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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】内部ロック構成を備えた筐体
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240513BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20240513BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H05K5/03 D
F16B5/06 B
G09F9/00 350Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021523169
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019079319
(87)【国際公開番号】W WO2020094433
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】18204297.8
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】リッター ジャスミン
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-165682(JP,U)
【文献】特表2015-534276(JP,A)
【文献】特開2012-105276(JP,A)
【文献】特開2005-042499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0375182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/03
F16B 5/06
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体部と、
第2の筐体部と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部とを係合するための内部ロック構成と、
を有し、前記内部ロック構成は、
前記第1の筐体部の内壁上の軸に沿って移動可能に構成された第1の係合部を持つ第1のロック要素と、
前記第1の筐体部の内壁上に固定的に配置された第2の係合部を持つ第2のロック要素と、
前記第2の筐体部の内壁上に配置された第3の係合部を持つ第3のロック要素と、
を有し、前記第1の係合部は、前記第1の係合部及び前記第2の係合部により形成された閉塞空間において前記第1の係合部と前記第2の係合部との間に前記第3の係合部がロックされた係合状態と、前記第3の係合部がロックされていない非係合状態と、の間で移動可能となるよう構成される、筐体。
【請求項2】
前記筐体は、複数の内部ロック構成を有する、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記第3の係合部は、前記第2の筐体部の内壁に固定的に配置される、請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項4】
前記第2の係合部は、対応するオス型貫通部として構成された前記第1の係合部を受容するためのメス型受容部として構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1の係合部は、棒、先端、円筒、スパイク又はピンの形状を持ち、前記第2の係合部は、ラグ、凹部、溝又はボアの形状を持つ、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記第1の係合部が沿って移動可能な軸は、前記第1のロック要素の長軸に平行であるか、又は前記第1のロック要素の長軸に対して45°以下の角度だけ傾斜している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記第1のロック要素は、第1の装着要素を有し、前記第2のロック要素は、第2の装着要素を有し、前記第3の係合部は、前記第1の係合部によって前記第3の係合部の上面をカバーすることにより前記第3の係合部にロックすることを可能とする前記第2の筐体部の内壁における位置に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項8】
