IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7487151固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
<>
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図1
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図2
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図3
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図4
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図5
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図6
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図7
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図8
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図9
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図10
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図11
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図12
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図13
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図14
  • -固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240513BHJP
   H04N 25/703 20230101ALI20240513BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240513BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N25/703
H04N25/76
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021107389
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005460
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520510612
【氏名又は名称】ゼタテクノロジーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520510623
【氏名又は名称】広東京之映科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野房 勇希
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050486(JP,A)
【文献】特開2022-120551(JP,A)
【文献】国際公開第2022/220084(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/703
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、
前記画素ユニットは、
隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、
少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、
前記画素部は、
中央領域と周辺領域に区分けされ、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なり、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数より少ない
固体撮像装置。
【請求項2】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、
前記画素ユニットは、
隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、
少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、
前記画素部は、
中央領域と周辺領域に区分けされ、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なり、
前記周辺領域のすべての前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数より少ない
固体撮像装置。
【請求項3】
前記中央領域で採用される前記マイクロレンズと前記周辺領域で採用される前記マイクロレンズは、同等の形状を有する
請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素部において、
前記中央領域の前記画素ユニットは、
第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、
第1方向に、前記第1の同色画素と前記第2の同色画素が隣接するとともに、前記第3の同色画素と前記第4の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の同色画素と前記第3の同色画素が隣接するとともに、前記第2の同色画素と前記第4の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第1の同色画素の光電変換領域、前記第2の同色画素の光電変換領域、前記第3の同色画素の光電変換領域、および前記第4の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置され、
前記周辺領域の前記少なくとも一部の前記画素ユニットは、
第5の同色画素および第6の同色画素の2つが、
前記第1方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接し、または、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接するように配列され、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第6の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記画素部において、
前記中央領域の複数の前記画素ユニットは、
第1の画素ユニット、第2の画素ユニット、第3の画素ユニット、および第4の画素ユニットの4つが、
第1方向に、前記第1の画素ユニットと前記第2の画素ユニットが隣接するとともに、前記第3の画素ユニットと前記第4の画素ユニットが隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の画素ユニットと前記第3の画素ユニットが隣接するとともに、前記第2の画素ユニットと前記第4の画素ユニットが隣接するように正方配列され、
前各画素ユニットの前記一つのマイクロレンズが、
それぞれ前記第1の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域、前記第2の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域、前記第3の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域、および前記第4の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置され、
前記周辺領域の複数の前記画素ユニットは、
第5の画素ユニット、第6の画素ユニット、第7の画素ユニット、および第8の画素ユニットの4つが、
第1方向に、前記第5の画素ユニットと前記第6の画素ユニットが隣接するとともに、前記第7の画素ユニットと前記第8の画素ユニットが隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第5の画素ユニットと前記第7の画素ユニットが隣接するとともに、前記第6の画素ユニットと前記第8の画素ユニットが隣接するように正方配列され、
少なくとも前記第6の画素ユニットと前記第7の画素ユニットの前記一つのマイクロレンズが、
それぞれ前記第6の画素ユニットの2つの同色画素の光電変換領域、および前記第7の画素ユニットの2つの同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第6の画素ユニットと前記第7の画素ユニットの前記一つのマイクロレンズが、
それぞれ前記第6の画素ユニットの2つの同色画素の光電変換領域、および前記第7の画素ユニットの2つの同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第5の画素ユニットと前記第8の画素ユニットの前記一つのマイクロレンズが、
それぞれ前記第5の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域、および前記第8の画素ユニットの4つの同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項または記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素部において、
