(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】可撓性部品の支持具および表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240513BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240513BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240513BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240513BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240513BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240513BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/00 302
G09F9/00 312
G09F9/00 350Z
G09F9/00 351
G09F9/30 365
G09F9/33
H05K5/02 V
H10K50/10
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021514659
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 IB2020053247
(87)【国際公開番号】W WO2020212797
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2019079998
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019088911
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秋男
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直人
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-28467(JP,A)
【文献】特開2018-189968(JP,A)
【文献】特開2015-228022(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164599(JP,U)
【文献】特表2004-507779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0018458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0242466(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0142847(US,A1)
【文献】中国実用新案第208431261(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
G09F 9/33
H05B 33/14
H05K 5/02
H10K 50/10
H10K 59/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体は、前記第1の継手および前記第2の継手を介して連結され、
前記第1の継手および前記第2の継手は、重なる領域を有し、
前記第1の継手および前記第2の継手は、それぞれ可動部を有し、
前記第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、
前記複数の第1の柱状体は、それぞれの第1の面が連続して面を成すように連結され、
前記第2の継手は、蝶番であり、
前記蝶番の開き角度は、最大で略180°であり、
前記複数の第1の柱状体のうちの一つには、前記第1の面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体が固定され、
前記蝶番は切り欠き部を有し、
前記蝶番の開き角度が略180°のとき、前記第2の柱状体の一部は前記切り欠き部に位置する
、可撓性部品の支持具。
【請求項2】
第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体は、前記第1の継手および前記第2の継手を介して連結され、
前記第1の継手および前記第2の継手は、重なる領域を有し、
前記第1の継手および前記第2の継手は、それぞれ可動部を有し、
前記第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、
前記複数の第1の柱状体は、それぞれの第1の面が連続して面を成すように連結され、
前記第2の継手は、蝶番であり、
前記蝶番の開き角度は、最大で略180°であり、
前記複数の第1の柱状体のうちの一つには、前記第1の面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体の長軸方向の一方の端部が固定され、
前記蝶番は羽根に固定されない軸筒を有し、
前記第2の柱状体の長軸方向の他方の端部は、前記軸筒に固定されている
、可撓性部品の支持具。
【請求項3】
第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体のそれぞれは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体は、前記第1の継手および前記第2の継手を介して連結され、
前記第1の継手および前記第2の継手は、互いに重なる領域を有し、
前記第1の継手および前記第2の継手は、それぞれ可動部を有し、
前記第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、
前記第1の柱状体の長軸に垂直な断面は略台形であり、
前記第1の柱状体は、前記略台形の一方の脚を含む第1の側面と、前記略台形の他方の脚を含む第2の側面と、前記略台形の下底を含む第3の側面と、を有し、
隣り合う2つの前記第1の柱状体において、一方の前記第1の柱状体の前記第1の側面と他方の前記第1の柱状体の前記第2の側面が隣接し、それぞれの前記第3の側面が連続して面を成すように連結された構成を有し、
前記第2の継手は、第1の羽根および第2の羽根を有する蝶番であり、
前記第1の羽根および前記第2の羽根が成せる角度は、最大で略180°であり、
前記第1の継手および前記第2の継手は、前記第1の筐体および前記第2の筐体のそれぞれの第1の面を同一の向きとする状態から向かい合う状態に動かすことができ、
前記第1の柱状体は奇数個であり、
中央に位置する前記第1の柱状体には、前記第1の柱状体の前記第3の側面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体が固定され、
前記第1の羽根と前記第2の羽根には、それぞれ切り欠き部が設けられ、
前記第1の羽根および前記第2の羽根が成す角度が略180°であるとき、前記第2の柱状体の一部は、前記切り欠き部に位置する
、可撓性部品の支持具。
【請求項4】
請求項
3において、
前記第1の羽根と前記第2の羽根との間には、二つの連結部が設けられ、
前記切り欠き部は、前記二つの連結部の間に設けられている
、可撓性部品の支持具。
【請求項5】
第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体のそれぞれは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体は、前記第1の継手および前記第2の継手を介して連結され、
前記第1の継手および前記第2の継手は、互いに重なる領域を有し、
前記第1の継手および前記第2の継手は、それぞれ可動部を有し、
前記第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、
前記第1の柱状体の長軸に垂直な断面は略台形であり、
前記第1の柱状体は、前記略台形の一方の脚を含む第1の側面と、前記略台形の他方の脚を含む第2の側面と、前記略台形の下底を含む第3の側面と、を有し、
隣り合う2つの前記第1の柱状体において、一方の前記第1の柱状体の前記第1の側面と他方の前記第1の柱状体の前記第2の側面が隣接し、それぞれの前記第3の側面が連続して面を成すように連結された構成を有し、
前記第2の継手は、第1の羽根および第2の羽根を有する蝶番であり、
前記第1の羽根および前記第2の羽根が成せる角度は、最大で略180°であり、
前記第1の継手および前記第2の継手は、前記第1の筐体および前記第2の筐体のそれぞれの第1の面を同一の向きとする状態から向かい合う状態に動かすことができる、
前記第1の柱状体は奇数個であり、
中央に位置する前記第1の柱状体には、前記第1の柱状体の第3の側面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体の長軸方向の一方の端部が固定され、
前記蝶番は前記第1の羽根および前記第2の羽根に固定されない第1の軸筒を有し、
前記第2の柱状体の長軸方向の他方の端部は、前記第1の軸筒に固定されている
、可撓性部品の支持具。
【請求項6】
請求項
5において、
前記第1の羽根には第2の軸筒が固定され、
前記第2の羽根には第3の軸筒が固定され、
前記第1の軸筒は前記第2の軸筒と前記第3の軸筒との間に設けられている
、可撓性部品の支持具。
【請求項7】
請求項
3乃至6のいずれか一において、
前記第1の柱状体の前記第3の側面は、前記第1の筐体の第2の面および前記第2の筐体の第2の面と連続する
、可撓性部品の支持具。
【請求項8】
請求項
3乃至
7のいずれか一項において、
前記第1の羽根は、前記第1の筐体の第1の面と重なる領域を有し、
前記第1の羽根および前記第1の筐体の第1の面は、互いにスライド可能であり、
前記第2の羽根は、前記第2の筐体の第1の面と重なる領域を有し、
前記第2の羽根および前記第2の筐体の第1の面は、互いにスライド可能である
、可撓性部品の支持具。
【請求項9】
請求項
3乃至
8のいずれか一項において、
さらに第3の筐体と、第3の継手を有し、
前記第3の筐体は、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、を有し、
前記第2の筐体と前記第3の筐体は、前記第3の継手を介して連結され、
前記第3の継手は、可動部を有し、
前記第3の継手は、複数の第3の柱状体を有し、
前記第3の柱状体の長軸に垂直な断面は略矩形であり、
前記第3の柱状体は、前記略矩形の一辺を含む第4の側面と、前記第4の側面と対向する第5の側面と、前記第4の側面および前記第5の側面に垂直な第6の側面と、を有し、
隣り合う2つの前記第3の柱状体において、一方の前記第3の柱状体の前記第4の側面と他方の前記第3の柱状体の前記第5の側面が隣接し、それぞれの前記第6の側面が連続して面を成すように連結された構成を有し、
前記第3の継手は、前記第2の筐体および前記第3の筐体のそれぞれの第1の面を同一の向きとする状態からそれぞれの第2の面を向かい合う状態に可動させることができる
、可撓性部品の支持具。
【請求項10】
請求項
9において、
前記第3の柱状体の前記第6の側面は、前記第2の筐体の第2の面および前記第3の筐体の第2の面と連続する
、可撓性部品の支持具。
【請求項11】
請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の可撓性部品の支持具と、可撓性を有する表示パネルと、を有する
、表示装置。
【請求項12】
請求項
9または
10に記載の可撓性部品の支持具と、可撓性を有する表示パネルと、を有し、
前記表示パネルは、前記第1の筐体の第2の面上から前記第3の筐体の第2の面上に亘って設けられている
、表示装置。
【請求項13】
請求項
11または
12において、
前記表示パネルは、発光デバイスを有する
、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、発光装置、表示装置、電子機器、照明装置、それらの駆動方法、またはそれらの作製方法に関する。特に、本発明の一態様は、可撓性部品の支持具、および当該可撓性部品の支持具を有する表示装置に関する。
