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特許7487233ハニカム挿入物を備えた車両用構造体と、その製造および使用法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ハニカム挿入物を備えた車両用構造体と、その製造および使用法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20240513BHJP
   B60R 19/03 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
B62D21/15 B
B60R19/03 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021572428
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020036319
(87)【国際公開番号】W WO2020247745
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】19178988.2
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムンジュルリマナ ディネシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴディ ヴァムシー
(72)【発明者】
【氏名】ベンカト ソマセカール ボッバ
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ ハリンドラナス
(72)【発明者】
【氏名】パラメシュワラ アルナチャラ
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-066830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210426(US,A1)
【文献】特開2017-001553(JP,A)
【文献】特開平06-226891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 - 67/00
B60R 19/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の構造部材であって、
プレート部材と、
前記車体の一部の外装を形成し、前記プレート部材と繋がっているフェイシャ部材と、
エネルギー吸収装置と、を有し、
前記フェイシャ部材と前記プレート部材との間に、前後軸に沿って延びるキャビティが画定され、
前記エネルギー吸収装置は前記キャビティ―内にあり、
前記エネルギー吸収装置が、前後軸に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管を持つハニカム体を含み、
前記ハニカム体が、
内側部分と、
外側部分と
を含み、
前記内側部分が、前後軸に沿って配置され、内側部分曲げ剛性を持ち、
前記外側部分が、前後軸の外側に配置され、前記ハニカム体の前記内側部分と繋がっており、
前記外側部分が、外側部分曲げ剛性を持ち、
前記ハニカム体の前記外側部分曲げ剛性が、前記ハニカム体の前記内側部分曲げ剛性よりも大きく、
前記ハニカム体の前記内側部分は、前記プレート部材に接していることを特徴とする車体の構造部材
【請求項2】
請求項1に記載の車体の構造部材であって、前記の複数の管が、前記ハニカム体の前記内側部分と前記外側部分とを通って伸びており、前記ハニカム体の前記内側部分において内側輪郭を形作り、前記ハニカム体の前記外側部分において外側輪郭を形作り、前記の複数の管のそれぞれの前記外側輪郭が、前記の複数の管のそれぞれの前記内側輪郭と異なることを特徴とする車体の構造部材
【請求項3】
請求項2に記載の車体の構造部材であって、前記外側輪郭が、中にリブを配置した六角形であり、前記内側輪郭が、中にリブを配置していない六角形であること;前記外側輪郭が円形であり、前記内側輪郭が六角形であること;前記外側輪郭が四角形であり、前記内側輪郭が六角形であること;前記外側輪郭が三角形であり、前記内側輪郭が六角形であることのうちの1つ以上を有することを特徴とする車体の構造部材
【請求項4】
請求項2に記載の車体の構造部材であって、前記の複数の管の形が、前記外側輪郭から前記内側輪郭へ連続的に変化することを特徴とする車体の構造部材
【請求項5】
請求項1に記載の車体の構造部材であって、前記ハニカム体が更に、前記ハニカム体の前記内側部分と前記ハニカム体の前記外側部分とを繋ぐ中間部分を含み、前記中間部分が中間部分曲げ剛性を持ち、前記中間部分曲げ剛性が前記外側部分曲げ剛性よりも小さいことを特徴とする車体の構造部材
【請求項6】
請求項に記載の車体の構造部材であって、前記の複数の管のそれぞれが、前記ハニカム体の前記内側部分と前記中間部分と前記外側部分とを通って伸びていることを特徴とする車体の構造部材
【請求項7】
請求項に記載の車体の構造部材であって、前記の複数の管のそれぞれの前記中間部分の輪郭が、前記ハニカム体の前記外側部分または前記内側部分の管の輪郭と異なることを特徴とする車体の構造部材
【請求項8】
請求項に記載の車体の構造部材であって、前記の複数の管が、前記ハニカム体の前記外側部分において円形をしており、前記ハニカム体の前記内側部分において六角形をしており、前記ハニカム体の前記中間部分において六角形をしており、前記ハニカム体の前記中間部分において、それぞれの管にリブが配置されていることを特徴とする車体の構造部材
【請求項9】
請求項1に記載の車体の構造部材であって、
前記ハニカム体が更に、
アウター(outer)部分曲げ剛性を有する第1セグメントと、
前記第1セグメントに隣接し、前後軸に沿って、前記第1セグメントと軸方向に並置(offset)された第2セグメントとによって画定され、
前記第2セグメントが、前記アウター部分曲げ剛性よりも大きい外側部分曲げ剛性を持つことを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項10】
請求項に記載の車体の構造部材であって、前記第2セグメントを形成する管の外側部分深さが、前記ハニカム体の前記第1セグメントを形成する管の内側部分深さよりも大きいことを特徴とする車体の構造部材
【請求項11】
車体であって、
前記車体が、
請求項1に記載の構造部材を含み、
前記構造部材が、ピラー、フロアロッカ、ルーフレール、レールエクステンション、およびピラーを含む群より選ばれ
前記ハニカム体が更に、
アウター(outer)部分曲げ剛性を有する第1セグメントと、
前記第1セグメントに隣接し、前後軸に沿って、前記第1セグメントと軸方向に並置された第2セグメントであって、前記第2セグメントが外側部分曲げ剛性を持ち、前記外側部分曲げ剛性が前記アウター部分曲げ剛性よりも大きい、第2セグメントと、
記エネルギー吸収装置の前記第1セグメントに隣接する位置で前記プレート部材と接している支持体と、によって画定され、
前記支持が、前記エネルギー吸収装置の前記第2セグメントに隣接する位置では、前記プレート部材の少なくとも一部と接していないことを特徴とする車体。
【請求項12】
エネルギー吸収装置であって、
前後軸に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数のチューブを持つハニカム体を有し、
前記ハニカム体は、
前後軸に沿って配置され、内側部分曲げ剛性を有する内側部分と、
前後軸の外側に配置され、前記ハニカム体の前記内側部分と繋がっている外側部分であって、外側部分曲げ剛性を有する、外側部分と、を備え、
前記ハニカム体の外側部分曲げ剛性は、前記ハニカム体の内側部分曲げ剛性よりも大きく、
前記ハニカム体は更に、
アウター(outer)部分曲げ剛性を有する第1セグメントと、
前記第1セグメントに隣接し、前後軸に沿って、前記第1セグメントと軸方向に並置された第2セグメントとによって画定され、
前記第2セグメントが、前記アウター部分曲げ剛性よりも大きい外側部分曲げ剛性を持つことを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項13】
請求項12に記載のエネルギー吸収装置であって、前記複数の管が、前記ハニカム体の前記内側部分と前記外側部分とを通って伸びており、前記ハニカム体の前記内側部分において内側輪郭を形作り、前記ハニカム体の前記外側部分において外側輪郭を形作り、前記の複数の管のそれぞれの前記外側輪郭が、前記の複数の管のそれぞれの前記内側輪郭と異なることを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項14】
