(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】アニールされた金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブ
(51)【国際特許分類】
C01B 32/168 20170101AFI20240513BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20240513BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240513BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C01B32/168
G01N27/00 K
G01N27/04 F
G01N27/12 C
G01N27/12 M
(21)【出願番号】P 2020534885
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 US2018067066
(87)【国際公開番号】W WO2019126631
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】321000082
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】506345306
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプリゼンティッド バイ ザ アドミニストレイター オブ ザ ナサ
(73)【特許権者】
【識別番号】520213791
【氏名又は名称】ベイ システムズ コンサルティング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】イフタイム ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】キム ボムソク
(72)【発明者】
【氏名】スミス クリントン
(72)【発明者】
【氏名】コッカー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ジュンフア
(72)【発明者】
【氏名】シュウォルツ デイヴィッド エリック
(72)【発明者】
【氏名】メイヤッパン メイヤ
(72)【発明者】
【氏名】パンディー ラフル
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヨン
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-190903(JP,A)
【文献】特開2013-151392(JP,A)
【文献】国際公開第2012/177223(WO,A1)
【文献】特開2009-008476(JP,A)
【文献】PATOLE ET AL.,Carbon nanotubes with silver nanoparticle decoration and conductive polymer coating for improving the electrical conductivity of polycarbonate composites,CARBON,2015年,vol. 81,p. 720-730,DOI: 10.1016/J.CARBON.2014.10.014
【文献】CARDOSO et al,A Facile Strategy to Support Palladium Nanoparticles on Carbon Nanotubes, Employing Polyvinylpyrrolidone as a Surface Modifier,European Journal of Inorganic Chemistry,2014年,p.1439-1445
【文献】CHOI et al,Noxious gas detection using carbon nanotubes with Pd nanoparticles,Nanoscale Research Letters,2011年,Vol.6:605
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/168
G01N 27/00
G01N 27/04
G01N 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子で装飾されたカーボンナノチューブを用意するステップであって、前記金属ナノ粒子がポリマーコーティングされた金属ナノ粒子である、ステップと、
金属コーティングされた前記カーボンナノチューブをアニーリングして、前記ポリマーコーティングの親水性成分の量を減少させるステップと、
を含む、金属コーティングされた前記カーボンナノチューブを含むメタンガス吸着材料の製造方法。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子が、パラジウム、イリジウム、ロジウム、白金、銅、ニッケル、クロム、ルテニウム、銀、および金を含む群から選択される金属を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子が、パラジウム、イリジウム、ロジウム、白金、銅、ニッケル、クロム、ルテニウム、銀、および金を含む群から選択される2つ以上の金属の合金を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記用意されたカーボンナノチューブが最大5%の酸素化官能基を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマー
