(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ダブルバレルボールバット
(51)【国際特許分類】
A63B 59/56 20150101AFI20240513BHJP
A63B 59/54 20150101ALI20240513BHJP
A63B 60/54 20150101ALI20240513BHJP
A63B 59/51 20150101ALN20240513BHJP
A63B 102/18 20150101ALN20240513BHJP
【FI】
A63B59/56
A63B59/54
A63B60/54
A63B59/51
A63B102:18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021030225
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517098734
【氏名又は名称】イーストン ダイアモンド スポーツ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Easton Diamond Sports, LLC
【住所又は居所原語表記】3500 Willow Lane, Thousand Oaks, California 91361 United States
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー、イアン
(72)【発明者】
【氏名】ハント、リンダ
(72)【発明者】
【氏名】ショーバン、デューイ
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0080642(US,A1)
【文献】特開2010-131355(JP,A)
【文献】特開2013-249894(JP,A)
【文献】特開2004-275742(JP,A)
【文献】特開2007-325900(JP,A)
【文献】特開2001-095968(JP,A)
【文献】特開2010-284520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-51/16
A63B 55/00-60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールバットであって、
外殻のバレル部分の少なくとも一部を含むバレルセグメント、外殻のハンドル部分の少なくとも一部を含むハンドルセグメント、及び前記バレル部分と前記ハンドル部分の間のテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記ハンドルセグメントは前記バレルセグメントから離れているがそれに取り付けられ、そして、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間で前記バットの長手方向軸に沿って延びる管要素を備える前記挿入部と
を備え、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置された第1のスペーサ要素と、前記挿入部の前記第2の端部寄りに配置された第2のスペーサ要素とを更に備え、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔され、
前記挿入部は前記バットの長手方向軸に沿って前記ハンドルセグメントから離隔される、ボールバット。
【請求項2】
前記間隙は、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間に延在する、請求項1に記載のボールバット。
【請求項3】
前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素上に配置された1つ又は複数の追加のスペーサ要素を更に備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項4】
前記第1のスペーサ要素又は前記第2のスペーサ要素の少なくとも1つは、前記管要素と一体である、請求項1に記載のボールバット。
【請求項5】
前記バレル部分と前記管要素は、複合ラミネート材料の1つ又は複数の層を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項6】
前記外殻の内径上に配置され、前記外殻からの前記挿入部の取り外しを妨げるために配置された1つ又は複数の係止要素を更に備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項7】
前記外殻の前記バレル部分は、強化繊維で強化されたエラストマーマトリックス材料を含むエラストマー複合材料を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項8】
前記ハンドルセグメントを前記バレルセグメントに取り付ける接続要素を更に備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項9】
前記間隙に前記管要素上に配置されたスリーブ要素を更に備え、前記スリーブ要素は、前記ボールバットの打撃中心に配置される、請求項1に記載のボールバット。
【請求項10】
前記バレル部分は、第1の圧縮値を備え、前記管要素は、前記第1の圧縮値よりも高い第2の圧縮値を備える、請求項1に記載のボールバット。
【請求項11】
ボールバットであって、
複合ラミネート材料の1つ又は複数の層で形成されたバレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置されたスペーサ要素を更に備え、ここにおいて、前記スペーサ要素は前記管要素と一体であり、
を備え、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記スペーサ要素と前記挿入部の前記第2の端部との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔され
、
前記外殻は、
前記バットの長手方向軸に沿って延び、前記バレル部分の少なくとも一部を含むバレルセグメントと、
前記バットの長手方向軸に沿って延び、前記ハンドル部分の少なくとも一部を含むハンドルセグメントと
を備え、
前記ハンドルセグメントは前記バレルセグメントから離れているがそれに取り付けられ、