前記中央領域の前記画素ユニットは、
第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、
第1方向に、前記第1の同色画素と前記第2の同色画素が隣接するとともに、前記第3の同色画素と前記第4の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の同色画素と前記第3の同色画素が隣接するとともに、前記第2の同色画素と前記第4の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第1の同色画素の光電変換領域、前記第2の同色画素の光電変換領域、前記第3の同色画素の光電変換領域、および前記第4の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置され、
前記周辺領域の前記少なくとも一部の前記画素ユニットは、
第5の同色画素、第6の同色画素、第7の同色画素、および第8の同色画素の4つが、
第1方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接するとともに、前記第7の同色画素と前記第8の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第5の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するとともに、前記第6の同色画素と前記第8の同色画素が隣接するように正方配列され、
第1のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の第光電変換領域、および前記第6の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第2のマイクロレンズが、
前記第7の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置され、
または、
第3のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第7の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第4のマイクロレンズが、
前記第6の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素部は、
前記中央領域に対して前記第1方向側に形成される周辺領域の前記画素ユニットにおいては、
第1のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第6の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第2のマイクロレンズが、
前記第7の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記画素部は、
前記中央領域に対して前記第2方向側に形成される周辺領域の前記画素ユニットにおいては、
第3のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第7の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第4のマイクロレンズが、
前記第6の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項8または9記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記中央領域の角部に対して形成される周辺領域の前記画素ユニットにおいては、
第1のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第6の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第2のマイクロレンズが、
前記第7の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されるか、
第3のマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、および前記第7の同色画素の光電変換領域に光を入射し、
第4のマイクロレンズが、
前記第6の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されるか、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、前記第6の同色画素の光電変換領域、前記第7の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されるか、
のうちの少なくともいずれかの形態で配置される
請求項から10のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、
前記画素ユニットは、
隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、
少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、
前記画素部は、
中央領域と周辺領域に区分けされ、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なり、
前記周辺領域の少なくとも一つの前記画素ユニットにおける同色画素間の前記バックサイド分離部の幅が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける同色画素間の前記バックサイド分離部の幅より狭い
固体撮像装置。
【請求項13】
前記画素部において、
前記中央領域の前記画素ユニットは、
第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、
第1方向に、前記第1の同色画素と前記第2の同色画素が隣接するとともに、前記第3の同色画素と前記第4の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の同色画素と前記第3の同色画素が隣接するとともに、前記第2の同色画素と前記第4の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第1の同色画素の光電変換領域、前記第2の同色画素の光電変換領域、前記第3の同色画素の光電変換領域、および前記第4の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置され、
前記周辺領域の前記少なくとも一部の前記画素ユニットは、
第5の同色画素、第6の同色画素、第7の同色画素、および第8の同色画素の4つが、
第1方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接するとともに、前記第7の同色画素と前記第8の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第5の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するとともに、前記第6の同色画素と前記第8の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記一つのマイクロレンズが、
前記第5の同色画素の光電変換領域、前記第6の同色画素の光電変換領域、前記第7の同色画素の光電変換領域、および前記第8の同色画素の光電変換領域に光を入射するように配置されている
請求項12記載の固体撮像装置。
【請求項14】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、
前記画素ユニットは、
隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、
少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含む、
固体撮像装置の製造方法であって、
前記画素部を、中央領域と周辺領域に区分けし、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットを、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なるように形成し、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数より少なくなるように形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項15】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、
前記画素ユニットは、
隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、
少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、
前記画素部は、
中央領域と周辺領域に区分けされ、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なり、
前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数より少ない
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にカラーフィルタを備えている。フィルタとしては、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタを含む。
