IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-吸収性物品 図1
  • 特許-吸収性物品 図2
  • 特許-吸収性物品 図3
  • 特許-吸収性物品 図4
  • 特許-吸収性物品 図5
  • 特許-吸収性物品 図6
  • 特許-吸収性物品 図7
  • 特許-吸収性物品 図8
  • 特許-吸収性物品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240513BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20240513BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20240513BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240513BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A61F13/15 142
A61F13/47 300
A61F13/532 200
A61F13/511 300
A61F13/511 400
A61F13/494 110
A61F13/511 200
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022092322
(22)【出願日】2022-06-07
(65)【公開番号】P2023179178
(43)【公開日】2023-12-19
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犹守 沙耶香
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-037490(JP,A)
【文献】特開2007-107144(JP,A)
【文献】特開2018-079131(JP,A)
【文献】国際公開第2021/039513(WO,A1)
【文献】特開2019-165888(JP,A)
【文献】特開2017-006505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/47
A61F 13/532
A61F 13/511
A61F 13/494
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品であって、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置し、前記着用者の肌に接する肌側面を有する表面材と、を備え、
前記吸収体は、
前記股下領域において前記縦方向にそれぞれ延び、前記横方向中央を挟んで配置された一対の変形誘導部と、
前記一対の変形誘導部の間に位置する中央領域と、
前記中央領域の前記横方向外側に位置するサイド領域と、を有し、
前記表面材は、
平面視において前記中央領域と重なり、金属酸化物抗菌剤を含有する金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む第1領域と、
前記第1領域の前記横方向外側に位置し、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含み、
前記表面材は、
前記金属酸化物抗菌剤を含む上層と、前記上層よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層と、を含み、
前記第1領域は、前記上層を含み、
前記第2領域は、前記下層を含み、前記上層を含まず、
前記表面材の前記肌側面は、前記第1領域において前記上層によって形成され、前記第2領域において前記下層によって形成される
吸収性物品。
【請求項2】
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、前記金属酸化物抗菌剤が繊維に練りこまれたものである
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記表面材全体に対する前記第1領域に含まれる前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.004質量%以上であり、
前記表面材全体に対する前記第2領域に含まれる前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.5質量%未満である
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤が練りこまれた金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%以上であり、
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第2領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%未満である
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部にのみ前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.05質量%以上2.5質量%以下である
請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収体は、吸収性コアを有し、
前記一対の変形誘導部各々は、前記吸収性コアのスリット又は低坪量部からなる
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1領域は、平面視において、前記中央領域から前記横方向外側に延出しており、
前記第2領域は、平面視において、前記吸収体の前記横方向における側縁部と重なる
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1領域は、前記上層と前記下層とが平面視において重なった重複領域を含む
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1領域は、前記重複領域により構成される
請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記第1領域は、前記上層を含み、前記下層を含まない非重複領域を含む
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収体は、
前記サイド領域に配置され、前記縦方向に延びる弾性部材をさらに有する
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品を着用すると、蒸れ等によって皮膚にかぶれが生じることがある。そのため、かぶれの発生を抑制するべく、吸収性物品に抗菌剤を用いた吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1及び2には、着用者の肌に接する表面材を構成する繊維中に抗菌剤が練り込まれた吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-55187号公報
【文献】特開2021-52938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抗菌剤を用いる吸収性物品において、抗菌剤が水に溶けにくいことで、抗菌性能を十分に発揮する前に尿等の排泄液が表面シート(表面材)を透過してしまい、効率的な抗菌性能が発現しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、効率的な抗菌性能の発現が可能な吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分される。
前記吸収性物品は、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置する表面材と、を備える。
