(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】心臓の左心耳に埋め込むための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61B17/12
(21)【出願番号】P 2021520106
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077669
(87)【国際公開番号】W WO2020074738
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509237767
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トニー オハロラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン トンプソン
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0364941(US,A1)
【文献】国際公開第2018/081466(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の左心耳に埋め込むための装置(1)であって、前記装置は、
経管送達に適した収縮姿勢と、前記左心耳内に固定されるように構成され、左心房から前記左心耳を流体的に隔離する、展開姿勢との間で調整可能な、半径方向に拡張可能な要素(3)と、前記
半径方向に拡張可能な要素(3)の近位端から延びる凹入されたソケット(5)であって、前記凹入されたソケット(5)の近位開口部を通して前記左心房からアクセス可能な
、前記凹入されたソケット(5)と、前記
近位開口部を覆う閉鎖体(8)を含む、ドッキングステーション(2)と、
前記ドッキングステーションの前記凹入されたソケット内で、取り外し可能に係合するように構成されたモジュール式能動要素(12)を含み、
前記凹入されたソケット(5)が、前記ドッキングステーションを通って、完全に延び、前記凹入されたソケット(5)は、前記ドッキングステーションが展開されたときに、閉塞した
前記左心耳へのアクセスを提供
し、
前記モジュール式能動要素(12)は、(a)処置装置(31、32、41、45)であって、前記ドッキングステーションは、前記半径方向に拡張可能な要素(3)に取付けられた導電性要素(30)を介して、前記モジュール式能動要素(12)と周囲の組織との間の電気的接続を提供するように構成された、前記処置装置(31、32、41、45)、または、(b)感知装置を含み、前記処置装置および前記感知装置は、前記心臓または前記心臓を通過する血液に適用される、処置または感知操作のために構成されることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素(12)は、前記
左心耳内に完全にフィットするように寸法が決められることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素は、温度、圧力、pH、電気信号、心拍数、または、呼吸数から選択されたパラメータを検出するように構成された感知要素であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素は、心臓を電気的に刺激するか、心臓組織をアブレーションするか、または、物質を心臓、心臓壁、または、血流に送達するように構成された処置装置であり、前記処置装置が、任意選択で、電極または電極のアレイを含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素(12)は、前記凹入されたソケット(5)
の内壁に係合して、前記凹入されたソケットを閉じるように寸法が定められることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素(12)は、前記凹入されたソケット内に係合するように構成され、前記モジュール式能動要素の近位部分は、前記凹入されたソケットの近位に配置され、および/または、前記モジュール式能動要素の遠位部分は、前記凹入されたソケットの遠位に配置されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素は、前記左心房に延びる近位部分を備えて、前記凹入されたソケット内に係合するように構成され、前記左心房に延びる前記近位部分は、任意選択で、処置または感知装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置であって、前記
半径方向に拡張可能な要素(3)が、メッシュカバー(7)を含み、前記装置が、前記
左心耳に展開されたときに、前記左心房を前記
左心耳から流体的に隔離し、前記メッシュカバー(7)は、
前記凹入されたソケット(5)の前記近位開口部を閉鎖する自己閉鎖開口部を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の装置であって、
前記メッシュカバー(7)は、
薬剤を含み、上皮細胞増殖を促進するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の装置であって、前記半径方向に拡張可能な要素は、半径方向に拡張可能なケージ(3)であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置であって、前記半径方向に拡張可能な要素は、実質的にトロイダル形状を有し、凹入されたソケットの開口部を含む近位部分(4)、凹入されたソケットのカバー(7)、および、実質的に円筒形である遠位部分(6)を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素と前記凹入されたソケットは、前記モジュール式能動要素が前記凹入されたソケットに完全に受け入れられたときに、相互係合するように構成されるか、または、ねじ込み式で取り外し可能に係合するか、もしくは、締まり嵌めで取り外し可能に係合するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の装置であって、前記モジュール式能動要素は、
インダクタであって、前記インダクタは、経管送達に適した収縮姿勢と展開された半径方向に拡張した姿勢との間で、調整可能である、誘導コイルを含む、および/または、
インダクタであって、前記インダクタは、誘導コイルを含み、該誘導コイルは、前記モジュール式能動要素の遠位端に配置され、前記凹入された導管の遠位に展開するように構成される、前記インダクタ、および/または、
0.5以上の所望のQ値を提供するように適合された、複数のコイルで構成された共振電力回路、および/または、
第1のLC回路を提供するために、インダクタと対にされたコンデンサ、および、
前記第1のLC回路に電力を供給するための磁束を提供するように適合された、前記モジュール式能動要素の外部に配置された第2のLC回路を含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓の左心耳に埋め込むための装置に関する。また、装置を採用する処置または診断、特に心臓機能の診断の方法が意図される。
【背景技術】
【0002】
心臓病は人口にとって大きな問題であり、心臓のその場での処置を目的とし、心臓を監視する装置が、過去20年間に開発されてきた。鼓動する心臓内のスペースは非常に限られており、このことは、安全で効果的な、生体位での心臓インプラントの開発に大きな課題をもたらす。
【0003】
心臓の左心耳(LAA)用の医療用インプラント装置は、文献から知られており、一般に、カテーテルと、LAAの小孔で展開し、心臓からLAAを流体的に隔離するように構成された、カテーテルの遠位端に配置される半径方向に拡張可能な部材とを含む。これらの装置は、一般に、カテーテルを介して外部コントローラに動作可能に接続され、LAAの電気的特性を変化させる目的で、LAAの組織を処置し、最終的に、心房細動の阻害または予防手段として、心臓組織からLAAを電気的に隔離するように動作可能である。これらの装置の一部は、また、LAAの組織のパラメータを感知し得るセンサを含む。例示的な装置は、特許文献1に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2016/202708号
【文献】米国特許第8528147号明細書
【文献】欧州特許第0800781号明細書
【文献】独国特許第10328445号明細書
【文献】国際公開第01/87168号
【文献】米国特許第6652548号明細書
【文献】米国出願公開第2004/21902号明細書
【文献】米国特許第6454775号明細書
【文献】米国特許第4909789号明細書
【文献】米国特許第5573530号明細書
【文献】国際公開第2013/109756号
【文献】国際特許出願PCT/IE2014/000005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題の少なくとも1つを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
出願人は、LAAが、心臓の処置/感知装置を収容するための追加のスペースを提供し得ること、および、LAAインプラントを使用してLAAを安全かつ確実に遮断することによって、心臓内ではあるが、心臓から隔離された、追加のスペースを生成することが可能であることを認識した。その結果、この空間は、処置または監視装置の受容部として、または、心臓の内側から心臓の外面にアクセスしたり、心臓の外側から心臓の内面にアクセスしたりするための出入り口として使用され得る。
