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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ケイ素系農業用組成物
(51)【国際特許分類】
   C05D 1/00 20060101AFI20240513BHJP
   C05G 5/27 20200101ALI20240513BHJP
【FI】
C05D1/00
C05G5/27
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021560287
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2020052895
(87)【国際公開番号】W WO2020201948
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】NC2019/0003159
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CO
(73)【特許権者】
【識別番号】521440080
【氏名又は名称】バイオロジコス・エストラテジコス・バイオエスト・エセ・ア・エセ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・エストラーダ・カルデナス
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-056389(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0276165(US,A1)
【文献】特開平05-078189(JP,A)
【文献】特開平03-141206(JP,A)
【文献】特開平07-101792(JP,A)
【文献】特表2011-530467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246297(US,A1)
【文献】国際公開第2018/034864(WO,A1)
【文献】特表2022-518098(JP,A)
【文献】特開2014-212703(JP,A)
【文献】特開昭63-242986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05D1/00-11/00
C05G1/00-5/40
A01N1/00-65/48
A01P1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10%~98%(w/w)のケイ酸塩系組成物と追加の成分を含む液体肥料組成物であって、
前記ケイ酸塩系組成物が、
50%~90%(w/w)の濃度のケイ酸カリウム;
5%~17%(w/w)の濃度のpH調整剤;
1%~20%(w/w)の濃度の乳化剤;
1%~50%(w/w)の水;
・ 0.05%~25%(w/w)の濃度での分散剤; 及び
・ 1%~15%(w/w)の濃度での不凍剤;
を含み、
前記追加の成分が、硫酸銅、硫酸亜鉛、消石灰、亜リン酸、炭酸カリウム、ホウ酸、尿素、フルボ酸、アミノ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム、及び水から選択され;かつ
前記ケイ酸塩系組成物が、4.5~6のpHであり、及び前記ケイ酸カリウムの粒径が5~40μmであることを特徴とする、液体肥料組成物。
【請求項2】
pH調整剤が、乳酸、クエン酸、フミン酸、フルボ酸、アミノ酸、又はその混合物を含む群から選択され、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項3】
乳化剤が、perlapon EAM(植物油由来の界面活性剤、陰イオン及び非イオン性界面活性剤のブレンド)及び大豆油、又はその混合物を含む群から選択され、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項4】
分散剤が、atlox 4913(コポリマーアクリル溶液中のポリメチルメタクリレート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)及びキサンタンガム又はその混合物を含む群から選択され、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項5】
不凍剤が、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メタノール、エチレングリコール、又はその混合物を含む群から選択され、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ケイ酸塩系組成物が、ケイ酸カリウム、クエン酸、乳酸、perlapon EAM(植物油由来の界面活性剤、陰イオン及び非イオン性界面活性剤のブレンド)、大豆油、atlox 4913(コポリマーアクリル溶液中のポリメチルメタクリレート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)、プロピレングリコール、キサンタンガム及び水を含む、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項7】
前記追加の成分が、亜リン酸カリウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、キサンタンガム、ソルビン酸カリウムから選択される、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項8】
前記追加の成分が、消石灰、亜リン酸、炭酸カリウム、硫酸亜鉛、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ホウ酸、尿素、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム、及び水から選択される、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項9】
