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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240513BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240513BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240513BHJP
   B60L 50/71 20190101ALI20240513BHJP
   B60L 50/75 20190101ALI20240513BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240513BHJP
   H01M 8/00 20160101ALN20240513BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
H01M8/04537
H01M8/04858
B60L50/71
B60L50/75
H01M8/10 101
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021111494
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008159
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】立花 将規
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-110028(JP,A)
【文献】特表2003-523067(JP,A)
【文献】特開2007-87736(JP,A)
【文献】特開2007-80611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0268995(US,A1)
【文献】特開2010-232111(JP,A)
【文献】特開2013-193692(JP,A)
【文献】特表2020-524884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
B60L 50/00-50/90
B60L 58/00-58/40
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する燃料電池スタックと、
前記負荷に並列に接続され、且つ前記燃料電池スタックで発電された電力を蓄える第1蓄電装置と、
前記負荷が動作していない状態において前記第1蓄電装置の充電状態に基づいて前記第1蓄電装置が所定の条件を満たすまで充電されるように前記燃料電池スタックを発電させる制御装置と、
前記制御装置を動作させるための電力を蓄える第2蓄電装置と、
前記第2蓄電装置から前記制御装置に電力を供給するための電力供給線と、
前記電力供給線が電気的に導通している第1状態と、前記電力供給線が電気的に導通していない第2状態とを切り替えるスイッチと、
前記燃料電池スタック、前記第1蓄電装置、前記制御装置、前記第2蓄電装置、前記電力供給線、及び前記スイッチを収容するカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記燃料電池スタック、前記第1蓄電装置、前記制御装置、前記第2蓄電装置、前記電力供給線、及び前記スイッチを収容し、且つ少なくとも前記スイッチを臨む開口を形成する開口形成パネル部材と、
前記開口形成パネル部材における外部に臨む部分に重ねられ、且つ前記開口を閉塞する閉塞パネル部材と、を有し、
前記閉塞パネル部材は、
前記スイッチが対向する位置に孔を有する第1板部と、
前記孔を開閉可能に前記第1板部に設けられた第2板部と、を有し、
前記第2板部は、前記第1状態となるように前記スイッチを押し込み可能であり、且つ前記第2状態となるように前記スイッチから離間可能であることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記燃料電池ユニットは、産業車両の収容部に収容され、
前記収容部は、当該収容部における鉛直方向の上方が開閉可能であり、
前記閉塞パネル部材が前記収容部の鉛直方向の上方に臨んでいることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池システムが開示されている。
上記の燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックで発電された電力を蓄えるキャパシタと、キャパシタの充電状態に基づいてキャパシタが所定の条件を満たすまで充電されるように燃料電池スタックを発電させるECUと、を備えている。ECUは、車両のキースイッチをOFFにしている状態で以下のように燃料電池スタックを発電させる。
【0003】
ECUは、燃料電池システムの凍結可能性があるものと判断した場合、キャパシタが凍結防止必要容量に到達するまで燃料電池スタックを発電させる。凍結防止必要容量とは、燃料電池システムの起動時に必要とされる電圧である起動時必要容量に、掃気に必要とされる電圧である掃気時必要容量を加算した値である。
【0004】
ECUは、燃料電池システムの凍結可能性がないものと判断した場合、キャパシタが起動時必要容量に到達するまで燃料電池スタックを発電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6553458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料電池スタック、キャパシタ、及び制御装置を含む各種部品をカバーに収容することによりユニット化された燃料電池ユニットの開発が進められている。
ところで、例えば車両のキースイッチをOFFにしている状態で、燃料電池ユニットをメンテナンスしているとき、作業者が意図しないタイミングでECUが燃料電池スタックを発電させることが考えられる。燃料電池ユニットのメンテナンス時に燃料電池スタックを発電させてしまうと、作業者の作業を阻害する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する燃料電池ユニットは、負荷に電力を供給する燃料電池スタックと、
