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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】拡散反射器および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/12 20060101AFI20240513BHJP
   C03C 25/285 20180101ALI20240513BHJP
   C03C 25/6226 20180101ALI20240513BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20240513BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
C03C25/12
C03C25/285
C03C25/6226
C08L33/02
G02B6/44 301A
G02B6/44 301B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021532856
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019064116
(87)【国際公開番号】W WO2020123190
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】62/779,925
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ログノフ,ステファン ルヴォヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヘムステッド,マーティン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-35050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0115498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C25/00-25/70
C03B37/10-37/16
G02B6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物の硬化装置において、
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物を囲み、第1の開口部を有する第1の端部から第2の開口部を有する第2の端部まで延伸する側壁部を有する空洞部を画定する拡散反射器であって、前記ガラスファイバが、前記空洞部を前記第1の開口部から前記第2の開口部へと通り抜け、前記側壁部は、該ガラスファイバ上に配置された前記被膜組成物に対向し散乱材料を含む内面を有するものである拡散反射器と、
前記拡散反射器と一体に構成され、光を前記散乱材料に向けるように構成された光源と
を含み、
前記散乱材料は、前記光の少なくとも90%を拡散反射するように構成され、該拡散反射された光は、前記被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものであり、
前記散乱材料は、0.8g/cm ~1.8g/cm の範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである装置。
【請求項2】
前記光は、300nm~400nmの範囲の波長を有するUV光である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源は、発光ダイオードを含むものである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記空洞部は、1インチ(約2.54cm)以下の直径を有する円筒として構成されたものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記空洞部は、前記側壁部に開口部を有する環として構成されたものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
ガラスファイバ上の被膜組成物の硬化方法において、
ガラスファイバを、開口部を通って、拡散反射器の空洞部に向ける工程であって、前記ガラスファイバは、その上に配置された被膜組成物を有し、前記空洞部は、散乱材料を含む内面を有するものである工程と、
光を前記被膜組成物に向ける工程であって、前記向ける工程は、前記光を前記散乱材料から拡散反射する工程を含み、該散乱材料は、該光の波長において少なくとも90%の拡散反射率を有し、該拡散反射された光は、該被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである工程と
を含み、
前記空洞部は、0.8g/cm ~1.8g/cm の範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである方法。
【請求項7】
前記ガラスファイバは、少なくとも40m/sの速度で、前記開口部を通って向けられるものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被膜組成物は、アクリル酸化合物を含むものである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記光の前記波長は、200nm~400nmの範囲である、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2018年12月14日出願の米国仮特許出願第62/779,925号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、拡散反射装置に関し、特に、ガラスファイバ被膜を硬化するための拡散反射装置および拡散反射装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスファイバを線引きする時に、ポリマー被膜をガラスファイバに加える。初期の線引きタワーでは、ポリマー被膜の硬化は、ガラスファイバの表面上に配置された液体被膜組成物を加熱することによって実現された。この20年間、強い紫外線光源を用いて被膜組成物を硬化して、ポリマー被膜をガラスファイバ上に形成してきた。最近まで、これらの光源は、マイクロ波エネルギーによって励起された水銀プラズマランプであることが多かったが、紫外線発光ダイオードが使われることが多くなっている。発光ダイオードは、直接的には、駆動電力の削減を通して、間接的には、水銀プラズマランプで必要とされる冷却空気流の必要性を削減または、なくすことによって、小型化および省エネルギー化の両方を提供する。
【0004】
線引き中にガラスファイバ上の被膜組成物を硬化する現在のシステムは、典型的には、楕円状円筒の形状を有する鏡面合焦ミラーを用いて、高い強度のゾーンを、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物の表面で生成する。硬化機構としての鏡面反射は、光源から出射された光の強度の大部分が光ファイバから反射されて、被膜組成物によって吸収されないので、不十分である。鏡面反射は、方位角方向に強度が大きく変化する光場も生成して、被膜組成物の表面で確実に最大光強度を得るようにガラスファイバを光源に対して配置する際の許容度を厳しくする。ガラスファイバが光源と良く位置合わせされた場合でも、被膜組成物の周囲で方位角方向に光強度が変化するままであり、硬化程度が非均一になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバの製造で用いられる線引き処理中にガラスファイバ上に配置された被膜組成物の硬化を行うために、ランプおよび発光ダイオードからの光を効率的に結合する機構を改良する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、光源からの光を、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物に光を向ける拡散反射器を提供する。拡散反射器は、光源からの光を散乱させる面を有する側壁部を含み、光を被膜組成物に向ける。光源からの光を被膜組成物に結合する主な機構は、拡散反射である。拡散反射は鏡面反射と比べて、光結合効率を高めること、被膜組成物を避けた光を被膜組成物に戻るように再度方向付けて、光を再利用すること、被膜組成物の表面での光の強度を高めること、光源の数および/または出力を削減すること、並びに、光源の冷却負荷を削減することを含む多数の利点を提供する。
【0007】
本開示の1つ以上の態様において、拡散反射装置は、側壁部を含む反射器本体、および、側壁部の両端部の間に延伸する空洞部を含み、反射器本体は、空洞部を画定し紫外線波長範囲において0.97以上の反射率を有する拡散反射内面を含む。
【0008】
本開示の1つ以上の態様において、拡散反射装置の形成方法は、反射器本体を、反射器本体が0.8g/cmから1.8g/cmの密度を有するように、溶融シリカスートを用いて、形成する工程と、反射器本体の一方の端部から反射器本体の他方の端部への空洞部を形成する工程とを含み、空洞部は、反射器本体の紫外線波長範囲において0.99以上の反射率を有する拡散反射内面によって画定されるものである。
【0009】
本開示の1つ以上の態様において、光ファイバを、紫外線硬化性ポリマーを含む光ファイバ被膜を用いて被膜する方法は、光ファイバを光ファイバ被膜を用いて被覆する工程と、光ファイバ被膜を有する光ファイバを、拡散反射装置の空洞部に送出する工程であって、拡散反射装置は、側壁部を含む反射器本体、および、側壁部の両端部の間に延伸する空洞部を含み、反射器本体は、空洞部を画定し紫外線波長範囲において0.97以上の反射率を有する拡散反射内面を含むものである工程と、光ファイバ被膜を、空洞部に送られた紫外線を用いて硬化する工程とを含む。
【0010】
本開示は、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物を硬化する装置において、
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物を囲み、第1の開口部を有する第1の端部から第2の開口部を有する第2の端部に延伸する側壁部を有する空洞部を画定する拡散反射器であって、ガラスファイバが、空洞部を、第1の開口部から第2の開口部へと通り抜け、側壁部は、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物に対向し散乱材料を含む内面を有するものである拡散反射器と、
拡散反射器と一体に構成され、光を散乱材料に向けるように構成された光源と
を含み、散乱材料は、光の少なくとも90%を拡散反射するように構成され、拡散反射された光は、被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである装置を網羅する。
【0011】
本開示は、ガラスファイバ上の被膜組成物の硬化方法において、
