(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】カプセル、そのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム、および飲料調製装置におけるそのようなカプセルの使用方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20240513BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20240513BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/36 122
A47J31/40 107
(21)【出願番号】P 2021184609
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2017559326の分割
【原出願日】2016-05-13
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2015/050352
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2015/000018
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2015/050611
(32)【優先日】2015-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2015/050349
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ヒエルケ ディストラ
(72)【発明者】
【氏名】アレンド ヘンドリック グロースオルンテ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピーター ファン ガースベーク
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヘンリクス ヨセフ オッテンスコット
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ カメルベーク
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ヨード エイヤサッカース
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンリ フラマンド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ミカエル ハリーデイ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス アンドリュー ハンセン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/118812(WO,A1)
【文献】特表2008-517838(JP,A)
【文献】国際公開第2014/012783(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
A47J 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(2)内に加圧下で供給された流体を用いて該カプセル(2)から飲用可能な飲料を調製するためのシステム(1)であって、
該カプセル(2)を受け取るための囲み部材(6)を備える飲料調製装置(4)であって、該囲み部材(6)は、加圧下の流体を該カプセル(2)内に供給するための流体注入手段(10)を備え、該飲料調製装置(4)はさらに、該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)を閉じるための閉じ部材(8)を備え、該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)はさらに、環状要素中心軸(41A)および自由接触端部(30)を有する環状要素(41)を備えている、上記飲料調製装置(4)と、
加圧下で流体をカプセル(2)内に供給することによって物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための該物質を容れるカプセル(2)であって、該カプセル(2)は、カプセル本体中心軸(12A)を有するアルミニウムカプセル本体(12)を備え、該アルミニウムカプセル本体(12)は、底(18)と、側壁(16)と、外向きに延在しているフランジ(20)とを備え、該カプセル(2)はさらに、該外向きに延在しているフランジ(20)に取り付けられたアルミニウム蓋(14)を備え、該
アルミニウム蓋(14)は該カプセル(2)を密閉的に閉じ、該カプセル(2)はさらに、該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)に流体封止接触を与えるために、該外向きに延在しているフランジ(20)に封止部材(28)を備え、該カプセル(2)が飲料調製装置(4)の囲み部材(6)内に置かれ、かつ該囲み部材(6)が該飲料調製装置(4)の閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該カプセル(2)の該外向きに延在しているフランジ(20)と該カプセル(2)の該封止部材(28)の少なくとも1部分とが、該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)と該閉じ部材(8)との間で封止的に係合し、上記カプセル(2)において、該封止部材(28)は、該外向きに延在しているフランジ(20)と一体になっており、該外向きに延在しているフランジ(20)から突出している
第1の突出部
(50)を備え、
該第1の突出部
(50)は、突出部頂部を含み、該カプセル(2)が該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)内に置かれ、かつ該囲み部材(6)が該飲料調製装置(4)の該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該
第1の突出部(50
)は、その突出部頂部が該環状要素(41)の該自由接触端部(30)に半径方向の力を加えるように構成されている、ことを特徴とする、上記カプセル(2)と
を備えるシステム(1)において、
該封止部材(28)はさらに、該外向きに延在しているフランジ(20)から突出している
第2の突出部
(51)と、該
第1の突出部(50
)と
該第2の突出部(51)との間のプラトー部(52)とを備え、該
第1の突出部(50
)と
該第2の突出部(51)との間の距離は、該カプセル(2)が該囲み部材(6)内に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該環状要素(41)の該自由接触端部(30)が該
第1の突出部(50
)と
該第2の突出部(51)との間に置かれるような距離であり、
該封止部材(28)と該カプセル(2)本体の残部とは、同じ板材で作られており、
該囲み部材(6)
が、該閉じ部材(8)
によって中間にある該封止部材(28)と共に
閉じられるときに、該環状要素(41)の該自由接触端部(30)が、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの
該第1の突出部(50)に最初に接触し、その後に、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの
該第2の突出部(5
1)に接触しうるように、該囲み部材(6)および該突出部は配設されている、
上記システム(1)。
【請求項2】
該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの該第1の突出部(5
0)は、該
アルミニウム蓋(14)が取り付けられているところの、該外向きに延在しているフランジ(20)のベース部分(23)から、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの該第2の突出部(5
1)よりもさらに突出している、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの該第1の突出部(5
0)は、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの、半径方向
に内側の突出部である、請求項2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
該封止部材(28)は、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの内側突出部と該側壁(16)との間に環状のトラフ(55)を備え、該環状のトラフ(55)は、該
アルミニウム蓋(14)が取り付けられているベース部分(23)から軸方向に間隔を空けて配設された底(18)を有している、請求項1~3の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
該プラトー部(52)は、該
アルミニウム蓋(14)から軸方向に間隔を空けて配設されている、請求項1~4の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
該プラトー部(52)は、該
アルミニウム蓋(14)から軸方向に間隔を空けて配設されており、該環状のトラフ(55)の該底(18)は、該
アルミニウム蓋(14)から第1の軸方向の距離にあり、該プラトー部(52)は、該
アルミニウム蓋(14)から第2の軸方向の距離にあり、前記第2の軸方向の距離は、前記第1の軸方向の距離よりも大きい、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項7】
使用中、該囲み部材(6)を閉じることが、該環状のトラフ(55)を該
アルミニウム蓋(14)に実質的に接触させるように該側壁(16)を変形させるように、該封止部材(28)は変形可能である、請求項6に記載のシステム(1)。
【請求項8】
該第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの内側
の突出部は、該プラトー部(52)が該
アルミニウム蓋(14)に接触するように該封止部材(28)が変形される
ときに、それが曲げられて開けられるように形状決めされている、請求項6または7に記載のシステム(1)。
【請求項9】
該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの半径方向
に外側