前記負荷に並列に接続され、且つ前記燃料電池スタックで発電された電力を蓄える第1蓄電装置と、前記負荷が動作していない状態において前記第1蓄電装置の充電状態に基づいて前記第1蓄電装置が所定の条件を満たすまで充電されるように前記燃料電池スタックを発電させる制御装置と、前記制御装置を動作させるための電力を蓄える第2蓄電装置と、前記第2蓄電装置から前記制御装置に電力を供給するための電力供給線と、前記電力供給線が電気的に導通している第1状態と、前記電力供給線が電気的に導通していない第2状態とを切り替えるスイッチと、前記燃料電池スタック、前記第1蓄電装置、前記制御装置、前記第2蓄電装置、前記電力供給線、及び前記スイッチを収容するカバーと、を備え、前記カバーは、前記燃料電池スタック、前記第1蓄電装置、前記制御装置、前記第2蓄電装置、前記電力供給線、及び前記スイッチを収容し、且つ少なくとも前記スイッチを臨む開口を形成する開口形成パネル部材と、前記開口形成パネル部材における外部に臨む部分に重ねられ、且つ前記開口を閉塞する閉塞パネル部材と、を有し、前記閉塞パネル部材は、前記スイッチが対向する位置に孔を有する第1板部と、前記孔を開閉可能に前記第1板部に設けられた第2板部と、を有し、前記第2板部は、前記第1状態となるように前記スイッチを押し込み可能であり、且つ前記第2状態となるように前記スイッチから離間可能である。
【0008】
これによれば、燃料電池ユニットのメンテナンスを実施する場合、最初に閉塞パネル部材が取り外される。
燃料電池ユニットのメンテナンス箇所が、閉塞パネル部材に対向している場合であっても、開口形成パネル部材に対向している場合であっても、最初に閉塞パネル部材が取り外される。閉塞パネル部材が取り外されると、閉塞パネル部材の第2板部がスイッチから離間されるため、電力供給線が第2状態となる。これにより、第2蓄電装置から制御装置への電力の供給が停止する。よって、燃料電池ユニットのメンテナンス時には、負荷が動作していない状態において第1蓄電装置が所定の条件を満たすまで充電されるように制御装置が燃料電池スタックを発電させない。したがって、メンテナンス時に作業者が意図しない燃料電池スタックの発電を無くすことで作業者の作業を容易にできる。
【0009】
また、燃料電池ユニットのメンテナンス時に閉塞パネル部材全体を取り外すことなく、第2板部を第1板部から離間させるだけで燃料電池ユニットの内部を第1板部の孔から確認できる。燃料電池ユニットの内部を確認する場合であっても、第2板部をスイッチから離間させると、電力供給線が第2状態となる。よって、燃料電池ユニットの内部確認も容易にできる。
【0010】
上記の燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池ユニットは、産業車両の収容部に収容され、前記収容部は、当該収容部における鉛直方向の上方が開閉可能であり、前記閉塞パネル部材が前記収容部の鉛直方向の上方に臨んでいるとよい。
【0011】
燃料電池ユニットのメンテナンスは、燃料電池ユニットを産業車両に搭載した状態、もしくは燃料電池ユニットを産業車両から取り外した状態で実施される。
これによれば、収容部の鉛直方向の上方が開放された状態で、閉塞パネル部材を最初にスイッチから離間させることができる。よって、どのような状態で燃料電池ユニットのメンテナンスを実施したとしても、作業者の意図しない燃料電池スタックの発電が無くなる。このため、燃料電池ユニットのメンテナンスを実施し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、メンテナンス時における作業者の意図しない燃料電池スタックの発電を無くすことで作業者の作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】産業車両の概略図である。
図2】燃料電池ユニットの概略図である。
図3】燃料電池ユニットの斜視図である。
図4】開口形成パネル部材の斜視図である。
図5】閉塞パネル部材の斜視図である。
図6】燃料電池ユニットの上面図である。
図7】燃料電池ユニットにおけるスイッチの構成を示す断面図である。
図8】燃料電池ユニットの変更例におけるスイッチの構成を示す断面図である。
図9】閉塞パネル部材の変更例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。なお、本実施形態の燃料電池ユニットの構成を説明する前に産業車両及び燃料電池システムについての構成を説明する。
【0015】
[燃料電池フォークリフトの構成]
図1に示すように、燃料電池フォークリフト100には、燃料電池ユニット10が搭載されている。燃料電池フォークリフト100は、燃料電池ユニット10により発電された電力により車両負荷110を動作させる。車両負荷110は、例えば走行モータ111及び荷役モータ112を含んでいる。車両負荷110は、燃料電池ユニット10により発電された電力により駆動する電装品を含んでいてもよい。
【0016】
燃料電池フォークリフト100は、燃料電池ユニット10により発電された電力により走行モータ111を駆動させることで駆動輪113を駆動させる。燃料電池フォークリフト100は、燃料電池ユニット10により発電された電力により荷役モータ112を駆動させることで図示しない荷役ポンプを駆動させる。荷役ポンプが駆動されることにより燃料電池フォークリフト100のリフトシリンダ114やティルトシリンダ115が伸縮動作する。リフトシリンダ114の伸縮動作により燃料電池フォークリフト100のフォーク116の上下移動が行われる。ティルトシリンダ115の伸縮動作によりティルト動作が行われる。
【0017】
燃料電池フォークリフト100は、座席120を有している。燃料電池フォークリフト100は、座席120の下方に収容部Cを有している。収容部Cには燃料電池ユニット10が収容される。座席120は、収容部Cの鉛直方向の上方を開閉する。収容部Cは、収容部Cにおける鉛直方向の上方が開閉可能である。なお、燃料電池フォークリフト100は、産業車両の一例である。
【0018】
[燃料電池ユニットの構成]
図2に示すように、燃料電池ユニット10は、水素タンク11と、バルブ12と、コンプレッサ13と、補機14と、燃料電池システム20とを備えている。燃料電池システム20は、燃料電池スタック21と、第1蓄電装置22と、DC/DCコンバータ23と、制御装置24と、を備えている。燃料電池システム20は、充電状態検出部25と、第2蓄電装置26と、スイッチ27と、電力供給線Lと、を備えている。
【0019】
<燃料電池システムの構成>
水素タンク11は、水素ガスを貯蔵している。水素タンク11から排出された水素ガスは、燃料電池スタック21に供給される。
