(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置、プラズマ発生方法、および制御装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/34 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
H05H1/34
(21)【出願番号】P 2022522094
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2020018789
(87)【国際公開番号】W WO2021229633
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】白木 聡一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 慎二
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/123584(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/071839(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/077391(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを発生させる電極を有するプラズマヘッドと、
窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜を有し、当該窒素ガスを前記電極に供給する窒素供給装置と、
前記窒素供給装置に接続され前記窒素ガスと空気との混合ガスを前記プラズマヘッドに供給する混合ガスチューブと、
前記窒素供給装置に接続され前記所定の濃度以上の窒素ガスを前記プラズマヘッドに供給する窒素ガスチューブと、
を備えるプラズマ発生装置
であって、
前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、
前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、を備え、
前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、
第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器を備え、
前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加するプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記窒素供給装置と前記混合ガスチューブの間に前記空気と前記窒素ガスを混合する混合器を備える請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記窒素供給装置と前記混合ガスチューブの間に第1窒素ガス供給路と前記混合ガスを混合する混合器を備える請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記膜により分離された前記窒素ガスは、40L/min~80L/minの流量で前記窒素供給装置から前記電極へ供給される請求項1ないし
請求項3のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記窒素供給装置は、前記膜を内蔵する筒状の部材を有し、
前記筒状の部材は、上下方向に延びる姿勢で配設されており、
前記筒状の部材の上部からエアが供給されることで、前記筒状の部材の下部から前記窒素ガスが排出される請求項1ないし
請求項4のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記窒素供給装置は、
工場で用いられる工場エアから前記窒素ガスを分離し、当該窒素ガスを供給する請求項1ないし
請求項5のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜によって当該窒素ガスを供給する窒素供給装置を用いて窒素ガスと空気との混合ガスを
混合ガスチューブによってプラズマヘッドの電極に供給するとともに、前記窒素供給装置を用いて前記所定の濃度以上の窒素ガスを
窒素ガスチューブによって前記プラズマヘッドの電極に供給することでプラズマを発生させるプラズマ発生方法
であって、
前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、
前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、が配設され、
前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、
第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器が配設されており、
