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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】高電圧電池の被水防止構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240513BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021175988
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023065274
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】宮田 大資
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347318(JP,A)
【文献】特開2007-073453(JP,A)
【文献】特開2018-079906(JP,A)
【文献】特開2019-217874(JP,A)
【文献】特開2018-034751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105020(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される高電圧電池と、
前記高電圧電池が収容され、車室内における車両高さ方向の下方に配置される電池収容室と、
前記電池収容室に空気を送り込むための送風装置と、
前記送風装置の駆動に伴って、前記車室から前記電池収容室に空気を取り込むための空気取込口が設けられた空気取込部とを備え、
前記空気取込部における空気流れ方向の上流側でかつ前記空気取込口よりも車両高さ方向の上方に、庇部が設けられており、
前記空気取込部は、トリム、及び前記トリムに対して空気流れ方向の上流側に配置されたベゼルを含んでおり、
前記トリムには、前記空気を取り込むためのトリム側空気取込口、及び前記ベゼルに対して取り付けられるトリム側取付部が設けられており、
前記トリムにおける前記トリム側空気取込口と前記トリム側取付部との間の領域の下面部に、前記トリム側空気取込口から前記トリム側取付部までの距離が狭まる部分が設けられており、
前記庇部が、前記空気取込部の表面から前記空気流れ方向の上流側に向けて突出するとともに、前記下面部の距離が狭まる部分に対応して上方側の位置において、前記トリム側空気取込口から前記トリム側取付部に向かう方向に張り出していること、
を特徴とする高電圧電池の被水防止構造。
【請求項2】
前記庇部は、車両幅方向外側に向けて下り勾配とされていること、を特徴とする請求項1に記載の高電圧電池の被水防止構造。
【請求項3】
車両に搭載される高電圧電池と、
前記高電圧電池が収容され、車室内における車両高さ方向の下方に配置される電池収容室と、
前記電池収容室に空気を送り込むための送風装置と、
前記送風装置の駆動に伴って、前記車室から前記電池収容室に空気を取り込むための空気取込口が設けられた空気取込部とを備え、
前記空気取込部は、トリム、及び前記トリムに対して空気流れ方向の上流側に配置されたベゼルを含んでおり、
前記トリムには、前記空気を取り込むためのトリム側空気取込口、及び前記ベゼルに対して取り付けられるトリム側取付部が設けられており、
前記ベゼルには、前記空気を取り込むためのベゼル側空気取込口、及び前記トリムに対して取り付けられるベゼル側取付部が設けられており、
前記トリムにおける前記トリム側空気取込口と前記トリム側取付部との間の領域には、前記トリム側空気取込口から前記トリム側取付部に向けて下方に傾斜する傾斜下面部が形成されており、
前記トリム及び前記ベゼルが組み付けられた状態において、前記傾斜下面部に対して車両高さ方向の下方における前記トリム側取付部と前記ベゼル側取付部との間には、隙間が形成されていること、を特徴とする高電圧電池の被水防止構造。
【請求項4】
前記トリム側取付部及び前記ベゼル側取付部のうち少なくともいずれかにおける車両高さ方向の下方には、車両高さ方向に沿って延びるリブが形成されており、
前記リブによって前記隙間が形成されていること、を特徴とする請求項3に記載の高電圧電池の被水防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧電池の被水防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高電圧電池の被水防止構造が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電気自動車あるいはハイブリッド車等に搭載される高電圧電池の冷却構造に関し、特に、車両の客室内(車室内)に搭載される高電圧電池の冷却構造が開示されている。上記特許文献1に開示された冷却構造は、車室内の座席下に設けられた冷却空気取込口から高電圧電池を収容したバッテリケース内に冷却空気を導入する吸気用ブロア、及びバッテリケース内を循環した冷却空気を排気する排気ダクトを備えること、が記載されている。
【0004】