【0002】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、発光装置、表示装置、照明装置および電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータなどの電子機器は、その機能、使いやすさ、および携帯性に応じて適切なサイズに作られている。一方で、複数の電子機器を携帯することは不便である。そのため、複数の電子機器を統合できる形態が望まれている。例えば、特許文献1には、三つ折り型の発光パネルが開示されている。当該発光パネルを用いることにより、複数の電子機器の機能を統合し、サイズが可変である電子機器を作製することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可撓性基板上に形成された表示パネルは、折り畳んで携帯性を向上させることができる。一方で、設計の意図と逆方向の曲げなどを行うと、当該表示パネル、筐体、または筐体をつなぐヒンジ部などを破壊する恐れがあるため、容易に逆方向に曲がらない工夫があることが好ましい。
【0006】
したがって、本発明の一態様は、可撓性部品を支持するための支持具を提供することを目的の一つとする。または、可撓性部品の信頼性を損なうことなく曲げ動作を行うための支持具を提供することを目的の一つとする。または、可撓性部品の新規な支持具を提供することを目的の一つとする。または、新規な発光装置を提供することを目的の一つとする。
【0007】
または、携帯性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、表示の視認性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、省電力機能を有する折り畳み式の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置の動作方法を提供することを目的の一つとする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルの支持具、または携帯性の優れた三つ折り型の折り畳み式の表示装置に関する。
【0010】
本発明の一態様は、第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、第1の筐体および第2の筐体は、第1の継手および第2の継手を介して連結され、第1の継手および第2の継手は、重なる領域を有し、第1の継手および第2の継手は、それぞれ可動部を有し、第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、複数の第1の柱状体は、それぞれの第1の面が連続して面を成すように連結され、第2の継手は、蝶番であり、蝶番の開き角度は、最大で略180°である可撓性部品の支持具である。
【0011】
複数の第1の柱状体のうちの一つには、第1の面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体が固定され、蝶番は切り欠き部を有し、蝶番の開き角度が略180°のとき、第2の柱状体の一部は切り欠き部に位置することができる。
【0012】
または、複数の第1の柱状体のうちの一つには、第1の面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体の長軸方向の端部の一方が固定され、蝶番は羽根に固定されない軸筒を有し、第2の柱状体の長軸方向の端部の他方は、軸筒に固定されていてもよい。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、第1の筐体と、第2の筐体と、第1の継手と、第2の継手と、を有し、第1の筐体および第2の筐体のそれぞれは、第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面と、を有し、第1の筐体および第2の筐体は、第1の継手および第2の継手を介して連結され、第1の継手および第2の継手は、互いに重なる領域を有し、第1の継手および第2の継手は、それぞれ可動部を有し、第1の継手は、複数の第1の柱状体を有し、第1の柱状体の長軸に垂直な断面は略台形であり、第1の柱状体は、略台形の一方の脚を含む第1の側面と、略台形の他方の脚を含む第2の側面と、略台形の下底を含む第3の側面と、を有し、隣り合う2つの第1の柱状体において、一方の第1の柱状体の第1の側面と他方の第1の柱状体の第2の側面が隣接し、それぞれの第3の側面が連続して面を成すように連結された構成を有し、第2の継手は、第1の羽根および第2の羽根を有する蝶番であり、第1の羽根および第2の羽根が成せる角度は、最大で略180°であり、第1の継手および第2の継手は、第1の筐体および第2の筐体のそれぞれの第1の面を同一の向きとする状態から向かい合う状態に動かすことができる可撓性部品の支持具である。
【0014】
第1の柱状体の第3の側面は、第1の筐体の第2の面および第2の筐体の第2の面と連続する構成とすることができる。
【0015】
第1の柱状体は奇数個であり、中央に位置する第1の柱状体には、第1の柱状体の第3の側面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体が固定され、第1の羽根と第2の羽根には、それぞれ切り欠き部が設けられ、第1の羽根および第2の羽根が成す角度が略180°であるとき、第2の柱状体の一部は、切り欠き部に位置することができる。
【0016】
第1の羽根と第2の羽根との間には、二つの連結部が設けられ、切り欠き部は、二つの連結部の間に設けることができる。
【0017】
または、第1の柱状体は奇数個であり、中央に位置する第1の柱状体には、第1の柱状体の第3の側面と略垂直な長軸を有する第2の柱状体の長軸方向の一方の端部が固定され、蝶番は第1の羽根および第2の羽根に固定されない第1の軸筒を有し、第2の柱状体の長軸方向の他方の端部は、第1の軸筒に固定されていてもよい。
【0018】
第1の羽根には第2の軸筒が固定され、第2の羽根には第3の軸筒が固定され、第1の軸筒は第2の軸筒と第3の軸筒との間に設けることができる。
【0019】
第1の羽根は、第1の筐体の第1の面と重なる領域を有し、第1の羽根および第1の筐体の第1面は、互いにスライドを可能とし、第2の羽根は、第2の筐体の第1の面と重なる領域を有し、第2の羽根および第2の筐体の第1面は、互いにスライドを可能とする。
【0020】
さらに第3の筐体と、第3の継手を有し、第3の筐体は、第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面と、を有し、第2の筐体と第3の筐体は、第3の継手を介して連結され、第3の継手は、可動部を有し、第3の継手は、複数の第3の柱状体を有し、第3の柱状体の長軸に垂直な断面は略矩形であり、第3の柱状体は、略矩形の一辺を含む第4の側面と、第4の側面と対向する第5の側面と、第4の側面および第5の側面に垂直な第6の側面と、を有し、隣り合う2つの第3の柱状体において、一方の第3の柱状体の第4の側面と他方の第3の柱状体の第5の側面が隣接し、それぞれの第6の側面が連続して面を成すように連結された構成を有し、第3の継手は、第2の筐体および第3の筐体のそれぞれの第1の面を同一の向きとする状態からそれぞれの第2の面を向かい合う状態に可動させることができる構成であってもよい。
【0021】
第3の柱状体の第6の側面は、第2の筐体の第2の面および第3の筐体の第2の面と連続する構成とすることができる。
【0022】
上記の可撓性部品の支持具に可撓性を有する表示パネルを設けて表示装置を構成することができる。
【0023】
上記第1乃至第3の筐体を有する可撓性部品の支持具において、第1の筐体の第2の面上から第3の筐体の第2の面上に亘って可撓性を有する表示パネルを設け、表示装置を構成することができる。
【0024】
表示パネルは、発光デバイスを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様を用いることで、可撓性部品を支持するための支持具を提供することができる。または、可撓性部品の信頼性を損なうことなく曲げ動作を行うための支持具を提供することができる。または、可撓性部品の新規な支持具を提供することができる。または、新規な発光装置を提供することができる。
【0026】
または、携帯性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、表示の視認性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、省電力機能を有する折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、持ちやすさの優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、新規な表示装置を提供することができる。または、表示装置の動作方法を提供することができる。
【0027】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングは、異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0030】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0031】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子などの複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が一つまたは複数の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の可撓性部品の支持具および表示装置について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、可撓性部品として代表的に表示パネルを取り扱うが他の部品であってもよい。例えば、太陽電池、一次電池、二次電池、アンテナ、スピーカ、マイク、ケーブル、照明、各種端子、各種センサ、各種回路、およびこれらのいずれかを含む複合デバイスなどが挙げられる。
【0033】
また、本明細書において表示装置とは、表示を行う機能を有する機器全般を指す。すなわち、表示部を有する電子機器は、表示装置に含まれる。例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット型コンピュータ、テレビジョン装置などの表示部を有する電子機器は、表示装置に含まれる。
【0034】
本発明の一態様は、可撓性部品を折り畳むことが可能な可撓性部品の支持具である。当該支持具は、平面を成す状態から一方向のみの曲げ動作が可能な領域を有する。したがって、当該領域に意図しない逆方向の曲げストレスが加わった場合でも、可撓性部品または当該支持具を保護することができる。
【0035】
また、本発明の他の一態様は、可撓性を有する表示パネルを有し、折り畳むことが可能な表示装置である。当該表示装置は、三つ折りの機構を有し、表示装置の第1の面が向かい合うように折り畳まれる領域と、第1の面とは反対の面が向かい合うように折り畳まれる領域を形成することができる。したがって、例えば16:9、18:9、21:9などの表示面のアスペクト比が比較的大きい表示パネルでも、折り目を短軸方向に設けることで小さく折り畳むことができ、携帯性を向上させることができる。また、折り畳んだときに、視認できない表示領域を非表示とすることで、消費電力を大きく低減することができる。
【0036】
<可撓性部品の支持具1>
図1Aは、本発明の一態様の可撓性部品の支持具100Aを展開した状態を示す図である。
図1Bは、支持具100Aに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。また、
図1Aの状態に相当する平面図を
図4A、正面図を
図4B、側面図を
図4Cに示す。
【0037】
支持具100Aは、筐体102aと、筐体102bと、ヒンジ10と、ヒンジ20を有する。ヒンジ10およびヒンジ20は、可動方向が同じ向きで互いに重なる領域を有する。
【0038】
なお、筐体とは、内部または表面に部品等を設けることができる箱状の部材であるが、表面のみに部品を設ける場合は板状であってもよい。また、ヒンジを含めた全体を筐体と呼ぶこともある。また、ヒンジとは可動部を有する継手であり、連結された二つの部材の相対位置を制御する部品である。また、筐体とヒンジは、同じ部材で連続的に形成される場合もある。
【0039】
本実施の形態における筐体は概略直方体であり、第1の面と、第1の面とは反対の第2の面、およびその他の面を有する。また、本実施の形態において、第1の面および第2の面は、平面として図示するが、曲面を有していていてもよい。また、必要に応じて表面に段差などが設けられていてもよい。また、直方体の角部がラウンドしていてもよい。また、第1の面および第2の面の一方を上面、他方を下面などと言い換えることができる。
【0040】
ヒンジ10は蝶番の構成を有し、羽根11a、羽根11b、軸筒12a、軸筒13a、軸筒12b、軸筒13b、芯棒14、芯棒15、および複数のストッパ17を有する。
【0041】