ガラスファイバを、開口部を通って、拡散反射器の空洞部に向ける工程であって、ガラスファイバは、その上に配置された被膜組成物を有し、空洞部は、散乱材料を含む内面を有するものである工程と、
光を被膜組成物に向ける工程であって、向ける工程は、光を散乱材料から拡散反射する工程を含み、散乱材料は、光の波長において少なくとも90%の拡散反射率を有し、拡散反射された光は、被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである工程と
を含む方法を網羅する。
【0012】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が、様々な実施形態を記載し、請求した主題の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると、理解すべきである。添付の図面は、様々な実施形態の更なる理解のために含められ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を示し、記載と共に、請求した主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による溶融シリカスートから形成され光ファイバ被膜を硬化する拡散反射器を、概略的に示す断面図である。
図1A】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による端部キャップ部を含む図1の拡散反射器の断面図である。
図1B】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による拡散反射器の断面図である。
図1C】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による拡散反射器の断面図である。
図1D】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による拡散反射器の断面図である。
図2】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による溶融シリカスート材料から形成された拡散反射器の反射率を示すチャートである。
図3】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による0.88g/cmと1.6g/cmの間の密度を有する溶融シリカスートから形成された拡散反射器の散乱強度のチャートである。
図4】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による溶融シリカスートから形成された反射器本体を概略的に示す図である。
図5】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による図4の反射器本体に送られた光の試験条件下でのパルス持続時間を示すチャートである。
図6】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態によるスート表面積を、均一なサイズの丸い粒子からなるスートについて、粒子半径の関数として示すチャートである。
図7】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による光ファイバ被膜を含む光ファイバを、形成、被膜、拡散反射装置を用いて硬化する方法およびシステムを示す。
図8】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による図7の方法のための拡散反射装置の断面図を示す。
図9】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による溶融シリカスートから形成され光ファイバ被膜を硬化する他の拡散反射装置を、概略的に示す断面図である。
図10】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態によるランプの出射面におけるランプ表面の反射率を示すチャートである。
図11】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による溶融シリカスートから形成された拡散反射装置を用いた試験条件下での光強度測定値を示す。
図12】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による市販の反射器を用いた試験条件下での光強度測定値を示す。
図13】本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による図9の拡散反射装置と共に用いる反射板を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、拡散反射装置、および、拡散反射装置の使用方法の実施形態を詳細に記載する。全図を通して、同じ、または、類似の部分を称するには、可能な限り同じ参照番号を用いるものとする。
【0015】
本明細書および添付の請求項において、以下の意味を有すると定義される多数の用語を用いている。
【0016】
「含む」、「含み」、「含んで」、または、類似の用語は、包含するが、限定するものではないこと、つまり、包含するが、排他的ではないことを意味する。
【0017】
本明細書で用いるような方向を表す用語、例えば、上、下、右、左、前、後、最上部、底部は、示した図面、および、図中の座標軸についての記載にすぎず、絶対的向きを意味することを意図しない。
【0018】
別段の記載がない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、工程が特定の順序で行われることを要するとも、いずれの装置も、特定の向きであることを要すると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の行われる順序を実際に記載しないか、または、いずれの装置の請求項も、個々の構成要素の順序も向きも実際に記載しないか、若しくは、そうではなく、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されるとも、装置の構成要素の具体的な順序も向きも記載しない場合には、いかなる点でも、順序も向きも推測されることを全く意図しない。このことは、記載がないことに基づく、いずれの解釈にも当てはまり、そのような解釈は、工程の配列についての論理的事項、動作フロー、構成要素の順序、または、構成要素の向き、文法構造または句読点に由来する単なる意味、並びに、明細書に記載された実施形態の数または種類を含む。
【0019】
本明細書において用いるように、原文の英語で単数を表す不定冠詞および定冠詞は、文脈から、そうでないことが明らかでない限りは、複数のものを含む。したがって、例えば、不定冠詞を付けた構成要素は、文脈から、そうでないことが明らかでない限りは、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0020】
「光ファイバ」は、被膜によって囲まれたガラス部分を有する導波路を称する。ガラス部分は、コアおよびクラッデイングを含み、本明細書において、「ガラスファイバ」と称する。
【0021】
「紫外線」または「UV」は、200nm~400nmの範囲の波長を称する。
【0022】
光ファイバ線引き処理
連続した光ファイバ製造処理において、ガラスファイバは、加熱されたプリフォームから引き出され、目標直径(典型的には、125μm)の大きさにされる。次に、ガラスファイバは、冷却されて、液状の第1の被膜組成物をガラスファイバに塗布する被覆システムに向けられる。液状の第1の被膜組成物をガラスファイバに塗布した後に、2つの処理選択肢が可能である。1つの処理選択肢(ウエットオンドライ処理)において、液状の第1の被膜組成物は硬化されて、固化された第1の被膜を形成し、液状の第2の被膜組成物が硬化された第1の被膜に塗布されて、更に、液状の第2の被膜組成物が硬化されて、固化された第2の被膜を形成する。第2の処理選択肢(ウエットオンウエット処理)において、液状の第2の被膜組成物が液状の第1の被膜組成物に塗布されて、更に、両方の液状の被膜組成物が同時に硬化されて、固化された第1および第2の被膜を提供する。ファイバが被覆システムから出た後に、ファイバは収集されて、室温で保存される。ファイバの収集は、典型的には、ファイバをスプールに巻き取り、スプールを保存する処理を伴う。
【0023】
いくつかの処理において、被覆システムは、更に、第3の被膜組成物を第2の被膜に塗布し、第3の被膜組成物を硬化して、固化された第3の被膜を形成する。典型的には、第3の被膜は、ファイバに識別のための印を付けるのに用いるインク層であり、顔料を含む組成物を有するか、第2の被膜と同様の被膜である。第3の被膜を第2の被膜に塗布して、硬化する。第2の被膜は、典型的には、第3の被膜を塗布する時に硬化されている。共通の連続した製造処理で、第1、第2、および、第3の被膜組成物を塗布し硬化しうる。その代わりに、共通の連続した製造処理で、第1および第2の被膜組成物を塗布し硬化し、被膜したファイバを収集して、別のオフライン処理で、第3の被膜組成物を塗布し硬化して、第3の被膜を形成する。
【0024】
本明細書において、ガラスファイバに塗布される被膜組成物を、ガラスファイバ上に配置されたと記載している。本明細書で用いるように、「上に配置された」は、接触することを意味し、接触は、直に接触、または、間接的に接触のことを称する。第1の被膜は、ガラスファイバ上に配置されて、ガラスファイバと直に接触する。第2の被膜は、ガラスファイバ上に配置され、更に、第1の被膜上に配置されるが、ガラスファイバとは間接的に接触し、第1の被膜と直に接触する。第3の被膜は、ガラスファイバ上に配置され、更に、第1の被膜上に配置され、更に、第2の被膜上に配置されるが、ガラスファイバとは間接的に接触し、第1の被膜とは間接的に接触し、第2の被膜とは直に接触する。
【0025】
ガラスファイバに塗布された第1、第2、および、第3の被膜は、硬化性被膜組成物から形成される。硬化性被膜組成物は、1つ以上の硬化性成分を含む。本明細書で用いるように、「硬化性」という用語は、成分が適切な硬化エネルギー源に曝された時に、成分をそれ自体と、または、被膜組成物の他の成分と結合させるのに関与する共有結合を形成可能である1つ以上の硬化性官能基を含むという意味を意図する。硬化性被膜組成物を硬化して得られた生成物を、本明細書において、硬化された組成生成物、または、被膜と称する。硬化された生成物は、好ましくは、ポリマーである。硬化処理は、エネルギーによって生じる。エネルギーの形態は、放射または熱エネルギーを含む。好適な実施形態において、硬化は放射により生じ、放射は、電磁放射のことを称する。本明細書において、放射により生じる硬化を、放射硬化と称する。放射硬化性成分は、適切な波長で適切な強度で十分な時間で放射に曝された時に硬化反応を生じる成分である。適切な波長は、電磁スペクトルの赤外線、可視光、または紫外線部分の波長を含む。本開示の目的については、紫外線(UV)の波長が好ましい.