請求項13に記載のエネルギー吸収装置であって、前記外側輪郭が、中にリブを配置した六角形であり、前記内側輪郭が、中にリブを配置していない六角形であること;前記外側輪郭が円形であり、前記内側輪郭が六角形であること;前記外側輪郭が三角形であり、前記内側輪郭が六角形であることのうちの1つ以上を有することを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項15】
請求項13に記載のエネルギー吸収装置であって、前記の複数の管の形が、前記外側輪郭から前記内側輪郭へ連続的に変化することを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項16】
請求項12に記載のエネルギー吸収装置であって、前記ハニカム体が更に、前記ハニカム体の前記内側部分と前記ハニカム体の前記外側部分とを繋ぐ中間部分を含み、前記中間部分が中間部分曲げ剛性を持ち、前記中間部分曲げ剛性が前記外側部分曲げ剛性よりも小さいことを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項17】
請求項16に記載のエネルギー吸収装置であって、前記の複数の管のそれぞれが、前記ハニカム体の前記内側部分と前記中間部分と前記外側部分とを通って伸びていることを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項18】
請求項16に記載のエネルギー吸収装置であって、前記の複数の管のそれぞれの前記中間部分の輪郭が、前記ハニカム体の前記外側部分または前記内側部分の管の輪郭と異なることを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項19】
請求項16に記載のエネルギー吸収装置であって、前記の複数の管が、前記ハニカム体の前記外側部分において円形をしており、前記ハニカム体の前記内側部分において六角形をしており、前記ハニカム体の前記中間部分において六角形をしており、前記ハニカム体の前記中間部分において、それぞれの管にリブが配置されていることを特徴とするエネルギー吸収装置。
【請求項20】
請求項12に記載のエネルギー吸収装置であって、前記第2セグメントを形成する管の外側部分深さが、前記ハニカム体の前記第1セグメントを形成する管の内側部分深さよりも大きいことを特徴とするエネルギー吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、車体用のエネルギー吸収装置、より詳しくは、エネルギー吸収装置の奥行きおよび前後長の一方または両方に沿って曲げ剛性の変化するエネルギー吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業では、燃料効率と排出に関する政府規制に対応するため、乗用車の重量を減らし続けている。車両構造の金属構造体、例えば、“ホワイトボディ(body-in white)”は、一般に車両の全重量のかなりの部分を占めているため、車両構造に使用する鋼鉄の量を減らすことで、車両の燃料効率と排出を改善することができる。しかし、鋼鉄をアルミやプラスチックなど、より軽い材料に替えて車両構造重量を低減すると、通常、車両力学、耐久性、および耐破壊性に影響する主要特性である、車体の剛性が代わりに低下してしまう。このため、車両設計者は、一般に、構造体の軽量化のために使用できる軽い材料の範囲を、車両構造の剛性が保たれる範囲に制限される。このため、車両構造の動力学、耐久性、および/または耐破壊性に悪影響を及ぼさない、より軽い車両構造体が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/210426号明細書
【文献】米国特許第6004006号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/057060号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなエネルギー吸収装置、構造部材、および車体は、その目的には一般に許容できるものであった。しかし、本技術分野において、より改善されたエネルギー吸収装置、構造部材、および車体が求め続けられている。本発明では、この要求に対する解決法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前後軸に沿って、互いに横方向に積み重ねた2つ以上の管を持つハニカム体を含むエネルギー吸収装置である。ハニカム体は、内側部分と外側部分とを含む。ハニカム体の内側部分は前後軸に沿って配置され、内側部分曲げ剛性を持つ。ハニカム体の外側部分は前後軸の外側に配置され、ハニカム体の内側部分と繋がっていて、外側部分曲げ剛性を持つ。外側部分の外側部分曲げ剛性は、内側部分の内側部分曲げ剛性よりも大きい。
【0006】
プレート部材と、フェイシャ部材と、上記のエネルギー吸収装置とを含む車体用構造部材であって、フェイシャ部材はプレート部材と繋がっていて、フェイシャ部材とプレート部材との間が空洞となっており、エネルギー吸収装置は、この空洞内に支持されている。ハニカム体の内側部分はプレート部材と接しており、ハニカム体は更に、ハニカム体の内側部分とハニカム体の外側部分とを繋ぐ中間部分を含み、中間部分は中間部分曲げ剛性を持ち、中間部分曲げ剛性はハニカム体の外側部分曲げ剛性よりも小さい。
【0007】
構造部材と支持部材とを含む車体であって、構造部材は、ピラー、フロアロッカ、ルーフレール、レールエクステンション、およびバンパービームを含む群より選ばれ、構造部材は、プレート部材と、フェイシャ部材と、上記のエネルギー吸収装置とを含み、フェイシャ部材はプレート部材と繋がっていて、フェイシャ部材とプレート部材との間が空洞となっており、エネルギー吸収装置は、この空洞内に支持されていて、ハニカム体の内側部分はプレート部材と接している。ハニカム体は更に、第1セグメントと、第2セグメントとを含み、第1セグメントは第1セグメント曲げ剛性を持ち、第2セグメントは第1セグメントと繋がっていて、前後軸に沿って、第1セグメントと軸方向に並置されており、第2セグメントは、第1セグメント曲げ剛性よりも大きい第2セグメント曲げ剛性を持つ。支持部材は、エネルギー吸収装置の第1セグメントに隣接する位置でプレート部材と接しており、支持部材は、エネルギー吸収装置の第2セグメントに隣接する位置では、プレート部材と接していない。
【0008】
上記およびその他の特徴の例を、以下の図および詳細な記述に示す。
【0009】
以下の図は、例となる実施形態であり、類似の要素には類似した番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1A図1Cはそれぞれ、本発明に従って構成したエネルギー吸収装置を示す、全体斜視図、部分斜視図、および部分断面図であって、構造部材の内部に支持されたエネルギー吸収部材を含む構造部材を備えた車体を示している。
図1B図1A図1Cはそれぞれ、本発明に従って構成したエネルギー吸収装置を示す、全体斜視図、部分斜視図、および部分断面図であって、構造部材の内部に支持されたエネルギー吸収部材を含む構造部材を備えた車体を示している。
図1C図1A図1Cはそれぞれ、本発明に従って構成したエネルギー吸収装置を示す、全体斜視図、部分斜視図、および部分断面図であって、構造部材の内部に支持されたエネルギー吸収部材を含む構造部材を備えた車体を示している。
図2A図2A図2Dはそれぞれ、ある実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、六角形をした複数の管を含むハニカム体の内側および外側部分を示している。
図2B図2A図2Dはそれぞれ、ある実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、六角形をした複数の管を含むハニカム体の内側および外側部分を示している。
図2C図2A図2Dはそれぞれ、ある実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、六角形をした複数の管を含むハニカム体の内側および外側部分を示している。
図2D図2A図2Dはそれぞれ、ある実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、六角形をした複数の管を含むハニカム体の内側および外側部分を示している。
図3A図3Aおよび図3Bはそれぞれ、側柱衝突を受けている図1Aのエネルギー吸収装置を示す時系列図およびグラフであって、エネルギー吸収装置が内側面から外側面へ次第に潰れ、生じる断面力が衝突の初期にピークとなることを示している。
図3B図3Aおよび図3Bはそれぞれ、側柱衝突を受けている図1Aのエネルギー吸収装置を示す時系列図およびグラフであって、エネルギー吸収装置が内側面から外側面へ次第に潰れ、生じる断面力が衝突の初期にピークとなることを示している。