上記特許文献2には、電気自動車あるいはハイブリッド車等において車両駆動用の車載電池(高電圧電池)を後部座席の下部等に設け、後部座席の下部等に設けられた冷却空気取込口から取り入れられた冷却用の空気を車載電池に向けて送風することによって、車載電池の冷却を行う構造が開示されている。上記特許文献2には、ブロアを用いて車室内から冷却用の空気を取り入れるように構成し、ブロアの軸線が車室内床面に対して所定の角度で傾斜するようにブロアが配置されていること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-166728号公報
【文献】特開2016-94141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、車室内の座席の上に水分の入ったポリタンクやペットボトル等の荷物を置くことが想定される。しかしながら、ポリタンクやペットボトル等のキャップが締まり切っていない状態でこれらを倒してしまい、座席の上で水分をこぼしてしまう場合がある。この場合、上記特許文献1及び2に開示された構造では、座席下に設けられた車載電池の冷却空気取込口から冷却空気が吸われるとともに水分を吸ってしまうこととなる。その結果、特許文献1及び2に開示された構造では、車載電池の動作に悪影響を及ぼす可能性があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、高電圧電池を冷却する空気を取り込む空気取込口に水分が溜まることを抑制可能な高電圧電池の被水防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0009】
(1)本発明による高電圧電池の被水防止構造は、車両に搭載される高電圧電池と、前記高電圧電池が収容され、車室内における車両高さ方向の下方に配置される電池収容室と、前記電池収容室に空気を送り込むための送風装置と、前記送風装置の駆動に伴って、前記車室から前記電池収容室に空気を取り込むための空気取込口が設けられた空気取込部とを備え、前記空気取込部における空気流れ方向の上流側でかつ前記空気取込口よりも車両高さ方向の上方に、庇部が設けられていること、を特徴とする。
【0010】
本発明の高電圧電池の被水防止構造は、例えば、空気取込部における車両高さ方向の上方に座席等が設けられている場合に、当該座席に載置された水分の入ったポリタンクやペットボトルが誤って傾倒し、水分が座席の下方に配置された空気取込部に流れたとしても、空気取込部の上方に設けられた庇部によって、空気取込口の手前(空気流れの上流側の部分)に水分が入らないようにすることができる。すなわち、本発明の被水防止構造は、空気取込部に対する水分の浸入を止めることができる。その結果、本発明によれば、高電圧電池を冷却する空気を取り込む空気取込口に水分が溜まることを抑制可能な高電圧電池の被水防止構造を提供することができる。さらに、本発明の被水防止構造は、空気取込部以外に部品を追加することなく、高電圧電池の被水防止対策を行うことができる。
【0011】
(2)本発明による高電圧電池の被水防止構造において、好ましくは、前記庇部は、車両幅方向外側に向けて下り勾配とされていること、を特徴とするとよい。本発明の被水防止構造は、このように構成することにより、庇部に流れ落ちた水分が車両幅方向外側に向けて排水されるため、空気取込部の空気取込口から水分が吸い込まれることを抑制できる。
【0012】
(3)本発明による高電圧電池の被水防止構造は、車両に搭載される高電圧電池と、前記高電圧電池が収容され、車室内における車両高さ方向の下方に配置される電池収容室と、前記電池収容室に空気を送り込むための送風装置と、前記送風装置の駆動に伴って、前記車室から前記電池収容室に空気を取り込むための空気取込口が設けられた空気取込部とを備え、前記空気取込部は、トリム、及び前記トリムに対して空気流れ方向の上流側に配置されたベゼルを含んでおり、前記トリムには、前記空気を取り込むためのトリム側空気取込口、及び前記ベゼルに対して取り付けられるトリム側取付部が設けられており、前記ベゼルには、前記空気を取り込むためのベゼル側空気取込口、及び前記トリムに対して取り付けられるベゼル側取付部が設けられており、前記トリムにおける前記トリム側空気取込口と前記トリム側取付部との間の領域には、前記トリム側空気取込口から前記トリム側取付部に向けて下方に傾斜する傾斜下面部が形成されており、前記トリム及び前記ベゼルが組み付けられた状態において、前記傾斜下面部に対して車両高さ方向の下方における前記トリム側取付部と前記ベゼル側取付部との間には、隙間が形成されていること、を特徴とする。
【0013】
本発明の高電圧電池の被水防止構造は、トリムのトリム側空気取込口周辺に水分が浸入した場合に、傾斜下面部の傾斜している方向に水分を排出することができる。これにより、本発明の被水防止構造は、トリム内にトリム側空気取込口における空気流れの上流側の部分に水分が溜まらなくなるため、浸入した水分が外側(空気流れの上流側)に流れ出すようにすることができる。さらに、本発明の被水防止構造は、トリム内に浸入した水分をトリム側取付部とベゼル側取付部との間に形成された隙間から外部に排出することができる。これらの結果、本発明の被水防止構造は、高電圧電池を冷却する空気を取り込むためのトリムのトリム側空気取込口とトリム側取付部との間の空間に、水分が溜まることを効果的に抑制することができる。
【0014】