前記吸収体は、
前記股下領域において前記縦方向にそれぞれ延び、前記横方向中央を挟んで配置された一対の変形誘導部と、
前記一対の変形誘導部の間に位置する中央領域と、
前記中央領域の前記横方向外側に位置するサイド領域と、を有する。
前記表面材は、
平面視において前記中央領域と重なり、金属酸化物抗菌剤を含有する金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む第1領域と、
前記第1領域の前記横方向外側に位置し、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、効率的な抗菌性能の発現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつ(吸収性物品)の一例を示す斜視図である。
図2】上記使い捨ておむつの平面図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態で、肌側(表面材側)から見た態様を示す。
図3図2のIII-III線で切断した上記使い捨ておむつの模式的な断面図である。
図4】上記使い捨ておむつの表面材及び吸収体(破線)の構成を示す模式的な平面図である。
図5】着用時における上記使い捨ておむつの一例を示す模式的な断面図である。
図6】上記表面材の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図7】上記表面材に用いられる金属酸化物抗菌剤配合繊維の模式的な斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る使い捨ておむつ(吸収性物品)の一例を示す模式的な断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る使い捨ておむつ(吸収性物品)の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品について、使い捨ておむつを例にあげ、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<第1実施形態>
[使い捨ておむつの全体構成]
図1図3には、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつ1が示されている。パンツ型使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
おむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、おむつ1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。
本明細書において、横方向Yに関しては、おむつ1を横方向Yに2等分する縦中心線CLに近づく側を「横方向Y内側」といい、縦中心線CLから遠ざかる側を「横方向Y外側」という。
本明細書において、各構成を厚み方向Zから見る場合、平面視という。なお、本明細書では、各構成における肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側に位置する側を示す。各構成における非肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側とは反対側に位置する側を示す。また、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上、着衣に近い側を下ということがある。
【0011】
図1及び図2に示すように、おむつ1は、ウエスト開口部1W及び一対のレッグ開口部ILを備え、着用時に、着用者の胴回り及び股間部に配置される。
おむつ1は、着用時において着用者の腹側に配置される腹側領域Aと、着用時において着用者の背側に配置される背側領域Bと、腹側領域A及び背側領域Bの間に位置し着用時において着用者の股間部に配置される股下領域Cと、に区分される。腹側領域Aと、股下領域Cと、背側領域Bと、は、縦方向Xに沿って配置されている。腹側領域A及び背側領域Bは、横方向Yにおける側縁部A1,B1同士が接合されて、ウエスト開口部1Wを形成する。股下領域Cには脚繰りが形成され、この脚繰りがレッグ開口部1Lを形成する。
なお、図2は、おむつ1を展開し、各部の弾性部材を伸張させて、弾性部材の影響を一切排除した状態の設計寸法となるように平面状に広げた形態を示す。おむつ1を展開するとは、腹側領域Aの側縁部A1及び背側領域Bの側縁部B1を分離して展開することを意味する。
【0012】
図2及び図3に示す例において、おむつ1は、表面材(トップシート)2と、吸収体4と、サイドシート5と、防漏シート3と、外装材6と、を有する。おむつ1は、外装材6、防漏シート3、吸収体4及び表面材2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
【0013】
吸収体4は、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたって配置される。吸収体4は、着用者の尿や便に含まれる水分等の液状排泄物を表面材2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液状排泄物を保持する。
なお、本明細書において、「排泄物」は、便の固形分を含む着用者の全ての排泄物を意味し、「液状排泄物」は、排泄物のうち、尿及び便中の水分等の液状のものを意味する。
吸収体4は、吸収性コア40と、コアラップシート41と、を有する。
吸収性コア40は、液状排泄物を保持することが可能な吸収性材料を主体として構成される。具体的に、吸収性コア40は、親水性繊維の積繊体、当該積繊体に吸収性ポリマーを担持させた構成、又は吸水性ポリマーのみからなる構成等を有する。
コアラップシート41は、吸収性コア40を被覆し、例えば吸収性コア40の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
【0014】
表面材2は、おむつ1の着用時、着用者の肌に接するように配置される。表面材2は、吸収体4の肌側(厚み方向Z上方側)に少なくとも配置される。図3に示す例において、表面材2は、吸収体4の肌側から横方向Yにおける側縁部4sに延び、さらに吸収体4の非肌側まで回り込むように配置される。
表面材2は、液透過性のシート材として構成され、合成繊維又は天然繊維を含む不織布等で形成される。
本実施形態において、表面材2は、排泄物に対して抗菌作用を発揮させる観点から、金属酸化物抗菌剤を含む。表面材2及び金属酸化物抗菌剤の詳細な構成については、後述する。
【0015】
外装材6は、吸収体4の非肌側(厚み方向Z下方)に配置され、例えば、おむつ1の非肌側面のほぼ全体を構成する。外装材6は、防漏性を有していることが好ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
図3に示す例において、外装材6は、肌側シート61と、非肌側シート62と、を含む。
図1及び図2に示すように、外装材6は、ウエスト開口部1W及びレッグ開口部1Lを形成する。外装材6は、ウエスト開口部1Wに沿って配置されたウエスト弾性部材63と、レッグ開口部1Lに沿って配置されたレッグ弾性部材64と、をさらに含む。ウエスト弾性部材63及びレッグ弾性部材64は、例えば、肌側シート61及び非肌側シート62の間に配置される。
【0016】
一対のサイドシート5は、表面材2の横方向Y側部の肌側に配置される。サイドシート5は、防漏性を備えていることが望ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。図3に示す例において、サイドシート5は、表面材2の肌側面の横方向Yにおける側部から、表面材2の非肌側まで延びる。サイドシート5の肌側の端部は、表面材2から離間している。サイドシート5の非肌側の端部は、表面材2の非肌側の端部とともに、接着剤又はヒートシール等によって防漏シート3等に接合されている。
【0017】