前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加することで、プラズマを発生させるプラズマ発生方法。
【請求項8】
プラズマを発生させる電極が配設されるプラズマヘッドを備えるプラズマ発生装置の制御装置であって、
前記プラズマ発生装置は、
窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜を有し、当該窒素ガスを前記電極に供給する窒素供給装置と、
前記窒素供給装置に接続され前記窒素ガスと空気との混合ガスを前記プラズマヘッドに供給する混合ガスチューブと、
前記窒素供給装置に接続され前記所定の濃度以上の窒素ガスを前記プラズマヘッドに供給する窒素ガスチューブと、
前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、
前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、
を備え、
前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、
前記プラズマ発生装置は、
第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器を備え、
前記窒素供給装置は、前記制御装置に配設されており、
前記制御装置は、
前記プラズマヘッドと別体であり、前記窒素供給装置から前記プラズマヘッドに窒素ガスを供給
し、前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒素を用いてプラズマ処理を行うプラズマ発生装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ発生装置では、下記特許文献に記載されているように、不活性ガスとして窒素を用いてプラズマ処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、窒素を適切に供給可能なプラズマ発生装置などの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、プラズマを発生させる電極を有するプラズマヘッドと、窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜を有し、当該窒素ガスを前記電極に供給する窒素供給装置と、前記窒素供給装置に接続され前記窒素ガスと空気との混合ガスを前記プラズマヘッドに供給する混合ガスチューブと、前記窒素供給装置に接続され前記所定の濃度以上の窒素ガスを前記プラズマヘッドに供給する窒素ガスチューブと、を備えるプラズマ発生装置であって、前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、を備え、前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器を備え、前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加するプラズマ発生装置を開示する。
【0006】
また、本明細書は、窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜によって当該窒素ガスを供給する窒素供給装置を用いて窒素ガスと空気との混合ガスを混合ガスチューブによってプラズマヘッドの電極に供給するとともに、前記窒素供給装置を用いて前記所定の濃度以上の窒素ガスを窒素ガスチューブによって前記プラズマヘッドの電極に供給することでプラズマを発生させるプラズマ発生方法であって、前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、が配設され、前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器が配設されており、前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加することで、プラズマを発生させるプラズマ発生方法を開示する。
【0007】
また、本明細書は、プラズマを発生させる電極が配設されるプラズマヘッドを備えるプラズマ発生装置の制御装置であって、前記プラズマ発生装置は、窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜を有し、当該窒素ガスを前記電極に供給する窒素供給装置と、前記窒素供給装置に接続され前記窒素ガスと空気との混合ガスを前記プラズマヘッドに供給する混合ガスチューブと、前記窒素供給装置に接続され前記所定の濃度以上の窒素ガスを前記プラズマヘッドに供給する窒素ガスチューブと、前記窒素供給装置と第1窒素ガス供給路の間に第2窒素ガス供給路と、前記窒素ガスチューブと第2窒素ガス供給路の間に第3窒素ガス供給路と、を備え、前記第2窒素ガス供給路は前記第1窒素ガス供給路と前記第3窒素ガス供給路に枝分かれするものであり、前記プラズマ発生装置は、第2窒素ガス供給路上に前記膜により分離された前記窒素ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度検出器を備え、前記窒素供給装置は、前記制御装置に配設されており、前記制御装置は、前記プラズマヘッドと別体であり、前記窒素供給装置から前記プラズマヘッドに窒素ガスを供給し、前記酸素濃度検出器を利用して検出される窒素濃度が所定濃度に達した場合に、前記電極に電圧を印加する制御装置を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素ガスを分離する膜を有する窒素供給装置から、電極に窒素ガスが供給される。