各カラーフィルタを含む画素ユニットが正方配列されて1つの画素群が形成され、複数の画素群が2次元状に配列されて画素部の画素アレイが形成される。
このカラーフィルタ配列としては、ベイヤ配列が広く知られている。また、たとえば各画素に対してマイクロレンズが形成されている。
また、高感度化や高ダイナミックレンジ化を図るために、ベイヤ配列の各画素ユニットを複数の同色画素により形成したCMOSイメージセンサも提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0005】
このようなCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0006】
特に近年、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)に搭載するイメージセンサの小型化・多画素化が進み、画素サイズも1μmを切るサイズが主流となりつつある。
多画素化による高解像度化を維持し、かつ、画素ピッチ縮小による感度やダイナミックレンジの低下を抑制するため、隣接した複数の同色画素をたとえば4画素ずつ配置し、解像度を追求する際には個別の画素信号を読み出し、高感度やダイナミックレンジ性能を必要とする局面では同色の画素の信号を加算して読み出す手法が一般的に採用されている。
そして、このCMOSイメージセンサは、たとえば画素ユニットの隣接する複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する。
【0007】
この複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、画素に距離情報が存在し、PDAF(Phase Detection Auto Focus)機能を持つことが可能である。
なお、このCMOSイメージセンサにおいては、画素アレイに、PDAF(位相検出オートフォーカス)画素が同色で形成されていることから、通常の撮影モードでは、これらのPDAF画素の感度等を補正する必要がある。
【0008】
図1は、4つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である(たとえば特許文献3参照)。
【0009】
図1の画素群1は、Gr画素の画素ユニットPU1、R画素の画素ユニットPU2、B画素の画素ユニットPU3、およびGb画素の画素ユニットPU4がベイヤ配列されている。
画素ユニットPU1は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDが配置されている。画素ユニットPU1において、4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDに対して1つのマイクロレンズMCL1が配置されている。
画素ユニットPU2は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU2において、4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDに対して1つのマイクロレンズMCL2が配置されている。
画素ユニットPU3は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(B)の4画素PXBA、PXBB,PXBC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU4において、4画素PXBA、PXBB,PXBC,PXBDに対して1つのマイクロレンズMCL3が配置されている。
画素ユニットPU4は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gb)の4画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbRDが配置されている。画素ユニットPU4において、4画素PXbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDに対して1つのマイクロレンズMCL4が配置されている。
【0010】
この第1の固体撮像装置は、隣接する2つの画素が同時にPDAFピクセルとして機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなる。
【0011】
図2は、2つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である(たとえば特許文献4参照)。
【0012】
図2の画素群1aは、図1と同様に、Gr画素の画素ユニットPU1、R画素の画素ユニットPU2、B画素の画素ユニットPU3、およびGb画素の画素ユニットPU4がベイヤ配列されている。
画素ユニットPU1は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDが配置されている。画素ユニットPU1において、4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDに対してそれぞれマイクロレンズMCL01,MCL02,MCL03,MCL04が配置されている。
画素ユニットPU2は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU2において、4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDに対してそれぞれマイクロレンズMCL11,MCL12,MCL13,MCL14が配置されている。
【0013】
画素ユニットPU3は、隣接する複数、同色(B)の4画素PXBA、PXBB,PXBC,PXRDのうちB画素PXBBに代えてG画素PXGBが配置されている。そして、画素ユニットPU3において、3画素PXBA、PXBC,PXBDに対してそれぞれ1つのマイクロレンズMCL20,MCL22,CML23が配置されている。
画素ユニットPU4は、隣接する複数、2×2の同色(Gb)の4画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDが配置されている。画素ユニットPU4において、3画素PXGbB,PXGbC,PXGbDに対してそれぞれ1つのマイクロレンズMCL31,MCL32,MCL33が配置されている。
【0014】
そして、図2の第2の固体撮像装置においては、画素ユニットPU3の画素PXGBと画素ユニットPU4の画素PXGbAに対し画素ユニットをまたがってマイクロレンズMCL34が配置され、PDAF機能を持つように構成されている。
【0015】
この第2の固体撮像装置においては、PDAF画素として機能するのは1画素のみであるため、低照度PDAFのパフォーマンスは低くなる傾向にあるが、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高くなる。
【0016】
また、第3の固体撮像装置として、各画素ユニットにおいては各画素に対してそれぞれマイクロレンズが配置され、画素配列中の特定の画素ユニット、たとえばB画素4つに代えてG画素4つを有する画素ユニットにおいて4画素に対して1つのマイクロレンズが配置され、PDAF機能を持つように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開平11-298800号公報
【文献】特許第5471117号
【文献】US 9793313 B2
【文献】US 10249663 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、図1の固体撮像装置においては、隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなるが、光学中心の遮光面積が広いため、周辺部の遮光特性や感度比特性が低くなるという不利益がある。
【0019】
また、図2の固体撮像装置においては、PDAF画素として機能するのは1画素のみであるため、低照度PDAFのパフォーマンスは低くなる傾向にあるが、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高くなるものの、この構造は2種類の異なるレンズ形状が必要なため、感度のばらつきが大きくなるという不利益がある。
【0020】
また、上記第3の固体撮像装置においては、隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなり、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高いという利点があるものの、以下の不利益がある。
この構成は2種類の異なるレンズ形状が必要なため、感度のばらつきが大きくなる。
また、PDAF画素部分が青(B)から緑(G)に置き換わるため、色補正が必要になり、青(B)の解像度が低下してしまう。
【0021】
本発明は、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、前記画素ユニットは、隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、前記画素部は、中央領域と周辺領域に区分けされ、前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なる。
【0023】
本発明の第2の観点は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、前記画素ユニットは、隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含む、固体撮像装置の製造方法であって、前記画素部を、中央領域と周辺領域に区分けし、前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットを、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なるように形成する。