コーティングがポリビニルピロリドンを含み、前記金属ナノ粒子がパラジウムまたは白金を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
金属ナノ粒子と組み合わせされたカーボンナノチューブを含み、前記金属ナノ粒子がポリマーコーティングされた金属ナノ粒子である、メタンガス吸着材料用の組成物
の製造方法であって、
前記カーボンナノチューブおよびポリマーコーティングされた金属ナノ粒子をアニーリングして、酸素化官能基を除去することを含む
製造方法。
【請求項8】
前記金属ナノ粒子が、パラジウム、イリジウム、ロジウム、白金、銅、ニッケル、クロム、ルテニウム、銀、および金からなる群から選択される金属を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブを含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
メタンガスを検出するためのセンサであって、
電極を含む電極アセンブリと、
前記電極アセンブリの前記電極間に配置されたメタンガス吸着材料であり、
カーボンナノチューブ、および
前記カーボンナノチューブに結合されたポリマーコーティングされた金属ナノ粒子
を含む、メタンガス吸着材料と、
を含むセンサの製造方法であって、
前記ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子をアニーリングして、前記センサ上のポリマーの量を減少させることを含む
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、ガスセンサ用のナノ粒子ベースの材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れの検出には様々な技法が利用されることがあり、各手法にはトレードオフの利点がある。そのような技法には、例えば、触媒ビーズセンサ、金属酸化物半導体(MOS)センサ、非分散型赤外線センサ、および赤外線レーザベースのセンサが含まれる。一部の技法は、コンパクトであり、プリント回路板に統合される場合がある。使用される材料および技法に応じて、様々な方法論が、異なるサイズ、電力レベル、費用、または他のトレードオフを提供することができる。
【発明の概要】
【0003】
記載される実施形態およびその利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。これらの図面は、記載された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、当業者が記載された実施形態に対して行うことができる形態および詳細のいかなる変更も決して限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の一部の態様による、例示的なナノ粒子ベースのガス感知材料の図である。
【
図2A】本開示の一部の態様による、例示的なナノ粒子ベースのガス感知材料の図である。
【
図2B】本開示の一部の態様による、例示的なナノ粒子ベースのガス感知材料の図である。
【
図3】本開示の一部の態様による、例示的なナノ粒子ベースの感知材料のアニーリングプロセスを示す図である。
【
図4】本開示の一部の態様による、ナノ粒子ベースの感知材料を製造する例示的な方法を示す流れ図である。
【
図5】本開示の一部の態様による、ナノ粒子ベースの感知材料を製造する例示的な方法を示す流れ図である。
【
図6A】本開示の一部の態様による、ナノ粒子材料を使用する例示的なガスセンサの図である。
【
図6B】本開示の一部の態様による、ナノ粒子材料を使用する例示的なガスセンサの図である。
【
図6C】本開示の一部の態様による、ナノ粒子材料を使用する例示的なガスセンサの図である。
【
図7】本開示の一部の態様による、ナノ粒子ベースのセンサを製造する例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
天然ガスの漏れは、低レベルであっても、地球温暖化の大きな要因となる。例えば、産業環境でのメタンの漏れは、大気中に蓄積し、温室効果を引き起こす可能性がある。加えて、天然ガスまたはメタンの漏れは、可燃性の場合がある危険な環境を生成し、またはそのような環境にさらされた人に潜在的な健康への影響をもたらす可能性もある。触媒ビーズセンサ、MOSセンサ、非分散型赤外線、および赤外線レーザベースの手法を含む、天然ガスまたはメタンの漏れを測定するための一部の技法は、検出限界、サイズ、電力消費、費用、またはその他の制約事項において制限される場合がある。
【0006】
低消費電力を有するコンパクトなデバイスは、天然ガスまたはメタンの漏れに対して監視および反応するための改善されたセンサ特性を提供することができる。しかしながら、一部のコンパクトで低電力のガスセンサは、ある特定のガスの存在下では検出能力が低下してしまうことがある。例えば、天然ガスまたはメタンを検出するためのある特定のセンサは、水蒸気の存在下では適切に機能しない場合がある。ガスセンサが役立つ可能性のある通常の大気条件では、水蒸気のユビキタスな性質のために、これらのセンサは、センサが水蒸気で飽和する前の限られた寿命しかない場合がある。このようなセンサに対する水蒸気の影響は、デバイスの信頼性を低下させることがある。
【0007】