これにより、電極に窒素を適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】電極及び本体側プラズマ通路の位置においてX方向及びZ方向にプラズマヘッドを切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0011】
図1に示すように、プラズマ装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)である。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に保持された状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて3次元的に移動可能となっている。
【0012】
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源部15A及びプラズマヘッド11へガスを供給するガス供給部15Bを有している。電源部15Aは、電源ケーブル17を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源部15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極73(
図3及び
図4参照)に印加する電圧を変更する。
【0013】
また、ガス供給部15Bは、複数(本実施形態では4本)のガスチューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されており、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガス、キャリアガス、ヒートガスをプラズマヘッド11へ供給する。詳しくは、ガス供給部15Bは、
図2に示すように、ポンプ20と、窒素分離装置22と、エア供給路24と、窒素供給路26と、混合ガス供給路28と、複数の流量調整器30と、混合器32と、酸素濃度検出器34とを有している。ポンプ20は、圧縮空気を送り出すものであり、エア供給路24の一端部に接続されている。なお、圧縮空気は、工場で用いられる工場エアが用いられている。つまり、ポンプ20は、工場エアを発生させるためのものであり、エア供給路24に供給される圧縮空気として、工場エアが利用されている。また、エア供給路24の他端部は、3本に枝分かれしている。そして、枝分かれした3本のエア供給路24のうちの1本目のエア供給路24aが混合器32に接続され、2本目のエア供給路24bが窒素分離装置22に接続され、3本目のエア供給路24cがガスチューブ19dに接続されている。
【0014】
また、窒素分離装置22は、空気、つまり、窒素を含む気体から所定の濃度以上の窒素(以下、「窒素リッチガス」と記載する)を分離する装置であり、
図3に示すように、ハウジング50と分離膜52とにより構成されている。ハウジング50は、概して円筒形状をなし、ハウジング50には、内周面から外周面に貫通する貫通穴54が形成されている。そして、ハウジング50の内部に分離膜52が充填されており、その分離膜52は、中空糸形状の高分子膜とされている。そして、ハウジング50の一端部に、エア供給路24bが接続され、ハウジング50の他端部に、窒素供給路26が接続されている。
【0015】
このような構造により、窒素分離装置22は、ポンプ20から送り出された圧縮空気から窒素リッチガスを分離し、窒素リッチガスを窒素供給路26に供給する。具体的には、ハウジング50の一端部から圧縮空気が送り込まれると、窒素と酸素との分子の大きさの相違に起因して、窒素はハウジング50の内部の分離膜52を軸方向に通過する。一方、酸素はハウジング50の内部の分離膜52を軸方向に通過することができず、径方向に排出される。このため、ハウジング50の一端部から送り込まれた圧縮空気から窒素が分離されて、ハウジング50の他端部から送り出される。なお、ハウジング50に送り込まれる圧縮空気の圧力は、0.5MPaである。また、圧縮空気から窒素が分離された気体、つまり、酸素がハウジング50の貫通穴54から排出される。これにより、所定の濃度以上、例えば、99.9%の濃度の窒素リッチガスが、窒素供給路26に供給される。
【0016】