硬化性成分は、1つ以上の硬化性官能基を含む。好ましい硬化性官能基は、アクリル酸およびメタクリル酸基などのエチレン性不飽和基を含む。硬化性成分は、硬化性モノマーおよび硬化性オリゴマーを含む。硬化性モノマー、および/または、硬化性オリゴマーに追加で、硬化性被膜組成物は、典型的には、光開始剤および添加剤を含む。添加剤は、接着促進剤、強度添加剤、酸化防止剤、触媒、安定剤、光学的光沢剤、物性増強添加剤、アミン相乗剤、ワックス、潤滑剤、および/または、滑り剤を含む。第2および/または第3の被膜組成物は、顔料も含みうる。
【0026】
硬化性被膜組成物は、層として、ガラスファイバ上に配置される。硬化性被膜組成物の層の厚さは、1μm~60μmの範囲、または、5μm~55μmの範囲、または、10μm~50μmの範囲、または、15μm~45μmの範囲、または、20μm~40μmの範囲である。
【0027】
硬化システム
放射硬化性被膜組成物を硬化する好ましい光源は、ランプ(例えば、水銀ランプ)、および、発光ダイオード(LED)を含む。光源は、放射硬化性被膜組成物によって吸収される硬化放射光を出射し、硬化反応が開始するか、進行する。硬化のために好ましい波長は、UV波長である。光源からの硬化放射光は、1つ、または、複数の波長を含む。一実施形態において、光源は、多数のLEDを含み、LEDの少なくとも2つは、異なる波長を発する。
【0028】
発光ダイオード(LED)は、典型的にはアレイとして束ねられた平坦な出射部であり、硬化に十分な出力を有する光源を提供する。アレイは、平坦であり、ウエハの一部として形成される。硬化効率を改良するには、LEDによって生成された光のうち、ガラスファイバ上に配置された硬化性被膜組成物に入射する部分を最大にすることが必要である。このために、典型的には、LEDを面外に傾斜させて、適切に光を向ける必要がある。傾斜構成においても、硬化性被膜組成物における光の強度分布は、均一または安定ではないことがありうる。照射域の均一性および一貫性を改良するには、ガラスファイバのLEDに対する位置を精密に制御する必要がある。典型的には、ランプおよびLEDは、撮像光学機器を用いて、出射光を、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物に結合する。撮像光学機器は、合焦部(例えば、レンズ)、および/または、鏡面反射部(例えば、ミラー)を含む。撮像光学機器を用いて、光源の出力を向けて、硬化性被膜組成物における照射の均一性を改良し、出力を効率的に硬化性被膜組成物に結合するようにする。しかしながら、撮像光学機器を用いた結合効率は、低いままである。いくつかの例において、典型的なファイバ線引き処理において、撮像光学機器を結合に用いた場合に、ガラスファイバ上に配置された硬化性被膜組成物において30W/cm未満を生じるのにも、200W/cmに近いLEDの輝度が必要である。
【0029】
本開示において、拡散反射器を用いて、光源(ランプ、LED、または、LEDアレイ)からの出力を、ガラスファイバ上に配置された硬化性被膜組成物に結合する。図1を参照すると、ガラスファイバ上に配置された硬化性被膜組成物を硬化して光ファイバ被膜を形成するための拡散反射器10は、反射器本体12の両端部16、18の間に延伸する空洞部14を有する反射器本体12を含む。光源25は、空洞部14と一体に構成され、空洞部14の長さに沿って中心に配置される。開口部20、22は、両端部16、18に配置され、ガラスファイバの空洞部14への出入りを可能にする。空洞部14は、円形、環状、弧状、または、多角形状の断面形状でありうる。断面形状は、開放または閉鎖されたものでありうる。例えば、断面形状は開放されたもので、光源を挿入するための開口部を提供しうる。一実施形態において、断面形状は、約2インチ(約50.8mm)以下、または、約1.5インチ(約38.1mm)以下、または、約1インチ(約25.4mm)以下、または、約0.5インチ(約12.7mm)以下の直径を有する円形である。いくつかの実施形態において、空洞部14の直径は、空洞部14の全長に沿って一定でありうる。空洞部14の長さは、少なくとも50cm、または、少なくとも75cm、または、少なくとも100cm、または、少なくとも125cm、または、少なくとも150cm、または、50cm~250cmの範囲、または、75cm~225cmの範囲、または、100cm~200cmの範囲である。空洞部14の長さ、および、直径は、光ファイバ線引き処理中に、ガラスファイバ、または、硬化性被膜組成物が配置されたガラスファイバなどのように比較的細く比較的長い構造物を受け付けるように選択しうる。
【0030】
図1Aを簡単に参照すると、いくつかの実施形態において、開口部20’が、反射器本体12の両端部16、18に位置する端部キャップ部23、24によって提供されうる。一方の端部キャップ部23のみを示しているが、反射器本体12の反対側の端部も、同じ、または、同様の端部キャップ部を有しうる。開口部20’は、空洞部14の直径または断面積より小さい直径または断面積を有しうる。いくつかの実施形態において、キャップ部23は、直径を削減し、より効率的に気体を閉じ込めて、空洞部14の気体の流れを改良しうる。端部キャップ部23は、次に記載するような拡散反射材料を、特に、空洞部に対向する表面上に有し、端部キャップ部23における光損失を削減し、空洞部14内の光強度を改良しうる。
【0031】
いくつかの実施形態において、空洞部の端部における開口部は、空洞部と同じ断面形状および同じ断面積を有する。例えば、図1Bは、拡散反射器328を示しており、空洞部330が、端部336から端部338に延伸する内面334を備えた側壁部332を有している。側壁部332は、空洞部330の内側に向いた内面を有する。端部336は、開口部342を含み、端部338は、開口部344を含む。ガラスファイバ346は、その上に硬化性被膜組成物348が配置されて、光源350を通り過ぎて開口部344へと空洞部330を通り抜ける。光源350は、硬化放射光を提供し、硬化性被膜組成物348を硬化して、被膜352を形成する。内面334は、ガラスファイバ346、硬化性被膜組成物348、および、被膜352に対向する。ガラスファイバ346は、その上に被膜352が配置された状態で、開口部344を通って、空洞部330から出る。図1Bの実施形態において、開口部342および開口部344は、空洞部330と同じ断面形状および断面積を有する。1つ以上の光源(不図示)が、空洞部330と一体に構成される。
【0032】
他の実施形態において、空洞部の端部における開口部は、断面形状、および/または、断面積が、空洞部と異なる。例えば、図1Cは、拡散反射器360を示しており、空洞部362が、空洞部362の内側に向いた内面366を備えた側壁部364を有している。拡散反射器360は、更に、開口部370を有する端壁部368、および、開口部374を有する端壁部372を含む。開口部370および開口部374は、空洞部362より小さい断面積を有する。ガラスファイバ376は、その上に硬化性被膜組成物378が配置された状態で、開口部370を通って空洞部362に入り、更に、光源380を通り過ぎて空洞部362を通り抜ける。光源380は、硬化放射光を提供して、硬化性被膜組成物378を硬化し、被膜382を形成する。ガラスファイバ376は、その上に被膜382が配置された状態で、空洞部362から開口部374を通って出る。内面366は、ガラスファイバ376、硬化性被膜組成物378、および、被膜382に対向する。1つ以上の光源(不図示)が空洞部362と一体に構成される。
【0033】
図1Dは、拡散反射器の空洞部に位置する管を有する実施形態を示している。拡散反射器400は、端部406から端部408に延伸する側壁部404を有する空洞部402を含む。側壁部404は、空洞部402の内側に向いた内面410を有する。拡散反射器400は、更に、開口部406および開口部408を有する。端部406は、開口部412を含み、端部408は、開口部414を含む。拡散反射器400は、更に、空洞部402に位置する管415を含む。管415は、開口部412および開口部414内に位置する。管415の断面積は、空洞部402の断面積以下である。ガラスファイバ416は、その上に配置された硬化性被膜組成物418を有し、管415内で光源420を通り過ぎて開口部414へと、空洞部402を通り抜ける。光源420は、硬化放射光を提供し、硬化性被膜組成物418を硬化して、被膜422を形成する。内面410は、ガラスファイバ416、硬化性被膜組成物418、および、被膜422に対向する。ガラスファイバ416は、その上に被膜422が配置された状態で、空洞部402から、開口部414を通って出る。好ましくは、管415の内部は、不活性ガス(例えば、N、Ar、He)を含み、被膜422の形成中に光源420からの硬化放射光に曝された時に、硬化性被膜組成物418を酸素から遮蔽する。好ましくは、管415は、硬化放射光に対して高い透過率を有する材料を含む。一実施形態において、管415は、シリカガラスを含む。1つ以上の光源(不図示)が、空洞部402と一体に構成される。