(4)本発明の被水防止構造は、好ましくは、前記トリム側取付部及び前記ベゼル側取付部のうち少なくともいずれかにおける車両高さ方向の下方に、車両高さ方向に沿って延びるリブが形成されており、前記リブによって前記隙間が形成されていること、を特徴とするとよい。本発明の被水防止構造は、このように構成することにより、リブによって効果的に隙間を形成できる。これにより、本発明の被水防止構造は、トリムとベゼルとの間に浸入した水分をリブの延びる方向(車両高さ方向)における下方に向けて排出し易くすることができる。さらに、本発明の被水防止構造は、リブによってトリム及びベゼルのうち少なくとも一方の剛性を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る態様によれば、高電圧電池を冷却する空気を取り込む空気取込口に水分が溜まることを抑制可能な高電圧電池の被水防止構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る高電圧電池の被水防止構造を備える車室内における後部座席を車両進行方向の前方から後方を見た場合を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る高電圧電池の被水防止構造を示す模式図である。
図3】(a)はベゼルが取り付けられたトリムを車両進行方向の前方から見た図であり、(b)はベゼルが取り付けられたトリムを車両高さ方向の上方から見た図である。
図4】(a)はベゼルの表面を示す図であり、(b)はベゼルの裏面を示す図である。
図5】(a)はベゼルの裏面に形成されたリブを示す図であり、(b)はベゼルの裏面に取り付けられたフィルタを示す図である。
図6】(a)はベゼル取り外した状態のトリムを示す図であり、(b)は(a)とは異なる方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る高電圧電池の被水防止構造1を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0018】
図1~6を参照して、本実施形態における高電圧電池の被水防止構造1について説明する。
【0019】
図1及び2に示すように、本実施形態における高電圧電池の被水防止構造1は、車両100に備えられている。この車両100は、例えば、ハイブリッド自動車、又は電動自動車等である。また、車両100には、運転席、助手席、後部座席RS、及び荷室等が設けられている。なお、車両100は、客室及び荷室が一体となったワゴン車等であってもよい。
【0020】
車両100には、車両駆動用の高電圧電池BTが搭載されている。高電圧電池BTは、電池収容室10に収容されている。電池収容室10は、後部座席RSの下部(車室内における車両高さ方向の下方)に配置されている。高電圧電池BTは、例えば、複数の電池が組み合わせられた組電池が金属製の電池モジュールケース内に収容されることにより構成されている。
【0021】
図1図2に示すように、電池収容室10において、高電圧電池BTに対して空気流れの上流側には、冷却ブロア12が配置されている。なお、冷却ブロア12は、本発明の「送風装置」の一例である。冷却ブロア12は、高電圧電池BTに隣接する位置(高電圧電池BTの一端)に配置されている。具体的には、冷却ブロア12は、後部座席RSの下部で、かつ、車両進行方向に対する左側に配置されている。冷却ブロア12は、後述するトリム20により外部からは視認できないように配置されている。
【0022】
冷却ブロア12は、電池収容室10に空気を送り込むことにより、高電圧電池BTを冷却する。具体的には、冷却ブロア12は、例えば、吸気開口部(図示省略)を有している。この吸気開口部内には、多翼のファン、及びファンに直結されたファンモータが配置されている。冷却ブロア12は、ファンモータの駆動に伴ってファンを回転させることによって、吸気開口部から取り入れた空気を電池収容室10(高電圧電池BT)に向けて送風する。
【0023】
冷却ブロア12に対して空気流れの上流側には、トリム20が配置されている。具体的には、トリム20は、後部座席RSの下部で、かつ、車両進行方向に対する左側に配置されている。トリム20は、乗員により外部から視認可能なように配置されている。図6(a)及び図6(b)に示すように、トリム20には、トリム側空気取込口22と、トリム側取付部24とが設けられている。トリム側空気取込口22は、略円形状に形成されているとともに、トリム20における後方に配置されている。トリム側空気取込口22は、冷却ブロア12の駆動に伴って、車室から電池収容室10に空気を取り込むために設けられている。トリム側取付部24は、トリム20における前方に形成されている。トリム側取付部24は、後述するベゼル30のベゼル側取付部34に対して取り付けられる部分である。
【0024】
図1図4に示すように、トリム20の空気流れの上流側には、ベゼル30が配置されている。ベゼル30には、ベゼル側空気取込口32と、ベゼル側取付部34とが設けられている。ベゼル側空気取込口32は、冷却ブロア12の駆動に伴って、車室からトリム20を介して電池収容室10に空気を取り込むために設けられている。
【0025】