図4A図4A図4Dはそれぞれ、別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、リブの付いた外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図4B図4A図4Dはそれぞれ、別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、リブの付いた外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図4C図4A図4Dはそれぞれ、別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、リブの付いた外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図4D図4A図4Dはそれぞれ、別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、リブの付いた外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図5A図5A図5Dはそれぞれ、更に別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、円形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図5B図5A図5Dはそれぞれ、更に別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、円形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図5C図5A図5Dはそれぞれ、更に別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、円形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図5D図5A図5Dはそれぞれ、更に別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、円形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図6A図6A図6Dはそれぞれ、また別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、三角形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図6B図6A図6Dはそれぞれ、また別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、三角形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図6C図6A図6Dはそれぞれ、また別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、三角形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図6D図6A図6Dはそれぞれ、また別の実施形態による図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、三角形をした管を含む外側部分を持つエネルギー吸収装置を示している。
図7A図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図7B図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図7C図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図7D図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図7E図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図7F図7A図7Fはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置を示す、斜視図、平面図、および部分断面図であって、中間セグメントを持ち、中間セグメントの管の形が内側部分および外側部分の管の形と異なる実施形態を示している。
図8A図8A図8C図1Aのエネルギー吸収装置を示す部分斜視図および部分立面図であって、複数の管の形が内側面と外側面とで異なり、内側面と外側面との間で形が連続的に変化する実施形態を示している。
図8B図8A図8C図1Aのエネルギー吸収装置を示す部分斜視図および部分立面図であって、複数の管の形が内側面と外側面とで異なり、内側面と外側面との間で形が連続的に変化する実施形態を示している。
図8C図8A図8C図1Aのエネルギー吸収装置を示す部分斜視図および部分立面図であって、複数の管の形が内側面と外側面とで異なり、内側面と外側面との間で形が連続的に変化する実施形態を示している。
図9A図9Aおよび図9Bはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図9B図9Aおよび図9Bはそれぞれ、図1Aのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図10A図10Aおよび図10Bはそれぞれ、前後位置による断面力を示すグラフと、エネルギー吸収装置を支持する車体部分の概略図であって、断面力が前後位置に従って、車両構造のクロスバーによる支持と連動して変化することを示している。
図10B図10Aおよび図10Bはそれぞれ、前後位置による断面力を示すグラフと、エネルギー吸収装置を支持する車体部分の概略図であって、断面力が前後位置に従って、車両構造のクロスバーによる支持と連動して変化することを示している。
図11A図11Aおよび図11Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分の内部に配置したリブの深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図11B図11Aおよび図11Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分の内部に配置したリブの深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図12A図12Aおよび図12Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分に形作られた円形輪郭の深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図12B図12Aおよび図12Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分に形作られた円形輪郭の深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図13A図13Aおよび図13Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分に形作られた三角形輪郭の深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
図13B図13Aおよび図13Bはそれぞれ、図9Aおよび図9Bのエネルギー吸収装置の更に別の実施形態によるエネルギー吸収装置を示す斜視図および平面図であって、ハニカム体の外側部分に形作られた三角形輪郭の深さに従って、エネルギー吸収装置の前後長に沿って外側部分曲げ剛性が変化するエネルギー吸収装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
側面衝突の際、車体を形成している構造部材、例えば、フロアロッカ、ピラー、ルーフレール、およびクロスバーは、一般に、衝突に伴うエネルギーの大部分を吸収する。先に述べたように、車体の強度、耐久性、および/または耐破壊性を損なわずに車両重量を低減することが好ましい。このため、強度を犠牲にせずに、車体を形成している金属の量を減らすことが望まれる。車両全体に使われているものは構造部材、例えば、ルーフレール、ピラー、ロッカ、レールエクステンション、および/またはクロスバーであり、これらは一般に中空で、金属シートでできている。これらの中空構造部材を形成する金属シートの厚さと形状は、通常、十分な車両耐久性および耐破壊性が得られるように選ばれる。これらの構造部材を形成するシートを薄くすることができ、それにより構造部材を、従ってこの構造部材から成る車体を軽量化でき、一方、構造部材の中にエネルギー吸収装置を組み込むことで構造部材の強度を保持できることが分かった。
【0012】