前記追加の成分が、フルボ酸、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム、及び水から選択される、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項10】
前記追加の成分が、アミノ酸、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム、及び水から選択され、かつ前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はその混合物から選択される、請求項1に記載の液体肥料組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の液体肥料組成物を調製するための方法であって、前記方法は、前記ケイ酸塩系組成物を追加の成分と混合する工程を含み、ここで、前記ケイ酸塩系組成物を調製する方法が、以下の:
a) 乳化剤及び分散剤を混合する工程;
b) 反応タンクに水を加えて撹拌を開始する工程;
c) 反応タンク中で、工程a)からの混合物を水に加え、混合物が乳化するまで撹拌を続ける工程;
d) c)からの混合物にpH調整剤及び不凍剤を加え、pH調整剤が完全に溶解するまで撹拌を継続する工程;
e) ケイ酸カリウムを少量で加え、一定の撹拌を維持する工程;
f) e)で得られた混合物をコロイドミルによって粉砕する工程;
g) f)で得られた混合物をジルコニウムビーズミルによって粉砕する工程;
h) g)からの生成物に分散剤を添加して混合する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農芸化学の分野、特に、施肥及びいくつかの植物組織の細胞壁の強化による数種類の有害生物に対する植物の保護のために設計された液体肥料組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時間が経つにつれて、ケイ素系肥料組成物の実施は、そのいくつかの利点のために多種多様な植物に使用されてきており、農業におけるケイ素の使用はおそらく2000年以上前に開始された(「A proposed history of silicon fertilization」Matichenkovら、Studies in plant science、2001、8、36)。いくつかの研究は、ケイ素が、重金属毒性に対する高い耐性、病原体に対する機械的保護、及び植物栄養(必須の植物栄養素として見なされているため)により、植物生理機能に関与していることを示している(「Silicon and Plant Diseases」、Fabricio R.ら、Springer. 2015)。特に、有機組織にケイ素が存在すると、強風、雨等の種々の条件への耐性が増加し、昆虫への耐性も増加するので、植物の表皮がケイ酸を含み、それが植物の細胞構造を改善し、生物的ストレスから植物を支持及び保護するため、農業におけるケイ素の使用はかなり重要であることが示されている(Elements of agricultural chemistry: in a course of lectures for the Board of Agriculture、David H、1819)。ケイ素の最も注目すべき効果の1つは、種々の戦略による病原生物が原因である複数の植物病害の予防であり、植物の栄養をケイ素で補うことにより、いくつかの疾患の影響が減少する証拠がある。更に、植物にケイ素を施肥することは、農業における植物の健康を維持及び改善するのに役立つ簡単で持続可能な方法であることが示されている(「Mineral nutrition and plant disease」Datnoffら、The American Phytopathological Society、2007、233~246)。
【0003】
次に、作物の処理にケイ素を組み込むよく知られている方法の1つは、病原体が感染するのを防ぐ物理的な障壁を植物の表面に形成するので、ケイ酸塩溶液を植物に噴霧することである。最近、ケイ酸塩が、病原体に対する植物の特定の防御経路の活性化を可能にすることが示されている(「Silicon and Plant Diseases」、Fabricio R.ら、Springer、2015)。
【0004】
上記の複数の利点にもかかわらず、農薬物質としてのケイ酸塩については、通常、ケイ酸塩を含有する混合物は、9未満のpH値で沈殿するため、不安定である。このために、ケイ酸塩を有効成分として含む組成物は、9より高いpH値を示すケイ酸Na又はKの形で商品化されている。しかしながら、ケイ酸ナトリウムは、塩分濃度の増加、電気伝導率の増加、及び植物栄養において極めて重要な他の要素との低い適合性を示してきた。
【0005】
他方では、特許CN101440001は、15~44%w/vの濃度の水溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムに基づき、更に尿素、微量元素、例えばFe、Cu、Mg、Zn、Mn、Moの塩、キレート剤(EDTA)及びフルボ酸を10~15%w/vの濃度で含む、液体肥料組成物を開示している。液体肥料組成物のpHは、5.0~6.0である。
【0006】
次に、特許US20100016162は、作物の菌類病又は細菌病を減らすための水性葉面用組成物を開示している。組成物は、ケイ素供給源、例えばケイ酸カリウムを2%~25%w/vの濃度で、ケイ酸又はケイ酸塩イオンの重合を阻害するためのチオ硫酸塩供給源、例えばチオ硫酸カリウム、アンモニウム又はナトリウムを1%~40%w/vの濃度で、並びに有機酸、例えばフルボ酸及びフミン酸とアルコール、ポリアミン又は多糖類との混合物を2%~30%w/vの濃度で、官能基が、無機陰イオン又は陽イオンと可逆的に結合又は複合体を形成することができる状態で含む。加えて、この特許は、pHが少なくとも7.0の組成物を開示している。更に、特許US5183477は、農業及び園芸植物に使用するための、K2SiO3(ケイ酸カリウム)、Na2SiO3、Na4SiO4、Na2Si2O5、Na2Si4O4、KHSi2O5、K2Si4O3・H2O及びその混合物から選択されるアルカリ金属ケイ酸塩を含む葉面噴霧組成物を開示している。この特許は、ケイ酸カリウム、EDTA塩、クエン酸及び水を含む組成物を開示している。
【0007】