前記第1の係合部は、前記第1の装着要素に固定的に配置されるか、又は前記第1の装着要素と一体的に形成される、請求項7に記載の筐体。
【請求項9】
前記第1の係合部は、前記第1の装着要素の前面に略垂直に配置される、請求項8に記載の筐体。
【請求項10】
前記第1の装着要素の前面、前記第1の係合部の下面、及び前記第2の装着要素の前面は、閉塞空間を閉じ、前記第3の係合部は、前記閉塞空間内において前記係合状態でロックされる、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項11】
前記第3の係合部は、フック、棒、先端、ピン又はスパイクの形状を持ち、前記閉塞空間に嵌合する、請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
前記第2の係合部の内面と、前記第3の係合部の上面と、が、前記係合状態における前記第1の係合部の動きを制限する、請求項11に記載の筐体。
【請求項13】
前記第1の筐体部及び/又は前記第2の筐体部の開口、特に冷却スリットからアクセス可能である内部可動開口具を更に有し、前記内部可動開口具は、前記内部可動開口具の動きによって前記係合状態及び前記非係合状態へと前記第1の係合部を動かすため、前記第1のロック要素の第1の装着要素にロックするための、第1の装着要素及び第2の装着要素を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項14】
前記内部可動開口具は、第1の装着要素及び第2の装着要素を有し、前記第1の装着要素と前記第2の装着要素との間の空間は、前記内部可動開口具の動きによって前記係合状態と前記非係合状態との間で前記第1の係合部を切り換えることを可能とするよう前記第1の装着要素にロックするよう構成される、請求項13に記載の筐体。
【請求項15】
ディスプレイと、前記ディスプレイを収容するための請求項1に記載の筐体と、を有する、特に患者モニタ装置のような、モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部ロック構成を備えた筐体に関する。内部ロック構成は、異なるサイズ及びタイプの様々な筐体に適用される。特に関心となるのは、筐体部品がしっかりとロックされるべきであり、外側シェルが穴又は隆起なしに滑らかである、電子装置及び表示装置のための筐体である。
【背景技術】
【0002】
筐体は、敏感で脆弱な電気部品、又は内部に保管される任意の種類の装置を保護するために、様々な実施例で存在する。これらの筐体は、筐体の閉状態でロックされることを意図した少なくとも2つの筐体部品を有する。ロック構造は、筐体が閉じられている係合状態において、種々の筐体部品が脱落することを防止しなければならない。従って、信頼性のあるロック機構が必要とされる。しかしながら、例えば封入された装置の個々の構成要素の修理又は置換のために、筐体の単純な開口が、筐体の内側部分に容易にアクセスすることも可能とするべきである。
【0003】
多くのロック構造は、ねじを使用しており、このねじは、装置を適切な工具、即ち、ねじ回しを用いて容易に組み立て又は分解することができるという利点を有する。ねじを使用する1つの欠点は、ロックがしばしば異なる筐体部品の不均一な固定をもたらすことである。従って、液体及び流体の入口点が生じる可能性がある。更に、各ロッキング素子を自身で緩めたり締めたりしなければならないので、組立及び分解プロセスはむしろ時間がかかる。このようなロック構造の別の重大な欠点は、ロック要素が筐体の外側からアクセス可能でなければならないことである。このことは、筐体の外側シェル上に見えるロック要素を有することによって解決することができ、これは多くの筐体にとって満足できる方法である。しかしながら、いくつかの特定の装置の筐体は、多様な要件を満たさなければならない。簡単な組み立て工程及び確実なロック機構に加えて、水密であり、筐体の外側シェルは滑らかでなければならない。筐体の外殻に穴や膨らみがないことも望ましい。このことは、流体及び液体と接触している筐体にとって特に重要である。滑らかなシェルは、簡単な洗浄プロセスを可能にし、非常に衛生的であり、液体のための可能な入口点を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の筐体は、オスとメスの部分を備えたスナップフィット機構に基づく内部ロック構成を含み、そこでこれらの相互ロック要素が一緒に押し込まれる。他の組立技術と比較して、それらは特に速度の利点を有する。しかしながら、工具を用いて相互ロック要素を外側から解放することは、それほど簡単ではなく、筐体の損傷に容易につながる可能性がある。
