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特許7487109複屈折制御を組み込むホログラフィック導波管およびその加工のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】複屈折制御を組み込むホログラフィック導波管およびその加工のための方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240513BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240513BHJP
   G03H 1/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G03H1/00
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020549679
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019022822
(87)【国際公開番号】W WO2019178614
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】62/643,977
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509325972
【氏名又は名称】ディジレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォルダーン, ジョナサン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ, ミラン モムシロ
(72)【発明者】
【氏名】グラント, アラステア ジョン
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/162999(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0131545(US,A1)
【文献】特開2015-099238(JP,A)
【文献】特開平09-218407(JP,A)
【文献】特表2010-525394(JP,A)
【文献】特表2009-516862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管であって、
少なくとも1つの導波管基板と、
少なくとも1つの複屈折格子と、
少なくとも1つの複屈折制御層と、
光を出力するための光源と、
前記光を前記導波管内の全内部反射経路の中に指向するための入力カプラと、
前記導波管からの光を抽出するための出力格子
を備え、
前記光と前記複屈折制御層および前記複屈折格子の相互作用は、前記導波管から抽出された光の所定の特性を提供し、
前記複屈折制御層は、前記導波管の少なくとも1つの光学面上に配置される屈折率層の少なくとも1つのスタックを備え、前記屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、等方性屈折率を有し、前記屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、異方性屈折率を有する、導波管。
【請求項2】
前記光と前記複屈折制御層の相互作用は、角度またはスペクトル帯域幅変動、偏光回転、複屈折変動、ビーム透過または偏光回転のうちの少なくとも1つの角度またはスペクトル依存性、および前記導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向における光透過変動のうちの少なくとも1つを提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記所定の特性は、前記導波管内の光伝搬の少なくとも1つの方向に沿った前記光と前記複屈折制御層および前記複屈折格子の相互作用の累積効果からもたらされる、請求項1に記載の導波管。
【請求項4】
前記所定の特性は、前記光の角度範囲にわたる均一な照明および均一な偏光のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の導波管。
【請求項5】
前記複屈折制御層は、前記導波管内の光伝搬の少なくとも1つの方向に沿って、前記複屈折格子によって導入される偏光回転の補償を提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項6】
前記複屈折制御層は、液晶およびポリマー材料システムである、請求項1に記載の導波管。
【請求項7】
前記複屈折制御層は、指向性紫外線放射を使用して整合される液晶およびポリマーシステムである、請求項1に記載の導波管。
【請求項8】
前記複屈折制御層は、電磁放射、電場または磁場、機械的力、化学反応、および熱暴露のうちの少なくとも1つによって整合される、請求項6に記載の導波管。
【請求項9】
前記複屈折制御層は、前記導波管の少なくとも1つの内部または外部光学面上に形成される、請求項1に記載の導波管。
【請求項10】
前記複屈折制御層は、反射層を提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項11】
前記複屈折制御層は、屈折力を提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項12】
前記複屈折制御層は、前記導波管のための環境隔離層を提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項13】
前記複屈折制御層は、屈折率勾配構造を有する、請求項1に記載の導波管。
【請求項14】
前記複屈折制御層は、前記導波管基板の平面内でその屈折率を空間的に変動させるように、光学材料の層を延伸させることによって形成される、請求項1に記載の導波管。
【請求項15】
前記光源は、コリメート光を提供する、請求項1に記載の導波管。
【請求項16】
前記入力カプラおよび前記出力格子のうちの少なくとも1つは、複屈折格子を備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項17】
前記複屈折格子は、少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの液晶とを含む材料システム内に記録される、請求項1に記載の導波管。
【請求項18】
前記少なくとも1つの複屈折格子は、第1の方向におけるビーム拡大と、第2の方向におけるビーム拡大および前記導波管からの光抽出と、前記光源から前記導波管内の全内部反射経路の中への光の結合との機能のうちの少なくとも1つを提供するための少なくとも1つの複屈折格子を備える、請求項1に記載の導波管。
【請求項19】
前記光源は、レーザを含み、前記複屈折格子内のLCダイレクタの整合は、空間的に変動し、照明バンディングを補償する、請求項1に記載の導波管。
【請求項20】
導波管を加工するための方法であって、前記方法は、
第1の透明基板を提供することと、
格子記録材料の層を堆積させることと、
前記格子記録材料の層を露光し、格子層を形成することと、
複屈折制御層を形成することと、
第2の透明基板を適用することと
を含み、
前記複屈折制御層は、前記導波管の少なくとも1つの光学面上に配置される屈折率層の少なくとも1つのスタックを備え、前記屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、等方性屈折率を有し、前記屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、異方性屈折率を有する、方法。
【請求項21】
前記格子記録材料の層は、前記第1の透明基板上に堆積され、
前記複屈折制御層は、前記格子層上に形成され、
前記第2の透明基板は、前記複屈折制御層上に適用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記格子記録材料の層は、前記第1の透明基板上に堆積され、
前記第2の透明基板は、前記格子層上に適用され、
前記複屈折制御層は、前記第2の透明基板上に形成される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記複屈折制御層は、前記第1の透明基板上に形成され、
前記格子記録材料の層は、前記複屈折制御層上に堆積され、
前記第2の透明基板は、前記格子層上に適用される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記複屈折制御層を形成することが、
液晶ポリマー材料の層を堆積させることと、
指向性UV光を使用して、前記液晶ポリマー材料を整合させることと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記格子記録材料の層は、前記第1の透明基板上に堆積され、前記第2の透明基板は、前記整合された液晶ポリマー層上に適用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記液晶ポリマー材料の層は、前記格子層または前記第2の透明基板のうちのいずれか1つの上に堆積される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記液晶ポリマー材料の層は、前記第1の透明基板上に堆積され、
前記格子記録材料の層は、前記整合された液晶ポリマー材料上に堆積され、
前記第2の透明基板は、前記格子層上に適用される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学導波管に関し、より具体的には、複屈折格子を使用する導波管ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
導波管は、波を閉じ込め、誘導する(すなわち、波が伝搬し得る空間領域を制限する)能力を伴う構造と称されることができる。1つのサブクラスは、電磁波、典型的には、可視スペクトルにおけるものを誘導し得る構造である、光導波管を含む。導波管構造は、いくつかの異なる機構を使用して波の伝搬経路を制御するように設計されることができる。例えば、平面導波管は、回折格子を利用し、入射光を回折させ、導波管構造の中に結合するように設計されることができ、したがって、内部結合された光は、全内部反射(「TIR」)を介して平面構造内で進行し続けることができる。
【0003】
導波管の加工は、導波管内のホログラフィック光学要素の記録を可能にする材料システムの使用を含むことができる。そのような材料の1つのクラスは、光重合性モノマーと、液晶とを含有する混合物である、ポリマー分散液晶(「PDLC」)混合物を含む。そのような混合物のさらなるサブクラスは、ホログラフィックポリマー分散液晶(「HPDLC」)混合物を含む。体積位相格子等のホログラフィック光学要素は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームを用いて材料を照射することによって、そのような液体混合物中に記録されることができる。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、光重合誘発相分離を受け、クリアなポリマーの領域が点在する、液晶微小液滴が密集する領域を作成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成する。
【0004】
上記に説明されるもの等の導波管光学系は、様々なディスプレイおよびセンサ用途のために考慮されることができる。多くの用途では、複数の光学機能をエンコードする1つ以上の格子層を含有する導波管が、種々の導波管アーキテクチャおよび材料システムを使用して実現され、拡張現実(「AR」)および仮想現実(「VR」)のための接眼ディスプレイ、航空および道路交通のためのコンパクトなヘッドアップディスプレイ(「HUD」)、ならびにバイオメトリックおよびレーザレーダ(「LIDAR」)用途のためのセンサにおける新しい革新を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記に続くものは、情報を表示するための発明的光学ディスプレイおよび方法に関連する種々の概念ならびにその実施形態のより詳細な説明である。上記に導入され、下記により詳細に議論される、種々の概念は、開示される概念が、実装の任意の特定の様式に限定されないため、多数の方法のうちのいずれかにおいて実装され得ることを理解されたい。具体的実装および用途の実施例が、主として、例証目的のために提供される。本発明のより完全な理解が、同様の索引番号が、同様の部分を示す、付随の図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮することによって取得されることができる。明確にする目的のために、本発明に関連する技術分野において公知である技術的材料に関する詳細は、詳細に説明されていない。
【0006】
一実施形態は、少なくとも1つの導波管基板と、少なくとも1つの複屈折格子と、少なくとも1つの複屈折制御層と、光を出力するための、光源と、光を導波管内の全内部反射経路の中に指向するための、入力カプラと、導波管からの光を抽出するための、出力カプラであって、光と複屈折制御層および複屈折格子の相互作用は、導波管から抽出された光の所定の特性を提供する、出力カプラとを含む、導波管を含む。
【0007】
別の実施形態では、光と複屈折制御層の相互作用は、角度またはスペクトル帯域幅変動、偏光回転、複屈折変動、ビーム透過または偏光回転のうちの少なくとも1つの角度もしくはスペクトル依存性、および導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向における光透過変動のうちの少なくとも1つを提供する。
【0008】
さらなる実施形態では、所定の特性は、導波管を横断して変動する。
【0009】
なおも別の実施形態では、所定の特性は、導波管内の光伝搬の少なくとも1つの方向に沿った、光と複屈折制御層および複屈折格子の相互作用の累積効果からもたらされる。
【0010】
なおもさらなる実施形態では、所定の特性は、光の角度範囲にわたる均一な照明および均一な偏光のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
また別の実施形態では、複屈折制御層は、導波管内の光伝搬の少なくとも1つの方向に沿って、複屈折格子によって導入される、偏光回転の補償を提供する。
【0012】
またさらなる実施形態では、複屈折制御層は、液晶およびポリマー材料システムである。
【0013】
別の付加的実施形態では、複屈折制御層は、指向性紫外線放射を使用して整合される、液晶およびポリマーシステムである。
【0014】
さらなる付加的実施形態では、複屈折制御層は、電磁放射、電場または磁場、機械的力、化学反応、および熱暴露のうちの少なくとも1つによって整合される。
【0015】
再び、別の実施形態では、複屈折制御層は、液晶およびポリマーシステム内に形成される、複屈折格子内のLCダイレクタの整合に影響を及ぼす。
【0016】
再び、さらなる実施形態では、複屈折制御層は、異方性屈折率を有する。
【0017】
なおもまた別の実施形態では、複屈折制御層は、導波管の少なくとも1つの内部または外部光学面上に形成される。
【0018】
なおもまたさらなる実施形態では、複屈折制御層は、導波管の少なくとも1つの光学面上に配置される、屈折率層の少なくとも1つのスタックを含み、屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、等方性屈折率を有し、屈折率層のスタック内の少なくとも1つの層は、異方性屈折率を有する。