【0020】
バルブ12は、水素タンク11から燃料電池スタック21に供給される水素ガスの供給量を調整するための部材である。バルブ12は、駆動周期や開弁時間に応じて、弁体が電磁的に駆動する電磁駆動式の開閉弁である。燃料電池スタック21への水素ガスの供給量は、バルブ12の駆動周期や開弁時間を制御することで調整可能である。
【0021】
コンプレッサ13は、電動モータによって駆動する電動圧縮機である。コンプレッサ13は、燃料電池スタック21に空気を供給する。燃料電池スタック21への空気の供給量は、電動モータの電圧(回転数)を制御することで調整可能である。
【0022】
燃料電池スタック21は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルは、例えば固体高分子型燃料電池である。燃料電池スタック21は、燃料ガスと、酸化剤ガスとの化学反応によって発電を行う。本実施形態では、水素ガスを燃料ガスとし、且つ空気中の酸素を酸化剤ガスとして発電が行われる。燃料電池スタック21は、水素タンク11から供給された水素ガスとコンプレッサ13から供給された酸素とで発電を行う。
【0023】
DC/DCコンバータ23は、燃料電池スタック21に接続されている。本実施形態におけるDC/DCコンバータ23は、燃料電池スタック21が発電した直流電力を昇圧して出力する。なお、DC/DCコンバータ23は、任意の構成に変更してもよい。DC/DCコンバータ23は、燃料電池スタック21が発電した直流電力を降圧して出力するものであってもよい。DC/DCコンバータ23としては、絶縁型であってもよいし、非絶縁型であってもよい。
【0024】
補機14は、DC/DCコンバータ23に接続されている。補機14は、燃料電池スタック21の発電した電力によって駆動する電装品である。車両負荷110は、DC/DCコンバータ23に接続されている。補機14及び車両負荷110は、負荷である。燃料電池スタック21は、DC/DCコンバータ23を介して負荷に電力を供給している。以下の説明において、補機14及び車両負荷110を総称して負荷と称する。
【0025】
第1蓄電装置22は、負荷に並列に接続されている。第1蓄電装置22は、充放電可能であれば、どのようなものを用いてもよい。第1蓄電装置22としては、例えば二次電池及びキャパシタを挙げることができる。第1蓄電装置22には、燃料電池スタック21で発電された電力が蓄えられる。燃料電池スタック21の発電電力が負荷の要求電力を上回っている場合、余剰の電力が第1蓄電装置22に充電される。燃料電池スタック21の発電電力が負荷の要求電力を下回っている場合、不足分の電力が第1蓄電装置22から放電される。
【0026】
充電状態検出部25は、第1蓄電装置22の充電状態を検出する。充電状態としては、例えば第1蓄電装置22の充電率、第1蓄電装置22の残容量、及び第1蓄電装置22の開回路電圧を挙げることができる。本実施形態の充電状態検出部25は、第1蓄電装置22の充電率を検出する。充電状態検出部25は、図示しないセンサと、センサの検出結果から充電状態を推定する図示しない推定部と、を含む。センサは、電流センサ及び電圧センサの少なくとも一方を含む。推定部は、第1蓄電装置22の充放電電流を積算する電流積算法、第1蓄電装置22の開回路電圧と第1蓄電装置22の充電率との相関を用いる手法、あるいは、これらを組み合わせて第1蓄電装置22の充電率を推定する。開回路電圧は、閉回路電圧から推定してもよい。
【0027】
制御装置24は、プロセッサ24aと、記憶部24bと、を備えている。プロセッサ24aとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部24bは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリとしては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)及びフラッシュメモリを挙げることができる。記憶部24bは、処理をプロセッサ24aに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部24b、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置24は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置24は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ24a、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0028】
制御装置24は、燃料電池スタック21の発電電力を制御する。燃料電池スタック21の発電電力は、燃料電池スタック21に供給される水素ガスの量と、燃料電池スタック21に供給される酸素の量によって変化する。制御装置24は、バルブ12を制御することで燃料電池スタック21への水素ガスの供給量を制御する。制御装置24は、コンプレッサ13を制御することで燃料電池スタック21への酸素の供給量を制御する。
【0029】
制御装置24は、負荷の動作要求があるとき、DC/DCコンバータ23を制御する。制御装置24は、負荷の要求電力に応じた電力が燃料電池スタック21から出力されるようにDC/DCコンバータ23を制御することにより燃料電池スタック21が発電した電力を昇圧する。なお、負荷の動作要求とは、例えば燃料電池フォークリフト100がキーオンしている状態において燃料電池フォークリフト100のアクセルペダルが踏まれていることを示している。
【0030】
制御装置24は、負荷が動作していない状態において、充電状態検出部25から出力される信号に基づいて第1蓄電装置22の充電状態を監視している。制御装置24は、第1蓄電装置22の充電率が第1所定値を下回る場合、第1蓄電装置22の充電率が第1所定値以上となるまで燃料電池スタック21を発電させる。第1蓄電装置22の充電率が第1所定値以上となることは、請求項上の「所定の条件を満たす」の一例である。第1所定値とは、例えば燃料電池システム20の起動時に負荷を動作させるために必要な第1蓄電装置22の充電率を示している。第1所定値は、使用される燃料電池システム20の仕様や負荷の仕様によって適宜変更してもよい。なお、制御装置24は、燃料電池フォークリフト100のキースイッチがオンであってもオフであっても、負荷が動作していない状態において所定の条件を満たしていなければ、所定の条件を満たすまで燃料電池スタック21を発電させる。