の突出部は、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの該内側突出部よりも、半径方向外向きの変形に対して大きい剛性を有している、請求項1~8の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの該第1の突出部(
50)は、29.2~29.8mmの直径において、カプセル本体軸線(12A)の周りに延在する最上端部を有しており、該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの
該第2の突出部(5
1)は、31.9~32.4mmの直径において、該カプセル本体軸線(12A)の周りに延在する最上端部を有している、請求項1~9の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
該第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの外側
の突出部は、該カプセル本体軸線(12A)に対して8°未満の包囲角度で延在する、略内向きに向く表面部分を有する、請求項1~10の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
該
第1の突出部(50
)と
該第2の突出部(51)との間の該距離は、該カプセル(2)が該囲み部材(6)の中に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該環状要素(41)の該自由接触端部(30)が該
第1の突出部(50
)及び
該第2の突出部(51)に接触されるような距離である、請求項1~11の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
間隔を空けて配設された該
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)並びに該プラトー部(52)は、該カプセル(2)が該囲み部材(6)の中に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該環状要素(41)の該自由接触端部(30)が該プラトー部(52)
に接触されるように配設されている、請求項1~12の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項14】
該カプセル(2)は、該カプセル(2)が該囲み部材(6)の中に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該囲み部材(6)のための支持部を備え、前記支持部は、該環状要素(41)の該自由接触端部(30)の少なくとも1部分を包囲し、前記支持部は、該
第1の突出部(50)
及び該第2の突出部(51)並びにそれらの間の該プラトー部(52)によって形成されている、請求項1~13の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
該カプセル本体軸線(12A)を通る平面に沿った断面で見たときに、該プラトー部(52)は、前記
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの外側
の突出部への移行部を形成する傾斜したセクションを有しており、該傾斜したセクションは、より湾曲したセクション同士の間で比較的真っ直ぐなセクションを構成している、請求項1~14の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項16】
該傾斜したセクションは、該
アルミニウム蓋(14)に対して少なくとも10°且つ最大で60°の包囲角度で配向されている、請求項15に記載のシステム(1)。
【請求項17】
該プラトー部(52)は、実質的に平坦である、請求項1~14の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項18】
該プラトー部(52)は、湾曲した部分を備えている、請求項1~14の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項19】
前記
第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうちの外側
の突出部は、軸方向に圧縮される
ときに、該
第1の突出部(50
)と
該第2の突出部(51)との間に置かれている該環状要素(41)の自由端部の外向きに向く表面に接触しながら、半径方向外向きにロールおよびバックルするように形状決めされている、請求項1~18の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項20】
該第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうち
の外側
の突出部から、該
アルミニウム蓋(14)が取り付けられているベース部分(23)の半径方向外向きに突出している(20)への移行部は、0.15mm未満の内部半径を有しており、
該第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうち
の外側
の突出部の半径方向外側の壁は、該カプセル本体軸線(12A)に対して、8°未満の包囲角度で配向されている、請求項1~19の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項21】
該
第1の突出部
(50)は、突出部側壁を含み、
該突出部側壁は、該アルミニウムカプセル本体(12)の該外向きに延在しているフランジ(20)に対して傾斜しており、前記突出部側壁は、該カプセル(2)が該飲料調製装置(4)の該囲み部材(6)内に置かれかつ該囲み部材(6)が該飲料調製装置(4)の該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、それが変形されるように構成されている、請求項1~20の何れか1項に記載のシステム(1)。
【請求項22】
該環状要素(41)の前記自由接触端部(30)に、半径方向に延在する複数の開放溝が設けられており、該環状要素(41)の前記自由接触端部(30)は、該カプセル(2)が該囲み部材(6)内に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該第1の突出部(50
)に接触する第1の円周方向の表面部分と、該カプセル(2)が該囲み部材(6)内に置かれかつ該囲み部材(6)が該閉じ部材(8)によって閉じられる
ときに、該第2の突出部(
51)に接触する第2の円周方向の表面部分と、を有しており、前記半径方向に延在する複数の開放溝は、前記第2の表面部分の中においてよりも、前記第1の表面部分の中において、より深くなっており、または、前記半径方向に延在する複数の開放溝は、前記第2の表面部分の中にはない、請求項3に記載のシステム(1)。
【請求項23】
該環状要素(41)は、該傾斜したセクションの変形のために配設されている、請求項15又は16に記載のシステム(1)。
【請求項24】
該環状要素(41)は、外側隆起部および内側隆起部を有しており、
該第1の突出部(50
)及び該第2の突出部(51)のうち
の外側
の突出部は、該封止部材(28)が該囲み部材(6)と該閉じ部材(8)との間でクランプされる
ときに、前記外側隆起部と内側隆起部との間で変形されるように配設されている、請求項1~23の何れか1項に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を加圧下でカプセル内に供給することにより、物質を抽出及び/又は溶解することによって、飲用可能な飲料を調製するための物質を容れるカプセルに関する。ここで該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底、側壁、および外向きに延在するフランジを備え、該カプセルはさらに、外向きに延在するフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備えており、該蓋はカプセルを封止的に閉じる。ここで、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材(例えば飲料調製装置の抽出プレート)によって閉じられる場合に、カプセルはさらに、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触を与えるために、外向きに延在するフランジに封止部材を備えており、カプセルの外向きに延在するフランジとカプセルの封止部材の少なくとも1部分とが、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間に封止的に係合されうる。ここで、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸と自由接触端部とを有する環状要素を備え、該環状要素の上記自由接触端部は、半径方向に延在する複数の開放溝を任意的に設けられる。
【0002】
本発明はまた、カプセル内に加圧下で供給された流体を用いて該カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステムに関しており、該システムは、
該カプセルを受け取るための囲み部材を備える飲料調製装置であって、該囲み部材は、加圧下の流体を該カプセル内に供給するための流体注入手段を備え、該飲料調製装置はさらに、該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるための閉じ部材、例えば抽出プレートを備え、該飲料調製装置の該囲み部材はさらに、環状要素中心軸および自由接触端部を有する環状要素を備え、該環状要素の該自由接触端部は任意的に、半径方向に延在している複数の開放溝を備えている、上記飲料調製装置と、
該飲料調製装置の該流体注入手段により加圧下で該カプセル内に供給された流体によって、物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用可能な飲料を調製するための物質を容れるカプセルであって、該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底と、側壁と、外向きに延在しているフランジとを備え、該カプセルはさらに、該外向きに延在しているフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備え、該蓋は該カプセルを密閉的に閉じる、ここで該カプセルはさらに、該飲料調製装置の該囲み部材との流体封止接触を与えるために、該外向きに延在するフランジに封止部材を備え、該カプセルが該飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレート、によって閉じられている場合に、該カプセルの該外向きに延在しているフランジと該カプセルの該封止部材の少なくとも1部分とが、該飲料調製装置の該囲み部材と該閉じ部材との間で封止的に係合されている、上記カプセルとを備えている。
