度が同時に維持可能であることから、望ましいことがある。同様に、微量金属濃度は、一定分量の微量金属溶液の添加により、培地中で維持されうる。
【0169】
[00177] 他の好適な発酵培地及び方法は、例えば国際公開第2016/196321号に記載されている。
【0170】
6.9 発酵組成物
[00178] 別の態様では、本明細書に記載の遺伝子組換え宿主細胞及び遺伝子組換え宿主細胞から生成されるステビオールグリコシドを含む発酵組成物が本明細書に提供される。発酵組成物は、培地をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、発酵組成物は、遺伝子組換え宿主細胞を含み、またRebA、RebD、及びRebMをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、遺伝子組換え宿主細胞から生成されるステビオールグリコシドの主成分としてRebMを含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、RebA、RebD、及びRebMを少なくとも1:7:50の比で含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、RebA、RebD、及びRebMを少なくとも1:7:50~1:100:1000の比で含む。特定の実施形態では、発酵組成物は、少なくとも1:7:50~1:200:2000の比で含む。特定の実施形態では、RebA、RebD、及びRebMの比は、遺伝子組換え宿主細胞及び培地に関連したステビオールグリコシドの全含量に基づく。特定の実施形態では、RebA、RebD、及びRebMの比は、培地中のステビオールグリコシドの全含量に基づく。特定の実施形態では、RebA、RebD、及びRebMの比は、遺伝子組換え宿主細胞と会合したステビオールグリコシドの全含量に基づく。
【0171】
[00179] 特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、RebM2を検出不能なレベルで含有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、天然に存在しないステビオールグリコシドを検出不能なレベルで含有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される発酵組成物は、GCクロマトグラフィーにかけられるとき、RebAピークとRebBとの間に「ステビオール+2グルコース」ピークを検出可能なレベルで生成しない。
【0172】
6.10 ステビオールグリコシドの回収
[00180] 一旦ステビオールグリコシドが宿主細胞により生成されると、後の使用のため、それは当該技術分野で公知の任意の好適な分離及び精製方法を用いて回収又は単離されてもよい。いくつかの実施形態では、ステビオールグリコシドを含む有機相が、遠心分離により発酵から分離される。他の実施形態では、ステビオールグリコシドを含む有機相は、発酵から自発的に分離する。他の実施形態では、ステビオールグリコシドを含む有機相は、抗乳化剤及び/又は核形成剤を発酵反応に添加することにより、発酵から分離される。抗乳化剤の実例として、凝集剤及び凝固剤が挙げられる。核形成剤の実例として、ステビオールグリコシド自体や、ドデカン、ミリスチン酸イソプロピル、及びオレイン酸メチルなどの有機溶媒の液滴が挙げられる。
【0173】
[00181] これらの細胞内で生成されるステビオールグリコシドは、培養上清中に存在し、及び/又は宿主細胞と会合してもよい。ステビオールグリコシドが宿主細胞と会合する場合の実施形態では、ステビオールグリコシドの回収は、細胞を透過性にするか又は溶解する方法を含んでもよい。代替的に又は同時に、培地中のステビオールグリコシドは、限定はされないが、クロマトグラフィー、抽出、溶媒抽出、膜分離、電気透析、逆浸透、蒸留、化学誘導体化及び結晶化を含む回収プロセスを用いて回収されうる。
【0174】
[00182] いくつかの実施形態では、ステビオールグリコシドは、有機相中に存在することがある他の生成物から分離される。いくつかの実施形態では、分離は、吸着、蒸留、気体-液体抽出(ストリッピング)、液体-液体抽出(溶媒抽出)、真空抽出、蒸発、限外濾過、及び標準的なクロマトグラフィー技術を用いてなされる。他の好適な発酵培地及び方法は、例えば米国特許出願公開第2016/0185813号に記載されている。
【0175】
6.11 遺伝子組換え細胞を作製する方法
[00183] さらに、上記修飾の1又は複数、例えば、エンドウ(Pisum sativum)カウレンオキシダーゼ、及び/又は例えばステビオールグリコシド化合物における生合成経路酵素をコードする1又は複数の異種核酸を含むように遺伝子操作された宿主細胞を作製するための方法が本明細書に提供される。宿主細胞内での異種酵素の発現は、酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を、宿主細胞内での発現を可能にする調節エレメントの制御下で、宿主細胞内に導入することにより達成されうる。いくつかの実施形態では、核酸は、染色体外プラスミドである。他の実施形態では、核酸は、ヌクレオチド配列を宿主細胞の染色体に組み込みことが可能な染色体組込みベクターである。
【0176】