なお、窒素分離装置22では、ハウジング50の長さ、つまり、ハウジング50に充填される分離膜52の容量などに応じて、分離される窒素リッチガスの濃度が定まる。このため、例えば、99.9%の濃度の窒素リッチガスを分離するためには、1m以上の長さのハウジング50を有する窒素分離装置22が必要となり、窒素分離装置22は、
図1に示すように、制御ボックス15の内部において上下方向に延びる姿勢で配設されている。なお、窒素分離装置22は、ハウジング50の圧縮空気が送り込まれる端部が上方に位置し、ハウジング50のリッチガスが排出される端部が下方に位置するように、配設される。つまり、窒素分離装置22のハウジング50の上部から圧縮空気が供給され、ハウジング50の下部からリッチガスが排出されるように、窒素分離装置22が制御ボックス15の内部に配設されている。
【0017】
また、ハウジング50の外径は244mmであり、長さが1080mmであるため、窒素分離装置22は、制御ボックス15の内部において、上下方向でのスペースをある程度、占有するが、左右方向でのスペースは然程、占有しない。なお、窒素分離装置22では、上述したように、圧縮空気から窒素が分離された気体、つまり、酸素がハウジング50の貫通穴54から排出される。一方で、制御ボックス15からプラズマヘッド11の電極73に電流を供給する電源ケーブル17には、高電圧の電流が流される。このため、支燃性の高い酸素を、高電圧の電流が流される電源ケーブル17から離れた位置に排出するべく、窒素分離装置22は、制御ボックス15の内部において背面側に配設されており、貫通穴54は制御ボックス15の背面に開口している。
【0018】
また、
図2に示すように、窒素分離装置22に接続されている窒素供給路26の端部と反対側の端部は、3本に枝分かれしている。そして、枝分かれした3本の窒素供給路26のうちの1本目の窒素供給路26aが混合器32に接続され、2本目の窒素供給路26がガスチューブ19bに接続され、3本目の窒素供給路26cがガスチューブ19cに接続されている。また、混合器32には、混合ガス供給路28も接続されており、混合器32において、エア供給路24aから供給された圧縮空気と、窒素供給路26aから供給された窒素リッチガスとが混合され、その混合されたガスが混合ガス供給路28に供給される。そして、混合ガス供給路28は、ガスチューブ19aに接続されている。
【0019】
このような構造により、ガス供給部15Bからガスチューブ19aに、圧縮空気と窒素リッチガスとの混合ガスが供給され、ガスチューブ19b,19cに窒素リッチガスが供給され、ガスチューブ19cに圧縮空気が供給される。また、エア供給路24aに流量調整器30aが配置され、窒素供給路26aに流量調整器30bが配置され、窒素供給路26bに流量調整器30cが配置され、窒素供給路26cに流量調整器30dが配置され、エア供給路24cに流量調整器30eが配置されている。これにより、各ガスチューブ19に供給されるガスの流量が調整される。つまり、ガス供給部15Bは、圧縮空気と窒素リッチガスとの混合ガス,窒素リッチガス,圧縮空気等のガスを、流量を調整した状態でプラズマヘッド11に供給する。
【0020】
また、窒素分離装置22に接続されている窒素供給路26の枝分かれしていない箇所に、酸素濃度検出器34が配設されている。これにより、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの窒素濃度を検出することができる。つまり、空気は、窒素,酸素,アルゴン,二酸化炭素を主成分として含んでおり、空気中の窒素は約78%、空気中の酸素は約21%、空気中のアルゴンは約0.9%、空気中の二酸化炭素は約0.03%とされている。このため、空気から分離された窒素リッチガスでは、酸素を除けば殆ど窒素である。そこで、酸素濃度検出器34により検出された酸素濃度を100%から減じた数値が、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの窒素濃度となる。つまり、例えば、酸素濃度検出器34により0.1%の酸素濃度が検出された場合には、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの窒素濃度は、99.9(=100-0.1)%となる。このように、ガス供給部15Bでは、圧縮空気から窒素リッチガスが分離され、その分離された窒素リッチガスの窒素濃度が酸素濃度検出器34により管理されている。
【0021】
また、制御ボックス15は、
図1に示すように、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力により各種の情報を受け付ける。
【0022】
また、プラズマヘッド11は、
図4に示すように、プラズマ生成部60、ヒートガス供給部62等を備えている。プラズマ生成部60は、制御ボックス15のガス供給部15Bから供給された処理ガスをプラズマ化して、プラズマガスを生成する。ヒートガス供給部62は、ガス供給部15Bから供給されたガスを加熱してヒートガスを生成する。本実施形態のプラズマヘッド11は、プラズマ生成部60において生成したプラズマガスを、ヒートガス供給部62によって生成したヒートガスとともに、