羽根11aには、軸筒12aおよび軸筒13aが固定される。羽根11bには、軸筒12bおよび軸筒13bが固定される。軸筒12aおよび軸筒12bには芯棒14が挿入され、第1の連結部が形成される。軸筒13aおよび軸筒13bには芯棒15が挿入され、第2の連結部が形成される。以上の構成により、羽根11aおよび羽根11bは、第1および第2の連結部を回転軸(支点)として、動かすことができる。
【0042】
なお、軸筒12aおよび軸筒13aは、羽根11aの一部であってもよい。また、軸筒12bおよび軸筒13bは、羽根11bの一部であってもよい。
【0043】
また、第1の連結部と第2の連結部との間において、羽根11aおよび羽根11bには切り欠き部30が設けられる(
図4A参照)。切り欠き部30は、後述するピン16とともに位置矯正に用いられる。
【0044】
羽根11aは、筐体102aの第1の面と重なる領域を有する。また、羽根11aは、筐体102aに固定される冶具19の一部と重なる領域を有する。羽根11aと筐体102aとの間、および羽根11aと冶具19との間には間隙が設けられている。したがって、羽根11aおよび筐体102aの第1の面は、互いにスライドすることができる。
【0045】
羽根11bは、筐体102bの第1の面と重なる領域を有する。また、羽根11bは、筐体102bに固定される冶具19の一部と重なる領域を有する。羽根11bと筐体102bとの間、および羽根11bと冶具19との間には間隙が設けられている。したがって、羽根11bおよび筐体102bの第1の面は、互いにスライドすることができる。
【0046】
なお、羽根11aおよび羽根11b上にはストッパ17が設けられており、冶具19が接触することでスライド量を制限することができる。また、ストッパ17を設けることで、ヒンジ10の脱落を防止することができる。
【0047】
なお、
図1Aとは異なる構成でスライド機構を構成してもよい。例えば、
図5Aに示すように、羽根11aに長穴22を設け、長穴22を介してストッパ23を設ける構成であってもよい。
【0048】
ストッパ23は、長穴22の短径よりも径の小さい軸と、短径よりも径の大きい頭部を有し、軸は長穴22を介して筐体102aに固定される。筐体102aと羽根11aとの間および羽根11aとストッパ23の頭部との間には間隙が設けられている。したがって、羽根11aおよび筐体102aの第1の面は、互いにスライドすることができる。羽根11b側も同様の構成とすることができる。そのほか、レールやベアリングを用いたスライド機構であってもよい。
【0049】
図4Aに示すように、ヒンジ10には、展開した状態で羽根11aの端面と羽根11bの端面が接する領域31が発生する。ここで、各羽根の上面(芯棒が設けられる側)と上記端面が成す角度を略90°とすることで、ヒンジ10の開き角度(羽根11aと羽根11bが成す角度)を最大略180°とすることができる。したがって、ヒンジ10は、一方向の曲げには対応するが、逆方向の曲げには対応しない。つまり、ヒンジ20が逆方向の曲げに対応していたとしてもヒンジ10で逆方向の曲げを抑制することができ、逆方向の曲げストレスが可撓性部品または当該支持具に加わった場合でもそれらを保護することができる。
【0050】
または、
図5Bに示すように、羽根の下面側に逆曲げを防止する受け板24が設けられていてもよい。一方の羽根に固定された受け板24と他方の羽根が接触することで、それ以上の曲げができなくなる。したがって、羽根11aと羽根11bが成す角度が略180°のときに受け板24と羽根が接触するようにしておけば、ヒンジ10の開き角度を最大で略180°に制御することができる。
【0051】
この場合、羽根の上面と端面との角度に十分な精度がなくてもよい。なお、
図5Bでは、羽根11bに受け板24が固定されている例を示しているが、羽根11aに固定されていてもよい。また、受け板24は、羽根11a(羽根11b)の一部であってもよい。
【0052】
ヒンジ20は、長軸に垂直な断面を台形または略台形とした柱状体21を複数有する。柱状体21は、第1の側面(上記台形または略台形の一方の脚を含む面)と、第2の側面(上記台形または略台形の他方の脚を含む面)を有する。隣接する2つの柱状体21は、一方の柱状体21の第1の側面と他方の柱状体21の第2の側面が隣接する構成を有する。隣接する2つの柱状体21は、一部分が互いに直接接続または他の部材を介して接続され、互いの相対的な位置を変化させることができる。
【0053】
それぞれの柱状体21は、第3の側面(上記台形または略台形の下底を含む面)が連続して面を成すように連結される。また、ヒンジ20の一方の端部にある柱状体21の第3の側面は、筐体102aの第2の面と連続するように接続される。また、ヒンジ20の他方の端部にある柱状体21の第3の側面は、筐体102bの第2の面と連続するように接続される。なお、それぞれの柱状体21の第4の側面(上記台形または略台形の上底を含む面)の形状は、他の柱状体21、ヒンジ10および筐体102a、102bに干渉がない範囲で任意である。したがって、柱状体21の長軸に垂直な断面は、三角形または略三角形であってもよい。
【0054】
なお、略台形とは、概略で台形とみなせる形状である。例えば、台形の一部の辺に曲線が含まれた形状、台形の角部がラウンドしている形状などがある。略三角形も同様である。
【0055】
ヒンジ20が有する柱状体21の数は奇数であり、中央に位置する柱状体21には、ピン16が固定され、その長軸と柱状体21の第3の側面とが略垂直な角度をなしている。ピン16は柱状体であり、
図1Bに示すように支持具100Aを展開した状態では、その一部は切り欠き部30に位置する。なお、ピン16の長軸に垂直な断面の形状は、例えば円形とする。この場合、ヒンジ10の一つの羽根が有する切り欠き部30の上面形状は、ピン16の曲率半径よりも大きい半円形状とすることが好ましい。
【0056】
図2Aは、支持具100Aに曲げ動作を加えた状態を示す図である。また、
図2Bは、支持具100Aに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。
【0057】
図2A、
図2Bに示すように、支持具100Aに曲げ動作を加えると、ヒンジ20では隣接する2つの柱状体21において、一方の柱状体21の第1の側面と他方の柱状体21の第2の側面が近づくように変形する。このとき、隣接する2つの柱状体21のそれぞれの第3の側面が一定の角度を成して連続するため、全体として断面が略円弧状となる領域が形成される。したがって、可撓性を有する部品を当該領域と重なるように設けておけば、当該部品は、当該領域と重なる部分で曲面を形成することができる。
【0058】
ヒンジ20の断面が円弧状に変形するとき、ヒンジ20における内側の円弧の長さは、外側の円弧の長さよりも短くなる。したがって、ヒンジ20の内側に位置するヒンジ10の羽根11aは、その変化分を吸収するようにスライドする。羽根11bも同様である。
【0059】
ヒンジ10と筐体102aおよび筐体102bとは、簡易的なスライド機構を構成している。そのため、羽根11aおよび羽根11bの一方が他方よりも大きくスライドすることがある。一方が大きくスライドしすぎると、曲げの中心位置の偏りや、その後の曲げ動作が不可能になるなどの支障を起こすことがある。
【0060】
本発明の一態様では、大きくスライドした一方の羽根の切り欠き部30の端部がピン16と接触してスライド動作を強制的に停止し、他方の羽根のスライド動作を促す。したがって、ヒンジ10の回転軸は、ヒンジ20の中央付近にあるように矯正することができ、安定した曲げ動作を行うことができる。
【0061】
図3Aは、支持具100Aにさらに曲げ動作を加え、折り畳んだ状態を示す図である。また、
図3Bは、支持具100Aに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。なお、
図3A、
図3Bでは、明瞭化のため、筐体102aを破線で図示している。
【0062】
図3Bで示されるように、支持具100Aを完全に折り畳んだ状態でも、ヒンジ10およびヒンジ20は、ピン16と干渉することはない。
【0063】
また、
図3Aに示す折り畳み状態から、
図2Aの状態を経て
図1Aに示す展開状態に変化させる過程においても、ヒンジ10の羽根11aおよび羽根11bの一方が他方よりも大きくスライドすることがある。
【0064】
この場合も上記同様に、大きくスライドした一方の羽根の切り欠き部30の端部がピン16と接触してスライド動作を強制的に停止し、他方の羽根のスライド動作を促す。したがって、ヒンジ10の回転軸は、ヒンジ20の中央付近にあるように矯正することができ、安定した展開動作を行うことができる。
【0065】
なお、上記では、ヒンジ20動作に対してヒンジ10の位置を矯正するという概念で説明をしたが、相対的には、ヒンジ10動作に対してヒンジ20の位置を矯正するということもできる。または、ヒンジ10およびヒンジ20の両者が互いの位置を矯正するということもできる。
【0066】
また、
図6Aに示すように、ヒンジ10にはノッチ機構が設けられていてもよい。ノッチ機構は、スプリング27の先にボール28を有するロック部品29と、軸筒12bに設けられた孔部25と、軸筒12aに設けられた窪部26で構成することができる。なお、ここでは、軸筒12aおよび軸筒12bに設けるノッチ機構について説明するが、同様のノッチ機構を軸筒13aおよび軸筒13bに設けてもよい。
【0067】
ロック部品29が孔部25に挿入され、軸筒12aおよび軸筒12bが組み合わさった状態とすると、
図6Bの内面図に示すようにスプリング27の弾性によりボール28は窪部26に入り込み、簡易的にロックされる。一定以上の力で曲げ動作を行うと、ロックが解除されて羽根が動き、ボール28は別の窪部26に入り込み、再び簡易的にロックされる。
【0068】
例えば、芯棒14を中心に180°から45°毎に窪部26を5か所設ければ、二つの羽根が成す角度が180°、135°、90°、45°、0°の位置のとき、簡易的にロックすることができる。適切な角度でロックすることで、使用時や持ち運び時に不用意に変形することを防止することができる。または、毎回同じ角度で使用するときなど、使用者の利便性を向上することができる。
【0069】
なお、
図6Bに示すような、浅い形状の窪部26では、ボール28のロックが比較的簡単に外れ、角度を増減する両方向の回転を可能とする。一方で、
図6Cに示すような、深く非対称な形状を有する窪部26では、例えば角度を増加させる方向の回転を抑制することができる。
【0070】
図6Cに示す窪部26の一領域にはスロープが形成されているため、ボール28を移動させることができるが、一領域とは逆の領域にはスロープがなく、ボール28の移動ができない。したがって、例えば、二つの羽根が成す角度を略180°とする窪部26に
図6Cの窪部26を用いれば、羽根11aと羽根11bが成す角度を最大で略180°となるように制御することができる。
【0071】
<可撓性部品の支持具2>
図7Aは、前述した支持具100Aとは異なる支持具100Bを展開した状態を示す図である。支持具100Bは、支持具100Aとヒンジ10の構成が異なる。
図7Bは、支持具100Bに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。また、
図7Aの状態に相当する平面図を
図10A、正面図を
図10B、側面図を
図10Cに示す。
【0072】
以下では、支持具100Bが有するヒンジ10の説明を主とし、支持具100Aと共通である筐体102a、102bおよびヒンジ20の説明、ならびにヒンジ10の羽根と筐体間のスライドの説明は省略する。また、支持具100Aと共通の要素には同じ符号を用いる。
【0073】
支持具100Bが有するヒンジ10は蝶番の構成を有し、羽根11a、羽根11b、軸筒41a、軸筒41b、軸筒42、芯棒45、および複数のストッパ17を有する。
【0074】
羽根11aには、軸筒41aが固定される。羽根11bには、軸筒41bが固定される。軸筒42は、羽根11a、11bのいずれにも固定されない。軸筒41aと軸筒41bとの間には軸筒42が設けられ、軸筒41a、軸筒42および軸筒41bには芯棒45が挿入され、連結部を形成する。以上の構成により、羽根11aおよび羽根11bは、連結部を回転軸(支点)として、動かすことができる。
【0075】
なお、軸筒41aは、羽根11aの一部であってもよい。また、軸筒41bは、羽根11bの一部であってもよい。軸筒42にはピン46が固定され、ピン46はヒンジ20が有する柱状体21の一つと固定される。
【0076】
図10A、
図10Bに示すように、ヒンジ10には、展開した状態で羽根11aの端面と羽根11bの端面が接する領域31が発生する。したがって、支持具100Aが有するヒンジ10と同様に、ヒンジ10の開き角度を最大略180°とすることができ、逆方向の曲げを抑制することができる。
【0077】
支持具100Aと同様に、ヒンジ20が有する柱状体21の数は奇数であり、
