IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リヒター ゲデオン エヌワイアールティー.の特許一覧

<>
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図1
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図2
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図3
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図4
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図5
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図6
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図7
  • 特許-スピロクロマン誘導体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】スピロクロマン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/404 20060101AFI20240513BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20240513BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 11/10 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240513BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240513BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20240513BHJP
   C07D 491/147 20060101ALI20240513BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A61K31/404
A61K31/438
A61K45/00
A61P1/14
A61P3/10
A61P9/04
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P11/10
A61P15/00
A61P15/10
A61P17/06
A61P19/02
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P37/08
A61P43/00 111
C07D471/04 104Z
C07D491/107 CSP
C07D491/147
C07D519/00 301
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021500532
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019055948
(87)【国際公開番号】W WO2020012422
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P1800248
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310008859
【氏名又は名称】リヒター ゲデオン ニュイルヴァーノシャン ミューコェデー レースヴェーニュタールシャシャーグ
【氏名又は名称原語表記】Richter Gedeon Nyrt.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】エーレシュ、ヤーノシュ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥダースネー モルナール、カタリン
(72)【発明者】
【氏名】レドネツキ、イシュトバーン
(72)【発明者】
【氏名】タポルツァーニ、パール
(72)【発明者】
【氏名】ホルバース、アニタ
(72)【発明者】
【氏名】ネーメシー、ジョルト
(72)【発明者】
【氏名】レーバイ ジェルジ、イシュトバーン
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/112204(WO,A1)
【文献】特表2011-516594(JP,A)
【文献】特表2011-516598(JP,A)
【文献】特表2016-512225(JP,A)
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 2224106-02-7 REGISTRY Entered STN: 20 May 2018
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 1953198-57-6 REGISTRY Entered STN: 15 Jul 2016
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 1947149-33-8 REGISTRY Entered STN: 07 Jul 2016
【文献】DATABASE REGISTRY on STN,RN 1944825-80-2 REGISTRY Entered STN: 04 Jul 2016
【文献】(3-CHLORO-1-METHYLPYRROLO[2,3-B]PYRIDIN-5-YL)METHANAMINE,PUBCHEM CID: 126539609,2017年04月22日,P1-8,https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/126539609
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/404
A61K 31/438
A61K 45/00
A61P 1/14
A61P 3/10
A61P 9/04
A61P 9/12
A61P 11/00
A61P 11/06
A61P 11/10
A61P 15/00
A61P 15/10
A61P 17/06
A61P 19/02
A61P 25/00
A61P 25/04
A61P 25/08
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/22
A61P 25/24
A61P 25/28
A61P 25/32
A61P 25/34
A61P 25/36
A61P 29/00
A61P 37/08
A61P 43/00
C07D 471/04
C07D 491/107
C07D 491/147
C07D 519/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、下記の式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Aは、五員環または六員環の複素環であり;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり;
Xは、CまたはNであり;
Yは、CまたはNであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物
を含んでなる、医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)において、
Aは、五員環の複素環であり、ここで、前記環の環員は、炭素、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり、ここで、前記環の環員は、炭素、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され;
Xは、Cであり;
Yは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
下記の式(II)の化合物:
【化2】
[式中
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
Vが炭素の場合、R1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;またはVが硫黄の場合、R1cは、不在であり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である。];
またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項4】
Vは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、Oであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
下記群:
・ 6’-フルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4-オキソ-3,4-ジヒドロスピロ[1-ベンゾピラン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキサミド;
・ 6’-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 7’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3,4-ジヒドロスピロ[1]-ベンゾピラン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキサミド;
・ N-[(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-6’-フルオロ-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’-クロロ-N-[(1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]スピロ[アゼチジン-3,2’-クロメン]-1-カルボキサミド;
・ N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’-クロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’、8’-ジフルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 7’-クロロ-N-[(2-クロロ-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 7’-クロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 7’-フルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-6’-(トリフルオロメチル)-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-7’-(トリフルオロメチル)-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-7’-(トリフルオロメチル)-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 6’、8’-ジクロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ 7’-フルオロ-4’-オキソ-N-{[2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル}-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
・ N-{[2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル}-7’-フルオロ-4’-オキソ-3’、4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
から選択される、請求項または4のいずれか一項に記載の化合物、
またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項6】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、請求項3~5のいずれか一項に記載の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項7】
前記疾患が、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害、認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジア、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害、物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害、睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常、睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症、別の精神病に関連する睡眠障害、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害、代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害、糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群、自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病、人格障害、性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害、呼吸系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧、炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群から選択される、請求項1、2または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記疾患が、認識機能障害、統合失調症、および自閉症からなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、
下記の式(I)の化合物:
【化3】
[式中、
Aは、五員環または六員環の複素環であり;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり;
Xは、CまたはNであり;
Yは、CまたはNであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
または
下記の式(II)の化合物:
【化4】
[式中
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
Vが炭素の場合、R1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;またはVが硫黄の場合、R1cは、不在であり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]
の使用。
【請求項10】
前記疾患が、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害、認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジア、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害、不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害、物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害、睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常、睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症、別の精神病に関連する睡眠障害、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害、代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害、糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群、自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病、人格障害、性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害、呼吸系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧、炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記疾患が、認識機能障害、統合失調症、または自閉症である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1種の他の有効成分をさらに含む、請求項1、2、6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、ならびにレボドパの群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、
下記の式(I)の化合物:
【化5】
[式中、
Aは、五員環または六員環の複素環であり;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり;
Xは、CまたはNであり;
Yは、CまたはNであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
または
下記の式(II)の化合物:
【化6】
[式中
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
Vが炭素の場合、R1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;またはVが硫黄の場合、R1cは、不在であり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]
と、少なくとも1種の他の有効成分との組み合わせ物。
【請求項15】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、ならびにレボドパの群から選択される、請求項14に記載の組み合わせ物。
【請求項16】
請求項1、2、6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、少なくとも1種の他の有効成分とともに投与される、医薬組成物。
【請求項17】
前記他の有効成分が、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、ならびにレボドパの群から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項3に記載の式(II)の化合物を製造するための方法であって、
式(III)の化合物:
【化7】