[00184] これらタンパク質をコードする核酸は、限定されない当業者に公知の任意の方法により宿主細胞に導入されうる(例えば、Hinnen et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1292-3; Cregg et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:3376-3385; Goeddel et al. eds, 1990, Methods in Enzymology, vol. 185, Academic Press, Inc. , CA; Krieger, 1990, Gene Transfer and Expression -- A Laboratory Manual, Stockton Press, NY; Sambrook et al. , 1989, Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY; and Ausubel et al. , eds. , Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照)。例示的技術として、限定はされないが、スフェロプラスティング、エレクトロポレーション、PEG1000媒介形質転換、及び酢酸リチウム若しくは塩化リチウム媒介形質転換が挙げられる。
【0177】
[00185] 宿主細胞内での酵素のコピー数は、酵素をコードする遺伝子の転写を修飾することにより変更されることがある。これは、例えば酵素をコードするヌクレオチド配列のコピー数を変更することにより(例えば、ヌクレオチド配列を含むより高い若しくはより低いコピー数の発現ベクターを用いることにより、又はヌクレオチド配列の追加的コピーを宿主細胞のゲノムに導入することにより、又は宿主細胞のゲノム中のヌクレオチド配列を欠失させる若しくは破壊することにより)、オペロンのポリシストロニックmRNA上のコード配列の順序を変化させる、又はオペロンを崩壊させて、各々がそれ自身の調節エレメントを有する個別遺伝子にすることより、又はヌクレオチド配列が作動可能に連結される対象のプロモーター若しくはオペレーターの長さを増加させることにより、達成されうる。代替的に又追加的に、宿主細胞内の酵素のコピー数は、酵素をコードするmRNAの翻訳のレベルを変更することにより変更されてもよい。これは、例えば、mRNAの安定性を修飾する、リボソーム結合部位の配列を修飾する、リボソーム結合部位と酵素コード配列の開始コドンとの間の距離若しくは配列を変更する、酵素コード領域の開始コドンの5’側「の上流に」位置する若しくはそれに隣接する全シストロン間領域を修飾する、ヘアピン及び特定化された配列を用いてmRNA転写物の3’末端を安定化する、酵素のコドン使用を変更する、酵素の生合成に用いられる希少コドンtRNAの発現を変更する、及び/又は例えば酵素の安定性をそのコード配列の突然変異によって増強することにより、達成可能である。
【0178】
[00186] 宿主細胞内の酵素の活性は、例えば限定はされないが、宿主細胞内での溶解度の増加若しくは減少を呈する酵素の修飾形態を発現させる、酵素の活性の阻害をもたらすドメインが欠如した酵素の改変形態を発現させる、基質に対してより高い若しくはより低いKcat又はより低い若しくはより高いKmを有する酵素の改変形態を発現させる、又は経路内の別の分子によるフィードバック若しくはフィードフォワード調節により多かれ少なかれ影響を受ける酵素の改変形態を発現させるようないくつかの方法において改変されうる。
【0179】
[00187] いくつかの実施形態では、宿主細胞を遺伝的に修飾するために用いられる核酸は、形質転換宿主細胞の選択において、また外来DNAを維持するため、宿主細胞に対して選択圧をかけることにおいて有用な1又は複数の選択可能マーカーを含む。
【0180】
[00188] いくつかの実施形態では、選択可能マーカーは、抗生物質耐性マーカーである。抗生物質耐性マーカーの実例として、限定はされないが、BLA、NAT1、PAT、AUR1-C、PDR4、SMR1、CAT、マウスdhfr、HPH、DSDA、KANR、及びSH BLE遺伝子産物が挙げられる。大腸菌(E. coli)由来のBLA遺伝子産物は、βラクタム抗生物質(例えば、狭スペクトルセファロスポリン、セファマイシン、及びカルバペネム(エルタペネム)、セファマンドール、及びセフォペラゾン)とテモシリンを除くすべての抗グラム陰性細菌ペニシリンに耐性を付与し;S.ノウルセイ(S. noursei)由来のNAT1遺伝子産物は、ノウルセオトリシンに耐性を付与し;S.ビリドクロモゲネス(S. viridochromogenes)Tu94由来のPAT遺伝子産物は、バイアロフォス(bialophos)に耐性を付与し;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のAUR1-C遺伝子産物は、オーレオバシジン(Auerobasidin)A(AbA)に耐性を付与し;PDR4遺伝子産物は、セルレニンに耐性を付与し;SMR1遺伝子産物は、スルホメツロンメチルに耐性を付与し;Tn9トランスポゾン由来のCAT遺伝子産物は、クロラムフェニコールに耐性を付与し;マウスdhfr遺伝子産物は、メトトレキサートに耐性を付与し;クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)のHPH遺伝子産物は、ハイグロマイシンBに耐性を付与し;大腸菌(E. coli)のDSDA遺伝子産物は、唯一の窒素源としてD-セリンを有するプレート上で細胞が増殖することを可能にし;Tn903トランスポゾンのKANR遺伝子は、G418に耐性を付与し;またストレプトアロテイクス・ヒンダスタヌス(Streptoalloteichus hindustanus)由来のSH BLE遺伝子産物は、ゼオシン(ブレオマイシン)に耐性を付与する。いくつかの実施形態では、抗生物質耐性マーカーは、本明細書に開示される遺伝子組換え宿主細胞が単離された後、欠失される。
