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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】抗TIGIT抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240513BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240513BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240513BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240513BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240513BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A61K39/395 N
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P35/00
A61P37/04
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022073522
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2020101881の分割
【原出願日】2015-08-17
(65)【公開番号】P2022105108
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】62/038,912
(32)【優先日】2014-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/126,733
(32)【優先日】2015-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,シビル・エム・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ラフェース,ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】ファヤダット-ディルマン,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ラグナータン,ゴパラン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】セゲッツィ,ウルフギャング
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6920194(JP,B2)
【文献】特許第7066777(JP,B2)
【文献】GU, X. et al.,Ann. Biomed. Eng.,Vol.38, No.2,2010年,pp.537-549
【文献】HUSTON, J.S. et al.,Meth. Enzymol.,1991年,Vol.203,pp.46-88
【文献】STANIETSKY, N. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2009年,Vol.106, No.42,pp.17858-17863
【文献】YU, X. et al.,Nat. Immunol.,2009年,Vol.10,pp.48-57
【文献】GODING, S.R. et al.,J. Immunol.,2013年,Vol.190,pp.4899-4909
【文献】JHONSTON, R.J. et al.,Cancer Cell,2014年12月08日,Vol.26,pp.923-937
【文献】FOURCADE, J. et al.,J. Exp. Med.,2010年,Vol.207,pp.2175-2186
【文献】SAKUISHI, K. et al.,J. Exp. Med.,2010年,Vol.207,pp.2187-2194
【文献】TOPALIAN, S.L. et al.,N. Engl. J. Med.,2012年,Vol.366,pp.2443-2454
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12P 21/08
C07K 16/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗TIGIT抗体と、医薬上許容される担体または希釈剤とを含む注射用組成物であって、
前記抗体が配列番号128のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号132のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、
該組成物は癌の治療に用いられ、
該組成物に付随する添付文書は、癌の治療における該組成物の使用方法を記載する、前記注射用組成物。
【請求項2】
前記抗TIGIT抗体が2つの重鎖および2つの軽鎖を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗TIGIT抗体が2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、各重鎖が配列番号128のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、各軽鎖が配列番号132のアミノ酸配列を含む可変領域を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗TIGIT抗体がヒトIgG1定常ドメインとヒトκ定常ドメインとを含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒトIgG1定常ドメインが配列番号86を含み、前記ヒトκ定常ドメインが配列番号56を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗TIGIT抗体がヒトIgG4定常ドメインとヒトκ定常ドメインとを含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒトIgG定常ドメインが配列番号55を含み、前記ヒトκ定常ドメインが配列番号56を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
抗PD1抗体をさらに含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗PD1抗体がペンブロリズマブもしくはその抗原結合性フラグメントまたはニボルマブもしくはその抗原結合性フラグメントである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗PD1抗体がペンブロリズマブである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ペンブロリズマブをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
ニボルマブをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
抗PDL1抗体をさらに含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
抗PDL1抗体をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物、および癌の治療における該組成物の使用方法を記載する添付文書を含むキット。
【請求項16】
請求項3に記載の組成物、および癌の治療における該組成物の使用方法を記載する添付文書を含むキット。
【請求項17】
(a)抗TIGIT抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドの発現に好ましい条件下で培養すること;
(b)前記宿主細胞および/または培地から、前記抗体または抗原結合性フラグメントを回収すること;および
(c)前記回収された抗体または抗原結合性フラグメントを、医薬上許容される担体または希釈剤と混合して組成物を得ることを含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体を参照により
本明細書に組み入れることとする。2015年7月27日付け作成のこのASCIIコピ
ーは23808-US-PCT SL.txtと称され、136,039バイトのサイズ
である。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗TIGIT抗体、ならびに癌および感染性疾患のような疾患の治療におけ
るこれらの抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
自己免疫寛容を維持するための免疫チェックポイントとして一般に機能する抑制性免疫
調節受容体(IMR)が、免疫を回避する腫瘍微小環境の能力の中核であるという発見か
ら、腫瘍免疫療法を可能にする極めて重要な要因が明らかになった。抑制性IMRの遮断
は、活性化サイトカインまたは腫瘍ワクチンでの腫瘍免疫の直接刺激よりも効果的に、強
力な腫瘍特異的免疫応答を惹起するようであり、このアプローチはヒトの癌治療を変革す
る可能性がある。腫瘍臨床試験における応答者の比率を増加させ、腫瘍免疫療法が有効な
腫瘍適応症を拡大させるために2以上のIMRに対するアンタゴニスト抗体を組合せる可
能性、および他のIMRに対する新規抗体アンタゴニストを開発する可能性に関する重要
な示唆および機会が今や得られている。
【0004】
重要なことに、細胞性免疫を調節する抑制性IMRおよびリガンドは腫瘍細胞および腫
瘍関連マクロファージ(TAM)上で一般に過剰発現される。特に、腫瘍におけるPD-
L1の過剰発現は腫瘍特異的T細胞の枯渇および不良予後に関連している。臨床試験にお
けるPD-1/PD-L1結合の遮断は相当な割合の患者において持続的な腫瘍退縮応答
をもたらした。最近の報告は、メラノーマ患者由来の腫瘍特異的CD8+ T細胞におけ
るPD-1と別の抑制性IMR(TIM-3)との共発現が、いずれかのIMRのみを発
現する細胞と比較して機能障害性のT細胞枯渇表現型に関連していることを示している。
更に、前臨床腫瘍モデルを用いた幾つかの報告は、PD-1、TIM-3、LAG-3お
よびCTLA-4を含む複数のIMRの遮断が、PD-1のみに拮抗する場合よりも効果
的に抗腫瘍応答を誘導することを示している。これらの結果は、IMR経路を更に研究す
る重要性を明確に示している。
【0005】
TIGIT(IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)は、主に活性化
T細胞およびNK細胞上で発現される免疫調節受容体である。TIGITはVSIG9、
VSTM3、WUCAMとしても公知である。その構造は1つの細胞外免疫グロブリンド
メイン、1型膜貫通領域および2つのITIMモチーフを示す。TIGITは、T細胞上
の陽性(CD226)および陰性(TIGIT)免疫調節受容体ならびにAPC上で発現
されるリガンド(CD155およびCD112)からなる共刺激ネットワークの一部を形
成する。
【0006】
TIGITの構造における重要な特徴は、免疫受容体チロシンに基づく抑制モチーフ(
ITIM)がその細胞質尾部ドメインに存在することである。PD-1およびCTLA-
4の場合と同様に、TIGITの細胞質領域内のITIMドメインは、チロシンホスファ
ターゼ、例えばSHP-1およびSHP-2をリクルートし、ついで、T細胞受容体(T
CR)上のITAM(免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ)内のチロシン残基を
脱リン酸化すると予想される。したがって、腫瘍細胞またはTAMSにより発現される受
容体-リガンドCD155およびCD112によるTIGITの結合(連結)は、有効な
抗腫瘍免疫を惹起するのに必須であるT細胞活性化およびTCRシグナリングの抑制に寄
与しうる。したがって、TIGITに特異的なアンタゴニスト抗体はT細胞応答のCD1
55およびCD112誘導性抑制を抑制し、抗腫瘍免疫を増強しうるであろう。本発明の
目的は、単独で又は他の薬剤と組合せて癌の治療に使用されうる抗TIGIT抗体を得る
ことである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下に特定する構造的および機能的特徴を含む抗TIGIT抗体およびその
抗原結合性フラグメントを提供する。
【0008】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号3、79、80、81、82、83、
59、90、140、153、154、155、156、157、158、159、16
0、161、162、163、164、165、166または167のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR3を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグ
メントは、所望により、以下の特徴の少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プ
ラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたは
OCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値で
ヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反
応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮
断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的
T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのT
IGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0009】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号6、62、74、75、76、7
7、78または93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、ヒトTIGIT
に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態において
は、該抗体は、所望により、以下の特徴の少なくとも1つを有していてもよい:(i)表
面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaま
たはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD
値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交
差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合
を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特
異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112と
のTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0010】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
および(iii)配列番号140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む、ヒ
トTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施
形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR2、および(iii)配列番号3、79、80、81、82または83のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii
)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態におい
ては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の少なくと
も1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)また
は類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×1
-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイ
ザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒト
CD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(
v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリ
ガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞
抑制の誘導を遮断する。
【0011】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
2、および(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む、
ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形
態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の
少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACOR
E)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に
約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)
カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155お
よびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強
する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグ
ネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化
のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0012】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R2、および(iii)配列番号153のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含
む、ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実
施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、
99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、1
09、110、111、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2
、および(iii)配列番号90、154、155、156、157、158、159、
160、161、162、163、164、165、166または167のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原
結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1
、(ii)配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
2、および(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。
1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番
号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性
フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列
番号154のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
CDR2、および(iii)配列番号155のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3
を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号156のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその
抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(i
ii)配列番号157のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形
態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号158のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番
号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号159
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体
またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
および(iii)配列番号160のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1
つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号
88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配
列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号161のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性
フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列
番号162のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
CDR2、および(iii)配列番号163のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3
を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号164のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその
抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(i
ii)配列番号165のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形
態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号166のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番
号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号167
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体
またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の少なくとも1つを有し
ていてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(
例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約
1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルおよびア
カゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へ
のヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2
およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD1
55およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を
遮断する。
【0013】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
2、および(iii)配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む
、ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号4のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号5、65、66、67、68、
69、70、71、72のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(iii)
配列番号6、74、75、76、77または78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、
(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号5のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号6のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結
合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の少なくとも1つを有していてもよい:(
i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinE
xaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12
のKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGI
Tと交差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGIT
の結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの
抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD1
12とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0014】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号60のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
2、および(iii)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、
ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形
態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の
少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACOR
E)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に
約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)
カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155お
よびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強
する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグ
ネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化
のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0015】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号91のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R2、および(iii)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む
、ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号91のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号92、112、113、11
4、115、116、117、118、119、120、121または122のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番号93のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性
フラグメントは、(i)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(iii)配列番
号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、
該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の少なくとも1つ
を有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似
技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9
M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルお
よびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD1
12へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)I
L-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンド
CD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の
誘導を遮断する。
【0016】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(iii)配列番号140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号141のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR3を含む、ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメント
を提供する。1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81、82ま
たは83のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67、68、69、7
0、71、72または73のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)
配列番号6、74、75、76、77または78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号
6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗
体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、
該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号9~24、37~47、143お
よび144からなる群から選択される重鎖可変領域と、配列番号25~30、48~52
、146および147からなる群から選択される軽鎖可変領域とを含む。1つの実施形態
においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴の少
なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE
)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約
1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カ
ニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155およ
びヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強す
る;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネ
イトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化の
T細胞抑制の誘導を遮断する。
【0017】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(iii)配列番号3、79、80、81、82または83のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v
)配列番号5、65、66、67、68、69、70、71、72または73のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77
または78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、ヒトTIGITに結合す
る抗体または抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、配列番号9~24または37~47からなる群から選択される重鎖可変領
域に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を
含む重鎖可変領域と、配列番号25~30または48~52からなる群から選択される重
鎖可変領域に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の
同一性を含む軽鎖可変領域とを含む。この前記実施形態においては、フレームワーク領域
内に配列変異が存在する。1つの実施形態においては、該抗体は、表面プラズモン共鳴(
例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)に
より測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGIT
に結合する。
【0018】
もう1つの実施形態においては、本発明はまた、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR3を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提
供する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖C
DR(配列番号1~3)内または軽鎖CDR(配列番号3~6)内に1、2または3個の
アミノ酸置換を含む。1つの実施形態においては、該抗体は配列番号3の重鎖CDR内に
1個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は13W位に施されており、残基13WはF
、Y、I、VまたはLへと置換されている。1つの実施形態においては、該抗体は配列番
号5の軽鎖CDR内に2個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は3~4位に施されて
おり、残基3Nおよび4SはSN、SS、ST、TT、SY、NQ、GS、SQおよびD
Sへと置換されている。1つの実施形態においては、該抗体は配列番号6の軽鎖CDR内
に1個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は7位に施されており、残基7WはF、Y
、I、VまたはLへと置換されている。配列番号9~24および37~47のVH配列は
配列番号1~3のCDRを有し、配列番号25~30および48~52のVL配列は配列
番号4~6のCDRを有する。幾つかの実施形態においては、前記のCDR置換は配列番
号9~24および37~37のVH配列の対応CDRにおいて、ならびに配列番号25~
30および48~52のVL配列のCDRにおいて施されうる。1つの実施形態において
は、該抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば
、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×1
-12MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0019】
もう1つの実施形態においては、本発明は、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列
番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR3を含む、ヒトTIGITに結合する抗体または抗原結合性フラグメント
を提供する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒ
ト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメント
は重鎖CDR(配列番号57~59)内または軽鎖CDR(配列番号60~62)内に1
、2または3個のアミノ酸置換を含み、その機能的特徴の1以上を保有する。1つの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により、以下の特徴
の少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACO
RE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合
に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii
)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155
およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増
強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コ
グネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性
化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0020】
もう1つの実施形態においては、本発明はまた、(i)配列番号88のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
CDR2、(iii)配列番号153のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(i
v)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号148の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合
性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii
)配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、103、104、
105、106、107、108、109、110、111、134または135のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90、154、155、15
6、157、158、159、160、161、162、163、164、165、16
6または167のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、114
、115、116、117、118、119、120、121または122のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは
、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号1
34のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配
列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領
域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(
vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態
においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号154のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列
番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体また
はその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体
またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、
(iii)配列番号155のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可
変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグ
メントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii
)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号15
6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されてい
る。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配
列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号157のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配
列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態にお
いては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配
列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR2、(iii)配列番号158のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗
原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii
)配列番号159のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは
ヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番
号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号160のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、お
よび(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実
施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つ
の実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号8
8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号161のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v
)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号9
3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗
体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、
該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R2、(iii)配列番号162のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)
配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ
酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性
フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結
合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番
号163のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領
域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を
含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化さ
れている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(
i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号164のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(v
i)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態に
おいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形
態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号165のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番
号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体または
その抗原結合性フラグメントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(
iii)配列番号166のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号
91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメ
ントはヒト化されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号167
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1
つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化されている
。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、所望により
、以下の特徴の少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共鳴(例えば
、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測
定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合
する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反
応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮
断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的
T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのT
IGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0021】
1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒトTIGI
Tに結合し、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、
および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの
実施形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖CDR2内に1個のアミノ酸置換を含
み、ここで、該置換は7位に施されており、ここで、残基DはR、L、K、F、S、Yま
たはVで置換されている。もう1つの実施形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖
CDR2内に1個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は8位に施されており、ここで
、残基GはR、N、Q、E、L、K、S、YまたはVで置換されている。もう1つの実施
形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖CDR2内に1個のアミノ酸置換を含み、
ここで、該置換は12位に施されており、ここで、NはAまたはSで置換されている。も
う1つの実施形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖CDR2内に1個のアミノ酸
置換を含み、ここで、該置換は13位に施されており、ここで、EはQで置換されている
。もう1つの実施形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖CDR2内に1個のアミ
ノ酸置換を含み、ここで、該置換は16位に施されており、ここで、KはQで置換されて
いる。もう1つの実施形態においては、該抗体は配列番号89の重鎖CDR2内に3個の
アミノ酸置換を含み、ここで、アミノ酸残基12はAまたはSで置換されており、アミノ
酸残基13はQで置換されており、アミノ酸残基16はQで置換されている。もう1つの
実施形態においては、該抗体は配列番号90の重鎖CDR3内に1個のアミノ酸置換を含
み、ここで、アミノ酸残基6はA、D、E、F、G、I、K、N、Q、R、S、T、Vま
たはYで置換されている。もう1つの実施形態においては、該抗体は配列番号92の軽鎖
CDR内に1個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は1位に施されており、ここで、
残基NはA、Y、W、S、T、R、H、G、IまたはVで置換されている。もう1つの実
施形態においては、該抗体は配列番号92の軽鎖CDR内に1個のアミノ酸置換を含み、
ここで、該置換は2位に施されており、ここで、残基AはN、I、L、T、Vで置換され
ている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト化
されている。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、
所望により、以下の特徴の少なくとも1つを有していてもよい:(i)表面プラズモン共
鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET
)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIG
ITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(
iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(
iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生
を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結
合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0022】
もう1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号124~129のいずれかの
CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域ならびに/または配列番号130
~133のいずれかのCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒ
トTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施
形態においては、本発明はまた、配列番号124~129からなる群から選択される重鎖
可変領域ならびに/または配列番号130~133からなる群から選択される軽鎖可変領
域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメント
を提供する。1つの実施形態においては、配列番号124~129のいずれかの56位の
D残基はR、L、K、F、S、YまたはVで置換されうる。もう1つの実施形態において
は、配列番号124~129のいずれかの57位のG残基はR、N、Q、E、L、K、S
、YまたはVで置換されうる。1つの実施形態においては、配列番号124~129のい
ずれかの104位のW残基はA、D、E、F、G、I、K、N、Q、R、S、T、Vまた
はYで置換されうる。もう1つの実施形態においては、配列番号130~133のいずれ
かの50位のN残基はA、Y、W、S、T、IまたはVで置換されうる。もう1つの実施
形態においては、配列番号130~133のいずれかの51位のA残基はN、I、L、T
またはVで置換される。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号128を含む重
鎖可変領域または配列番号132を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する
単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態にお
いては、本発明は、配列番号128を含む重鎖可変領域または配列番号133を含む軽鎖
可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグ
メントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号127を含
む重鎖可変領域または配列番号130を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合
する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態にお
いては、本発明は、配列番号128を含む重鎖可変領域および配列番号132を含む軽鎖
可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグ
メントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号128を含
む重鎖可変領域および配列番号133を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合
する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態
においては、本発明はまた、配列番号126を含む重鎖可変領域および配列番号131を
含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合
性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号1
28を含む重鎖可変領域および配列番号131を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGI
Tに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの
実施形態においては、本発明はまた、配列番号125を含む重鎖可変領域および配列番号
133を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその
抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、配
列番号126を含む重鎖可変領域および配列番号130を含む軽鎖可変領域を含む、ヒト
TIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。も
う1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号125を含む重鎖可変領域および
配列番号132を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は
また、配列番号127を含む重鎖可変領域および配列番号130を含む軽鎖可変領域を含
む、ヒトTIGITに結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供
する。幾つかの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表面
プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまた
はOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値
でヒトTIGITに結合する。
【0023】
もう1つの実施形態においては、本発明はまた、(i)配列番号124~129のいず
れかのCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(ここで、該重鎖可変領域
は配列番号124~129のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97
%、98%または99%の同一性を含む)、ならびに/または(ii)配列番号130~
133のいずれかのCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(ここで、該
軽鎖可変領域は配列番号130~133のいずれかに対して少なくとも90%、95%、
96%、97%、98%または99%の同一性を含む)を含む、ヒトTIGITに結合す
る抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、
本発明はまた、(i)配列番号128のCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可
変領域(ここで、該重鎖可変領域は配列番号128に対して少なくとも90%、95%、
96%、97%、98%または99%の同一性を含む)、ならびに/または(ii)配列
番号132のCDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(ここで、該軽鎖可
変領域は配列番号132に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%ま
たは99%の同一性を含む)を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合
性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、(i)配列
番号128のCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(ここで、該重鎖可
変領域は配列番号128に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%ま
たは99%の同一性を含む)、ならびに/または(ii)配列番号133のCDR1、C
DR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域(ここで、該軽鎖可変領域は配列番号133に
対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を含む
)を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する
。もう1つの実施形態においては、本発明はまた、(i)配列番号127のCDR1、C
DR2およびCDR3を含む重鎖可変領域(ここで、該重鎖可変領域は配列番号127に
対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を含む
)、ならびに/または(ii)配列番号130のCDR1、CDR2およびCDR3を含
む軽鎖可変領域(ここで、該軽鎖可変領域は配列番号130に対して少なくとも90%、
95%、96%、97%、98%または99%の同一性を含む)を含む、ヒトTIGIT
に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。これらの実施形態におい
ては、許容される配列変異が該可変鎖のフレームワーク領域内に存在する。幾つかの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、表面プラズモン共鳴(例
えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)によ
り測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに
結合する。
【0024】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重鎖
および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、ヒトTIGITに結合
する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該
抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、Ki
nExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-1
MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0025】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号143のアミノ酸配列を含む可変
重鎖および/または配列番号145のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、ヒトTIGI
Tに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態におい
ては、該抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例え
ば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×
10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0026】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号144のアミノ酸配列を含む可変
重鎖および/または配列番号146のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、ヒトTIGI
Tに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態におい
ては、該抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例え
ば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×
10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0027】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号63のアミノ酸配列を含む可変重
鎖および/または配列番号64のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、ヒトTIGITに
結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては
、該抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、
KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10
-12MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0028】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号94のアミノ酸配列を含む可変重
鎖および/または配列番号95のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、ヒトTIGITに
結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては
、該抗体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、
KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10
-12MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0029】
1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号149を含む重鎖可変領域および
/または配列番号151を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離され
た抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗
体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、Kin
ExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12
MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0030】
1つの実施形態においては、本発明はまた、配列番号150を含む重鎖可変領域および
/または配列番号152を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトTIGITに結合する単離され
た抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗
体は、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、Kin
ExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12
MのKD値でヒトTIGITに結合する。
【0031】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7の可変重鎖および配列番号8の
可変軽鎖を含む抗体と同じヒトTIGTエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性
フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは以下の特徴
の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)また
は類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×1
-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)ヒトCD
155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iii)T細胞活
性化を増強する;(iv)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;
(v)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導さ
れる活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、該抗体は、配列
番号7~30または37~52のいずれかの可変重鎖および/または可変軽鎖に対して少
なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列
同一性を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは配列番号7、9~24および37~47のいずれかの可変重軽鎖ならびに/または配
列番号8、25~30および48~52のいずれかの可変軽鎖内に1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個のアミノ酸置換
を含む。
【0032】
1つの実施形態においては、本発明は、以下の領域、すなわち、配列番号31の残基5
4~57、配列番号31の残基68~70および配列番号31の残基76~81の少なく
とも1つを含むヒトTIGITのエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性フラグ
メントを提供する。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号31の残基54~5
7、68~70および76~81を含むヒトTIGITのエピトープに結合する抗体また
はその抗原結合性フラグメントを提供する。
【0033】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号63の可変重鎖および配列番号6
4の可変軽鎖を含む抗体と同じヒトTIGTエピトープに結合する抗体またはその抗原結
合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは以下の
特徴の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)
または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1
×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニ
クイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155および
ヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する
;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイ
トリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT
細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、配列番号63の可変重鎖および/または配列番号64の可変軽鎖に対して
少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配
列同一性を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメ
ントは配列番号63の可変重軽鎖および/または配列番号64の可変軽鎖内に1、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、
19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個のア
ミノ酸置換を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグ
メントは重鎖CDR(配列番号57~59)内または軽鎖CDR(配列番号60~62)
内に1、2または3個のアミノ酸置換を含む。
【0034】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号94の可変重鎖および配列番号9
5の可変軽鎖を含む抗体と同じヒトTIGTエピトープに結合する抗体またはその抗原結
合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは以下の
特徴の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)
または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1
×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニ
クイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155および
ヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する
;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイ
トリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT
細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、配列番号94もしくは124~129のいずれかの可変重鎖および/また
は配列番号95もしくは130~133のいずれかの可変軽鎖に対して少なくとも80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を含む。
もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは配列番号9
4もしくは124~129のいずれかの可変重軽鎖および/または配列番号95もしくは
130~133のいずれかの可変軽鎖内に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2
4、25、26、27、28、29または30個のアミノ酸置換を含む。もう1つの実施
形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖CDR(配列番号88
~90)内および/または軽鎖CDR(配列番号91~93)内に1、2または3個のア
ミノ酸置換を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグ
メントは配列番号88、134および90の重鎖CDRならびに/または配列番号91、
92および93の軽鎖CDRを含む。
【0035】
1つの実施形態においては、本発明は、以下の領域、すなわち、配列番号31の残基5
3~57、残基60~65、残基68~70、残基72~81、残基94~95および残
基109~119の少なくとも1つを含むヒトTIGITのエピトープに結合する抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、本発明は、配
列番号31の残基53~57、60~65、68~70、72~81、94~95および
109~119を含むヒトTIGITのエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性
フラグメントを提供する。
【0036】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7の可変重鎖および配列番号8の
可変軽鎖を含む抗体の、ヒトTIGITへの結合を交差遮断する(または該抗体と競合す
る)抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗原結
合性フラグメントは以下の特徴の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共鳴(
例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)に
より測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGIT
に結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(ii
i)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv
)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺
激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合に
より誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、該抗
体またはその抗原結合性フラグメントは配列番号7~30または37~52の可変重鎖ま
たは可変軽鎖に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%または99%の配列同一性を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントは配列番号7、9~24および37~47の可変重軽鎖または
配列番号8、25~30および48~52の可変軽鎖内に1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24、25、26、27、28、29または30個のアミノ酸置換を含む。
もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖CDR
(配列番号1~3)内または軽鎖CDR(配列番号3~6)内に1、2または3個のアミ
ノ酸置換を含む。
【0037】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号63の可変重鎖および配列番号6
4の可変軽鎖を含む抗体の、ヒトTIGITへの結合を交差遮断する(または該抗体と競
合する)抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗
原結合性フラグメントは以下の特徴の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共
鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET
)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIG
ITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(
iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(
iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生
を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結
合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、
該抗体は配列番号63の可変重鎖または配列番号64の可変軽鎖に対して少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を含む
。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは配列番号
63の可変重軽鎖または配列番号64の可変軽鎖内に1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23、24、25、26、27、28、29または30個のアミノ酸置換を含む。もう
1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖CDR(配
列番号57~59)内または軽鎖CDR(配列番号60~62)内に1、2または3個の
アミノ酸置換を含む。
【0038】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号94の可変重鎖および配列番号9
5の可変軽鎖を含む抗体の、ヒトTIGITへの結合を交差遮断する(または該抗体と競
合する)抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該抗体またはその抗
原結合性フラグメントは以下の特徴の少なくとも1つを有する:(i)表面プラズモン共
鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET
)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIG
ITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(
iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(
iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生
を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結
合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。1つの実施形態においては、
該抗体は配列番号94の可変重鎖または配列番号95の可変軽鎖に対して少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を含む
。もう1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは配列番号
94もしくは124~129のいずれかの可変重軽鎖または配列番号95もしくは130
~133のいずれかの可変軽鎖内に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、2
5、26、27、28、29または30個のアミノ酸置換を含む。もう1つの実施形態に
おいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは重鎖CDR(配列番号88~90
)内または軽鎖CDR(配列番号91~93)内に1、2または3個のアミノ酸置換を含
む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号
128を含む重鎖可変領域および配列番号132を含む軽鎖可変領域を含む。もう1つの
実施形態においては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号127を含む
重鎖可変領域および配列番号130を含む軽鎖可変領域を含む。もう1つの実施形態にお
いては、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号128を含む重鎖可変領域
および配列番号133を含む軽鎖可変領域を含む。
【0039】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号9~24および37~47のいず
れかからなる群から選択される可変重鎖ならびに/または配列番号25~30および48
~52のいずれかからなる群から選択される可変軽鎖を含む、ヒトTIGITに結合する
抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗体
は重鎖のFR4内にアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は配列番号9~24および37
~47の122位に施されており、ここで、該残基はMからV、L、A、R、N、P、Q
、E、G、I、H、K、F、S、T、WまたはYへと置換されている。1つの実施形態に
おいては、該抗体は重鎖のFR4内に2個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は配列
番号9~24および37~47の122位および123位に施されており、ここで、該残
基は、それぞれ、MおよびVからTおよびLへと置換されている。
【0040】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号9~24および37~47のいず
れかからなる群から選択される可変重鎖ならびに/または配列番号25~30および48
~52のいずれかからなる群から選択される可変軽鎖を含む、ヒトTIGITに結合する
抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供する。1つの実施形態においては、該抗体
は重鎖のFR4内にアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は配列番号9~24および37
~47の122位に施されており、ここで、該残基はMからV、L、A、R、N、P、Q
、E、G、I、H、K、F、S、T、WまたはYへと置換されている。1つの実施形態に
おいては、該抗体は重鎖のFR4内に2個のアミノ酸置換を含み、ここで、該置換は配列
番号9~24および37~47の122位および123位に施されており、ここで、該残
基は、それぞれ、MおよびVからTおよびLへと置換されている。
【0041】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖もしくは
30個までのアミノ酸置換を含むその変異体および/または12個までのアミノ酸置換を
含む配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトTIGITに結合する単離された
抗体またはその抗原結合性フラグメントに関する。1つの実施形態においては、該重鎖は
、6、9、12、15、16、17、23、25、37、39、40、43、44、45
、48、67、68、70、71、79、81、83、87、88、92、94、119
、122および123からなる群から選択される1以上の位置におけるアミノ酸置換を含
む配列番号7のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態においては、該重鎖は、6、9、1
2、15、16、17、23、25、37、39、40、43、44、45、48、67
、68、70、71、79、81、83、87、88、92、94、110、119、1
22および123からなる群から選択される1以上の位置におけるアミノ酸置換を含む配
列番号7のアミノ酸配列を含み、ここで、6位のアミノ酸はEまたはQであることが可能
であり、9位のアミノ酸はPまたはAであることが可能であり、12位のアミノ酸はVま
たはLであることが可能であり、15位のアミノ酸はSまたはPであることが可能であり
、16位のアミノ酸はQまたはEまたはGであることが可能であり、17位のアミノ酸は
SまたはTであることが可能であり、23位のアミノ酸はSまたはTであることが可能で
あり、25位のアミノ酸はTまたはSであることが可能であり、37位のアミノ酸はIま
たはVであることが可能であり、39位のアミノ酸はKまたはQであることが可能であり
、40位のアミノ酸はFまたはPであることが可能であり、43位のアミノ酸はNまたは
Kであることが可能であり、44位のアミノ酸はKまたはGであることが可能であり、4
5位のアミノ酸はMまたはLであることが可能であり、48位のアミノ酸はMまたはIで
あることが可能であり、67位のアミノ酸はIまたはVであることが可能であり、68位
のアミノ酸はSまたはTであることが可能であり、70位のアミノ酸はTまたはSである
ことが可能であり、71位のアミノ酸はRまたはVであることが可能であり、79位のア
ミノ酸はFまたはSであることが可能であり、81位のアミノ酸はQまたはKであること
が可能であり、83位のアミノ酸はHまたはSであることが可能であり、87位のアミノ
酸はTまたはAであることが可能であり、88位のアミノ酸はDまたはAであることが可
能であり、92位のアミノ酸はTまたはVであることが可能であり、94位のアミノ酸は
SまたはYであることが可能であり、110位のアミノ酸はW、F、Y、I、VまたはL
であることが可能であり、119位のアミノ酸はPまたはQであることが可能であり、1
22位のアミノ酸はM、V、L、A、R、N、P、Q、E、G、I、H、K、F、S、T
、WまたはYであることが可能であり、123位のアミノ酸はV、TまたはLであること
が可能である。1つの実施形態においては、該軽鎖は、10、21、22、40、42、
46、52、53、58、77、83、87、95および106からなる群から選択され
る1以上の位置にアミノ酸置換を含む配列番号8のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態
においては、該軽鎖は、10、21、22、40、42、46、52、53、58、77
、83、87、95および106からなる群から選択される1以上の位置にアミノ酸置換
を含む配列番号8のアミノ酸配列を含み、ここで、10位のアミノ酸はLまたはSである
ことが可能であり、21位のアミノ酸はLまたはIであることが可能であり、22位のア
ミノ酸はNまたはTであることが可能であり、40位のアミノ酸はLまたはPであること
が可能であり、42位のアミノ酸はEまたはKであることが可能であり、46位のアミノ
酸はFまたはLであることが可能であり、52位のアミノ酸はN、S、T、GまたはDで
あることが可能であり、53位のアミノ酸はS、N、T、YまたはQであることが可能で
あり、58位のアミノ酸はIまたはVであることが可能であり、77位のアミノ酸はGま
たはSであることが可能であり、83位のアミノ酸はVまたはFであることが可能であり
、87位のアミノ酸はFまたはYであることが可能であり、95位のアミノ酸はW、F、
Y、I、VまたはLであることが可能であり、105位のアミノ酸はLまたはIであるこ
とが可能である。
【0042】
もう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖およ
び/または配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトTIGITに結合する抗