おむつ1において、サイドシート5の肌側の端部には、糸状又は帯状の弾性部材51が配置される。弾性部材51は、縦方向Xに延び、伸張した状態でサイドシート5に取り付けられる。これにより、着用時において、サイドシート5の肌側の端部が肌側に起立し、立体ギャザーGが形成される。
【0018】
防漏シート3は、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなり、吸収体4と外装材6との間に配置される。防漏シート3は、例えば、接着剤H1によって吸収体4の非肌側面に接合されており、接着剤H2によって外装材6に接合されている。
【0019】
[吸収体の構成]
本実施形態では、表面材2の含有する金属酸化物抗菌剤の抗菌効果を高める観点から、吸収体4が以下の構成を有する。
図4に示すように、吸収体4は、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、横方向Y中央を挟んで配置された一対の変形誘導部42を有する。
変形誘導部42は、吸収体4の折れ曲がりの起点となる部分である。変形誘導部42は、吸収体4の折れ曲がりを誘導できる構成であればよく、例えば、吸収性コア40のスリット、低坪量部、圧搾部、又は折り癖のついた部分のいずれかで構成され得る。
スリットとは、平面視において細長い形状を有し、吸収性コア40を厚み方向Zに貫通する貫通孔を意味する。
低坪量部とは、周囲よりも吸収性コア40の坪量が低い部分を意味する。
圧搾部とは、圧搾加工により吸収性コア40が圧搾され、厚みが薄くなった部分を意味する。
折り癖のついた部分は、吸収体4又は吸収性コア40を折り曲げてプレスする処理等によって折り癖が形成された部分である。
これらのうち、変形誘導部42は、折れ曲がりを確実に誘導する観点から、スリット又は低坪量部で構成されることが好ましく、図3に示すように、スリットで構成されることがより好ましい。
【0020】
変形誘導部42は、少なくとも股下領域Cに配置されていればよく、腹側領域A又は背側領域Bの少なくとも一方まで延出していてもよい。また、変形誘導部42は、股下領域Cの全長にわたって延びている構成に限定されず、股下領域Cの少なくとも一部において、縦方向Xに延びていればよい。
「変形誘導部42が縦方向Xに延びる」とは、変形誘導部42が縦方向Xに平行に延びる態様に限定されず、全体として腹側から背側に延びていればよい。図4に示す例において、変形誘導部42は、横方向Y内側に凸な曲線状に構成される。
また、変形誘導部42の平面視における形状も、縦方向Xに細長い形状であればよく、特に限定されない。図4に示す例では、変形誘導部42が線状(帯状)に構成されており、変形誘導部42の延在方向に直交する幅方向の寸法がほぼ一定である。あるいは、変形誘導部42では、当該幅方向の寸法が当該延在方向に沿って変化してもよい。
【0021】
吸収体4の横方向Y中央とは、おむつ1を横方向Yに2等分する縦中心線CL上の領域を意味する。つまり、一対の変形誘導部42は、縦中心線CLの横方向Y両側に配置される。この一対の変形誘導部42により、中央領域43とサイド領域44とが区画される。
【0022】
すなわち、吸収体4は、一対の変形誘導部42の間に位置する中央領域43と、中央領域43の横方向Y外側に位置するサイド領域44と、をさらに有する。
中央領域43は、一対の変形誘導部42に挟まれた領域である。つまり、図4に示すように、中央領域43の横方向Yにおける側縁部43sは、変形誘導部42との境界部であって、変形誘導部42の横方向Y内側の内縁部に一致する。中央領域43の縦方向Xにおける端部は、一対の変形誘導部42の縦方向Xにおける端部間を結んだ部分である。
サイド領域44は、中央領域43の側縁部43s(つまり、変形誘導部42の内縁部)よりも横方向Y外側に位置する領域となる。
【0023】
ここで、着用者の股間幅は、一般に吸収体4の横方向Yにおける幅よりも狭いため、着用時には、変形誘導部42を起点として吸収体4が折れ曲がる。すなわち、図5に示すように、吸収体4は、着用者の股間部Kに収まるように変形し、中央領域43からサイド領域44が肌側に起立する。これにより、吸収体4は、中央領域43を底部、サイド領域44を起立部とする凹状に変形する。吸収体4の凹状の変形に基づいて、表面材2も変形しておむつ1の肌側面に凹部Rが形成され、尿や便などの排泄物が一時的に溜まり易くなる。
さらに、本実施形態では、このような凹部Rに溜まった排泄物に対して、効果的かつ効率的に抗菌作用が発揮されるように、表面材2に金属酸化物抗菌剤が配合される。
【0024】
[表面材の構成]
表面材2は、繊維を含む1又は複数のシート材からなる。シート材としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。
【0025】
表面材2は、金属酸化物抗菌剤を含む。金属酸化物抗菌剤は、金属酸化物からなり、繊維に含まれている。金属酸化物抗菌剤を含有する繊維を、金属酸化物抗菌剤配合繊維と称する。金属酸化物抗菌剤配合繊維は、好ましくは、金属酸化物抗菌剤が繊維に練りこまれたものである。
金属酸化物抗菌剤配合繊維は、繊維の内部に金属酸化物抗菌剤が存在していてもよいし、金属酸化物抗菌剤の一部が表面に露出していてもよい。例えば、金属酸化物抗菌剤配合繊維が芯鞘型複合繊維である場合、金属酸化物抗菌剤は、該繊維の芯部及び鞘部のいずれか一方のみに含まれていてもよいし、芯部及び鞘部の両方に含まれていてもよい。
金属酸化物抗菌剤としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化銅等を用いることができる。これらの金属酸化物は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態の金属酸化物は、これらの中でも抗菌性が高く、安全性、価格面より酸化亜鉛を含むことが好ましい。
【0026】
金属酸化物は、水に対する溶解性が低いことから、当該金属酸化物が尿等の液状排泄物と接触しても、短時間で脱落しにくい。
さらに、金属酸化物抗菌剤配合繊維は、繊維に金属酸化物抗菌剤が含有されていることで、液状排泄物と接触した場合にも、金属酸化物抗菌剤の繊維からの脱落が効果的に防止される。
これらにより、金属酸化物抗菌剤が表面材2に留まりやすくなり、凹部Rに溜まった排泄物と金属酸化物抗菌剤とが十分に接触可能となる。
【0027】
さらに、効果的かつ効率的な抗菌作用を得る観点から、表面材2は、金属酸化物抗菌剤の配合量の異なる第1領域21及び第2領域22を有する。
図4に示すように、第1領域21は、平面視において吸収体4の中央領域43と重なり、金属酸化物抗菌剤を含む。第1領域21は、平面視において、中央領域43の少なくとも一部と重なっていればよいが、中央領域43の全体と重なることが好ましい。図4に示す例では、第1領域21は、表面材2の縦方向X全長にわたって延びている。また、図4に示す例では、第1領域21の横方向Y側縁部が直線状に構成されるが、曲線状の部分を含んでいてもよい。
第2領域22は、第1領域21の横方向Y外側に位置する。第2領域は、平面視において、吸収体4のサイド領域44の少なくとも一部と重なる。図4に示す例では、第2領域22は、第1領域21と同様に、表面材2の縦方向X全長にわたって延びている。第2領域22は、第1領域21よりも金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない。
なお、本明細書において、「ある領域における金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない」という表現は、当該領域が金属酸化物抗菌剤を含まない態様も含むものとする。
言い換えると、第2領域22は、第1領域21よりも少ない配合量の金属酸化物抗菌剤を含む構成、又は金属酸化物抗菌剤を含まない構成のいずれかの構成を有する。
【0028】