前記挿入部は、前記バットの長手方向軸に沿って前記ハンドルセグメントから離隔される、ボールバット。
【請求項12】
前記管要素と前記スペーサ要素の両方は、複合ラミネート材料を備える、請求項11に記載のボールバット。
【請求項13】
前記外殻の前記バレル部分は、強化繊維で強化されたエラストマーマトリックス材料を含むエラストマー複合材料を備える、請求項11に記載のボールバット。
【請求項14】
前記間隙に前記管要素上に配置されたスリーブ要素を更に備える、請求項11に記載のボールバット。
【請求項15】
前記バレル部分は、第1の圧縮値を備え、前記管要素は、前記第1の圧縮値よりも高い第2の圧縮値を備える、請求項11に記載のボールバット。
【請求項16】
前記挿入部は、前記バットの長手方向軸に沿って前記接続要素から離隔される、請求項8に記載のボールバット。
【請求項17】
ボールバットであって
複合ラミネート材料の1つ又は複数の層で形成されたバレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備えるシングルピースの外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と、
を備え、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置された第1のスペーサ要素と、前記挿入部の前記第2の端部寄りに配置された第2のスペーサ要素と、を更に備え、
ここにおいて、前記第1のスペーサ要素又は前記第2のスペーサ要素の少なくとも一つは前記管要素と一体であり、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔される、ボールバット。
【請求項18】
ボールバットであって、
複合ラミネート材料の1つ又は複数の層で形成されたバレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置されたスペーサ要素を更に備え、ここにおいて、前記スペーサ要素は前記管要素と一体であり、
前記外殻の内径上に配置され、前記外殻からの前記挿入部の取り外しを妨げるために配置された1つ又は複数の係止要素を備え、
を備え、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記スペーサ要素と前記挿入部の前記第2の端部との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔される、ボールバット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] ボールバット、特に複合ボールバットは、様々な選手の好みを満たすように様々な剛性で設計されている。多くの選手が、高いコンプライアンス(例えば高い半径方向変形)と低い剛性を示すバレルを有するボールバットの感触及び性能を好む。しかしながら、これらの特性を有する、効果的で耐久性のあるボールバットを製造するのには課題がある。加えて、リーグ又は協会規則、例えばバットボール反発係数(「BBCOR」)、打球速度(「BBS」)値に関連する規則、又はバットとボールの衝突係数に関連する他の規則などを満たすことができる、高いコンプライアンスを有するボールバットを製造するのに課題がある。
【0002】
[0002] 一部の既存のダブルバレルバットは、比較的重い重量をもたらすような構造にされており、これは、小柄な選手、力の弱い選手、又は若い選手には望ましくない場合もある。例えば、バレル外殻がフレームにわたって備え付けられたバットでは、従来のバットの外観又は感触を提供するため、又は不要な重量をもたらし得る切れ目を回避するために、バレル外管の長さが打撃エリアを越えて延びている必要があり得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本技術の代表的な実施形態は、外殻と、外殻の打球エリア内に配置された挿入部とを有するボールバットを含む。挿入部は、管要素と、管要素の長さの少なくとも一部分に沿って管要素と外殻との間に間隙を形成するように配置された1つ又は複数のスペーサ要素とを含み得る。いくつかの実施形態では、挿入部又は間隙は、打球エリアの長さに沿ってしか延在しなくてよい。外殻は、打撃中に、トランポリン効果を生み出すコンプライアンスをもたらし得、挿入部は、外殻の半径方向変形を制限するバックストップ(backstop)をもたらし得る。
【0004】
[0004] 他の特徴及び利点が、以下で明らかになる。上述の特徴は、別々に使用され得、又は一緒に、すなわち特徴のうちの1つ又は複数の様々な組合せで使用され得る。
【0005】
[0005] 図面において、同じ参照番号は、図全体を通して同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006] 本技術の実施形態にしたがって構成されたボールバットの側面図を例示する。
【
図2】[0007]
図1に示すボールバットの斜視分解図を例示する。
【
図3】[0008]
図1及び
図2に示すボールバットの一部分の断面図を例示する。
【
図4】[0009] 本技術の別の実施形態にしたがって構成されたボールバットの一部分の断面図を例示する。
【
図5A】[0010] 本技術の実施形態にしたがって構成されたボールバットのための挿入部の断面図を例示する。
【
図5B】本技術の実施形態にしたがって構成されたボールバットのための挿入部の断面図を例示する。
【
図6】[0011] 本技術の更なる実施形態にしたがって構成されたボールバットの斜視分解図を例示する。
【
図7】[0012]
図6に示すボールバットの一部分の断面図を例示する。
【
図8】[0013] 本技術の更なる実施形態にしたがって構成されたボールバットの一部分の断面図を例示する。
【詳細な説明】
【0007】
[0014] 本技術は、ダブルバレルボールバット、及び関連するシステム並びに方法を対象とする。次に本技術の様々な実施形態を説明する。以下の説明は、これらの実施形態の説明の完全な理解及び実施のための特定の詳細を提供する。しかしながら、当業者は、本発明をこれらの詳細の多くを用いずに実施できることを理解するであろう。更に、いくつかの周知の構造又は機能、例えばボールバット及び複合材料に一般的なものなどについて、様々な実施形態の関連の説明を不要に曖昧にすることを回避するために、詳細には図示又は説明しない場合がある。したがって、本技術の実施形態は、追加的な要素を含み得るか、又は本技術の例を例示する
