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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】包被食品の成形方法および成形装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/25 20160101AFI20240513BHJP
   A23P 20/20 20160101ALI20240513BHJP
   A21C 11/16 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A23P30/25
A23P20/20
A21C11/16 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022154308
(22)【出願日】2022-09-28
(65)【公開番号】P2023051830
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2021162087
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115924
【氏名又は名称】レオン自動機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】笹川 淳
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-208524(JP,A)
【文献】特開2002-45109(JP,A)
【文献】特開2008-178391(JP,A)
【文献】特開平8-112056(JP,A)
【文献】特開平9-168379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 30/25
A23P 20/20
A21C 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包被食品の成形方法であって、
内包材の周囲を外皮材で覆った棒状食品を、複数のシャッタ片を有するシャッタの上方から供給する供給工程と、
前記シャッタ片に囲まれて形成されるシャッタ開口部を閉じ動作することにより、前記シャッタで前記棒状食品の切断箇所の外皮材を周方向から中央に寄せて前記内包材を上下に分離するように縮径する第1閉じ工程と、
前記シャッタの閉じ動作を所定時間停止し、中央に寄せた前記外皮材を結着させる中間停止工程と、
前記シャッタの閉じ動作を再開して、前記棒状食品を前記切断箇所で切断して前記内包材を前記外皮材で包んだ包被食品に成形する第2閉じ工程と、を含むことを特徴とする、包被食品の成形方法。
【請求項2】
前記第2閉じ工程において、前記シャッタは下面の中央に凹部が形成されることを含み、前記シャッタは前記凹部により前記包被食品の上部に突状部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第2閉じ工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を拡大しながら下降して前記包被食品の上部に突状部を形成することを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項4】
前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程のうちの少なくとも一つの工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を拡大しながら下降することを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項5】
前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程のうちの少なくとも一つの工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を維持しながら下降することを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項6】
前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を任意に変更しながら下降することを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項7】
前記中間停止工程における前記シャッタ開口部の大きさおよび/または前記所定時間の長さを調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項8】