本件に記載の実施形態において、構造部材は、その中に、圧壊を制御するように配置されたポリマー体を持つエネルギー吸収装置部材を支持している。エネルギー吸収装置の奥行きの中の曲げ剛性を、例えば、エネルギー吸収装置の前後軸に対して直角方向に変化させることで圧壊の制御を行う。より具体的には、エネルギー吸収装置を、エネルギー吸収装置に含まれるハニカム体の内側部分が、ハニカム体の外側部分より先に潰れるような配置とする。これにより、ハニカム体から生じる断面力のピークが、衝突の終わりよりも衝突の始まりに近くなり、ある実施形態では、衝突に応じてハニカム部材の剛性が失われる前となる。これにより、車体内部で運ばれている自動車乗員および/または車両コンポーネントにかかる加速度が制限され、損傷が制限される。車両の床下にバッテリがある電気および/またはハイブリッド車の場合、このようなエネルギー吸収装置は、衝突に関わった物体がバッテリ室に押し入るのを抑制し、衝突によってバッテリが損壊する可能性を小さくする(または完全に防ぐ)ことができる。こうして、車体の強度を下げずに、または耐破壊性を制限する恐れなしに、車両の全重量を軽くすることができる。
【0013】
ある実施形態において、本件に記載されているエネルギー吸収装置は、エネルギー吸収部材の前後長に沿って曲げ剛性を変化させることができる。例えば、エネルギー吸収装置は、エネルギー吸収部材がクロスバーや他の構造部材によって直接支えられている位置では曲げ剛性を相対的に小さく、エネルギー吸収部材がクロスバーや他の構造部材によって間接的に支えられている前後位置では、曲げ剛性を相対的に大きくすることができる。このように剛性を制御すると、エネルギー吸収部材の前後長に沿って均一な曲げ剛性を持つエネルギー吸収部材に比べ、エネルギー吸収部材を軽量化できる。こうして、車体の強度を下げずに、または耐破壊性を制限する恐れなしに、車両の全重量を更に軽くすることができる。
【0014】
本エネルギー吸収装置は、前後軸に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管を持つハニカム体を含む。ハニカム体は、内側部分と外側部分とを含む。内側部分(axis)は前後軸に沿って配置され、内側部分曲げ剛性を持つ。外側部分は、前後軸に沿って内側部分の外側にあり、外側部分は内側部分と繋がっていて、外側部分曲げ剛性を持つ。外側部分曲げ剛性は内側部分曲げ剛性よりも大きい。
【0015】
ハニカム体は、単一の断面形状を持つ、横方向に積み重ねた複数の管を含むことができる。この断面形状は、三角形、四角形、六角形、および円を含む群より選ぶことができる。複数の管がその形を保っている深さは、ハニカム体の前後長に沿ってほぼ均一とすることができる。また、その断面形状が保たれている複数の管の深さは、ハニカム体の前後長に沿って変化させられることも意図されている。更に、ある実施形態では、ハニカム体の複数の管は2つ以上の断面形状を持つことができる。断面形状は、三角形、四角形、六角形、および円を含む群から選ぶことができる。2つ以上の断面形状の深さは、ハニカム体の前後長に沿って均一であっても良い。2つ以上の断面形状の深さは、ハニカム体の前後長に沿って変化させても良い。
【0016】
ハニカム体の複数の管は、それぞれの管の内部に、Y型リブ(y-rib)または垂直型リブ(vertical rib)を備えることができる。ある実施形態において、Y型リブまたは垂直型リブは、それぞれの管の全長に亘って伸びていても良い。ある実施形態によれば、Y型リブまたは垂直型リブは、それぞれの管の深さの一部分に伸びていても良い。複数の管の内部に伸びているY型リブまたは垂直型リブの深さは、ハニカム体の前後長に沿って均一であっても良い。複数の管の内部に伸びているY型リブまたは垂直型リブの深さは、ハニカム体の前後長に沿って変化させても良い。
【0017】
ハニカム体は、ハニカム体の内側部分とハニカム体の外側部分とを繋ぐ、中間部分を持つことができる。中間部分は中間部分耐圧壊性(crush resistance)を持つことができ、中間部分耐圧壊性は内側部分耐圧壊性よりも大きくすることができ、また、中間部分耐圧壊性は外側部分耐圧壊性よりも小さくすることができる。ある実施形態において、中間部分耐圧壊性は内側部分耐圧壊性よりも小さくすることができ、中間部分耐圧壊性は外側部分耐圧壊性よりも大きくすることができる。ある実施形態によれば、中間部分耐圧壊性は、ハニカム体の前後長に沿って一定とすることができる。更に、中間部分耐圧壊性を、ハニカム体の前後長に沿って変化させられることも意図している。
【0018】
ハニカム体の内側部分、外側部分、および中間部分の1つを形成する複数の管は、ハニカム体の他の内側部分、外側部分、および中間部分の断面形状と異なる断面形状を持つことができる。例えば、ハニカム体の内側部分を形成する複数の管が、六角形の断面形状を持ち、ハニカム体の中間部分を形成する複数の管が、中間部分の深さに亘って伸びているY型リブを備えた六角形の断面形状を持ち、ハニカム体の外側部分を形成する複数の管が、円形の断面形状を持っていても良い。ある実施形態では、ハニカム体を、射出成形技術を用いて成形することができる。ある実施形態によれば、ハニカム体を、積層造形(additive manufacturing)技術を用いて成形することができる。
【0019】
添付図を参照すると、本件に開示されている構成要素、工程、および装置を、より完全に理解することができる。これらの図は、本件の開示内容を説明し易くするための単なる概略図であり、よって、装置またはその構成要素の相対的な大きさや寸法を示す、および/または、例示的な実施形態の範囲を定義または制限しようとするものではない。明確にするため、以下の記述では特定の用語を使用しているが、これらの用語は、図面を説明するために選択した実施形態の特定の構造のみを参照することを意図しており、開示内容の範囲を定義または制限しようとするものではない。図面および以下の記述において、類似の機能を持つ構成要素には類似した番号が付けられていることは理解されよう。
【実施例
【0020】
図1Aに、車体10を示す。車体10は内部12を形作り、複数の構造部材14を含んでいて、その1つ以上にエネルギー吸収装置100が含まれる。複数の構造部材14は、車体10の内部12の周囲に配置され、車体10の内部12は、自動車乗員と、様々な車両コンポーネントを運搬するよう構成されている。車両コンポーネントの1つがバッテリ16(図1Cに示す)であり、車体10内の、車両乗員室の下にあるバッテリ室18(図1Cに示す)に納められている。ある実施形態において、車体10は、電気またはハイブリッド車用の車体である。しかし、本発明の当業者には認識されるように、内燃エンジンを用いる車両(但し、この例に限定しない)など、他のタイプの車両にも本発明は有益と考えられる。
【0021】
図1Bにおいて、複数の構造部材14(図1Aに示す)は、トンネル部材20、フロアロッカ22、およびクロスバー24を含む。複数の構造部材14はまた、ピラー26、ルーフレール28(図1Aに示す)、およびレールエクステンション30も含む。トンネル部材20は、車体10の長さに沿って前後方向に、また車体10の中心線に沿って伸びている。フロアロッカ22は、車体10に沿って前後方向に、また、トンネル部材20に対してほぼ平行に伸びている。クロスバー24は、車体10に対して横方向に、トンネル部材20とフロアロッカ22との間に伸び、これによりフロアロッカ22は、クロスバー24とフロアロッカ22が接している前後位置で、クロスバー24によって支持されている。レールエクステンション30は、フロアロッカ22とピラー26とを繋ぎ、ピラー26は、レールエクステンション30から上に向かって伸び、ルーフレール28とフロアロッカ22とを繋いでいる。このようにして繋がったフロアロッカ22とピラー26とルーフレール28は、車体10の側面に設けられたドアリング32の周囲に伸びている。このように配置されたフロアロッカ22は、車体10への側面衝突に対抗する位置にあり、この場合、側柱衝突34(図1Aに示す)などの側面衝突事故の際、エネルギーを吸収し、車体10の内部12への侵入を防ぐために十分な強度を持つよう構成されている。
【0022】
図1Cに、車体10とフロアロッカ22の部分を示す。フロアロッカ22はトンネル部材20(図1Bに示す)の外側側面に配置され、プレート部材36とフェイシャ部材38とを含む。クロスバー24は、プレート部材36とトンネル部材20との間に伸び、それによって横方向に支持されている。フェイシャ部材38とプレート部材36は、プレート部材36とフェイシャ部材38との間が空洞40となるように繋がっている。エネルギー吸収装置100は空洞40内に、例えば、留め具、クリップ、ブラケット、および/または接着剤を用いて、前後軸106に沿って支持されている。ここではフロアロッカ22との関連で述べているが、エネルギー吸収装置100は、対象とする用途に応じて、ピラー26(図1Aに示す)、ルーフレール28(図1Aに示す)、またはレールエクステンション30(図1Bに示す)の1つ以上など、別の構造部材にも使用可能であることは理解および認知されよう。
【0023】