【0019】
なおも別の付加的実施形態では、複屈折制御層は、高反射層を提供する。
【0020】
なおもさらなる付加的実施形態では、複屈折制御層は、屈折力を提供する。
【0021】
再び、なおも別の実施形態では、複屈折制御層は、導波管のための、環境隔離層を提供する。
【0022】
再び、なおもさらなる実施形態では、複屈折制御層は、屈折率勾配構造を有する。
【0023】
また別の付加的実施形態では、複屈折制御層は、導波管基板の平面内でその屈折率を空間的に変動させるように、光学材料の層を延伸させることによって形成される。
【0024】
またさらなる付加的実施形態では、光源は、角度空間内でコリメート光を提供する。
【0025】
再び、また別の実施形態では、入力カプラおよび出力カプラのうちの少なくとも1つは、複屈折格子を含む。
【0026】
再び、またさらなる実施形態では、複屈折格子は、少なくとも1つのポリマーと、少なくとも1つの液晶とを含む、材料システム内に記録される。
【0027】
再び、別の付加的実施形態では、少なくとも1つの複屈折格子は、第1の方向におけるビーム拡大、第2の方向におけるビーム拡大および導波管からの光抽出、ならびに源から導波管内の全内部反射経路の中への光の結合の機能のうちの少なくとも1つを提供するための、少なくとも1つの複屈折格子を含む。
【0028】
再び、さらなる付加的実施形態では、光源は、レーザを含み、複屈折格子内のLCダイレクタの整合は、空間的に変動し、照明バンディングを補償する。
【0029】
なおもまた別の付加的実施形態は、導波管を加工するための方法を含み、本方法は、第1の透明基板を提供するステップと、格子記録材料の層を堆積させるステップと、格子記録材料の層を露光し、格子層を形成するステップと、複屈折制御層を形成するステップと、第2の透明基板を適用するステップとを含む。
【0030】
なおもまたさらなる付加的実施形態では、格子記録材料の層は、基板上に堆積され、複屈折制御層は、格子層上に形成され、第2の透明基板は、複屈折制御層にわたって適用される。
【0031】
再び、また別の付加的実施形態では、格子記録材料の層は、基板上に堆積され、第2の透明基板は、格子層にわたって適用され、複屈折制御層は、第2の透明基板上に形成される。
【0032】
再び、またさらなる付加的実施形態では、複屈折制御層は、第1の透明基板上に形成され、格子記録材料の層は、複屈折制御層上に堆積され、第2の透明基板は、格子層にわたって適用される。
【0033】
再び、なおもまた別の実施形態では、本方法はさらに、液晶ポリマー材料の層を堆積させるステップと、指向性UV光を使用して、液晶ポリマー材料を整合させるステップであって、格子記録材料の層は、基板上に堆積され、第2の透明基板は、整合された液晶ポリマー層にわたって適用される、ステップとを含む。
【0034】
再び、なおもまたさらなる実施形態では、液晶ポリマー材料の層は、格子層または第2の透明基板のうちのいずれか1つの上に堆積される。
【0035】
再び、なおもまた別の付加的実施形態では、液晶ポリマー材料の層は、第1の透明基板上に堆積され、格子記録材料の層は、整合された液晶ポリマー材料上に堆積され、第2の透明基板は、格子層にわたって適用される。
【0036】
付加的実施形態および特徴が、続く説明に部分的に記載され、部分的に、本明細書の考察に応じて当業者に明白となるであろう、または本発明の実践によって学習され得る。本発明の性質および利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分および本開示の一部を形成する図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のこれらおよび他の特徴ならびに利点が、付随のデータおよび図と併せて考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによって、より深く理解されるであろう。
【0038】
図1図1は、本発明のある実施形態による、複屈折格子および複屈折制御層を組み込む、導波管の概略断面図を概念的に図示する。
【0039】
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態による、格子複屈折を補償するために複屈折格子および複屈折制御層を組み込む、導波管の概略断面図を概念的に図示する。
【0040】
図3図3は、本発明のある実施形態による、導波管から均一な出力照明を提供するために複屈折格子および複屈折制御層を組み込む、導波管の概略断面図を概念的に図示する。
【0041】
図4図4は、本発明のある実施形態による、等方性および異方性屈折率層を組み合わせる多層構造によって形成される、複屈折制御層の概略断面図を概念的に図示する。
【0042】
図5図5は、本発明のある実施形態による、複屈折格子層と統合された等方性および異方性屈折率層を組み合わせる多層構造によって形成される、複屈折制御層の概略断面図を概念的に図示する。
【0043】
図6図6は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層を伴う二重拡大導波管の平面図を概念的に図示する。
【0044】
図7図7は、本発明のある実施形態による、導波管から出力光路内の光学要素によって導入される複屈折を補正するために複屈折格子および複屈折制御層を組み込む、導波管の概略断面図を概念的に図示する。
【0045】
図8図8は、本発明のある実施形態による、力を層の縁に印加することによって複屈折制御層を整合させるための装置の概略平面図を概念的に図示する。
【0046】
図9図9A-9Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。
【0047】
図10図10A-10Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折制御層が導波管の外面に適用される、複屈折格子を含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。
【0048】
図11図11A-11Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。
【0049】
図12図12は、本発明のある実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を示す、フローチャートを概念的に図示する。
【0050】
図13図13は、本発明のある実施形態による、複屈折格子と、導波管の外面に適用される、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を示す、フローチャートを概念的に図示する。
【0051】
図14図14は、本発明のある実施形態による、格子層の記録の前に、複屈折制御層を形成するステップが実行される、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を示す、フローチャートを概念的に図示する。
【0052】
図15図15は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層が導波管において空気界面に適用される、導波管の概略側面図を概念的に図示する。
【0053】
図16図16は、本発明のある実施形態による、その環境から導波管を隔離する複屈折制御層が導波管に、かつ空気界面に適用される、導波管の概略側面図を概念的に図示する。
【0054】
図17図17は、本発明のある実施形態による、格子記録ビームが複屈折制御層を通して伝搬する、複屈折制御層に上置する複屈折格子層を含有する、構造を加工するための装置の概略側面図を概念的に図示する。
【0055】
図18図18は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層が格子を通して伝搬するUV放射によって整合される、複屈折格子層に上置する複屈折制御層を含有する、構造を加工するための装置の概略側面図を概念的に図示する。
【0056】
図19図19は、格子層を挟装する基板を含有する、導波管の断面を概念的に図示する。
【0057】
図20図20は、本発明のある実施形態による、4分の1波長偏光層が挿入される、導波管を概念的に図示する。
【0058】
図21図21は、本発明のある実施形態による、RKV格子を伴う4分の1波長偏光層の使用を図示する、導波管の一部を示す、概略断面図を概念的に図示する。
【0059】
図22図22は、本発明のある実施形態による、屈折率合致油層によって分離される、LCP4分の1波長セルと、反応性モノマー液晶混合物(RMLCM)セルとを含有する、偏光層アーキテクチャを概念的に図示する。
【0060】
図23図23は、本発明のある実施形態による、裸LCPフィルムと直接接触するRMLCM格子材料層を伴う格子セルに基づく、偏光アーキテクチャの実施例を概念的に図示する。
【0061】
図24図24は、本発明のある実施形態による、裸LCP層が裸RMLCM層に接合される、偏光層アーキテクチャの実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。
【0062】
図25図25は、本発明のある実施形態による、偏光層としてRMLCM層を使用する偏光層アーキテクチャの実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。
【0063】
図26図26は、本発明のある実施形態による、複屈折格子によって導入される偏光回転を補償するための特徴を含む、偏光層アーキテクチャの実施例を概念的に図示する。
【0064】
図27図27は、本発明のある実施形態による、図26の実施形態の特徴を組み込む導波管ディスプレイを図式的に示す、平面図を概念的に図示する。
【0065】
図28図28および29は、本発明の種々の実施形態による、上側基板と、硬質カプセル化層を伴うLCP層と、RMLCM層と、下側基板とを含有する、偏光層アーキテクチャの実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。
図29図28および29は、本発明の種々の実施形態による、上側基板と、硬質カプセル化層を伴うLCP層と、RMLCM層と、下側基板とを含有する、偏光層アーキテクチャの実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。
【0066】
図30図30は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第1の実施例を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。
【0067】
図31図31は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第2の実施例を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。
【0068】
図32図32は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第3の実施例を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。
【0069】
図33図33は、本発明のある実施形態による、クリア開口レイアウトを示す、図面を概念的に図示する。
【0070】
図34図34は、本発明のある実施形態による、格子毎に、Kベクトルと、整合層速軸方向とを含む、入力、折り返し、および出力格子を含有する、導波管を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
実施形態を説明する目的のために、光学設計および視覚ディスプレイの当業者に公知の光学技術のいくつかの周知の特徴は、本発明の基本的原理を不明瞭にしないために、省略または簡略化されている。別様に記載されない限り、光線またはビーム方向に関連する用語「軸上」は、本発明に関連して説明される光学コンポーネントの表面に対して法線の軸に平行な伝搬を指す。以下の説明では、光、光線、ビーム、および方向という用語は、同義的に、かつ相互に関連付けて使用され、直線軌道に沿った電磁放射の伝搬の方向を示し得る。光および照明という用語は、電磁スペクトルの可視および赤外線帯域に関連して使用され得る。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般的に採用される専門用語を使用して提示されるであろう。以下の説明では、格子という用語は、ホログラムおよびブラッグまたは体積ホログラムを含む、導波管において使用される任意の種類の回折構造を指すために使用され得る。格子という用語はまた、格子のセットを含む、格子を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、入力格子および出力格子は、それぞれ、単一の層に多重化される、2つ以上の格子を含む。例証目的のために、図面は、別様に記載されない限り、縮尺通りに描かれないことを理解されたい。
【0072】
概して、図面を参照すると、本発明の種々の実施形態による、複屈折制御を組み込む導波管用途に関するシステムおよび方法が、図示される。複屈折は、光の偏光および伝搬方向に依存する屈折率を有する物質の光学性質である。複屈折格子は、そのような性質を有する格子と称され得る。多くの場合では、複屈折格子は、限定ではないが、HPDLC混合物等の液晶ポリマー材料システム内に形成される。そのような格子の偏光性質は、平均比誘電率および比誘電率変調テンソルに依存し得る。
【0073】
本発明による多くの実施形態は、複屈折制御を実装する、導波管を対象とする。いくつかの実施形態では、導波管は、複屈折格子層と、複屈折制御層とを含む。さらなる実施形態では、複屈折制御層は、コンパクトかつ効率的である。そのような構造は、限定ではないが、ホログラフィック導波管における偏光関連損失を補償すること、ブラッグ格子に基づく導波管における3次元LCダイレクタ整合を提供すること、および導波管からの出力を均質化するために角度/スペクトル帯域幅を空間的に変動させることを含む、種々の用途のために利用されることができる。いくつかの実施形態では、偏光補償を伴う、偏光維持、広角、かつ高反射導波管クラッドが、格子複屈折のために実装される。いくつかの実施形態では、薄い偏光制御層が、4分の1波長または半波長リターデーションのいずれかを提供するために実装される。いくつかの実施形態では、偏光維持広角複屈折制御層が、導波管と併用される外部光学要素の複屈折を平衡させるために導波管の偏光出力を修正するために実装される。
【0074】