図7Bおよび
図10Bなどに示すように中央に位置する柱状体21には、その第3の側面と長軸が略垂直な角度を成すピン46の長軸方向の端部の一方が固定される。ピン46は柱状体であり、ピン46の長軸方向の端部の他方は軸筒42に固定される。なお、ピン46は一つに限らず、複数であってもよい。また、ピン46の長軸に垂直な断面の形状は特に限定されない。
【0078】
図8Aは、支持具100Bに曲げ動作を加えた状態を示す図である。また、
図8Bは、支持具100Bに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。
【0079】
図8A、
図8Bに示すように、支持具100Bに曲げ動作を加えると、ヒンジ20が有する柱状体21のそれぞれの第3の側面が一定の角度を成して連続するため、ヒンジ20全体としての断面に略円弧状となる領域が形成される。このとき、ヒンジ20における内側の円弧の長さは、外側の円弧の長さよりも短くなる。したがって、ヒンジ20の内側に位置するヒンジ10の羽根11aは、その変化分を吸収するようにスライドする。羽根11bも同様である。
【0080】
支持具100Bでは、ヒンジ10の回転軸(連結部)の中心に位置する軸筒42とヒンジ20の中央に位置する柱状体21がピン46を介して固定されているため、ヒンジ10の回転軸とヒンジ20の中央部が常に重なるように動作する。したがって、羽根11aおよび羽根11bの一方が他方よりも大きくスライドすることなく、安定した曲げ動作を行うことができる。
【0081】
図9Aは、支持具100Bにさらに曲げ動作を加え、折り畳んだ状態を示す図である。また、
図9Bは、支持具100Bに垂直な面F1を切断面とした断面を示す図である。なお、
図9A、
図9Bでは、明瞭化のため、筐体102aを破線で図示している。
【0082】
図9Aに示す折り畳み状態から、
図8Aの状態を経て
図7Aに示す展開状態に変化させる過程においても、ヒンジ10の回転軸とヒンジ20の中央部が常に重なるように動作するため、安定した展開動作を行うことができる。
【0083】
なお、支持具100Bにおいても、
図5Aに示したヒンジ10の長穴22とストッパ23の構成を適用することができる。また、
図5Bに示した受け板24の構成を適用することもできる。また、
図6A、
図6Bに示したノッチ機構の構成を適用することもできる。
【0084】
<表示装置>
支持具100Aまたは支持具100Bは、可撓性を有する表示パネルを設けて表示装置に適用することができる。
【0085】
図11A乃至
図11Cは、三つ折りが可能な表示装置の例を説明する図である。なお、ここでは、支持具100Aが有するヒンジ10およびヒンジ20の組み合わせをヒンジ部101aとして説明する。筐体102aと筐体102bとの間には、ヒンジ部101aが設けられる。筐体102bと筐体102cとの間には、ヒンジ部101bが設けられる。ここで、筐体102cは、他の筐体と同様に概略直方体であり、第1の面および第2の面を有する構成とする。可撓性を有する表示パネル103は、筐体102a乃至102cの第1の面とは反対の第2の面上に設けることができる。
【0086】
図11Aは、表示装置を展開した状態における筐体102a乃至102cの第1の面側の斜視図である。ヒンジ部101aには、2つのヒンジ10を設けた構成を図示しているが、
図1A等と同じく1つであってもよい。または、3つ以上であってもよい。ヒンジ10の数は、筐体の幅を考慮して安定した折り曲げ動作ができるように決定すればよい。
【0087】
ヒンジ部101bには、例えば、
図12A乃至
図12Cに示す構成を用いることができる。
【0088】
ヒンジ部101bは、長軸に垂直な断面を矩形または略矩形とした柱状体115を複数有する。柱状体115は、第1の側面(上記矩形または略矩形の一辺を含む面)と、第1の側面と対向する第2の側面を有する。隣接する2つの柱状体115は、一方の柱状体115の第1の側面と他方の柱状体115の第2の側面が隣接する構成を有する。隣接する2つの柱状体115は、一部分が互いに直接接続または他の部材を介して接続され、互いの相対的な位置を変化させることができる。
【0089】
それぞれの柱状体115は、第1の側面および第2の側面に垂直な第3の側面が連続して面を成すように連結される。また、ヒンジ部101bの一方の端部にある柱状体115の第3の側面は、筐体102bの第2の面と連続するように接続される。また、ヒンジ部101bの他方の端部にある柱状体115の第3の側面は、筐体102cの第2の面と連続するように接続される。なお、それぞれの柱状体115の第3の側面と対向する第4の側面の形状は、他の柱状体および筐体に干渉がない範囲で任意である。
【0090】
図12Aに示すように、隣接する2つの柱状体115において、一方の柱状体115の第1の側面と他方の柱状体115の第2の側面が離れる方向に変形させることで、折り畳んだ状態とすることができる。このとき、隣接する2つの柱状体115の第3の側面が一定の角度を成して連なるため、ヒンジ部101b全体としての断面に略円弧状となる領域が形成される。したがって、可撓性を有する表示パネルは、当該領域と重なる部分で凹型の曲面を形成することができる。
【0091】
図12Aの状態から変形動作(展開動作)を行うと、
図12Bに示すように、隣接する2つの柱状体115において、一方の柱状体115の第1の側面と他方の柱状体115の第2の側面が近づく方向に動き、上記略円弧の曲率半径が大きくなるように変化する。このとき、表示パネルでも曲面部分の曲率半径が大きくなるように変化する。
【0092】
図12Bの状態からさらに変形動作を行うと、
図12Cに示すように、筐体102bの第2の面、それぞれの柱状体115の第3の側面および筐体102cの第2の面が平坦になるように連なる。このとき、表示パネルでも曲面部分は平坦に変化し、全体として平坦に展開された状態となる。上記と逆の順序で変形動作を行えば、折り畳むことができる。
【0093】
なお、柱状体115の断面を矩形としているため、平坦に展開したときに、隣接する2つの柱状体115において、一方の柱状体115の第1の側面と他方の柱状体115の第2の側面が接することになる。したがって、ヒンジ部101bは、表示パネルに逆方向の曲げを生じさせることがなく、逆曲げを抑制する機構は不要であってもよい。なお、折り畳み時に筐体間のギャップを維持するためのスペーサを設けてもよい。また、筐体またはヒンジは、表示パネルの設置に適した形状に適宜変形してもよい。
【0094】
【0095】
ヒンジ部101bは、歯車116aと歯車116bを有する。歯車116aは、筐体102bに固定される。歯車116bは、筐体102cに固定される。歯車116aの中心軸は、筐体102bの第1の面とは逆の第2の面と重なることが好ましい。また、歯車116bの中心軸は、筐体102cの第1の面とは逆の第2の面と重なることが好ましい。
【0096】
図13Aに示すように、折り畳まれた状態のときに特定の位置で歯車116aおよび歯車116bが噛み合わされた状態とする。このとき、二つの歯車のそれぞれの中心軸は、筐体の第2の面にあるため、筐体間(表示パネルの向かい合う表示面間)にギャップが生じる。したがって、可撓性を有する表示パネルは、当該ギャップの約1/2を曲率半径とする曲面を形成することができる。
【0097】
図13Aの状態から変形動作(展開動作)を行うと、筐体102bおよび筐体102cは、歯車116aおよび歯車116bの噛み合いに応じて同期し、ヒンジ部101bを支点として開くように移動する(
図13B参照)。このとき、表示パネルでも曲面部分の曲率半径が大きくなるように変化する。
【0098】
図13Bの状態からさらに変形動作を行うと、
図13Cに示すように、筐体102bの第2の面および筐体102cの第1の面が平坦になるように連なる。このとき、表示パネルでも曲面部分は平坦に変化し、全体として平坦に展開された状態となる。上記と逆の順序で変形動作を行えば、折り畳むことができる。
【0099】
なお、歯車116aおよび歯車116bの噛み合わせを保持する機構を設けてもよい。また、平坦に展開したときには、筐体102bの側面と筐体102cの側面が接することになる。したがって、ヒンジ部101bは、表示パネルに逆方向の曲げを生じさせることがないため、逆曲げを抑制する機構は不要であってもよい。なお、折り畳み時に筐体間のギャップを維持するためのスペーサを設けてもよい。または、ギャップを維持するための機構を歯車116aおよび歯車116bに設けてもよい。また、筐体またはヒンジは、表示パネルの設置に適した形状に適宜変形してもよい。
【0100】
図11Bは、表示装置を展開した状態における、筐体102a乃至102cの第2の面側の斜視図である。筐体102a乃至102cの第2の面側には、可撓性を有する表示パネル103が設けられる。
【0101】
なお、本実施の形態では、説明の明瞭化のため、表示パネル103を領域103a、領域103b、領域103cの三領域に分ける。領域103a、領域103b、領域103cは、表示パネル103を平坦に展開したときに、水平方向(表示パネル103の面が延在する方向)に平行な領域であって、ヒンジ部が設けられる位置またはその近傍を境とした領域である。なお、実際には、領域103a乃至103cのそれぞれ、およびそれらの境に構造的な違いはない。表示パネル103には、継ぎ目のない一枚の可撓性を有する表示パネルを用いることができる。
【0102】
図11Cは、表示装置を折り畳んだ状態を示す斜視図である。ヒンジ部101aは、表示パネル103の表示面を凸とする外曲げに対応し、ヒンジ部101bは、表示パネル103の表示面を凹とする内曲げに対応する。したがって、
図11Cに示すような三つ折りが可能となる。
【0103】
<表示動作例1>
図14A乃至
図14Cは、本発明の一態様の表示装置の動作例を説明する図である。
図14Aは、折り畳まれた状態において、領域103aの平面部が表示状態であるとき、曲面104a(領域103aの一部および領域103bの一部)を非表示状態にしている動作である。このとき、
図14Bに示すB1-B2の断面で示されるように、折り畳まれて視認できない領域(領域103bおよび領域103c)も非表示状態とすることが好ましい。
【0104】
または、
図14Cに示すように、領域103aの平面部が非表示状態であるとき、曲面104aを表示状態としてもよい。
図14A、
図14Bと同様に、折り畳まれて視認できない領域も非表示状態とすることが好ましい。このように、折り畳んだ状態では、一部の領域のみを表示状態とすることで、省電力動作を行うことができる。
【0105】
<表示動作例2>
図15A乃至
図15Cは、本発明の一態様の表示装置の表示部を3面に分けて利用する場合の一例を示す図である。
【0106】
図15Aは、筐体102cと筐体102bが成す角度を鈍角、筐体102bと筐体102aが成す角度を鋭角とすることで、机上などにバランスよく設置する例を示す図である。筐体102aを脚とすることで、ラップトップコンピュータのように利用することができる。例えば、領域103cにキーボード131、曲面104b(領域103bの一部および領域103cの一部)にアイコン132、領域103bにアプリケーションソフトの画像130を表示させ、画面をタッチすることで操作を行うことができる。
【0107】
このとき、
図15Bに示すように、領域103aにも同じ画像130を表示するモードにしておけば、対面にいる人も視認性よく同じ画像を見ることができる。または、
図15Cに示すように、領域103aを非表示状態として省電力モードで動作させてもよい。
【0108】
<表示動作例3>
図16A乃至
図16Cは、本発明の一態様の表示装置の表示部を2面に分けて利用する場合の一例を示す図である。
【0109】
図16Aは、筐体102aと筐体102bが成す角度を概略60°以上180°未満(例えば、約90°など)とし、筐体102bと筐体102cが成す角度を概略180°とすることで、机上などにバランスよく設置する例を示す図である。領域103bおよび領域103cを連続した平面として大画面化すること、および筐体102aを脚として表示面(領域103bおよび領域103c)を傾斜させることで視認性を高めることができる。
【0110】
このとき、
図16Bに示すように、領域103aを非表示状態として省電力モードで動作させてもよい。
【0111】
図16Cは、筐体102cと筐体102bが成す角度を概略180°より小さく90°以上(例えば、約135°など)とし、筐体102bと筐体102aが成す角度を概略180°とすることで、机上などにバランスよく設置する例を示す図である。筐体102aおよび筐体102bを平面に平行に置くことで、スタイラス150などを用いた入力を容易とすることができる。また、領域103cを傾斜させることで、視認性を高めることができる。
【0112】
<応用例1>
図17A、