第1閉じ工程における前記シャッタの閉じ速度と第2閉じ工程における前記シャッタの閉じ速度を個別に調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の成形方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法を実施する成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包被食品の成形方法および成形装置に関し、さらに詳細には、内包材の周囲を外皮材で覆った棒状食品から包被食品を切断成形する成形方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包被食品を成形する方法及び装置は、これまでに様々な提案がされている。
【0003】
特許文献1は、カッター体を駆動する制御モータの回転角度、回転速度等を制御器で制御することで、多層包被食品を製造する方法及び装置を開示している。整形切断ゲートの開閉速度を多層棒状食品の材質等に応じて調整可能とし、棒状食品の周囲の締め括り時の棒状食品の中心部への外皮材移動量を任意に調整できる。
【0004】
特許文献2に開示された装置は、開閉自在なシャッタを備えた包被切断装置と、受け部材と、シャッタ開閉用の第1制御モータと、包被切断装置及び受け部材の上下用の第2制御モータを備えた包あん機である。シャッタ開閉動作を予めパターン化してあり、シャッタの開閉動作パターン及び上下動の動作パターンを容易に変更可能な包あん機である。
【0005】
特許文献3は、連続的に押し出される棒状食品をシャッタにより任意の括れ形状に成形する方法及び装置を開示している。シャッタは、棒状食品の括れた部位以外の部分を切断することにより成形食品を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平08-112056号公報
【文献】特開2002-045109号公報
【文献】特開平06-178679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1又は特許文献2に記載された装置で、ドーナッツやパン等の発酵生地を外皮材として、餡やカレーフィリング等の内包材を覆った棒状食品を切断して包被食品を成形すると、成形時は包被食品の切断面は外皮材が結着している。しかし、成形後の発酵工程で切断部位の外皮材の結着部分が外皮材の膨張等の要因で開いて包被食品の表面に凹みが生じる。さらに、包被食品を油調すると、その凹みの部分だけ白く残ってしまい、外観を損ねるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の様な問題を解決するためのもので、棒状食品から包被食品を切断成形する際に、切断部位における外皮材の結着を強固にすることができる新しい成形方法及び成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、包被食品の成形方法であって、内包材の周囲を外皮材で覆った棒状食品を、複数のシャッタ片を有するシャッタの上方から供給する供給工程と、前記シャッタ片に囲まれて形成されるシャッタ開口部を閉じ動作することにより、前記シャッタで前記棒状食品の切断箇所の外皮材を周方向から中央に寄せて前記内包材を上下に分離するように縮径する第1閉じ工程と、前記シャッタの閉じ動作を所定時間停止し、中央に寄せた前記外皮材を結着させる中間停止工程と、前記シャッタの閉じ動作を再開して、前記棒状食品を前記切断箇所で切断して前記内包材を前記外皮材で包んだ包被食品に成形する第2閉じ工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記第2閉じ工程において、前記シャッタは、下面の中央に凹部が形成されることを含み、前記シャッタは、前記凹部により前記包被食品の上部に突状部を形成することを特徴とする。
【0011】
また、前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第2閉じ工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を拡大しながら下降して前記包被食品の上部に突状部を形成することを特徴とする。
【0012】
また、前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程のうちの少なくとも一つの工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を拡大しながら下降することを特徴とする。
【0013】