【0003】
さらに本発明は、カプセルを受け取るための囲み部材を備える飲料調製装置における該カプセルの使用方法に関しており、該囲み部材は、加圧下の流体を該カプセル内に供給するための流体注入手段を備え、該飲料調製装置はさらに、該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるための閉じ部材、例えば抽出プレートを備え、該飲料調製装置の該囲み部材はさらに、環状要素中心軸および自由接触端部を有する環状要素を備え、該環状要素の該自由接触端部は、任意的に複数の半径方向の溝を備えており、
該カプセルは、該飲料調製装置の該流体注入手段により加圧下で該カプセル内に供給された流体よって物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用可能な飲料を調製するための物質を容れ、該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底と、側壁と、外向きに延在しているフランジとを備え、該カプセルはさらに、該外向きに延在しているフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備え、該蓋は該カプセルを密閉的に閉じる、ここで、該カプセルが該飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレート、によって閉じられている場合に、該飲料調製装置の該囲み部材と流体封止接触を与えるために、該カプセルはさらに該外向きに延在するフランジに封止部材を備え、従って該カプセルの該外向きに延在しているフランジと該カプセルの該封止部材の少なくとも1部分とが、該飲料調製装置の該囲み部材と該閉じ部材との間で封止的に係合される。
【背景技術】
【0004】
そのようなカプセル、システム、および使用方法は、欧州特許(EP-B-1 700548)で公知である。公知のシステムにおいて、カプセルは、段差の形状、すなわちカプセルの側壁の直径の急な増加を有する封止部材を備え、そしてこの公知のシステムの囲み部材は、封止部材にたわみを与えるように封止部材に作用する封止表面を有し、該封止部材は、該封止部材のたわみが内側かつ下側への段差の変形であるように傾けられている。さらに公知のシステムにおいて、該囲み部材は、カプセルホルダと、該囲み部材と該カプセルホルダとの相対変位のための手動操作式または自動機構を備える。手動操作式又は自動機構は、該囲み部材が該カプセルホルダ上で閉じるときに、該カプセルの該封止部材に力を加える。この力は、該囲み部材と該カプセルとの間の流体密封を保証するはずである。手動操作または自動機構が、ベースに相対的に移動するように配設されているので、システムの封止能力は、該流体注入手段によって注入される該流体の圧力に依存しうる。流体の圧力が増加すると、該カプセルの封止部材と該囲み部材の自由端部との間の力も増大し、それにより該カプセルの封止部材と該囲み部材の自由端部との間の力もまた増大する。このようなシステムは後で説明される。該カプセルの封止部材は、該囲み部材内において最大流体圧に到達すると、該封止部材は該囲み部材と該カプセルとの間の流体封止接触をやはり提供すべきであるように、配設されていなければならない。しかし、該封止部材はまた、調製の前または開始時で、該カプセルの外側かつ該囲み部材内の流体の圧力が比較的低いときに、封止部材はまた該囲み部材と該カプセルとの間の流体封止接触を与えるように、配設されていなければならない。調製の開始時に、該カプセルと該囲み部材との間に流体封止接触が存在しない場合、漏れが生じるだろう。しかし、もし漏れが生じると、手動操作式又は自動機構が該囲み部材を該カプセルホルダの方へ移動させる場合に、囲み部材の自由端部による封止部材への力を増加させるための、該囲み部材内のかつ該カプセルの外側の圧力が、十分に上昇しないことが現実に生じうる。十分な初期封止が存在する場合にのみ、該囲み部材内の圧力は増加し、それによりまた該囲み部材の自由端部の該カプセルの封止部材へ作用する力は、増加し、増加した流体圧で十分な流体封止接触を与える。さらに、該カプセルの外側でのこの増加した流体圧はまた、該カプセルの内側での増加した圧力を与え、該圧力は、該カプセルが飲料調製装置のカプセルホルダ(また抽出プレートと呼ばれる)の浮彫部材上で、カプセル内の流体圧の影響下で裂開するように配設されている蓋を備えている場合には、必須である。
【0005】
上記のことから、封止部材が設計上極めて重要な部材であるということになる。囲み部材の自由端部によって比較的小さな力しか封止部材に加えられない場合には、比較的低い流体圧で囲み部材とカプセルとの間の流体封止接触を提供できるべきである。しかし、該囲み部材の自由端部によって該カプセルの封止部材により強い力が加えられる場合、該カプセルの外側での該囲み部材内の遥かに高い流体圧で流体封止接触が与えられるべきである。特に、該囲み部材の自由接触端部が半径方向に延在する開放溝(それは空気入口通路として働く)を備えるとき、使用者にとってカプセルを取り出すのが容易であるように、一度、該囲み部材と該カプセルホルダとの間の力は、解放され、該封止材はまた、効果的な封止を提供するために該半径方向に延在する開放溝を「閉じる」ことができなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製造が比較的容易であるところの代替の封止部材を提供することであり、これは、カプセルが使用後に廃棄される場合に環境に優しく、および/または、これは、自由接触端部が半径方向に延在する開放溝を備えているところの囲み部材の場合にさえ、該囲み部材の該自由端部によって比較的小さな力しか該封止部材に加えられない場合には(初期封止と呼ばれる場合もある)、比較的低い流体圧において、また、該囲み部材の該自由端部によって該カプセルの該封止部材により強い力が加えられる場合(例えば調製中に)、遥かに高い流体圧の両方において、満足のいく封止を与える。
【0007】
本発明はまた、カプセルから飲用可能な飲料を調製するための代替のシステムを提供すること、および飲料調製装置におけるカプセルの代替の使用方法を提供することを目的として有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従い第1の局面において提供されるのは、加圧下で流体をカプセル内に供給することによって物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための該物質を容れるカプセルであって、該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底と、側壁と、外向きに延在しているフランジとを備え、該カプセルはさらに、該外向きに延在しているフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備え、該蓋は該カプセルを密閉的に閉じ、該カプセルはさらに、該飲料調製装置の囲み部材に流体封止接触を与えるために、該外向きに延在しているフランジに封止部材を備え、該カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材、例えば該飲料調製装置の抽出プレート、によって閉じられる場合に、該カプセルの該外向きに延在しているフランジと該カプセルの該封止部材の少なくとも1部分とが、該飲料調製装置の該囲み部材と該閉じ部材との間で封止的に係合し、該飲料調製装置の該囲み部材は、環状要素中心軸と自由接触端部とを有する環状要素を備え、該環状要素の該自由接触端部は、半径方向に延在する複数の開放溝を任意的に備えてもよい、上記カプセルにおいて、該封止部材は、該外向きに延在しているフランジと一体になっており、該外向きに延在しているフランジから突出している少なくとも1つの突出部を備え、該少なくとも1つの突出部は、突出部頂部を含み、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれ、かつ該囲み部材が該飲料調製装置の該閉じ部材によって閉じられる場合に、該少なくとも1つの突出部は、その突出部頂部が該環状要素の該自由接触端部に半径方向の力を加えるように構成されている、ことを特徴とする、上記カプセルである。該封止部材は、該外向きに延在しているフランジと一体になっており、少なくとも1つの突出部を備えており、少なくとも1つの突出部の該頂部が、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部に半径方向の力を加えるので、満足のいく封止が得られうる。そのような封止部材は、製造が比較的容易である。その上、半径方向に延在する開放溝を備えている該自由接触端部によって、満足のいく封止を提供することができる。それに加えて、該封止は、該飲料調製装置の内側の該カプセルの位置決めを容易にする。
【0009】
この用途において、流体封止接触の存在は、該飲料を調製するために該囲み部材へ供給された総流体の0~6%、好ましくは0~4%、より好ましくは0~2.5%が、該自由接触端部と該カプセルの該封止部材との間の漏洩によって漏洩しうることを意味する。
【0010】
本発明は、カプセルの実施態様において、該カプセルが、飲用可能な飲料を調製するための物質として抽出可能な製品を容れ、該抽出可能な製品は、好ましくは5~20グラムの、好ましくは5~10グラムの、より好ましくは5~7グラムの抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーである場合に特に有利である。
【0011】
特に製造が容易な本発明に従うカプセルの実施態様において、該カプセルの外向きに延在しているフランジの外径は、該カプセルの底の直径よりも大きい。好ましくは、該外向きに延在しているフランジの外径は約37.1mmであり、該カプセルの底の直径は約23.3mmである。
【0012】
本発明は、カプセルの実施態様において、該アルミニウムカプセル本体の厚さが、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、それが容易に変形されるようになっており、好ましくは、該アルミニウムカプセル本体の該厚さは、20~200マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートルである場合に特に有利である。
【0013】
本発明は、カプセルの実施態様において、アルミニウム蓋の厚さが15~65マイクロメートル、好ましくは30~45マイクロメートル、より好ましくは39マイクロメートルである場合に特に有利である。
【0014】
本発明に従うカプセルの一実施態様において、該アルミニウム蓋の壁厚は、該アルミニウムカプセル本体の壁厚よりも薄い。
【0015】
本発明に従うカプセルの別の実施態様において、該アルミニウム蓋は、該カプセル内の流体圧の影響下で、該飲料調製装置の閉じ部材、例えば該飲料調製装置の抽出プレート上で裂開するように配設されている。