【0034】
拡散反射器は、光ファイバ線引き処理で用いることを意図する。光ファイバ線引き処理において、ガラスファイバは、拡散反射器を通り抜ける時に、連続して移動する。本明細書において、ガラスファイバの移動速度を、「線引き速度」と称する。異なる実施形態において、ガラスファイバが拡散反射器を通り抜ける時の線引き速度は、35m/sより速いか、または、40m/sより速いか、または、45m/sより速いか、または、50m/sより速いか、または、55m/sより速いか、または、60m/sより速いか、または、35m/s~80m/sの範囲か、または、40m/s~75m/sの範囲か、または、45m/s~70m/sの範囲か、または、50m/s~65m/sの範囲である。
【0035】
ここまでの各実施形態において、拡散反射器の空洞部の側壁部の内面は、拡散反射材料で形成されるか、それで被覆される。ミラーに用いる材料は、鏡面反射材料である。鏡面反射において、反射角は、入射角に等しい。これに対し、拡散反射材料は、入射光を、非鏡面方向に反射する材料である。つまり、拡散反射材料に入射した光の大部分は、入射角以外の角度で反射される。これについて、拡散反射は、鏡面反射とは異なる多数の角度、または、入射光に垂直な角度と同じ単一の角度で反射が生じる場合でありうる。拡散反射の好ましい機構は、散乱であり、本明細書において、拡散反射材料を、散乱材料とも称する。散乱は、光を入射角以外の角度に方向を変えることを称する。拡散反射器の空洞部の内面に含まれる散乱材料は、200nm~400nmの波長範囲か、または、250nm~400nmの波長範囲か、または、300nm~400nmの波長範囲か、または、325nm~400nmの波長範囲か、または、350nm~400nmの波長範囲において、入射光の少なくとも90.0%、または、少なくとも95.0%、または、少なくとも97.0%、または、少なくとも99.0%、または、少なくとも99.5%を、拡散反射または散乱させる。好適な実施形態において、拡散反射材料は入射光を散乱させ、ランベルト強度分布を有する反射光を生成する。つまり、拡散反射材料から出射される光の強度分布は、ランベルト余弦則に従うか、概して従う。拡散反射材料の厚さは、少なくとも0.5mm、または、少なくとも1.0mm、または、少なくとも5.0mm、または、少なくとも10.0mm、または、少なくとも20.0mm、または、0.5mm~25mmの範囲、または、1.0mm~20.0mmの範囲、または、5.0mm~15.0mmの範囲である。
【0036】
焼結シリカスート粒子の1つの例において、部分的に焼結されたシリカ粒子が多孔性であることにより、空気とシリカの多数の界面が存在する。各界面は、屈折および部分反射を生じて、その結果、均一な分布光を生成する多数の現象に寄与する。そのような拡散反射および角分布の効率は、シリカ粒子サイズ分布、および、空気/シリカ界面に関連する。材料密度の増加は、表面積、および、反射/屈折現象の回数の減少につながり、散乱効率および角分布を低下させる。
【0037】
空洞部における光の強度は、元の光のうち、側壁部の拡散反射材料によって拡散反射される部分に応じる。表1は、異なる態様で構成された空洞部の内部の光強度の計算推定値をまとめて示している。計算において、光強度は、空洞部を通して均一であると仮定した。各構成は、長さ60インチ(約154.4cm)の円筒状空洞部、および、光源として、1500個のLEDのアレイを含むものであった。光を異なる効率(「側壁部反射率」)で拡散反射する側壁部について、各LEDは、1mm×1mmのサイズを有するものであった。LEDアレイは、空洞部の長さの中点が中心になるように配置された(例えば、図1に示したLEDアレイ25の位置を参照)。更に、計算では、LEDアレイから出射される全ての光の30%が、空洞部に配置されたガラスファイバの上に配置された硬化性被膜組成物によって吸収されると仮定した。空洞部内の強度の計算を、LEDアレイの反射率、空洞部の直径、および、側壁部の反射率が異なる空洞部について行った。結果は、LED反射率または側壁部反射率のいずれかが高まるか、空洞部の直径が減少すると、空洞部内の強度が高まることを示している。
【0038】
【表1】
【0039】
空洞部内の強度を高めるには、空洞部の端部を通る光損失を最小にするのが望ましい。上記のように、空洞部は、ガラスファイバの出入りを可能にする開口部を含む。開口部を通る光損失は、空洞部内の強度、および、光源からの光のガラスファイバ上に配置された硬化性被膜組成物への結合効率の低下につながる。空洞部の開口部を通る光損失は、開口部の直径または断面積を削減することによって、削減しうる。いくつかの実施形態において、図1Cに示したような端壁部を用いて、空洞部の出入口で、開口部のサイズを削減する。端壁部による吸収による損失を最小にするには、好ましくは、端壁部を、高い鏡面または拡散反射性を有する材料から形成するか、端壁部を、そのような材料で被覆する。一実施形態において、端壁部の材料は、空洞部の側壁部の材料と同じである。他の実施形態において、端壁部の表層は、空洞部の側壁部の表層と同じである。
【0040】
工業環境における頑丈さを提供するには、拡散反射材料は、ある程度の高温(例えば、200℃まで)に耐え、硬化性被膜組成物が硬化する時の気体放出などの汚染にも耐えるべきである。Spectraflect(登録商標)およびSpectralon(登録商標)などの材料は、可視光または赤外線波長で高い拡散反射率を有するが、UV波長では、低い拡散反射率を有する。光ファイバ用の硬化性被膜組成物を硬化するには、UV波長で高い拡散反射率を有する拡散反射材料を有するのが望ましい。
【0041】
部分的に焼結されたシリカスートは、本明細書に開示の拡散反射器について、好ましい拡散反射材料である。部分的に焼結されたシリカスートは、250nm~1900nmに亘る波長範囲で高い拡散反射率、および、低い吸収損失を有する。部分的に焼結されたシリカスートを用いて、ランベルト分布に非常に近似した反射強度分布を有する拡散反射を実現可能である。
【0042】
シリカスートを、従来から知られた様々な技術によって用意しうる。代表的な技術は、炎燃焼法、炎酸化法、炎加水分解法、OVD(外付け蒸着)、IVD(内付け蒸着)、VAD(気相軸付け)、二重るつぼ法、ロッドインチューブ法、ケインインスート法、および、添加成膜シリカ処理を含む。様々なCVD(化学蒸着)およびプラズマ強化CVD処理が知られており、シリカまたはドープされたシリカの生成に適する。
【0043】
シリカスートは、シリカ前駆体の反応または分解を通して形成される。シリカに適した前駆体は、OMCTS(オクタメチルシクロテトラシロキサン)およびSiClなどの有機シラン類を含む。シリカスートを、任意で添加する。添加は、添加前駆体を用いて実現する。添加前駆体は、成膜処理においてシリカ前駆体を用いて導入するか、または、シリカ前駆体から形成された多孔性のスート本体を処理するのに用いられうる。好適な添加前駆体は、SiBr、Cl、SiCl、SiCl、SiOCl、CCl、F、CF、および、SiFなどの含ハロゲン気体を含む。
【0044】
成膜により形成された最初の状態において、シリカスートは、低密度(約0.25g/cm~0.50g/cm)の多孔体を形成する。低密度シリカスートは、UV波長で高い拡散反射率を有し、一実施形態において、空洞部の側壁部または端壁部の内面上の表層として形成され、空洞部において光を拡散反射させる。しかしながら、低密度のシリカスートは、脆く、機械的に不安定で、一体構成の空洞部の材料として用いるのには適さない。機械的な完全性および機械加工性を改良するために、低密度シリカスートは、部分的に焼結されて、高い密度で低い多孔性の状態にされる。完全に焼結されたシリカは、1.90g/cmより高い密度を有する閉鎖孔構造を有する。しかしながら、完全に焼結されたシリカは、機械的に堅く、機械加工が困難である。本開示の空洞部に好ましい拡散反射材料は、部分的に焼結されたシリカスートである。本明細書で用いるように、部分的に焼結されたシリカスートは、約0.8g/cmから約1.8g/cmの範囲、または、約1.0g/cmから約1.8g/cmの範囲、または、約0.8g/cmから約1.5g/cmの範囲、または、約0.8g/cmから約1.3g/cmの範囲の密度を有するシリカスートのことを称する。一実施形態において、部分的に焼結されたシリカスートは、空洞部の側壁部または端壁部の内面上の層として、備えられる。他の実施形態において、部分的に焼結されたシリカスートは、一体構成体を形成し、それは、機械加工されて拡散反射器を形成する。機械加工は、例えば、一体構成で部分的に焼結されたシリカスートの一部を除去して、本明細書に記載の特徴を有する空洞部を形成する工程を含む。