図17Bは、本実施の形態に示した表示装置をスマートフォンなどの情報端末として応用する例を示した図である。なお、前述した表示装置と共通する要素には、同一の符号を付してある。表示装置200は、音声の入出力ユニット135a、135b、カメラ136a、136b、センサ137、センサ120を有する。
【0113】
音声の入出力ユニット135a、135bは、一方がマイクとして機能するとき、他方はスピーカとして機能させることができる。したがって、電話機能を利用するときなど、どちらの向きで把持しても不都合なく会話を行うことができる。マイク機能とスピーカ機能は、傾きを検知するセンサ120により切り替えることができる。また、カメラ136a、136bも同様にセンサ120によりいずれかを優先して機能させることができる。
【0114】
入出力ユニット135a、135bは、マイクとして機能するデバイスおよびスピーカとして機能するデバイスの両方を有していてもよいし、両者の機能を有する一つのデバイスを有していてもよい。
【0115】
また、入出力ユニット135a、135bの両方をマイクとして機能させ、ステレオ音響を録音することもできる。また、入出力ユニット135a、135bの両方をスピーカとして機能させ、ステレオ音響を再生することもできる。
【0116】
また、カメラ136a、136bの両方を機能させ、3D画像を撮像することもできる。センサ137は光センサであり、周囲の照度に合わせて視認しやすいように表示の輝度を調整することができる。
【0117】
また、
図17Bに示すように、表示装置200の表示パネル103が設けられた前面とは反対側の後面に表示パネル138が設けられていてもよい。表示パネル138は、表示パネル103と同じ画像を表示できるほか、簡単な情報、絵、模様、写真などを表示するサブディスプレイ、または照明などとして利用することもできる。表示パネル138には発光デバイスまたは液晶デバイスを用いた表示パネルを用いることができるほか、低消費電力の電子ペーパーなどを用いてもよい。表示パネル138には、硬質基板を支持体とした表示パネルも用いることができる。
【0118】
なお、表示パネル138は、
図18Aに示すように、筐体102a乃至102cのそれぞれに設けられていてもよい。または、
図18Bに示すように、表示装置200の後面に可撓性を有する表示パネル139を設けてもよい。この場合、表示パネル139は曲げることができるため、前面に設けられた表示パネル103と同様に筐体102a乃至102cに亘って設けることができる。
【0119】
また、
図18Cに示すように、表示装置200の後面に太陽電池140を設けてもよい。太陽電池140で発電した電力は、表示装置200内のバッテリに充電することができるほか、外部インターフェイス145を介して外部への電力供給をすることができる。
【0120】
なお、
図18Cでは、硬質の支持体を有する太陽電池の例を示している。当該太陽電池としては、例えば、結晶シリコンを光電変換層としたシリコン太陽電池、またはシリコン太陽電池とペロブスカイト型太陽電池をタンデム構造とした太陽電池などを用いることができる。
【0121】
または、
図18Dに示すように、可撓性基板を支持体とする太陽電池を表示装置200の後面に設けてもよい。当該太陽電池としては、例えば、非晶質シリコン太陽電池、CIGS(Cu-In-Ga-Se)型太陽電池、有機太陽電池、またはペロブスカイト型太陽電池などの薄膜太陽電池141などを用いることができる。可撓性基板を支持体とする太陽電池は、表示パネル139と同様に、筐体102a乃至102cに亘って設けることができる。
【0122】
<応用例2>
図19A、
図19Bは、本発明の一態様の表示装置の表示部を用途に応じて使い分ける場合の一例を示す図である。
【0123】
図19A、
図19Bは、本実施の形態に示した表示装置を飲食店などのオーダー端末として応用する例を示した図である。なお、前述した表示装置と共通する要素には、同一の符号を付してある。表示装置210は、送受信ユニット146、スピーカ147、カメラ148、マイク149などを有する。なお、表示装置210は、本発明の一態様の機能のほか、一般的なタブレット型コンピュータの機能を有していてもよい。
【0124】
通常時は、
図19Aに示すように折り畳んだ状態とすることができ、店員の呼び出し機能やインターホン機能を利用することができる。展開するとメニューが表示され、注文を行うことができる。注文内容は、送受信ユニット146を介して送信することができる。また、注文の合計額の表示やカメラ148で撮像したバーコードで決済を行うことができる。
【0125】
なお、展開したときの形状は、筐体102aと筐体102bは鈍角を成し、筐体102bと筐体102cは略90°とすることが好ましい。このような形状とすることで、筐体102cを脚として利用でき、折り畳みやすくなる。
【0126】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0127】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0128】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用可能な表示パネルの構成例について説明する。
【0129】
<構成例>
図20に、表示パネル700の上面図を示す。表示パネル700は、可撓性を有する支持基板745が適用され、フレキシブルディスプレイとして用いることができる表示パネルである。また表示パネル700は、可撓性を有する支持基板745上に設けられた画素部702を有する。また支持基板745上にはソースドライバ回路部704、一対のゲートドライバ回路部706、配線710等が設けられる。また画素部702には、複数の表示デバイスが設けられる。
【0130】
また、支持基板745の一部に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708および配線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、およびゲートドライバ回路部706のそれぞれに各種信号等が供給される。
【0131】
一対のゲートドライバ回路部706は、画素部702を挟んで両側に設けられている。なお、ゲートドライバ回路部706およびソースドライバ回路部704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICチップの形態であってもよい。当該ICチップは、支持基板745上にCOF(Chip On Film)技術等により実装することができる。
【0132】
画素部702、ソースドライバ回路部704、およびゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、OSトランジスタを適用することが好ましい。
【0133】
画素部702に設けられる表示デバイスには、発光デバイス等を用いることができる。発光デバイスとしては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光デバイスが挙げられる。また、表示デバイスとして、透過型の液晶デバイス、反射型の液晶デバイス、半透過型の液晶デバイスなどの液晶デバイスを用いることもできる。また、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスや、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示デバイスなどを用いることもできる。
【0134】
また、
図20では、支持基板745の、FPC端子部708が設けられる部分が突出した形状を有する例を示している。支持基板745のFPC端子部708を含む一部は、
図20中の領域P1で、裏側に折り返すことができる。支持基板745の一部を折り返すことで、FPC716を画素部702の裏側に重ねて配置した状態で、表示パネル700を電子機器等に実装することができ、電子機器等の省スペース化、小型化を図ることができる。
【0135】
また、表示パネル700に接続されるFPC716には、IC717が実装されている。IC717は、例えばソースドライバ回路としての機能を有する。このとき、表示パネル700におけるソースドライバ回路部704は、保護回路、バッファ回路、デマルチプレクサ回路等の少なくとも一を含む構成とすることができる。
【0136】
<断面構成例>
以下では、表示デバイスとして有機ELを用いる構成について、
図21および
図22を用いて説明する。
図21および
図22は、それぞれ
図20で示した表示パネル700の、一点鎖線S-Tにおける断面概略図である。
【0137】
まず、
図21および
図22に示す表示パネルの共通する部分について説明する。
【0138】
図21および
図22には、画素部702と、ゲートドライバ回路部706と、FPC端子部708と、を含む断面を示している。画素部702は、トランジスタ750およびキャパシタ790を有する。ゲートドライバ回路部706は、トランジスタ752を有する。
【0139】
トランジスタ750およびトランジスタ752は、チャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を適用したトランジスタである。なお、これに限られず、半導体層に、シリコン(非晶質シリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン)や、有機半導体を用いたトランジスタを適用することもできる。
【0140】
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を著しく低くできる。そのため、このようなトランジスタが適用された画素は、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、画像信号等の書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減することができる。
【0141】
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示パネルに用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0142】
キャパシタ790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の膜を加工して形成される下部電極と、半導体層と同一の金属酸化物膜を加工して形成される上部電極と、を有する。上部電極は、トランジスタ750のソース領域およびドレイン領域と同様に低抵抗化されている。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750の第1のゲート絶縁層として機能する絶縁膜の一部が設けられる。すなわち、キャパシタ790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造を有する。また、上部電極には、トランジスタ750のソース電極およびドレイン電極と同一の膜を加工して得られる配線が接続されている。
【0143】
また、トランジスタ750、トランジスタ752、およびキャパシタ790上には、平坦化膜として機能する絶縁層770が設けられている。
【0144】
画素部702が有するトランジスタ750と、ゲートドライバ回路部706が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記ソースドライバ回路部704についても、ゲートドライバ回路部706と同様である。
【0145】
FPC端子部708は、一部が接続電極として機能する配線760、異方性導電膜780、およびFPC716を有する。配線760は、異方性導電膜780を介してFPC716が有する端子と電気的に接続される。ここでは、配線760は、トランジスタ750等のソース電極およびドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0146】
続いて、
図21に示す表示パネル700について説明する。
【0147】
図21に示す表示パネル700は、支持基板745と、支持基板740とを有する。支持基板745および支持基板740としては、例えばガラス基板、またはプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
【0148】
トランジスタ750、トランジスタ752、キャパシタ790等は、絶縁層744上に設けられる。支持基板745と絶縁層744とは、接着層742によって貼り合されている。
【0149】
また表示パネル700は、発光デバイス782、着色層736、遮光層738等を有する。
【0150】
