(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ロストモーションバルブトレインの改善された応答時間
(51)【国際特許分類】
F01L 13/06 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
F01L13/06 A
(21)【出願番号】P 2021514558
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 US2019051543
(87)【国際公開番号】W WO2020061069
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-16
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モリッシー、トレバー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2975230(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0276035(US,A1)
【文献】米国特許第6394067(US,B1)
【文献】特開昭49-57216(JP,A)
【文献】特表2013-536347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34- 1/356
F01L 9/00- 9/04
F01L 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン内の少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
運動源から前記少なくとも1つのエンジンバルブへと運動を伝えるためのバルブトレインであって、ロッカーシャフトに取り付けられたロッカーアーム、およびロストモーション構成要素を含む、バルブトレインと、
前記ロストモーション構成要素を制御するための制御バルブであって、前記制御バルブが、作動流体供給源から作動流体を受容するための制御バルブ入口を有し、
前記ロッカーシャフトが、前記制御バルブと前記ロストモーション構成要素との間で作動流体を伝えるためのロッカーシャフトロストモーション制御流路を有し、
前記ロッカーシャフトが、前記作動流体供給源から作動流体を受容するためのロッカーシャフト供給通路を含み、
前記ロッカーシャフトが、内部を有し、前記ロッカーシャフト供給通路と前記ロッカーシャフトロストモーション制御流路が、前記ロッカーシャフトの前記内部に延在し、
前記制御バルブが、前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の作動流体の作動流れを可能にする作動モード、および前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の前記作動流れを阻止する停止モードを有する、制御バルブと、
前記制御バルブが前記停止モードにあるときに、前記ロストモーション制御流路内の作動流体の補助流れを提供するように適合された調節回路であって、前記ロストモーション制御流路からの前記補助流れを通気させるためのベントを含む、調節回路と、を備え、
前記調節回路が、前記ロッカーシャフト供給通路と前記ロッカーシャフトロストモーション制御流路との間の流体連通を提供する補助流路を備え、前記補助流路は、前記ロッカーシャフトの前記内部の外側に配置される、システム。
【請求項2】
前記ロッカーアームが、前記作動流体供給源から作動流体を受容するためのロッカーアーム供給通路と、ロッカーアームロストモーション制御流路と、を含み、前記補助流路が、前記ロッカーアーム供給通路を前記ロッカーアームロストモーション制御流路に接続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
作動流体を前記制御バルブに運ぶためのマニホールド入口流路と、前記制御バルブから作動流体を運ぶためのマニホールド出口流路と、を有する、制御バルブマニホールドをさらに備え、前記補助流路が、前記マニホールド出口流路および前記マニホールド入口流路を接続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御バルブが、制御バルブ出口をさらに備え、前記補助流路が、前記制御バルブ出口を前記制御バルブ入口に接続する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記調節回路が、前記補助流れを制御するための流れ制御構成要素をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流れ制御構成要素が、オリフィスを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記流れ制御構成要素が、リリーフバルブを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記流れ制御構成要素が、チェックバルブを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロストモーション構成要素が、作動圧力を有し、前記調節回路が、前記調節回路を前記ロストモーション構成要素の前記作動圧力未満の調節回路圧力に維持するように適合された調節構成要素をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御バルブが、3方向ソレノイドバルブを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記調節回路は、前記制御バルブが前記作動モードにあるときに前記補助流れを提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロストモーション構成要素が、ロストモーションバルブブリッジである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記補助流路が、前記ロストモーション制御流路内に延在するねじ付き固定具によって提供される、請求項3に記載のシステム。
【請求項14】
前記調節回路が、補助流路を含み、前記補助流路内の前記作動流体の流れが圧力閾値未満になるのを防止するために、リリーフ装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記補助流路が、前記ロッカーシャフトの端部に近接して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ロッカーシャフトが、軸方向長さを有し、前記制御バルブが、前記ロッカーシャフト
の前記軸方向長さの少なくとも半分である、前記補助流路からの距離に位置決めされる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記調節回路が、ロッカーブッシング内に形成された少なくとも1つのチャネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ロストモーション構成要素が、前記ロッカーアーム内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ロストモーション構成要素が、前記バルブトレイン内のプッシュロッド内に位置付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ロストモーション構成要素は、前記運動源からの運動を選択的に吸収するようにされ、それにより、さもなければ前記運動源が前記エンジンバルブに伝える主事象運動を、修正するようにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記調節回路により提供される補助流れが、連続的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記調節回路により提供される補助流れが、前記供給源からブレーキまたはロストモーション供給油圧回路に連続的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