【0007】
本発明は、心臓機能に悪影響を与えることなく、心臓に安全に埋め込まれ得、モジュール式に調整するように構成される、心臓監視/処置装置に対する必要性に対処する。装置は、心臓の左心耳(LAA)内へ埋め込むために設計され、そこで、LAAの壁に固定される、ドッキングステーションと、ドッキングステーションに形成される、凹入された導管(ソケット)内に取り外し可能に係合するよう設計された、モジュール式能動要素との、2つの主要構成要素を含む。モジュール式能動要素は、処置装置または感知装置であり得、それが、心臓内のその場にある間に、ドッキングステーションから取り外され、別のモジュール式能動要素(例えば、心臓パラメータセンサを備えた組織アブレーションモジュール)と交換され得、または同じモジュール式能動要素の新しいバージョン、または、新しいバッテリーを備えた同じモジュール式能動要素と交換され得る。処置または感知装置は、LAA、心臓、心臓のチャンバー(例えば、左心房)、または、心臓を通過する血液を処置し、または、適用される操作を感知するように構成され得る。モジュール式能動要素と、凹入された導管は、取り外し可能に係合するように構成され、モジュール式能動要素の取り外しと引き込み、および、同じまたは異なるモジュール式能動要素の再取り付けを可能にする一方で、ドッキングステーションは、心臓LAA内で、の場に留まる。したがって、本発明は、心臓を処置し、心臓の状態を監視するための、安全で便利な手段を提供する。凹入されたソケットは、ドッキングステーションを通って延び得、モジュール式能動要素、例えば、治療または感知装置、の一部が、閉塞されたLAAにアクセスすることを可能にする。
【0008】
第1の態様では、本発明は、体管腔、例えば、心臓の左心耳に埋め込むための装置を提供し、装置は、経管移送に適した収縮姿勢と、左心耳内に留まる(および、好ましくは、左心耳を左心房から流体的に隔離する)ように構成された展開姿勢との間で調整可能な、半径方向に拡張可能な要素を含む、ドッキングステーションを含む。一実施形態では、ドッキングステーションは、左心房からアクセス可能な、凹入されたソケットを備える。装置は、通常、ドッキングステーションの凹入されたソケット内で、取り外し可能に係合するように構成された、モジュール式能動要素を含む。
【0009】
一実施形態では、凹入されたソケットの近位面は、凹入されたソケットへの流体アクセスを防止するように構成された閉鎖体を備える。本明細書では、自動閉鎖する閉鎖体および穿刺可能な閉鎖体を含む、様々な形態の閉鎖体が記載される。
【0010】
一実施形態では、モジュール式能動要素およびドッキングステーションの少なくとも1つは、磁石を備え(または磁化されており)、モジュール式能動要素を凹入されたソケットに案内するように構成される。
【0011】
モジュール式能動要素は、一般に、処置要素または感知要素を含む。処置または感知要素は、半径方向に拡張可能であり得る。感知要素は、任意のパラメータを検出するように構成され得、例は、温度、圧力、pH、電気信号、心拍数、または呼吸数から選択されるパラメータを含む。
【0012】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、心臓を電気的に刺激する、心臓組織をアブレーションする(熱、電気、放射線、物理的または化学的アブレーションを含む、任意の手段によって)、または、心臓、心臓壁または血流に、物質を送達するように構成される、処置要素である。
【0013】
一実施形態では、処置要素は、RF、可逆的および不可逆的エレクトロポレーション極低温素子または容量性カップリングなどの、熱および非熱エネルギー送達要素を含む。要素は、電極または電極のアレイであり得る。極低温素子は、半径方向に拡張可能なバルーンであり得る。
【0014】
一実施形態では、処置要素または感知要素は、収縮した移送構成と展開した能動構成との間で、調整されるように構成される。一般に、これらの実施形態では、処置または感知要素は、モジュール式能動要素の遠位端に向かって配置され、凹入されたソケットの遠位で展開するように構成される。
【0015】
一実施形態では、ドッキングステーションおよびモジュール式能動要素は、モジュール式能動要素が、凹入されたソケット内に動作可能に係合されるときに、電気的に接続されるように構成される。一実施形態では、ドッキングステーションは、半径方向に拡張可能な要素を介して、モジュール式能動要素と周囲の組織との間の電気的接続を提供するように構成される。
【0016】
一実施形態では、凹入されたソケットは、ドッキングステーションを通って完全に延び、ドッキングステーションが展開されたときに閉塞されたLAAへのアクセスを提供する。
【0017】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、凹入されたソケット内に完全に係合するように寸法が決められる。一実施形態では、モジュール式能動要素は、凹入されたソケット内に係合して、凹入されたソケットを閉じるように寸法が決められる。このことは、開口部が開いた場合、例えば、凹入されたソケット閉鎖体が、穿刺可能な膜またはカバーを含む場合に、凹入されたソケットを通る、心臓からLAAへの流体流れを防止する。
【0018】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、モジュール式能動要素の近位部分が、凹入されたソケットの近位に配置されて、および/または、モジュール式能動要素の遠位部分が、凹入されたソケットの遠位に配置されて、凹入されたソケット内で係合するように構成される。一実施形態では、モジュール式能動要素は、近位部分が左心房内に延びて、凹入されたソケット内に位置するように構成される。一実施形態では、左心房内に延びる近位部分は、処置または感知要素を含む。
【0019】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、心臓内にフィットするように寸法が決められる。一実施形態では、モジュール式能動要素は、左心房(左心耳を含む)内にフィットするように寸法が決められる。一実施形態では、モジュール式能動要素は、左心耳内にフィットするように寸法が決められる。
【0020】
一実施形態では、凹入された導管は、モジュール式能動要素の受容で、半径方向に拡張するように構成される。この実施形態では、モジュール式能動要素は、凹入された導管の直径よりも大きい直径を有し得る。モジュール式能動要素を凹入されたソケットに挿入することは、凹入されたソケットが半径方向に拡張するように強いる引張力を、凹入されたソケットに受けさせる。ソケットは、弾性変形可能な材料、例えば、適切な弾性ポリマーまたは拡張可能なメッシュで形成され得、モジュール式能動要素が取り外されたときに、その元のサイズをとるように構成される。あるいは、ソケットは管状であり得、ソケットが拡張されていないときは長手方向に当接するが、ソケットが拡張されているときは分離する、隣接しているが接続されていない長手方向セクションを有する。モジュール式能動要素は、内側に向かって先細りになる(すなわち、漏斗形状とされた)遠位端を有し得る。このことは、モジュール式能動要素の遠位端が、半径方向の拡張の前に、凹入されたソケットに挿入されることを可能にし、それにより、要素のソケットへのさらなる挿入は、ソケットの半径方向の拡張を引き起こす。
【0021】
一実施形態では、凹入されたソケットの閉鎖体は、装置がLAAに展開されたときに、典型的には、左心房をLAAから流体的に隔離する、メッシュカバーを含む。一実施形態では、メッシュは、自動閉鎖の開口を含む。
【0022】
一実施形態では、閉鎖体は、穿刺可能な膜カバーを含む。
【0023】
一実施形態では、自動閉鎖の閉鎖体は、拡張可能な弁を含む。
【0024】
一実施形態では、閉鎖体は、上皮細胞の増殖を促進するように構成される。
【0025】
一実施形態では、自己閉鎖の閉鎖体は、開閉可能なフラップと、フラップを閉位置に付勢するための、関連する付勢手段とを備える。一実施形態では、付勢手段は、フラップに接着されたばね要素、例えば、本明細書に開示されるようなヒンジ式ばねを含む。
【0026】
一実施形態では、半径方向に拡張可能な要素は、半径方向に拡張可能なケージである。一実施形態では、凹入されたソケットは、半径方向に拡張可能なケージまたは要素の中に、および、それを通って、少なくとも部分的に、一実施形態では完全に、軸方向に延びる導管である。一実施形態では、半径方向に拡張可能な要素は、実質的にトロイダル形状を有し、凹入されたソケットの開口部、凹入されたソケット用のカバーを含む近位部分と、実質的に円筒形である遠位部分とを含む。
【0027】
一実施形態では、モジュール式能動要素と凹入されたソケットは、モジュール式能動要素が凹入されたソケットに完全に受け入れられたときに相互係合するように構成される。
【0028】
一実施形態では、モジュール式能動要素および凹入されたソケットは、螺合により取り外し可能に係合するように構成される。
【0029】
一実施形態では、モジュール式能動要素および凹入されたソケットは、締まり嵌めにより取り外し可能に係合するように構成される。