多くの実施形態では、導波管は、少なくとも1つの入力格子と、少なくとも1つの出力格子とを含む。さらなる実施形態では、導波管は、限定ではないが、ビーム拡大のための折り返し格子等、種々の目的のための付加的格子を含むことができる。入力格子および出力格子は、それぞれ、多重化格子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、入力格子および出力格子は、それぞれ、1つ以上の薄い光学基板に接触する、またはそれによって垂直に分離される、2つの重複する格子層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、格子層は、ガラスまたはプラスチック基板の間に挟装される。いくつかの実施形態では、2つ以上のそのような格子層は、その中で全内部反射が外側基板および空気界面において起こる、スタックを形成してもよい。いくつかの実施形態では、導波管は、1つのみの格子層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極が、回折状態とクリア状態との間で格子を切り替えるために、基板の面に適用されてもよい。スタックはさらに、ビーム分割コーティングおよび環境保護層等の付加的層を含んでもよい。図面に示される入力および出力格子は、上記に説明される格子構成のうちのいずれかによって提供されてもよい。有利なこととして、入力および出力格子は、共通の表面格子ピッチを有するように設計されることができる。導波管が入力および出力格子に加えて格子を含有する場合では、格子は、格子ベクトルのベクトル和が、実質的にゼロであるように、格子ピッチを有するように設計されることができる。入力格子は、各格子が、入射した無偏光光の偏光を導波管経路の中に回折するように配向される格子を組み合わせることができる。出力格子は、導波管経路からの光が、組み合わせられ、無偏光光として導波管の外に結合されるように、類似する方式で構成されることができる。各格子は、ブラッグ格子の場合では、ブラッグフリンジに対して法線のベクトルとして定義される、3D空間内の少なくとも1つの格子ベクトル(またはKベクトル)によって特徴付けられる。格子ベクトルは、入力および回折角度の所与の範囲に関する光学効率を判定することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、少なくとも1つの表面レリーフ格子を含む。導波管格子構造、材料システム、および複屈折制御が、下記にさらに詳細に議論される。
切替可能ブラッグ格子
【0075】
導波管内に記録される光学構造は、限定ではないが、回折格子等の多くの異なるタイプの光学要素を含むことができる。多くの実施形態では、実装される格子は、ブラッグ格子(体積格子とも称される)である。ブラッグ格子は、殆どの光が高次に回折されない高効率を有することができる。回折されたゼロ次における光の相対量は、格子の屈折率変調、すなわち、大きい瞳にわたって光を抽出するための損失のある導波管格子を作製するために使用され得る性質を制御することによって変動されることができる。ホログラフィック導波管デバイスにおいて使用される格子の1つのクラスは、切替可能ブラッグ格子(「SBG」)である。SBGは、最初に、光重合性モノマーおよび液晶材料の混合物の薄フィルムをガラス板または基板の間に設置することによって加工されることができる。多くの場合では、ガラス板は、平行構成にある。一方または両方のガラス板は、フィルムを横断して電場を印加するために、電極、典型的には、透明な酸化スズフィルムを支持することができる。SBG内の格子構造は、空間的周期的強度変調を伴う干渉露光を使用する光重合誘発相分離を通して、液体材料(多くの場合、シロップと称される)内に記録されることができる。限定ではないが、照射強度、混合物内の材料の成分の体積分率、および露光温度の制御等の因子が、結果として生じる格子形態および性能を判定することができる。容易に理解され得るように、多種多様な材料および混合物が、所与の用途の具体的要件に応じて、使用されることができる。多くの実施形態では、HPDLC材料が、使用される。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、相分離を受ける。LC分子は、集合し、光学波長のスケールでポリマーネットワーク内に周期的に分散される離散または合体液滴を形成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成し、これは、液滴中のLC分子の配向秩序からもたらされる強力な光学偏光を伴うブラッグ回折を生成することができる。
【0076】
結果として生じる体積位相格子は、非常に高い回折効率を呈することができ、これは、フィルムを横断して印加される電場の大きさによって制御されることができる。電場が、透明電極を介して格子に印加されると、LC液滴の自然な配向は、変化し、フリンジの屈折率変調を低下させ、ホログラム回折効率を非常に低いレベルに低下させ得る。典型的には、電極は、印加される電場が、基板に垂直であろうように構成される。いくつかの実施形態では、電極は、酸化インジウムスズ(「ITO」)から加工される。いかなる電場も印加されないオフ状態では、液晶の異常軸は、概して、フリンジに対して法線に整合する。格子は、したがって、P偏光に関して高屈折率変調および高回折効率を呈する。電場が、HPDLCに印加されると、格子は、オン状態に切り替わり、液晶分子の異常軸は、印加された電場に平行に、したがって、基板に垂直に整合する。オン状態では、格子は、SおよびP偏光の両方に関してより低い屈折率変調およびより低い回折効率を呈する。したがって、格子領域は、もはや光を回折しない。各格子領域は、例えば、HPDLCデバイスの機能によるピクセルマトリクス等の多数の格子要素に分割されることができる。典型的には、1つの基板表面上の電極は、均一かつ連続的である一方、対向する基板表面上の電極は、多数の選択的に切替可能な格子要素に従ってパターン化される。
【0077】
透過SBGの公知の属性のうちの1つは、LC分子が、格子フリンジ面に対して法線の(すなわち、格子またはKベクトルに平行な)平均方向と整合する傾向があることである。LC分子整合の効果は、透過SBGが、P偏光(すなわち、入射面において偏光ベクトルを伴う光)を効率的に回折するが、S偏光(すなわち、入射面に対して法線の偏光ベクトルを伴う光)に関してほぼゼロの回折効率を有することである。その結果、透過SBGは、典型的には、入射光と反射光との間に含まれる角度が、小さいとき、P偏光に関する任意の格子の回折効率が、ゼロに低下するため、ニアグレイジング入射において使用されることができない。加えて、非整合偏光を伴う照明光は、1つの偏光のみに感受性があるホログラフィックディスプレイにおいて効率的に捕捉されない。
HPDLC材料システム
【0078】
本発明の種々の実施形態によるHPDLC混合物は、概して、LCと、モノマーと、光開始剤染料と、共開始剤とを含む。混合物(多くの場合、シロップと称される)はまた、頻繁に、界面活性剤を含む。本発明を説明する目的のために、界面活性剤は、液体混合物全体の表面張力を低下させる任意の化学薬品として定義される。HPDLC混合物における界面活性剤の使用は、公知であり、HPDLCの最も初期の調査に遡る。例えば、R.L Sutherland et al.による論文であるSPIE Vol. 2689, 158-169, 1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、界面活性剤が添加され得る、モノマーと、光開始剤と、共開始剤と、連鎖延長剤と、LCとを含む、PDLC混合物を説明している。界面活性剤はまた、Natarajan et al.による論文であるJournal of Nonlinear Optical Physics and Materials, Vol. 5 No. l 89-98, 1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に言及されている。さらに、Sutherland et al.による米国特許第7,018,563号は、少なくとも1つのアクリル酸モノマーと、少なくとも1つのタイプの液晶材料と、光開始剤染料と、共開始剤と、界面活性剤とを含む、ポリマー分散液晶光学要素を形成するためのポリマー分散液晶材料を議論している。米国特許第7,018,563号の開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0079】
特許および科学文献は、高回折効率、迅速な応答時間、低駆動電圧等を達成するためにそのような材料システムを調合することへの調査を含む、SBGを加工するために使用され得る材料システムおよびプロセスの多くの実施例を含有する。Sutherlandによる米国特許第5,942,157号およびTanaka et al.による米国特許第5,751,452号の両方は、SBGデバイスを加工するために好適なモノマーおよび液晶材料組み合わせを説明している。レシピの実施例はまた、1990年代初頭に遡る論文に見出されることができる。これらの材料の多くは、以下を含むアクリレートモノマーを使用する。
・R. L. Sutherland et al., Chem. Mater. 5, 1533 (1993)(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートポリマーおよび界面活性剤の使用を説明している。具体的には、レシピは、架橋多官能性アクリレートモノマー、連鎖延長剤N-ビニルピロリジノン、LC E7、光開始剤ローズベンガル、および共開始剤N-フェニルグリシンを含む。界面活性剤オクタン酸が、ある変形において添加された。
・Fontecchio et al., SID 00 Digest 774-776, 2000(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、多官能性アクリレートモノマー、LC、光開始剤、共開始剤、および連鎖停止剤を含む、反射型ディスプレイ用途のためのUV硬化性HPDLCを説明している。
・Y.H. Cho, et al., Polymer International, 48, 1085-1090, 1999(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートを含むHPDLCレシピを開示している。
・Karasawa et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 36, 6388-6392, 1997(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、種々の官能状態のアクリレートを説明している。
・T.J. Bunning et al., Polymer Science: Part B: Polymer Physics, Vol. 35, 2825- 2833, 1997(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)もまた、多官能性アクリレートモノマーを説明している。
・G.S. Iannacchione et al., Europhysics Letters Vol. 36 (6). 425-430, 1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、ペンタアクリレートモノマーと、LCと、連鎖延長剤と、共開始剤と、光開始剤とを含む、PDLC混合物を説明している。
【0080】
アクリレートは、迅速な動態、他の材料との良好な混合、およびフィルム形成プロセスとの適合性の利益を提供する。アクリレートは、架橋されるため、それらは、機械的にロバストかつ可撓性である傾向がある。例えば、官能性2(ジ)および3(トリ)のウレタンアクリレートが、HPDLC技術に関して広範に使用されている。ペンタおよびヘキサ官能性ステム等のより高い官能性の材料もまた、使用されている。
複屈折の概観
【0081】
HPDLCに基づくホログラフィック導波管は、スイッチング能力および高屈折率変調の利益を提供するが、LCポリマー層分離の間に格子ベクトルに沿った液晶ダイレクタの整合からもたらされる、固有の複屈折に悩まされ得る。これは、多くの用途において有利であり得る、高い偏光選択度につながり得るが、偏光回転等の悪影響が、(折り返し格子として公知の)導波管の平面内で導波されるビームを折り返し、拡大するように設計される格子において起こり得る。本偏光回転は、効率損失および出力光の不均一性につながり得る。
【0082】
LCダイレクタの整合を修正するための2つの一般的なアプローチは、ラビングおよび整合層の適用を含む。典型的には、そのような手段によって、整合層に平行な平面内のLCダイレクタは、平面内で再整合されることができる。HPDLCブラッグ格子では、問題は、格子Kベクトルに沿ったLCダイレクタの自然整合のために、より困難になり、最も単純な格子以外の全ての格子におけるダイレクタ整合を複雑な3次元の問題にし、ラビングまたはポリアミド整合層を使用する従来の技法を非実用的にする。他のアプローチは、硬化の間に電場、磁場、および機械的圧力を印加することを含むことができる。これらのアプローチは、反射格子に適用されるとき、限定された成功を有することが示されている。しかしながら、そのような技法は、典型的には、透過ブラッグ格子導波管に容易に転用されない。
【0083】
導波管における主要な設計課題は、外部プロジェクタから導波管の中への画像コンテンツの効率的な、かつ導波管画像に波長分散および輝度不均一性がないような方法での結合である。波長分散を克服し、満足なコリメーションを達成するために、レーザの使用が、実装されることができる。しかしながら、レーザは、瞳バンディングアーチファクトの問題に悩まされ得、これは、出力照明不均一性として現れる。バンディングアーチファクトは、コリメートされた瞳が、TIR導波管内で複製(拡大)されると、形成され得る。基本的には、ビームが、格子と相互作用する度に導波管から外に回折される、光ビームは、間隙または重複を有し、照明リップルにつながり得る。多くの場合では、リップルの程度は、画角、導波管厚さ、および開口厚さの関数である。バンディングの効果は、典型的には、LED等の広帯域源によって呈される分散によって平滑化されることができる。しかしながら、LED照明は、完全にバンディング問題がなくなるわけではなく、さらに、嵩張る入力光学系および導波管の厚さの増加をもたらす傾向がある。デバンディングは、入力格子が、TIR角度の関数である有効入力開口を有するように、導波管の中に結合される光を構成するための瞳偏移技法を使用して最小限にされることができる。「Waveguide Device with Uniform Output Illumination」と題された、国際出願第PCT/US2018/015553号(その開示が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)における瞳偏移を実施するための技法がある。
【0084】
ある場合には、折り返し格子(上記に説明される)において起こる偏光回転は、レーザ照明を使用する導波管内の照明バンディングを補償することができる。これに関する機構は、各相互作用において小さい偏光回転と組み合わせられる折り返し格子における多数の格子相互作用が、バンディング(限定ではないが、記録プロセスから残された寄生格子、格子および導波管表面との迷光相互作用等から生じるもの等、TIRビームの不完全な合致および他のコヒーレントな光学効果から生じる)を平均化し得ることである。複屈折を補償するプロセスは、折り返し格子内の複屈折の空間変動(LCダイレクタの整合)を微調整することによって支援されることができる。
【0085】
導波管ディスプレイにおいて生じるさらなる問題は、水分との接触または表面の組み合わせが、導波管全内部反射(TIR)を阻害し、画像ギャップにつながり得ることである。そのような場合では、保護外側層を使用するための範囲は、導波管角度帯域幅にわたってTIRを提供するであろう、低屈折率材料の必要性によって限定され得る。導波管におけるさらなる設計課題は、導波管の角度帯域幅にわたって高効率を維持することである。1つの例示的解決策は、偏光維持、広角、かつ高反射導波管クラッドであろう。いくつかの用途では、導波管内の偏光平衡は、導波管の主要反射面のうちの一方または両方に適用される、4分の1波長リターディング層または半波長リターダ層のいずれかを使用して遂行されることができる。しかしながら、ある場合には、実践的なリターダフィルムは、許容できない厚さを導波管に追加し得る。要求される規定の薄フィルムコーティングは、通常、高価かつ時間のかかる真空コーティングステップを伴うであろう。コーティングを実装する一例示的方法は、限定ではないが、インクジェット印刷または業界標準スピンコーティング手順の使用を含む。多くの実施形態では、コーティングは、印刷された格子層に直接適用され得る。代替として、コーティングは、組み立てられた導波管の外部光学面に適用され得る。