ブレーキまたはロストモーション回路は、制御バルブのアクションによって作動させるように求められる前に、前記調節回路は、新しい作動流体によって連続様式で、前記ブレーキまたは前記ロストモーション回路にパージされるようにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
内燃エンジン内の少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
運動源から前記少なくとも1つのエンジンバルブへと運動を伝えるためのバルブトレインであって、ロッカーシャフトに取り付けられたロッカーアーム、およびロストモーション構成要素を含む、バルブトレインと、
前記ロストモーション構成要素を制御するための制御バルブであって、前記制御バルブが、作動流体供給源から作動流体を受容するための入口を有し、
前記ロッカーシャフトが、前記制御バルブと前記ロストモーション構成要素との間で作動流体を伝えるためのロストモーション制御流路を有し、
前記制御バルブが、前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の作動流体の作動流れを可能にする作動モード、および前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の前記作動流れを阻止する停止モードを有する、制御バルブと、
前記制御バルブが前記停止モードにあるときに、前記ロストモーション制御流路内の作動流体の補助流れを提供するように適合された調節回路であって、前記制御流路からの前記補助流れを通気させるためのベントを含む、調節回路と、を備え、
前記ロッカーシャフトが、前記作動流体供給源から作動流体を受容するための供給通路を含み、前記調節回路が、前記ロッカーシャフト
の前記供給通路と前記ロッカーシャフト
の前記ロストモーション制御
流路とを接続する、少なくとも1つの補助流路を含み、前記補助流路は、前記ロッカーアームと前記ロッカーシャフトの間のインターフェイスに配置される、システム。
【請求項25】
前記ロッカーシャフトと前記ロッカーアームの間にブッシングをさらに備え、前記補助流路は、前記ブッシング内のチャネルを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ロッカーシャフトと前記ロッカーアームの間にブッシングをさらに備え、前記補助流路は、前記ロッカーシャフト供給通路から前記インターフェイスに延在する第1の通路と、前記ロッカーシャフトロストモーション制御通路から前記インターフェイスに延在する第2の通路とを備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の通路と前記第2の通路は、前記第1の通路と前記第2の通路の間の前記インターフェイスで、交差流れを促進するために、互いに十分に近接する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
内燃エンジン内の少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
運動源から前記少なくとも1つのエンジンバルブへと運動を伝えるためのバルブトレインであって、ロッカーシャフトに取り付けられたロッカーアーム、およびロストモーション構成要素を含む、バルブトレインと、
前記ロストモーション構成要素を制御するための制御バルブであって、前記制御バルブが、作動流体供給源から作動流体を受容するための入口を有し、
前記ロッカーシャフトが、前記制御バルブと前記ロストモーション構成要素との間で作動流体を伝えるためのロストモーション制御流路を有し、
前記制御バルブが、前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の作動流体の作動流れを可能にする作動モード、および前記制御バルブが前記ロストモーション制御流路内の前記作動流れを阻止する停止モードを有する、制御バルブと、
前記制御バルブが前記停止モードにあるときに、前記ロストモーション制御流路内の作動流体の補助流れを提供するように適合された調節回路であって、前記ロストモーション制御流路からの前記補助流れを通気させるためのベントを含む、調節回路と、を備え、
前記ロッカーアームが、前記作動流体供給源から作動流体を受容するためのロッカーアーム供給通路と、ロッカーアームロストモーション制御通路を含み、前記調節回路が、前記ロッカーアーム供給通路と前記ロッカーアームロストモーション制御通路とを接続する、補助流路を含む、システム。
【請求項29】
前記調節回路が、前記ロッカーシャフトと前記ロッカーアームとの間のインターフェイスを通る流路をさらに備える、請求項項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記調節回路が、前記ロッカーシャフトとロッカーアームブッシングとの間のインターフェイスを通る流路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記調節回路が、前記ロッカーアームのボア内のねじとねじ山との間の隙間通路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および優先権の主張
本出願は、2018年9月17日に出願された「IMPROVED RESPONSE TIME IN LOST MOTION VALVETRAINS」と題する米国仮特許出願第62/732,353号に対する優先権を主張するものであり、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、内燃エンジン内の1つ以上のエンジンバルブを作動させるためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、ロストモーション構成要素を含み得るエンジンバルブ作動システムのための油圧システム、および性能を改善するために油圧回路を強化または調整するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンは、輸送機関およびトラック輸送を含む、多数の用途および業界において遍在的に利用されている。これらのエンジンは、エンジンシリンダが燃焼プロセスにより動力を発生させる正動力動作モードを主に容易にし得る、エンジンバルブ作動システムを利用する。標準的な燃焼サイクルと関連付けられた吸気バルブおよび排気バルブの作動運動は、典型的に、「主事象」運動と称される。既知のエンジンバルブ作動システムは、早期または後期吸気バルブ閉鎖などの、修正された主事象バルブ運動を提供し得る。主事象運動に加えて、既知のエンジンバルブ作動システムは、内燃エンジンが他のモードで動作すること、もしくは正の電力生成モードの変化を可能にする補助的なバルブ作動運動もしくは事象(例えば、排気ガス再循環(EGR)、早期排気バルブ開放(EEVO)など)を、または内燃エンジンが、基本的に空気圧縮機として、燃料無供給状態で動作して、車両を減速する際に減速力を生じさせるエンジンブレーキを容易にし得る。
【0004】