【0030】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、係合により、凹入されたソケットに、モジュール式能動要素を固定するように構成された(または係合手段としての)、半径方向に拡張可能なアンカーを備える。一実施形態では、半径方向に拡張可能なアンカーは、膨張可能である。
【0031】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、モジュール式能動要素が凹入されたソケットと係合するとき、導管の遠位に展開するように構成された、遠位の半径方向に拡張可能なアンカー、または、半径方向に拡張可能な要素、および/または、モジュール式能動要素が凹入されたソケットと係合するとき、導管の近位に展開するように構成された、近位の半径方向に拡張可能なアンカー、または、半径方向に拡張可能な要素を含む。
【0032】
一実施形態では、モジュール式能動要素はインダクタを含む。
【0033】
一実施形態では、インダクタは、経管移送に適した、収縮姿勢と、半径方向に拡張された展開方向との間で、任意に調整可能である、誘導コイルを含む。
【0034】
一実施形態では、誘導コイルは、モジュール式能動要素の遠位端に配置され、凹入された導管の遠位に展開するように構成される。
【0035】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、0.5以上の所望のQ値を提供するように適合された複数のコイルで構成された、共振電力回路を含む。
【0036】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、第1のLC回路を提供するために、インダクタと対にされたコンデンサを含む。
【0037】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、DCレギュレータに動作可能に接続され、回路に定常状態電流を提供するように適合された、RC回路を含む。
【0038】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、LC回路に電力を供給するための磁束を提供するように適合された、モジュール式能動要素の外部に配置された、第2のLC回路を含む。
【0039】
一実施形態では、モジュール式能動要素の近位端は、収縮スネアと係合するように構成されたアンカー形成を含む。
【0040】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、使用中にその送達カテーテルに取り付けられたままであるように構成される。送達カテーテルは、電源手段およびデータ中継手段を含む、モジュール式能動要素のための制御要素を含み得る。カテーテルおよびモジュール式能動要素は、一緒に、ドッキングステーションから解放され、経管的に引き抜かれるように構成され得る。モジュール式能動要素は、送達カテーテルから取り外されるように構成され得、カテーテルは、交換用モジュール式能動要素を取り付けるように構成され得る。カテーテルおよび交換用モジュール式能動要素は、経管的にドッキングステーションに移送され得、モジュール式能動要素は、凹入されたソケット内に動作可能に係合される。
【0041】
一実施形態では、ドッキングステーションの遠位端のカバーは、カバーの中心からカバーの周辺まで半径方向に延びる、電極受容導管のネットワークを含む。送達カテーテルの遠位端に配置された電極は、導管に通され、導管は、電極の遠位端を、使用中にLAAの壁に隣接するであろう、カバーの周辺に案内する。一実施形態では、カバーの組織係合部分の周囲は、電極の遠位端をLAAの壁に露出させるように構成された、複数の開口を含む。カテーテルおよび電極は、ドッキングステーションから取り外され、ドッキングステーションをその場に残して、引き抜かれるように構成される。
【0042】
一実施形態では、半径方向に拡張可能な要素は、半径方向に拡張可能な要素の展開で、組織と係合するように構成された、1つまたは複数のブラシ部材を含む。ブラシは、展開で、要素を組織に固定するのに役立ち、組織に対する流体的に密のシールを形成する。例えば、半径方向に拡張可能な要素は、ワイヤから形成されたケージであり得、ワイヤの少なくとも1つは、ブラシ部材を含み得る。本明細書で使用される「ブラシ部材」という用語は、一般に、背部、および、背部に結合された複数のブラシ毛を意味し、ブラシ毛は、背部から、外向きに、一般的には、半径方向外向きに延びる。ブラシ毛は、軸方向、円周方向、またはらせん状の配置を有し得る。ブラシ部材、およびそれらの製造方法は、特許文献2、特許文献3、および、特許文献4に記載される。ブラシ毛は多孔性であり得、これは組織統合に役立つ。細孔は、押し出し中、または、切断またはレーザーにより、事後形成中に形成され得る。
【0043】
本発明は、また、本発明の装置と、モジュール式能動要素をドッキングステーションの凹入された導管に経管的に移送するための送達カテーテルと、を含むシステムを提供する。一実施形態では、送達カテーテルは、モジュール式能動要素を受け取り(通常はカテーテルの遠位端内)、モジュール式能動要素をドッキングステーションに経管的に移送し、モジュール式能動要素を、送達カテーテルの遠位端から、部分的または完全にドッキングステーションの凹入されたソケットに分配するように構成される。一実施形態では、送達カテーテルは、モジュール式能動要素の近位端を、取り外し可能に取り付け、カテーテルに対して軸方向に移動するように構成された内部要素を含む。一実施形態では、内部要素は、モジュール式能動要素を、カテーテルの長手方向軸の周りで回転させるように構成される。
【0044】
一実施形態では、本発明は、体管腔の閉塞装置を提供し、体管腔の閉塞装置は、経管的に移送され、および、体管腔内で閉塞装置を展開させるように構成された、細長いカテーテル部材に、動作可能に取り付けられた、埋め込み型閉塞装置を含み、閉塞装置は、細長いカテーテル部材に取り外し可能に取り付けられ、経管移送に適した収縮姿勢と、体管腔を閉塞するように構成された展開姿勢との間で調整可能である、半径方向に拡張可能な要素を含み、半径方向に拡張可能な要素は、半径方向に拡張可能な要素の展開で、組織と係合するように構成された、1つまたは複数のブラシ部材を含む。一実施形態では、装置は、組織を加熱するために周囲の組織にエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達要素を含む。一実施形態では、装置は、体管腔の壁のパラメータを検出するように構成されたセンサを含む。一実施形態では、エネルギー送達要素およびセンサは、任意選択で、半径方向に拡張可能な要素とは独立して軸方向に移動するように構成され、それにより、使用中に、エネルギー送達要素およびセンサは、体管腔を閉塞する、半径方向に拡張可能な要素を、その場に残したまま、経管的に引き抜かれ得る。
【0045】
本発明は、また、方法に関し、方法は、
本発明の装置を対象の心臓の左心耳に経管的に移送することと、
左心耳に装置を固定するために装置を展開することと、
モジュール式能動要素を作動させて、心臓のその場で、第1の操作を実行することと、
一定期間後、モジュール式能動要素をドッキングステーションから取り外し、モジュール式能動要素を、対象から経管的に引き抜くことと、
交換用のモジュール式能動要素を、対象の心臓に経管的に移送することと、
交換用のモジュール式能動要素をドッキングステーションの凹入された導管に挿入し、凹入された導管と係合させることと、
モジュール式能動要素を作動させて、心臓のその場で、第2の操作を実行することと、を含む。
【0046】
一実施形態では、第1および第2の操作は、それぞれ、独立して、処置操作(すなわち、LAA組織アブレーション、薬物または遺伝子治療の送達)、または、感知操作(すなわち、LAA内の電気信号、圧力、または温度の検出)である。第1と第2の操作は、異なるか、または、同じであり得る。モジュール式能動要素と交換用モジュール式能動要素は、異なるか、または、同じであり得る。例えば、一つは、処置要素を含み得、一つは、感知要素を含み得、または、それらは、両方が、処置、または、感知要素を含み得る。
【0047】
一実施形態では、モジュール式能動要素をドッキングステーションから取り外し、モジュール式能動要素を対象から経管的に引き抜く工程は、凹入されたソケットの開口部を取り囲む、半径方向に拡張可能な要素の近位面に当接するように構成された外側部分と、凹入されたソケットへ軸方向に移動し、モジュール式能動要素の近位端と係合するように構成された内側部分とを有する、カテーテルを使用する。典型的には、カテーテルの内側部分は、凹入されたソケットの開口部を覆うカバーを穿刺するように構成された穿刺先端を有する。適切には、カテーテルの外側部分は、半径方向に拡張可能な要素の近位面に対して外側部分を正しく配置することを容易にするための磁石を含む。
【0048】
一実施形態では、交換用モジュール式能動要素は、係合により、交換用モジュール式能動要素を、凹入されたソケットに固定するように構成された、半径方向に拡張可能なアンカーを含み、方法は、交換用モジュール式能動要素が、凹入された導管に挿入された後に、アンカーを展開する工程を含む。一実施形態では、半径方向に拡張可能なアンカーは、膨張可能である。
【0049】
本発明の方法は、モジュール式能動要素が、組織を、直接的にアブレーションするための組織アブレーション要素(要素の一部がLAA組織に係合するように構成される)、または、間接的にアブレーションするための組織アブレーション要素(組織アブレーション要素は、半径方向に拡張可能な要素によって、組織にアブレーションエネルギーを送達するように構成される)を含む、LAAを、閉塞し、脈管除去し、または、電気的に隔離する方法であり得る。