【0024】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部を有し、前記画素ユニットは、隣接する複数の画素を、少なくとも光電変換領域の光入射部分において分離するバックサイド分離部と、少なくとも2つの同色画素の光電変換領域に光を入射する少なくとも一つのマイクロレンズと、を含み、前記画素部は、中央領域と周辺領域に区分けされ、前記周辺領域の少なくとも一部の前記画素ユニットは、前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造が、前記中央領域の前記画素ユニットにおける前記マイクロレンズが担当して光を入射する同色画素の数または前記バックサイド分離部の構造と異なる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】4つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
図2】2つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る画素部の周辺領域における画素ユニットの中央領域に対する配置位置に応じた形成例を説明するための図である。
図15】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0029】
この固体撮像装置10は、図3に示すように、画素アレイを含む画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
また、これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し駆動制御部70が構成される。
【0030】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、図4に示すように、画素部20は、中央領域RCTRと周辺領域RPRPに区分けされ、光電変換を行う複数の同色画素(PX)を含む画素ユニット(PUC,PUP)が複数配置されている。
本第1の実施形態の画素部20においては、周辺領域RPRPの少なくとも一部の画素ユニットPUPは、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCと異なる。
【0031】
本第1の実施形態では、周辺領域RPRPのすべての画素ユニットPUPは、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2で、その数NPは、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCの4より少ない。
【0032】
そして、本第1の実施形態においては、中央領域RCTRで採用されるマイクロレンズMCLと周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、同等の形状を有する。
【0033】
本第1の実施形態の画素部20において、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、第1の同色画素PX11、第2の同色画素PX12、第3の同色画素PX13、および第14の同色画素PX14の4つが、第1方向(たとえばX方向)に、第1の同色画素PX11と第2の同色画素PX12が隣接するとともに、第3の同色画素PX13と第4の同色画素PX14が隣接し、第1方向に直交する第2方向(たとえばY方向)に、第1の同色画素PX11と第3の同色画素PX13が隣接するとともに、第2の同色画素PX12と第4の同色画素PX14が隣接するように正方配列されている。すなわち、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、第1の同色画素PX11、第2の同色画素PX12、第3の同色画素PX13、および第4の同色画素PX14の4つが、2×2の行列状に配列されている。
そして、一つのマイクロレンズMCLが、第1の同色画素PX11の光電変換領域、第2の同色画素PX12の光電変換領域、第3の同色画素PX13の光電変換領域、および第4の同色画素PX14の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
【0034】
画素部20において、周辺領域RPRFのすべての画素ユニットPUPは、第5の同色画素PX15および第6の同色画素PX16の2つが、第1方向に、第5の同色画素PX15と第6の同色画素PX16が隣接するように配列されている(または、第1方向に直交する第2方向に、第5の同色画素と第6の同色画素が隣接するように配列されている)。
そして、一つのマイクロレンズMCLが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、および第6の同色画素PX16の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
【0035】
以下、固体撮像装置10の画素部20、並びに、画素部20における複数の同色画素(本例では同色の4画素)を含む画素ユニット等の具体的な構成、配置等、並びに、各部の構成および機能の概要について説明する。
【0036】
(画素部20の画素アレイ200、画素群PXG、画素ユニットPUの構成)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図5(A)および(B)は、本発明の第1の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。図5(A)が画素部の中央領域における画素アレイの一例を示し、図5(B)が画素部における周辺領域における画素アレイの一例を示している。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
【0037】
なお、本実施形態において、第1方向は、たとえば複数の画素が行列状に配列される画素部20の列方向(水平方向、X方向)または行方向(垂直方向、Y方向)または斜め方向である、
以下の説明では、一例として、第1方向は列方向(水平方向、X方向)とする。これに伴い第2方向は行方向(垂直方向、Y方向)とする。
【0038】
画素部20は、フォトダイオード(光電変換部)と画素内アンプとを含む複数の画素PXが2次元の行列状(マトリクス状)に配列されて画素アレイ200が形成されている。
【0039】
上述したように、画素部20は、図4および図5に示すように、中央領域RCTRと周辺領域RPRPに区分けされ、光電変換を行う複数の同色画素(PX)を含む画素ユニット(PU)が複数配置されている。
本第1の実施形態の画素部20においては、周辺領域RPRPのすべての画素ユニットPUPは、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2で、その数NPは、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCの4より少ない。
【0040】
そして、本第1の実施形態においては、中央領域RCTRで採用されるマイクロレンズMCLと周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、同等の形状、光学特性を有する。
すなわち、周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、担当する同色画素PXの数NPが2であっても、中央領域RCTRの画素ユニットPUCの4つの同色画素PXを担当するマイクロレンズMCLと同じものが適用される。
【0041】
画素PXは、基本的には、フォトダイオードと複数の画素トランジスタを含んで構成される。複数の画素トランジスタとしては、たとえば転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅機能を有するソースフォロワトランジスタ、選択トランジスタを含む。
ただし、本第1の実施形態では、図6に示すように、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)を共有する4画素共有構成が採用されている。具体的には、後で詳述するように、4つの色画素フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
また、共有されるフローティングディフュージョンFDは、たとえば任意の画素の感度値の補正の際に、補正で参照する同じ画素ユニットPUの複数の画素から読み出す画素信号の加算部として機能する。
【0042】
本第1の実施形態の画素アレイ200は、中央領域RCTRにおいて、隣接した複数(本第1の実施形態では4)の同色画素を、m×m(mは2以上の整数、本第1の実施形態では2×2)の正方配列にして画素ユニットPUが形成されて、隣接する4つの画素ユニットPUCにより画素群PXGが形成され、複数の画素群PXGがマトリクス状に配列されて構成されている。
図4および図5の例では、図面の簡単化のため、中央領域RCTRにおいては、2つの画素群PXG11,PXG12が1×2のマトリクス状に配置された画素アレイ200が示されている。
【0043】
また、本第1の実施形態の画素アレイ200は、周辺領域RPRPにおいて、隣接した複数(本第1の実施形態では2)の同色画素を、1×1に配列にして画素ユニットPUPが形成されて、隣接する4つの画素ユニットPUにより画素群PXGが形成され、複数の画素群PXGがマトリクス状に配列されて構成されている。