図4(a)に示すように、ベゼル側空気取込口32は、複数のフィン32aと、複数の接続部材32bとにより構成されている。ベゼル側空気取込口32は、ベゼル側空気取込口32におけるフィン32aとフィン32aとの間から空気が取り込まれるようになっている。複数のフィン32aは、車両幅方向に沿って延びるように形成されているとともに、車両高さ方向に沿って等間隔で配置されている。複数の接続部材32bは、棒状の部材であるとともに、複数のフィン32aを車両高さ方向に沿って接続している。図4(b)に示すように、ベゼル側取付部34は、ベゼル30の裏面(空気流れ方向の下流側の面)において、ベゼル側空気取込口32の周囲に沿って設けられているとともに、トリム20のトリム側取付部24に対して取り付けられる部分である。
【0026】
ここで、本実施形態では、図1図3、及び図6に示すように、トリム20には、庇部26が設けられている。庇部26は、トリム20のトリム側空気取込口22における空気流れ方向の上流側で、かつ、トリム側空気取込口22よりも車両高さ方向の上方に設けられている。また、庇部26は、トリム20の表面から空気流れの上流側に向かって突出するように形成されているとともに、車両幅方向の外側に向けて下り勾配とされている。これにより、庇部26の上面に水分が流れてきた際に、水分が庇部26の上面に沿って車両幅方向の外側に排水される。
【0027】
また、本実施形態では、図6(a)及び図6(b)に示すように、トリム20におけるトリム側空気取込口22とトリム側取付部24との間には、空間Sが形成されている。空間Sは、空気流れの上流側から見て、略四角形状に形成されている。空間Sは、上面部SUと、右側面部SRと、左側面部SLと、傾斜下面部SBとにより形成されている。傾斜下面部SBは、トリム20におけるトリム側空気取込口22とトリム側取付部24との間の領域(空間S)において、トリム側空気取込口22からトリム側取付部24に向けて下方に傾斜するように形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、図4(b)及び図5(a)に示すように、ベゼル30のベゼル側取付部34(ベゼル30の裏面)には、リブ36(縦リブ)が形成されている。リブ36は、ベゼル30に対して一体的に形成されている。リブ36は、ベゼル30における車両高さ方向の下方において、車両高さ方向に沿って延びるように形成されている。リブ36は、車両幅方向に沿って複数形成されている。これらの複数のリブ36は、車両幅方向に沿って等間隔で配置されている。
【0029】
トリム20及びベゼル30が組み付けられた状態において、傾斜下面部SBに対して車両高さ方向の下方におけるトリム側取付部24とベゼル側取付部34との間には、隙間Gが形成されている。隙間Gは、ベゼル30の複数のリブ36によって形成されている。
【0030】
また、図5(b)に示すように、ベゼル30の裏面には、フィルタ40が設けられている。フィルタ40は、車両高さ方向に沿って延びるように複数の折り目42を有している。複数の折り目42は、車両幅方向に沿って等間隔で配置されている。フィルタ40の下端部は、リブ36の一部と重なるように配置されている。
【0031】
図4(a)及び図4(b)に示すように、ベゼル30のベゼル側取付部34の周囲には、複数のベゼル側係合部341、及びベゼル側締結部342が形成されている。複数のベゼル側係合部341は、後述するトリム20のトリム側係合部241と係合するように構成されている。
【0032】
図6(a)及び図6(b)に示すように、トリム20のトリム側取付部24(空間S)の周囲には、複数のトリム側係合部241、及びトリム側締結部242が形成されている。具体的には、複数のトリム側係合部241は、トリム20の右側面部SR及び左側面部SLにおける空気流れ上流側の部分に形成されている。複数のトリム側係合部241は、それぞれ、ベゼル30のベゼル側係合部341と係合するように構成されている。
【0033】
トリム20に対してベゼル30を組み付ける際には、トリム20における複数のトリム側係合部241と、ベゼル30における複数のベゼル側係合部341とを係合させて、ネジ等の締結部材50をベゼル側締結部342を介してトリム側締結部242に取り付けることにより、トリム20及びベゼル30が組み付けられた状態となる。
【0034】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(4)を得ることができる。
【0035】
(1)上記実施形態による高電圧電池の被水防止構造1では、庇部26をトリム20における空気流れ方向の上流側で、かつトリム側空気取込口22よりも車両高さ方向の上方に設けた。上記実施形態の被水防止構造1によれば、例えば、トリム側空気取込口22における車両高さ方向の上方に座席等が設けられている場合に、当該座席に載置された水分の入ったポリタンクやペットボトルが誤って傾倒し、水分が座席の下方に配置されたトリム側空気取込口22に流れたとしても、トリム側空気取込口22の上方に設けられた庇部26によって、トリム側空気取込口22の手前(空気流れの上流側の部分)に水分が入らないようにすることができる。すなわち、被水防止構造1は、トリム20に対する水分の浸入を止めることができる。その結果、被水防止構造1は、高電圧電池BTを冷却する空気を取り込むトリム側空気取込口22に水分が溜まることを抑制可能な高電圧電池の被水防止構造1を提供することができる。さらに、被水防止構造1は、トリム20以外に部品を追加することなく、高電圧電池の被水防止対策を行うことができる。
【0036】