図1~
図8を参照して以下で説明する要素のうちのいくつかを除外し得る。
【0008】
[0015] 本説明において使用される専門用語は、それが本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明とともに使用されていても、その合理的な最広義で解釈することを意図している。特定の用語が以下で強調されている場合もあるが、任意の制限した様式で解釈することを意図した任意の専門用語は、この詳細な説明部分において、そのように明白かつ具体的に定義される。
【0009】
[0016] コンテキストが許容する場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含んでよい。更に、「又は」という語句が、2つ以上の項目のリスト中の他の項目から排他的な単一の項目だけを意味するように明示的に限定されていない限り、そのようなリスト中での「又は」の使用は、(a)リスト中の任意の単一の項目、(b)リスト中のすべての項目、又は(c)リスト中の項目の任意の組合せ、を含むものとして解釈するべきである。更に、別段の指定がない限り、「取り付けられた」又は「接続された」などの用語は、一体的な接続と、物理的に別個の構成要素間の接続とを含むことを意図する。
【0010】
[0017] 本開示の目的では、第2の要素の端部「寄りに」配置された第1の要素とは、第2の要素の中央位置又は中間位置よりも、第2の要素の該端部に近いほうに配置されている。
【0011】
[0018] 本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細について、本明細書においてボールバットを参照して説明する。本技術の実施形態は、野球、ソフトボール、クリケット、又は同様のスポーツで使用することができる。
【0012】
[0019]
図1に示すように、野球又はソフトボール用バット100(以下、「ボールバット」又は「バット」と総称する)は、バレル部分110(打撃表面の少なくとも一部を構成する)、ハンドル部分120、及びバレル部分110にハンドル部分120をつなげるテーパ部分130を含む。テーパ部分130は、大きいほうの直径のバレル部分110から細いほうの直径のハンドル部分120に移行する。テーパ部分130は、バレル部分110又はハンドル部分120の部分を含み得る。ハンドル部分120は、任意選択的に、ノブ140、又はバット100の基端部に配置された同様の構造物を含む。バレル部分110は、任意選択的に、バット100の末端部に配置された好適なプラグ又はエンドキャップ150によって閉鎖されている。バット100の内部は、任意選択的に中空であり、バット100が比較的軽量となることを可能とし、これにより野球選手がバット100を振ったときに実質的なバットスピードを出すことができる。バレル部分110は、エンドキャップ150と位置170との間に延びる、テーパが付けられていない部分又は直線部分160を含み得る。
【0013】
[0020] バット100の打球エリア190は、典型的には、バレル部分110の全長にわたって延び、バット100のテーパ部分130内に部分的に延びてよい。バット100は、一般に、バット100からボールへのエネルギーの伝達が概ね最大になるが選手の手へのエネルギーの伝達が概ね最小になるインパクト位置である、「スイートスポット」180を含む。スイートスポット180は、ASTM F2398-11規格によって決定され得るが、典型的には、バットの打撃中心(COP)近くに位置する。本願で測定及び説明しやすくするために、本明細書で説明するスイートスポット180は、バットのCOPと一致する。
【0014】
[0021] バット100の比率、例えば、バレル部分110、ハンドル部分120、及びテーパ部分130の相対的なサイズなどは、縮尺通りに描かれていないが、ボールバットでの使用に好適な任意の相対的比率を有し得る。したがって、バット100は、任意の好適な寸法を有し得る。例えば、バット100は、20~40インチ、又は26~34インチの全長を有し得る。バレル部分110の全径は、2.0~3.0インチ、又は2.25~2.75インチであり得る。典型的なボールバットは、2.25インチ、2.625インチ、又は2.75インチのバレル直径を有する。これらの全体的な長さ及びバレル直径、又は他の任意の好適な寸法の様々な組合せを有するバットが、本明細書において企図される。バット寸法の好まれる特定の組合せは、一般に、ボールバット100の使用者によって決められ、使用者間で大きく変わり得る。
【0015】
[0022] ボールバット100の構成要素は、1つ又は複数の複合材料又は金属材料から構成され得る。好適な複合材料のいくつかの例には、炭素、ガラス、グラファイト、ホウ素、アラミド(Kevlar(登録商標)など)、セラミック、又はシリカ(Astroquartz(登録商標)など)の繊維で強化されたラミネート層又はプライ(plies)が含まれる。いくつかの実施形態では、アルミニウム、チタン、又は別の好適な金属材料が使用されて、ボールバット100の部分又は全部を構成し得る。
【0016】
[0023]
図2及び
図3を参照すると、ボールバット100は、外殻200と、外殻200内に配置される挿入部210とを含む。外殻200は、バレル部分110(外殻200の末端部260を含む)、ハンドル部分120(外殻200の基端部270を含む)、及びテーパ部分130を含み得る。外殻200は、ダブルバレル構造の外部バレルを形成し得、挿入部210は、内部バレルを形成し得る。挿入部210は、中空の管要素220と、管要素220上に配置された、又はそれと一体の1つ又は複数(例えば2つ)のスペーサ要素230とを含み得る。管要素220は、挿入部210の第1の端部又は末端部240と挿入部210の第2の端部又は基端部250との間に延び得る。管要素220は、上述の複合材料又は金属材料のうちの1つ又は複数から、若しくは他の好適な材料で形成され得る。外殻200は、管要素220の材料と同じ材料又は異なる材料で形成され得る。
【0017】