本明細書では、金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブ、その製造方法、およびそれを組み込んだセンサの実施形態が記載される。ある特定の実施形態は、感知材料として金属ナノ粒子で装飾されたカーボンナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ、または「SWCNT」)を含む組成物を使用するガスセンサに関する。金属ナノ粒子をポリマーでコーティングして、これをSWCNTに付着させ、金属ナノ粒子による水蒸気の吸着を低減させることができる。次いで、装飾されたSWCNTを高温でアニールして、ポリマーコーティングを炭化するとともに、酸素含有官能基をポリマーコーティングおよびSWCNTから除去することができる。感知材料は、センサの櫛歯電極の間に配置することができる。メタンガスが感知材料に吸着すると、その電子状態が変化し、結果として、吸着されたメタンの量に比例する抵抗率が変化する。この抵抗率の変化をいくつかの抵抗率測定技法(例えば、ボルタンメトリ)を介して測定することができる。
【0008】
一部の実施形態では、SWCNT/NP材料の製造プロセスは、酸素化官能基を除去するとともに、金属ナノ粒子のポリマーコーティングの存在を最小限に抑えるためのアニーリングステップを含む。アニーリングステップは、約350℃の温度で実行されることがある。ポリマー材料および官能基の除去を助けるために、アニーリングプロセスは、真空中で、または窒素もしくはアルゴンガスなどの不活性環境中で実行されてもよい。アニーリング後、SWCNTと金属ナノ粒子との間の界面には、炭化または脱酸素化された有機材料が含まれている場合がある。
【0009】
一部の実施形態では、白金(Pt)またはパラジウム(Pd)ナノ粒子が、メタン、エタンおよびプロパンなどのアルカンガスを含む炭化水素に対して感度があるため使用される。ナノ粒子が単層カーボンナノチューブ(SWCNT)などの導電性または半導電性材料に付着すると、炭化水素ガスの吸着に関連付けられた導電率の変化が測定可能になる。実際の用途では、感知材料が湿度に比較的鈍感であることが重要である。従来の乾燥状態でさえ、水蒸気の周囲濃度は、典型的には、監視される炭化水素ガスの濃度よりも2~3桁高い。例えば、炭化水素ガスの濃度は、1ppm以下のオーダである場合があるが、水蒸気濃度は、著しく高い。
【0010】
一部の実施形態では、白金で装飾されたSWCNT(Pt/SWCNT)材料が、Pt粒子とSWCNTを組み合わせることによって合成される。Ptナノ粒子は、エチレングリコールなどのポリオールの存在下でのPt塩の還元を含む、いわゆるポリオール法によって合成することができる。このプロセスの間に、Ptイオンが、エチレングリコールとの良好な混和性を有するポリマーによって安定化されたナノ結晶を形成するPt金属原子に還元される。例えば、一部の実施態様では、ポリビニルピロリドン(PVP)が、金属ナノ粒子のための安定化ポリマーとして使用されることがある。Pt粒子の安定化に適したポリマーの他の例には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸、ドデカンチオール、または他の置換類似体が含まれる。ポリマーの添加は、均一に分布したナノ粒子を得るためのテンプレートを提供することができる。
【0011】
代替の実施形態では、白金で装飾されたSWCNT(Pt/SWCNT)材料が、金属塩前駆体からカーボンナノチューブの表面に直接ポリマーコーティングされた白金ナノ粒子を形成することによって合成される。この実施形態では、Ptナノ粒子は、エチレングリコール、およびPVPなどの分散剤中でのPt塩の還元によってやはり合成されるが、反応混合物中に分散されたカーボンナノチューブの存在下においてである。Ptナノ粒子の成長は、カーボンナノチューブの表面に直接開始される。
【0012】
カーボンナノチューブは、-COOH基または-OH基を実質的に含まないように、官能基化されていなくてもよく、またはある程度のカルボン酸(-COOH)またはヒドロキシル(-OH)官能基化がされていてもよい。一部の実施形態では、官能基化の程度が低いかまたは全く官能基化されていないと、カーボンナノチューブの電子構造が乱されないままであるため、センサ性能にとって有益である場合がある。他の実施形態では、-COOHおよび-OH官能基化の程度がより高いと、カルボキシル官能基が負に帯電し、電子を供与することができ、したがって、Ptナノ粒子への結合部分として機能し、金属ナノ粒子によるSWCNTの表面被覆率が向上するため、有益な場合もある。加えて、酸化されたSWCNTの表面の-COOH基および-OH基は、SWCNTを水性溶媒およびエチレングリコール中に分散させることができる場合があり、これは、センサ印刷のための十分に分散されたPt/SWCNTインクの製造にとって非常に望ましい。官能基化の最適な程度は、複数の要因、すなわち、ナノ粒子金属の種類、粒子コーティングポリマーの種類、および感知されるガスに依存する可能性がある。カーボンナノチューブ上の-COOHおよび-OHの質量%は、UHPグレードの不活性ガス中で実験を行った場合、300℃未満の温度での熱質量分析(TGA)の質量損失によって測定される。一部の実施形態では、-COOHおよび-OH官能基は、金属ナノ粒子と組み合わせる前に、SWCNTを硝酸還流で広範囲に酸化することによって作成される。-COOHおよび-OH酸素含有基の適切な質量%は、ゼロ(実質的に官能基を含まない)~最大約20%の範囲である。一部の実施形態では、この範囲は、約0.1%~約5%、約1%~約5%、約4%~約6%、または別の範囲であってもよい。
【0013】
