(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】マイクロフォン信号における交通ノイズを除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/02 20060101AFI20240513BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
H04R3/02
B60R11/02 M
B60R11/02 S
B60R11/02 T
(21)【出願番号】P 2021575012
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 US2020038058
(87)【国際公開番号】W WO2020257232
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンキタ・ディー・ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・エム・ヘラ
(72)【発明者】
【氏名】エリー・ボウ・ダハー
(72)【発明者】
【氏名】ベン・ジョン・フェン
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-083387(JP,A)
【文献】国際公開第00/014731(WO,A1)
【文献】特開2010-156742(JP,A)
【文献】特開2010-041188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/02
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオシステムであって、
車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を生成するように位置付けられた加速度計と、
マイクロフォンであって、前記マイクロフォンが前記交通ノイズを受信し、交通ノイズ成分を有するマイクロフォン信号を生成するように前記車室内に配設された、マイクロフォンと、
交通ノイズ除去フィルタを含む交通ノイズ除去装置であって、前記加速度計信号及び前記マイクロフォン信号を受信し、前記加速度計信号に従って前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成するように構成された、交通ノイズ除去装置と、
少なくとも400 Hzから1 kHzの周波数領域の場合に前記交通ノイズ除去装置の前段に配置される
ように構成されるエコー除去フィルタであって、前記車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、前記推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成するように構成されたエコー除去フィルタを備え、
前記交通ノイズ除去フィルタは、前記残差信号を用いて更新される
オーディオシステム。
【請求項2】
前記交通ノイズ除去フィルタは、前記加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を提供するように構成され、前記交通ノイズ除去装置は、前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分が最小化されるように前記マイクロフォン信号から前記推定交通ノイズ信号を減算するように構成されている、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記交通ノイズ除去フィルタは固定フィルタである、請求項2に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
前記交通ノイズ除去フィルタは、エラー信号を最小化するように構成された適応フィルタである、請求項2に記載のオーディオシステム。
【請求項5】
前記適応フィルタは、前記車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる前記マイクロフォン信号のエコー成分を最小化するように構成されたエコー除去フィルタを更に含むマルチチャンネル適応フィルタに含まれる、請求項4に記載のオーディオシステム。
【請求項6】
前記交通ノイズ除去フィルタは、前記マイクロフォン信号及び前記加速度計信号を受信するように構成されており、前記交通ノイズ除去フィルタは、前記マイクロフォン信号及び前記加速度計信号に応じて前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分を最小化するように最適化されている、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
マイクロフォン信号における交通ノイズを除去する方法であって、
車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を加速度計から受信することと、
前記車室内に動作可能に位置付けられたマイクロフォンから、交通ノイズ成分を有する前記マイクロフォン信号を受信することと、
交通ノイズ除去フィルタによって、前記加速度計信号に従って前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成することと、
少なくとも400 Hzから1 kHzの周波数領域の場合に前記交通ノイズ除去フィルタの前段に配置されるように構成されるエコー除去フィルタによって、前記車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、前記推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成することとを含み、
前記交通ノイズ除去フィルタは、前記残差信号を用いて更新される
方法。
【請求項8】
前記最小化する工程は、
前記交通ノイズ除去フィルタによって、前記加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を生成することと、
前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分が最小化されるように前記マイクロフォン信号から前記推定交通ノイズ信号を減算することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記交通ノイズ除去フィルタは固定フィルタである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記交通ノイズ除去フィルタは、適応フィルタであり、前記適応フィルタの複数の係数は、エラー信号に従って適応される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
マルチチャンネル適応に前記適応フィルタと共に含まれているエコー除去フィルタによって、車両内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる前記マイクロフォン信号のエコー成分を最小化することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分を前記最小化する工程は、前記加速度計信号及び前記マイクロフォン信号の両方に従って行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
プログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体であって、前記プログラムコードは、プロセッサによって実行されたときに、
車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を加速度計から受信する工程と、
車両内に動作可能に位置付けられたマイクロフォンから、交通ノイズ成分を有するマイクロフォン信号を受信する工程と、