【0045】
部分的に焼結されたシリカスートは、シリカスートを十分な時間加熱することによって形成される。焼結温度は、選択した時間について、シリカスートの高密度化に十分であるが、完全な焼結状態の閉鎖孔構造を形成するほどには高くない温度でなくてはならない。典型的な焼結温度は、900℃~1600℃の範囲、または、1000℃~1550℃の範囲、または、1100℃~1500℃の範囲である。典型的な焼結時間は、数分から数時間の範囲である。部分的に焼結されたシリカスートのUV範囲の1つ以上の波長における拡散反射率は、少なくとも90%、または、少なくとも95%、または、少なくとも97%、または、少なくとも98%、または、少なくとも99%、または、少なくとも99.5%である。
【0046】
図2は、部分的に焼結されたシリカスートの拡散反射率を「Spectralon」と比べて、少なくとも10mmの厚さのバルク試料について示している。部分的に焼結されたシリカスートの密度の範囲についての結果を示している。図から分かるように、部分的に焼結されたシリカスートは、示した波長範囲に亘って、「Spectralon」の拡散反射率以上の拡散反射率を有する。線32は、0.91g/cmの密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを示し、線34は、1.81g/cmの密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを示し、線36は、1.6g/cmの密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを示し、線38は、1.39g/cmの密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを示し、線40は、1.1g/cmの密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを示している。
【0047】
図3は、630nmの波長を有する偏光していない光の0.88g/cm~1.6g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートの平坦試料からの散乱を、入射角の範囲に亘って示し、90°の入射角は、試料表面に垂直方向と対応し、0°および180°の入射角は、試料表面に平行な方向に対応する。散乱は、双方向反射率分布関数(BDRF)として報告されている。図3も、ランベルト余弦則に基づく理路的散乱曲線を示している(線39)。図3に示した結果は、部分的に焼結されたシリカスートは、ランベルト反射器に非常に近似することを示している。
【実施例
【0048】
図4を参照すると、部分的に焼結されたシリカスートの355nmにおける拡散反射率を、M.T.Coneによる「Diffuse Reflecting for Integrated Cavity Spectroscopy, including Ring Down Spectroscopy」、Applied Optics、Vol.54(2)、p.334(2015)の記事に記載のリングダウン分光技術を用いて測定した。測定を行うために、一体化した空洞部を、部分的に焼結されたシリカスートを用いて形成した。空洞部を、端壁部102、106を有する空洞円筒部100として、0.51g/cmの開始平均密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを用いて構成した。拡散反射率の測定前に、空洞部を熱処理した。熱処理は、空洞部を、50/50の体積パーセントのO/Heの混合物からなる気体雰囲気に、60分間、1100℃で曝す処理を含むものだった。次に、空洞部の温度を1300℃に上昇させながら、気体雰囲気を、100%のHeに60分間、交換した。次に、空洞部を1300℃で4時間、100%のHeで保持した。これらの工程を、気体雰囲気を1気圧にして行い、結果的に、空洞部が部分的に焼結された。熱処理後に、空洞部100の側壁部104の厚さは、約10mmから15mmで、部分的に焼結されたシリカスートの密度は、約1g/cmだった。空洞部100は、64.3mmの内径、および、90.5mmの高さを有した。
【0049】
リングダウン分光法において、光パルスが空洞部に導入され、空洞部から出力される光のパルス持続時間が測定される。出力パルスのパルス持続時間の最初のパルスと比べた増加分が、空洞部の壁部の内面の拡散反射率の測定値である。次の式のように、出力パルス持続時間は、空洞部の内面の拡散反射率が増加するにつれて、長くなる。
【0050】
【数1】
【0051】
但し、Tは、出力パルスの持続時間であり、Vは、空洞部の容積であり、Sは、側壁部104の内面の面積であり、cは、光の速度であり、rは、側壁部104の内面の反射率である。入力パルスは、QスイッチNd-YAGレーザによって提供された。第3高調波(355nm)を用い、最初のパルス持続時間は、約10nsだった。入力は、300μmのシリカガラスファイバ44を通して空洞部100に結合され、出力パルスは、第2のファイバ46を通して収集されて、1GHzの検出帯域幅を有するデジタルオシロスコープに連結された光電子増倍(PMT)管に向けられた。図5に示す出力パルスの波形を測定した。デコンヴォルーションを行った波形は、出力パルスの持続時間は、20nsであることを示した。上の式を用いて、側壁部104の内面の拡散反射率は、355nmにおいて、0.992であると確定した。
【0052】
一実施形態において、部分的に焼結されたシリカスートは、20nm以上、または、100nm以上、または、200nm以上、または、400nm以上、または、20nm~800nmの範囲、または、50nm~600nmの範囲、または、100nm~500nmの範囲の平均粒子直径、若しくは、10m/g未満、または、5m/g未満、または、1m/g未満の表面積を有する粒子で形成される。図6は、スートの表面積を、均一なサイズの丸い粒子からなるスートについて、粒子半径の関数として示している。図から分かるように、表面積(m/g)は、平均粒子サイズ(μm)が増加するにつれて、減少する。部分的に焼結されたシリカスートの密度が増加するにつれて、平均粒子サイズは増加し、表面積は減少する。部分的に焼結されたシリカスートの平均粒子サイズが大きくなっても、UV範囲における高い反射率、および、ランベルト散乱に近い特性が観察される(図2、3)。
【0053】
ここで、図7を参照すると、拡散反射装置110を用いて、光ファイバ線引き装置124(例えば、線引きタワー、または、線引き炉)によって線引きされたガラスファイバ122上に配置された硬化性被膜組成物128を、硬化する。光ファイバ線引き装置124を用いて、ガラスファイバ122を線引きしうる。線引き後に、被覆装置130(例えば、被覆ダイ)において、放射硬化性被膜組成物128を、ガラスファイバ122に塗布する。いくつかの実施形態において、被覆装置130は、光ファイバ線引き装置124と別体である。他の実施形態において、被覆装置130は、光ファイバ線引き装置124の一部である。ガラスファイバ122は、光ファイバ線引き装置124から被覆装置130に連続して直に送出される。他の実施形態において、光ファイバ122は、スプールからなど、線引きタワーまたは線引き炉以外の供給源から、被覆装置130に連続して送出される(例えば、オフライン被覆)。適切な硬化性被膜組成物は、UV光への露光による硬化性であるアクリル酸系組成物である。この材料を、液状で、ガラスファイバ122の表面に塗布して、次に、硬化するために、拡散反射器110でUV光に露光する。硬化性被膜組成物を、2層被覆システムなどのように、1つ以上の層で塗布しうる。第1の被膜を、ガラスファイバ122の表面に直に塗布し、更に、例えば、第2の被膜を、第1の被膜の上に塗布しうる。
【0054】