【0086】
いくつかの用途では、導波管は、収差を補正するために、従来の光学系と組み合わせられる。そのような収差は、導波管が、限定ではないが、視認者のアイボックスの中への反射のために自動車フロントガラス上に画像を投影する、自動車HUD等の用途において使用されるときに生じ得る。フロントガラスの曲率は、有意な幾何学的収差を導入し得る。多くの導波管は、コリメートビームとともに動作するため、導波管自体の中の歪みを事前補償することは、困難であり得る。1つの解決策は、導波管の出力面の近傍に事前補償光学要素を搭載することを含む。多くの場合では、光学要素は、プラスチックで成形され、厳しい複屈折を導入し得、これは、導波管によって平衡されるべきである。
【0087】
上記に照らして、本発明の多くの実施形態は、上記に提起される問題のうちの1つ以上のものに対処するように設計される、複屈折制御層を対象とする。例えば、多くの実施形態では、コンパクトかつ効率的な複屈折制御層が、ホログラフィック導波管における偏光関連損失を補償するために、ブラッグ格子に基づく導波管における3次元LCダイレクタ整合を提供するために、導波管からの出力を均質化するために角度/スペクトル帯域幅を空間的に変動させるために、および/または導波されるビームの閉じ込めを確実にしながら、その環境から導波管を隔離するために実装される。いくつかの実施形態では、偏光補償を伴う、偏光維持、広角、かつ高反射導波管クラッドが、格子複屈折のために実装される。いくつかの実施形態では、薄い偏光制御層が、4分の1波長または半波長リターデーションのいずれかを提供するために実装される。偏光制御層が、標準スピンコーティングまたはインクジェット印刷プロセスを使用して、格子層の上に直接、または導波管基板のうちの一方もしくは両方に薄い層として実装されることができる。いくつかの実施形態では、偏光維持広角複屈折制御層は、導波管と併用される外部光学要素の複屈折を平衡させるために導波管の偏光出力を修正するために実装される。他の実装および具体的構成が、下記にさらに詳細に議論される。
複屈折制御を組み込む導波管用途
【0088】
本発明の種々の実施形態による、複屈折制御技法を組み込む導波管および導波管ディスプレイが、多くの異なる技法を使用して達成されることができる。いくつかの実施形態では、導波管は、複屈折格子層と、複屈折制御層とを含む。さらなる実施形態では、コンパクトかつ効率的な複屈折制御層が、実装される。複屈折制御層は、限定ではないが、ホログラフィック導波管における偏光関連損失を補償すること、ブラッグ格子に基づく導波管における3次元LCダイレクタ整合を提供すること、および導波管からの出力を均質化するために角度/スペクトル帯域幅を空間的に変動させるための導波管内への効率的かつ費用効果の高い統合等の種々の機能のために実装されることができる。説明されるべき実施形態のうちのいずれかでは、複屈折制御層は、導波管の任意の光学面上に形成されてもよい。本発明を理解する目的のために、導波管の光学面は、TIR面、格子層の表面、格子層を挟装する導波管基板の表面、または導波管内に実装される任意の他の光学基板の表面(例えば、均一性を改良するためのビームスプリッタ層)のうちの1つであってもよい。
【0089】
図1は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層を実装する導波管を概念的に図示する。例証的実施形態では、導波管装置100は、複屈折格子層102と、複屈折制御層102とを含有する、光学基板101を含む。示されるように、導波管内でTIRの下で伝搬する光104は、両方の層と相互作用する。例えば、シンボル104Bによって表される初期偏光状態を伴う光線104Aは、点102Aの周囲の格子領域を通した伝搬後、その偏光が状態104Cに回転される。複屈折制御層103は、偏光ベクトルを状態104Dに回転させ、これは、これが、点102Bの周囲の格子と相互作用し、状態104Dに類似する偏光状態104Gで方向104Fに回折されるとき、光線104Eのある程度の所定の回折効率を達成するための偏光状態である。以下の説明に示されるであろうように、複屈折制御層および複屈折格子の多くの異なる構成が、本発明の種々の実施形態に従って、実装されることができる。
【0090】
図2は、少なくとも1つの光学基板201と、外部源204から導波管基板内のTIR経路205A、205Bの中に(ある範囲の入射角を網羅する)光203A、203Bを偏向させるための、カプラ202とを含む、導波管装置200を概念的に図示する。TIR経路内の光は、出力格子と相互作用することができ、これは、TIR光が、格子による回折のための条件を満たす度に、光の一部を抽出するように構成されることができる。ブラッグ格子の場合では、抽出は、ブラッグ条件が、満たされるときに起こり得る。より精密には、効率的な抽出が、格子に入射する光線が、ブラッグ条件の周囲の角度帯域幅およびスペクトル帯域幅内に位置するときに起こり得る。帯域幅は、許容可能な回折効率のいくつかの測度(限定ではないが、ピークDEの50%等)に従って定義される。例えば、TIR光線経路205A、205B内の光は、出力格子によって、出力格子に沿った異なる点において出力方向206A、206B、207A、および207Bに回折される。基本的な幾何学的光学系から、一意のTIR角度が、入力格子における8つの光入射角によって定義され得ることが明白となるはずである。
【0091】
多くの異なるタイプの光学要素が、カプラとして使用されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、カプラは、格子である。いくつかの実施形態では、カプラは、複屈折格子である。多くの実施形態では、カプラは、プリズムである。本装置はさらに、第1の方向におけるビーム拡大および導波管からの光抽出を提供するための、少なくとも1つの複屈折格子208と、異方性屈折率性質を伴う、少なくとも1つの複屈折制御層209とを含む。議論されるべき実施形態では、源204は、光源、マイクロディスプレイパネル、および光をコリメートするための光学系を含む、入力画像発生器であり得る。容易に理解され得るように、非コリメート光を出力するものを含む、種々の入力画像発生器が、使用されることができる。多くの実施形態では、入力画像発生器は、各表示ピクセルが、基板導波管内で一意の角度方向に変換されるように、マイクロディスプレイパネル上に表示される画像を投影する。コリメーション光学系は、回折レンズおよびミラーであり得る、レンズおよびミラーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、源は、画像情報で変調されない照明を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、レーザまたはLEDであり得、照明ビーム角度特性を修正するための、1つ以上のレンズを含むことができる。いくつかの実施形態では、画像源は、マイクロディスプレイまたは画像走査装置であり得る。
【0092】
光と、光の任意の方向に関する全内部反射経路に沿って統合される複屈折制御層209および複屈折格子208の相互作用は、導波管から抽出される光の所定の特性を提供することができる。いくつかの実施形態では、所定の特性は、光の角度範囲にわたる均一な偏光または均一な照明のうちの少なくとも1つを含む。図2はまた、複屈折制御層209および格子208が均一な偏光を提供する様子を図示する。多くの実施形態では、入力状態は、P偏光、すなわち、HPDLC内に記録された格子のために使用され得る状態に対応するであろう。本発明を解説する目的のために、210によって表される初期偏光状態が、仮定される。TIR経路205Aに沿った格子相互作用領域の近傍の光と複屈折制御層の相互作用は、偏光状態211、212によって表され、これは、複屈折制御層209の厚さABを通した伝搬の前後の偏光ベクトルの回転を示す。本偏光回転は、光線がTIR経路205Aに沿って遭遇する、隣接する格子領域の厚さCDを通した偏光回転を平衡させるように設計されることができる。したがって、格子によって抽出される光の偏光は、偏光状態213によって示されるように、入力偏光ベクトルに平行に整合されることができる。いくつかの実施形態では、出力偏光状態は、入力偏光状態と異なってもよい。図2に示されるもの等のいくつかの実施形態では、複屈折格子および複屈折制御層の少なくとも部分的な重複が、存在する。いくつかの実施形態では、その2つは、導波管経路の一部によって分離される。
【0093】
図3は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層および格子が均一な出力照明を提供する、導波管装置300を概念的に図示する。例証的実施形態では、導波管装置300は、少なくとも1つの光学基板301と、外部源304から導波管基板内のTIR経路305の中に光303を偏向するための、カプラ302とを含む。装置300はさらに、第1の方向におけるビーム拡大および導波管からの光抽出を提供するための、少なくとも1つの複屈折格子306と、異方性屈折率性質を伴う、少なくとも1つの複屈折制御層307とを含む。示されるように、TIR光線経路305内の光は、出力格子によって出力方向308、309に回折されることができる。本発明を解説する目的のために、310によって表される初期ビーム照明(I)対角度(U)プロファイルが、仮定される。TIR経路305に沿った格子相互作用領域の近傍の光と複屈折制御層307の相互作用は、複屈折制御層の厚さABを通した伝搬の前(311)および後(312)の照明プロファイルによって特徴付けられる。限定ではないが、ディスプレイ用途等のいくつかの用途では、導波管装置300は、導波管の射出瞳を横断して均一な照明対角度を有するように設計されることができる。これは、導波管射出瞳を横断して統合された格子によって抽出される光(308、309によって示される)が、均一な照明対角度分布313を提供するように、(経路ABに近接する近傍の格子経路CDに沿って)複屈折制御層の複屈折対角度特性を格子の角度帯域幅に合致させることによって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、格子および複屈折制御層の特性は、導波管の開口にわたって変動する。
複屈折制御層の実装
【0094】
種々の材料および加工プロセスが、複屈折制御層を提供するために使用されることができる。多くの実施形態では、複屈折制御層は、光と、光の任意の方向に関する全内部反射経路に沿って統合される複屈折制御層および複屈折格子の相互作用が、導波管から抽出される光の所定の特性を提供するように、複屈折の空間的分布を提供するために、加工の間に制御され得る異方性屈折率性質を有する。いくつかの実施形態では、層は、1つを上回る層を含む、薄いスタックとして実装されてもよい。
【0095】
HPDLC格子の整合は、格子構成に応じて、有意な課題を提示し得る。平面格子の最も単純な場合では、偏光制御は、格子平面に直交する単一の平面に限られ得る。ロール軸回転Kベクトル格子は、格子平面を横断して変動するために、整合を要求し得る。折り返し格子、特に、傾斜ブラッグフリンジを伴うものは、はるかに複雑な複屈折を有し、3D整合を要求し、ある場合には、より高度に空間的に分解された整合を要求し得る。
【0096】
本発明と併用するための複屈折制御層の以下の実施例は、例証にすぎない。各場合では、層は、性質が、層の表面を横断して変動するように処理されると仮定される。また、複屈折制御層は、導波管内に、または格子を含有する導波管の光学面上に構成されると仮定される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、格子層と接触する。いくつかの場合では、複屈折制御層は、別個の区分に分割され、導波管の異なる表面上に配置される。いくつかの実施形態では、複屈折制層は、複数の層を含んでもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明は、4分の1波長または半波長リターデーションのいずれかを提供し得る、薄い偏光制御層を提供する。偏光制御層は、標準スピンコーティングまたはインクジェット印刷プロセスを使用して、格子層の上に直接、または導波管基板のうちの一方もしくは両方に薄い層として実装されることができる。
【0098】
実施形態の1つの群では、複屈折制御層は、指向性UV光を使用して3D内で整合され得る、液晶およびポリマーネットワークを使用する材料を使用して形成される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、少なくとも部分的に、液晶ポリマー(LCP)ネットワークから形成される。文献では、反応性メソゲンとも称されているLCPは、光開始剤および指向性UV光の存在下で相互に重合し、剛性ネットワークを形成する、例えば、反応性アクリレート末端基を含む、液晶性モノマーを含有する、重合性液晶である。液晶分子の末端の相互の重合は、それらの配向を3次元パターンに凍結させることができる。プロセスは、典型的には、液晶ポリマーを含有する材料システムを基板上にコーティングするステップと、焼鈍に先立って、方向的に/空間的に制御可能なUV源を使用して、LCダイレクタを選択的に整合させるステップとを含む。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、少なくとも部分的に、文献では、線状重合フォトポリマー(LPP)とも称される、光整合層から形成される。LPPは、入射する線形に偏光されたUV光に平行または垂直にLCダイレクタを整合させるように構成されることができる。LPPは、散乱または他のスプリアス光学効果のリスクを最小限にする、非常に薄い層(典型的には、50nm)において形成されることができる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、LCP、LPP、および少なくとも1つのドーパントから形成される。LCPおよびLPPに基づく複屈折制御層は、薄フィルム(2~4ミクロン)において形成される折り返し格子およびロール軸回転Kベクトル格子の複雑な3次元幾何学特性においてLCダイレクタを整合させるために使用されることができる。いくつかの実施形態では、LCPまたはLPPに基づく複屈折制御層はさらに、二色性染料、狭帯域または広帯域コレステリックフィルタを達成するためのカイラルドーパント、ツイストリターダ、もしくはネガティブcプレートリターダを含む。多くの実施形態では、LCPまたはLPPに基づく複屈折制御層は、4分の1または半波長リターデーション層を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、(図4に示されるような)等方性および異方性屈折率層を組み合わせる、多層構造によって形成される。図4では、多層構造400は、等方性層401、402と、異方性屈折率層403、404とを含む。いくつかの実施形態では、多層スタックが、限定ではないが、数十または数百の層等の多数の層を含んでもよい。図5は、複屈折格子層505と組み合わせられる、等方性層501、502と、異方性屈折率層503、504とを含む、多層構造500を概念的に図示する。複屈折が、スタックの隣接する材料層の間の面内屈折率の変化によるとき、P偏光の反射率の改良された制御を達成することが、可能である。通常、等方性材料では、ブルースターの法則は、いずれの界面に関しても、P偏光反射率が消失する入射角(ブルースター角)が存在すると定める。しかしながら、反射率は、他の角度において劇的に増加し得る。ブルースター角によって課される限定は、Science、Vol.287、2000年3月31日、ページ2451-2456に公開されるWeber et al.の「Giant Birefringent Optics in Multilayer Polymer Mirrors」に議論される基本原理を適用することによって克服されることができる。等方性/異方性屈折率層のシステムの光学特性は、特定の多層干渉スタック設計ではなく、界面反射および相厚さの基礎物理学に基づくため、新しい設計自由度が、可能である。広角の広帯域用途のための設計は、ブルースター角制限が、特に、導波管基板等の高屈折率媒体内に浸漬される複屈折制御層に関して排除される場合、簡略化される。導波管ディスプレイに関連するさらなる利点は、色忠実度が、全ての入射角および偏光に関して維持され得ることである。