[式中、Rの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
と、下記の式(IV)の化合物:
【化8】
[式中、nおよびmの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
とを、
下記の式(VII):
【化9】
[式中、nおよびmの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
を介した2つの別々の工程において反応させるか、または、
1つの工程において直接的に反応させて、
下記の式(V)の化合物:
【化10】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、
次いで、それを、
a.)塩化水素と反応させ、下記の式(VI):
【化11】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得るか、
または、
b.)錯体水素化物と反応させ、下記の式(VIII):
【化12】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、当該式(VIII)の化合物をトリエチルホスフィンで還元し、下記の式(IX):
【化13】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、
次いで、得られた式(IX)または式(VI)の誘導体を、下記の式(X):
【化14】
[式中、R1a、Rb、R1c、V、およびZの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
と反応させて、下記の式(II):
【化15】
[式中、R1a、Rb、R1c、R、R、V、Z、n、m、およびWの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得る
ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
{1,2-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン。
【請求項20】
{3-ブロモ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン。
【請求項21】
3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-ピラノ[3,2-b]ピリジン]-4’-オンヒドロクロリド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理学的に活性なスピロクロマン化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物および水和物、さらにそれらを含有する医薬組成物、さらに哺乳動物対象におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体活性の調節薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アセチルコリン(ACh)は、コリン作用性受容体に結合することによって、哺乳動物の中枢神経系(CNS)において神経伝達物質としてその機能を発揮する。哺乳動物のCNSは、ムスカリンおよびニコチンのアゴニスト活性に基づいて、それぞれ、2つの支配的なタイプのACh受容体:ムスカリン性受容体(mAChR)およびニコチン性受容体(nAChR)を含む。ニコチン性アセチルコリン受容体は、5つのサブユニットで構成されるリガンド-ゲート型イオンチャンネルである(Purves et al. Neuroscience 4th ed. (2008) 122-126)。ニコチン性受容体のサブユニットは、多重遺伝子ファミリーに属し、そのアミノ酸配列に基づいて、2つのグループ、すなわち、αサブユニットを含有するグループと、βサブユニットを含有する別のグループとに分けられる。異なるサブユニットの組み合わせによる五量体アセンブリは、様々な薬理特性を有する多くの受容体サブタイプを生じる。最も広く発現するサブタイプのアセンブリとしては、筋肉タイプ((α1)βδε)、神経球タイプ((α3)(β4))、およびCNSタイプ(α4)(β2)または(α7))nAChRサブタイプが挙げられる(Le Novere N et al. Journal of Molecular Evolution 40 (1995) 155-172)。α7サブユニットは、単独で発現した場合、機能的受容体を形成することが分かっており、したがって、ホモオリゴマー性五量体受容体を形成すると推定される。
【0003】
nAChRイオンチャンネルの活性化は、主に、従来のアゴニスト結合性部位におけるリガンドの結合によって制御されるが、ネガティブアロステリック調節因子またはポジティブアロステリック調節因子(NAMおよびPAM)のいずれかによっても調整される。当該nAChRのアロステリック転移状態モデルは、少なくとも、静止状態(resting state)、活性化状態、そして受容体をアゴニストに対して無反応にするプロセスである、「脱感作された」閉じたチャンネル状態を伴う。異なるnAChRリガンドは、それらが優先的に結合する受容体の立体配置的状態を安定化することができる。例えば、アゴニストAChおよび(-)-ニコチンは、それぞれ、活性化状態および脱感作状態を安定化する。ニコチン性受容体の活性の変化は、多くの疾患に関係している。ニコチン性受容体の減少は、アルツハイマー病および統合失調症などの疾患に見られる認知障害を媒介すると考えられてきた。タバコからのニコチンの影響も、ニコチン性受容体によって媒介され、そして、ニコチンの影響は、脱感作状態の受容体を安定化することであるため、ニコチン性受容体の活性の増加は、喫煙欲を減少させ得る。
【0004】
しかしながら、同じ部位においてAChとして作用するニコチン性受容体アゴニストによる治療は問題が多く、というのも、AChは、受容体を活性化するたけではなく、脱感作および非競合的遮断を含むプロセスによって受容体活性を阻害するためである。その上、長期の活性化は、長期間持続する不活性化を引き起こすように思われる。したがって、AChのアゴニストは、慢性投与において有効性を失うと予想することができる。
【0005】
α7nAChRは、他のサブタイプと比較してその速い活性化速度およびCa2+に対する高い透過性によって特徴づけられ(Delbono et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 280 (1997) 428-438)、その一方で、オルソステリック部位でのアゴニストに対する曝露後に急速な脱感作も示す(Castro et al. Neurosci. Lett. 164 (1993) 137-140; Couturier et al. Neuron 5 (1990) 847-856)。近年、様々なα7選択的アゴニストおよび部分的アゴニストの開発が行われてきたにもかかわらず、それらの臨床的有効性は、アゴニスト活性化の後に生じるそれらの受容体遮断(脱感作)に起因して、最適以下であることが分かった。この問題は、PAMによる治療によって克服され得、これは、内因性アゴニストによって媒介されるα7nAChR活性化を高める。α7nAChRのポジティブ調節は、様々な前臨床モデルにおいて認知機能に対する効果を有することが示されている(Thomsen et al. Curr Pharm Des 16 (2010) 323-343; Lendvai et al. Brain Res Bull 93 (2013) 86-96)。
【0006】
本発明の化合物は、α7nAChRのポジティブアロステリック調節によって媒介されるかまたはそれに関連する疾患および状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、精神病性障害、例えば、統合失調症(Deutsch SI et al. Schizophr Res 148 (2013) 138-144)、統合失調症様障害(Rowe AR et al. J Psychopharmacol 29 (2015) 197-211)、統合失調性感情障害(Martin LF et al. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet 144B (2007) 611-614)、妄想性障害(Carson R et al. Neuromolecular Med 10 (2008) 377-384)、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害など、認識機能障害、例えば、認識機能の減失、ならびに、卒中、アルツハイマー病(Lewis AS et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 75 (2017) 45-53)、ハンチントン病(Foucault-Fruchard L et al. Neural Regen Res 13 (2018) 737-741)、ピック病(Feher A et al. Dement Geriatr Cogn Disord 28 (2009) 56-62)、HIV関連認知症(Capo-Velez CM et al. Sci Rep 8 (2018) 1829)、前頭側頭認知症(Minami SS et al. Biochem Pharmacol 97 (2015) 454-462)、レヴィー小体認知症(Perry EK et al. Neuroscience 64 (1995) 385-395)、血管性認知症(Putignano S et al. Clin Interv Aging 7 (2012) 113-118)、脳血管障害(Si ML and Lee TJF Circ Res 91 (2002) 62-69)または他の認知症状態の結果としての認識機能障害、ならびに、他の変性障害に関連する認知症(筋萎縮性側索硬化症(Kawamata et al. Ther Adv Chronic Dis 2 (2011) 197-208)など)、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、譫妄(Sfera A et al. Front Med 2 (2015) 56)外傷性脳損傷(Shin SS et al. Neural Regen Res 10 (2015) 1552-1554)、老人性痴呆(Whitehouse PJ et et al. Science 215 (1982) 1237-1239)、軽度認識機能障害(Ikonomovic MD et al. Arch Neurol 66 (2009) 646-651)、ダウン症候群(Deutsch SI et al. Clin Neuropharmacol 26 (2003) 277-283)など、鬱病および他の疾患に関連する認知障害および運動障害(Parameswaran N et al. Soc Neurosci Abstr (2007))、例えば、パーキンソン病(Quik M et al. Biochem Pharmacol 97 (2015) 399-407)など、ならびに神経抑制薬誘発性パーキンソン症、または遅発性ジスキネジア(Terry AV and Gearhart DA Eur J Pharmacol 571 (2007) 29-32)、鬱病および気分障害、例えば、鬱病性障害およびエピソード(Philip NS et al. Psychopharmacology 212 (2010) 1-12)双極性障害(Leonard S and Freedman R. Biol Psychiatry 60 (2006) 115-122)、気分循環性障害(Ancin I et al. J Affect Disord 133 (2011) 340-345)、および特定不能の双極性障害、他の気分障害(Shytle RD et al. Depression and Anxiety 16 (2002) 89-92)、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害など、不安障害(Picciotto MR et al. Neuropharmacology 96 (2015) 235-243)、パニック障害および不安発作(Zvolensky MJ et al. Clin Psychol Rev 25 (2005) 761-789)、強迫性障害(Tizabi Y et al. Biol Psychiatry 51 (2002) 164-171)、心的外傷後ストレス症候群(Sun R et al. Neuroscience 344 (2017) 243-254)、急性ストレス障害(Mineur YS et al. Neuropsychopharmacology 41 (2015) 1579-1587)、全般性不安障害(Cocores JA Prim Care Companion J Clin Psychiatry 10 (2008) 253-254)、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害、物質関連障害、例えば、物質使用または物質誘発性障害、例えば、アルコール関連障害(de Fiebre NC and de Fiebre CM Alcohol 31 (2003) 149-153; Diaper AM et al. Br J Clin Pharmacol 77 (2014) 302-314)、ニコチン関連障害(Leslie FM et al. Mol Pharmacol 83 (2013) 753-758)、アンフェタミン関連障害(Pubill D et al. Pharmaceuticals 4 (2011) 822-847)、フェンサイクリジン関連障害(Thomsen MS et al. Neuropharmacology 56 (2009) 1001-1009)、オピオイド関連障害(Zhang W, Int J Clin Exp Med 8 (2015) 18 71-1879)、大麻関連障害(Solinas M et al. J Neurosci 27 (2007) 5615-5620)、コカイン関連障害(Francis MM et al. Mol Pharmacol 60 (2001) 71-79)、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害など;睡眠障害(McNamara JP et al. Psychol Health Med 19 (2014) 410-419)、例えば、睡眠発作(Krahn et al J Clin Sleep Med 5 (2009) 390)、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常;睡眠時随伴症、夜驚症、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症など;別の精神病に関連する睡眠障害(別の精神病に関連する不眠症および別の精神病に関連する過剰睡眠を含む)、一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害および物質誘発性睡眠障害など;代謝障害および摂食障害(Somm E Arch Immunol Ther Exp 62 (2014) 62: 87-101)、例えば、神経性無食欲症(Cuesto G et al. J Neurogenet 31 (2017) 266-287)、神経性大食症、肥満(Lakhan SE and Kirchgessner A J Transl Med 9 (2011) 129-139)、強迫性摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害;糖尿病(Marrero MB et al. J Pharmacol Exp Ther 332 (2010) 173-180)、潰瘍性大腸炎(Salaga et al. JPET 356 (2016) 157-169)、クローン病(Bencherif M et al. Cell Mol Life Sci 68 (2011) 931-949)、過敏性腸管症候群(Keszthelyi D et al. Neurogastroenterol Motil 21 (2009) 1239-1249)など、自閉症スペクトラム障害(Deutsch et al. Clin Neuropharmacol 33 (2010) 114-120)、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害;注意欠陥多動性障害(Wilens TE and Decker MW Biochem Pharmacol 74 (2007) 1212-1223)、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害;ならびにチック障害、例えば、トゥレット病(Gotti C and Clementi F Prog Neurobiol 74 (2004) 363-396)など、人格障害(Kamens HM et al. Behav Genet 46 (2016) 693-704);性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症(Bray C et al. Biol Reprod 73 (2005) 807-814)、月経前症候群(Gundisch D and Eibl C Expert Opin Ther Pat 21 (2011) 1867-1896)、および特定不能の性的障害など、咳嗽のような呼吸系の障害(Canning BJ Am J Respir Crit Care Med 195 (2017) A4498)、喘息(Santana FPR et al. Eur Respir J 48 (2016) PA5066)、慢性閉塞性肺疾患(Maouche K et al. Proc Natl Acad Sci USA 110 (2013) 4099-4104)、肺炎症(Enioutina EY et al. PLoS One 10 (2015) e0121128)、心臓系の障害、例えば、心不全(Mai XK et al. J Immunol 200 (2018) 108.11)、心臓性不整脈(Mazloom R et al. PLoS One 8 (2013) e82251)、および高血圧(Chen JK et al. BMC Cardiovasc Disord 12 (2012) 38)などの治療にとって有用であり得る。
【0007】