[0024] スペーサ要素230は、管要素220の外径を越えて延在する完全又は部分的なリング又は突出部を含み得る。スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、挿入部210の末端部240寄りに配置され得、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、挿入部210の基端部250寄りに配置され得る。いくつかの実施形態では、追加のスペーサ要素が、末端部240と基端部250との間に配置され得る。管要素220又は挿入部全体210には、末端部240における大きいほうの直径から、基端部250における小さいほうの直径にかけてテーパが付けられ得る。例えば、管要素220又は挿入部全体210は、外殻200の中空内部の形状に対応する形状を有するように先細りし得る。いくつかの実施形態では、管要素220又は挿入部全体210は、直線部と、外殻200の一部分と同様であるがそれよりも小さい形状にされたテーパ部分とを含み得る。
【0018】
[0025] ボールバット100が組み立てられるときに、外殻200の末端部260又は挿入部210にエンドキャップ150が取り付けられ得る。任意選択のエンドノブ140が、外殻200の基端部270に取り付けられ得るか、又はそれと一体的に形成され得る。このようにして構成されたダブルバレルバットは、挿入部210が外殻200内に隠されているので、平滑な外輪郭を有する従来のバットの一般的な外観及び感触を有し得る。換言すれば、シングルピースの外殻200により、他のバット設計でみられ得る輪郭の切れ目を回避する。
【0019】
[0026]
図3は、ボールバット100の一部分の断面図であり、外殻200内の組み立て位置にある挿入部210を示す。挿入部210は、打球エリア190の一部、大部分、又は全部と同じ長さに延び得るか、又は打球エリア190を越えて延び得る。いくつかの実施形態では、挿入部210は、直線部160の大部分又は全部のみに沿って延び得る。いくつかの実施形態では、挿入部210は、直線部160を越えてテーパ部分130内に延び得る。例えば、挿入部210の末端部240は、外殻200の末端部260内に配置され得、挿入部210の基端部250は、外殻200のテーパ部分130内に配置され得、その結果、挿入部210は、外殻200の末端部260とテーパ部分130内の位置との間に延びている。いくつかの実施形態では、挿入部210の末端部240は、外殻200の末端部260と同一平面であり得る。他の実施形態では、挿入部210の末端部240は、外殻200の末端部260の凹部に置かれ得る。
【0020】
[0027] 管要素220は、スペーサ要素230間の管要素220の長さの少なくとも一部分に沿って外殻200から離隔されて、管要素220と外殻200との間に間隙300を形成する。したがって、外殻200のバレル部分110は、間隙300によって挿入部210の管要素220から実質的に分離又は離隔された外部バットバレルを形成する。スペーサ要素230は、間隙300を維持し、挿入部210と外殻200との間の同心性を維持するのに貢献し得る。間隙300は、外殻200が管要素220の長さの少なくとも部分に沿う管要素220の外径320よりも大きい内径310を有することに起因する。1つ又は複数の追加のスペーサ要素230が間隙300に配置されて、バットの長さに沿って間隙300に任意選択の途切れ又は断絶を形成し得る。
【0021】
[0028] いくつかの実施形態では、外殻200は、打撃中に、トランポリン効果を生み出すコンプライアンスをもたらし、挿入部210は、外殻200の半径方向変形を制限するバックストップをもたらす。外殻200の内部の中に挿入部210を配置することにより、バット設計者が、外殻200にバックストップをもたらすのに必要な長さの分だけ挿入部210を設けることが可能となる。例えば、いくつかの実施形態では、間隙300又は挿入部210は、打球エリア190と概ね一致するバット100の長さの部分のみに沿って延在し得る。挿入部210の長さを、外殻200にバックストップをもたらすのに必要な分だけに制限することは、バット全体100の重量を制限するのに役立つ。更に、挿入部210が外殻200の内部に配置されるので、挿入部210が終わるところのバット100の外輪郭に外側の切れ目がなくなり得る(以下で更に詳細に説明するが、同じことがマルチピースの外殻に当てはまり得る)。本技術の様々な実施形態によるボールバットは、打撃感触とサウンドの改善を提供し、他のダブルバレル設計と比べて重量の低減を容易にしながら、選手の快適さの改善のためにショック又は振動の低減を提供し得る。
【0022】
[0029] 各スペーサ要素230は、管要素220と外殻200との間に配置された部分的又は完全なリングの形態であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数が、管要素220又は外殻200に取り付けられた(例えば、接着剤で接着された、又は別様に取り付けられた)別々の要素であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、管要素220又は外殻200と一体であり得る。例えば、管要素220を形成する材料は、管要素220の長さに沿う1つ又は複数の輪郭又は突出部を含むように射出成形又は機械加工されて、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数のスペーサ要素の形状を形成し得る。管要素220は複合材料から作られ得、スペーサ要素230は、同じ複合材料、又は管要素220とは異なる複合材料で一体的に形成され得る。概して、スペーサ要素230は、管要素220から半径方向外向きに、又は外殻200から半径方向内向きに延びる突出部である。2つのスペーサ要素230を
図2及び
図3に例示しているが、本技術の実施形態にしたがって構成されるバットは、スペーサ要素230をより多く又はより少なく含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、他のスペーサ要素230のうちの1つ又は複数とは異なる構造又は組成を有し得る。
【0023】
[0030] スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、比較的硬質であり得る(例えば、アルミニウム、エポキシ樹脂の繊維、ポリカーボネート、又は他の比較的硬質の材料で形成される)。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、比較的軟質であり得る(例えば、ショア90Aよりも少ない硬度値を有する)。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数は、天然ゴム、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、又は他のエラストマー材料、弾性材料、又は比較的軟質の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ボールバット100は、挿入部210の末端部240寄りに配置された比較的硬質のスペーサ要素230と、挿入部210の基端部250寄りに配置された比較的硬質のスペーサ要素230と、比較的硬質のスペーサ要素230間に配置された1つ又は複数の比較的軟質のスペーサ要素とを含み得る。