バルブ作動システムは、エンジンブレーキおよび補助バルブ運動、ならびに修正された主事象バルブ運動を容易にするために、油圧作動のロストモーション構成要素を含み得る。ロストモーションは、カムプロファイルによって管理されるバルブ運動がバルブトレイン内の可変長の機械的、油圧、または他のリンケージによって修正され得る、技術的解決策の分野に適用される用語である。ロストモーション構成要素は、当技術分野で周知である。これらの装置は、典型的に、制御された様式で、それらの長さをコラプスもしくは変更するか、またはバルブトレイン内の隣接する構成要素を係合/係合解除して、バルブ運動を変更し得る、要素を含む。ロストモーション装置は、回転カムなどの、固定プロファイルのバルブ作動運動源によって決定付けられる運動によって異なる、エンジンサイクル中の特定のバルブ作動運動を容易にし得る。ロストモーション装置は、主事象のバルブ運動に加えてまたはそれを変化させて事象を達成するために、そのような運動を選択的に「失わせ」得る、すなわち、バルブトレインを介して1つ以上のエンジンバルブに伝えさせない。
【0005】
バルブ作動システム、特にロストモーション構成要素を利用するバルブ作動システムは、典型的に、油圧システムに依存して、1つ以上のバルブトレイン構成要素を制御する。これらの油圧システムは、バルブトレイン内の1つ以上の油圧ロストモーション構成要素への作動流体の流れ、およびその動作を制御する、1つ以上の油圧回路を利用し得る。油圧システムは、典型的にエンジンオイルを作動流体として利用する、エンジン潤滑システムと一体化され得るか、またはそれを組み込み得る。
【0006】
ロストモーションバルブ作動システムでは、油圧回路は、回路内で開始される作動および停止事象などの事象の制御に対して、十分に高速で一貫した応答を有しなければならない。典型的なシステムでは、エンジンオイルは、エンジン駆動のオイルポンプによって供給され、オイルを油圧回路に供給し、かつロストモーションまたはエンジンブレーキリフトの高速ターンオフのために油圧回路からオイルを通気する、3方向ソレノイドバルブなどのソレノイドバルブを使用して切り替えられ得る。通気されると、油圧回路は、周囲空気に開放され、減圧される。使用中でない場合、油圧回路は、オイルが漏出し、部分的に空気が充填され得る。ブレーキまたはロストモーション回路に接続されたバルブトレイン部品およびロッカーシャフト、ロッカーアームなどの関連付けられた構成要素を高速に往復させることによって、オイルを回路から様々な軸受隙間および部品界面の周囲に排出することができる。その結果、空気が油圧回路に進入し得る。長期間の停止後には、より大量の空気がシステムの中へ導入され得る。油圧システム内に空気が存在すること-不良な作動流体-は、回路の応答時間の変化およびブレーキリフトまたはロストモーション応答の変化を含む、性能に悪影響を与え得る。さらに、回路の応答の一貫性および予測性が影響を受け得る。油圧回路が、迅速に、かつ一貫してバルブアクションに応答しない場合、エンジン性能および効率が影響を受け得る。ブレーキ回路では、例えば、車両の減速に対して良好な応答を提供するために、またはギヤシフト中にエンジンRPMを一致させるための正確な制御を提供するために、迅速に応答し、一貫した応答時間を伴うエンジンブレーキを有することが望ましい。さらなる例として、ミラーサイクルエンジンシステムでは、早期吸気バルブ閉鎖または後期吸気バルブ閉鎖を使用することによって、通常の圧縮比からより低い圧縮比へと切り替える、スイッチングバルブトレインが使用され得る。指定された時間に運動が変更されない場合、燃料噴射が不適切に構成されるといったリスクがある。したがって、エンジンロストモーションシステムの油圧回路の応答時間のばらつきは、エンジン性能に相当な影響を及ぼし得る。
【0007】
典型的な従来技術のシステムにおけるエンジンブレーキのターンオン再現性を示す、既知のシステムにおけるばらつきの一例を
図3に例示する。示すように、ブレーキのターンオン再現性の時間は、典型的に、大部分の作動について200~300ミリ秒の範囲であり、400~500ミリ秒の範囲の異常値を伴う。これらの緩慢なターンオン事象は、油圧回路に空気が混入し、回路に空気が混入していないときと同程度に高速にブレーキ運動が圧送することができない場合にもたらされ得る。油圧システムから空気を排除することによって、異常値を排除することができ、全体的なターンオン時間をより密な領域内で安定させることができる。
【0008】
従来技術では、いくつかのエンジン環境において、空気またはガス同伴オイルをパージするためにオイルの流れのバイパスを提供することが知られている。例えば、米国特許第6,584,942号に記載されているようなシステムは、内燃エンジンのためのシリンダ停止システムにおける油圧ラッシュアジャスタおよびバルブリフタの制御のために使用される油圧回路からガス同伴オイルをパージするためにオイルの流れのバイパスを提供する。しかしながら、そのような従来技術のシステムは、他のエンジン環境への適用において制限される。
【0009】
例えば、米国特許公開第2012/0024260号、現在の米国特許第8,936,006号に記載されているタイプのような、共通ロッカーシャフト上にセンターピボットのロッカーを有する油圧ロストモーション「タイプIII」バルブトレイン油圧環境の場合は、特に、エンジンオーバーヘッド内のパッケージングおよび空間的制限に関する問題、ならびにブレーキおよびロストモーション構成要素を作動させるための油圧回路の特定の構成に関する問題が存在する。これらの環境における油圧回路は、典型的に、制限された空間および複雑な経路を特徴とし、これらは多くの場合、ロッカーシャフト、ロッカーシャフトジャーナル、ロッカーアーム、および他の構成要素などの、様々なバルブトレイン構成要素に一体化される。
【0010】
したがって、従来技術における上述した欠点などに対処するシステムおよび方法を提供することが有利である。
【発明の概要】
【0011】
上記の問題に応答して、本開示は、ブレーキおよびロストモーション回路の反応を高めるための調節回路を有する、エンジンバルブを作動させるためのシステムの様々な実施形態を提供する。
【0012】
本開示の態様によれば、内燃エンジン内の少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、運動源から少なくとも1つのエンジンバルブへと運動を伝えるためのバルブトレインであって、ロッカーシャフトに取り付けられたロッカーアーム、およびロストモーション構成要素を含む、バルブトレインと、ロストモーション構成要素を制御するための制御バルブであって、制御バルブが、作動流体供給源から作動流体を受容するための入口を有し、ロッカーシャフトが、制御バルブとロストモーション構成要素との間で作動流体を伝えるためのロストモーション制御流路を有し、制御バルブが、制御バルブがロストモーション制御流路内の作動流体の作動流れを可能にする作動モード、および制御バルブがロストモーション制御流路内の作動流れを阻止する停止モードを有する、制御バルブと、制御バルブが停止モードにあるときに、ロストモーション制御流路内の作動流体の補助流れを提供するように適合された調節回路であって、制御流路からの補助流れを通気させるためのベントを含む、調節回路と、を備える、システムが提供される。
【0013】
一実装形態では、調節回路は、補助供給通路を含むことができ、これは、例えば、回路が停止中である、またはインアクティブもしくは停止状態である、または動作モードであるときにこれらの回路内の作動流体がリフレッシュされかつ調整された状態に保たれるように、ソレノイドバルブベントを使用して、供給源からブレーキおよびロストモーション回路の分岐へのオイル/作動流体の連続的かつ補助的な供給、ならびに回路の周囲への通気を提供する。非エネルギー付与モードにおけるベント式3方向ソレノイドバルブは、補助供給が流れを提供するときに、ブレーキおよびロストモーション回路の通気を提供する。ソレノイドが非エネルギー付与状態にあるとき、ブレーキおよびロストモーション回路は、ソレノイドバルブのアクション(エネルギー付与)によって作動させるように求められる前に、新しい作動流体によってパージされ、空気は、連続様式で回路からパージされ得る。補助供給は、好ましくは、ロッカーシャフト内の連続オイル供給通路と、ロッカーシャフト内のブレーキ制御およびロストモーション制御通路の一方または両方との間の流路によって促進され得る。オイルの並列供給および結果として生じる回路から空気のパージのため、システムは、一貫したターンオン応答時間および一貫した油圧作動流体組成物(すなわち、空気またはガス気泡の排除または低減)を提供することが可能である。