発光デバイス782は、導電層772、EL層786、および導電層788を有する。導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、絶縁層770上に設けられ、画素電極として機能する。また導電層772の端部を覆って絶縁層730が設けられ、絶縁層730および導電層772上にEL層786と導電層788が積層して設けられている。
【0151】
導電層772には、可視光に対して反射性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いることができる。また、導電層788には、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。そのため、発光デバイス782は、被形成面とは反対側(支持基板740側)に光を射出する、トップエミッション型の発光デバイスである。
【0152】
EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。EL層786は、電流が流れた際に青色の光を呈する発光材料を含む。
【0153】
発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料、無機化合物(量子ドット材料など)などを用いることができる。量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
【0154】
遮光層738と、着色層736は、絶縁層746の一方の面に設けられている。着色層736は、発光デバイス782と重なる位置に設けられている。また、遮光層738は、画素部702において、発光デバイス782と重ならない領域に設けられている。また遮光層738は、ゲートドライバ回路部706等にも重ねて設けられていてもよい。
【0155】
支持基板740は、絶縁層746の他方の面に、接着層747によって貼り合されている。また、支持基板740と支持基板745とは、封止層732によって貼り合されている。
【0156】
ここでは、発光デバイス782が有するEL層786として、白色の発光を呈する発光材料が適用されている。発光デバイス782が発する白色の発光は、着色層736により着色されて外部に射出される。EL層786は、異なる色を呈する画素に亘って設けられる。画素部には、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかを透過する着色層736が設けられた画素をマトリクス状に配置することで、表示パネル700は、フルカラーの表示を行うことができる。
【0157】
また、導電層788として、半透過性、半反射性を有する導電膜を用いてもよい。このとき、導電層772と導電層788との間で微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現し、特定の波長の光を強めて射出する構成とすることができる。またこのとき、導電層772と導電層788との間に光学距離を調整するための光学調整層を配置し、当該光学調整層の厚さを異なる色の画素間で異ならせることで、それぞれの画素から射出される光の色純度を高める構成としてもよい。
【0158】
なお、EL層786を画素毎に島状または画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色層736や、上述した光学調整層を設けない構成としてもよい。
【0159】
ここで、絶縁層744と絶縁層746とは、それぞれ透湿性の低いバリア膜として機能する無機絶縁膜を用いることが好ましい。このような絶縁層744と絶縁層746との間に、発光デバイス782やトランジスタ750等が挟持された構成とすることで、これらの劣化が抑制され、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0160】
図22に示す表示パネル700Aは、
図21で示した接着層742と絶縁層744との間に、樹脂層743が設けられている。また、支持基板740に換えて、保護層749を有する。
【0161】
樹脂層743は、ポリイミドやアクリルなどの有機樹脂を含む層である。絶縁層744は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁膜を含む。樹脂層743と支持基板745とは、接着層742によって貼りあわされている。樹脂層743は、支持基板745よりも薄いことが好ましい。
【0162】
保護層749は、封止層732と貼りあわされている。保護層749としては、ガラス基板や樹脂フィルムなどを用いることができる。また、保護層749として、偏光板(円偏光板を含む)、散乱板などの光学部材や、タッチセンサパネルなどの入力装置、またはこれらを2つ以上積層した構成を適用してもよい。
【0163】
また、発光デバイス782が有するEL層786は、絶縁層730および導電層772上に島状に設けられている。EL層786を、副画素毎に発光色が異なるように作り分けることで、着色層736を用いずにカラー表示を実現することができる。
【0164】
また、発光デバイス782を覆って、保護層741が設けられている。保護層741は発光デバイス782に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。保護層741は、導電層788側から絶縁層741a、絶縁層741b、および絶縁層741cがこの順で積層された積層構造を有している。このとき、絶縁層741aと絶縁層741cには、水などの不純物に対してバリア性の高い無機絶縁膜を、絶縁層741bには平坦化膜として機能する有機絶縁膜を、それぞれ用いることが好ましい。また、保護層741は、ゲートドライバ回路部706にも延在して設けられていることが好ましい。
【0165】
また、封止層732よりも内側において、トランジスタ750やトランジスタ752等を覆う有機絶縁膜が島状に形成されることが好ましい。言い換えると、当該有機絶縁膜の端部が、封止層732の内側、または封止層732の端部と重なる領域に位置することが好ましい。
図22では、絶縁層770、絶縁層730、および絶縁層741bが、島状に加工されている例を示している。例えば封止層732と重なる部分では、絶縁層741cおよび絶縁層741aが接して設けられている。このように、トランジスタ750やトランジスタ752を覆う有機絶縁膜の表面が、封止層732よりも外側に露出しない構成とすることで、外部から当該有機絶縁膜を介してトランジスタ750やトランジスタ752に水や水素が拡散することを好適に防ぐことができる。これにより、トランジスタの電気特性の変動が抑えられ、極めて信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0166】
また、
図22において、折り曲げ可能な領域P1では、支持基板745、接着層742の他、絶縁層744等の無機絶縁膜が設けられていない部分を有する。また領域P1において、配線760が露出することを防ぐために、有機材料を含む絶縁層770が配線760を覆う構成を有している。折り曲げ可能な領域P1に、無機絶縁膜をできるだけ設けず、且つ、金属または合金を含む導電層と、有機材料を含む層のみを積層した構成とすることで、曲げた際にクラックが生じることを防ぐことができる。また領域P1に支持基板745を設けないことで、極めて小さい曲率半径で、表示パネル700Aの一部を曲げることができる。
【0167】
また、
図22において、保護層741上には導電層761が設けられている。導電層761は、配線や電極として用いることができる。
【0168】
また、導電層761は、表示パネル700Aに重ねてタッチセンサが設けられる場合に、画素を駆動する際の電気的なノイズが、当該タッチセンサに伝わることを防ぐための静電遮蔽膜として機能させることができる。このとき、導電層761には所定の定電位が与えられる構成とすればよい。
【0169】
または、導電層761は、例えばタッチセンサの電極として用いることができる。これにより、表示パネル700Aをタッチパネルとして機能させることができる。例えば、導電層761は、静電容量方式のタッチセンサの電極または配線として用いることができる。このとき、導電層761は、検知回路が接続される配線または電極や、センサ信号が入力される配線または電極として用いることができる。このように、発光デバイス782上にタッチセンサを作りこむことで、部品点数を削減でき、電子機器等の製造コストを削減することができる。
【0170】
導電層761は、発光デバイス782と重ならない部分に設けられることが好ましい。例えば導電層761は、絶縁層730と重なる位置に設けることができる。これにより、導電層761として、比較的導電性の低い透明導電膜を用いる必要がなく、導電性の高い金属や合金などを用いることができるため、センサの感度を高めることができる。
【0171】
なお、導電層761を用いて構成することのできるタッチセンサの方式としては、静電容量方式に限られず、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0172】
<構成要素>
以下では、表示装置に適用可能なトランジスタ等の構成要素について説明する。
【0173】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
【0174】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0175】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0176】
以下では、特に金属酸化物膜をチャネルが形成される半導体層に用いるトランジスタについて説明する。
【0177】
トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC-OSまたはCAC-OSなどを用いることができる。CAAC-OSは結晶を構成する原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC-OSは、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
【0178】
OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて低いオフ電流特性を示すことができる。また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル効果などが生じないなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、信頼性の高い回路を形成することができる。また、Siトランジスタでは問題となる結晶性の不均一性に起因する電気特性のばらつきもOSトランジスタでは生じにくい。
【0179】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。In-M-Zn系酸化物は、例えば、スパッタリング法、ALD(Atomic layer deposition)法、またはMOCVD(Metal organic chemical vapor deposition)法などを用いて形成することができる。
【0180】
In-M-Zn系酸化物をスパッタリング法で成膜する場合、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0181】
半導体層としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上の金属酸化物を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性または実質的に高純度真性な金属酸化物と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する金属酸化物であるといえる。
【0182】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成の酸化物半導体を用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0183】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0184】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0185】
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0186】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に水素が含まれていると、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損を形成する場合がある。酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0187】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0188】