交通ノイズ除去フィルタによって、前記加速度計信号に従って前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成する工程と、
少なくとも400 Hzから1 kHzの周波数領域の場合に前記交通ノイズ除去フィルタの前段に配置されるように構成されるエコー除去フィルタによって、前記車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、前記推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成する工程とを含み、
前記交通ノイズ除去フィルタは、前記残差信号を用いて更新される
プログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【請求項14】
前記最小化する工程は、
前記交通ノイズ除去フィルタによって、前記加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を生成することと、
前記マイクロフォン信号の前記交通ノイズ成分が最小化されるように前記マイクロフォン信号から前記推定交通ノイズ信号を減算することと、を含む、請求項13に記載のプログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【請求項15】
前記交通ノイズ除去フィルタは固定フィルタである、請求項14に記載のプログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【請求項16】
前記交通ノイズ除去フィルタは、適応フィルタであり、前記適応フィルタの複数の係数は、エラー信号に従って適応される、請求項14に記載のプログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【請求項17】
マルチチャンネル適応に前記適応フィルタと共に含まれているエコー除去フィルタによって、前記車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる前記マイクロフォン信号のエコー成分を最小化することを更に含む、請求項16に記載のプログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、全般的にはマイクロフォン信号における交通ノイズ除去のためのシステム及び方法に関し、特に車室内の交通ノイズを表す加速度計信号に従って、マイクロフォン信号における交通除去のためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
下記で言及されるすべての例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0003】
一態様によれば、オーディオシステムは、車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を生成するように位置付けられた加速度計と、マイクロフォンであって、マイクロフォンは、交通ノイズを受信し、交通ノイズ成分を有するマイクロフォン信号を生成するように車室内に配設された、マイクロフォンと、交通ノイズ除去フィルタを含む交通ノイズ除去装置であって、加速度計信号及びマイクロフォン信号を受信し、加速度計信号に従ってマイクロフォン信号の交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成するように構成された、交通ノイズ除去装置と、を備える。
【0004】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を提供するように構成され、交通ノイズ除去装置は、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分が最小化されるようにマイクロフォン信号から推定交通ノイズ信号を減算するように構成されている。
【0005】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、固定フィルタである。
【0006】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、エラー信号を最小化するように構成された適応フィルタである。
【0007】
一例において、オーディオシステムは、車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成するように構成されたエコー除去フィルタを更に含む。
【0008】
一例において、適応フィルタは、車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じるマイクロフォン信号のエコー成分を最小化するように構成されたエコー除去フィルタを更に含むマルチチャンネル適応フィルタに含まれる。
【0009】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、マイクロフォン信号及び加速度計信号を受信するように構成されており、交通ノイズ除去フィルタは、マイクロフォン信号及び加速度計信号に応じてマイクロフォン信号の交通ノイズ成分を最小化するように最適化されている。
【0010】
一態様によれば、マイクロフォン信号における交通ノイズを除去する方法であって、車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を加速度計から受信することと、車室内に動作可能に位置付けられたマイクロフォンから、交通ノイズ成分を有するマイクロフォン信号を受信することと、交通ノイズ除去フィルタによって、加速度計信号に従ってマイクロフォン信号の交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成することと、を含む、方法。
【0011】
一例において、最小化する工程は、交通ノイズ除去フィルタによって、加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を生成することと、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分が最小化されるようにマイクロフォン信号から推定交通ノイズ信号を減算することと、を含む。
【0012】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、固定フィルタである。
【0013】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、適応フィルタであり、適応フィルタの複数の係数は、エラー信号に従って適応される。
【0014】
一例において、方法は、エコー除去フィルタによって、車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成することを更に含む。
【0015】
一例において、方法は、適応フィルタと共にマルチチャンネル適応に含まれているエコー除去フィルタによって、車両内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じるマイクロフォン信号のエコー成分を最小化することを更に含む。
【0016】
一例において、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を最小化する工程は、加速度計信号及びマイクロフォン信号の両方に従って行われる。
【0017】
別の態様によれば、プログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体であって、プログラムコードは、プロセッサによって実行されると、車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を加速度計から受信する工程と、車両内に動作可能に位置付けられたマイクロフォンから、交通ノイズ成分を有するマイクロフォン信号を受信する工程と、交通ノイズ除去フィルタによって、加速度計信号に従ってマイクロフォン信号の交通ノイズ成分を最小化して、推定マイクロフォン信号を生成する工程と、を含む、プログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体。