【0181】
[00189] いくつかの実施形態では、選択可能マーカーは、遺伝子組換え微生物において要求性(例えば栄養要求性)を救出する。かかる実施形態では、親微生物は、アミノ酸又はヌクレオチド生合成経路内で機能する1又は複数の遺伝子産物中に機能的破壊を含み、しかも非機能的な場合、親細胞を1又は複数の栄養素の添加を伴わない培地中で増殖できなくする。かかる遺伝子産物として、限定はされないが、酵母中のHIS3、LEU2、LYS1、LYS2、MET15、TRP1、ADE2、及びURA3遺伝子産物が挙げられる。次に、栄養要求性表現型は、親細胞を、破壊された遺伝子産物の機能的コピーをコードする発現ベクター又は染色体組み込み構築物で形質変換することにより救出可能であり、作製された遺伝子組換え宿主細胞は、親細胞の栄養要求性表現型の欠損に基づいて選択可能である。選択可能マーカーとしてのURA3、TRP1、及びLYS2遺伝子の利用は、ポジティブ及びネガティブ選択の双方が可能であることから、著明な利点を有する。ポジティブ選択は、URA3、TRP1、及びLYS2突然変異の栄養要求性相補性により実施される一方で、ネガティブ選択は、原栄養菌株の増殖を阻止するが、URA3、TRP1、及びLYS2突然変異体各々の増殖を可能にする特異的阻害剤、即ち、5-フルオロ-オロト酸(FOA)、5-フルオロアントラニル酸、及びアミノアジピン酸(aAA)の各々に基づく。他の実施形態では、選択可能マーカーは、公知の選択方法により同定可能な他の非致死的欠損又は表現型を救出する。
【0182】
[00190] 本開示の方法、組成物及び生物において有用な特異的な遺伝子及びタンパク質が本明細書に記載されるが、かかる遺伝子に対する絶対的同一性が必要でないことは理解されるであろう。例えば、ポリペプチド又は酵素をコードする配列を含む特定の遺伝子又はポリヌクレオチドにおける改変が実施され、活性についてスクリーニングされうる。典型的には、かかる改変は、保存的突然変異及びサイレント突然変異を含む。かかる修飾又は突然変異されたポリヌクレオチド及びポリペプチドは、当該技術分野で公知の方法を用いて、機能的酵素の発現についてスクリーニングされうる。
【0183】
[00191] 遺伝暗号の固有の縮重に起因し、かかる酵素をコードするポリヌクレオチドをクローン化及び発現するため、実質的に同じか又は機能的に等価なポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドもまた使用可能である。
【0184】
[00192] 当業者によって理解されるであろうが、特定の宿主内で、コード配列を修飾し、その発現を増強することは有利でありうる。遺伝暗号は、64の可能なコドンにより冗長であるが、大部分の生物は、典型的にはこれらコドンのサブセットを用いる。ある種において最も多く利用されるコドンは、最適コドンと称され、大して頻繁には利用されないコドンは、希少又は低使用コドンとして分類される。宿主の好ましいコドン使用を反映させるため、時として「コドン最適化」又は「種コドンバイアスの制御」と称されるプロセスにおいて、コドンは置換可能である。他の宿主細胞におけるコドン最適化は、コドン使用表を用いて容易に判定されうる、又は市販のソフトウェア、例えばIntegrated DNA Technologies製のCodonOp (www.idtdna.com/CodonOptfrom)を用いて実施されうる。
【0185】
[00193] 特定の原核生物又は真核生物宿主によって好まれるコドンを有する最適化されたコード配列(Murray et al., 1989, Nucl Acids Res. 17: 477-508)が調製されることで、例えば、翻訳の速度を増加させることができる、又は望ましい特性、例えば非最適化配列から生成された転写物と比べると延長された半減期を有する組換えRNA転写物を作製することができる。宿主の好ましさを反映させるため、翻訳停止コドンについても修飾されうる。例えば、出芽酵母(S. cerevisiae)及び哺乳類における典型的な停止コドンは各々、UAA及びUGAである。単子葉植物における典型的な停止コドンはUGAである一方、昆虫及び大腸菌(E. coli)は、一般に停止コドンとしてUAAを用いる(Dalphin et al., 1996, Nucl Acids Res. 24: 216-8)。
【0186】