表面材2において1種類の金属酸化物抗菌剤配合繊維を用いる場合、第1領域21及び第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量は、例えば、金属酸化物抗菌剤配合繊維の配合量によって調整できる。例えば、第1領域21に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の質量の割合を、第2領域22に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の質量の割合よりも多くすることができる。
あるいは、第1領域21と第2領域22とで、金属酸化物抗菌剤の配合割合の異なる金属酸化物抗菌剤配合繊維を用いることもできる。例えば、第1領域21に含まれる金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の配合割合を、第2領域22に含まれる金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の配合割合よりも多くすることができる。
本実施形態においては、第1領域21が金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む繊維層を有し、第2領域22が金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む繊維層を有さないことで、第1領域21の金属酸化物抗菌剤の配合量が第2領域22よりも多くなるように調整している。この詳細な構成については、後述する。
【0029】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、表面材2が、金属酸化物抗菌剤を含有する金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む。これにより、金属酸化物抗菌剤が尿等の液状排泄物に徐々に溶出するため、表面材2から金属酸化物抗菌剤が短時間で脱落することを抑制できる。
さらに、図5に示すように、本実施形態の吸収体4は、着用時に、中央領域43からサイド領域44が肌側に起立するように変形する。これに伴い、表面材2の肌側面にも凹部Rが形成される。凹部Rでは、中央領域43と重なる第1領域21が底部を形成し、その横方向Y外側の第2領域22が主に起立部を形成する。底部となる第1領域21上には、一時的に排泄物が溜まり、このうちの液状排泄物が吸収体4へ徐々に吸収される。
本実施形態では、表面材2の第1領域21が金属酸化物抗菌剤を多く含む。これにより、液状排泄物と金属酸化物抗菌剤との接触時間が長くなり、金属酸化物抗菌剤が溶出するための時間を十分に確保することができる。この結果、金属酸化物抗菌剤の溶出前に液状排泄物が表面材2の非肌側に移行することを抑制でき、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物に対する溶出量を増加させることができる。したがって、水に対する溶解性が低い金属酸化物からなり、繊維に含有された金属酸化物抗菌剤であっても、液状排泄物由来の菌に対する抗菌作用を高めることができる。
さらに、表面材2に金属酸化物抗菌剤を配合することで、肌と接している排泄物に対して直接抗菌作用を発揮できる。これにより、排泄物由来の菌による肌かぶれを効果的に抑制することができる。
一方で、第2領域22は起立部となるため、着用者の肌に直接接触しやすい。第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量を少なくすることで、肌に対して直接金属酸化物抗菌剤が接触することを抑制できる。これにより、金属酸化物抗菌剤が肌の常在菌に作用することを抑制でき、常在菌のバランスの崩れによる肌かぶれも抑制することができる。
以上のように、本実施形態によれば、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効果的に発揮させることができ、表面材2の全体における金属酸化物抗菌剤の配合量を低減させることができる。この結果、低コストで、かつ肌に優しく抗菌作用を発揮できるおむつ(吸収性物品)1を実現することができる。
【0030】
[表面材の第1領域及び第2領域の配置例]
多く排泄された排泄物に対してもより効果的に抗菌作用を発揮させる観点から、図4に示すように、第1領域21は、平面視において、中央領域43から横方向Y外側に延出していることが好ましい。この場合、第1領域21は、中央領域43の側縁部43sの少なくとも一部から横方向Y外側に延出していればよい。
【0031】
図5に示すような着用時において、表面材2には、吸収体4の中央領域43上に底部、吸収体4のサイド領域44上に起立部が形成されることで、凹部Rが形成される。排泄物が一度に多量に排泄された場合、排泄物が底部のみならず、起立部まで達する可能性がある。
上記構成では、第1領域21が、中央領域43上の底部となり得る領域に加えて、サイド領域44上の起立部となり得る領域も含む。このため、第1領域21の横方向Y側部が起立部まで延び、排泄物と広い面積で十分に接触することができる。したがって、第1領域21に含まれる金属酸化物抗菌剤が、排泄物由来の菌に対して、より確実に抗菌作用を発揮することができる。
【0032】
この場合に、第2領域22は、平面視において、吸収体4の横方向Yにおける側縁部4sと重なることが好ましい。
図4及び図5に示すように、吸収体4の側縁部4sは、サイド領域44の横方向Y外側の外縁部である。吸収体4の側縁部4sは、着用時に凹部Rが形成された際に、起立部の最も肌側に突出した部分を形成する。
つまり、この構成では、着用者の肌に接触しやすい部分の金属酸化物抗菌剤の配合量を確実に低減させることができ、常在菌のバランスの崩れをより確実に抑制することができる。
【0033】
[2層構造の表面材の構成例]
本実施形態では、第1領域21と第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量を容易に調整する観点から、図3に示すように、表面材2が、金属酸化物抗菌剤を含む上層23と、上層23よりも金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層24と、を含む。上層23は、表面材2の肌側に配置され、下層24は、表面材2の非肌側に配置される。
第1領域21は、上層23を含む。第2領域22は、下層24を含み、上層23を含まない。言い換えれば、表面材2において、金属酸化物抗菌剤の配合量が多い上層23を含む領域を第1領域21と定義し、表面材2において上層23を含まない領域を第2領域22と定義する。
【0034】
図3に示すように、第1領域21は、上層23と下層24とが平面視において重なった重複領域27を含むことが好ましい。さらに、本実施形態では、重複領域27が、第1領域21の全体に配置されており、第1領域21が重複領域27により構成されていることが好ましい。つまり、図3に示す例において、下層24は、平面視において表面材2の全体に連続的に配置され、上層23は、下層24上の横方向Y中央部に配置される。
【0035】
上記構成では、排泄物と特に接触しやすい第1領域21が多層化される。これにより、第1領域21における液状排泄物の吸収がより穏やかになり、液状排泄物がより長時間にわたって第1領域21の金属酸化物抗菌剤と接触し得る。したがって、金属酸化物抗菌剤の液状排泄物への溶出時間をより長く確保することができ、抗菌作用をより確実に発揮させることができる。
【0036】
上層23及び下層24を含む表面材2は、2枚の不織布シートが接合されて一体化したシート材であってもよい。この場合は、例えば、2枚の不織布シートをエンボス加工、接着剤等によって接合することで、表面材2を形成することができる。
あるいは、上層23及び下層24を含む表面材2は、2つの繊維層を含む1枚の不織布シートであってもよい。この場合は、例えば、異なる繊維組成の繊維ウェブを重ねて、エアスルー加工等の加熱処理によって各層の繊維を融着することで、表面材2を形成することができる。
【0037】
図6の拡大図に示すように、本実施形態の上層23及び下層24は、1枚の不織布シート中の異なる繊維層であることが好ましい。これにより、上層23及び下層24の接合部による吸収阻害を抑制し、かつ、違和感のない着用感を得ることができる。