上述したようにPt/SWCNT材料を生成した後、これを高温で加熱することによってアニールすることができる。例えば、材料は、350℃で30分間加熱されてもよい。様々な実施態様において、加熱は、約350℃~約500℃の温度で実行されてもよい。さらに、アニーリングプロセスは、約30分間、1時間、最大4時間、または別の長さの時間で実行されてもよい。一部の実施態様では、アニーリングは、異なる温度で異なる長さの時間で段階的に実行されてもよい。アニーリング温度は、ポリマー材料を炭化するのに十分な高さであるべきであるが、高温による材料の発火または劣化を防止するのに十分な低さであるべきである。一部の実施態様では、アニーリングプロセスは、真空条件下または不活性ガスの存在下で実行されて、Pt/SWCNTから親水性酸素含有基を除去することができる。
【0014】
Ptナノ粒子を参照して一般的に記載されているが、様々な実施態様において、Pt/SWCNTを合成するためのプロセスは、他の金属ナノ粒子についても同様に実行することができる。例えば、Pdナノ粒子を使用し、同様の手順を使用してPd/SWCNTに合成することができる。さらなる金属ナノ粒子を、天然ガスの感知または他のガスの感知のために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、金ナノ粒子を硫化水素の感知に使用することができる。他の金属ナノ粒子は、それらのサイズが、アニーリングプロセスの間に金属ナノ粒子を燃焼させるか、さもなければ処理ステップのうちの1つの間に分解させる原因とならない限り使用することができる。他の実施形態では、パラジウム、イリジウム、ロジウム、白金、銅、ニッケル、クロム、ルテニウム、銀、または金のうちの1つまたは複数を使用することもできる。他の実施形態では、金属装飾ナノ粒子は、2つ以上の金属の合金または混合物からなる。
【0015】
金属ナノ粒子の合成中に、PVPまたは別のポリマーを高濃度で使用して、Ptナノ粒子をカプセル化し、安定化させることができる。例えば、一部の実施態様では、原材料ごとの質量対質量(w/w)比は、10mgSWCNT:50mgH2PtCl6・6H2O:250mgPVPであってもよい。しかしながら、PVPは、PVP残基が非導電性材料および拡散バリアとして機能するため、センサの応答を妨げる可能性があるため、ポリマー材料の一部が処理中に除去されることがある。
【0016】
合成で使用するための塩基SWCNT材料にはいくつかの選択肢がある。官能基を有さないSWCNTは、湿度に対してほとんど鈍感であるため、有利である。しかしながら、これらは、分散させることが困難であり、金属ナノ粒子とうまく結合しない。前述したように、カルボキシル官能基を有するSWCNT(SWCNT-COOH)は、よく結合し、溶媒中で容易に分散される。それにもかかわらず、SWCNT-COOHは、湿度に対して非常に敏感であるという欠点を有する。したがって、PtがSWCNT表面と結合した後、センサが実際の条件で機能することができるようにするためには、カルボキシル化された官能基の除去が重要である。本発明者らは、PVPの熱分解を誘発するための熱処理を用いてこれを達成している。加えて、SWCNT-COOHのカルボキシル基は、100~250℃で徐々に分解される。これは、350℃までに質量が20%減少することで確認することができる。カルボン酸基の分解は、SWCNT-COOHの脱炭酸の結果である可能性がある。
【0017】
Pt粒子がPVPでコーティングされ、SWCNTが-COOH基で官能化されているPt/SWCNTのアニーリングは、結果としてPVPおよび-COOH基が失われる可能性がある。これは、アニールされていないPt/SWCNTと比較して追加の利点を提供することができる。第1に、アニールされたPt/SWCNTは、ポリマー含有量が低く、Pt粒子とSWCNT表面とがより直接的に接触するため、感度の向上をもたらすことができる。第2に、アニールされたPt/SWCNTは、親水性のカルボキシル基および他の酸素含有官能基が除去されるため、感水性の低下をもたらすことができる。これにより、アニールされたPt/SWCNT粒子が、アニールされていないPt/SWCNT粒子と比較して、より疎水性になる。
【0018】
一部の実施態様では、Pt/SWCNT合成のためのプロセスは、約1mLのSWCNT-COOH溶液(10mg/mLH2O)と約10mLのPtナノ粒子溶液(65mM)を組み合わせることから始まる。この組合せを約2分間混合することができる。次いで、溶液を30Wの電力で5分間プローブ超音波処理することができる。混合した後、この組合せを1時間浴超音波処理することができる。次いで、浴超音波処理溶液を対流式オーブンに入れることができ、EGを約200℃で蒸発させた。溶媒(例えば、エチレングリコール)が蒸発した後、溶液を真空炉に移し、350℃で30分間加熱することができる。センサを生成するために、ナノ粒子とナノチューブを組み合わせた残基を約2mLのDMFで希釈し、短時間(<5秒)浴超音波処理することができる。記載されたプロセスは、高度に疎水性の複合ナノ粒子を生成することができる。
【0019】
一部の実施態様では、スライドガラス上にコーティングされた複合ナノ粒子の接触角測定は、アニーリング前と後の金属ナノ粒子でコーティングされたナノチューブ間で親水性挙動の著しい変化を示す。コーティングされたPt/SWCNTスライドは、水に対して低い接触角(例えば、約34度)を有することができ、親水性を示す。アニーリング後、SWCNT-NPは、はるかに高い(例えば、約83度)接触角を有することができ、アニーリング前の材料と比較すると、改善された疎水性を示す。
【0020】