【0031】
第2蓄電装置26は、制御装置24に電力供給線Lを介して接続されている。第2蓄電装置26は、充放電可能な電池である。第2蓄電装置26は、制御装置24を動作させる電圧を有する電力を蓄えられている。第2蓄電装置26は、制御装置24を動作させるための電力を蓄えている。なお、第2蓄電装置26は、放電のみが可能な電池であってもよい。
【0032】
電力供給線Lは、第2蓄電装置26から制御装置24に電力を供給するための導線である。電力供給線Lは、制御装置24の正極端子と第2蓄電装置26の正極端子とを接続する正極導線L1と、制御装置24の負極端子と第2蓄電装置26の負極端子とを接続する負極導線L2と、を有している。正極導線L1上にはスイッチ27が設けられている。スイッチ27は、正極導線L1を電気的に導通している状態と、正極導線L1を電気的に導通しない状態とを切り替える。このため、スイッチ27は、電力供給線Lが電気的に導通している第1状態と、電力供給線Lが電気的に導通していない第2状態とを切り替える。なお、図2に示すスイッチ27は、電気回路図の表記として記載している。スイッチ27の構成の詳細は、後述する。
【0033】
図3に示すように、燃料電池ユニット10は、長方形状のベース材30と、カバー40と、を備えている。カバー40は、燃料電池スタック21、第1蓄電装置22、制御装置24、第2蓄電装置26、電力供給線L、及びスイッチ27を含む各種部品を収容する。燃料電池ユニット10の各種部品は、ベース材30の載置面S上に設けられる図示しないフレームに適宜配置される。カバー40は、上述した各種部品を覆うようにベース材30の載置面S上に配置される。燃料電池ユニット10は、直方体状である。なお、本実施形態におけるベース材30は、燃料電池ユニット10を燃料電池フォークリフト100の収容部Cの内部に安定的に載置するためのベースウェイトである。
【0034】
<カバーの構成>
カバー40は、対向する一対の第1パネル部材41と、対向する一対の第2パネル部材42と、閉塞パネル部材45と、4つのボルトB1とを有している。一対の第1パネル部材41は、一対の第2パネル部材42によって挟まれている。
【0035】
図4に示すように、各第1パネル部材41は略四角板状である。各第1パネル部材41は、厚さ方向に第1面41Fと第2面41Bとを有している。各第1パネル部材41は、互いに平行な上端面41a及び下端面41bと、上端面41aと段差をなす一対の水平面41cと、を有している。
【0036】
上端面41aは、一対の水平面41cより上方に位置する。一対の水平面41cは、上端面41aの両側に位置している。上端面41aと一対の水平面41cとにより、段差をなしている。
【0037】
各第2パネル部材42は、L字板状である。各第2パネル部材42は、四角板状の本体板部421と、四角板状の延出板部422とを有している。本体板部421は、厚さ方向に第1面421Fと第2面421Bとを有している。本体板部421は、下端面421aを有している。
【0038】
延出板部422は、本体板部421の上端部に設けられている。延出板部422は、本体板部421における下端面421aとは反対側の端部に設けられている。延出板部422は、厚さ方向に第1面422Fと第2面422Bとを有している。延出板部422の第1面422Fと本体板部421の第1面421Fとは直交している。延出板部422の第2面422Bと本体板部421の第2面421Bとは直交している。
【0039】
延出板部422は、2つの挿通孔422aを有している。2つの挿通孔422aの内周面には、雌ねじが形成されている。2つの挿通孔422aは、延出板部422をその厚さ方向に貫通している。なお、挿通孔422aは、例えば延出板部422の第1面422Fから第2面422Bに向けて深さを有する溝でもよい。
【0040】
各第1パネル部材41は、ベース材30の載置面Sにおける一対の第1端縁に設けられている。各第1パネル部材41は、下端面41bをベース材30の載置面Sに接触するように設けられている。各第1パネル部材41は、一方の第1パネル部材41の第2面41Bと他方の第1パネル部材41の第2面41Bが対向するように配置されている。
【0041】
各第2パネル部材42は、ベース材30の載置面Sにおける一対の第2端縁に設けられている。各第2パネル部材42は、下端面421aをベース材30の載置面Sに接触するように設けられている。各第2パネル部材42は、一方の第2パネル部材42の第2面421Bと一方の第2パネル部材42の第2面421Bとが対向するように配置されている。
【0042】
各第2パネル部材42は、一方の第2パネル部材42の延出板部422と他方の第2パネル部材42の延出板部422とが対向するように配置されている。一方の第2パネル部材42の延出板部422と他方の第2パネル部材42の延出板部422とは離間している。
【0043】
各第1パネル部材41の一対の水平面41cには、各第2パネル部材42の延出板部422の第2面422Bがそれぞれ接触している。延出板部422の2つの挿通孔422aは、延出板部422の厚さ方向において、第1パネル部材41の一対の水平面41cと重ならない位置に設けられている。
【0044】
各第1パネル部材41の上端面41aと、各第2パネル部材42の第1面422Fとは面一となるように連続している。各第1パネル部材41の上端面41aと、各第2パネル部材42の第1面422Fとにより四角環状の枠面40aが形成されている。枠面40aを正面から見たとき、枠面40aの外形は、長方形状である。
【0045】
各第1パネル部材41と、各第2パネル部材42と、ベース材30とにより各種部品が収容される収容空間Spが区画される。各第1パネル部材41と、各第2パネル部材42の延出板部422とにより開口40bが形成されている。開口40bは、枠面40aに開放されている。開口40bは、収容空間Spに連通している。各第1パネル部材41及び各第2パネル部材42は、上述した各種部品を囲む開口形成パネル部材の一例である。なお、図示しないフレームは、カバー40の内部において、収容空間Spを、各種部品それぞれを配置するための複数の空間に仕切っている。また、第1パネル部材41及び第2パネル部材42は、図示しないフレームにボルト等の固定材により着脱自在に固定されている。
【0046】
図5に示すように、閉塞パネル部材45は、四角板状である。閉塞パネル部材45は、四角板状の第1板部51と、四角板状の第2板部52と、四角板状の第3板部53とを有している。