【0018】
一例において、最小化する工程は、交通ノイズ除去フィルタによって、加速度計信号に基づいて、推定交通ノイズ信号を生成することと、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分が最小化されるようにマイクロフォン信号から推定交通ノイズ信号を減算することと、を含む。
【0019】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、固定フィルタである。
【0020】
一例において、交通ノイズ除去フィルタは、適応フィルタであり、適応フィルタの複数の係数は、エラー信号に従って適応される。
【0021】
一例において、プログラムコードは、エコー除去フィルタによって、車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、推定マイクロフォン信号のエコー成分を最小化して、残差信号を生成する工程であって、エラー信号は残差信号である、工程を更に含む。
【0022】
一例において、プログラムコードは、適応フィルタと共にマルチチャンネル適応に含まれているエコー除去フィルタによって、車室内に配設された少なくとも1つの音響変換装置の音響生成から生じる、マイクロフォン信号のエコー成分を最小化する工程を更に含む。
【0023】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において述べられる。他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】一例による、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの概略図である。
【
図1B】一例による、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの部分概略図である。
【
図1C】一例による、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの部分概略図である。
【
図2】一例による、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための適応交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの概略図である。
【
図3】一例による、マイクロフォン信号のエコー成分を除去するためのエコー除去装置と組み合わされた、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための適応交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの概略図である。
【
図4】一例による、マイクロフォン信号のエコー成分を除去するためのエコー除去装置と組み合わされた、マイクロフォン信号の交通ノイズ成分を除去するための適応交通ノイズ除去装置を備えるオーディオシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
車両に実装されたハンズフリー電話システムは、ユーザの音声を受信するために車両内に位置付けられたマイクロフォンを備えることとなる。次いで、マイクロフォンからの信号は、典型的には、モバイルデバイスに送られる。マイクロフォンは車室内に位置するため、車両構造の振動から生じる交通ノイズは、マイクロフォン信号内に存在し、かつ検出可能である。マイクロフォン信号内の交通ノイズは、通話を受信するユーザに可聴であることとなり、概して、通話の質を劣化させることとなる。したがって、ハンズフリー電話システムに送信されたマイクロフォン信号における交通ノイズの存在を最小化する方法のニーズが当該技術分野において存在している。
【0026】
本明細書に記載された様々な例は、車室内の交通ノイズを表す加速度計信号を利用することによって、マイクロフォン信号内の交通ノイズの存在を最小化するためのシステム及び方法に関する。
図1は、1つ以上の音響変換装置102と、1つ以上のマイクロフォン104と、交通ノイズ除去装置106、エコー除去装置108、及びポストフィルタサブシステム110などのオーディオ処理サブシステムと、を備える、典型的には車両内に実装されるオーディオシステム100の一例を示す。オーディオシステム100は、1つ以上のコンテンツ信号u(n)を1つ以上のチャンネル112を介して受信する。プログラムコンテンツ信号u(n)は、例えば、左右の対として複数のチャンネル112(例えば、チャンネル112a及び112b)を介して提示される音声信号などの単一のタイプのプログラムコンテンツ信号であってもよい。代替的に又は組み合わせて、音声、ナビゲーション、又は音楽などの複数のタイプのプログラムコンテンツ信号u(n)がそれぞれ、1つ以上のチャンネル112を介して提示されてもよい。プログラムコンテンツ信号u(n)は、アナログ信号又はデジタル信号であってもよく、圧縮されたストリーム及び/又はパケット化されたストリームとして提供されてもよく、サウンドステージレンダリング114、交通ノイズ除去装置106、又は他のコンポーネントなどの追加処理の制御及び/又は構成のための別のシステムからの命令、コマンド、又はパラメータなどの追加情報をかかるストリームの一部として受信することができる。
【0027】
コンテンツ信号は、1つ以上の音響変換装置102によって音響信号に変換される。音響変換装置102は、様々なコンテンツ信号及びサウンドステージパラメータに従って音響音場を生成するために、音響変換装置102を駆動するための、イコライゼーション及び拡声ルーティングなどの様々な処理を提供するサウンドステージレンダリング114などの処理用コンポーネントを更に有してもよい。一例において、1つ以上の音響変換装置102が車室内に配設されてもよく、音響変換装置102の各々は、車両のそれぞれのドア内に位置し、音を車両室内に投射するように構成されている。代替的に又は追加的に、音響変換装置102は、ヘッドレスト内又は車室内の他の場所に位置してもよい。
【0028】
図1~
図4の例示的なオーディオシステム100などの図に示されるブロック図は概略図であり、個々のハードウェア要素を必ずしも例示するものではない。例えば、いくつかの例では、交通ノイズ除去装置106、エコー除去装置108、ポストフィルタサブシステム110、及びサウンドステージレンダリング114並びに他のコンポーネント及び/又はこれらの任意の部分若しくはこれらの組み合わせの各々が、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、又は他の論理回路群などの回路群の1つのセットに実装されてもよく、かつ回路群が本明細書に記載の機能を実行できるように非一時的記憶媒体に記憶された命令を含んでもよい。代替的な例では、これらの様々な部分又は組み合わせは、様々なセットの回路群に亘って分散されてもよい。
【0029】
マイクロフォン104などのマイクロフォンは、ユーザからの音響音声信号s(n)、ノイズ信号v(n)、音響エコー信号d(n)、及び車両内の暗騒音などの他の音響信号のそれぞれを受信し得る。マイクロフォン104は、音響信号を、例えば、電気信号に変換し、変換された信号を交通ノイズ除去装置106に提供する。具体的には、マイクロフォン104は、ユーザが話しているときに音声信号s(n)を提供し、少なくとも車両が動いているときにノイズ信号v(n)を提供し、音響変換装置102がアクティブであるとき、交通ノイズ除去装置106への合成信号ymic(n)の一部として、エコー信号d(n)(すなわち、(複数の)音響変換装置102の音響生成から生じる合成信号の成分)を提供する。音響交通ノイズ信号v(n)は、少なくとも、交通ノイズ、すなわち、va(n)(つまり、車両が道路若しくは他の表面の上を走行するときに振動する車両の構造に起因する、又はエンジンの振動に起因する車室内の音響信号)、及び風切り音、すなわち、vr(n)(つまり、車両が走行するときに空気が車両の上を通過することによって生じる、車室内の音響信号)に関係する成分を含むこととなる。(本開示における引数nは、離散時間信号を表す)。