本発明の化合物は、炎症、炎症痛および神経因性疼痛(Alsharari SD et al. Biochem Pharmacol 86 (2013) 1201-1207)、関節リウマチ(van Maanen MA et al. Arthritis & Rheumatism 60 (2009) 1272-1281)、変形性関節症(Lee SE Neurosci Lett 548 (2013) 291-295)、アレルギー(Yamamoto T et al. PLoS One 9 (2014) e85888)、サルコイドージス(Nicotine Treatment for Pulmonary Sarcoidosis: A Clinical Trial Pilot Study Elliott Crouser MD, Principal Investigator, Ohio State University ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02265874)、乾癬(Westman M et al. Scand J Immunol 70 (2009) 136-140)、失調症(Taslim N et al. Behav Brain Res 217 (2011) 282-292)、ジストニア(Zimmerman CN et al. Front Syst Neurosci 11 (2017) 43)、全身性エリテマトーデス(Fairley AS and Mathis KW Physiol Rep 5 (2017) e13213)、躁病(Janowsky DS et al. Lancet 2 (1972) 632-635)、下肢静止不能症候群(Buchfuhrer MJ Neurotherapeutics 9 (2012) 776-790)、進行性核上麻痺(Warren NM et al. Brain 128 (2005) 239-245)、てんかん(Bertrand D Epilepsy Curr 2 (2002) 191-193)、ミオクローヌス(Leppik IE Epilepsia 44 (2003) 2-6)、片頭痛(Liu Q et al. J Pain Res 11 (2018) 1129-1140)、健忘症(Bali Zs K et al. Front Cell Neurosci 11 (2017) 271)、慢性疲労症候群(Shan ZY et al. J Magn Reson Imaging 44 (2016) 1301-1311)、脱力発作(Ebben MR and Krieger AC J Clin Sleep Med 8 (2012) 195-196)、脳虚血(Han Z et al. J Neurochem 131 (2014) 498-508)、多発性硬化症(Di Bari M et al. Cent Nerv Syst Agents Med Chem 17 (2017) 109-115)、脳脊髄炎(Hao J et al. Exp Neurol 227 (2011): 110-119)、時差ボケ(Shi M et al. eLife 3 (2014) e01473)、脳アミロイド血管症(Clifford PM et al. Brain Res 1234 (2008) 158-171)、敗血症(Ren C et al. Int J Biol Sci 14 (2018) 748-759)、の治療にとって、ならびに、概して、α7nAChRのポジティブアロステリック調節に関係する全てのタイプの疾患および障害の治療において有用である。
【0008】
その上、これらの化合物は、他の治療薬、例えば、下記に限定されるわけではないが、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギル、ABT-089など);NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、メマンチン、ネラメキサン、EVT101、およびAZD4282など);抗アミロイド抗体抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体(例えば、バピネオズマブACCOOl、CAD106、AZD3102、H12A11V1など);β-セクレターゼ阻害剤(例えば、ベルべセスタット、AZD3293など)またはγ-セクレターゼ阻害剤(例えば、LY450139およびTAK070など)、または調節剤;タウリン酸化阻害剤;ApoE4立体配置調節剤;p25/CDK5阻害剤;NK1/NK3受容体アンタゴニスト;COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、406381、および644784など);LRRK2阻害剤;HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤;NSAID(例えば、イブプロフェンなど)。ビタミンE;グリシン輸送阻害剤;グリシン部位アンタゴニスト(例えば、ラコサミドなど);LXRβアゴニスト;アンドロゲン受容体調節薬;Αβオリゴマー形成の遮断薬;NR2Bアンタゴニスト、抗炎症性化合物(例えば、(R)-フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND-1251、VP-025、HT-0712、およびEHT-202など);PPARγアゴニスト(例えば、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなど);CB1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えば、AVE1625など);CB-2アゴニスト(例えば、842166およびSAB378など);VR-1アンタゴニスト(例えば、AMG517、705498、782443、PAC20030、VI14380、およびA425619など);ブラジキニンBl受容体アンタゴニスト(例えば、SSR240612およびNVPSAA164など);ナトリウムチャネル遮断薬およびアンタゴニスト(例えば、VX409およびSPI860など);NOS阻害剤(例えば、SD6010および274150など);抗生物質;成長ホルモン分泌促進因子(例えば、イブタモレン、イブタモレンメシラート、およびカプロモレリンなど);カリウムチャンネル開口薬;AMPAアゴニストまたはAMPA調節薬(例えば、CX-717、LY451395、LY404187、およびS-18986など);GSK3阻止剤(例えば、AZD1080、SAR502250、およびCEP16805など);ニューロン性ニコチンアンタゴニスト;MARKリガンド;M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM;mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM;mGluR5アンタゴニスト(例えば、AZD9272など);α-アドレナリン作用性アゴニスト;ADAM-10リガンド;鎮静剤、催眠剤、抗不安薬、抗精神病薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、穏和精神安定薬、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作用性薬;オレキシンアンタゴニストおよびアゴニスト;プロキネチシンアゴニストおよびアンタゴニスト;Tタイプカルシウムチャンネルアンタゴニスト;トリアゾロピリジンベンゾジアゼピン、バルビツレート;5-HT1Aアンタゴニスト(例えば、レコゾタンなど);5-HTアンタゴニスト;5-HTアゴニスト(例えば、PRX-03140など);5-HTアンタゴニスト(例えば、GSK742467、SGS-518、FK-962、SL-65.0155、SRA333、およびキサリプロデンなど);ヒスタミンH受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニスト(例えば、S38093、ABT-834、ABT829、GSK189254、およびCEP16795など);PDE阻害剤(例えば、HT0712など);PDE阻害剤(例えば、BI40936など);PDE10阻害剤;HDAC阻害剤;KCNQアンタゴニスト;GABAインバースアゴニスト;GABAシグナル伝達増強剤;GABAアゴニスト;GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、抗精神病薬;MAO-B阻害剤;ドーパミン輸送阻害剤;ノルアドレナリン輸送阻害剤;D2アゴニストおよび部分的アゴニスト;抗コリン薬(例えば、ビペリデンなど);COMT阻害剤(例えば、エンタカポンなど);A2aアデノシン受容体アンタゴニスト;コリン作用性アゴニスト;フェノチアジン由来の化合物、チオキサンテン(例えば、クロルプロチキセンおよびチオチキセンなど)、複素環式ジベンザゼピン(例えば、クロザピンなど)、ブチロフェノン(例えば、ハロペリドールなど)、ジフェニルブチルピペリジン(例えば、ピモジドなど)および神経遮断薬のインドロン(例えば、モリンドロンなど)クラス;ロクサピン、スルピリド、およびリスペリドン;レボドパ;カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ジコノチドおよびNMED160など);MMP阻害剤;血栓溶解剤;オピオイド鎮痛薬(例えば、コデイン、フェンタニール、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェンなど);プラミペキソール;ロピニロール;好中球抑制因子;SSRIまたはSSNRI;三環式抗鬱剤;ノルエピネフリン調節薬;リチウム;バルプロエート;ガバペンチン;プレガバリン;リザトリプタン;ゾルミトリプタン;ナラトリプタンおよびスマトリプタン、あるいは本発明の化合物の有効性、安全性、便利さを高めるか、あるいは望ましくない副作用または毒性を低減する、受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物などと組み合わせることもできる。
【0009】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の既知のポジティブアロステリック調節薬としては、2-アニリン-4-アリールチアゾール誘導体(国際公開第2007/031440(A2)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)アミド誘導体(国際公開第2009/100294(A2)号、ABBOT LAB.)、三置換1,2,4-トリアゾール(国際公開第2009/115547(A1)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)、インドール誘導体(国際公開第2009/127678(A1)号、GLAXO GROUP LTD.および国際公開第2009/127679(A1)号、GLAXO GROUP LTD.)、テトラゾール置換アリールアミド誘導体(国際公開第2009/043780(A1)号、HOFFMANN LA ROCHE)、シクロプロピルアリールアミド誘導体(国際公開第2009/043784(A1)号、HOFFMANN LA ROCHE)、三置換ピラゾール(国際公開第2009/135944(A1)号、JANSSEN PHARMACEUTICA NV)、ピロール誘導体(国際公開第2014/141091(A1)号、LUPIN LTD)、シクロプロピルベンゼン誘導体(国際公開第2017/165256(A1)号、MERCK SHARP & DOHME CORP.)、および置換された二環式ヘテロアリール誘導体(国際公開第2018/085171(A1)号、MERCK SHARP & DOHME CORP.)が挙げられる。
【0010】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブアロステリック調節を示す化合物の新規のクラスに関する。
【0011】
添付の図面において、一例として本発明の例示的実施形態が例示され、当該図面において、同一の参照番号は、同じまたは同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図2】実施例6の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図3】実施例7の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図4】実施例26の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図5】実施例41の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図6】実施例43の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図7】実施例52の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
図8】実施例61の化合物の場所認識試験の結果を示す。新規のアーム[N]対馴染んだアーム[O]において過ごした探索時間が表される)。Scop:スコポラミン(1mg/kg、腹腔内投与)。はp<0.05を表し;++はp<0.01を表し;+++はp<0.001を表す。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、下記の式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Aは、五員環または六員環の複素環であり;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり;
Xは、CまたはNであり;
Yは、CまたはNであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、式(II)の化合物:
【化2】
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
またはその薬学的に許容され塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、上記において定義される式(I)または式(II)の化合物を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、上記において定義される式(I)または式(II)の化合物の使用を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための方法であって、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の、上記において定義される式(I)または式(II)の少なくとも一種の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0018】
さらなる態様において、上記において定義される式(I)または式(II)の化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のために使用される他の化合物と組み合わせて投与することができる。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、式(II)の化合物の製造のための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、下記の式(I)の化合物:
【化3】
[式中、
Aは、五員環または六員環の複素環であり;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり;
Xは、CまたはNであり;
Yは、CまたはNであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
は、HまたはC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0021】
用語「五員環の複素環」は、本明細書において使用される場合、5個の原子を有し、1個、2個、3個、または4個のヘテロ原子(窒素、酸素、または硫黄から選択される)が組み入れられた、場合により置換されていてもよい飽和環系または不飽和環系または芳香族環系を意味する。五員環の複素環部分の例としては、下記に限定されるわけではないが、ピロリジニル、ピロリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、フリル、テトラヒドロチオフェニル、チオフェニル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルが挙げられる。
【0022】
用語「六員環の複素環」は、本明細書において使用される場合、6個の原子を有し、1個、2個、3個、または4個のヘテロ原子(窒素、酸素、または硫黄から選択される)が組み入れられた、場合により置換されていてもよい飽和環系または不飽和環系または芳香族環系を意味する。六員環の複素環の例としては、下記に限定されるわけではないが、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルが挙げられる。
【0023】
用語「六員環の炭素環」は、本明細書において使用される場合、6個の炭素原子を有する、場合により置換されていてもよい飽和環系または不飽和環系または芳香族環系を意味し、例として、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、およびフェニルが挙げられる。
【0024】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、そのようなものとしてまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
【0025】
用語「C1~6アルキル」は、そのようなものとしてまたは別の基の一部として本明細書において使用される場合、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を有する、分岐鎖状または直鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例として、下記に限定されるわけではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルが挙げられる。
【0026】
用語「ハロC1~6アルキル」は、本明細書において使用される場合、上記において定義される「C1~6アルキル」を介して親分子部分に結合した、上記において定義される少なくとも一個のハロゲンを意味する。いくつかのハロゲンが存在する場合、当該ハロゲンは、同一または異なり得、ならびに当該ハロゲンは、異なる炭素原子に結合し得、またはいくつかのハロゲンは、同一の炭素原子に結合し得る。ハロC1~6アルキル基としては、下記に限定されるわけではないが、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、および2-クロロエチルが挙げられる。
【0027】
用語「C1~6アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上記において定義される「C1~6アルキル」を意味し、例として、これらに限定されるわけではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。
【0028】
用語「薬学的に許容される」は、医薬組成物の調製において有用な成分が、概して、安全で、無毒で、生物学的またはそれ以外において望ましくなくはないことを説明するものであり、ならびに、家畜への使用およびヒトへの製薬学的使用に対して許容可能であるものを包含する。
【0029】
用語「薬学的に許容される塩」は、式(I)または式(II)の化合物の生物学的有効性および特性を維持し、好適な無毒の有機酸もしくは無機または有機塩基もしくは無機塩基によって形成することができる、従来の酸付加塩または塩基付加塩を意味する。酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、下記に限定されるわけではないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、および過塩素酸など、に由来する塩、ならびに、様々な有機酸、例えば、これらに限定されるわけではないが、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、フェニル酢酸、サリチル酸、マロン酸、マレイン酸、オレイン酸、パモン酸、パルミチン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルタミン酸、フマル酸などに由来する塩を含む。塩基付加塩の実施例は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および第四級水酸化アンモニウム、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムなどに由来する塩である。