しかしながら、ケイ酸カリウムは、肥料として、及びいくつかの有害生物、例えば菌類及び昆虫に対する保護製品として農業で使用されている。ケイ酸カリウムの使用に関する問題は、そのアルカリ性のためにそれが容易に重合するため、畑への散布にある。加えて、散布は、人件費及び試薬自体の費用の増加を示す。まず第一に、製品を単独又はアルカリ混合物のいずれかで散布するためにより多くの人員が必要となるので人件費が増加し、また投与がより頻繁になるので散布時間が増加する。他方では、ケイ酸カリウムのみを使用して散布を行なう場合には、より高濃度である必要があるため、試薬の費用がより高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許CN101440001
【文献】特許US20100016162
【文献】特許US5183477
【非特許文献】
【0009】
【文献】「A proposed history of silicon fertilization」Matichenkovら、Studies in plant science、2001、8、36
【文献】「Silicon and Plant Diseases」、Fabricio R.ら、Springer. 2015
【文献】Elements of agricultural chemistry: in a course of lectures for the Board of Agriculture、David H、1819
【文献】「Mineral nutrition and plant disease」Datnoffら、The American Phytopathological Society、2007、233~246
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ケイ酸カリウム、pH調整剤、乳化剤及び溶媒を含む液体肥料組成物の調製について記述しており、この組成物は、pHが4.5~6であり、粒径が5~40μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のケイ酸塩肥料組成物は、葉面散布のおかげで固体保護層を生成することを特徴とし、それによって病原体が適切に機能しないようにされる。その上、組成物は気孔又は細胞壁を介して植物に入るため、一般的な農業要素との間の高度で完全な適合性を有し、かつ、植物の構成要素になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】有害生物の発生(ツマジロクサヨトウ(Spodoptera Frugiperda))を評価するための方法論を示す図であり、ここで、1)は下部3分の1、2)は中部3分の1及び3)は上部3分の1である。
図2】生物季節学的段階に基づく散布時期を示す図である。
図3】植物全体の菌類病(斑点病)の発生率を示す図である。
図4】ツマジロクサヨトウによる穂軸全体への被害の発生率を示す図である。
図5】正味質量をkg、キログラム単位で示す、トウモロコシ収穫の変数のまとめを示す図である。
図6】各処理の収量g/m2を示す図である。
図7】処理による中空植物の割合を示す図である。
図8】毛状べと病(Pernospora Sparsa)進行の、処理による進行面積を示す図であり、黄色い点は、Missile K散布の日である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ケイ酸カリウム、pH調整剤、乳化剤及び溶媒を含む液体肥料組成物及びその調製方法に対応し、この組成物は、pHが4.5~6であり、粒径が5~40μmであることを特徴とする。特に、この組成物は、農業用途の要素と間の高度で完全な適合性を有し、種々の病原体が原因である植物病害の予防及び抑制に有用であることを特徴としている。したがって、この組成物は、環境への影響が少ない肥料及び殺菌剤として農産業において有用性を有する。
【0014】
本発明は、液体肥料組成物及びその調製方法に対応し、この組成物は、植物の必須の栄養素として機能し、植物のより良い成長と繁殖をもたらし、種々の栄養素との間で優れた適合性を示し、気孔又は細胞壁を介して植物に体系的に入ることを可能にする。さらに、葉面散布を行なう際に、組成物が保護層を形成し、菌類又は有害生物の適切な機能を妨げるため、有害生物防除剤として使用される。
【0015】
概して、組成物は、ケイ酸カリウム、pH調整剤、乳化剤及び溶媒を含む。
【0016】
本発明の目的において、ケイ酸カリウムは、無機化合物であるとして理解され、最も一般的なケイ酸カリウムは、式K2SiO3を有し、これらは白色固体又は無色溶液である。ケイ酸カリウムは、土壌及び植物の物理的、化学的及び微生物学的構造に修正及び恩恵を施すものである。本発明の組成物は、質量で50~90質量%のケイ酸カリウムを含む。本発明の組成物は、質量で60~80質量%のケイ酸カリウムを含む。
【0017】
pH調節剤は、少量の強い酸又は塩基が添加されたときにpH変化に耐える能力を有する溶液であり、それによって溶液のpH値を制御する。pH調整剤の中には、クエン酸、乳酸、ギ酸、グリコール酸、リンゴ酸、1-ナフトエ酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、亜硝酸、オキソ酢酸、スルファニル酸、メルカプト酢酸、フミン酸、フルボ酸、アミノ酸又はその混合物がある。本発明の組成物は、質量で2~20質量%のpH調整剤を含む。本発明の組成物は、質量で5~17質量%のpH調整剤を含む。本発明の組成物は、質量で8~14質量%のpH調整剤を含む。
【0018】
乳化剤は、通常混和性が低いか若しくは混合が難しい2つの物質の混合物の形成を可能に又は促進する、化合物又は物質である。乳化剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スルホン酸誘導体、ソルビタンエステル(Span)、ポリソルベート(tween)、perlapon EAM(植物油由来の界面活性剤、陰イオン及び非イオン性界面活性剤のブレンド)、大豆油又はその混合物があるが、それだけには限定されない。本発明の組成物は、質量で1~20質量%の乳化剤を含む。本発明の組成物は、質量で5~15質量%の乳化剤を含む。
【0019】