【0030】
交通ノイズ除去装置106は、合成信号y
mic(n)から交通ノイズ成分v
a(n)を除去又は最小化して、交通ノイズ除去信号y(n)を提供すること試みるように機能する。一例において、交通ノイズ除去装置106は、例えば、交通ノイズ除去フィルタ118を介して、1つ以上の加速度計116から受信した(複数の)加速度計信号a(n)を処理することによって、交通ノイズ成分v
a(n)を除去して、推定交通ノイズ信号
【数1】
を生成するように機能する。推定交通ノイズ信号
【数2】
は、少なくとも1つの例では、交通ノイズを測定するために車両の周りに動作可能に配設された1つ以上の加速度計116で測定された交通ノイズに基づく、マイクロフォン104に存在する交通ノイズの推定である。
【0031】
本明細書で使用される際、「加速度計」は、車室内で音に変換される、道路若しくは他の表面に亘る車両の走行から生じるか、又はエンジンの振動から生じる、車両構造における振動を検出するために好適な任意のセンサを包含すると理解されるべきである。
【0032】
次いで、推定交通ノイズ信号
【数3】
は、合成信号y
mic(n)の交通ノイズ成分v
a(n)が最小化されるようにマイクロフォン104によって提供された合成信号y
mic(n)から減算され得る。したがって、交通ノイズ除去フィルタ119が上手く機能して推定交通ノイズ信号
【数4】
を提供できれば、交通ノイズ除去装置106は、マイクロフォン104によって提供された合成信号y
mic(n)から交通ノイズ成分v
a(n)を除去することが上手くできることとなる。
【0033】
図1Aに示すように、交通ノイズ除去フィルタ118は、推定交通ノイズ信号
【数5】
を生成するために、(複数の)加速度計信号a(n)に、固定されたセットの係数を適用するように構成された固定フィルタであってもよい。交通ノイズ除去フィルタ118は、(複数の)加速度計116とマイクロフォン104との間の伝達関数g(n)の推定値である、伝達関数
【数6】
を適用するものとして考えることができるので、交通ノイズ除去フィルタ118によって受信された加速度計信号a(n)は、交通ノイズ除去フィルタ118によって、マイクロフォンに存在する交通ノイズの推定値
【数7】
に変換される。
図1Aに示すように、複数の加速度計116が使用される場合、推定伝達関数
【数8】
は、各加速度計116とマイクロフォン104との間の伝達関数の合計の推定値を表すことができる。例えば、伝達関数
【数9】
は、加速度計116aとマイクロフォン104との間の伝達関数
【数10】
~加速度計116Lとマイクロフォン104との間の伝達関数
【数11】
の合計の推定値であってもよい。推定交通ノイズ信号
【数12】
は、(複数の)マイクロフォン104の合成信号出力から減算され、その結果、交通ノイズが除去された信号である、マイクロフォン信号y(n)が生成される。(交通ノイズ除去信号y(n)は、交通ノイズ成分を依然として含む場合があるが、適切に機能する場合、交通ノイズ除去信号y(n)の交通ノイズ成分v
a(n)は、合成信号y
mic(n)に対して少なくとも最小化されるはずであることを理解されたい。)
【0034】
同様に、マイクロフォン104がマイクロフォンのアレイである場合、例えば、
図1Bに示されるように、交通ノイズ除去フィルタ118は、各加速度計116から各対応するマイクロフォン104への伝達関数の合計を推定することができる。したがって、例えば、交通ノイズ除去フィルタ118は、加速度計116aからマイクロフォン104a~マイクロフォン104Jへの伝達関数
【数13】
の合計を概算することができ、この概算は、加速度計116Lまでの各加速度計に対して繰り返すことができる。実際、(複数の)加速度計116及びマイクロフォン104は、車両の周りの様々な場所に空間的に分散されているので、各加速度計から各対応するマイクロフォンへの伝達関数は多様であり得、したがって、各加速度計と各マイクロフォンとの間の伝達関数
【数14】
として考えることができる。推定伝達関数
【数15】
は、代替的に、各加速度計116と等価のマイクロフォン(すなわち、マイクロフォン104を含む複合マイクロフォン)との間の伝達関数として考えられてもよく、等価のマイクロフォンの特性は、マイクロフォン104の空間的関係によって決定される。
【0035】
実際には、交通ノイズ除去フィルタ118の係数(したがって、推定伝達関数
【数16】
)は、好適な方法(例えば、複合信号処理)に従って、交通ノイズ除去信号y(n)の交通ノイズ成分を最小化するために、経験的に決定され得る。例えば、(複数の)マイクロフォン104及び(複数の)加速度計116の両方を備える車両は、多様な路面の上を運転される場合があり、両方からの信号が記録される。このデータから、合成信号y
mic(n)から減算された場合、平均して、合成信号y
mic(n)の交通ノイズ成分v
a(n)を最小化する推定交通ノイズ信号
【数17】
を生成する最適化された係数の組が決定され得る。
【0036】
図1Bに示すように、マイクロフォン104から出力されたマイクロフォン信号y
mic1...micJ(n)は、同様に、伝達関数
【数18】
を実装する固定マイクロフォンフィルタ120に入力され得る。マイクロフォンフィルタ120は、マイクロフォン信号y
mic1...micN(n)を単一のマイクロフォン信号y
mic(n)に合成し、マイクロフォン104をユーザの口の近くの場所に突き出すなど、任意の他の必要な又は有用な信号処理を適用するように構成されてもよい。そのような信号処理がマイクロフォンフィルタ120によって適用される範囲で、推定伝達関数
【数19】
は、各加速度計116と各マイクロフォン104の(複数の)突出場所との間の推定伝達関数を表すことができる。代替的に又は追加的に、マイクロフォンフィルタ120は、ビームを所望の音響信号源の方向に向け、かつ/又はノイズ発生源から遠ざけることができ、追加的に又は交互に、ヌルをノイズ発生源の方向に向けることができる。
【0037】
実際、マイクロフォンフィルタ120を使用する場合、交通ノイズ除去フィルタ118の係数は、上記の方法と同じように、y
mic(n)の交通ノイズ成分を最小化して、交通ノイズ除去信号y(n)を生成するように、経験的に決定されてもよい。マイクロフォンフィルタ120は、
図1Bと併せて図示されているが、同様のマイクロフォンフィルタを、本明細書に記載のマイクロフォンを含む任意の例と共に実装できることを理解されたい。
【0038】
図1Cに示すように、代替例では、交通ノイズ除去装置106は、(複数の)マイクロフォン104からの(複数の)合成信号y
mic(n)及び(複数の)加速度計116からの(複数の)交通ノイズ信号a(n)を受信し、(複数の)加速度計116と(複数の)マイクロフォン104との間の関係に基づいて、交通ノイズ除去信号y(n)の交通ノイズ成分を最小化するように最適化された推定伝達関数
【数20】
を実装するように構成されたフィルタとして実装されてもよい。この例では、交通ノイズ除去装置106は、推定交通ノイズ信号をy
mic(n)から減算せず、(複数の)マイクロフォン104及び(複数の)加速度計116からの入力を使用して、交通ノイズ除去フィルタ118によって、y(n)を直接生成する。交通ノイズ除去フィルタ118は、上記の例のように、合成信号y
mic(n)の交通ノイズ成分v
a(n)の最小化を達成するように経験的に最適化されてもよい。例えば、(複数の)マイクロフォン104及び(複数の)加速度計116の両方を備える車両は、多様な路面の上を運転され得、両方からの信号が記録される。このデータから、任意の好適なアレイ処理方法に従って、合成信号y
mic(n)の交通ノイズ成分v
a(n)を平均して最小化する最適化された係数の組を決定してもよい。
【0039】
図2を参照して、適応アルゴリズムに従って、十分に正確な推定交通ノイズ信号を生成する満足のいくパラメータに収束する1つ以上の(複数の)適応交通ノイズ除去フィルタ118を交通ノイズ除去装置106が含む代替的な例示のオーディオシステム200が示されている。