本明細書に記載されるような感知デバイスは、櫛歯金属電極上に堆積させたCNT/ナノ粒子材料を含むことができる。一部の実施形態では、電極は、可撓性ポリエチレンナフタレート基板上に約200nmの厚さに真空蒸着した金からなる。他の実施形態では、電極は、印刷された銀ナノ粒子インクによって形成される。他の基板および堆積方法も、本明細書に記載されるようなセンサを生成するために使用することができる。エッチングまたは切削加工された銅、例えば、市販のプリント回路板(PCB)上の銅も使用することができる。一部の実施態様では、SWCNT/NPを含有する一定量のインクが感知デバイスのチャネル上に印刷される。一部の実施形態では、インクドットの体積(典型的には、0.1~0.25μL)および加熱される表面の温度(典型的には、90℃~110℃)は、最適性能のために感知デバイスに要求される抵抗によって決定される。
【0021】
図1は、例示的なPt/SWCNT感知材料100の図である。感知材料100は、Ptナノ粒子110が付着したカーボンナノチューブ120を含むことができる。図示するように、Ptナノ粒子110は、カーボンナノチューブ120に直接付着している。これにより、天然ガスの存在を検出するためのPtナノ粒子110を有する親水性のない接続を提供することができる。例えば、Ptナノ粒子110とカーボンナノチューブ120との間の密接な接続は、組み合わされたPt/SWCNT材料100の抵抗の変化に起因する、メタンなどの天然ガスの濃度の正確な指標を提供することができる。しかしながら、Ptナノ粒子110とカーボンナノチューブ120の組合せは、材料を組み合わせるための追加の結合剤なしでは実現されない可能性がある。
【0022】
図2Aは、ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子210と組み合わされたカルボキシル官能基(-COOH)230を有するカーボンナノチューブ220を使用する例示的なPt/SWCNT感知材料200の図である。カーボンナノチューブ220は、-COOHまたは他の親水性官能基で官能基化されたカーボンナノチューブを表す。カルボキシル官能基は、カーボンナノチューブ220の表面に沿ってだけでなく、カーボンナノチューブの端部にも存在することができる。
図2Aに示すように、カルボキシル官能基230は、ポリマーコーティングされたナノ粒子210の分布およびカーボンナノチューブ220との付着を助けることができる。したがって、カルボキシル官能基230のないカーボンナノチューブ220ではなく、ポリマーコーティングされたナノ粒子210を、カルボキシル官能基230を有するカーボンナノチューブ220と組み合わせて、ポリマーコーティングされたナノ粒子210の分布およびカーボンナノチューブ220との親和力を改善することができる。
【0023】
図2bは、ポリマーコーティング250でコーティングされたPtナノ粒子240を含む、ポリマーコーティングされたナノ粒子210の構成を示す図である。前述したように、ポリマーコーティング250は、ナノ粒子の分布およびナノチューブ220へのナノ粒子の付着を改善するために、PVPまたは別のポリマーコーティングを含むことができる。ポリマーコーティング250は、コーティングされていないナノ粒子と比較して、ポリマーコーティングされたナノ粒子210の親水性をさらに低下させることができ、それにより天然ガスの吸着を可能にし、かつ水蒸気の吸着を制限する。
【0024】
図3は、アニーリングプロセス345中のポリマーコーティング
340のポリマーコーティング350への変化を示す図である。上述したように、カーボンナノチューブ320に付着させた金属ナノ粒子310を堆積させ、コーティングする。金属ナノ粒子310は、ポリマーコーティング340をベースとするカーボンナノチューブ320を通して分布することができる。
図3に示すように、Ptナノ粒子は、親水性官能基を除去するためにアニーリングプロセスにおいて熱処理される。さらに、
図3に示すように、ポリマーコーティング340のある特定の部分を除去して炭化コーティング350を生成することができる。
【0025】
図4は、ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子をカーボンナノチューブと混合することによって、本開示の実施形態による、金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブを生成するための方法400を示す流れ図である。方法400は、ブロック402で始まり、ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子を含む第1の溶液が用意される。ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子は、上記の
図1~
図3に関して説明したポリマーコーティングされた金属ナノ粒子210によって表される構造を有することができる。ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子は、本明細書に記載されるように、または任意の改造もしくは他の適切な合成方法を使用して合成されてもよい。一部の実施形態では、各ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子は、PtまたはPdコアと、PVPを含むポリマー層と、を含む。一部の実施形態では、ポリマーコーティングされた金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散させる。
【0026】