よって、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0189】
また、酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、および非晶質酸化物半導体などがある。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0190】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0191】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0192】
また、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層には、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite oxide semiconductor)を用いてもよい。
【0193】
なお、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層は、上述した非単結晶酸化物半導体またはCAC-OSを好適に用いることができる。また、非単結晶酸化物半導体としては、nc-OSまたはCAAC-OSを好適に用いることができる。
【0194】
なお、本発明の一態様では、トランジスタの半導体層として、CAC-OSを用いると好ましい。CAC-OSを用いることで、トランジスタに高い電気特性または高い信頼性を付与することができる。
【0195】
なお、半導体層がCAAC-OSの領域、多結晶酸化物半導体の領域、nc-OSの領域、擬似非晶質酸化物半導体の領域、および非晶質酸化物半導体の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0196】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0197】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0198】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0199】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0200】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0201】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0202】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0203】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0204】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0205】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0206】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0207】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0208】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0209】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0210】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0211】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0212】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0213】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0214】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0215】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0216】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いので、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成する走査線駆動回路に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線駆動回路(とくに、信号線駆動回路が有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
【0217】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシリコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路および表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
【0218】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0219】
<導電層>
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0220】
<絶縁層>
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0221】
また、発光デバイスは、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光デバイスに水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0222】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0223】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・day)]以下とする。
【0224】
以上が、構成要素についての説明である。
【0225】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0226】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0227】
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示装置の構成例について、
図23A乃至
図23Cを用いて説明を行う。
【0228】
図23Aに示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
【0229】
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示デバイスを駆動する複数の画素回路501を有する。
【0230】
駆動回路部504は、ゲート線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
【0231】
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源、制御信号、および画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0232】
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図23Aに示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GL、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。
【0233】
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体膜または多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)をCOF、TCP(Tape Carrier Package)、COG(Chip On Glass)などによって基板に実装する構成としてもよい。
【0234】
【0235】
図23Bに示す画素回路501は、液晶デバイス570と、トランジスタ550と、キャパシタ560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。
【0236】
液晶デバイス570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶デバイス570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶デバイス570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶デバイス570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
【0237】
また、
図23Cに示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、キャパシタ562と、発光デバイス572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、電位供給線VL_b等が接続されている。
【0238】
なお、電位供給線VL_aおよび電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光デバイス572に流れる電流が制御されることにより、発光デバイス572からの発光輝度が制御される。
【0239】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0240】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0241】
(実施の形態4)
以下では、画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示装置について説明する。
【0242】
<回路構成>
図24Aに、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタM1、トランジスタM2、容量C1、および回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、および配線G2が接続される。
【0243】
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と、ソースおよびドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線G2と、ソースおよびドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、および回路401と、それぞれ接続する。
【0244】
回路401は、少なくとも一の表示デバイスを含む回路である。表示デバイスとしては様々なデバイスを用いることができるが、代表的には有機ELデバイスやLEDデバイスなどの発光デバイス、液晶デバイス、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等を適用することができる。
【0245】
トランジスタM1と容量C1とを接続するノードをノードN1、トランジスタM2と回路401とを接続するノードをノードN2とする。
【0246】
画素回路400は、トランジスタM1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とした状態で、トランジスタM1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0247】
ここで、トランジスタM1、トランジスタM2のうちの一方または両方に、実施の形態1で例示した、酸化物半導体が適用されたトランジスタを適用することができる。そのため極めて低いオフ電流により、ノードN1およびノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