図1A及び
図1Bの例と同様に、交通ノイズ除去フィルタ118は、(複数の)加速度計信号a(n)にフィルタ係数の組を適用して、推定交通ノイズ信号
【数21】
を生成することができる。(複数の)適応交通ノイズ除去フィルタ118の係数は、エラー信号(ここでは、交通ノイズ除去信号y(n)として示される)を最小化するために、適応アルゴリズムに従って更新されてもよい。使用できる適応アルゴリズムの例として、例えば、最小平均二乗(least mean squares、LMS)アルゴリズム、正規化最小平均二乗(normalized least mean squares、NLMS)アルゴリズム、再帰的最小二乗(recursive least square、RLS)アルゴリズム、又はこれらのアルゴリズム若しくは他のアルゴリズムの任意の組み合わせ若しくは変形例を挙げることができる。適応アルゴリズムによって適応された(複数の)適応交通ノイズ除去フィルタ118は、収束して、上記のように、(複数の)加速度計116と(複数の)マイクロフォン104との間の伝達関数g(n)を表す推定伝達関数
【数22】
を適用し、(複数の)交通ノイズ除去フィルタ118によって受信された加速度計信号a(n)は、交通ノイズ除去フィルタ118によって、マイクロフォンに存在する交通ノイズの推定値
【数23】
に変換される。
【0040】
図2に示すように、複数の適応交通ノイズ除去フィルタ118は、共にマルチチャンネル適応フィルタを形成することができる。マルチチャンネル適応フィルタのそれぞれを構成する交通ノイズ除去フィルタ118は、それぞれの加速度計116に関連付けられている(すなわち、それぞれの加速度計116から信号を受信する)。例えば、適応交通ノイズ除去フィルタ118aは、加速度計116aに関連付けられ、かつ加速度計116aから信号a
1(n)を受信し、加速度計116aとマイクロフォン104との間の伝達関数を表すそれぞれの伝達関数
【数24】
を適用することができる。同様に、残りの適応フィルタ118Lは、(複数の)加速度計116Lに関連付けられ、かつ(複数の)加速度計116Lからの信号a
L(n)受信し、それぞれの加速度計116Lとマイクロフォン104との間のそれぞれの伝達関数
【数25】
を適用すし得る。各適応交通ノイズ除去フィルタ118のそれぞれの伝達関数は、ここでは交通ノイズ除去信号y(n)として示されるエラー信号を最小化するように調整される。したがって、各適応交通ノイズ除去フィルタ118の出力は、関連する加速度計116から受信した信号及び適応交通ノイズ除去フィルタ118の推定伝達関数
【数26】
に基づいて、マイクロフォン104での交通ノイズの推定値を表す。適応交通ノイズ除去フィルタ118の出力を合計して、推定交通ノイズ信号
【数27】
を生成することができる。
【0041】
代替の実施形態では、交通ノイズ除去フィルタ118は、(エコー除去装置108の出力における)残差信号e(n)、つまり、推定音声信号
【数28】
を使って更新されてもよい。なぜなら、この信号は、適応に干渉し、かつ/又は適応交通ノイズ除去フィルタ118を発散させると考えられる成分をより少なく含有しているためである。いくつかの例では、適応アルゴリズムは、参照信号のパワーの合計に対する、それぞれの交通ノイズ除去フィルタ118で受信された参照信号のパワーに応じて、各対応する交通ノイズ除去フィルタ118の係数を更新することができる。例えば、適応フィルタ118aで受信された参照信号である加速度計信号a
1(n)が、適応フィルタ118Lで受信された加速度計信号a
L(n)よりも大きいパワーを有する場合、適応交通ノイズ除去フィルタ118aの係数は、適応交通ノイズ除去フィルタ118Lの係数の更新より大きく更新されることとなる。したがって、交通ノイズ除去信号y(n)で観察されたエラーに最も関与するチャンネルは、最も大きく更新されることとなる。
【0042】
概ね、適応アルゴリズムは、ユーザが話していない間に(複数の)交通ノイズ除去フィルタ118を更新するが、場合によっては、適応アルゴリズムはいつでも更新を行ってもよい。そのために、ダブルトーク検出装置204は、ユーザがいつ話しているかを検出し、(複数の)適応交通ノイズ除去フィルタ118に更新を停止させるように指示するか、又は更新を停止させてもよい。
【0043】
図1及び
図2に示すように、交通ノイズ除去装置106は、(機能及び動作は以下で簡単に説明される)エコー除去装置108及びポストフィルタサブシステム110と併せて実装される。しかしながら、様々な例では、交通ノイズ除去装置106は、エコー除去装置又はポストフィルタのうちの一方を備えずに、又は両方共備えずに(これらのサブシステムが交通ノイズ除去装置106とは独立して機能する場合に限り)実装することができ、
図1及び
図2のオーディオシステム100、200は、交通ノイズ除去装置が実装され得るオーディオシステムの一例として単に提供されているということを理解されたい。
【0044】
エコー除去装置108は、交通ノイズ除去信号y(n)からエコー信号を除去して、残差信号e(n)を提供しようとするように機能する。エコー除去装置108は、1つ以上のエコー除去フィルタ124を介してチャンネル112上のプログラムコンテンツ信号u(n)を処理することにより、エコー信号d(n)を最小化して、マイクロフォン104によって提供される信号から減算される推定エコー信号
【数29】
を生成するように機能する。様々な代替の実施形態では、プログラムコンテンツ信号u(n)ではなく、サウンドステージレンダリング114の出力であるb(n)を、エコー除去装置108の(複数の)参照信号として使用してもよい。実際、少なくとも1つのプログラムコンテンツ信号u(n)と相関し、交通ノイズ除去信号y(n)内のエコー信号d(n)の存在を最小化するのに好適な任意の信号を、エコー除去装置108の参照信号として使用してもよい。
【0045】
エコー除去装置108は、(複数の)適応エコー除去フィルタ124を間隔を空けて更新して、推定エコー信号
【数30】
を改善するための適応アルゴリズムを含んでもよい。時間の経過とともに、適応アルゴリズムは、(複数の)適応エコー除去フィルタ124を十分に正確な推定エコー信号
【数31】
を生成するための満足のいくパラメータに収束させて、残差信号e(n)のエラーを最小化する。概ね、適応アルゴリズムは、ダブルトーク検出装置204がユーザが話していないことを検出する間に(複数の)適応エコー除去フィルタ124を更新するが、場合によっては、適応アルゴリズムはいつでも更新を行ってもよい。ユーザが発話すると、「ダブルトーク」と見なされ、マイクロフォン104は、音響エコー信号d(n)と音声信号s(n)との両方を収音する。
【0046】
(複数の)適応エコー除去フィルタ124は、プログラムコンテンツ信号u(n)にフィルタ係数の組を適用して、推定エコー信号
【数32】
を生成することができる。適応アルゴリズムは、多様な技術のうちのいずれかを使用して、フィルタ係数を決定し、フィルタ係数を更新又は変更して、(複数の)適応エコー除去フィルタ124の性能を改善することができる。このような適応アルゴリズムとしては、アクティブフィルタ又はバックグラウンドフィルタのどちらで動作しているかに関係なく、例えば、最小平均二乗(LMS)アルゴリズム、正規化最小平均二乗(NLMS)アルゴリズム、再帰的最小二乗(RLS)アルゴリズム、又はこれらのアルゴリズム若しくは他のアルゴリズムの任意の組み合わせ若しくは変形例を挙げることができる。適応アルゴリズムによって適応された(複数の)エコー除去フィルタ124は、(複数の)音響変換装置102と(複数の)マイクロフォン104との間のエコー経路の応答を表す推定伝達関数
【数33】
を適用するように収束する。
【0047】
一般的に言えば、例えば、
図1及び
図2に示されるように、複数のエコー除去フィルタ124は、共にマルチチャンネル適応エコー除去フィルタを形成することができ、構成する各エコー除去フィルタ124は、関連付けられた参照信号(例えば、プログラムコンテンツ信号u(n))を受信することができる。例えば、適応エコー除去フィルタ124aは、プログラムコンテンツチャンネル112aに関連付けられ、かつプログラムコンテンツチャンネル112aから信号u