【0014】
別の実装形態によれば、2つのロストモーション/ブレーキ回路のための回路構成は、ロッカーシャフト内のブレーキ回路制御通路およびロストモーション制御通路への補助流路によって提供される、それぞれの補助供給源を含み得る。それぞれのソレノイドバルブが提供される。
【0015】
さらなる実装形態によれば、油圧回路への補助流路は、それぞれの回路内の他の位置を有し、
調節回路と併せて、またはその一部として使用されるオリフィス、チェックバルブ、および調節装置などの流れ制御構成要素を含み得る。ロッカーシャフトは、その中に1つ以上の取り付け貫通孔を有し得る。貫通孔は、供給通路を介して加圧オイルを受容する。ロッカーシャフト内の貫通孔からブレーキ制御通路への分岐通路が提供され得る。分岐通路は、単一の小さいボアを備え得るか、または好ましい流れ制御を提供するために(示すように)より小さいボアまたはオリフィスへとテーパ状になったより大きいボアを備え得る。代替的に、予め構成されたオリフィスが、より大きいボアに圧入され得る。より大きいボア1464およびより小さいボア1466は、角度付きドリル加工を使用して貫通孔1460の側壁に好都合に製作され得る。
図15は、貫通孔1460からロッカーロストモーション制御通路1430へと延在する、類似する分岐通路1562を例示する。据付ボルトによって占有された場合であっても、貫通孔は、供給通路からブレーキ制御通路および/またはロストモーション制御通路への作動流体の補助流路を提供する。
【0016】
さらに別の実装形態によれば、調節回路の補助供給経路は、ブレーキ回路通路を通して供給通路の壁を貫通する深さまでロッカーシャフト内にドリル加工されたボアによって提供され、供給通路とブレーキ回路通路との間の流体連通を提供し得る。予め構成されたオリフィスは、調節回路内の流れ制御を提供するようにボアに圧入され得る。ロッカーシャフト上のボアの軸方向位置は、ロッカーアームがボア中に設置された時点で、ロッカーアームブッシングによってボアの進入が封止されるように選択される。
【0017】
さらに別の実装形態によれば、調節回路構成は、低エンジン速度においてオイル圧力を維持する際に問題となり得る場合に、信頼できる油圧回路動作を提供するのに好適であり得る。調節回路は、調節回路が圧力閾値未満になることによるオイル需要を排除するために、圧力および/または流れ制御構成要素を備え得る。例示的な一実装形態では、調節回路の補助流路内の流れが閾値圧力未満になるのを防止するために、ばね荷重リリーフ装置が提供され得る。リリーフ装置は、座面を有するボールおよびばねタイプのチェックバルブであり得、このバルブは、所定の閾値圧力(クラッキング圧力)が供給通路内に確立されない限り、ブレーキ回路内への流れを防止する。
【0018】
他の実装形態によれば、調節回路の構成要素は、エンジンまたはエンジンオーバーヘッド環境内の特定の位置に位置付けられ得る。ロッカーシャフト供給通路からロッカーシャフトブレーキ制御通路への補助供給流路は、ロッカー台座の通路を介してブレーキ回路ロッカー通路から流体を受容および通気するソレノイドの位置から十分な距離で、ロッカーシャフトの遠端部に位置付けられ得る。調節回路からの調整された作動流体がより長い距離を進み、ソレノイドバルブを通して通気する前にブレーキ回路内の流体の大部分に影響を及ぼし得るので、これは、ブレーキ回路からのより徹底的な空気パージを可能にする。さらなる一実施例によれば、2つの補助供給流路がロッカーシャフトの端部に提供され、制御ソレノイドバルブが中間位置に位置付けられる。この例示的な構成は、ロッカーシャフト内のブレーキ通路の左端部および右端部の両方から空気をパージすることにより、改善された空気ブリードを提供し得る。
【0019】
さらに別の実装形態によれば、補助流路が、バルブトレイン内のソレノイドマニホールドまたはロッカーアーム内に提供され得る。ラッシュ調整ねじを有するプッシュロッドロッカーアームは、補助流路を提供するねじ付きボアを有し得る。ボアは、ロッカーアーム流体供給通路とロッカーアームブレーキ流体制御通路との間の流体連通を提供し得る。ラッシュ調整ねじ山とロッカー内のねじ山との間の小さい隙間は、制限された補助流体流路を提供するように寸法決めされ得る。
【0020】
さらに別の実装形態によれば、油圧調節回路のための補助流路は、ロッカーアームとロッカーシャフトとの間のインターフェースにわたって提供される。ロッカーアームの内部ボアは、ブレーキ流体制御通路に、またはそこから流体が流れることを可能にする貫通通路を有するブッシングを含み得る。ブッシングを通る別の通路は、ブッシングの内面上の潤滑チャネルからの流体の流れを提供し得る。潤滑チャネルおよび通路の近接度は、ロッカーシャフト/ブッシングインターフェース内の、またはロッカーシャフト/ロッカーアームインターフェース内の、供給通路(複数可)からブレーキ回路通路(複数可)への潤滑流体の交差流れを可能にし得る。したがって、この構成は、ロッカーシャフト/ロッカーアームインターフェース内に補助流路を提供し得、その結果、油圧調節回路を容易にする。
【0021】
本開示の他の態様および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的または制限的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を制限または拘束するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記および他の本発明の付随する利点および特徴は、全体を通して同じ参照番号が同じ要素を表す添付図面と共に、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。説明および実施形態は、本開示の態様に従う例示的な実施例を意図しており、また、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定されることを意図していないことが理解されるであろう。以下の図の説明において、全ての図解は、別途注記のない限り、本開示の態様による実施例である特徴に関係する。
【0023】
【
図1】本開示の態様をサポートするのに好適な例示的な従来技術のエンジンブレーキ構成の斜視図である。
【
図2】
図1の構成の主排気または吸気バルブロッカーの断面図である。
【
図3】従来技術のエンジンブレーキ構成の典型的なターンオン時間再現性の例示的なグラフ図である。
【
図4】本開示の態様をサポートするのに好適な別の従来技術のバルブロッカーの断面図である。
【
図5】本開示の態様をサポートするのに好適なロッカーシャフト、ロッカーアーム、およびロストモーション構成要素を含む、従来技術のオーバーヘッドエンジンバルブトレインの描画図である。
【
図6】本開示の態様を非エネルギー付与モードで実装するのに好適な3方向ソレノイドバルブの断面図である。
【
図7】エネルギー付与モードにおける
図6の3方向ソレノイドバルブの断面図である。
【
図8】ソレノイドバルブが非エネルギー付与モードにある、本開示の態様を実装するのに好適な供給、ブレーキ、およびロストモーション通路を有する、ソレノイドバルブおよびロッカーシャフトの概略図である。
【
図9】ソレノイドバルブがエネルギー付与モードにある、
図8の構成要素の概略図である。
【
図10】ソレノイドバルブが非エネルギー付与モードにある、本開示の態様による