【0005】
米国特許出願公開US2015/0277487A1は、内部ロック機構を備えた筐体を開示しており、この筐体は、1つの動作によって、第1及び第2の係合部を係合又は係合解除することができる。しかしながら、柔軟で、省スペースで、機械的に簡単な手順で、信頼性のある方法で筐体部品を相互ロックする必要性が残っている。
【0006】
米国特許US9072163B2は、携帯電子装置のための筐体アセンブリを開示しており、それは、第1の本体、第2の本体、第1の係合部材、第1の弾性部材、及び第1の筐体を含む。
【0007】
中国特許出願公開CN104184849Aは、1つの第1の筐体部及び1つの第2の筐体部を有する筐体を開示しており、これらの筐体は、内部ロック構成によって確実にロックされている。ロック構成は、筐体の種々のタイプ及びサイズ、特に電子装置及び表示装置の筐体に適している。
【0008】
米国特許US9063696B2には、固定機構が開示されており、この固定機構は、第1の係合部と、ベースと、第1ラッチと、弾性部品とを含んでいる。
【0009】
米国特許出願公開US2006/016675A1は、電子機器の制御ボタンのための支持装置及び該装置を適用する電子機器を開示している。
【0010】
本発明の目的は、簡単に組み立て、分解することができ、孔又は膨らみのない筐体の滑らかなシェルを提供する、少なくとも2つの筐体部品を備える筐体を提供することである。筐体の内部ロック機構は、省スペースであり且つ隠されているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様においては、
第1の筐体部と、
第2の筐体部と、
前記第1の筐体部と前記第2の筐体部とを係合するための内部ロック構成と、
を有し、前記内部ロック構成は、
前記第1の筐体部の内壁上の軸に沿って移動可能に構成された第1の係合部を持つ第1の係合要素と、
前記第1の筐体部の内壁上に配置された第2の係合部を持つ第2のロック要素と、
前記第2の係合部の内壁上に配置された第3の係合部を持つ第3のロック要素と、
を有し、前記第1の係合部は、前記第1の係合部及び前記第2の係合部により形成された閉塞空間において前記第1の係合部と前記第2の係合部との間に前記第3の係合部がロックされた係合状態と、前記第3の係合部がロックされていない非係合状態と、の間で移動可能となるよう構成された、筐体が提示される。
【0012】
本発明の更なる態様においては、情報を提示するためのディスプレイと、ここで開示される筐体とを有する、特に医療用途に関連のある、モニタ装置が提示される。
【0013】
本発明の好適な実施例は、従属請求項に定義される。
【0014】
本発明は、第1の筐体部と及び第2の筐体部とを係合するための、信頼性が高く省スペースの内部ロック構成を備えた、表示装置用の医療分野で使用され得る筐体を得るという着想に基づいている。係合部は、単一の係合部にアクセスすることなく、ただ1回の単純な作動によって、係合状態又は非係合状態にすることができる。係合状態では両筐体部は互いに連動し、一方、非係合状態では両筐体部は離脱状態にある。筐体部品の相互ロックは、第1の係合部の前方及び後方への一方向の動きと、第3係合部の更なる存在とによって解決される。第3の係合部は、係合状態において、第1及び第2の係合部によってロックされる。該ロックは、第3の係合部が、第1の係合部と第2の係合部との間に配置され、好適にはクランプされるか又は捕捉され、第1の係合部と第2の係合部とに接触しているものと理解されるべきである。筐体の開く力は、第1のロック部の移動方向と直交し、即ち機構が単独で確実にロックされる。
【0015】
第1、第2及び第3のロック部は、それぞれ第1、第2及び第3のロック要素上に配置される。第1及び第2のロック要素は順に第1の筐体部の内壁に配置され、第3のロック要素は第2の筐体部の内壁に配置される。従って、係合部にアクセスするための筐体の開口部は必要とされず、筐体の外側は、穴又は膨らみなしに滑らかである。ロック構造のどの部分も外側から見えないことに留意されたい。このことは、筐体が、例えば医療分野においてそうであるように、定期的な洗浄プロセスを受ける場合に特に有益である。
【0016】
一実施例によれば、筐体は、複数の内部ロック機構を有する。1つの内部ロック構成だけでは、第1及び第2の筐体部の間の隙間に水密筐体を有するのに十分ではない場合がある。内部ロック機構は、第1のロック要素の長さ並びに係合部の数において可変であるので、筐体は、筐体の種々のタイプ及びサイズに適したものとすることができる。ロック構成は可変であり、筐体の全周にわたって使用することができる。更に、この省空間配置は、非常にコンパクトな方法で実現することができ、係合及び係合解除のためにあまり空間を必要としない。