【0100】
複屈折格子は、典型的には、角度波長の関数である、偏光回転性質を有するであろう。複屈折制御層は、導波管の角度、スペクトル、または偏光特性を修正するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、光と複屈折制御層の相互作用は、導波管に沿って効果的な角度帯域幅変動を提供することができる。多くの実施形態では、光と複屈折制御層の相互作用は、導波管に沿って効果的なスペクトル帯域幅変動を提供することができる。いくつかの実施形態では、光と複屈折制御層の相互作用は、導波管に沿って偏光回転を提供することができる。いくつかの実施形態では、格子複屈折は、格子加工の間に液晶ポリマー混合物の組成を空間的に変動させることによって、導波管を横断して変動するように作製されることができる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向において複屈折変動を提供することができる。複屈折制御層はまた、導波管内の(異なる偏光に関する)光透過を最適化するための手段を提供することができる。多くの実施形態では、複屈折制御層は、導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向において透過変動を提供することができる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向において、ビーム透過または偏光回転のうちの少なくとも1つの角度依存性を提供することができる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、導波管基板の平面内の少なくとも1つの方向において、ビーム透過または偏光回転のうちの少なくとも1つのスペクトル依存性を提供することができる。
【0101】
多くの実施形態では、複屈折格子は、広い範囲の導波管アーキテクチャにおいて、入力カプラ、折り返し格子、および出力格子を提供してもよい。図6は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層を伴う二重拡大導波管の平面図を概念的に図示する。例証的実施形態では、導波管600は、それぞれ、偏光制御層605、606、607によって上置される、入力格子602と、折り返し格子603と、出力格子604とを含有する、光学基板601を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明は、導波管と併用される外部光学要素の複屈折を平衡させるために導波管の偏光出力を修正するための、偏光維持広角複屈折制御層を提供する。図7は、フロントガラスからアイボックスの中にコリメートされた像を反射する、自動車HUDを対象とする本発明のある実施形態を概念的に図示する。いずれのフロントガラス曲率も、典型的には、収差および他の幾何学的歪みをもたらし、これは、ビームが実質的にコリメートされたままである要件を伴う、ある導波管実装において補正されることができない。本問題の1つの解決策は、導波管の出力面の近傍に、従来の屈折要素または回折要素であり得る、補正要素を搭載することである。そのような実装では、複屈折補正コンポーネントは、導波管からの光線経路の擾乱を回避することができ、収色性であり得る。使用される補償装置技術は、空間的変動構成、低ヘイズ、および高透過率を提供することができる。図7の例証的実施形態では、導波管700は、画像変調光(図示せず)の外部源から導波管内のTIR経路704の中に光703を指向するための、格子カプラ702と、第1の方向におけるビーム拡大を提供し、導波管から光を抽出するための、複屈折格子705と、複屈折制御層706とを含有する、光学基板701を含む。装置700はさらに、フロントガラスにおける反射によって導入される幾何学的歪みおよび他の収差を補正するために、導波管に近接して配置される、光学要素707を含む。いくつかの実施形態では、光学要素707は、屈折レンズである。他の実施形態では、光学要素707は、回折レンズであり得る。豊富なアイボックスを提供する広視野HUDに関して、補正装置は、典型的には、400mmと同程度に大きい(ダッシュボードに沿った)水平寸法を伴う、大きい占有面積を有するであろう。しかしながら、補正装置が、プラスチックで成形される場合、これは、複屈折に悩まされる傾向があるであろう。したがって、図7の実施形態では、複屈折制御要素706は、光学要素707によって導入される格子偏光および偏光回転の両方を補償するように設計されることができる。再び図7を参照すると、P偏光に対応する初期偏光状態が、仮定される。複屈折格子、複屈折制御層、および補正要素を通した伝搬後の偏光状態が、シンボル708-711によって表される。TIR経路に沿った格子相互作用領域の近傍の光と複屈折制御層の相互作用は、偏光状態によって表される。図7の実施形態では、格子によって抽出される光712、713の偏光は、入力偏光ベクトルに平行に整合される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層706は、90度を通して、出力光偏光ベクトルを回転させるように構成されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、基板の機械的、熱的、または電磁気処理を使用する、種々の技法によって提供されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、光学基板の表面を横断して空間的に変動する機械的応力を印加することによって形成される。図8は、力が802-805によって示される方向に印加され、等複屈折輪郭806をもたらす、複屈折制御層801を整合させるための装置800を概念的に図示する。多くの実施形態では、図示される力は、必ずしも全てが層に印加される必要はない。いくつかの実施形態では、複屈折制御層801は、光学基板の中に熱勾配を誘発することによって形成される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層801は、LCダイレクタが硬化の間に電場または磁場を使用して整合される、HPDLC格子によって提供される。いくつかの実施形態では、上記の技法のうちの2つ以上のものが、組み合わせられてもよい。
複屈折制御層を組み込む導波管の加工
【0104】
本発明はまた、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するための方法および装置を提供する。種々の例示的実施形態において示されるような装置および方法の構造ならびに配列は、例証にすぎない。いくつかの実施形態のみが、本開示に詳細に説明されているが、多くの修正が、可能性として考えられる(例えば、プロセスの効率および完成した導波管の品質を改良するため、プロセス分散を最小限にするため、プロセスを監視するため、ならびにその他のための付加的ステップ)。層の形成に言及する任意のプロセスステップは、複数のそのような層を網羅するように理解されるべきである。例えば、格子層を記録するプロセスステップが、説明される場合、本ステップは、2つ以上の格子層を含有するスタックを記録することに拡張されることができる。故に、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。任意のプロセスまたは方法ステップの順序もしくはシーケンスは、代替実施形態に従って変動または再シーケンス化されてもよい。他の代用、修正、変更、および省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態のプロセス装置、動作条件、ならびに配列の設計において行われてもよい。本発明を解説する目的のために、プロセスの説明は、上記に説明されるような液晶ポリマー材料システムに基づく複屈折制御層に言及するであろう。しかしながら、説明から、プロセスが、本明細書に説明される複屈折制御層の実装のうちのいずれかに基づき得ることが明白となるはずである。
【0105】
図9A-9Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。図9Aは、第1の透明基板901を提供する第1のステップ900を示す。図9Bは、ホログラフィック記録材料を基板901に適用するための装置910を図示する。例証的実施形態では、装置910は、基板901上に格子記録材料の層913を形成するスプレーパターン912を提供する、コーティング装置911を含む。いくつかの実施形態では、スプレーパターンは、コーティングされるべき表面を横断して掃引または段階化される、狭いジェットまたはブレードを含んでもよい。いくつかの実施形態では、スプレーパターンは、同時に表面の大きい面積を被覆するための発散ジェットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コーティング装置は、表面の領域の選択的コーティングを提供するための1つ以上のマスクと併用されてもよい。多くの実施形態では、コーティング装置は、業界標準の標準的スピンコーティングまたはインクジェット印刷プロセスに基づく。
【0106】
図9Cは、本発明のある実施形態による、格子記録材料の層を露光し、格子層を形成するための装置920を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置920は、記録材料内に格子を接触複写するためのマスタ格子921と、レーザ922とを含有する。示されるように、マスタ921は、入射光923を回折し、ゼロ次光924および回折光925を提供し、これは、格子材料層内で干渉し、格子層926を形成する。本装置は、限定ではないが、より高い回折次数または他の源からの迷光を克服するために、光絞りおよびマスク等のさらなる特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの格子は、多重化ホログラムの原理を使用して、単一の層の中に記録されてもよい。図9Dは、本発明のある実施形態による、格子層上に液晶ポリマー材料の層をコーティングするための装置930を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置930は、材料の層933を形成するスプレーパターン932を送達するように構成される、コーティング装置931を含有する。コーティング装置931は、格子記録材料を適用するために使用されるコーティング装置に類似する特徴を有してもよい。図9Eは、本発明のある実施形態による、材料の整合された液晶ポリマー層を提供するための装置940を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置940は、整合されたLCポリマー層943を形成するための指向性UV光942を提供する、UV源(所与の用途の具体的要件に応じて、コリメーション、ビーム操向、およびビーム成形光学系を含み得る)941を含有する。図9Fは、整合された液晶ポリマー層943にわたって第2の基板951を適用するステップ後の完成された導波管950を概念的に図示する。
【0107】
いくつかの実施形態では、格子記録材料の露光は、上記に説明されるマスタリングプロセスの代わりに、従来のクロスビーム記録手順を使用してもよい。多くの実施形態では、格子層のさらなる処理が、焼鈍、熱処理、および/または格子層の光学性質を安定させるための他のプロセスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極コーティングが、基板に適用されてもよい。多くの実施形態では、保護透明層が、露光後に格子層にわたって適用されてもよい。いくつかの実施形態では、液晶ポリマー材料は、上記に議論されるLCP、LPP材料システムに基づく。いくつかの実施形態では、液晶ポリマーの整合は、UVビーム方向に平行な液晶ダイレクタの整合をもたらすことができる。他の実施形態では、整合は、UVビーム方向に対して90度である。いくつかの実施形態では、第2の透明基板は、コーティング装置を使用して適用される保護層によって置換されてもよい。
【0108】
図10A-10Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折制御層が導波管の外面に適用される、複屈折格子を含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。図10Aは、本発明のある実施形態による、第1の透明基板1001を提供する第1のステップ1000を概念的に図示する。図10Bは、本発明のある実施形態による、ホログラフィック記録材料を基板に適用するための装置1010を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1010は、基板1001上に格子記録材料の層1013を形成するスプレーパターン1012を提供する、コーティング装置1011を含む。図10Cは、本発明のある実施形態による、格子記録材料の層を露光し、格子層を形成するための装置1020を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1020は、記録材料内に格子を接触複写するためのマスタ格子1021と、レーザ1022とを含む。示されるように、マスタ1021は、レーザ1022からの光1023をゼロ次光1024および回折光1025に変換し、これは、格子材料層1013内で干渉し、格子層1026を形成する。図10Dは、本発明のある実施形態による、露光された格子層にわたって第2の基板1031を適用するステップ後の部分的に完成された導波管1030を概念的に図示する。図10Eは、本発明のある実施形態による、第2の基板上に液晶ポリマー材料の層をコーティングするための装置1040を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1040は、材料の層1043を形成するためのスプレーパターン1042を送達するためのスプレーコータ1041を含む。図10Fは、本発明のある実施形態による、液晶ポリマー材料を整合させるための装置1050を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1050は、格子層1026のLCダイレクタを再整合させるように構成され得る、整合された液晶ポリマー層1053を形成するための指向性UV光1052を提供する、UV源1051を含む。