【0016】
特に製造が容易な本発明に従うカプセルの実施態様において、該アルミニウムカプセル本体の側壁は、底に対向する自由端部を有し、該外向きに延在しているフランジは、該側壁の該自由端部から、少なくとも実質的にカプセル本体中心軸を横切る方向に延在する。好ましくは、該外向きに延在しているフランジは、半径方向に延在する開放溝が設けられた自由接触端部で満足のいく封止を得るのに有効な湾曲外縁部を含む。該外向きに延在しているフランジの湾曲外縁部の内縁の、カプセル本体中心軸の周りの半径は、好ましくは、少なくとも32mmであるので、該囲み部材の環状端面からのクリアランスが確保される。すると、封止部材が、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端部に外向きに延在しているフランジの湾曲外縁部の間に位置されることが、さらに満足な封止を得るために好ましい。
【0017】
湾曲外縁部が、広範囲の市販および将来の飲料調製装置の動作を妨げないことを保証するために、該外向きに延在しているフランジの該湾曲外縁部は、約1.2ミリメートルの最大寸法を有する。
【0018】
本発明は、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端部の内径が約29.5mmであるカプセルに特に有益である。アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端部と外向きに延在しているフランジの最外縁との間の距離は、約3.8ミリメートルとすることができる。アルミニウムカプセル本体の好ましい高さは約28.4mmである。
【0019】
使用後に使用者が該飲料調製装置から取り出すことがより容易な本発明に従うカプセルの一実施態様において、該アルミニウムカプセル本体は切頭されており、好ましくは該アルミニウムカプセル本体の側壁は、該カプセル本体中心軸に対して直角の線と約97.5°の角度を有する。
【0020】
本発明に従うカプセルの有利な実施態様において、アルミニウムカプセル本体の底は、約23.3mmの最大内径を有する。アルミニウムカプセル本体の底は切頭されており、好ましくは約4.0mmの底高さを有し、底は蓋とは反対側の略平坦な約8.3mmの直径を有する中央部分を有することが好ましい。
【0021】
事実上すべての場合に、本発明に従うカプセルの実施態様において、該囲み部材が閉じられたときに、該囲み部材の該自由端部によって最初に接触される該封止部材部分の高さは、少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.8mm、そして最大で3mm、より好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1.2mmである。
【0022】
本発明に従うカプセルの好ましい実施態様において、該カプセルは内表面を備え、該カプセルの少なくとも側壁の内表面に内側コーティングが施されている。特に、該カプセルが深絞り成形によって製造されるとき、内側コーティングは深絞り加工を容易にする。該カプセルのアルミニウム蓋が封止ラッカーによって該外向きに延在しているフランジに取り付けられる場合に、上記内側コーティングが該封止ラッカーと同じ材料で構成されている場合に、特に有利である。使用された内側コーティングに依存して、該封止部材からの該内側コーティングの剥がれ落ちを防止するために、該封止部材に内側コーティングがないことが好ましい。
【0023】
本発明に従うカプセルの別の実施態様において、該カプセルは、外表面を含み、ここで該カプセルの該外表面にカラーラッカーが塗布される。深絞りを容易にするために、該カラーラッカーの外表面に外側コーティングを与えることは好ましい。用いられた該カラーラッカーおよび外側コーティングに依存して、該封止部材が、該封止部材からのカラーラッカー/外側コーティングの剥がれ落ちを防止するために、該封止部材が、カラーラッカー(および結果として外側コーティング)を含まないことが好ましい。
【0024】
本発明に従うカプセルの一層さらなる実施態様において、該少なくとも1つの突出部は、突出部側壁を含み、突出部側壁は、該アルミニウムカプセル本体の該外向きに延在しているフランジに対して傾斜しており、該突出部側壁は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、それが容易に変形されるように構成されている。これは、該自由接触端部に加えられる力を改善し、したがって該封止を改善する。次いで、該アルミニウムカプセル本体の該突出部と該側壁との間の該距離は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部が、該アルミニウムカプセル本体の該突出部および該側壁に接触されるようになっている場合に好適である。
【0025】
本発明に従うカプセルの有利な実施態様において、該外向きに延在しているフランジから突出している該少なくとも1つの突出部に加えて、該封止部材は、該アルミニウムカプセル本体の該突出部頂部と該側壁との間にプラトー部を含む。支持部が、該アルミニウムカプセル本体の該突出部、プラトー部、および該側壁によって形成されており、該突出部と該側壁との間の該距離は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部が、該アルミニウムカプセル本体の該突出部および該側壁によって包囲されるようになっている場合に、封止を提供することに関して有益である。
【0026】
該突出部、該アルミニウムカプセル本体の該側壁、および該プラトー部は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部が該プラトー部に接触されるように配設されうる。
【0027】
代替的に、該封止部材は、該外向きに延在しているフランジからそれぞれ突出している、間隔を空けて配設された2つの突出部と、該2つの突出部の間のプラトー部とを備えることができ、該2つの突出部の間の該距離は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部が、該2つの突出部の収束表面の間で圧搾されるようになっている。次いで、該2つの突出部の間の該距離は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部が、該2つの突出部に接触されるようになっている場合に好適である。特に、該間隔を空けて配設された2つの突出部およびプラトー部が、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部がプラトー部に接触されるように配設されるようになっている場合に、満足のいく封止が得られうる。該カプセルは、好ましくは、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に該飲料調製装置の該囲み部材のための支持部を備えることができ、該支持部は、該環状要素の該自由接触端部の少なくとも1部分を包囲し、該支持部は、該2つの突出部およびその間にある該プラトー部によって形成されている。
【0028】
該プラトー部は、実質的に平坦であることができ、または、湾曲した部分を備えることができる。プラトー部がV字形状になっている、本発明に従うカプセルの実施態様が、特に有利である。このように、該環状部材の該自由接触端部は、該2つの突出部の間で圧搾され、満足のいく封止を提供する。
【0029】
本発明の実施態様のさらなる目的は、特に、該自由接触端部の直径、厚さ、および形状の変化(それは、調製システムの異なるモデルの間で起こる)、ならびに、該自由接触端部のおよび/または該カプセルの該フランジの非円形性(例えば楕円性)に対する感度をほとんど持たずに、該囲み部材の該自由接触端部に対して確実な低いおよび高い圧力封止を実現することである。非円形性は、例えば、ショッピングバッグまたはトローリーの中でのカプセルの圧縮から生じうる。本発明の実施態様において、この目的は、該2つの突出部のうちの第1の突出部が、該2つの突出部のうちの第2の突出部よりも、該蓋が取り付けられている該外向きに延在しているフランジのベース部分から遠くに突出しているということを提供することによって、達成される。
【0030】
該囲み部材が閉じるときに、ベース部分から最も遠くに突出している該突出部のうちの1つの大き過ぎる部分が、該自由接触端部と軸方向に一直線に置かれる場合に、それは、半径方向に離れるように付勢され、該自由接触端部が、その該突出部のうちの最も遠くに突出している突出部に沿って進むようになっている。また、この半径方向の変位は、該突出部のうちの他方を該自由接触端部に向けて半径方向に同伴し、それが該自由接触端部との安定した封止係合のために正確に位置決めされているようになっている。そのうえ、該突出部のうちの最も遠くに突出している突出部は、比較的大きい距離にわたって、半径方向に変形可能であり、該突出部のうちの他方が比較的硬い状態でも、それが、比較的大きい偏差に適合することができるようになっており、それは、安定した封止圧力を加えるのに有利である。
【0031】
該突出部のうちの該第1の突出部が、該2つの突出部のうちの該内側突出部である場合に、該カプセルは、市販の装置、例えば、Citiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、およびEssenzaにおいて使用するのに特に適切であり、ここでは該環状要素の該自由接触端部が、該半径方向に延在している複数の開放溝を備えており、該溝部は、該内側表面部分の中において、該自由接触端部の該外側表面部分の中よりも深くなっており、または、該溝部は該自由接触端部の該外側表面部分の中にはない。そのような装置において、確実かつ正確に位置決めされた封止が、該突出部のうちの該第2の突出部と該自由接触端部の該比較的滑らかな外側表面部分との間に得られる。
【0032】
確実な封止を達成するために、該2つの突出部のうちの該第1の突出部が、31.9~32.4mmの直径において、該カプセル軸線の周りに延在する最上端部を有し、該2つの突出部のうちの該第2の突出部が、29.2~29.8mmの直径において該カプセル軸線の周りに延在する最上端部を有する場合にも有利である。したがって、市販のコーヒーを淹れる装置、例えば、Citiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、およびEssenzaにおいて使用されるときに、該囲み部材の該自由端部の外縁部領域が、該第2の突出部に安定して押し付けられる。
【0033】