【0030】
用語「プロドラッグ」は、それ自体は治療効果を有さないが、インビボでの化学的または代謝的分解(生体内変換)の後に、治療効果を担う「生物学的に活性な代謝産物」となるような基を有する、本発明による式(I)または式(II)の化合物の誘導体を意味する。本発明の式(I)または式(II)の化合物に関連するそのような分解性基、特にプロドラッグにとって好適な基は、当技術分野において既知であり、ならびに本発明の化合物にも適用され得る(Rautio et al., Nature Reviews - Drug Discovery 2008, 7:255-270)。
【0031】
用語「水和」は、水と溶質との間の非共有結合を意味する。
【0032】
用語「溶媒和」は、溶媒と溶質との間の非共有結合を意味する。溶媒としては、下記に限定されるわけではないが、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0033】
「場合による(optional)」または「場合により(optionally)」は、続いて説明される事象または状況が生じ得るが、必ずしも生じるわけではないこと、ならびに当該説明が、当該事象または状況が生じる例または生じない例を包含することを意味する。
【0034】
「場合により置換されていてもよい(optionally substituted)」は、無置換であるかあるいは本明細書において説明される1つまたは複数の置換基で置換されていることを意味する。ここで、「1つまたは複数」は、1から可能な最大数までの置換基を意味し、すなわち、1つの水素の置換から全ての水素の置換までを意味する。所定の原子上の1つ、2つ、または3つの置換基が好ましい。
【0035】
疾患状態の「治療すること」または「治療」は、
a)疾患状態を予防すること、すなわち、当該疾患状態に晒され得るかまたは当該疾患状態となりやすい傾向があり得るがまだ当該疾患状態の症状を経験していないかまたは示していない対象において、当該疾患状態の臨床的症状を発症させないこと、
b)当該疾患状態を阻害すること、すなわち、当該疾患状態またはその臨床的症状の発症を阻むこと、または
c)当該疾患状態を軽減すること、すなわち、当該疾患状態またはその臨床的症状の一時的または永久的寛解を生じさせること、
を包含する。
【0036】
一実施形態において、本発明は、下記の式(I)の化合物:
[式中、
Aは、五員環の複素環であり、この場合、当該環の環員は、炭素、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され;
Bは、六員環の炭素環または複素環であり、この場合、当該環の環員は、炭素、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され;
Xは、Cであり;
Yは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
は、Hであり;
は、Hであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
- - - は、単結合または二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0037】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
【化4】
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、ハロC1~6アルキル、またはC1~6アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
ここで、
・RがHのとき、
(a)の- - -は二重結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であるか、または、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は単結合であり(ただし、Rは二つのHを表す)、
・RがOのとき、
(a)の- - -は単結合であり、かつ(b)の- - -は二重結合である)。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0038】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Hであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合または二重結合とに結合している場合は、単結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0039】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Hであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、1であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合または二重結合とに結合している場合は、単結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0040】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Hであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合または二重結合とに結合している場合は、単結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0041】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Hであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nは、1であり;
mは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合または二重結合とに結合している場合は、単結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0042】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0043】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、1であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0044】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0045】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、CまたはSであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
VがCの場合、R1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;またはVがSの場合、R1cは、不在であり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nは、1であり;
mは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0046】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
VはCである。
Zは、CまたはNであり;
Wは、Oであり;
1aは、H、C1~6アルキル、またはハロC1~6アルキルであり;
1bは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
1cは、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~6アルキル、ハロゲン、またはハロC1~6アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
- - - は、単結合または二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0047】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、Oであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
は、HまたはOであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
nおよびmは、独立して、1または2であり;
- - - は、単結合または二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0048】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、1であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0049】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nおよびmは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0050】
一実施形態において、本発明は、式(II)の化合物:
[式中、
Vは、Cであり;
Zは、CまたはNであり;
Wは、OまたはSであり;
1aは、H、C1~4アルキル、またはハロC1~4アルキルであり;
1bは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
1cは、H、C1~4アルキル、ハロゲン、またはハロC1~4アルキルであり;
は、Oであり;
は、H、C1~4アルキル、ハロゲン、ハロC1~4アルキル、またはC1~4アルコキシであり;
nは、1であり;
mは、2であり;
- - - は、それが、Rと、環内の単結合とに結合している場合、二重結合である。]、
またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0051】
一実施形態において、本発明は、
6’-フルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4-オキソ-3,4-ジヒドロスピロ[1-ベンゾピラン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキサミド;
6’-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
7’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6-クロロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3,4-ジヒドロスピロ[1]-ベンゾピラン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキサミド;
N-[(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-6’-フルオロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’-クロロ-N-[(1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’-フルオロ-N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]スピロ[アゼチジン-3,2’-クロメン]-1-カルボキサミド;
N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’-クロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’,8’-ジフルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
7’-クロロ-N-[(2-クロロ-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
7’-クロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
7’-フルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-6’-(トリフルオロメチル)-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
N-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-7’-(トリフルオロメチル)-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-7’-(トリフルオロメチル)-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
6’,8’-ジクロロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
7’-フルオロ-4’-オキソ-N-{[2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル}-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
N-{[2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メチル}-7’-フルオロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド;
からなる群より選択される式(I)または式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物に関する。
【0052】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防における使用のための、上記において定義される式(I)または式(II)の化合物を提供する。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための医薬品の製造のための、上記において定義される式(I)または式(II)の化合物の使用を提供する。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する疾患の治療または予防のための方法であって、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の、上記において定義される式(I)または式(II)の少なくとも一種の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0055】
一実施形態において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性に関連する上記疾患は、精神病性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、一般的な医学的疾患に起因する精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、または特定不能の精神病性障害など;認識機能障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、卒中の結果としての認識機能障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、HIV関連認知症、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、脳血管障害、または他の認知症状態および他の変性疾患に関連する認知症、例えば、下記に限定されるわけではないが、筋委縮性側索硬化症など、認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態、例えば、下記に限定されるわけではないが、譫妄、外傷性脳損傷、老人性痴呆、軽度認識機能障害、ダウン症候群、欝病および他の疾患に関連する認知障害など、ならびに運動障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、パーキンソン病、神経抑制薬誘発性パーキンソン症候群、または遅発性ジスキネジアなど、欝病および気分障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、鬱病性障害およびエピソード、双極性障害、気分循環性障害、および特定不能の双極性障害、他の気分障害、物質誘発性気分障害、および特定不能の気分障害など;不安障害、パニック障害および不安発作、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般的な医学的疾患に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、恐怖症、および特定不能の不安障害など;物質関連障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、物質使用または物質誘発性障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、アルコール関連障害、ニコチン関連障害、アンフェタミン関連障害、フェンサイクリジン関連障害、オピオイド関連障害、大麻関連障害、コカイン関連障害、カフェイン関連障害、幻覚発現物質関連障害、吸入剤関連障害、鎮静剤関連障害、催眠関連障害、抗不安薬関連障害、多剤関連障害、または他の物質関連障害など;睡眠障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、睡眠発作、睡眠異常、原発性過眠症、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、および特定不能の睡眠異常;睡眠時随伴症、睡眠時驚愕症障害、夢遊病、および特定不能の睡眠時随伴症など;別の精神病に関連する睡眠障害;一般的な医学的疾患に起因する睡眠障害、および物質誘発性睡眠障害など;代謝障害および摂食障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、神経性無食欲症、神経性大食症、肥満、強迫摂食障害、過食性障害、および特定不能の摂食障害;糖尿病、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群など;自閉症スペクトラム症、例えば、下記に限定されるわけではないが、自閉症障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害など;注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、反抗的行為障害、および特定不能の破壊的行動障害;ならびに、チック障害、例えば、下記に限定されるわけではないが、トゥレット病;人格障害など;性機能不全、例えば、性欲障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、特定不能の性機能不全、性欲倒錯、性同一性障害、不育症、月経前症候群、および特定不能な性的障害など;呼吸器系の障害、例えば、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症など、心臓系の障害、例えば、心不全、心臓性不整脈、高血圧など;炎症、起炎性疼痛および神経因性疼痛、関節リウマチ、変形性関節症、アレルギー、サルコイドージス、乾癬、失調症、ジストニア、全身性エリテマトーデス、躁病、下肢静止不能症候群、進行性核上麻痺、てんかん、ミオクローヌス、片頭痛、健忘症、慢性疲労症候群、脱力発作、脳虚血、多発性硬化症、脳脊髄炎、ジェット機病、脳アミロイド血管症、および敗血症からなる群より選択される。