【0047】
第1板部51は、厚さ方向に第1面51Fと第2面51Bとを有している。第1面51F及び第2面51Bを正面から見たとき、第1面51F及び第2面51Bは、長方形状である。第1面51F及び第2面51Bを正面から見たとき、第1面51F及び第2面51Bの外形の大きさは、枠面40aを正面から見たときの枠面40aの外形と同じ大きさである。枠面40aは、開口形成パネル部材における外部に臨む部分の一例である。
【0048】
図3及び図5に示すように、第1板部51は、第1孔61と、第2孔62と、4つの第1挿通孔51aと、4つの第2挿通孔51bとを有している。第1孔61は、第1板部51をその厚さ方向に貫通している。第1孔61は、第1面51F及び第2面51Bを正面から見たとき、内面が長方形状をなしている。
【0049】
第2孔62は、第1板部51をその厚さ方向に貫通している。第2孔62は、第1面51F及び第2面51Bを正面から見たとき、内面が長方形状をなしている。
4つの第1挿通孔51aは、第1板部51をその厚さ方向に貫通している。4つの第1挿通孔51aは、第1板部51の四隅それぞれに設けられている。4つの第1挿通孔51aそれぞれは、上述した挿通孔422aに対応する位置に設けられている。
【0050】
4つの第2挿通孔51bは、第1板部51の厚さ方向に深さを有するねじ溝である。4つの第2挿通孔51bの内面には、雌ねじが形成されている。4つの第2挿通孔51bは、第1面51Fを正面から見たとき、第1孔61の周囲を取り囲むように設けられている。4つの第2挿通孔51bは、第1面51Fを正面から見たとき、第1孔61の四隅に対向する位置に設けられている。
【0051】
第2板部52は、厚さ方向に第1面52Fと第2面52Bとを有している。第2板部52は、4つの挿通孔52aを有している。4つの挿通孔52aは、第2板部52をその厚さ方向に貫通している。4つの挿通孔52aは、第2板部52の四隅それぞれに設けられている。4つの挿通孔52aは、上述した4つの第2挿通孔51bに対応する位置に設けられている。第2板部52の第1面51F及び第2面51Bは、第1孔61を覆うことができる程度の大きさを有している。
【0052】
第2板部52は、4つのボルトB2により第1板部51に固定される。4つのボルトB2は、4つの挿通孔52aを貫通して4つの第2挿通孔51bに螺着される。すなわち、第2板部52は、第1孔61を開閉可能に第1板部51に設けられている。
【0053】
第3板部53は、蝶番54を用いて第2孔62を開閉自在に設けられている。第3板部53は、第2孔62内に埋め込まれることにより第2孔62を閉塞する。また、第3板部53は、第3板部53の取手53aを引き上げることにより第2孔62を開放する。図5には、第3板部53が第2孔62を開放している状態を図示している。
【0054】
図3図4、及び図5に示すように、閉塞パネル部材45は、枠面40aに重ねられる。閉塞パネル部材45は、開口40bを閉塞している。閉塞パネル部材45が開口40bを閉塞している状態において、開口40bと第1孔61とは対向する。閉塞パネル部材45が開口40bを閉塞している状態において、開口40bと第2孔62とは対向する。
【0055】
閉塞パネル部材45の第2面51Bと枠面40aとが重ね合わされている。閉塞パネル部材45の第2面51Bと枠面40aとが重ね合わされている部分を重合部70とする。重合部70は、開口形成パネル部材と閉塞パネル部材45とが重なり合う部分である。
【0056】
4つのボルトB1は、閉塞パネル部材45の4つの第1挿通孔51aに挿通され、且つ各第2パネル部材42の挿通孔422aに螺着される。4つのボルトB1は、重合部70に設けられている。4つのボルトB1により、閉塞パネル部材45と各第2パネル部材42が固定される。閉塞パネル部材45が各第1パネル部材41の上端面41aを押さえた状態となる。各第2パネル部材42の第2面422Bが、各第1パネル部材41の一対の水平面41cを押さえた状態となる。4つのボルトB1は、開口形成パネル部材と閉塞パネル部材45とを着脱可能に固定する固定部材である。なお、図3に記載した斜線部分は、閉塞パネル部材45の第2面51Bと枠面40aとが重ね合わされている部分の領域を説明の便宜上示している。
【0057】
<第2蓄電装置、スイッチ、及びエアクリーナの配置>
ここで、燃料電池ユニット10に搭載される部品の配置について説明する。説明の便宜上、第2蓄電装置26、スイッチ27、及び燃料電池ユニット10に含まれるエアクリーナ80の配置のみを図6にしたがって説明する。なお、図6には、説明の便宜上、第2板部52及び第3板部53の構成をあえて記載していない。
【0058】
図6に示すように、閉塞パネル部材45を正面にして燃料電池ユニット10を見たとき、第2蓄電装置26及びスイッチ27は、第1板部51の第1孔61に対向する位置に設けられている。第1孔61は、第2蓄電装置26及びスイッチ27が対向する位置に設けられた孔の一例である。第1孔61と開口40bとが対向していることから、第2蓄電装置26及びスイッチ27は、開口40bに臨んでいる。
【0059】
閉塞パネル部材45を正面にして燃料電池ユニット10を見たとき、エアクリーナ80は、第1板部51の第2孔62に対向する位置に設けられている。第3板部53が蝶番54を用いて第2孔62を開閉自在に設けられている構成は、エアクリーナ80の取り換えに使用されるメンテナンス窓である。なお、当該メンテナンス窓は、エアクリーナ80に限らず、カバー40の収容空間Spにおいて、第2孔62の周辺に存在する部品のメンテンナンスを実施する際に使用されてもよい。また、カバー40の収容空間Spにおいて、第2孔62に対向する位置に通電部が存在しないことが好ましい。
【0060】
<スイッチの構成>
以下、スイッチ27の構成について説明する。以下の説明は、スイッチ27が図示しないフレームのうち、閉塞パネル部材45の第2面51B及び第1孔61に対向する位置の延びる載置壁Fに載置される前提で説明する。また、第2蓄電装置26も同様に載置壁Fに載置されている前提で説明する。なお、載置壁Fは、1つの板部材であってもよいし、複数の板部材により構成されてもよい。
【0061】
図7に示すように、スイッチ27は、平板状の第1端子271と、平板状の第2端子272と、板状のばね部材273と、ボタン部材274と、ケース275と、を有している。
【0062】