プラトー部が該蓋から軸方向に間隔を空けて配設される場合には、該第1突出部と第2の突出部との間のこの領域は、該囲み部材が該飲料調製装置の該閉じ部材によって閉じられている場合に、該蓋に向けて軸方向に変位される。これは、該第1の突出部および該第2の突出部が傾くことおよび「ローリングオフ(rolling off)」に起因して、該第1の突出部および該第2の突出部を該環状要素の該自由接触端部に向けて変形させ、それによって、該環状要素の該自由接触端部に対して加えられる該半径方向の接触圧力を増加させ、それは、満足のいく封止を達成することに貢献する。
【0034】
本発明に従う第2の局面において提供されるのは、カプセル内に加圧下で供給された流体を用いて該カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステムであって、
該カプセルを受け取るための囲み部材を備える飲料調製装置であって、該囲み部材は、加圧下の流体を該カプセル内に供給するための流体注入手段を備え、該飲料調製装置はさらに、該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるための閉じ部材、例えば抽出プレートを備え、該飲料調製装置の該囲み部材はさらに、環状要素中心軸および自由接触端部を有する環状要素を備え、該環状要素の該自由接触端部は半径方向に延在している複数の開放溝を任意的に備えていてもよい、上記飲料調製装置と、
該飲料調製装置の該流体注入手段により加圧下で該カプセル内に供給された流体によって、物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用可能な飲料を調製するための該物質を容れるカプセルであって、該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底と、側壁と、外向きに延在しているフランジとを備え、該カプセルはさらに、該外向きに延在しているフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備え、該蓋は該カプセルを密閉的に閉じる、ここで該カプセルはさらに、該飲料調製装置の該囲み部材との流体封止接触を与えるために、該外向きに延在するフランジに封止部材を備え、該カプセルが該飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられている場合に、該カプセルの該外向きに延在しているフランジと該カプセルの該封止部材の少なくとも1部分とが、該飲料調製装置の該囲み部材と該閉じ部材との間で封止的に係合されている、上記カプセル、とを備えている上記システムにおいて、該封止部材は、該外向きに延在しているフランジと一体になっており、該外向きに延在しているフランジから突出している少なくとも1つの突出部を備えており、該少なくとも1つの突出部は、突出部頂部を含み、該少なくとも1つの突出部は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、その突出部頂部が該環状要素の該自由接触端部に半径方向の力を加えるように構成されていることを特徴とする、上記システムである。
【0035】
該封止部材は、該外向きに延在しているフランジと一体になっており、少なくとも1つの突出部を備えており、少なくとも1つの突出部の該頂部が、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、該環状要素の該自由接触端部に半径方向の力を加えるので、満足のいく封止が得られうる。そのような封止部材は、製造が比較的容易である。そのうえ、半径方向に延在する開放溝を備えている該自由接触端部によって、満足のいく封止を提供することができる。
【0036】
1つまたは複数の突出部が、該蓋が取り付けられている、該フランジの少なくとも1つのベース部分から突出していてもよい。1つまたは複数の突出部が、ベース部分から、該蓋から離れる方向に軸方向に突出していてもよい。該突出部頂部は、突出部の1部分、例えば、該突出部の半分、3分の1、または4分の1を構成することができ、それは、ベース部分から軸方向に最も遠位にある。
【0037】
カプセルに関する従属請求項の特徴と同じ特徴に関する、従属請求項に記載されたようなシステムの好ましい実施態様に関しては、上記が参照される。
【0038】
本発明は、使用時に該飲料調製装置の該囲み部材内の最大流体圧が、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある、本発明に従うシステムに特に適している。このような高圧でさえ、該カプセルと該飲料調製装置との間の満足のいく封止が得られうる。
【0039】
好ましくは、該システムは、使用において、調製中に、該飲料調製装置の該囲み部材の自由端部が、該カプセルの外向きに延在しているフランジと該飲料調製装置の該囲み部材との間に流体封止接触を提供するように該カプセルの該封止部材に力F2を及ぼすように配設されている、ここで、F2は、該カプセルの外側での該飲料調製装置の該囲み部材内での流体圧P2が、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるとき、500~1500Nの範囲、好ましくは750~1250Nの範囲にある。特に該システムは、使用において、調製の前または開始時に、該飲料調製装置の該囲み部材の自由端部が、該カプセルの外向きに延在しているフランジと該飲料調製装置の該囲み部材との間に流体封止接触を提供するように該カプセルの該封止部材に力F1を及ぼすように構成されている。ここで、該カプセルの外側での該飲料調製装置の該囲み部材内での流体圧P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にあるときに、F1は30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。
【0040】
本発明に従うシステムの1実施態様において、該複数の半径方向に延在している開放溝は、該飲料調製装置の該環状要素の該自由接触端部の接線方向に互いに均一に間隔を空けられ、従って使用者にとってカプセルを取り出すことがより容易であり、一方でカプセルと飲料調製装置との間の十分な封止が依然として与えられる。
【0041】
本発明に従うシステムの有利な実施態様において、各溝の最長の接線幅(頂部から頂部、即ち溝と溝のピッチに等しい)は、0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmである、ここで、該飲料調製装置の該囲み部材の軸方向における各溝の最大高さは0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmであり、そして溝の数は90~110、好ましくは96である。溝の位置での該環状端部表面の半径方向の幅は、例えば、0.05~0.9mm、好ましくは0.2~0.7mm、より好ましくは0.3~0.55mmでありうる。本発明は、以下の発明に従うシステムの1実施態様へ適用されるときに、特に適合する、ここで、使用中に、該飲料調製装置の該閉じ部材が該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるとき、該飲料調製装置の該囲み部材の少なくとも該自由接触端部は、該飲料調製装置の該囲み部材内での流体の圧力の影響下において、該カプセルの該フランジと該飲料調製装置の該囲み部材の自由端部との間に最大の力を加えるように、該飲料調製装置の該閉じ部材に相対的に該飲料調製装置の該閉じ部材の方へ移動しうる。該囲み部材は、第1の部分および第2の部分を備え得、該第2の部分は、該囲み部材の該自由接触端部を備え、該第2の部分は、第1と第2の位置との間で該第1の部分に相対的に動きうる。該第2の部分は、該囲み部材内における流体圧の影響下において、第1の位置から該閉じ部材の方向における第2の位置の方へ動きうる。該第2の部分が流体圧P1を伴って該第1の部分内にある場合に、上で議論された該力F1は実現されうる。上で議論された該力F2は、該第2の部分が該囲み部材内の流体圧P2の影響下で該第2の部分の方へ動かされると、実現されうる。
【0042】
本発明に従う第3の局面において提供されるものは、カプセルを受け取るための囲み部材を備える飲料調製装置における本発明に従うカプセルの使用方法であって、該囲み部材は、加圧下の流体を該カプセル内に供給するための流体注入手段を備え、該飲料調製装置はさらに、該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるための閉じ部材、例えば抽出プレートを備え、該飲料調製装置の該囲み部材はさらに、環状要素中心軸および自由接触端部を有する環状要素を備え、該環状要素の該自由接触端部は、任意的に複数の半径方向の溝を備えており、該カプセルは、該飲料調製装置の該流体注入手段により加圧下で該カプセル内に供給された流体によって物質を抽出及び/又は溶解することにより飲用可能な飲料を調製するための物質を容れ、該カプセルは、カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体を備え、該アルミニウムカプセル本体は、底と、側壁と、外向きに延在しているフランジとを備え、該カプセルはさらに、該外向きに延在しているフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を備え、該蓋は該カプセルを密閉的に閉じる、ここで、該カプセルが該飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材、例えば飲料調製装置の抽出プレート、によって閉じられている場合に、該飲料調製装置の該囲み部材と流体封止接触を与えるために、該カプセルは該外向きに延在するフランジと一体の封止部材をさらに備え、従って該カプセルの該外向きに延在しているフランジと該カプセルの該封止部材の少なくとも1部分とが、該飲料調装置の該囲み部材と該閉じ部材との間で封止的に係合されている、上記使用方法である。本発明の使用方法の利点および該カプセルの従属クレームの特徴と同じ特徴に関する従属請求項に記載された使用方法の好ましい実施態様またはシステムの従属クレームについては、上記が参照される。
【0043】
本発明はこれ以降さらに、図面を参照しつつ非限定的な実施例により説明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明に従うシステムの1実施態様の概略の断面図である。
【
図2】本発明に従うシステムの飲料調製装置の1実施態様の斜視図であって、半径方向に延在する複数の開放溝を有する、本飲料調製装置の囲み部材の自由接触端部を示す。
【
図3A】使用前の本発明に従うカプセルの1実施態様の断面図である。
【
図3B】
図3Aのカプセルの拡大詳細図であり、外向きに延在するフランジおよび封止部材を示す。
【
図3C】使用後の
図3Aおよび
図3Bにおけるカプセルの外向きに延在するフランジの拡大詳細図である。
【
図4A】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第1実施態様の断面図である。
【