【0109】
図11A-11Fは、本発明の種々の実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するためのプロセスステップおよび装置を概念的に図示する。上記に説明される実施形態と異なり、複屈折制御層を形成するステップは、複屈折制御層の上方に形成される、格子層の記録の前に実行されることができる。図11Aは、第1の透明基板1101を提供する第1のステップ1100を概念的に図示する。図11Bは、本発明のある実施形態による、第1の基板上に液晶ポリマー材料の層をコーティングするための装置1110を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1110は、材料の層1113を形成するためのスプレーパターン1112を送達するように構成される、コーティング装置1111を含む。図11Cは、本発明のある実施形態による、液晶ポリマー材料を整合させるための装置1120を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1120は、整合された液晶ポリマー層1123を形成するための指向性UV光1122を提供する、UV源1121を含む。図11Dは、本発明のある実施形態による、ホログラフィック記録材料を基板に適用するための装置1130を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1130は、液晶ポリマー層1123の上に格子記録材料の層1133を形成するためのスプレーパターン1132を提供するためのコーティング装置1131を含む。図11Eは、本発明のある実施形態による、格子記録材料の層を露光し、格子層を形成するための装置1140を概念的に図示する。例証的実施形態では、装置1140は、記録材料内に格子を接触複写するためのマスタ格子1141と、レーザ1142とを含む。示されるように、マスタ1141は、レーザからの光1142をゼロ次光1143および回折光1144に変換し、これは、格子材料層1133内で干渉し、格子層1145を形成し、これは、液晶ポリマー材料層1123によって整合される。図11Fは、本発明のある実施形態による、露光された格子層にわたって第2の基板1151を適用するステップ後の完成された導波管1150を概念的に図示する。
【0110】
図12は、本発明のある実施形態による、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を図示する、フローチャートを概念的に図示する。図12を参照すると、方法1200は、第1の透明基板を提供するステップ(1201)を含む。格子記録材料の層が、基板上に堆積されることができる(1202)。格子記録材料の層は、格子層を形成するために露光されることができる(1203)。液晶ポリマー材料の層が、格子層上に堆積されることができる(1204)。液晶ポリマー材料は、指向性UV光を使用して整合されることができる(1205)。第2の透明基板が、整合層にわたって適用されることができる(1206)。
【0111】
図13は、本発明のある実施形態による、複屈折格子と、導波管の外面に適用される、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を図示する、フローチャートを概念的に図示する。図13を参照すると、方法1300は、第1の透明基板を提供するステップ(1301)を含む。格子記録材料の層が、基板上に堆積されることができる(1302)。格子記録材料の層は、格子層を形成するために露光されることができる(1303)。第2の透明基板が、露光された格子層にわたって適用されることができる(1304)。液晶ポリマー材料の層が、第2の透明基板上に堆積されることができる(1305)。液晶ポリマー材料は、指向性UV光を使用して整合されることができる(1306)。
【0112】
図14は、本発明のある実施形態による、格子層の記録の前に、複屈折制御層を形成するステップが実行される、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工する方法を図示する、フローチャートを概念的に図示する。図14を参照すると、方法1400は、第1の透明基板を提供するステップ(1401)を含む。液晶ポリマー材料の層が、基板上に堆積されることができる(1402)。液晶ポリマー材料は、指向性UV光を使用して整合されることができる(1403)。格子記録材料の層が、整合された液晶ポリマー材料上に堆積されることができる(1404)。格子記録材料の層は、格子層を形成するために露光されることができる(1405)。第2の透明基板が、格子層にわたって適用されることができる(1406)。
【0113】
図12-14は、複屈折格子と、複屈折制御層とを含有する、導波管を加工するための具体的プロセスを図示するが、多くの他の加工プロセスおよび装置が、本発明の種々の実施形態に従って、そのような導波管を形成するために実装されることができる。例えば、任意のプロセスまたは方法ステップの順序もしくはシーケンスは、代替実施形態に従って変動または再シーケンス化されてもよい。他の代用、修正、変更、および省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態のプロセス装置、動作条件、ならびに配列の設計において行われてもよい。
付加的実施形態および用途
【0114】
いくつかの実施形態では、格子複屈折の偏光補償を伴う、偏光維持、広角、高反射導波管クラッドが、実装されることができる。図15は、1つのそのような実施形態を示す。例証的実施形態では、導波管1500は、複屈折格子1502を含有する、導波管基板1501と、導波管基板1501に上置する、複屈折制御層1503とを含む。示されるように、導波管基板1501とのその界面において複屈折制御層1503と相互作用する誘導光1504は、その偏光がシンボル1505によって示される状態(格子との以前の相互作用からもたらされる)から、1506によって示される状態(例えば、格子に沿ったいくつかの所定の点において所定の回折効率を提供するための配向を有する、格子との次の相互作用のための所望の配向を有する)に回転される。
【0115】
多くの実施形態では、導波されるビームの効率的な閉じ込めを確実にしながら、その環境から導波管を隔離するためのコンパクトかつ効率的な複屈折制御層が、実装されることができる。図16は、1つのそのような実施形態を図示する。例証的実施形態では、環境的に隔離される導波管1600は、複屈折格子1602を含有する、導波管基板1601と、導波管基板1601に上置する、複屈折制御層1603とを含む。示されるように、導波管基板1601とのその界面において複屈折制御層1603と相互作用する誘導光1604は、その偏光がシンボル1605によって示される状態から、1606によって示される状態に回転される。導波管の環境隔離は、全内部反射が、複屈折制御層1603と導波管基板1601との間の界面1607において起こるように複屈折制御層1603を設計することによって提供されることができる。いくつかの実施形態では、環境隔離は、誘導光のごく一部のみが、複屈折制御層の空気界面において反射されるような屈折率勾配特性を有するように複屈折制御層を設計することによって提供される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、別個のGRIN層を組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、GRIN層は、「NEAR EYE DISPLAY USING GRADIENT INDEX OPTICS」と題された、米国仮特許出願第62/123,282号および「WAVEGUIDE DISPLAY USING GRADIENT INDEX OPTICS」と題された、米国仮特許出願第62/124,550号に開示される実施形態に基づいてもよい。
【0116】
図17は、本発明のある実施形態による、複屈折制御層1702に上置する複屈折格子層1701を含有する構造を加工するための、上記に説明される方法のうちのいくつかと併用され得る、装置1700を概念的に図示する。図17では、複屈折制御層を支持する基板は、示されない。光線1703、1704によって示される構造ビームは、マスタ格子または交差ビームホログラフィック記録設定によって提供されてもよい。示されるように、構造ビームは、複屈折制御層1702を通して伝搬する。多くの実施形態では、構造ビームは、可視帯域内にある。いくつかの実施形態では、構造ビームは、UV帯域内にある。
【0117】
図18は、本発明のある実施形態による、複屈折格子層1802に上置する複屈折制御層1801を含有する構造を加工するための、上記に説明される方法のうちのいくつかと併用され得る、装置1800を概念的に図示する。図18では、格子層を支持する基板は、示されない。記録ビームの方向は、1803によって示される。多くの実施形態では、複屈折制御層は、整合のために指向性UVビームを使用する、液晶ポリマー材料システムである。格子がポリマーおよび液晶材料システム内に記録される、いくつかの実施形態では、露光された格子は、液晶の等方相を生成するために効果的な熱、電場または磁場、もしくは光等の外部刺激を印加することによって、複屈折制御層を整合させるプロセスの間に消去されてもよい。
【0118】
図19は、格子層1903を挟装する基板1901、1902を含有する、導波管1900の断面を概念的に図示する。示されるように、源1904は、コリメート光1905Aを放出し、これは、格子層によって、光線1905B、190Cによって示される全内部反射(TIR)経路の中に結合され、格子層1903によって出力光線経路1905Dの中に抽出される。例証的実施形態では、源1904は、限定ではないが、レーザまたはLEDを含む、種々の光源であり得る。
【0119】
図20は、本発明のある実施形態による、4分の1波長偏光層が、基板2002、2003によって挟装される4分の1波長フィルム2001によって基板1902を置換することによって挿入される、図19のものに類似する導波管を概念的に図示する。4分の1波長偏光層は、2つの方法においてホログラフィック導波管設計に有益であり得る。第1に、これは、ロール軸回転Kベクトル(RKV)入力格子の再相互作用(外部結合)を低減させ、入力格子の全体的結合効率を高めることができる。第2に、これは、折り返しおよび出力格子の中に進む光の偏光を連続的に混合し、より良好な抽出を提供することができる。4分の1波長層は、入力格子からの光に沿って導波管表面上に位置することができる。典型的には、導波管表面は、波のTIR表面または導波管の内側に形成される一部の中間表面のうちの1つを含むことができる。4分の1波長層の光学特性は、「導波管角度」、すなわち、TIR角度を超えるガラス内の角度のために最適化されることができる。いくつかの実施形態では、中心野は、ガラス内で約55度(波長532nmにおける約1.51の屈折率に対応する)において設計される。多くの実施形態では、赤色、緑色、および青色のための最適化が、赤色、緑色、および青色透過導波管の最適な性能のために使用されることができる。説明されるべき実施形態に示されるであろうように、導波管内に4分の1波長フィルムを組み込む、いくつかの異なる方法が、存在する。以下の実施形態では、概して、液晶ポリマー(LCP)材料によって提供される4分の1波長偏光層に言及する。しかしながら、他の材料も、本発明の用途において使用されることを理解されたい。
【0120】
図21は、本発明のある実施形態による、RKV格子を伴う4分の1波長偏光層の使用が、導波管の入力格子部分内の伝搬経路に沿った光の不要な抽出の問題を克服し得る方法を図示する、導波管の一部を示す、概略断面図2100を概念的に図示する。1つの光線経路が、図示され、P偏光2101Aを含む入力光が、導波管内の光線2101B-2101Lによって示されるTIR経路の中に格子層によって結合される。導波管格子は、ロール軸回転Kベクトルを有し、導波管の長さに沿った3つの点において起こるその実施例が、ベクトル2102A-2102Cによって図式的に図示される。例証的実施形態では、入力格子によってTIRの中に回折結合される光2101Aは、格子に対してP偏光される。多くの実施形態では、TIR角度は、公称上、ガラス内で55度であり得る。4分の1波長層を通した透過に応じて、光の偏光は、Pから円偏光(2101C)に変化する。導波管の下側面におけるTIR後、偏光は、その上向き経路上で4分の1波長層を横断した後、格子に対してS偏光(2101E)した状態になるように、反対の意味で円偏光(2101D)に変化する。S偏光は、これが、オフブラッグおよび「オフ偏光」の両方であるため(格子が、Sに関してゼロまたは低回折効率を有するため)、逸脱(2101F)または実質的な損失を伴わずに格子を通過する。本光は、次いで、そのS偏光を留保したまま、2回目のTIR(2101G)を受ける。したがって、光2101Gは、ここで、オンブラッグであるが、依然として、P偏光感受性格子に対してオフ偏光である。光は、したがって、回折を伴わずに格子を通過する(2101H)。本場所において、RKV(2102B)は、I/P格子上の光入射点の近傍のもの(2102A)からわずかにロール軸回転している。光が、「オン偏光」であった場合、RKVの「ロール軸回転」効果は、小さく、したがって、光は、強く外部結合されるであろう。格子を通過するS偏光は、光線2101B-2101Gによって図示されるサイクルに類似する方式で別の全サイクル(2101H-2101M)を通して進み、次いで、Kベクトル2102Cとの格子領域における次の(2101M)オンブラッグ相互作用のためにP偏光状態に戻る。この時点で、光は、導波管を辿って2回の完全なTIRバウンスサイクルを実施しており、格子およびKベクトルにおける入射角の角度分離を増加させ、これは、オンブラッグ相互作用を強く低減させる。
【0121】
図21の実施形態をさらに明確にするために、1mm厚さの導波管における55度のTIR角度光が、考慮され、20mmのプロジェクタ起伏(入力格子からのプロジェクタの距離)および公称4.3mm直径のプロジェクタ射出瞳を伴う。格子との最初の相互作用は、導波管を辿って約2.85mmで起こる。これは、20mmのプロジェクタ起伏において8.1度の角度に等しい。比較のために、典型的な1.6μmの格子のFWHM角度帯域幅は、空気中で約12度であり(規定に依存する)、すなわち、瞳に対する角度は、レンズの半幅よりもあまり大きくない。これは、偏光が、上記に説明されるようにS偏光に変化しない場合、強い外部結合につながる。事実上、4分の1波長層の使用は、TIR長さを約5.7mmに倍増する。本オフセットは、殆どの導波管格子の角度帯域幅よりも大きい、約15.9度に等しく、それによって、導波管からの外部結合再相互作用損失を低減させる。
【0122】
図22は、本発明のある実施形態による、屈折率合致油層(2201)によって分離される、LCP4分の1波長セルと、反応性モノマー液晶混合物(RMLCM)とを含有する、偏光層アーキテクチャ2200を概念的に図示する。LCPセルは、基板2202と、LCPフィルム2203とを含む。RMLCMセルは、RMLCM層2206を挟装する、基板2204、2205を含む。本構成は、屈折率整合油接合が、非恒久的接合を提供し得、試験目的のための偏光セルの配設および除去を可能にする利点を有する。接着剤もまた、半恒久的接合のために(タッキングされる)縁に適用されることができる。いくつかの実施形態では、油層は、油を用いて充填されるセルを使用して提供されることができる。