(2)上記実施形態による高電圧電池の被水防止構造1では、庇部26を車両幅方向外側に向けて下り勾配となるように形成した。これにより、被水防止構造1は、庇部26の上部に流れ落ちた水分を車両幅方向外側に向けて排水させ、トリム20のトリム側空気取込口22から水分が吸い込まれることを抑制できる。
【0037】
(3)上記実施形態による高電圧電池の被水防止構造1では、トリム20におけるトリム側空気取込口22とトリム側取付部24との間の領域に傾斜下面部SBを形成するとともに、トリム20及びベゼル30が組み付けられた状態において、傾斜下面部SBに対して車両高さ方向の下方におけるトリム側取付部24とベゼル側取付部34との間に、隙間Gを形成した。これにより、被水防止構造1は、トリム20のトリム側空気取込口22周辺に水分が浸入した場合に、傾斜下面部SBの傾斜している方向に水分を排出することができる。これにより、被水防止構造1は、トリム20内にトリム側空気取込口22における空気流れの上流側の部分に水分が溜まるのを抑制し、浸入した水分を外側(空気流れの上流側)に流出させることができる。さらに、被水防止構造1は、トリム20内に浸入した水分をトリム側取付部24とベゼル側取付部34との間に形成された隙間Gから外部に排出することができる。これらの結果、被水防止構造1は、トリム20のトリム側空気取込口22とトリム側取付部24との間の空間Sに、水分が溜まることを効果的に抑制することができる。
【0038】
(4)上記実施形態による高電圧電池の被水防止構造1では、ベゼル側取付部34における車両高さ方向の下方に、車両高さ方向に沿って延びるように形成したリブ36によって隙間Gを形成した。これにより、被水防止構造1は、リブ36によって効果的に隙間Gを形成し、トリム20とベゼル30との間に浸入した水分をリブ36の延びる方向(車両高さ方向)における下方に向けて排出し易くすることができる。さらに、被水防止構造1は、リブ36によってベゼル30の剛性を向上することができる。
【0039】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0040】
上記実施形態では、トリムに設けられた庇部を車両幅方向外側に向けて下り勾配となるようにする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トリムのトリム側空気取込口に水分が浸入しないようにすることが可能であれば、庇部を車両幅方向内側に向けて下り勾配となるように形成することも可能であるし、庇部の中央から車両幅方向の内側及び外側の両側に下り勾配となるように屋根のように形成することも可能である。
【0041】
上記実施形態では、ベゼルの裏面に車両高さ方向に延びるようにリブを形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トリムの表面(トリム側取付部)に車両高さ方向に延びるようにリブを形成してもよい。また、ベゼルの裏面(ベゼル側取付部)及びトリムの表面(トリム側取付部)の両方に車両高さ方向に延びるようにリブを形成してもよい。
【0042】
上記実施形態では、ベゼルの裏面に車両高さ方向に延びるようにリブを形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トリム内に浸入した水分をリブに沿って排出することが可能であれば、リブが車両高さ方向に対して傾斜するように形成されていてもよい。
【0043】
上記実施形態では、トリムのトリム側取付部とベゼルのベゼル側取付部との間に、リブによって隙間を形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トリムのトリム側取付部とベゼルのベゼル側取付部との間にリブ以外の部材を設けて隙間を形成するようにすることも可能である。
【0044】
上記実施形態では、電池収容室に空気を送り込むための送風装置の一例として冷却ブロアを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電池収容室に空気を送り込むことが可能であれば、冷却ブロア以外の送風装置も適用可能である。
【0045】
上記実施形態では、後部座席の下部(車室内における車両高さ方向の下方)に配置された電池収容室に高電圧電池を搭載する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、後部座席の荷室の下部に高電圧電池を搭載するための電池収容室を配置してもよい。この場合、空気取込口を後部座席の下部に設けるとよい。
【0046】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0047】
1 :被水防止構造
10 :電池収容室
12 :冷却ブロア(送風装置)
20 :トリム(空気取込部)
22 :トリム側空気取込口(空気取込口)
24 :トリム側取付部
241 :トリム側係合部
242 :トリム側締結部
26 :庇部
30 :ベゼル(空気取込部)
32 :ベゼル側空気取込口(空気取込口)
34 :ベゼル側取付部
341 :ベゼル側係合部
342 :ベゼル側締結部
36 :リブ
100 :車両
BT :高電圧電池
G :隙間
SB :傾斜下面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6