図1に示す被処理物Wへ噴出する。プラズマヘッド11には、
図4に示す矢印の方向に上流側から下流側へと処理ガスが供給される。なお、プラズマヘッド11は、ヒートガス供給部62を備えない構成でも良い。即ち、本開示のプラズマ装置は、ヒートガスを用いない構成でも良い。
【0023】
図5及び
図6に示すように、プラズマ生成部60は、ヘッド本体部71、一対の電極73、プラズマ照射部75等を含む。なお、
図5は、一対の電極73及び後述する複数の本体側プラズマ通路111の位置に合わせて切断した断面図であり、
図6は、
図5のAA線における断面図である。ヘッド本体部71は、耐熱性の高いセラミックにより成形されており、そのヘッド本体部71の内部には、プラズマガスを発生させる反応室77が形成されている。一対の電極73の各々は、例えば、円柱形状をなしており、その先端部を反応室77に突出させた状態で固定されている。以下の説明では、一対の電極73を、単に電極73と称する場合がある。また、一対の電極73が並ぶ方向をX方向、プラズマ生成部60とヒートガス供給部62とが並ぶ方向をY方向、円柱形状の電極73の軸方向をZ方向と称して説明する。また、本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する方向である。
【0024】
ヒートガス供給部62は、ガス管81、ヒータ83、連結部85等を備えている。ガス管81及びヒータ83は、ヘッド本体部71の外周面に取り付けられ、
図6に示すカバー87によって覆われている。ガス管81は、ガスチューブ19d(
図2参照)を介して、制御ボックス15のガス供給部15Bに接続されている。これにより、ガス管81には、ガス供給部15Bから空気が供給される。ヒータ83は、ガス管81の途中に取り付けられている。ヒータ83は、ガス管81を流れる空気を温めてヒートガスを生成する。
【0025】
図6に示すように、連結部85は、ガス管81をプラズマ照射部75に連結するものである。プラズマ照射部75がヘッド本体部71に取り付けられた状態では、連結部85は、一端部をガス管81に接続され、他端部をプラズマ照射部75に形成されたヒートガス通路91に接続される。ヒートガス通路91には、ガス管81を介してヒートガスが供給される。
【0026】
図6に示すように電極73の一部の外周部は、セラミックス等の絶縁体で製造された電極カバー93によって覆われている。電極カバー93は、略中空筒状をなし、長手方向の両端部に開口が形成されている。電極カバー93の内周面と電極73の外周面との間の隙間は、ガス通路95として機能する。電極カバー93の下流側の開口は、反応室77に接続されている。電極73の下端は、電極カバー93の下流側の開口から突出している。
【0027】
また、ヘッド本体部71の内部には、反応ガス流路101と、一対のキャリアガス流路103とが形成されている。反応ガス流路101は、ヘッド本体部71の略中央部に設けられ、ガスチューブ19a(
図2参照)を介してガス供給部15Bと接続されている。これにより、反応ガス流路101は、ガスチューブ19aから供給されるガス、つまり、空気と窒素リッチガスとの混合ガスを反応室77へ流入させる。また、一対のキャリアガス流路103は、X方向において反応ガス流路101を間に挟んだ位置に配置されている。一対のキャリアガス流路103は、ガスチューブ19b,19c(
図2参照)を介してガス供給部15Bと接続されている。これにより、ガスチューブ19b,19cから供給される窒素リッチガスが、キャリアガス流路103に供給される。そして、キャリアガス流路103は、ガス通路95を介して窒素リッチガスを反応室77へ流入させる。
【0028】
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できるため、ガス供給部15Bは、ガスチューブ19aを介して、反応ガス流路101に、空気と窒素リッチガスとの混合ガスを供給し、反応室77の電極73の間に流入させる。以下、この混合ガスを、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。また、キャリアガスとしては、窒素を採用できるが、所定の濃度以上の窒素が必要である。このため、ガス供給部15Bは、ガスチューブ19b,19cを介して、キャリアガス流路103に、窒素リッチガスを供給し、ガス通路95の各々から、1対の電極73の各々を取り巻くように窒素リッチガスを流入させる。以下、この窒素リッチガスを、便宜的にキャリアガスと呼ぶ場合がある。
【0029】
一対の電極73には、制御ボックス15の電源部15Aから交流の電圧が印加される。電圧を印加することによって、例えば、
図5に示すように、反応室77内において、一対の電極73の下端の間に、擬似アークAが発生する。この擬似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、一対の電極73は、擬似アークAの放電を発生させ、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。