なお、図6において、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を、内部が白い輪郭線だけの線状で示している。金属酸化物抗菌剤を含まない繊維である金属酸化物抗菌剤非配合繊維26を、内部が塗りつぶされた線状で示している。また、図6において、内部が白い輪郭線だけの小円、内部が黒い小円は、いずれも繊維同士の溶融部を模式的に示したものである。
【0038】
本実施形態では、上層23の全体の質量に占める金属酸化物抗菌剤の質量の割合が、下層24の全体の質量に占める金属酸化物抗菌剤の質量の割合よりも大きい。つまり、上層23が、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含み、下層24が、金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含まない、又は上層23よりも少ない割合の金属酸化物抗菌剤配合繊維25を含む。
【0039】
上層23の全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、排泄物に対する抗菌作用を十分に得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100%である。
下層24の全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、肌の常在菌に対する金属酸化物抗菌剤の影響を低減する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは0%である。
【0040】
本実施形態では、図6に示すように、上層23が繊維成分として金属酸化物抗菌剤配合繊維25のみを含み、下層24が繊維成分として金属酸化物抗菌剤非配合繊維26のみを含むことがより好ましい。これにより、第1領域21では金属酸化物抗菌剤をより多く含み、第2領域22では金属酸化物抗菌剤を含まない構成とすることができ、上述の作用効果をより一層効果的に得ることができる。また、上層23及び下層24の各々に用いる繊維の種類を限定でき、表面材2の製造がより容易になる。
【0041】
[表面材における金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合の例]
凹部Rに溜まる排泄物由来の菌に対して、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効率的かつ効果的に発揮させる観点から、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める第1領域21の金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
また、常在菌への金属酸化物抗菌剤への影響を抑制する観点から、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める第2領域22の金属酸化物抗菌剤配合繊維25の割合は、好ましくは30質量%未満、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
【0042】
[表面材における金属酸化物抗菌剤の割合の例]
凹部Rに溜まる排泄物由来の菌に対して、金属酸化物抗菌剤による抗菌作用を効率的かつ効果的に発揮させる観点から、表面材2全体に対する第1領域21に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上である。
また、常在菌への金属酸化物抗菌剤への影響を抑制する観点から、表面材2全体に対する第2領域22に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
なお、表面材2全体に対する各領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合とは、表面材2全体の質量に対する各領域の全体に含まれる金属酸化物抗菌剤の質量の割合とする。
金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法については後述する。
【0043】
[金属酸化物抗菌剤配合繊維の構成例]
金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、予め金属酸化物抗菌剤が練り込まれた合成樹脂を紡糸する工程を経て得ることができる。
金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等がある。
なお、金属酸化物抗菌剤非配合繊維26も、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。
【0044】
抗菌性能の効果的な発現の観点から、金属酸化物抗菌剤配合繊維25の表面に金属酸化物抗菌剤が露出していることが好ましい。
この場合、金属酸化物抗菌剤を繊維表面に効率的に露出させる観点から、金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、芯鞘型繊維であり、鞘部にのみ金属酸化物抗菌剤が配合されていることが好ましい。
【0045】
図7に示すように、金属酸化物抗菌剤29が練り込まれた金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、芯部25Cと鞘部25Sを有する。金属酸化物抗菌剤29は、鞘部25Sにのみ配合されて構成される。このように、鞘部25Sにのみ金属酸化物抗菌剤29が配合されることにより、少ない配合量の金属酸化物抗菌剤で、繊維表面に金属酸化物抗菌剤29を露出させやすくすることができる。
【0046】
原料繊維となる芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25は、例えば、芯部25CがPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、鞘部25Sは金属酸化物からなる金属酸化物抗菌剤が練り込まれたPE(ポリエチレン)からなり、芯鞘比が質量比で20/80~80/20のものを用いることができる。なお、芯鞘比は芯と鞘各々を構成する樹脂の質量比(芯/鞘)を示す。
【0047】
金属酸化物からなる金属酸化物抗菌剤29の粒径は、該金属酸化物抗菌剤が配合される繊維(金属酸化物抗菌剤配合繊維25)の太さや、該繊維の金属酸化物の練り込みやすさの観点から適宜設定される。一般に、金属酸化物の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して1.0μm以上7.0μm以下である。
【0048】
金属酸化物抗菌剤29による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮される観点から、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25に占める金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法については後述する。
また、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維25において、鞘部のみに金属酸化物抗菌剤が含まれている場合に、鞘部25Sを構成する樹脂に占める金属酸化物抗菌剤29の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下である。
【0049】
[金属酸化物抗菌剤の溶解性]
上述したように、金属酸化物抗菌剤29の液状排泄物に対する溶出を抑制し、金属酸化物抗菌剤29と液状排泄物との効率的な接触を実現する観点から、金属酸化物抗菌剤29は水難溶性若しくは水不溶性であることが好ましい。言い換えると、金属酸化物抗菌剤29の水に対する溶解性(金属酸化物抗菌剤の溶解度)が小さいことが好ましい。