溶媒は、一般に溶質として知られている別の物質を溶解し、溶液として知られている均一な混合物をもたらすことが可能な物質である。溶媒には、水、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン又はその混合物が含まれる。本発明の組成物は、質量で1~50質量%の溶媒を含む。本発明の組成物は、質量で10~40質量%の溶媒を含む。本発明の組成物は、質量で20~30質量%の溶媒を含む。
【0020】
本発明の組成物は、pHが4.5~6であることを特徴とする。本発明の組成物は、pHが5~5.5であることを特徴とする。
【0021】
本発明の組成物は、粒径が5~40μmであることを特徴とする。本発明の組成物は、粒径が15~30μmであることを特徴とする。
【0022】
本発明の組成物はまた、分散剤を含み、その機能は、粒子分離を増やし、凝集を防ぐことである。分散剤の中には、コポリマーアクリル溶液中のポリメチルメタクリレート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(atlox 4913)、キサンタンガム、ポリアリールフェノールエーテルホスフェートのアミン塩組成物(Kapolgen FL又はPerlapon FL)、ポリアルキルナフタレンスルホン酸縮合ホルムアルデヒドのナトリウム塩(Perlapon NSS)、又はその混合物がある。本発明の組成物は、質量で0.05~25質量%の分散剤を含む。本発明の組成物は、質量で5~20質量%の分散剤を含む。本発明の組成物は、質量で10~15質量%の分散剤を含む。
【0023】
本発明の組成物はまた、不凍剤(antifreeze)を含み、その機能は、液体の凝固点を低下させることであり、最終混合物がより低温で凍結しないことを達成する。不凍剤の中には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコールメタノール、エチレングリコール、又はその混合物がある。本発明の組成物は、質量で1~15質量%の不凍剤を含む。本発明の組成物は、質量で5~10質量%の不凍剤を含む。
【0024】
本発明の組成物はまた、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン又はその混合物を含むアミノ酸を含む。本発明の組成物は、質量で1~15質量%のアミノ酸を含む。本発明の組成物は、質量で5~10質量%のアミノ酸を含む。
【0025】
更に、本発明の組成物はまた、キレート剤を含み、キレート剤は、金属イオンを不活性化できる有機物質であり、環状又は環構造の形成を伴い、その中で金属が構造の中心を占め、それによって金属イオンが「キレート化」又は封鎖されることによって通常の化学作用から除外される。キレート剤には、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、リンゴ酸、フマル酸及びムギネ酸、又はその混合物が含まれる。本発明の組成物は、質量で1~25質量%のキレート剤を含む。本発明の組成物は、質量で5~10質量%のキレート剤を含む。
【0026】
本発明の組成物はまた、栄養素を含み、その栄養素は、植物が、成長し、それら自体を維持し、果実及び種子を生産するために必要な化学元素であり、植物は、空気、土壌及び水から栄養素を摂取する。栄養素は、2つのタイプに分けられる:大量に必要となる多量栄養素、その中でも窒素、リン及びカリウム、並びに少量必要となる微量栄養素、その中でもカルシウム、マグネシウム、マンガン、硫黄、亜鉛、鉄、銅、ホウ素、コバルト及びモリブデンが見られる。加えて、栄養素の化学的供給源には、亜リン酸カリウム、亜リン酸、ホウ酸、消石灰、炭酸カリウム、尿素、硫酸亜鉛、硫酸銅、酸化亜鉛、酸化銅、硝酸亜鉛、重過燐酸石灰、粉砕リン鉱石、リン酸アルミニウムカルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、有機質肥料、鶏糞、リン酸重カルシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、又はその混合物が含まれる。本発明の組成物は、質量で1~50質量%の栄養素の化学的供給源を含む。本発明の組成物は、質量で10~40質量%の栄養素の化学的供給源を含む。本発明の組成物は、質量で20~30質量%の栄養素の化学的供給源を含む。
【0027】
本発明の組成物はまた、有機物の分解によって土壌で生成され、植物によって吸収される天然物質であるフルボ酸を含み、これらは、塩基に可溶な腐植質の一部と見なされ、酸性化後に溶液中に残る。本発明の組成物は、質量で1~15質量%のフルボ酸を含む。本発明の組成物は、質量で5~10質量%のフルボ酸を含む。
【0028】
本発明の組成物は、様々な種類の微生物の存在が原因である腐敗を阻止又は最小限にする物質である防腐剤を含む。防腐剤の中には、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸カルシウム、又はその混合物がある。本発明の組成物は、質量で0.01~5質量%の防腐剤を含む。本発明の組成物は、質量で1~4質量%の防腐剤を含む。本発明の組成物は、質量で2~3質量%の防腐剤を含む。
【0029】
本発明の組成物は、ケイ酸カリウム、クエン酸、乳酸、perlapon EAM、大豆油、atlox 4913、キサンタンガム、プロピレングリコール及び水を含み、前記組成物は、ケイ酸塩系組成物である。
【0030】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ケイ酸塩系組成物と、それに加えてアミノ酸、キレート剤、栄養素、フルボ酸及び保湿剤、又はその混合物を含む追加成分を含み、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の10~98質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の20~88質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の30~78質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の40~68質量%を占める。