【0017】
筐体の別の実施例によれば、第1の係合部のみが軸に沿って移動可能である。他の2つの係合部、即ち第2の係合部及び第3係合部は、対応する筐体の内壁に固定配置されている。第2のロック部は第1の筐体部の内壁に固定配置され、第3のロック部は第2の筐体部に固定配置される。従って、係合状態と非係合状態との間を切り換えるためには、第1の係合部を軸に沿って移動させる必要があるのみとなり、このことは機械的に簡単な手順である。
【0018】
筐体の別の実施例によれば、第2の係合部は、メス型受容部として構成される。従って、第2の係合部は、オス型貫通部分として構成された第1の係合部の形状に対応する特定の形状を有する任意の種類の開口部を有する。第1の係合部は、一方向の動きにより係合状態で第2の係合部に進入する。
【0019】
好適には、第1の係合部の形状は、第2の係合部の形状に対応し、棒、先端、シリンダ、スパイク、又はピンの形状を持つことによって更に具体化される。第2の係合部は、ラグ、凹部、溝又はボアの好ましい形状を有する対応するメス型受容部として構成される。
【0020】
筐体の別の実施例によれば、1つの軸に沿った第1の係合部の動きは、第1のロック要素の長軸に平行であっても良く、又は第1のロック要素の長軸に対して傾斜していても良い。45°までの角度が実施可能であり得、第2の係合部は、依然としてメス型受容部を形成している。従って、第2のロック部は第1のロック要素の長軸線に対して同等に傾斜する。
【0021】
筐体の別の実施例によれば、第1のロック要素は第1の装着要素を有し、第2のロック要素は第2の装着要素を有し、第3のロック部分は第2の筐体部の内壁上の位置に配置され、第3のロック部分の上面を第1のロック部分で覆うことによって第3のロック部分をロックすることを可能にする。
【0022】
筐体の本実施例によれば、第1のロック部は第1の装着要素上に固定配置されるか、第1の装着要素と一体に形成されるので、直接移動可能な構成にはなっていない。
次に、装着要素は、第1のロック要素上に固定的に配置されるか、又は第1のロック要素と一体的に形成される。従って、第1のロック要素の動きは、係合状態と非係合状態とを切り換えるように構成される。
【0023】
前記第1のロック部は、前記第1の装着要素の前面に対して略垂直に配置されていることが好ましい。従って、第1装着要素の前面は、第1装着要素の下面と、第2の装着要素の前面とが、3次元封入空間を囲むように構成され、そこで、第3係合部が係合状態でロックされる。該ロックは、第3の係合部の表面が、第1の装着要素の前面、第1の係合部の下面、及び第2の装着要素の前面と接触するものと理解されるべきである。
これにより、閉塞空間が第3係合部によって完全に満たされる。
【0024】
好適には、該閉塞空間を満たす第3係合部は、フック、棒、先端、ピン又はスパイクの形状を有する。
【0025】
また、第2のロック部の内面を第3のロック部の上面とするとともに、第1のロック部の移動方向と直交するロック状態における第1のロック部の移動を制限する。前記第2のロック部の内面並びに前記第3のロック部の上面は、前記ロック状態において前記第1のロック部と接触している。従って、ロック構成は、それ自体で確実にロックされる。
【0026】
別の実施例によれば、筐体は、第1の係合部を手動で係合状態又は非係合状態に移動させるように構成された内部開口具を更に備える。内部開口具は、筐体内に隠すことができるが、冷却スリットなどの筐体の特定の(既存の又は別個に設けられた)開口部からアクセス可能であるように配置することもできる。
【0027】
好適には、この内部開口具は、第1の装着要素及び第2の装着要素を有し、第1の装着要素と第2の装着要素との間の空間は、内部開口具の手動の動きによって、係合状態と非係合状態とを切り換えるために、第1の装着要素をトラップするように構成される。
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】閉状態にある本発明による筐体の好適な実施例の斜視図を示す。
図2図1に示された筐体の断面図を示す。
図3】開状態における図1に示された筐体の斜視図を示す。
図4】係合状態における内部ロック構成の実施例の拡大図を示す。
図5】非係合状態における図4に示された内部ロック構成の拡大図を示す。
図6図4に示された内部ロック構成及び内部開口具の斜視図を示す。
図7】係合状態における図4に示された内部ロック構成の他の斜視図を示す。
