(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
E02F9/00 D
(21)【出願番号】P 2022005987
(22)【出願日】2022-01-18
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 雅一
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101057(JP,A)
【文献】特開2009-235862(JP,A)
【文献】特開2019-007255(JP,A)
【文献】特開2013-117189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0112324(US,A1)
【文献】米国特許第05526900(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/18
F01M 1/00-13/06
B01D 23/00-35/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、油圧により作動する作業装置と、油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するエンジンと、を備える作業用車両であって、
前記エンジンは、前記車体に固定するためのマウントと、着脱式のオイルフィルタを取付けるフィルタ取付け部と、を有し、
前記フィルタ取付け部に取付けられる前記オイルフィルタの直下となる位置において、前記マウントに対して着脱可能にオイル受けが取付けられて
おり、
前記マウントは、前記エンジンのクランク軸と直交する方向から視て中央に平板部とその両側に立設される壁部とを有し、
前記オイル受けは、前記マウントのそれぞれの前記壁部の内面から所定距離離間した位置において、前記オイル受けの受け皿部を囲う周壁部の一部をなす側壁部を有すると共に、前記側壁部の上端部に前記マウントの前記壁部へ向けて延設される鍔部を有し、
前記マウントの前記壁部と、前記オイル受けの前記側壁部との間の部分が、平面視で露出しないように前記鍔部により覆われて構成されていること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記オイル受けは、
前記受け皿部に連通するドレンパイプが下面から下向きに延設されており、
前記マウントは、前記オイル受けの前記ドレンパイプが挿通される孔部もしくは切欠部が穿設されており、
前記ドレンパイプが前記孔部もしくは前記切欠部に挿通されることにより、前記オイル受けが前記マウントの所定の取付け位置に位置決めされる構成であること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記オイルフィルタの着脱方向が前記エンジンの前記クランク軸と平行の方向となるように構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記マウントは、直下の位置に防振ゴムが配設される構成であること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項5】
前記オイル受けは、少なくとも前記受け皿部の上面が、形成材料の金属面、めっき面、もしくは、淡色系塗料の塗装面、に形成されていること
を特徴とする請求項
1~4のいずれか一項に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、クローラもしくはタイヤを有する走行装置と、走行装置上に設けられた車体と、車体に設けられて油圧により作動する作業装置を備えるエクスカベータ、ローダ、キャリア等が従来より知られている。
【0003】
上記の作業用車両には、油圧を発生させる油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する駆動源が搭載されている。例えば、駆動源としてエンジン(ディーゼルエンジン等)が用いられる場合には、定期的にオイルやオイルフィルタ等を交換するメンテナンス作業が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-054177号公報
【文献】特開2019-007255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なオイルフィルタの交換作業においては、オイルフィルタを回転させてフィルタ取付け部から緩めた際に、構造上、少量のオイルが滴下してしまう問題が生じる。この問題に対して、例えば、特許文献1(特開2002-054177号公報)には、滴下するオイルおよび取外したオイルフィルタを同時に収容するトレイを車体のアンダーカバー上に設置して、オイルおよびオイルフィルタを収容した状態でトレイごと回収する構成が開示されている。しかし、この構成の場合には、オイルと共にオイルフィルタまで収容可能な程度に大型のトレイをアンダーカバー上に設置するため、広いスペースが必要となり、省スペース化の妨げとなってしまう課題があった。さらに、作業者が車体の下部に入り、アンダーカバーの点検蓋を取外さなければ作業を行うことができないため、危険で且つ時間と手間が掛かってしまう課題があった。
【0006】