ブロック404において、カーボンナノチューブを含む第2の溶液が用意される。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブへの金属ナノ粒子の付着を改善するために、カルボン酸(-COOH)および/またはヒドロキシル(-OH)基を含む官能基を有することができる。カーボンナノチューブは、本明細書に記載されるように、または任意の他の改造もしくは他の適切な合成方法を使用して合成することができる。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、SWCNTである。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、金属ナノ粒子と組み合わせる前に水性溶媒中に分散させることができる。
【0027】
ブロック406では、第1の溶液を第2の溶液と組み合わせることによって、反応混合物が形成される。組み合わされた混合物は、金属ナノ粒子をカーボンナノチューブ上に堆積させる。
【0028】
ブロック407では、反応混合物は、超音波処理されてもよい。例えば、混合物は、高出力で約5分間または低出力で約1時間超音波処理されてもよい。一部の実施形態では、混合物は、高出力で5分間、および低出力で1時間超音波処理されてもよい。これらのプロセスは、Ptナノ粒子からPVPを一時的に除去し、Ptナノ粒子の表面をSWNTに暴露し、SWCNT-COOHとPtナノ粒子との間の結合を強化することができる。
【0029】
ブロック408では、反応混合物は、200℃などのポリマーコーティングされた金属ナノ粒子のポリマーのガラス転移温度よりも高い温度に加熱される(例えば、PVPのガラス転移温度は、その分子量に応じて100℃~180℃変動し得る)。このプロセスは、ナノ粒子のSWNT表面への結合も助ける。PVP残基は、EG中にとどまるか、Pt/SWNTの外殻として残ることがある。一部の実施形態では、ナノ粒子でコーティングされた金属ナノ粒子は、溶媒で処理されて、ナノ粒子の表面から溶媒アクセス可能なPVPを除去する。
【0030】
ブロック410では、乾燥したPVPコーティングされた金属ナノ粒子で修飾されたカーボンナノチューブがアニールされる。アニーリング温度は、約350℃またはその付近であってもよい。一部の実施態様では、アニーリング温度は、本明細書に記載されているものよりも高くても低くてもよい。アニーリングプロセスは、約30分間さらに実行されてもよい。一部の実施態様では、アニーリングプロセスは、より長いまたはより短い時間にわたって実行されてもよい。一部の実施形態では、得られたカーボンナノチューブには、ポリマー層が低減された一連の金属ナノ粒子が付着している。
【0031】
図5は、金属塩前駆体からカーボンナノチューブの表面にポリマーコーティングされた金属ナノ粒子を直接形成することによって、本開示の実施形態による金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブを生成する方法500を示す流れ図である。方法500は、溶媒中に金属塩およびポリマー分散剤を含む第1の溶液が用意されるブロック502で始まる。ブロック504では、溶媒中に分散されたカーボンナノチューブを含む溶液が用意される。ブロック506では、第1の溶液を第2の分散液と組み合わせることによって、反応混合物が形成される。ブロック508では、混合物は、エチレングリコールなどのポリオールによる金属塩の金属原子への還元を可能にする温度で加熱される。例えば、混合物は、エチレングリコールを使用する場合、150℃を超える温度に加熱されてもよい。一部の実施形態では、反応は、ポリオール溶媒の還流を可能にするために、凝縮器を備えた容器内で行われる。
【0032】
ブロック510では、凝縮器が取り外されてもよく、混合物は、溶媒を除去するのに十分な温度で加熱される。例えば、197℃で沸騰するエチレングリコールは、上記のブロック408を参照して記載したように、約200℃の温度で加熱することによって容易に除去することができる。
【0033】
最後に、ブロック512では、ブロック510における溶媒蒸発の後に得られた乾燥粒子を、より高い温度でアニールすることができる。アニーリング温度は、約350℃またはその付近であってもよい。一部の実施態様では、アニーリング温度は、本明細書に記載されているものよりも高くても低くてもよい。アニーリングプロセスは、約30分間さらに実行されてもよい。一部の実施態様では、アニーリングプロセスは、より長いまたはより短い時間にわたって実行されてもよい。一部の実施態様では、アニーリングプロセスは、金属ナノ粒子とカーボンナノチューブを組み合わせるために使用される溶媒が蒸発するまで、ある長さの時間にわたって実行されてもよい。一部の実施形態では、得られたカーボンナノチューブには、ポリマー層が低減された一連の金属ナノ粒子が付着している。
【0034】
図6A~
図6Cは、本開示の実施形態による例示的なセンサチップ600の上面図および断面図をそれぞれ示す図である。センサチップ600は、半導体基板の表面にセンサ604A~604Dが形成された基板602を含む。4つのセンサが示されているが、より少ないまたは追加のセンサが、様々な実施形態において使用されてもよい。基板602は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、または任意の他の適切な非導電性材料などの非導電性材料を含むことができる。一部の実施形態では、基板の厚さは、あるタイプのゼロ挿入力(ZIF)コネクタへの確実な接続を容易にするように選択されてもよい(例えば、250μmの基板の厚さ)。
【0035】