【0050】
本発明はまた、本発明による装置、および、少なくとも1つ(すなわち、1、2、3、4、5個)の交換用モジュール式能動要素を含む、部品のキットを提供する。
【0051】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、組織アブレーション装置であり、交換用モジュール式能動要素は、処置装置または感知装置から選択される。
【0052】
一実施形態では、キットは、凹入されたソケットの開口部を取り囲む、半径方向に拡張可能な要素の近位面に当接するように構成された外側部分と、モジュール式能動要素の近位端と係合し、任意選択で、凹入されたソケット内で、軸方向に移動するように構成された内側部分とを有するカテーテルを含む。
【0053】
一実施形態では、カテーテルの内側部分は、凹入されたソケットの開口部を覆うカバーを穿刺するように構成された、穿刺先端を有する。
【0054】
別の態様では、本発明は、心臓の左心耳に埋め込むための装置を提供し、装置は、
経管送達に適した収縮姿勢と、左心耳内に固定され、左心耳を左心房から流体的に隔離するように構成された展開姿勢との間で調整可能である、半径方向に拡張可能な要素と、開口部を通して左心房からアクセス可能な凹入されたソケットと、開口部を覆う閉鎖体を含む、ドッキングステーションと、
ドッキングステーションの凹入されたソケット内で、取り外し可能に係合するように構成され、インダクタを含む、モジュール式能動要素と、
を含む。
【0055】
一実施形態では、インダクタは、経管送達に適した収縮姿勢と展開された半径方向に拡張した姿勢との間で、任意選択で調整可能な誘導コイルを含む。一実施形態では、誘導コイルは、モジュール式能動要素の遠位端に配置され、凹入された導管の遠位に展開するように構成される。
【0056】
別の態様では、本発明は、心臓の左心耳に埋め込むための装置を提供し、装置は、
経管送達に適した収縮姿勢と、左心耳内に固定され、左心耳を左心房から流体的に隔離するように構成された展開姿勢との間で調整可能である、半径方向に拡張可能な要素と、開口部を通して左心房からアクセス可能な凹入されたソケットと、開口部を覆う閉鎖体とを含む、ドッキングステーションと、
ドッキングステーションの凹入されたソケット内で取り外し可能に係合するように構成されたモジュール式能動要素であって、ドッキングステーション内で、モジュール式能動要素は、0.5以上の所望のQ値を提供するように適合された、複数のコイルで構成された共振電力回路を含む、モジュール式能動要素と、を含む。
【0057】
別の態様では、本発明は、心臓の左心耳に埋め込むための装置を提供し、装置は、
経管送達に適した収縮姿勢と、左心耳内に固定され、左心耳を左心房から流体的に隔離するように構成された展開姿勢との間で調整可能である、半径方向に拡張可能な要素と、開口部を通して左心房からアクセス可能な凹入されたソケットと、開口部を覆う閉鎖体とを含む、ドッキングステーションと、
ドッキングステーションの凹入されたソケット内で、取り外し可能に係合するように構成されたモジュール式能動要素であって、ドッキングステーション内で、モジュール式能動要素は、第1のLC回路を提供する、インダクタと対になったコンデンサを含む、モジュール式能動要素と、を含む。
【0058】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、DCレギュレータに動作可能に接続され、回路に定常状態電流を提供するように適合されたRC回路を含む。
【0059】
一実施形態では、モジュール式能動要素は、LC回路に電力を供給するための磁束を提供するように適合された、モジュール式能動要素の外部に配置された、第2のLC回路を含む。
【0060】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、以下に記載される他の特許請求の範囲で、明らかにされ、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1A】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、ケージの近位端を覆うメッシュカバーを備えたドッキングステーションを示す図である。
【
図1B】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、明確化のために、カバーが取り外されたドッキングステーションを示し、また、ドッキングステーションに取り付けられたカテーテルの遠位端を示す図である。
【
図1C】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、開いた状態での再閉鎖可能な開口部を示す、ドッキングステーションの側面図である。
【
図1D】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、閉じた状態での再閉鎖可能な開口部を示す、ドッキングステーションの側面図である。
【
図1E】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、ドッキングステーションの端面図である。
【
図1F】実質的にトロイダル形状の近位端と凹入された導管を備え、円筒形を有する遠位端を備えた、半径方向に拡張可能なケージを有する、展開構成の本発明のドッキングステーションと、モジュール式能動要素の除去および挿入を容易にするための再閉鎖可能な開口部を示し、ドッキングステーションの端面図である。
【
図2A】閉じた状態の、ポリマー弁の形態の再閉鎖可能な開口部を有する、ドッキングステーションの近位端のためのカバーを示す図である。
【
図2B】開いた状態の、ポリマー弁の形態の再閉鎖可能な開口部を有する、ドッキングステーションの近位端のためのカバーを示す図である。
【
図2C】閉じた構成の弁を示す、ドッキングステーションの断面側面図である。
【
図2D】弁を通して突き出るカテーテルを備えた、開いた構成の弁を示す、ドッキングステーションの断面側面図である。
【
図2E】凹入されたソケットに供給されるモジュール式能動要素を示す、ドッキングステーションの断面側面図である。
【
図2F】カテーテルが除去され、弁が閉鎖した、ドッキングステーションの断面側面図である。
【
図3A】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、ねじ式係合を示す図である。
【
図3B】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、締まり嵌めを示す図である。
【
図3C】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、アンカー展開を示す図である。
【
図3D】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、バルーン展開を示す図である。
【
図3E】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、バネ係合を示す図である。
【
図3F】モジュール式能動要素と導管が相互作用する異なる方法のうち、バネ係合を示す図である。
【
図4A】モジュール式能動要素が、径方向に拡張可能な要素を介して、LAAの組織と電気的に接続し得る方法を示す図である。
【
図4B】モジュール式能動要素が、径方向に拡張可能な要素を介して、LAAの組織と電気的に接続し得る方法を示す図である。
【
図4C】モジュール式能動要素が、径方向に拡張可能な要素を介して、LAAの組織と電気的に接続し得る方法を示す図である。
【
図5】半径方向に拡張可能な要素の近位端が、不規則な形状のLAAと噛み合うように構成された密閉スカートを有し得る方法を示す図である。
【
図6A】導管の開口部に向かって送達カテーテルを案内するのを支援するために、磁石を組み込んだモジュール式能動要素用の送達カテーテルを示す図である。
【
図6B】導管の開口部に向かって送達カテーテルを案内するのを支援するために、磁石を組み込んだモジュール式能動要素用の送達カテーテルを示す図である。
【
図6C】導管の開口部に向かって送達カテーテルを案内するのを支援するために、磁石を組み込んだモジュール式能動要素用の送達カテーテルを示す図である。
【
図7A】組織アブレーションモジュール式能動要素であって、展開した能動構成のモジュール式能動要素を示す図である。
【
図7B】組織アブレーションモジュール式能動要素であって、収縮した移送構成のモジュール式能動要素を示す図である。
【
図7C】組織アブレーションモジュール式能動要素であって、導管内に係合した、展開したモジュール式能動要素を示す図である。
【
図8A】膨張可能なバルーンを含むモジュール式能動要素を示す図である。
【
図8C】異なる冷凍アブレーション治療を提供するように構成された、異なるコンパートメントを有する、膨張可能なバルーンを含むモジュール式能動要素を示す図である。
【
図9】導管内に係合した、2つの膨張可能なバルーンを有する、モジュール式能動要素を示す図である。
【
図10】送達/除去装置と係合するように構成された、フックを組み込んだモジュール式能動要素を示す図である。
【
図11A】装置の遠隔電力供給または充電のための、誘導コイルを組み込んだ、左心房モニタリング用の装置を示す図である。