調節回路を有するソレノイドバルブおよびロッカーシャフト構成の概略図である。
【
図11】ソレノイドバルブがエネルギー付与モードにある、
図10のソレノイドバルブおよびロッカーシャフト構成の概略図である。
【
図12】ソレノイドバルブが非エネルギー付与モードにある、ブレーキ回路およびロストモーション回路に各々1つの、2つの例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの概略図である。
【
図13】ソレノイドバルブがエネルギー付与モードにある、ブレーキ回路およびロストモーション回路に各々1つの、2つの例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの概略図である。
【
図14】別の例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの断面図である。
【
図15】さらに別の例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの断面図である。
【
図16】流れ制御装置としてオリフィスを含むさらに別の例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの断面図である。
【
図17】流れ制御装置としてレリーフ/チェックバルブを含むさらに別の例示的な
調節回路を有するロッカーシャフトの断面図である。
【
図18】本開示の態様によるロッカーシャフトの一方の端部に、その中に供給およびブレーキ通路を有するロッカーシャフト、ロッカーアーム、ソレノイド、ならびに補助流路を有する例示的な
調節回路を有する、エンジンオーバーヘッド環境の上面図の図的記述である。
【
図19】本開示の態様によるロッカーシャフトの対向端部に、その中に供給およびブレーキ通路を有するロッカーシャフト、ロッカーアーム、ソレノイド、ならびに補助流路を有する別の例示的な
調節回路を有する、エンジンオーバーヘッド環境の上面図の図的記述である。
【
図20】本開示の態様による、その中に例示的な補助流路を有するロッカーアームの絵画図である。
【
図21】本開示の態様による、その中に例示的な補助流路を有するロッカーアーム/ロッカーシャフトインターフェースの絵画図である。
【
図22】本開示の態様に従って達成される、改善されたターンオン応答時間のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2は、本開示の態様に従って適合され得る例示的なバルブ作動システムの態様を例示する。バルブ作動システム10は、主排気ロッカーアーム20と、エンジンブレーキ運動を1つ以上の排気バルブに提供するエンジンブレーキ排気ロッカーアーム25と、主吸気ロッカーアーム40と、エンジンブレーキ運動を1つ以上の吸気バルブに提供するエンジンブレーキ吸気バルブロッカーアーム30と、を含み得る。ロッカーアーム20、25、30、および40は、ロッカーアームの1つ以上に作動流体を提供するための1つ以上の通路51および52を含む、1つ以上のロッカーシャフト50を軸に枢動し得る。
【0025】
主排気ロッカーアーム20は、排気バルブブリッジ60と接触し得、主吸気ロッカーアーム40は、吸気バルブステムの端部と接触する吸気バルブブリッジ70と接触し得る。エンジンブレーキ排気ロッカーアーム25は、排気バルブブリッジ60内に提供された摺動ピン65と接触し得、これは、エンジンブレーキ排気ロッカーアーム25によって、排気バルブブリッジ60とは別に、排気バルブ81の1つだけの作動を可能にする。エンジンブレーキ吸気ロッカーアーム30は、吸気バルブブリッジ70内に提供された摺動ピン75と接触し得、これは、エンジンブレーキ吸気ロッカーアーム30によって、吸気バルブブリッジ70とは別に、吸気バルブの1つだけの作動を可能にする。ロッカーアーム20、25、30、および40の各々は、例えば、カムによって作動され得、カムローラを含み得る。主排気ロッカーアーム20は、エンジンシリンダの排気ストローク中に排気バルブを選択的に開き得る、主排気バンプを含むカムによって駆動され得、主吸気ロッカーアーム40は、エンジンシリンダの吸気ストローク中に吸気バルブを選択的に開き得る、主吸気バンプを含むカムによって駆動される。
【0026】
図2は、例示的な主排気ロッカー20およびバルブブリッジ60の詳細を例示する断面図である。主吸気ロッカーアーム400および吸気バルブブリッジ70は、類似する構成であることが認識されるであろう。
【0027】
図2を参照すると、主排気ロッカーアーム20は、ロッカーシャフト50に枢動可能に取り付けられ得る。運動フォロワ22は、主排気ロッカーアーム20の一方の端部に配置され得、ロッカーアームとカム26との間の接点として作用して、低摩擦相互作用を容易にし得る。カム26は、単一の主排気バンプ、または吸気側のための主吸気バンプを含み得る。任意選択のカム位相シフトシステム28は、カム26に動作可能に接続され得る。
【0028】
作動流体は、ソレノイド油圧制御バルブ(図示せず)の制御下で、作動流体供給によりロッカーアーム20に供給され得る。作動流体は、ロッカーシャフト50内に形成されたロストモーション(またはブレーキ)制御通路51を通って、ロッカーアーム20内に形成された油圧通路21に流れ得る。
図2に示されるロッカーシャフト50およびロッカーアーム20内の油圧通路の配設は、例示のみを目的とする。
【0029】
ロッカーアーム20の端部には、調整ねじ組立体90が配置され得る。調整ねじ組立体は、ラッシュ調整を提供し得る、ロッカーアーム20を通って延在するねじ91と、ねじ91を適所でロックし得るねじ付きナット92と、を備え得る。ねじ91内には、ロッカー通路21と連通する油圧通路93が形成され得る。ねじ91の一方の端部には、スイベル脚部94が配置され得る。
【0030】
排気バルブブリッジ60は、外側プランジャ102と、キャップ104と、内側プランジャ106と、内側プランジャばね107と、外側プランジャばね108と、1つ以上のウェッジローラまたはボール110と、を含む、ロストモーション組立体を受容し得る。外側プランジャ102は、内部ボア22と、ウェッジローラまたはボール110を受容するための外側プランジャ壁を通って延在する側部開口部と、を含み得る。内側プランジャ106は、内側プランジャが下方へ押されたときに1つ以上のウェッジローラまたはボール110を確実に受容するように成形された、1つ以上の凹部を含み得る。
図2に示すように、バルブブリッジ60の中央開口部はまた、ローラまたはボールが外側プランジャ102および排気バルブブリッジを一緒にロックすることを可能にする様式で1つ以上のウェッジローラまたはボール110を受容するための、1つ以上の凹部も含み得る。外側プランジャばね108は、中央開口部内で外側プランジャ102を上方へ付勢し得る。内側プランジャばね107は、内側プランジャボア内で内側プランジャ106を上方へ付勢し得る。
【0031】
主事象停止回路は、ロストモーション組立体を作動させ、それによって、主事象バルブ運動を停止または無効化するように、主排気バルブロッカー20および主吸気バルブロッカー40と関連付けられ得る。作動流体は、通路51、21、および93を通して、ソレノイド制御バルブ120から外側プランジャ102へと選択的に供給され得る。そのような作動流体の供給は、内側プランジャばね107の付勢に逆らって内側プランジャ106を下方へ変位させ得る。内側プランジャ106が十分に下方へ変位すると、内側プランジャ内の1つ以上の凹部が、1つ以上のウェッジローラまたはボール110と位置合わせしてそれを受容し得、次に、排気バルブブリッジ本体60から外側プランジャ102を結合解除またはロック解除し得る。その結果、この「ロック解除」状態中に、主排気ロッカーアーム20によって印加されるバルブ作動運動は、排気バルブブリッジ60を下方へ移動させて、排気バルブを作動させない。代わりに、この下方への運動は、外側プランジャ102を、外側プランジャばね108の付勢に逆らって排気バルブブリッジの中央開口部内を下方へ摺動させる。