構造部材14(図1Aに示す)の前後長は、構造部材14が使用されている車体10の特定の領域に応じて変わるが、エネルギー吸収装置100の長さは、エネルギー吸収部材100内の改善された構造完全性の量と位置に応じて変わる。エネルギー吸収部材100は、構造部材14の前後長と同程度の長さとしても、あるいは、構造部材14の前後長より短くしても良い(例えば、局所的に、即ち、その場所の構造完全性を高めたい特定位置だけに配置することができる)。望ましくは、より軽くするため、希望する構造完全性(例えば、壁を薄くすることなく、標準的な金属部材より大きい、またはそれと同等の構造完全性)の達成に必要な重さが最小となるよう、エネルギー吸収部材100を局在化する。エネルギー吸収装置100の長さは、1メートル以下、具体的には800ミリメートル以下、より具体的には300ミリメートル以下とすることができる。エネルギー吸収装置100の長さは、構造部材の長さの80%以下、具体的には60%以下、より具体的には50%以下、更により具体的には構造部材(即ち、ハニカム体で強化される構造部材)の長さの10%~35%とすることができる。例えば、ピラーやレールなどで使用する場合、エネルギー吸収装置100の長さは、150ミリメートルから350ミリメートル、具体的には200ミリメートルから250ミリメートルとすることができる。別の実施形態において、フロアロッカなどで使用する場合、エネルギー吸収装置100の長さは、約500ミリメートルから約800ミリメートル、具体的には600ミリメートルから700ミリメートルとすることができる。構造部材14は中空の金属要素である。
【0024】
考えられるいくつかの構造部材材料としては、アルミ、チタン、クロム、マグネシウム、亜鉛、鋼鉄、プラスチック(例えば、繊維強化プラスチック)、またこれらの材料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。構造部材14の壁厚は全て同じでも良く、あるいは、望ましい方向の剛性が大きくなるよう変化させても良い。例えば、1組の向かい合った壁厚を、別の組の向かい合う壁より厚く/薄くしても良い。一部の実施形態において、構造部材14の壁厚は、10ミリメートル以下、具体的には1.2ミリメートルから5ミリメートル、より具体的には1.8ミリメートルから4ミリメートルである。一般に、金属壁(例えば、フロアロッカ、レール、ピラー、バンパービームなど)の壁厚は1.8ミリメートルよりも大きい。従って、エネルギー吸収装置100の使用により、(構造用コンポーネントの)壁厚を、10%以上、具体的には20%以上、更には25%以上も薄くすることができる。
【0025】
図2A~2Dに、エネルギー吸収装置100を示す。図2Aおよび2Bに示すように、エネルギー吸収装置100は一般に、前後軸106に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管104を持つハニカム体102を含む。ハニカム体102には、内側部分曲げ剛性110(図2Bに示す)を持つ内側部分108(図2Bに示す)と、外側部分曲げ剛性114(図2Bに示す)を持つ外側部分112(図2Bに示す)がある。外側部分112は前後軸106の外側に配置されている。内側部分108は外側部分112の内側に配置され、外側部分112に繋がっていて、図示した実施形態では、前後軸106に沿って伸びている。外側部分112の外側部分曲げ剛性114は、内側部分108の内側部分曲げ剛性110よりも大きい。
【0026】
エネルギー吸収装置100の外側面120と内側面122の間には、複数の管104が横方向に伸びている。より具体的には、複数の管104は、ハニカム体102の外側面120とハニカム体102の内側面122との間で、ハニカム体102を通って伸びている。ハニカム体102の内側面122はプレート部材36(図1Cに示す)に対向し、ハニカム体102の外側面120はフェイシャ部材38(図1Cに示す)に対向している。ハニカム体102の内側面122は更に、プレート部材36と接し、例えば、これと機械的にしっかりと接触していて、衝突物とプレート部材36との間で複数の管104が潰れることで側柱衝突34の際のエネルギーを吸収するよう、側柱衝突34(図1Aに示す)に伴う力が伝わるようになっている。
【0027】
図2Cおよび2Dに示すように、複数の管104の内側輪郭116は六角形124であり、複数の管の外側輪郭118は六角形126である。外側部分112のハニカム体102の壁厚130は、内側部分108(図2Bに示す)の壁厚132よりも大きく、外側部分112の壁厚130によって、外側部分曲げ剛性114(図2Bに示す)は内側部分曲げ剛性110よりも大きくなっている。これらの壁厚は、例えば、射出成形技術を用いてポリマー材料134からエネルギー吸収装置100を成形することで変えることができる。
【0028】
ポリマー材料134としては、所望の形に成形可能で所望の特性を備えた熱可塑性材料または熱可塑性材料の組み合わせが挙げられ、これらは充填物を含んでいてもいなくても良い。適したポリマー材料の例としては、熱可塑性材料、また、熱可塑性材料と金属、エラストマー材料、および/または熱硬化性材料との組み合わせが挙げられる。考えられる熱可塑性材料としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリカーボネート/PBT混合物、ポリカーボネート/ABS混合物、コポリカーボネート-ポリエステル、アクリル-スチレン-アクリロニトリル(ASA)、アクリロニトリル-(エチレン-ポリプロピレンジアミン変性)-スチレン(AES)、フェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル/ポリアミドの混合物、ポリアミド、フェニレンスルフィド樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、低/高密度ポリエチレン(L/HDPE)、ポリプロピレン(PP)、発泡ポリプロピレン(EPP)、熱可塑性オレフィン(TPO)が挙げられる。例えば、プラスチック材料は、Noryl GTX(登録商標)熱可塑性樹脂、または Xenoy(登録商標)合成樹脂(いずれも、オランダ国、ベルヘン・オプ・ゾーム、SABIC Global Technologiesより入手可)を含むことができる。ポリマー材料134としては、上記のポリマー材料の1つ以上を含む組み合わせも挙げられる。
【0029】
図3Aおよび3Bに、エネルギー吸収装置100と、奥行き全体が均一な曲げ剛性を持つエネルギー吸収装置50の、圧壊の進行と、時間毎の断面力のプロットを示す。図3Aの左側(図の上から見て)に示すように、エネルギー吸収装置50を形成する管は、外側面52と内側面54の両方からエネルギー吸収装置50の中心に向かって潰れる。これにより、エネルギー吸収装置50から生じる断面力は、エネルギー吸収装置50を形成する管が外側面52と内側面54の両方からエネルギー吸収装置50の中心56へ向かって潰れる際、時間TとTの間で、図3Bの断面力曲線58で示すように、比較的一定となる。
【0030】
対照的に、図3Aの右側(図の上から見て)に示すように、エネルギー吸収装置100は、エネルギー吸収装置100の内側面122から外側面120へ向かって潰れる。これにより、エネルギー吸収装置100は、側柱衝突34に応じて断面力を生じ、図3Bの曲線60で示すように、断面力は衝突事象の開始直後にピークとなる。ここに示す実施形態において、ピーク断面力62は時間Tと時間Tの間で生じ、断面力曲線60は、内側部分108が潰れた後に外側部分112が潰れるにつれて下がる。結果として、車体10(図1Aに示す)の内部12(図1Aに示す)で運ばれている自動車乗員および/または車両コンポーネントにかかる加速度は、エネルギー吸収装置50への衝突に伴うものに比べて小さくなる。バッテリ、例えば、バッテリ16(図1Cに示す)を積んでいる車両では、これによりバッテリが破裂する可能性が低減する。また、衝突物が車体10の内部12に侵入する距離も、図3Aに、図の左側と右側の両方の時間Tにおけるたわみ量の比較から分かるように、制限される。
【0031】
図4A~4Dに、エネルギー吸収装置200を示す。エネルギー吸収装置200はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似しているが、更に、六角形226の内部にリブ250を配置した六角形226の外側輪郭218と、六角形224の内部にリブを配置していない六角形224の内側輪郭216を含む。図4Aに示すように、エネルギー吸収装置200はハニカム体202を含む。ハニカム体202は、前後軸106に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管204を持つ。
【0032】
図4Bに示すように、外側部分212は前後軸106の外側に配置され、ハニカム体202の内側部分208と繋がっていて、外側部分曲げ剛性214を持つ。ここに示す実施形態では、内側部分208は前後軸106の側面に沿って伸びている。
【0033】