また、前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、 前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程のうちの少なくとも一つの工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を維持しながら下降することを特徴とする。
【0014】
また、前記棒状食品の先端又は前記包被食品を支持部材で下方から支持することを含み、前記第1閉じ工程と、前記中間停止工程と、前記第2閉じ工程において、前記支持部材は前記シャッタとの間隔を任意に変更しながら下降することを特徴とする。
【0015】
また、前記中間停止工程における前記シャッタ開口部の大きさおよび/または前記所定時間の長さを調整可能であることを特徴とする。
【0016】
また、第1閉じ工程における前記シャッタの閉じ速度と第2閉じ工程における前記シャッタの閉じ速度を個別に調整可能であることを特徴とする。
【0017】
また、上記の何れかを実施する成形装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外皮材で内包材を覆った棒状食品から包被食品を切断成形する際に、切断部位の外皮材の結着を強固にすることができる。さらに、包被食品の上部に突状部を形成するように包被切断することができる。従って、包被食品の切断部位に凹みが生じてしまうことが防止でき、外観が良好な製品を安定して製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る成形装置の概略的な正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る成形装置の概略的な左側面の部分断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る成形装置の概略的な右側面の部分断面図である。
図4】本発明の切断工程の1サイクルを示したタイムチャートである。
図5】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS0のタイミングの概略部分断面図である。
図6】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS0とS1の間のタイミングの概略部分断面図である。
図7】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS1のタイミングの概略部分断面図である。
図8】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS2のタイミングの概略部分断面図である。
図9】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS3のタイミングの概略部分断面図である。
図10】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS4のタイミングの概略部分断面図である。
図11】本発明の切断工程の概略断面図であり、図4のS5のタイミングの概略部分断面図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る成形装置の概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る成形装置1を、図1乃至図3を参照して説明する。成形装置1を、内包材Fの周囲を外皮材Dで覆った棒状食品PBを切断して内包材Fを外皮材Dで包んだ食品(包被食品)Pに成形する装置として説明する。以下の説明において、既に公知の構成についての詳細な説明は省略する。
【0021】
成形装置1は、箱型のフレーム2と、供給装置3と、シャッタ装置5と、支持装置7と、搬送コンベヤ8と、制御装置9を備える。
【0022】
供給装置3は、フレーム2の上部に配置された内包材Fの供給装置11と、外皮材Dの供給装置13を備え、フレーム2の正面側(図1における手前側)上部に重合ノズル15を備える。内包材Fの供給装置11は、ホッパ11Aと、ホッパ11Aの内側底部に回転自在に配置されたスクリュー(図示せず)と、ポンプ11Bと、スクリューを駆動するスクリュー駆動用モータM1と、ポンプ11Bを駆動するポンプ駆動用モータM2を備える。外皮材Dの供給装置13は、略円錐形のホッパ13Aと、ホッパ13Aの内側に回転自在に配置されたスクリュー(図示せず)と、ポンプ13Bと、スクリューを駆動するスクリュー駆動用モータM3と、ポンプ13Bを駆動するポンプ駆動用モータM4を備える。 重合ノズル15はポンプ11Bとポンプ13Bの間に配置され、内包材Fの周囲を外皮材Dで覆った棒状食品PBを下方向に供給する。重合ノズル15は供給出口にノズル15Aを備える。供給装置3の構成は既知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0023】