【0030】
また、ヘッド本体部71における反応室77の下流側の部分には、X方向に間隔を隔てて並び、Z方向に伸びて形成された複数(本実施例においては、6本)の本体側プラズマ通路111が形成されている。複数の本体側プラズマ通路111の上流側の端部は、反応室77に開口しており、複数の本体側プラズマ通路111の下流側の端部は、ヘッド本体部71の下端面に開口している。
【0031】
プラズマ照射部75は、ノズル113、ノズルカバー115等を備えている。ノズルカバー115は、X方向からの側面視において概してT字形をなし、ノズル本体117とノズル先端119とにより構成されている。なお、ノズル113は、ノズル本体117とノズル先端119とによる一体物であり、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。ノズル本体117は、概してフランジ形状をなし、ボルト120により、ヘッド本体部71の下面に固定されている。また、ノズル先端119は、ノズル本体117の下面から下方に向って延び出す形状とされている。そして、ノズル113には、ノズル本体117とノズル先端119とを上下方向、つまり、Z方向に貫通する複数(本実施例においては、6本)のノズル側プラズマ通路121が形成されており、それら複数のノズル側プラズマ通路121は、X方向に間隔を隔てて並んでいる。なお、複数のノズル側プラズマ通路121は、Z方向において複数の本体側プラズマ通路111と同じ位置に形成されている。このため、本体側プラズマ通路111とノズル側プラズマ通路121とは連通している。
【0032】
また、ノズルカバー115は、X方向からの側面視において概してT字形をなし、カバー本体125とカバー先端127とにより構成されている。なお、ノズルカバー115は、カバー本体125とカバー先端127とによる一体物であり、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。カバー本体125は、板厚の概して板形状とされており、カバー本体125には、上面に開口するとともに、Z方向に凹んだ形状の凹部129が形成されている。そして、その凹部129にノズル113のノズル本体117が収納されるように、カバー本体125が、ボルト130によりヘッド本体部71の下面に固定されている。このため、ノズルカバー115は、ヘッド本体部71に着脱可能とされており、ノズル113の交換時などに、ヘッド本体部71から取り外される。さらに、カバー本体125には、Y方向に延びるように、ヒートガス通路91が形成されており、そのヒートガス通路91の一端部が、凹部129に開口し、ヒートガス通路91の他端部が、カバー本体125の側面に開口している。そして、カバー本体125の側面に開口するヒートガス通路91の端部が、上記したヒートガス供給部62の連結部85に連結されている。
【0033】
カバー先端127は、カバー本体125の下面から下方に向って延び出している。カバー先端127には、Z方向に貫通する1つの貫通孔133が形成されており、その貫通孔133の上端部は、カバー本体125の凹部129に連通している。そして、その貫通孔133に、ノズル113のノズル先端119が挿入されている。これにより、ノズル113は、ノズルカバー115により全体的に覆われている。なお、ノズル113のノズル先端119の下端と、ノズルカバー115のカバー先端127の下端とは、同じ高さに位置している。
【0034】
また、ノズル113がノズルカバー115により覆われた状態において、ノズルカバー115の凹部129の内部にノズル113のノズル本体117が位置し、ノズルカバー115の貫通孔133の内部にノズル113のノズル先端119が位置する。このような状態において、凹部129とノズル本体117との間及び、貫通孔133とノズル先端119との間に隙間が存在し、その隙間がヒートガス出力通路135として機能する。ヒートガス出力通路135には、ヒートガス通路91を経てヒートガスが供給される。
【0035】
このような構造により、プラズマヘッド11では、反応室77で発生したプラズマガスは、キャリアガスとともに、本体側プラズマ通路111及びノズル側プラズマ通路121を流れ、ノズル側プラズマ通路121の下端の開口121Aから噴出される。なお、プラズマガス噴出時におけるキャリアガスおよび、反応ガスに含まれる窒素リッチガスの流量は、流量調整器30b,30c,30dの作動により、40L/min~80L/minの範囲内に制御されることで、充分なプラズマガスの噴出が担保される。また、ガス管81からヒートガス通路91へ供給されたヒートガスは、ヒートガス出力通路135を流れる。このヒートガスは、プラズマガスを保護するシールドガスとして機能するものである。ヒートガスは、ヒートガス出力通路135を流れ、ヒートガス出力通路135の下端の開口135Aからプラズマガスの噴出方向に沿って噴出される。この際、ヒートガスは、ノズル側プラズマ通路121の開口121Aから噴出されるプラズマガスの周囲を取り巻くように噴出される。このように、加熱したヒートガスをプラズマガスの周囲に噴出することで、プラズマガスの効能(濡れ性など)を高めること可能となり、プラズマガスの噴出によるプラズマ処理の効果が高められている。