エネルギー吸収装置200の外側面220と内側面222との間には、複数の管204(図4Aに示す)が横方向に伸びている。より具体的には、複数の管204は、ハニカム体202の外側面220とハニカム体202の内側面222との間で、ハニカム体202(図4Aに示す)を通って伸びている。構造部材14(図1Aに示す)、例えば、フロアロッカ22(図1Cに示す)内に支持されている場合、ハニカム体202の内側面222はプレート部材36(図1Cに示す)に対向し、ハニカム体202の外側面220はフェイシャ部材38(図1Cに示す)に対向している。ハニカム体202の内側面222はプレート部材36(図1Cに示す)と接し、側柱衝突34(図1Aに示す)に応じて、衝突に関わる物体とプレート部材36との間で複数の管204が潰れることで、衝突に伴うエネルギーを吸収し、車体10(図1Aに示す)の内部12(図1Aに示す)で運ばれている自動車乗員と車両コンポーネントにかかる加速度を制限するようになっている。
【0034】
図4Cおよび4Dに示すように、複数の管204の内側輪郭216は六角形224である。複数の管204の外側輪郭218も六角形226であり、この場合、複数の管204のそれぞれの輪郭は、内側面222から外側面220まで続いている。内側部分208の複数の管204には、複数の管204のそれぞれの管内に配置されたリブがない。外側部分212の複数の管204には、その中に配置されたリブ250があり、このリブ250によって外側部分212の外側部分曲げ剛性214(図4Bに示す)はハニカム体202の内側部分208の内側部分曲げ剛性210(図4Bに示す)よりも大きくなる。本発明の当業者には認識されるように、外側部分212の剛性の方が大きいと、エネルギー吸収装置200は内側面222から外側面220へ潰れる。また、外側部分212の剛性の方が大きいと、エネルギー吸収装置200は、図3Aおよび3Bに示すように、ピーク断面力が衝突の開始直後に生じるという点で、エネルギー吸収装置100と同様(または同等)の断面力を発揮する。ここに示した実施形態では、リブ250はY型リブである。対象とする用途に応じて、水平型や垂直型など、別のタイプのリブも使用可能と考えられる。
【0035】
図5A~5Dに、エネルギー吸収装置300を示す。エネルギー吸収装置300はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似しているが、更に、エネルギー吸収装置300の内側輪郭316と異なる外側輪郭318を含む。この場合、外側輪郭318は円形326で、内側輪郭316は六角形324(図5Cに示す)である。図5Aに示すように、エネルギー吸収装置300は、前後軸106に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管304を持つハニカム体302を含む。
【0036】
図5Bに示すように、ハニカム体302(図5Aに示す)には内側部分308と外側部分312がある。外側部分312は、前後軸106の外側に配置され、内側部分308と繋がっている。内側部分308は内側部分曲げ剛性310を持ち、外側部分312は外側部分曲げ剛性314を持ち、外側部分312の外側部分曲げ剛性314は内側部分308の内側部分曲げ剛性310よりも大きい。この場合、外側部分312の複数の管304が円形326(図5Dに示す)であることにより、外側部分312の曲げ剛性が、六角形324(図5Cに示す)である内側部分308よりも大きくなっている。
【0037】
エネルギー吸収装置300の外側面320と内側面322との間には、複数の管304が横方向に伸びている。より具体的には、複数の管304は、ハニカム体302の外側面320とハニカム体302の内側面322との間で、ハニカム体302を通って伸びている。ハニカム体302の内側面322はプレート部材36(図1Cに示す)に対向し、ハニカム体302の外側面320はフェイシャ部材38(図1Cに示す)に対向している。また、ハニカム体302の内側面322はプレート部材36(図1Cに示す)と接し、側柱衝突34(図1Aに示す)に応じて、衝撃力を及ぼす物体とプレート部材36との間で複数の管304が潰れるようになっている。
【0038】
図5Cおよび5Dに示すように、複数の管304の内側輪郭316は六角形324であり、複数の管304のそれぞれの外側輪郭318は円形326である。円形326によって、外側部分312の外側部分曲げ剛性314(図5Bに示す)は、ハニカム体302の内側部分308の内側部分曲げ剛性310(図5Bに示す)よりも大きくなっている。本発明の当業者には認識されるように、内側部分308と外側部分312で複数の管304のそれぞれの形が異なることで、エネルギー吸収装置300は、図3Aおよび3Bに示すように、エネルギー吸収装置100と同様(または同等)に潰れて断面力を生じる。ここに示した実施形態では、円形326は垂直方向(重力に対して)に楕円形である。本発明の当業者には認識されるように、目的とする用途に応じて、円形326は対称形、水平方向に楕円形、または任意の方向に楕円形とすることができる。
【0039】
図6A~6Dに、エネルギー吸収装置400を示す。エネルギー吸収装置400はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似しているが、更に、三角形426の外側輪郭418を含む。図6Aに示すように、エネルギー吸収装置400は、前後軸106に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管404を持つハニカム体402を含む。
【0040】
図6Bに示すように、ハニカム体402(図6Aに示す)には内側部分408と外側部分412がある。内側部分は前後軸106に沿って配置され、内側部分曲げ剛性410を持つ。外側部分412は前後軸106の外側に配置され、内側部分408と繋がっていて、外側部分曲げ剛性414を持つ。外側部分曲げ剛性414は内側部分曲げ剛性410よりも大きい。ここに示した実施形態では、エネルギー吸収装置400の外側部分の複数の管404が三角形426(図6Dに示す)であることによって、外側部分412の剛性が内側部分408の曲げ剛性よりも大きくなっている。
【0041】
エネルギー吸収装置400の外側面420と内側面422との間には、複数の管404が横方向に伸びている。より具体的には、複数の管404は、ハニカム体402の外側面420とハニカム体402の内側面422との間で、ハニカム体402を通って伸びている。ハニカム体402の内側面422はプレート部材36(図1Cに示す)に対向し、更に、ハニカム体402の外側面420はフェイシャ部材38(図1Cに示す)に対向するようになっている。また、ハニカム体402の内側面422はプレート部材36(図1Cに示す)と接し、側柱衝突34(図1Aに示す)に応じて、衝撃力を及ぼす物体とプレート部材36との間で複数の管404が潰れるようになっている。
【0042】
図6Cおよび6Dに示すように、複数の管404の内側輪郭416は六角形424であり、複数の管の外側輪郭418は三角形426である。三角形426により、外側部分曲げ剛性414(図6Bに示す)は内側部分曲げ剛性410よりも大きくなる。本発明の当業者には認識されるように、外側部分曲げ剛性414によって、エネルギー吸収装置400は、図3Aおよび3Bに示すように、エネルギー吸収装置100と同様(または同等)に潰れて断面力を生じ、エネルギー吸収装置400が、衝突の終わりよりも、衝突の開始直後にピーク断面力を発揮することで、車体10(図1Aに示す)で運ばれている自動車乗員と車両コンポーネントにかかる加速度を制限する。
【0043】
図7A~7Fに、エネルギー吸収装置500を示す。エネルギー吸収装置500はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似しているが、更に、中間部分550を含む。ここでは、エネルギー吸収装置500は、前後軸106に沿って、互いに横方向に積み重ねた複数の管504を持つハニカム体502を含む。ハニカム体502は、前後軸106に沿って配置され、内側部分曲げ剛性510を持つ内側部分508と、前後軸106の外側に配置されている外側部分512と、中間部分550とを含む。外側部分512は、内側部分曲げ剛性510よりも大きい外側部分曲げ剛性514を持ち、中間部分550によって内側部分508と繋がっている。中間部分550は、外側部分512の外側部分曲げ剛性514よりも小さい中間部分曲げ剛性552を持つ。このようにして、ハニカム体502の曲げ剛性を、エネルギー吸収装置500の奥行きに沿って徐々に変化させる。
【0044】