第1端子271及び第2端子272は、上下方向に間隔を空けて並ぶようにケース275に固定されている。第1端子271の第1端271aは、ケース275の内部に位置している。第1端子271の第2端271bは、ケース275の外部に位置している。第2端子272の第1端272aは、ケース275の内部に位置している。第2端子272の第2端272bは、ケース275の外部に位置している。第1端子271の第2端271bは、正極導線L1により制御装置24に接続されている。第2端子272の第2端272bには、正極導線L1に接続されていない。なお、第1端子271は、常閉端子であり、第2端子272は、常開端子である。
【0063】
ばね部材273は、導電性を有する金属板により製造されている。ばね部材273は、ケース275の内部に配置されている。ばね部材273は、二条に折り返された形状のばね部273aと、ばね部273aの一端から延出する固定板部273bとを有する。固定板部273bは、ケース275の底壁に固定されている。固定板部273bは、正極導線L1により第2蓄電装置26に接続されている。ばね部材273の固定板部の273bは、共通端子である。
【0064】
ばね部材273は、ケース275の底壁に向けて押し付けられると、ケース275の上壁に向けて戻る復元力を発生させるばね機構である。図7の二点鎖線に示すように、ばね部273aは、ケース275の底壁に向けて押し付ける力が発生していない状態でケース275の上壁に向けて戻る復元力を発生させない。ばね部273aにケース275の底壁に向けて押し付ける力が発生していない状態において、ばね部273aの他端側は、第2端子272の第1端272aに接続される。ばね部273aの他端は、ばね部材273におけるばね部273aとは反対側の端を示している。
【0065】
ボタン部材274は、棒状の部材である。ボタン部材274は、ケース275の上壁に対して出し入れ自在に取り付けられている。ボタン部材274の第1端274aは、ケース275の内部に位置している。ボタン部材274の第2端274bは、ケース275の外部に位置している。ボタン部材274の第1端274aは、常にばね部材273に当接している。ボタン部材274の第2端274bは、閉塞パネル部材45の第2板部52に対向している。
【0066】
第2板部52が第1孔61を閉塞していない状態、もしくは閉塞パネル部材45がスイッチ27に対向する位置に存在しない状態を想定する。まずは第2板部52が第1孔61を閉塞していない状態を想定する。ボタン部材274の第1端274aがばね部273aに支えられつつ、図7の二点鎖線で示すようにボタン部材274の第2端274bが第1板部51の第1面51Fよりも突出した状態となる。このとき、ボタン部材274は、ばね部273aをケース275の底壁に向けて押し付ける力を発生させていない。すなわち、第2板部52が第1孔61を閉塞していない状態では、ばね部273aの他端側が第2端子272の第1端272aに接触する。なお、閉塞パネル部材45がスイッチ27に対向する位置に存在しない状態を想定しても同様である。
【0067】
ボタン部材274の第2端274bが第2板部52に接触している状態を想定する。すると、第2板部52ひいては閉塞パネル部材45がボタン部材274の第2端274bを、第1板部51の第1面51Fよりも突出しないように、ケース275の内部に押し込む。このとき、ボタン部材274は、ばね部273aをケース275の底壁に向けて押し付ける力を発生させている。すなわち、ボタン部材274の第2端274bが第2板部52に接触している状態では、ばね部273aの他端側が第1端子271の第1端271aに接触する。
【0068】
ばね部273aが第1端子271の第1端271aに接触しているとき、第2蓄電装置26と制御装置24とが電気的に導通している状態となる。また、ばね部273aが第2端子272の第1端272aに接触しているとき、第2蓄電装置26と制御装置24とが電気的に導通しない状態となる。よって、スイッチ27は、電力供給線Lが電気的に導通している第1状態と、電力供給線Lが電気的に導通しない第2状態とを切り替えている。
【0069】
なお、第2板部52は、4つのボルトB2により第1板部51に固定されている状態において、第1状態となるようにスイッチ27のボタン部材274を押し込める。また、第2板部52は、4つのボルトB2を取り外した状態において、第2状態となるようにスイッチ27のボタン部材274から離間できる。すなわち、第2板部52は、第1状態となるようにスイッチ27を押し込み可能であり、且つ第2状態となるようにスイッチ27から離間可能である。
【0070】
閉塞パネル部材45がボルトB1により各第2パネル部材42に固定され、且つボルトB2により第2板部52が第1板部51に固定されている状態において、閉塞パネル部材45は電力供給線Lが第1状態となるようにボタン部材274を押し込める。ボルトB1を取り外し、且つボルトB2により第2板部52が第1板部51に固定されている状態において、閉塞パネル部材45は、電力供給線Lが第2状態となるようにスイッチ27のボタン部材274から離間できる。すなわち、閉塞パネル部材45は、電力供給線Lが第1状態となるようにスイッチ27を押し込み可能であり、且つ電力供給線Lが第2状態となるようにスイッチ27から離間可能である。
【0071】
[燃料電池フォークリフトへの燃料電池ユニットの配置]
図1及び図6に示すように、ベース材30が収容部Cの底面に載置された状態では、閉塞パネル部材45は収容部Cの鉛直方向の上方に臨むように配置されている。
【0072】
図6に示すように、収容部Cは、燃料電池ユニット10の側方を囲む壁面Cwを有している。そのため、収容部Cは、図1に示す座席120を鉛直方向の上方に開くことによってのみ鉛直方向の上方に開放される。
【0073】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
燃料電池ユニット10のメンテナンスを実施する場合、燃料電池フォークリフト100のキースイッチがオフの状態で、閉塞パネル部材45が取り外される。閉塞パネル部材45は、重合部70において各第2パネル部材42とボルトB1により固定されている。このため、燃料電池ユニット10のメンテナンスの際は、ボルトB1を取り外して最初に閉塞パネル部材45が取り外される。
【0074】
閉塞パネル部材45を取り外すと、閉塞パネル部材45の第2板部52がスイッチ27から離間する。すると、スイッチ27によって電力供給線Lが第2状態となる。これにより、第2蓄電装置26から制御装置24への電力の供給が停止する。よって、燃料電池ユニット10のメンテナンス時には、負荷が動作していない状態において第1蓄電装置22が所定の条件を満たすまで充電されるように制御装置24が燃料電池スタック21を発電させない。