[00194] 当業者は、遺伝暗号の縮重性に起因し、ヌクレオチド配列が異なる種々のDNA分子が、本開示の所与の酵素をコードするように使用可能であることを理解するであろう。上記の生合成酵素をコードする天然DNA配列は、あくまで本開示の実施形態を例示するために本明細書で参照され、本開示は、本開示の方法において利用される酵素のポリペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の配列のDNA分子を含む。同様の様式で、ポリペプチドは、典型的には、所望される活性の欠損又は有意な欠損を伴わずに、そのアミノ酸配列内に1又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び挿入を許容しうる。本開示は、修飾又は変異ポリペプチドが参照ポリペプチドの酵素的同化又は異化活性を有する限り、本明細書に記載の特定のタンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するようなポリペプチドを含む。さらに、本明細書に示されるDNA配列によってコードされるアミノ酸配列は、あくまで本開示の実施形態を例示する。
【0187】
[00195] さらに、本明細書に提供される組成物及び方法にとって有用な酵素の相同体は、本開示によって包含される。いくつかの実施形態では、2つのタンパク質(又はタンパク質の領域)は、アミノ酸配列が、少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を有するとき、実質的に相同である。2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列のパーセント同一性を判定するため、配列は、最適な比較を目的として整列される(例えば、最適な整列化のため、第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップが導入可能であり、非相同性配列は比較を目的として無視されうる)。一実施形態では、比較を目的として整列された参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、典型的には少なくとも40%、より典型的には少なくとも50%、さらにより典型的には少なくとも60%、またさらにより典型的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、アミノ酸残基又はヌクレオチドは、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチドで比較される。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められるとき、分子はその位置で同一である(本明細書で用いられるとき、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」に等しい)。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適な整列化を意図して導入される必要がある、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れて、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0188】
[00196] 「相同性」がタンパク質又はペプチドに関連して用いられるとき、同一でない残基位置が保存的アミノ酸置換により異なることが多いことが理解される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似的化学特性(例えば、電荷又は疎水性)を伴う側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換されたものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に改変することがない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、パーセント配列同一性又は相同性の程度は、置換の保存的性質について訂正するように上方に調節されてもよい。この調節を設けるための手段は、当業者に周知である(例えば、Pearson W. R., 1994, Methods in Mol Biol 25: 365-89を参照)。
【0189】
[00197] 以下の6群:1)セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アラニン(A)、バリン(V)、及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)は各々、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を有する。
【0190】
[00198] パーセント配列同一性とも称される、ポリペプチドにおける配列相同性は、典型的には配列分析ソフトウェアを用いて計測される。分子配列を異なる生物からの多数の配列を有するデータベースと比較する典型的な使用アルゴリズムは、コンピュータプログラムBLASTである。多数の異なる生物からの配列を有するデータベースを探索するとき、アミノ酸配列を比較することは典型的である。
【0191】
[00199] さらに、前述の酵素をコードする遺伝子のいずれか(又は本明細書に記載の任意のその他(又はその発現を制御若しくは調節する調節エレメントのいずれか))は、当業者にとって公知である遺伝子/タンパク質工学技術、例えば定向進化又は合理的突然変異誘発により最適化されてもよい。かかる作用により、当業者は、酵素を酵母における発現及び活性について最適化することが可能になる。
【0192】