【0056】
一実施形態において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体に関連する疾患は、認識機能障害、統合失調症、および自閉症からなる群より選択される。
【0057】
本発明はさらに、前に示した1つまたは複数の状態を治療するために、本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤が別の治療薬と共に投与される併用療法に関する。そのような治療薬は、以下:アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体を含む抗アミロイド抗体、β-またはγ-セクレターゼ阻害剤または調節薬、タウリン酸化阻害剤、ApoE4立体配置調節剤、p25/CDK5阻害剤、NK1/NK3受容体アンタゴニスト、COX-2阻害剤、LRRK2阻害剤、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤、NSAID、ビタミンE、グリシン輸送阻害剤、グリシン部位アンタゴニスト、LXRβアゴニスト、アンドロゲン受容体調節薬、Αβオリゴマー形成の遮断薬、NR2Bアンタゴニスト、抗炎症性化合物、PPARγアゴニスト、CB1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、CB-2アゴニスト、VR-1アンタゴニスト、ブラジキニンBl受容体アンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬およびアンタゴニスト、NOS阻害剤、抗生物質、成長ホルモン分泌促進因子、カリウムチャンネル開口薬、AMPAアゴニストまたはAMPA調節薬、GSK3阻止剤、ニューロン性ニコチンアンタゴニスト、MARKリガンド、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、mGluR5アンタゴニスト、α-アドレナリン作用性アゴニスト、ADAM-10リガンド、鎮静剤、催眠剤、抗不安薬、抗精神病薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、穏和精神安定薬、メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト、メラトニン作用性薬、オレキシンアンタゴニストおよびアゴニスト、プロキネチシンアゴニストおよびアンタゴニスト、Tタイプカルシウムチャンネルアンタゴニスト、トリアゾロピリジンベンゾジアゼピン、バルビツレート、5-HT1Aアンタゴニスト、5-HT2アンタゴニスト、5-HT4アゴニスト、5-HT6アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニスト、PDE4阻害剤、PDE9阻害剤、PDE10阻害剤、HDAC阻害剤、KCNQアンタゴニスト、GABAインバースアゴニスト、GABAシグナル伝達増強剤、GABAアゴニスト、GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、抗精神病薬、MAO-B阻害剤、ドーパミン輸送阻害剤、ノルアドレナリン輸送阻害剤、D2アゴニストおよび部分的アゴニスト、抗コリン薬、COMT阻害剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作用性アゴニスト、神経遮断薬、ロクサピン、スルピリドおよびリスペリドン、レボドパ、カルシウムチャンネル遮断薬、MMP阻害剤、血栓溶解剤、オピオイド鎮痛薬、プラミペキソール、ロピニロール、好中球抑制因子、SSRIまたはSSNRI、三環式抗鬱剤、ノルエピネフリン調節薬、リチウム、バルプロエート、ガバペンチン、プレガバリン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、およびスマトリプタンから選択され得る。
【0058】
一実施形態において、当該治療薬は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、β-セクレターゼ阻害剤、抗精神病薬、GABA受容体α5サブユニットNAMまたはPAM、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニスト、M1またはM4mAChRアゴニストまたはPAM、mGluR2アンタゴニストまたはNAMまたはPAM、およびレボドパの群から選択される。
【0059】
さらなる態様において、本発明は、以下の反応経路による式(II)の化合物の製造のための方法を提供する。
【0060】
本発明による化合物を、下記において説明される合成経路およびスキームに沿って合成した。
【0061】
本明細書全体において、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)などによって指定される。
【化5】
【化6】
【0062】
スキーム1
下記の式(III)のアセトフェノン誘導体:
【化7】
[式中、Rの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
と、下記の式(IV)の含窒素環状脂肪族ケトン誘導体:
【化8】
[式中、nおよびmの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
とを、下記の式(VII):
【化9】
[式中、nおよびmの意味は、式(II)の化合物に関し既に説明されているとおりである]
を介した2つの別々の工程において反応させるか、または、
1つの工程において直接的に反応させて、
下記の式(V)のスピロクロマノン化合物:
【化10】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得て
次いで、それを、
a.)塩化水素と反応させ、下記の式(VI)のスピロクロマノン塩誘導体:
【化11】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]を得るか、
または、
b.)錯体水素化物と反応させ、下記の式(VIII)の適切なスピロクロマノン誘導体:
【化12】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得て、当該式(VIII)の化合物をトリエチルホスフィンで還元し、下記の式(IX)の3,4-ジヒドロスピロクロメン/スピロクロメン誘導体:
【化13】
[式中、R、n、およびmの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得る。
【0063】
スキーム2
次いで、そのようにして得られた式(IX)または式(VI)の誘導体を、下記の式(X)の複素環アミン誘導体:
【化14】
[式中、R1a、Rb、R1c、V、およびZの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
と反応させて、下記の式(II)のカルバミド/チオカルバミド誘導体:
【化15】
[式中、R1a、Rb、R1c、R、R、V、Z、n、m、およびWの意味は、式(II)に関し既に説明されているとおりである]
を得る。
【0064】
式(V)の保護されたスピロクロマン-4-オンの合成は、以下の異なる経路によって実施することができる:
a)式(III)のアセトフェノン誘導体と式(IV)の含窒素環状脂肪族ケトン誘導体との縮合を、好ましくはピロリジンの存在下において、好適な溶媒中、例えば、メタノール中において実施する。当該反応は、好ましくは、溶媒の沸点において実施される。必要な反応時間は、15~20時間である。当該反応の後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を、溶媒のエバポレートによってクエンチする。式(V)の生成物を、好適な有機溶媒による抽出によって、または当該有機溶媒を除去した後にろ過によって、またはカラムクロマトグラフィによって単離する。
b)式(III)のアセトフェノン誘導体と式(IV)の含窒素環状脂肪族ケトン誘導体との反応を、好ましくは強塩基、例えば、リチウムジイソプロピルアミドなど、の存在下において、好ましくは好適な溶媒中、例えば、テトラヒドロフラン中、において実施する。当該反応は、-20℃から室温までの範囲の温度において実施される。必要な反応時間は、3~4時間である。当該反応の進行後、薄層クロマトグラフィを行う。当該反応混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液の添加によってクエンチする。式(VII)の生成物を、好適な有機溶媒によって抽出し、当該有機溶媒を除去した後に、ろ過によって単離される。
【0065】
式(VII)の誘導体の脱水素環化は、好ましくは、好適な溶媒中において、例えば、トリフルオロ酢酸無水物およびDBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)の存在下において実施される。
【0066】
特に明記されない限り、溶媒、温度、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択され得る。具体的な手順が、実施例のセクションにおいて提供される。反応物はさらに、従来の方法、例えば、残留物から溶媒を排除し、さらに、当技術分野において一般的に知られる方法論、例えば、下記に限定されるわけではないが、結晶化、抽出、磨砕、およびクロマトグラフィなど、により精製することによって、処理され得る。
【0067】
先行技術とは異なる方法論を用いることによって、所望の式(VI)の脱保護されたスピロクロマン-4-オン塩を得ることができる。それは、好ましくは、塩酸を伴うEtOAc中において、0℃から室温までの範囲の温度で実施される。必要な反応時間は、2~3時間である。当該反応の進行後、薄層クロマトグラフィが行われ、ろ過によって生成物を単離される。
【0068】
式(V)の誘導体の還元(スピロケトンのカルボニル基)は、好ましくは、好適な溶媒中、例えば、エタノール中において、NaBHによって行われる。当該反応の進行後、TLCが行われる。粗スピロクロマン-4-オールが、溶媒を除去することによって単離され、次いで、残留物が、DCMと水との間で分配させ、有機相をエバポレートすることにより、表題の化合物が得られ、それは、精製せずに次のステップに使用される。
【0069】
「イオン性水素化」と呼ばれる周知の還元方法、すなわち、90℃での6~8時間にわたるEt3SiH/CFCOOH系によるヒドロキシ誘導体の処理によって、式(VIII)のスピロクロマン-4-オール誘導体の還元的脱酸素が達成される。当該反応の進行後、薄層クロマトグラフィが行われる。当該反応混合物がエバポレートされ、残留物が飽和NaHCO溶液で処理され、式(IX)の生成物が、好適な有機溶媒によって抽出される。
【0070】
式(X)の第一級アミン誘導体の大部分が、市販されているか、または先行技術に記載される異なる方法を使用して当業者によって市販の出発物質および試薬から合成することができる。式(X)のいくつかの新規のアミン誘導体の合成は、実施例のセクションにおいて説明される。
【0071】
上記の式(II)の化合物は、好適な溶媒中、例えば、DCM中における、アルゴン雰囲気下での標準的手段および試薬、例えば、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)、クロロホルメート、または1,1’-チオカルボニルジイミダゾールを用いた、式(X)の適切な第一級アミン化合物の活性化と、その後の試薬(式(VI)または式(IX))の添加によって調製することができる。当該反応は、0℃から室温までの範囲の温度において実施される。必要な反応時間は、15~20時間である。当該反応の進行後、薄層クロマトグラフィが行われる。当該反応混合物の後処理は、様々な方法によって行うことができ、通常、水の添加によってクエンチされる。当該生成物は、好適な有機溶媒による抽出によって単離され、結晶化またはカラムクロマトグラフィによって精製される。
【0072】
本開示は、その範囲内に、当該化合物における可能性のある全ての同位体標識された形態を含む。
【0073】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、関節間、鞘内、腹腔内、直接的心室内、脳室内、髄内注射、槽内注入もしくは注入、皮下注射もしくはインプラント)、経眼、経鼻、経膣、経直腸、舌下、および局所投与経路によって投与することができ、ならびに、各投与経路にとって好適な薬学的に許容される賦形剤を含む、好適な投薬単位の製剤において、単独でまたは一緒に製剤化され得る。
【0074】
あるいは、全身的方式ではなく、局所的方式において、例えば、多くの場合、放出制御製剤(modified release formulation)において、腎臓または心臓領域への直接的な当該化合物の注射によって、当該化合物を投与してもよい。その上、当該薬物を、標的の薬物送達システム、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソーム、において投与してもよい。当該リポソームは、標的の器官によって選択的に取り込まれる。
【0075】
本発明の医薬組成物は、通常、単一投薬単位において0.01~500mgの当該有効成分を含有する。しかしながら、いくつかの組成物中の有効成分の量は、上記において定義された上限または下限を超えることも可能である。
【0076】
当該化合物は、1~4回/日、好ましくは1回または2回/日の投与計画にて投与され得る。
【0077】
この投薬レベルおよび投与計画は、最適な治療応答を得るために調節することができる。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルおよび投薬頻度は、変更してもよく、ならびに、使われた特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与の様式および時間、排せつ速度、複合製剤、特定の状態の重篤度、および療法を受けているホストなどの様々な因子に依存するであろうことは理解されるであろう。
【0078】
本発明のさらなる態様として、式(I)または式(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、生物学的に活性な代謝産物、プロドラッグ、ラセミ体、エナチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、および水和物を含有する医薬の医薬品製造を提供する。
【0079】
本発明の医薬組成物は、様々な製薬投与剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、固体経口剤形、例えば、錠剤(例えば、バッカル錠、舌下錠、発泡錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠、凍結乾燥錠)、カプセル剤、トローチ剤、サブロー錠剤、丸薬、口内分散性フィルム、粒剤、粉末剤、など;液体経口剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、溶液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、経口滴剤など;注射剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射など;他の投与剤形、例えば、下記に限定されるわけではないが、点眼剤、半固体眼用製剤、点鼻液または鼻腔噴霧液、経皮投与剤形、坐剤、直腸用カプセル剤、直腸用溶液剤、乳剤、および懸濁剤など、として製剤化され得る。
【0080】
本発明の医薬組成物は、例えば、混合、溶解、乳化、懸濁化、包括固定、凍結乾燥、押出加工、ラミネーション、流延成形、粒状化、粉砕、カプセル化、糖衣形成(dragee-making)、または錠剤化プロセスによる、任意の従来法において製造することができる。
【0081】
したがって、本発明による使用のための医薬組成物は、1種または複数種の生理学的に許容される賦形剤を使用して、任意の従来方式において製剤化することができる。任意の周知の技術および賦形剤は、好適なように、および当技術分野において理解されるように、使用され得る。
【0082】
投与剤形の調製のための好適な賦形剤は、以下のカテゴリ、例えば、下記に限定されるわけではないが、錠剤およびカプセル剤フィラー、錠剤およびカプセル剤バインダー、放出調節剤、崩壊剤、滑沢剤、潤滑剤、甘味剤、矯味剤、矯臭剤、被覆剤、界面活性物質、酸化防止剤、緩衝薬、錯化剤、乳化剤、凍結乾燥助剤、マイクロカプセル化剤、軟膏基剤、透過増強剤、可溶化剤、溶媒、坐剤基剤、および懸濁化剤から選択され得る。
【0083】
一実施形態において、本発明は、溶解度、溶解、透過、吸収、および/または有効成分のバイオアベイラビリティを向上させることができる特定の賦形剤、例えば、下記に限定されるわけではないが、親水性ポリマー、ホットメルト押出成形用賦形剤、界面活性物質、緩衝薬、錯化剤、乳化剤、凍結乾燥助剤、超崩壊剤、マイクロカプセル化剤、透過増強剤、可溶化剤、助溶媒、および懸濁化剤などの使用に関する。
【0084】
製造の上記において説明した成分および様々な経路は、単に代表的なものである。他の材料ならびに当技術分野において周知の加工技術および同様のものも使用することができる。
【実施例
【0085】
本発明は、さらに、以下の実施例において定義される。当該実施例が単に例示として与えられることは、理解されるべきである。上記の説明および実施例から、当業者は、本発明の本質的特性を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適合させるために、様々な変更および修正を為すことができる。結果として、本発明は、本明細書の下記において詳細に説明される例示的実施例によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0086】
概して、式(I)および式(II)の化合物は、当業者の一般知識に従って、および/または、実施例および/または下記の中間体のセクションにおいて詳細に説明される方法を使用して、調製することができる。溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者によって容易に選択することができる。出発材料は、市販されているか、および/または当業者によって容易に調製される。
【0087】
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
以下の実施例において、「室温」は、20℃から25℃の範囲の温度を意味する。
【0089】
特定の実施例において使用される略語は、以下の意味を有する。
AcOH 酢酸
abs. 絶対値
aq. 水溶性
atm 気圧
BoCO ジ-tert-ブチルジカーボネート
BH.THF ボランテトラヒドロフラン錯体溶液
CDI 1,1’-カルボニルジイミダゾール
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCE 1,2-ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N’-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
EtSiH トリエチルシラン
ESI エレクトロスプレーイオン
HEPES (4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
LC-MS 質量分析に連結された液体クロマトグラフィ
MeOH メタノール