センサ604A~604Dは、銅、グラファイト、チタン、銀、金、白金、またはそれらの組合せなどの任意の適切な電極材料を含むことができる。センサ604A~604Dは、外部構成要素との電気的接触を容易にして、改善された出力を提供するようにさらに成形されてもよい。単一の対向電極606も基板602上に形成することができ、これは、センサ604A~604Dのそれぞれによって共有されて、センサチップ600上の電極の総数を減らすことができる。一部の実施形態では、共通電極606などの複数の戻り電極も、センサで使用されてもよい。
【0036】
センサ604A~604Dおよび共通電極606は一緒に、櫛歯電極608を備えた領域を画定することができる。
図6Bは、センサ604A~604Cの櫛歯電極608を通る断面図を示し、ガス感知材料を堆積させることができる櫛歯電極608の間に画定された活性領域610を示す。ある特定の実施形態では、櫛歯電極608の厚さは、100nm~1μmの範囲であってもよい。隣接する櫛歯電極608間のピッチ
612は、例えば、50μm~5mmの範囲であってもよい。
【0037】
センサチップ600は、センサチップ600の一部が抵抗測定のために電気コネクタに直接挿入され得るように設計されてもよい。印刷された物質の所望の抵抗レベルを達成するために、センサチップ600は、櫛歯電極608の数、デューティサイクル、および寸法(厚さを含む)、ならびに隣接する電極間のギャップ距離を変えるように設計することができる。センサ604A~604Dの印刷されたリードの寸法は、共通電極経路とセンサ経路のリード抵抗が、抵抗測定においてそれらの影響を相殺するためにほぼ同じになるように選択することができる。基板602は、レシオメトリック3線抵抗測定用に設計されてもよいが、従来の3線抵抗測定および2線抵抗測定とも互換性があってもよい。
【0038】
図6Cは、いくつかのピン654を有する処理デバイス650に動作可能に結合されているものとして示されているセンサチップ600の動作を示す。処理デバイスは、様々なオンチップセンサを使用してガス感知材料の抵抗率を測定するように構成することができるマルチプレクサ652などの1つまたは複数の電子構成要素を含むことができる。一部の実施形態では、処理デバイス650は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。例えば、処理デバイス650は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、あるいは命令セットの組合せを実装するプロセッサであってもよい。処理デバイス650はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであってもよい。処理デバイス650は、電気信号を印加すること、電気信号を測定すること、および測定された電気信号に基づいてデータを計算することなどの様々な動作を実行するように構成されてもよい。ある特定の実施形態では、処理デバイス650は、単一のデバイスまたは他のデバイスを制御するデバイスであってもよい。例えば、処理デバイス650は、抵抗率測定を実行するように構成されてもよく、または抵抗率測定を実行する1つまたは複数の他のデバイスを制御してもよい。
【0039】
図7は、本開示の実施形態による、センサを製造するための方法700を示す流れ図である。方法700は、ブロック702で始まり、金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブを含むインクが用意される。金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブは、本明細書に記載される任意の金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブに対応してもよい(例えば、SWCNTに結合されたPVPコーティングされたパラジウムナノ粒子)。
【0040】
ブロック704では、電極アレイが上に形成されたセンサチップまたは基板が用意される。例えば、
図6を参照して記載したような基板およびセンサが用意されてもよい。ブロック706では、インクを電極アレイの電極間に堆積させ、インクの溶媒を蒸発させて、金属ナノ粒子で装飾されたナノチューブを含むガス感知材料を残すことができる。例えば、上述したように金属ナノ粒子で修飾されたナノチューブを有するインクを用意することができる。ある特定の実施形態では、インクを、センサ上に直接(例えば、インクジェット印刷を使用して)印刷することによって堆積させる。一部の実施形態では、インクを、ピペッティング、スピンコーティング、またはディップコーティングなどの他の適切な方法を使用して堆積させる。
【0041】
ブロック708では、センサを約100℃の温度に加熱して、溶媒を蒸発させることができる。一部の実施形態では、センサをより高温またはより低温で加熱して、溶媒を蒸発させることができる。
【0042】
一部の実施形態では、方法700に従って生成されたセンサは、周囲条件において広い相対湿度範囲にわたって動作することができる。本明細書で使用されるように、「周囲条件」とは、温度が20±5℃、および圧力が1±0.1気圧(ATM)の典型的な実験室環境の条件を指す。ある特定の実施形態では、0%~80%の相対湿度を有する周囲環境におけるセンサの動作中、センサは、100ppmのメタン検出限界を有する。一部の実施形態では、センサは、より低い検出限界、例えば、50ppmまたは10ppmを有することができる。センサは、周囲条件の範囲外の温度範囲(例えば、-5°~50℃)でこのような性能を達成することができる。
【0043】