【0123】
図23は、本発明のある実施形態による、裸LCPフィルム2302と直接接触するRMLCM格子材料層2301を伴う格子セルに基づく、偏光アーキテクチャ2300の実施例を概念的に図示する。2つのフィルムは、基板2303、2304によって挟装される。これは、LCP層を実装するための単純かつ費用効果の高い解決策である。スペーサビーズを使用してRMLCM層の厚さ制御を維持することは、ビーズが、LCP層上に直接埋設される場合、困難であり得る。図23の実施形態は、RMLCM層とLCP層との間の有害な相互作用を回避するために、RMLCMおよびLCPの材料性質の注意深い合致を要求することができる。多くの実施形態では、RMLCM層のホログラフィック露光が、RMLCMの中に直接適用されることができ、LCP層を通してである必要はない。LCP層を通した露光構築が、回避不可能である場合、LCP層の偏光回転の事前補償が、いくつかの実施形態では、行われることができる。
【0124】
図24は、本発明のある実施形態による、裸LCP層が裸RMLCM層に接合される、偏光層アーキテクチャ2400の実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。本装置は、上側基板2401と、裸LCPフィルム2402と、接着層2403と、暴露RMLCM層2404と、下側基板2405とを含む。多くの実施形態では、接着層は、Norland NOA65接着剤または類似する接着剤であり得る。
【0125】
図25は、本発明のある実施形態による、偏光層としてRMLCM層を使用する偏光層アーキテクチャ2500の実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。本装置は、上側基板2501と、上側RMLCM層2502と、透明スペーサ2503と、下側RMLCM層2504と、下側基板2505とを含む。RMLCM層のうちの1つは、格子材料としてだけではなく、また、RMLCM材料の固有の複屈折性質を使用して、偏向回転層としても使用されることができる。「偏光回転格子」は、その回折が、最小であるような周期および/またはkベクトル方向を有するべきである。いくつかの実施形態では、RMLCM層は、サブ波長格子として構成されることができる。いくつかの実施形態では、RMLCM層は、硬化後、層が、除去され、別の場所に再適用され得るように、2つの剥離層の間に挟装されて提供されることができる。
【0126】
図26は、本発明のある実施形態による、複屈折格子によって導入される偏光回転を補償するための特徴を含む、偏光層アーキテクチャ2600の実施例を概念的に図示する。本装置は、上側基板2601と、偏光制御層2602と、透明基板2603と、格子層2604と、下側基板2605とを含む。格子層は、クリア領域2607によって分離される、第1の格子2606Aと、第2の格子2606Bとを含有する。いくつかの実施形態では、クリア領域は、基板のものに類似する屈折率を伴うポリマーであり得る。多くの実施形態では、他の低屈折率材料が、クリア領域を提供するために使用されてもよい。偏光制御層は、4分の1波長リターディング領域2608A、2608Bと、偏光補償領域とを含み、これは、(誘導光が格子2606Aから格子2606Bに伝搬する場合に)複屈折格子2606Aによって導入される偏光回転を平衡させる。
【0127】
図27は、本発明のある実施形態による、図26の実施形態の特徴を組み込む導波管ディスプレイ2700を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。導波管ディスプレイ2700は、導波管基板2701と、入力格子2702と、折り返し格子2703と、出力格子2704とを含む。偏光制御領域2705、2706は、図26の実施形態の原理に従って、格子偏光解消のための補償を適用する。
【0128】
図28は、本発明のある実施形態による、上側基板2801と、硬質カプセル化層2803を伴うLCP層2802と、RMLCM層2804と、下側基板2805とを含有する、偏光層アーキテクチャ2800の実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。多くの実施形態では、硬質カプセル化層またはフィルムは、標準洗浄手順が、フィルムを破壊しないであろうように、機械的接触から繊細なLCPフィルムを保護するように設計されることができる。有利なこととして、硬質カプセル化層は、スペーサビーズが積層プロセスを通してこれの中に押動されることに耐性があり、ならびに屈折率合致油および接着剤に化学的に耐性がある材料を採用することができる。
【0129】
図29は、本発明のある実施形態による、上側基板2901と、軟質カプセル化層2903を伴うLCP層2902と、RMLCM層2904と、下側基板2905とを含有する、偏光層アーキテクチャ2900の実施例を図式的に示す、断面図を概念的に図示する。偏光整合フィルムは、例えば、イソプロピルアルコールを用いたドラッグワイピング等の標準洗浄手順が、フィルムを破壊しないであろうように、機械的接触から繊細なLCPフィルムを保護するように設計される、軟質カプセル化層またはフィルムを用いてカプセル化されることができる。いくつかの実施形態では、軟質カプセル化は、積層プロセスの間にスペーサビーズに対するある程度の抵抗を提供することができる。
【0130】
図30は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第1の実施例3000を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。本実施例は、寸法77.2mm×47.2mmの0.5mm厚さのEagle XG基板によって支持される、非カプセル化LCPフィルム3001を使用する。領域1は、波長524nmに関して、水平からの速軸75°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。領域2は、波長524nmに関して、水平からの速軸105°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。典型的には、領域1および領域2は、水平に中間点まで、±2mm延在する。
【0131】
図31は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第2の実施例3100を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。本実施例は、保護フィルム3102によるLCP層3101のカプセル化を使用し、該層は、寸法77.2mm×47.2mmの0.5mm厚さのEagle XG基板によって支持される。領域1は、波長524nmに関して、水平からの速軸75°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。領域2は、波長524nmに関して、水平からの速軸105°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。典型的には、領域1および領域2は、水平に中間点まで、±2mm延在する。カプセル化層は、性能が、屈折率1.516を伴うCargille Series A等の油の層によって被覆されるときに影響を受けないように、偏光層をシールすることができる。カプセル化層は、性能が、液晶ベースのフォトポリマーの付加的層によって被覆されるときに影響を受けないように、偏光層をシールすることができる。
【0132】
図32は、本発明のある実施形態による、2領域ポリマーフィルムの第3の実施例3200を図式的に示す、平面図を概念的に図示する。本実施例は、LCPのガラスカプセル化を使用する。寸法77.2mm×47.2mmの0.5mm厚さのEagle XG基板が、LCP層3201、接着層3202、および0.2mm厚さのWillowガラスカバー3203を支持する。領域1は、波長524nmに関して、水平からの速軸75°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。領域2は、波長524nmに関して、水平からの速軸105°によって、かつ55°のガラス内角度、45°の楕円率±5°における4分の1波長リターダンスによって特徴付けられる。有利なこととして、LCPのカプセル化のためのガラスは、0.5mm EagleXGまたは0.2mm Willowガラスである。典型的には、領域1および領域2は、水平に中間点まで、±2mm延在する。
【0133】
図33は、本発明のある実施形態による、図30-32に図示される実施形態に関するクリア開口レイアウト3300を示す、図面を概念的に図示する。クリア開口は、破線において強調される。全ての寸法は、mm単位である。
【0134】
図34は、本発明のある実施形態による、格子毎に、Kベクトルと、整合層速軸方向とを含む、図30-33の実施形態に基づく、入力格子3402と、折り返し格子3403と、出力格子3404とを含有する、導波管3401を図式的に示す、平面図3400を概念的に図示する。図34に示されるように、Kベクトルおよび速軸方向は、入力格子Kベクトルに関して30度であり、折り返し格子Kベクトルに関して270度であり、出力格子Kベクトルに関して150度である。
【0135】
上記の説明は、LCP層(または同等のリターディング層)が導波管構造においてRMLCM層と組み合わせられ得る、可能性として考えられる実施形態のうちのいくつかのみを網羅する。上記に説明される実施形態の多くでは、基板は、0.5mm厚さのCorning Eagle XGガラスから加工されることができる。いくつかの実施形態では、より薄いまたはより厚い基板が、使用されることができる。いくつかの実施形態では、基板は、プラスチックから加工されることができる。いくつかの実施形態では、基板および該基板によってカプセル化される光学層は、湾曲することができる。実施形態のうちのいずれかは、処理および取扱の間に生じる化学汚染または損傷からの保護のための付加的層を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、付加的基板層が、要求される導波管厚さを達成するために提供されてもよい。いくつかの実施形態では、付加的層が、照明均質化スペクトルフィルタ処理、角度選択的フィルタ処理、迷光制御、およびデバンディングの機能のうちの少なくとも1つを実施するために提供されてもよい。多くの実施形態では、裸LCP層は、裸暴露RMLCM層に直接接合されることができる。いくつかの実施形態では、中間基板が、LCP層とRMLCM層との間に配置されることができる。いくつかの実施形態では、LCP層は、RMLCM材料の非暴露層と組み合わせられることができる。多くの実施形態では、カプセル化の有無を問わず、LCPの層は、<0.25%、好ましくは、0.1%またはそれを下回るヘイズ特性を有することができる。引用されるヘイズ特性が、バルク材料散乱に基づき、大部分が浸漬に応じて失われる、表面散乱損失から独立することに留意されたい。LCPおよびカプセル化層は、100℃の露光(熱UM暴露に関して>80℃)に耐えることができる。多くの実施形態では、LCPカプセル化層は、層洗浄を可能にするために、ドラッグワイピング耐性があり得る。上記に説明される実施形態では、フィルムクリア開口内に一定のリターダンスが、存在し、いかなる気泡または隙間も、存在し得ない。LCPおよび接着層は、導波管基板によって満たされる光学的平坦性基準に合致することができる。
【0136】
本発明の原理による色導波管が、典型的には、単色導波管のスタックを含むであろう。本設計は、赤色、緑色、および青色導波管層、または代替として、赤色および青色/緑色層を使用してもよい。いくつかの実施形態では、格子は全て、受動的、すなわち、非切替である。いくつかの実施形態では、格子のうちの少なくとも1つは、切替である。いくつかの実施形態では、各層内の入力格子は、導波管層の間のカラークロストークを回避するために、切替可能である。いくつかの実施形態では、カラークロストークは、赤色および青色の入力格子領域と青色および緑色導波管との間にダイクロイックフィルタを配置することによって回避される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層の厚さは、導波管内で伝搬する光の波長のために最適化され、導波管ディスプレイのスペクトル帯域幅を横断して均一な複屈折補償を提供する。導波管ディスプレイにおいて典型的に使用される、赤色、緑色、青色波長のための波長およびスペクトル帯域幅バンドは、赤色に関して626nm±9nmであり、緑色に関して522nm±18nmであり、青色に関して452nm±11nmである。いくつかの実施形態では、複屈折制御層の厚さは、三色光のために最適化される。
【0137】
多くの実施形態では、複屈折制御層は、HPDLC内に記録されるサブ波長格子によって提供される。そのような格子は、形状複屈折の現象を呈することが公知であり、4分の1波長および半波長リターデーションを含む、様々な偏光機能を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、LCダイレクタが偏光または無偏光光を用いてアゾ染料ドープ整合層を照射することによって整合される、液晶媒体によって提供される。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、サブミクロン分解能ステップを伴うLCダイレクタ配向パターンを提供するようにパターン化される。同一の実施形態では、複屈折制御層は、LCダイレクタ配向の連続的変動を提供するように処理される。いくつかの実施形態では、上記に説明される技法のうちの1つ以上のものを組み合わせることによって提供される複屈折制御層が、ラビングプロセスまたはポリイミド整合層と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、屈折力を提供する。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、屈折率勾配構造を提供する。いくつかの実施形態では、複屈折制御層は、少なくとも1つのHPDLC格子と、少なくとも1つの整合層とを含有するスタックによって提供される。多くの実施形態では、複屈折格子は、ロール軸回転kベクトルを有してもよい。Kベクトルは、入力および回折角度の所与の範囲に関する光学効率を判定する、格子平面(またはフリンジ)に対して法線に整合されるベクトルである。Kベクトルをロール軸回転させることは、導波管厚さを増加させる必要性を伴わずに、格子の角度帯域幅が拡大されることを可能にする。多くの実施形態では、複屈折格子は、射出瞳拡大を提供するための折り返し格子である。折り返し格子は、「WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、PCT出願第PCT/GB2016000181号に開示される実施形態および上記に与えられる他の参考文献に議論される実施形態のうちのいずれかに基づいてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、本装置は、レーザバンディングの問題を克服するために、導波管設計において使用される。本発明の原理による導波管は、入力格子が、TIR角度の関数である有効入力開口を有するように、導波管の中に結合される光を構成するための瞳偏移手段を提供することができる。瞳偏移手段のいくつかの実施形態が、説明されるであろう。瞳偏移手段の効果は、出力格子による導波管からの連続的な光抽出が、入力格子における任意の光入射角に関する実質的に平坦な照明プロファイルを提供するように統合されることである。瞳偏移手段は、入射光角の関数として3D空間内の振幅、偏光、位相、および波面変位のうちの少なくとも1つを変動させるために、複屈折制御層を使用して実装されることができる。各場合では、効果は、入力格子における任意の光入射角に関して出力格子を横断して均一な抽出を与える有効開口を提供することである。いくつかの実施形態では、瞳偏移手段は、少なくとも部分的に、「WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、PCT出願第PCT/GB2016000181号(その開示が、その全体として本明細書に組み込まれる)に開示されるものに類似するもの等の種々の実施形態による、マイクロディスプレイパネルの一方の側上の高NAから、平滑に変動して他方の側上における低NAに及ぶ開口数(NA)変動を有するように入力画像発生器の光学系を設計することによって提供される。典型的には、マイクロディスプレイは、反射デバイスである。