【0032】
図4および
図5は、本開示の態様を実装するのに好適な別の例示的なブレーキロッカーアームシステムを例示する。中央枢動ブレーキロッカーアーム420は、ロッカーシャフト450上に提供され得、プッシュロッドなどのカム中間バルブトレイン構成要素であり得る運動源426からカムローラを通してエンジンブレーキバルブ作動運動を受容する。ブレーキ作動回路は、軸方向ブレーキ作動流体通路451を含み得、これは、ロストモーション制御通路であり得、ロッカーシャフト450内に延在し、ブレーキ流体チャネル452を通してロッカーシャフト450の外側と連通する。ブレーキ作動回路内の作動流体は、チャネル452からロッカーアーム420内のロッカー通路421へと流れて、ブレーキピストン490を含み得る追加のブレーキ構成要素を作動させる。ロストモーションアクチュエータであり得るブレーキピストン490は、ブレーキ運動を選択的に失い得るか、または印加し得、バルブブリッジ460内のブレーキピン465に作用し得るか、またはエンジンバルブに直接作用し得る。潤滑回路は、ロッカーシャフト450内の軸方向潤滑流体通路440と、ロッカーシャフト450の外側に延在して潤滑流体をロッカーシャフトジャーナル、および軸受、カムローラ422、象足状部などの他の構成要素に提供するための、外方へ延在する潤滑流体チャネル442と、を含み得る。任意選択のロストモーション回路は、ロストモーション構成要素の制御を提供するための、ロッカーシャフト450内の軸方向に延在するロストモーション制御通路430を含み得る。より具体的に
図5を参照すると、主事象ロッカーアーム410は、バルブブリッジ460を通して主事象バルブ運動を伝え得る。バルブブリッジ460は、ロストモーションブリッジであり得る。主事象ロッカーアーム410は、主事象ロッカーアームノーズおよび象足状部414内の通路を通して、ロッカーシャフトロストモーション制御通路430からロストモーションバルブブリッジ460に作動流体を送達するために、その中に通路を含み得る。ロストモーションバルブブリッジは、カムからの運動を選択的に失い得るか、または要求に応じて任意選択的に運動を加え得る。
【0033】
本開示の態様によれば、ブレーキ作動回路およびロストモーション回路は、各々が、各油圧回路の独立した制御を制御および提供するための、3方向ソレノイドバルブなどの制御バルブを備え得る。追加的に
図18を参照すると、これらのソレノイドバルブ600は、典型的にロッカーシャフト450をサポートするためのロッカーシャフトジャーナルを含み得る、ロッカーペデスタル500に位置付けられ得る。ロッカーペデスタル500は、本明細書で説明する油圧回路内のソレノイドバルブ入口および出口と他の構成要素との間の流体連通のための内側通路を含み得る。
【0034】
図6および
図7は、それぞれ、非エネルギー付与状態およびエネルギー付与状態における本開示の態様を実装するのに好適な例示的な3方向ソレノイドバルブ600を例示する。SV600は、内部導電コイル巻線を含み得、これは、電機子を作動させ、次に、バルブヘッド602を作動させ、それによって、上部シート604および下部シート606にわたって流体通路ギャップを選択的に開く/閉じる。バルブヘッド602は、バルブ入口610からバルブ出口ポート620およびバルブ通気ポート630への流れを制御し得る。入口610は、典型的にエンジンオーバーヘッド、シリンダヘッド、カムキャリア、ロッカーシャフト、またはオイルマニホールド環境内に存在する、加圧オイル/作動流体源に接続され得る。入口610は、通常、非エネルギー付与状態において閉じられ、バルブ600通した供給によるオイルの流れを防止し得る。出口ポート620は、バルブトレイン内に1つ以上の通路を含む、ブレーキまたはロストモーション供給油圧回路に接続され得る。SV600のバルブトレイン通路への接続は、マニホールドまたはハウジングを介し得る。典型的に、オイルは、ロッカーシャフト内の潤滑チャネルからバルブ入口610に供給され得る。ソレノイドマニホールドは、ソレノイド入口610をロッカーシャフト潤滑チャネルに接続し得る。出口ポート620は、上で説明したようにロッカーシャフト内に通路を含むロストモーションまたはブレーキ回路と流体連通し、選択的に作動させ得る。SV600が非エネルギー付与状態であるとき、出口ポート620は、通気ポート630に接続されて、ブレーキまたはロストモーション回路を減圧する。SV600が非エネルギー付与状態であるとき、通気ポート630は、開位置を有する常開(NO)通気ポートであり、それによって、典型的にエンジンバルブカバーの下で、出口ポート回路から周囲環境(大気圧)にオイルを通気させ得る。
【0035】
図7は、エネルギー付与状態のソレノイドバルブ600を例示する。電圧は、コイル/巻線に印加されて、バルブヘッド602を下方へ移動させ、下部シート606を開き、流体が入口610から出口ポート620へと通過することを可能にする。同時に、上部シート604が閉じられて、出口または供給からのオイルの通気を防止する。従来技術のシステムでは、ブレーキ/ロストモーション回路は、ソレノイドがオフである(非エネルギー付与されている)ときに完全に独立しており、すなわち、供給回路は、ソレノイドバルブがエネルギー付与されていないときにブレーキ/ロストモーション回路に接続されない。
【0036】
図8は、従来技術の構成の非エネルギー付与ソレノイドバルブ600を概略的に例示する。非エネルギー付与状態では、作動流体/オイルは、ロッカーシャフト供給通路440からソレノイド入口610へと流れ得る。しかしながら、ソレノイドバルブ600は、通気ポート630を通してロッカー制御回路を通気させながら、ロッカーシャフト供給通路440から出口ポート620への流れを防止し、したがって、ロッカーシャフト450内のブレーキ回路ロッカー通路451またはロッカーロストモーション制御通路430への供給からの流れを防止する。
図9は、ブレーキ回路のエネルギー付与状態および対応する起動モードのソレノイドバルブ600を概略的に例示する。ソレノイドバルブ600は、入口610から出口ポート620への流れ、したがって、供給通路440からブレーキ回路ロッカー通路451への作動流体の流れを可能にし、一方で、ソレノイドベント630からの流れを防止する。
【0037】
図10および
図11は、本開示の態様による、調整油圧回路を有するシステムおよびその動作を概略的に例示する。本開示から認識されるように、そのようなシステムは、ブレーキおよびロストモーション油圧回路の動作において、改善された応答性および一貫性を有し得る。他の利点としては、油圧回路内の改善されたオイル圧力の上昇およびオイル充填時間、ならびに増加した流れが挙げられ得る。
調節回路は、回路が停止中である、またはインアクティブもしくは停止状態である、または動作モードであるときにこれらの回路内の作動流体がリフレッシュされかつ調整された状態に保たれるように、ブレーキおよびロストモーション回路の分岐へのオイル/作動流体の連続的かつ補助的な供給、ならびに回路の周囲への通気を含み得る。このようにして、ソレノイドが
図10に示す非エネルギー付与状態にあるとき、ブレーキおよびロストモーション回路は、ソレノイドバルブのアクション(エネルギー付与)によって作動させるように求められる前に、新しい作動流体によってパージされ、空気は、連続様式で回路からパージされ得る。しかしながら、並列供給の圧力がこれらの回路および/または関連付けられた油圧ブレーキおよび/またはロストモーション構成要素を作動させるには不十分なので、ブレーキ/ロストモーション回路は、
調節回路流体供給によって作動されない。並列供給の圧力は、部分的に、ソレノイドバルブ600の通気機能により低減され得、ソレノイドバルブの停止動作モード中に閾値レベル未満の状態を維持するために、下で説明するように