上記の課題に対して、特許文献2(特開2019-007255号公報)には、省スペース化を図るべく、エンジンを車体に固定するマウントの上方となる位置にオイル受けを設置する構成が開示されている。しかし、この構成の場合には、マウントを車体に固定するための締結部材を兼用してオイル受けが固定されており、繰り返し着脱されることを前提とする構造とはなっていない。そのため、当該オイル受けには、車両の使用期間が長くなるにつれて土砂等の塵埃による汚れが蓄積され、また、オイルフィルタの交換回数が増加するにつれて滴下したオイルが蓄積された状態となってしまう課題があった。
【0007】
すなわち、オイル受けがそのような状態となると、仮に、オイルフィルタがフィルタ取付け部に対して取付け不良の状態となった場合や、オイルフィルタがフィルタ取付け部から緩んだ状態となった場合において、オイルフィルタとフィルタ取付け部との間からオイルが漏出してオイル受けに多量に付着したとしても、その発見が極めて困難となる。その結果、規定よりも少量のオイルで運転を継続する状態となり、やがて、エンジンブローのような大きなトラブルを招きかねない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、繰り返し且つ容易な着脱が可能であると共に、オイルフィルタ交換時に滴下するオイルの確実な回収が可能で、且つ、省スペース化を実現するオイル受けを備えた作業用車両を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る作業用車両は、車体と、油圧により作動する作業装置と、油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するエンジンと、を備える作業用車両であって、前記エンジンは、前記車体に固定するためのマウントと、着脱式のオイルフィルタを取付けるフィルタ取付け部と、を有し、前記フィルタ取付け部に取付けられる前記オイルフィルタの直下となる位置において、前記マウントに対して着脱可能にオイル受けが取付けられており、前記マウントは、前記エンジンのクランク軸と直交する方向から視て中央に平板部とその両側に立設される壁部とを有し、前記オイル受けは、前記マウントのそれぞれの前記壁部の内面から所定距離離間した位置において、前記オイル受けの受け皿部を囲う周壁部の一部をなす側壁部を有すると共に、前記側壁部の上端部に前記マウントの前記壁部へ向けて延設される鍔部を有し、前記マウントの前記壁部と、前記オイル受けの前記側壁部との間の部分が、平面視で露出しないように前記鍔部により覆われて構成されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マウントの上に、繰り返し且つ容易に着脱可能に取付けられるオイル受けを備えた作業用車両を実現することができる。これにより、エンジン周辺構成の省スペース化を図ることができると共に、オイルフィルタ交換時に滴下するオイルを漏出・飛散させずに確実に回収することが可能となる。また、汚れの状況等に応じて、オイル受けを取外して洗浄や交換を行うことができる。したがって、万一、オイルフィルタを取付けるフィルタ取付け部からのオイル漏出が発生した場合にも、オイル受けにオイルが付着した状態を速やかに発見することができるため、大きなエンジントラブルにつながることを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の作業用車両におけるエンジンルームの例を示す斜視図である。
【
図4】
図1の作業用車両におけるフィルタ取付け部、オイルフィルタ、オイル受け、およびマウントの例を示す平面図である。
【
図5】
図1の作業用車両におけるオイル受けの例を示す斜視図である。
【
図7】
図1の作業用車両におけるオイル受けの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左後部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。ここでは、作業用車両1として、タイヤを備えて走行するエクスカベータを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0015】
作業用車両1は、
図1に示すように、左右のタイヤ30を有する走行装置12と、走行装置12上に旋回可能に設けられる車体10と、車体10等に支持されて設けられる作業装置(一例として、ショベル装置)16と、を備えて構成されている。また、車体10には、中央部に作業者(オペレータ)が乗車して走行装置12や作業装置16等の操作を行う操縦室(キャビンもしくはキャノピー)14が設けられ、後部に駆動源となるエンジン18が収容されるエンジンルーム20が設けられている。ただし、走行装置12は、タイヤ30に代えてクローラを備える構成としてもよい(不図示)。また、駆動源としてエンジン18と共にバッテリー駆動の電気モータを備える構成としてもよい(不図示)。
【0016】
次に、作業装置の一例であるショベル装置16は、車体10の前部にブームブラケット(不図示)を介して上下揺動可能に枢結されるブーム22およびアーム24を備えている(なお、ブームブラケットを備えない構成としてもよい)。さらに、アーム24の先端部に上下揺動可能に枢結されるアタッチメント(例えば、バケット等)26を備えている。これらのブーム22、アーム24、アタッチメント26は、それぞれ、油圧シリンダ32、34、36によって駆動される。なお、作業装置等に用いられる油圧を発生させる油圧ポンプ(不図示)や、コントロールバルブ等の機器は、車体10のエンジンルーム20(後述)や床下等に、適宜、配置される。