図4および図5の例では、図面の簡単化のため、周辺領域RPRPにおいて、2つの画素群PXG21,PXG22が1×2のマトリクス状に配置された画素アレイ200が示されている。
【0044】
(画素群PXGおよび画素ユニットPUの構成)
中央領域RCTRにおいて、図4および図5の画素群PXG11は、Gr画素の画素ユニットPU111、R画素の画素ユニットPU112、B画素の画素ユニットPU113、およびGb画素の画素ユニットPU114がベイヤ配列されている。
画素群PXG12は、Gr画素の画素ユニットPU121、R画素の画素ユニットPU122、B画素の画素ユニットPU123、およびGb画素の画素ユニットPU124がベイヤ配列されている。
【0045】
周辺領域RPRPにおいて、図4および図5の画素群PXG21は、Gr画素の画素ユニットPU211、R画素の画素ユニットPU212、B画素の画素ユニットPU213、およびGb画素の画素ユニットPU214がベイヤ配列されている。
画素群PXG22は、Gr画素の画素ユニットPU221、R画素の画素ユニットPU222、B画素の画素ユニットPU223、およびGb画素の画素ユニットPU224がベイヤ配列されている。
【0046】
このように、画素群PXG11,PXG12、並びに、画素群PXG21,PXG22は同様の構成を有し、繰り返すようにしてマトリクス状に配列されている。
【0047】
中央領域RCTRの画素群を構成する画素ユニットも画素群共通の構成を有する。したがって、ここでは、代表例として、画素群PXG11を形成する画素ユニットPU111,PU112,PU113,PU114について説明する。
同様に、周辺領域RPRPの画素群を構成する画素ユニットも画素群共通の構成を有する。したがって、ここでは、代表例として、画素群PXG21を形成する画素ユニットPU211,PU212,PU213,PU214について説明する。
【0048】
本第1の実施形態において、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、以下の特徴を持って形成されている。
【0049】
すなわち、本第1の実施形態の画素部20において、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、第1の同色画素PX11、第2の同色画素PX12、第3の同色画素PX13、および第14の同色画素PX14の4つが、第1方向(たとえばX方向)に、第1の同色画素PX11と第2の同色画素PX12が隣接するとともに、第3の同色画素PX13と第4の同色画素PX14が隣接し、第1方向に直交する第2方向(たとえばY方向)に、第1の同色画素PX11と第3の同色画素PX13が隣接するとともに、第2の同色画素PX12と第4の同色画素PX14が隣接するように正方配列されている。すなわち、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、第1の同色画素PX11、第2の同色画素PX12、第3の同色画素PX13、および第4の同色画素PX14の4つが、2×2の行列状に配列されている。
そして、一つのマイクロレンズMCLが、第1の同色画素PX11の光電変換領域、第2の同色画素PX12の光電変換領域、第3の同色画素PX13の光電変換領域、および第4の同色画素PX14の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
具体的には、中央領域RCTRの画素ユニットPUCは、以下のように形成される。
【0050】
中央領域RCTRの画素ユニットPU111は、隣接する複数、たとえば2×2の第1~第4の同色(Gr)画素としての4画素PXGr-A、PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dが配置されている。画素ユニットPU111において、4画素PXGr-A、PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dに対して1つのマイクロレンズMCL111が配置されている。
【0051】
中央領域RCTRの画素ユニットPU112は、隣接する複数、たとえば2×2の第1~第4の同色(R)画素としての4画素PXR-A、PXR-B,PXR-C,PXR-Dが配置されている。画素ユニットPU112において、4画素PXR-A、PXR-B,PXR-C,PXR-Dに対して1つのマイクロレンズMCL112が配置されている。
【0052】
中央領域RCTRの画素ユニットPU113は、隣接する複数、たとえば2×2の第1~第4の同色(B)画素としての4画素PXB-A、PXB-B,PXB-C,PXR-Dが配置されている。画素ユニットPU113において、4画素PXB-A、PXB-B,PXB-C,PXB-Dに対して1つのマイクロレンズMCL113が配置されている。
【0053】
中央領域RCTRの画素ユニットPU114は、隣接する複数、たとえば2×2の第1~第4の同色(Gb)画素としての4画素PXGb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGbR-Dが配置されている。画素ユニットPU114において、4画素PXb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGb-Dに対して1つのマイクロレンズMCL114が配置されている。
【0054】
なお、マイクロレンズMCL111~MCL114は、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0055】
なお、各画素ユニットPU111~PU114において、各同色画素としての4画素PX-A~PX-Dは、光電変換領域PD(1~4)の光入射部分において、バックサイド分離部としてのバックサイドメタル(Back Side Metal)BSM11により4つに分離されている。
また、光電変換領域PDにおいて、バックサイドメタルBSM11と光電変換領域PDの深さ方向に重なるように、トレンチ型バックサイド分離としてのバックサイドディープトレンチアイソレーション(BDTI)が形成されている。
これにより、同色画素PX-Aは第1の光電変換領域PD1を含み、同色画素PX-Bは第2の光電変換領域PD2を含み、同色画素PX-Cは第3の光電変換領域PD3を含み、同色画素PX-Dは第4の光電変換領域PD4を含んでいる。
また、色が異なる画素ユニット間も、BSM12、あるいはBSM12とBDTI12による分離されている。
【0056】
中央領域RCTRの他の画素群PXG12等は、上記した画素群PXG11と同様の構成を有する。
【0057】
このような構成を有する中央領域RCTRにおいては、隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなる。
【0058】
本第1の実施形態において、周辺領域RPRPの画素ユニットPUPは、以下の特徴を持って形成されている。
【0059】
すなわち、画素部20において、周辺領域RPRFのすべての画素ユニットPUPは、第5の同色画素PX15および第6の同色画素PX16の2つが、第1方向に、第5の同色画素PX15と第6の同色画素PX16が隣接するように配列されている(または、第1方向に直交する第2方向に、第5の同色画素と第6の同色画素が隣接するように配列されている)。
そして、一つのマイクロレンズMCLが、第5の同色画素PX15の光電変換領域PD15、および第6の同色画素PX16の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
具体的には、周辺領域RPRFのすべての画素ユニットPUPは、以下のように形成される。
【0060】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU211は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(Gr)画素としての2画素PXGr-A、PXGr-Bが配置されている。画素ユニットPU211において、2画素PXGr-A、PXGr-Bに対して1つのマイクロレンズMCL211が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL211は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0061】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU212は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(R)画素としての2画素PXR-A、PXR-Bが配置されている。画素ユニットPU212において、2画素PXR-A、PXR-Bに対して1つのマイクロレンズMCL212が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL212は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0062】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU213は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(B)画素としての2画素PXB-A、PXB-Bが配置されている。画素ユニットPU213において、2画素PXB-A、PXB-Bに対して1つのマイクロレンズMCL213が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL13は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0063】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU214は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(Gb)画素としての2画素PXGb-A、PXGb-Bが配置されている。画素ユニットPU214において、2画素PXb-A、PXGb-Bに対して1つのマイクロレンズMCL214が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL214は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0064】