調節回路内の構成要素によってさらに制御され得る。補助供給は、好ましくは、連続オイル供給通路440と、ブレーキおよびロストモーション通路451および480の
図10のような一方、または両方との間の流路480によって容易にされ得る。通気もまた、好ましくは、非エネルギー付与状態のソレノイド上の開ソレノイド通気ポートを使用した回路からの圧力/流体の通気を提供するように、同じソレノイドバルブによって容易にされ得る。オイルの並列供給および結果として生じる回路から空気のパージのため、システムは、一貫したターンオン応答時間および一貫した油圧作動流体組成物(すなわち、空気またはガス気泡の排除または低減)を提供することが可能である。
【0038】
図11は、ブレーキ回路を作動させるためにソレノイドがエネルギー付与されたときのシステムの流れを概略的に示す。このモードでは、ソレノイドバルブ通気ポート620が閉じられ、入口供給通路440から出口ポート620への、したがってブレーキ回路流路451へのソレノイドバルブを通した流体の流れが生じる。ソレノイドバルブ600のこの作動動作モード中に、
調節回路は、経路480を通してブレーキ回路にオイルを供給し続け得る。認識されるように、本開示の態様のため、
調節回路の並列経路/供給から回路へのオイルの追加の流れによりシステムが作動中であるとき、
調節回路は、ブレーキおよびロストモーション回路への増加した流れの利点を提供し得る。換言すれば:オイルは、通常のソレノイド供給回路を通って、さらには並列回路を通って流れて、ブレーキ/ロストモーションアクチュエータの充填を改善する。この加えられた供給は、ソレノイドがエネルギー付与されているときのブレーキ回路への流量を改善し、したがって、ブレーキ/ロストモーション回路を作動させるために、他の方法では必要となるよりも少ない流れの(およびおそらくはより低いコストの)ソレノイドバルブの使用を容易にする。
【0039】
図12および
図13は、2つのロストモーション/ブレーキ回路のため
調節回路構成を概略的に例示する。この場合、それぞれの補助供給源は、補助流路480および490によって、ブレーキ回路ロッカー通路451およびロッカーロストモーション制御通路430に提供される。それぞれのソレノイドバルブ600および700は、各々が供給通路440と流体連通する入口610および710を有するように提供される。
図12は、非エネルギー付与状態のソレノイド600および700を示し、それぞれの
調節回路の流路480および490は、ブレーキ通路451およびロストモーション制御通路430を通る流れを提供し、次に、関連付けられたソレノイド600および700のそれぞれの通気ポート630および730に各々が通気する。
図13は、エネルギー付与状態のソレノイド600および700を示し、補助流路480および490は、ソレノイド600および700のそれぞれの出口ポート620および720から提供される作動流れに加えて、ブレーキ通路451およびロストモーション制御通路430に流れを提供し続ける。
【0040】
本開示から認識されるように、本開示の態様による調節回路構成では、上で説明したように、供給オイル圧力は、連続圧力に維持され得、ブレーキ/ロストモーションのための選択的な作動回路は、ソレノイドバルブによって作動/停止され得る。上で説明したように、ソレノイドは、エンジンペデスタル内またはその上に取り付けられ得、2つ以上のペデスタルは、内部潤滑および/または油圧通路を有する、ロッカージャーナルなどのロッカーシャフトのためのサポート/取り付け構造を備える。代替的に、ソレノイドは、作動流体をブレーキおよびロストモーション回路に伝えるための適切な通路または導管によって、エンジンシリンダヘッド上またはその近傍の他の位置に取り付けられ得る。ソレノイドは、ロッカーシャフトの連続供給回路からオイルを受容し、それをシャフトブレーキおよびロストモーション通路に戻し得る。代替的に、ソレノイドは、エンジン内の別の供給/源、またはさらには外部からオイルを受容し、それをシャフトブレーキおよびロストモーション通路に供給し得る。認識されるように、各ソレノイドのための専用のオイル供給通路は、それぞれの調節回路によって提供される調整を改善し得、かつ応答時間および応答の一貫性を改善し得る。
【0041】
本開示の態様によれば、また、この説明から明らかになるように、上で説明した一般的な調節回路構成の変形例が提供され得る。例えば、油圧回路および通気通路に対する補助流体供給経路は、他の形態を取り得るか、またはそれぞれの回路内に他の位置を有し得る。加えて、オリフィス、チェックバルブ、および調節装置などの流れ制御構成要素は、調節回路と併せて、またはその一部として使用され得る。
【0042】
図14および
図15は、本開示の態様によるそれぞれの関連する変形例を例示する。
図14は、その中に取り付け貫通孔1460を有するロッカーシャフト1450の断面を示す。貫通孔1460は、ねじ付き据付ボルト/締結具を受容して、ロッカーシャフトをロッカーシャフトペデスタルおよび/またはロッカーシャフトジャーナルに固定するためのものであり得る。貫通孔1460は、ロッカー供給通路1440を通って延在し、それとの流体連通を提供し得る。分岐通路1462は、貫通孔1460からロッカーシャフト1450のブレーキ流体通路1451へと提供され得る。分岐通路1462は、単一の小さいボアを備え得るか、または好ましい流れ制御を提供するために(示すように)より小さいボアまたはオリフィス1466へとテーパ状になったより大きいボア1464を備え得る。代替的に、予め構成されたオリフィスが、より大きいボア1464に圧入され得る。より大きいボア1464およびより小さいボア1466は、角度付きドリル加工を使用して貫通孔1460の側壁に好都合に製作され得る。
図15は、貫通孔1460からロッカーロストモーション制御通路1430へと延在する、類似する分岐通路1562を例示する。認識されるように、据付ボルトによって占有された場合であっても、貫通孔1460は、供給通路1440に対するその位置のため、ならびに分岐通路1462および/または1562によって容易になるので、供給通路1440からブレーキ通路1451および/またはロストモーション制御通路1430への作動流体の補助流路を提供する。したがって、この構成によれば、
調節回路(複数可)は、非常に低コストで、かつ既存のブレーキおよびロストモーション油圧回路構成の極めて迅速かつ容易な後付け対応として実装され得る。
【0043】
図16は、本開示の態様による別の変形例を例示する。この実施例では、
調節回路の補助供給経路は、ブレーキ回路通路1651を通して供給通路1640の壁を貫通する深さまでロッカーシャフト1650内にドリル加工されたボア1610によって提供され、供給通路1640とブレーキ回路通路1651との間の流体連通を提供し得る。予め構成されたオリフィス1660は、
調節回路の流れ制御を提供するようにボア1610に圧入され得る。認識されるように、この構成では、ロッカーシャフト1650上のボア1610の軸方向位置は、ロッカーアームがボア中に設置された時点で、ロッカーアームブッシング1620によってボア1610の進入が封止されるように選択される。これは、ボア1610を封止し、ボア1610の望ましくない流出を防止するためのプラグまたはキャップに対する必要性(およびそのコスト)を排除する。
【0044】
本開示の態様による他の変形例は、低エンジン速度においてオイル圧力を維持する際に問題となり得る場合に、改善された環境内の
調節回路を提供するのに好適であり得る。例えば、シリンダヘッドに対する周縁オイル供給を有するエンジンでは、特に低エンジン速度において、オイル圧力が、