【0036】
また、プラズマ装置10では、プラズマヘッド11によるプラズマガスの噴出時において、キャリアガスのガス濃度、つまり、窒素リッチガスの窒素濃度に基づいて、プラズマガスの噴出が管理されている。詳しくは、上述したように、制御ボックス15のガス供給部15Bでは、窒素分離装置22により空気から窒素リッチガスが分離されている。そして、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの窒素濃度が酸素濃度検出器34を利用して検出されている。そこで、酸素濃度検出器34を利用して検出される窒素濃度が設定濃度、具体的には、例えば、99.9%に達した場合に、電極73に電圧が印加される。つまり、窒素濃度が99.9%に達するまでの間は、窒素濃度の上昇待ちの状態となり、電極73に電圧が印加されない。この際、制御ボックス15の操作部15Cのタッチパネルに、窒素濃度の上昇待ちの状態であることが表示される。そして、窒素濃度が99.9%に達すると、電極73に電圧が印加されることで、プラズマヘッド11からプラズマガスが噴出される。これにより、高濃度の窒素リッチガスをキャリアガスとして用いることが可能となり、適切なプラズマ処理を行うことができる。
【0037】
また、プラズマガスの噴出時において、酸素濃度検出器34を利用して検出される窒素濃度が監視されており、窒素濃度が99.9%未満となった場合に、制御ボックス15の操作部15Cのタッチパネルに警告画面が表示される。これにより、作業者がキャリアガスの窒素濃度の低下を認識することができ、ユーザビリティが向上する。また、キャリアガスの窒素濃度の低下時において、プラズマガスの噴出を停止させずに、警告画面を表示することで、プラズマ処理の継続の判断を作業者に委ねることができる。これにより、例えば、作業者が、窒素濃度の低下によるプラズマ処理への影響が軽微であると判断した場合には、プラズマ処理が継続されることで、プラズマ照射中の被処理物Wの廃棄を抑制することができる。なお、窒素濃度の低下により被処理物Wの品質を担保できない窒素濃度が最低濃度として設定されており、酸素濃度検出器34を利用して検出される窒素濃度が、その最低濃度以下となった場合には、電極73への電圧印加が停止する。これにより、プラズマ装置10によるプラズマ処理の品質が担保される。
【0038】
因みに、プラズマ装置10は、プラズマ発生装置の一例である。プラズマヘッド11は、ヘッドの一例である。制御ボックス15は、制御装置の一例である。窒素分離装置22は、窒素供給装置の一例である。酸素濃度検出器34は、酸素濃度検出器の一例である。ハウジング50は、筒状の部材の一例である。分離膜52は、膜の一例である。電極73は、電極の一例である。
【0039】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0040】
プラズマ装置10では、分離膜52を有する窒素分離装置22、所謂、分離膜方式の窒素供給装置により圧縮空気から窒素リッチガスを分離し、分離した窒素リッチガスが電極73に供給されている。窒素分離装置22は、上述したように、円筒形状のハウジング50により構成されており、上下方向に延びる姿勢で制御ボックス15の内部に配設されている。このため、窒素分離装置22は、制御ボックス15の内部において、上下方向でのスペースをある程度、占有するが、左右方向でのスペースは然程、占有しない。これにより、制御ボックス15の配設スペースの増大を抑制することができる。また、窒素分離装置22、つまり、分離膜方式の窒素供給装置は、比較的安価であり、プラズマ装置10のコスト上昇を抑制することもできる。
【0041】
一方で、従来のプラズマ装置では、
図7に示すように、制御ボックス150の隣に窒素発生器152が配設されており、制御ボックス150は、窒素発生器152により発生させられた窒素リッチガスをプラズマヘッド11に供給している。窒素発生器152には、一般的に、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式の窒素供給装置が内蔵されている。PSA方式の窒素供給装置は、吸着剤に酸素を吸着させることで、空気から窒素を分離させるものであり、構造的に複雑かつ大型な装置である。このため、窒素発生器152を配設するべく、大きなスペースを確保する必要がある。また、PSA方式の窒素供給装置は、構造的に複雑なため、比較的高価であることから、ユーザのコスト的な負担が大きくなる。このため、プラズマ装置10では、PSA方式の窒素供給装置でなく、分離膜方式の窒素供給装置を採用することで、配設スペースの抑制および、ユーザのコスト的な負担をも抑制することが可能とされている。
【0042】