シャッタ装置5は、重合ノズル15の下方に配置され、重合ノズル15のノズル15Aから下方向に供給される棒状食品PBを切断して食品Pにする装置である。シャッタ装置5は、シャッタ17と、シャッタ17を開閉動作するシャッタ開閉駆動機構19と、シャッタ17を上下動するシャッタ上下駆動機構21を備える。
シャッタ17は複数のシャッタ片17Aを有する。シャッタ片17Aは、成形面17Bを含み、成形面17Bはシャッタ片17Aの厚さ方向の中間に凸状部を形成している。シャッタ片17Aは環状に配置され、シャッタ片17Aの成形面17Bでシャッタ開口部17Cを形成する。シャッタ17(シャッタ片17A)を開閉動作することでシャッタ開口部17Cが開閉する。複数のシャッタ片17Aの先端がシャッタ開口部17Cの中央に集合することで、シャッタ開口部17Cが閉鎖する。
【0024】
開閉駆動機構19は、サーボモータ等の開閉駆動用制御モータM5と、モータM5の出力軸に取り付けられるリンク19Aと、リンク19Aの先端に回転自在に取り付けられるロッド19Bと、シャッタ片17Aを環状に配置し開閉自在に保持するシャッタ開閉装置19Cと、モータM5とギヤで連結されモータM5の回転角度を検知するエンコーダ19Dを備える。モータM5を往復動することによって、リンク19Aとロッド19Bを介して、シャッタ17(シャッタ片17A)を開閉動作させて、シャッタ開口部17Cを開閉するように構成される。
上下駆動機構21は、サーボモータ等の上下駆動用制御モータM6とクランク機構(図示なし)を備え、上下駆動用制御モータM6を一定方向に回転させることによって、シャッタ17及び開閉駆動機構19を、クランク機構を介して上下動(上下に往復動)させるように構成される。また、上下駆動用制御モータM6の出力軸には、シャッタ装置5が上下の往復動の上昇端にあることを感知する近接センサ等のセンサ(図示なし)が配置され、モータM6とギヤで連結されモータM6の回転角度を検知するエンコーダ21Aを備える。シャッタ装置5の構成は既知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0025】
支持装置7は、シャッタ17の下方に配置され、供給される棒状食品PBの先端又は棒状食品PBから切断される食品Pを下方から支持する支持部材23と、支持部材23を上下動(上下に往復動)させる支持部材上下機構25を備える。
支持部材上下機構25は、制御電動アクチュエータM7と、フレーム2の正面側下部に配置された軸受25Aと、軸受25Aに上下動自在に支持された円柱状の2本のシャフト25Bと、制御電動アクチュエータM7のシャフトの先端に取り付けられたフランジ25Cを備える。制御電動アクチュエータM7を駆動してシャフトを伸縮させることによって、2本のシャフト25B、フランジ25C、及び支持部材23は、一体的に上下動するように構成されている。支持装置7の構成は既知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0026】
搬送コンベヤ8は、シャッタ17の下方に配置され、食品Pを搬送方向Rに搬送する装置であり、第1ベルトコンベヤ27と、搬送方向Rに対して第1ベルトコンベヤ27の下流側に配置される第2ベルトコンベヤ29を備える。
第1ベルトコンベヤ27は、無端状の第1ベルト27Aと、第1ベルト27Aを駆動する駆動プーリ27Bと、コンベヤプレート27Cと、第1ベルト駆動用制御モータM8を備える。第1ベルト27Aは、駆動プーリ27Bと、コンベヤプレート27Cと、支持部材23に掛け回される。つまり、支持部材23は、第1ベルト27Aを介して棒状食品PBの先端又は食品Pを下方から支持する。制御モータM8は、駆動プーリ27Bを介して第1ベルト27Aを駆動する。
第2ベルトコンベヤ29は、無端状の第2ベルト29Aと、第2ベルト29Aを駆動する駆動プーリ29Bと、コンベヤプレート29Cと、第2ベルト駆動用制御モータM9を備える。第2ベルト29Aは、駆動プーリ29Bと、コンベヤプレート29Cに掛け回される。制御モータM9は、駆動プーリ29Bを介して第2ベルト29Aを駆動する。
搬送コンベヤ8の構成は既知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0027】
制御装置9は、コンピュータ等を備え、入力部9Aと、演算部9Bと、動作制御部9Cと、記憶部9Dと、表示部9Eを含む。制御装置9は、シャッタ装置5の開閉駆動用制御モータM5と、支持装置7の制御電動アクチュエータM7と、第1ベルト駆動用制御モータM8と、第2ベルト駆動用制御モータM9を、シャッタ装置5の上下駆動用制御モータM6の回転駆動に同期して駆動するように構成される。