体または抗原結合性フラグメントに関するものであり、該可変鎖のそれぞれは1、2、3
、4、5、6、7または8個のアミノ酸置換を含みうる。1つの実施形態においては、1
つの実施形態においては、該抗体は配列番号9の27、48、67、71、83、110
、122および123位に突然変異を含みうる。例えば、配列番号9に関して、27位の
アミノ酸はGまたはSであることが可能であり、48位のアミノ酸はIまたはMであるこ
とが可能であり、67位のアミノ酸はVまたはIであることが可能であり、71位のアミ
ノ酸はVまたはRであることが可能であり、83位のアミノ酸はSまたはHであることが
可能であり、110位のアミノ酸はW、F、Y、I、VまたはLであることが可能であり
、122位のアミノ酸はM、V、L、A、R、N、P、Q、E、G、I、H、K、F、S
、T、WまたはYであることが可能であり、123位のアミノ酸はV、TまたはLである
ことが可能である。もう1つの実施形態においては、該抗体は配列番号25の46、52
、53、58および95位に突然変異を含みうる。例えば、配列番号25に関して、46
位のアミノ酸はLまたはFであることが可能であり、52位のアミノ酸はN、S、T、G
またはDであることが可能であり、53位のアミノ酸はS、N、T、YまたはQであるこ
とが可能であり、58位のアミノ酸はIまたはVであることが可能であり、58位のアミ
ノ酸はVまたはIであることが可能であり、95位のアミノ酸はW、F、Y、I、Vまた
はLであることが可能である。
【0043】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖または
30個までのアミノ酸置換を含むその変異体と、配列番号95のアミノ酸配列を含む軽鎖
または18個までのアミノ酸置換を含むその変異体とを含む、ヒトTIGITに結合する
抗体または抗原結合性フラグメントに関する。1つの実施形態においては、該重鎖は、5
、9、11、12、16、20、38、40、44、56、57、61、62、65、6
7、68、72、74、76、79、85、87、89、91、92、104および11
1からなる群から選択される1以上の位置にアミノ酸置換を含む、配列番号94のアミノ
酸配列の変異体を含む。1つの実施形態においては、該重鎖は、5、9、11、12、1
6、20、38、40、44、56、57、61、62、65、67、68、72、74
、76、79、85、87、89、91、92、104および111からなる群から選択
される1以上の位置にアミノ酸置換を含む、配列番号94のアミノ酸配列の変異体を含み
、ここで、5位のアミノ酸はQまたはVであることが可能であり、9位のアミノ酸はPま
たはAであることが可能であり、11位のアミノ酸はVまたはLであることが可能であり
、12位のアミノ酸はVまたはKであることが可能であり、16位のアミノ酸はSまたは
Aであることが可能であり、20位のアミノ酸はMまたはVであることが可能であり、3
8位のアミノ酸はKまたはRであることが可能であり、40位のアミノ酸はKまたはAで
あることが可能であり、44位のアミノ酸はGまたはRであることが可能であり、56位
のアミノ酸はD、R、L、K、F、S、YまたはVであることが可能であり、57位のア
ミノ酸はG、R、N、Q、E、L、K、S、YまたはVであることが可能であり、61位
のアミノ酸はN、AまたはSであることが可能であり、62位のアミノ酸はEまたはQで
あることが可能であり、65位のアミノ酸はKまたはQであることが可能であり、67位
のアミノ酸はRまたはKであることが可能であり、68位のアミノ酸はAまたはVである
ことが可能であり、72位のアミノ酸はSまたはRであることが可能であり、74位のア
ミノ酸はKまたはTであることが可能であり、76位のアミノ酸はS、I、AまたはTで
あることが可能であり、79位のアミノ酸はAまたはVであることが可能であり、85位
のアミノ酸はRまたはSであることが可能であり、87位のアミノ酸はTまたはRである
ことが可能であり、89位のアミノ酸はDまたはEであることが可能であり、91位のア
ミノ酸はSまたはTであることが可能であり、92位のアミノ酸はAまたはVであること
が可能であり、104位のアミノ酸はW、A、D、E、F、G、I、K、N、Q、R、S
、T、VまたはYであることが可能であり、111位のアミノ酸はAまたはQであること
が可能である。1つの実施形態においては、該軽鎖は、9、17、18、40、43、4
5、48、50、51、70、72、74、76、83、84、100、103および1
06からなる群から選択される1以上の位置にアミノ酸置換を含む、配列番号95のアミ
ノ酸配列の変異体を含む。1つの実施形態においては、該軽鎖は、9、17、18、40
、43、45、48、50、51、70、72、74、76、83、84、100、10
3および106からなる群から選択される1以上の位置にアミノ酸置換を含む、配列番号
95のアミノ酸配列の変異体を含み、ここで、9位のアミノ酸はAまたはSであることが
可能であり、17位のアミノ酸はEまたはDであることが可能であり、18位のアミノ酸
はTまたはRであることが可能であり、40位のアミノ酸はQまたはPであることが可能
であり、43位のアミノ酸はS、AまたはVであることが可能であり、45位のアミノ酸
はQまたはKであることが可能であり、48位のアミノ酸はVまたはIであることが可能
であり、50位のアミノ酸はN、A、Y、W、S、T、IまたはVであることが可能であ
り、51位のアミノ酸はA、N、I、L、TまたはVであることが可能であり、70位の
アミノ酸はQまたはDであることが可能であり、72位のアミノ酸はSまたはTであるこ
とが可能であり、74位のアミノ酸はKまたはTであることが可能であり、76位のアミ
ノ酸はNまたはSであることが可能であり、83位のアミノ酸はFまたはVであることが
可能であり、84位のアミノ酸はGまたはAであることが可能であり、100位のアミノ
酸はAまたはQであることが可能であり、103位のアミノ酸はTまたはRであることが
可能であり、106位のアミノ酸はLまたはIであることが可能である。
【0044】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号124のアミノ酸配列を含む重鎖もし
くは10個までのアミノ酸置換を含むその変異体、および/または配列番号130のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖もしくは5個までのアミノ酸置換を含むその変異体を含む、ヒトTI
GITに結合する抗体または抗原結合性フラグメントに関する。もう1つの実施形態にお
いては、本発明は、配列番号124の可変重鎖またはその変異体を含む、ヒトTIGIT
に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該変異体は、16
、44、56、57、61、72、74、76、79、85、89、92および104か
らなる群から選択される1以上の位置に置換を含む。もう1つの実施形態においては、本
発明は、配列番号124の可変重鎖またはその変異体を含む、ヒトTIGITに結合する
抗体またはその抗原結合性フラグメントを提供し、ここで、該変異体は、16、44、5
6、57、61、72、74、76、79、85、89、92および104からなる群か
ら選択される1以上の位置に置換を含み、ここで、16位のアミノ酸はAまたはSである
ことが可能であり、44位のアミノ酸はRまたはGであることが可能であり、56位のア
ミノ酸はD、R、L、K、F、S、YまたはVであることが可能であり、57位のアミノ
酸はG、R、N、Q、E、L、K、S、YまたはVであることが可能であり、61位のア
ミノ酸はSまたはAであることが可能であり、72位のアミノ酸はRまたはSであること
が可能であり、74位のアミノ酸はTまたはKであることが可能であり、76位のアミノ
酸はAまたはTまたはIであることが可能であり、79位のアミノ酸はAまたはVである
ことが可能であり、85位のアミノ酸はSまたはRであることが可能であり、89位のア
ミノ酸はEまたはDであることが可能であり、92位のアミノ酸はAまたはVであること
が可能であり、104位のアミノ酸はW、A、D、E、F、G、I、K、N、Q、R、S
、T、VまたはYであることが可能である。もう1つの実施形態においては、本発明は、
配列番号130の可変軽鎖、または43、50、51、70および83からなる群から選
択される1以上の位置に置換を含むその変異体を含む、ヒトTIGITに結合する抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明は
、配列番号130の可変軽鎖、または43、50、51、70および83からなる群から
選択される1以上の位置に置換を含むその変異体を含む、ヒトTIGITに結合する抗体
またはその抗原結合性フラグメントを提供し、43位のアミノ酸はS、AまたはVである
ことが可能であり、50位のアミノ酸はN、A、Y、W、S、T、IまたはVであること
が可能であり、51位のアミノ酸はA、N、I、L、TまたはVであることが可能であり
、70位のアミノ酸はQまたはDであることが可能であり、83位のアミノ酸はFまたは
Vであることが可能である。
【0045】
前記実施形態のいずれかにおいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは単離
されている。
【0046】
前記実施形態のいずれかにおいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは組換
え抗体である。
【0047】
前記実施形態のいずれかにおいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは完全
長抗体である。
【0048】
前記実施形態のいずれかにおいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト
化抗体である。
【0049】
前記実施形態のいずれかにおいては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは、2
本の重鎖と2本の軽鎖とを含むヒト化抗体である。1つの実施形態においては、該重鎖は
IgG1アイソタイプのものであり、該軽鎖はκ軽鎖である。
【0050】
前記実施形態のいずれかにおいては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメント
は、(a)前記の可変重鎖のいずれかと、(b)リーダーペプチド(例えば、配列番号5
3のリーダーペプチド)とからなる可変重鎖領域を含みうる。前記実施形態のいずれかに
おいては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(a)前記の軽重鎖のい
ずれかと、(b)リーダーペプチド(例えば、配列番号54のリーダーペプチド)とから
なる軽重鎖領域を含みうる。
【0051】
前記実施形態のいずれかにおいては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメント
は、前記の可変重鎖のいずれかと任意のヒト重鎖定常ドメインとを含む抗体である。1つ
の実施形態においては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントはIgGアイソ
タイプのものであり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4ヒト重鎖定常ド
メインを含む。1つの実施形態においては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメ
ントはヒト重鎖IgG1定常ドメイン(配列番号86)またはその変異体を含み、ここで
、該変異体は20個までの修飾アミノ酸置換を含む。1つの実施形態においては、本発明
の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号86のアミノ酸配列を含むヒト重
鎖IgG1定常ドメインを含む抗体である。1つの実施形態においては、本発明の抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントはヒト重鎖IgG1定常ドメインを含み、ここで、該I
gG1定常ドメインはアフコシル化(afucosylated)されている。1つの実
施形態においては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントはヒト重鎖IgG4
定常ドメインまたはその変異体を含み、ここで、該変異体は20個までの修飾アミノ酸置
換を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメ
ントはヒト重鎖IgG4定常ドメインを含み、ここで、228位(EU番号付け法を用い
た場合)のアミノ酸はSerからProへと置換されている。1つの実施形態においては
、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号55のアミノ酸配列を含
むヒト重鎖IgG4定常ドメインを含む。
【0052】
前記実施形態のいずれかにおいては、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメント
は前記の可変軽鎖のいずれかとヒト軽鎖定常ドメインとを含みうる。1つの実施形態にお
いては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントはヒトκ軽鎖定常ドメインまたはそ
の変異体を含み、ここで、該変異体は20個までの修飾アミノ酸置換を含む。もう1つの
実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントはヒトλ軽鎖定常ドメ
インまたはその変異体を含み、ここで、該変異体は20個までの修飾アミノ酸置換を含む
。1つの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、配列番号
56のアミノ酸配列を含むヒトκ軽鎖定常ドメインを含む。
【0053】
1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、2本の軽鎖と2本の重鎖と
を有する完全四量体構造を含み、ここで、各軽鎖は、配列番号132を含む可変領域およ
びヒトκ軽鎖(配列番号56)を含み、各重鎖は、配列番号128を含む可変領域、ヒト
IgG1定常領域(配列番号86)を含む。
【0054】
1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、2本の軽鎖と2本の重鎖と
を有する完全四量体構造を含み、ここで、各軽鎖は、配列番号130を含む可変領域およ
びヒトκ軽鎖(配列番号56)を含み、各重鎖は、配列番号127を含む可変領域、ヒト
IgG1定常領域(配列番号86)を含む。
【0055】
1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、2本の軽鎖と2本の重鎖と
を有する完全四量体構造を含み、ここで、各軽鎖は、配列番号133を含む可変領域およ
びヒトκ軽鎖(配列番号56)を含み、各重鎖は、配列番号128を含む可変領域、ヒト
IgG1定常領域(配列番号86)を含む。
【0056】
前記実施形態のいずれかにおいては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメントは少なくとも1つの治療剤にコンジュゲート化(結合)されうる。1つの実
施形態においては、該治療剤は第2抗体またはそのフラグメント、免疫調節剤、ホルモン
、細胞毒性剤、酵素、放射性核種を含み、そして、少なくとも1つの免疫調節剤、酵素、
放射能標識、ホルモン、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは細胞毒性剤にコンジュゲ
ート化された第2抗体、あるいはそれらの組合せを含む。
【0057】
本発明はまた、配列番号1~30、37~52、57~83もしくは88~151のい
ずれかのアミノ酸配列または任意の前記配列の断片を含む単離されたポリペプチドを提供
する。
【0058】
本発明はまた、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかを
コードする単離された核酸を提供する。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号
1~30、37~52、57~64または88~133のポリペプチドのいずれかをコー
ドする単離された核酸を提供し、ここで、該ポリペプチドは、所望により、リーダー配列
を含んでいてもよい。本発明はまた、配列番号1~30、37~52、57~83または
88~167のポリペプチド(ここで、該ポリペプチドは、所望により、リーダー配列を
含んでいてもよい)のいずれかをコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。これら
の単離された核酸およびそれらを含む発現ベクターは、本発明の抗体またはその抗原結合
性フラグメントを組換え宿主細胞内で発現させるために使用されうる。したがって、本発
明はまた、配列番号1~30、37~52、57~83または88~151のポリペプチ
ド(こで、該ポリペプチドは、所望により、リーダー配列を含んでいてもよい)のいずれ
かをコードする単離された核酸を含む宿主細胞を提供する。1つの実施形態においては、
該宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞である。1つの実施形態においては、該宿
主細胞は酵母細胞、例えばピチア(Pichia)細胞またはピチア・パストリス(Pi
chia pastoris)宿主細胞である。
【0059】
本発明はまた、本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントと医薬上許容される担
体または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態においては、該組成物は
もう1つの治療剤を含む。1つの実施形態においては、前記のもう1つの治療剤は、以下
のものからなる群から選択される:抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗
LAG3抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗VISTA抗体またはその抗原結合
性フラグメント、抗BTLA抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗TIM3抗体ま
たはその抗原結合性フラグメント、抗CTLA4抗体またはその抗原結合性フラグメント
、抗HVEM抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗CD27抗体またはその抗原結
合性フラグメント、抗CD137抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗OX40抗
体またはその抗原結合性フラグメント、抗CD28抗体またはその抗原結合性フラグメン
ト、抗PDL1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗PDL2抗体またはその抗原
結合性フラグメント、抗GITR抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ICOS抗
体またはその抗原結合性フラグメント、抗SIRPα抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント、抗ILT2抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT3抗体またはその抗
原結合性フラグメント、抗ILT4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT5
抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗4-1BB抗体またはその抗原結合性フラグ
メント。1つの実施形態においては、抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメントは
、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)またはその抗原結合性フラグメント
およびニボルマブ(nivolumab)またはその抗原結合性フラグメントからなる群
から選択される。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合
性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、7
9、80、81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、6
5、66、67、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、78ま
たは142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、9
9、100、101、102、103、104、105、106、107、108、10
9、110、111、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)
配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112
、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122
または148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明
の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配
列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR3を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または
抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配
列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ
酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメ
ントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列
番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)
配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可
変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグ
メントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配
列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、
および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0060】
1つの実施形態においては、本発明は、(i)本発明の抗TIGIT抗体または抗原結
合性フラグメントと、(ii)配列番号33の重鎖配列および配列番号34の軽鎖可変配
列を含む抗PD1抗体とを含む組成物を提供する。もう1つの実施形態においては、本発
明は、(a)本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントと、(b)配列番
号35の重鎖配列および配列番号36の軽鎖可変配列を含む抗PD1抗体とを含む組成物
を提供する。1つの実施形態においては、抗PD-1抗体は抗TIGIT抗体の投与の前
に投与される。1つの実施形態においては、抗PD-1抗体は抗TIGIT抗体の投与の
4~10日前に投与される。1つの実施形態においては、抗PD1抗体での前治療は免疫
細胞をモジュレーションして、抗TIGIT抗体のFc媒介性機能の増強をもたらしうる
。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメント
は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81
、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67
、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、78または142のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIG
IT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、1
01、102、103、104、105、106、107、108、109、110、1
11、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、11
4、115、116、117、118、119、120、121、122または148の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT
抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を
含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、
および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの
実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)
配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、13
4または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2
、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つ
の実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)
配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0061】
本発明はまた、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントと1つ、2つ
又はそれ以上の治療剤との組合せを含み、第2の治療剤は、以下のものからなる群から選
択される:抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗LAG3抗体またはその
抗原結合性フラグメント、抗VISTA抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗BT
LA抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗TIM3抗体またはその抗原結合性フラ
グメント、抗CTLA4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗HVEM抗体または
その抗原結合性フラグメント、抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗C
D137抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗OX40抗体またはその抗原結合性
フラグメント、抗CD28抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗PDL1抗体また
はその抗原結合性フラグメント、抗PDL2抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗
GITR抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ICOS抗体またはその抗原結合性
フラグメント、抗SIRPα抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT2抗体ま
たはその抗原結合性フラグメント、抗ILT3抗体またはその抗原結合性フラグメント、
抗ILT4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT5抗体またはその抗原結合
性フラグメント、抗4-1BB抗体またはその抗原結合性フラグメント。1つの実施形態
においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番
号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81、82、83また
は140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67、68、69、7
0、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(vi)配列番号6、74、75、76、77、78または142のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、1
03、104、105、106、107、108、109、110、111、134、1
35または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、114、115、11
6、117、118、119、120、121、122または148のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領
域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結
合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(
ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、お
よび(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。もう1つの
実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配
列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、134または135の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)
配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態におい
ては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列
番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0062】
本発明はまた、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかを
含む容器または注射装置を提供する。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT
抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号3、79、80、81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(
v)配列番号5、65、66、67、68、69、70、71、72、73または141
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、
76、77、78または142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つ
の実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、9
6、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、1
07、108、109、110、111、134、135または147のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配
列番号92、112、113、114、115、116、117、118、119、12
0、121、122または148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(
vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態
においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番
号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番
号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗T
IGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配
列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその
抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)
配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ
酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii
)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R3を含む。
【0063】
本発明はまた、本発明の抗体(またはその抗原結合性フラグメント)の重鎖および/ま
たは軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドの発現に
好ましい条件下で培養し、所望により、該抗体または抗原結合性フラグメントを該宿主細
胞および/または培地から回収することを含む、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結
合性フラグメントの製造方法を提供する。1つの実施形態においては、該重鎖をコードす
るポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは単一のベクター内に存
在する。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該
軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、異なるベクター内に存在する。1つの実施形態に
おいては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオ
チドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番
号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、
81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配
列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、
67、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、78または142
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメントを
コードしている。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチド
および該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、1
01、102、103、104、105、106、107、108、109、110、1
11、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、11
4、115、116、117、118、119、120、121、122または148の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメントをコードしている
。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖を
コードするポリヌクレオチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配
列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗
体または抗原結合性フラグメントをコードしている。もう1つの実施形態においては、該
重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、(i
)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配
列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラ
グメントをコードしている。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌ
クレオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、(i)配列番号88のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、134または135のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1
、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列
番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグ
メントをコードしている。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌク
レオチドおよび該軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、(i)配列番号88のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、
(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメントをコードしてい
る。もう1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖
をコードするポリヌクレオチドは、配列番号128を含む重鎖可変領域および配列番号1
32を含む軽鎖可変領域を含む抗体または抗原結合性フラグメントをコードしている。も
う1つの実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコー
ドするポリヌクレオチドは、配列番号127を含む重鎖可変領域および配列番号130を
含む軽鎖可変領域を含む抗体または抗原結合性フラグメントをコードしている。もう1つ
の実施形態においては、該重鎖をコードするポリヌクレオチドおよび該軽鎖をコードする
ポリヌクレオチドは、配列番号128を含む重鎖可変領域および配列番号133を含む軽
鎖可変領域を含む抗体または抗原結合性フラグメントをコードしている。
【0064】
本発明はまた、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を、
所望によりもう1つの治療剤または治療手技と組合せて、対象に投与することを含む、癌
の治療を要する対象における癌の治療方法を提供する。1つの実施形態においては、治療
される対象はヒト対象である。1つの実施形態においては、前記のもう1つの治療剤は、
以下のものからなる群から選択される:抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメント
、抗LAG3抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗VISTA抗体またはその抗原
結合性フラグメント、抗BTLA抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗TIM3抗
体またはその抗原結合性フラグメント、抗CTLA4抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント、抗HVEM抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗CD27抗体またはその抗
原結合性フラグメント、抗CD137抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗OX4
0抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗CD28抗体またはその抗原結合性フラグ
メント、抗PDL1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗PDL2抗体またはその
抗原結合性フラグメント、抗GITR抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ICO
S抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗SIRPα抗体またはその抗原結合性フラ
グメント、抗ILT2抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT3抗体またはそ
の抗原結合性フラグメント、抗ILT4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗IL
T5抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗4-1BB抗体またはその抗原結合性フ
ラグメント。1つの実施形態においては、抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)またはその抗原結合性フラグメ
ントおよびニボルマブ(nivolumab)またはその抗原結合性フラグメントからな
る群から選択される。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原
結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3
、79、80、81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5
、65、66、67、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、7
8または142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態にお
いては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98
、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、
109、110、111、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(i
v)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、1
12、113、114、115、116、117、118、119、120、121、1
22または148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号
93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本
発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv
)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR3を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体ま
たは抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
CDR1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii
)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii
)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含
む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0065】
本発明はまた、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を対
象に投与し、抗PD-1抗体またはその抗原結合性フラグメントを更に投与することを含
む、癌の治療を要する対象における癌の治療方法を提供する。1つの実施形態においては
、抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ペンブロリズマブ(pembro
lizumab)またはその抗原結合性フラグメントおよびニボルマブ(nivolum
ab)またはその抗原結合性フラグメントからなる群から選択される。1つの実施形態に
おいては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号
1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81、82、83または
140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67、68、69、70
、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(
vi)配列番号6、74、75、76、77、78または142のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその
抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、10
3、104、105、106、107、108、109、110、111、134、13
5または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、114、115、116
、117、118、119、120、121、122または148のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合
性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、およ
び(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。もう1つの実
施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)
配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1
、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列
番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては
、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、134または135のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配
列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態において
は、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CD
R3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番
号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0066】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を、所望によりも
う1つの治療剤または治療手技と組合せて、対象に投与することを含む、対象における感
染または感染性疾患の治療方法を提供する。1つの実施形態においては、治療される対象
はヒト対象である。1つの実施形態においては、前記のもう1つの治療剤は、以下のもの
からなる群から選択される:抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗LAG
3抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗VISTA抗体またはその抗原結合性フラ
グメント、抗BTLA抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗TIM3抗体またはそ
の抗原結合性フラグメント、抗CTLA4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗H
VEM抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗CD27抗体またはその抗原結合性フ
ラグメント、抗CD137抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗OX40抗体また
はその抗原結合性フラグメント、抗CD28抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗
PDL1抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗PDL2抗体またはその抗原結合性
フラグメント、抗GITR抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ICOS抗体また
はその抗原結合性フラグメント、抗SIRPα抗体またはその抗原結合性フラグメント、
抗ILT2抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT3抗体またはその抗原結合
性フラグメント、抗ILT4抗体またはその抗原結合性フラグメント、抗ILT5抗体ま
たはその抗原結合性フラグメント、抗4-1BB抗体またはその抗原結合性フラグメント
。1つの実施形態においては、抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ペン
ブロリズマブ(pembrolizumab)またはその抗原結合性フラグメントおよび
ニボルマブ(nivolumab)またはその抗原結合性フラグメントからなる群から選
択される。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配
列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、8
0、81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv
)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、6
6、67、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、78または1
42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該
抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、1
00、101、102、103、104、105、106、107、108、109、1
10、111、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2
、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、11
3、114、115、116、117、118、119、120、121、122または
148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗T
IGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2
、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号
4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結
合性フラグメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、
(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号
59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む
。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは
、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号8
9、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番
号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含
む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント
は、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号
134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0067】
本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントを含むワクチンを提供する
。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメント
は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81
、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番
号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67
、68、69、70、71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR2、および(vi)配列番号6、74、75、76、77、78または142のア
ミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIG
IT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、1
01、102、103、104、105、106、107、108、109、110、1
11、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、11
4、115、116、117、118、119、120、121、122または148の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列
を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT
抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変
領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を
含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラ
グメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)
配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、
および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの
実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)
配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、13
4または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2
、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つ
の実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i
)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)
配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態におい
ては、該ワクチンは抗原を更に含む。
【0068】
本発明はまた、サンプルを本発明の抗体またはその抗原結合性フラグメントと接触させ
、該抗体またはフラグメントと該ペプチドとの複合体の存在を検出することを含む、サン
プルにおけるTIGITペプチドまたはその断片の存在を検出するための方法を提供し、
ここで、該複合体の検出はTIGITペプチドの存在を示す。1つの実施形態においては
、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81、82、83または140の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67、68、69、70、71、
72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配
列番号6、74、75、76、77、78または142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領
域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメン
トは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番
号89、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、
106、107、108、109、110、111、134、135または147のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号153のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
1、(v)配列番号92、112、113、114、115、116、117、118、
119、120、121、122または148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR
2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1
つの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番
号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を
含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域C
DR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番
号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。もう1つの実施形態においては、本発明の抗体
または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領
域CDR1、(ii)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(ii
i)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号60の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、該抗体またはその抗原結合性フラグメントは
、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号8
9、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番
号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含
む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント
は、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号
134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0069】
本発明はまた、免疫細胞を本発明の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかと接
触させることを含む、免疫細胞の活性を増強する方法を提供する。1つの実施形態におい
ては、本発明は、免疫細胞の活性を増強する必要のある対象に、本発明の抗体または抗原
結合性フラグメントの有効量を投与することを含む、免疫細胞の活性を増強する方法を提
供する。1つの実施形態においては、該方法は、癌の治療、感染または感染性疾患の治療
のために、あるいはワクチンアジュバントとして使用される。1つの実施形態においては
、免疫細胞の活性の増強は、免疫細胞の増殖を測定することにより検出されうる。例えば
、T細胞の活性の増強は、T細胞の増殖を測定することにより検出されうる。1つの実施
形態においては、免疫細胞の活性の増強は、対象由来のサンプルにおいてエクスビボでT
細胞活性化を測定することにより検出されうる。1つの実施形態においては、T細胞活性
の増強は、(i)IL-2、TNFα、IL-17、IFNγ、IL-1β、GM-CS
F、RANTES、IL-6、IL-8、IL-5およびIL-13からなる群から選択
されるサイトカインの産生を誘導するためのT細胞受容体(TCR)シグナリングの直接
抗CD3 mAb刺激または混合リンパ球反応を測定し、(ii)IL-2、TNFα、
IL-17、IFNγ、GM-CSF、RANTES、IL-6、IL-8、IL-5お
よびIL-13からなる群から選択される1以上のサイトカインのSEB誘導性産生を測
定し、あるいは(iii)IL-2、TNFα、IL-17、IFNγ、GM-CSF、
RANTES、IL-6、IL-8、IL-5およびIL-13からなる群から選択され
るサイトカインのTT誘導性産生を測定することにより決定される。1つの実施形態にお
いては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3、79、80、81、82、83または1
40のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5、65、66、67、68、69、70、
71、72、73または141のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(v
i)配列番号6、74、75、76、77、78または142のアミノ酸配列を含む軽鎖
可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗
原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
1、(ii)配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、103
、104、105、106、107、108、109、110、111、134、135
または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のア
ミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92、112、113、114、115、116、
117、118、119、120、121、122または148のアミノ酸配列を含む軽
鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性
フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii
)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可
変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。もう1つの実施
形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配
列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号58のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域CDR3、(iv)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(v)配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番
号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、
該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、134または135のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1
、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列
番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては
、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミ
ノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR
3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号
92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ
酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0070】
本発明はまた、アンタゴニスト抗TIGIT抗体およびアンタゴニスト抗PD1抗体の
有効量を対象に投与することを含む、対象における癌または感染性疾患の治療方法を含み
、ここで、該抗TIGIT抗体は、親抗体と比較して増強したエフェクター機能を有する
。本明細書中で用いる「親抗体」は、野生型Fc領域および/または野生型グリコシル化
(すなわち、未操作哺乳類宿主細胞におけるポリペプチドの発現から生じるグリコシル化
パターン)を有する抗体を意味する。親抗体のエフェクター機能は、そのFc領域を突然
変異させることにより、またはそのグリコシル化を改変すること(後記で更に詳細に説明
される)により増強されうる。1つの実施形態においては、抗PD1抗体は親抗体の投与
の前に投与される。1つの実施形態においては、抗PD-1抗体は抗TIGIT抗体の投
与の4~10日前に投与される。1つの実施形態においては、抗PD1抗体での前治療は
免疫細胞をモジュレーションして、抗TIGIT抗体のFc媒介性機能の増強をもたらし
うる。1つの実施形態においては、抗TIGIT抗体はヒトIgG1定常ドメインを含む
。1つの実施形態においては、抗TIGITおよび抗PD1抗体での治療はTregの枯
渇をもたらさない。1つの実施形態においては、抗PD1抗体またはその抗原結合性フラ
グメントは、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)およびニボルマブ(ni
volumab)からなる群から選択される。1つの実施形態においては、本発明の抗T
IGIT抗体または抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2
、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号
4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域C
DR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フ
ラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii
)配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(i
ii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む
軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
CDR3を含む。1つの実施形態においては、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(i
i)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号9
0のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CD
R2、および(vi)配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0071】
本発明はまた、アンタゴニスト抗TIGIT抗体およびアンタゴニスト抗PD1抗体の
有効量を対象に投与することを含む、対象における癌または感染性疾患の治療方法を含み
、ここで、抗TIGIT抗体はアフコシル化(afucosylated)されている。
1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメントは
、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号2の
アミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域CDR3、(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1
、(v)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番
号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、該
抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号89、134または135のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域CDR3、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、
(v)配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番
号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。1つの実施形態においては、
該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、(i)配列番号88のアミノ
酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、(ii)配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域CDR2、(iii)配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3
、(iv)配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、(v)配列番号9
2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および(vi)配列番号93のアミノ酸
配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0072】
本発明はまた、親抗TIGIT抗体を得、該親抗TIGIT抗体のエフェクター機能を
増強することを含む、抗TIGIT抗体の抗腫瘍活性を増強する方法を提供し、ここで、
得られる抗TIGIT抗体の活性は、親抗TIGIT抗体と比較して増強する。本明細書
中で用いる「親抗-抗体」は、野生型Fc領域および/または野生型グリコシル化(すな
わち、未操作哺乳類宿主細胞におけるポリペプチドの発現から生じるグリコシル化パター
ン)を有する抗体を意味する。親抗体のエフェクター機能は、そのFc領域を突然変異さ
せることにより、またはそのグリコシル化を改変することにより、例えば、該抗体をアフ
コシル化すること(後記で更に詳細に説明される)により増強されうる。1つの実施形態
においては、親抗TIGIT抗体のエフェクター機能はは、親抗TIGIT抗体のFc領
域内に突然変異を施すことにより増強される。もう1つの実施形態においては、親抗TI
GIT抗体のエフェクター機能は、該抗体からフコース残基を除去することにより、また
は糖タンパク質にフコースを付加する酵素の活性を除去するために遺伝的に操作された宿
主細胞において抗体を発現させることにより増強される。
【0073】
詳細な説明
略語
本発明の詳細な説明および実施例の全体にわたって、以下の略語を用いる。
【0074】
ADCC 抗体依存性細胞傷害;
CDC 補体依存性細胞傷害;
CDR Kabat(カバト)番号付け系を用いて定められた、免疫グロブリン可変領
域内の相補性決定領域;
CHO チャイニーズハムスター卵巣;
ELISA 酵素結合イムノソルベントアッセイ;
FR 抗体フレームワーク領域:CDR領域を除く免疫グロブリン可変領域;
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ;
IFN インターフェロン;
IC50 50%の抑制をもたらす濃度;
IgG 免疫グロブリンG;
Kabat Elvin A.Kabat((1991)Sequences of
Proteins of Immunological Interest,5th E
d.Public Health Service,National Institu
tes of Health,Bethesda,Md.)により開発された免疫グロブ
リンアライメントおよび番号付け系;
mAbまたはMabまたはMAb モノクローナル抗体;
SEB スタヒロコッカスエンテロトキシンB;
TT 破傷風トキソイド;
V領域 異なる抗体間で配列が可変性であるIgG鎖のセグメント。それは軽鎖内のK
abat残基109および重鎖内の113まで伸長する;
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域;
VK 免疫グロブリンκ軽鎖可変領域。
【0075】
定義
本発明がより容易に理解されうるように、幾つかの科学技術用語を以下に具体的に定義
する。本明細書中の他の箇所で特に定義されていない限り、本明細書中で用いる他の全て
の科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味を有する。
【0076】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において用いる単数形の語は、文脈に明らかに矛
盾しない限り、その対応複数対象物を含む。
【0077】
「投与」および「治療(処理)」は、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官
または生物学的流体に適用される場合には、該動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官また
は生物学的流体との外因性医薬、治療剤、診断剤または組成物の接触を意味する。細胞の
処理は、該細胞との試薬の接触、および該細胞に接触している流体との試薬の接触を含む
。「投与」および「処理(治療)」は、試薬、診断剤、結合性化合物または別の細胞によ
る、例えば細胞の、インビトロおよびエクスビボ(ex vivo)処理をも意味する。
【0078】
「治療する」または「治療」は、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれ
かを含有する組成物のような治療剤を、該治療剤が治療活性を示す疾患の症状の1以上を
有する又は該疾患を有する疑いのある対象または患者に内的または外的に投与することを
意味する。典型的には、該治療剤は、いずれかの臨床的に測定可能な度合によるそのよう
な症状の退縮もしくは消失の誘導またはそのような症状の進行の抑制により、治療対象ま
たは集団における1以上の疾患症状を軽減するのに有効な量で投与される。いずれかの特
定の疾患症状を軽減するのに有効な治療剤の量は患者の病態、年齢および体重、ならびに
対象において所望の応答を惹起する薬物の能力のような要因によって変動しうる。疾患症
状が軽減したかどうかは、その症状の重症度または進行状態を評価するために医師または
他の熟練した医療提供者によって典型的に用いられるいずれかの臨床的尺度により評価さ
れうる。
【0079】
TIGIT
TIGITなる語はヒトTIGIT、カニクイザルTIGITおよびアカゲザルTIG
IT、ならびにそれらの断片、例えば、シグナルペプチドを欠くそれらの成熟断片を含む
。本発明の1つの実施形態においては、ヒトTIGITのアミノ酸配列は、Genban
kアクセッション番号NP 776160.2(配列番号31)のアミノ酸残基25~2
44において開示されているアミノ酸配列を含む(配列番号31のアミノ酸残基1~24
はリーダーペプチドに対応する)。
【0080】
本発明の1つの実施形態においては、カニクイザル、例えばマカカ・ファシクラリス(
Macaca fascicularis)TIGITのアミノ酸配列は、配列番号32
に開示されているアミノ酸配列を含む。Genbankアクセッション番号XP 005
548157を参照されたい。アカゲザルTIGITのアミノ酸配列はカニクイザルTI
GITのアミノ酸配列と同一である(配列番号32のアミノ酸残基1~24はリーダーペ
プチドに対応する)。
【0081】
抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント
本発明は、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメント、および
そのような抗体またはフラグメントの用途を提供する。幾つかの実施形態においては、抗
TIGIT抗体は単離されている。
【0082】
本明細書中で用いる抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ヒトTI
GITに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントを意味する。「ヒトT
IGITに特異的に結合する」抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ヒトTIGI
Tには約1nMのKDまたはより高いアフィニティ(例えば、1nM~2pM、1nM、
100pM、10pMまたは2pM)で結合するが、この配列を欠く他のタンパク質には
結合しない抗体またはその抗原結合性フラグメントである。例えば、ヒトTIGITに「
特異的に結合する」抗体はヒトCD226、ヒトCD155およびヒトCD112には結
合しない。もう1つの例としては、ヒトTIGITに特異的に結合する抗体または抗原結
合性フラグメントはヒトTIGITのFLAG(登録商標)タグ付き形態には結合しうる
が、ヒトTIGITエピトープを欠く他のFLAG(登録商標)タグ付きタンパク質には
結合しない。1つの実施形態においては、ヒトTIGITに特異的に結合する本発明の抗
体はカニクイザルおよびアカゲザルTIGITに対しても交差反応性である。本明細書中
で用いる「交差反応性」は、抗体が他の種由来の相同タンパク質と反応する能力を意味す
る。抗体がヒトTIGITに特異的に結合するかどうかは、当技術分野で公知のいずれか
のアッセイを用いて判定されうる。結合アフィニティを決定するための当技術分野で公知
のアッセイの例には、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(
例えば、KinExaまたはOCTET)が含まれる。
【0083】
本発明は抗TIGIT抗体およびその使用方法を含む。本明細書中で用いる「抗体」な
る語は、所望の生物活性を示す任意の形態の抗体を意味する。したがって、それは最も広
い意味で用いられ、特に、所望の生物活性を示すモノクローナル抗体(2本の軽鎖と2本
の重鎖とを含む完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗
体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、キメラ抗体およびラクダ化
単一ドメイン抗体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0084】
本発明は非ヒト親(例えば、マウスおよびげっ歯類)抗TIGIT抗体およびその抗原
結合性フラグメントならびにそれらの使用方法を含む。これらの抗体は、ヒト治療用抗体
またはフラグメントとしての使用のための抗体のヒト化のように、意図される使用のため
に修飾されうる。
【0085】
本発明は抗TIGIT抗原結合性フラグメントおよびその使用方法を含む。本明細書中
で用いる「抗体フラグメント」または「抗原結合性フラグメント」は、特に示されていな
い限り、抗体の抗原結合性フラグメント、すなわち、完全長抗体により結合される抗原に
特異的に結合する能力を保有する抗体フラグメント、例えば、1以上のCDR領域を保有
するフラグメントを意味する。抗原結合性フラグメントの例には、Fab、Fab’、F
(ab’)およびFvフラグメント;ジアボディ;直鎖状抗体、一本鎖抗体分子、例え
ばscFv;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体およびナノボディ
が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
本発明は抗TIGIT Fabフラグメントおよびその使用方法を含む。「Fabフラ
グメント」は1個の軽鎖ならびに1個の重鎖の可変領域およびC1から構成される。F
ab分子の重鎖は別の重鎖分子とはジスルフィド結合を形成し得ない。「Fabフラグメ
ント」は抗体のパパイン切断の産物でありうる。
【0087】
本発明は、抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(Fc領域を含む)な
らびにそれらの使用方法を含む。「Fc」領域は、抗体のC1およびC2ドメインを
含む2個の重鎖フラグメントを含有する。それらの2個の重鎖フラグメントは2以上のジ
スルフィド結合により、およびC3ドメインの疎水性相互作用により結合している。
【0088】
本発明は抗TIGIT Fab’フラグメントおよびその使用方法を含む。「Fab’
フラグメント」は1個の軽鎖、ならびにVドメインおよびC1ドメインを含有する1
個の重鎖の部分またはフラグメント、ならびにC1およびC2ドメイン間の領域を含
有し、その結果、2個のFab’フラグメントの、2個の重鎖間で鎖間ジスルフィド結合
が形成されてF(ab’)分子を形成しうる。
【0089】
本発明は抗TIGIT F(ab’)フラグメントおよびその使用方法を含む。「F
(ab’)フラグメント」は、2個の軽鎖、ならびにC1およびC2ドメイン間の
定常領域の部分を含有する2個の重鎖を含有し、その結果、それらの2個の重鎖の間で鎖
間ジスルフィド結合が形成される。したがって、F(ab’)フラグメントは、それら
の2個の重鎖の間のジスルフィド結合により連結された2個のFab’フラグメントから
構成される。「F(ab’)フラグメント」は抗体のペプシン切断の産物でありうる。
【0090】
本発明は抗TIGIT Fvフラグメントおよびその使用方法を含む。「Fv領域」は
重鎖および軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0091】
本発明は抗TIGIT scFvフラグメントおよびその使用方法を含む。「一本鎖F
v」または「scFv」抗体なる語は、抗体のVおよびVドメインを含む抗体フラグ
メントであって、これらのドメインが単一ポリペプチド鎖内に存在するものを意味する。
一般に、Fvポリペプチドは更に、抗原結合のための所望の構造をscFvが形成するこ
とを可能にする、VおよびVドメイン間のポリペプチドリンカーを含む。scFvの
総説としては、Pluckthun(1994)THE PHARMACOLOGY O
F MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,Rosenbur
gおよびMoore編,Springer-Verlag,New York,pp.2
69-315を参照されたい。また、国際特許出願公開番号WO 88/01649なら
びに米国特許第4,946,778号および第5,260,203号を参照されたい。
【0092】
本発明は抗TIGITドメイン抗体およびその使用方法を含む。「ドメイン抗体」は、
重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能性の免疫グロブリン
フラグメントである。幾つかの場合には、2以上のV領域がペプチドリンカーにより共
有結合されて2価ドメイン抗体を形成する。2価ドメイン抗体の、2個のV領域は、同
じまたは異なる抗原を標的化しうる。
【0093】
本発明は抗TIGIT二価抗体およびその使用方法を含む。「二価抗体」は2個の抗原
結合部位を含む。幾つかの場合には、それらの2個の結合部位は同じ抗原特異性を有する
。しかし、二価抗体は二重特異性でありうる(後記を参照されたい)。
【0094】
本発明は抗TIGITラクダ化単一ドメイン抗体およびその使用方法を含む。ある実施
形態においては、本明細書における抗体はラクダ化単一ドメイン抗体をも含む。例えば、
Muyldermansら(2001)Trends Biochem.Sci.26:
230;Reichmannら(1999)J.Immunol.Meth.231:2
5;WO 94/04678;WO 94/25591;米国特許第6,005,079
号を参照されたい。1つの実施形態においては、本発明は、単一ドメイン抗体が形成され
るように修飾を有する2個のVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0095】
本発明は抗TIGITジアボディおよびその使用方法を含む。本明細書中で用いる「ジ
アボディ」なる語は、2個の抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを意味し、該
フラグメントは、同一ポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可
変ドメイン(VH)(V-VまたはV-V)を含む。同一鎖上で2個のドメイン
間のペア形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、それらのドメイ
ンは別の鎖の相補的ドメインとペア形成することを強要され、2個の抗原結合部位を生成
する。ジアボディは、例えばEP 404,097;WO 93/11161;およびH
ollingerら(1993)Proc.Natl.Acad Sci.USA 90
:6444-6448に、より詳細に記載されている。操作された抗体変異体の総説とし
ては、全般的には、HolligerおよびHudson(2005)Nat.Biot
echnol.23:1126-1136を参照されたい。
【0096】
典型的には、何らかの方法で修飾された本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは
、活性がモル基準で表された場合、(親抗体と比較した場合に)その結合活性の少なくと
も10%を保有する。好ましくは、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは親抗体
としてのTIGIT結合アフィニティの少なくとも20%、50%、70%、80%、9
0%、95%または100%またはそれ以上を保有する。また、本発明の抗体または抗原
結合性フラグメントは、その生物活性を実質的に改変しない保存的または非保存的アミノ
酸置換(抗体の「保存的変異体」または「機能保存変異体」と称される)を含みうると意
図される。
【0097】
本発明は、単離された抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメントならびにそ
れらの使用方法を含む。「単離(された)」抗体またはその抗原結合性フラグメントは、
それらが産生された細胞または細胞培養からの他の生物学的分子を少なくとも部分的に含
有しない。そのような生物学的分子には、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、または細
胞残渣および増殖培地のような他の物質が含まれる。単離された抗体または抗原結合性フ
ラグメントは更に、宿主細胞からの又はその増殖培地の生物学的分子のような発現系成分
を少なくとも部分的に含有しない。一般に、「単離(された)」なる語は、そのような生
物学的分子の完全な非存在、または水、バッファーもしくは塩の非存在、または該抗体も
しくはフラグメントを含む医薬製剤の成分に関するものを意図したものではない。
【0098】
本発明はモノクローナル抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメントを含む。
また、本発明は、多くの(plurality)単離されたモノクローナル抗体を含むモ
ノクローナル組成物を含む。本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」なる語は実質的
に均一な抗体の集団を意味し、すなわち、該集団を構成する抗体分子は、僅かな量で存在
しうる可能な自然突然変異以外は、アミノ酸配列において同一である。これとは対照的に
、通常の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに対して特異
的であることが多い可変ドメイン、特にCDR内に異なるアミノ酸配列を有する多数の異
なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られると
いう該抗体の特性を示しており、いずれかの特定の方法による該抗体の製造を要するとは
解釈されない。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら
(1975)Nature 256,495により最初に記載されたハイブリドーマ法に
より製造可能であり、あるいは組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567
号を参照されたい)により製造可能である。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、
Clacksonら(1991)Nature 352:624-628およびMark
sら(1991)J.Mol.Biol 222:581-597に記載されている技術
を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されうる。Presta(2005)J.
Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0099】
本発明は抗TIGITキメラ抗体(例えば、ヒト定常ドメイン/マウス可変ドメイン)
およびその使用方法を含む。本明細書中で用いる「キメラ抗体」は、第1抗体からの可変
ドメインと第2抗体からの定常ドメインとを有する抗体であり、ここで、第1抗体および
第2抗体は異なる種からのものである(米国特許第4,816,567号およびMorr
isonら,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:68
51-6855)。典型的には、可変ドメインはげっ歯類のような実験動物からの抗体(
「親抗体」)から得られ、定常ドメイン配列はヒト抗体から得られ、その結果、生じるキ
メラ抗体は、ヒト対象において有害な免疫応答を惹起する可能性が、親(例えば、マウス
)抗体より低いであろう。
【0100】
本発明は抗TIGITヒト化抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、ヒト化
されたラットまたはマウス抗体)ならびにそれらの使用方法を含む。本発明は、14A6
抗体(配列番号7および8を含む)、28H5抗体(配列番号63および64を含む)お
よび31C6抗体(配列番号94~95を含む)の任意のヒト化形態を含む。本明細書中
で用いる「ヒト化抗体」なる語は、ヒト抗体および非ヒト(例えば、マウスまたはラット
)抗体の両方からの配列を含有する抗体の形態を意味する。一般に、ヒト化抗体は、少な
くとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、ここで、超可変ルー
プの全部または実質的に全部は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク(
FR)領域の全部または実質的に全部はヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗
体は、所望により、ヒト免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含みうる。
【0101】
一般に、基本的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つ
の同一ペアを含み、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約
50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識をもたらす約10
0~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は
、エフェクター機能を主にもたらす定常領域を定めうる。典型的には、ヒト軽鎖はκおよ
びλ軽鎖として分類される。更に、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、
アルファまたはイプシロンとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAお
よびIgEとしての、抗体のアイソタイプを定める。軽鎖および重鎖においては、可変領
域および定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域により連結されており、重鎖は
約10個以上のアミノ酸の「D」領域をも含む。全般的には、Fundamental
Immunology Ch.7(Paul,W.編,2nd ed.Raven Pr
ess,N.Y.(1989))を参照されたい。
【0102】
各軽/重鎖ペアの可変領域は抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、無傷抗体
は2つの結合部位を有する。二官能性または二重特異性抗体の場合を除き、それらの2つ
の結合部位は一般に同じである。
【0103】
典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワー
ク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも称される3つの超可変領域
を含む。CDRは、通常、特定のエピトープへの結合が可能になるように、フレームワー
ク領域により整列されている。一般に、N末端からC末端方向に、軽鎖および重鎖可変ド
メインの両方はFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を
含む。各ドメインへのアミノ酸の帰属は、一般に、Sequences of Prot
eins of Immunological Interest,Kabatら;Na
tional Institutes of Health,Bethesda,Md.
;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat
(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabatら(1977)
J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothiaら(1987)
J Mol.Biol.196:901-917またはChothiaら(1989)N
ature 342:878-883の定義に基づいている。
【0104】
本明細書中で用いる「超可変領域」なる語は、抗原結合をもたらす、抗体またはその抗
原結合性フラグメントのアミノ酸残基を意味する。超可変領域は「相補性決定領域」また
は「CDR」(すなわち、軽鎖可変ドメイン内のCDRL1、CDRL2およびCDRL
3ならびに重鎖可変ドメイン内のCDRH1、CDRH2およびCDRH3)からのアミ
ノ酸残基を含む。Kabatら(1991)Sequences of Protein
s of Immunological Interest,5th Ed.Publi
c Health Service,National Institutes of
Health,Bethesda,Md.(配列により抗体のCDR領域を定めている)
を参照されたい。また、ChothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Bio
l.196:901-917(構造により抗体のCDR領域を定めている)も参照された
い。本明細書中で用いる「フレームワーク」または「FR」残基なる語は、CDR残基と
して本明細書中で定義されている超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を意味する。
【0105】
「単離された核酸分子」または「単離されたポリヌクレオチド」は、該単離ポリヌクレ
オチドが天然で見出される場合のポリヌクレオチドの全部または一部を伴っておらず、あ
るいはそれが天然で連結していないポリヌクレオチドに連結している、ゲノム、mRNA
、cDNAまたは合成由来のDNAまたはRNAあるいはそれらの何らかの組合せを意味
する。本開示の目的においては、特定のヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は無傷染色
体を含まない、と理解されるべきである。特定されている核酸配列を「含む」単離された
核酸分子は、特定されている配列に加えて、10個まで又は更には20個まで又はそれ以
上の他のタンパク質またはその一部もしくは断片のコード配列を含むことが可能であり、
あるいは、挙げられている核酸配列のコード領域の発現を制御する機能的に連結された調
節配列を含むことが可能であり、および/あるいは、ベクター配列を含むことが可能であ
る。
【0106】
本明細書中で用いる「制御配列」なる語は、特定の宿主生物における機能的に連結され
たコード配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生物に適した制御配列には、例
えば、プロモーター、所望により、オペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含ま
れる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを用いるこ
とが公知である。
【0107】
核酸またはポリヌクレオチドが「機能的に連結」されていると言えるのは、それが別の
核酸配列に対して機能的な関係で配置されている場合である。例えば、プレ配列または分
泌リーダーのDNAがポリペプチドのDNAに機能的に連結されていると言えるのは、そ
れが、該ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合であり、プ
ロモーターまたはエンハンサーがコード配列に機能的に連結されていると言えるのは、そ
れが該配列の転写に影響を及ぼす場合であり、あるいはリボソーム結合部位がコード配列
に機能的に連結されていると言えるのは、翻訳を促進するようにそれが位置している場合
である。一般に(しかし常にそうである必要はないが)、「機能的に連結(されている)
」は、連結されているそれらのDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合には、連
続的であり、かつ、リーディングフレームが一致していることを意味する。しかし、エン
ハンサーは連続的である必要はない。連結は簡便な制限部位における連結により達成され
る。そのような部位が存在しない場合には、通常の慣例に従って合成オリゴヌクレオチド
アダプターまたはリンカーが使用される。
【0108】
本明細書中で用いる「細胞」、「細胞系」および「細胞培養」なる表現は互換的に用い
られ、全てのそのような表示は後代を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転
換細胞」なる語は、導入(トランスファー)の数には無関係に、初代対象細胞、およびそ
れに由来する培養を含む。また、意図的な又は故意でない突然変異のため、全ての後代は
厳密に同一のDNA含量を有するわけではないと理解される。元の形質転換細胞において
スクリーニングされたものと同じ機能または生物活性を有する突然変異体後代も含まれる
。異なる名称が意図される場合、それは文脈から明らかであろう。
【0109】
本明細書中で用いる「生殖系列配列」は未再構成免疫グロブリンDNA配列の配列を意
味する。いずれかの適当な未再構成免疫グロブリン配列源が用いられうる。ヒト生殖系列
配列は、例えば、National Institute of Arthritis
and Musculoskeletal and Skin Diseases of
the United States National Institutes o
f Healthのウェブサイト上でJOINSOLVER生殖系列データベースから得
られうる。マウス生殖系列配列は、例えば、Giudicelliら,(2005)Nu
cleic Acids Res.33:D256-D261に記載されているとおりに
得られうる。
【0110】
典型的な抗TIGIT抗体の物理的および機能的特性
本発明は、特定されている構造的および機能的特徴を有する抗TIGIT抗体およびそ
の抗原結合性フラグメント、ならびに疾患(例えば、癌または感染性疾患)の治療または
予防における該抗体またはその抗原結合性フラグメントの使用方法を提供する。
【0111】
「本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント」は、本明細書に記載
されている任意の抗体もしくはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H
5、31C6、または表4に開示されているこれらの抗体のヒト化形態)またはそれらの
変異体(例えば、配列変異体または機能的変異体);表4に記載されているCDRの任意
の1以上を含む任意の抗体または抗原結合性フラグメント;本明細書に記載されている抗
体(例えば、14A6、28H5または31C6)と同じ、ヒトTIGITにおけるエピ
トープに結合する任意の抗体または抗原結合性フラグメント;およびTIGIT結合に関
して、本明細書に記載されている抗体(例えば、14A6、28H5または31C6)を
交差遮断(部分的または完全)する又は該抗体により交差遮断(部分的または完全)され
る任意の抗体または抗原結合性フラグメントを含む。
【0112】
交差遮断性抗体およびその抗原結合性フラグメントは、標準的な結合アッセイ(例えば
、BIACore、ELISA、フローサイトメトリー)において本発明の抗体と交差競
合するそれらの能力に基づいて特定されうる。例えば、標準的なELISAアッセイが使
用可能であり、該アッセイにおいては、組換えTIGIT(例えば、ヒトTIGIT)タ
ンパク質をプレート上に固定化し、該抗体の1つを蛍光標識し、該標識抗体の結合に関し
て競合する非標識抗体の能力を評価する。追加的または代替的に、交差競合する該抗体の
能力を評価するために、BIAcore分析が用いられうる。TIGIT(例えば、ヒト
TIGIT)への別の抗体(例えば、抗体14A6または28H5または31C6)の結
合を試験抗体が抑制しうることは、該試験抗体がTIGIT(例えば、ヒトTIGIT)
への結合に関して別の抗体(例えば、14A6または28H5または31C6)と競合可
能であり、したがって幾つかの場合には、抗体14A6または28H5または31C6と
同じTIGIT(例えば、ヒトTIGIT)上のエピトープあるいは重複エピトープに結
合しうることを示している。
【0113】
前記のとおり、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントのいずれ
かと同じエピトープに結合する抗体およびフラグメントも本発明の一部を構成する。更に
、本発明の抗TIGIT抗体のいずれかにより結合されるエピトープと重複するエピトー
プに結合する抗体も本発明の一部を構成する。標的抗原上の抗体エピトープを位置決定(
マッピング)するための幾つかの方法が利用可能であり、それらには、H/D-Ex、質
量分析、X線結晶解析、ペプスキャン(pepscan)分析および部位特異的突然変異
誘発が含まれる。例えば、タンパク質分解および質量分析と組合されたHDX(水素重水
素交換)が、特異的抗原Y上の抗体のエピトープを決定するために用いられうる。HDX
-MSは、DO中で自然に又はその抗体の存在下で種々の時間間隔でインキュベートし
た場合の、抗原による重水素取り込みの度合の正確な測定および比較に基づいている。重
水素は露出領域内のタンパク質のアミドバックボーン上の水素と交換されるが、抗体に結
合した抗原の領域は保護され、タンパク質分解断片のLC-MS/MSによる分析の後で
僅かな交換しか又は交換を全く示さないであろう。実施例9は、抗体14A6により結合
されたエピトープを位置決定するためのHDXの使用を例示している。
【0114】
本発明の抗TIGIT抗体の免疫グロブリン鎖およびそのCDRの例には、表4に開示
されているもの(配列番号1~30、37~52、57~83または88~167)が含
まれるが、これらに限定されるものではない。本発明は、配列番号1~30、37~52
、57~83または88~167のアミノ酸配列を含む又はそれらからなる任意のポリペ
プチド、およびそのようなポリペプチドをコードする組換えヌクレオチドを含む。
【0115】
本発明の範囲は、本明細書に記載されている免疫グロブリン鎖の変異体(例えば、配列
番号7~30、37~52、63~64、94~95または124~133のいずれか)
を含む単離された抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、ヒト化
抗体)を含み、ここで、該変異体は以下の特徴の1以上を示す:(i)ヒトTIGITに
結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応する;(iii
)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する;(iv)
T細胞活性化を増強する;(v)IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激
する;(vi)コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合によ
り誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断する。
【0116】
他の実施形態においては、本発明は、配列番号7~30、37~52、63~64、9
4~95または124~133に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、9
6%、97%、98%または99%の配列同一性を有するVドメインおよびVドメイ
ンを有する、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば
、ヒト化抗体)を提供し、ここで、該変異体は所望の結合および特性、例えば以下のもの
を示す:(i)表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば
、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×1
-12MのKD値でヒトTIGITに結合する;(ii)カニクイザルおよびアカゲザ
ルTIGITと交差反応する;(iii)ヒトCD155およびヒトCD112へのヒト
TIGITの結合を遮断する;(iv)T細胞活性化を増強する;(v)IL-2および
IFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激する;(vi)コグネイトリガンドCD155お
よびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断す
る。
【0117】
「保存的に修飾された変異体」または「保存的置換」は、タンパク質におけるアミノ酸
が、類似特性(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、バックボーンコンホメーシ
ョンおよび剛性など)を有する他のアミノ酸で置換されることを意味し、この場合、その
ような変化は、しばしば、該タンパク質の生物活性を変化させることなく施されうる。一
般に、ポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換は生物活性を実質的に変化さ
せない、と当業者は認識している(例えば、Watsonら(1987)Molecul
ar Biology of the Gene,The Benjamin/Cumm
ings Pub.Co.,p.224(4th Ed.)を参照されたい)。また、構
造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物活性を損なう可能性が低い。典型的
な保存的置換を表1に示す。
【表1】
【0118】
本発明の抗体の機能保存的変異体も本発明に含まれる。本明細書中で用いる「機能保存
的変異体」は、所望の特性、例えば抗原アフィニティおよび/または特異性を改変するこ
となく1以上のアミノ酸残基が変化している、抗体またはフラグメントを意味する。その
ような変異体は、類似特性を有するアミノ酸でのアミノ酸の置換、例えば、表1の保存的
アミノ酸置換を含むが、これらに限定されるものではない。また、0、1、2、3、4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、
20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個まで又はそれ以
上のアミノ酸置換を有する、本発明の抗TIGIT抗体のVドメインを含む単離された
ポリペプチド(例えば、配列番号8、25~30および48~52)、および本発明の抗
TIGIT抗体のVドメインを含む単離されたポリペプチド(例えば、配列番号7、9
~24および37~47)を提供する。また、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、
23、24、25、26、27、28、29、30個まで又はそれ以上のアミノ酸置換を
有する、本発明の抗TIGIT抗体のVドメインを含む単離されたポリペプチド(例え
ば、配列番号64)、および本発明の抗TIGIT抗体のVドメインを含む単離された
ポリペプチド(例えば、配列番号63)を提供する。また、0、1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、
21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個まで又はそれ以上のア
ミノ酸置換を有する、本発明の抗TIGIT抗体のVドメインを含む単離されたポリペ
プチド(例えば、配列番号95および130~133)、および本発明の抗TIGIT抗
体のVドメインを含む単離されたポリペプチド(例えば、配列番号94および124~
129)を提供する。
【0119】
もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されているVドメインまたはV
メインの1以上に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、
85%、80%または75%の配列同一性を有するVドメインおよびVドメインを有
し、TIGITへの特異的結合を示し、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結
合性フラグメントを提供する。もう1つの実施形態においては、本発明の結合性抗体また
はその抗原結合性フラグメントは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24
、25、26、27、28、29、30個まで又はそれ以上のアミノ酸置換を有するV
およびVドメイン(シグナル配列を有する及び有さない)を含み、TIGITへの特異
的結合を示す。
【0120】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド
本発明は更に、本発明の抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメントのポリペ
プチドまたは免疫グロブリン鎖のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む。例えば
、本発明は、配列番号1~30、37~52、57~83および88~167に記載され
ているアミノ酸をコードするポリヌクレオチド、ならびにそれらにハイブリダイズするポ
リヌクレオチド、そしてまた、そのようなハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコ
ードされる任意のポリペプチドを含む。1つの実施形態においては、本発明は、配列番号
84または配列番号85を含む又はそれらからなる核酸配列を含む。
【0121】
一般に、該ポリヌクレオチドは低度、中等度または高度なストリンジェンシーの条件下
でハイブリダイズし、TIGIT(ヒト、アカゲザルおよび/またはカニクイザル、例え
ばマカカ・ファシクラリス(Macaca fascicularis))に結合する能
力を維持する抗体またはその抗原結合性フラグメントをコードしている。第1ポリヌクレ
オチド分子が第2ポリヌクレオチド分子に「ハイブリダイズ可能」と言えるのは、温度お
よび溶液イオン強度の適当な条件下(Sambrookら,前掲を参照されたい)、第1
ポリヌクレオチド分子の一本鎖形態が第2ポリヌクレオチド分子にアニーリングしうる場
合である。温度およびイオン強度の条件はハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシ
ー」を決定する。典型的な低度ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は55
℃、5×SSC、0.1% SDSおよびホルムアミドの非存在;または30% ホルム
アミド、5×SSC、0.5% SDS、42℃を含む。典型的な中等度ストリンジェン
シーのハイブリダイゼーション条件は5×または6×SSCの存在下の40% ホルムア
ミド、および0.1% SDS、42℃である。高度ストリンジェンシーのハイブリダイ
ゼーション条件は50% ホルムアミド、5×または6×SSC、42℃、または所望に
より、より高い温度(例えば、57℃、59℃、60℃、62℃、63℃、65℃または
68℃)である。一般に、SSCは0.15M NaClおよび0.015M クエン酸
Naである。ハイブリダイゼーションは、それらの2つのポリヌクレオチドが相補的配列
を含有することを要する。尤も、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて
、塩基間のミスマッチが可能である。ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションのため
の適当なストリンジェンシーはポリヌクレオチドの長さ、および相補性の度合、当技術分
野でよく知られた変数に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の
度合が大きければ大きいほど、それらの核酸がハイブリダイズしうるストリンジェンシー
は高くなる。100ヌクレオチドを超える長さのハイブリッドの場合、融解温度を計算す
るための式が導き出されている(Sambrookら,前掲,9.50-9.51を参照
されたい)。より短いポリヌクレオチド、例えばオリゴヌクレオチドでのハイブリダイゼ
ーションの場合、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその
特異性を決定する(Sambrookら,前掲,11.7-11.8を参照されたい)。
【0122】
もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されている単離された抗体または抗原
結合性フラグメントのポリペプチド鎖をコードする単離されたポリヌクレオチド、例えば
DNAを提供する。1つの実施形態においては、単離されたポリヌクレオチドは、本発明
の少なくとも1つの成熟免疫グロブリン軽鎖可変(V)ドメインおよび/または本発明
の少なくとも1つの成熟免疫グロブリン重鎖可変(V)ドメインを含む抗体またはその
抗原結合性フラグメントをコードしている。幾つかの実施形態においては、単離されたポ
リヌクレオチドは単一ポリヌクレオチド分子上で軽鎖および重鎖の両方をコードしており
、他の実施形態においては、該軽鎖および重鎖は別々のポリヌクレオチド分子上でコード
される。もう1つの実施形態においては、該ポリヌクレオチドは更に、シグナル配列をコ
ードしている。
【0123】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-H1(配列番号1)、CDR-H2(
配列番号2)およびCDR-H3(配列番号3または79または80または81または8
2、83または140)を含む抗体重鎖可変(V)ドメインまたはその抗原結合性フラ
グメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0124】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-L1(配列番号4)、CDR-L2(
配列番号5または65または66または67または68または69または70または71
または72または73または141)およびCDR-L3(配列番号6または74または
75または76または77または78)を含む抗体軽鎖可変(V)ドメインまたはその
抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0125】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号7の免疫グロブリン重鎖可変(V
ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0126】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号8の免疫グロブリン重鎖可変(V
ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0127】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号9~24または37~47のいずれか
の免疫グロブリン重鎖可変(V)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを
含む。
【0128】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号25~30または48~52のいずれ
かの免疫グロブリン重鎖可変(V)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチド
を含む。
【0129】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-H1(配列番号57)、CDR-H2
(配列番号58)およびCDR-H3(配列番号59)を含む抗体重鎖可変(V)ドメ
インまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む
【0130】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-L1(配列番号60)、CDR-L2
(配列番号61)およびCDR-L3(配列番号62)を含む抗体軽鎖可変(V)ドメ
インまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む
【0131】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号63の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0132】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号64の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0133】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-H1(配列番号88)、CDR-H2
(配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、103、104、
105、106、107、108、109、110,111、134または135)およ
びCDR-H3(配列番号90)を含む抗体重鎖可変(V)ドメインまたはその抗原結
合性フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0134】
1つの実施形態においては、本発明は、CDR-L1(配列番号91)、CDR-L2
(配列番号92、112、113、114、115、116、117、118、119、
120、121、122または123)およびCDR-L3(配列番号93)を含む抗体
軽鎖可変(V)ドメインまたはその抗原結合性フラグメントをコードする単離されたポ
リヌクレオチドを含む。
【0135】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号94の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0136】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号95の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0137】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号124~129のいずれかの免疫グロ
ブリン重鎖可変(V)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0138】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号130~133のいずれかの免疫グロ
ブリン重鎖可変(V)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0139】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号127の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0140】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号128の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0141】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号130の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0142】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号132の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0143】
1つの実施形態においては、本発明は、配列番号133の免疫グロブリン重鎖可変(V
)ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0144】
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター、例えば発現ベク
ター、例えばプラスミドを提供し、ここで、該ポリヌクレオチドは、宿主細胞が該ベクタ
ーでトランスフェクトされた場合に宿主細胞により認識される制御配列に機能的に連結さ
れている。また、本発明のベクターを含む宿主細胞も提供する。また、該抗体またはその
抗原結合性フラグメントの免疫グロブリン鎖をコードする発現ベクターまたは核酸を含有
する宿主細胞を培地内で培養し、該宿主細胞または培地から該抗原またはその抗原結合性
フラグメントを単離することを含む、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合
性フラグメントまたはポリペプチドの製造方法も提供する。
【0145】
同様に本発明に含まれるものは、BLASTアルゴリズム[ここで、該アルゴリズムの
パラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列の間で最大マッチを
与えるように選択される(例えば、予想閾値:10;ワードサイズ:3;クエリ範囲内の
最大マッチ:0;BLOSUM62マトリックス;ギャップコスト:存在11、伸長1;
条件付き組成スコアマトリックス補正(conditional compositio
nal score matrix adjustment))]により比較を行った場
合、本発明で提供される抗体のアミノ酸配列に対して少なくとも約75%同一である、8
0%同一である、より好ましくは、少なくとも約90%同一である、最も好ましくは、少
なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)同一
であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、例えば免疫グロブリンポリペプチドである。
【0146】
配列同一性は、2つの配列が最適にアライメントされた場合に2つのポリペプチドのア
ミノ酸が同等位置において同一である度合を意味する。
【0147】
以下の参考文献は、配列分析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関するも
のである:BLASTアルゴリズム:Altschulら(2005)FEBS J.2
72(20):5101-5109;Altschul,S.F.ら(1990)J.M
ol.Biol.215:403-410;Gish,W.ら(1993)Nature
Genet.3:266-272;Madden,T.L.ら(1996)Meth.
Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.ら(1997)
Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.ら
(1997)Genome Res.7:649-656;Wootton,J.C.ら
(1993)Comput.Chem.17:149-163;Hancock,J.M
.ら(1994)Comput.Appi.Biosci.10:67-70;アライメ
ント・スコアリング・システム:Dayhoff,M.O.ら,“A model of
evolutionary change in proteins”,Atlas
of Protein Sequence and Structure.(1978)
vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(編),pp.345-352,
Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Sch
wartz,R.M.ら,“Matrices for detecting dist
ant relationships”,Atlas of Protein Sequ
ence and Structure.(1978)vol.5,suppl.3.“
M.O.Dayhoff(編),pp.353-358,Natl.Biomed.Re
s.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.(199
1)J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.ら(19
91)Methods3:66-70;Henikoff,S.ら(1992)Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919;Altsch
ul,S.F.ら(1993)J.Mol.Evol.36:290-300;アライメ
ント統計学:Karlin,S.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 87:2264-2268;Karlin,S.ら(1993)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.ら(
1994)Ann.Prob.22:2022-2039;およびAltschul,S
.F.“Evaluating the statistical significa
nce of multiple distinct local alignment
s”.Theoretical and Computational Methods
in Genome Research(S.Suhai編),(1997)pp.1
-14,Plenum,New York。
【0148】
結合アフィニティ
限定的なものではなく一例に過ぎないが、本明細書に開示されている抗体およびその抗
原結合性フラグメントは、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技
術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に少なくとも約1×
10-9MのK値(すなわち、1×10-9M以下のK値)でヒトTIGITに結合
しうる。1つの実施形態においては、本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フ
ラグメントは、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば
、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に少なくとも約1×10-9
~約1×10-12MのK値でヒトTIGITに結合しうる。1つの実施形態において
は、本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメントは、表面プラズモン共
鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET
)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのK値でヒトTIG
ITに結合しうる。1つの実施形態においては、本明細書に開示されている抗体および抗
原結合性フラグメントは、BIACOREまたは類似技術により測定された場合に少なく
とも約50pMのK値(すなわち、約50pM以下のK値)でヒトTIGITに結合
しうる。1つの実施形態においては、本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フ
ラグメントは、BIACOREまたは類似技術により測定された場合に少なくとも約10
pMのK値(すなわち、約10pm以下のK値)でヒトTIGITに結合しうる。1
つの実施形態においては、本発明の抗体および抗原結合性フラグメントは、BIACOR
Eまたは類似技術により測定された場合に約50pM~約1pMのK値でヒトTIGI
Tに結合しうる。
【0149】
免疫細胞活性化
幾つかの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメントは免疫細胞
の活性を増強する。免疫細胞の活性の増強は、当技術分野で公知のいずれかの方法を用い
て検出されうる。1つの実施形態においては、免疫細胞の活性の増強は、免疫細胞の増殖
を測定することにより検出されうる。例えば、T細胞の活性の増強は、シグナル伝達事象
、例えば、転写調節因子にシグナルを伝達する免疫受容体もしくは下流キナーゼのチロシ
ンリン酸化、またはT細胞の増殖を測定することにより検出されうる。他の実施形態にお
いては、免疫細胞の活性の増強は、特定の標的細胞に対するCTLもしくはNK細胞の細
胞傷害機能、またはIFNγサイトカイン応答(これは抗腫瘍免疫の刺激に関連している
)を測定することにより検出されうる。更に他の実施形態においては、免疫細胞の活性の
増強は、対象由来のサンプルにおいてエクスビボでT細胞活性化を測定することにより検
出されうる。1つの実施形態においては、T細胞活性の増強は、(i)IL-2、TNF
α、IL-17、IFNγ、IL-1β、GM-CSF、RANTES、IL-6、IL
-8、IL-5およびIL-13からなる群から選択される1以上の炎症性サイトカイン
のSEB(スタヒロコッカスエンテロトキシンB)誘導性産生を測定し、あるいは(ii
)IL-2、TNFα、IL-17、IFNγ、IL-1β、GM-CSF、RANTE
S、IL-6、IL-8、IL-5およびIL-13からなる群から選択されるサイトカ
インの産生を誘導するためのT細胞受容体(TCR)シグナリングの直接抗CD3 mA
b刺激または混合リンパ球反応を測定することにより決定される。ある実施形態において
は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントはIL-2および/ま
たはIFNγの抗原特異的T細胞産生を少なくとも1.5倍刺激する。
【0150】
本発明は、アンタゴニスト抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント、例え
ばヒト化アンタゴニスト抗TIGIT抗体およびフラグメント、ならびにそれらの使用方
法を含む。アンタゴニスト抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントは、例え
ば、CD155およびCD112へのTIGIT結合を抑制すること、ならびにCD15
5およびCD112への結合の際のTIGITによる機能的ITIMシグナル伝達を抑制
することにより、ヒトTIGITの活性に拮抗する。抗TIGITアンタゴニスト活性の
測定は、コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導
されるTCR活性化の後のT細胞抑制の遮断を実証することにより評価されうる。したが
って、応答の増強の実施形態の1つにおいては、アンタゴニスト抗TIGIT抗体での治
療(処理)は、TIGITのCD155またはCD112誘導によっては抑制されないT
細胞において観察されるレベルへとIL-2応答をレスキューしうる。より好ましいレベ
ルの活性化においては、抗TIGITアンタゴニスト抗体での治療の後の応答は、CD1
55またはCD112によっては抑制されないT細胞応答より高いレベルへと応答を増強
しうる。
【0151】
hCD155およびhCD112への結合を遮断する抗hTIGIT抗体の能力
幾つかの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメン
トはヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断しうる。ヒト
CD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する能力は、当技術分
野で公知のいずれかの方法を用いて測定されうる。1つの実施形態においては、ヒトCD
155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断する能力は、実施例2に記
載されているとおり、ELISAアッセイを用いて測定される。
【0152】
抗体およびその抗原結合性フラグメントの製造方法
本明細書に記載されている親(例えば、ラットまたはマウス)モノクローナル抗TIG
IT抗体またはその抗原結合性フラグメントを産生するハイブリドーマ細胞は当技術分野
で一般に公知の方法により製造されうる。そのような単離されたハイブリドーマは本発明
の一部である。これらの方法には、Kohlerら(1975)(Nature 256
:495-497)により最初に開発されたハイブリドーマ技術およびトリオーマ技術(
Heringら(1988)Biomed.Biochim.Acta.47:211-
216およびHagiwaraら(1993)Hum.Antibod.Hybrido
mas 4:15)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Im
munology Today 4:72およびCoteら(1983)Proc.Na
tl.Acad.Sci.U.S.A 80:2026-2030)、EBV-ハイブリ
ドーマ技術(Coleら,Monoclonal Antibodies and Ca
ncer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96,1
985)およびサイトパルス大チャンバ細胞融合エレクトロポレーター(Cyto Pu
lse large chamber cull fusion electropor
ator)(Cyto Pulse Sciences,Inc.,Glen Burn
ie,MD)を使用する電場に基づく電気融合が含まれるが、これらに限定されるもので
はない。好ましくは、マウス脾細胞を単離し、標準的なプロトコールに従い、PEGで又
は電気融合によりマウス骨髄腫細胞系と融合させる。ついで、生じたハイブリドーマを抗
原特異的抗体の産生に関してスクリーニングすることが可能である。例えば、免疫化マウ
スからの脾臓リンパ球の単細胞浮遊液を、50% PEGを使用して、P3X63-Ag
8.653非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRL 1580)の数の6分の1と融
合させることが可能である。細胞を平底マイクロタイタープレート内で約2×10細胞
/mLでプレーティングし、ついで、20% 胎児クローン血清、18%「653」馴ら
し培地、5% オリジン(origen)(IGEN)、4mM L-グルタミン、1m
M L-グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、5mM HEPES、0.055
mM 2-メルカプトエタノール、50単位/ml ペニシリン、50mg/ml スト
レプトマイシン、50mg/ml ゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma;該融
合の24時間後にHATを加える)を含有する選択培地内で2週間のインキュベーション
を行うことが可能である。2週間後、該HATがHTで置換された培地内で細胞を培養す
ることが可能である。ついで個々のウェルを抗TIGITモノクローナルIgG抗体に関
してELISAによりスクリーニングすることが可能である。十分なハイブリドーマ増殖
が生じたら、培地を通常10~14日後に観察することが可能である。該抗体分泌ハイブ
リドーマを再プレーティングし、再びスクリーニングし、ヒトIgGに関して尚も陽性で
ある場合には、抗TIGITモノクローナル抗体を限界希釈により少なくとも2回サブク
ローニングすることが可能である。ついで、特徴づけのために組織培養培地内で少量の抗
体を産生させるために安定サブクローンをインビトロで培養することが可能である。
【0153】
したがって、本発明は、抗体またはフラグメントを発現するハイブリドーマ細胞をその
ような発現に好ましい条件下で培養し、所望により、該抗体またはフラグメントを該ハイ
ブリドーマおよび/または増殖培地(例えば、細胞培養培地)から単離することを含む、
本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントの製造方法を含む。
【0154】
本明細書に開示されている抗TIGIT抗体は組換え法によって(例えば、大腸菌(E
.coli)/T7発現系、哺乳類細胞発現系または下等真核生物発現系において)も製
造されうる。この実施形態においては、本発明の抗体免疫グロブリン分子(例えば、V
またはV)をコードする核酸をpET系プラスミド内に挿入し、大腸菌(E.coli
)/T7系内で発現させることが可能である。例えば、本発明は、抗体またはその抗原結
合性フラグメントまたはその免疫グロブリン鎖を宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞、例え
ば、大腸菌(E.coli)、例えば、BL21またはBL21DE3)内で発現させる
ための方法を含み、該方法は、T7プロモーターに機能的に連結された免疫グロブリン鎖
をコードするポリヌクレオチドをも含む細胞内でT7 RNAポリメラーゼを発現させる
ことを含む。例えば、本発明の1つの実施形態においては、細菌宿主細胞、例えば大腸菌
(E.coli)は、lacプロモーターに機能的に連結されたT7 RNAポリメラー
ゼ遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含み、IPTG(イソプロピル-ベータ-D-
チオガラクトピラノシド)の存在下の該宿主細胞のインキュベーションにより該ポリメラ
ーゼおよび該鎖の発現が誘導される。
【0155】
当技術分野で公知である組換え抗体を製造するための幾つかの方法が存在する。抗体の
組換え製造のための方法の一例は米国特許第4,816,567号に開示されている。
【0156】
形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するためのいずれかの公知方法によ
り行われうる。哺乳類細胞内に異種ポリヌクレオチドを導入するための方法は当技術分野
でよく知られており、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降
、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーショ
ン、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、遺伝子銃注入および核内へのDNAの直
接マイクロインジェクションを包含する。また、ウイルスベクターにより哺乳類細胞内に
核酸分子を導入することが可能である。細胞を形質転換する方法は当技術分野でよく知ら
れている。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,
740,461号および第4,959,455号を参照されたい。
【0157】
したがって、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント
またはその免疫グロブリン鎖の組換え製造方法であって、該抗体またはフラグメントの免
疫グロブリン鎖(例えば、重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン)の1以上をコードす
るポリヌクレオチドを導入し、そのような発現に好ましい条件下で宿主細胞(例えば、C
HOまたはピチア(Pichia)またはピチア・パストリス(Pichia past
oris))を培養し、所望により、該宿主細胞から、および/または該宿主細胞を増殖
させた培地から、該抗体またはフラグメントまたは鎖を単離することを含む製造方法を含
む。
【0158】
抗TIGIT抗体は、米国特許第6,331,415号に記載されている方法のいずれ
かによっても合成されうる。
【0159】
本明細書に開示されている抗体またはフラグメントまたは免疫グロブリン鎖の発現のた
めの宿主としての、哺乳類細胞を含む真核宿主細胞および原核宿主細胞は当技術分野でよ
く知られており、American Type Culture Collection
(ATCC)から入手可能な多数の不死化細胞系を包含する。これらは、とりわけ、チャ
イニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハ
ムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、He
p G2)、A549細胞、3T3細胞、HEK-293細胞および多数の他の細胞系を
包含する。哺乳類宿主細胞はヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウ
マおよびハムスター細胞を包含する。特に好ましい細胞系は、どの細胞系が高い発現レベ
ルを有するのかを決定することにより選択される。使用されうる他の細胞系としては、昆
虫細胞系、例えばSf9細胞、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞および真菌細胞が挙げら
れる。真菌細胞には、例えば以下のものを含む酵母および糸状菌細胞が含まれる:ピチア
・パストリス(Pichia pastoris)、ピチア・フィンランディカ(Pic
hia finlandica)、ピチア・トレハロフィラ(Pichia treha
lophila)、ピチア・コクラメ(Pichia koclamae)、ピチア・メ
ンブラネファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピチア・
ミヌタ(Pichia minuta)(オガタエア・ミヌタ(Ogataea min
uta)、ピチア・リンドネリ(Pichia lindneri))、ピチア・オプン
チエ(Pichia opuntiae)、ピチア・テルモトレランス(Pichia
thermotolerans)、ピチア・サリクタリア(Pichia salict
aria)、ピチア・グエルクウム(Pichia guercuum)、ピチア・ピエ
ペリ(Pichia pijperi)、ピチア・スチプティス(Pichia sti
ptis)、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア属
種(Pichia sp.)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae)、サッカロミセス属種(Saccharomyces sp
.)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クラ
イベロミセス属種(Kluyveromyces sp.)、クライベロミセス・ラクチ
ス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Cand
ida albicans)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus
nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger
)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ
・レーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウ
エンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属種(F
usarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium grami
neum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フィ
スコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)およびニュー
ロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)。ピチア属種(Pichi
a sp.)、任意のサッカロミセス属種(Saccharomyces sp.)、ハ
ンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、任意のクライ
ベロミセス属種(Kluyveromyces sp.)、カンジダ・アルビカンス(C
andida albicans)、任意のアスペルギルス属種(Aspergillu
s sp.)、トリコデルマ・レーゼイ(Trichoderma reesei)、ク
リソスポリウム・ルックノウエンス(Chrysosporium lucknowen
se)、任意のフザリウム属種(Fusarium sp.)、ヤロウィア・リポリティ
カ(Yarrowia lipolytica)、およびニューロスポラ・クラッサ(N
eurospora crassa)。重鎖またはその抗原結合性部分もしくはフラグメ
ント、軽鎖および/またはその抗原結合性フラグメントをコードする組換え発現ベクター
を哺乳類宿主細胞内に導入する場合、該宿主細胞における該抗体もしくはフラグメントも
しくは鎖の発現、または該宿主細胞が培養される培地内への分泌を可能にするのに十分な
時間にわたって該宿主細胞を培養することにより、該抗体を製造する。
【0160】
抗体およびその抗原結合性フラグメントおよび免疫グロブリン鎖は、標準的なタンパク
質精製方法を用いて培地から回収されうる。更に、生産細胞系からの本発明の抗体および
その抗原結合性フラグメントおよび免疫グロブリン鎖(またはそれからの他の部分)の発
現は、幾つかの公知技術を用いて増強されうる。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子
発現系(GS系)は、一定条件下で発現を増強するための一般的アプローチである。GS
系は欧州特許第0 216 846号、第0 256 055号および第0 323 9
97号ならびに欧州特許出願第89303964.4号において全体的または部分的に考
察されている。したがって、本発明の1つの実施形態においては、哺乳類宿主細胞(例え
ば、CHO)はグルタミンシンテターゼ遺伝子を欠いており、グルタミンの非存在下の培
地内で増殖されるが、この場合、該免疫グロブリン鎖をコードするポリヌクレオチドは、
宿主細胞における該遺伝子の欠如を相補するグルタミンシンテターゼ遺伝子を含む。
【0161】
本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントを精製するた
めの方法を含み、該方法は、該抗体またはフラグメントを含むサンプルを精製媒体(例え
ば、カチオン交換媒体、アニオン交換媒体、疎水性交換媒体、アフィニティ精製媒体(例
えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、プロテインL))に導入し、該
媒体に結合しない該サンプルのフロースルー画分からの精製抗体またはフラグメントを集
め、あるいは該フロースルー画分を廃棄し、結合抗体またはフラグメントを該媒体から溶
出し、溶出液を集めることを含む。本発明の1つの実施形態においては、媒体は、サンプ
ルが適用されるカラム内に存在する。本発明の1つの実施形態においては、宿主細胞にお
ける該抗体またはフラグメントの組換え発現の後で該精製方法を行い、例えば、この場合
、まず、宿主細胞を細胞溶解し、所望により、ライセートを不溶物から精製した後、媒体
上の精製を行う。
【0162】
一般に、個々の細胞系またはトランスジェニック動物において産生される糖タンパク質
は、該細胞系またはトランスジェニック動物において産生される糖タンパク質に特徴的な
グリコシル化パターンを有するであろう。したがって、抗体の個々のグリコシル化パター
ンは、該抗体を製造するために使用される個々の細胞系またはトランスジェニック動物に
左右されるであろう。しかし、本発明で提供される核酸分子によりコードされる、または
本発明で提供されるアミノ酸を含む全ての抗体は、該抗体が有しうるグリコシル化パター
ンには無関係に、本発明を構成する。同様に、特定の実施形態においては、非フコシル化
N-グリカンのみを含むグリコシル化パターンを有する抗体が有利でありうる。なぜなら
、これらの抗体は、インビトロおよびインビボの両方において、それらのフコシル化対応
物より高い効力を典型的に示すことが示されているからである(例えば、Shinkaw
aら,J.Biol.Chem.278:3466-3473(2003);米国特許第
6,946,292号および第7,214,775号を参照されたい)。非フコシル化N
-グリカンを有するこれらの抗体が免疫原性である可能性は低い。なぜなら、それらの炭
水化物構造は、ヒト血清IgGにおいて存在する集団の正常成分であるからである。
【0163】
本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントの1以上を含
むポリクローナル抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、複数の
抗TIGIT抗体およびフラグメントを含む組成物)、ならびにその使用方法を含む。ポ
リクローナル抗体は、1以上の他の非同一抗体のなかで又は存在下で産生された抗体であ
る。一般に、ポリクローナル抗体は、例えば、関心のある免疫原(これは、全てが該免疫
原に対するものである異なる抗体の集団を産生する)で処理された動物のB-リンパ球の
ような異なるB-リンパ球の集合体から産生される。通常、ポリクローナル抗体は、免疫
化動物、例えば脾臓、血清または腹水から直接得られる。
【0164】
本発明は、TIGITおよび別の抗原、例えばPD-1またはPD-L1またはLAG
-3に対する結合特異性を有する二重特異性および二官能性抗体ならびに抗原結合性フラ
グメント、ならびにそれらの使用方法を含む。本発明のもう1つの実施形態においては、
抗TIGIT鎖は、表4に記載されているVH/VL配列のいずれかを含み、PD1鎖は
配列番号33および34のアミノ酸配列または配列番号35および36のアミノ酸配列(
または該配列のいずれかの抗原結合性フラグメント)を含む。二重特異性または二官能性
抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖ペアおよび2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリ
ッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメント
の連結を含む種々の方法により製造されうる。例えば、Songsivilaiら(19
90)Clin.Exp.Immunol.79:315-321;Kostelnyら
(1992)J.Immunol.148,1547-1553を参照されたい。また、
二重特異性抗体は「ジアボディ」(Holligerら(1993)PNAS USA
90:6444-6448)または「ジャヌシン(Janusin)」(Traunec
kerら(1991)EMBO J.10:3655-3659およびTrauneck
erら(1992)Int.J.Cancer Suppl.7:51-52)として形
成されうる。
【0165】
本発明は更に、本明細書に開示されている抗TIGIT抗体の抗TIGIT抗原結合性
フラグメントを含む。該抗体フラグメントにはF(ab)フラグメントが含まれ、これ
は例えばペプシンによるIgGの酵素的切断により製造されうる。Fabフラグメントは
、例えば、ジチオトレイトールまたはメルカプトエチルアミンでのF(ab)の還元に
より製造されうる。
【0166】
免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、種々のクラ
スに帰属されうる。免疫グロブリンの、少なくとも5つの主要クラス、すなわち、IgA
、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらの幾つかは更に、サブクラス(
アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;IgA1および
IgA2に分類されうる。本発明は抗体のこれらのクラスまたはサブクラスのいずれかの
抗体および抗原結合性フラグメントを含む。
【0167】
1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントは重鎖定常領域、例
えばヒト定常領域、例えばγ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重鎖定常領域またはそれら
の変異体を含む。もう1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメント
は、軽鎖定常領域、例えばヒト軽鎖定常領域、例えばλもしくはκヒト軽鎖領域またはそ
れらの変異体を含む。例えば、限定的なものではないが、ヒト重鎖定常領域はγ4である
ことが可能であり、ヒト軽鎖定常領域はκであることが可能である。もう1つの実施形態
においては、該抗体のFc領域は、Ser228Pro突然変異を有するγ4である(S
chuurman,Jら,Mol.Immunol.38:1-8,2001)。
【0168】
1つの実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントはIgG1サブタイ
プの重鎖定常領域を含む。
【0169】
幾つかの実施形態においては、種々の定常ドメインが、本発明で提供されるCDRに由
来するヒト化VおよびV領域に連結されうる。例えば、本発明の抗体(またはフラグ
メント)の個々の意図される使用がエフェクター機能の改変を求めるものである場合には
、ヒトIgG1以外の重鎖定常ドメインが使用可能であり、あるいはハイブリッドIgG
1/IgG4が使用可能である。
【0170】
ヒトIgG1抗体は長い半減期およびエフェクター機能、例えば補体活性化および抗体
依存性細胞傷害性をもたらすが、そのような活性は該抗体の全ての用途に望ましいとは限
らない可能性がある。そのような場合、例えばヒトIgG4定常ドメインが使用されうる
。本発明は、IgG定常ドメインを含む抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメ
ント、例えば、アンタゴニストヒト化抗TIGIT抗体およびフラグメント、ならびにそ
れらの使用方法を含む。1つの実施形態においては、該IgG4定常ドメインはEU系に
おける228位およびKABAT系における241位に対応する位置において天然ヒトI
gG4定常ドメイン(Swiss-Protアクセッション番号P01861.1)とは
異なることが可能であり、この場合、適切な鎖内ジスルフィド結合形成を妨げうるCys
106およびCys109(EU系におけるCys226およびCys229位ならびに
KABAT系におけるCys239およびCys242位に対応する)間の潜在的鎖間ジ
スルフィド結合を妨げるために天然Ser108はProで置換される。Angalら(
1993)Mol.Imunol.30:105を参照されたい。他の場合においては、
半減期を増加させるために又はエフェクター機能を低減するために修飾された修飾IgG
1定常ドメインが使用されうる。
【0171】
抗体の改変
親(例えば、マウスまたはラット)モノクローナル抗体の可変ドメイン内のフレームワ
ーク残基に対する修飾を含むように、例えば、該抗体またはフラグメントの特性を改善す
るために、該抗TIGIT抗体およびその抗原結合性タンパク質が、改変(操作)された
抗体である実施形態が更に含まれる。典型的には、そのようなフレームワーク修飾は、該
抗体またはフラグメントの免疫原性を低下させるために行われる。これは通常、親(例え
ば、げっ歯類)抗体またはフラグメントにおける可変ドメイン内の非CDR残基(すなわ
ち、フレームワーク残基)を、該抗体が使用されることになる種の免疫レパトワからの類
似残基(例えば、ヒト用治療剤の場合にはヒト残基)で置換することにより達成される。
そのような抗体またはフラグメントは「ヒト化」抗体またはフラグメントと称される。幾
つかの場合には、改変(例えば、ヒト化)抗体の特異性を変化させ、またはアフィニティ
を増強することが望ましい。1つのアプローチは1以上のフレームワーク残基を対応生殖
系列配列へと「復帰突然変異(backmutate)」させることである。より詳しく
は、体細胞突然変異を受けた抗体またはフラグメントは、該抗体が由来する生殖系列配列
とは異なるフレームワーク残基を含有しうる。そのような残基は、該抗体またはフラグメ
ントが由来する生殖系列配列と該抗体またはフラグメントのフレームワーク配列を比較す
ることにより特定されうる。もう1つのアプローチは、該改変(例えば、ヒト化)抗体の
位置の1以上において元の親(例えば、げっ歯類)残基へと復帰突然変異させること、例
えば、フレームワーク残基の置換の過程において喪失した可能がある結合アフィニティを
回復させることである(例えば、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,58
5,089号および米国特許第5,530,101号を参照されたい)。
【0172】
ある実施形態においては、抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメントを、そ
れらの特性を改善するためにフレームワークおよび/またはCDRに対する修飾を含むよ
うに、操作する。そのような操作された変化は分子モデリングに基づくことが可能である
。該抗体の構造的特徴を理解するために、親(非ヒト)抗体配列の可変領域に関する分子
モデルを構築し、それを使用して、抗原と相互作用しうる抗体上の潜在的領域を特定する
ことが可能である。通常のCDRは免疫グロブリン配列のアライメントおよび可変領域の
特定に基づく。Kabatら,(1991)Sequences of Protein
s of Immunological Interest,Kabatら,;Nati
onal Institutes of Health,Bethesda,Md.;5
th ed.;NIH Publ.No.91-3242;Kabat(1978)Ad
v.Prot.Chem.32:1-75;Kabatら,(1977)J.Biol.
Chem.252:6609-6616。Chothiaらは抗体の結晶構造におけるル
ープのコンホメーションを注意深く調べ、超可変ループを提示した。Chothiaら,
(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothiaら,
(1989)Nature 342:878-883。「CDR」および「超可変ループ
」として分類されている領域の間には変異が存在する。後の研究(Raghunatha
nら,(2012)J.Mol Recog.25,3,103-113)は幾つかの抗
体-抗原結晶複合体を分析し、抗体内の抗原結合性領域が「CDR」残基または「超可変
」ループに必ずしも厳密には合致しないことを観察した。抗原に潜在的に結合しうる領域
の選択を導くために、非ヒト抗体の可変領域に関する分子モデルが使用されうる。実際、
モデルに基づく潜在的抗原結合領域は通常の「CDR」または「超可変」ループとは異な
る。市販の科学用ソフトウェア、例えばMOE(Chemical Computing
Group)が分子モデリングに使用されうる。フレームワーク内およびCDR内の両
方の非ヒト配列との最良マッチに基づいて、ヒトフレームワークが選択されうる。VH内
のFR4(フレームワーク4)に関しては、ヒト生殖系列におけるVJ領域を対応非ヒト
領域と比較する。VLにおけるFR4(フレームワーク4)の場合、ヒト生殖系列配列の
J-κおよびJ-λ領域を対応非ヒト領域と比較する。適当なヒトフレームワークが特定
されたら、選択されたヒトフレームワーク内にCDRをグラフティングする。幾つかの場
合には、VL-VH境界における或る残基が非ヒト(親)配列の場合と同様に保持されう
る。CDRのコンホメーション、ひいては抗原への結合を潜在的に改変しうる残基を特定
するためにも、分子モデルが使用されうる。幾つかの場合には、これらの残基は非ヒト(
親)配列の場合と同様に保持される。望ましくない効果、例えばグリコシル化、脱アミド
化および酸化をもたらしうる溶媒露出アミノ酸を特定するためにも、分子モデルが使用さ
れうる。これらの潜在的問題を排除/最小化するために、設計段階の初期に、デベロパビ
リティフィルターが導入されうる。
【0173】
もう1つのタイプのフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内または更には1以上
のCDR領域内の1以上の残基を突然変異させて、T細胞エピトープを除去し、それによ
り該抗体の潜在的免疫原性を低下させることを含む。このアプローチは「脱免疫化(de
immunization)」とも称され、米国特許第7,125,689号に更に詳細
に記載されている。
【0174】
特定の実施形態においては、脱アミド化または異性化を避けるために、最終的な抗体の
、より高い化学的安定性を得るために、露出側鎖を含有する或るアミノ酸を別のアミノ酸
残基へと変化させることが望ましいであろう。アスパラギンの脱アミド化はNG、DG、
NG、NS、NA、NT、QGまたはQS配列上で生じ、イソアスパラギン酸残基の生成
をもたらす可能性があり、該残基はポリペプチド鎖内にねじれ(キンク)を導入し、その
安定性を低下させる(イソアスパラギン酸効果)。DG、DS、DAまたはDT配列にお
いて異性化が生じうる。ある実施形態においては、本開示の抗体はアスパラギン異性部位
上に脱アミド化を含有しない。
【0175】
例えば、特にCDR内の、いずれかのAsn-Gly配列におけるイソアスパルタート
の形成の可能性を低減するために、アスパラギン(Asn)残基はGlnまたはAlaへ
と改変されうる。同様の問題はAsp-Gly配列においても生じうる。Reissne
rおよびAswad(2003)Cell.Mol.Life Sci.60:1281
。イソアスパルタート形成は抗体のその標的抗原への結合を減弱し、または完全に阻止し
うる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.11
6:731,p.734を参照されたい。1つの実施形態においては、該アスパラギンは
グルタミン(Gln)へと改変される。小さなアミノ酸がアスパラギンまたはグルタミン
に隣接して存在する場合にはより高い率で生じる脱アミド化の可能性を低減するために、
アスパラギン(Asn)またはグルタミン(Gln)残基に隣接したアミノ酸を改変する
ことも望ましいかもしれない。Bischoff & Kolbe(1994)J.Ch
romatog.662:261を参照されたい。また、抗原結合アフィニティを低減し
、そしてまた、最終抗体調製物における分子不均一性に寄与しうるメチオニン硫黄の酸化
の可能性を低減するために、CDR内のいずれかのメチオニン残基(典型的には溶媒露出
Met)がLys、Leu、AlaまたはPheまたは他のアミノ酸へと改変されうる(
同誌)。また、Asn-Proペプチド結合の潜在的な切断を妨げ又は最小にするために
、CDRにおいて見出されるいずれかのAsn-Proの組合せをGln-Pro、Al
a-ProまたはAsn-Alaへと改変することが望ましいかもしれない。ついで、そ
のような置換を有する抗体をスクリーニングして、該置換がTIGITに対する抗体のア
フィニティもしくは特異性または他の所望の生物活性を、許容し得ないレベルに低減しな
いことを確認する。
【表2】
【0176】
本発明の幾つかの実施形態においては、潜在的な酸化を低減または排除するために、配
列番号3のCDR3は110W位において修飾されうる(この場合、番号付けはKaba
tに基づく)。したがって、例えば、配列番号3(MPSFITLASLSTWEGYF
DF)は以下の配列のいずれかへと修飾されうる:MPSFITLASLSTFEGYF
DF(配列番号79)、MPSFITLASLSTYEGYFDF(配列番号80)、M
PSFITLASLSTIEGYFDF(配列番号81)、MPSFITLASLSTV
EGYFDF(配列番号82)またはMPSFITLASLSTLEGYFDF(配列番
号83)。したがって、本発明の幾つかの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗
体は、配列番号1のCDR1、配列番号2のCDR2および配列番号3、79、80、8
1、82または83のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。
【0177】
本発明の幾つかの実施形態においては、潜在的な脱アミド化部位を低減または排除する
ために、配列番号5のCDR2は52Nおよび53S位において修飾されうる(この場合
、番号付けはKabatに基づく)。したがって、例えば、配列番号5(
YANSLQT)は以下の配列のいずれかへと修飾されうる:YASNLQT(配列番号
65)、YASSLQT(配列番号66)、YASTLQT(配列番号67)、YATT
LQT(配列番号68)、YASYLQT(配列番号69)、YANQLQT(配列番号
70)、YAGSLQT(配列番号71)、YASQLQT(配列番号72)、YADS
LQT(配列番号73)。したがって、本発明の幾つかの実施形態においては、本発明の
抗TIGIT抗体は、配列番号4のCDR1、配列番号5、配列番号66、配列番号67
、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号72、配列番号72または配列
番号73のCDR2、および配列番号6のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0178】
本発明の幾つかの実施形態においては、潜在的な酸化を低減または排除するために、配
列番号6のCDR3は95W位において修飾されうる(この場合、番号付けはKabat
に基づく)。したがって、例えば、配列番号6(QQYYSGWT)は以下の配列のいず
れかへと修飾されうる:QQYYSGFT(配列番号74)、QQYYSGYT(配列番
号75)、QQYYSGIT(配列番号76)、QQYYSGVT(配列番号77)、Q
QYYSGLT(配列番号78)。したがって、本発明の幾つかの実施形態においては、
本発明の抗TIGIT抗体は、配列番号4のCDR1、配列番号5のCDR2および配列
番号6、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77または配列番号78
のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0179】
本発明の幾つかの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、配列番号4のC
DR1、配列番号5、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列
番号70、配列番号72、配列番号72または配列番号73のCDR2、および配列番号
6、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77または配列番号78のC
DR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0180】
本発明のもう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、配列番号7、
9~24または38~47のいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖FR4領域を含み、ここ
で、潜在的酸化を避けるために、122位のMはV、L、A、R、N、P、Q、E、G、
I、H、K、F、S、T、WまたはLで置換されている。
【0181】
本発明のもう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、配列番号7、
9~24または38~47のいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖FR4領域を含み、ここ
で、潜在的酸化を避けるために、122位のMおよび123位のVは、それぞれ、Tおよ
びLで置換されている。
【0182】
本発明の幾つかの実施形態においては、潜在的な酸化を低減または排除するために、配
列番号90のCDR3は6位において修飾されうる。したがって、例えば、配列番号90
(GGPYGWYFDV)は、以下の配列、すなわち、配列番号154~167のいずれ
かへと修飾されうる。
【0183】
Fc領域の抗体改変
本明細書に開示されている抗体(例えば、ヒト化抗体)およびその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)はまた、Fc
領域内の修飾を含むように、典型的には、該抗体の特性、例えば血清半減期、補体固定、
Fc受容体結合および/またはエフェクター機能(例えば、抗原依存性細胞傷害性)の1
以上を変化させるために改変(操作)されうる。更に、本明細書に開示されている抗体お
よびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれら
のヒト化形態)は化学的に修飾可能であり(例えば、1以上の化学的部分が該抗体に結合
可能である)、あるいは、再び該抗体またはフラグメントの特性の1以上を改変するため
に、そのグリコシル化を改変するように修飾されうる。これらの実施形態のそれぞれは後
記に更に詳細に記載されている。Fc領域内の残基の番号付けはKabatのEUインデ
ックスのものである。
【0184】
本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6
、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)はまた、改変されたエフェクター機能
をもたらすための、修飾(または遮断)されたFc領域を有する抗体およびフラグメント
をも含む。例えば、米国特許第5,624,821号;WO2003/086310;W
O2005/120571;WO2006/0057702を参照されたい。そのような
修飾は、診断および療法における可能な有益な効果を伴って、免疫系の種々の反応を増強
または抑制するために用いられうる。Fc領域の改変には、アミノ酸変化(置換、欠失お
よび挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化および複数のFcの付加が含まれる。F
cに対する変化はまた、治療用抗体における抗体の半減期を改変することが可能であり、
それほど頻繁でない投与ならびにそれによる便利さの向上および物資の使用の減少を可能
にする。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.1
16:731,p.734-35を参照されたい。
【0185】
1つの実施形態においては、本発明の抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、1
4A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は、重鎖定常領域のヒンジ領域
内の228位に対応する位置におけるセリンからプロリンへの突然変異(S228P;E
Uインデックス)を含むIgG4アイソタイプ抗体またはフラグメントである。この突然
変異はヒンジ領域内の重鎖間ジスルフィド架橋の不均一性を排除することが報告されてい
る(Angalら,前掲;241位はKabat番号付け系に基づく)。
【0186】
本発明の1つの実施形態においては、CH1のヒンジ領域は、該ヒンジ領域内のシステ
イン残基の数が増加または減少するように修飾される。このアプローチは米国特許第5,
677,425号に更に詳細に記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基
の数は、例えば、軽鎖および重鎖の集合を促進させるために、または抗体の安定性を増強
もしくは低減するために改変される。
【0187】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメント(例えば
、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)のFcヒンジ領域は、該抗
体またはフラグメントの生物学的半減期を減少させるために突然変異される。より詳細に
は、該抗体またはフラグメントが、天然FcヒンジドメインSpA結合と比べて低減した
スタヒロコッカスプロテインA(SpA)結合を示すように、Fc-ヒンジフラグメント
のCH2-CH3ドメイン境界領域内に1以上のアミノ酸突然変異が導入される。このア
プローチは米国特許第6,165,745号に更に詳細に記載されている。
【0188】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメント(例えば
、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は、その生物学的半減期を
増加させるために修飾される。種々のアプローチが可能である。例えば、米国特許6,2
77,375号に記載されているとおり、以下の突然変異の1以上が導入されうる:T2
52L、T254S、T256F。あるいは、米国特許第5,869,046号および第
6,121,022号に記載されているとおり、生物学的半減期を増加させるために、該
抗体は、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ(s
alvage)受容体結合性エピトープを含有するようにCH1またはCL領域内で改変
されうる。
【0189】
更に他の実施形態においては、該抗体または抗原結合性フラグメントのエフェクター機
能を改変するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換するこ
とにより、Fc領域を改変する。例えば、該抗体がエフェクターリガンドに対する改変さ
れたアフィニティを有し、親抗体の抗原結合能を保有するように、アミノ酸残基234、
235、236、237、297、318、320および322から選択される1以上の
アミノ酸が異なるアミノ酸残基で置換されうる。アフィニティが改変されるエフェクター
リガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1成分でありうる。このアプローチは米
国特許第5,624,821号および第5,648,260号に更に詳細に記載されてい
る。
【0190】
もう1つの例においては、該抗体がC1q結合の変化および/または補体依存性細胞傷
害性(CDC)の低減もしくは消失を示すように、アミノ酸残基329、331および3
32から選択される1以上のアミノ酸が別のアミノ酸残基で置換されうる。このアプロー
チは米国特許第6,194,551号に詳細に記載されている。
【0191】
もう1つの例においては、アミノ酸231位および239位における1以上のアミノ酸
残基を改変して、それにより、補体を固定する該抗体の能力を改変する。このアプローチ
はPCT公開WO94/29351に更に詳細に記載されている。
【0192】
更にもう1つの例においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、
14A6もしくは28H5またはそれらのヒト化形態)が抗体依存性細胞傷害性(ADC
C)をもたらす能力を低減するために、および/またはFcγ受容体に対する該抗体また
はフラグメントのアフィニティを低減するために、以下の位置:238、239、243
、248、249、252、254、255、256、258、264、265、267
、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286
、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303
、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327
、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360
、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419
、430、434、435、437、438または439位における1以上のアミノ酸を
修飾することにより、Fc領域を修飾する。このアプローチはPCT公開WO 00/4
2072に更に詳細に記載されている。更に、FcγRI、FcγRII、FcγRII
IおよびFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位が位置決定されており、改善した結
合を示す変異体が記載されている(Shieldsら(2001)J.Biol.Che
m.276:6591-6604を参照されたい)。
【0193】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗体(例えば、14A6、28H5、3
1C6またはそれらのヒト化形態)がエフェクター機能をもたらす能力を低減するために
、および/または抗炎症特性を増強するために、残基243および264を修飾すること
により、Fc領域を修飾する。1つの実施形態においては、243位および264位にお
ける残基をアラニンへと変化させることにより、該抗体またはフラグメントのFc領域を
修飾する。1つの実施形態においては、該抗体またはフラグメントがエフェクター機能を
もたらす能力を低減するために、および/または抗炎症特性を増強するために、残基24
3、264、267および328を修飾することにより、Fc領域を修飾する。
【0194】
エフェクター機能の増強
幾つかの実施形態においては、抗TIGIT抗体のFc領域は、エフェクター機能をも
たらす該抗体もしくは抗原結合性フラグメントの能力を増強するために、および/または
Fcガンマ受容体(FcγR)へのそれらの結合を増強するために、修飾される。
【0195】
本明細書中で用いる「エフェクター機能」なる語は、抗体依存性細胞傷害活性(ADC
C)、補体依存性細胞傷害活性(CDC)媒介性応答、Fc媒介性食作用または抗体依存
性細胞食作用(ADCP)、およびFcRn受容体を介した抗体リサイクリンのグ1以上
を意味すると意図される。
【0196】
抗体結合性タンパク質の定常領域と種々のFc受容体(FcR)[FcガンマR1(C
D64)、FcγRII(CD32)およびFcガンマRIII(CD16)を含む]と
の間の相互作用が抗原結合性タンパク質のエフェクター機能、例えばADCCおよびCD
Cをもたらすと考えられている。Fc受容体は抗体架橋にも重要であり、これは抗腫瘍免
疫に重要でありうる。
【0197】
エフェクター機能は、例えば、ADCCエフェクター機能を測定するための、ナチュラ
ルキラー細胞へのFcガンマRIIIの結合または単球/マクロファージへのFcガンマ
RIの結合による方法を含む幾つかの方法で測定されうる。例えば、本発明の抗原結合性
タンパク質はナチュラルキラー細胞アッセイにおいてADCCエフェクター機能に関して
評価されうる。そのようなアッセイの例はShieldsら,2001 J.Biol.