周辺領域RPRPの他の画素群PXG22等は、上記した画素群PXG21と同様の構成を有する。
【0065】
このような構成を有する周辺領域RPRPにおいては、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高くなる。
また、中央領域RCTRと周辺領域RPRPにおいてマイクロレンズMCLとして形状が同等のものが適用されることから、感度のばらつきが小さくなると。
【0066】
なお、各画素ユニットPU211~PU214において、各同色画素としての2画素PX-A~PX-Bは、光電変換領域PD(1,2)の光入射部分において、バックサイド分離部としてのバックサイドメタルBSM21により2つに分離されている。
また、光電変換領域PDにおいて、バックサイドメタルBSM21と光電変換領域PDの深さ方向に重なるように、トレンチ型バックサイド分離としてのバックサイドディープトレンチアイソレーション(BDTI)が形成されている。
これにより、同色画素PX-Aは第1の光電変換領域を含み、同色画素PX-Bは第2の光電変換領域を含んでいる。
また、色が異なる画素ユニット間も、BSM22、あるいはBSM22とBDTI22による分離されている。
【0067】
上述したように、本第1の実施形態では、図6に示すように、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有構成が採用されている。
ここで、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有の一構成例について説明する。
【0068】
(画素ユニットの4画素共有の構成例)
図7は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
【0069】
図7の画素部20において、画素群PXGの画素ユニットPUは、4つの画素(本実施形態では色画素、ここではG画素)、すなわち、第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX13、および第4色画素PX14が2×2の正方に配置されている。
【0070】
第1色画素PX11は、第1光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD11、および転送トランジスタTG11-Trを含んで構成されている。
【0071】
第2色画素PX12は、第2光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD12、および転送トランジスタTG12-Trを含んで構成されている。
【0072】
第3色画素PX13は、第3光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD13、および転送トランジスタTG13-Trを含んで構成されている。
【0073】
第4色画素PX14は、第4光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD14、および転送トランジスタTG14-Trを含んで構成されている。
【0074】
そして、画素群PXGを形成する画素ユニットPUは、4つの色画素PX11,PX12,PX13,PX14で、フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
【0075】
このような4画素共有構成において、たとえば第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX13、第4色画素PX14が、同色、たとえばG(Gr,Gb(緑))画素として形成される。
たとえば、第1色画素PX11のフォトダイオードPD11が第1の緑色(G)光電変換部として機能し、第2色画素PX12のフォトダイオードPD12が第2の緑色(G)光電変換部として機能し、第3色画素PX13のフォトダイオードPD13が第3の緑色(G)光電変換部として機能し、第4色画素PX14のフォトダイオードPD14が第4の緑色(G)光電変換部として機能する。
【0076】
フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14としては、たとえば埋め込みフォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオードPD11,PD12,PD13,PD14を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込みフォトダイオード(PPD)では、フォトダイオードPDの電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0077】
フォトダイオードPD11,PD12,PD13,PD14は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0078】
転送トランジスタTG11-Trは、フォトダイオードPD11とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG11により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG11-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG11が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0079】
転送トランジスタTG12-Trは、フォトダイオードPD12とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG12により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG12-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG12が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD12で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0080】
転送トランジスタTG13-Trは、フォトダイオードPD13とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG13により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG13-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG13が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD13で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0081】
転送トランジスタTG14-Trは、フォトダイオードPD14とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG14により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG14-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG14が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD14で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0082】
リセットトランジスタRST11-Trは、図7に示すように、電源線VDD(または電源電位)とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号RST11により導通状態が制御される。
リセットトランジスタRST11-Trは、読み出し制御系の制御の下、たとえば読み出しスキャン時に、制御信号RST11がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11を電源線VDD(またはVRst)の電位にリセットする。
【0083】
ソースフォロワトランジスタSF11-Trと選択トランジスタSEL11-Trは、電源線VDDと垂直信号線LSGNの間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF11-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD11が接続され、選択トランジスタSEL11-Trは制御信号)SEL11により導通状態が制御される。
選択トランジスタSEL11-Trは、制御信号SEL11がHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF11-TrはフローティングディフュージョンFD11の電荷を電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(信号)VSL(PIXOUT)を垂直信号線LSGNに出力する。