【0031】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ケイ酸塩系組成物と、それに加えて亜リン酸カリウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、EDTA、キサンタンガム及びソルビン酸カリウムを含み、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の10~98質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の20~88質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の30~78質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の40~68質量%を占める。
【0032】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ケイ酸塩系組成物と、それに加えて消石灰、亜リン酸、炭酸カリウム、硫酸亜鉛、EDTA、ホウ酸、尿素、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム及び水を含み、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の10~98質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の20~88質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の30~78質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の40~68質量%を占める。
【0033】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ケイ酸塩系組成物と、それに加えてフルボ酸、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム及び水を含み、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の10~98質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の20~88質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の30~78質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の40~68質量%を占める。
【0034】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ケイ酸塩系組成物と、それに加えてアミノ酸、キサンタンガム、ソルビン酸カリウム及び水を含み、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の10~98質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の20~88質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の30~78質量%を占める。別の実施形態では、ケイ酸塩系組成物は、質量で組成物の40~68質量%を占める。
【0035】
別の実施形態では、本発明の組成物の懸濁液の粒径は、2~15μmである。
【0036】
本発明はまた、本発明の液体組成物を調製するための方法を含む。この方法は:
a) 混合タンクで溶媒を撹拌すること;
b) 混合タンクで乳化剤及び分散剤を混合すること;
c) b)の混合物にa)の溶媒を加え、撹拌すること;
d) 混合物(c)にpH調整剤及び不凍剤を加えること;
e) ケイ酸カリウムを加えること;
f) e)で得られた混合物に分散剤を加えること
g) 再循環させること;
h) 粉砕すること;
i) 第2の磨砕を行なうこと;
j) (i)から得られた混合物を分散剤と混合すること
を含む。
【0037】
本発明において、混合タンクは、開放容器と、シャフトに取り付けられ、電気モーターで駆動する機械撹拌機又はインペラーとで構成されている。加えて、撹拌機は、シャフトに取り付けられ、最上部から吊るされ、750~950rpmの速度を可能にする。シャフトは、モーターによって駆動され、モーターに接続されているが、より頻繁には、減速ギヤボックスを介して接続されている。
【0038】
本発明の方法の段階b)は、追加の容器で乳化剤及び分散剤を混合することを含み、混合物は、750~950rpmの速度で溶液が乳化するまで5~30分撹拌される。
【0039】
本発明の方法の段階c)は、段階a)の混合タンクを作動させ、段階b)の混合物を加え、750~950rpmの速度で撹拌プロセスを開始することを含む。
【0040】
混合タンク撹拌機は、パドル型又はブレード型撹拌機を含む。これらの撹拌機は、回転シャフトに取り付けられたフラットブレードで構成されており、液体の流れには、ブレードの平面内に大きな半径方向成分と、大きな回転成分もある。パドル型又はブレード型撹拌機は、簡単な混合操作、例えば、混和性液体の混合又は固体生成物の溶解に有用である。
【0041】
本発明の方法の段階d)は、pH調整剤及び不凍剤を加え、均一な溶液が得られるまでそれらを15~20分間混合することを含む。
【0042】
本発明の方法の段階e)は、ケイ酸カリウムをゆっくり加え、750~950rpmの速度で15分~25分間撹拌することを含む。
【0043】
本発明の方法の段階f)は、分散剤を加え、混合物を750~950rpmの速度で30~60分間撹拌することを含む。
【0044】
本発明の方法は更に、組成物の密度及びpHを測定することを含む。
【0045】
化学プロセスを実施した後、段階f)で得られた混合物は、乳化剤を用いて再循環プロセスによって粉砕装置に通す。
【0046】
本発明の方法の段階h)は、約40~80μmの粒子減少を目指してコロイドミルで第1の磨砕を行なうことを含む。
【0047】