図4B】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第2実施態様の断面図である。
【
図4C】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第3実施態様の断面図である。
【
図4D】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第4実施態様の断面図である。
【
図4E】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第5実施態様の断面図である。
【
図4F】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第6実施態様の断面図である。
【
図4G】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第7実施態様の断面図である。
【
図5A】カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれる場合かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる間の、本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第7実施態様の変形の連続的な段階の概略の断面図である。
【
図5B】カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれる場合かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる間の、本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジにおける封止部材の第7実施態様の変形の連続的な段階の概略の断面図である。
【
図6】ブリッジが囲み部材の自由端部の内側リムと外側リムとの間に存在する場合の、変形されるフランジ部分および囲み部材の1部分の概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面および以下の記載において、同様の参照符号は同様の特徴を指す。
【0046】
図1は、カプセル内に圧力下で供給される流体を用いて、カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム1の1実施態様の概略の断面図である。システム1は、カプセル2と、飲料調製装置4とを備える。該装置4は、カプセル2を保持するための囲み部材6を備える。該装置4はさらに、カプセル2を支持するための閉じ部材(例えば抽出プレート)8を備える。
【0047】
図1において、明瞭のためにカプセル2と囲み部材6と抽出プレート8との間に隙間が描かれている。使用中、カプセル2は、囲み部材6および抽出プレート部材8と接触していることが理解されよう。囲み部材6は一般に、カプセル2の形状に相補的な形状を有している。飲料調製装置4はさらに、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲の圧力下で、ある量の流体(例えば水)を交換可能なカプセル2へ供給する流体注入手段10を備えている。
【0048】
図1に示された実施例において、交換可能なカプセル2は、カプセル本体中心軸12Aおよびアルミニウム蓋14を有しているアルミニウムカプセル本体12を備える。本文脈において、「アルミニウム」の意味は、アルミニウム合金をも含むと理解される。本実施例において、アルミニウムカプセル本体12は、側壁16と、第1端部で該側壁16を閉じる底18と、底18に対向する第2端部で周囲壁16の外側に延在し外向きに延在するフランジ20とを備えている。側壁16、底18および蓋14は、物質を抽出及び/又は溶解することによって、飲用可能な飲料の調製のための物質を含む内部空間22を囲む。好ましくは、該物質は、飲用可能な飲料を調製するための抽出可能な製品であり、該抽出可能な製品は、好ましくは、一杯の飲料の調製のために、5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの焙煎し挽かれたコーヒーである。カプセルは、当初は封止され、即ち使用前は気密に閉じられている。
【0049】
図1のシステム1は、入口開口部25を介して抽出可能な製品に流体を供給するための少なくとも1つの入口開口部25を底18に形成するために、カプセル2の底18を刺通するための底刺通手段24を含む。
【0050】
図1のシステム1はさらに、カプセル2の蓋14を穿孔するために、ここでは閉じ部材8の突出部として具体化された蓋刺通手段26を備える。蓋刺通手段26は、蓋14を破るように配置されうる。内部空間22の内部の(流体)圧力は、閾値圧を超えると、蓋刺通手段26に対して蓋14を十分な力で押圧する。アルミニウム蓋14はこのようにして、カプセル内の流体圧の影響下で飲料調製装置の閉じ部材8上で裂開されるように配置される。
【0051】
カプセル2はさらに、該外向きに延在しているフランジと一体の封止部材28を備えており、
図1、3A、および3Bにおいては抽象的なボックスとして表示されているが、
図4に関してはより詳細に記載されている。そこでは、カプセル2が囲み部材6内に置かれ、かつ囲み部材6が抽出プレート8によって閉じられる場合に、封止部材28は、囲み部材6との流体封止接触を与えるように配置されている。その結果、カプセル2の外向きに延在するフランジ20と封止部材28の少なくとも1部分とは、囲み部材6と抽出プレート8との間で封止的に係合される。これは、封止部材と自由接触端部との間の流体封止接触が確立されていることを意味する。
【0052】
図2に示されたように、飲料調製装置の囲み部材6は、環状要素中心軸41Aと自由端部30とを有する環状要素41を含む。環状要素41の自由端部30には、半径方向に延在している複数の開放溝40が設けられている。該複数の開放溝40は、環状要素41の自由端部30の接線方向に互いに均一に間隔を空けられている。各溝40の接線方向の最長幅は、0.9~1.1mm(ミリメートル)であり、好ましくは、0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、囲み部材6の軸方向における各溝40の最大高さは、0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、そして最も好ましいのは0.05mmである。溝40の数は、90~110の範囲内にあり、好ましくは96である。通常、溝の位置における自由端部の半径方向の幅は、0.05~0.9mm、より具体的には0.2~0.7mm、より具体的には0.3~0.55mmである。
【0053】
本発明に従うカプセルの実施態様が、
図3A及び3Bにより詳細に示されている。図示された実施態様において、外向きに延在しているフランジ20の外径ODFは、カプセル2の底18の直径DBよりも大きい。図示された実施態様において、外向きに延在しているフランジ20の外径ODFは約37.1mmであり、底18の直径DBは約23.3mmである。アルミニウムカプセル本体12の厚さは、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、それが容易に変形されるようになっており、好ましくは、該アルミニウムカプセル本体の該厚さは、100マイクロメートルであるが、他の実施態様において、該厚さは、20~200マイクロメートルでありうる。
【0054】
図示された実施態様において、アルミニウム蓋14の壁厚は39μmである。アルミニウム蓋14の壁厚は、好ましくはアルミニウムカプセル本体12の厚さよりも薄い。
【0055】
アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、底18に対向する自由端部42を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端部42の内径IDFは、約29.5mmである。外向きに延在するフランジ20は、その自由端部42から、カプセル本体中心軸12Aを少なくとも実質的に横切る方向に延在している。外向きに延在するフランジ20は、カプセルと囲み部材との間の封止を得るのに有益な湾曲外縁部43を備える。図示された実施態様において、外向きに延在しているフランジ20の湾曲外縁部43は、約1.2mmの最大寸法を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端部42と湾曲外縁部43の内縁43Aとの間の距離DIFは、約2.7mmであり、一方、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端部42と外向きに延在しているフランジ20の最外縁部43Bとの間の距離DOFは、約3.8mmである。湾曲外縁部43の内縁43Aのカプセル本体中心軸周りの半径は、好ましくは少なくとも32mmである。
【0056】
図3A及び3Bに示されたように、封止部材28は、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端部と外向きに延在しているフランジの湾曲外縁部42の内縁43Aとの間に配置されている。封止部材28は、一般的なボックスとして示されているが、以下でより詳細に説明される。封止部材28の実施態様とは関係なく、囲み部材が閉じられたときに最初に囲み部材の自由端部
に接触される封止部材の部分の高さは、正確な封止を与えるためには、少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.8mm、そして高くても3mm、より好ましくは高くても2mm、そして最も好ましくは高くても1.2mmである。
【0057】
図3Aから分かるように、アルミニウムカプセル本体12は切頭されている。図示された実施態様において、アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、カプセル本体中心軸12Aに対して直角の線と約97.5°の角度Aを有する。アルミニウムカプセル本体12の底18は、約23.3mmの最大内径DBを有する。アルミニウムカプセル本体12の底18もまた切頭されており、図示された実施態様において、約4.0mmの底の高さBHを有する。底18はさらに、蓋14に対向するほぼ平らな中央部分18Aを有し、中央部分18Aは約8.3mmの直径DEEを有し、中央部分18Aに1つまたは複数の入口開口部25が形成されうる。入口開口部はまた、中央部分18Aと側壁16との間の切頭部分において形成されてもよい。カプセルのアルミニウムカプセル本体12の全高THは、約28.4mmである。
【0058】
図1に示されたシステム1は、1杯の飲用可能な飲料(本実施例においてはコーヒーであり、ここで、物質は焙煎され挽かれたコーヒーである)を調製するために、以下のように操作されうる。