図8】係合状態における図4に示された内部ロック構成の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、閉状態にある本発明による筐体10の一実施例の斜視図を示す。図2は、筐体10の前記実施例の対応する断面図を示す。筐体10は、第1の筐体部12と第2の筐体部14とを備え、閉じた状態で示されており、筐体部12、14は互いに接合されている。筐体10は、プラスチック及び/又は金属で作られ、表示又はモニタを収容するように構成されても良いが、筐体は、他の構成要素を収容するために使用されても良い。本実施例においては、筐体10は例えば、患者関連データを表示するための患者モニタのディスプレイを収容するための開口部80を有する。
【0031】
筐体部12、14は、1つ又は複数の内部ロック構成20によってともに接合される。一般に、単一の内部ロック構成で十分であるが、筐体の閉鎖の安定性及び安全性を改善するために、筐体の円周の周りに複数の内部ロックが設けられることが好ましい。ロック構成20の好ましい位置は、最適化された力の分配を提供するために、第1の筐体部12及び第2の筐体部14の境界に近く、第1の筐体部12の内壁16及び第2の筐体部14の内壁18に近い。しかしながら、他の配置及び位置も可能である。
【0032】
内部ロック構成20は、第1の筐体部12の内壁16上に部分的に配置され、第2の筐体部14の内壁18上に部分的に配置されている。図1及び図2において、内部ロック構成20は、第1の筐体部12と第2の筐体部14との接合状態を提供する係合状態にある。この状態では、筐体10の偶発的な開放は不可能であるか、又は少なくとも起こりそうもない。内部ロック構成20を離脱状態に切り換えるだけで、続いて第2の筐体部14を第1の筐体部12から離間させることで第1の筐体部12と第2の筐体部14とを離間させることが可能となる。好適には、全てのロック構成が連動するので、係合状態と非係合状態とを切り換えるためには、一つの動作しか必要としない。
【0033】
第1の筐体部12と第2の筐体部14とは、筐体10が開状態にある図3において、分離状態で示されている。ここに示されるように、内部ロック構成20は、第1の筐体部12上(好適には内壁16上)に配置される第1のロック要素30と、第2のロック要素40と、第2の筐体部14上(好適には内壁18上)に配置される第3のロック要素50と、を有する。筐体の開放を可能にするために、内部開放工具100が設けられている。ロック要素30、40、50及び内部開放工具100の構造及び機能の詳細は、図4乃至8を参照して以下に説明される。
【0034】
図4は、第1の筐体部12と第2の筐体部14とが接合された状態にある、ロック状態にある内部ロック構成20の一実施例の拡大図を示す。図5は、第1の筐体部12と第2の筐体部14とが離脱した状態の前記内部ロック装置20を拡大して示す。図6は、前記内部ロック構成20及び内部開口具100の斜視図を示す。内部開口具100を有さず、かつ両方の筐体部品を有する前記内部ロック構成20の別の斜視図が図7に示されている。図8は、ロック状態にある内部ロック構成20の断面図を示す。
【0035】
第1のロック要素30は、第1の筐体部12上に配置されている。本実施例においては、第1のロック要素30は、第1のロック部32を備え、これは第1の装着要素34上に固定配置される。本実施例では、第1のロック部32は、第1の装着素子34と一体に形成されている。第1の装着要素34は、本実施例では、滑動要素35上に一体に形成され、好適には立設部としている。滑動要素35は、複数の第1のロック要素30を接続するように構成することができる。即ち、滑動要素35は、第1の筐体部品12の同じ縁部に沿って配置された複数の第1のロック要素30に共通である。
【0036】
第1のロック要素30は、第1の筐体部12の内壁16上の軸70に沿って移動可能に配置され、この軸70に沿って前方及び後方に移動可能に構成される。好適には、滑動要素35は、第1の筐体部12の内壁16に固定されるか、又は第1の筐体部12の内壁16に沿って直接スライドするように構成されるトラック又はガイドレール75に沿ってスライドするように構成されるスライド又はキャリッジのように構成される。
軸70は、第1のロック要素30の長軸線と平行に配置されることが好ましい。
【0037】