[00200] さらに、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌及び細菌種から同定可能であり、この経路の調節を意図して発現されうる。限定はされないが、サッカロマイセス属菌(Saccharomyces spp.)、例えば、出芽酵母(S. cerevisiae)及びS.ウバルム(S. uvarum)、クルイベロマイセス属菌(Kluyveromyces spp.)、例えば、K.サーモトレランス(K. thermotolerans)、K.ラクティス(K. lactis)、及びK.マルシアヌス(K. marxianus)、ピチア属菌(Pichia spp.)、ハンゼヌラ属菌(Hansenula spp.)、例えば、H.ポリモルファ(H. polymorpha)、カンジダ属菌(Candida spp.)、トリコスポロン属菌(Trichosporon spp.)、ヤマダジマ属菌(Yamadazyma spp.)、例えば、Y.属菌スティピティス(Y.spp.stipitis)、トルラスポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、シゾサッカロミセス属菌(Schizosaccharomyces spp.)、例えば、分裂酵母(S. pombe)、クリプトコッカス属菌(Cryptococcus spp.)、アスペルギルス属菌(Aspergillus spp.)、ニューロスポラ属菌(Neurospora spp.)、又はウスチラゴ属菌(Ustilago spp.)を含む種々の生物は、これらの酵素の供給源として役立ちうる。嫌気性真菌からの遺伝子の供給源として、限定はされないが、ピロミセス属菌(Piromyces spp.)、オルピノミセス属菌(Orpinomyces spp.)、又はネオカリマスティクス属菌(Neocallimastix spp.)が挙げられる。有用な原核生物酵素の供給源として、限定はされないが、大腸菌(Escherichia coli)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バチルス属菌(Bacillus spp.)、クロストリジウム属菌(Clostridium spp.)、コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium spp.)、シュードモナス属菌(Pseudomonas spp.)、ラクトコッカス属菌(Lactococcus spp.)、エンテロバクター属菌(Enterobacter spp.)、及びサルモネラ属菌(Salmonella spp.)が挙げられる。
【0193】
[00201] 追加的な相同性遺伝子及び相同性酵素を同定するため、当業者に公知の技術が好適であることがある。一般に、類似遺伝子及び/又は類似酵素は、機能分析により同定可能であり、機能的類似性を有することになる。類似遺伝子及び類似酵素を同定するため、当業者に公知の技術が好適であることがある。例えば、相同的又は類似的なUDP糖転移酵素、PTA、又は任意の生合成経路の遺伝子、タンパク質、若しくは酵素を同定するため、技術として、限定はされないが、目的の遺伝子/酵素の公表された配列に基づくプライマーを用いるPCRにより、又は目的の遺伝子の中の保存された領域を増幅するように設計された縮重プライマーを用いる縮重PCRにより遺伝子をクローン化することを含んでもよい。さらに、当業者は、機能的相同性又は類似性を有する相同的若しくは類似的な遺伝子、タンパク質、又は酵素を同定するための技術を用いることができる。技術としては、酵素の触媒活性について、(例えば、本明細書又はKiritani, K., Branched-Chain Amino Acids Methods Enzymology, 1970に記載のような)前記活性に対するインビトロ酵素アッセイを通じて、細胞又は細胞培養物を試験し、次いで前記活性を有する酵素を精製により単離し、エドマン分解、類似の核酸配列に対するPCRプライマーの設計、前記DNA配列のPCRによる増幅、及び前記核酸配列のクローニングなどの技術を通じて酵素のタンパク質配列を決定することを含む。相同若しくは類似遺伝子及び/又は相同若しくは類似酵素、類似遺伝子及び/又は類似酵素若しくはタンパク質を同定するため、技術としては、候補遺伝子若しくは酵素に関するデータと、BRENDA、KEGG、若しくはMetaCYCなどのデータベースとの比較も含む。候補遺伝子若しくは酵素は、本明細書中の教示内容に従い、上記データベース内で同定されてもよい。
【実施例】
【0194】
7.実施例
実施例1:ファルネシルピロリン酸(FPP)及びイソプレノイドファルネセンに対する高フラックスが可能な基本酵母株の作製
[00202] ファルネセン生成株を、野生型出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)株(CEN.PK2)から、GAL1又はGAL10プロモーターの制御下でメバロン酸経路(