【0017】
次に、エンジンルーム20は、車体10の後部(操縦室14の後方位置)に設けられており、その内部に駆動源としてのエンジン18や周辺機器等が配置されている。一例として、エンジン18には、液冷式ディーゼルエンジンが用いられるがこれに限定されるものではない。前述の走行装置12や作業装置16は、このエンジン18により駆動された油圧ポンプから送出される圧油を受けて作動する構成となっている。
【0018】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構(駆動機構、制御機構等)については、公知の作業用車両(ここでは、エクスカベータ)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0019】
続いて、本実施形態に特徴的なエンジン18および周辺構成について詳しく説明する。
図2は、作業用車両1におけるエンジンルーム20のカバー28を開いた状態の概略図(左後部上方からの斜視図)である。また、
図3は、
図2におけるIII部の拡大図である。
【0020】
先ず、エンジン18は、防振ゴム70を介在させて車体10に固定するためのマウント44と、着脱式のオイルフィルタ40を取付けるフィルタ取付け部42とを備えている。ここで、マウント44は、エンジン18のクランク軸(不図示)と直交する方向(本実施形態では、車体10の前後方向と平行の方向)から視て、中央に板面を水平にして配設される平板部46と、当該平板部46の両側(左右方向の両端部)に立設される壁部48とを有し、上向きに開口するコ字状に形成されている(
図3参照)。なお、フィルタ取付け部42に対するオイルフィルタ40の着脱方向(オイルフィルタ40の軸線Cに沿う方向)は、上記のクランク軸と平行の方向(本実施形態では、車体10の左右方向と平行の方向)となるように構成されている。
【0021】
このマウント44に対して着脱可能にオイル受け50が取付けられている。このオイル受け50は、オイルフィルタ40をフィルタ取付け部42から取外す作業を行う際に、オイルフィルタ40およびフィルタ取付け部42から滴下するオイルを受けて回収する部材である。
【0022】
本実施形態において、オイル受け50は、フィルタ取付け部42に取付けられるオイルフィルタ40の直下となる位置(少なくともフィルタ取付け部42とオイルフィルタ40との境界部の直下となる位置が含まれることが必須)に受け皿部52(後述)が配置されるように、マウント44に取付けられている。すなわち、
図4の平面図に示すように、オイル受け50の受け皿部52と、マウント44の平板部46とが、平面視で同じ位置となるように構成されている。これによれば、マウント44の上方となる位置にオイル受け50を設置して当該領域の有効活用を図ることができ、エンジン18周辺の機器配置における省スペース化を実現することができる。
【0023】
オイル受け50の構成例として、
図5の斜視図に示すように、オイルを受ける受け皿部52と、受け皿部52の上面52aに連通しつつ受け皿部52の下面52bから下向きに延設される管状のドレンパイプ54と、受け皿部52を囲う周壁部60(前壁部62、後壁部64、側壁部66からなる)と、を備えている。また、前壁部62の中央部62a、および側壁部66の一端側を延長して折曲した端部66aには、オイル受け50をマウント44に固定する固定部材(例えば、ボルト等)68が挿通される貫通孔62b、66bが穿設されている。なお、オイル受け50は、マウント44に固定された状態で、ドレンパイプ54の下端部に樹脂材料(例えば、塩化ビニル樹脂等)を用いて形成されたドレンホース56が接続されて使用される。一例として、オイル受け50は金属材料(例えば、圧延鋼板等)を用いて形成されているが、これに限定されるものではない。
【0024】
ここで、
図6の断面図(
図4におけるVI-VI線断面図)に示すように、マウント44(具体的には、平板部46)には、オイル受け50のドレンパイプ54が挿通される孔部46aが穿設されている(なお、孔部46aに代えて、平板部46の端部に切欠部(不図示)として設けてもよい)。この構成によれば、ドレンパイプ54が孔部46aに挿通されることによって、オイル受け50をマウント44における所定の取付け位置に位置決めすることができる。本実施形態に係るオイル受け50は、繰り返し着脱を行うことを可能とする構造であることから、特に、装着の際に、容易に所定の取付け位置に位置決めすることができる構造を実現することによって、取付け作業を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
【0025】
このとき、受け皿部52は、マウント44の平板部46に対して、所定距離上方へ離間した位置、具体的には、マウント44(および直下の防振ゴム70)を車体10に固定するための固定部材(この場合は、ボルト)58の上端部よりも数mm~数cm上方となる位置に配設されている。また、受け皿部52は、平面視で当該固定部材58の上端部の一部もしくは全部を覆う大きさに形成されている。これによれば、受け皿部52をより広く且つ深い形状に形成することが可能となるため、オイルフィルタ40の交換作業時に滴下するオイルを受け皿部52の外部へ(特に、防振ゴム70に掛かり易い後方側の外部へ)漏出・飛散させないように確実に回収することが可能となる。
【0026】