【0059】
カプセル2は、囲み部材6内に置かれる。抽出プレート8は、カプセル2に接触される。底刺通手段24は、入口開口部25を創るためにカプセル2の底18を刺し通す。流体(ここでは加圧下の熱湯)は、入口開口部25を介して内部空間22内の抽出可能な製品に供給される。熱湯は、挽かれたコーヒーを濡らし、所望の物質を抽出してコーヒー飲料を作る。
【0060】
加圧下で熱湯を内部空間22へ供給する間、カプセル2内の圧力は上昇する。圧力の上昇は、蓋14が変形すること及び抽出プレートの蓋刺通手段26に対して押し付けられることを生じさせる。一度、圧力が或るレベルに達すると、蓋14の裂開強度が超えられて、蓋14は蓋刺通手段26により破れ、出口開口部を作り出す。調製されたコーヒーは、抽出プレート8の出口開口部及び出口32(
図1参照)を通ってカプセル2から排出され、容器、例えばカップ(図示せず)に供給されうる。
【0061】
システム1は、調製の前または開始時に、囲み部材6の自由端部30がカプセル2の封止部材28に力F1を加えて、カプセル2の外向きに延在するフランジ20と飲料調製装置の囲み部材6との間に、流体封止接触を提供する。ここで、カプセルの外側での飲料調製装置の囲み部材内での流体圧P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にあるときに、F1は30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nである。調製中、囲み部材6の自由端部30は、カプセル2の封止部材28に力F2を及ぼして、カプセル2の外向きに延在しているフランジ20と囲み部材6との間の流体封止接触を提供する。ここで、カプセル2の外側での飲料調製装置の囲み部材6内での流体圧P2が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるときに、力F2は500~1500Nの範囲内、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。図示された実施態様において、外向きに延在するフランジ20と囲み部材6の自由端部30との間に最大の力F2を加えるように、囲み部材6内の流体の、抽出プレート8の方への圧力の影響下で、囲み部材6の自由接触端部は、抽出プレート8に相対的に移動することができる。この移動は、使用中、すなわち特に調製の開始時および調製中に、起きることができる。囲み部材6は、第1部分6Aと第2部分6Bとを有し、第2部分は自由接触端部30を含む。第2部分6Bは、第1位置と第2位置との間で、第1部分6Aに相対的に動きうる。第2部分6Bは、囲み部材6内の流体圧の影響下で閉じ部材8の方向に第1位置から第2位置に向かって移動することができる。上述された力F1は、第2部分6Bが流体圧P1で第1位置にある場合に、達成されうる。上述された力F2は、第2部分6Bが囲み部材6内の流体圧P2の影響下で第2位置の方へ移動される場合に、達成されうる。
【0062】
加えられた力の結果として、本発明に従うカプセルの封止部材28は、塑性変形を受け、自由接触端部30の溝40の形に密接に適合し、ひいては調製の開始時の間には、相対的に低い流体圧で囲み部材6とカプセル3との間の流体封止接触を提供するが、調製中は、カプセルの外側での囲み部材内における遥かに高い流体圧で流体封止接触をも提供する。囲み部材の溝40との形の緊密な一致は、使用後の本発明のカプセル2を示す
図3Cに示されており、該図は外向きに延在するフランジ20が囲み部材の溝40に一致する変形部40'を含むことを明確に示す。
【0063】
これ以降、本発明に従うカプセル2の、外向きに延在しているフランジ20における封止部材28の例示的な実施態様が、
図4に関してより詳細に説明されるであろう。
【0064】
図4Aは、本発明に従うカプセル2の、外向きに延在しているフランジ20に追加的な支持部を形成する封止部材28の第1の実施態様を示す。該封止部材および該カプセル本体の残りの部分は、同じプレート材料から作製されている。封止部材28は、間隔を空けられた2つの突出部50及び51を含み、それぞれが、外向きに延在しているフランジ20のベース部分から、蓋14から離れる方向に軸方向に突出しており、ベース部分に蓋14が取り付けられている。2つの突出部50及び51の間に、プラトー部52が存在する。2つの突出部50及び51の間の間隔は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に配置され、かつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状要素6の該自由接触端部が2つの突出部50および51の収束表面の間で圧搾されるようなものである。
図4Aに示す実施態様において、プラトー部は、封止部材28と湾曲縁部43との間で、外向きに延在しているフランジ20の部分の上方に距離を置いて配置され、実質的に平坦である。2つの突出部50及び51の間の間隔は、さらに云えば、カプセルが飲料調製物の囲み部材内に置かれかつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状要素の自由接触端部が2つの突出部50及び51
に接触されるようなものである。さらに、間隔を空けられた2つの突出部50及び51並びにプラトー部52は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状要素の自由接触端部が該プラトー部
に接触されるように配設される。
図4Aに見られるように、各突出部50及び51は、アルミニウムカプセル本体の外向きに延在するフランジ20に対して傾けられた突出側壁を備えている。該突出部側壁は、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、それが容易に変形されるように構成されている。
【0065】
図4Bは、本発明に従うカプセルの、外向きに延在しているフランジ20での封止部材28の第2の実施態様を示す。
図4Aと比較して以下の相違点が示される。各突出部50及び51は、アルミニウムカプセル本体の外向きに延在しているフランジ20に対して横方向の突出側壁を含む。さらにこの第2の実施態様において、プラトー部52は湾曲しており、好ましくは環状要素6の自由端部の形状に適合している。
【0066】
図4Cは、本発明に従うカプセルの、外向きに延在しているフランジ20での封止部材28の第3の実施態様を示しており、封止部材28は、該アルミニウムカプセル本体の側壁16と一緒に該囲み部材のための追加的な支持部を形成する。図示された封止部材28は、外向きに延在しているフランジ20から突出する突出部53と、突出部53の丸みを帯びた最上の端部部分と該アルミニウムカプセル本体の側壁16との間の傾斜した実質的に平坦なプラトー部52とを備える。本実施態様において、支持部は、突出部53、プラトー部52、およびアルミニウムカプセル本体の側壁16によって形成される。突出部53の頂部と側壁16との間の距離は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状要素6の自由接触端部が突出部53とアルミニウムカプセル本体の側壁16とによって包囲されるようなものである。特に、突出部53とアルミニウムカプセル本体の側壁16との距離は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状要素6の自由接触端部が突出部53および側壁16によって、および図示された実施態様においてはアルミニウムカプセル本体のプラトー部52
にまた接触されるようなものである。
【0067】
図4Dは、本発明に従うカプセルの、外向きに延在しているフランジ20における封止部材28の第4の実施態様を示す。該封止部材28は、アルミニウムカプセル本体の側壁16と共に、囲み部材のための追加的な支持部を形成する。
図4Cと比較すると以下の違いが認められる。この第4の実施態様において、プラトー部52は湾曲され、そして湾曲部分および平坦部分をも含み、該平坦部分は、突出部53と湾曲縁部43との間の外向きに延在しているフランジ20の部分と同じ高さに位置付けられている。湾曲部分は好ましくは、環状要素6の自由接触端部の形状に適合している。
図4Eは、本発明に従うカプセルの、外向きに延在するフランジ20での封止部材28の第5の実施態様を示しており、該封止部材28は、アルミニウムカプセル本体の側壁16と共に囲み部材のための支持部を形成する。
図4Dと比較すると、以下の違いが認められる。この第5の実施態様において、プラトー部52の平坦部分は、突出部53と湾曲縁部43との間の外向きに延在しているフランジ20の部分の上方に或る距離で置かれている。突出部53との間の距離は、好ましくは0.9~1.25mmであり、それは、幅広く使用されている市販の飲料調製装置(例えばCitiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、およびEssenzなど)の該閉じ部材の該自由端部が、突出部53に対して、側壁16がそれに近接した状態で確実に圧搾されることを可能にする。
【0068】
図4C~4Eに示された実施態様において、突出部53は、突出部53と湾曲縁部43との間の外向きに延在しているフランジの部分を横切る外側突出側壁54を含むが、他の実施態様においては、この外側突出側壁54は、外向きに延在しているフランジ20の上記部分に対して傾斜されうる。
【0069】
図4A~4Eに示された全ての実施態様において、該突出部のそれぞれは、突出部頂部を含み、突出部頂部は、該突出部の1部分、例えば、該突出部の半分、3分の1、または4分の1を構成し、それは、蓋14が取り付けられているフランジ28のベース部分から軸方向に最も遠位にある。少なくとも1つの突出部、好ましくは追加的な支持部を形成する全ての突出部は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれ、かつ囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、その突出部頂部が環状要素6の自由接触端部に半径方向の力を加えるように構成されている。
【0070】
図4Fは、本発明に従うカプセルの外向きに延在しているフランジ20での封止部材28の第6の実施態様を示している。例えば
図4Bと比較すると、以下の違いが認められる。この第6の実施態様において、プラトー部52は、V字形状になっており、V字形状の底は、外側突出部51と湾曲縁部43との間の外向きに延在しているフランジ20のベース部分と同じレベルにある。このように、該カプセルが該飲料調製装置の該囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられる場合に、環状部材6の該自由接触端部のための支持部は形成されていないが、内側突出部50の該突出部頂部が、環状要素6の該自由接触端部に直接外向きに半径方向の力を加え、外側突出部51の該突出部頂部が、環状要素6の該自由接触端部に直接内向きに半径方向の力を加える。このように、該自由接触端部は、封止部材28によって圧搾され、それによって満足のいく封止を提供する。