【0028】
次に、成形装置1の動作について図1乃至図4を参照して説明する。
本明細書では、図4に示すように、切断工程の1サイクルを360度で説明する。シャッタ17は、上下動開始タイミングS0である0度にあるときに上昇端(センサの感知位置)にあり、その後に下降を開始して、上下動開始タイミングS0から180度進んだタイミングS5のときに下降端にあり、それから上昇して、上下動開始タイミングS0から360度進んだ上下動終了タイミングS8のときに再び上昇端にある。つまり上下動開始タイミングS0と上下動終了タイミングS8は、1サイクルの同じタイミングである。
【0029】
シャッタ17の開閉動作について図4を参照して説明する。
シャッタ17は、一つ前のサイクルの閉じ動作開始タイミングS7から閉じ動作を開始するように駆動される。その後、今回のサイクルの上下動開始タイミングS0(0度)を過ぎて90度進んだ閉じ動作停止タイミングS1でシャッタ開口部17Cが所定の中間停止開口径Wとなるように閉じ動作を行い、閉じ動作停止タイミングS1で閉じ動作を停止する。図4に示すように、この上下動開始タイミングS0から閉じ動作停止タイミングS1までの間を第1閉じ工程とする。
【0030】
シャッタ17は、閉じ動作停止タイミングS1で閉じ動作を停止し、上下動開始タイミングS0から120度進んだ閉じ動作開始タイミングS2まで閉じ動作停止状態を維持する。図4に示すように、この閉じ動作停止タイミングS1から閉じ動作開始タイミングS2までの間を中間停止工程とする。
【0031】
シャッタ17は、閉じ動作開始タイミングS2で閉じ動作を再開し、シャッタ開口部17Cが閉鎖する閉じ動作完了タイミングS3(上下動開始タイミングS0から140度進んだタイミング)まで閉じ動作を行う。図4に示すように、この閉じ動作開始タイミングS2から閉じ動作完了タイミングS3までの間を第2閉じ工程とする。
シャッタ17の第1閉じ工程の閉じ動作速度は、第2閉じ工程の閉じ動作速度と同じ速度に設定されている。
【0032】
シャッタ17は、シャッタ開口部17Cが閉鎖した状態で、閉じ動作完了タイミングS3から開き動作開始タイミングS4(上下動開始タイミングS0から160度進んだタイミング)まで開閉動作を停止し、開き動作開始タイミングS4で開き動作を開始する。その後、開き動作完了タイミングS6まで開き動作を行い、閉じ動作開始タイミングS7で次の閉じ動作を開始する。
【0033】
次に、支持部材23の上下動の動作について図4を参照して説明する。
支持部材23の上下位置は食品Pの重量や大きさ、所望の成形形状によって決まるものであり、それらの条件を考慮して制御装置9の入力部9Aに値を入力する。入力された値に基づいて演算部9Bで演算し、その演算結果に基づいて動作制御部9Cが制御電動アクチュエータM7を駆動し、支持部材上下機構25を介して支持部材23を上下動する。
支持部材23は、上下動開始タイミングS0で上昇端にある。その後、閉じ動作停止タイミングS1まで(第1閉じ工程)、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lを所定の割合で拡大しながら下降する。
その後、支持部材23は、閉じ動作停止タイミングS1から開き動作開始タイミングS4まで(中間停止工程、及び第2閉じ工程)、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lを閉じ動作停止タイミングS1のときの間隔に維持しながら下降する。
その後、支持部材23は、開き動作開始タイミングS4からタイミングS5で、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lを拡大しながら下降し、タイミングS5で上下動の下降端に下がる。
その後、支持部材23は、閉じ動作開始タイミングS7を過ぎた後、上昇を開始し、S8までの間に上昇端まで上昇する。
【0034】
次に、本発明の第1の実施形態に係る成形装置1による食品Pの成形工程について、図4乃至図11を参照して説明する。本実施形態では、例えば、外皮材Dをドーナッツ生地、内包材を餡、食品Pをあんドーナッツとして説明する。
【0035】
供給装置11のホッパ11Aに内包材F(餡)を投入し、ホッパ11A内部のスクリューとポンプ11Bを駆動して、内包材Fをホッパ11Aからポンプ11Bを経由して重合ノズル15に移送する。供給装置13のホッパ13Aに外皮材D(ドーナッツ生地)を投入し、ホッパ13A内部のスクリューとポンプ13Bを駆動して、外皮材Dをホッパ13Aからポンプ13Bを経由して重合ノズル15に移送する。ポンプ11Bより移送された内包材Fとポンプ13Bより移送された外皮材Dは、重合ノズル15の内部で内包材Fの周囲を外皮材Dで覆った棒状食品PBを形成する。棒状食品PBはノズル15Aから吐出され、重合ノズル15の下方に配置されたシャッタ17のシャッタ片17Aで形成されたシャッタ開口部17Cへ上方から供給される(供給工程)。