図1D)の遺伝子を発現することにより作出した。この株は、出芽酵母(S. cerevisiae)からの、アセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、及びIPP:DMAPPイソメラーゼの染色体組み込みメバロン酸経路遺伝子を含んだ。本明細書に記載のすべての遺伝子を、公的に利用可能な又は他の好適なアルゴリズムを用いてコドン最適化した。さらに、株は、やはりGAL1又はGAL10プロモーターのいずれかの制御下で、アルテミシニン・アニュア(Artemisinin annua)由来のファルネセンシンターゼの6コピーを含有した。株はまた、GAL80遺伝子及びGAL4ocプロモーター下でのGAL4の追加的コピーの欠失を有し、ここで出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のGAL4遺伝子のコード配列は、その天然プロモーターの「オペラティブコンスティテューティブ(operative constitutive)」バージョン(PGAL4oc;例えば、Griggs & Johnston (1991) PNAS 88(19):8597-8601を参照)の調節的制御下にある。最後に、スクアレンシンターゼをコードするERG9遺伝子が、天然プロモーターを酵母遺伝子MET3のプロモーターと置換することにより下方制御される(Westfall et al PNAS 2012)。
【0195】
実施例2.レバウジオシドA(RebA)に対する高フラックスが可能な基本酵母株の作製
[00203]
図1Bは、FPPからステビオールにかけての例示的な生合成経路を示す。
図2は、ステビオールからグリコシドRebMにかけての例示的な生合成経路を示す。上記のファルネセン基本株をC-20イソプレノイドカウレンに対する高フラックスを有するように変換するため、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPs)の6コピー、その後、コパリル二リン酸シンターゼ及びカウレンシンターゼ各々の4コピーをゲノムに組み込んだ。表1は、FPPをRebAに変換するために用いたすべての遺伝子及びプロモーターを列挙する。このポイントで、ファルネセンシンターゼの6コピーを株から除去した。一旦新しい株がent-カウレンを作製することが確認されると、ent-カウレンをRebAに変換するための残存する遺伝子をゲノムに挿入した。2コピーを有したSr.KAH酵素以外、各遺伝子に単一コピーを組み込んだ(表1)。表1に記載のすべての遺伝子を含有する株は、主にRebAを生成した。酵素UGT91D_like3は、RebAをレバウジオシドD(RebD)に変換するのにやや低い活性を有する。我々は、91D_like3の単一コピーが、株中のRebAの約(3%)を上記の酵母株中のRebDにインビボで変換できることを評価した(
図3及び表2)。次に、UGT76G1は、RebDを最終生成物レバウジオシドM(RebM)に変換しうる。
【0196】
実施例3.カウレンをカウレン酸により高い効率で変換するカウレンオキシダーゼ(KO)酵素のスクリーニング
[00204] RebMに対する高フラックスを伴う株を作製するため、実施例2に記載の株を、GAL1プロモーター下、(実施例8、並びに本明細書中の付録として貼付されるPCT出願AM-7400PCT中の表及び図に記載の通り)遺伝子UGT40087の単一コピーで形質転換した。この株は、主にRebMを生成する。異なるKO対立遺伝子をカウレンのカウレン酸へのインビボでの変換についてスクリーニングするため、このRebM株中のステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)KO遺伝子を除去し、専らGAL1プロモーター及びターミネーターを、プロモーターとターミネーターとの間のF-CphI制限配列とともに有するランディングパッドと置換した(
図3)。このスクリーニング株は、ここで任意のKO酵素が欠如し、専らent-カウレンを作る。
【0197】
[00205] 文献から得られる13のKO酵素(表1)を、出芽酵母(S. cerevisiae)における最適な発現についてコドン最適化し、PGAL1に対して相同な60bpの配列及び
図3A中に記載のランディングパッド中のF-CphI配列に隣接する酵母ターミネーターを用いて合成した。合成した各KO遺伝子を、単一コピーとともに、上記の酵母株においてent-カウレンをカウレン酸にインビボで変換する能力について個別に試験した。酵母を、KOドナーDNA及びランディングパッド中のDNAを切断するためのエンドヌクレアーゼF-CphIを含有するプラスミドを用いて形質転換した。各形質変換における特異的なKO遺伝子に対して内側のリバースプライマー及びGAL1プロモーターの末端部のユニバーサルフォワードプライマーを用いるコロニーPCRにより、正確な組込みを検証した。
図3Bは、正確なF-CphI切断及びKO DNAとの相同組換え後の最終遺伝子構築物を示す。
【0198】
【0199】
[00206]
図4は、KOスクリーンの結果を示す。植物エンドウ(Pisum sativum)(エンドウ)由来の1つのKO酵素(Ps.KO)は、この株バックグラウンド中のステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)全体からのKO酵素(Sr.KO)と比べて、ent-カウレンをカウレン酸に変換するのに増強された(約3.5倍改善された)能力を有することが見出された。酵母細胞内での発現に用いられるエンドウ(Pisum sativum)KO酵素のコドン最適化された核酸配列を配列番号15で示す。
【0200】
実施例4.ent-カウレンからカウレン酸への改善された変換を有する高フラックスRebM株の作製