【0024】
[0031] いくつかの実施形態では、間隙300の幅Wは、スペーサ要素230間の1つ又は複数(例えばすべて)の位置において約0.05インチ~0.2インチであり得るが、他の実施形態が異なる寸法を含んでもよい。いくつかの実施形態では、間隙300の幅Wは、その長さに沿って一定であり得る。他の実施形態では、幅Wは、その長さに沿って変わり得る。間隙幅Wは、外殻200の内径を変えることによって、挿入部210の管要素220の外径を変えることによって、又は管要素220上又は外殻200内の間隙300に材料を配置することによって、その長さに沿って変わり得る。(例えば性能規定に準じるように)制限された性能が望まれ得るいくつか実施形態では、間隙幅Wは、スイートスポット180の両側よりもスイートスポット180近くのほうが小さくなり得る。
【0025】
[0032] 間隙の寸法(間隙幅Wなど)が、望ましい性能特性に依存して選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、スイートスポット180における間隙幅Wは、0.010インチ~0.020インチ、又は他の好適な寸法であり得る。いくつかの実施形態では、軟質材料が、管要素220と外殻200との間の距離の一部分に広がり得る。いくつかの実施形態では、軟質材料は、管要素220と外殻200との間の全距離に広がり得、それによって間隙300を埋める。好適な軟質材料は、85Dよりも少ない又は他の好適な値のショア硬さを有するエラストマー材料を含み得る。好適な軟質材料は、例えば、ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタンなど)、ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM:ethylene propylene diene rubber)、ニトリルブタジエンゴム(NBR:nitrile butadiene rubber)、イソプレンゴム(IR:isoprene rubber)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR:isobutylene isoprene rubber)、熱可塑性ゴム(TPR:thermoplastic rubber)、熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic olefin elastomer)、熱可塑性オレフィンエラストマー(TPO:thermoplastic olefin elastomer)、ビニル、エチレン酢酸ビニル(EVA:ethylene vinyl acetate)、ビニルニトリル(VN:vinyl nitrile)、発泡ポリプロピレン(EPP:expanded polypropylene)、ネオプレン(neoprene)、シリコン、シリコンゴム、又は管要素220と外殻200との間に緩衝を提供するのに好適な他の材料を含み得る。
【0026】
[0033] 本技術の実施形態にしたがって構成される様々なバット100では、材料及び寸法は、挿入部210の管要素220に対する、外殻200の打球エリア190の曲げ及び圧縮の望ましいレベル(例えば、トランポリン効果の量)をもたらすように選択され得る。例えば、スペーサ要素230の位置、間隔、及び組成、間隙300の幅W、挿入部210の管要素220の材料(単数又は複数)の厚み及び組成、又は外殻200の材料(単数又は複数)の厚み及び組成は、挿入部210の構成要素のうちの1つ又は複数(管要素220及びスペーサ要素230を含む)に対する、外殻200の望ましいレベルの曲げ及び圧縮をもたらすように、個別に、又は様々な組合せで選択され得る。様々な特性がまた、バット100の耐久性を最大限にすることに基づいて決定され得る。
【0027】
[0034] いくつかの実施形態では、外殻200は、エラストマー複合材料で形成され得、又は外殻200の複合レイアップは、エラストマー複合材料の1つ又は複数の層若しくはプライを含み得る。例えば、外殻200のバレル部分110は、炭素、ガラス、ポリエステル、グラファイト、ホウ素、アラミド(Kevlar(登録商標)など)、セラミック、シリカ(Astroquartz(登録商標)など)から作られた1つ又は複数の強化繊維(例えば、個々の繊維、繊維織り、又は繊維メッシュ)、若しくは他の強化要素で強化されたエラストマーマトリックス材料(elastomeric matrix material)を含み得る。
【0028】
[0035] ボールバット設計の技術分野では、設計者は、円筒又はボールバットを半径方向に圧縮するのに必要な力の量を決定することによって圧縮値を測定し得る。例えば、設計者は、ASTM F2844-11のソフトボール及び野球用バットバレルの変位圧縮のための標準試験方法での試験に基づく圧縮値に頼り得る。
【0029】
[0036] 管要素220及び外殻200の圧縮値が、組み立てられたボールバット100の感触又はトランポリン効果を調整するように選択され得る。いくつかの実施形態では、外殻200は、挿入部210の管要素220の圧縮値よりも低い(例えば著しく低い)圧縮値を有し得る。例えば、管要素220は、外殻200の打球エリア190の一部又は全部の圧縮値よりも2~3倍(以上)大きい圧縮値を有し得る。いくつかの実施形態では、管要素220は、直線部160の一部又は全部の圧縮値よりも2~3倍(以上)大きい圧縮値を有し得る。このような構成(管要素220が打球エリア又は直線部よりも大きい圧縮値を有する)は、ソフトボール用バット、又は「バット性能指数」(「BPF」とも呼び、打撃後にどのくらい速くボールがバットから離れるかに基づく規定基準である)によって規定される少年野球用バットで有益であり得る。いくつかの実施形態では、外殻200は、管要素220の圧縮値よりも高い(例えば2~3倍以上大きい)圧縮値を有し得る。このような構成は、野球用バット(例えばBBCOR規定に準じる)において有益であり得る。更なる実施形態では、外殻200及び管要素220の圧縮値は概ね同じであり得る。更なる実施形態では、外殻200又は管要素220の圧縮値は、バット100の長手方向軸Xに沿って変わり得る。相対的な圧縮値は、耐久性、性能要件、又は性能規定などの指数に依存し得る。