調節回路の有効な動作に必要とされるレベル未満に低下し得る。内燃エンジンで一般的に使用される容積式オイルポンプは、圧力が許容可能なレベル未満に低下するような漏出のため、低rpmにおいてより低い出力を有する。さらに、アイドル状態または低rpmにおける1つ以上の
調節回路によってオイル供給が受ける追加の需要は、ブレーキおよびロストモーション回路の動作に対して許容できない影響を及ぼし得る。本開示の態様によれば、
調節回路は、
調節回路が圧力閾値未満になることによるオイル需要を排除するために、圧力および/または流れ制御構成要素を備え得る。
図17は、
調節回路の補助流路内の流れが閾値圧力未満になるのを防止するためにばね荷重リリーフ装置1720を利用する、例示的な実装形態を例示する。リリーフ装置1720は、ロッカーシャフト1750内のボア1710内へのユニットとして設置され、供給通路1740とブレーキ回路通路1751との間の流体連通を提供し得る。リリーフ装置1720は、座面を有するボールおよびばねタイプのチェックバルブであり得、所定の閾値圧力(クラッキング圧力)が供給通路1740内に確立されない限り、ブレーキ回路内への流れを防止する。この構成は、低圧での
調節回路からの漏出を防止する。これはまた、エンジンがオフであるときのブリード回路を通したオイルのドレインバック(逆流)を防止することもでき、これは、エンジン始動時に、またはその直後に完全な機能を必要とするロストモーションシステムにとって有利であり得る。
【0045】
本開示の態様による他の変形例は、ソレノイド自体の構造内に流れ制限オリフィスを提供すること、またはソレノイド内の故意のおよび制御された内部のブリードまたは漏出を有することを含み得る。しかしながら、これらは、ソレノイドバルブ構造内での供給およびベントの密な近接度のため、あまり望ましくない場合がある。
【0046】
本開示の態様はまた、エンジンまたはエンジンオーバーヘッド環境内の特定の一に、
調節回路の位置付け構成要素も提供する。ブレーキまたはロストモーション回路の一方の端部に位置付けられた補助供給流路の少なくとも1つおよびその対向端部に位置付けられたソレノイドを有することが望ましくなり得る。
図18は、ロッカーシャフト供給通路1840からロッカーシャフトブレーキ通路1851への補助供給流路1880が、ペデスタル500.1内の通路を介してブレーキ回路ロッカー通路1851からオイルを受容および通気するソレノイド600.1の位置から十分な距離である、ロッカーシャフトの遠端部(
図18の右側)に位置付けられた構成を例示する。
調節回路からの調整された作動流体がより長い距離を進み、ソレノイドバルブ600.1を通して通気する前にブレーキ回路内の流体の大部分に影響を及ぼし得るので、これは、ブレーキ回路からのより徹底的な空気パージを可能にする。
図19は、2つの補助供給流路1980および1982がロッカーシャフトの端部に提供され、制御ソレノイドバルブ600.1が
図18と同じ場所に位置付けられる、別の実施例を概略的に例示する。この例示的な構成は、ロッカーシャフト内のブレーキ通路1951の左端部および右端部の両方から空気をパージすることにより、改善された空気ブリードを提供し得る。
【0047】
本開示のさらなる態様によれば、油圧
調節回路は、エンジンバルブトレイン内の追加の構成要素内に提供された補助流路によって容易にされ得る。例えば、補助流路がソレノイドマニホールド内に提供され得、これは、ソレノイドバルブポートのそれぞれの接続のための内側通路、およびロッカーペデスタル内の対応する通路へのベントを有し得る。さらなる実施例の場合、補助流路が、バルブトレインのロッカーアーム内に提供され得る。
図20は、ラッシュ調整ねじ2090を有するプッシュロッドロッカーアーム2020の一実施例を例示する。本開示の態様によれば、ラッシュ調整ねじ2090は、ロッカーアーム流体供給通路2040とロッカーアームブレーキ流体制御通路2051との間の流体連通を提供する位置において、ロッカーアーム2020内のねじ付きボア2092内に延在し得る。ラッシュ調整ねじ山とボア2092内のねじ山との間の小さい隙間は、供給通路2040からブレーキ通路2051への制限された補助流体流路を提供するように寸法決めされ得る。ボールプラグ2042は、供給通路2040がロッカーアームの中へ機械加工/ドリル加工された時点で、そこからの流れを遮断するために供給通路2040の端部に提供され得る。したがって、この構成は、
調節回路がロッカーアーム内に補助流体流路を有するのを容易にする。
【0048】
図21は、油圧
調節回路のための補助流路がロッカーアームとロッカーシャフトの間のインターフェースにわたって提供される、本開示の態様による、追加の実施例を例示する。ロッカーアーム2120の内部ボア2110は、その中に圧入され得るブッシング2112を含み得る。ブッシング2112は、ロストモーション制御通路2151へのまたはそこからの流体の流れを可能にする貫通通路2114を含み得、これは、関連付けられたプッシュロッド内またはバルブトレイン内の別の構成要素のロストモーション構成要素を制御し得る。ブッシング2112を通る別の通路2116は、ブッシング2112の内面上の潤滑チャネル2117からの流体の流れを提供することができる。代替的に、チャネルまたは通路が、ロッカーアーム2120の内部ボア2110に形成または直接機械加工され得る。潤滑チャネル2117、通路2116、および通路2114の近接度は、ロッカーシャフト/ブッシングインターフェース内の、またはロッカーシャフト/ロッカーアームインターフェース内の、供給通路(複数可)からブレーキ回路通路(複数可)への潤滑流体の交差流れを可能にし得る。したがって、この構成は、ロッカーシャフト/ロッカーアームインターフェース内に補助流路を提供し得、その結果、油圧
調節回路を容易にする。追加の変形例として、溝が軸受に追加され得るか、または補助流路内の流れを調節するためにオリフィスが提供される。
【0049】
本開示から、供給回路または通路からロストモーションおよび/またはブレーキ回路または通路へとオイルまたは作動流体を流れさせるための他の構成要素または装置は、本開示の範囲および趣旨の範囲内で利用され得ることが認識されるであろう。例えば、ブレーキ/ロストモーション回路に清浄なオイルを供給することが望ましくなり得る場合、スクリーン、焼結要素、またはエッジフィルタ、またはさらには微細通路などのフィルタリング構成要素、本明細書で説明する補助流路(複数可)内に、またはそれと組み合わせて。
【0050】
本開示の一実装形態では、出願人らは、3つのブレーキアクチュエータに供給するために単一のソレノイドを有する典型的な設置において、1~2バールの圧力で1分当たり0.3リットルの流量が、ターンオン応答における25%の改善、および応答のばらつきの低減を提供するのに十分であることを見出した。1分当たり約0.1リットルのより少ない流量であっても、いくつかの場合では、ターンオン応答時間のばらつきを排除するのに十分であり得るが、ターンオン時間の改善は、大幅に改善されない場合がある。
【0051】
図22は、補助流路内の制御されたブリードオリフィスが供給回路からブレーキ回路に供給するシステムから得られたデータのグラフ図である。この図は、1.5バールの圧力での応答時間において23パーセントの改善を示している。より高い改善は、より高い流れオリフィスによって可能であるが、場合により回路からの追加のオイルの消費を犠牲にし得る。そのような追加のオイルの消費は、特により大きいエンジン環境において許容可能であり得る。
【0052】
本実装形態は、特定の例示的な実施形態を参照して説明してきたが、特許請求の範囲に記載されているようなより幅の広い本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、様々な修正および変更がこれらの実施形態に行われ得ることが明らかになるであろう。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。