コロイドミルは、ストレート又はクロス歯を有する高速回転ローター及びステーターを用いて、微細砕(micro-grinding)、混合、乳化、均質化及び分散するために使用される。ミルを駆動すると、磨砕チャンバー内で高周波振動が発生し、したがって混合物を導入すると、振動に伴う流体力学的ポテンシャルの低下が原因である空洞化効果によって強化された作用が開始する。
【0048】
本発明の方法の段階i)は、約5~30μmの粒径が得られるまでコロイドミル又はジルコニウムビーズミルで第2の磨砕を行なうことを含む。
【0049】
磨砕段階は、当業者に既知のもの等、固定された円筒状容器を含むボールミルで実施することができる。円筒の軸は、水平又は水平に対して小さな角度のいずれかである。それは、ボールで部分的に充填されている。研磨媒体は、セラミック又はジルコニウム(0.6mm~2mmのビーズ)でできている。円筒の内面は通常、マンガン鋼等の耐摩耗性材料がちりばめられている。ボールミルは、水平シャフトの周りで回転し、研磨される材料と研磨媒体で部分的に充填されており、内部カスケード効果によって材料が微粉末に縮小する。
【0050】
加えて、ボールミルは、古典的な磨砕及び混合プロセスにおいて非常に微細な粒度分布を得るために使用される。他方では、ボールミル内の遠心力は極めて高く、非常に短い磨砕時間をもたらす。ボールミルには、サブミクロン範囲まで強力に速く磨砕されるという利点があり、エネルギーと速度が調整可能であり、再現可能な結果が保証される。加えて、ボールミルは、乾式及び湿式磨砕が実施できる長期試験に適している。
【0051】
ボールミルは、0~30μmと0~200μmの間の鉱石粒径を得るために本発明で使用される。
【0052】
臨界速度は、ミルが達成する最低回転速度であり、したがって生成された遠心力がボールをミルライナーを突くのに十分な速度である。ここで、方法ボールミルは通常、ミルの直径に応じて、臨界速度の72~77%の速度で動作する。
【0053】
装填体積は、ミル内に装填されたボールが占める体積を示し、ボール間の空き空間も考慮し、ミル内の総体積の割合として表される。ミルが静止している(空)ときの装填体積は、ミルが同じ装填量のボールで回転している(荷重がかかっている)ときよりも少なく、ボールミルが40~45%の充填度(オーバーフロー排出)で動作し、場合によっては最大50%(篩排出)に達することがある。
【0054】
磨砕すべき材料の種類には、軟質、硬質、脆性、乾燥繊維状又は湿式材料が含まれる。
【0055】
本発明の方法の段階j)は、0.5~3グラム/Lの分散剤を撹拌し、30~60分間撹拌することを含む。
【実施例
【0056】
(実施例1)
液体肥料組成物の調製方法:
液体ケイ酸塩系肥料組成物の調製のために、溶媒を反応タンクに加える。すぐに、タンク内で750~950rpmの速度で撹拌を開始し、予め混合した乳化剤と分散剤を加える。予め形成した混合物を、溶液が乳化するまで10分間撹拌する。pH調整剤及び不凍剤を乳濁液に加え、pH調整剤が完全に混合物に溶解し、均一な溶液が得られるまで15~30分間絶えず撹拌する。また、少量のケイ酸カリウムを加え、一定の撹拌を5~30分間維持する。続いて、形成した混合物を、再循環プロセスによって粉砕装置に移し、乳化剤を任意選択で使用してもよく、その場合、コロイドミルによって粉砕プロセスを開始し、約40~80μmの粒径が得られる。すぐに、粒径が10μmに減少するまで粒子をジルコニウムビーズミルに通す。分散剤を、形成した粒子と混合し、30分間撹拌する。懸濁液の最終体積をチェックし、必要に応じて水で調整する。最後に、100cm3試料を採取し、懸濁液の密度及びpHを測定する。
【0057】
(実施例2)
ケイ酸塩に基づく液体肥料組成物の調製:
ケイ酸塩に基づく液体肥料組成物の調製のために、120cm3の水を反応タンクに加える。すぐにタンクの撹拌を開始し、60cm3の大豆油、20gのEAM perlapon及び15gのatlox 4913を加える。この予め形成した混合物を、油が乳化するまで10分間撹拌する。乳濁液に、乳酸80g、プロピレングリコール90g及びクエン酸135gを加え、クエン酸が完全に混合物に溶解し、均一な溶液が得られるまで10~40分間絶えず撹拌する。また、少量のケイ酸カリウム(900g)を加え、撹拌を10~40分間一定に保持する。続いて、形成した混合物を、乳化剤を用いて再循環プロセスによって粉砕装置に移し、そこでコロイドミルによって粉砕プロセスを開始して、約30~100μmの粒子を得る。直後に、粒径が10μmに減少するまで粒子をジルコニウムビーズミルに通す。次に、予め水和したキサンタンガム1gを、形成させた粒子と混合し、30分間撹拌する。懸濁液の最終体積をチェックし、必要に応じて水で調整する。最後に、100cm3の試料を採取し、懸濁液の密度及びpHを測定する。
【0058】
【表1】
【0059】
このケイ酸塩基剤を、後述の実施例に使用する。
【0060】
(実施例7)
ケイ酸塩及びCu/Znに基づく液体肥料組成物の調製(SIKONFERT銅亜鉛):
ケイ酸塩及びCu/Znに基づく液体肥料組成物の調製のために、亜リン酸カリウム150Lを混合タンクに加える。撹拌を開始し、硫酸銅25.2kg、硫酸亜鉛27kg及びEDTA 15kgを加え、30分間撹拌する。続いて、実施例1~6で調製したケイ酸塩基剤135Lを加え、混合物の撹拌を30分間継続する。次いで、キサンタンガム0.75kg(ソルビン酸カリウム0.15kgで予め水和させたもの)を混合物に加え、1時間撹拌する。
【0061】
【表2】
【0062】
(実施例11)
ケイ酸塩及び亜リン酸塩に基づく液体肥料組成物の調製(SIKONFERT亜リン酸塩):
ケイ酸塩及び亜リン酸塩に基づく液体肥料組成物の調製のために、水195Lを混合タンクに加え、撹拌を開始し、消石灰27kgを加える。続いて、亜リン酸72.6kg及び炭酸カリウム9kgをゆっくり加え、溶液を撹拌し、粒子を24時間放置して沈殿させ、その後ろ過プロセスを実施する。前述のろ液に、硫酸亜鉛27kgを加え、絶えず撹拌し、EDTA 15kg、ホウ酸9kg、尿素21kg及び実施例1~6で調製したケイ酸塩基剤39Lを加え、混合物を30分間撹拌する。キサンタンガム1.2kg(ソルビン酸カリウム0.15kgで予め水和させたもの)を加え、混合物を30分間撹拌する。
【0063】
【表3】
【0064】
(実施例15)
ケイ酸塩及びフルボ酸に基づく液体肥料組成物の調製(MISILK 360):