Chem.,Vol.276,p 6591-6604;Chappelら,1993
J.Biol.Chem.,Vol 268,p 25124-25131;Lazar
ら,2006 PNAS,103;4005-4010において見出されうる。
【0198】
本発明の抗体のADCCもしくはCDCの特性またはそれらの架橋特性は幾つかの方法
で増強されうる。
【0199】
残基Asn297におけるグリコシル化の改変または特異的突然変異を含有するヒトI
gG1定常領域はFc受容体への結合を増強することが示されている。幾つかの場合にお
いては、これらの突然変異はADCCおよびCDCを増強することも示されている(La
zarら,PNAS 2006,103;4005-4010;Shieldsら,J
Biol Chem 2001,276;6591-6604;Nechanskyら,
Mol Immunol,2007,44;1815-1817)。
【0200】
本発明の1つの実施形態においては、そのような突然変異は、239、332および3
30位(IgG1)または他のIgGアイソタイプにおける同等位置から選択される位置
の1以上に存在する。適当な突然変異の例としては、S239DおよびI332Eおよび
A330Lが挙げられる。1つの実施形態においては、本明細書に記載されている本発明
の抗原結合性タンパク質は239および332位において突然変異しており(例えば、S
239DおよびI332E)、またはもう1つの実施形態においては、それは、239お
よび332および330から選択される3以上の位置において突然変異している(例えば
、S239DおよびI332EおよびA330L(EUインデックスの番号付け))。
【0201】
本発明のもう1つの実施形態においては、抗原結合性タンパク質がエフェクター機能の
増強を示すようにグリコシル化プロファイルの改変を有する重鎖定常領域を含む抗体を提
供する。例えば、この場合、該抗体はADCCの増強またはCDCの増強を示し、あるい
はそれはADCCおよびCDCエフェクター機能の両方の増強を示す。グリコシル化プロ
ファイルの改変を有する抗原結合性タンパク質を製造するための適当な方法の例はWO2
003011878、WO2006014679およびEP1229125に記載されて
いる。
【0202】
もう1つの態様においては、本発明は「非フコシル化」または「アフコシル化(afu
cosylated)」抗体を提供する。非フコシル化抗体は、フコース残基を有さない
Fcの複合型N-グリカンのトリ-マンノシルコア構造を含有する。Fc N-グリカン
からのコアフコース残基を欠くこれらの糖操作抗体は、FcガンマRIIIa結合能の増
強により、フコシル化等価体より強力なADCCを示しうる。
【0203】
本発明はまた、a)本明細書に記載されている単離された核酸を含む発現ベクターを含
み、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼを含まない組換え宿主細胞を培養し
、b)抗原結合性タンパク質を回収する工程を含む本発明の抗体の製造方法を提供する。
該組換え宿主細胞は、通常、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードす
る遺伝子を含有していなくてもよく(例えば、酵母宿主細胞、例えば、ピチア属種(Pi
chia sp.))、あるいはアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼを不活
性化するように遺伝的に修飾されていてもよい。アルファ-1,6-フコシルトランスフ
ェラーゼをコードするFUT8遺伝子を不活性化するように遺伝的に修飾された組換え宿
主細胞が入手可能である。例えば、BioWa,Inc.(Princeton,N.J
.)から入手可能なPOTELLIGENT(商標)技術システムを参照されたい。それ
においては、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞が、機能的FUT
8遺伝子を含有する細胞において産生される同一モノクローナル抗体と比べて増強した抗
体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示すモノクローナル抗体を産生する。POTELL
IGENT(商標)技術システムの種々の態様がUS7214775、US694629
2、WO0061739およびWO0231240に記載されている。他の適当なシステ
ムも当業者に認識されるであろう。
【0204】
そのような修飾は単独で用いられうるだけでなく、エフェクター機能を更に増強するた
めに互いに組合せて用いることも可能であることが当業者に明らかであろう。
【0205】
修飾グリコシル化を有する抗体の製造
更にもう1つの実施形態においては、本発明の抗体または抗原結合性フラグメント(例
えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は特定のグリコシル化
パターンを含む。例えば、アフコシル化または非グリコシル化(アグリコシル化)(ag
lycosylated)抗体またはフラグメント(すなわち、該抗体は、それぞれ、フ
コースまたはグリコシル化を欠く)が製造されうる。抗体またはフラグメントのグリコシ
ル化パターンは、例えば、TIGIT抗原に対する該抗体またはフラグメントのアフィニ
ティまたはアビディティを増強するために改変されうる。そのような修飾は、例えば、該
抗体またはフラグメント配列内のグリコシル化部位の1以上を改変することにより達成さ
れうる。例えば、可変領域フレームワークグリコシル化部位の1以上の除去をもたらし、
それによりその部位におけるグリコシル化を排除する1以上のアミノ酸置換が施されうる
。そのような非グリコシル化は抗原に対する該抗体またはフラグメントのアフィニティま
たはアビディティを増強しうる。例えば、米国特許第5,714,350号および第6,
350,861号を参照されたい。
【0206】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、2
8H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は更に、哺乳類またはヒト様グリコシル化
パターンを有する糖タンパク質を産生するように遺伝的に操作された下等真核宿主細胞、
特に真菌宿主細胞、例えば酵母および糸状菌において産生されるものを含む(例えば、C
hoiら(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.100:5022-50
27;Hamiltonら(2003)Science 301:1244-1246;
Hamiltonら(2006)Science 313:1441-1443;Net
tら,Yeast 28(3):237-52(2011);Hamiltonら,Cu
rr Opin Biotechnol.Oct;18(5):387-92(2007
)を参照されたい)。現在使用されている哺乳類細胞系と比較した場合の、これらの遺伝
的に修飾された宿主細胞の格別の利点は、該細胞内で産生される糖タンパク質のグリコシ
ル化プロファイルの制御が可能なことであり、その結果、特定のN-グリカン構造が優勢
な糖タンパク質の組成物が製造されうる(例えば、米国特許第7,029,872号およ
び米国特許第7,449,308号を参照されたい)。これらの遺伝的に修飾された宿主
細胞は、特定のN-グリカン構造を主に有する抗体を製造するために使用されている(例
えば、Liら(2006)Nat.Biotechnol.24:210-215を参照
されたい)。
【0207】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は更に、
二分岐および多アンテナ(multiantennary)種を含むフコシル化および非
フコシル化ハイブリッドおよび複合N-グリカン(例えば、GlcNAc(1-4)Ma
GlcNAc;Gal(1-4)GlcNAc(1-4)ManGlcNAc
;NANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(1-4)ManGlcNAc
のようなN-グリカンを含むが、これらに限定されるものではない)を含む、下等真核宿
主細胞において産生されるものを含む。
【0208】
特定の実施形態においては、本発明において提供する抗体およびその抗原結合性フラグ
メント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、Glc
NAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;およびN
ANAGalGlcNAcManGlcNAcからなる群から選択される少なくとも
1つのハイブリッドN-グリカンを有する抗体またはフラグメントを含む。特定の態様に
おいては、該ハイブリッドN-グリカンは該組成物中の主要N-グリカン種である。
【0209】
特定の実施形態においては、本発明において提供する抗体およびその抗原結合性フラグ
メント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、Glc
NAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlcNAc;NANA
GalGlcNAcManGlcNAc;GlcNAcManGlcNAc
GalGlcNAcManGlcNAc;GalGlcNAcManGlc
NAc;NANAGalGlcNAcManGlcNAc;およびNANA
GalGlcNAcManGlcNAcからなる群から選択される少なくとも1
つの複合N-グリカンを有する抗体およびフラグメントを含む。特定の態様においては、
該複合N-グリカンは該組成物中の主要N-グリカン種である。更に詳細な態様において
は、該複合N-グリカンは、該組成物中の複合N-グリカンの約30%、40%、50%
、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%または100%を
構成する特定のN-グリカン種である。1つの実施形態においては、本発明において提供
する抗体およびその抗原結合性フラグメントは複合N-グリカンを含み、ここで、複合N
-グリカンの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、9
8%、99%または100%が構造NANAGalGlcNAcManGlcN
Acを含み、ここで、そのような構造はアフコシル化されている。そのような構造は、
例えば、操作されたピチア・パストリス(Pichia pastoris)宿主細胞に
おいて製造されうる。
【0210】
特定の実施形態においては、該N-グリカンはフコシル化されている。一般に、該フコ
ースは、該N-グリカンの還元末端におけるGlcNAcとのα1,3-結合、該N-グ
リカンの還元末端におけるGlcNAcとのα1,6-結合、該N-グリカンの非還元末
端におけるGalとのα1,2-結合、該N-グリカンの非還元末端におけるGlcNA
cとのα1,3-結合、または該N-グリカンの非還元末端におけるGlcNAcとのα
1,4-結合で存在する。
【0211】
したがって、前記の糖タンパク質組成物の特定の態様においては、該グリコフォーム(
glycoform)は、ManGlcNAc(Fuc)、GlcNAcMan
lcNAc(Fuc)、ManGlcNAc(Fuc)、GlcNAcMan
lcNAc(Fuc)、GlcNAcManGlcNAc(Fuc)、GalG
lcNAcManGlcNAc(Fuc)、GalGlcNAcManGl
cNAc(Fuc)、NANAGalGlcNAcManGlcNAc(Fu
c)およびNANAGalGlcNAcManGlcNAc(Fuc)からな
る群から選択されるグリコフォームを与えるα1,3-結合またはα1,6-結合フコー
ス;GlcNAc(Fuc)ManGlcNAc、GlcNAc(Fuc)Man
GlcNAc、GlcNAc(Fuc1-2)ManGlcNAc、GalGl
cNAc(Fuc1-2)ManGlcNAc、GalGlcNAc(Fuc
1-2)ManGlcNAc、NANAGal2GlcNAc2(Fuc1-2)M
anGlcNAcおよびNANAGalGlcNAc(Fuc1-2)Man
GlcNAcからなる群から選択されるグリコフォームを与えるα1,3-結合また
はα1,4-結合フコース;あるいはGal(Fuc)GlcNAcManGlcN
Ac、Gal(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAc、NANAG
al(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAcおよびNANAGal
(Fuc1-2)GlcNAcManGlcNAcからなる群から選択されるグ
リコフォームを与えるα1,2-結合フコースで存在する。
【0212】
更に詳細な態様においては、該抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラ
グメントは、ManGlcNAc、ManGlcNAc、ManGlcNAc
、ManGlcNAc、ManGlcNAc、またはManGlcNAc
N-グリカン構造からなるN-グリカン(これらに限定されるものではない)を含む高
マンノースN-グリカンを含む。
【0213】
前記の更に詳細な態様においては、該複合N-グリカンは更に、フコシル化および非フ
コシル化二分岐および多アンテナ種を含む。
【0214】
本明細書中で用いる「N-グリカン」および「グリコフォーム(糖形態)」なる語は互
換的に用いられ、N-結合オリゴ糖を意味し、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基
にアスパラギン-N-アセチルグルコサミン結合により結合しているN-結合オリゴ糖を
意味する。N-結合糖タンパク質は、タンパク質中のアスパラギン残基のアミド窒素に結
合したN-アセチルグルコサミン残基を含有する。糖タンパク質上で見出される主な糖と
しては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N-アセチルガラクトサミ
ン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびシアル酸(例え
ば、N-アセチル-ノイラミン酸(NANA))が挙げられる。糖基のプロセシングは翻
訳と同時にERの内腔において生じ、翻訳後はN-結合糖タンパク質のためにゴルジ装置
において継続する。
【0215】
N-グリカンはManGlcNAcの共通の五糖コアを有する(「Man」はマン
ノースを意味し、「Glc」はグルコースを意味し、「NAc」はN-アセチルを意味し
、GlcNAcはN-アセチルグルコサミンを意味する)。通常、N-グリカン構造は、
非還元末端を左側に、そして還元末端を右側にして表される。N-グリカンの還元末端は
、該タンパク質上のグリコシル化部位を含むAsn残基が結合している末端である。N-
グリカンは、「トリマンノースコア」、「五糖コア」または「少(pauci)マンノー
スコア」とも称されるManGlcNAc(「Man」)コア構造に付加される周
辺糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコースおよびシアル酸)を含む分岐(ア
ンテナ)の数において異なる。N-グリカンは、その分岐(分枝)構成成分に従い分類さ
れる(例えば、高マンノース、複合またはハイブリッド)。「高マンノース」型N-グリ
カンは5個以上のマンノース残基を有する。「複合」型N-グリカンは、典型的には、「
トリマンノース」コアの1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNA
cと、1,3マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcとを有する。複
合N-グリカンは、シアル酸または誘導体(例えば、「NANA」または「NeuAc」
が挙げられ、ここで、「Neu」はノイラミン酸を意味し、「Ac」はアセチルを意味す
る)で修飾されていてもよいガラクトース(「Gal」)またはN-アセチルガラクトサ
ミン(「GalNAc」)残基をも有しうる。複合N-グリカンは、コアフコース(「F
uc」)および「二分岐(bisecting)」GlcNAcを含む鎖内置換をも有し
うる。複合N-グリカンはまた、「トリマンノース・コア」上に複数のアンテナを有する
ことが可能であり、これは、しばしば、「多アンテナグリカン」と称される。「ハイブリ
ッド」N-グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端における少
なくとも1つのGlcNAcと、トリマンノースコアの1,6マンノースアーム上の0個
以上のマンノースとを有する。前記の種々のN-グリカンは「グリコフォーム(糖形態)
」とも称される。
【0216】
複合N-グリカンに関しては、「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2
」、「A1」および「A2」なる語は以下を意味する。「G-2」は、ManGlcN
Acとして特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G-1」なる語は、Glc
NAcManGlcNAcとして特徴づけられうるN-グリカン構造を意味し、「G
0」なる語は、GlcNAcManGlcNAcとして特徴づけられるN-グリカ
ン構造を意味し、「G1」なる語は、GalGlcNAcManGlcNAcとし
て特徴づけられるN-グリカン構造を意味し、「G2」なる語は、GalGlcNAc
ManGlcNAcとして特徴づけられるN-グリカン構造を意味し、「A1」な
る語は、NANAGalGlcNAcManGlcNAcとして特徴づけられる
N-グリカン構造を意味し、「A2」なる語は、NANAGalGlcNAcMa
GlcNAcとして特徴づけられるN-グリカン構造を意味する。特に示されてい
ない限り、「G-2」、「G-1」、「G0」、「G1」、「G2」、「A1」および「
A2」なる語は、N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基に結合したフコース
を欠くN-グリカン種を意味する。該用語が「F」を含む場合、「F」は、該N-グリカ
ン種が該N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基上にフコース残基を含有する
ことを示す。例えば、G0F、G1F、G2F、A1FおよびA2Fは全て、N-グリカ
ンが、該N-グリカンの還元末端においてGlcNAc残基に結合したフコース残基を更
に含むことを示す。酵母および糸状菌のような下等真核生物は、通常、フコースを示すN
-グリカンを産生しない。
【0217】
多アンテナN-グリカンに関しては、「多アンテナN-グリカン」なる語は、該N-グ
リカンの1,6アームもしくは1,3アームの非還元末端を含むマンノース残基上のGl
cNAc残基、または該N-グリカンの1,6アームおよび1,3アームの非還元末端を
含むマンノース残基のそれぞれにおいてGlcNAc残基を更に含むN-グリカンを意味
する。したがって、多アンテナN-グリカンは、式GlcNAc(2-4)ManGl
cNAc、Gal(1-4)GlcNAc(2-4)ManGlcNAc、または
NANA(1-4)Gal(1-4)GlcNAc(2-4)ManGlcNAc
より特徴づけられうる。「1-4」なる語は1、2、3または4個の残基を意味する。
【0218】
二分岐N-グリカンに関しては、「二分岐N-グリカン」なる語は、GlcNAc残基
が該N-グリカンの還元末端においてマンノース残基に結合している、N-グリカンを意
味する。二分岐N-グリカンは式GlcNAcManGlcNAcにより特徴づけ
られることが可能であり、ここで、各マンノース残基はその非還元末端においてGlcN
Ac残基に結合している。これに対して、多アンテナN-グリカンがGlcNAcMa
GlcNAcとして特徴づけられる場合、該式は、2つのGlcNAc残基が、N
-グリカンの、2つのアームの一方の非還元末端において、マンノース残基に結合してお
り、1つのGlcNAc残基が、該N-グリカンの他方のアームの非還元末端において、
マンノース残基に結合していることを示す。
【0219】
抗体の物理特性
本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6
、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は更に、軽鎖または重鎖免疫グロブリ
ン可変領域内に1以上のグリコシル化部位を含有しうる。そのようなグリコシル化部位は
抗原結合の変化による該抗体のpKの変化または該抗体もしくはフラグメントの免疫原性
の増強をもたらしうる(Marshallら(1972)Annu Rev Bioch
em 41:673-702;GalaおよびMorrison(2004)J Imm
unol 172:5489-94;Wallickら(1988)J Exp Med
168:1099-109;Spiro(2002)Glycobiology 12
:43R-56R;Parekhら(1985)Nature 316:452-7;M
imuraら(2000)Mol Immunol 37:697-706)。グリコシ
ル化は、N-X-S/T配列を含有するモチーフにおいて生じることが公知である。
【0220】
各抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6または
それらのヒト化形態)は、一般には6~9.5のpH範囲内である特有の等電点(pI)
を有する。IgG1抗体のpIは典型的には7~9.5のpH範囲内であり、IgG4抗
体のpIは典型的には6~8のpH範囲内である。
【0221】
各抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6または
それらのヒト化形態)は特徴的な融解温度を有し、より高い融解温度は、より大きなイン
ビボ総安定性を示す(Krishnamurthy RおよびManning MC(2
002)Curr Pharm Biotechnol 3:361-71)。一般に、
M1(初期アンフォールディングの温度)は60℃より高い、65℃より高い、または
70℃より高いことが可能である。抗体またはフラグメントの融点は、示差走査熱量測定
(Chenら(2003)Pharm Res 20:1952-60;Ghirlan
doら(1999)Immunol Lett 68:47-52)または円二色性(M
urrayら(2002)J.Chromatogr Sci 40:343-9)を用
いて測定されうる。
【0222】
もう1つの実施形態においては、急速に分解しない抗体およびその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)を選択する。
抗体またはフラグメントの分解は、キャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI-M
S(Alexander AJおよびHughes DE(1995)Anal Che
67:3626-32)を用いて測定されうる。
【0223】
もう1つの実施形態においては、望ましくない免疫応答の誘発および/または変化した
若しくは好ましくない薬物動態特性を招きうる凝集作用が最小である抗体(例えば、14
A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)およびその抗原結合性フラグメン
トを選択する。一般に、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以
下の凝集を示す抗体およびフラグメントが許容される。凝集は、サイズ排除カラム(SE
C)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および光散乱を含む幾つかの技術により
測定されうる。
【0224】
抗体コンジュゲート
本明細書に開示されている抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(例え
ば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は化学的部分にコンジュ
ゲート化(結合)されることも可能である。該化学的部分は、とりわけ、重合体、放射性
核種、細胞毒性因子でありうる。特定の実施形態においては、該化学的部分は、対象の体
内の該抗体またはフラグメントの半減期を増加させる重合体である。適当な重合体には、
ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12k
Da、20kDa、30kDaまたは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストラ
ンおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)(これらに限定されるもので
はない)を包含する親水性重合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。Le
eら(1999)(Bioconj.Chem.10:973-981)はPEGコンジ
ュゲート化一本鎖抗体を開示している。Wenら,(2001)(Bioconj.Ch
em.12:545-553)は、放射性金属キレーター(ジエチレントリアミン五酢酸
(DTPA))に結合したPEGに対して抗体をコンジュゲート化することを開示してい
る。
【0225】
本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6
、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)はまた、例えば99Tc、90Y、
11In、32P、14C、125I、H、131I、11C、15O、13N、18
F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152
Eu、67CU、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234
Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feのような標識に対し
てコンジュゲート化されうる。
【0226】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、2
8H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、例えば、その生物学的(例えば、血清
)半減期を増加させるために、ペグ化(PEGylate)されることも可能である。抗
体またはフラグメントをペグ化するためには、典型的には、1以上のPEG基が該抗体ま
たは抗体フラグメントに結合する条件下、該抗体またはフラグメントを、反応性形態のポ
リエチレングリコール(PEG)、例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘
導体と反応させる。特定の実施形態においては、ペグ化は、反応性PEG分子(または類
似反応性水溶性高分子)でのアルキル化反応またはアシル化反応により行われる。本明細
書中で用いる「ポリエチレングリコール」なる語は、他のタンパク質を誘導体化するため
に使用されているPEGの形態のいずれか、例えばモノ(C1-C10)アルコキシ-ま
たはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミ
ドを含むと意図される。ある実施形態においては、ペグ化されるべき抗体またはフラグメ
ントは非グリコシル化抗体またはフラグメントである。タンパク質をペグ化するための方
法は当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用されうる。例えば、EP 0 154
316およびEP 0 401 384を参照されたい。
【0227】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、2
8H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、蛍光または化学発光標識、例えば発蛍
光団、例えば希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその
誘導体、イソチオシアナート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン
、o-フタルアルデヒド、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン
、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル
標識、イミダゾール標識、アクリジミウム塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標
識、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識および安定フ
リーラジカルに対してコンジュゲート化されることも可能である。
【0228】
本発明の抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31
C6およびそれらのヒト化形態)は、細胞毒性因子、例えばジフテリア毒素、シュードモ
ナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A鎖、リ
シンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルデ
ィ(Aleurites fordii)タンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、
ジアンシン(dianthin)タンパク質、フィトイアッカ・アメリカナ(Phyto
iacca americana)タンパク質PAPI、PAPIIおよびPAP-S、
モモルディカ・カランチア(momordica charantia)インヒビター、
クルシン、クロチン、サポナリア・オフィシナリス(saponaria offici
nalis)インヒビター、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノ
マイシンにコンジュゲート化されることも可能である。
【0229】
本発明の抗体およびその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31
C6およびそれらのヒト化形態)を種々の部分にコンジュゲート化するための当技術分野
で公知のいずれかの方法が利用可能であり、該方法は、Hunterら(1962)Na
ture 144:945;Davidら(1974)Biochemistry 13
:1014;Painら(1981)J.Immunol.Meth.40:219;お
よびNygren,J.(1982)Histochem.and Cytochem.
30:407に記載されている方法を包含する。抗体およびフラグメントのコンジュゲー
ト化方法は常套手段であり、当技術分野において非常によく知られている。
【0230】
抗TIGIT抗体の治療用途
更に、本明細書に開示されている単離された抗体またはその抗原結合性フラグメント(
例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)での治療を要する対
象(例えば、ヒト対象)の治療方法を提供する。本発明の1つの実施形態においては、そ
のような対象は感染または感染性疾患に罹患している。本発明のもう1つの実施形態にお
いては、そのような対象は癌に罹患している。1つの実施形態においては、該癌は、TI
GITを発現する腫瘍浸潤性リンパ球により浸潤する固形腫瘍である。1つの実施形態に
おいては、該癌としては、例えば以下のものが挙げられる:骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽
細胞腫、腎臓癌、白血病、腎移行細胞癌、膀胱癌、ウィルムス癌、卵巣癌、膵臓癌、乳癌
、前立腺癌、骨癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜
肉腫、頭頸部癌、扁平上皮癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、肝芽腫、肝細胞
癌、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、
髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉性腫瘍、髄芽腫、星細胞腫、退形成
性星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性多血症、血小板血症、特発性筋線
維症、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌、カルチノイド癌または肝臓癌、乳癌または
胃癌。本発明の1つの実施形態においては、該癌は、例えば前記の種々のものの、転移癌
である。
【0231】
1つの実施形態においては、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合
性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)を
使用する対象の治療方法を提供し、ここで、該対象はウイルス感染に罹患している。1つ
の実施形態においては、ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エボラウイ
ルス、肝炎ウイルス(A、BまたはC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-
1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、エプスタインバーウイルス)、アデノウイ
ルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コ
クサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタ
ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTL
Vウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、
狂犬病ウイルス、JCウイルスまたはアルボウイルス性脳炎ウイルスからなる群から選択
されるウイルスによる感染である。
【0232】
1つの実施形態においては、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合
性フラグメントを使用する対象の治療方法を提供し、ここで、該対象は細菌感染に罹患し
ている。1つの実施形態においては、細菌感染は、クラミジア(Chlamydia)、
リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌および
淋菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ(Legio
nella)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium d
iphtheriae)、サルモネラ(Salmonella)、桿菌、ビブリオ・コレ
レ(Vibrio cholerae)、クロストリジウム・テタン(Clostrid
ium tetan)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium bo
tulinum)、バシラス・アンスリシス(Bacillus anthricis)
、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、マイコバクテリウム・レ
プレ(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・レプロマト
シス(Mycobacterium lepromatosis)およびボリエラ(Bo
rriella)からなる群から選択される細菌による感染である。
【0233】
1つの実施形態においては、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合
性フラグメントを使用する対象の治療方法を提供し、ここで、該対象は真菌感染に罹患し
ている。1つの実施形態においては、真菌感染は、カンジダ(Candida)(アルビ
カンス(albicans)、クルセイ(krusei)、グラブラタ(glabrat
a)、トロピカリス(tropicalis)など)、クリプトコッカス・ネオフォルマ
ンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス(Aspe
rgillus)(フミガタス(fumigatus)、ニガー(niger)など)、
ムコラーレス(Mucorales)属(ムコール(mucor)、アブシジア(abs
idia)、リゾプス(rhizopus)属)、スポロスリクス・シェンキイ(Spo
rothrix schenkii)、ブラストマイセス・デルマチチディス(Blas
tomyces dermatitidis)、パラコクシジオイデス・ブラシリエンシ
ス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデ
ス・イミティス(Coccidioides immitis)およびヒストプラスマ・
カプスラツム(Histoplasma capsulatum)からなる群から選択さ
れる真菌による感染である。
【0234】
1つの実施形態においては、本発明は、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合
性フラグメントを使用する対象の治療方法を提供し、ここで、該対象は寄生虫感染に罹患
している。1つの実施形態においては、寄生虫感染は、エンタモエバ・ヒストリティカ(
Entamoeba histolytica)、バランチジウム・コリ(Balant
idium coli)、ネグレリア・フォウレリ(Naegleria fowler
i)、アカンタモエバ(Acanthamoeba)、ジアルジア・ランビア(Giar
dia lambia)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、
ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、プラスモジ
ウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、バベシア・ミクロッティ(B
abesia microti)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma
brucei)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、
リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)、トキソプラス
マ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)およびニッポストロンジルス・ブ
ラシリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)からな
る群から選択される寄生虫による感染である。
【0235】
また、本発明は、対象(例えば、ヒト)におけるMHCクラスIIへのTIGIT結合
の予防もしくは抑制、抗原特異的T細胞活性化の増強、またはインターロイキン2のT細
胞産生の刺激のための方法を提供し、例えば、ここで、該対象は癌または感染性疾患(例
えば、本明細書に記載されているとおり)に罹患しており、該方法は、抗TIGIT抗体
またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28A5、31C6およびそれ
らのヒト化形態)の有効量を、もう1つの化学療法剤と所望により組合せて投与すること
を含む。
【0236】
「対象」は哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、サル[
例えば、カニクイザル、例えば、マカカ・ファシクラリス(Macaca fascic
ularis)]またはウサギである。本発明の好ましい実施形態においては、対象はヒ
ト対象である。
【0237】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体およびその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、いず
れかの疾患、例えば癌(例えば、本明細書に記載されているもの)を治療または予防する
ために、そのような治療または予防を要する対象において、単独で、あるいは他の治療剤
および/または治療手技と組合せて使用されうる。そのような抗体およびフラグメントを
他の治療剤と共に含む組成物、例えば、医薬上許容される担体を含む医薬組成物も本発明
の一部である。
【0238】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は単独で
、または腫瘍ワクチンと組合せて使用されうる。
【0239】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は単独で
、または化学療法剤と組合せて使用されうる。
【0240】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は単独で
、または放射線療法と組合せて使用されうる。
【0241】
特定の実施形態においては、本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は単独で
、または標的化療法と組合せて使用されうる。標的化療法の例には以下のものが含まれる
:ホルモン療法、シグナル伝達インヒビター(例えば、EGFRインヒビター、例えば、
セツキィマブ(cetuximab)(Erbitux)およびエルロチニブ(erlo
tinib)(Tarceva));HER2インヒビター(例えば、トラスツズマブ(
trastuzumab)(Herceptin)およびペルツズマブ(pertuzu
mab)(Perjeta));BCR-ABLインヒビター(例えば、イマチニブ(i
matinib)(Gleevec)およびダサチニブ(dasatinib)(Spr
ycel));ALKインヒビター(例えば、クリゾチニブ(crizotinib)(
Xalkori)およびセリチニブ(ceritinib)(Zykadia));BR
AFインヒビター(例えば、ベムラフェニブ(vemurafenib)(Zelbor
af)およびダブラフェニブ(dabrafenib)(Tafinlar))、遺伝子
発現モジュレーター、アポトーシス誘導物質(例えば、ボルテゾミブ(bortezom
ib)(Velcade)およびカルフィルゾミブ(carfilzomib)(Kyp
rolis))、血管新生インヒビター(例えば、ベバシズマブ(bevacizuma
b)(Avastin)およびラムシルマブ(ramucirumab)(Cyramz
a)、毒素に結合したモノクローナル抗体(例えば、ブレンツキシマブ・ベドチン(br
entuximab vedotin)(Adcetris)およびアド-トラスツズマ
ブ・エムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)(Kadc
yla))。
【0242】
特定の実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、抗癌治療
剤または免疫調節薬、例えば免疫調節受容体インヒビター、例えば、該受容体に特異的に
結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントと組合せて使用されうる。
【0243】
したがって、本発明は、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)と組合され
た本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、2
8H5、31C6およびそれらのヒト化形態)を含む組成物を含む。また、本発明は、有
効量の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントおよびペンブロリズマブを対
象に投与することを含む、対象における癌の治療または予防方法を含む。所望により、対
象にはもう1つの治療剤も投与される。
【0244】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、
配列番号33のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖と配列番号34のアミノ酸配列を
含む免疫グロブリン軽鎖とを含む単離された抗体と組合される。配列番号33および34
をペンブロリズマブの重鎖および軽鎖をコードしている。
【0245】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、
配列番号35のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖と配列番号36のアミノ酸配列を
含む免疫グロブリン軽鎖とを含む単離された抗体と組合される。配列番号35および36
をペンブロリズマブの重鎖および軽鎖をコードしている。
【0246】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は以
下のものの1以上と組合される:抗PD1抗体(例えば、ペンブロリズマブ(pembr
olizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、ピジリズマブ(pidili
zumab)(CT-011))、抗PDL1抗体、抗CTLA4抗体、抗CS1抗体(
例えば、エロツズマブ(elotuzumab))、抗KIR2DL1/2/3抗体(例
えば、リリルマブ(lirilumab))、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ(
urelumab))、抗GITR抗体(例えば、TRX518)、抗PD-L1抗体(
例えば、BMS-936559、MSB0010718CまたはMPDL3280A)、
抗PD-L2抗体、抗ILT1抗体、抗ILT2抗体、抗ILT3抗体、抗ILT4抗体
、抗ILT5抗体、抗ILT6抗体、抗ILT7抗体、抗ILT8抗体、抗CD40抗体
、抗OX40抗体、抗ICOS、抗SIRPα、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DL
2/3抗体、抗KIR2DL4抗体、抗KIR2DL5A抗体、抗KIR2DL5B抗体
、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR3DL3抗体、抗NKG2A
抗体、抗NKG2C抗体、抗NKG2E抗体、抗4-1BB抗体(例えば、PF-050
82566)、抗TSLP抗体、抗IL-10抗体、IL-10またはペグ化(PEGy
lated)IL-10、あるいはそのような標的の任意の小さな有機分子インヒビター
【0247】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
PD1抗体と組合される。
【0248】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
PDL1抗体(BMS-936559、MSB0010718CまたはMPDL3280
A)と組合される。
【0249】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
CTLA4抗体と組合される。
【0250】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
CS1抗体と組合される。
【0251】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL1/2/3抗体と組合される。
【0252】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
CD137(例えば、ウレルマブ(urelumab))抗体と組合される。
【0253】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
GITR(例えば、TRX518)抗体と組合される。
【0254】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
PD-L2抗体と組合される。
【0255】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL1抗体と組合される。
【0256】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL2抗体と組合される。
【0257】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL3抗体と組合される。
【0258】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL4抗体と組合される。
【0259】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL5抗体と組合される。
【0260】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL6抗体と組合される。
【0261】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL7抗体と組合される。
【0262】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ITL8抗体と組合される。
【0263】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
CD40抗体と組合される。
【0264】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
OX40抗体と組合される。
【0265】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL1抗体と組合される。
【0266】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL2/3抗体と組合される。
【0267】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL4抗体と組合される。
【0268】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL5A抗体と組合される。
【0269】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR2DL5B抗体と組合される。
【0270】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR3DL1抗体と組合される。
【0271】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR3DL2抗体と組合される。
【0272】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
KIR3DL3抗体と組合される。
【0273】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
NKG2A抗体と組合される。
【0274】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
NKG2C抗体と組合される。
【0275】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
ICOS抗体と組合される。
【0276】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
SIRPα抗体と組合される。
【0277】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
4-1BB抗体と組合される。
【0278】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
IL-10抗体と組合される。
【0279】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は抗
TSLP抗体と組合される。
【0280】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)はI
L-10またはペグ化IL-10と組合される。
【0281】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は、
1以上のインヒビター(例えば、小さな有機分子または抗体もしくはその抗原結合性フラ
グメント)、例えばMTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)インヒビター、細胞毒性物質
、白金物質、EGFRインヒビター、VEGFインヒビター、微小管安定化剤、タキサン
、CD20インヒビター、CD52インヒビター、CD30インヒビター、RANK(核
因子κBの受容体アクチベーター)インヒビター、RANKL(核因子κBリガンドの受
容体アクチベーター)インヒビター、ERKインヒビター、MAPキナーゼインヒビター
、AKTインヒビター、MEKインヒビター、PI3Kインヒビター、HER1インヒビ
ター、HER2インヒビター、HER3インヒビター、HER4インヒビター、Bcl2
インヒビター、CD22インヒビター、CD79bインヒビター、ErbB2インヒビタ
ーまたはファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターと組合される。
【0282】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は以
下のものの任意の1以上と組合される:13-シス-レチノイン酸、3-[5-(メチル
スルホニルピペラジンメチル)-インドリル]-キノロン、4-ヒドロキシタモキシフェ
ン、5-デオキシウリジン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、5-フルオロウラ
シル、6-メルカプトプリン、7-ヒドロキシスタウロスポリン、A-443654、ア
ビラテロンアセタート(abirateroneacetate)、アブラキサン(ab
raxane)、ABT-578、アコルビフェン(acolbifene)、ADS-
100380、ALT-110、アルトレタミン(altretamine)、アミホス
チン(amifostine)、アミノグルテチミド(aminoglutethimi
de)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(Amsacrine)、
アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)
、アンジオスタチン(angiostatin)、AP-23573、ARQ-197、
アルゾキシフェン(arzoxifene)、AS-252424、AS-605240
、アスパラギナーゼ、AT-9263、アトラセンタン(atrasentan)、アキ
シチニブ(axitinib)、AZD1115、カルメットゲラン桿菌(Bacill
us Calmette-Guerin)(BCG)ワクチン、バタブリン(batab
ulin)、BC-210、ベソデュトクス(besodutox)、ベバシズマブ(b
evacizumab)、ビカルタミド(bicalutamide)、Bio111、
BIO140、ブレオマイシン、BMS-214662、BMS-247550、BMS
-275291、BMS-310705、ボルテジミブ(bortezimib)、ブセ
レリン(buserelin)、ブスルファン(busulfan)、カルシトリオール
(calcitriol)、カンプトテシン(camptothecin)、カネルチニ
ブ(canertinib)、カペシタビン(capecitabine)、カルボプラ
チン(carboplatin)、カルムスチン(carmustine)、CC849
0、セジラニブ(Cediranib)、CG-1521、CG-781、クラミドシン
(chlamydocin)、クロラムブシル(chlorambucil)、クロロト
キシン(chlorotoxin)、シレンジチド(cilengitide)、シミチ
ジン(cimitidine)、シスプラチン、クラドリビン(cladribine)
、クロドロナート(clodronate)、COL-3、CP-724714、シクロ
ホスファミド、シプロテロン(cyproterone)、シプロテロンアセタート、シ
タラビン、シトシンアラビノシド、ダカルバジン(dacarbazine)、ダシノス
タット(dacinostat)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダ
ロツズマブ(dalotuzumab)、ダヌセルチブ(danusertib)、ダサ
タニブ(dasatanib)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デカタ
ニブ(decatanib)、デグエリン(deguelin)、デニロイキン(den
ileukin)、デオキシコホルマイシン(deoxycoformycin)、デプ
シペプチド(depsipeptide)、ジアリールプロピオニトリル、ジエチルスチ
ルベストロール(diethylstilbestrol)、ジフチトックス(dift
itox)、ドセタキセル(docetaxel)、ドビチニブ(dovitinib)