【0030】
[0037] 挿入部210は、外殻200に(例えば、スペーサ要素230のうちの1つ又は複数と外殻200との間の接着剤を介して)接着されて、挿入部210を外殻200内に保持するのを助け得る。本技術のいくつかの実施形態にしたがって構成されるバット100は、追加的又は代替的に、挿入部210が外殻200から出ることを妨げる又は防止するために、外殻200に取り付けられた1つ又は複数の係止要素330(例えば2つの係止要素330)を含み得る。係止要素330は、スペーサ要素230と外殻200の末端部260との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、係止要素330は、スペーサ要素230に隣接して配置され得る。いくつかの実施形態では、係止要素330は、約0.005インチ~0.025インチの距離、又は間隙幅W以下の別の好適な距離だけ外殻200の内側から延在し得る。
【0031】
[0038] 係止要素330は、外殻200のレイアップ中に外殻200の内部に追加の複合材料を配置して外殻200の内部に一体的な隆起又はリングを形成することによって、形成され得る。外殻200は、外殻200を膨張させる十分な力で挿入部210が外殻200に押し込まれることを可能にするくらい十分フレキシブルとなるように構成されて、スペーサ要素230が係止要素(単数又は複数)330を通過することを可能にし得る。スペーサ要素230が係止要素(単数又は複数)330を通り過ぎてスナップした後、外殻200は収縮して、挿入部210を適所に保持する。通常の試合又は更には過酷な試合で受けるアキシアル荷重は、一般に、挿入部210を押し戻して適所から出すには不十分である。
【0032】
[0039]
図4は、本技術の別の実施形態にしたがって構成されたボールバット400の一部分の断面図を例示する。ボールバット400は、挿入部410が、管要素220上に配置されたスリーブ要素420を含むことを除いて、
図1~
図3に関して上述のボールバット100とほとんどの態様で同様である。いくつかの実施形態では、スリーブ要素420は、管要素220の長さに沿って1~3インチ又は他の距離、延び得る。スリーブ要素420は、スイートスポット180近くに配置されて(例えば、スリーブ要素420は、スイートスポット180に配置され得るか、又はスイートスポット180を中心に置かれ得る)、ボールとのインパクト中の外殻200の動きを制限するソフト又はハードバックストップとして作用することによって、更に性能を制御し得る。いくつかの実施形態では、スリーブは、管要素220の一体部分であり得、例えば、管要素220を形成する他の複合材料とレイアップされ得る。スリーブ要素420は、間隙300の幅Wの一部分のみに広がり得、又はいくつかの実施形態では、間隙300の幅W全体を占め得る。いくつかの実施形態では、スリーブ要素420は、天然ゴム、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、又は他のエラストマー材料、弾性材料、軟質材料、又は硬い材料を含み得る。スリーブ要素420を形成する材料は、様々な規定(BBCOR又はBPFなど)向けにバットを調整するように選択され得る。例えば、BBCOR規則に準じる必要があるバットでは、スリーブ要素420は、比較的軟質の材料を含み得る。性能の最大限化に重点をおくバットでは、スリーブ要素420は、比較的硬質の材料を含み得る。
【0033】
[0040] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加のスペーサ要素230が、スリーブ420に加えて又はその代わりに、スリーブ420が配置される管要素220上に配置され得る。このような追加のスペーサ要素230は、他のスペーサ要素230のうちの1つ又は複数(例えばすべて)と同じ距離、間隙300内に延び得るか、又は他のスペーサ要素230のうちの1つ又は複数(例えばすべて)よりも小さくても大きくてもよい。追加のスペーサ要素230は、管要素220又は外殻200に接着され得るか、又は非接着であり得る。
【0034】
[0041]
図5A及び
図5Bは、本技術の更なる実施形態にしたがって構成された挿入部500、510の断面図を例示する。挿入部500、510は、挿入部500、510が、異なるスリーブ要素520、530を含み得ることを除いて、
図2~
図4に関して上述の挿入部210、410とほとんどの態様で同様である。例えば、概して
図5Aに例示するように、スリーブ要素520は、管要素220の一部に沿って延びる(そして
図4に関して上述のスリーブ要素420と同様の形状を有する)ベース部分540と、横方向に延びる(例えば半径方向に延びる)部分550とを含み得る。概して
図5Bに例示するように、スリーブ要素530は、管要素220の一部に沿って延びる(そして
図4に関して上述のスリーブ要素420と同様の形状を有する)ベース部分540と、横方向に延びる(例えば半径方向に延びる)部分550と、フランジ部分560とを含み得、その結果、スリーブ要素530の断面は、概してIビームに類似している。本技術の実施形態にしたがって構成されるスリーブ要素は、外殻200に接触し得るか、又は外殻200から離隔され得る。
【0035】
[0042]
図6は、本技術の更なる実施形態にしたがって構成されたボールバット600の斜視分解図を例示する。ボールバット600は、ボールバット600の外殻610が、2つ以上の別個の取り付けられたセグメントで形成されることを除いて、
図1~
図3に関して上述のボールバット100とほとんどの態様で同様である。例えば、外殻610のハンドルセグメント620は、ハンドル部分120の一部又は全部を含み得、外殻610のバレルセグメント630から離れているがそれに取り付けられ得る。バレルセグメント630は、バレル部分110の一部又は全部を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル部分120を含む外殻610のセグメントは、テーパ部分130の一部分を含み得、バレル部分110を含む外殻610のセグメントも、テーパ部分130の一部分を含み得る。ハンドルセグメント620は、バレルセグメント630に直接取り付けられ得るか、又はいくつかの実施形態では、ハンドルセグメント620は、ハンドルセグメント620とバレルセグメント630との間に配置された接続要素640を用いてバレルセグメント630に取り付けられ得る。