【
図11B】装置の遠隔電力供給または充電のための、誘導コイルを組み込んだ、左心房モニタリング用の装置を示す図である。
【
図12A】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12B】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12C】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12D】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12E】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12F】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12G】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図12H】本発明の装置を使用する方法を示す図である。
【
図13】半径方向に拡張可能なケージおよび凹入された導管(導管の口が示されている)を有する、本発明の装置の一部を形成する、ドッキングステーションを示す図であり、静止構成(左)および拡張構成(右)にある凹入された導管を示し、また、導管が、当接しているが接続されておらず、導管の半径方向の拡張を可能にする、長手方向セクションまたはセグメントを含む方法を示す図である。
【
図14】電極またはワイヤを受け取り、ワイヤを半径方向外向きにカバーの周囲に向けるように構成された、半径方向導管のネットワークを含むカバーを有する、本発明による装置の一部を形成するドッキングステーションを示す図であり、ドッキングステーションが体管腔に使用されるときに、カバーが、電極の遠位端を組織に露出させるように構成された開口の円周方向の配置を含む図である。
【
図15A】半径方向に拡張可能な要素が、円周方向のブラシ部材を含むケージである、本発明の装置の実施形態を示す図である。
【
図15B】半径方向に拡張可能な要素が、円周方向のブラシ部材を含むケージである、本発明の装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書に記載された、すべての刊行物、特許、特許出願、および、他の参考文献は、個々の刊行物、特許、または、特許出願が、参照により組み込まれることが、具体的かつ個別に示され、その内容が完全に詳述されているかのように、あらゆる目的のために、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
定義と全般的な設定
本明細書で使用される場合、特に別段の指示がない限り、以下の用語は、その用語が当技術分野で享受する可能性のある、より広い(またはより狭い)意味に加えて、以下の意味を有することを意図される。
【0064】
特に文脈によって要請されない限り、本明細書での単数形の使用は、複数形を含むように読まれ、その逆も同様である。実体に関連して使用される、「一つの(a)」または「一つの(an)」という用語は、その実体の1つまたは複数に言及していると読まれるべきである。したがって、「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「1つまたは複数」、および、「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では、互換的に使用される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」という用語、または、「含む(comprises)」あるいは「含む(comprising)」などの、その変形は、列挙された任意のインテジャ(例えば、態様、要素、特徴、特性、方法/方法工程、または、限定)、または、インテジャのグループ(例えば、態様、要素、特徴、特性、方法/工程、または、限定)の包含を示すように読まれるべきであり、いかなる他のインテジャまたはインテジャのグループの除外を示すように読まれるべきではない。したがって、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、包括的であり、または、制限がなく、追加の、列挙されていないインテジャ、または、方法/方法工程を除外しない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、生理学的機能を損ない、特定の症状に関連する、異常な状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質(または実際に疾患の病因的根拠が確立されているかどうか)に関係なく、生理学的機能が損なわれている、任意の障害、病気、異常、病理、病気、状態または症候群を包含するように広く使用される。したがって、それは、感染、外傷、傷害、手術、放射線アブレーション、中毒、または栄養不足から生じる状態を含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「処置」または「処置すること」という用語は、疾患の症状を治癒、改善、または、軽減するか、または、その原因を除去する(または原因の影響を軽減する)(例えば、リソソーム酵素の病理学的レベルの蓄積の減少)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は「治療」という用語と同義で使用される。
【0068】
さらに、「処置」または「処置すること」という用語は、疾患の発症または進行を予防または遅延させるか、または処置される集団内でのその発生率を低減(または根絶)する介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、処置という用語は、「予防」という用語と同義語として使用される。
【0069】
本明細書で使用される場合、薬剤の有効量、または、治療有効量は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または、他の問題または合併症なしに、合理的な利益/リスク比に見合って、対象に投与され得る量であるが、望ましい効果、例えば、対象の状態の永続的または一時的な改善によって明らかにされる、処置または予防を提供するのに十分な量を定義する。量は、個人の年齢および全身状態、投与方法および他の要因に応じて、対象ごとに異なる。したがって、正確な有効量を指定することは不可能であるが、当業者は、日常的な実験、および、背景となる一般知識を使用して、任意の個別の場合において、適切な「有効」量を決定し得るであろう。この文脈での治療結果は、症状の根絶または軽減、痛みまたは不快感の軽減、生存期間の延長、可動性の改善、およびその他の臨床的改善のマーカーを含む。治療結果は、完全な治癒である必要はない。
【0070】
上記で定義された処置および有効量の文脈において、対象という用語(文脈が許す場合、「個人」、「動物」、「患者」または「哺乳動物」を含むと読まれるべきである)は、処置が必要とされる、任意の対象、特に哺乳類の対象を定義する。哺乳類の対象は、ヒト、家畜、飼育場動物、動物園の動物、競技動物、犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、馬、牛、乳牛などのペット動物;類人猿、サル、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類;犬やオオカミなどのイヌ科動物;猫、ライオン、トラなどのネコ科動物;馬、ロバ、シマウマなどのウマ類;牛、豚、羊などの食用動物;鹿やキリンなどの有蹄動物;マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0071】
「経管送達」は、体管腔を介した、標的部位(例えば心臓)への装置の送達、例えば、動脈または静脈を介した送達を意味する。一実施形態では、本発明の装置は、動脈または静脈を介して、心臓の左心房に、そして、少なくとも部分的にLAA内に進められる。
【0072】
「ドッキングステーション」とは、個人の心臓内の、左心耳(LAA)内に固定され、LAA内に留まって、モジュール式能動要素が定期的に交換されることを可能にする、本発明の装置の一部を指す。例えば、モジュール式能動要素は、バッテリーが定期的に交換される必要がある、バッテリー駆動センサであり得る。ドッキングステーションは、一般に、LAAに装置を定着させるために展開する、半径方向に拡張可能な要素を含み、一般に、左心房からアクセス可能であり、モジュール式能動要素と取り外し可能に係合するように構成された、凹入された導管(ソケット)を含む。一実施形態では、半径方向に拡張可能な要素は、導管、典型的には軸方向導管を有する、拡張可能なケージを含む。導管は、通常、ドッキングステーションの近位側に配置され、左心房から導管へのアクセスを可能にする、開口部を有する。導管は、一般にカバーで覆われ、通常、モジュール式能動要素が導管にアクセスすることを可能にし、要素が導管に配置された後に閉じることができるように構成された、再閉鎖可能な開口部(すなわち、自己閉鎖開口部)を有する。フラップバルブおよび穿刺可能な膜を含む、様々なタイプの再閉鎖可能な開口部が本明細書に開示される。一実施形態では、再閉鎖可能な開口部は、フラップと、フラップを閉位置に付勢するように構成された、関連する付勢手段とを備える。
【0073】