1(n)を受信し、エコー経路h
1(n)を表すそれぞれの伝達関数
【数34】
(及び、以下で説明するように、追加の処理の応答)を適用することができる。同様に、残りの適応エコー除去フィルタ124Mはそれぞれ、(複数の)プログラムコンテンツチャンネル112Mからの(複数の)信号u
M(n)に関連付けられ、かつ受信することができ、それぞれの(複数の)伝達関数
【数35】
を適用することができる。各適応エコー除去フィルタ124のそれぞれの伝達関数は、ここでは交通ノイズ及びエコー除去残差信号e(n)として示されるエラー信号を最小化するように調整される。
【0048】
適応エコー除去フィルタ124の数は、概ね、受信された参照信号の数に依拠されることを理解されたい。したがって、プログラムコンテンツ信号u(n)が参照信号として使用される場合、あるM個のエコー除去フィルタ124を実装することができ、各エコー除去フィルタ124は、それぞれ、M個のプログラムコンテンツ信号u(n)のうちの1つに関連付けられる一方、サウンドステージレンダリングの出力b(n)が使用される場合、あるN個のエコー除去フィルタ124を実装することができ、各エコー除去フィルタ124は、それぞれ、N個のサウンドステージレンダリングの出力b(n)のうちの1つに関連付けられる。いくつかの例では、例えば、プログラムコンテンツ信号u(n)又はサウンドステージレンダリングの出力b(n)よりも少ない数の適応エコー除去フィルタ124が使用される場合があることも理解されたい。例えば、ウーファーの左、ツイドラーの左、及びツイーターの左のプログラムコンテンツ信号u(n)のセットなど特定のプログラムコンテンツ信号u(n)が共に合算され、単一のエコー除去フィルタ124に対する参照信号として提供される場合、又は効果的なエコー除去を実現するために参照信号のサブセットのみを使用する必要がある場合、より少ないエコー除去フィルタ124が使用されてもよい。
【0049】
エコー経路h(n)を推定することに加えて、推定伝達関数
【数36】
は、参照信号(例えば、プログラムコンテンツ信号u(n))が取得される場所とエコー除去装置108との間に配設された任意の処理の推定を表してもよい。したがって、
図1Aに示すように、参照信号は、プログラムコンテンツ信号u(n)であり、推定伝達関数
【数37】
は、エコー経路h(n)の応答に加えて、サウンドステージレンダリング114、(複数の)音響変換装置102、(複数の)マイクロフォン104、及び(複数の)マイクロフォン104に関連する任意の処理(アレイ処理など)の応答を表すこととなる。したがって、推定伝達関数
【数38】
は、応答及びマイクロフォン104で行われる任意の処理と併せて、プログラムコンテンツ信号u(n)が、受信された形態からエコー信号d(n)にどのように変換されるかを表す。しかしながら、参照信号が、サウンドステージレンダリング114の出力であるb(n)で取得された場合、推定伝達関数
【数39】
は、(複数の)音響変換装置102、エコー経路h(n)、(複数の)マイクロフォン104、及び(複数の)マイクロフォン104に関連する任意の処理の応答をまとめて表す。したがって、サウンドステージレンダリング114の応答は、推定伝達関数
【数40】
に含まれており、推定エコー信号
【数41】
の各々は、サウンドステージレンダリング114による関連するプログラムコンテンツ信号u(n)の処理を含むため、
図1及び
図2は、N個の推定エコー信号
【数42】
ではなく、M個の推定エコー信号
【数43】
を示す。したがって、M個の推定エコー信号
【数44】
の合計は、N個のエコー信号d(n)の合計を推定することとなる。
【0050】
エコー除去装置108は、典型的には、プログラムコンテンツチャンネルに相関するマイクロフォン信号y(n)の線形態様を除去するが、エコー経路の急激な変化及び/又は非線形性は、エコー除去装置108が正確に推定されたエコー信号を提供することを防ぐため、残留エコーは残差信号e(n)に残ることとなる。したがって、ポストフィルタサブシステム110は、スペクトルフィルタ処理によって残留エコー成分を抑制して、改善された推定音声信号
【数45】
を生成するように動作する。そのようなポストフィルタは、当該技術分野で概ね既知であるが、一例の簡単な説明を以下に提供する。
【0051】
図示されるように、ポストフィルタサブシステム110は、係数算出装置126及びポストフィルタ128を含んでもよい。ポストフィルタ128は、いくつかの例では、残差信号e(n)のスペクトルコンテンツを低減させることによって、(エコー除去装置108からの)残差信号e(n)の残留エコーを、周波数ビンごとの、総信号パワー(例えば、発話及び残留エコー)に対する残留エコー信号パワーの尤度比に関連する量だけ抑制する。一例において、ポストフィルタ128は、残差信号e(n)の(指数「k」で表される)各周波数ビンを、次の例示的な等式に従って、係数算出装置126によって算出された、フィルタ係数H
pf(k)で乗算し得る。
【数46】
式中、ΔH
i(k)は、スペクトル不整合であり、S
ee(k)は、残差信号e(n)のパワースペクトル密度であり、
【数47】
は、i番目のコンテンツチャンネル上のプログラムコンテンツ信号u(n)のパワースペクトル密度である。最小乗数であるH
minは、すべての周波数ビンに適用されるので、周波数ビンが最小値よりも小さい値が乗算されないようになる。より低い値による乗算は、より大きな減衰に相当することを理解されたい。等式(1)の例では、各周波数ビンは、最大で1を乗算しているが、他の例は、フィルタ係数を算出するために異なるアプローチを使用し得ることにも留意されたい。β係数は、ポストフィルタサブシステム110が信号コンテンツをどの程度積極的に抑制するかを調整するために使用され得る倍率又は過剰推定因子であるか、あるいはいくつかの例では、1に等しいことによって効果的に除去される場合もある。ρ係数は、ゼロによる除算を避けるための正則化係数である。
【0052】
スペクトル不整合ΔH
i(k)は、エコー経路h(n)と音響エコー除去装置108との間のスペクトル不整合を表す。スペクトル不整合ΔH
i(k)は、残差エラー信号e(n)と、i番目のコンテンツチャンネルのプログラムコンテンツ信号u
i(n)のクロスパワースペクトル密度
【数48】
の、i番目のコンテンツチャンネル上のプログラムコンテンツ信号u(n)のパワースペクトル密度
【数49】
に対する比率として算出されてもよい。
【数50】
【0053】
いくつかの例では、使用されるパワースペクトル密度は、算出されたスペクトル不整合の突然の変化(例えば、急激な変化又は有意の変化)を防ぐため、時間平均されるか、又は平滑化されるか、又はローパスフィルタ処理されてもよい。
【0054】
式(1)及び式(2)は、参照信号が無相関の事例に概ね関することを理解されたい。参照信号が必ずしも無相関ではない場合(例えば、左右のチャンネルペアがいくつかの共通のコンテンツを共有している場合)、係数算出装置126は、以下の式に従って、フィルタ係数H
pf(k)を算出することができる。
【数51】
式中、ΔH
Hは、ΔHの複素共役転置行列である、ΔHのエルミート関数を表し、ΔHは、次の式で与えられる。
【数52】
S
uuは、プログラムコンテンツチャンネルのパワースペクトル密度及びクロスパワースペクトル密度の行列である。ΔHは、すべてのチャンネルのスペクトル不整合を含むベクトルであり、S
ueは、エラー信号を有する各参照チャンネルのクロスパワースペクトル密度を含むベクトルである。
【0055】
上記の式は、複数のコンテンツチャンネルからの残留エコーを抑制するように構成されたポストフィルタサブシステム110に対して提供されているが、代替的な例では、ポストフィルタサブシステム110は、1つのコンテンツチャンネルのみからの残留エコーを抑制するように構成されてもよい。
【0056】