ケイ酸塩及びフルボ酸に基づく液体肥料組成物の調製のために、絶えず撹拌しながら水5.39Lを混合タンクに加える。実施例1~6で予め調製したケイ酸塩基剤257.74L及びフルボ酸21.67kgを加える。続いて、キサンタンガム0.35kg(ソルビン酸カリウム0.56kgで予め水和させたもの)を溶液に加える。最後に、懸濁液の最終体積をチェックし、必要に応じて水で調整する。
【0065】
【表4】
【0066】
(実施例19)
ケイ酸塩及びアミノ酸に基づく液体肥料組成物の調製(NITROSIL K):
ケイ酸塩及びアミノ酸に基づく液体肥料組成物の調製のために、水5.44Lを混合タンクに加え、撹拌プロセスを開始する。次いで、実施例1~6で予め調製したケイ酸塩基剤267.37L及び80%遊離アミノ酸16.69kgを加える。続いて、キサンタンガム0.3kg(ソルビン酸カリウム0.6kgで予め水和させたもの)を溶液に加え、混合物を1時間撹拌する。
【0067】
【表5】
【0068】
(実施例23)
トウモロコシにおけるコドリン蛾、ツマジロクサヨトウの防除のためのケイ酸塩に基づく液体肥料組成物の使用の効果。
評価は、海抜300メートルの緯度にあるPuerto Gaitan、Metaの自治体において、トウモロコシ品種BM709が200ヘクタールで実施した。完全無作為化設計を、silicon F 1.0l/ha及び散布なしの商品パターン(commercial pattern)の2つの処理で使用し、5回の反復実験を行なった。評価は、10個の植物で実施し、1回の処理につき15日の頻度で4回の散布を行ない、使用した水の量は1回の散布当たり175l/Haであった。無作為サンプリングを、2つの評価を行なう1処理毎に50個の植物で実施した。1回目では、図1に示すとおりの植物の各3分の1でのツマジロクサヨトウの発生率を評価し、ここで、1)は、下部3分の1、2)は中部3分の1、3)は上部3分の1である。
【0069】
その後、2回目の評価を実施し、植物全体の有害生物の発生率及び被害率を評価し、最終的に1ヘクタール当たりの収量(Kg/Ha)の最終値を得た。散布を、生物季節学的段階(v2- v3)、(v4-v5)、(v6-v7)及び(v8-v9)で行なった。図2に示すとおりである。
【0070】
【表6】
【0071】
幼虫の数とツマジロクサヨトウによる被害率の分散分析及びTukeyの平均比較検定を、統計プログラムInfostat. Version 2017で実施して、処理間の違いを確立した。
【0072】
【表7】
【0073】
Table 2(表7)に示されているように、植物の各3分の1に対するツマジロクサヨトウによる被害率は、下部及び中部3分の1で有害生物の影響が最少である製品SILICON Fで処理した植物の4.5%と比較すると、対照処理においては21.2%とはるかに顕著であり、これは、製品SILICON Fが、ツマジロクサヨトウの攻撃への予防効果を有することを示す。
【0074】
更に、グラフ1は、トウモロコシ作物に適用された処理間の有意差を示しており、商品パターン処理と比較して、植物の3分の1の被害率がより低いのはSILICON F処理である。更に、Table 3(表8)では、有意水準95%でTukeyの平均の比較が観察されており、ツマジロクサヨトウが原因である被害については、処理間及び植物の各3分の1間で有意差がある。
【0075】
【表8】
【0076】
次に、2回目の評価は、1が完全に健康で、9が完全に影響を受けているという尺度に従って、植物全体の病気の発生率を評価するために実施した。図3に示すとおり、菌類複合体の発生率は、30%の差がある商品参考物の処理と比較して、SILICON Fで処理したトウモロコシ植物への影響がより少なかった。統計的に、Tukeyの平均値の比較でも有意差を示した。
【0077】
更に、収量評価に関して、プロットのキログラム単位の質量値が得られると、製品SILICON Fを使用した処理で1ヘクタール当たりのキログラムの増加が大きくなり、パターン処理に対して889Kgの利点があった。Table 4(表9)に示すとおり、収量変数には有意差がある。
【0078】
更に、収量評価に関して、プロットのキログラム単位の質量値が得られると、製品SILICON Fを使用した処理で1ヘクタール当たりのキログラムの増加が大きくなり、パターン処理に対して889Kgの利点があった。Table 4(表9)に示すとおり、収量変数には有意差がある。
【0079】
【表9】
【0080】
この点に関しては、Tukeyの平均値の比較は、収量変数の有意度が95%で、処理間で有意差を示す。
【0081】
【表10】
【0082】
最後に、以下のTable 6(表11)~Table 9(表14)に示すとおり、葉の分析を実施した:
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
ここで、商品パターンの処理では2.25%を得たが、SILICON Fの処理では、2.71%の値で葉のケイ素濃度が増加することは明らかである。
【0088】
結論として、製品SILICON Fは、トウモロコシ植物に好ましい効果が得られ(図5)、これは、茎、葉及び穂軸へのツマジロクサヨトウ幼虫の攻撃に対する物理的-力学的耐性に関するケイ素の利点を再度裏付けており、SILICON Fが、有害生物及び病気の攻撃に対してより良い反応を示したので、そのような被害に対して30%の間で減少した。更に、SILICON Fは、穂軸が形成される植物の中部3分の1の被害を29%減少させるのに役立つ。最後に、SILICON F処理によって、植え溝への光の侵入が少なくなり、葉がより膨張し、厚みが増すことが観察された。
【0089】
(実施例24)
イネ作物Oriza Sativa L.の成長及び発達に対するSIKONFERT Cu/Zn散布の効果。
試験は2つのフェーズで実施し、1つ目では、製品の植物毒性を評価し、2つ目では、収量変数を異なる用量から評価する:
- 植物毒性試験
【0090】
植物毒性試験は、イネ植物に対する製品SIKONFERT Cu/Znの効果を評価するために実施した。試験は、Ibague市、Tolima(コロンビア)で、400m2の面積で伝統的なばらまき栽培でイネについて実施した。植物毒性試験には、NTC 736「従来の用途をシミュレートする植物毒性を決定するための試験(tests to determine the phytotoxicity simulating conventional applications)」の尺度を使用した。