【0036】
[0043] 挿入部650が、外殻610内に配置され得る。挿入部650及び外殻610内の挿入部の位置は、
図2、
図4、
図5A、及び
図5Bに関して上述の挿入部210、410、500、510と同様であり得る。
【0037】
[0044] バレル部分110は、1つ又は複数の複合材料又は金属材料で形成され得る。ハンドル部分120は、バレル部分110と同じ材料から形成され得るか、又はハンドル部分120は、異なる材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、ハンドル部分120は金属材料で形成され得、バレル部分110は複合材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、バレル部分110は金属材料で形成され得、ハンドル部分120は複合材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、バレル部分110及びハンドル部分120の両方が複合材料で形成され得るか、又はバレル部分110及びハンドル部分120の両方が金属材料で形成され得る。
【0038】
[0045] 内部フレームと、該フレーム上に配置された外部バレルスリーブとを有するダブルバレルバットは、打球エリアの壁の切れ目を回避するために、外部バレルスリーブが打球エリアを越えてバットのノブ端部に向かって延びることを必要とし得る。それとは対照的に、本技術の実施形態にしたがって構成される挿入部(挿入部650など)は外殻の内側に配置されるので、挿入部は、打球エリアを(越えたとしても)はるかに越えて延在する必要がない。したがって、本技術の実施形態は、挿入部からバットのノブ端部に向かっての材料の省略を可能とし、軽量化する。挿入部650が外部バレルスリーブほど長くなる必要がないことから、バットの打球エリアが、他のバットに比べて伸び得る。本技術の実施形態は、挿入部650のサイズが最小化され得るので、任意選択の接続要素640が大きくなることも可能とする。いくつかの実施形態では、任意選択の接続要素640は、外殻610の全内径内に延び得、これにより、接続要素640の耐久性又は強度が向上し得る。
【0039】
[0046]
図7は、
図6に示すボールバット600の一部分の断面図を例示する。挿入部650は、長手方向の間隙700によってバット600の内部のハンドルセグメント620から離隔され得る。間隙700は、ひとつには挿入部650がハンドルセグメント620に達しない結果として形成され、これにより挿入部650の重量が減少又は最小限になる。いくつかの実施形態では、バットの長手方向軸に沿う間隙700の長さは、挿入部650の基端部250の最も近くに位置するスペーサ要素230の位置によって少なくとも部分的に決定され得る。いくつかの実施形態では、挿入部650の基端部250の最も近くに位置するスペーサ要素230は、挿入部650の基端部250から約0.25インチ~0.5インチの距離をあけて配置され得る。いくつかの実施形態では、スペーサ要素230が基端部250に近いほど、挿入部の基端部250から多くの材料を省略できる(ひいては、結果として生じる間隙700がより大きくなり得るか、又はバット全体の重量がより少なくなり得る)。
【0040】
[0047]
図8は、本技術の更なる実施形態にしたがって構成されたボールバット800の一部分の断面図を例示する。バット800は、
図6及び
図7に関して上述のボールバット600と同様であり、挿入部810が、挿入部810の基端部820における1つ又は複数のスペーサ要素を省略できることを除いて、上述の挿入部と同様の挿入部810を含み得る。いくつかの実施形態では、挿入部810の基端部820には、バレルセグメント630の内部表面に係合する接触面を有するようにテーパが付けられ得る。基端部820は、バレルセグメント630の内部表面に(例えば接着剤で)接着され得る。いくつかの実施形態では、基端部820は、バレルセグメント630との圧入又は締まり嵌めを有し得る。マルチピースの外殻610を有するバット800内の挿入部810を図示しているが、いくつかの実施形態では、(1つ又は複数のスペーサ要素を省略する)挿入部810は、
図2に関して上述のバット100などの、シングルピースの外殻を有するバットにおいて、又は他のバット構成において実施され得る。
【0041】
[0048] 本技術の実施形態にしたがって構成されるバットは、いくつかの利点を提供する。本技術の実施形態は、挿入部と外殻との間の間隙が比較的大きくなることを容易にし、これにより、外殻が比較的フレキシブルになることが可能となる。外殻は、挿入部によって制限されるトランポリン効果をもたらし、これは、外殻の動きの範囲を制限するバックストップをもたらして外殻の疲労及び故障を低減し、性能規定の順守を維持する。ダブルバレル構造は、試験及び通常試合に持ちこたえる耐久性を依然として提供しながら、シングルバレル構造のバレル壁よりもはるかに低い圧縮値を有する(例えば40パーセント~70パーセント少ない)外殻の構成を容易にする。
【0042】
[0049] 本技術の実施形態は、ひとつにはバレル挿入部がバットの打撃エリアをはるかに越えて延びる必要がないので、(ダブルバレルバット特徴を維持しながら)重量も低減する。いくつかの代表的な実施形態では、本技術は、0.5オンス~4.0オンスの軽量化を容易にする。本技術の実施形態にしたがって構成されるバットは、更に、重量の減少により、野球でのバレルバットが比較的大きくなることを容易にすることができる。本技術の実施形態にしたがって構成されるバットは、従来のボールバットと比べて衝撃も低減する。
【0043】
[0050] 前述のことから、開示される技術の具体的な実施形態を例示の目的のために説明してきたが、様々な修正が本技術から逸脱することなく行われ得、特定の実施形態の要素が、他の実施形態の要素と交換され得ること、及びいくつかの実施形態では、いくつかの要素を省略できることが理解されよう。例えば、ソフトボールで使用するためのバットでは、外殻は、高い性能を提供し得る非常にフレキシブルな複合材料で形成され得る。性能制限がより低く又はより多く規定され得る野球(より低い性能値を規定するNCAA又は米国野球など)で使用するためのバットでは、外殻は、任意選択的に金属材料から作られ得、その結果、バレルシェルは硬くなる(例えば中実の木製バットと同程度に硬い)。