硬化性被膜組成物128が表面上に配置されたガラスファイバ122は、拡散反射装置110に送出される。いくつかの実施形態において、硬化性被膜組成物128が上に配置されたガラスファイバ122は、被覆装置130から拡散反射装置110に連続して直に送出される。図8も参照すると、硬化性被膜組成物128が上に配置されたガラスファイバ122は、拡散反射装置110の空洞部114に挿入される。図1について記載したように、拡散反射装置110は、反射器本体112の両端部116、118の間に延伸する空洞部114を有する反射器本体112を含む。空洞部114は、約0.5インチ(約12.7mm)以下など、約1インチ(約25.4mm)以下の直径を有する円形の断面形状でありうる。反射器本体112は、上記のような密度を有する部分的に焼結されたシリカスートで形成されるか、または、それで形成された表層を有しうる。
【0055】
反射器本体112は、UV光の形態で電磁エネルギーを提供するLED130のアレイを含みうる。例えば、反射器本体112は、反射器本体112の中心線Cに中心がくるようにアレイ状に詰められた1500以上のLEDなど、1000以上のLEDを含みうる。LEDは、反射器本体112、および/または、空洞部114の内面と一体化される。一実施形態において、空洞部114の内面132は、1つ以上のLEDまたはLEDアレイが位置する開口部を含む。ガラスファイバ122の硬化性被膜組成物128が上に配置された部分は、空洞部114に導入されて、LEDまたはLEDアレイによって供給されたUV光などの光を用いて硬化される。反射器本体112の部分的に焼結されたシリカスートは、内面132を、上記のように拡散反射された光の均一な分布を提供する拡散反射面として提供する。硬化性被膜組成物128が硬化されると、ガラスファイバ122の硬化性被膜組成物128が上に配置された隣接部分136が、硬化動作を連続した態様で行うために空洞部114に導入されうる。「連続した態様」という用語は、ガラスファイバ122の硬化性被膜組成物が上に配置された多数の部分が、硬化処理を中断することなく、拡散反射装置110に続けて送出されることを意味する。硬化後に、被膜134を有するガラスファイバ122を、例えば、スプールに巻き取って保存しうる。単一の反射器本体112を示しているが、拡散反射装置110は、多数の反射器本体を含みうる。
【0056】
図9を参照すると、拡散反射装置210の他の実施形態は、反射器本体212を含み、本実施形態において、LEDランプ230は、UV光源を、反射器本体212によって提供された空洞部214に提供する。適切なUVランプは、Phoseon technology,Inc.から市販されて、入手可能である。反射器本体212を、空洞部の長軸に平行な平面で長さ方向に分割した円筒の半分の形状として示している(その代わりに、光源を一体化するための開口部を提供する開放断面を有する他の環状の形状でありうる)。円筒状プリフォーム(つまり、分割前)は、そこから反射された光の均一な光分布を提供する部分的に焼結されたシリカスートを用いて、図7の反射器本体と同様に形成しうる。少なくとも部分的には、部分的に焼結されたシリカスートの密度が0.8g/cmと1.8g/cmの間であることにより、反射器本体212の構造完全性を損なうことなく反射器本体212を、機械加工して半分にしうる(または、他の態様で切断しうる)。
【0057】
LEDランプ230は、空洞部214の両側242、242に接して位置する出射面240を有する。出射面は、空洞部214と相対的に位置して、光エネルギーを、直に空洞部214に向ける。上記のように、その上に硬化性被膜組成物128が配置されたガラスファイバ122の一部は、LEDランプ230によって供給されたUV光を用いて硬化されるために、空洞部214に導入される。反射器本体212の部分的に焼結されたシリカスートは、内面232を、拡散反射面として提供する。硬化性被膜組成物128が硬化されると、ガラスファイバ122の硬化性被膜組成物128が上に配置された隣接部分が、硬化動作のために、空洞部214に導入される。硬化後に、被膜134を有するガラスファイバ122を、例えば、スプールに巻き取って保存しうる。
【0058】
単一の反射器本体を記載したが、拡散反射装置210は、縦に並べて配置されて空洞部を形成する多数の反射器本体を含みうることに留意すべきである。更に、多数のLEDランプを用いて、横に並べて配置しうる。
【0059】
実施例
反射器本体を、約1g/cmの密度、および、1.5インチ(約3.8cm)の空洞部の内径を有する部分的に焼結されたシリカスートから形成した。図9に示すように、反射器本体を半分にスライスして、空洞部を露出させ、空洞部を、以下、市販のLEDランプと称する385nmの波長で動作する幅10mmのPhoseon LEDランプ(FirePower FP300225X20WC395-20W-FCLモデル)と一体化した。市販のLEDランプの非発光面(個々のLED素子を囲む面)の反射率を測定し(図10)、300nmと500nmの間で、約60%であると確定した。
【0060】
光の強度を、プローブを用いて、2つの実施形態の拡散反射器の空洞部の異なる位置で測定した。図11、12は、約1g/cmの密度を有する部分的に焼結された溶融シリカから作られた拡散反射器262の空洞部272で(図11)、および、鏡面反射材料(金属)から作られた拡散反射器250の空洞部254で(図12)測定した強度分布を表している。両方の空洞部は、1.5インチ(約3.8cm)の直径を有し、市販のLEDランプが備えられていた。図11、12の空洞部に示した数値は、空洞部内の異なる位置における光の強度に比例する反射単位である。空洞部272の中心および内面での強度は、空洞部254の対応する位置の強度より、非常に高い。空洞部272内の強度分布も、空洞部254内のものより非常に均一である。空洞部272内の方が、強度が高く、均一な強度分布であることは、空洞部272の内面を形成する部分的に焼結されたシリカスートの高い拡散反射率に起因する。
【0061】
図10に示したように、LED光源の個々のLEDを囲む材料の反射率は、比較的低い(約60%)。LEDを囲む材料の反射率を高めることによって、空洞部の光強度を高めうる。このことは、LED光源が、LEDを囲む材料として、より高い反射率の材料を用いるように変更することによって、または、高い反射率の材料から作られたマスクを、LED光源の上に重ねることで実現しうる。図13は、LED光源の表面の上に配置して、LED光源の反射率を改良するための反射板280を示している。反射板280には、開口部またはUV透過窓282が備えられて、LEDからのUV光を、LEDまたはLEDアレイから空洞部272に自由に通しうる入口を提供する。いくつかの実施形態において、拡散反射器の空洞部を囲む本体を形成するのに用いたのと同じまたは同様の拡散反射材料を用いて、板280を形成する。一実施形態において、板280は、部分的に焼結されたシリカスートから、若しくは、部分的に焼結されたシリカスートの表層を有する基台から、若しくは、0.50g/cm未満の密度、または、0.40g/cm未満の密度、または、0.30g/cm未満の密度を有するシリカスートの表層を有する基台から形成される。
【0062】
反射器本体の部分的に焼結されたシリカスートは、そこから反射された光を、光ファイバ被膜のための被膜組成物を硬化させるために、空洞部内で均一に分布させる拡散反射面を形成する。焼結が弱いか、または、単に押圧しただけのシリカスートと異なり、反射器本体の密度を高めることで、反射特性の大部分(例えば、可視光波長範囲において、0.995もの高い反射率、および、UV範囲において、0.99より高い反射率)を維持しながら、より容易に機械加工可能で安定させることが可能になる。上記反射器本体は、円筒状であるが、本体は、箱状(例えば、立方体)で反射器本体の両端部の間に延伸する丸い(例えば、円形の)空洞部を有するものなど、他の形状でありうる。主にLEDについて記載したが、拡散反射装置は、レーザなど、他の高輝度光源と用いうることに留意すべきである。
【0063】
本開示の項目1は、
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物の硬化装置において、
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物を囲み、第1の開口部を有する第1の端部から第2の開口部を有する第2の端部まで延伸する側壁部を有する空洞部を画定する拡散反射器であって、ガラスファイバが、空洞部を第1の開口部から第2の開口部へと通り抜け、側壁部は、ガラスファイバ上に配置された被膜組成物に対向し散乱材料を含む内面を有するものである拡散反射器と、
拡散反射器と一体に構成され、光を散乱材料に向けるように構成された光源と