様々な例では、ポストフィルタサブシステム110は、周波数ドメイン又は時間ドメインで動作するように構成されてもよい。したがって、「フィルタ係数」という用語の使用は、ポストフィルタサブシステム110を時間ドメインにおける動作に限定することを意図するものではない。「フィルタ係数」という用語又は他の同等の用語は、所望の応答又は所望の伝達関数を引き起こすためにフィルタに適用されるか、あるいはフィルタに組み込まれた任意の組の値を意味し得る。特定の例では、ポストフィルタサブシステム110は、推定音声信号のデジタルバージョンで動作して、概ね1以下の別個の値によって、多数の個々の周波数ビン内の信号コンテンツを乗算するデジタル周波数領域フィルタであってもよい。異なる値の組がフィルタ係数と見なされてもよい。
【0057】
様々な代替例では、交通ノイズ除去装置106は、マイクロフォン104からの合成信号ではなく、推定残留エラー信号e(n)を受信するように位置付けられてもよいことを理解されたい。すなわち、交通ノイズ除去装置106は、処理チェーンにおいてエコー除去装置108の後に配置されてもよい。これにより、エコー信号が、フィルタ係数を適応させるために、適応交通ノイズ除去フィルタ118によって使用されるエラー信号に存在しないか、又は存在しても最小限にしか存在しないため、交通ノイズ除去装置106の性能を向上させることができる。
【0058】
一例において、交通ノイズ除去装置106及びエコー除去装置108は、サブバンドに対応してもよい。すなわち、交通ノイズ除去装置106及びエコー除去装置108は、複製されてもよく、それぞれの複製は、特定の周波数帯域に関連付けられてもよい。サブバンドごとの、処理チェーンにおける交通ノイズ除去装置106及びエコー除去装置108の順序は、交通ノイズ成分v
a(n)に対する、エコー信号d(n)の信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio、SNR)によって決定されてもよい。例えば、合成信号y
mic(n)は、例えば、ローパスフィルタでフィルタ処理されて、例えば、400Hz未満の低周波数サブバンドを生成してもよい。その周波数範囲では、交通ノイズ信号v
a(n)のパワーは、概ね、エコー信号d(n)のパワーよりも高くなる(つまり、合成信号y
mic(n)は、概ね、0dB未満のSNRを有することとなる)ので、交通ノイズ除去装置106は、処理チェーンにおいてエコー除去装置108の前に(すなわち、
図1及び
図2に示される順序で)位置付けられてもよい。この周波数帯域において交通ノイズ除去装置106の前にエコー除去装置を配置した場合、交通ノイズ成分v
a(n)が、エコー除去装置108で受信したエラー信号を占め、エコー除去装置108が適切に適応することが妨げられると考えられる。
【0059】
同様に、合成信号ymic(n)は、例えば、バンドパスフィルタによって、例えば、エコー信号d(n)が合成信号ymic(n)を占めている(つまり、合成信号ymic(n)は、概ね、0dBより大きいSNRを有することとなる)400Hz~1kHzのミッドレンジまでフィルタ処理されてもよい。この周波数帯域では、エコー除去装置108は、処理チェーンにおいて交通ノイズ除去装置106の前に位置付けられてもよい。そうでない場合、合成信号ymic(n)におけるエコー信号d(n)のパワーにより、交通ノイズ除去装置106が適切に適応することが妨げられると考えられる。
【0060】
最後に、合成信号ymic(n)は、例えば、ハイパスフィルタによって、エコー信号d(n)が合成信号ymic(n)を大幅に占めている(つまり、合成信号ymic(n)は、概ね0dBより非常に大きいSNRを有することとなる)、例えば、1kHzより大きい高周波数帯までフィルタ処理されてもよい。この例では、不要な処理を回避するために、交通ノイズ除去装置106が完全に省略されてもよい。
【0061】
上記の周波数帯域は、処理チェーン内の交通ノイズ除去装置106及びエコー除去装置108の順序が特定の周波数帯域のSNRによって決定され得るという概念を例示するために単に例として提供されていることを理解されたい。より具体的には、SNRが概ね0dB未満である周波数帯域に対して、交通ノイズ除去装置106は、エコー除去装置108の前に位置付けられてもよい。SNRが概ね0dBより大きい周波数帯域に対して、交通ノイズ除去装置106は、エコー除去装置108の後に位置付けられてもよい。そして、SNRが概ね0dBより非常に大きい周波数帯域に対して、交通ノイズ除去装置106は完全に省略されてもよい。
【0062】
上述のように、
図2の適応フィルタ124、118は、参照信号の各々のパワーの合計に対する参照信号のパワーに従って、係数を更新してもよい。しかしながら、(複数の)交通ノイズ除去適応フィルタ118は、エコー除去装置108の適応フィルタとは別に実装されているので、(複数の)適応交通ノイズ除去フィルタ118は、(複数の)加速度計116から受信された信号の相対パワーのみを比較することとなる。しかしながら、交通ノイズ除去信号y(n)に存在するエラーは、部分的に、交通ノイズ除去信号y(n)にまだ存在する、(複数の)マイクロフォン104で受信されたエコーに起因し得る。したがって、
図3のオーディオシステム300に示されるように、エコー除去装置の適応エコー除去フィルタ124を交通ノイズ除去装置の適応交通ノイズ除去フィルタ118と組み合わせて、複合マルチチャンネル適応フィルタ302にすることは有利である。複合マルチチャンネル適応フィルタ302は、コンテンツプログラムコンテンツ信号u(n)及び加速度計信号a(n)を含む、参照信号の総パワーに対する各信号の係数を更新することとなる。例えば、
図3に示すように、プログラムコンテンツ信号u
1(n)、u
2(n)~u
M(n)及び加速度計信号a
1(n)~a
L(n)の相対パワーは、適応エコー除去フィルタ124a、124b~124M、及び交通ノイズ除去フィルタ118~118Lの係数を算出する際に考慮されてもよい。上述のように、一例において、各適応フィルタの更新の大きさは、適応フィルタの参照信号のパワーとすべての参照信号のパワーの合計との比率に比例し得る。したがって、例えば、適応交通ノイズ除去フィルタ118aの更新の大きさは、加速度計信号a
1(n)のパワーと、プログラムコンテンツ信号u
1(n)、u
2(n)~u
M(n)及び加速度計信号a
1(n)~a
L(n)のパワーの合計との比に比例し得る。したがって、適応フィルタ302の合計出力は、推定エコー信号
【数53】
及び推定交通ノイズ成分
【数54】
を表し、コンテンツチャンネル及び加速度計信号の相対パワーが更新中に考慮されることとなるので、その結果、各プログラムコンテンツチャンネル112及び加速度計チャンネルのエラーに対するより正確な原因が明白となる。
【0063】
複合マルチチャンネル適応フィルタ302を除いて、
図3の構造及び構成要素は、
図2に関連して説明されたものとほぼ同じように機能するので、追加の説明を必要としない。
【0064】
図4に示すように、残差信号e(n)における残余エコーを抑制することに加えて、残差信号e(n)に存在する残余交通ノイズを抑制するために、ポストフィルタサブシステムは、加速度計信号a(n)を参照信号として受信するように更に構成されてもよい。当業者は、本開示の検討と併せて、残差信号e(n)の残余交通ノイズを抑制するために、ポストフィルタサブシステム110及び上記の等式をどのように変更すればよいかを理解するだろう。
【0065】
残差信号e(n)の交通ノイズを抑制するように変更された複合ポストフィルタサブシステム110に加えて、
図4の構造及び構成要素は、
図3に関連して説明されたものとほぼ同じように機能するので、追加の説明を必要としない。しかしながら、様々な代替例では、変更されたポストフィルタサブシステム110は、複合マルチチャンネル適応フィルタ302を特徴としないオーディオシステムに含まれてもよいことを理解されたい。例えば、変更されたポストフィルタサブシステム110は、オーディオシステム100及び200と共に含まれてもよい。
【0066】