【0071】
例として
図4A、
図4B、および
図4Fに示されている、封止構造28が突出部50、51とそれらの間にあるプラトー部またはトラフ52とを有するカプセルにおいて、プラトー部またはトラフ52の中心は、カプセルの中心軸の周りに円周方向に延在しており、好ましくは29~33mm、より好ましくは30.0~31.4mm、最も好ましくは30.3~31.0mmの直径を有しており、(半径方向の断面で見たときに、)幅広く使用されている市販の飲料調製装置(例えば、Citiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、およびEssenzaなど)の閉じ部材の自由端部が、突出部50と51との間で正確に中心を合わせて着地するようになっており、圧搾効果が、内側および外側突出部50、51にわたって均一に分配されるようになっている。そのような装置における効果的な圧搾に関して、突出部50、51の間の距離は、好ましくは0.9~1.25mmである。
【0072】
図4Gは、本発明に従うカプセルの外向きに延在しているフランジ20での封止部材28の第7の実施態様を示している。また、
図2に示されているように、該飲料調製装置の囲み部材6は、半径方向に延在している複数の開放溝40を備えた自由接触端部30を有する環状要素41を有しており、半径方向に延在している複数の開放溝40のいくつかが
図4Gに示されている。
【0073】
図4A、
図4B、および
図4Fに示されている例と同様に、封止部材28は、間隔を空けられた2つの突出部50および51を有しており、それぞれが、外向きに延在しているフランジ20のベース部分23から、蓋14から離れる方向に軸方向に突出しており、ベース部分21、23に蓋14が取り付けられている。
図4Fに示されている例と同様に、丸みを帯びた底を有するプラトー部52が、2つの突出部50および51の間に置かれている。
【0074】
図4A、
図4B、および
図4Fに示されている例と比較した相違点は、
図4Gに示されている例では、2つの突出部のうちの第1の突出部
50が、外向きに延在しているフランジ20のベース部分23から、2つの突出部のうちの第2の突出部
51よりも遠くに突出しているということである。
【0075】
別の相違点は、内側突出部50と側壁16との間の環状のトラフ55の底56が、蓋が取り付けられているベース部分23から軸方向に間隔を空けて配設されているということである。好ましくは、底56から該蓋への軸方向の該距離は、プラトー部52から該蓋への軸方向の該距離よりも小さい。
【0076】
囲み部材6および/または閉じ部材8が、該カプセルの封止部材28がその間にある状態で互いに向けて移動させられるときに、環状要素41の自由接触端部30は、2つの突出部のうちの第1の突出部
50に最初に接触し、その後に、該2つの突出部のうちの第2の突出部
51に接触しうる(
図5A)。
【0077】
環状要素41の自由接触端部30が2つの突出部のうちの内側突出部
50に接触する場合に、該カプセルは囲み部材6に対して中心を合わせられる。そのうえ、例えば、該カプセルの非円形性もしくは中心のずれた位置決めに局所的に起因して、または、比較的小さい直径を有する該自由接触領域に概して起因して、2つの突出部のうちの内側突出部
50が、外側突出部
51に対して半径方向に遠過ぎる場合には、該自由接触端部は、2つの突出部のうちの内側突出部
50を半径方向内向きに付勢する。それによって、該2つの突出部のうちの該外側突出部
51は、内向きに同伴され、確実な安定した封止圧力が、より小さいその高さに起因するその外側突出部51の比較的小さい変形可能性にもかかわらず、2つの突出部のうちの外側突出部
51の上に加えられるようになっている。2つの突出部のうちの外側突出部
51の比較的大きい剛性は、それが変形されるときに大きい接触力が加えられることを可能にし(
図5B)、比較的高い対抗圧力が、高い圧力抵抗を伴う特に確実な封止を提供する。また、2つの突出部のうちの外側突出部
51が、次いで外向きに付勢され、その負荷は、2つの突出部のうちの外側突出部
51の中のフープ応力によって対抗され、それは、円周方向に均一に分配され、均一に分配された封止圧力が達成されるようになっている。
【0078】
また、
図5aから理解されうるように、環状要素41の自由接触端部30は、内側突出部
50に接触する内側円周方向表面部分71と、外側突出部
51に接触する外側円周方向表面部分70とを有している。半径方向に延在する開放溝40は、外側表面部分70の中よりも内側表面部分71の中で、より深くなっており、または、溝部は、外側表面部分70の中になくてもよい。したがって、それが小さいほど、比較的硬い外側突出部
51は、自由接触端部30の比較的滑らかな外側表面部分70に安定して正確に押し付けられる。
【0079】
2つの突出部50および51の間の距離は、最終的に(
図5Aおよび
図5B)、該囲み部材が該閉じ部材によって完全に閉じられる場合に、環状要素41の自由接触端部30が、2つの突出部50および51の収束表面の間で圧搾されるようになっている。
【0080】
プラトー部52は、蓋14から軸方向に間隔を空けて配設されている。
図5Bによって図示されているように、これは、囲み部材6が閉じられるときに、突出部50、51の間のプラトー部52が環状要素41の自由端部30の相対的移動の方向に変位されることを可能にし、囲み部材6が閉じられるときに、突出部50、51が環状要素41の自由端部30に対して内向きに傾けられてロールオフするように促す。これは、(軸方向の閉止圧力に加えて)及ぼされる半径方向の封止圧力を増加させ、増加された封止圧力は、満足のいく封止を提供するために利用可能であるようになっている。
【0081】
より具体的には、
図4G、
図5A、
図5B、および
図6に従うリムの該封止部材が囲み部材6の環状要素41と閉じ部材8との間にクランプされる場合に、3つの段階が区別されうる。
【0082】
第1の段階において、必要な場合には、上記に説明されているような内側突出部50の案内の下で、環状要素41と封止部材28との間の接触が確立され、初期封止が、外側突出部51の略内向きに向く表面部分と、環状要素41の自由端部30の外側表面部分70との間に生成される。外側突出部51のこの内向きに向く表面部分の半径方向の場所、および、外側突出部51の局所的な曲率半径は、互いに接触する面がほとんど垂直方向に配向されることを保証するように配設されている。これは、非常に強力なくさび効果が達成されることを可能にし、非常に小さい垂直方向の閉止力が非常に大きい水平方向の接触圧力を生じさせるようになっている。表面接触によって発生させられる反力は、外側突出部51の中のフープ応力によって主に含まれるので、これらの大きい水平方向の力は、外側突出部51のわずかな変形を伴って加えられる。また、そのようなフープ応力は、封止部材28の残りの部分から主として独立しており、大きい封止力を加えるための高い剛性が、該カプセルの公差および設置間違いに適合するフレキシビリティーと組み合わせられうるようになっている。
【0083】
該環状のトラフの底56、および、したがって、該内側突出部50の内側フットが、蓋から離れているので、横方向の摩擦および剛性が低減され、封止部材28は、高い程度のフレキシビリティーを有し、該封止面の過度の歪みなしに、ミスアライメントおよび公差の影響に適合する。また、これは、ミスアライメントおよび公差が封止部材28の該接触面の横変位によって適合される場合でも、該接触面のほとんど垂直方向の配向を維持することに貢献する。
【0084】
第2の段階において、該封止リングの上への該調製チャンバーの閉止およびさらなる圧縮は、液圧の構築によって支持されている。圧縮力が高まるとき、環状のトラフ55の底56は、機械的なおよび液圧的な荷重によって下向きに押され、該封止部材の全体が、環状のトラフ55の底56が該蓋にタッチするまで、外側突出部
51の外側下側端部57の周りで枢動する(
図5B)。この枢動移動は、封止部材28の「リジッド本体」タイプの運動、および、該封止部材形状の変形の両方を生じさせ、両方の要因は、加えて追加的な接触圧力が主要な封止面に伝達されることを生じさせる。該変形の多くが塑性的に起こるので、該接触領域は、封止領域に効果的に一致し、いくらかのミスアライメントおよび製造公差が適合されることを可能にする。
【0085】
第3の段階において、軸方向の(ここでは垂直方向の)力のさらなる増加は、封止部材28のさらなる変形を引き起こす(
図5B)。本実施態様において、高い接触圧力での高い圧力降下において確実に非常に密閉した封止が、外側突出部
51からプラトー部への移行部を形成する傾斜したセクション58の変形によって得られ、そのセクション58は、プラトー部52のより湾曲したセクションと外側突出部
51との間に、比較的真っ直ぐなセクションを構成している。そのような変形は、封止部材28と環状要素41の自由端部30の外側表面部分70との間の幅の狭いラインに沿って、特に高い接触圧力を生じさせる。
【0086】
効果的な封止を得るために、外側突出部51が、環状要素41の外側隆起部59と内側隆起部60との間に挟まれ、それによって変形されるということがさらに有利である。
【0087】
図5Bに示されているものと同様に、封止部材8が変形されるときに、内側突出部
50は曲げて開けられ、環状部材55の底56に向けての封止部材材料の引き離し、および、関連の接触圧力解放が対抗されるようになっている。
【0088】
特に、環状要素41および封止部材28の最終的な相互変位に関連して、特定の問題は、ほとんどの環状要素が、環状要素41の外側隆起部59と内側隆起部60との間に1つまたは複数のブリッジ61(
図6)を有するということである。そのようなブリッジ61は、環状のヘッドスペース62の中断を構成し、第3の段階の間に、外側突出部
51は環状のヘッドスペース62の中へくさび状に打ち込まれる。円周方向にブリッジが始まって終了する、特に移行部における漏れが減少させられる。その理由は、外側突出部
51は半径方向外向きにロールおよびバックル(buckle)するように形状決めされているからであり、過剰な封止部材材料が外側突出部
51と環状要素41との間の封止から離れるように局所的に変位され、それによって、この封止との干渉を低減させ、ブリッジ61の下を通るラインに沿って実質的に連続的な封止を可能にするようになっている。
【0089】
これまでの記載において、本発明は、本発明の実施態様の特定の実施例を参照して説明されてきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記載された本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは明らかであろう。