【0084】
このような構成において、画素ユニットPUの各画素PX11、PX12、PX13、PX14の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG13-Tr,TG14-Trを個別にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14で光電変換されて蓄積された電荷を順次共通フローティングディフュージョンFD11に転送させた場合、画素単位の画素信号VSLが垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
【0085】
一方、各画素PX11、PX12、PX13、PX14の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG13-Tr,TG14-Trの複数を同時にオン、オフさせ、TG12-Tr,TG13-Tr,TG14-Trを個別にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14で光電変換されて蓄積された電荷を共通フローティングディフュージョンFD11に同時並列的に転送させた場合、フローティングディフュージョンFD11は加算部として機能する。
この場合、画素ユニットPU内の複数、すなわち、2,3、または4画素の画素信号を加算した加算信号が垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
【0086】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0087】
通常のピクセル読み出し動作においては、読み出し制御系の垂直走査回路30による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われる。
【0088】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0089】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0090】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、信号処理回路70に出力する。
【0091】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0092】
以上説明したように、本第1の実施形態においては、画素部20は、中央領域RCTRと周辺領域RPRPに区分けされ、光電変換を行う複数の同色画素(PX)を含む画素ユニット(PU)が複数配置されている。
本第1の実施形態の画素部20においては、周辺領域RPRPのすべての画素ユニットPUPは、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2で、その数NPは、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCの4より少ない。
そして、本第1の実施形態においては、中央領域RCTRで採用されるマイクロレンズMCLと周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、同等の形状を有する。
すなわち、周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、担当する同色画素の数が2であっても、中央領域RCTRの画素ユニットPUCの4つの同色画素PXを担当するマイクロレンズMCLと同じ形状、光学特性のものが適用される。
【0093】
したがって、本第1の実施形態によれば、中央領域RCTRにおいては隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなり、周辺領域RPRPにおいては光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高くなり、しかも中央領域RCTRと周辺領域RPRPにおいてマイクロレンズMCLとして形状が同等のものが適用されることから、感度のばらつきが小さくなるという利点がある。
【0094】
すなわち、本第1の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0095】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図9(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。図9(A)が画素部の中央領域における画素アレイの一例を示し、図9(B)が画素部における周辺領域における画素アレイの一例を示している。
【0096】
本第2の実施形態の画素部20Aが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、周辺領域RPRPにおける画素ユニットPUPはすべてのマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2で、その数NPは、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCの4より少ない。
【0097】
これに対して、本第2の実施形態においては、周辺領域RPRPにおける画素ユニットPUPの一部がマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2である。本例では、Gr,R,B,Gbの4色画素のうち、R画素とB画素が、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2であり、G(r、b)画素が、マイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが4である。
【0098】
図8の例では、周辺領域RPRPの画素ユニットPU211は、隣接する複数、たとえば2×2の4つの同色(Gr)画素としての4画素PXGr-A,PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dが配置されている。画素ユニットPU211において、4画素PXGr-A、PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dに対して1つのマイクロレンズMCL211が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL211は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0099】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU212は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(R)画素としての2画素PXR-A、PXR-Bが配置されている。画素ユニットPU212において、2画素PXR-A、PXR-Bに対して1つのマイクロレンズMCL212が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL212は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0100】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU213は、隣接する複数、たとえば1×1の第5および第6の同色(B)画素としての2画素PXB-A、PXB-Bが配置されている。画素ユニットPU213において、2画素PXB-A、PXB-Bに対して1つのマイクロレンズMCL213が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL13は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0101】
周辺領域RPRPの画素ユニットPU214は、隣接する複数、たとえば2×2の4つの同色(Gb)画素としての4画素PXGb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGb-Dが配置されている。画素ユニットPU214において、2画素PXb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGb-Dに対して1つのマイクロレンズMCL214が配置されている。
この周辺領域RPRPのマイクロレンズMCL214は中央領域RCTRの各画素ユニットで適用されるマイクロレンズMCL111~MCL14と、同じ構成、同じ光学特性を有する。
【0102】
周辺領域RPRPの他の画素群PXG22等は、上記した画素群PXG21と同様の構成を有する。
【0103】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第2の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0104】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図11(A)および(B)は、本発明の第3の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。図11(A)が画素部の中央領域における画素アレイの一例を示し、図11(B)が画素部における周辺領域における画素アレイの一例を示している。
【0105】