【0036】
次に、棒状食品PBから食品Pを切断する切断工程について説明する。
図5は、図4における上下動開始タイミングS0の状態を示した概略図である。
上下動開始タイミングS0は、第1閉じ工程の開始タイミングであり、シャッタ17と支持部材23は上昇端にある。シャッタ17は今回のサイクルの一つ前のサイクルの閉じ動作開始タイミングS7から閉じ動作を開始していて、上下動開始タイミングS0では閉じ動作の途中である。そのため、シャッタ開口部17Cは全開から閉じている途中で、棒状食品PBの外周には接していない状態である。このとき、棒状食品PBの先端は、第1ベルト27Aを介して支持部材23に下方から支持されている。
【0037】
図6は、図4において上下動開始タイミングS0とタイミングS1の中間での状態を示した概略図である。
シャッタ17と支持部材23は、上昇端から下降している途中であり、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lは、上下動開始タイミングS0の状態(図5の状態)から所定の割合で拡大している。シャッタ17は閉じ動作を継続していて、成形面17Bは棒状食品PBの周面の切断箇所に接し、この切断箇所の外皮材Dを周方向から中央に向かって寄せて、内包材Fを上下に分離するように縮径する。
第1閉じ工程では、シャッタ17の閉じ速度は比較的遅い速度であり、外皮材Dを比較的ゆっくりと中央に向かって寄せていく。そのため、外皮材Dの厚さがほぼ均一のままで内包材を上下に分離することができる。
【0038】
図7は、図4におけるタイミングS1の状態を示した概略図である。
タイミングS1は、上下動開始タイミングS0から90度進んでいて、第1閉じ工程の終了タイミングであり中間停止工程の開始タイミングでもある。シャッタ17は上昇端から下降して、シャッタ17の上下ストロークの中間にいる状態である。支持部材23も下降している途中であり、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lは、上下動開始タイミングS0の状態から所定の割合で拡大している。シャッタ17の閉じ動作は、シャッタ開口部17Cの開口径が所定の中間停止開口径Wまで閉じている状態である。成形面17Bは棒状食品PBの周面の切断箇所をさらに縮径し、この切断箇所の外皮材Dを周方向から中央に向かって寄せて内包材Fを上下に分離し、寄せられた外皮材Dを結着させる。このタイミングS1の状態で、シャッタ17の閉じ動作は一旦停止する。
上記の第1閉じ工程(図6及び図7)において、シャッタ開口部17Cを閉じていくことによって、シャッタ17の成形面17Bに囲まれた空間にある棒状食品PB(外皮材Dと内包材F)は、シャッタ17の上下に押し出される。このときシャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lは、所定の割合で拡大しているので、シャッタ17の下方に(つまり食品Pの上部に)棒状食品PB(主に外皮材D)が過度な圧力を受けずに無理なく押し出される。
【0039】
図8は、図4におけるタイミングS2の状態を示した概略図である。
タイミングS2は、上下動開始タイミングS0から120度進んでいて、中間停止工程の終了タイミングであり、第2閉じ工程の開始タイミングでもある。シャッタ17はタイミングS1からさらに下降していて、支持部材23も下降している途中である。シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔LはタイミングS1のときの間隔を維持している。シャッタ17の閉じ動作は図4のタイミングS1(図7の状態)で停止した状態を維持しており、シャッタ開口部17Cの開口径の所定の中間停止開口径Wは変わらない。
タイミングS1からタイミングS2までの間の中間停止工程では、シャッタ17の閉じ動作は停止しているので、中央に寄せられシャッタ17の成形面17Bに囲まれた空間に残留し結着している外皮材Dは結着が強固になる。
さらに、中間停止工程の間、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lは、タイミングS1のときの間隔を維持しており、支持部材23が食品Pを下方から支持していて、食品Pの上部の外皮材Dが引き延ばされることが防止できるので、外皮材Dは結着が強固になる。
【0040】
図9は、図4におけるタイミングS3の状態を示した概略図である。