【0044】
[0051] 更に、開示される技術の特定の実施形態に関連する利点を、それらの実施形態のコンテキストで説明してきたが、他の実施形態が、かかる利点を示すこともあり、すべての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲内に入るかかる利点を示す必要があるわけではない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に図示又は説明していない他の実施形態を包含することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き限定されない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ボールバットであって、
複合ラミネート材料の1つ又は複数の層で形成されたバレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と
を備え、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置された第1のスペーサ要素と、前記挿入部の前記第2の端部寄りに配置された第2のスペーサ要素とを更に備え、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔される、ボールバット。
[2] 前記間隙は、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間に延在する、[1]に記載のボールバット。
[3] 前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素上に配置された1つ又は複数の追加のスペーサ要素を更に備える、[1]に記載のボールバット。
[4] 前記第1のスペーサ要素又は前記第2のスペーサ要素の少なくとも1つは、前記管要素と一体である、[1]に記載のボールバット。
[5] 前記管要素は、複合ラミネート材料の1つ又は複数の層を備える、[1]に記載のボールバット。
[6] 前記外殻の内径上に配置され、前記外殻からの前記挿入部の取り外しを妨げるために配置された1つ又は複数の係止要素を更に備える、[1]に記載のボールバット。
[7] 前記外殻の前記バレル部分は、強化繊維で強化されたエラストマーマトリックス材料を含むエラストマー複合材料を備える、[1]に記載のボールバット。
[8] 前記外殻は、バレルセグメントから離れているがそれに取り付けられたハンドルセグメントを備え、前記ハンドルセグメントは、前記ハンドル部分の少なくとも一部を含み、前記バレルセグメントは、前記バレル部分の少なくとも一部を含む、[1]に記載のボールバット。
[9] 前記ハンドルセグメントを前記バレルセグメントに取り付ける接続要素を更に備える、[8]に記載のボールバット。
[10] 前記間隙に前記管要素上に配置されたスリーブ要素を更に備え、前記スリーブ要素は、前記ボールバットの打撃中心に配置される、[1]に記載のボールバット。
[11] 前記バレル部分は、第1の圧縮値を備え、前記管要素は、前記第1の圧縮値よりも高い第2の圧縮値を備える、[1]に記載のボールバット。
[12] ボールバットであって、
複合ラミネート材料の1つ又は複数の層で形成されたバレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と
を備え、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置されたスペーサ要素を更に備え、
前記挿入部の前記第1の端部は、前記外殻の前記末端部に配置され、前記挿入部の前記第2の端部は、前記外殻の前記テーパ部分に配置され、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記スペーサ要素と前記挿入部の前記第2の端部との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔される、ボールバット。
[13] 前記スペーサ要素は、前記管要素と一体である、[12]に記載のボールバット。
[14] 前記管要素は、複合ラミネート材料の1つ又は複数の層を備える、[12]に記載のボールバット。
[15] 前記外殻の前記バレル部分は、強化繊維で強化されたエラストマーマトリックス材料を含むエラストマー複合材料を備える、[12]に記載のボールバット。
[16] 前記外殻は、バレルセグメントから離れているがそれに取り付けられたハンドルセグメントを備え、前記ハンドルセグメントは、前記ハンドル部分の少なくとも一部を含み、前記バレルセグメントは、前記バレル部分の少なくとも一部を含む、[12]に記載のボールバット。
[17] 前記間隙に前記管要素上に配置されたスリーブ要素を更に備える、[12]に記載のボールバット。
[18] 前記バレル部分は、第1の圧縮値を備え、前記管要素は、前記第1の圧縮値よりも高い第2の圧縮値を備える、[12]に記載のボールバット。
[19] ボールバットであって、
バレル部分、ハンドル部分、及び前記バレル部分を前記ハンドル部分につなぐテーパ部分を備える外殻と、ここにおいて、前記バレル部分は、前記外殻の末端部を含み、前記ハンドル部分は、前記外殻の基端部を含み、前記バレル部分は、強化繊維で強化されたエラストマーマトリックスを含むエラストマー複合材料を備え、
挿入部の第1の端部と前記挿入部の第2の端部との間に延びる管要素を備える前記挿入部と
を備え、前記挿入部は、前記挿入部の前記第1の端部寄りに配置された第1のスペーサ要素と、前記挿入部の前記第2の端部寄りに配置された第2のスペーサ要素とを更に備え、
前記第1のスペーサ要素は、前記外殻の前記末端部寄りの前記外殻の内側に配置され、前記第2のスペーサ要素は、前記外殻の前記基端部寄りの前記外殻の内側に配置され、前記第1のスペーサ要素又は前記第2のスペーサ要素の少なくとも1つは、前記外殻に取り付けられ、
前記管要素は、前記管要素と前記外殻との間に間隙を形成するように、前記第1のスペーサ要素と前記第2のスペーサ要素との間の前記管要素の長さの少なくとも一部分に沿って前記外殻から離隔される、ボールバット。
[20] 前記間隙に前記管要素上に配置されたスリーブ要素を更に備える、[19]に記載のボールバット。