【0091】
【表15】
【0092】
2.5L/Haの用量で散布を3回実施し、これは評価する最大用量の2倍に相当し、散布は、15日毎に20メートルのストリップで実施した。
【0093】
【表16】
【0094】
畑の設計を以下のTable 12(表17)に示す。
【0095】
【表17】
【0096】
30 DDS(最高分げつ)、50 DDS(原基形成)及び65 DDS(最大倒伏)で散布を3回行なった。
【0097】
次に、図6に示すとおり、収量に関して、最良の応答は、1.25L/Haの水稲(8855kg/Ha)の用量を散布することによって示され、8349kg/Haが得られたパターン処理と比較して506kg/Ha多くなり、この増加は、規定した日付に製品を散布すると6.0%に相当し、1m2当たりの穂の数、完全な穀粒の数の増加、千個の穀粒のより良い質量、空の穀物の割合の減少を全体的に改善するのに役立つ。
【0098】
1m2当たりの穂の数は、農業従事者が使用する従来の播種システム(空中)に影響を受け、少し変化した。平均して、1m2当たり300~350穂が見られ、製品SIKONFERT Cu/ZNの散布がより多い植物では、直立した穂がより多く、その構造の一貫性がより高いことは注目に値する。
【0099】
穀粒の質量は、製品SIKONFERT Cu/Znの散布によって影響を受け、特に1及び1.25L/Haの最高用量では、穀粒のグラムで7.0~10質量%に増加した。
【0100】
パイリング指数(PI)は、整数である評価者と精米時の脱穀の結果であるブランク(rp)との乗算である。
【0101】
粉砕分析について話すとき、最も重要な用語は、PIであり、これは、NTC 519に記載されているように、不純物を含まない乾燥した水稲の籾摺りと精米から生じる完全粉砕された穀粒の割合に相当する。
【0102】
【表18】
【0103】
【表19】
【0104】
3つの処理の粉砕分析では、Table 14(表19)及び図7は、シェリング指数、白色穀粒、白色破砕及び全粒及び破砕穀粒の違いを示す。この利点は、ケイ素、銅及び亜鉛等の元素との組成により、製品SKINOFERT Cu/Znに起因し、穀粒の充填と品質を改善する栄養素の動員に役立つ。
【0105】
【表20】
【0106】
概算費用便益予測については、試験評価時に得られた1m2当たりの収量に基づいて費用を決定し、SKINOFERT Cu/Zn肥料1リットルの価値が$25,000ペソ(仮想)であることを考慮した。
【0107】
純利益は、粗利益から散布の総コストを差し引いた差を得ることにより、各処理について決定された。販売価格は、収穫日の粉砕報告から採られた。利益は、製品SIKONFERT Cu/Znで処理した処理の純利益とパターンの差から得られた割合である。
【0108】
【表21】
【0109】
結論として、イネ作物への製品SKINOFERT Cu/Znの適用量は、パターン処理と比較して収量にプラスの影響を与えた。また、製品SIKONFERT Cu/Znは、植物の成長と発達を刺激し、葉により直立した構造と、葉により多くの着色、より抵抗力のある茎と、より多くの分げつ数、より少ない斑点及び空の穀粒をもたらす。最後に、SIKONFERT Cu/Znを散布すると、穀粒の質量と1m2当たりの穂の数が増加した。
【0110】
(実施例25)
バラ品種Orange Crushにおけるべと病の攻撃に対する物理的機械抵抗の寄与におけるMISILK 360の効果の評価。
Missile Kの溶液を、40床のバラ、Orange Crush品種に、15cc/床の用量、隔週の頻度で16週間、完全生産で散布した。
【0111】
散布を、40床のモジュールで実施した。噴霧器の排出口は、モジュールの空気放出弁に接続され、30リットルの量のMissile Kの混合物に加えて、130リットルに相当する体積の施肥灌漑プログラムを注入した。植物中のケイ素の蓄積を知るために、試験の開始時に葉の試料を採取し、16週の試験終了時にも採取した。
【0112】
製品Misil Kは、単独で、又は施肥及び/若しくは衛生の観点で作物の一般的な処理のためにプログラムされた他の製品と混合して適用することができる。病原体べと病(Peronospora sparsa、Berkeley)の発生の測定は、ケイ素で処理された品種と、ケイ素で処理されていない隣接する品種と同じ品種の床の発生レベルを比較する畑で行なわれた。
【0113】
バラ植物に対するべと病の発生率から得られたデータは、処理間で有意差を示し、ここで、製品mil Misil Kの適用効果が見られ、病気の発生率が96%減少し、より健康な植物を示し、靭性が向上する。
【0114】
【表22】
【0115】
図8に示すとおり、それぞれの処理の日々の過程での病気の進行の挙動は、栽培処理と比較して、Missile K処理の毛状べと病の発生率がより低い。有意水準95%のLDS FISHERの平均値の比較のTable 17(表22)によれば、有意差がある。
【0116】
【表23】
【0117】
次に、Table 19(表24)は、各処理の病気の進行を示し、得られた計算値は、Misil K処理で1.25%、栽培処理で37.6%のおよその毎日の成長率を示し:この場合も植物に機械抵抗をもたらす製品Misil Kの有効性が検証されている。
【0118】
【表24】
【0119】
【表25】
【0120】
結論は、Misil K製品を用いた16週の散布期間、バラ植物において隔週の散布頻度で、96%の差で対照処理と比較して、(わずかに異なる環境条件及びはるかに高い疾病圧力で様々なブロックにあったが、同じ品種と同じ基質であるという原則を維持していることを考慮して)病気の発生率を一定に維持することが可能であった。ケイ素散布が終了した2018年の第3週のTable 18(表23)に示すとおり、病気の発生が復活するため、管理期間の効果は約15日である。
【0121】
最後に、葉の分析は、葉へのケイ素の蓄積効果を示し、2回目の摂取では、最初の摂取と比較して1043ppm増加した。上記を考慮すると、製剤は植物内で移動可能であると結論付けられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8