【0248】
<駆動方法例>
続いて、
図24Bを用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。
図24Bは、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗や、トランジスタや配線などの寄生容量、およびトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
【0249】
図24Bに示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0250】
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vwを供給する。
【0251】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタM2を介して配線S2から第1データ電位Vwが与えられる。したがって、容量C1には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
【0252】
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタM1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタM2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、またはフローティングとしてもよい。
【0253】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から第2データ電位V
dataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位V
dataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位V
wと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、
図24BではdVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、電位V
dataが電位V
refより低くてもよい。
【0254】
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
【0255】
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示デバイスを含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
【0256】
また画素回路400は、配線S1および配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光デバイスを用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶デバイスを用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
【0257】
<適用例>
〔液晶デバイスを用いた例〕
図24Cに示す画素回路400LCは、回路401LCを有する。回路401LCは、液晶デバイスLCと、容量C2とを有する。
【0258】
液晶デバイスLCは、一方の電極がノードN2および容量C2の一方の電極と、他方の電極は電位Vcom2が与えられる配線と接続する。容量C2の他方の電極は、電位Vcom1が与えられる配線と接続する。
【0259】
容量C2は保持容量として機能する。なお、容量C2は不要であれば省略することができる。
【0260】
画素回路400LCは、液晶デバイスLCに高い電圧を供給することができるため、例えばオーバードライブ駆動により高速な表示を実現すること、駆動電圧の高い液晶材料を適用することなどができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、使用温度や液晶デバイスLCの劣化状態等に応じて階調を補正することもできる。
【0261】
〔発光デバイスを用いた例〕
図24Dに示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光デバイスEL、トランジスタM3、および容量C2を有する。
【0262】
トランジスタM3は、ゲートがノードN2および容量C2の一方の電極と、ソースおよびドレインの一方は電位VHが与えられる配線と、他方は発光デバイスELの一方の電極と、それぞれ接続される。容量C2の他方の電極は、電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光デバイスELは、他方の電極が電位VLが与えられる配線と接続する。
【0263】
トランジスタM3は、発光デバイスELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
【0264】
なお、ここでは発光デバイスELのアノード側がトランジスタM3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタM3を接続してもよい。そのとき、電位VHと電位VLの値を適宜変更することができる。
【0265】
画素回路400ELは、トランジスタM3のゲートに高い電位を与えることで、発光デバイスELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタM3や発光デバイスELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
【0266】
なお、
図24C、
図24Dで例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量などを追加した構成としてもよい。
【0267】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0268】
(実施の形態5)
以下では、本発明の一態様の表示パネルの画素の構成例について説明する。
【0269】
【0270】
画素300は、複数の画素301を有する。複数の画素301は、それぞれ、副画素として機能する。それぞれ異なる色を呈する複数の画素301によって1つの画素300が構成されることで、表示部では、フルカラーの表示を行うことができる。
【0271】
図25A、
図25Bに示す画素300は、それぞれ、3つの副画素を有する。
図25Aに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、および青(B)である。
図25Bに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)である。
【0272】
図25C乃至
図25Eに示す画素300は、それぞれ、4つの副画素を有する。
図25Cに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)である。白色を呈する副画素を用いることで、表示部の輝度を高めることができる。
図25Dに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)である。
図25Eに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、白(W)である。
【0273】
1つの画素として機能させる副画素の数を増やし、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、および黄などの色を呈する副画素を適宜組み合わせることにより、中間調の再現性を高めることができる。よって、表示品位を高めることができる。
【0274】
また、本発明の一態様の表示装置は、さまざまな規格の色域を再現することができる。例えば、テレビ放送で使われるPAL(Phase Alternating Line)規格およびNTSC(National Television System Committee)規格、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、プリンタなどの電子機器に用いる表示装置で広く使われているsRGB(standard RGB)規格およびAdobe RGB規格、HDTV(High Definition Television、ハイビジョンともいう)で使われるITU-R BT.709(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector Broadcasting Service(Television) 709)規格、デジタルシネマ映写で使われるDCI-P3(Digital Cinema Initiatives P3)規格、UHDTV(Ultra High Definition Television、スーパーハイビジョンともいう)で使われるITU-R BT.2020(REC.2020(Recommendation 2020))規格などの色域を再現することができる。
【0275】
また、画素300を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、または「2K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。また、例えば、画素300を3840×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、または「4K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。また、例えば、画素300を7680×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、または「8K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。画素300を増やすことで、16Kや32Kの解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することも可能である。
【0276】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0277】
10:ヒンジ、11a:羽根、11b:羽根、12a:軸筒、12b:軸筒、13a:軸筒、13b:軸筒、14:芯棒、15:芯棒、16:ピン、17:ストッパ、19:冶具、20:ヒンジ、21:柱状体、22:長穴、23:ストッパ、24:受け板、25:孔部、26:窪部、27:スプリング、28:ボール、29:ロック部品、30:切り欠き部、31:領域、41a:軸筒、41b:軸筒、42:軸筒、45:芯棒、46:ピン、100A:支持具、100B:支持具、101a:ヒンジ部、101b:ヒンジ部、102a:筐体、102b:筐体、102c:筐体、103:表示パネル、103a:領域、103b:領域、103c:領域、104a:曲面、104b:曲面、115:柱状体、116a:歯車、116b:歯車、120:センサ、130:画像、131:キーボード、132:アイコン、135a:入出力ユニット、135b:入出力ユニット、136a:カメラ、136b:カメラ、137:センサ、138:表示パネル、139:表示パネル、140:太陽電池、141:薄膜太陽電池、145:外部インターフェイス、146:送受信ユニット、147:スピーカ、148:カメラ、149:マイク、150:スタイラス、200:表示装置、210:表示装置、300:画素、301:画素、400:画素回路、400EL:画素回路、400LC:画素回路、401:回路、401EL:回路、401LC:回路、501:画素回路、502:画素部、504:駆動回路部、504a:ゲートドライバ、504b:ソースドライバ、506:保護回路、507:端子部、550:トランジスタ、552:トランジスタ、554:トランジスタ、560:キャパシタ、562:キャパシタ、570:液晶デバイス、572:発光デバイス、700:表示パネル、700A:表示パネル、702:画素部、704:ソースドライバ回路部、706:ゲートドライバ回路部、708:FPC端子部、710:配線、716:FPC、717:IC、730:絶縁層、732:封止層、736:着色層、738:遮光層、740:支持基板、741:保護層、741a:絶縁層、741b:絶縁層、741c:絶縁層、742:接着層、743:樹脂層、744:絶縁層、745:支持基板、746:絶縁層、747:接着層、749:保護層、750:トランジスタ、752:トランジスタ、760:配線、761:導電層、770:絶縁層、772:導電層、780:異方性導電膜、782:発光デバイス、786:EL層、788:導電層、790:キャパシタ