、ドキソルビシン(doxorubicin)、ドロロキシフェン(droloxife
ne)、エドテカリン(edotecarin)、イットリウム-90標識化エドトレオ
チド(edotreotide)、エドトレオチド、EKB-569、EMD12197
4、エンドスタチン(endostatin)、エンザルタミド(enzalutami
de)、エンザスタウリン(enzastaurin)、エピルビシン(epirubi
cin)、エピチロン(epithilone)B、ERA-923、エルビツクス(E
rbitux)、エルロチニブ(erlotinib)、エストラジオール(estra
diol)、エストラムスチン(estramustine)、エトポシド(etopo
side)、エベロリムス(everolimus)、エキセメスタン(exemest
ane)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィナステリド(fina
steride)、フラボピリドール(flavopiridol)、フロクスウリジン
(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、フルドロコル
チゾン(fludrocortisone)、フルオキシメステロン(fluoxyme
sterone)、フルタミド(flutamide)、FOLFOXレジメン、フルベ
ストラント(fulvestrant)、ガレテロン(galeterone)、ゲフィ
チニブ(gefitinib)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ギマテカン
(gimatecan)、ゴセレリン(goserelin)、酢酸ゴセレリン、ゴシポ
ール(gossypol)、GSK461364、GSK690693、HMR-333
9、ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、ヒドロキシウレア、IC87114、イダ
ルビシン(idarubicin)、イドキシフェン(idoxyfene)、イホスフ
ァミド(ifosfamide)、IM862、イマチニブ(imatinib)、IM
C-1C11、INCB24360、INO1001、インターフェロン、インターロイ
キン12、イピリムマブ(ipilimumab)、イリノテカン(irinoteca
n)、JNJ-16241199、ケトコナゾール、KRX-0402、ラパチニブ(l
apatinib)、ラソホキシフェン(lasofoxifene)、レトロゾール(
letrozole)、ロイコボリン(leucovorin)、ロイプロリド(leu
prolide)、酢酸ロイプロリド、レバミゾール(levamisole)、リポソ
ーム封入パクリタキセル(paclitaxel)、ロムスチン(lomustine)
、ロナファルニブ(lonafarnib)、ルカントン(lucanthone)、L
Y292223、LY292696、LY293646、LY293684、LY294
002、LY317615、マリマスタット(marimastat)、メクロレタミン
(mechlorethamine)、メドロキシプロゲステロンアセタート(medr
oxyprogesteroneacetate)、メゲストロールアセタート(meg
estrolacetate)、メルファラン(melphalan)、メルカプトプリ
ン(mercaptopurine)、メスナ(mesna)、メトトレキセート(me
thotrexate)、ミトラマイシン(mithramycin)、マイトマイシン
(mitomycin)、ミトタン(mitotane)、ミトキサントロン(mito
xantrone)、トザセルチブ(tozasertib)、MLN8054、ネオバ
スタット(neovastat)、ネラチニブ(Neratinib)、ニューラジアブ
(neuradiab)、ニロチニブ(nilotinib)、ニルチミド(nilut
imide)、ノラトレキセド(nolatrexed)、NVP-BEZ235、オブ
リメルセン(oblimersen)、オクトレオチド(octreotide)、オフ
ァツムマブ(ofatumumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、オルテ
ロネル(orteronel)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パクリ
タキセル(paclitaxel)、パルボシクリブ(palbociclib)、パミ
ドロナート(pamidronate)、パニツムマブ(panitumumab)、パ
ゾパニブ(pazopanib)、PD0325901、PD184352、PEG-イ
ンターフェロン、ペメトレキセド(pemetrexed)、ペントスタチン(pent
ostatin)、ペリホシン(perifosine)、フェニルアラニンマスタード
(phenylalaninemustard)、PI-103、ピクチリシブ(pic
tilisib)、PIK-75、ピペンドキシフェン(pipendoxifene)
、PKI-166、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマー(porf
imer)、プレドニゾン(prednisone)、プロカルバジン(procarb
azine)、プロゲスチン(progestin)、PX-866、R-763、ラロ
キシフェン(raloxifene)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、
ラゾキシン(razoxin)、リダホロリムス(ridaforolimus)、リツ
キシマブ(rituximab)、ロミデプシン(romidepsin)、RTA74
4、ルビテカン(rubitecan)、スクリプタイド(scriptaid)、Sd
x102、セリシクリブ(seliciclib)、セルメチニブ(selumetin
ib)、セマキサニブ(semaxanib)、SF1126、シロリムス(sirol
imus)、SN36093、ソラフェニブ(sorafenib)、スピロノラクトン
(spironolactone)、スクアラミン(squalamine)、SR13
668、ストレプトゾシン(streptozocin)、SU6668、スベロイルア
ナリド(suberoylanalide)ヒドロキサム酸、スニチニブ(suniti
nib)、合成エストロゲン、タランパネル(talampanel)、タリモゲン ラ
ヘルパレプベック(talimogene laherparepvec)、タモキシフ
ェン(tamoxifen)、テモゾロミド(temozolomide)、テムシロリ
ムス(temsirolimus)、テニポシド(teniposide)、テスミリフ
ェン(tesmilifene)、テストステロン、テトランドリン(tetrandr
ine)、TGX-221、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チシリムマブ(t
icilimumab)、チピファルニブ(tipifarnib)、チボザニブ(ti
vozanib)、TKI-258、TLK286、トポテカン(topotecan)
、クエン酸トレミフェン(toremifene)、トラベクテジン(trabecte
din)、トラスツズマブ(trastuzumab)、トレチノイン(tretino
in)、トリコスタチン(trichostatin)A、トリシリビンホスファート(
triciribinephosphate)一水和物、トリプトレリン(tripto
relin)パモアート、TSE-424、ウラシルマスタード、バルプロ酸、バルルビ
シン(valrubicin)、バンデタニブ(vandetanib)、バタラニブ(
vatalanib)、VEGFトラップ、ビンブラスチン(vinblastine)
、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビ
ノレルビン(vinorelbine)、ビタキシン(vitaxin)、ビテスパン(
vitespan)、ボリノスタット(vorinostat)、VX-745、ウォー
トマンニン(wortmannin)、Xr311、ザノリムマブ(zanolimum
ab)、ZK186619、ZK-304709、ZM336372、ZSTK474。
【0283】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、
以下のもの(それらに限定されるものではない)を含む1以上の抗嘔吐物質と組合される
:カソピタント(casopitant)(Glaxo SmithKline)、ネツ
ピタント(Netupitant)(MGI-Helsinn)および他のNK-1受容
体アンタゴニスト、パロノセトロン(palonosetron)(MGI Pharm
aによりAloxiとして販売されている)、アプレピタント(aprepitant)
(Merck and Co.;Rahway,NJによりEmendとして販売されて
いる)、ジフェンヒドラミン(Pfizer;New York,NYによりBenad
ryl(登録商標)として販売されている)、ヒドロキシジン(Pfizer;New
York,NYによりAtarax(登録商標)として販売されている)、メトクロプラ
ミド(metoclopramide)(AH Robins Co,;Richmon
d,VAによりReglan(登録商標)として販売されている)、ロラゼパム(lor
azepam)(Wyeth;Madison,NJによりAtivan(登録商標)と
して販売されている)、アルプラゾラム(alprazolam)(Pfizer;Ne
w York,NYによりXanax(登録商標)として販売されている)、ハロペリド
ール(Ortho-McNeil;Raritan,NJによりHaldol(登録商標
)として販売されている)、ドロペリドール(droperidol)(Inapsin
e(登録商標))、ドロナビノール(dronabinol)(Solvay Phar
maceuticals,Inc.;Marietta,GAによりMarinol(登
録商標)として販売されている)、デキサメタゾン(Merck and Co.;Ra
hway,NJによりDecadron(登録商標)として販売されている)、メチルプ
レドニゾロン(Pfizer;New York,NYによりMedrol(登録商標)
として販売されている)、プロクロルペラジン(Glaxosmithkline;Re
search Triangle Park,NCによりCompazine(登録商標
)として販売されている)、グラニセトロン(granisetron)(Hoffma
nn-La Roche Inc.;Nutley,NJによりKytril(登録商標
)として販売されている)、オンダンセトロン(ondansetron)(Glaxo
smithkline;Research Triangle Park,NCによりZ
ofran(登録商標)として販売されている)、ドラセトロン(dolasetron
)(Sanofi-Aventis;New York,NYによりAnzemet(登
録商標)として販売されている)、トロピセトロン(tropisetron)(Nov
artis;East Hanover,NJによりNavoban(登録商標)として
販売されている)。
【0284】
癌治療の他の副作用には、赤血球および白血球の欠乏症が含まれる。したがって、本発
明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグ
メント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は、そのよ
うな欠乏症を治療または予防する物質、例えばフィルグラスチム(filgrastim
)、PEG-フィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンアルファまたはダルベポ
エチンアルファと組合される。
【0285】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性
フラグメント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は抗
癌放射線療法と組合せて投与される。例えば、本発明の1つの実施形態においては、放射
線療法は外部照射療法(EBT)であり、これは、腫瘍の位置に高エネルギーX線のビー
ムを放出するための方法である。該ビームは患者の外部で(例えば、線形加速装置により
)生成され、腫瘍部位を標的化する。これらのX線は癌細胞を破壊することが可能であり
、注意深い治療計画は周辺の正常組織が救われることを可能にする。患者の体内には放射
能源は配置されない。本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は、X線ではなく
陽子を罹患組織に照射する原体(conformal)治療の一種である陽子線治療であ
る。本発明の1つの実施形態においては、放射線療法は原体外部ビーム放射線療法であり
、これは、放射線療法を個々の身体構造に適合させる先進的技術を用いる方法である。本
発明の1つの実施形態においては、放射線療法は密封小線源治療であり、この場合、放射
線の余分の線量、つまりブーストを或る領域に与えるために通常使用される放射性物質が
体内に一時的に配置される。
【0286】
本発明の1つの実施形態においては、抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)と組合せて適
用される外科的手技は外科的腫瘍摘出術である。
【0287】
「組合される」なる語は、本発明の方法において投与される成分(例えば、抗TIGI
T抗体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、
28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)およびペンブロリズマブ)が、同時運搬
のために単一組成物へと製剤化されることが可能であり、あるいは2以上の組成物(例え
ば、キット)に別々に製剤化されることが可能であることを示す。各成分は、その他の成
分が投与される時点とは異なる時点で対象に投与されうる。例えば、各投与は、ある時間
にわたって、幾つかの間隔をあけて非同時(例えば、別々または連続的)に行われうる。
更に、そのような別々の成分は、同じ経路または異なる経路によって対象に投与されうる
【0288】
実験的および診断的用途
本明細書に開示されている抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(例え
ば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)はアフィニティ精製剤と
して使用されうる。このプロセスにおいては、当技術分野でよく知られた方法を用いて、
該抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメントを固相、例えばセファデックス、
ガラスもしくはアガロース樹脂または濾紙上に固定化する。該固定化抗体またはフラグメ
ントを、精製すべきTIGITタンパク質(またはその断片)を含有するサンプルと接触
させ、ついで、該固定化抗体またはフラグメントに結合したTIGITタンパク質以外の
サンプル中の実質的に全ての物質を除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、該
結合TIGIT(例えば、プロテインA)を溶出する溶媒で該支持体を洗浄する。そのよ
うな固定化抗体およびフラグメントは本発明の一部を形成する。
【0289】
更に、例えば、ウエスタンブロットおよび本明細書に記載されている他のイムノアッセ
イを行うのに有用である二次抗体を産生させるための抗原を提供する。特に、本明細書に
開示されている治療用抗体(例えば、14A6、28H5または31C6)の可変領域お
よび/またはCDR配列を含み、例えば治療場面において該抗体の存在を特異的に検出す
るために使用される抗イディオタイプ抗体を産生させるために使用されうるポリペプチド
を開示する。
【0290】
抗TIGIT抗体(例えば、ヒト化抗体)およびその抗原結合性フラグメントはまた、
TIGITタンパク質に関する検出アッセイにおいて、例えば、特定の細胞、組織または
血清、例えば腫瘍細胞、例えば黒色腫細胞におけるその発現を検出するのに有用でありう
る。そのような診断方法は種々の疾患診断において有用でありうる。
【0291】
本発明は、本明細書に開示されている抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6またはそのヒト化形態)の使用を含むELISAアッセイ(酵素
結合イムノソルベントアッセイ)を含む。
【0292】
例えば、そのような方法は以下の工程を含む:
(a)抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントで基体(例えば、マイクロ
タイタープレートウェル、例えばプラスチックプレートの表面)をコーティングすること

(b)TIGITの存在に関して試験されるべきサンプルを該基体に適用すること;
(c)該プレートを洗浄して、該サンプル中の未結合物質を除去すること;
(d)TIGIT抗原に同様に特異的である検出可能な様態で標識された抗体(例えば
、酵素結合抗体)を適用すること;
(e)該基体を洗浄して、未結合標識抗体を除去すること;
(f)標識抗体が酵素結合体である場合には、酵素により蛍光シグナルに変換される化
学物質を適用すること;および
(g)標識抗体の存在を検出すること。
【0293】
該基体に結合した標識の検出はTIGITタンパク質の存在を示す。
【0294】
もう1つの実施形態においては、該標識抗体またはその抗原結合性フラグメントはペル
オキシダーゼで標識され、これはABTS(例えば、2,2’-アジノ-ビス(3-エチ
ルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))または3,3’,5,5’-テトラメチルベン
ジジンと反応して、検出可能な変色をもたらす。あるいは、該標識抗体またはフラグメン
トは、検出可能な放射性同位体(例えば、H)で標識され、これは、シンチラントの存
在下、シンチレーションカウンターにより検出されうる。
【0295】
本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、2
8H5、31C6またはそれらのヒト化形態)はウエスタンブロットまたは免疫-タンパ
ク質ブロット法において使用されうる。そのような方法は本発明の一部を構成し、例えば
以下のことを含む。(1)当技術分野で公知の方法(例えば、半乾燥ブロッティングまた
はタンクブロッティング)を用いて、TIGITの存在に関して試験すべきサンプル由来
の(例えば、サンプル中のタンパク質のPAGEまたはSDS-PAGE電気泳動分離由
からの)タンパク質を膜または他の固体基体上へ所望により移し、結合TIGITまたは
その断片の存在に関して試験すべき膜または他の固体基体を本発明の抗TIGIT抗体ま
たはその抗原結合性フラグメントと接触させること。
【0296】
そのような膜は、例えば、非変性PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲルま
たはSDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲル
においてTIGITの存在に関して試験すべきタンパク質が(例えば、該ゲルにおける電
気泳動分離の後で)トランスファー(転移)されたニトロセルロースまたはビニル系(例
えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF))膜の形態をとりうる。該膜を該抗TIG
IT抗体またはフラグメントと接触させる前に、所望により、該膜上の非特異的タンパク
質結合部位に結合するように、該膜を例えば脱脂乾燥乳などでブロッキングしてもよい。
(2)該膜を1回以上洗浄して、未結合抗TIGIT抗体またはフラグメントおよび他の
未結合物質を除去すること;ならびに(3)結合した抗TIGIT抗体またはフラグメン
トを検出すること。
【0297】
結合抗体またはフラグメントの検出は、該膜または基体上および該サンプル中にTIG
ITタンパク質が存在することを示す。該結合抗体またはフラグメントの検出は、検出可
能な様態で標識された二次抗体(抗免疫グロブリン抗体)に該抗体またはフラグメントを
結合させ、該二次抗体の存在を検出することによるものでありうる。
【0298】
本明細書に開示されている抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(例え
ば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は免疫組織化学的方法に
も使用されうる。そのような方法は本発明の一部を構成し、例えば、(1)TIGITタ
ンパク質の存在に関して試験すべき細胞(例えば、腫瘍細胞、例えば、黒色腫細胞)を本
発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメントと接触させ、(2)該細胞上
または細胞内の該抗体またはフラグメントを検出することを含む。
【0299】
該抗体またはフラグメント自体が検出可能な様態で標識されている場合、それは直接的
に検出されうる。あるいは、検出可能な様態で標識された二次抗体に該抗体またはフラグ
メントを結合させ、該標識を検出することが可能である。
【0300】
本明細書に開示されている或る抗TIGIT抗体およびその抗原結合性フラグメント(
例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)はインビボ腫瘍イメ
ージングにも使用されうる。そのような方法は、放射能標識された抗TIGIT抗体また
はその抗原結合性フラグメントを、TIGIT発現に関連した(例えば、TIGITを、
例えば腫瘍細胞表面上で発現する)腫瘍の存在に関して試験すべき患者の体内に注射し、
ついで該患者の身体の核イメージングを行って、例えば、該腫瘍に結合した高濃度の該抗
体またはフラグメントを含む部位において、該標識抗体またはフラグメントの存在を検出
することを含みうる。該部位の検出はTIGIT 腫瘍および腫瘍細胞の存在を示す。
【0301】
イメージング技術には、SPECTイメージング(単一光子放出型コンピュータ断層撮
影)またはPET(陽電子放出断層撮影)が含まれる。標識には、例えばヨウ素-123
123I)およびテクネチウム-99m(99mTc)(例えば、SPECTイメージ
ングと組合されるもの)、または11C、13N、15Oまたは18F(例えば、PET
イメージングと組合されるもの)、またはインジウム-111が含まれる(例えば、Go
rdonら(2005)International Rev.Neurobiol.6
7:385-440を参照されたい)。
【0302】
医薬組成物および投与
本発明の抗TIGIT抗体および抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H
5、31C6およびそれらのヒト化形態)の医薬組成物または無菌組成物を製造するため
には、該抗体またはその抗原結合性フラグメントを医薬上許容される担体または賦形剤と
混合する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Scie
ncesおよびU.S. Pharmacopeia:National Formul
ary,Mack Publishing Company,Easton,PA(19
84)を参照されたい。
【0303】
治療用および診断用物質の製剤は、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水性溶液または懸
濁液の形態で、生理的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより製造
されうる(例えば、Hardmanら(2001)Goodman and Gilma
n’s The Pharmacological Basis of Therape
utics,McGraw-Hill,New York,NY;Gennaro(20
00)Remington:The Science and Practice of
Pharmacy,Lippincott,WilliamsおよびWilkins,
New York,NY;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical
Dosage Forms:Parenteral Medications,Mar
cel Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmac
eutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekk
er,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical
Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dek
ker,NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)Excipient
Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,
New York,NYを参照されたい)。
【0304】
単独で又は別の治療剤と組合せて投与される本発明の抗体の毒性および治療効力は、例
えばLD50(集団の50%に致死的である用量)およびED50(集団の50%におい
て治療的に有効である用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的
な薬学的手法により決定されうる。毒性効果と治療効果との用量比は治療係数(LD50
/ED50)である。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、
ヒトにおける使用のための投与量の範囲の決定において使用されうる。そのような化合物
の投与量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全く伴わないED50を含む循環濃度の範
囲内である。該投与量は、使用される剤形および投与経路に応じて、この範囲内で変動し
うる。
【0305】
もう1つの実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラ
グメント(例えば、14A6、28H5、31C6)と組合せて対象に投与されるもう1
つの治療剤は、Physicians’Desk Reference 2003(Th
omson Healthcare;57th edition(2002年11月1日
))に従い、対象に投与される。
【0306】
投与様式は様々でありうる。投与経路には、経口、直腸、経粘膜、腸、非経口;筋肉内
、皮下、皮内、髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、吸入、吹送、
局所、皮膚、経皮または動脈内が含まれる。
【0307】
特定の実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメ
ント(例えば、14A6、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、侵襲的経
路、例えば注射により投与されうる。本発明の更に詳細な実施形態においては、本発明の
抗TIGIT抗体もしくはその抗原結合性フラグメントまたはその医薬組成物は静脈内、
皮下、筋肉内、動脈内、腫瘍内に、または吸入、エアゾール運搬により投与される。非侵
襲性経路(例えば、経口的、例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤)による投与も本発明
の範囲内である。
【0308】
本発明は、本発明の抗体もしくは抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H
5、31C6およびそれらのヒト化形態)またはその医薬組成物のいずれかを含む容器(
例えば、プラスチックまたはガラスバイアル、例えば、キャップまたはクロマトグラフィ
ーカラム、中空穿孔針またはシリンジシリンダーを有するもの)を提供する。本発明はま
た、本発明の抗体もしくは抗原結合性フラグメント(例えば、14A6、28H5、31
C6およびそれらのヒト化形態)またはその医薬組成物のいずれかを含む注射装置を提供
する。注射装置は、非経口経路、例えば筋肉内、皮下または静脈内経路により患者の体内
に物質を導入する装置である。例えば、注射装置はシリンジ(例えば、医薬組成物が予め
充填されたもの、例えば、自動注入装置)であることが可能であり、これは、例えば、注
射すべき流体(例えば、抗体もしくはフラグメントまたはその医薬組成物)を保持するた
めのシリンダーまたは筒状物、該流体の注射のために皮膚および/または血管を穿刺する
ための針、ならびに該シリンダーから及び針穿孔を介して該流体を押出すプランジャーを
含む。本発明の1つの実施形態においては、本発明の抗体もしくはその抗原結合性フラグ
メントまたはその医薬組成物を含む注射装置は静脈内(IV)注射装置である。そのよう
な装置は、カニューレまたはトロカール/針を介して患者の体内に導入される流体(例え
ば、生理食塩水;またはNaCl、乳酸ナトリウム、KCl、CaClを含み、所望に
よりグルコースを含む乳酸リンゲル液)を保持するためのバッグ(袋)またはリザーバ(
貯蔵容器)に接続されうるチューブに接続されうるカニューレまたはトロカール/針の中
に該抗体もしくはフラグメントまたはその医薬組成物を含む。本発明の1つの実施形態に
おいては、トロカールおよびカニューレが対象の静脈内に挿入され、挿入カニューレから
トロカールが取り外されたら、該抗体もしくはフラグメントまたはその医薬組成物が装置
内に導入されうる。IV装置は、例えば、(例えば、手または腕における)末梢静脈内;
上大静脈または下大静脈、または心臓の右心房(例えば、中央IV)内;あるいは鎖骨下
、内頚、または大腿静脈に挿入されることが可能であり、例えば、それが上大静脈または
右心房(例えば、中心静脈線)に達するまで、心臓に向けて進入可能である。本発明の1
つの実施形態においては、注射装置は自動注入装置、ジェットインジェクターまたは外部
注入ポンプである。ジェットインジェクターは、該抗体もしくはフラグメントまたはその
医薬組成物を患者の体内へ導入するために、表皮に浸透する液体の高圧ナロー(narr
ow)ジェットを使用する。外部注入ポンプは、制御された量の該抗体もしくはフラグメ
ントまたはその医薬組成物を患者の体内に運搬する医療装置である。外部注入ポンプは電
気的または機械的に駆動されうる。ポンプは、ポンプによって異なる様態で作動する。例
えば、シリンジポンプはシリンジのリザーバ内に流体を保持し、可動式ピストンが流体運
搬を制御し、弾性(elastomeric)ポンプは伸縮性バルーンリザーバ内に流体
を保持し、バルーンの弾性壁からの圧力が流体運搬を駆動する。蠕動ポンプにおいては、
1組のローラーが可撓性チューブの或る長さを絞り込んで、流体を前方へ押出す。マルチ
チャネルポンプにおいては、流体は複数のリザーバから複数の速度で運搬されうる。
【0309】
本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば米国特許第6,620,135号、第
6,096,002号、第5,399,163号、第5,383,851号、第5,31
2,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,82
4号または第4,596,556号に開示されている装置のような無針(needlel
ess)皮下注射装置によっても投与されうる。該医薬組成物を含むそのような無針装置
も本発明の一部である。本明細書に開示されている医薬組成物は注入によっても投与され
うる。医薬組成物を投与するための良く知られたインプラントおよびモジュールの例には
、米国特許第4,487,603号(これは、制御された速度で医薬を分注するための移
植可能な微量注入ポンプを開示している)、米国特許第4,447,233号(これは、
正確な注入速度で医薬を運搬するための医薬注入ポンプを開示している)、米国特許第4
,447,224号(これは、連続的薬物運搬のための可変流量移植可能注入装置を開示
している)、米国特許第4,439,196号(これは、マルチチャンバ・コンパートメ
ントを有する浸透性薬物運搬系を開示している)に開示されているものが含まれる。多数
の他のそのようなインプラント、運搬系およびモジュールは当業者によく知られており、
本発明の医薬組成物を含むものは本発明の範囲内である。
【0310】
あるいは、該抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6
、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)を全身的ではなく局所的に、例えば、
腫瘍(例えば、TIGIT 腫瘍)内に該抗体またはフラグメントを直接注射すること
により投与することが可能である。更に、標的化薬物運搬系により、例えば、組織特異的
抗体(例えば、免疫病理学的に特徴づけられる腫瘍、例えば、TIGIT 腫瘍を標的
化するもの)で被覆されたリポソーム中に含有させて、該抗体またはフラグメントを投与
することが可能である。該リポソームは罹患組織に標的化され、罹患組織により選択的に
取り込まれるであろう。そのような方法およびリポソームは本発明の一部である。
【0311】
投与レジメンは、該治療用抗体または抗原結合性フラグメントの血清または組織代謝回
転速度、症状の程度、該治療用抗体の免疫原性、および生物学的マトリックスにおける標
的細胞の接近可能性を含む幾つかの要因に左右される。好ましくは、投与レジメンは、望
ましくない副作用を最小にすると同時に標的罹患状態の改善をもたらす十分な治療用抗体
またはフラグメントを運搬する。したがって、運搬される生物学的物質の量は、部分的に
は、個々の治療用抗体および治療される状態の重症度に左右される。治療量抗体またはフ
ラグメントの適当な用量を選択する際の指針が入手可能である(例えば、Wawrzyn
czak(1996)Antibody Therapy,Bios Scientif
ic Pub.Ltd,Oxfordshire,UK;Kresina(編)(199
1)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Ar
thritis,Marcel Dekker,New York,NY;Bach(編
)(1993)Monoclonal Antibodies and Peptide
Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel D
ekker,New York,NY;Baertら(2003)New Engl.J
.Med.348:601-608;Milgromら(1999)New Engl.
J.Med.341:1966-1973;Slamonら(2001)New Eng
l.J.Med.344:783-792;Beniaminovitzら(2000)
New Engl.J.Med.342:613-619;Ghoshら(2003)N
ew Engl.J.Med.348:24-32;Lipskyら(2000)New
Engl.J.Med.343:1594-1602を参照されたい)。
【0312】
適当な用量の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られている又
は疑われているパラメータまたは因子を用いて、臨床家によりなされる。一般に、用量は
、最適用量より幾分少ない量から開始し、ついで、負の副作用と比較して所望または最適
効果が得られるまで、少しずつ増量する。重要な診断尺度には、例えば炎症の症状の尺度
、または産生される炎症性サイトカインのレベルが含まれる。一般に、使用される生物学
的物質を、治療のために標的化される動物と同じ種から誘導し、それにより該薬剤に対す
る免疫応答を最小にすることが望ましい。例えば、ヒト対象の場合には、ヒト化抗体およ
び完全ヒト抗体が望ましいかもしれない。
【0313】
本明細書に開示されている抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14A6
、28H5、31C6およびそれらのヒト化形態)は、連続的注入により、または例えば
、毎日、週1~7回、毎週、隔週、毎月、隔月、年4回、年2回、毎年などで投与される
用量で投与される。投与は、例えば、静脈内、皮下、局所、経口、鼻腔内、直腸内、筋肉
内、大脳内、髄腔内投与または吸入により行われうる。毎週の全用量は、一般には、少な
くとも0.05μg/kg体重、より一般には少なくとも0.2μg/kg、0.5μg
/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.
0mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/ml、10mg/kg、25mg/kg
、50mg/kg以上である(例えば、Yangら(2003)New Engl.J.
Med.349:427-434;Heroldら(2002)New Engl.J.
Med.346:1692-1698;Liuら(1999)J.Neurol.Neu
rosurg.Psych.67:451-456;Portieljiら(20003
)Cancer Immunol.Immunother.52:133-144を参照
されたい)。また、用量は、対象の血清中の抗TIGIT抗体の所定の目標濃度、例えば
、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/mlまたはそれ以上を達
成するように投与されうる。他の実施形態においては、本発明の抗TIGIT抗体は、例
えば、皮下または静脈内に、毎週、隔週、「4週間ごと」、毎月、隔月または年4回、1
0、20、50、80、100、200、500、1000または2500mg/対象で
投与される。
【0314】
本明細書中で用いる「有効量」なる語は、単独で又は追加的な治療剤と共に細胞、組織
または対象に投与された場合に、疾患、例えば癌の症状の1以上または癌の進行における
測定可能な改善を引き起こすのに有効である、本発明の抗TIGIT抗体およびその抗原
結合性フラグメント(例えば、ヒト化14A6またはヒト化28H5)の量を意味する。
有効量は更に、症状の少なくとも部分的な改善、例えば腫瘍の退縮または排除、腫瘍成長
の欠如、生存期間の延長における増加をもたらすのに十分な該抗体またはフラグメントの
量を意味する。有効量は、単独で投与される個々の有効成分に適用される場合には、その
成分のみに関するものである。有効量は、組合せ体に適用される場合には、連続投与また
は同時投与のいずれで組合せ投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす、有効成分
の組合された量を意味する。治療用物質の有効量は、少なくとも10%、通常は少なくと
も20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ま
しくは少なくとも50%の、診断尺度またはパラメータの改善をもたらす。有効量はまた
、疾患の重症度を評価するために主観的尺度が用いられる場合には、主観的尺度における
改善をもたらしうる。
【0315】
キット
更に、本明細書に記載されている医薬上許容される担体および/またはもう1つの治療
剤(これらに限定されるものではない)を含む1以上の追加的成分と共に、本明細書に開
示されている抗TIGIT抗体または抗原結合性フラグメント(例えば、ヒト化14A6
またはヒト化28H5またはヒト化31C6)(これらに限定されるものではない)を含
む1以上の成分を含むキットを提供する。該抗体もしくはフラグメントおよび/または該
治療剤は、純粋な組成物として、または医薬組成物において医薬上許容される担体と組合
せて製剤化されうる。
【0316】
1つの実施形態においては、該キットは、本発明の抗TIGIT抗体もしくはその抗原
結合性フラグメント(例えば、ヒト化14A6またはヒト化28H5またはヒト化31C
6)またはその医薬組成物を1つの容器(例えば、無菌ガラスまたはプラスチックバイア
ル)内に、そしてその医薬組成物および/またはもう1つの治療剤をもう1つの容器(例
えば、無菌ガラスまたはプラスチックバイアル)内に含む。
【0317】
もう1つの実施形態においては、該キットは、単一の共通の容器内に、所望により医薬
組成物において、一緒に製剤化された1以上の治療剤と所望により組合されていてもよい
、本発明の抗TIGIT抗体もしくはその抗原結合性フラグメント(例えば、ヒト化14
A6またはヒト化28H5またはヒト化31C6)と医薬上許容される担体とを含む、本
発明の組合せを含む。
【0318】
該キットが対象への非経口投与のための医薬組成物を含む場合、該キットは、そのよう
な投与を行うための装置を含みうる。例えば、該キットは前記の1以上の皮下針または他
の注射装置を含みうる。
【0319】
該キットは、該キットにおける医薬組成物および剤形に関する情報を含む添付文書を含
みうる。一般に、そのような情報は、封入されている医薬組成物および剤形を有効かつ安
全に使用することにおいて患者および医師を補助する。例えば、本発明の組合せに関する
以下の情報が添付文書(インサート)において供給されうる:薬物動態、薬力学、臨床試
験、有効性パラメータ、適応症および用法、禁忌、警告、予防策、有害反応、過剰投薬、
適切な投与量および投与、供給方法、適切な保存条件、参考資料、製造業者/流通業者情
報ならびに特許情報。
【0320】
検出用キットおよび治療用キット
便宜上、本発明の抗TIGIT抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、14
A6、28H5、31C6またはそれらのヒト化形態)は、キットとして、すなわち、診
断用または検出用アッセイを行うための説明を伴う所定量の試薬のパッケージ化された組
合せとして提供されうる。該抗体またはフラグメントが酵素で標識されている場合には、
該キットは、該酵素により要求される基質および補因子(例えば、検出可能な発色団また
は発蛍光団を与える基質前駆体)を含む。また、他の添加物、例えば安定剤、バッファー
(例えば、ブロッキングバッファーまたは細胞溶解バッファー)などが含まれうる。種々
の試薬の相対量は、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中濃度をもたらすよ
うに大きく変動しうる。特に、該試薬は、適当な濃度を有する試薬溶液を溶解時に与える
賦形剤を含む乾燥粉末、通常は凍結乾燥粉末として提供されうる。
【0321】
また、例えばELISA(サンドイッチ型または競合形態)のようなイムノアッセイを
含む種々の検出アッセイにおいて使用される1以上のそのような試薬を含む診断用または
検出用試薬およびキットを提供する。キットの成分は固体支持体に予め結合していること
が可能であり、あるいはキットが使用される際に固体支持体の表面に適用されることが可
能である。本発明の幾つかの実施形態においては、シグナル生成手段は、本発明の抗体ま
たはフラグメントが予め結合した状態で提供されることが可能であり、あるいは使用前に
1以上の成分、例えばバッファー、抗体-酵素コンジュゲート、酵素基質などと一緒にす
ることを要しうる。キットはまた、追加的な試薬、例えば、固相表面への非特異的結合を
低減するためのブロッキング試薬、洗浄試薬、酵素基質などを含みうる。該固相表面はチ
ューブ、ビーズ、マイクロタイタープレート、ミクロスフェア、またはタンパク質、ペプ
チドもしくはポリペプチドを固定化するのに適した他の材料の形態でありうる。特定の態
様においては、化学発光性もしくは発色性産物の形成または化学発光性もしくは発色性基
質の還元を触媒する酵素がシグナル生成手段の成分の1つである。そのような酵素は当技
術分野でよく知られている。キットは、本明細書に記載されている捕捉剤および検出試薬
のいずれかを含みうる。所望により、キットは、本発明の方法を実施するための説明をも
含みうる。
【0322】
また、容器、例えばバイアルまたはボトル内にパッケージングされた抗TIGIT抗体
(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラグメントを含み、更に、該容器に貼付
またはパッケージングされたラベルを含むキットを提供し、該ラベルは該容器の内容物を
記載し、本明細書に記載されている1以上の病態を治療するための該容器の内容物の使用
に関する指示および/または説明を提供する。
【0323】
1つの態様においては、該キットは、癌を治療するためのものであり、抗TIGIT抗
体(例えば、ヒト化抗体)またはその抗原結合性フラグメントおよびもう1つの治療剤ま
たはワクチンを含む。該キットは、所望により、更に、非経口投与用、例えば静脈内投与
用のシリンジを含みうる。もう1つの態様においては、該キットは、該ワクチンまたはも
う1つの治療剤と共に、該抗体またはフラグメントを使用することを示す、容器に貼付ま
たはパッケージングされたラベル、および抗TIGIT抗体(例えば、ヒト化抗体)また
はその抗原結合性フラグメントを含む。更にもう1つの態様においては、該キットは、該
抗TIGIT抗体またはフラグメントと共に、該ワクチンまたはもう1つの治療剤を使用
することを示す、容器に貼付またはパッケージングされたラベル、および該ワクチンまた
はもう1つの治療剤を含む。ある実施形態においては、抗TIGIT抗体およびワクチン
またはもう1つの治療剤は別個のバイアル内に存在し、あるいは同じ医薬組成物中で一緒
になっている。
【0324】
併用療法の節において前記したとおり、2つの治療剤の同時投与は、それらの治療剤が
それらの治療効果を奏する期間の重複が存在する限り、それらの治療剤が同時に又は同じ
経路によって投与されることを要しない。異なる日または週の投与と同様に、同時または
連続投与が想定される。
【0325】
本明細書に開示されている抗体、ペプチド、抗原結合性フラグメントまたはポリヌクレ
オチドの少なくとも1つと、検出試薬または治療剤として該組成物を使用するための説明
とを含む、本明細書に開示されている治療用キットおよび検出用キットも調製されうる。
そのようなキットにおいて使用される容器は、典型的には、該検出用および/または治療
用組成物の1以上が配置されうる、そして好ましくは、適切にアリコート化されうる、少
なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の適当な容器を
含みうる。第2の治療剤も提供される場合には、該キットは、この第2の検出用および/
または治療用組成物が配置されうる第2の異なる容器をも含有しうる。あるいは複数の化
合物が単一医薬組成物において調製可能であり、単一収容手段、例えばバイアル、フラス
コ、シリンジ、ボトルまたは他の適当な単一容器内にパッケージングされうる。本明細書
に開示されているキットはまた、典型的には、商業的販売のために密封された、該バイア
ルを収容するための手段、例えば、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成
形プラスチック容器を含む。放射能標識、発色性、蛍光性または他のタイプの検出可能な
標識または検出手段が該キット内に含まれる場合、標識剤は検出用または治療用組成物自
体と同じ容器において提供されることが可能であり、あるいは、第2の組成物が配置され
うる、そして適切にはアリコート化されうる第2の異なる収容手段内に配置されうる。あ
るいは検出試薬および標識は単一収容手段において調製されることが可能であり、ほとん
どの場合、該キットは、典型的には、商業的販売および/または簡便な包装および運搬の
ために密封して該バイアルを収容するための手段をも含む。
【0326】
本明細書に記載されている検出またはモニタリング方法を実施するための装置または器
具をも提供する。そのような装置は、サンプルが入れられうるチャンバーまたはチューブ
、サンプルの流れを装置に通すためのバルブまたはポンプを所望により含んでいてもよい
流体処理系、血液から血漿または血清を分離するための所望により含まれていてもよいフ
ィルター、捕捉剤または検出試薬の添加のための混合チャンバー、および捕捉剤免疫複合
体に結合した検出可能な標識の量を検出するための所望により含まれていてもよい検出装
置を含みうる。サンプルの流れは受動的(例えば、サンプルが適用されたら該装置の更な
る操作を要しない毛管力、流体静力または他の力)または能動的(例えば、機械ポンプ、
電気浸透ポンプ、遠心力または空気圧の増加により生じる力の適用によるもの)でありう
る。
【0327】
他の実施形態においては、プロセッサ、コンピュータ可読メモリおよびルーチンをも提
供し、これは、該コンピュータ可読メモリ上で保存され、本明細書に記載されている方法
のいずれかを実施するために該プロセッサ上で実行されるように適合化される。適当なコ
ンピューティングシステム、環境および/または設定の例には、パーソナルコンピュータ
、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシ
ステム、マイクロプロセッサベースシステム、セットトップボックス、プログラマブルコ
ンシューマエレクトロニクス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコ
ンピュータ、前記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環
境、あるいは当技術分野で公知のいずれかの他のシステムが含まれる。
【0328】
一般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Sambrook,FritschおよびMan
iatis(1982 & 1989 2nd Edition,2001 3rd
dition)Molecular Cloning,A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory Press
,Cold Spring Harbor,NY;SambrookおよびRussel
l(2001)Molecular Cloning,3rded,Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press,Cold Spring H
arbor,NY;Wu(1993)Recombinant DNA,Vol.217
,Academic Press,San Diego,CA.に記載されている。標準
的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in
Molecular Biology,VoIs.1-4,John Wiley an
d Sons,Inc.New York,NYにも記載されており、これは、細菌細胞
におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳類細胞および酵母
におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタンパク質発現(Vol.3)、
ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0329】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を含むタンパク質精
製のための方法が記載されている(Coliganら(2000)Current Pr
otocols in Protein Science,Vol.1,John Wi
ley and Sons,Inc.,New York)。化学分析、化学修飾、翻訳
後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、
Coliganら(2000)Current Protocols in Prote
in Science,Vol.2,John Wiley and Sons,Inc
.,New York;Ausubelら(2001)Current Protoco
ls in Molecular Biology,Vol.3,John Wiley
and Sons,Inc.,NY,NY,pp.16.0.5-16.22.17;
Sigma-Aldrich,Co.(2001)Products for Life
Science Research,St.Louis,MO;pp.45-89;A
mersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirect
ory,Piscataway,N.J.,pp.384-391を参照されたい)。ポ
リクローナルおよびモノクローナル抗体の製造、精製およびフラグメント化が記載されて
いる(Coliganら(2001)Current Protcols in Imm
unology,Vol.1,John Wiley and Sons,Inc.,N
ew York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibod
ies,Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor,NY;HarlowおよびLane,前掲)。
リガンド/受容体相互作用を特徴づけるための標準的な技術が利用可能である(例えば、
Coliganら(2001)Current Protcols in Immuno
logy,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参照され
たい)。
【0330】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびヒト化抗体は製造可能である(例えば
、SheperdおよびDean(編)(2000)Monoclonal Antib
odies,Oxford Univ.Press,New York,NY;Kont
ermannおよびDubel(編)(2001)Antibody Engineer
ing,Springer-Verlag,New York;HarlowおよびLa
ne(1988)Antibodies A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,NY,pp.139-243;Carpenterら(2
000)J.Immunol.165:6205;Heら(1998)J.Immuno
l.160:1029;Tangら(1999)J.Biol.Chem.274:27
371-27378;Bacaら(1997)J.Biol.Chem.272:106
78-10684;Chothiaら(1989)Nature 342:877-88
3;FooteおよびWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487
-499;米国特許第6,329,511号を参照されたい)。
【0331】
ヒト化に代わる手段は、ファージ上で提示されるヒト抗体ライブラリー、またはトラン
スジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを使用することである(Vaugha
nら(1996)Nature Biotechnol.14:309-314;Bar
bas(1995)Nature Medicine 1:837-839;Mende
zら(1997)Nature Genetics 15:146-156;Hooge
nboomおよびChames(2000)Immunol.Today 21:371
-377;Barbasら(2001)Phage Display:A Labora
tory Manual,Cold Spring Harbor Laborator
y Press,Cold Spring Harbor,New York;Kayら
(1996)Phage Display of Peptides and Prot
eins:A Laboratory Manual,Academic Press,
San Diego,CA;de Bruinら(1999)Nature Biote
chnol.17:397-399)。
【0332】
一本鎖抗体およびジアボディが記載されている(例えば、Maleckiら(2002
)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:213-218;Conra
thら(2001)J.Biol.Chem.276:7346-7350;Desmy
terら(2001)J.Biol.Chem.276:26285-26290;Hu
dsonおよびKortt(1999)J.Immunol.Methods 231:
177-189;ならびに米国特許第4,946,778号を参照されたい)。二官能性
抗体が提供される(例えば、Mackら(1995)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 92:7021-7025;Carter(2001)J.Immuno
l.Methods 248:7-15;Volkelら(2001)Protein
Engineering 14:815-823;Segalら(2001)J.Imm
unol.Methods 248:1-6;Brennanら(1985)Scien
ce 229:81-83;Rasoら(1997)J.Biol.Chem.272:
27623;Morrison(1985)Science 229:1202-120
7;Trauneckerら(1991)EMBO J.10:3655-3659;な
らびに米国特許第5,932,448号、第5,532,210号および第6,129,
914号を参照されたい)。
【0333】
二重特異性抗体も提供される(例えば、Azzoniら(1998)J.Immuno
l.161:3493;Kitaら(1999)J.Immunol.162:6901
;Merchantら(2000)J.Biol.Chem.74:9115;Pand
eyら(2000)J.Biol.Chem.275:38633;Zhengら(20
01)J.Biol Chem.276:12999;Propstら(2000)J.