前述したように、例えば特許文献1に示される従来の作業用車両のオイル受けは、車体のアンダーカバーの点検蓋を取外さない限り、オイル受け自体の目視確認すらできない構成であった。一方、特許文献2に示される従来の作業用車両のオイル受けは、目視確認は容易な構造である。しかし、溶接構造ではない機械部品である以上、ボルト等を用いて車体等に取付けられる構造となることは当然であるが、状況に応じて繰り返し着脱されることを前提とする構成ではなかった。そのため、車両の使用期間が長くなるにつれて土砂等の塵埃によって汚れが付着し、また、エンジンのオイルフィルタの交換回数が増加するにつれて少なからず滴下するオイルが付着した状態となってしまうことが通常であった。したがって、仮に、オイルフィルタがフィルタ取付け部に対して取付け不良の状態となった場合や、オイルフィルタがフィルタ取付け部から緩んだ状態となった場合において、オイルフィルタとフィルタ取付け部との間からオイルが漏出してオイル受けに多量に付着したとしても、その発見は極めて困難となってしまう課題があった。
【0027】
このような課題に対して、本実施形態に係る上記の構成によれば、マウント44が車体10に固定されたままの状態で、オイル受け50の汚れの状況等に応じて、当該オイル受け50を繰り返し、且つ、容易に着脱することができる。すなわち、オイル受け50を取外して洗浄や交換を容易に行うことができるため、万一、オイルフィルタ40とフィルタ取付け部42との間からオイル漏出が発生した場合にも、オイル受け50にオイルが付着した状態を速やかに発見することができる。したがって、エンジンブロー等の大きなトラブルにつながることを未然に防ぐことができる。
【0028】
以上の作用効果を得る観点から、オイル受け50は、少なくとも受け皿部52の上面52aが、形成材料の金属面、めっき面、もしくは、白色や黄色に例示される淡色系塗料の塗装面、に形成されている構成とすることがより好ましい。この構成によれば、万一、オイルフィルタ40を取付けるフィルタ取付け部42からのオイル漏出が発生した場合にも、オイル受け50(ここでは、受け皿部52)にオイルが付着した状態を、より一層、発見し易くする効果が得られるためである。
【0029】
続いて、オイル受け50の他の実施形態について説明する。先ず、当該オイル受け50に関して、マウント44の左右の壁部48の内面から所定距離内側に離間した位置にそれぞれ側壁部66が配設される構成は、前述の実施形態と同様である。一方、相違する構成として、
図7に示すように、一方の側壁部66の上端部に、隣接するマウント44の壁部48の方向へ延びる鍔部66cが配設されている(なお、両方の側壁部66の上端部に鍔部が配設される構成(不図示)としてもよい)。
【0030】
当該鍔部66cは、マウント44の壁部48と、オイル受け50の側壁部66との間の隙間部分72が平面視において露出しないように、当該部分を覆う構成となっている。一例として、鍔部66cの前後方向の長さは、隙間部分72の前後方向の長さに対して、略同一もしくは若干短く形成されているが、これに限定されるものではない。少なくとも、フィルタ取付け部42に取付けられた状態のオイルフィルタ40の軸線(延長線)Cがマウント44の壁部48と交差する位置およびその周辺領域が鍔部66cによって覆われている構成が好適である。その理由として、マウント44の壁部48とオイル受け50の側壁部66との間の隙間部分72が鍔部66cによって覆われた構成とすれば、オイルフィルタ40をフィルタ取付け部42から取外す際に、オイルフィルタ40の動線(すなわち、着脱方向)となる当該軸線C上においてオイルフィルタ40から滴下するオイルが当該隙間部分72に浸入してしまうことを防止できるからである。仮に、当該隙間部分72にオイルが浸入してしまうと、そのオイルがマウント44の平板部46をつたって流れ落ちて防振ゴム70に掛かる(付着する)状態となり、防振ゴム70を劣化させる原因となってしまう。しかし、上記の構成によれば、隙間部分72へのオイルの浸入を防止でき、防振ゴム70の劣化原因となるオイルの付着を回避することができる。
【0031】
以上説明した通り、本発明に係る作業用車両において、マウントに対して繰り返し且つ容易に着脱可能なオイル受けを備える構成を実現することができる。これにより、マウント上方領域を有効活用することができ、エンジン周辺構成の省スペース化を図ることができると共に、オイルフィルタ交換時に滴下するオイルを漏出・飛散させずに確実に回収することが可能となる。また、マウントおよびマウントの固定部材を取外すことなく、汚れの状況等に応じてこまめにオイル受けを取外して洗浄や交換を行うことができる。したがって、万一、オイルフィルタを取付けるフィルタ取付け部からのオイル漏出が発生した場合にも、オイル受けにオイルが付着した状態を速やかに発見することができるため、エンジンブロー等の大きなトラブルにつながることを未然に防ぐことができる。
【0032】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、作業用車両としてエクスカベータを例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、ローダ、キャリア等の他の作業用車両に対しても同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 作業用車両
10 車体
12 走行装置
16 作業装置
18 エンジン
20 エンジンルーム
40 オイルフィルタ
42 フィルタ取付け部
44 マウント
50 オイル受け
52 受け皿部
54 ドレンパイプ
66 側壁部
70 防振ゴム