タイミングS3は、上下動開始タイミングS0から140度進んでいて、第2閉じ工程の終了タイミングである。シャッタ17はタイミングS2からさらに下降していて、支持部材23も下降している途中であり、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔LはタイミングS2のときの間隔を維持している。シャッタ17の閉じ動作は図4のタイミングS2から再開し、タイミングS3でシャッタ開口部17Cは閉鎖し、外皮材Dは切断される。
詳細には、このときシャッタ17の成形面17Bの凸状部はシャッタ開口部17Cが閉鎖しているため、外皮材Dは切断されているが、シャッタ17の上面と下面は閉じていない状態であり、シャッタ17の上面と下面の中央には凹部が形成されている。このシャッタ17の下面の中央に形成される凹部17Dに残留している外皮材Dが食品Pの上部の突状部PTとなる。従って、第2閉じ工程で突状部PTを形成することができる。
【0041】
図10は、図4におけるタイミングS4の状態を示した概略図である。
タイミングS4は、シャッタ17は上下動開始タイミングS0から160度進んだ状態である。シャッタ17は閉じ動作完了タイミングS3からさらに下降していて、支持部材23も下降している途中であり、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔LはタイミングS3のときの間隔を維持している。シャッタ17の閉じ動作はタイミングS3の状態を維持している。そのため、シャッタ17の下面の中央に形成される凹部17Dに残留している外皮材D(食品Pの上部の突状部PT)は結着が強固になる。
このタイミングS4からシャッタ17の開き動作が開始する。シャッタ17の開き動作に合わせて支持部材23の下降速度が大きくなり、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lは拡大する。
このように支持部材23が動作し、シャッタ17の下面と食品Pの上部が離反することで、シャッタ17が開き動作するときに食品Pの上部の外皮材Dが結着した切断部位をシャッタ17の下面で拡げてしまうことを防止する。
【0042】
図11は、図4におけるタイミングS5の状態を示した概略図である。
タイミングS5は、シャッタ17は上下動開始タイミングS0から180度進んで下降端の状態である。支持部材23はタイミングS4から下降速度を大きくして下降端まで下降している。シャッタ17は開き動作の途中であり、シャッタ開口部17Cが開いている途中である。
【0043】
図4のタイミングS5からタイミングS8の180度から360度までの間に、シャッタ17は下降端から上昇端まで上昇し、また、シャッタ17はタイミングS6で開き動作を完了しシャッタ開口部17Cは全開状態になる。その後、閉じ動作開始タイミングS7でシャッタ17は次の閉じ動作を開始する。
タイミングS5を過ぎたタイミングで、支持部材23に掛け回されている第1ベルト27Aと第2ベルト29Aを駆動して、第1ベルト27Aを介して支持部材23に支持されている食品Pを搬送方向Rに搬送する。食品Pが第1ベルト27Aから第2ベルト29Aへ搬送された後、支持部材23は上昇を開始し、タイミングS8までの間に上昇端まで上昇する。
【0044】
上記の様な工程で切断成形を行うことで、食品Pの上部の切断部位の外皮材Dの結着を強固にすることができるので、切断成形後の発酵工程で食品Pの上部に凹みが生じ、その後の油調でその凹みの部分が白く残ってしまい、外観を損ねることが防止できる。
【0045】
本実施形態では、第1閉じ工程と第2閉じ工程におけるシャッタ17の閉じ動作速度は同じ速度として説明したが、シャッタ17の閉じ動作速度は各工程で個別に調整可能である。例えば、第1閉じ工程より第2閉じ工程のシャッタ17の閉じ動作速度を速くすることも可能であるし、遅くすることも可能である。また、中間停止開口径WやS1乃至S7の各タイミングも適宜に調整することが可能である。
【0046】
さらに、タイミングS3でシャッタ開口部17Cは閉鎖した状態であると説明したが、シャッタ開口部17Cが閉じ切らない状態で閉じ動作を停止してもよく、棒状食品PBを切断することができればよいものである。また、タイミングS3では、シャッタ17の下面の先端部が全閉した状態としてもよく、全閉から行き過ぎて、シャッタ17の下面の先端部がオーバーラップした状態としてもよい。
タイミングS3でシャッタ17の下面が全閉するように動作する場合、第2閉じ工程でシャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lを拡大しながら下降させることで、食品Pの上部に突状部PTを形成することも可能である。この場合、シャッタ開口部17Cが閉じるに従って下方に押し出される外皮材Dが適切な形状の突状部PTとなるように支持部材23の下降速度とシャッタ17の閉じ速度を調整する。
【0047】