n-BuLi n-ブチルリチウム溶液
NMP N-メチル-2-ピロリドン
PCC クロロクロム酸ピリジニウム
sat. 飽和
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィ
【0090】
中間体1
【化16】
6’-クロロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド
【化17】
【0091】
ステップ1:tert-ブチル6’-クロロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート
メタノール(20mL)中における、3.42g(20mmol)のtert-ブチル3-オキソアゼチジン-1-カルボキシレート、3.41g(20mmol)の1-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン、および1.42g(1.67mL、20mmol)のピロリジンの溶液を、20時間還流させた。当該反応混合物を、真空下においてエバポレートして、当該褐色の残留物をジクロロメタン(120mL)に溶解させ、1NのHClを用いて分配させ、有機層を水(50mL×2回)および塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物を、シリカゲルにおいてDCM:MeOHを用いて溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、3.02g(46%)の表題の化合物を得た。
【0092】
ステップ2:6’-クロロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド
EtOAc(30mL)中における3.0g(8.9mmol)のtert-ブチル6’-クロロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート(前のステップから)の溶液に、0℃において、10分かけて、tOAc(30mL)中における20%の塩酸を加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で2時間撹拌した。次いで、当該反応混合物を、真空下においておよそ15mLまで濃縮し、ジエチルエーテル(20mL)で希釈した。沈殿した薄褐色の結晶をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、2.0g(90%)の表題の化合物を得た。
【0093】
中間体1に対して説明した方法に従って、ピロリジンの存在下において、適切なアセトフェノンおよび含窒素環状脂肪族ケトンから第1表の化合物を調製した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
中間体18
【化18】
3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-ピラノ[3,2-b]ピリジン]-4’-オンヒドロクロリド
【0097】
ステップ1:tert-ブチル4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-ピラノ[3,2-b]ピリジン]-1-カルボキシレート
トルエン(4mL)中における、1-(3-ヒドロキシピリジン-2-イル)エタノン(160mg;1.17mmol)、N-tert-ブトキシカルボニル-3-アゼチジノン(205mg、1.2mmol)、およびピロリジン(0.1mL、1.2mmol)の溶液を、還流下において28時間撹拌した。反応の完了時に(TLCによってモニターした)、当該混合物を真空下において濃縮し、得られた暗褐色の残留物をEtOAc(30mL)と1Nの塩酸(10mL)との間で分配させた。当該層を分離した。水層をEtOAcで抽出した(20mL×2回)。収集した有機抽出物を、順番に、水(20mL×2回)、飽和NaHCO溶液(20mL)、および塩水(20mL)で洗浄した。溶媒のエバポレートの後に得られる残留物を、溶離液としてEtOAc中における30%のn-ヘキサンを用いてフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製して、100mg(29%)の表題の化合物を得た。
【0098】
ステップ2:3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-ピラノ[3,2-b]ピリジン]-4’-オンヒドロクロリド
EtOAc(2mL)中における113mg(0.389mmol)のtert-ブチル4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-ピラノ[3,2-b]ピリジン]-1-カルボキシレート(前のステップから)の溶液に、0℃において、10分かけて、EtOAc(2mL)中における20%の塩酸を加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で2時間撹拌した。次いで、当該反応混合物を、真空下においておよそ15mLまで濃縮し、ジエチルエーテル(3mL)で希釈した。沈殿した薄褐色の結晶をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、80mg(91%)の表題の化合物を得た。
【0099】
中間体19
【化19】
7’-フルオロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド
【化20】
【0100】
ステップ1:tert-ブチル3-[2-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-オキソエチル]-3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート
15℃に冷却した、THF(50mL)中におけるジイソプロピルアミン(17.7mL、125mmol)の溶液に、ヘキサン(50mL)中における2.5Mのn-BuLiを、窒素雰囲気下において滴加し、当該混合物を、-15℃で30分間撹拌した。
次いで、THF(50mL)中における8.96g(58.14mmol)の4’-フルオロ-2’-ヒドロキシアセトフェノンの溶液を滴加し、当該混合物を-15℃で1時間撹拌し、次いで、THF(50mL)中におけるtert-ブチル3-オキソアゼチジン-1-カルボキシレート(12.9g、75.6mmol)の溶液を20分間かけて滴加することによって処理し、室温まで温め、この温度で1時間撹拌した。当該反応混合物を、飽和NHCl溶液(100mL)を加えてクエンチした。当該反応混合物を酢酸エチル(90mL×2回)で抽出し、収集した有機層を塩水(120mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該残留物を、ジイソプロピルエーテル(50mL)を用いて磨砕し、沈殿した白色結晶をろ別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させて、16.79g(89%)の表題の化合物を得た。
【0101】
ステップ2:tert-ブチル7’-フルオロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート
乾燥ピリジン(35mL)中における14.2g(43.6mmol)のtert-ブチル3-[2-(4-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-オキソエチル]-3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレートの溶液に、窒素雰囲気下で、-10℃において、14.48g(9.58mL、68.12mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を滴加した。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で1~2時間撹拌した。次いで、当該反応混合物をエタノール(80mL)で希釈し、49g(48mL)の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンで処理した。加える間に、当該混合物の温度は50℃まで上昇し、この温度に1時間維持した。当該混合物を真空下において濃縮し、残留物をEtOAc(160mL)に溶解させ、水(80mL×2回)、1NのHCl(80mL)、1MのNaHCO溶液(80mL)、および塩水(40mL)で洗浄した。当該有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該残留物を、ジエチルエーテルおよびn-ヘキサン(1:1、40mL)の混合物を用いて磨砕し、沈殿した白色結晶をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、4.9g(36%)の表題の化合物を得た。
【0102】
エバポレートした母液を、シリカゲルにおいてCHClを用いて溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、さらに2.05g(15%)の表題の化合物を得た。
【0103】
ステップ3:7’-フルオロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド
EtOAc(60mL)中における6.05g(19.7mmol)のtert-ブチル7’-フルオロ-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート(前のステップから)の溶液に、0℃において、10分かけて、EtOAc(60mL)中における20%のHClを加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で2時間撹拌した。次いで、当該反応混合物の量を、真空下において15~20mLまで減らし、ジエチルエーテル(30mL)で希釈した。沈殿した白色結晶をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、4.53g(94%)の表題の化合物を得た。
【0104】
中間体20
【化21】
3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン
【化22】
【0105】
ステップ1:tert-ブチル4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート
この中間体は、中間体1に対して説明した方法に従って、ピロリジンを用いて、適切な2-ヒドロキシ-アセトフェノンおよびtert-ブチル3-オキソアゼチジンe-1-カルボキシレートから調製した。
【0106】
ステップ2:tert-ブチル4’-ヒドロキシ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート
MeOH(5mL)中における400mg(1.38mmol)のtert-ブチル4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレートの溶液に、NaBH4(52.3mg、1.38mmol)を、氷水で冷却しながら、少量ずつ加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で4時間撹拌した。次いで、当該反応混合物を真空下において濃縮し、残留物をEtOAc(15mL)に溶解させ、水および塩水で洗浄した。当該有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、320mg(79%)の表題の化合物を得た。得られた粗スピロクロマン-4-オールを、精製せずに次のステップで使用した。
【0107】
ステップ3:3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン
トリフルオロ酢酸(4mL)中におけるtert-ブチル4’-ヒドロキシ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレート(292mg、1mmol)の溶液に、EtSiH(450mg、4mmol)を加え、当該混合物を90℃で16時間撹拌した。次いで、当該反応混合物を真空下において濃縮し、残留物を水に溶解させ、1.5NのNaOH溶液を加えることによってpHを9に調節した。当該混合物をCHClで抽出し(3回)、収集した抽出物を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、80mg(50%)の表題の化合物を得た。得られた粗3,4-ジヒドロスピロクロメン誘導体を、精製せずに次のステップで使用した。
【0108】
第2表の化合物を、中間体20に対して説明した方法によって、反応順序に従って、適切なスピロクロマン-4-オン、スピロクロマン-4-オール、3,4-ジヒドロスピロクロメンから調製した。
【0109】
【表3】
【0110】
tert-ブチル6’-フルオロ-4’-ヒドロキシ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキシレートの還元的脱酸素からの中間体24および25を、精製せずに次のステップに使用した。
【0111】
中間体26
【化23】
(1H-インドール-5-イル)メタンアミン
当該化合物は、Sigma Aldrichから市販されている(カタログ番号:655864)。
【0112】
中間体27
【化24】
(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
当該化合物は、Maybridgeから市販されている(カタログ番号:CC41413DA)。
【0113】
中間体28
【化25】
(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
当該化合物は、Enamineから市販されている(カタログ番号:EN300-209649)。
【0114】
中間体29
【化26】
(2-クロロ-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
【化27】
【0115】
ステップ1:3,3-ジブロモ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル
tert-ブタノール(250mL)中における1H-インドール-5-カルボニトリル(7.10g;50mmol、 Combi-Blocks)の撹拌溶液に、25℃において、臭素(42.5g;13.5mL、275mmol)を滴加し(20分)、1.5時間撹拌した。完了後、当該反応混合物を真空下において濃縮した。この残留物をEtOAc(400mL)で希釈し、水(75mL)を加えた。有機層を、水(100mL×2回)、塩水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下において濃縮した。当該粗残留物を、ジイソプロピルエーテル(100mL)を用いて30分間撹拌した。沈殿した結晶をろ別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥させて、赤褐色の固体として12.89g(81%)の表題の化合物を得た。
【0116】
ステップ2:2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル
AcOH(270mL)中における3,3-ジブロモ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル(12.89g;40.8mmol)の懸濁液に、Zn粉末(16.3g;250mmol)を少量ずつ(それぞれ、約2g)加えた。当該混合物の温度が、35℃を超えないようにして、30℃で2時間撹拌した。完了後、当該反応混合物を真空下において濃縮した。この残留物を、EtOAc(300mL)に懸濁させ、ろ別し、固体を、再びEtOAc(150mL)を用いて撹拌し、次いで、ろ別した。収集した有機層を真空下において濃縮した。残留物を、1NのHCl溶液(100mL)を用いて1時間撹拌し、ろ別し、水(5mL×2回)で洗浄し、乾燥させて、3.86g(60%)の表題の化合物を得た。
【0117】
ステップ3:2-クロロ-1H-インドール-5-カルボニトリル
撹拌しながら、DCE(23ml)中における2-オキソインドリン-5-カルボニトリル(5.8g;36.9mmol)の懸濁液に、0℃において、POCl(11.5g、6.95mL;74.79mmol)を加えた。当該反応混合物を、90℃で30分間還流させた。当該反応物を冷却した後、イミダゾール(2.75g、44.55mmol)を加え、さらに90℃で2時間加熱した。完了後、当該反応混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(110mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(30mL)、塩水(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該生成物を、シリカゲルにおいてTHF:n-ヘキサン9:1を用いて溶離させることによりカラムクロマトグラフィ分離し、黄色固体として4.58g(70%)の表題の化合物を得た。
【0118】
ステップ4:(2-クロロ-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
乾燥THF(23mL)中における2-クロロ-1H-インドール-5-カルボニトリル(4.48g;25.3mmol)の撹拌溶液に、0℃において、窒素雰囲気下で、LiAlH(THF中1M;45mL;45mol)を加えた。当該反応混合物を65℃で2時間還流した。TLC当該は、生成物の形成を示した。当該反応混合物を、0℃のEtOAc(20mL)を用いてクエンチし、飽和NaSO水溶液(15mL)を滴加した。当該反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、酢酸エチル(100mL)で徹底的に洗浄した。当該ろ液を、塩水(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物を、EtOAc(50mL)から結晶化させることによって精製して、オフホワイトの固体として3.9g(85%)の表題の化合物を得た。
【0119】
中間体30
【化28】
(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
【化29】
【0120】
ステップ1:tert-ブチルN-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]カルバメート
CHCl(40mL)中における(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン(640mg;3.995mmol)およびDIPEA(1.03g;1.39mL、7.98mmol)の撹拌溶液に、0℃において、窒素雰囲気下で、CHCl(10mL)中におけるジ-tert-ブチルジカーボネート(BoCO)(1.74g;7.97mmol)の溶液を加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。TLCは、生成物の形成を示した。当該反応混合物をCHCl(20mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄した。当該有機相を、塩水(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、白色固体として786mg(76%)の表題の化合物を得た。
【0121】
ステップ2:tert-ブチルN-[(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]カルバメート