を含み、
散乱材料は、光の少なくとも90%を拡散反射するように構成され、拡散反射された光は、被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである装置を網羅する。
【0064】
本開示の項目2は、
被膜組成物は、5μm~50μmの範囲の厚さを有する層としてガラスファイバ上に配置されたものである、項目1に記載の装置を網羅する。
【0065】
本開示の項目3は、
被膜組成物は、アクリル酸化合物を含むものである、項目1または2に記載の装置を網羅する。
【0066】
本開示の項目4は、
ガラスファイバは、200μm未満の直径を有するものである、項目1から3のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0067】
本開示の項目5は、
第1の端部は、第1の開口部を含む第1の端壁部を含むものである、項目1から4のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0068】
本開示の項目6は、
第1の端壁部は、散乱材料を含む表面を有するものである、項目5に記載の装置を網羅する。
【0069】
本開示の項目7は、
第1の開口部は、空洞部の断面積より小さい断面積を有するものである、項目5または6に記載の装置を網羅する。
【0070】
本開示の項目8は、
第2の端部は、第2の開口部を含む第2の端壁部を含むものである、項目5から7のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0071】
本開示の項目9は、
第1の端壁部および第2の端壁部は、散乱材料を含む表面を有するものである、項目8に記載の装置を網羅する。
【0072】
本開示の項目10は、
第1の開口部および第2の開口部は、空洞部の断面積より小さい断面積を有するものである、項目8または9に記載の装置を網羅する。
【0073】
本開示の項目11は、
光は、300nm~400nmの範囲の波長を有するUV光である、項目1から10のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0074】
本開示の項目12は、
散乱材料は、0.8g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、項目1から11のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0075】
本開示の項目13は、
散乱材料は、1.0g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、項目1から11のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0076】
本開示の項目14は、
散乱材料は、0.8g/cm~1.5g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、項目1から11のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0077】
本開示の項目15は、
拡散反射器は、散乱材料から実質的になるものである、項目1から11のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0078】
本開示の項目16は、
光源は、発光ダイオードを含むものである、項目1から15のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0079】
本開示の項目17は、
発光ダイオードは、200nm~400nmの範囲の波長の光を出射するものである、項目16に記載の装置を網羅する。
【0080】
本開示の項目18は、
光源は、発光ダイオードのアレイを含み、アレイは、発光ダイオードを囲む材料を含むものである、項目16または17に記載の装置を網羅する。
【0081】
本開示の項目19は、
発光ダイオードを囲む材料上に配置され、光の少なくとも90%の拡散反射率を有する材料を含む反射板であって、光の反射板の通過を可能にする開口部を含む反射板を、
更に含む、項目18に記載の装置を網羅する。
【0082】
本開示の項目20は、
光源は、側壁部と一体に構成され、一体構成は、光源を側壁部の開口部に配置した構成を含むものである、項目1から19のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0083】
本開示の項目21は、
空洞部は、1インチ(約2.54cm)以下の直径を有する円筒として構成されたものである、項目1から20のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0084】
本開示の項目22は、
円筒は、0.5インチ(約1.27cm)以下の直径を有するものである、項目21の装置を網羅する。
【0085】
本開示の項目23は、
空洞部は、側壁部に開口部を有する環として構成されたものである、項目1から20のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0086】
本開示の項目24は、
光源は、側壁部の開口部に配置されたものである、項目23に記載の装置を網羅する。
【0087】
本開示の項目25は、
空洞部は、50cmより長い長さを有するものである、項目1から24のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0088】
本開示の項目26は、
拡散反射された光は、ランベルト強度分布を有するものである、項目1から25のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0089】
本開示の項目27は、
散乱材料は、光の少なくとも95%を拡散反射するものである、項目1から26のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0090】
本開示の項目28は、
散乱材料は、光の少なくとも98%を拡散反射するものである、項目1から26のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0091】
本開示の項目29は、
散乱材料は、光の少なくとも99%を拡散反射するものである、項目1から26のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0092】
本開示の項目30は、
ガラスファイバは、空洞部を、少なくとも40m/sの速度で通り抜けるものである、項目1から29のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0093】
本開示の項目31は、
空洞部を第1の開口部から第2の開口部へと通り抜け、被膜組成物を囲む管を、
更に含む、項目1から30のいずれか1つに記載の装置を網羅する。
【0094】
本開示の項目32は、
ガラスファイバ上の被膜組成物の硬化方法において、
ガラスファイバを、開口部を通って、拡散反射器の空洞部に向ける工程であって、ガラスファイバは、その上に配置された被膜組成物を有し、空洞部は、散乱材料を含む内面を有するものである工程と、
光を被膜組成物に向ける工程であって、向ける工程は、光を散乱材料から拡散反射する工程を含み、散乱材料は、光の波長において少なくとも90%の拡散反射率を有し、拡散反射された光は、被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである工程と
を含む方法を網羅する。
【0095】
本開示の項目33は、
ガラスファイバは、少なくとも40m/sの速度で、開口部を通って向けられるものである、項目32に記載の方法を網羅する。
【0096】
本開示の項目34は、
被膜組成物は、アクリル酸化合物を含むものである、項目32または33に記載の方法を網羅する。
【0097】
本開示の項目35は、
空洞部は、0.8g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、項目32から34のいずれか1つに記載の方法を網羅する。
【0098】
本開示の項目36は、
拡散反射された光は、ランベルト分布を有するものである、項目32から35のいずれか1つに記載の方法を網羅する。
【0099】
本開示の項目37は、
散乱材料は、光の波長において、少なくとも95%の拡散反射率を有するものである、項目32から36のいずれか1つに記載の方法を網羅する。