上記の実施形態の説明では、支持部材23は、第1閉じ工程では、シャッタ17の下面と支持部材23の上面の間隔Lを所定の割合で拡大しながら下降し、中間停止工程と第2閉じ工程では、間隔Lを維持しながら下降するように説明したが、食品Pの重量が小さい場合は、第1閉じ工程から第2閉じ工程まで間隔Lを維持しながら成形することも可能である。重量が小さい場合、押し出される生地が少ないので、間隔Lが拡大すると、切断時に外皮材Dを引き延ばし過ぎてしまうため、製品重量が安定せず、突状部が尖りすぎてしまう傾向になる。そのため、間隔Lを維持したまま成形した方が、製品頭部の突状部の形状が良好になり、安定して成形が行える。
【0048】
さらに、第1閉じ工程と中間停止工程と第2閉じ工程で間隔Lを所定の割合で拡大しながら成形することも可能である。間隔Lを所定の割合で拡大することにより、外皮材Dが引き延ばされ、突状部が確実に大きく形成され、食品Pの上部に凹が生じることを防止できる。また、上記工程の途中で間隔Lを任意に変えることも可能である。また、支持部材23の上下動速度、上下位置は任意に調整可能である。これらは、外皮材Dや内包材Fの性状に応じて最適な設定に調整でき、最適な動作を選択することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係る成形装置51について、図12を参照して説明する。この説明において、第1の実施形態にて説明した構成と同様の機能を有する構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
第2の実施形態に係る成形装置51は、第1の実施形態の成形装置1の供給装置3を別の供給装置53に置き換えたものである。成形装置51は、成形装置1と同様に、内包材Fを外皮材Dで包んだ食品(包被食品)Pを成形する装置である。成形装置51は、供給装置53と、シャッタ装置5と、支持装置7と、制御装置9を備える。
【0051】
供給装置53は、シート状の外皮材Dを搬送方向Rに搬送する搬送コンベヤ55と、搬送コンベヤ55の上方に配置され且つ内包材Fを外皮材D上に供給する内包材供給装置57と、内包材供給装置57の下流側に配置され且つ内包材を芯材にして外皮材を一方の側方から巻き上げる巻き上げ装置59を備える。それにより、内包材Fの周囲を外皮材Dで覆った棒状食品PBが、搬送コンベヤ55の下流端部から下方向に供給される。シャッタ装置5は、搬送コンベヤ55の下流端部の下方に配置され、支持装置7は、シャッタ装置5の下方に配置される。支持装置7は、直列に配置された2つのコンベヤ、即ち、シャッタ装置5の下方に配置されるコンベヤ41と、その下流に配置される搬送コンベヤ43を備える。支持部材23は、コンベヤ41のコンベヤプレートによって構成される。コンベヤ41(支持部材23)は、支持部材上下機構25によって上下に往復動されるように構成される。
【0052】
第2の実施形態の成形装置51のシャッタ装置5(シャッタ17)と支持装置7の切断工程の動作は第1の実施形態の成形装置1と同様のため、詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態の成形装置51においても、第1の実施形態に係る成形装置1と同様に、シャッタ装置5と支持装置7の動作の制御を行うことによって、食品Pの成形が安定して行える。
【0053】
本発明の実施形態に係る成形装置の説明は概ね上記のとおりであるが、これに限らず特許請求の範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
また、上記の実施形態では、外皮材で内包材を覆った棒状食品を切断して食品を成形するように説明したが、棒状食品は外皮材だけでもよい。この場合でも、成形した食品が後工程の発酵工程において、外皮材の膨張によって切断部位が凹み白く残ってしまうことが防止でき、外観の良好な食品を安定して生産することができる。
【0054】
また、例えば上記の実施形態のシャッタ開閉動作及び支持部材の上下動作を、特許第6453435号のシャッタ装置と支持装置に適用して動作させることで、偏平状の外皮材に載置した内包材を包み込む際に、安定して食品を成形することができる。
【符号の説明】
【0055】
1、51 成形装置
3、53 供給装置
5 シャッタ装置
7 支持装置
8 搬送コンベヤ
9 制御装置
11、57 内包材供給装置
13 外皮材供給装置
15 重合ノズル
17 シャッタ
17A シャッタ片
17B 成形面
17C シャッタ開口部
19 シャッタ開閉駆動機構
21 シャッタ上下駆動機構
23 支持部材
25 支持部材上下機構
27 第1ベルトコンベヤ
29 第2ベルトコンベヤ
D 外皮材
F 内包材
P (包被)食品
PB 棒状食品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12