CHCl(4mL)中におけるtert-ブチルN-[(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]カルバメート(160mg;0.615mmol)の撹拌溶液に、0℃において、窒素雰囲気下で、N-クロロスクシンイミド(82mg;0.61mmol)を加えた。当該反応混合物を、室温で3.5時間撹拌した。TLCは、生成物の形成を示した。当該反応混合物をCHCl(20mL)で希釈し、水(20mL)で洗浄した。当該有機相を、塩水(15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、オイル状の145mg(80%)の表題の化合物を得た。
【0122】
ステップ3:(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
乾燥CHCl(3mL)中におけるtert-ブチルN-[(3-クロロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]カルバメート(72mg、0.244mmol)の溶液に、0~2℃において、窒素雰囲気下で、CFCOOH(300mg;0.2mL、3mmol)を加えた。当該反応混合物を、室温で3時間撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を真空下において濃縮した。残留物をCHCl(20mL)に溶解させ、1NのNaOH溶液を加えることによってpHを10に調節し(冷却下において)、水相をCHCl(15mL×3回)で抽出し、有機相を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物を、シリカ上においてCHCl中における10%のMeOHによって溶離させるフラッシュクロマトグラフィによって精製して、黄色固体として49mgの表題の化合物を得た。
【0123】
中間体31
【化30】
(3-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
【化31】
【0124】
ステップ1:1-メチル-1H-インドール-5-カルボニトリル
激しく撹拌しながら、DMF(16mL)中における1H-インドール-5-カルボニトリル(2.09g、14.7mmol)の溶液に、0℃において、アルゴン雰囲気下で、NaH(840mg、オイル中60パーセント、21mmol)を加えた。当該溶液を30分間撹拌し、次いで、ヨードメタン(9.12g、4mL、63mmol)を加えた。当該反応混合物を、室温で4時間撹拌した。当該反応を水(50mL)を用いてクエンチし、EtOAc(120mL×3回)で抽出した。当該有機層を収集し、水(50mL×2回)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮し、乾燥トルエンを当該残留物からエバポレートすることにより、オフホワイトの固体として2.3gの表題の化合物を得て、それを精製せずに次のステップにおいて使用した。
【0125】
ステップ2:1-メチル-2,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル
アセトニトリル(40mL)中における1-メチル-1H-インドール-5-カルボニトリル(1.38g、8.83mmol)の溶液に、PCC(7.6g、35.2mmol)を加え、当該混合物を7時間還流した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該反応混合物を真空下において濃縮し、残留物を、HOとEtOAcとの間で分配させた。不溶性の部分をろ別し、有機層を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、乾固するまで溶媒をエバポレートした。当該粗残留物を、シリカにおいてCHClによって溶離させるフラッシュクロマトグラフィによって精製することにより、オレンジ色の固体として760mgの表題の化合物を得た。
【0126】
ステップ3:3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル
ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリドの溶液(Deoxofluor、トルエン中50%、5mL、10mmol)に、アルゴン雰囲気下において1-メチル-2,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル(502mg、2.7mmol)を加え、次いで、25μLの無水EtOHを加え、当該混合物を90℃で1時間加熱した。
【0127】
当該反応をMeOH(1mL)によってクエンチし、CHCl(100mL)で希釈し、次いで、当該混合物を、冷飽和NaSO溶液に注ぎ入れ、生成物をジクロロメタンで抽出した。抽出物を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、乾固するまで当該溶媒をエバポレートした。当該粗残留物を、シリカにおいて0~20%の勾配のEtOAc/ヘキサンによって溶離させるフラッシュクロマトグラフィによって精製して、黄色固体として322mgの表題の化合物を得た。
【0128】
ステップ4:(3-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン
乾燥THF(10mL)中における3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボニトリル(510mg、2.45mmol)の溶液に、0℃において、アルゴン雰囲気下で、BH.THF(THF中1M)(7.5mL、7.5mmol)を加えた。当該反応混合物を、室温で3時間撹拌した。当該反応の完了後(TLCによってモニターした)、冷却下においてMeOH(10mL)を加え、当該混合物を真空下において濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(25mL)で洗浄し、次いで、塩水(25mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物を、シリカにおいてCHCl中10%のMeOHによって溶離させるフラッシュクロマトグラフィによって精製して、淡黄色固体として70mgの表題の化合物を得た。
【0129】
中間体32
【化32】
{1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
【化33】
化合物5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンは Combi Blocksから市販されており(カタログ番号:IN-0206)、所望のアザインドール-アミンは、上記に例示した一連のステップで調製される。
【0130】
ステップ1:1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
当該中間体は、欧州特許出願公開第1782811(A1)号(EISAI R&D MAN CO LTD)に記載の通りに調製される
【0131】
ステップ2:1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
当該中間体は、国際公開第2009/155017(A2)号(MERCK & CO INC)に記載の通りに調製される。
【0132】
ステップ3:{1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
当該中間体は、国際公開第2012/042915(A1)号(RAQUALIA PHARMA INC)に記載の通りに調製される。
【0133】
中間体33
【化34】
{3-クロロ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
【化35】
化合物5-ブロモ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンは、Combi Blocksから市販されており(カタログ番号:IN-0206)、所望の3-クロロアザインドール誘導体は、上記に示した一連のステップにおいて調製される。
【0134】
ステップ1:1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
当該中間体は、欧州特許出願公開第1782811(A1)号(EISAI R&D MAN CO LTD)に記載される通りに調製した。
【0135】
ステップ2:1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
当該中間体は、国際公開第2009/155017(A2)号(MERCK & CO INC)に記載される通りに調製される。
【0136】
ステップ3:3-クロロ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
激しく撹拌しながら、DMF(14mL)中における1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(600mg、3.69mmol)の溶液に、室温において、アルゴン雰囲気下で、N-クロロスクシンイミド(502mg、3.76mmol)を加えた。当該溶液を、室温で一晩撹拌した。 反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を真空下において濃縮した(数回にわたって、乾燥トルエンを当該残留物からエバポレートした)。当該残留物をジエチルエーテル-EtOAc(1:1、40mL)の混合物に溶解させ、水(15mL×3回)で洗浄した。当該有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、670mgの表題の化合物を得、それを、精製せずに次のステップに使用した。
【0137】
ステップ4:{3-クロロ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
当該中間体は、国際公開第2012/042915(A1)号(RAQUALIA PHARMA INC)に記載される通りに調製した。
【0138】
中間体34
【化36】
{3-ブロモ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
【0139】
ステップ1~2:
当該中間体は、中間体33に対して説明した一連のステップにおいて、欧州特許出願公開第1782811(A1)号(EISAI R&D MAN CO LTD)および国際公開第2009/155017(A2)号(MERCK & CO INC)に記載されるのと同じ方法によって調製した。
【0140】
ステップ3:3-ブロモ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
激しく撹拌しながら、CHCl(6.5mL)中における1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(358mg、2.28mmol)の溶液に、室温において、アルゴン雰囲気下で、N-ブロモスクシンイミド(446mg、2.51mmol)を加えた。当該溶液を、室温で一晩撹拌した。当該反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物をCHCl(25mL)で希釈し、水(20 mL×3回)で洗浄した。当該有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、670mgの表題の化合物を得、それを、精製せずに次のステップに使用した。
【0141】
ステップ4:{3-ブロモ-1-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
当該中間体は、国際公開第2012/042915(A1)号(RAQUALIA PHARMA INC)に記載の通りに調製される。
【0142】
中間体35
【化37】
{1,2-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}メタンアミン
【化38】
【0143】
ステップ1:6-アミノ-5-ヨードピリジン-3-カルボニトリル
DMF(5mL)中における2-アミノ-5-シアノピリジン(500mg、4.2mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(574mg、386uL、1.2mol当量)を加えた。室温において、N-ヨードスクシンイミド(1.04g、4.62mmol、1.1mol当量)を加え、当該反応混合物を50℃で3時間加熱した。完全な変換をTLCが示した。当該反応混合物を室温まで冷却した後、当該反応混合物を水に加えることによって、生成物を沈殿させた。Naおよび1NのNaOHによって中和した後、褐色固体として表題の化合物(660mg)をろ過によって収集した。それを、精製せずに、次のステップに使用した。
【0144】
ステップ2:6-アミノ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)ピリジン-3-カルボニトリル
無水THF(18mL)中における、6-アミノ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)ピリジン-3-カルボニトリル(329mg、1.34mmol)、ビス’(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(0)(95mg、0.134mmol)、ヨウ化銅(I)(128mg、0.671mmol)、およびトリエチルアミン(976mg、1.34mL、9.64mmol)の、脱ガス処理した混合物に、プロピン溶液(THF中3~4%;13.2mL)を、0~5℃において、セプタムを介して加えた。当該混合物を、0~5℃において30分間撹拌し、次いで、さらに18時間室温で撹拌した。当該反応を、NHCl溶液を加えることによってクエンチした。当該固体をろ過によって除去し、当該ろ塊をCHClで洗浄した。収集した有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物を、シリカにおいてシクロヘキサン中における40%のEtOAcによって溶離させるフラッシュクロマトグラフィによって精製し、黄色固体として150mgの表題の化合物(71%)を得た。
【0145】
ステップ3:2-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
DMF(5mL)中における6-アミノ-5-(プロパ-1-イン-1-イル)ピリジン-3-カルボニトリル(300mg、1.91mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(428mg、3.82mmol、2mol当量)を加えた。当該反応混合物を、90℃で5.5時間加熱した。完全な変換をTLCが示した。当該反応混合物を室温まで冷却した後、当該混合物を水に注ぎ入れ、CHClで抽出した。収集した有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、黄色固体として279mg(93%)の表題の化合物を得た。それを、精製せずに、次のステップに使用した。
【0146】
ステップ4:1,2-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル
DMF(7.5mL)中における2-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(279mg、1.78mmol)の溶液に、0℃において、水素化ナトリウム(鉱油中60%)(92mg、2.31mmol、1.3mol当量)を加えた。当該反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いで、DMF(1.5mL)中におけるヨードメタン(380mg、167μL)を滴加した。当該混合物を室温で一晩撹拌した。完全な変換をTLCが示した。当該混合物を水に注ぎ入れ、CHCl(20mL×3回)で抽出した。収集した有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、黄色固体として298mg(98%)の表題の化合物を得た。それを、精製せずに、次のステップに使用した。
【0147】
ステップ5:1-(1,2-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)メタンアミン
MeOH(100mL)と水中25%のアンモニア溶液(25mL)とによる混合物中における1,2-ジメチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-カルボニトリル(297mg、1.73mmol)の溶液に、レーニー-Ni(200mg)を加え、当該混合物を、室温において、1気圧のH下で16時間撹拌した。当該反応混合物を、セライトパッドを通してろ過し、ろ液を減圧下において濃縮して、黄色固体として226mg(74%)の表題の化合物を得た。
【0148】
中間体36
【化39】
[2-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メタンアミン
当該中間体は、国際公開第2009/127678(A1)号(GLAXO GROUP LTD)に記載される通りに調製した。
【0149】
中間体37
【化40】
[2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メタンアミン
化合物エチル5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボキシレートは、Aldrichから市販されており(カタログ番号:724718)、所望の2-ジフルオロメチルインドール-アミンは、下記に示す一連のステップにおいて調製される。
【化41】
【0150】
ステップ1:(5-ブロモ-1H-インドール-2-イル)メタノール
乾燥THF(30mL)中における5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボキシレー(2.08g、7.77mmol)の溶液に、0~2℃において、アルゴン雰囲気下で、LiAlH溶液(THF中1M)(7.0mL、7.0mmol)を加え、次いで、当該反応混合物を室温で4時間撹拌した。当該反応の完了後(TLCによってモニターした)、冷却下においてNHCl溶液(20mL)を加え、当該混合物をEtOAc(50mL×2回)で抽出した。収集した有機層を、塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、淡褐色固体として1.73gの粗化合物を得た。それを、精製せずに、次のステップに使用した。
【0151】
ステップ2:5-ブロモ-1H-インドール-2-カルバルデヒド
乾燥アセトニトリル(20mL)中における(5-ブロモ-1H-インドール-2-イル)メタノール(1.0g、4.42mmol)の溶液に、MnO(1.92g、22.1mmol)を加え、当該反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該懸濁液をろ別し、EtOAc(15mL×5回)で洗浄した。収集した有機層を、塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗褐色固体をアセントから結晶化させて、656mg(66%)の表題の化合物を得た。
【0152】
ステップ3:tert-ブチル5-ブロモ-2-ホルミル-1H-インドール-1-カルボキシレート