ハニカム体502の複数の管504のそれぞれは、ハニカム体502の内側部分508と中間部分550と外側部分512とを通って伸びている。この場合、複数の管504のそれぞれは、エネルギー吸収装置500の内側面522と外側面520との間に伸びている。エネルギー吸収装置500は、フロアロッカ22(図1Bに示す)内に支持でき、複数の管504の端がプレート部材36(図1Cに示す)と接していて、側面衝突、例えば、側柱衝突34(図1Aに示す)の際、プレート部材36に向かって潰れるようになっている。ある実施形態において、ハニカム体502は、射出成形技術を用いて、ポリマー材料、例えば、ポリマー材料134(図2Cに示す)から作成する。ある実施形態によれば、ハニカム体502は、積層造形技術を用いて作成する。積層造形技術を用いてエネルギー吸収装置500を成形すると、射出成形技術を用いたのでは極めて高価な(または機械的に不可能な)中間部分550内部の構造体、例えば、リブ558(中間部分550の深さを大きくせずに中間部分550を相対的に硬くできる)のあるハニカム体502を成形できる点が有益である。
【0045】
ある実施形態において、複数の管504のそれぞれの中間部分550の輪郭は、内側部分508および外側部分512の管の輪郭と異なっている。例えば、図7D~7Fに示すように、複数の管504のそれぞれの、中間部分550の輪郭554は、中にリブ558を配置した六角形556で、内側部分508の輪郭560は、リブのない六角形562で、外側部分512の輪郭564は、円形568である輪郭566である。本発明の当業者には認識されるように、内側部分508と中間部分550と外側部分512のそれぞれの形が異なると、エネルギー吸収装置500の内側面522と外側面520との間で曲げ剛性が徐々に変わり、エネルギー吸収装置500の奥行きに沿ってエネルギー吸収装置500の曲げ剛性を調節することができる。図7A~7Fでは特定の形を選んで示したが、内側部分508、外側部分512、および/または中間部分550の1つ(またはそれ以上)が、三角形や四角形など、別の形となっていても良く、またこれらも本発明の範囲内にあることは理解および認識されよう。
【0046】
図8A~8Cに、エネルギー吸収装置600の一部を示す。エネルギー吸収装置600はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似しているが、更に、ハニカム体602を含む。ハニカム体602には、複数の管604のそれぞれの内側輪郭650と外側輪郭652との間で形が連続的に変化する複数の管604がある。この場合、ハニカム体602には、複数の管604が六角形654となっている、例えば、内側面622の開口部が六角形654である内側輪郭650と、複数の管604が円形656となっている、例えば、外側面620の開口部が円形656である外側輪郭652が形作られている。符号番号658で示すように、内側面622と外側面620との間で複数の管604の深さに沿って管壁が徐々に厚くなると、エネルギー吸収装置600の曲げ剛性は、エネルギー吸収装置600の奥行きに沿って連続的に変化する。これにより、複数の管604の輪郭の形の選択と、壁厚の変化率の両方によって、内側面622と外側面620との間の曲げ剛性の変化を選ぶことができる。
【0047】
図9Aおよび9Bに、エネルギー吸収装置700を示す。エネルギー吸収装置700はエネルギー吸収装置100(図1Aに示す)に類似している。この場合、エネルギー吸収装置700には、複数の管704と、内側部分708と、外側部分712とを備えたハニカム体702がある。ハニカム体702の前後長に沿って、内側部分708は前後軸106に沿って配置され、内側部分曲げ剛性710を持つ。外側部分は、前後軸106の外側に配置され、内側部分708と繋がっていて、外側部分曲げ剛性714を持つ。外側部分曲げ剛性714は、内側部分曲げ剛性710よりも大きく、更に、エネルギー吸収装置700内での移行深さ(transition depth)701に従って、前後軸106に沿って変化する。
【0048】
図10Aおよび10Bでは、ハニカム体702に、第1セグメント750と第2セグメント752がある。第2セグメント752は第1セグメント750と繋がっていて、前後軸106に沿って、第1セグメント750と軸方向に並置(offset)されており、第1セグメント750の外側(outer)部分曲げ剛性762よりも大きい外側部分曲げ剛性760を持つ。図9Bに示すように、エネルギー吸収装置700の曲げ剛性は、ハニカム体702内部の前後軸106に沿った移行深さ701の位置に従って変化する。ここに示す実施形態において、移行深さは、前後方向に向き合った端の間で、二次関数(second order function)に従って連続的に変化する。この図は、説明を目的としたものであって、制限するものではなく、本発明の当業者には認識されるように、曲げ剛性は、車体10(図1に示す)を形成している構造部材14(図1Aに示す)による支持に従って、様々な前後位置において選択することができる。この場合、図10Bに示すように、第1セグメント750を、クロスバー24がエネルギー吸収装置700と接している前後位置に置くことができる。これにより、エネルギー吸収装置700は、前後長に沿って均一な曲げ剛性を持つように作られたエネルギー吸収装置、例えば、エネルギー吸収装置50(図3Aに示す)に比べて、クロスバー24と接する位置に軽い構造物を採用しているため軽量化することができる。また、図10Aに示すように、エネルギー吸収装置700から生じるピーク断面力70を、エネルギー吸収装置700の長さに沿った前後位置に従って変えることができる。
【0049】
図9Aおよび9Bに示すように、ハニカム体702を形成する複数の管704は、ハニカム体702の内側部分708と外側部分712の両方で、六角形754および六角形756となっている。外側部分712および内側部分708の深さ758は前後位置に従って変化する。ある実施形態では、全断面深さ(total section depth)760に対する外側部分深さ758の比を、クロスバー24(図1Bに示す)や、他の構造部材、例えば、車体10(図1Aに示す)を形成している構造部材14(図1Aに示す)による支持(または支持は無い)に従って、重さを制限するよう選択するようになっている。
【0050】
図11Aおよび11Bに、エネルギー吸収装置800を示す。エネルギー吸収装置800はエネルギー吸収装置700(図9Aに示す)に類似しているが、更に、複数の管804の内部に配置したリブ850を備えた複数の管804を持つハニカム体802を含む。リブ850は、ハニカム体802の外側部分812(図11Bに示す)の内部に配置され、前後軸106に沿った前後位置に従って変化するそれぞれの深さまで、ハニカム体の中に伸びている。図11Aに示すように、複数の管804は、ハニカム体802の外側部分812では六角形852に、ハニカム体802の内側部分808では六角形854となっている。図11Aおよび図11Bでは、特定のリブ構造、例えば、リブ850を示し、これについて述べているが、複数の管804の内部に別の形のリブ構造を配置しても良く、また複数の管804の深さに応じて先端を切って(truncated)、ハニカム体802に望ましい耐圧壊性を与えても良いことは理解および認識されよう。
【0051】
図12Aおよび12Bに、エネルギー吸収装置900を示す。エネルギー吸収装置900はエネルギー吸収装置700(図9Aに示す)に類似しているが、更に、ハニカム体902の外側部分912が円形950に、ハニカム体902の内側部分908が六角形952となっている、複数の管904を持つハニカム体902を含む。複数の管904が移行する深さは、クロスバー24(図1Bに示す)による支持に従って全断面深さ956に対する外側(outer)部分深さ954の比が定まる、前後位置に従って変化し、エネルギー吸収装置900の重さを調整および制限することが可能となる。円形の管、例えば、円形950をした複数の管904により、ハニカム体902のこの管を持つ部分の耐圧壊性は、同じ内接寸法と有限数の辺を持つハニカム部分よりも大きくなり、有限数の辺の輪郭を持つ部分より後に、この部分が潰れるようにすることができる。
【0052】
図13Aおよび13Bに、エネルギー吸収装置1000を示す。エネルギー吸収装置1000はエネルギー吸収装置700(図9Aに示す)に類似しているが、更に、ハニカム体1002の外側部分1012が三角形1050に、ハニカム体1002の内側部分1008が六角形1052となっている、複数の管1004を持つハニカム体1002を含む。複数の管1004が移行する深さは、クロスバー24(図1Bに示す)による支持に従って全断面深さ1056に対する外側部分深さ1054の比が定まる、前後位置に従って変化し、エネルギー吸収装置1000の重さを調節および制限することが可能となる。三角形の管、例えば、三角形1050をした複数の管1004により、ハニカム体1002のこの管を持つ部分の耐圧壊性は、同じ内接寸法と、より多い数の辺を持つハニカム部分よりも小さくなり、4以上の辺を持つ輪郭の部分より先に、この部分が優先的に潰れるようにすることができる。
【0053】
本件に開示の内容は、以下の実施形態も包含する。
【0054】