第2のロック要素40は、第1の筐体部12の内壁16上に固定的に配置され、ロック工程において第1のロック要素30のためのアタッチメントとして、及び第1のロック要素30のための対応する対応するものとして機能する。第2のロック要素40は、第2の装着要素44を有し、第2の係合部42は、特定の実施例において第2の装着要素44と一体的に形成される。第2の装着要素44は、第2のロック要素40の長軸線に対して垂直に配向され、第2の係合部42を表す開口を含んでいる。
【0038】
第3のロック要素50は、第2の筐体14の内壁18に固定配置されている。筐体10の接合状態において第1の係合部32の長軸線(移動軸線70と平行であることが好ましい)と直交する方向に配向されていることが好ましい第3の係合部52を有する。第2筐体部14の内壁18は、第1の筐体部12の内壁16に対して垂直に配向されていることが好ましい。
【0039】
特に図7に示すように、滑動要素35は基本的には滑動ゲートのように機能し、第2のロック要素40が配置された長手方向の例えばU字形の空洞37を有する。第2のロック要素40は、ねじ49によって第1の筐体部の内壁16に固定的に取り付けられている。従って、第2のロック要素40は、第1のロック要素30の軸70に沿った動きを制限することなく、第1の筐体部品12の内壁16に向かって滑動要素35、従って第1のロック要素30全体を保持する。換言すれば、第1のロック要素30は、第2のロック要素40によって第1の筐体部12の内壁16に向かって間接的にクランプされる。
【0040】
第1のロック要素30の動きにより、ロック構成20の係合状態と非係合状態とを切り換えることができる。従って、機械的に簡単な手順により、第1の筐体部12と第2の筐体部14とを確実に接合することができる。これにより、内部開口具100は、筐体の外側から、即ち、第1の筐体部12又は第2の筐体部14内の任意の種類のスリット又は開口部によってアクセス可能であり得、第1のロック要素30を移動させるように構成される。
【0041】
前記内部開口具100は、特に図6に示されている。本実施例においては、筐体10の滑らかな外側シェルを可能にするように、筐体内に隠すことができる。このことは、通常の洗浄プロセスが重要である医療用途の分野で使用される筐体にとって特に興味深い。内部開口具100は、歯車機構又はレバーであっても良い。固定歯車装置は例えば、筐体部品の1つに設けられた内部開口具100の開口部101を通るねじによる内部開口具100の固定配置に起因し、浮動歯車装置は、第1の装着要素34内でロックすることによって第1のロック要素30を移動させるように構成された、第1の装着要素102及び第2の装着要素104に起因する。固定軸受の位置、レバーの長さ又は第1のロック要素30上の浮動装置の位置を変化させることによって、ハンドリング位置の自由な再配置が可能であり、力を調節することができる。同様に、レバーの長さを変化させることによって、第1のロック要素30と内部開口具100との間の浮動軸受の位置、固定軸受の位置及び内部開口具100の幾何学的形状が、ハンドリングの位置を選択することを可能とし、斯くして筐体の現在の内部設計に適合させる。
【0042】
この特定の実施例においては、内部開口具100は、指のように構成された第1の装着要素102及び第2の装着要素104を有する。第1の装着要素102と第2の装着要素104との間の空間106は、第1の装着要素34内でロックするように構成される。これにより、第1のロック要素30をロック状態(図4に示す)と非係合状態(図5に示す)との間で移動させることができる。
【0043】
図4乃至図8に示すように、第1の係合部32は、棒状、先端状、円筒、スパイク状、ピン状の形状を有し、対応するメス型受容部を構成する第2の係合部42のオス型貫通部として構成されている。これにより、第2の係合部42は、ラグ、凹部、溝又はボアの形状を持ち、係合状態にある第1の係合部32を包囲する(図4及び図8参照)。第1の係合部32の先端は、係合工程において第2の係合部42と完全に交差し、第2の装着要素44の裏側47に見えるようになる。係合状態から非係合状態まで、第1のロック要素30は数ミリメートル移動しなければならないが、機構は全体として、数センチメートルの距離にわたってロックされた筐体10を実現し、そこから、第1の係合部32、第2の係合部42、及び第3の係合部52の次の組合せを適用することができる。互いに結合されるものであっても良いし又は別個の構成要素であっても良い複数の内部開口具100を持つことによって、第1のロック要素30の僅かな動きが、筐体10の様々な側面の閉じ機構をもたらすことができる。従って、第1の筐体部12及び第2の筐体部14は、単軸70に沿った1回の作動により、単純に且つ高速に組み立てることができる。
【0044】