具体的には、金属酸化物抗菌剤の溶解度は、後述する金属酸化物抗菌剤の溶解度の測定方法で、好ましくは0.01g/100ml以上0.5g/100ml以下、より好ましくは0.03g/100ml以上0.3g/100ml以下、更に好ましくは0.05g/100ml以上0.2g/100ml以下である。
【0050】
<第2実施形態>
表面材2が上層23及び下層24を含む場合、第1領域21Aにおいて下層24が不連続に形成されていてもよい。
図8に示すように、第2実施形態のおむつ(吸収性物品)1Aにおいて、表面材2Aの第1領域21Aは、上層23を含み、下層24Aを含まない非重複領域28を含んでいる。非重複領域28では、上層23と下層24Aとが平面視において重ならない。
なお、以下の第2及び第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して、適宜説明を省略する。
第2実施形態では、表面材2Aの構成のみ第1実施形態の表面材2の構成と異なるため、主に表面材2Aについて説明する。
【0051】
上述のように、上層23は、金属酸化物抗菌剤を含み、下層24Aよりも金属酸化物抗菌剤の配合量が多い。本実施形態においても、表面材2Aの上層23を含む領域を第1領域21Aとし、表面材2Aの上層23を含まない領域を第2領域22とする。
【0052】
上記構成によっても、凹部R(図5参照)の底部を形成し得る第1領域21Aの金属酸化物抗菌剤の配合量を多くすることで、排泄物由来の菌に対する抗菌作用を効率的に発揮させることができる。また、凹部Rの起立部を形成し得る第2領域22の金属酸化物抗菌剤の配合量を少なくすることで、肌の常在菌に対する悪影響を抑制することができる。
これに加えて、第1実施形態よりも下層24Aの材料コストを低減させることができる。したがって、おむつ1Aをより低コストで製造することができる。
【0053】
図8に示すように、非重複領域28は、第1領域21Aの横方向Y中央部に配置されることが好ましい。これにより、下層24Aを、非重複領域28の左右に分割された構成とすることができ、下層24Aの平面視における形状を単純化することができる。
また、図8に示すように、第1領域21Aは、その横方向Y側部において、上層23と下層24Aとが平面視において重なる重複領域27を含んでいることが好ましい。重複領域27では、上層23と下層24Aの繊維同士が融着又は接合し得る。このため、重複領域27を設けることで、上層23と下層24Aとの分離が抑制される。
【0054】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、サイドシート5によって立体ギャザーGが形成されることで、サイド領域44がより安定した起立状態を維持することができる。
一方で、サイド領域44が安定した起立状態を維持する観点からは、吸収体に弾性部材が配置されていてもよい。
【0055】
図9に示すように、第3実施形態のおむつ(吸収性物品)1Bにおいて、吸収体4Bは、サイド領域44に配置され縦方向Xに延びる弾性部材45をさらに有していてもよい。
弾性部材45は、帯状又は糸状の弾性部材である。「弾性部材45が縦方向Xに延びる」とは、弾性部材45が縦方向Xに平行な態様に限定されず、全体として、腹側から背側に延びている態様を含む。
弾性部材45は、自然長から伸張させた状態で、サイド領域44に接着剤等によって取り付けられる。弾性部材45は、股下領域Cにおいて少なくとも延び、サイド領域44の縦方向X腹側及び/又は背側まで延出していてもよい。
【0056】
上記構成では、弾性部材45によって、吸収体4Bのサイド領域44に縦方向Xに沿った収縮力が作用する。これにより、着用時に、サイド領域44が変形誘導部42を起点に起立しやすくなる。したがって、着用時に、吸収体4が凹状の形状を安定して維持でき、凹部Rに排泄物が溜まり易くなる。
【0057】
弾性部材45は、吸収体4Bの横方向Yにおける側縁部4sに配置されていることが好ましい。これにより、サイド領域44の全体を安定して起立させることができる。この場合、弾性部材45の脱落を抑制する観点から、弾性部材45は、側縁部4sの外表面(例えばコアラップシート41上)に配置され、表面材2によって覆われていることが好ましい。また、弾性部材45が側縁部4sに配置される他の態様としては、吸収性コア40の横方向Yにおける側縁部とコアラップシート41との間に配置されてもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、弾性部材45によって吸収体4Bの安定した変形が誘導され得ることから、おむつ1Bが立体ギャザーGを形成するサイドシート5を備えなくてもよい。但し、これに限定されず、おむつ1Bは、第1及び第2実施形態と同様に、サイドシート5を備えていてもよい。
【0059】
<補足事項>
[繊維構造の確認方法]
表面材に含まれる繊維の構造は、表面材を切断した切断面を拡大して観察することにより確認することができる。
測定対象の表面材を剃刀(例えばフェザー安全剃刀株式会社製片刃)で切断し、平面視において四角形形状(8mm×4mm)の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。
紙両面テープ(ニチバン株式会社製内スタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。
測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型操作電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。
【0060】
表面材の切断面観測から、繊維の断面輪郭の他、例えば芯鞘型繊維であるか、単繊維構造であるかといった繊維構造を把握することができる。
更に、芯鞘型繊維である場合、切断面観測により、芯部及び鞘部それぞれの面積比率を算出することができる。また、切断面観測により、繊維中の金属酸化物抗菌剤の存在を確認することができ、更に鞘部にのみ金属酸化物抗菌剤が配されていることを確認することができる。
また、表面材の切断面における構成繊維の違いから、上層及び下層を確認することができる。従って、表面材の切断面観測から、上層及び下層における金属酸化物抗菌剤配合繊維の分布を確認することができる。
また、繊維断面をSEM-EDX分析することで、鞘部に含まれる剤が酸化亜鉛(金属酸化物抗菌剤)であることを確認することができる。
【0061】
[表面材の各部の単位質量当たりの金属酸化物抗菌剤の配合量の算出方法]
表面材の各部(第1領域、第2領域、上層及び下層)の単位質量当たりの金属酸化物抗菌剤の配合量の算出方法について説明する。
表面材の各部から1gはかり取る。なお、各部から1gを切り取ることが難しい場合は、任意の大きさに切り取ってその質量を測定し、以下の試薬等を当該質量に応じた量に変更して行う。
切断片をできるだけ小さく切り刻んで300mlビーカーに入れ、更に該ビーカーにイオン交換水200mlを入れてマグネティックスターラーで攪拌し、繊維が完全に水と触れるようにする。液を撹拌しながら濃塩酸(約10M)3mlを少しずつ加え、更に1時間撹拌し、各部を構成する繊維の表面に存在する金属酸化物抗菌剤を溶出させる。次いで、5.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を6ml加えて液を中和させた後、pH10.7の緩衝液(28質量%・NH水溶液54.7mlと0.535gのNHClとを含み、イオン交換水で溶解させたもの)10mlを加えてpHの微調整を行う。
続いて、エリオクロムブラックT試薬(エリオクロムブラックT粉末0.125gと塩酸ヒドロキシルアミン1.125gを無水エタノール25mlに溶解させたもの)を指示薬として加え、液を淡いピンク色とする。0.0002MのEDTA・2Naを滴定液として用いて滴定を行い液がピンク色から淡い青~緑に変色したときの該滴定液の添加量(ml)を滴定値Aとする。そして、以下の式により金属酸化物抗菌剤の質量を算出する。下記式中の「5000000」は、1mоl当たりの滴定液の体積(ml)を意味する。
金属酸化物抗菌剤の質量(g)=滴定値A×金属酸化物抗菌剤1mоl当たりの質量/5000000