「半径方向に拡張可能な要素」とは、収縮した送達姿勢から拡張された展開姿勢に拡張可能な本体を意味する。本体は多くの形態、例えば、編組またはメッシュ材料から形成されたワイヤフレーム構造をとり得る。経管送達に適した拡張可能なワイヤフレーム構造の例は、文献で知られており、例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11に記載されている。本発明での使用に適した他の形態の本体は、プレートまたはソーサの形をしたスカフォード、または、膨張可能なバルーン、または、ステントを含む。一実施形態では、本体は、金属、例えば、ニチノールなどの形状記憶金属から形成される。本体は、本発明の目的に適した任意の形状、例えば、円盤状または回転楕円体状を有し得る。一実施形態では、本体は組織アブレーション装置を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、電気部品のアレイを含む。一実施形態では、電気部品のアレイは、温度をマッピングしながら、特定のパターンでアブレーションエネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、電気部品のアレイは、アブレーションを確認し、LAAからの無秩序な信号を除去するために、心臓組織を整調するように構成される。一実施形態では、半径方向に拡張可能な要素の遠位面は、上皮細胞の増殖を促進するように構成されたカバーを含む。一実施形態では、本体は、装置の遠位から近位までの段階状の半径方向の力の剛性プロファイルを含む。一実施形態では、本体は、金属メッシュのケージスカフォードを含む。一実施形態では、本体とカテーテル部材との間の結合は、本体に面する、左心房に対して遠位に配置される。一実施形態では、展開された構成の本体は、展開点で、左心耳の半径方向の直径よりも少なくとも10%大きい半径方向の直径を有する。一実施形態では、本体の最も遠位は、心臓組織に対して非外傷性であるように構成される。一実施形態では、本体カバーは、送達構成(すなわち、カテーテル部材)の後退時に自己閉鎖するように構成される。一実施形態では、本体は、一実施形態では、増加した耐マイグレーション性を促進するために、熱エネルギー送達でのコラーゲン浸潤を助長する、編組メッシュスカフォードを含む。一実施形態では、電極のアレイは、組織の電気的特性を特徴付けるために、アブレーションゾーンおよび周囲の組織の電気インピーダンス測定値の電気マップまたはプロファイルを生成し、特徴付けは、任意選択で、アブレーション効果の測定および確認として使用される。
【0074】
「モジュール式能動要素」とは、ドッキングステーションに形成された凹入された導管に取り外し可能に係合するように設計された装置を指す。モジュール式能動要素は、処置要素または感知要素であり得、一般に、ドッキングステーションが、心臓のその場にある間に、ドッキングステーションから除去され、異なるモジュール式能動要素と交換されるように(例えば、心臓パラメータセンサ付きの組織アブレーションモジュールの交換)、または、同じモジュール式能動要素の新しいバージョン、または、新しいバッテリー付きの同じモジュール式能動要素と交換されるように構成される。処置または感知要素は、LAA、心臓、心臓のチャンバー(例えば、左心房)、または、心臓を通過する血液に適用される、処置または感知を操作するように構成され得る。モジュール式能動要素および凹入された導管(ソケット)は、一般に、取り外し可能に係合するように構成され、ドッキングステーションが、心臓のLAA内のその場に留まっている間に、モジュール式能動要素を取り外し、および、後退させることを可能にし、ならびに、同じ、または、異なるモジュール式能動要素の再取り付けを可能にする。一実施形態では、モジュール式能動要素は、心臓内にフィットするように寸法が決められる。一実施形態では、モジュール式能動要素は、左心房(左心耳を含む)内にフィットするように寸法が決められる。一実施形態では、モジュール式能動要素は、左心耳内にフィットするように寸法が決められる。
【0075】
「閉鎖体」または「カバー」は、典型的には、凹入されたソケットへの開口部を覆う、半径方向に拡張可能な要素の近位側に配置された層を意味する。それは、閉塞装置を通過してLAAに血流が流れるのを防ぐことを意図される。それは、織られたメッシュ材料から形成され得、そして再閉鎖可能な閉鎖体、例えば、材料の重なり合うフラップまたはポリマー弁、を含み得るか、またはそれは、穿刺可能なカバーを含み得る。いくつかの実施形態では、接続ハブが、カバーと半径方向に拡張可能な本体の凹状の近位面との間の凹所に配置される。
【0076】
「上皮細胞増殖を促進するように構成される被覆すること/被覆」は、使用されている材料が、遠位または近位本体の上皮化を促進することを意味する。一実施形態では、カバーは、上皮細胞増殖を促進する薬剤を含む膜である。例は、線維芽細胞成長因子、形質転換成長因子、上皮成長因子および血小板由来成長因子などの成長因子、内皮細胞または内皮前駆細胞などの細胞、および組織または組織成分などの生物学的材料を含む。組織成分の例は、内皮組織、細胞外マトリックス、粘膜下、硬膜、心膜、心内膜、漿膜、腹膜、および、基底膜組織を含む。一実施形態では、カバーは多孔性である。一実施形態では、カバーは、生物学的材料から形成された生体適合性のスカフォードである。一実施形態では、カバーは、コラーゲンなどの生物学的材料から形成された多孔質のスカフォードである。一実施形態では、カバーは凍結乾燥されたスカフォードである。「半径方向に拡張可能」とは、送達に適した収縮姿勢から、展開された拡張位置へ拡張可能であることを意味する。典型的には、本体は、装置の長手方向軸の周りで半径方向に拡張可能である。本体の一方または両方が自己拡張可能であり得る。別の実施形態では、本体は、自己拡張可能ではないが、手動展開するように構成される。手動展開するように構成された拡張可能本体は、特許文献12に記載されている。
【0077】
「取り外し可能な係合」は、モジュール式能動要素および導管が、モジュール式能動要素が導管に取り付けられ、その後、導管から取り外されることを可能にし、モジュール式能動要素が導管から取り外され、本体から引き出され、同じ、または、別のモジュール式能動要素と交換されることを可能にするように構成されることを意味する。本明細書では、スナップフィット、摩擦嵌め、ねじ込みねじ、および、磁気配置を含む、様々な、取り外し可能な取り付け手段が説明される。
【0078】
本発明の装置またはその一部(ドッキングステーションまたはモジュール式能動要素)に適用される「経管送達」は、体管腔を介した目標部位(例えば心臓)への送達、例えば、動脈または静脈を介した送達を意味する。一実施形態では、本発明の装置は、動脈または静脈を通って前進させられ、閉塞装置を、心臓の左心房に、そして、少なくとも部分的にLAA内に送達する。
【0079】
ドッキングステーションに適用される「アンカー」は、通常は、本体の周辺にある突起を意味し、LAAの壁に突出するように構成される。適切なアンカーの例は、フックまたはバーブを含む。一般に、アンカーは、例えば、半径方向に拡張可能な要素の周囲に配置された、複数の個別のアンカーを含む。
【0080】
「センサ」または「感知要素」は、LAA内またはその近位の環境パラメータ、例えば、血流、電気信号の活性、圧力、インピーダンス、水分、温度、放射線などを検出するように構成された電気センサを意味する。センサは、適切に離間された放出センサおよび検出センサを含み得る。一実施形態では、センサは電極である。一実施形態では、センサは、流体の流れを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、電気伝導率を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、電気インピーダンスを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、音響(すなわち、光音響および音響光)信号を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、周囲の組織における血流の変化を典型的に示す光信号を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、伸びを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、水分を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、検出された信号をプロセッサに無線送信するように構成される。センサは、本発明の方法中にリアルタイムで使用されて、外科医が、LAAが十分に閉塞されたときを決定すること、例えば、LAA内の血流または電気的活性を決定することを可能にする。適切なセンサの例は、光学センサ、無線周波数センサ、マイクロ波センサ、低周波数電磁波(すなわち、DCからRF)に基づくセンサ、無線周波数波(RFからMW)センサ、およびマイクロ波センサ(GHz)を含む。一実施形態では、本発明の装置は、半径方向に拡張可能な本体に対して、センサが軸方向に動くように構成される。一実施形態では、本発明の装置は、典型的には装置の長手方向軸の周りに、センサが回転運動するように構成される。このことは、センサの位置決めに役立ち、完全な円周方向の感知を実現するのに役立つ。一実施形態では、センサは、左心房のパラメータを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、理想的にはリアルタイムで、放射線量を検出するために生体内線量測定を実行するように構成される。