アセトニトリル(20mL)中における5-ブロモ-1H-インドール-2-カルバルデヒド(518mg;2.2mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(27mg;0.22mmol)の撹拌溶液に、0℃において、窒素雰囲気下で、BoCO(965mg;4.4mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。TLCは、生成物の形成を示した。当該反応混合物を、乾固するまでエバポレートし、当該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、黄色固体として664mg(93%)の表題の化合物を得た。
【0153】
ステップ4:tert-ブチル5-ブロモ-2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-1-カルボキシレート
乾燥ジクロロメタン(20mL)中におけるtert-ブチル5-ブロモ-2-ホルミル-1H-インドール-1-カルボキシレート(657mg、2.027mmol)の溶液に、THF(6.28g、14.2mmol)中におけるDeoxo-Fluor(登録商標)(ビス(2-メトキシエチル)(トリフルオロスルファニル)アミン)50%溶液を加え、当該反応混合物を、室温で一晩撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を、CHClで希釈し、飽和NaHCO溶液および塩水で洗浄した。当該有機相をNaSOで乾燥させ、ろ過して、真空下において濃縮した。当該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、黄色オイルとして642mg(91%)の表題の化合物を得た。
【0154】
ステップ5:2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-カルボニトリル
NMP(15mL)中におけるtert-ブチル5-ブロモ-2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-1-カルボキシレート(639mg、1.848mmol)の溶液に、シアン化亜鉛(326mg、2.77mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(214mg、0.184mmol)を加え、当該反応混合物を、70℃で3時間撹拌し、次いで、アルゴン雰囲気下において、90℃で3時間撹拌した。当該反応の進行後、TLCを行った。当該混合物を水(100mL)に注ぎ入れ、EtOAc(30mL×3回)で抽出した。収集した有機相を水で洗浄した(500mL×4回)および塩水で洗浄した。当該有機相をNaSOで乾燥させ、ろ過して、真空下において濃縮した。当該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによって精製して、白色固体として241mg(68%)の表題の化合物を得た。
【0155】
ステップ6:[2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-イル]メタンアミン
MeOH(24mL)と水中25%のアンモニア溶液(6mL)とによる混合物中における2-(ジフルオロメチル)-1H-インドール-5-カルボニトリル(211mg、1.08mmol)の溶液に、レーニー-Ni(100mg)を加え、当該混合物を、1気圧のH下において、室温で3時間撹拌した。当該反応混合物を、セライトパッドを通してろ過し、MeOH(10mL×3回)で洗浄し、次いで、ろ液を減圧下において濃縮して、淡褐色固体として218mg(およそ100%)の表題の化合物を得た。
【0156】
中間体38
【化42】
1-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イル)メタンアミン
当該中間体は、国際公開第2011/079804(A1)号(HUTCHISON MEDIPHARMA LTD)または米国特許出願公開第20100298314(A1)号(SCHERING CORP)に記載される通りに調製した。
【0157】
中間体39
【化43】
1-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-イル)メタンアミン
当該化合物は、Enamineから市販されている(カタログ番号:EN300-57206)。
【0158】
実施例1
【化44】
6’-フルオロ-N-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド
800mg(5.0mmol)の2(メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン(中間体26)と120mLのジクロロメタン(CHCl)中における1.295g(1.75mL、10mmol)のDIPEAとの混合物に、0℃において、アルゴン雰囲気下で、4-ニトロフェニルクロロホルメート(1020mg、5.06mmol)を加えた。当該淡黄色の懸濁液を、この条件下において、1時間撹拌した。活性化期間後、6’-フルオロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド(1.22g、5mmol、中間体6)と30mLのCHCl中における1.75mLDIPEA(7.75mmol)とによる当該混合物を加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で22時間撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を、水(40mL×2回)で洗浄し、次いで塩水で洗浄した。当該有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、1.8gの粗化合物を得た。当該残留物を、シリカゲルにおいてCHClおよびMeOH(10:1)の混合物によって溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、1.02g(50%)の表題の化合物を得た。LC-MS(ESI)m/z[M+H]=394.1
【0159】
以下の第3表の実施例を、実施例1において説明した手順に従って合成した。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【表6】
【0163】
【表7】
【0164】
【表8】
【0165】
【表9】
【0166】
【表10】
【0167】
【表11】
【0168】
【表12】
【0169】
【表13】
【0170】
【表14】
【0171】
【表15】
実施例5の表題化合物のラセミ体は、実施例1に対して説明した方法に従って、中間体26および中間体3から調製した。2種(AおよびB)のエナンチオマーを、キラル分取HPLCを用いて分離した。それらの絶対配置は特定されていない。
b、c、d、e 合成は、それぞれ、下記を参照のこと。
【0172】
実施例66
【化45】
6’‐クロロ‐N‐[(2‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)メチル]‐4’‐オキソ‐3’,4’‐ジヒドロスピロ[アゼチジン‐3,2’‐[1]ベンゾピラン]‐1‐カルボチオアミド
2mLのDMF中における80.1mg(0.5mmol)の2-(メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン(中間体28)の溶液に、室温において、アルゴン雰囲気下で、1,1’-チオカルボニル-ジイミダゾール(98mg、0.55mmol)を加えた。茶色がかった黄色の当該溶液を、この条件下において、1時間撹拌した。活性化期間後、6’-クロロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド(130mg、0.5mmol、中間体1)と2mLのDMF中における0.131mLのDIPEA(0.75mmol)の混合物を加え、当該混合物を、この温度で20時間撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を水(8mL)に注ぎ入れ、EtOAc(15mL×2回)で抽出した。当該有機層を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該残留物を、シリカゲルにおいてCHClおよびMeOH(10:1)の混合物によって溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、100g(47%)の表題の化合物を得た。LC-MS(ESI)m/z[M+H]=426.2
【0173】
実施例71
【化46】
7’‐フルオロ‐N‐[(1‐メチル‐1,2,3,4‐テトラヒドロキノリン‐6‐イル)メチル]‐4’‐オキソ‐3’,4’‐ジヒドロスピロ[アゼチジン‐3,2’‐[1]ベンゾピラン]‐1‐カルボキサミド
1‐(1‐メチル‐1,2,3,4‐テトラヒドロキノリン‐6‐イル)メタンアミン(中間体39)と20mLのジクロロメタン(CHCl)中における175μL(1.0mmol)のDIPEAとによる混合物に、0℃において、アルゴン雰囲気下で、4-ニトロフェニルクロロホルメート(111mg、0.55mmol)を加えた。当該淡黄色の懸濁液を、この条件下において、1.5時間撹拌した。活性化期間後、7’-フルオロ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-4’-オンヒドロクロリド(122mg、0.5mmol、中間体19)と5mLのCHCl中における131μのLDIPEA(0.75mmol)とによる混合物を加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で24時間撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を、水(20mL×2回)で洗浄し、次いで塩水で洗浄した。当該有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、300mgの粗化合物を得た。当該残留物を、シリカゲルにおいてCHClおよびMeOH(99:1)の混合物によって溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、30mg(15%)の表題の化合物を得た。LC-MS(ESI)m/z[M+H]=410.2
【0174】
実施例72
【化47】
N-[(3-クロロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド
激しく撹拌しながら、DCM(2mL)中におけるN-[(2-メチル-1H-インドール-5-イル)メチル]-4’-オキソ-3’,4’-ジヒドロスピロ[アゼチジン-3,2’-[1]ベンゾピラン]-1-カルボキサミド(実施例31)(100mg、0.266mmol)の溶液に、室温において、アルゴン雰囲気下で、N-クロロスクシンイミド(36mg、0.266mmol)を加えた。当該溶液を、室温で一晩撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物をDCM(20mL)で希釈し、水(15mL×3回)で洗浄した。
有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮した。当該粗生成物をカラムクロマトグラフィによって精製して、35mの表題の化合物を得た。LC-MS(ESI)m/z[M+H]=410.1
【0175】
実施例74
【化48】
N‐[(1‐メチル‐1H‐インドール‐5‐イル)メチル]‐4’‐オキソ‐3’,4’‐ジヒドロスピロ[アゼチジン‐3,2’‐ピラノ[3,2‐b]ピリジン]‐1‐カルボキサミド
56mg(0.35mmol)の(1-メチル-1H-インドール-5-イル)メタンアミン(中間体27)と10mLのジクロロメタン(CHCl)中における122μL(0.7mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)とによる混合物に、0℃において、アルゴン雰囲気下で、4-ニトロフェニルクロロホルメート(71mg、0.35mmol)を加えた。当該単黄色の懸濁液を、この条件下で1時間撹拌した。活性化期間後、3’,4’‐ジヒドロスピロ[アゼチジン‐3,2’‐ピラノ[3,2‐b]ピリジン]‐4’‐オンヒドロクロリド(80mg、0.35mmol、中間体18)と2mLのCHCl中における92μLのDIPEA(0.53mmol)とによる混合物を加えた。加えた後、当該混合物を室温まで温め、この温度で24時間撹拌した。反応の完了後(TLCによってモニターした)、当該混合物を、水(10mL×2回)で洗浄し、次いで塩水で洗浄した。当該有機層を、無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、真空下において濃縮して、60mgの粗化合物を得た。当該残留物を、シリカゲルにおいてCHClおよびMeOH(99:1)の混合物によって溶離させることによりクロマトグラフィ分離して、7mg(5%)の表題の化合物を得た。LC-MS(ESI)m/z[M+H]=377.2
【0176】
医薬組成物の調製
以下の製剤実施例は、本発明の代表的な医薬組成物を示している。しかしながら、本発明は、下記の医薬組成物に限定されるものではない。
【0177】
A)固体経口剤形
I.錠剤
有効成分 0.01~90%
フィラー 1~99.9%
バインダー 0~20%
崩壊剤 0~20%
潤滑剤 0~10%
他の特定の賦形剤 0~50%
【0178】
II.口内分散性フィルム
有効成分 0.01~90%
フィルム形成剤 1~99.9%
可塑剤 0~40%
他の特定の賦形剤 0~50%
【0179】
B)液体経口財形
III.経口懸濁剤
有効成分 0.01~50%
液体ビヒクル 10~99.9%
湿潤剤 0~50%
増粘剤 0~50%
緩衝薬 適量(quantum satis)
浸透圧剤 0~50%
防腐剤 適量
【0180】
IV.シロップ剤
有効成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
糖成分 1~20%
風味剤 0~10%
【0181】
C)注射剤形
V.静脈内注射
有効成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
助溶媒 0~99.9%
浸透圧剤 0~50%
緩衝薬 適量
【0182】
D)他の投与剤形
VI.坐剤
有効成分 0.01~50%
坐剤基剤 1~99.9%
表面活性剤 0~20%
潤滑剤 0~20%
防腐剤 適量
【0183】
VII.点鼻液または鼻腔噴霧液
有効成分 0.01~50%
水 0~99.9%
溶媒 0~99.9%
助溶媒 0~99.9%
浸透圧剤 0~20%
増粘剤 0~20 %
緩衝薬 適量
防腐剤 適量
【0184】
生物活性
ヒトα7ニコチンアセチルコリン受容体[Ca2+]iアッセイ
細胞:ヒトα7nAchRおよびヒトRIC-3(α7細胞、ヒトにおいて発生)を発現するFlp-In 293細胞
材料:PDL(Falcon)でコーティングした96ウェルプレート、培養培地、アッセイ緩衝液、DMSO、FLIPRカルシウム5キット(Molecular Devices)、プロベネシド、アゴニスト、およびPAM試験化合物
【0185】
【表16】
【0186】
方法の簡単な説明(Ca 2+ 蛍光分析)
α7細胞安定発現ヒトα7nAchRを、上記において詳細に説明した培地において培養し、1週間で2回分割した。細胞質Ca2+イオン濃度([Ca2+])の蛍光分析測定のため、細胞を、60000細胞/ウェルの密度において96ウェルμプレートに播種し、95%空気/5%COの雰囲気下で、37℃の組織培養インキュベータにおいて一晩維持した。プレート培養培地は、培養培地と同一であった。50μlの増殖培地をセルウォッシャー(BioTek Elx405UCVWS)によって吸引した。次いで、アッセイ緩衝液において2倍に希釈した50μl/ウェルのカルシウム5キットを、8チャンネルピペットを使用して手作業において加えた。インキュベーション期間(20分間、37℃)の後、ビヒクル(DMSO、4%を加えた)を含有する50μl/ウェルのアッセイ緩衝液またはレファレンスのα7PAM(4倍の最終濃度)を手作業で加え、当該細胞を37℃でさらに10分間インキュベートした。ベースラインおよびアゴニスト誘発[Ca2+]i変化を、統合された8チャンネル流体添加機能を有するプレートリーダー蛍光計であるFlexStation II(Molecular Devices、サニーベル、CA)でモニターした。37℃において蛍光測定を行った。染料を485nmにおいて励起し、発光を、1.4秒間隔で525nmにおいてサンプリングした。ベースラインを20秒間記録した後、アゴニスト刺激を行った。50μlの4倍に濃縮したアゴニスト溶液を、FlexStation IIのピペッターを使用して当該細胞に加え、蛍光をさらに40秒間モニターした。最終DMSO濃度は、全ての処理に対して1%であった。これを達成するために、一連のDMSOストック溶液を、全ての試験化合物から調製した。これらのストックを、0℃未満において貯蔵し、測定の直前に、所望の最終濃度を得るために、アッセイ緩衝液でさらに希釈した。それぞれ、飽和濃度のPAM(主に、PNU-120596、5μM)およびアゴニスト(主に、PNU-282987、1μM)の存在下において、アゴニストおよびPAM濃度-応答研究を実施した。結果は、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Devices)を使用してΔF/F値として表現され、この場合、Fは、アゴニスト適用前の静止蛍光(resting fluorescence)であり、ΔFは、所定の時間における蛍光の増分である(ΔF=刺激後の最大蛍光強度値-刺激前の平均蛍光強度値)。全ての実験において、全ての処理を複数のウェルにおいて並行して測定し、平均ΔF/F値を分析に使用した。
【0187】
第4表は、[Ca2+]iアッセイでのPAM EC50値を示している。
【0188】
【表17】
【0189】
インビボ薬理(場所認知試験)
動物:雄NMRIマウス(Toxicoop、ハンガリー)
物質:スコポラミンを塩水に溶解させ、1mg/kgの用量において腹腔内投与した。試験化合物を、習得トライアル(T1)の30分前に投与し、習得トライアルの後にスコポラミンを0.1ml/10gの量において投与した。
手順:透明なプレキシガラスによるY字迷路試験(各アームは、40cmの長さ、11cmの内側の幅、および30cmの高さを有する)においてタスクを実施した。複数の視覚的手がかりをアームの周りに配置し、実験の間、一定に維持した。当該試験は、間に30分間のインターバルを挟んだ2回のトライアル(T1およびT2)で構成された。各トライアルの開始時に、マウスを迷路の出発アームに位置した。T1において、迷路における左右対称のアームの一方を閉じ(それは、T2において新規アームとなる)、動物に迷路を5分間探索させた(習得フェーズ)。T2において、2分間、マウスに3つ全てのアームに自由にアクセスさせた。T2の間に新規のアームおよび馴染んだアームにおいて探索に費やした時間を測定した。各群において、迷路における馴染んだアームで過ごした探索時間と新規のアームにおいて過ごした探索時間の間の差を、MANOVAによって評価し、続いて、Duncan post hoc試験を行った。
【0190】
第5表は、マウスの場所認知アッセイにおけるスコポラミン誘発健忘の逆転を示している。
【0191】
【表18】
【0192】
迷路における新規のアームでの探索時間と馴染んだアームでの探索時間の間において、有意差(p<0.05;++p<0.01;+++p<0.001)が観察された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8