なお、図4乃至図8に示す実施例においては、第1の係合部32及び第2の係合部42は、それぞれオス型貫通部及びメス型受容部として構成されている。しかし、本発明は、そのような例示的な実施例に限定されない。一般に、第1の係合部32の形状及び第2の係合部42の形状は、特にこれらの部分がオス型貫通部及びメス型受信部を形成しないように、異なるように構成されても良い。第1の係合部32は、例えばピンであっても良いが、第2の係合部42は、例えば、図4乃至図8に示すようなラグ又はボアである代わりに、第2の装着要素44と一体に形成された別のピンであっても良い。上記実施例によれば、第1の係合部32は、係合状態のラグやボアを貫通する代わりに、第2の係合部42(図4乃至図8には図示せず)に接触しても良い。また、本実施例は、第1のロック部32と第2のロック部42との間に第3のロック部52をロックするように構成されているので、隠された省スペースのロック機構も提供する。
【0045】
図4は、第3の係合部52が、第3の係合部52の上面58を第1の係合部32で覆うことによってロックされることを示す。特定の実施例では、第3の係合部52は、第2の装着要素44の方を向く第1の装着要素34の前面36と、第1の装着要素34の前面36の方を向く第2の装着要素44の前面46との間に配置される。これにより、第2の筐体部14の内壁18における第3のロック部52の位置が、第3のロック部52がロック状態にロックされるように予め定められる。
【0046】
更に、本実施例においては、第1のロック部32が第1の装着要素の前面36に対して略垂直に配置されている。従って、第3の係合部52は、第1の装着要素34の前面36と第2の装着要素44の前面46との間にロックされるだけでなく、第1の係合部32の下面38の表面にもロックされる。その場合、第1のロック部32の動きは、第1のロック要素30の動き方向と直交する方向に確実にロックされ、従って、内部ロック構成20は、一定の自己ロック機構を呈する。具体的には、第2の係合部42の内面48及び第3係合部52の上面58は、図8に示すように、第1の係合部32の係合状態における移動を制限する。図8は更に、ねじ49が、第1の筐体部品12上に配置された接続要素90に第2の取り付け要素40を取り付けることを明らかにしている。これにより、ねじ49が強固に締め付けられた状態では第2のロック要素40の位置が予め定められ、第2のロック要素40の動きが不可能となる。
【0047】
ロック状態は、第1のロック要素30を移動軸70に沿って後方に移動させることによって解除される。図5は、第3のロック部52が、係合状態において第1の装着要素34、第2の装着要素44及び第3のロック部52によって囲まれた閉塞空間60内に配置されることを示している。第1の筐体部12と第2の筐体部14とはロック構成20の離脱状態で容易に離脱することができる。
【0048】
第1の係合部32及び第2の係合部42は、ここに記載の実施例とは異なる他の形態をとっても良いことに留意されたい。好適には、第2の係合部42の形状は、第2の係合部42が、オス型貫通部分を形成している第1の係合部32のためのメス型受容部を形成することを可能にする。また、第3の係合部52は、他の方法で形成されても良い。好適には、この第3の係合部52は、閉塞空間60に嵌合するように形成されている。
【0049】
本発明によれば、筐体を開閉する機構が筐体の内部で実現でき、外部から隠され、最小限の設置スペースで、且つ操作するためのハンドリング位置から独立している。原則として、ロック機構は、あらゆるタイプの筐体に適用することができる。この例には、金属又はプラスチックの筐体を有する電子装置用の筐体が含まれる。この機構は、例えば滑動要素の長さ及び係合部の量において、寸法が可変であるので、種々のタイプ及びサイズの筐体に適したものとすることができる。
【0050】
本発明は図面及び以上の記述において説明され記載されたが、斯かる説明及び記載は説明するもの又は例示的なものであって限定するものではないとみなされるべきであり、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。図面、説明及び添付される請求項を読むことにより、請求される本発明を実施化する当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され実行され得る。
【0051】
請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【0052】
請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8