【0081】
「光学センサ」は、組織内の血流の変化を検出するのに適したセンサを意味し、一般には、組織に光を向け、反射/透過光を測定することを含む。これらのセンサは、隣接する組織の血流の変化を検出するのに特に敏感であり、したがって、LAAなどの組織の脈管除去を検出するのに適する。例は、パルスオキシメトリ、フォトプレチスモグラフィ、近赤外分光法、造影超音波検査、拡散相関分光法(DCS)、透過率または反射率センサ、LED RGB、レーザードップラー流量測定、拡散反射率、蛍光/自家蛍光、近赤外線(NIR)イメージング、拡散相関分光法、および光コヒーレンストモグラフィを使用する、光学プローブを含む。フォトプレチスモグラフィセンサの例は、組織を通して2つの波長の光を、光検出器に送る装置であり、光検出器は、各波長で変化する吸光度を測定し、静脈血、筋肉、脂肪などを除く、動脈血の脈動による吸光度を決定することを可能にする。フォトプレチスモグラフィは、単一のLEDからの光で組織を照らし、フォトダイオードに反射されたいずれかの光の量を測定することによって検出される心拍によって引き起こされる、組織の体積の変化を測定する。
【0082】
「処置要素」は、心臓または血液に処置を提供するように構成された装置を指す。例は、エネルギー送達要素、および薬物分配装置(例えば、薬物、遺伝子治療などの、化学的または生物学的に活性な薬剤を放出するように構成された装置)を含む。「エネルギー送達要素」は、エネルギーを受け取り、エネルギーを組織に向け、理想的にはエネルギーを熱に変換して組織を加熱し、コラーゲン変性(組織アブレーション)を引き起こすように構成された装置を指す。組織アブレーション装置は、当業者に知られており、熱エネルギー(熱または冷)、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギー、放射線、組織のアブレーションに適した他のタイプのエネルギー、または、組織をアブレーションするように構成された化学物質の放出に基づいて動作する。組織アブレーション装置は、ANGIODYNAMICSによって販売されており、STARBURST高周波アブレーションシステムおよびACCULISマイクロ波アブレーションシステムを含む。組織アブレーション化学物質の例は、アルコール、加熱生理食塩水、加熱水を含む。通常、液体は、少なくとも45°C、すなわち、45-70°Cに加熱される。一実施形態では、組織アブレーション装置は、典型的には、隣接する組織(アルコール、加熱生理食塩水、加熱水)に熱を送達するように構成された、電極または電気コンポーネントのアレイを含む。一実施形態では、1つまたは複数の電極は、電極と電気的に連絡している少なくとも1つまたは2つの熱電対を含む。一実施形態では、1つまたは複数の電極は、RFまたはマイクロ波エネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、1つまたは複数の電極は、可逆的および不可逆的な、両方のエレクトロポレーションを提供するように構成される。一実施形態では、1つまたは複数の電極は、容量結合によって送達するように構成される。一実施形態では、本発明の装置は、半径方向に拡張可能な本体に対して、エネルギー送達要素を軸方向に移動させるように構成される。一実施形態では、エネルギー送達要素は、半径方向に拡張可能な本体を含む。一実施形態では、本発明の装置は、典型的には装置の長手方向軸の周りで、エネルギー送達要素を回転運動させるように構成される。これは、エネルギー送達要素を位置決めすることに役立ち、完全な円周方向の組織アブレーションを達成するのに役立つ。一実施形態では、エネルギー送達要素は、放射線療法に適した放射性物質を含む。一実施形態では、エネルギー送達要素は、放射性物質、例えば、ペレットまたはゲルなどの放射性物質を組織に投与するように構成される。放射性物質は、放射性ヨウ素、セシウムまたはパラジウム同位体を含み得る。一実施形態では、物質は「シード」の形態をとり、それは、ステンレス鋼のケーシング内に放射性元素を含む小さな(通常、約0.8×4.5mm)シリンダーである。通常、80~120シードの範囲の多数のシードが、これらをスカフォードまたは半径方向に拡張可能な要素に取り付けることにより、心臓組織と接触して配置される。放出される放射線が時間とともに減衰する間、シードは、永久に所定の位置にとどまり得る。シードに使用される一般的な放射性同位元素は、ヨウ素125、パラジウム103、セシウム131である。数週間または数ヶ月の期間にわたって、線源から放出される放射線のレベルは、ほぼゼロに低下する。その後、不活性なシードは、持続的な影響を伴わず、処置部位に残る。シードの目的は、心臓細胞によって受け取られる総線量が、それらを死滅させるのに十分であることを保証し、シードと接触している組織を、恒久的に電気的に隔離することである。
【0083】
「心房細動」または「AF」は、米国だけで推定600万人の患者に影響を与える、一般的な心調律障害である。AFは、米国で2番目に多い脳卒中の原因であり、高齢者の脳卒中のほぼ3分の1を占め得る。AF患者に血栓(血小板塞栓)が発見された場合の90%以上で、血栓は、心臓の左心耳(LAA)に発生する。血液が停滞しているときに凝固が発生し、LAAで血栓または血小板塞栓が形成され得るため、AFの不整脈は、左心耳に血液が溜まることをもたらす。これらの血栓は、左心耳から移動し、脳卒中を引き起こす頭蓋循環、心筋梗塞を引き起こす冠循環、四肢虚血を引き起こす末梢循環、および他の血管床に入り得る。この用語は、発作性(断続的)AFおよび持続性および長期持続性AF(PLPAF)を含む、あらゆる形態の心房細動を含む。
【0084】
「虚血性イベント」とは、身体の臓器または組織への血液供給の制限を指し、影響を受けた臓器または組織への酸素およびグルコースの供給不足をもたらす。この用語は、脳卒中、脳への血液供給を遮断する血栓によって引き起こされる、脳の一部への血液供給の遮断、および、その結果として生じる脳の影響を受けた部分に対する損傷、および、脳卒中に似ているが、本質的に一過性であり、一般的には、脳に対する永続的な損傷を引き起こさない、「小発作」として、また知られる、一過性脳虚血発作(TIA‘s)を含む。冠状動脈で血液供給の制限が発生した場合、虚血性イベントは、心筋梗塞(M1)または心臓発作として知られる。
【0085】
「インダクタ」は、通常、それを通る電流が流れると、磁場にエネルギーを蓄える、2端子の電気部品を指す。インダクタは一般に、磁気コアの有無にかかわらず、電線のコイルの形をとる。
【0086】
「共振電源回路」は、通常、電圧または電流源に接続されたLC回路を指す。共振電力回路は、一般に、受信回路に無線で電力を送信するために使用され得る、強力な磁場を生成する。
【0087】
「望ましいQ値」は、通常、共振LC回路の中心周波数と帯域幅の比率を指す。
【0088】
「RC回路」は、通常、抵抗とコンデンサで構成される電気回路を指す。
【0089】
「DCレギュレータ」は、通常、非直流(通常は交流)を直流に変換する電子部品を指す。
【0090】
「LC回路」は、通常、インダクタとコンデンサで構成される電気回路を指す。
【0091】
例示
次に、本発明が、特定の実施例を参照して説明されるであろう。これらは単なる例示であって、もっぱら説明の目的のためであり、それらは、特許請求されている独占の範囲、または、記載されている発明に、何らかの限定を加えることを意図されない。これらの例は、本発明を実施するために現在考えられている最良のモードを構成する。
【0092】
図面を参照し、最初に
図1Aから
図1Fを参照すると、本発明の装置1の一部を形成し、その展開構成で示された、ドッキングステーション2が図示されており、ドッキングステーション2は、凹入されたソケット5を備えたトロイダル状の近位端4(
図1D)と、円筒形遠位端6とを有する、半径方向に拡張可能な要素(この場合、ケージ3)を含む。
図1Aから1Cに示されるように、ケージの近位端は、血液を透過せず、使用中、装置がLAAに固定されたときに、LAAを左心房から流体的に隔離するメッシュカバー7を備える。再閉鎖可能な開口部は、フラップ8の形で、凹入されたソケット5上に提供され、関連するヒンジ付きばねクリップ9は、フラップを閉位置に付勢するように構成される。再閉鎖可能な開口部の目的は、モジュール式能動要素が取り外されて交換される場合に、左心房からの凹入されたソケットへのアクセスを可能にすることであり、他の場合には、凹入されたソケットを左心房から流動的に隔離することである。
図1Bでは、モジュール式能動要素12が、凹入されたソケット5内に係合して示され、送達カテーテル10が、凹入されたソケット5の口部に当接して示される。
【0093】
図2Aおよび
図2Bは、メッシュカバー7上に形成された再閉鎖可能なフラップ8の一実施形態を示し、再閉鎖可能なフラップ8は、
図2Aに示される閉じた姿勢に付勢され、
図2Bに示される開いた構成へと、力の印加で、内側に押され得る、複数の弁尖11を含む。弁尖に使用される弁材料は、TAVIのような交換用心臓弁に使用されるものと同じ材料、例えば、ブタの心外膜組織であり得る。
【0094】
図2Cから
図2Fは、バルブの動作を示す。
図2Cでは、それは、閉じた構成で示され、左心房を、LAAおよび凹入されたソケット5から流体的に隔離する。
図2Dでは、モジュール式能動要素12を含む送達カテーテル10が、弁を通って突出して示され、弁尖は、カテーテルの側壁に密接に一致する。