[00207] 次に、RebMに対して非常に高いフラックスを有する株において、Ps.KOの活性をSr.KOに対して試験した。KO酵素は、通常、大部分の植物において、植物ホルモンのジベレリンを生成するように作用する。植物細胞内のジベレリンのレベルは、工業生産における酵母において生成されるRebMのレベルよりも数桁低く、それ故、KO酵素は、商業的生産においてRebMを生成するのに要求される高フラックスを有することが期待されない。表3は、KO酵素を最初にスクリーニングするのに用いた株(即ち、KO「基本株」)よりも高いRebMフラックスを有する株中に含まれるすべての遺伝子及びプロモーターを列挙する。表3中のすべての遺伝子を酵母ゲノムに挿入した。KO酵素は、その後の3回の酸化を通じてent-カウレンを用い、カウレン酸を生成する。反応物及び中間体の順序は、以下の通りである。第1の酸化により、ent-カウレンがカウレノール(K-OL)になり、第2の酸化により、カウレノールがカウレナール(K-AL)になり、そして第3の酸化により、カウレナールがカウレン酸(-acid)になる(
図1C)。ent-カウレンからRebMにかけて最大フラックスを達成するには、KO酵素は、K-acidにかけてent-カウレンを完全に酸化する必要がある。不完全な変換は、炭素を消費し、全RebM力価を低減し、そして潜在的に有毒な中間体化合物を生成することになる。
図5中のデータは、RebMにかけての高い炭素フラックスを有する株中で、Sr.KO対立遺伝子が上流中間体のent-カウレン、カウレノール(K-OL)、カウレナール(K-AL)を有意な量で蓄積させる一方で、Ps.KO酵素がこれら中間体の有意に低下した蓄積を示すことを示す。
【0201】
[00208]
図6は、カウレン酸がPs.KOによりSr.KOと比べてより多量に生成されることに起因し、Ps.KOが細胞内で作製されるRebMの量を増加させることを示す。高フラックスRebM株においては、Ps.KOを有する株中でのRebM力価が、Sr.KOを有する同一株と比べて16%増加する。このより高いRebM力価は、Ps.KO株においてより多くのカウレン酸が生成されることに起因する。
【0202】
実施例5.酵母培養・条件
[00209] 想定されるカウレンオキシダーゼ遺伝子を含有することが確認された酵母コロニーを、20g/Lのスクロース及び37.5g/Lの硫酸アンモニウムを有するバードシード培地(BSM、van Hoek et al., Biotechnology and Bioengineering 68(5), 2000, pp. 517-523により最初に記載された)を含む96ウェルマイクロタイタープレートに採取した。細胞を、30℃、高性能マイクロタイタープレートインキュベーター内で、1000RPM及び80%湿度で振盪しながら3日間、培養物が炭素消耗に至るまで培養した。増殖飽和した培養物を、飽和培養物から14.4μLを採取し、新しい培地360μLに希釈することにより、40g/Lのスクロース及び150g/Lの硫酸アンモニウムを有するBSMを含む新しいプレートに継代した。生成培地中の細胞を、30℃、高性能マイクロタイタープレート振盪器内で、1000RPM及び80%湿度で、抽出及び分析前にさらに3日間培養した。完了時、全細胞ブロスを100%エタノール360μLで希釈し、ホイルシールで密封し、1250rpmで30分間振盪し、レバウジオシドを抽出する。490μLの50:50のエタノール:水を新しい1.1mLのアッセイプレートに添加し、10uLの培養物/エタノール混合物をアッセイプレートに添加する。混合物を遠心分離し、任意の固体をペレット化し、溶液400μLを新しい1.1mLのプレートに移し、LC-MSによってアッセイする。
【0203】
実施例6.分析法
ステビオール及びステビオールグリコシドの質量分析計による検出:
[00210] 試料を、以下の勾配を用いて、Sigma Ascentis Express Peptide ES-C18(5cm、2.1mm、2.7μm;パート番号53301-U)を用いるLC-MS質量分析計(AB QTrap 4000)により分析する。
【0204】
【0205】
[00211] 質量分析計は、負イオン多重反応モニタリングモードで作動させた。各レバウジオシド異性体を、確証的な標準から判定した保持時間、及びMRM移行により同定した。
【0206】
【0207】
カウレンの定量化
[00212] 培養ブロス中でのent-カウレンの力価を、制限されたサーマルマスオーブン及び炎光イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフを用いて測定する。ブロスサンプルを、同比率のブロス及びメタノールを用いて抽出し、密封容器内で30分間振盪し、細胞からent-カウレンを回収する。次に、ブロス:メタノール溶液の一定分量240uLを酢酸エチル1mLで希釈し、密封し、さらに30分間振盪し、ent-カウレンを有機相に抽出する。有機相を、アッセイの線形範囲内に収まるように適宜希釈し、サンプルバイアルにアリコートする。サンプルを、線形範囲内に収まるように適切な分割比で注射する。(1)初期温度150℃、0分間、(2)25℃/分の温度上昇により温度を230℃に、(3)1800℃/分の温度上昇により温度を320℃にして1分間保持、という温度勾配を用いて、一定圧力モードでキャリアガスとして水素を用いる、Agilent DB-1MS LTM IIカラムでサンプル分離を行う。確証的なent-カウレン標準を用いる外部較正を用いて、ent-カウレン量を判定する。