なお、PSA方式の窒素供給装置は、構造上、99.99%の窒素リッチガスを分離することが可能であるが、分離膜方式の窒素供給装置は、99.99%の窒素リッチガスを分離することはできず、99.9%の窒素リッチガスしか分離できない。しかしながら、プラズマ装置10では、99.99%もの高純度の窒素リッチガスは必要がなく、99.9%の窒素リッチガスで充分に適切なプラズマ処理を担保することができる。このため、プラズマ装置10では、配設スペース,コスト等を考慮して、PSA方式の窒素供給装置でなく、分離膜方式の窒素供給装置が採用されている。
【0043】
また、電極73はプラズマヘッド11に配設されており、窒素分離装置22は、プラズマヘッド11と別体の制御ボックス15に配設されている。そして、制御ボックス15は、電力と、窒素分離装置22により空気から分離された窒素リッチガスとをプラズマヘッド11に供給する。このように、電極73と窒素分離装置22とを、それぞれ異なるデバイスに配設することで、それぞれのデバイスをコンパクトにすることができる。
【0044】
また、窒素分離装置22は、酸素濃度検出器34を備えており、窒素分離装置22により空気から分離された窒素リッチガスの酸素濃度が、酸素濃度検出器34により測定される。これにより、酸素濃度検出器34により測定された酸素濃度に基づいて、窒素リッチガスの窒素濃度を管理することが可能となり、適切なプラズマ処理を担保することができる。
【0045】
また、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスは、40L/min~80L/minの流量でガス供給部15Bからプラズマヘッド11の電極73に供給される。これにより、充分な量の窒素リッチガスを用いてプラズマ処理を行うことができる。
【0046】
また、窒素分離装置22は、円筒形状のハウジング50を有しており、そのハウジング50に分離膜52が内蔵されている。そして、そのハウジング50が上下方向に延びる姿勢で配設されており、ハウジング50の上部から圧縮空気が供給されることで、ハウジング50の下部から窒素リッチガスが排出される。これにより、窒素分離装置22が配設される制御ボックス15の大型化を抑制することができる。
【0047】
また、窒素分離装置22に供給される圧縮空気として、工場で用いられる工場エアが使用されている。これにより、窒素分離装置専用の圧縮空気を発生させる装置の配設を抑制することができる。
【0048】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、電極73と窒素分離装置22とが、それぞれ異なるデバイスに配設されているが、1つのデバイスに配設されてもよい。このような場合に、そのデバイスは大型化するが、ガスチューブ19などをデバイス内に配設することができる。ただし、窒素分離装置22では、上述したように、ハウジング50の貫通穴54から支燃性の高い酸素が排出されており、電極73には、電圧が印加されることを考慮すると、電極73と窒素分離装置22とは、それぞれ異なるデバイスに配設されることが望ましい。
【0049】
また、上記実施例では、窒素分離装置22において、圧縮空気から窒素が分離された気体、つまり、酸素がハウジング50の貫通穴54からそのまま排出されているが、酸素を一定の濃度に薄めて排出してもよい。
【0050】
また、上記実施例では、制御ボックス15から電力及び窒素ガスリッチガスがプラズマヘッド11に供給されているが、電力は制御ボックス15と異なるデバイスからプラズマヘッド11に供給されてもよい。つまり、電源部15Aを制御ボックス15と異なるデバイスに配設し、その異なるデバイスから電力がプラズマヘッド11に供給されてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、酸素濃度検出器34を用いて、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの酸素濃度が測定され、測定された酸素濃度に基づいて、窒素リッチガスの窒素濃度が演算されている。一方で、窒素濃度検出器を用いて、窒素分離装置22により分離された窒素リッチガスの窒素濃度が直接的に測定されてもよい。
【0052】
また、上記実施例では、窒素分離装置22が1本のハウジング50により構成されているが、複数本のハウジングにより構成される窒素分離装置を採用してもよい。具体的には、例えば、
図8に示すように、3本のハウジング160により構成される窒素分離装置162を採用してもよい。このように、窒素分離装置162が3本のハウジング160により構成される場合に、ハウジング160の外径は、ハウジング50の外径の半分以下となり、ハウジング160の長さは、ハウジング50の長さより僅かに長くなる。具体的には、ハウジング160外径は109mmであり、ハウジング160の長さは1110mmである。また、ハウジング160の内部に送り込まれる圧縮空気の圧力は、0.9~1.0MPaである。
【符号の説明】
【0053】
10:プラズマ装置(プラズマ発生装置) 11:プラズマヘッド(ヘッド) 15:制御ボックス(制御装置) 22:窒素分離装置(窒素供給装置) 34:酸素濃度検出器 50:ハウジング(筒状の部材) 52:分離膜(膜) 73:電極