交通ノイズ除去装置106、エコー除去装置108、及びポストフィルタサブシステム110は、例えば、ダブルトーク検出装置204によって、ダブルトーク状態が検出されない期間中のみ、適応フィルタ係数及びポストフィルタサブシステム110の係数をそれぞれ算出するように構成されてもよい。上述のように、ユーザがオーディオシステム100、200、300、400の音響環境内で話しているとき、合成マイクロフォン信号ymic(n)は、ユーザの発話である成分を含む。この場合、ユーザが話しているので、合成信号ymic(n)は、音響変換装置102からのエコーだけを表すのではなく、残差信号e(n)は、残留エコー、例えば、実際のエコー経路に対するエコー除去装置108の不整合を表わさない。したがって、ダブルトーク検出装置204は、ダブルトークが検出されたときを示すように動作し、この期間中に新しい係数を算出することができず、ユーザが話している間、ユーザが話し始めるとき又は直前の有効な係数が使用されてもよい。ダブルトーク検出装置204は、任意の好適なシステム、構成要素、アルゴリズム、又はこれらの組み合わせでもよい。
【0067】
オーディオシステム100、200、300、400の出力、又はこれらの任意の変形例(例えば、推定音声信号
【数55】
)は、様々な用途及び/又は処理のための他のサブシステム又はデバイスに提供されてもよい。実際、オーディオシステム100、200、300、400の出力は、例えば、電話通信(例えば、セルラー接続を介して遠端の受信者に出力を提供すること)、バーチャルパーソナルアシスタント、音声書き起こしアプリケーション、音声認識(例えば、識別)、又はオーディオ録音を含む、ノイズが低減された音声信号が有用である任意の用途に提供され得る。
【0068】
本開示において、識別子として、又は下付き文字として使用される大文字は、下付き文字又は識別子が使用される任意の数の構造又は信号を表すことを理解されたい。したがって、チャンネル112Mは、様々な例で、任意の数のチャンネル112が実装され得るという概念を表す。実際、いくつかの例では、1つのチャンネル112のみが1つのプログラムコンテンツ信号に対して実装され得る。同様に、プログラムコンテンツ信号u
M(n)は、任意の数のプログラムコンテンツ信号が使用され得るという概念を表す。異なる文字が下付き文字として使用される限り、それらの信号及び構造は、異なる文字を有する他の構造と数が異なり得ることが一般的に理解される。したがって、プログラムコンテンツ信号u
M(n)と異なる数のサウンドステージレンダリング出力b
N(n)が存在し得る。しかしながら、いくつかの例では、同じ数のサウンドステージレンダリング出力b
N(n)及びプログラムコンテンツチャンネルu
M(n)を使用できることを理解されたい。最後に、異なる信号又は構造に使用される同じ文字、例えば、プログラムコンテンツ信号u
M(n)及び推定エコー信号
【数56】
は、同じ数の特定の信号又は構造が存在する一般的なケースを表すことを理解されたい。したがって、一般的なケースにおいて、プログラムコンテンツ信号u(n)がエコー除去装置用の参照信号として使用される場合、プログラムコンテンツ信号u
M(n)と同じ数の推定エコー信号
【数57】
が存在することとなる。しかしながら、一般的なケースが限定的であると見なされるべきではない。当業者は、本開示の検討と併せて、特定の例において、異なる数のかかる信号又は構造が使用され得ることを理解するだろう。したがって、(例えば、特定のプログラムコンテンツ信号u(n)が合計されて、単一のエコー除去フィルタ124の単一の基準を形成する)特定の例では、プログラムコンテンツ信号u
M(n)と異なる数の推定エコー信号
【数58】
が存在し得る。
【0069】
本明細書に記載される機能又はその部分、及びその様々な修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的にコンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/若しくはプログラム可能論理構成要素、による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体又は記憶デバイスなどの情報担体において有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0070】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラム言語で書くことができ、それは、スタンドアローンプログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは他のユニットとして含む任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、若しくは1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で実行されるように配備されるか、又は複数のサイトにわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0071】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、較正プロセスの機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路、例えば、FPGA及び/又はASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)として実装され得る。
【0072】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしてはまた、例として、一般的及び特殊目的マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はそれらの両方から命令及びデータを受信することとなる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0073】
本明細書において、いくつかの発明実施形態について記述し説明してきたが、当業者であれば、様々な他の手段、及び/又は、機能を実施し及び/若しくは結果を得るための構造、及び/又は、本明細書に記載の1つ以上の利点を容易に思いつくことができ、並びに、こうした変更形態及び/又は変形形態の各々は、本明細書に記載の発明実施形態の範囲内にあると見なすことができる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料、及び構成のすべてが例示的であること、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定のアプリケーション又は本発明の教示が使用されるアプリケーションに依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者であれば、わずかなありふれた実験を行うだけで、本発明に記載されている特定の発明実施形態に相当する多くの等価物を認識又は確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単なる例として提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、明確に記載され特許請求された以外の別のやり方で発明実施形態を実践することができるということを理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載の各個々の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法を対象とする。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法のいかなる組む合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100 オーディオシステム
102 音響変換装置
106 交通ノイズ除去装置
108 エコー除去装置
110 ポストフィルタサブシステム
112 チャンネル
114 サウンドステージレンダリング
204 ダブルトーク検出装置