図2Eでは、モジュール式能動要素12が、凹入されたソケット5に送達されて、凹入されたソケット5と係合しており、
図2Fでは、カテーテル10が、引き抜かれ、弁が閉じることを可能にしている。
【0095】
図3A~
図3Fは、モジュール式能動要素12、および、凹入されたソケット5が、取り外し可能に係合する、いくつかの異なる方法、すなわち、モジュール式能動要素12および凹入されたソケット5の内壁が、モジュール式能動要素12を凹入されたソケットにねじ込むことを可能にするように構成された、協働ねじを有する、ねじ込み係合(
図3A)、要素12が、導管内に摩擦嵌めするために、半径方向に拡張するように構成された遠位端12Aを有する、締まり嵌め(
図3B)、要素12の遠位端および近位端12Aおよび12Bが、係合を提供するために、導管5の各端部で半径方向外向きに広がるように構成されたアンカー要素14を有する、アンカー展開(
図3C)、要素12の遠位端12Aが膨張可能なバルーン16を有する、バルーン展開(
図3D)、および、凹入された導管5の遠位端5Aが内側に先細りであり、モジュール式能動要素の遠位端は、凹入された導管の内向きテーパー端5Aと係合するように寸法が決められた円周スロット17を有する、バネ係合(
図3Eおよび
図3F)を示す。
【0096】
図4A、4Bおよび4Cは、半径方向に拡張可能な要素3が、凹入されたソケット5と係合したときに、モジュール式能動要素12と、LAAの壁との間の電気通信を提供する、一連の半径方向の導電性要素30を含む、本発明の装置の実施形態を示す。この実施形態では、導電性要素は、メッシュカバーの内側に取り付けられ、LAAを電気的に隔離するためにモジュール式能動要素12からLAAの壁にアブレーションエネルギーを送達するためのエネルギー送達要素として使用され得る。別の実施形態では、導電性要素30は、LAAの壁のパラメータを検出するように構成されたセンサであり得る。
【0097】
図5は、ケージ3の円周周囲が、LAAの壁に、より容易に円周方向に係合するように構成されたメッシュ29の二重層を有し、ブラシ毛を含むか、ほつれさせられるか、または、一方向アンカーを組み込み得る、半径方向に拡張可能な要素の実施形態を示す。
【0098】
図6Aは、モジュール式能動要素12の遠位端が、第1の極性22の磁石を組み込み、凹入されたソケット5の周囲が、第2の極性24の磁石を組み込んで、要素12の凹入されたソケット5への挿入を容易にする、本発明の装置の実施形態を示す。
図6Bは、送達カテーテル10が、第1の極性26の、磁化されたヘッドを有し、凹入されたソケット5の周囲が、第2の極性27の磁石を組み込んで、モジュール式能動要素12の移送中に、カテーテルおよび凹入されたソケットをドッキングさせる、本発明の装置の他の実施形態を示す。
図6Cは、送達カテーテル10が、第1の極性26の、磁化されたヘッドを有し、凹入されたソケット5の周囲が、第2の極性27の磁石を組み込んで、モジュール式能動要素12の移送中に、カテーテルおよび凹入されたソケットをドッキングさせる、本発明の装置の他の実施形態を示す。この実施形態では、モジュール式能動要素12は、カテーテル10内に配置され、メッシュカバー7を穿刺するように構成された、穿刺先端を有する。
【0099】
図7は、本発明の装置の一部を形成し、膨張可能なバルーン31、および、RF電極の遠位に配置された、半径方向に拡張可能なRF電極コイル32を有する、組織アブレーションモジュール式能動要素を示す。この実施形態では、本発明の装置は、装置の使用中に、モジュール式能動要素12に取り付けられたままである、カテーテル10を含む。カテーテルおよびモジュール式能動要素は、ドッキングステーションから引き抜かれ、患者から経管的に引き抜かれるように構成される。モジュラーアクティブエレメントは、カテーテルから取り外され、経管的に左心房に送達される前に、別のモジュール式能動要素と交換され、凹入されたソケットを介してドッキングステーションに再係合され、展開され得る。
図7Aは、部分的に展開された、能動構成のモジュール式能動要素を示し、
図7Bは、収縮した送達構成のモジュール式能動要素を示す。
図7Cは、LAAに展開および固定された、モジュール式能動要素を示し、RFコイル32は、ケージ3内に展開され、組織アブレーションのためにLAA組織と接触する。
【0100】
図8Aは、同軸に取り付けられた膨張可能なバルーン41を含む、モジュール式能動要素40を示し、
図8Bは、
図8Aの線I-Iに沿った断面図であり、バルーンの膨張および収縮のための、光を提供するため、および、光学イメージングのための、要素40内のいくつかの別個の管腔を示す。
図8Cは、異なる冷凍アブレーション治療を提供するように構成された、異なるコンパートメントを有する膨張可能なバルーンを含む、モジュール式能動要素を示す。アブレーション治療は、アブレーションの適用(すなわち、遠位ゾーンおよび近位対向ゾーン)に応じて、ゾーンにおいて制御または作動され得る。
【0101】
図9は、LAA内に係合する2つの膨張可能なバルーン51、52を有する、モジュール式能動要素50を示す。一実施形態では、第1のバルーン51は、隣接するLAA組織に冷凍処置を送達し、処置領域53で組織をアブレーションするように構成され得、第2のバルーン52は、温かい流体を受けて、横隔神経の近傍の組織を加熱するように構成され得、隣接する処置領域53での冷凍処置によるアブレーションから、神経を保護する。
【0102】
図10は、要素12の近位端が、モジュール式能動要素12の凹入されたソケット5からの取り外しを可能にするために、スネア55で把持され得る、延長部54を含む、本発明の装置の一部を形成するモジュール式能動要素の実施形態を示す。
【0103】
図11は、送達カテーテル10の内部での送達構成(
図11A)と、ドッキングステーション2の凹入されたソケット5内に係合される、展開構成(
図11B)での、発明の装置の一部を形成するモジュール式能動要素の実施形態を示す。モジュール式能動要素は、バッテリー56に動作可能に接続された充電コイル55を含み、エレメントが送達カテーテルから排出されたときに外側に広がり、凹入されたソケット内にエレメントを固定するように付勢された、遠位および近位アンカーアーム57を有する。コイル55は、外部ソースから電力を受け取り、データをリモート受信機に中継するように構成される。
【0104】
図12Aから
図12Hは、本発明の装置の使用方法の一実施形態を示す。
図12Aは、ヒトの心臓の左心房のLAAに接近する送達カテーテル10Aに取り付けられた、本発明の装置を示す。
図12Bは、展開された構成の装置を示し、ドッキングステーション2が、LAAの口部に固定され、モジュール式能動要素62が、ドッキングステーションの凹入されたソケット5内に係合される。
図12Cは、心臓からの経管的引き抜きの前に、ドッキングステーションから取り外された、カテーテル10Aを示す。
図12Dは、ドッキングステーションの近位面に接近する、磁化されたヘッドを有する、引き抜きカテーテル10Bを示し、
図12Eは、カテーテルがドッキングステーションと係合され、カバーの再閉鎖可能な弁を通って突出し、モジュール式能動要素62が、ドッキングステーションの凹入されたソケットから、引き抜きカテーテル内に引き抜かれることを示す。
図12Fは、引き抜きカテーテル10Bを示し、モジュール式能動要素は、元の位置で、心臓から経管的に引き抜かれる。
図12Gは、
図12Hに示されるように、要素63を、空の凹入されたソケット5に送達する前に、ドッキングステーションに接近し、再閉鎖可能な弁を通って突出する、交換用モジュール式能動要素63を含む、交換用カテーテル10Cを示す。
【0105】
図13は、半径方向に拡張可能な、ケージ、および、凹入されたソケット(ソケットの口部が示される)を有し、静止構成(左)、および、拡張構成(右)での、凹入されたソケットを示す、本発明の装置の一部を形成するドッキングステーションの図である。これらの図は、また、いかにソケットが、隣接しているが接続されない長手方向セクションまたはセグメントを含み得、例えば、過大寸法のモジュール式能動要素が、ソケット内に進められたときに、ソケットの半径方向の拡張を可能にするかを示す。
【0106】
図14は、カバーの内面に配置され、関連するカテーテルの遠位端に設けられた電極またはワイヤを受け入れ、ワイヤを半径方向外方に、カバーの周囲に向けるように構成された、半径方向導管のネットワークを含む、カバーを有する、本発明による装置の一部を形成するドッキングステーションを示す。カバーは、ドッキングステーションが体の体管腔に配置されたときに、電極の遠位端を組織に露出させるように構成された、開口の、円周方向の配置を含む。
【0107】
図15Aおよび15Bは、半径方向に拡張可能な要素が、円周方向のブラシ部材を含むケージである、本発明の装置の実施形態を示す。ケージは、ワイヤ、例えばステンレス鋼、または、ニチノールワイヤから形成され得、ワイヤのいくつかは、中央スパインおよびスパインの半径方向外側に延びるブラシ毛の配置を有する、ブラシ部材を含み得る。
【0108】
均等物
前述の説明は、本発明の現在の好ましい実施形態を詳述している。それらの実施において、多数の修正および変形が、これらの説明を考慮して、当業者に、生じることが予想される。それらの修正および変形は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に含まれることが意図される。