以上のようにして算出された金属酸化物抗菌剤の質量は、表面材の各部(第1領域、第2領域、上層及び下層)の1g(単位質量)当たりに含まれる金属酸化物抗菌剤の配合量となる。
各部の金属酸化物抗菌剤の配合量は、この1g(単位質量)当たりに含まれる金属酸化物抗菌剤の配合量によって比較することができる。
【0062】
[表面材全体に対する第1領域又は第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法]
まず、上述の金属酸化物抗菌剤の配合量の算出方法に基づいて、第1領域及び第2領域の1g(単位質量)当たりに含まれる金属酸化物抗菌剤の配合量を算出する。
次に、第1領域及び第2領域各々の全体の質量を算出する。第1領域(第2領域)の単位質量当たりに含まれる金属酸化物抗菌剤の配合量に、測定された第1領域(第2領域)全体の質量を乗じることで、第1領域全体(第2領域全体)における金属酸化物抗菌剤の質量を求める。
次に、表面材全体の質量を測定し、第1領域全体(第2領域全体)における金属酸化物抗菌剤の質量を表面材全体の質量で除した後、100を乗じることで、表面材全体に対する第1領域(又は第2領域)に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合(質量%)を算出する。
【0063】
[金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法]
上層が繊維成分として金属酸化物抗菌剤配合繊維のみを含む場合、金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合は、上述の「表面材の各部の単位質量当たりの金属酸化物抗菌剤の配合量の算出方法」に従って算出することができる。具体的に、上層の1g(単位質量)当たりの金属酸化物抗菌剤の配合量を算出し、これに100を乗じることで、上層に占める金属酸化物抗菌剤の割合(%)を算出することができる。上層の全体が金属酸化物抗菌剤配合繊維で構成される場合は、この割合を金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合とすることができる。
なお、上層における金属酸化物抗菌剤配合繊維の存在は、上述のように、切断面の観察により把握することができる。なお、上層は、金属酸化物抗菌剤配合繊維のみで構成される例に限定されず、金属酸化物抗菌剤が配合されていない金属酸化物抗菌剤非配合繊維が含まれていてもよい。
【0064】
[金属酸化物抗菌剤の溶解度の測定方法]
金属酸化物抗菌剤5gを100mlの水に加えて、室温(25℃)にて300rpmで30分間攪拌する。これとは別に、ろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の初期質量とする。
質量測定したろ紙を用いて、攪拌後の溶液をろ過し、該ろ紙を乾燥機にて40℃、2時間乾燥させる。乾燥後のろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の乾燥後質量とする。そして、下記式により溶解度を算出する。
溶解度(g)=5(g)―{(ろ紙の乾燥後質量)(g)-(ろ紙の初期質量)(g)}
このようにして算出した溶解度が大きいほど、水に対する溶解性が大きいことを表し、該溶解度が小さいほど、水に対する溶解性が小さいことを表す。
【0065】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
上述の実施形態では、吸収体が、スリット等の変形誘導部を一対備える例について説明したが、吸収体が、3以上の変形誘導部を有していてもよい。例えば、吸収体が、横方向Y中央部に1つの中央変形誘導部と、中央変形誘導部を挟んで配置された一対の側部変形誘導部と、を有している場合には、一対の側部変形誘導部を、上述の「一対の変形誘導部」とみなして、中央領域とサイド領域を画定するものとする。また、吸収体が、縦中心線を挟んで2対以上の変形誘導部を有している場合には、最も横方向Y外側(側縁部側)に位置する一対の変形誘導部を、上述の「一対の変形誘導部」とみなして、中央領域とサイド領域を画定するものとする。
【0067】
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品としてパンツ型の使い捨ておむつの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、例えば、展開型の使い捨ておむつ、使い捨て生理用ショーツ(パンツ型生理用吸収性物品)、尿取りパット、おりものシート、生理用ナプキン等であってもよい。
【0068】
また、例えば芯鞘型からなる金属酸化物抗菌剤配合繊維において、鞘部に金属酸化物抗菌剤が練り込まれるのに加え、例えば芯部に酸化チタン等の光散乱物質が練り込まれていてもよい。これにより、吸収後の液状排泄物(尿、軟便、血液等)による汚れが肌側表面から見えにくい(隠蔽性が高い)表面材とすることができる。
【0069】
また、上述の各実施形態において、金属酸化物抗菌剤配合繊維に金属酸化物抗菌剤以外の界面活性剤・有機化合物などの抗菌剤が含まれていてもよい。
【0070】
また、金属酸化物抗菌剤配合繊維にスキンケア剤が含まれていてもよい。
スキンケア剤としては、疎水性スキンケア剤、親水性スキンケア剤等を用いることができる。
【0071】
疎水性スキンケア剤とは、水溶性及び水分散性を有さないか、また極めて溶解性が低い疎水性成分のことであり、且つ着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有する組成物又は化合物のことである。より具体的には、疎水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量が1g未満のものを言い、好ましくは、0.1g以下の溶解量のものであり、特に好ましくは完全に溶解しないものである。
疎水性スキンケア剤としては、炭素鎖長12~28の脂肪酸又は該脂肪酸とグリセリンのエステル化合物や、ワックス、ワセリン等が挙げられ、特に、炭素差長12~28の不飽和脂肪酸又は該不飽和脂肪酸のグリセリンエステル化合物を含むことが好ましい。当該グリセリンエステルは、グリセリンと前述の不飽和脂肪酸のモノエステル、ジエステル又はトリエステルであるが、特に、トリエステルであることが好ましい。脂肪酸又は脂肪酸化合物を含む剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分が好ましく使用できる。特に、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保ち乾燥を防ぎ、スキンケア剤として機能する。また、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多くふくみ、活性酸素除去力が強く、例えば日焼けによる肌のダメージを軽減させることができる。
【0072】
一方、親水性スキンケア剤とは、水溶性又は水分散性を有する親水性成分のことであり、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、又は当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。より具体的には、親水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量又は分散量が1g以上のものを言い、好ましくは、5g以上の溶解量又は分散量のものであり、より好ましくは、1g以上溶解するもの、一層好ましくは5g以上溶解するもので、最も好ましいのは、完全に溶解するものである。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリスエキス等の天然物抽出成分や炭鎖数が2~4の多価アルコール、ポリエチレングリコール、スキンケア等の機能を有する親水性化合物等を用いることができる。