【0075】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)燃料電池ユニット10のメンテナンス箇所が、閉塞パネル部材45に対向している場合であっても、各第1パネル部材41及び各第2パネル部材42に対向している場合であっても、最初に閉塞パネル部材45が取り外される。閉塞パネル部材45が取り外されると、電力供給線Lが第2状態となり、第2蓄電装置26から制御装置24へ電力が供給されなくなる。したがって、メンテナンス時に作業者が意図しない燃料電池スタック21の発電を無くすことで作業者の作業を容易にできる。
【0076】
また、燃料電池ユニット10のメンテナンス時に閉塞パネル部材45全体を取り外すことなく、第2板部52を第1板部51から離間させるだけで燃料電池ユニット10の内部を第1板部51の第1孔61から確認できる。燃料電池ユニット10の内部を確認する場合であっても、第2板部52をスイッチ27から離間させると、電力供給線Lが第2状態となる。よって、燃料電池ユニット10の内部確認も容易にできる。
【0077】
(2)燃料電池ユニット10のメンテナンスは、燃料電池ユニット10を燃料電池フォークリフト100に搭載した状態、もしくは燃料電池ユニット10を燃料電池フォークリフト100に搭載した状態で実施される。
【0078】
本実施形態では、収容部Cの鉛直方向の上方が開放された状態で、閉塞パネル部材45を最初にスイッチ27から離間させることができる。よって、どのような状態で燃料電池ユニット10のメンテナンスを実施したとしても、作業者の意図しない燃料電池スタック21の発電が無くなる。このため、燃料電池ユニット10のメンテナンスを実施し易くなる。
【0079】
また、閉塞パネル部材45が収容部Cの壁面Cwに対向していると、閉塞パネル部材45を取り外し難い。その点、閉塞パネル部材45が収容部Cの鉛直方向の上方に臨んでいる。このため、閉塞パネル部材45の取り外しが容易になる。
【0080】
(3)第1孔61を介して第2蓄電装置26の取り換えを実施するとき、閉塞パネル部材45の第2板部52をスイッチ27から離間させることにより第2蓄電装置26から制御装置24への電力の供給が停止する。
【0081】
また、閉塞パネル部材45全体を取り外して第2蓄電装置26の取り換えを実施するときであっても、閉塞パネル部材45をスイッチ27から離間させることにより第2蓄電装置26から制御装置24への電力の供給が停止する。したがって、第2蓄電装置26の取り換えにおける作業者の作業性を向上させることができる。
【0082】
(4)仮に、各第1パネル部材41、各第2パネル部材42、及び閉塞パネル部材45のいずれからも取り外せる構成の場合を考える。第2蓄電装置26から制御装置24への電力の供給を停止させるには、各第1パネル部材41及び各第2パネル部材42と対向する位置にもスイッチ27を対向させる必要がある。このため、スイッチ27の数が増加して好ましくない。
【0083】
これに対し、最初に取り外される閉塞パネル部材45にのみスイッチ27を対向させるため、スイッチ27の数を増加させることがない。
<変更例>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0084】
○ スイッチ27及び第2板部52の構成を以下のように変更してもよい。
図8に示すように、スイッチ27は、ケース275へのボタン部材274の押し込み方向を水平方向となるように配置を変更している。ボタン部材274は、ケース275の側面から水平方向に延出している。
【0085】
第2板部52は、第1板部51の第1孔61内に挿入される棒状の突出壁521を有している。スイッチ27のボタン部材274の第2端274bには、回転自在に設けられたローラ276が設けられている。第2板部52により第1孔61を閉塞するとき、突出壁521が図8の二点鎖線の位置に配置されたローラ276に当接する。突出壁521の第1孔61への挿入が進むと、ローラ276が回転しつつボタン部材274がケース275の内部に押し込まれる。第2板部52により第1孔61の閉塞が完了したとき、突出壁521によるボタン部材274のケース275への押し込みが完了する。このように変更しても、スイッチ27は、電力供給線Lが電気的に導通している第1状態と、電力供給線Lが電気的に導通しない第2状態とを切り替えることができる。
【0086】
○ 第2板部52と第1板部51とを着脱可能に固定できるのであれば、ボルトB2とは異なる固定部材を採用してもよい。
○ 第2板部52は、第1孔61を閉塞できれば第1板部51に固定されていなくてもよい。
【0087】
○ 第2板部52は、第1孔61を閉塞した状態で、4つのボルトB2により固定されていたが、これに限らない。例えば、第2板部52が蝶番を用いて第1孔61を開閉自在に設けられていてもよい。すなわち、第2板部52、蝶番、第1孔61により例えば第2蓄電装置26の取り換えに使用するメンテナンス窓を構成してもよい。
【0088】
○ 第1孔61の形状はどのような形状でもよい。閉塞パネル部材45の第1面51Fを正面から見たときに、第1孔61から臨む位置に第2蓄電装置26及びスイッチ27が配置される構成であれば、どのように形状を変更してもよい。
【0089】
○ 第1板部51の第1孔61には、第2蓄電装置26及びスイッチ27が対向していたが、これに限らない。第1孔61には、制御装置24とスイッチ27が対向してもよい。また、第1孔61には、スイッチ27のみが対向してもよい。すなわち、第1孔61には、少なくともスイッチ27が対向していればよい。
【0090】
○ 閉塞パネル部材45の構成から第2板部52を割愛してもよい。この変更に合わせて第1孔61も割愛する。スイッチ27は、第1板部51の第2面51Bに対向するように配置されていればよい。
【0091】
○ 燃料電池ユニット10は、閉塞パネル部材45が燃料電池フォークリフト100の収容部Cの鉛直方向の上方に臨むように収容部Cに収容されていたが、これに限らない。例えば、燃料電池ユニット10は、閉塞パネル部材45が収容部Cの壁面Cwに対向するように収容部Cに収容されてもよい。
【0092】
○ 制御装置24は、第1蓄電装置22の充電率が第1所定値以下となる場合、第1蓄電装置22の充電率が第1所定値を上回るまで燃料電池スタック21を発電させてもよい。この場合、第1蓄電装置22の充電率が第1所定値を上回ることは、請求項上の「所定の条件を満たす」の一例である。