実施形態1:前後軸に沿って、互いに横方向に積み重ねた2つ以上の管を持つハニカム体を含むエネルギー吸収装置である。ハニカム体は、内側部分と外側部分とを含む。ハニカム体の内側部分は前後軸の内側に配置され、内側部分曲げ剛性を持つ。ハニカム体の外側部分は前後軸の外側に配置され、ハニカム体の内側部分と繋がっていて、外側部分曲げ剛性を持つ。外側部分の外側部分曲げ剛性は、内側部分の内側部分曲げ剛性よりも大きい。
【0055】
実施形態2:実施形態1のエネルギー吸収装置であって、複数の管は、ハニカム体の内側部分と外側部分とを通って伸びており、複数の管は、ハニカム体の内側部分において内側輪郭を形作り、複数の管は、ハニカム体の外側部分において外側輪郭を形作り、外側輪郭は内側輪郭と異なる。
【0056】
実施形態3:実施形態2のエネルギー吸収装置であって、外側輪郭は、中にリブを配置した六角形であり、内側輪郭は、中にリブを配置していない六角形である。
【0057】
実施形態4:実施形態2のエネルギー吸収装置であって、外側輪郭は円形であり、内側輪郭は六角形である。
【0058】
実施形態5:実施形態2のエネルギー吸収装置であって、外側輪郭は四角形であり、内側輪郭は六角形である。
【0059】
実施形態6:実施形態2のエネルギー吸収装置であって、外側輪郭は三角形であり、内側輪郭は六角形である。
【0060】
実施形態7:実施形態2のエネルギー吸収装置であって、複数の管の形状は、外側輪郭から内側輪郭へ連続的に変化する。
【0061】
実施形態8:実施形態1から6のいずれか1つ以上のエネルギー吸収装置であって、ハニカム体は更に、ハニカム体の内側部分とハニカム体の外側部分とを繋ぐ中間部分を含み、中間部分は中間部分曲げ剛性を持ち、中間部分曲げ剛性は外側部分曲げ剛性よりも小さい。
【0062】
実施形態9:実施形態8のエネルギー吸収装置であって、複数の管のそれぞれは、ハニカム体の内側部分と中間部分と外側部分とを通って伸びている。
【0063】
実施形態10:前記実施形態のいずれか1つ以上のエネルギー吸収装置であって、複数の管のそれぞれの中間部分の輪郭は、ハニカム体の外側部分または内側部分の複数の管の輪郭と異なる。
【0064】
実施形態11:前記実施形態のいずれか1つ以上のエネルギー吸収装置であって、複数の管は、ハニカム体の外側部分において円形をしており、複数の管は、ハニカム体の内側部分において六角形をしており、複数の管は、ハニカム体の中間部分において六角形をしており、ハニカム体の中間部分の内部だけに、リブが配置されている。
【0065】
実施形態12:前記実施形態のいずれか1つ以上のエネルギー吸収装置であって、ハニカム体は更に、第1セグメントと、第2セグメントとを含み、第1セグメントは第1セグメント曲げ剛性を持ち、第2セグメントは第1セグメントと繋がっていて、前後軸に沿って、第1セグメントと軸方向に並置されており、第2セグメントは、第1セグメント曲げ剛性よりも大きい第2セグメント曲げ剛性を持つ。
【0066】
実施形態13:実施形態12のエネルギー吸収装置であって、第2セグメントを形成する管の外側部分深さは、ハニカム体の第1セグメントを形成する管の内側部分深さよりも大きい。
【0067】
実施形態14:前記実施形態のいずれかのエネルギー吸収装置であって、エネルギー吸収装置はポリマー材料でできている。
【0068】
実施形態15:前記実施形態のいずれかのエネルギー吸収装置であって、エネルギー吸収装置は射出成形技術を用いて成形される。
【0069】
実施形態16:実施形態1から14の1つ以上のエネルギー吸収装置であって、エネルギー吸収装置は、積層造形技術を用いて成形される。
【0070】
実施形態17:プレート部材と、フェイシャ部材と、前記実施形態のいずれか1つ以上のエネルギー吸収装置とを含む車体用構造部材であって、フェイシャ部材はプレート部材と繋がっていて、フェイシャ部材とプレート部材との間は空洞となっている。エネルギー吸収装置は、この空洞内に支持されていて、ハニカム体の内側部分はプレート部材と接しており、ハニカム体は更に、ハニカム体の内側部分とハニカム体の外側部分とを繋ぐ中間部分を含み、中間部分は中間部分曲げ剛性を持ち、中間部分曲げ剛性は、ハニカム体の外側部分曲げ剛性よりも小さい。
【0071】
実施形態18:構造部材と支持部材とを含む車体であって、構造部材は、ピラー、フロアロッカ、ルーフレール、レールエクステンション、およびバンパービームを含む群より選ばれ、構造部材は、プレート部材と、フェイシャ部材と、実施形態1から16の1つ以上のエネルギー吸収装置とを含み、フェイシャ部材はプレート部材と繋がっていて、フェイシャ部材とプレート部材との間は空洞となっており、エネルギー吸収装置は、この空洞内に支持されていて、ハニカム体の内側部分はプレート部材と接している。ハニカム体は更に、第1セグメントと、第2セグメントとを含み、第1セグメントは第1セグメント曲げ剛性を持ち、第2セグメントは第1セグメントと繋がっていて、前後軸に沿って、第1セグメントと軸方向に並置されており、第2セグメントは、第1セグメント曲げ剛性よりも大きい第2セグメント曲げ剛性を持つ。支持部材は、エネルギー吸収装置の第1セグメントに隣接する位置でプレート部材と接しており、支持部材は、エネルギー吸収装置の第2セグメントに隣接する位置では、プレート部材と接していない。
【0072】
図面を参照しながら、実施形態について詳しく説明してきた。しかし、ここで説明した実施形態は例に過ぎず、様々な異なる形で実現できることは理解されよう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素を詳しく示すために一部の特徴を大きく、または小さく示すことがある。ここに示した特定の構造および機能の詳細は、これに限定しようとするものではなく、開示した概念をどのように実行するかを当業者に教示するための典型的な基本と解釈すべきである。
【0073】
組成物、方法、および物品は、選択的に、本件に開示されている任意の適当な材料、ステップ、または構成要素を含む(comprise)、から成る(consist of)、あるいは、基本的に~から成る(consist essentially of)ことができる。組成物、方法、および物品は、付加的に、または選択的に、この組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に必ずしも必要ではない任意の材料(または種)、ステップ、または構成要素を除いて、または実質的に含まないように構成することができる。
【0074】
用語“第1(first)”、“第2(second)”等は、順序、量、または重要度を何ら示すものではなく、ある要素と別の要素とを区別するために使用する。用語“a”、“an”、および“the”は、量の限定を示すものではなく、文中に別途指示のない限り、または文脈によって明らかに否定されない限り、単数形と複数形の両方を含むと解釈すべきである。“または(or)”は、別に明示されない限り、“および/または(and/or)”を意味する。明細書中における“一部の(some)実施形態”、“ある(an)実施形態”などでの言及は、その実施形態に関連して述べられている特定の要素が、本件に記載されている少なくとも1つの実施形態には含まれているが、他の実施形態中には存在してもしていなくても良いことを意味する。更に、記載されている要素は、様々な実施形態において、任意の適当な方法で組み合わせ可能であることは理解されよう。“その組み合わせ(combination thereof)”は非限定(open)であって、挙げられている構成要素または特性の少なくとも1つを含み、必要に応じて、挙げられていない類似または同等の構成要素または特性を共に含む、任意の組み合わせを含む。
【0075】
文中にそうでないことが明記されていない限り、全ての試験基準は、本願の出願日、あるいは、優先権が主張されている場合、この試験基準が記載されている最先の優先権出願の出願日時点で有効な、最も新しい基準である。
【0076】
別途定義のない限り、文中で使用する技術および科学用語は、本願の属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。引用されている特許、特許出願、その他の参考文献は全て、その内容を全て本件に引用して援用する。しかし、本願中の用語が援用する参考文献の用語と矛盾する、または一致しない場合は、本願の用語を、援用する参考文献からの矛盾する用語よりも優先する。
【0077】
特定の実施形態について述べてきたが、現時点で予想されていない、または予想されていないと考えられる代替(alternatives)、変形(modifications)、変化(variations)、改善(improvements)、および実質的同等物が、出願者や他の同業者によって考案されることがある。従って、出願時の、および修正の可能性のある添付請求項は、これらの代替、変形、変化、改善、および実質的同等物を全て包含するものとする。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B