Immunol.165:2214;Long(1999)Ann.Rev.Immun
ol.17:875を参照されたい)。
【0334】
抗原の精製は抗体の製造に必要ではない。関心のある抗原を含有する細胞で動物を免疫
化することが可能である。ついで該免疫化動物から脾細胞を単離し、該脾細胞を骨髄腫細
胞系と融合させてハイブリドーマを得ることが可能である(例えば、Meyaardら(
1997)Immunity 7:283-290;Wrightら(2000)Imm
unity 13:233-242;Prestonら,前掲;Kaithamanaら
(1999)J.Immunol.163:5157-5164を参照されたい)。
【0335】
抗体は例えば小薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)にコ
ンジュゲート化されうる。抗体は治療、診断、キットまたは他の目的に有用であり、例え
ば色素、放射性同位体、酵素または金属、例えばコロイド金に結合した抗体を包含する(
例えば、Le Doussalら(1991)J.Immunol.146:169-1
75;Gibelliniら(1998)J.Immunol.160:3891-38
98;HsingおよびBishop(1999)J.Immunol.162:280
4-2811;Evertsら(2002)J.Immunol.168:883-88
9を参照されたい)。
【0336】
蛍光標識細胞分取検出系(FACS)を含むフローサイトメトリーのための方法が利用
可能である(例えば、Owensら(1994)Flow Cytometry Pri
nciples for Clinical Laboratory Practice
,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan(20
01)Flow Cytometry,2nd ed.;Wiley-Liss,Hob
oken,NJ;Shapiro(2003)Practical Flow Cyto
metry,John Wiley and Sons,Hoboken,NJを参照さ
れたい)。例えば診断試薬としての使用のための、核酸プライマーおよびプローブを含む
核酸、ポリペプチドおよび抗体を修飾するのに適した蛍光試薬が利用可能である(Mol
ecular Probesy(2003)Catalogue,Molecular
Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma-Aldrich(2003
)Catalogue,St.Louis,MO)。
【0337】
免疫系の標準的な組織学的方法が記載されている(例えば、Muller-Harme
link(編)(1986)Human Thymus:Histopathology
and Pathology,Springer Verlag,New York,
NY;Hiattら(2000)Color Atlas of Histology,
Lippincott,Williams,and Wilkins,Phila,PA
;Louisら(2002)Basic Histology:Text and At
las,McGraw-Hill,New York,NYを参照されたい)。
【0338】
例えば抗原フラグメント、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、グリコシル化部位および配列アライメントを決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースが利用可能である(例えば、GenBank,Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San Diego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,Crystal Bay,Nevada);Menneら(2000)Bioinformatics 16:741-742;Menneら(2000)Bioinformatics Applications Note 16:741-742;Wrenら(2002)Comput.Methods Programs Biomed.68:177-181;von Heijne(1983)Eur.J.Biochem.133:17-21;von Heijne(1986)Nucleic Acids Res.14:4683-4690を参照されたい)。
本発明は一態様において、以下を提供する。
[項目1]
a.配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3、79、80、81、82、83または140のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5、65、66、67、68、69、70、71、72、73または41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号6、74、75、76、77、78または142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメント;
b.配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号62のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメント;ならびに
c.配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号89、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、134、135または147のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号90、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166または167のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号92、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122または148のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体または抗原結合性フラグメント
からなる群から選択される、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメント。
[項目2]
該抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、項目1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目3]
該抗体が、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号89、134または135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、項目1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目4]
該抗体が、配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号134のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号91のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号93のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、項目1記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目5]
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
b.配列番号63のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号64のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
c.配列番号94のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号95のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
d.配列番号9~24、37~47および63からなる群から選択される可変重鎖ならびに/または配列番号25~30、48~52および64のいずれかからなる群から選択される可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
e.配列番号124~129からなる群から選択される可変重鎖ならびに/または配列番号130~133のいずれかからなる群から選択される可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
f.配列番号128のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号132のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
g.配列番号127のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号130のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
h.配列番号128のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号133のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
i.配列番号126のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号131のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
j.配列番号128のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号131のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
k.配列番号125のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号133のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
l.配列番号126のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号130のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
m.配列番号125のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号132のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
n.配列番号143のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号145のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
o.配列番号149のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号151のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
p.配列番号144のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号146のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
q.配列番号150のアミノ酸配列を含む可変重鎖および/または配列番号152のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
r.配列番号7、9~24、37~47および63のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号8、25~30、48~52および64のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
s.配列番号7、9~24、37~47および63のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号8、25~30、48~52および64のいずれかに対して少なくとも90%、95%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント(ここで、該抗体のフレームワーク領域内にいずれかの配列変異が存在する)、
t.配列番号124~129のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号130~133のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
u.配列番号124~129のいずれかに対して少なくとも90%、95%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号130~133のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント(ここで、該抗体のフレームワーク領域内にいずれかの配列変異が存在する)、
v.配列番号128に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号132のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
w.配列番号128に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号132のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント(ここで、該抗体のフレームワーク領域内にいずれかの配列変異が存在する)、
x.配列番号127に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号130のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、
y.配列番号127に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号130のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント(ここで、該抗体のフレームワーク領域内にいずれかの配列変異が存在する)、
z.配列番号128に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号133のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント、ならびに
aa.配列番号128に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変重鎖ならびに/または配列番号133のいずれかに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を含む可変軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性フラグメント(ここで、該抗体のフレームワーク領域内にいずれかの配列変異が存在する)
からなる群から選択される軽鎖免疫グロブリン、重鎖免疫グロブリンまたは軽鎖免疫グロブリンと重鎖免疫グロブリンとの両方を含む、ヒトTIGITに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメント。
[項目6]
該抗体が、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合する、項目1~5のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目7]
a.配列番号7の可変重鎖および配列番号8の可変軽鎖を含む抗体、
b.配列番号63の可変重鎖および配列番号64の可変軽鎖を含む抗体、ならびに
c.配列番号94の可変重鎖および配列番号95の可変軽鎖を含む抗体
からなる群から選択される抗体と同じヒトTIGITエピトープに結合する抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、
該抗体またはそのフラグメントが、以下の特徴、すなわち、
i.表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)または類似技術(例えば、KinExaまたはOCTET)により測定された場合に約1×10-9M~約1×10-12MのKD値でヒトTIGITに結合すること、
ii.カニクイザルおよびアカゲザルTIGITと交差反応すること、
iii.ヒトCD155およびヒトCD112へのヒトTIGITの結合を遮断すること、
iv.T細胞活性化を増強すること、
v.IL-2およびIFNγの抗原特異的T細胞産生を刺激すること、
vi.コグネイトリガンドCD155およびCD112とのTIGIT結合により誘導される活性化のT細胞抑制の誘導を遮断すること
の少なくとも1つを有する、抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目8]
該エピトープが、ヒトTIGIT(配列番号31)の以下の領域、すなわち、残基54~57、68~70および76~81を含む、項目7記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目9]
該エピトープが、ヒトTIGIT(配列番号31)の以下の領域、すなわち、残基53~57、60~65、68~70、72~81、94~95および109~119を含む、項目7記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目10]
2本の重鎖と2本の軽鎖とを含むヒト化抗体である、項目1~9のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目11]
ヒトIgG1定常ドメインとヒトκ定常ドメインとを含むヒト化抗体である、項目1~10のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目12]
CHO細胞において産生される抗体である、項目1~11のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目13]
配列番号7~30、37~52、63~64、94~95または124~133、136~139、143~146、149~151のいずれかのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
[項目14]
項目1~12のいずれか1項記載の抗体もしくは抗原結合性フラグメントのいずれか又は項目13記載のポリペプチドのいずれかをコードする単離された核酸。
[項目15]
項目14記載の単離された核酸を含む発現ベクター。
[項目16]
項目1~15のいずれか1項記載の抗体、結合性フラグメント、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは発現ベクターを含む宿主細胞。
[項目17]
ピチア(Pichia)細胞またはチャイニーズハムスター卵巣細胞である、項目16記載の宿主細胞。
[項目18]
項目1~14のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントと医薬上許容される担体または希釈剤とを含む組成物。
[項目19]
a.抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメント、
b.抗LAG3抗体またはその抗原結合性フラグメント、
c.抗VISTA抗体またはその抗原結合性フラグメント、
d.抗BTLA抗体またはその抗原結合性フラグメント、
e.抗TIM3抗体またはその抗原結合性フラグメント、
f.抗CTLA4抗体またはその抗原結合性フラグメント、
g.抗HVEM抗体またはその抗原結合性フラグメント、
h.抗CD27抗体またはその抗原結合性フラグメント、
i.抗CD137抗体またはその抗原結合性フラグメント、
j.抗OX40抗体またはその抗原結合性フラグメント、
k.抗CD28抗体またはその抗原結合性フラグメント、
l.抗PDL1抗体またはその抗原結合性フラグメント、
m.抗PDL2抗体またはその抗原結合性フラグメント、
n.抗GITR抗体またはその抗原結合性フラグメント、
o.抗ICOS抗体またはその抗原結合性フラグメント、
p.抗SIRPα抗体またはその抗原結合性フラグメント、
q.抗ILT2抗体またはその抗原結合性フラグメント、
r.抗ILT3抗体またはその抗原結合性フラグメント、
s.抗ILT4抗体またはその抗原結合性フラグメント、および
t.抗ILT5抗体またはその抗原結合性フラグメント
からなる群から選択される物質を更に含む、項目18記載の組成物。
[項目20]
該抗PD1抗体またはその抗原結合性フラグメントは、ペンブロリズマブまたはその抗原結合性フラグメントおよびニボルマブまたはその抗原結合性フラグメントからなる群から選択される、項目19記載の組成物。
[項目21]
a.項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかの重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、該ポリヌクレオチドの発現に好ましい条件下で培養し、
b.所望により、該抗体または抗原結合性フラグメントを該宿主細胞および/または培地から回収することを含む、抗体または抗原結合性フラグメントの製造方法。
[項目22]
項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を、所望によりもう1つの治療剤または治療手技を伴って対象に投与することを含む、ヒト対象における癌の治療方法。
[項目23]
項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を、所望によりもう1つの治療剤または治療手技を伴って対象に投与することを含む、ヒト対象における感染または感染性疾患の治療方法。
[項目24]
項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントと抗原とを含むワクチン。
[項目25]
サンプルにおけるTIGITペプチドまたはその断片の存在を検出するための方法であって、該方法が、サンプルを項目1~12のいずれか1項記載の抗体またはフラグメントと接触させ、該抗体またはフラグメントと該ペプチドとの複合体の存在を検出することを含み、該複合体の検出がTIGITペプチドの存在を示す、方法。
[項目26]
免疫細胞を項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントのいずれかと接触させることを含む、免疫細胞の活性を増強する方法。
[項目27]
項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントの有効量を、免疫細胞の活性の増強を要する対象に投与することを含む、免疫細胞の活性を増強する方法。
[項目28]
該方法が、
a.癌の治療のためのもの、
b.感染もしくは感染性疾患の治療のためのもの、または
c.ワクチンアジュバントとしてのものである、項目27記載の方法。
[項目29]
a.免疫細胞活性化を増強する、
b.癌を治療する、または
c.感染もしくは感染性疾患を治療するための医薬の製造における使用のための、項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
[項目30]
免疫細胞活性化の増強、癌の治療、または感染もしくは感染性疾患の治療のための癌治療用医薬の製造のための、項目1~12のいずれか1項記載の抗体または抗原結合性フラグメントの使用。
[項目31]
有効量のアンタゴニスト抗TIGIT抗体およびアンタゴニスト抗PD1抗体を対象に投与することを含む、対象における癌または感染性疾患の治療方法であって、該抗TIGIT抗体が、親抗体と比較して増強したエフェクター機能を有する、方法。
[項目32]
有効量のアンタゴニスト抗TIGIT抗体およびアンタゴニスト抗PD1抗体を対象に投与することを含む、対象における癌または感染性疾患の治療方法であって、該抗TIGIT抗体がアフコシル化されている、方法。
[項目33]
該抗TIGIT抗体が項目1~12のいずれか1項記載のものである、項目31または項目32記載の方法。
[項目34]
a.親抗TIGIT抗体を得、
b.該親抗TIGIT抗体のエフェクター機能を増強すること
を含む、抗TIGIT抗体の抗腫瘍活性を増強する方法であって、得られた抗TIGIT抗体のエフェクター活性が、該親抗TIGIT抗体と比較して増強している、方法。
【図面の簡単な説明】
【0339】
図1図1は、ヒトおよびアカゲザルTIGIT(CHO-K1細胞において発現されたもの)への抗体14A6の結合を示す。
図2図2は、ヒトおよびアカゲザルTIGIT(CHO-K1細胞において発現されたもの)への抗体28H5の結合を示す。
図3図3は、細胞に基づくELISAブロッキングアッセイにより測定された場合、抗体14A6および28H5がhTIGITとのhCD155の相互作用を遮断することを示している。
図4図4はヒトおよびアカゲザルTIGIT(CHO-K1細胞において発現されたもの)への抗体31C6の結合を示し、そしてまた、抗体31C6がhTIGITとのhCD155の相互作用を遮断することを示している。
図5図5はインビトロT細胞アッセイにおける抗体14A6および28H5の活性を示す。
図6図6はインビトロT細胞アッセイにおける抗体14A6および31C6の活性を示す。
図7図7は初代ヒトT細胞系におけるTIGIT、CD226、CD155およびCD96の発現を示す。第3日に、クローンBC4-49はTIGITの最高のアップレギュレーション(陰性)およびCD226のダウンレギュレーション(陽性)を示す。
図8図8Aおよび8BはインビトロT細胞アッセイにおける種々の抗TIGIT抗体の活性を示す。それは、MBS43ならびに14A6、37D10および28H5抗TIGIT抗体が初代ヒトT細胞におけるIFNγ応答をレスキューすることを示している。
図9図9A~9Dは、CT26細胞系が移植されたマウス(n=10/群)の抗腫瘍応答に関して単独療法治療群と比較した場合の、ラット抗マウスTIGIT抗体(GIGD7)と抗マウスPD1抗体との同時投与の効果を示す。治療は、腫瘍が75mm3~115mm3に達した際に開始した。
図10図10は、動物腫瘍モデルにおける、抗PD1抗体と組合された抗TIGIT抗体(18G10)の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効果を示す。
図11図11A~11Cは、動物腫瘍モデルにおける、抗PD1抗体と組合された抗TIGIT抗体(18G10)の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効果を示す。
図12図12は、動物腫瘍モデルにおける、抗PD1抗体と組合された抗TIGIT抗体(11A11)の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効果を示す。
図13図13A~13Cは、動物腫瘍モデルにおける、抗PD1抗体と組合された抗TIGIT抗体(11A11)の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効果を示す。
図14図14は、14A6抗体の結合により重水素化から強く又は弱く保護されたヒトTIGITの領域を示すヒートマップを示す。該ヒートマップに示されているアミノ酸配列は配列番号87に対応する。
図15図15は、31C6抗体の結合により重水素化から強く又は弱く保護されたヒトTIGITの領域を示すヒートマップを示す。該ヒートマップに示されているアミノ酸配列は配列番号87に対応する。
図16図16は、操作されたT細胞機能アッセイにおいてキメラおよび親抗体と比較した場合の、31C6の種々のヒト化クローンの効果を示す。
図17図17は、初代T細胞機能アッセイにおいてキメラ抗体と比較した場合の、31C6の種々のヒト化クローンの効果を示す。
【0340】
実施例1
ラットおよびマウス抗hTIGIT抗体の作製
ヒトTIGITに対する抗体を作製するために、RIBIアジュバントおよび足蹠注射
を隔週のスケジュールで用いて、Lewisラットをhisタグ付きヒトTIGIT組換
えタンパク質(Sino Biologicals Cat#10917-H08H)で
免疫化した。あるいは、RIBIアジュバントおよび足蹠注射を隔週のスケジュールで用
いて、Balb/CマウスをヒトFcタグ付きヒトTIGIT組換えタンパク質で免疫化
した。免疫化動物を採血し、細胞に基づくELISA(後記)を用いてヒトTIGITト
ランスフェクト化CHOK1細胞への結合に関して血清力価を決定した。最高力価を有す
る動物に組換えタンパク質で最終ブーストを行い、4日後、流入領域膝窩リンパ節を単離
した。Cytopulse Hybrimmune電気融合系を使用して、単離リンパ球
を骨髄腫融合相手P3X63-AG8.653と電気融合させることにより、ハイブリド
ーマを作製した。融合した細胞をDMEM/F12、15% BCS、HAT、IL-6
、OPIサプリメントおよびゲンタマイシン中で96ウェルプレートにおいてプレーティ
ングした。
【0341】
細胞ベースELISA法を用いて、ヒトTIGIT発現CHOK1細胞への結合および
アカゲザルTIGIT発現CHO細胞に対する交差反応性に関して、ハイブリドーマ上清
をアッセイした。ヒトTIGITおよびアカゲザルTIGITを発現するCHO-K1細
胞を、50μlのDMEM/F12、10% BCSおよびゲンタマイシン(CHO-K
1培地)中で96ウェル組織培養プレートにおいてプレーティングした。アッセイの2日
前に2×10細胞/ウェルで、またはアッセイの前日に4×10細胞/ウェルのいず
れかで、細胞をプレーティングした。アッセイ前にウェルから培地を除去し、50μlの
ハイブリドーマ上清を加えた。ハイブリドーマ上清を室温で30~60分間インキュベー
トし、細胞ELISA洗浄プロトコールを用い、Biotek EL405x Sele
ct CWプレート洗浄機を使用して、PBS/0.05% Tween20で3回洗浄
した。50マイクロリットルの検出抗体(HRP結合ヤギ抗ラットIgG(Southe
rn Biotech cat#3030-05)またはHRP結合ヤギ抗マウスIgG
(Southern Biotech cat#1043-05))をCHO-K1培地
内に1:2000希釈で加え、室温で30~60分間インキュベートした。アッセイプレ
ートを前記のとおりに洗浄し、TMBで現像し、TMB停止溶液(KPL cat#50
-85-06)または0.1N リン酸で反応停止させた。450nm~620nmにお
ける吸光度を測定した。陽性クローンは、ヒトTIGITおよびアカゲザルTIGITの
両方のトランスフェクト化CHO-K1細胞に対して反応性であった。これらのアッセイ
においては、抗体が親(未トランスフェクト化)CHO-K1細胞への結合を示した場合
には、TIGITに特異的ではないものとしてスクリーニングにおいてその抗体を廃棄し
た。
【0342】
陽性ハイブリドーマを限界希釈によりサブクローニングし、または半固体培地内でのハ
イブリドーマのプレーティングによりサブクローニングし、ClonePix(登録商標
)(Genetix)でクローンを採取した。2ラウンドのサブクローニングを該親ハイ
ブリドーマに関して行った。最終サブクローンを小規模培養において無血清ハイブリドー
マ産生培地内で増殖させ、精製して、更なる特徴づけのために精製抗体を得た。
【0343】
これらの方法を用いて、約819個のハイブリドーマを作製した。
【0344】
実施例2
抗hTIGIT抗体の特徴づけ
陽性クローンからの上清を、hTIGIT COK1細胞への組換えヒトCD155-
huFcタンパク質の結合を遮断するそれらの能力に関して、細胞ベースELISA法で
試験した。ヒトTIGIT-CHO-K1細胞を前記のとおりに96ウェルプレート内で
プレーティングした。該プレートから培地を除去し、50μlのハイブリドーマ上清をヒ
トTIGIT CHO-K1細胞と共に4℃で30分間インキュベートした。50マイク
ロリットルのヒトCD155-huFcを、ヒトCD155-huFcの最終濃度が0.
5μg/mlになるように該プレートに加え、それを4℃で30分間インキュベートした
。前記のとおりにアッセイプレートをPBS/0.05% Tween20で3回洗浄し
た。HRP結合F(ab)’2ヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Jackson 109-0
36-098)をCHO-K1培地内の1:2000希釈で使用して、hTIGIT-C
HOK1細胞へのヒトCD155-huFcの結合を検出した。TMBを使用してプレー
トを現像し、前記のとおりにTMB停止溶液を使用して、それを停止させ、A450~6
20nmを測定した。
【0345】
前記方法に従い作製されたラット抗体は14A6と称され、クローンLB155.14
A6.G2.A8から誘導された。このラット抗体(14A6)はIgG2/κアイソタ
イプのものであり、配列番号7の重鎖可変領域および配列番号8の軽鎖可変領域を含む。
前記方法を用いるヒトTIGITおよびアカゲザルTIGIT-CHOK1細胞への細胞
ベースELISA結合による測定によると(図1)、精製14A6抗体はヒトTIGIT
およびアカゲザルTIGITに結合する。アイソタイプ対照抗体は結合を全く示さなかっ
た(データ非表示)。前記方法を用いて細胞ベースELISA遮断アッセイを用いた場合
図3)、精製14A6抗体はまた、hTIGITおよびhCD155相互作用を遮断し
うる。
【0346】
前記方法に従い作製されたマウス抗体は28H5と称され、クローンTC167.28
H5.H5から誘導された。このマウス抗体(28H5)はIgG1/κアイソタイプの
ものであり、配列番号63の重鎖可変領域および配列番号64の軽鎖可変領域を含む。前
記方法を用いるヒトTIGITおよびアカゲザルTIGIT-CHOK1細胞への細胞ベ
ースELISA結合による測定によると(図2)、精製28H5抗体はまた、ヒトTIG
ITおよびアカゲザルTIGITに結合する。前記方法を用いて細胞ベースELISA遮
断アッセイを用いた場合(図3)、精製28H5抗体はまた、hTIGITおよびhCD
155相互作用を遮断する。
【0347】
前記方法に従い作製されたもう1つのマウス抗体は31C6と称され、クローンMEB
125.31C6.A1.205から誘導された。このマウス抗体(31C6)はIgG
1/κアイソタイプのものであり、配列番号94の重鎖可変領域および配列番号95の軽
鎖可変領域を含む。前記方法を用いるヒトTIGITおよびアカゲザルTIGIT-CH
OK1細胞への細胞ベースELISA結合による測定によると(図4)、精製31C6抗
体はまた、ヒトTIGITおよびアカゲザルTIGITに結合する。前記方法を用いて細
胞ベースELISA遮断アッセイを用いた場合(図4)、精製31C6抗体はまた、hT
IGITおよびhCD155相互作用を遮断する。
【0348】
ヒトTIGIT組換えタンパク質への親(非ヒト)抗TIGIT抗体の結合に関するア
フィニティの決定
Biacore T200システム(Biacore,GE Healthcare,
Piscataway,NJ)を使用する表面プラズモン共鳴により、抗ヒトTIGIT
抗体14A6および31C6(実施例1に記載されているとおりに製造されたもの)なら
びに市販抗体MBSA43の動力学的結合活性を測定した。約5000 RUの抗マウス
IgG(GE Healthcareカタログ番号BR-1008-38)または13,
000 RUのヤギ抗ラットIgG Fcガンマ、フラグメント特異的(Jackson
ImmunoResearchカタログ番号112-006-071)を、アミンカッ
プリング化学法により、シリーズ(Series)S CM5センサーチップ(カタログ
番号BR-1005-30)上に固定化した。マウス抗ヒトTIGITクローン31C6
およびMBSA43のそれぞれを40RUの捕捉レベルのための1μg/mLで該固定化
抗マウス表面上に注入した。ラット抗ヒトTIGITクローン14A6を40RUの捕捉
レベルのための1μg/mLで該固定化抗ラット表面上に注入した。HBS-EP+バッ
ファー(BR-1006-69)を30μL/分の流速でランニングバッファーとして使
用した。0.29nM~40nMの範囲の種々の濃度のヒトTIGIT-Hisタンパク
質またはTIGIT-Fcタンパク質を45μL/分の流速で抗体表面上に注入した。ク
ローン31C6およびMBSA43に関するそれぞれのマウス抗ヒトTIGIT注入サイ
クルの後、10μL/分の流速での10mM グリシン(pH1.7)溶液の3分間の1
回の注入により、シリーズS CM5チップ表面を再生させた。それぞれのラット抗ヒト
TIGIT注入サイクルの後、10μL/分の流速での10mM グリシン(pH1.5
)溶液の20秒間の1回の注入、およびそれに続く、60μL/分の流速での12.5m
M NaOH溶液の10秒間の2回の注入により、シリーズS CM5チップ表面を再生
させた。
【0349】
会合(k)および解離(k)の速度定数ならびに平衡解離定数Kを分析するため
に、バックグラウンド減算結合センサーグラムを使用した。得られたデータセットを、B
iacore T200評価ソフトウェア(バージョン2.0)を使用して、1:1ラン
グミュア結合モデルでフィットさせた。表3はヒトTIGIT-Hisタンパク質および
TIGIT-Fcタンパク質に対する抗ヒトTIGIT抗体のアフィニティを要約する。
【表3】
【0350】
実施例3
アンタゴニスト抗hTIGIT抗体のインビトロT細胞活性アッセイ
試験した抗体のうち、hTIGITを発現するCHO細胞へのCD155-Fcの結合
を遮断することが示された約352個のモノクローナル抗体を、細胞ベース機能アッセイ
を用いて、インビトロでT細胞活性を増強するそれらの能力に関してスクリーニングした
【0351】
遮断性ヒトTIGIT受容体の機能的結果を特徴づけるために本発明者らが開発した1
つのアッセイは、ヒトTIGITを過剰発現するように操作されたヒトTリンパ球細胞(
クローン,E6-1;ATCC TIB-152)の不死化系であるJurkat細胞(
hTIGIT-Jurkat)を使用するものであった。該細胞を、ヒト単球細胞系であ
るTHP-1細胞と共に、TIGITリガンドCD155およびCD112の1つの存在
下または非存在下で共培養した。THP-1細胞と共に共培養されプレート結合抗CD3
mAbで刺激されたhTIGIT-Jurkat細胞はIL-2を産生するが、TIG
ITリガンド(CD155またはCD112)を該共培養に加えた場合には、IL-2レ
ベルがリガンド依存的に低下した。CD155-またはCD112-TIGIT相互作用
を遮断した抗体[例えば、商業的に入手可能なhTIGIT Ab,クローンMBSA4
3(eBioscience Cat# 12-9500-42)]での処理はこのアッ
セイにおけるIL-2産生を用量依存的にレスキューする(図5)。
【0352】
96ウェル平底プレートをマウス抗ヒトCD3抗体(PBS中の1μg/ml;Clo
ne HIT3a;BD Pharmingen Cat# 555336)で4℃で一
晩コーティングした。翌日、hTIGIT-Jurkat細胞(50,000個)を、前
記の予めコーティングされたプレート内でプレーティングし、種々の濃度のmAbと共に
30~60分間プレインキュベートした。THP-1細胞(50,000個)を該培養に
加え、ついでCD155-Fc(ヒトFcに融合したヒトCD155のECD;1.0μ
g/ml)またはCD112-Fc(ヒトFcに融合したヒトCD112のECD;0.
5μg/ml)のいずれかを加えた。37℃および5.0% COで18~24時間の
インキュベーションの後、Meso Scale(Human IL-2 Tissue
Culture MESO Kit:Cat#K151AHB-2)により、培養上清
においてIL-2レベルを評価した。MBSA43(10μg/ml)での処理は、活性
化hTIGIT Jurkat細胞をCD155またはCD112の非存在下でTHP-
1と共に培養した場合と等しいレベルまで、IL-2をレスキューする。
【0353】
図5に示されているとおり、30μg/mlから0.04μg/mlまでの抗hTIG
ITクローン146の滴定は0.190μg/mlのEC50を示し、一方、このアッセ
イを用いたMBSA43の場合には0.24μ/mlを示した。
【0354】
また、図5に示されているとおり、30μg/mlから0.04μg/mlまでの抗h
TIGITクローン28H5の滴定は0.24μg/mlのEC50を示し、一方、この
アッセイを用いたMBSA43の場合には0.24μ/mlを示した。
【0355】
また、図6に示されているとおり、30μg/mlから0.04μg/mlまでの抗h
TIGITクローン31C6の滴定は0.14μg/mlのEC50を示し、一方、この
アッセイを用いたMBSA43の場合には0.24μ/mlを示した。クローン31C6
(30μg/ml)はIL-2を118%のMBSA43(10μg/ml)へとレスキ
ューした。
【0356】
試験した352個のモノクローナル抗体のうち、細胞ベース機能アッセイを用いた場合
、約113個がT細胞活性をインビトロで増強することが可能であった。
【0357】
実施例4
アンタゴニスト抗hTIGIT抗体のインビトロT細胞活性アッセイ
本発明者らは更に、T細胞受容体(TCR)活性化に際して内因性TIGITを発現す
る初代ヒトT細胞系を使用して、TIGITの相対的機能的拮抗性ならびにT細胞活性化
およびエフェクター機能のレスキューを分析した。BC4-クローン49ヒトT細胞系は
、EBV形質転換細胞系JY(HLA-DR1,4)上で発現されるHLA-クラスII
MHC分子に特異的なTCRを発現するアロ抗原特異的ヒトCD4+ T細胞クローン
である。BC4-クローン49ヒトT細胞系は、照射(5000ラド)JY刺激細胞、2
つのバフィーコートから単離された照射PBMC(4000ラド)およびPHA-P(2
.5μg/ml;Sigma)を使用するアロ抗原での2週間ごとの再刺激、ついで、再
刺激および増殖の後、10ng/ml ヒトIL-2(R&D)の3~4日ごとの補足を
要する。多数のT細胞クローン(BC1-6、BC4-27、BC4-49)をPCRに
より分析し、ついで、再刺激後のTIGITの相対的発現に関してフローサイトメトリー
により分析し、BC4-クローン49を選択した。なぜなら、それは、他のクローンと比
較して、TIGITの最高発現を示したからである。照射(5000ラド)JY刺激細胞
、照射PBMCおよびPHA-Pでの再刺激の後、TIGIT、CD226、CD96お
よびCD155の相対的発現および動力学をモニタリングして、相対的TIGIT-アン
タゴニスト活性に関してアンタゴニストmAbをアッセイするのに最良の時点を評価した
。TIGITのピーク発現は再刺激の3~4日後に観察され、一方、CD226およびC
D96の発現は同じ時期にわたって低下した。ついでTIGITの発現は低下したが、C
D226およびCD96の発現は再刺激の6日後までに再び上昇した(図7)。したがっ
て、再刺激の3~4日後に候補TIGITアンタゴニストmAbを評価した。初代T細胞
バイオアッセイにおけるBC4-クローン47T細胞応答を抑制するための、ならびにT
IGITのCD155活性化に拮抗し3日後にT細胞増殖およびIFNγをレスキューす
る抗TIGIT mAbの相対的能力を評価するための手段として、pMX->huTI
GITレトロウイルスベクターを使用して、ヒトCD155を過剰発現するトランスフェ
クタントJYを作製した。
【0358】
相対的抗hTIGITアンタゴニストmAbのための初代T細胞アッセイを以下のとお
りに構築した。ヒトCD4 T細胞系BC4-クローン49を、種々の濃度(33、1
1、3.7、1.2、0.4および0.1μg/ml)のhTIGITに特異的なCD1
55-Fc遮断性mAbと共に30分間、共培養し、ついで丸底96ウェルプレート内で
プレーティングした(2×10 c/ウェル)。アロ抗原および高レベルのhCD15
5を発現するJY-hCD155トランスフェクタントを照射(5000ラド)し、洗浄
し、ついで、抗TIGIT mAbで処理されたBC4-クローン49T細胞を含有する
該ウェルに、200μl/ウェルの総体積中の1×10(2:1 T細胞:標的細胞比
)または5×10(1:4 T細胞:標的細胞比)の最終濃度まで加えた。対照は、m
Ab処理を伴わないもの、アイソタイプmAb処理T細胞との共培養、T細胞のみ、およ
びJY-CD155細胞のみを含んでいた。3~4日間の共培養の後、インターフェロン
ガンマ(IFNγ)サイトカインの定量のために上清を集め、トリチウム標識チミジンで
T細胞を6時間パルスして相対的増殖を評価した。
【0359】
図8Aおよび8Bに示されているとおり、BC4-クローン49T細胞の抗hTIGI
T mAb 14A6、28H5および31C6での処理は、アイソタイプおよび未処理
T細胞と比較して増強した応答により評価された場合に、IFNγおよび増殖応答のレス
キューをもたらした。市販抗体MBSA43ならびに抗体37D10および25G10(
実施例1に記載されているとおりに産生された抗TIGIT抗体)もこのアッセイにおい
て活性を示す。14A6、28H5および31C6での処理の後のIFNγ産生の増加は
平均で約2倍であった。
【0360】
実施例5
動物腫瘍モデルにおける抗TIGITおよび抗PD1抗体の抗腫瘍活性
マウス:20グラムの平均体重を有する約7~8週齢の雌BALB/cAnNマウスを
Taconic Laboratory(Germantown,NY)から入手した。
通常の動物飼料および水を自由に摂取させた。
【0361】
抗体試薬:マウスPD-1およびアイソタイプ対照に対するマウスアイソタイプIgG
1のモノクローナル抗体を凍結(-80℃)ストックとして内部の入手源から得た。ラッ
ト抗マウスTIGIT(GIGD7)抗体を4℃のストックとしてeBioscienc
eから入手した。IgG1アイソタイプ対照はアデノウイルスヘキソン25に特異的なマ
ウスモノクローナル抗体であった。IgG2aアイソタイプ対照はベータ-ガラクトシダ
ーゼに特異的なラットモノクローナル抗体であった。マウスアイソタイプIgG1はヒト
アイソタイプIgG4に対するマウス対応アイソタイプである。
【0362】
動物試薬の処方:製剤化バッファーは、タンパク質を安定化し沈殿を防ぐために、各抗
体に特異的であった。該処方(製剤)は以下のとおりであった:mIgG1:75mM
NaCl,10mM リン酸ナトリウム,3% スクロース,pH7.3;抗PD-1:
20mM 酢酸ナトリウム,7% スクロース,pH5.5;ラットIgG2a:20m
M 酢酸ナトリウム,9% スクロース pH5.5;および抗TIGIT(GIGD7
):PBS pH7.0。
【0363】
腫瘍細胞系の調製および移植:CT26結腸癌細胞を、10% 熱不活性化ウシ胎児血
清で補足されたRPMI培地内で培養した。3×10個の対数期の及びサブコンフルエ
ントなCT26細胞を100μLの体積の無血清RPMI中で各マウスの右下背側脇腹に
皮下(SC)注射した。まず、移植に用いる領域においてマウスを電子バリカンで剃毛し
た。
【0364】
CT-26はBALB/cマウス系統と同系のマウス結腸直腸腺癌細胞系である。CT
-26は、抗PD-1療法後のこの腫瘍の移植可能な分子的プロファイルゆえに、抗PD
-1抗体の作用メカニズムを評価するための適切なモデル系である。
【0365】
腫瘍測定および体重:最初の投与の前日に腫瘍を測定し、その後は週2回測定した。電
子カリパスを使用して腫瘍の長さおよび幅を測定し、式:体積(mm)=0.5×長さ
×幅(ここで、長さは、長いほうの寸法である)を用いて、腫瘍体積を決定した。全身
健康状態をモニタリングし、そしてまた、必要に応じてマウス当たりの実際の運搬用量(
mg/kg)を評価するために、マウスを定期的に秤量した。治療前、マウスを秤量し、
個々のマウスからの腫瘍を測定した。バイアスを避けるために、体重または腫瘍体積の異
常値を有する場合にはそれを除外し、残りのマウスを、同等の平均腫瘍サイズを有する種
々の治療群に無作為化した。移植の約7日後、CT26腫瘍担持マウスにおける平均腫瘍
体積が~100mmに達したら、1群10匹のマウスの処理群にマウスを無作為化し、
投与を開始した。後記の用量濃度で動物に投与した。
【0366】
投与溶液の調製、投与および分析:動物モデルにおいて試験する抗体の凍結ストックを
融解し、氷水に移した。凍結融解の反復を避けるために、ストックの各バイアルを1回融
解し、1回の使用に十分な体積のアリコートを調製した。ポリプロピレン低密着性チュー
ブをこの目的に使用した。該アリコートをドライアイス中で凍結させ、-80℃で保存し
た。各投与前に、1個のアリコートを融解し、適当な希釈剤中で名目濃度に溶解し、直ち
に投与した。投与溶液のアリコートをドライアイス中で凍結させ、分析まで-80℃で保
存した。マルチアレイ技術(電気化学発光検出とパターン化アレイとの組合せ)に基づく
Meso Scale Discovery(MSD(登録商標),Rockville
,MD)プラットフォームを使用して、投与溶液を評価した。
【0367】
抗TIGIT/抗PD1の投与治療の結果:CT26腫瘍担持BALB/cAnNマウ
スにラット抗マウスTIGIT(GIGD7)を20mg/kgの用量で5サイクルのそ
れぞれについて4日ごとに投与(IP)した。抗マウスPD-1(前記)を10mg/k
gの用量で5サイクルのそれぞれについて4日ごとに投与(IP)した。投与後、動物の
モニターを継続し、36日まで腫瘍体積を測定した。腫瘍サイズの平均が100mm
75mm~115mm)に達したら、治療を開始した。腫瘍を週2回測定した。図9
に示す結果が示しているとおり、PD-1アンタゴニストおよびTIGITアンタゴニス
トを使用する併用療法の平均抗腫瘍応答は、抗PD1の単剤(p<0.05)または抗T
IGITの単剤(p<0.005)で観察される抗腫瘍応答より大きかった。抗TIGI
Tの単剤での治療の場合、21%の腫瘍成長抑制(TGI)が第14日に観察された。抗
PD1の単剤での治療の場合、52%のTGIが第14日に観察された。併用療法は85
%のTGIを第14日にもたらし、第36日までに測定可能腫瘍が10匹中4匹において
残存しない、40%の完全退縮(CR)を示した。単独療法として投与されたいずれかの
抗体の抗腫瘍効力は0~10% CRであった。
【0368】
実施例6
抗体のヒト化
本明細書に記載されている方法を用いて、ラット14A6およびマウス31C6抗体を
ヒト化した。ラット抗体14A6から、ヒト化可変重鎖、すなわち、配列番号9~24お
よび配列番号37~47を構築し、ヒト化可変軽鎖、すなわち、配列番号25~30およ
び配列番号48~52を構築した。マウス抗体31C6から、ヒト化可変重鎖、すなわち
、配列番号124~129を構築し、ヒト化可変軽鎖、すなわち、配列番号130~13
3を構築した。
【0369】
実施例7
動物腫瘍モデルにおける抗TIGIT抗体の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効

マウス:20グラムの平均体重を有する約7~8週齢の雌BALB/cAnNマウスを
Taconic Laboratory(Germantown,NY)から入手した。
通常の動物飼料および水を自由に摂取させた。
【0370】
抗体試薬:
・マウス抗マウスPD1抗体-IgG1サブタイプ。
【0371】
・ラット抗マウスTIGIT抗体(18G10)-ラットIgG1サブタイプ。この抗
体は18G10親として図面に記載されている。18G10抗体は配列番号136のVH
配列および配列番号137のVL配列を有する。
【0372】
・キメララット抗マウスTIGIT抗体(18G10)-mIgG1サブタイプのマウ
スFc領域を含む。この抗体は18G10-G2aとして図面に記載されている(マウス
アイソタイプIgG1はヒトアイソタイプIgG4に対するマウス対応アイソタイプであ
る)。
【0373】
・キメララット抗マウス18G10 TIGIT抗体-mIgG2aサブタイプのマウ
スFc領域を含む。この抗体は18G10-G2aとして図面に記載されている(マウス
アイソタイプIgG2aではヒトアイソタイプIgG1に対するマウス対応アイソタイプ
である)。
【0374】
・アイソタイプ対照マウスIgG1抗体(アデノウイルスヘキソン25に特異的なマウ
スIgG1アイソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0375】
・アイソタイプ対照ラットIgG1抗体(ヒトIL-4に特異的なラットIgG1アイ
ソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0376】
・アイソタイプ対照マウスIgG2a抗体(アデノウイルスヘキソン25に特異的なマ
ウスIgG2aアイソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0377】
抗体試薬の処方:処方(製剤)は以下のとおりであった。
【0378】
・mIgG1:75mM NaCl,10mM リン酸ナトリウム,3% スクロース
,pH7.4;
・抗PD-1:20mM 酢酸ナトリウム,9% スクロース,pH5.5;mIgG
2a:75mM NaCl,10mM リン酸ナトリウム,3% スクロース,pH7.