【0208】
カウレン酸、カウレノール、及びカウレナールの定量化:
[00213] 培養ブロス中でのカウレン酸、カウレノール、及びカウレナールの力価を、可変波長検出器を備えた高圧液体クロマトグラフを用いて測定する。ブロスサンプル(100μL)をエタノール300μLに希釈し、密封容器内で30分間振盪する。水200μLをブロス:エタノール混合物に添加し、混合し、遠心分離する。(細胞ペレットを回避している)得られた溶液の一定分量をサンプルバイアルに移し、HPLCを用いて分析する。以下の溶媒:
・移動相A:水中0.1%ギ酸(v/v)
・移動相B:アセトニトリル中0.1%ギ酸(v/v)
を用いて、以下の溶媒勾配を用いて、Aglient Eclipse Plus C18 USP L1(4.6mm×50mm×1.8μm)でサンプル分離を行う。分析物を、200nmでのUV吸光度を用いて検出し、ステビオール標準に対する相対的応答因子を伴う外部較正を用いて定量化する。
【0209】
【0210】
図6中に示されるデータにおいて用いられるレバウジオシドMの定量化方法
[00214] ブロス中でのレバウジオシドMの力価を、三連四重極型質量分析計を備えた高圧液体クロマトグラフを用いて測定する。ブロスサンプルを、50:50のエタノール:水で200倍~800倍の間に希釈したエッペンドルフチューブにアリコートし、20分間混合し、遠心分離し、細胞及びデブリをペレット化し、上清の一定分量をサンプルバイアルに移し、分析にかける。サンプルは、分析物がMRM移行のシグナル強度に基づいて定量化される場合のフローインジェクションモードで流す。移動相は、1.1mL/分の流速で、40%水+0.1%ギ酸及び60%アセトニトリル+0.1%ギ酸である。レバウジオシドMの濃度は、その応答の内部標準(レバウジオシドN)の場合への正規化により判定する。
【0211】
【0212】
【0213】
[00215] 本明細書中に引用されるすべての出版物、特許及び特許出願は、あたかも各個別の出版物又は特許出願が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されたように、参照により本明細書中に援用される。前述の発明が、理解を明確にする目的で図面及び実施例によりある程度詳述されているが、本発明の教示内容に照らして、特定の変更及び修飾が、それらに対して、貼付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく設けられてよいことは、当業者に容易に理解されるであろう。
【0214】
配列表
配列番号1
【化5】
配列番号2
【化6】
配列番号3
【化7】
配列番号4
【化8】
配列番号5
【化9】
配列番号6
【化10】
配列番号7
【化11】
配列番号8
【化12】
配列番号9
【化13】
配列番号10
【化14】
配列番号11
【化15】
配列番号12
【化16】
配列番号13
【化17】
配列番号14 AY245442.1 ent-カウレンオキシダーゼmRNA[エンドウ(Pisum sativum)]
【化18】
配列番号15
【化19】
配列番号16(sr.UGT_g252778)
【化20】
配列番号17(UGT40087バージョン1)
【化21】
配列番号18(UGT40087バージョン2)
【化22】
配列番号19(Os_UGT_91C1からのループ2)
EGLPDGAESTNDVPHDRPDMV
配列番号20(Os_UGT_91C1からのループ3_1)
SEFLGTACAD
配列番号21(Os_UGT_91C1からのループ3_2)
SEFLGTACADWVIVDVFHH
配列番号22(Os_UGT_91C1からのループ4_1)
ADRRLERAETESPAAAGQGRPAAAPTFEVARMKLIRTKGSSGM
配列番号23(Os_UGT_91C1からのループ4_2)
MMLLGSAHMIASIADRRLERAETESPAAAGQGRPAAAPTFEVARMKLIRTKGSSGM
配列番号24(UGT40087からのループ2)
DGLPDGAEATSDIPPGKT
配列番号25(UGT40087からのループ3_1)
AAFLDAACADGSTNKVD
配列番号26(UGT40087からのループ3_2)
AAFLDAACADGSTNKVDWLFLDNFQY
配列番号27(UGT40087からのループ4_1)
GVPRVEPPVDGSTA
配列番号28(UGT40087からのループ4_2)
LNLTFAASTSAEYGVPRVEPPVDGSTA
配列番号29(UGT40087_ループ1中に存在するOs_UGT_91C1からの修飾ループ1)
TPRNISRLPPVPPALAP
配列番号30(Os_UGT_91C1_ループ1中に存在するUGT40087からの修飾ループ1)
TPRNISRLRPVRPALAP
配列番号31(配列番号8を有するOs_UGT_91C1からのループ1)
TPRNISRLPPVRPALAP
配列番号32(配列番号11を有するUGT40087からのループ1)
TPRNISRLRPVPPALAP
配列番号33(UGT40087/Si91Dlikeキメラ)
【化23】
配列番号34(Os_UGT_91C1_ループ4_1)
【化24】
配列番号35(配列番号17を有するUGT40087の非最適化核酸配列)
【化25】
配列番号36(UGT40087-1のコドン最適化核酸配列)
【化26】
【配列表】