本第2の実施形態の画素部20Aが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、周辺領域RPRPにおける画素ユニットPUPはすべてのマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NPが2で、その数NPは、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCの4より少ない。
【0106】
これに対して、本第2の実施形態においては、周辺領域RPRPの画素ユニットPUPにおけるマイクロレンズMCLが担当して光を入射する同色画素PXの数NCは、中央領域RCTRと同じとし、周辺領域RPRPの画素ユニットPUPにおける画素ユニットPUPにおける同色画素間のバックサイド分離部BSM21の幅W2が、中央領域RCTRの画素ユニットPUCにおける同色画素間のバックサイド分離部BSM11の幅W1より狭い。
【0107】
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第3の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0108】
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態に係る中央領域と周辺領域に区分けされる画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図13(A)および(B)は、本発明の第4の実施形態に係る画素部の中央領域と周辺領域における画素アレイの一例を示す図である。図13(A)が画素部の中央領域における画素アレイの一例を示し、図13(B)が画素部における周辺領域における画素アレイの一例を示している。
図14は、本発明の第4の実施形態に係る画素部の周辺領域における画素ユニットの中央領域に対する配置位置に応じた形成例を説明するための図である。
【0109】
本第4の実施形態の画素部20Cが、上述した第1、第2および第3の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、中央領域RCTRで採用されるマイクロレンズMCLと周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、同等の形状を有する。
すなわち、周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、担当する同色画素の数が2であっても、中央領域RCTRの画素ユニットPUCの4つの同色画素PXを担当するマイクロレンズMCLと同じ形状、光学特性のものが適用される。
【0110】
これに対して、本第4の実施形態では、周辺領域RPRPで採用されるマイクロレンズMCLは、担当する同色画素の数が2であり、4つの同色画素を含む画素ユニットPUPにおいては、2画素対応の形状、光学特性を有する2つの第1および第2のマイクロレンズMCL211C,MCL212C、並びに、第3および第4のマイクロレンズMCL213C,MCL214Cが採用されている。
【0111】
本第4の実施形態において、周辺領域RPRPの画素ユニットPUPは、以下の特徴を持って形成されている。
【0112】
すなわち、画素部20Cにおいて、周辺領域RPRFのすべてまたは一部の画素ユニットPUPは、図12および図13に示すように、第5の同色画素PX15、第6の同色画素PX16、第7の同色画素PX17、および第8の同色画素PX18の4つが、第1方向(X方向)に、第5の同色画素PX15と第6の同色画素PX16が隣接するとともに、第7の同色画素PX17と第8の同色画素PX18が隣接し、第2方向(Y方向)に、第5の同色画素PX15と第7の同色画素PX17が隣接するとともに、第6の同色画素PX16と第8の同色画素PX18が隣接するように正方配列されている。
【0113】
そして、図13(A)に示すように、第1のマイクロレンズMCL211Cが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、および第6の同色画素PX16の光電変換領域に光を入射し、第2のマイクロレンズMCL212Cが、第7の同色画素PX17の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
【0114】
または、図13(B)に示すように、第3のマイクロレンズMCL213Cが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、および第7の同色画素PX17の光電変換領域に光を入射し、第4のマイクロレンズMCL214Cが、第6の同色画素PX16の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置されている。
【0115】
また、図14に示すように、周辺領域RPRPの中央領域RCTRに対する配置位置に応じてマイクロレンズMCLの配置を選定して構成してもよい。
【0116】
たとえば、中央領域RCTRに対して第1方向側に形成される周辺領域RPRPの画素ユニットPUPにおいては、第1のマイクロレンズMCL211Cが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、および第6の同色画素PX16の光電変換領域に光を入射し、第2のマイクロレンズMCL212Cが、第7の同色画素PX17の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置される。
【0117】
また、中央領域RCTRに対して第2方向側に形成される周辺領域RPRPの画素ユニットPUPにおいては、第3のマイクロレンズMCL213Cが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、第7の同色画素PX17の光電変換領域に光を入射し、第4のマイクロレンズMCL214Cが、第6の同色画素PX16の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置される。
【0118】
また、中央領域RCTRの角部CNRに対して形成される周辺領域RCTRの画素ユニットPUPにおいては、以下の第1~第3の配置方法のうちの少なくとも一つの配置方法を適用して形成することが可能である。
【0119】
第1の配置方法では、第1のマイクロレンズMCL211Cが第5の同色画素px15の光電変換領域、および第6の同色画素PX16の光電変換領域に光を入射し、第2のマイクロレンズMCL212Cが第7の同色画素PX17の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置される。
【0120】
第2の配置方法では、第3のマイクロレンズMCL213Cが第5の同色画素PX15の光電変換領域、および第7の同色画素PX17の光電変換領域に光を入射し、第4のマイクロレンズMCL214Cが第6の同色画素PX16の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置される。
【0121】
第3の配置方法では、一つのマイクロレンズMCL211Cが、第5の同色画素PX15の光電変換領域、第6の同色画素PX16の光電変換領域、第7の同色画素PX17の光電変換領域、および第8の同色画素PX18の光電変換領域に光を入射するように配置される。
【0122】
本第4の実施形態によれば、上述した第1~第3の実施形態と同様の効果を得ることができることはもとより、隣接同色画素間のクロストークが少なく、輝度シェーディングの影響をさらに抑止することができる。
【0123】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Cは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0124】
図15は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0125】
本電子機器800は、図15に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Cが適用可能なCMOSイメージセンサ810を有する。
さらに、電子機器800は、このCMOSイメージセンサ810の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)820を有する。
電子機器800は、CMOSイメージセンサ810の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)830を有する。
【0126】
信号処理回路830は、CMOSイメージセンサ810の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路830で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0127】
上述したように、CMOSイメージセンサ810として、前述した固体撮像装置10,10A~10Cを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0128】
10,10A~10C・・・固体撮像装置、20,20A~20C・・・画素部、200,200A~200C・・・画素アレイ、PXG・・・画素群、PU,PUC,PUP・・・画素ユニット、RCTR・・・中央領域、RPRP・・・周辺領域、MCL・・・マイクロレズ、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し駆動制御部、800・・・電子機器、810・・・CMOSイメージセンサ、820・・・光学系、830・・・信号処理回路(PRC)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15