【0093】
○ 充電状態検出部25が第1蓄電装置22の残容量又は開回路電圧を検出する場合を想定する。制御装置24は、残容量又は開回路電圧がそれぞれについて設定された所定値を下回る又は当該所定以下となる場合、残容量又は開回路電圧が所定値以上となる又は当該所定値を上回るまで燃料電池スタック21を発電させてもよい。第1蓄電装置22の残容量又は開回路電圧が所定値以上となる、又は所定値を上回ることは、請求項上の「所定の条件を満たす」の一例である。
【0094】
○ ボルトB1が挿通孔422aに螺着されることにより閉塞パネル部材45と各第2パネル部材42とが固定されていたが、これに限らない。例えば、挿通孔422aの内周面の雌ねじを割愛し、ボルトB1を収容空間Sp内に位置する図示しないフレームに螺着させることにより閉塞パネル部材45と各第2パネル部材42とを固定してもよい。
【0095】
○ 2つの挿通孔422aを、延出板部422の厚さ方向において、第1パネル部材41の各水平面41cと重なる位置に設けるように変更してもよい。そして、ボルトB1を第1パネル部材41の水平面41cに螺着するようにしてもよい。
【0096】
○ 閉塞パネル部材45は、例えば、枠面40aに第2面51Bを当接させた状態で各第1パネル部材41の第1面41Fに接触する板状の一対の第1枠部を有していてもよい。閉塞パネル部材45は、例えば、枠面40aに第2面51Bを当接させた状態で各第2パネル部材42の第1面421Fに接触する板状の一対の第2枠部を有していてもよい。一対の第1枠部と一対の第2枠部とは連続しており、各第1パネル部材41,41及び各第2パネル部材42,42を取り囲む環状の枠部となっている。当該枠部と各第1パネル部材41とが接触している部分、及び当該枠部と各第2パネル部材42とが接触している部分を、重合部70としてもよい。そして、重合部70に複数のボルトB1を設けることにより閉塞パネル部材45と開口形成パネル部材とを着脱自在に固定してもよい。なお、一対の第2枠部を割愛して、一対の第1枠部と各第1パネル部材41とが接触している部分を重合部70としてもよい。同様に、一対の第1枠部を割愛して、一対の第2枠部と各第2パネル部材42とが接触している部分を重合部70としてもよい。また、一対の第1枠部の一方を割愛してもよい、同様に、一対の第2枠部の一方を割愛してもよい。更に、第1枠部及び第2枠部は板状に限らず、形状は適宜変更してもよい。
【0097】
○ 一方の第1パネル部材41と一方の第2パネル部材42とを一体的に形成してもよい。同様に他方の第1パネル部材41と他方の第2パネル部材42とを一体的に形成してもよい。すなわち、開口形成パネル部材を2つの部材により構成してもよい。なお、各第1パネル部材41及び各第2パネル部材42を全て一体的に形成して、開口形成パネル部材を1つの部材としてもよい。
【0098】
○ 第1板部51を以下のように変更してもよい。
図9に示すように、第1板部51は、第1部材511と、第2部材512とを有している。第1部材511は、L字形状の板部材である。第2部材512は、L字形状の板部材である。第1部材511と第2部材512とを突き合わせたときに、第1孔61が形成されるようにしてもよい。なお、第1板部51は、3枚以上の板部材により構成されていてもよい。第1板部51を3枚以上の板部材により構成する場合、複数の板部材により第1孔61が形成されるように変更するとよい。
【0099】
○ 閉塞パネル部材45及び開口形成パネル部材により燃料電池ユニット10が直方体状をなしていたが、これに限らない。閉塞パネル部材45及び開口形成パネル部材の形状を適宜変更することにより、燃料電池ユニット10が直方体状をなしていなくてもよい。
【0100】
○ スイッチ27は、ボタン部材274がケース275の内部に押し込まれたときに第1状態となり、ボタン部材274がケース275から押し出されたときに第2状態となるように構成できるスイッチであれば、どのように変更してもよい。
【0101】
○ 閉塞パネル部材45と各第2パネル部材42とを着脱可能に固定できるのであれば、ボルトB1は、ボルトB1とは異なる固定部材に変更してもよい。
○燃料電池ユニット10は、例えばトーイングトラクタ等の産業車両に搭載されていてもよい。燃料電池ユニット10は、乗用車等の燃料電池車両に搭載されていてもよい。燃料電池ユニット10は、接続された負荷に電力を供給する定置型発電機としてもよい。
【0102】
<付記>
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
○ 前記スイッチ及び前記第2蓄電装置は、前記孔に対向する位置に配置されている。
【符号の説明】
【0103】
10…燃料電池ユニット、11…水素タンク、12…バルブ、13…エアコンプレッサ、14…補機、20…燃料電池システム、21…燃料電池スタック、22…第1蓄電装置、23…DC/DCコンバータ、24…制御装置、24a…プロセッサ、24b…記憶部、25…充電状態検出部、26…第2蓄電装置、27…スイッチ、100…燃料電池フォークリフト、110…車両負荷、111…走行モータ、112…荷役モータ、113…駆動輪、114…リフトシリンダ、115…ティルトシリンダ、116…フォーク、120…座席、30…ベース材、40…カバー、40a…枠面、40b…開口、41…第1パネル部材、41a…上端面、41b…下端面、41c…水平面、41F…第1面、41B…第2面、42…第2パネル部材、45…閉塞パネル部材、51…第1板部、51a…第1挿通孔、51b…第2挿通孔、51F…第1面、51B…第2面、52…第2板部、52a…挿通孔、52F…第1面、52B…第2面、53…第3板部、53a…取手、54…蝶番、61…第1孔、62…第2孔、70…重合部、80…エアクリーナ、271…第1端子、271a…第1端、271b…第2端、272…第2端子、272a…第1端、272b…第2端、273…ばね部材、273a…ばね部、273b…固定板部、274…ボタン部材、274a…第1端、274b…第2端、275…ケース、276…ローラ、421…本体板部、421F…第1面、421B…第2面、421a…下端面、422…延出板部、422F…第1面、422B…第2面、422a…挿通孔、521…突出壁、L…電力供給線、L1…正極導線、L2…負極導線、C…収容部、Cw…壁面、S…載置面、B1,B2…ボルト、F…載置壁。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9