【0100】
本開示の項目38は、
散乱材料は、光の波長において、少なくとも99%の拡散反射率を有するものである、項目32から36のいずれか1つに記載の方法を網羅する。
【0101】
本開示の項目39は、
光の波長は、200nm~400nmの範囲である、項目32から36のいずれか1つに記載の方法を網羅する。
【0102】
当業者には、請求した主題の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態の変更および変形も、添付の請求項、および、それらの等価物の範囲内である限りは網羅することを意図する。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0104】
実施形態1
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物の硬化装置において、
ガラスファイバ上に配置された被膜組成物を囲み、第1の開口部を有する第1の端部から第2の開口部を有する第2の端部まで延伸する側壁部を有する空洞部を画定する拡散反射器であって、前記ガラスファイバが、前記空洞部を前記第1の開口部から前記第2の開口部へと通り抜け、前記側壁部は、該ガラスファイバ上に配置された前記被膜組成物に対向し散乱材料を含む内面を有するものである拡散反射器と、
前記拡散反射器と一体に構成され、光を前記散乱材料に向けるように構成された光源と
を含み、
前記散乱材料は、前記光の少なくとも90%を拡散反射するように構成され、該拡散反射された光は、前記被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである装置。
【0105】
実施形態2
前記被膜組成物は、5μm~50μmの範囲の厚さを有する層として前記ガラスファイバ上に配置されたものである、実施形態1に記載の装置。
【0106】
実施形態3
前記被膜組成物は、アクリル酸化合物を含むものである、実施形態1または2に記載の装置。
【0107】
実施形態4
前記ガラスファイバは、200μm未満の直径を有するものである、実施形態1から3のいずれか1つに記載の装置。
【0108】
実施形態5
前記第1の端部は、前記第1の開口部を含む第1の端壁部を含むものである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装置。
【0109】
実施形態6
前記第1の端壁部は、前記散乱材料を含む表面を有するものである、実施形態5に記載の装置。
【0110】
実施形態7
前記第1の開口部は、前記空洞部の断面積より小さい断面積を有するものである、実施形態5または6に記載の装置。
【0111】
実施形態8
前記第2の端部は、前記第2の開口部を含む第2の端壁部を含むものである、実施形態5から7のいずれか1つに記載の装置。
【0112】
実施形態9
前記第1の端壁部および前記第2の端壁部は、前記散乱材料を含む表面を有するものである、実施形態8に記載の装置。
【0113】
実施形態10
前記第1の開口部および前記第2の開口部は、前記空洞部の断面積より小さい断面積を有するものである、実施形態8または9に記載の装置。
【0114】
実施形態11
前記光は、300nm~400nmの範囲の波長を有するUV光である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の装置。
【0115】
実施形態12
前記散乱材料は、0.8g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
【0116】
実施形態13
前記散乱材料は、1.0g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
【0117】
実施形態14
前記散乱材料は、0.8g/cm~1.5g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
【0118】
実施形態15
前記拡散反射器は、前記散乱材料から実質的になるものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装置。
【0119】
実施形態16
前記光源は、発光ダイオードを含むものである、実施形態1から15のいずれか1つに記載の装置。
【0120】
実施形態17
前記発光ダイオードは、200nm~400nmの範囲の波長の光を出射するものである、実施形態16に記載の装置。
【0121】
実施形態18
前記光源は、前記発光ダイオードのアレイを含み、前記アレイは、該発光ダイオードを囲む材料を含むものである、実施形態16または17に記載の装置。
【0122】
実施形態19
前記発光ダイオードを囲む前記材料上に配置され、前記光の少なくとも90%の拡散反射率を有する材料を含む反射板であって、該光の反射板の通過を可能にする開口部を含む反射板を、
更に含む、実施形態18に記載の装置。
【0123】
実施形態20
前記光源は、前記側壁部と一体に構成され、前記一体構成は、該光源を該側壁部の開口部に配置した構成を含むものである、実施形態1から19のいずれか1つに記載の装置。
【0124】
実施形態21
前記空洞部は、1インチ(約2.54cm)以下の直径を有する円筒として構成されたものである、実施形態1から20のいずれか1つに記載の装置。
【0125】
実施形態22
前記空洞部は、前記側壁部に開口部を有する環として構成されたものである、実施形態1から20のいずれか1つに記載の装置。
【0126】
実施形態23
前記光源は、前記側壁部の前記開口部に配置されたものである、実施形態22に記載の装置。
【0127】
実施形態24
前記拡散反射された光は、ランベルト強度分布を有するものである、実施形態1から23のいずれか1つに記載の装置。
【0128】
実施形態25
前記散乱材料は、前記光の少なくとも95%を拡散反射するものである、実施形態1から24のいずれか1つに記載の装置。
【0129】
実施形態26
前記ガラスファイバは、前記空洞部を、少なくとも40m/sの速度で通り抜けるものである、実施形態1から25のいずれか1つに記載の装置。
【0130】
実施形態27
前記空洞部を前記第1の開口部から前記第2の開口部へと通り抜け、前記被膜組成物を囲む管を、
更に含む、実施形態1から26のいずれか1つに記載の装置。
【0131】
実施形態28
ガラスファイバ上の被膜組成物の硬化方法において、
ガラスファイバを、開口部を通って、拡散反射器の空洞部に向ける工程であって、前記ガラスファイバは、その上に配置された被膜組成物を有し、前記空洞部は、散乱材料を含む内面を有するものである工程と、
光を前記被膜組成物に向ける工程であって、前記向ける工程は、前記光を前記散乱材料から拡散反射する工程を含み、該散乱材料は、該光の波長において少なくとも90%の拡散反射率を有し、該拡散反射された光は、該被膜組成物を硬化するのに十分な強度を有するものである工程と
を含む方法。
【0132】
実施形態29
前記ガラスファイバは、少なくとも40m/sの速度で、前記開口部を通って向けられるものである、実施形態28に記載の方法。
【0133】
実施形態30
前記被膜組成物は、アクリル酸化合物を含むものである、実施形態28または29に記載の方法。
【0134】
実施形態31
前記空洞部は、0.8g/cm~1.8g/cmの範囲の密度を有する部分的に焼結されたシリカスートを含むものである、実施形態28から30のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態32
前記拡散反射された光は、ランベルト分布を有するものである、実施形態28から31のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態33
前記散乱材料は、前記光の前記波長において、少なくとも95%の拡散反射率を有するものである、実施形態28から32のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態34
前記光の前記波長は、200nm~400nmの範囲である、実施形態28から33のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0138】
10、250、262、328、360、400 拡散反射器
14、100、114、214、254、272、330、362、402 空洞部
110、210 拡散反射装置
280 反射板
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13