これらの中でも、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有することから好ましい。表面材に供給された液に親水性成分である桃の葉エキスがとけ、肌に移行することによりスキンケア効果が生じる。
炭鎖数が2~4の多価アルコールは、親水性成分であり、典型的には、1,3-ブチレングリコールである。1,3-ブチレングリコールを用いることにより、保湿効果と潤滑性が向上する。潤滑性が向上することにより、肌と不織布との摩擦を低減することができ、肌へのダメージが抑制される。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保つ。1,3-ブチレングリコールは、保湿剤として用いられる他、溶剤としても用いられる。例えば、桃の葉エキスをスキンケア剤として用いる場合、桃の葉エキスの溶剤として1,3-ブチレングリコールを用いることができる。尚、ここでは、1,3-ブチレングリコールを例にあげたが、炭鎖数が2~4の多価アルコールであれば同様の効果を示し、例えばプロピレングリコールを用いてもよい。プロピレングリコールも桃の葉エキス(親水性エキス)の抽出溶媒として用いることができる。
【0073】
本発明は以下の構成をとることもできる。
<1>
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に直交する横方向と、を有し、かつ、前記縦方向に沿って、腹側領域と、股下領域と、背側領域と、に区分された吸収性物品であって、
前記腹側領域、前記股下領域及び前記背側領域にわたって配置された吸収体と、
前記吸収体の肌側に位置する表面材と、を備え、
前記吸収体は、
前記股下領域において前記縦方向にそれぞれ延び、前記横方向中央を挟んで配置された一対の変形誘導部と、
前記一対の変形誘導部の間に位置する中央領域と、
前記中央領域の前記横方向外側に位置するサイド領域と、を有し、
前記表面材は、
平面視において前記中央領域と重なり、金属酸化物抗菌剤を含有する金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む第1領域と、
前記第1領域の前記横方向外側に位置し、前記第1領域よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない第2領域と、を含む
吸収性物品。
<2>
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、前記金属酸化物抗菌剤が繊維に練りこまれたものである
<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記表面材全体に対する前記第1領域に含まれる前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.004質量%以上であり、
前記表面材全体に対する前記第2領域に含まれる前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.5質量%未満である
<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤が練りこまれた金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第1領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%以上であり、
前記表面材全体の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める前記第2領域の前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%未満である
<1>から<3>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<5>
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部にのみ前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
<1>から<4>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<6>
前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.05質量%以上2.5質量%以下である
<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記金属酸化物抗菌剤は酸化亜鉛である
<1>から<6>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<8>
前記表面材全体に対する前記第1領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.004質量%以上である
<1>から<7>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<9>
前記表面材全体に対する前記第2領域に含まれる金属酸化物抗菌剤の割合は、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である
<1>から<8>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<10>
前記吸収体は、吸収性コアを有し、
前記一対の変形誘導部各々は、前記吸収性コアのスリット又は低坪量部からなる
<1から<9>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<11>
前記第1領域は、平面視において、前記中央領域から前記横方向外側に延出しており、
前記第2領域は、平面視において、前記吸収体の前記横方向における側縁部と重なる
<1>から<10>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<12>
前記表面材は、
前記金属酸化物抗菌剤を含む上層と、前記上層よりも前記金属酸化物抗菌剤の配合量が少ない下層と、を含み、
前記第1領域は、前記上層を含み、
前記第2領域は、前記下層を含み、前記上層を含まない
<1>から<11>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<13>
前記第1領域は、前記上層と前記下層とが平面視において重なった重複領域を含む
<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記第1領域は、前記重複領域により構成される
<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記第1領域は、前記上層を含み、前記下層を含まない非重複領域を含む
<12>又は<13>に記載の吸収性物品。
<16>
前記上層の全体に占める前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100%である
<12>から<15>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<17>
前記下層の全体に占める前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは0%である
<12>から<16>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<18>
前記吸収体は、
前記サイド領域に配置され、前記縦方向に延びる弾性部材をさらに有する
<1>から<17>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B…使い捨ておむつ(吸収性物品)
2,2A…表面材
21,21A…第1領域
22…第2領域
4,4B…吸収体
42…変形誘導部
43…中央領域
44…サイド領域
A…腹側領域
B…背側領域
C…股下領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9