疎水性感知粒子をベースとする印刷されたメタンセンサは、高湿度環境および長期湿度環境での性能の低下を欠点として有する。本明細書では、真空中または不活性ガス中で、350℃超での最終アニーリングステップを伴う、高度に疎水性のポリマーコーティングされた金属ナノ粒子で装飾されたCNTを製造するための構造およびプロセスが開示されている。本方法は、SWCNT表面と金属ナノ粒子との間の接触を増加させる。これにより、感度および検出限界が改善され、湿度の高い条件で寿命が延びたセンサが生成される。
【0044】
様々な動作が、本開示を理解するのに最も役立つやり方で複数の個別の動作として順番に説明されているが、説明の順序は、これらの動作が必ずしも順序依存であることを示唆していると解釈されなくてもよい。特に、これらの動作は、提示の順序で実行する必要はない。
【0045】
前述の説明は、本開示の一部の実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例などの多くの具体的な詳細を述べている。しかしながら、当業者には、本開示の少なくとも一部の実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが明らかであろう。他の事例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構成要素または方法は、詳細に説明されないか、または単純なブロック図の形態で提示されている。したがって、記載された具体的な詳細は、単なる例示である。特定の実施形態は、これらの例示的な詳細とは異なってもよく、それでもなお、本開示の範囲内であると企図される。
【0046】
さらに、一部の実施形態は、機械可読媒体が2つ以上のコンピュータシステムに記憶される、および/またはそれによって実行される分散コンピューティング環境で実施されてもよい。加えて、コンピュータシステム間で転送される情報は、コンピュータシステムを接続する通信媒体を介してプルされてもよく、またはプッシュされてもよい。
【0047】
特許請求される主題の実施形態は、本明細書に記載される様々な動作を含むが、これらに限定されない。これらの動作は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せによって実行することができる。
【0048】
本明細書の方法の動作は、特定の順序で示され説明されているが、各方法の動作の順序は、ある特定の動作が逆の順序で実行され得るように、またはある特定の動作が少なくとも部分的に他の動作と同時に実行され得るように変更されてもよい。別の実施形態では、別個の動作の命令またはサブ動作は、断続的または交互のやり方であってもよい。
【0049】
要約書に記載されているものを含む、本発明の例示された実施態様の上記の説明は、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。本発明の特定の実施態様および例が、例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な等価な変更形態が可能である。「例」または「例示的」という単語は、本明細書では、例、事例、または例示として役立つことを意味するために使用される。「例」または「例示的」として本明細書に記載された任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいもしくは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という単語の使用は、概念を具体的に提示することを意図している。本出願で使用されるように、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別段の定めがない限りまたは文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを含む」は、自然な包含的置換のいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XがAを含み、XがBを含み、またはXがAおよびBの両方を含む場合、「XがAまたはBを含む」は、前述の事例のいずれかの下で満たされる。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲で使用されるような冠詞「a」および「an」は、別段の定めがない限り、または単数形を対象とする文脈から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味すると一般的に解釈されるべきである。さらに、全体を通して「ある実施形態」もしくは「一実施形態」または「ある実施態様」もしくは「一実施態様」という用語の使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態または実施態様を意味することが意図されていない。さらに、本明細書で使用されるような「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、異なる要素間を区別するためのラベルを意味し、必ずしもそれらの数値指定による順序の意味を有するとは限らない場合がある。
【0050】
上で開示された、および他の特徴および機能の変形形態、またはそれらの代替形態は、他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されよう。現時点で予測または予期されない様々な代替形態、変更形態、変形形態、またはそれらの改善形態が、当業者によって後に行われ得て、これらもまた、以下の特許請求の範囲に包含されていることが意図されている。請求項は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せにおける実施形態を包含することができる。