【0139】
いくつかの実施形態では、格子層は、別個の層に分割されてもよい。いくつかの層は、次いで、単一の導波管基板にともに積層されてもよい。多くの実施形態では、格子層は、単一の基板導波管を形成するためにともに積層される、入力カプラ、折り返し格子、および出力格子(またはそれらの一部)を含む、いくつかの部品を含有する。部品は、光学糊または部品のものと合致する屈折率の他の透明材料によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、格子層は、所望の格子厚さのセルを作成し、入力カプラ、折り返し格子、および出力格子毎にSBG材料を用いて各セルを真空充填することによるセル作製プロセスを介して形成されてもよい。一実施形態では、セルは、入力カプラ、折り返し格子、および出力格子に関する所望の格子厚さを画定するガラスの板の間に間隙を伴う複数のガラスの板を位置付けることによって形成される。一実施形態では、1つのセルは、別個の開口が、SBG材料の異なるポケットを用いて充填されるように、複数の開口とともに作製されてもよい。任意の介在空間が、次いで、別個の面積を画定するために分離材(例えば、糊、油等)によって分離されてもよい。一実施形態では、SBG材料は、基板上にスピンコーティングされ、次いで、材料の硬化後に第2の基板によって被覆されてもよい。折り返し格子を使用することによって、導波管ディスプレイは、有利なこととして、いくつかの実施形態による、情報を表示する以前のシステムおよび方法よりも少ない層を要求する。加えて、折り返し格子を使用することによって、光は、二重瞳拡大を達成しながら、導波管外面によって画定される単一の直角プリズム内の導波管内の全内部反射によって進行することができる。別の実施形態では、入力カプラ、格子は、基板内のある角度において2つの光波を干渉させ、ホログラフィック波面を作成することによって作成され、それによって、所望の角度において導波管基板内に設定される明および暗フリンジを作成することができる。いくつかの実施形態では、所与の層内の格子は、格子面積を横断して記録レーザビームを走査または段階化することによって、段階的方式で記録される。いくつかの実施形態では、格子は、ホログラフィック印刷業界において現在使用されているマスタリングおよび接触複写プロセスを使用して記録される。
【0140】
多くの実施形態では、格子は、前述で議論されるようにホログラフィックポリマー分散液晶(HPDLC)中に記録されるブラッグ格子であるが、SBGはまた、他の材料内に記録されてもよい。一実施形態では、SBGは、液体ポリマー中に分散される固体液晶のマトリクスを有するPOLICRYPSまたはPOLIPHEM等の均一な変調材料内に記録される。SBGは、本質的に切替または非切替であり得る。その非切替形態では、SBGは、その液晶コンポーネントに起因する高屈折率変調を提供することが可能である、従来のホログラフィック光ポリマー材料に優る利点を有する。例示的均一変調液晶ポリマー材料システムが、Caputo et al.による米国特許出願公開第US2007/0019152号およびStumpe et al.によるPCT出願第PCT/EP2005/006950号(その両方が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示されている。均一な変調格子は、高屈折率変調(したがって、高回折効率)および低散乱によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、格子のうちの少なくとも1つは、表面レリーフ格子である。いくつかの実施形態では、格子のうちの少なくとも1つは、薄(またはRaman-Nath)ホログラムである。
【0141】
いくつかの実施形態では、格子は、反転モードHPDLC材料内に記録される。反転モードHPDLCは、格子がいかなる電場も印加されていないときに受動的であり、電場の存在下で回折状態になる点において、従来のHPDLCと異なる。反転モードHPDLCは、「IMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICES」と題された、PCT出願第PCT/GB2012/000680号に開示されるレシピおよびプロセスのうちのいずれかに基づいてもよい。格子は、上記の材料システムのうちのいずれかの中に記録されるが、受動(非切替)モードにおいて使用されてもよい。加工プロセスは、切替のために使用されるものと同じであるが、電極コーティング段階は、省略されることができる。LCポリマー材料システムは、その高屈折率変調のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、格子は、HPDLC内に記録されるが、切り替えられない。
【0142】
多くの実施形態では、本発明の原理による導波管ディスプレイは、窓、例えば、道路車両用途のためのフロントガラス統合HUD内に統合されてもよい。いくつかの実施形態では、窓統合ディスプレイは、「OPTICAL WAVEGUIDE DISPLAYS FOR INTEGRATION IN WINDOWS(登録商標)」と題された、米国仮特許出願第62/125,064号および「ENVIRONMENTALLY ISOLATED WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、米国特許出願第15/543,016号に開示される実施形態ならびに教示に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管ディスプレイは、「WAVEGUIDE DEVICE INCORPORATING A LIGHT PIPE」と題された、米国特許出願第15/558,409号に開示される実施形態に基づく、1つの方向においてビーム拡大を提供するための光パイプを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、入力画像発生器は、「COMPACT EDGE ILLUMINATED DIFFRACTIVE DISPLAY」と題された、米国特許第9,075,184号に開示されるようなレーザ走査装置に基づいてもよい。本発明の実施形態は、ARおよびVRのためのHMD、ヘルメットマウントディスプレイ、投影ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドダウンディスプレイ(HDD)、裸眼立体ディスプレイ、および他の3Dディスプレイを含む、広い範囲のディスプレイにおいて使用されてもよい。本開示の実施形態および教示のうちのいくつかは、例えば、アイトラッカ、指紋走査装置、およびLIDARシステム等の導波管センサにおいて、ならびに照明器およびバックライトにおいて適用されてもよい。
【0143】
図面は、例示であり、寸法は、誇張されていることが強調されるべきである。例えば、SBG層の厚さは、非常に誇張されている。上記に説明される実施形態のうちのいずれかに基づく光学デバイスは、「IMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICES」と題された、PCT出願第PCT/GB2012/000680号に開示される材料およびプロセスを使用するプラスチック基板を使用して実装されてもよい。いくつかの実施形態では、二重拡大導波管ディスプレイは、湾曲してもよい。
【0144】
説明は、本発明の具体的実施形態を提供したが、本技術に関する付加的情報が、以下の特許出願(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)、すなわち、「COMPACT EDGE ILLUMINATED DIFFRACTIVE DISPLAYと題された、米国特許第9,075,184号、「OPTICAL DISPLAYS」と題された、米国特許第8,233,204号、「METHOD AND APPARATUS FOR PROVIDING A TRANSPARENT DISPLAY」と題された、PCT出願第US2006/043938号、「WEARABLE DATA DISPLAY」と題された、PCT出願第GB2012/000677号、「COMPACT EDGE ILLUMINATED EYEGLASS DISPLAY」と題された、米国特許出願第13/317,468号、「HOLOGRAPHIC WIDE ANGLE DISPLAY」と題された、米国特許出願第13/869,866号、および「TRANSPARENT WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、米国特許出願第13/844,456号、「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」と題された、米国特許出願第14/620,969号、「ELECTRICALLY FOCUS TUNABLE LENS」と題された、米国特許出願第15/553,120号、「WAVEGUIDE DEVICE INCORPORATING A LIGHT PIPE」と題された、米国特許出願第15/558,409号、「METHOD AND APPARATUS FOR GENERATING INPUT IMAGES FOR HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE DISPLAYS」と題された、米国特許出願第15/512,500号、「NEAR EYE DISPLAY USING GRADIENT INDEX OPTICS」と題された、米国仮特許出願第62/123,282号、「WAVEGUIDE DISPLAY USING GRADIENT INDEX OPTICS」と題された、米国仮特許出願第62/124,550号、「OPTICAL WAVEGUIDE DISPLAYS FOR INTEGRATION IN WINDOWS(登録商標)」と題された、米国仮特許出願第62/125,064号、「ENVIRONMENTALLY ISOLATED WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、米国特許出願第15/543,016号、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE LIGHT FIELD DISPLAYS」と題された、米国仮特許出願第62/125,089号、「LASER ILLUMINATION DEVICE」と題された、米国特許第8,224,133号、「LASER ILLUMINATION DEVICE」と題された、米国特許第US8,565,560号、「HOLOGRAPHIC ILLUMINATION SYSTEM」と題された、米国特許第6,115,152号、「CONTACT IMAGE SENSOR USING SWITCHABLE BRAGG GRATINGS」と題された、PCT出願第PCT/GB2013/000005号、「IMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICES」と題された、PCT出願第PCT/GB2012/000680号、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE EYE TRACKER」と題された、PCT出願第PCT/GB2014/000197号、「APPARATUS FOR EYE TRACKING」と題された、第PCT/GB2013/000210号、「APPARATUS FOR EYE TRACKING」と題された、PCT出願第GB2013/000210号、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE OPTICALTRACKER」と題された、第PCT/GB2015/000274号、「SYSTEM AND METHOD OF EXTENDING VERTICAL FIELD OF VIEW IN HEAD UP DISPLAY USING A WAVEGUIDE COMBINER」と題された、米国特許第8,903,207号、「COMPACT WEARABLE DISPLAY」と題された、米国特許第8,639,072号、「COMPACT HOLOGRAPHIC EDGE ILLUMINATED EYEGLASS DISPLAY」と題された、米国特許第8,885,112号、「METHOD AND APPARATUS FOR PROVIDING A POLARIZATION SELECTIVE HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE DEVICE」と題された、米国特許出願第16/086,578号、「WAVEGUIDE DISPLAY APPARATUS」と題された、米国仮特許出願第62/493,578号、「WAVEGUIDE DISPLAY」と題された、PCT出願第PCT/GB2016000181号、「APPARATUS FOR HOMOGENIZING THE OUTPUT FROM A WAVEGUIDE DEVICE」と題された、米国特許出願第62/497,781号、「WAVEGUIDE DEVICE WITH UNIFORM OUTPUT ILLUMINATION」と題された、米国特許出願第62/499,423号に見出され得る。
均等論
【0145】
種々の例示的実施形態において示されるようなシステムおよび方法の構造ならびに配列は、例証にすぎない。いくつかの実施形態のみが、本開示に詳細に説明されたが、多くの修正(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、搭載配列、材料の使用、色、配向等の変形例)が、可能性として考えられる。例えば、要素の位置は、逆転または別様に変動されてもよく、離散要素または位置の性質もしくは数は、改変または変動されてもよい。故に、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。任意のプロセスまたは方法ステップの順序もしくはシーケンスは、代替実施形態に従って変動または再シーケンス化されてもよい。他の代用、修正、変更、および省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件、ならびに配列において行われてもよい。
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