3;
・ラットIgG1:20mM 酢酸ナトリウム,7% スクロース pH5.5;20
mM NaAc,100mM NaCl,3% スクロース;18G10-G1:20m
M NaAc,9% スクロース,pH5.5;18G10-G2a:20mM NaA
c,9% ショ糖,pHは5.5。
【0379】
腫瘍細胞系の調製および移植:CT26結腸癌細胞を、10% 熱不活性化ウシ胎児血
清で補足されたRPMI培地内で培養した。3×10個の対数期の及びサブコンフルエ
ントなCT26細胞を100μLの体積の無血清RPMI中で各マウスの右下背側脇腹に
皮下(SC)注射した。まず、移植に用いる領域においてマウスを電子バリカンで剃毛し
た。
【0380】
CT-26はBALB/cマウス系統と同系のマウス結腸直腸腺癌細胞系である。CT
-26は、抗PD-1療法後のこの腫瘍の移植可能な分子的プロファイルゆえに、抗PD
-1抗体の作用メカニズムを評価するための適切なモデル系である。
【0381】
腫瘍測定および体重:最初の投与の前日に腫瘍を測定し、その後は週2回測定した。電
子カリパスを使用して腫瘍の長さおよび幅を測定し、式:体積(mm)=0.5×長さ
×幅(ここで、長さは、長いほうの寸法である)を用いて、腫瘍体積を決定した。全身
健康状態をモニタリングし、そしてまた、必要に応じてマウス当たりの実際の運搬用量(
mg/kg)を評価するために、マウスを定期的に秤量した。治療前、マウスを秤量し、
個々のマウスからの腫瘍を測定した。バイアスを避けるために、体重または腫瘍体積の異
常値を有する場合にはそれを除外し、残りのマウスを、同等の平均腫瘍サイズを有する種
々の治療群に無作為化した。
【0382】
投与溶液の調製、投与および分析:動物モデルにおいて試験する抗体の凍結ストックを
融解し、氷水に移した。凍結融解の反復を避けるために、ストックの各バイアルを1回融
解し、1回の使用に十分な体積のアリコートを調製した。ポリプロピレン低密着性チュー
ブをこの目的に使用した。該アリコートをドライアイス中で凍結させ、-80℃で保存し
た。各投与前に、1個のアリコートを融解し、適当な希釈剤中で名目濃度に溶解し、直ち
に投与した。投与溶液のアリコートをドライアイス中で凍結させ、分析まで-80℃で保
存した。マルチアレイ技術(電気化学発光検出とパターン化アレイとの組合せ)に基づく
Meso Scale Discovery(MSD(登録商標),Rockville
,MD)プラットフォームを使用して、投与溶液を評価した。
【0383】
抗TIGIT/抗PD1の投与治療の結果:CT26腫瘍担持マウスを、これらのマウ
スの平均腫瘍体積が100mm(80mm~119mm)の腫瘍サイズ平均に達し
たら、以下の10個の治療群に無作為化した:(1)muIgG1アイソタイプ対照+ラ
ットIgG1アイソタイプ対照;(2)muIgG1アイソタイプ対照+muIgG2a
アイソタイプ対照;(3)muDX400+ラットIgG1アイソタイプ対照;(4)m
uDX400+muIgG2aアイソタイプ対照;(5)muIgG1アイソタイプ対照
+18G10;(6)muIgG1アイソタイプ対照+18G10-G1;(7)muI
gG1アイソタイプ対照+18G10-G2a;(8)muDX400+18G10;(
9)muDX400+18G10 G1;(10)muDX400+18G10 G2a
。ラット抗マウスTIGIT(18G10)またはキメラ抗TIGIT抗体18G10-
G1または18G10-G2a(前記)を18mg/kgの用量で6サイクルのそれぞれ
について4日ごとに動物に投与(IP)した。抗マウスPD-1(前記)を10mg/k
gの用量で6サイクルのそれぞれについて4日ごとに投与(IP)した。投与後、動物の
モニターを継続し、幾つかの群に関しては76日まで腫瘍体積を測定した。腫瘍を週2回
測定した。結果を図10および11に示す。18G10-G2aを使用する単剤抗TIG
IT治療は第13日に44%の腫瘍成長抑制(TGI)を示し、一方、18G10親抗体
は38%を示し、18G10-G1抗体は36%を示した。アイソタイプ対照rIgG1
と組合された単剤抗PD1治療の場合、51%のTGIが第13日に観察された。PD-
1をアイソタイプ対照muIgG2aと組合せた場合、50%のTGIおよび10%の完
全退縮(CR)が第18日に観察され、その結果、10匹の動物のうちの1つの完全応答
が観察された。抗PD1と親18G10との組合せ(併用)は80%のTGIを第13日
に示し、第39日までに300%のCRを示した。抗PD1と18G10-G2aとの組
合せは88%のTGIを第13日に示し、第63日までに60%のCRを示した。抗PD
1と18G10-G2aとの組合せは、抗PD1と18G10親または18G10-G1
との組合せより大きな抗腫瘍活性およびより完全な退縮を示した。単剤または併用療法の
投与に関連した有意な体重減少は認められなかった。このことは、治療が十分に許容され
たことを示している。
【0384】
実施例8
動物腫瘍モデルにおける抗TIGIT抗体の抗腫瘍活性に対するFcアイソタイプの効

ラット18G10抗体の代わりにラット抗体11A11を使用したこと以外は、実施例
7に記載されている実験を繰返した。
【0385】
マウス:20グラムの平均体重を有する約7~8週齢の雌BALB/cAnNマウスを
Taconic Laboratory(Germantown,NY)から入手した。
通常の動物飼料および水を自由に摂取させた。
【0386】
抗体試薬:
・マウス抗マウスPD1抗体-IgG1サブタイプ。
【0387】
・ラット抗マウスTIGIT抗体(11A11)-ラットIgG1サブタイプ。この抗
体は11A11親として図面に記載されている。11A11抗体は配列番号138のVH
配列および配列番号139のVL配列を有する。
【0388】
・キメララット抗マウスTIGIT抗体(11A11)-mIgG1サブタイプのマウ
スFc領域を含む。この抗体は11A11-G2aとして図面に記載されている(マウス
アイソタイプIgG1はヒトアイソタイプIgG4に対するマウス対応アイソタイプであ
る)。
【0389】
・キメララット抗マウス11A11 TIGIT抗体-mIgG2aサブタイプのマウ
スFc領域を含む。この抗体は11A11-G2aとして図面に記載されている(マウス
アイソタイプIgG2aではヒトアイソタイプIgG1に対するマウス対応アイソタイプ
である)。
【0390】
・アイソタイプ対照マウスIgG1抗体(アデノウイルスヘキソン25に特異的なマウ
スIgG1アイソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0391】
・アイソタイプ対照ラットIgG1抗体(ヒトIL-4に特異的なラットIgG1アイ
ソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0392】
・アイソタイプ対照マウスIgG2a抗体(アデノウイルスヘキソン25に特異的なマ
ウスIgG2aアイソタイプ適合対照モノクローナル抗体)。
【0393】
抗体試薬の処方:処方(製剤)は以下のとおりであった。
【0394】
・mIgG1:75mM NaCl,10mM リン酸ナトリウム,3% スクロース
,pH7.4;
・抗PD-1:20mM 酢酸ナトリウム,9% スクロース,pH5.5;mIgG
2a:75mM NaCl,10mM リン酸ナトリウム,3% スクロース,pH7.
3;
・ラットIgG1:20mM 酢酸ナトリウム,7% スクロース pH5.5;11
A11:20mM NaAc,100mM NaCl,3% スクロース pH5.5;
11A11-G1:20mM NaAc,9% スクロース,pH5.5;11A11-
G2a:20mM NaAc,9% ショ糖,pHは5.5。
【0395】
腫瘍細胞系の調製および移植:CT26結腸癌細胞を、10% 熱不活性化ウシ胎児血
清で補足されたRPMI培地内で培養した。3×10個の対数期の及びサブコンフルエ
ントなCT26細胞を100μLの体積の無血清RPMI中で各マウスの右下背側脇腹に
皮下(SC)注射した。まず、移植に用いる領域においてマウスを電子バリカンで剃毛し
た。
【0396】
CT-26はBALB/cマウス系統と同系のマウス結腸直腸腺癌細胞系である。CT
-26は、抗PD-1療法後のこの腫瘍の移植可能な分子的プロファイルゆえに、抗PD
-1抗体の作用メカニズムを評価するための適切なモデル系である。
【0397】
腫瘍測定および体重:最初の投与の前日に腫瘍を測定し、その後は週2回測定した。電
子カリパスを使用して腫瘍の長さおよび幅を測定し、式:体積(mm)=0.5×長さ
×幅(ここで、長さは、長いほうの寸法である)を用いて、腫瘍体積を決定した。全身
健康状態をモニタリングし、そしてまた、必要に応じてマウス当たりの実際の運搬用量(
mg/kg)を評価するために、マウスを定期的に秤量した。治療前、マウスを秤量し、
個々のマウスからの腫瘍を測定した。バイアスを避けるために、体重または腫瘍体積の異
常値を有する場合にはそれを除外し、残りのマウスを、同等の平均腫瘍サイズを有する種
々の治療群に無作為化した。移植の約7日後、CT26腫瘍担持マウスにおける平均腫瘍
体積が~100mmに達したら、1群10匹のマウスの処理群に動物を無作為化し、投
与を開始した。後記の用量濃度で動物に投与した。
【0398】
投与溶液の調製、投与および分析:動物モデルにおいて試験する抗体の凍結ストックを
融解し、氷水に移した。凍結融解の反復を避けるために、ストックの各バイアルを1回融
解し、1回の使用に十分な体積のアリコートを調製した。ポリプロピレン低密着性チュー
ブをこの目的に使用した。該アリコートをドライアイス中で凍結させ、-80℃で保存し
た。各投与前に、1個のアリコートを融解し、適当な希釈剤中で名目濃度に溶解し、直ち
に投与した。投与溶液のアリコートをドライアイス中で凍結させ、分析まで-80℃で保
存した。マルチアレイ技術(電気化学発光検出とパターン化アレイとの組合せ)に基づく
Meso Scale Discovery(MSD(登録商標),Rockville
,MD)プラットフォームを使用して、投与溶液を評価した。
【0399】
抗TIGIT/抗PD1の投与治療の結果:CT26腫瘍担持マウスを、これらのマウ
スの平均腫瘍体積が100mm(75mm~115mm)の腫瘍サイズ平均に達し
たら、以下の10個の治療群に無作為化した:(1)muIgG1アイソタイプ対照+ラ
ットIgG1アイソタイプ対照;(2)muIgG1アイソタイプ対照+muIgG2a
アイソタイプ対照;(3)muDX400+ラットIgG1アイソタイプ対照;(4)m
uDX400+muIgG2aアイソタイプ対照;(5)muIgG1アイソタイプ対照
+11A11;(6)muIgG1アイソタイプ対照+11A11-G1;(7)muI
gG1アイソタイプ対照+11A11-G2a;(8)muDX400+11A11;(
9)muDX400+11A11 G1;(10)muDX400+11A11 G2a
。ラット抗マウスTIGIT(11A11)またはキメラ抗TIGIT抗体11A11-
G1または11A11-G2a(前記)を20mg/kgの用量で6サイクルのそれぞれ
について4日ごとに動物に投与(IP)した。抗マウスPD-1(前記)を10mg/k
gの用量で6サイクルのそれぞれについて4日ごとに投与(IP)した。投与後、動物の
モニターを継続し、幾つかの群に関しては54日まで腫瘍体積を測定した。腫瘍を週2回
測定した。結果を図12および13に示す。11A11-G2aを使用する単剤抗TIG
IT治療は第14日に52%の腫瘍成長抑制(TGI)を示し、一方、11A11親抗体
または11A11-G1抗体を使用した場合には活性はほとんど又は全く観察されなかっ
た。単剤抗PD1治療の場合、50~50%のTGIが第14日に観察された。アイソタ
イプ対照ラットIgG1と組合された場合、抗PD-1は10%の完全退縮(CR)を2
8日までに示し、その結果、10匹の動物のうちの1つの完全応答が観察された。抗PD
1と親11A11との組合せ(併用)は60%のTGIを第14日に示し、第54日まで
に30%のCRを示した。抗PD1と11A11-G1との組合せは56%のTGIを第
14日に示し、第25日までに30%のCRを示した。抗PD1と11A11-G2aと
の組合せは94%のTGIを第14日に示し、70%のCRを第42日に示した。抗PD
1と11A11-G2aとの組合せは、抗PD1と11A11親または11A11-G1
との組合せより大きな抗腫瘍活性およびより完全な退縮を示した。単剤または併用療法の
投与に関連した有意な体重減少は認められなかった。このことは、治療が十分に許容され
たことを示している。
【0400】
実施例9
水素重水素交換質量分析によるhTIGIT 14A6抗体のエピトープマッピング
抗TIGIT抗体14A6とヒトTIGITとの接触領域を、水素重水素交換質量分析
(HDX-MS)分析を用いて決定した。HDX-MSはタンパク質のアミドバックボー
ン内への水素との重水素の交換を測定する。交換速度は溶媒への水素の曝露によって影響
される。抗体が結合する際の抗原における交換レベルの比較は、抗体が結合するタンパク
質の領域を特定しうる。
【0401】
材料
・ヒトTIGIT-His - hTIGIT(配列番号31の残基25~150)の
細胞外ドメインおよびヒスチジンタグ(配列番号87)を含む。
【0402】
・ラット抗hTIGIT 14A6抗体(配列番号7/8のVH/VL配列(ロット#
78AGU)およびラットIgG2a Fc領域を含む)(ラットx[TIGIT H]
mAb(LB155.14A6.G2.A8)IgG2a/κ(HY))。
【0403】
液体クロマトグラフィー-質量分析
質量分析計はThermo Scientific Orbitrap-Velosで
あった。重水素標識サンプルの測定のために、60,000の分解能、1E6の標的イオ
ン数、500ミリ秒の最大イオン注入時間および2マイクロスキャンで、オービトラップ
(orbitrap)において1つのフルスキャンMSデータを取得するように、質量分
析計を設定した。ペプチド同定のためのMS/MSデータの取得のために、60,000
の分解能で1つのフルスキャンスペクトルを取得するように、ついでイオントラップにお
いて10個のデータ依存性MS/MSスペクトルを取得するように、質量分析計を設定し
た。
【0404】
液体クロマトグラフィー系は分析カラム勾配にはWaters(登録商標)nanoA
CQUITYであり、サンプルの消化およびローディングにはWaters(登録商標)
515アイソクラティックポンプであった。サンプルの消化およびローディングに使用し
たバッファーは流速80μl/分の2% アセトニトリルおよび0.05% トリフルオ
ロ酢酸であった。分析勾配のためのバッファーは、バッファーA):水中の0.1% 蟻
酸、およびバッファーB):アセトニトリル中の0.1% 蟻酸であった。
【0405】
勾配は、40μl/分で2% Bから36% Bまでの10分間であり、ついで80%
Bでの2分間の洗浄および2% Bで3分間の再平衡化を行った。ついで、2%~80
% Bの3回(各工程は1分間)の勾配の循環によりカラムを洗浄し、ついで2% Bで
5分間の最終平衡化を行った。トラップカラムはWaters(登録商標)Vangua
rd C18 BEH 1.7μm Guard Columnであり、分析カラムはW
aters(登録商標)C18 BEH300,1.7μm 1×50mmカラムであっ
た。
【0406】
重水素標識のためのサンプル処理をLeaptec H/DX PALシステムにより
行った。標識サンプルトレイを25℃の温度に設定し、クエンチングトレイを1.5℃に
設定し、トラップおよび分析カラムチャンバーを1.5℃に設定した。固定化ペプシンカ
ラム(Porosyme Immobilized Pepsin 2.1×30mmm
,Life Technologies)を該カラムチャンバーの外に室温で維持した。
【0407】
重水素標識
hTIGIT-His(30pmol/μl)を等体積の該抗体(14pmol/μl
)または非結合対照としてのPBS(pH7.6)と混合した。該抗体結合サンプルおよ
び該非結合対照を室温で1時間インキュベートした後、標識実験を開始した。
【0408】
サンプルを重水素標識するために、2μlのサンプルを重水(pD7.6)中の25μ
lのPBSと混合した。標識の時点は30、300、1500、4500または9000
秒であった。設定時間の後、25μlの標識混合物を35μlの冷クエンチバッファー(
8M 尿素,100mM TCEP)に加えた。クエンチしたサンプルを1.5℃で1分
間インキュベートした。ついで55μlをカラム冷却チャンバ内に注入し、ここでサンプ
ルをペプシンカラムに通し、得られたペプチドをトラップカラムにローディングした。3
分後、バルブスイッチによりペプシンカラムをラインから外し、トラップを更に1分間洗
浄した。その後、トラップを分析カラムに対してインラインに切り換え、分析勾配および
質量分析計を起動した。
【0409】
2μlのhTIGITを108μlの重水素化変性バッファー(4M 尿素,100m
M TCEP,0.01% DDM(99.5% 重水素中))と共にインキュベートす
ることにより、完全に重水素化されたサンプルを得た。該サンプルを室温で一晩インキュ
ベートした。ついで55μlをカラムチャンバー内に直接注入し、前記のとおりにデータ
を取得した。
【0410】
データ分析
タンパク質の消化が成功したことを確認するために、そしてペプチド消化からペプチド
の一覧を作製するために、重水素標識の前に、未標識サンプルのLC-MS/MSデータ
を取得し、検索した。Proteome Discoverer 1.4およびSEQU
EST HT検索アルゴリズム(ThermoFisher Scientific)を
使用して、データをデータベース検索した。使用したタンパク質データベースは、酵母サ
ッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ユニ
プロット(uniprot)(5/20/13)データベースに連結されたヒトTIGI
T-Hisおよび抗hTIGIT抗体配列であった。
【0411】
重水素標識実験からのMSデータをHD Examiner(バージョン1.3,Si
erra Analytics)により処理した。各ペプチドに関して該ソフトウェアに
より選択された質量および保持時間を手動で検証した。
【0412】
結果
結合14A6抗体により保護されたヒトTIGITペプチドは図14のヒートマップに
示されており、配列番号31のアミノ酸残基54~57、68~70および76~81に
対応する(これらの同じアミノ酸は配列番号87の残基30~33、44~46および5
2~57として示されている)。
【0413】
実施例10
水素重水素交換質量分析によるhTIGIT 31C6抗体のエピトープマッピング
抗TIGIT抗体31C6とヒトTIGITとの接触領域を、水素重水素交換質量分析
(HDX-MS)分析を用いて決定した。HDX-MSはタンパク質のアミドバックボー
ン内への水素との重水素の交換を測定する。交換速度に影響を及ぼす1つの要因は溶媒へ
の水素の曝露である。抗体が結合する際の抗原における交換レベルの比較は、抗体が結合
するタンパク質の領域を特定しうる。
【0414】
材料
・ヒトTIGIT-His - hTIGIT(配列番号31の残基25~145)の
細胞外ドメインおよびヒスチジンタグ(配列番号87)を含む。
【0415】
・マウス抗hTIGIT 31C6抗体(ロット#41AHK)(マウスx[TIGI
H]mAb(MEB125.31C6.A1.205)IgG1/κ(HY))。
【0416】
液体クロマトグラフィー-質量分析
質量分析計はThermo Scientific Orbitrap-Eliteで
あった。重水素標識サンプルの測定のために、120,000の分解能、1E6の標的イ
オン数、500ミリ秒の最大イオン注入時間および2マイクロスキャンで、オービトラッ
プ(orbitrap)において1つのフルスキャンMSデータを取得するように、質量
分析計を設定した。ペプチド同定のためのMS/MSデータの取得のために、120,0
00の分解能で1つのフルスキャンスペクトルを取得するように、ついでイオントラップ
において10個のデータ依存性MS/MSスペクトルを取得するように、質量分析計を設
定した。
【0417】
液体クロマトグラフィー系は分析カラム勾配にはWaters nanoAcquit
yであり、サンプルの消化およびローディングにはWaters 515アイソクラティ
ックポンプであった。サンプルの消化およびローディングに使用したバッファーは流速8
0μl/分の2% アセトニトリルおよび0.05% トリフルオロ酢酸であった。分析
勾配のためのバッファーは、バッファーA):水中の0.1% 蟻酸、およびバッファー
B):アセトニトリル中の0.1% 蟻酸であった。
【0418】
勾配は、40μl/分で2% Bから36% Bまでの10分間であり、ついで80%
Bでの2分間の洗浄および2% Bで3分間の再平衡化を行った。ついで、2%~80
% Bの3回(各工程は1分間)の勾配の循環によりカラムを洗浄し、ついで2% Bで
5分間の最終平衡化を行った。トラップカラムはWaters Vanguard CS
H C18 1.7μm Guard Columnであり、分析カラムはWaters
CSH C18,1.7μm 1×50mmカラムであった。
【0419】
重水素標識のためのサンプル処理をLeaptec H/DX PALシステムにより
行った。標識サンプルトレイを25℃の温度に設定し、クエンチングトレイを1.5℃に
設定し、トラップおよび分析カラムチャンバーを1.5℃に設定した。固定化ペプシンカ
ラム(Enzymate BEH Pepsin,Waters corporatio
n)を該カラムチャンバーの外に室温で維持した。
【0420】
重水素標識
hTIGIT-His(63pmol/μl)を等体積の該抗体(32pmol/μl
)または非結合対照としてのPBS(pH7.6)と混合した。該抗体結合サンプルおよ
び該非結合対照を室温で1時間インキュベートした後、標識実験を開始した。
【0421】
サンプルを重水素標識するために、2μlのサンプルを重水(pH7.6)中の25μ
lのPBSと混合した。標識の時点は30、300、1500、4500、9000およ
び13500秒であった。設定時間の後、25μlの標識混合物を35μlの冷クエンチ
バッファー(8M 尿素,100mM TCEP)に加えた。クエンチしたサンプルを1
.5℃で1分間インキュベートした。ついで55μlをカラム冷却チャンバ内に注入し、
ここでサンプルをペプシンカラムに通し、得られたペプチドをトラップカラムにローディ
ングした。3分後、バルブスイッチによりペプシンカラムをラインから外し、トラップを
更に1分間洗浄した。ついでトラップを分析カラムに対してインラインに切り換え、分析
勾配および質量分析計データ取得を起動した。各時点を無作為な順序で3回重複して取得
した。
【0422】
2μlのhTIGIT(63pmol/μl)を108μlの重水素化変性バッファー
(4M 尿素,100mM TCEP,0.01% DDM(99.5% 重水素中))
と共にインキュベートすることにより、完全に重水素化されたサンプルを得た。該サンプ
ルを室温で一晩インキュベートした。ついで55μlをカラムチャンバー内に直接注入し
、前記のとおりにデータを取得した。
【0423】
データ分析
タンパク質の消化が成功したことを確認するために、そしてペプチド消化からペプチド
の一覧を作製するために、未標識サンプルのLC-MS/MSデータを取得し、データベ
ースを検索した。Proteome Discoverer 1.4およびSEQUES
T HT検索アルゴリズム(ThermoFisher Scientific)を使用
してデータベース検索した。使用したタンパク質データベースは、酵母サッカロミセス・
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ユニプロット(un
iprot)(5/20/13)データベースに連結されたヒトTIGIT-Hisおよ
び抗hTIGIT抗体配列であった。
【0424】
重水素標識実験からのMSデータをHD Examiner(バージョン1.3,Si
erra Analytics)により処理した。各ペプチドに関して該ソフトウェアに
より選択された質量および保持時間を手動で検証した。
【0425】
結果
結合31C6抗体により保護されたヒトTIGITペプチドは図15のヒートマップに
示されており、配列番号31のアミノ酸残基53~57、60~65、68~70、72
~81、94~95、109~119に対応する(これらの同じアミノ酸は配列番号87
の残基29~33、36~41、44~46、48~57、70~71、85~95とし
て示されている)。
【0426】
実施例11
ヒト化抗hTIGIT抗体のインビトロT細胞活性アッセイ
本発明者らは更に、本発明の抗体の1つ(31C6)の種々のヒト化変異体の活性を分
析した。1つのアッセイにおいては、hTIGIT-Jurkat細胞を使用して、遮断
性ヒトTIGIT受容体の機能的結果を特徴づけした。このアッセイにおいては、hTI
GIT-Jurkatを、ヒトCD155を発現するように操作されたJY細胞(hCD
155-JY)と共に共培養した。使用したJY細胞系はエプスタインバーウイルス(E
BV)不死化B細胞リンパ芽球様細胞系である。前記実施例3に記載されているアッセイ
の場合と同様に、hTIGIT Jurkat細胞をプレート結合α-CD3で刺激し、
親JY細胞(ヒトCD155を発現しない)と共に共培養した場合には、それらはIL-
2を産生した。しかし、hTIGIT-JurkatをhCD155-JYと共に共培養
した場合には、IL-2レベルはリガンド依存的に低下した。本発明の抗hTIGIT抗
体での処理はこのアッセイにおけるIL-2産生を用量依存的にレスキューする。
【0427】
このアッセイにおいては、96ウェル平底プレートをマウス抗ヒトCD3抗体(PBS
中の1μg/ml;Clone HIT3a;BD Pharmingen Cat#
555336)で4℃で一晩コーティングした。翌日、hTIGITを発現するJurk
at細胞(50,000個)を、前記の予めコーティングされたプレート内でプレーティ
ングし、種々の濃度のmAbと共に30~60分間プレインキュベートした。ヒトCD1
55を発現するJY細胞(50,000個)を該培養に加えた。37℃および5.0%
CO2での18~24時間のインキュベーションの後、IL-2レベルをメソスケール(
mesoscale)(ヒトIL-2組織培養MESOキット:Cat#K151AHB
-2)により培養上清において評価した。結果を図16に示す。30μg/mlから0.
04μg/mlまでの親マウス抗hTIGITクローン31C6(MEB125.31C
6.A1.205 mIgG1)の滴定は0.730μg/mlのEC50を示し、マウ
スヒト31C6キメラ(マウスヒトキメラMEB125.31C6.A1.205 Ig
G1)の同じ滴定は0.910μg/mlのEC50を示す(マウスヒト31C6キメラ
は親31C6クローンの可変領域(配列番号94および95)およびヒトIgG1領域を
含んでいた)。同様に、30μg/mlから0.04μg/mlまでの31C6ヒト化変
異体の滴定は以下のEC50を示す。
【表4】
【0428】
本発明者らはまた、ヒト化抗hTIGIT抗体が初代細胞において活性を示すことを実
証するために、初代細胞ベースアッセイを用いた。幾つかのロットのヒト末梢血単核細胞
(PBMC)を刺激(混合リンパ球反応刺激およびα-CD3刺激)後にTIGIT発現
に関してスクリーニングした。ついで、刺激後のTIGIT発現に基づく初代細胞ベース
アッセイのために、PBMCを選択した。HuCD155-Fcを組織培養プレート上に
コーティングし、PBMCを抗CD3で刺激した。
【0429】
このアッセイにおいては、96ウェル高結合性プレート(Corning 3361)
をヒトCD155-Fc(社内製造物,PBS中の1μg/ml)で4℃で一晩コーティ
ングした。翌日、50,000個のヒトPBMC(RPMI+10% ヒト血清Bio-
world cat#30611043-1,ロット#V15022401中のPrec
ision Bioservice Cat#83000C-1.0,ロット#1292
0;BD Pharmlyse BD cat#555899によりRBCを取り出した
)を、予めコーティングされたプレート内でプレーティングし、種々の濃度の抗TIGI
T mAbと共に30~60分間プレインキュベートした。ついで最終濃度1μg/ml
の抗CD3抗体(eBioscience 16-0037-85)を加えた。37℃お
よび5.0% CO2で48時間のインキュベーションの後、炎症性サイトカイン(IF
Nγ、IL1β、IL6およびTNFα)をメソスケール(mesoscale)アッセ
イ(Human Proinflammaatory-4 I 組織培養MESOキット
:Cat#K15009B-4)により培養上清において評価した。図17に示されてい
るとおり、31C6のヒト化変異体はマウスヒト31C6キメラ抗体と同様に用量依存的
にIL-6、TNFαおよびIFNγを刺激することが可能であった。図17における標
識は以下の抗体に対応する。
【0430】
・マウスヒトキメラMEB125.31C6.A1.205 IgG1は、親31C6
クローンの可変領域(配列番号94および95)およびヒトIgG1領域を含む抗体に対
応する。
【0431】
・MEB125.31C6.A1.205 VH4/VL1は、配列番号127のVH
および配列番号130のVLおよびヒトIgG1 Fc領域を含む抗体に対応する。
【0432】
・MEB125.31C6.A1.205 VH5/VL4は、配列番号128のVH
および配列番号133のVLおよびヒトIgG1 Fc領域を含む抗体に対応する。
【0433】
・MEB125.31C6.A1.205 VH5/VL3は、配列番号128のVH
および配列番号133のVLおよびヒトIgG1 Fc領域を含む抗体に対応する。
【0434】
本明細書中に引用されている全ての参考文献を、各個の刊行物、データベースエントリ
ー(例えば、GenBank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許
が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、
参照により本明細書に組み入れることとする。参照により組み入れるというこの陳述は、
そのような引用が、参照により組み入れるという宣誓陳述の直前直後にない場合であって
も、37 C.F.R.§1.57(b)(1)に従い、各個の刊行物、データベースエ
ントリー(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願また
は特許[それらのそれぞれは37 C.F.R.§1.57(b)(2)に従い明らかに
特定されるものである]に関連づけることを出願人が意図しているものである。参照によ
り組み入れるという宣誓陳述が明細書中に含まれている場合、それは、参照により組み入
れるというこの一般的(general)陳述を何ら弱めるものではない。本明細書にお
ける参考文献の引用は、該参考文献が関連先行技術であると自認するものではなく、また
、それは、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもな
い。
【0435】
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態により範囲において限定されるも
のではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の修飾が前記
説明および添付図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は添付の特許請
求の範囲の範囲に含まれると意図される。
【0436】
前記の明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分なものであると
みなされる。本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明の種々の修飾が前記
説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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